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1955-07-15 第22回国会 衆議院 社会労働委員会 第42号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年七月十五日(金曜日)     午後二時四十四分開議  出席委員    委員長 中村三之丞君    理事 大石 武一君 理事 中川 俊忠君    理事 松岡 松平君 理事 大橋 武夫君    理事 山下 春江君 理事 山花 秀雄君    理事 吉川 兼光君    植村 武一君       臼井 莊一君    龜山 孝一君       草野一郎平君    小島 徹三君       床次 徳二君    横井 太郎君       越智  茂君    加藤鐐五郎君       倉石 忠雄君    小林  郁君       高橋  等君    中山 マサ君       野澤 清人君    瀧井 義高君       中村 英男君    長谷川 保君       八木 一男君    神田 大作君       山口シヅエ君    山下 榮二君  出席政府委員         厚 生 技 官         (医務局長)  曾田 長宗君         厚生事務官         (社会局長)  安田  巌君         厚生事務官         (引揚援護局         長)      田邊 繁雄君  委員外出席者         専  門  員 川井 章知君         専  門  員 引地亮太郎君         専  門  員 濱口金一郎君     ————————————— 七月十五日  委員横井太郎君及び受田新吉君辞任につき、そ  の補欠として牧野良三君及び西尾末広君が議長  の指名で委員に選任された。     ————————————— 七月十四日  優生保護法の一部を改正する法律案谷口弥三  郎君外四名提出参法第一八号)(予) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  未帰還者留守家族等援護法の一部を改正する法  律案内閣提出第六九号)  戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部を改正する  法律案内閣提出第七〇号)  医療機関に関する問題     —————————————
  2. 中村三之丞

    中村委員長 これより会議を開きます。  まず未帰還者留守家族等援護法の一部を改正する法律案及び戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部を改正する法律案を一括して議題となし、質疑を続行いたします。長谷川保君。
  3. 長谷川保

    長谷川(保)委員 今度当局で出されました援護法改正は、今までの援護法の欠陥に対しまして、ある程度改正、前進をされておることを認めるにやぶさかでないのでありますが、しかしなお、私は援護法について幾分の疑義を持っておるのであります。  まず公務死ということでありますが、戦地におきまして、いわゆる兵病、たとえば性病のごときものにかかる。露骨に申しまして、何か徴発に参りましたりした場合、少しそそうをいたしまして住民に恨まれてけがをされるとか、殺されるとか、いわゆる重大なる過失あるいは故意による死という問題でありますが、これらの問題について、従来は恩給法建前から申しましても、援護法建前から申しましても、それらの者は公務死として認めないということになっておるわけでありますけれども、私は戦地におきまする実情というものを考えますときに、そういう重大なる過失とか故意による死亡とか負傷というようなことも、戦争異常心理というものと結び合せて考えなければならない、平時におきまして重大なる過失とか故意というものに当てはまるものと、戦時、ことに先般のような敗戦ということが色濃くなって参りましたときの異常心理というものとは非常な違いが出てくる。従って、そういう戦地実情というものを考えますときに、私は重大なる過失とか故意とかいうことを今の平時の判断ですべきでない。ぶちまけた露骨な話をするわけでありますけれども、たとえば性病を持ったといたしましても、もし平時内地におりますならば、家族一緒に喜んでともに生活をし、和気あいあいとして生活しておりますから、悪い遊びをするというようなことのない人でも、戦地にありまして、すさみ切った気持の中におきましては、そういう女遊びをするということもあり得るのでありましょう。これは実例でありますが、私が大東亜戦争の初めに中国におりましたときに、私の部下になっておった者が、長谷川さんはちっとも楽しみがない、碁も打たない、将棋もささない、酒も飲まない、女も買わない、何が楽しみかということをよく聞かれました。私は、きょう死ぬかもしれないから値しんで生活するのだと返事をしました。ところがその部下が、山東省でありましたが、どうしてもきょうは死ぬと思う、今度は死ぬと思う。自動車の運転手でありましたが、今度は確かに死ぬと思うから遊びにやらしてもらいたい、こういう話がありました。その人は、そのときの戦争で死にませんで、、私ども帰って参りますときに、不幸にしてひどい梅毒に冒されておりました。そういうような異常心理というものが働くので、だから私は、性病だからというようなことで、戦時におきまするそういう病気、重大なる過失とかいうような名目で扱うことは間違いである、こういうように思うのであります。だから、これは恩給法援護法を貫いておりますものではありますけれども、いわゆる公務死適用するかどうかということの根本について、私は疑義がある。だから、むしろそういうような範疇に、戦争の実刑というものを考えますときには、はめるべきではないと私は考えます。これらにつきまして、局長の御意見を伺いたい。
  4. 田邊繁雄

    田邊政府委員 お答えいたします。一般的に申しまして、恩給法援護法は、公務員その他国と使用の従属関係にあった者の公務災害に対する損失補償という建前でございます。従って、公務上の災害に対する国の損失補償という建前をとっております以上、一般労働法上の業務災害と同様に、業務上ないし公務上のものでなければならないと考えるのであります。しかして、国家の責任という点を考えました場合におきまして、公務と全然関係のないもの、あるいは公務と遠い因果関係はありましても、密接な関係のないものにつきましては、いわゆる恩給法上の公務には該当しないという建前をとっているわけでございます。従って、法文にあります通り、重大な過失があった場合におきましては、国としての損失補償の責めを負わないという建前をとっておるわけでございます。しかし、個々裁定に当りまして、いかなる場合において故意または重大な過失があったかということの認定に当りましては、お説の通り内地または戦地戦地の場合におきましても時期、場所によっていろいろ条件は違っておりますので、その環境を十分勘案いたしまして裁定いたすべきものであると考え、また現実にそういうような裁定をいたしておるような次第でございます。
  5. 長谷川保

    長谷川(保)委員 これはもちろん一局長にお伺いいたしましても、ずいぶん困難な問題ではありますし、むしろもっと大きな問題であるかもしれませんが、とにかく戦争に引っぱられていったということは、引っぱられてから帰ってくるまで、みな公務に服している。大きくいって公務に服しているのです。それは、かっての徴兵制度時代でございますれば、天皇と臣民、臣下というようなことでございますから、いろいろ無理な恩給法適用をいたしましても、さようでございますかということになるでありましょうけれども、家を出てから帰ってくるまでは、赤紙で引っぱられた以上、公務なはずであります。その間の普通の生活に使います時間、こういうものは公務ではない、だから公務ということは実際には戦争に直接従うというようなことが公務である、こういうような解釈を今日しているわけでありますけれども、しかし家を出てから帰ってくるまで、公務で引っぱられているわけじゃないか、自分の自由がきくわけじゃない。だから、この恩給法援護法根本になっている考え方自体に、もう一度考え直しをしなければいけないのじゃないか、これは新しい時代になって、私は根本的に考え直す必要があるのじゃないかと思います。今、お話しのような考え方ではいけないのじゃないかと思うのです。今日までこういう根本的な問題について、あまり討論されておりませんけれども、今援護法改正するに当って、私は一これは恩給法改正するに当っても、論議しなければならぬ問題でありますが、家を出てから家に帰ってくるまで、公務で引っぱられているのじゃないか。その間に、たといどういうことがあっても、それは、たとえば結核になった、内地におったって結核になるんだ、家におったって結核になるんだ、こういうことで処理するわけにはいかないと思うのです。今申しましたように、家庭にいればそういう間違いはないだろう、しかし戦地におりますゆえに、異常心理で間違いが起るというなれば、これは公務として考えなければならぬ。これは重大な過失である、こういうふうに今日片づけておりますけれども、しかし、それはむごい考え方ではないか、こういうように思うのです。この点を考え直しをする必要がありはせぬか。この点、私はやはり根本問題として考え直すべきだ、今までの習慣に従っていくべきではなくて、根本問題として考え直しをすべきだ、こう思うのであります。先般来の山下委員との質疑応答を伺っておりまして、もう一歩突っ込んでここまで考えるべきだ、こういうふうに思うのであります。だから、政府としても、根本的に考え直さなければならぬのじゃないか、こういうふうに思うので亙りますが、、どうでしょうか。
  6. 田邊繁雄

    田邊政府委員 恩給法ないし援護法公務員の、ことに軍人軍属公務災害というものを考えるに当りまして、軍人軍属勤務特殊性及び勤務した場所における、たとえば戦地内地か、戦地においても具体的な戦闘が行われておったかということの環境特殊性ということは、十分考えなければならぬと思います。われわれはそういう特殊性を十分考えつつ、今日まで裁定に当っているのでございまして、その結果は、われわれが裁定した事実に現われておると思うのでございます。従来恩給局がやっておりましたものを、機械的にそのまま踏襲ないたしていないつもりでございます。しかしながら、個々裁定になった結果及びその結果に基く不服申し立て審査等を通じてみますと、どうも実情に沿わない点が、現在のやり方ではあるように考えられる大東亜戦争、ことに大東亜戦争末期における特殊性というものを考えました場合に、負けいくさでございますので十分なその資料も完備しておらないのも相当数あるわけでございます。現在の法律建前では、遺族公務であることを挙証する建前をとっておるわけでございます。そのために、遺族部隊長のもとを歩くとか、あるいは戦友に手紙を出すとか、いろいろ病院に行って資料を集めるとか、非常に苦労しておられることが多いのでございますが、これはむしろ戦地における傷病は、原則として会務性が非常に濃厚であるから、公務として一応考える。ただし、全部のものを公務としてしまうということは、理論的に申しましても、またきわめて少数では断りましょうが、若干公務でないものもありますので、全部を公務としてしまうということは、法律建前としてどうであろうか、そういう考え方から、建前として観念上非公務であるものを公務にするという考え方はとりたくない。こういうことから、現在の法律ができておるわけでご、さいまして、戦地における傷病は、できるだけ公務としてとってやりたいし、またそう推定しても差しつかえないものではないかという気持は、出発点長谷川委員と全く同じでありますが、それを法律的、技術的に押える場合におきましては、極端から極端に走らないように、たとえば百人のうち九十九人は該当し、一人はどうしてもだめだという場合、九十九人を救い、一人はだめだというふうにしたい。九十九人を救うために一人ぐらい入ってもかまわないではないかという、そういう粗雑な考え方はできるだけ避けていきたい、こういう考え方でございます。  なお、在隊中における負傷、疾病はすべて公務と考えることはできないかという御議論でございますが、やはりこれは女官との均衡を考えました場合に、そういう立場をとることは行き過ぎではないかと思うのであります。もちろん、勤務特殊性及び環境特殊性ということは十分考えなければなりませんが、一般文官におきましては、公務災害としての傷病というものは、きわめて例外でございます。もちろん文官と武官の身分、拘束の程度勤務の内容、環境等は、格段の相違がございますので、同一には論ぜられませんが、だからといって、軍人は全部だというようにするのはどうであろうか、こう考えられるわけであります。
  7. 長谷川保

    長谷川(保)委員 もし公務という適用を、今のような大東亜戦争中及び今度広げましたようなその前の事変から適用するとしまして、故意または重大なる過失によって適用できない、あるいはまたその他内地結核になったとか、召集中に結核になったとか、あるいは性病であるとかいうようなもので、公務災害として適用できないという人々、そういう人々が、およそどれくらいあるものでしょうか。これはずいぶんむずかしい問題でしょうけれども、一つ……。
  8. 田邊繁雄

    田邊政府委員 軍人軍属遺族年金及び弔慰金裁定状況を申し上げます。  五月三十一日現在の統計でございますが、受け付けた件数が二百三万六千四百余件でございます。そのうちで、可決になりましたものが百九十六万八千八百六十三件でございます。却下になりましたも一のが五万二千五百三十六件と相なっております。合計二百二万一千三百九十九件が裁定に相なっております。それで却下したものの九割程度、九割以上になるかと思いますが、それは内地でございまして、戦地はそれの一割以内であると考えます。
  9. 長谷川保

    長谷川(保)委員 このほかにも、やはりもしそういうことで調べるとすれば、裁定を願い出ておる者が相当あるでしょうが、こういう数字はわからないでしょうね。
  10. 田邊繁雄

    田邊政府委員 この数字は、私の方で予定しておりますもののうちの大部分でございます。もっとも、この二百三万六千四百余件というのは、中央で受け付けた分で断ります。都道府県市町村で持っているものは除外されるわけでございます。昔と違いまして、現在の法律は、軍の方ですべて資料を整えまして、各遺族にこれに判を押して出しなさいというやり方をやっておりません。極端に申しますれば、われと思わん者は全部申請するという建前になっておりますので、おそらく全部に近いものが申請をしているのではないか。そのうち若干のものが、都道府県あるいは市町村の方で調査中で残っているものがあります。
  11. 長谷川保

    長谷川(保)委員 援護法適用外に漏れておりますもので、戦争中に動員された者——満州開拓団とか、あるいは徴用工とかいうもので、本来国家の名において動員されたものであるならば当然適用されるのだけれども、一応徴用その他で動員されているけれども、適用外になっているというもので、どういう種類のものがどれくらい数がありましょうか。
  12. 田邊繁雄

    田邊政府委員 一口に戦争犠牲者と申しましも、ずいぶんいろいろな種類がございますが、そのうち現在援護法の三十四条によって三万円の弔慰金を支給することにいたしております対象見込み件数でございますが、総数におきまして約十四万件でございます。徴用工、学徒、女子挺身隊等の分は三万四千件見当、戦闘参加者というのが約四万件、それから特別未帰還者というのが約二万件、その他でございます。一応十四万件を予定いたしております。
  13. 長谷川保

    長谷川(保)委員 今度の援護法金額であります二万八千二百六十五円は、最初政府の提案いたしました恩給法の兵の金額一緒にしてあったと思うのでありますが、今度御承知のように恩給法の方が、一応衆議院の方は民自御艇集改正案通りました。これが今度だいぶ開きが出てきたわけであります。当然これを上げなければならないと思われるのでありますが、政府においてそういう御意思はないのですか。
  14. 田邊繁雄

    田邊政府委員 これは先般の予算修正の際に、恩給法公務扶助料のべース・アップと同時に、それと同じように軍人恩給もベース・アップすることにして、それに所要の予算が計上されることになっております。
  15. 長谷川保

    長谷川(保)委員 内地応召中に結核等うちに帰って死んだ、あるいはそのまま病気をしているどいうような者に対しては、依然として何ら手を打ってないわけですか。
  16. 田邊繁雄

    田邊政府委員 いわゆる内地発病で在隊中または在隊後に死亡された方は、これは内地だから全部いけないというわけではないのであります。やはり個々審査をして裁定をするということになっておりますが、それで公務になっている人は、戦死の場合と同じように公務扶助料弔慰金五万円ということになっております。公務でないとして却下になった場合におきましても、昨年の国会法律を修正いたしまして、せめて弔慰金の五万円だけは支給するということにいたしたのであります。そういう方々には、大部分五万円の弔慰金が支給されております。
  17. 長谷川保

    長谷川(保)委員 しかし、たとえば内地応召中に結核になり、除隊してうちに帰った、そうしてうちで死んだ、こういうのには手を打ってないでしょう。
  18. 田邊繁雄

    田邊政府委員 そういう場合でございましても、うちへお帰りになってから、結核については三年以内の死没者でございました場合には、五万円の弔慰金を差し上げることにしてあります。
  19. 長谷川保

    長谷川(保)委員 最近は承知のように手術等が行えますから、大体三年くらいで何とか片がつくという人が多いようでありますが、戦後のときでありますと、そういう手術等をいたしませんでしたから、慢性のようになっているわけです。それらの人の中で、今なお病気をして非常に困っている人もありますし、また三年を越えて後に死んだ人もすいぶんあります。むしろそういう方が多いくらいであったのであります。結核といえば、そういう極端慢性病になっていたのが特徴であった−わけでありますが、しかしいずれにしても、召集された結果、発病したのだということがわかっておれば、やはりこれらも家族の人にしてみますれば、召集されてから発病したんだ、それでこんなに苦労してうち中貧乏になって死ぬんだという考え方を持っているわけであります。それで何とかしてくれという訴えがしばしば来るわけであります。ですから、応召中に発病したというような者は、こういう場合に考えなければならないのではないか、そうたくさんの人数ではないでしょうから、やはりこういう場合も考えるべきではないかと思うのであります。一番最初議論と相通ずる議論ですけれども、多分人数からいっで、こういう人はたくさんではなかろうかと思うのですが、そこまで広げるという考え方政府の方ではできないものでしょうか。
  20. 田邊繁雄

    田邊政府委員 いろいろ苦情があることを、われわれは十分承知いたしております。今回の改正案におきましては、そこまでは手が伸びなかったのでございますが、将来の問題といたしまして十分破究いたしたいと思います。
  21. 長谷川保

    長谷川(保)委員 これは局長も十分御承知のことと思いますが、今日結核でもって国立病院に入院しておりますいわゆる外地から帰ってきた諸君は、きわめて不十分でありますけれども、ある程度の手当が行われておる。内地で発病して入っておりますほぼ同種の諸君に対しましては扱いが非常に悪いというので、これまた非常に私どもにたびたび陳情が来るわけであります。今その扱いは事実どういうようにしておりますか。
  22. 田邊繁雄

    田邊政府委員 これは療養の問題と、それから給与の問題と二つあると思うのでありますが、療養の問題は、御承知通り復員者給与法時代から引き続き、いろいろ療養をやっておりまして、今度御提案申し上げておりまする留守家族援護法におきましても、今年の十二月で切れますのを、さらに三年間延長することにいたしまして、なおるまではできるだけ政府がめんどうを見たい。しかし、なおったならばできるだけ早く退院していただきたい、こういう気持でお世話をいたしておりますが、給与につきましては、実はこういった方々の中に、先ほど申し上げました公務公務でないかという問題がひっかかって参りまして、公務に該当する傷病者の方は、恩給法での傷病年金ないしは増加恩給か支給されます。この場合でも、まるまるは本人の手取りになりませんので、病院治療費と若干の調整はいたします。最小限度どんなに恩給が少い場合でございましても、せめて月千円程度の金は上げるように気をつけておりますが、内地発病の方はどうも恩給を差し上げるという工合に参りませんので、これらの方々が今小づかい等に不自由しておることは聞いておるのでありますが、こういう方々に特別の小づかいを差し上げるということもできかねるので、これは一般社会局でやっております生活保護法の方で、小づかい銭的な、お見舞金的なものはお世話できるようにいたしたい、こういうことでいろいろ連絡をしておるのでございます。
  23. 長谷川保

    長谷川(保)委員 もう一つ恩給法援護法では、御承知のように扶養家族の者が二十才、十八才ということになっておりますが、二十才まで引き上げられないという理由はどこにありましょうか。一八才ということに援護法はなっておりますね、政府の方の御意見を伺いたい。
  24. 田邊繁雄

    田邊政府委員 国会の一部の方々の中に、熱心に恩給法と同じにせよという御議論のあることは、私かねがね承知いたしております。かねてからそういう質問もあったわけでありますが、確かに援護法は第一条に国家補償の精神に基き云々と書いてございます。これは恩給法暫定措置法ということを主眼として立法したという経緯から考えましても、また軍人恩給が復活したあとにおきましても、なおその公務災害に対する国家補償という観念建前においては変りはないと思うのであります。しかし、国家補償であるから恩給と同じようにせよという議論につきましては、私は必ずしもそうはならないのではないか、というのは、第一条に「援護することを目的とする。」と書いてあるのでございます。もし恩給法がそうなっているから恩給法と同じようにすべきだという議論を徹底させる、すなわち国家補償という観念をそこまで徹底させるというのであれば、やはり雇用人車属であっても、あるいは嘱託の方もおられるし、雇の方もおられる。俸給も数百円の高い方から安い方もおられるわけでございます。国家補償ということをやかましくいうならば、死亡時における俸給を基準として当然遺族年金を算定すべきだと思うのであります。そこまで徹底しなければ、恩給法と同じにするというわけには少くともいきません。しかし、そこまでいくのもどうかというので、援護法で出すことになっているのでございますので、援護という観点からいたしますと、やはり一般に労働能力ありと考えられる方々は御遠慮を願って、独立自営の力の乏しい方を援助してあげるという観点から対象をきめる、ことに国家財政も窮屈でございますので、乏しい国家の金を有効に使うというためには、やはり援護を要する方々に重点的にお上げいたしまして、そうでない方はとりあえず弔慰金ということでがまんしていただく、こういう観点から一般社会保障制度一般社会保険におきましての厚生省社会保険の例にならいまして、父母は六十才以上、子供、孫は十八才未満と、こう限定したわけでございます。こういった思想は、ひとり遺族年金だけではございませんで、障害年金におきましても、恩給法の場合におきましては、きわめて軽微な傷病に対しての一時金、年金等を支給することにいたしておりますけれども、援護法におきましては、こういった援護を要しないと考えられる軽微な傷病対象から除外をいたしておるような次第もございますので、援護法としては、現在のようにするのが、厚生省としては正しいのではないかと、こう考える次第でございます。
  25. 長谷川保

    長谷川(保)委員 私はこれも根本問題に入って援護法恩給と二つに分けなければならぬという考え方は実に古い考え方ではないか、どっちか一本でいくべきだという考え方をするのでございますけれども、しかしこれらの議論は、もちろん大臣とすべき議論でございますので、一応援護法に関する私の質問はこれで終ります。
  26. 中村三之丞

    中村委員長 山下春江君。
  27. 山下春江

    山下(春)委員 私は昨日、公務死の範囲拡大についての部分を質問を留保さしていただいたのでありますが、ただいま長谷川委員からもいろいろ御質問がありまして、これは根本的な考え方の相違だ、見解の相違だということになればそれまででありますが、援護局長の言われることもよくわかります。九十九人を救うために、一人の全く該当しない者をも一緒に、一人ぐらい仕方がないじゃないかという考え方に立つことはできないと言われるのでありますが、その一人にあまりこだわりますために、多くの救わるべき人々が救われないというようなことに陥るおそれがあるとするならば、われわれとしては非常にあきらめきれないところでございます。局長は昨日も、援護審査会でしぼるおそれがあるというならば、援護審査会については考えてもいいと言われました。この援護審査会というもので、今日まで相当しぼられたように思いますが、局長はそうはお考えになりませんか。
  28. 田邊繁雄

    田邊政府委員 しぼったという言葉でございますが、裁定をいたしたものを、さらにしぼって落すということはないのでございます。つまり私の方で、役所として裁定をいたしまして可決にしたも)のを、さらにしぼって援護審査会が否にするということはないのでございます。援護審査会は、援護局の方で却下したものの不服の申立を受けまして、それの中から可決にするものと却下するものと両方あるわけでございます。裁定の仕方が、そう何でも認めるという建前でないことは、その通りでございます。しかし、いたずらにしぼることだけを目的とするのではございませんので、やはり公正妥当な裁定をする。早々の間に二百万近くのものを裁定いたしたのでございまして、中には相当間違いがあることはわれわれみずから認めておりますので、そういうことにこだわらず、われわれも原案に固執するということはいたしておりません、各委員の公正な御判断によって措置をいたしておる。それであっても、なおかつ現在の法律建前はどうも無理ではないかということを考えまして、こういった原案が出ておるわけでございます。この原案が出ておるということは、過去の当委員会におけるいろいろな皆様方の御質問、あるいはその後における各遺族等の実情、それから援護審査会におけるいろいろな審査状況等を総合勘案いたしまして、こういった立法をいたしておるわけであります。出発点におきましては、全く皆様方と同じではございますが、措置の仕方におきまして、多少なまぬるいという印象を受けるかのごとき表現でございます。私らから言わせますと、その辺に多少の弾力性があるということが言えると思います。その弾力性があるところに、確かにいい点があると私は思うのですが、その点を皆さん方に言わせれば、不安だとおっしゃる。その点は、援護審査会というものがあることによって、一そう適切になるか、あるいは一そうしぼられるかという御懸念につきましては、皆様の御判断をいただきたいと思います。こういった物事は、理論に偏してあまり極端にいくということは、最も値しまなければならぬこと、だと思っております。過去におけるいろいろな事例等を取りましても、一つの悪い事例があったときに、それを基礎として、また他の悪い事例を積み重ねていくという結果を生みがちでありますので、そのことを過去数年間にわたる経験を基礎として、大ざっぱなようでも緻密にやっていきたい、私はこう考えております。
  29. 山下春江

    山下(春)委員 大体援護局長のお気持で、信じられるような気がいたしますけれども、これはよく考えることにいたします。  そこで私は、過日委員長の手元まで、海外同胞引揚特別委員会から申し入れの件について、引揚委員会におきましては、るるこの問題については触れたのでございますが、なお本委員会に申し入れのありました未帰還者留守家族等援護法の問題について、局長にあらためてお尋ねをいたしたいと思うのであります。  御承知のように、未帰還者が帰還いたしましたときに、直ちに留守家族手当の支給は打ち切られておるのが現行法の規定でございますが、そういたしますと、これらの人々には、他に何らの援護措置も講ぜられません、ただそれっきりでございます。しかし、未帰還者が帰還いたしましても、現下の情勢では、直ちに就職することは回難であり、少くとも数カ月間は収入がないという状態に置かれるのみならず、かえって支出の増大をもたらすために、末帰還者の帰還と同時に、留守家族手当の支給を打ち切ることは、その家族全体を著しい経済的な困窮に陥らしめるものでございますので、これは、どうしても今申し上げましたように、十年も離れておりまして、帰ってきてぼうっとしている間に数カ月間ぐらい過ぎてしまいますので、この帰還者に対しましては、少くとも三カ月ぐらいの手当を、留守家族手当のような手当を支給すべきだと考えますが、局長はいかがお考えでありますか。
  30. 田邊繁雄

    田邊政府委員 ただいま山下委員の御指摘になりました点は、まことにごもっともな点だと思います。実は留守家族援護法が当初制定されましたときこも、そういった問題があったのでございますが、当時そういったことも考えまして、実は帰還手当一万円というものを創設いたしまして、帰還者及び帰還者家族生活のかてにしていただきたいということであったのであります。そういった関係から、当時は御遠慮いただいたことでございますが、その時からもうすでに三年近くもたっておりますし、また国内の就職の状態も、当時と比較いたしまして一そう窮屈になっておるということを考えました際、最終段階における引揚者の援護を一そう強化するという趣旨からいっても、まことにごもっともな御発言であり、御同感申し上げる次第であります。
  31. 山下春江

    山下(春)委員 なお、ただいま生還されます方に対して、三ヵ月の留守家族のごとき手当を支給するということに対して、局長から同感の意を表されましたことに対して感謝をいたします。ところが、この生きてお帰りになりました方々は、それで私どもの気持も多少達せられるわけでございますが、未帰還者の中で、すでに死亡された事実が判明した場合におきまして、この方々は、未帰還公務員の場合は恩給に切りかえられるのでございますけれども、その間には相当の手続上の時間的ブランクがございます。終戦後十年になりました今日、なお未帰還者の帰還を待ちわびておられます留守家族に対しまして、死亡の事実の判明と同時に、自動的に手当を打ち切るということは、まことに実情に即さないと考えるのでございます。留守家族は、この死亡を知らされると同時に、非常に大きな精神的な打撃を受けるのでありますが、同時にまた経済的にも収入の道を断たれまして、物心両、面にわたりまして、はなはだしい打撃をこうむる結果となるのでございます。もっとも、これらの中には、戦傷病者戦没者遺族等援護法による遺族年金または恩給法による扶助料を受ける方が大部分でございますから、先ほど申しましたように、時間もあまり要さないで、直ちにすりかえられるということであればよろしいのでございますが、諸般の情勢上そうも参りませんので、相当長い時間ブランクになることを考えまして、この死亡処理をお受けになりました家族の方に対しては、これまた留守家族手当とみなされる手当を六カ月間——もっと長くも差し上げたいような気持もいたしますけれども、いろいろな予算上の措置もございますので、六ヵ月間ぐらい差し上げるようにいたすことが当然のことではないかと考えられます。十年間待ちわびておって、しかも十年後に死亡処理を受けるという方々に対しては、それくらいの手当では、全くそのお気の毒を救う一端にもならないと思いますけれども、それでも、国としてせめてそれだけでもやって差し上げることができれば、大へんけっこうだと思うのでありますが、局長の御意見を承わりたい。
  32. 田邊繁雄

    田邊政府委員 未帰還問題の解決のために、生存残留者の引揚げ促進をはかるとともに、消息不明の者の消息を明らかにし、すでに死亡している者につきましては、すみやかに死亡の処理を主体とすることが、この問題の非常に重要な一面であると考えておるわけでございます。しかして、数から申しますと、状況不明者の中で、死亡した者が相当部分を占めるのではないかと推定されることにつきまして、その死亡したことが判明した際における未帰還者及びその留守家族の処遇ということは、非常に大事な問題だと考えております。今後関係各省との交渉が進むにつれまして、そういった問題が漸次表面に出てくると思いますが、今日よりそういうことに備えまして、そういった措置を講ずることはまことに必要なことだと、同感の意を表するにやぶさかではないのでございます。  期間の点につきましても、おおむね六ヵ月くらいというお話でございますが、公務扶助料裁定になりまする期間等を考えますと、これもおおむね妥当な期間ではないかと考える次第でございます。
  33. 山下春江

    山下(春)委員 委員会の申し出に対しまして、政府側も快よくこれに御同意を願ったことに対して感謝いたします。これは一つぜひとも実行していただきたいのでございますが、予算措置等につきましては、これについて特に私どもが心配をいたさなくとも、このことが修正案として成立いたしましても、援護局の方において、何とか直ちに御実行を願えるのではなかろうかと思うのでございます。その辺のところを、なお確認をいたしておきたいと思いますが、その辺はどういうふうになっておりましょうか。これは予算が  ないからやらないというようなことでは困るのでございまして、日ソ国交調整に関する両国間の交渉が開始されて、未帰還問題が全面的な解決を期待されておる現状にかんがみまして、ぜひともこれは直ちに御実行を願いたいと思っております。その最終段階に対処するわれわれの心がまえといたしましては、この経済的な窮状にある留守家族、あるいは精神的に悲痛のどん底にある留守家族に対して、直ちに実行をいたしたいと考えるのでございますが、その辺のことは、どういうふうな状態でございましょうか。
  34. 田邊繁雄

    田邊政府委員 予算的措置についてのお尋ねでございますが、率直に申しまして、そういった経費は、当初予算には計上されておらないのでございます。しかし、そういった措置を講じました際に要する経費の大部分は、恩給法における扶助料等の内払いになるべき性質のものであると思われますが、現行法におきましては、恩給法より留守家族援護法に移用をすることが認められておりますので、内払いであります以上、当然に移用を受け得るものと考えております。もちろん、移用を受け得ない人も若干あるかと思いますが、これは数から申しますれば、きわめて少数だというふうに見込まれますので、何とか既定予算の範囲内でやりくりできるのじゃないかと考えております。もっとも、まだ最終的には財務当局とその点についての最後の確認までは至っておりませんが、従来もしばしば連絡をいたしております。われわれも、最終的には財務当局の御同意が得られるものと考えておる次第であります。
  35. 中村三之丞

    中村委員長 高橋等君。
  36. 高橋等

    ○高橋(等)委員 援護法の問題について、若干お伺いをいたしておきたいと思います。  本来、今日は大臣が御出席であろうと思ってやってきたのですが、大臣の御出席がないようであります。この援護法の本質に関連いたしまして、恩給と非常な差別待遇があります。いわゆる父母の年令制限その他の問題につきましては、本質的な問題も含んでおりますから、ぜひ大臣においでを願いまして、大臣にお伺いをいたしたいと思いますので、適当な時期に委員長のお取り計らいをお願いいたしておきたいと思います。従いまして、本日は局長に、公務列の範囲拡大の問題について、先ほどからいろいろと議論があったようでございますが、政府の意図されるところを若干お伺いをいたしてみたい。なお、御答弁で満足を得られませねば、やはりこれも大臣にお願いいたさねばならぬと考えております。  最初にお尋ね申し上げたいのは、このたび印刷物として配付されました、政府掛案のこの法律の印刷書でございます。これの初めのぺ−ジの終りから三行目、2というところの「旧恩給法の特例に関する件第一条に規定」云云、この条文のこの二項のところを、一つ詳しく御説明をお願いいたしたい。
  37. 田邊繁雄

    田邊政府委員 今回政府提案で改正いたしておるうちの一項といたしまして、第四条の第二項について、公務死の範囲の拡大についての改正を企図しておる一わけでございますが、この改正は、太平洋戦争中に、恩給法上の軍人及び準軍人戦地においてけがをし、 または病気にかかった場合におきまして、非公務であることが積極的に立証されない限りすべて公務とみなす、こういう思想でございます。その場合に、手続を慎重にするために、援護審査会の議決を要する、こういたしたわけでございます。  なお、詳しく申しますと、この規定の適用を受ける者は、恩給法上の軍人軍人に限っております。これらの方方の勤務特殊性ということを考えまして、こういう特殊な規定を置いたわけでございます。それに、さらに太平洋戦争における戦地にいた者にのみ限定いたしました理由は、太平洋戦争特殊性ということを考え、ことに後半期における特殊性というものを考えました場合におきましては、第一に、戦地における受傷、罹病は、公務性がきわめて濃厚であるという推定を下して差しつかえなかろうという点が第一点でございます。第二点は、そういう特殊性から考えまして、遺族側に公務であることを積権的に立証する責めを負わせることは、実情に沿わないのではないか。これも先ほど申し上げた通りでございまして、その点を考え直しまして、むしろ挙証の責任は政府側にありという考え方をとるのが、今度の戦争特殊性から見て妥当ではないか、こう考えまして、明らかに非公務であるというものを除きまして、戦地における受傷、罹病はすべて公務とみなすという考え方に出たおけでございます。ただ、政府部内にいろいろ議論がございまして、その場合に公務であることが明らかであるか、非公務であることが明らかであるかどうかという点を慎重にいたしますために、援護審査会の議決を要するということと、それから一般公務の場合と多少違う点があるので、死亡の時期について一定の期限をつけたという点に、若干の相違が現われております。しかし、原則的な考え方といたしましては、前段申し上げましたような考え方から、戦地におけるものは原則的に公務とみなしていこう、こういう考え方になったのでございます。  この点は、当委員会におきまして、高橋委員その他の方々がかねがね御主張になった点でもあり、また遺族会等におきまする個々遺族等からのいろいろな陳情等も考え、また援護審査会等の審査の状況等いろいろな点を勘案いたしました際、いろいろ議論はございましたけれども、政府提案としてこういう措置を講じようということになった次第でございます。この点につきましては、いろいろ御議論があるように拝察いたしますので、一つ十分に御審議をいただきたいと思います。
  38. 高橋等

    ○高橋(等)委員 ただいまの御説明ですと、非公務でないことが認められない場合は公務だ、こういう御説明です。条文を拝見いたしますと、「公務以外の事由により負傷し、又は疾病にかかったことが明らかでないとき」こう書いてある。そうすると、公務以外の事由によって負傷したことが明らかであるかないかの認定は、だれがやるのですか。
  39. 田邊繁雄

    田邊政府委員 厚生大臣がやります。
  40. 高橋等

    ○高橋(等)委員 この法律によると、援護審査会の議を経てとある、援護審査会を一つの厚生大臣の諮問機関だ、こう見ていいのですか。
  41. 田邊繁雄

    田邊政府委員 ちょっと私間違いましたので、訂正いたします。これは厚生大臣が認定をして援護審査会に諮問するという建前をとっておりませんで、援護審査会の議決によって明らかであるか明らかでないかをきめる、こういう建前にいたしております。
  42. 高橋等

    ○高橋(等)委員 私は簡潔に事を運びたいと思って申し上げておるのです。そこで、この条文を読んでみますと、従来あなたの方では、これは公務以外の事由による傷病であるからということで却下されてきているわけです。その通りでしょう。ところが今度は、同じ条文で同じようなことを書かれて、ここでいろいろとあなた方が自由に選択をし、援護審査会が自由に選択をする余地を残すような言葉がここへ使われておるということは、実際今までのやられ方をどうやってここで改められるか。改めると言われるが、私はいろいろ研究してみて、改められる理由がこの条文から出てこないと思うのです。どうでもできる条文です。  もう一つは、挙証責任が政府にあると言われますが、遺族の方から要求を出して、あなた方がお断わりになっておるのは、全然証拠のないものか、あるいは何かはかの特殊な病気の名前が書いてあるものか、とにかく証拠をあげてきておる場合が相当多い。すなわち、遺族の方では証拠をあげておる、その証拠にのっとってこれは公務以外の事由によって疾病にかかったのだからだめだというので、あなたの方は断わってきでおる。ですから、こういう書き方ではいけないのだ、あなた方の趣旨が徹底しないのではないかということをおそれる。その点を、一つお互いにじっくりここでお話をしてみないとわからない。要するに、これで救われるのは、極端に——この条文は、条文である以上は、解釈というものは厳格でなければいけないのです。あなた方が自由裁量でこの美女を左右するような手かげんがあってくれちゃ困るのです。ですから申し上げておるわけです。公務以外の事由によって負傷しまたは疾病にかかったことが明らかでないときにやるということになれば、今までこれは公務ではないといってあなた方が断わっておったケースがこれで救われるのかどうか、これが第一点。  それからもう一つ、私が考えるのに、原因が不明なものについては、死亡原因が不明なものが救われるくらいである。その他は救われないのじゃないか。われわれが要求したことを入れて作られておると言われるところが、どうもこの条文からは出てこない、こう私は考えるので、その点を一つお話を承わっておきたいと思います。
  43. 田邊繁雄

    田邊政府委員 実はこの条文を作るにつきましては、私どももずいぶん研究もいたし、苦心もいたしたのでございますが、一番議論されました点は、理編上公務でないものを公務にするという立法の立場を避けるということでございます。第一条には、公務上の傷病に対して国家補償の精神に基き云々と書いてございますので、どこまでも傷病公務上のものでなければならぬという立場を堅持しつつ、しかも従来の裁定の結果を是正し、あるいは今後残されている問題を円滑に進めていくようにしたい、これがわれわれの出発点でございます。そこで、今高橋委員がおっしゃる通り、過去において却下したものは、役所は公務でないものと認定したものじゃないか、非公務と認めたものではないか、それを公務にするということは、非公務公務にすることではないかという有力な反対意見が部内にあったことは事実でございます。しかし、それは理論的一般的に非公務であるものを公務であるとするという問題を、一応切り離して考えたい。過去に裁定したものが絶対に正しいものであるならば、そういうことになるかもしれません。しかし、過去において裁定したことが絶対に正しいものかどうかという点については、反省し、考え直して、みる必要がないかどうかということが、われわれの考え方であったわけであります。たとえば、ある一定の病気でなくなっておられます場合におきましても、それだけを考えられて公務であるかどうかというふうには見られない、環境のいかんということが非常に大事になってくる。実はこういう環境でなくなっておるのだけれども、その環境公務であることか積極的に認められないというので却下になっておる建前になっております。つまり、非公務だといって却下するということでは一ないので、公然であることが認められないということで却下になっておるわけであります。従って、その際もう一歩進んだこういった資料があった、こういう資料が出てくるならば、それは公務であると認められる可能性は十分あるわけであります。そういう資料が集められないということから却下になっておる事例は、相当あるわけであります。そこで一たん却下したものであっても、その公務認定の基準というと言葉は妥当でないかと思いますが、公務という観念そのものにおいては変りはないが、公務認定の基準というものについては考え直そうということであります。そういたしました際に、今日まだ未裁定として保留になっておるものについて適用がありますと同時に、過去において却下されたものについても、その条文が適用せられることは当然であります。あるいはそういう議論をする人が政府部内においてあることは、私どもよく承知いたしませんが、あったことは事実であります。最終的においては、私が今申し上げました建前に統一されておるわけであります。すでに高幡委員の御提案になりました恩給法改正案におきましても、恩給局においてに、既裁定としてきめたものすら、援護法のこの条文の発動によって引っくり返るものがあるということは、過去のものにも及ぶということが認められた証拠ではないかと思っております。その点が一つであります。  それから、この条文の読み方によって右にも左にもなる、援護審査会の議決という点になると、どうも不安である、右にも左にもなるという御懸念でございますが、従来の興前をそのままとるならば、今であれば、こういう条文の改正というものは必要でないわけであります。公務であることが積極的に立証されない場合は却下するということと、非公務であることが積極的に立証された場合に却下するということは、非常に差があるわけであります。こういったことができます以上、援護審査会における裁決も、この規定の精神に従って運用さるべきものであると思います。もっとも、昨日から申し上げております通り審査会の議決を該当件数数千件にわたるものについて一一することが適当であるかどうかという点は、別に問題は残りますけれども、これは別に非公務であることが明らかであるか、明らかでないかを役所側だけにまかせたのでは非常に不安定であるので、こういう合議機関において慎重にやらせたいということがこの提案の趣旨であるということを、御了承願いたいと思います。
  44. 高橋等

    ○高橋(等)委員 先ほどのお言葉は、いろいろ整理してみなければいけませんが、私たちが提案した恩給法で、既裁定のものにさかのぼって云々という御発言があったようでありますがそれとこれは違う。これは援護法で、厚生大臣が公務と認めたものについての扱いをきめたものである。新たに公務というものの範囲を拡大しようとしてやっておることではない。そこで、あなたの今の御説明によりますと、結局救われるのは、証拠不十分だったものが救われる。今まで公務にあらずと認定して却下書を出されておる。その却下書を出されておるのが、この条文によって、どうして公務であると認められますか、どういう証拠でこれだけの条文で公務であるということが認めることができるか。この条文は、明らかに公務以外の事由によって負傷したことが明らかでなかった者だけ救おうとしておる。あなたは、公務という概念は変えないとおっしゃっておる。そうではなしに、今までの公務という解釈は非常に窮屈なものであるから、そこで問題が起つでおるのだ、われわれはそう考えておる。そこに実はこの立て方の違いが出てきておるわけであります。政府部内でもそういう考えがあったと言われるが、私がちょっとこの条文を見たときは、これはいかぬ、まだまだ公務に対する裁量の余地が残り過ぎておるのだ、公務に対する裁量の余地を残さないではっきりしたこういう場合が公務であるということを、としては今まで思い切ってやられたこともあるから、よう思い切って害かないのだ、だからわれわれは、書いたらどうかということを考えてはきておるわけです。それくらいこの条文は自由裁量の余地がまだあり過ぎるし、従来お出しになったところの公務以外の事由による負傷を、公務でないといって却下をされたものが、この条文ができたらどうして救われるか、そこをはっきり教えてもらいたい。それを今おっしゃったように、証拠が不十分なものについては死因がわからないとか、もう一つ証拠をそろえてきたら出せるであろうと言うが、証拠がない。これは救われるか。あなた方は、胃ガンだからだと言われるが、胃ガンはこれでお払いになるのですかどうですか。もし戦地で誤まって川に落ちて死んだ、これは救われるのですかどうですか。そういう点を具体的にこの条文との比較においで伺っておきませんと、今までいろいろ議論を尽し御答弁を願って、これでよかろうと思って法律を通すと、実際は非常に気の毒な人がたくさん出ておるものですから、それでこの点ぜひこの委員会ではっきりさせておかなければならぬ、こう思って質問しておるわけです。
  45. 田邊繁雄

    田邊政府委員 ごもっともでございます。先ほどのお話に、いろいろな資料を添えて却下した場合は、援護局は非公務なることが明らかなりとして却下したのではないかということがございました。実は申請をしたものには、可決になったものと却下になったものとあります。却下になったものを分析いたしますと、公務であるか非公務であるかどっちか明らかでないものは、却下のケースに入るわけです。非公務であることが明らかな場合には、もちろん却下になります。しかし、非公務であるか公務であるか明らかでない場合も却下しておるわけであります。公務であることが明らかな場合に、初めて可決しておるわけであります。そこで理論的にいって、現在却下にされておるものの中で、公務であるか非公務であるか明らかでないというものは、当然対象に浮び上ってくるわけであります。今お話しの通り、各般の資料を添えて援護局で審査の結果却下になった場合におきましても、さらにこういった資料があれば公務になるのだ、こういう資料がないから公務にならないという場合には、与えられた資料だけでは公務であるという立証ができない、認定ができないという例もございます。そこで却下されておるものが全部非公務であるから却下したということにはならないのであります。却下したものの中には、公務であることがはっきりしないから却下した、また公務であるか非公務であるか朗らかでないものが入っておるということになるのであります。従って、観念的に申し上げますれば、非公務明らかというものと、それからもう二つ、公務か非公務か明らかでないというものが却下の中に入っておるわけであります。  個々の例につきましてのお尋ねでございますが、故意または重大な過失によって受傷罹病した場合及びこれに進ずるような場合は除外されるおけでありますが、たとえば勤務に全然関係のない傷病であって、故意または重大な過失のないものというのも現実にあるのであります。客観的に考えて、またきわめて素朴な医学的な常識から当えまして、勤務と全然関係のないというものにつきましては、当然この中から除外すべきであろう、私どもが考えますのは、故意または重大な過失等の——これは一例でありますか、そういった表現によって、はっきりすることははっきりするかもしれませんが、観念的に考えまして、公務でないものを公務とするという思想はできるだけ避けたいというのが、われわれの根本建前でございます。この点は、恩給法根本にも触れる問題でございますので、どうしてもそういう建前はくすしたくない、またくずすということになりますと、将来いろいろな問題を生ずる、そういう考え方から出ておるわけであります。具体的な一々の事例、胃ガンの場合はどうかというお尋ねでございますが、今までは、胃ガンというものは公務とは関係がないということで、すべて却下になっております。私どもは、この点は考え直す必要があるという考えでございます。ただ具体的に申しますと、服務に関係のない傷病というものは、故意または重大なる過失でなくともあり得るし、また現にあるわけであります。かようなものまで現実に公務上の傷病ということで裁定するということになりますと、その結果は他に波及するところも大きいし、国の恩給法根本にも触れてくるということを御了承を願いたいと思います。
  46. 高橋等

    ○高橋(等)委員 言葉じりをとらえるわけではないのだが、この条文によりますと、今まで却下していた胃ガンの支払いができるという理由は、条文の解釈からどうやって出るのですか。私はこの条文の解釈から何が生まれてくるかということが大切だから伺っておる、その点はどうですか。この条文から、今までの公務という線はくずさないのだ、公務以外の事由によって疾病にかかったことが明らかでない場合は払うのだ、こう書いてある。胃ガンというものを払う理由はどこから出ますか、この条文で自由裁量で出るのですかどうですか、それを聞かせてもらいたい。
  47. 田邊繁雄

    田邊政府委員 現在の建前は、公務であることが明確になった場合に、裁定を可決をするという建前でございます。従って非公務であることが明らかである場合、及び非公務公務かはっきりしないという場合も、却下するわけでございます。ところが、胃ガンの場合におきましても、公務だとはいえない、積極的にこれは公務のためなったという証拠はないじゃないかということで却下になったものがあるわけであります。しかし、環境いかんによっては、胃ガンでも公務になることは、医学的に考えられるわけでございます。医学的と申しますと、原因結果の追及という点から、いろいろ困難かもしれませんが、たとえば、こういう例がございます。大東亜戦争勃発と同時に召集を受けまして、ビルマにおいて戦車隊長として勇戦奮闘せられまして、終戦になって捕虜収容所に入っておる間に、とうとう胃ガンでなくなられたのであります。こういったひどい環境のもとにおきましては、そういう病気になることもあり得るのではないかということでありますが、しかし公務であるということを積極的に立証するということはできないではないか、こういう議論があったわけであります。しかし、だからといって、それでは明瞭に非公務かというと、明瞭に非公務だとも云い切れない、かような例は公務か非公務かはっきりしないという一例でございます。従来却下した中に、こういうのが多いのであります。「われわれはこの条文によって、こういうものが救い得ると考えております。
  48. 高橋等

    ○高橋(等)委員 この問題については、また後ほどいろいろお伺いをする時間を持ちたいと思いますが、今の発言の前の発言に、重大な発言がありました。それは故意または重大な過失またはこれに準ずるものは公務以外と見るのだ、こういう御発言があったことは確認されますか。
  49. 田邊繁雄

    田邊政府委員 故意または重大なる過失というものは公務でないことは明瞭であります。これに準ずるという言葉でございますが、準ずるという言葉は、公務でないことが明らかだという例の中に、いろいろなものがあると思います。それを一々書き上げればいいのでございますが、条文の形として、省令に譲りましても、とうてい書き切れない問題でございます。しかし、私どもの知っておる例におきましても、公務とは全然関係のない傷病であって、故意または過失でないものが現にあるのでございます。そういったものも、法文の体裁上除外しておきたい、除外するのが当然ではないか、私はこう考えておるわけでございます。しからば、何か名案があるか、具体的に、しかも全体を包括するような名案の条文があるかということになりますと、なかなかないのでございます。公務の認定基準を拡大するような具体的基準を示し、しかも指示するようなものを書ければ一番いいわけでございますが、それがないから、そういった抽象的な形にならざるを得ないのでございます。しかし、理論的に申しますれば、私は高橋委員が御懸念されておるような、従来却下したものには及ばないということには、この条文がならないと考えますし、またならないようにしたいということで、われわれはこういう条文を立案し、また御提案申し上げておる次第であります。
  50. 高橋等

    ○高橋(等)委員 実際この条文からは、救われるものももちろんあるでしょう。しかしながら、大多数のものは、私はこの条文を厳格に適用すれば、救えないと考えます。これは先ほど申し上げた通りの理由です。あなたと考え方が違う。結局死因がわからなかったもの、原因がよくわからないで、これはどうもわからぬというて却下したものが救われるだけです。ところが、今の胃ガンなんというものは、恩給法審査に当っても、従来ともに公務でないと判定しているでしょう、これは御存じですね。そうやったと聞いておる。これをこの条文から今産公務死だとひっくり返してくるものが出てこない、もう少しあなた方やりたくても。あなたの気持は、われわれの気持と、やりたさにおいては同じだ。同じだけれども、この条文においてはどうしても不十分だ、私はこれを一見してそう感ずるのであります。なお、これは、この次の機会にもう一応よく二人でまた時間をかりて話さなければ一ここはよく質疑をしておかぬと困る、もっと具体的な問題に入って質疑をしなければならぬ。  そこで、もう一点きょう伺っておきたいのは、同じ条文の第五項に当ると思いますが、「第二項に規定する戦地の区域及びその区域が戦地であった期間は、政令で定める。」こう書いてある。これはどういうわけでこう書かれたのですか。前は、戦地はこれこれということが書いてあったじゃなかったのですか。わざわざここで政令で定めるということを書いた必要は、どういうことなんですか。それでなしに、非常に疑問が起りますから、過去の陸海軍が戦地と規定した区域が戦地だというふうに、もう少しはっきりした書き方をしていただかないと、ここは大へんな問題が起るのじゃないか。あるいはまた、ここで戦地というものをあなた方が追加したり、地域の指定を政令で変えたりするためにこれを害かれているのかどうか、これを承わりたい。
  51. 田邊繁雄

    田邊政府委員 軍属の在職期間を定める場合の戦地の規定は、現在の法律でも政令に譲っております。今度の場合の戦地というのは、軍属の在職期間を定める場合とちょっと考え方が違っておりますので、考えは別でございます。別でございますが、実態上の戦地ということで押えたいと思っております。しかし、実際は現在定められている政令の戦地に準じて考えております。
  52. 高橋等

    ○高橋(等)委員 区域は政令でなしに、何かはっきりした書き方を今までしておったのではなかったのですか。
  53. 田邊繁雄

    田邊政府委員 今までも政令でございます。
  54. 高橋等

    ○高橋(等)委員 政令で定めるよりも、これは旧陸海軍の何々によって戦地とされたものを戦地とする、その期間を期間とする、そういう書き方をなさったらいかがですか。何か政令でそういう戦地の幅を変える意図があるのではないかと思えるし、また現在実はその戦地の幅を変えてもらいたいという要求がある。そういう含みをお持ちになっているかどうかということを、一応聞いておきたい。
  55. 田邊繁雄

    田邊政府委員 従来陸海軍におきまして、恩給法適用戦地ときめておったものを、基準といたしまして定めるつもりでございますが、なお研究の余地が残っておりますので、それを政令に譲ったのであります。あるいはもとの恩給法の陸海軍で定めておりました戦地というものだけでいいか、あるいはそれをもっとしぼる必要があるか、あるいはもっと広げる必要があるか、若干議論してみる余地があるのではないかと思いますので、政令に譲っておりますが、大体は現在政令で書いてありますあの戦地と期間に準じてやる考えであります。
  56. 高橋等

    ○高橋(等)委員 この点は、一つはっきりさせていただきたい。どういう点がもとの戦地戦地と見ていけないか、戦地の期間としてやったものを戦地の期間として不都合なのか、何かこうしなければいかぬ点があるからこうされたような書き方ですから、そうでなければ、もっとはっきり恩給法に割り切った方がいいのじゃないか。政令にまかせた点はどういう点にあるのか、くどいようですが、今含みのある答えをなされ過ぎているので、これは大した問題はないようですが、実は非常に大した問題だからお伺いしておるわけです。
  57. 田邊繁雄

    田邊政府委員 軍属につきましては、現在戦地に関する規定を政令で定めておるわけでございます。今度の公務死の範囲の拡大における戦地をきめる場合におきましても、現在政令で書いてある戦地の概念をおおむね踏襲したいという考えでございます。ただ、この法案をきめました当時、そこまでこまかく研究がいってません関係上、政令に譲って十分検討したい、こういう考えでございます。これを政令でしぼることも考え得るわけでございますが、今のところ、かっての戦地の範囲を特にしぼろうという具体的な考えは別段持っておりません。南西諸島、樺太などは、恩給法の勅裁はなされていなかった、こういう関係がありますので、若干広くしたいという含みがございまして、旧陸海軍の定めておった戦地にそのまま入れなかったわけでございます。
  58. 高橋等

    ○高橋(等)委員 そうすると、新たに戦地として追加なさるものがある、こういうように理解したのですが、そうすると、恩給法上の問題とつじつまが合っておりますか、この点はどうです。もし恩給法とつじつまが合っていないと、これまたえらい問題が起りますから、お伺いしておるわけです。
  59. 田邊繁雄

    田邊政府委員 これはお話の通り恩給局と至急打ち合せをしなければいかぬと思います。この恩給法におきましても、政令できまっていないような。——当時勅裁を経なければならなかったのですが、勅裁はなされていなくとも、実際はやっているという事例があるようでございますので、実際は恩給局におきまして扱っておりました戦地と合せて書くべきものと考えております。
  60. 高橋等

    ○高橋(等)委員 その場合は、ぜひともそういうことにしていただきたいと思います。  それで、なお公務死の範囲拡大の問題については、もう少し質疑を整理して繰り返したいと思います。今日はこれでやめさせていただきます。
  61. 中村三之丞

    中村委員長 次に、医療機関に関する問題につきまして発言の通告がありますので、これを許します。長谷川保君。
  62. 長谷川保

    長谷川(保)委員 今度の医療機関の調査の問題ですが、今回問題としてあげられました四つの病院のみならず、なお全般的に見まして、やはり私は今根本的に日本の医療制度、ことに医療機関の問題について、検討すべきものがあると思うのであります。それで問題になっております久我山病院であります。先日社会局長の方の御答弁でごさいますと、私の記憶が違っておるかもしれませんが、五千数百万円の借財があるということでございました。あの小さな病院で五千数百万円というような借入金があるということは、実に重大な問題でありまして、このこと自体ある意味では、ただいま申しましたような立場で、非常に興味のあるケースだと私は見ているのであります。それで、まず借財のできた原因でありますが、それをお調べになっておりましょうか。
  63. 安田巌

    ○安田(巌)政府委員 この前も御説明申し上げたのでありますが、三月に都の方の係官が調べてきたのでございます。それから二、三日来、また都の方の衛生局で、実は詳細な調べをいたしておるわけでございます。私の申し上げましたのは、古い資料で申し上げたのであります。今日は向うに行きました者を呼んで、その後の経過を聞こうと思っておりましたところを、ちょうどお呼び出しがございましたので、聞かないで出たようなわけでございます。結局、やはり前回申し上げましたが、当初五十八床でありましたものをだんだん増床いたしまして、医療設備の拡充のために負債をいたしたということのように承知いたしております。
  64. 長谷川保

    長谷川(保)委員 これに対しまして、今までそういう病棟あるいはその他医療設備の補助金は、幾ら出しておりますか。
  65. 安田巌

    ○安田(巌)政府委員 私どもの方では、ほとんど医療保護施設には補助を出しておりません。従って、この久我山病院につきましても、私の方から補助は一円も出ていないわけであります。
  66. 長谷川保

    長谷川(保)委員 そうすると、国からは出ておる。つまり社会局ではなしに、公衆衛生局から出ている、こういうことですね。
  67. 安田巌

    ○安田(巌)政府委員 さようでございます。
  68. 長谷川保

    長谷川(保)委員 その額は、今お手元ではわかりませんか。
  69. 安田巌

    ○安田(巌)政府委員 私は今急いで聞きながら来たわけでありまして、その点はっきりわかりませんが、記憶が間違いございませんならば、たしか五百万円ばかりだと聞いたつもりでございます。
  70. 長谷川保

    長谷川(保)委員 補助金の制度、これは全般の補助金の問題と関連するわけでありますけれども、やはりそこにも考えさせられるものがあるのではないか、この大きな負債を作って参りますのについて、非常に考えさせられるものがあるのではないかと思うのであります。しかし、それは今お手元で十分明確でないようでありますから、いずれ次の機会にするといたしまして、社会局でお調べに行っておられますが、これに対する利子は、昨年どのくらい払っておりましょうか。
  71. 安田巌

    ○安田(巌)政府委員 これも私、聞こうと思ったところでございますが、この前五千数百万円ということで申し上げたのでありますが、ここであまり詳しいことを申し上げて、翌日新聞にすぐそれが出るということが、再建計画には非常に障害になるということを、病院側は苦に病んでおるわけでございます。この事件が新聞に報道されまして、いろいろと問題になっただけで、従来の高利の金を借りかえるということがむずかしくなったという事情も聞きましたものですから、そういう点については、できればそういう影響を与えない方法で答弁させていただきたいと思います。
  72. 長谷川保

    長谷川(保)委員 実は私、昨日ちょっとその近くへ行ったものですから、ついでに寄ってみたのです。院長とも会いました。院長は、もうこれはうみをすっかり出さなければだめだということに気がつきました、こう云っておられますが、確かに私もそうだと思うのでございます。私が聞いているところでは——これは昨日ちょうど事務長がいませんでしたので、明確なことはわかりませんが、昨年度出した利子だけで千六百十三万円あるというのです。実に驚くべき利子を払っているもので、これではとうていやれるはずがないと思う。どんなにもうけの深い仕事でも、まずまず資本金が三千万円や四千万円の仕事で、これだけ利子を出すということでは、しかもああいう固定資本に非常にかかるものでは、とうていおぼつかない。月に収入が五百二十万円くらいと申しますと、三ヵ月以上の収入を全部利子に取られておるというように考えられるのであります。私どもといたしましては、何としてもこの欠陥をえぐって建て直してやるという工夫を考えなければならないし、これは大小ありますけれども、全国的な一つのケースとも考えられる点がありますので、私はこの問題に取り組みたいと考えておるのでありますが、もしこの病院の建て直しというようなことを考えるとすれば、まず金融の問題を考えなければならぬのは当然であります。そこで、すぐあなたの関係で問題になりますのは、診療報酬であります。この病院は、ほとんど全部が医療扶助と健康保険であります。この診療報酬の支払いを早くしてやることによって、よほど助かるのではないか。月に五百万円以上あるのでありますから、こういう問題が考えられるのです。そこで、この病院について調べてみますと、四月分がようやく払われたらしい。ところが、同じようなケースでありますが、最近は全国的に国立病院でも非常に困っているところがあります。せんだっても地方のある病院に行ってみますと、まだ四月の入院料、治療費が払われていない、医療扶助も払われておらない、これが一つの大きなキー・ポイントだと思うのであります。今日そういう本省から出ております。たとえばあなたの関係の医療扶助の金はどういうふうにして払おれておりましょうか。私、率直に申しまして、何とか翌月くらいには払ってやらなければ、これで利子を払ったのでは大へんだと思うのでありますが、今日どういうように払われておりましょうか、実情を伺いたい。
  73. 安田巌

    ○安田(巌)政府委員 先ほどおあげになりました数字は、大体私どもの方で調べましたのと同じでございます。それから、何と申しましても、問題は、御指摘のように高い利子を払うということが、経営を圧迫しているわけでございますので、やはりそういったようなものを借りかえまして、そうして合理化をはかっていくということが要点だと思うのであります。そのことにつきましては、向うでもいろいろ再建計画を練っておりまして、理事あるいは院長たちが努力をいたしまして、一応計画はあるようであります。私どもそういう点について、できるだけ力を沿えて参りたいと思います。  それから、診療報酬のことでございますけれども、これは何と申しましても、健康保険等が大きいものだと思いますけれども、今は二ヵ月後の払いになっておりますから、ちょうど七月の初めでありますと、やはり四月分が入ったら普通だということになるわけであります。これは御承知のように、点数単価制でございまして、一々診療いたしました、入院料もそうでございますけれども、そのほかのいろいろなこまかい諸費なども計算して出すわけでございます。それが大体翌月の十日ぐらいまでに出てくるわけでございますが、それを基金で審査するわけであります。審査をして間違ったところがありますと、あるいは呼んだり、あるいは突き合せたりするわけでございますから、やはり一ヵ月というのがどうしてもその次の月のところまでかかってくるというのが現状であります。私どもの方の生活保護の医療扶助の費用も、同様に現在におきましては二ヵ月後になっております。早いところでは一カ月半くらいから二カ月ぐらいということになっております。これは、この病院は、そのためにこういうことが起きたとは申せない例かもしらぬと思いますけれども、いずれにいたしましても、これは長谷川先生のおっしゃるように、早いに越したことはないのであります。この問題は、根本的には診療報酬の支払い方法と申しますか、診療報酬のそういったきめ方にも問題があるのではないかというふうに考えておりますが、私のみならず、社会保険関係の局にも、私からよく先生の御趣旨のあるところを申し伝えておきます。
  74. 長谷川保

    長谷川(保)委員 たとえば、せんだってもある地方に参りましたところが、やはりこの問題を病院側から訴えられました。非常におくれておる。それで市役所に対して催促をした。そうすると、市役所の吏員の給料が払ってないのだから、医療扶助の金を払うことはできないというごあいさつであったというので、その病院理事者が非常に憤慨しておられました。つまり、今日地方財政は非常に逼迫しておりますので、東京都のことは直接存じませんけれども、一般的に申しましてそういう傾向が非常に強い。生活保護の金、医療扶助の金として出されましたものを、他の一般の経費に流用しておる、そういうことのために、ことさらにおくれるということが現実起きているわけです。この国の方から出ます金は、、どういう経路をたどってどういう手続で毎月の幾日までに出るとか出ぬとか、こういうことは具体的にどういうふうになっているのでしょうか。
  75. 安田巌

    ○安田(巌)政府委員 具体的な手続は、私もちょっと記憶がないところがあるのでございますけれども、大体県の方から参りました報告、この月幾ら払ったと基金の方に請求いたしたということに基きまして、こちらから日銀を通して県へ支払いをするわけでございます。県はそれを自分ところの支払いと、それから市は、御承知のようにやはり市長が実施機関で、自分のところで二割負担しながら支払うということになっておりますから、市の方に分けるわけです。県は、その金を自分のところで持っておったのでは、自分は使えないのでありまして、それをやはり日銀から今度は市の方に流すのでありますから、今のお話のようなことがありますと、その末端の市あたりでそういうふうなことがあり得るということは考えることができると思います。私も、今御指摘のようなことを、ある地方の新聞で見たことがあるのです。そういうことのないように、私ども十分監督はいたしますけれども、一般的に見て、そういった小さい市で財政が困難になってくると、往々にしてそういうことがありがちでございますから、今後十分気をつけたいと思います。昨年までは、大体人口三万になれば市になったわけでございますが、昨年十月ごろからは五万というふうに聞いておりますけれども、そういったあまり小さい——、五万以下の市が、たしか百四、五十あるので、そういうものが全部福祉事務所を設けて、知事と同じように保護の実施機関になって二割負担をするという点に、問題がありはしないかということを、実は今再検討いたしております。
  76. 長谷川保

    長谷川(保)委員 今お話を承わったように、すでに診療報酬の審査、支払い基金事務所における審査それ自体に、すでに相当の期間がかかる。けれども、これはおそらくその翌月の十五日か十八日ごろまでには、大体できるんじゃないかと思うのであります。それがさらにおくれていくということであり、さらにそれがまた、今のように市へ金を出したけれども、それが他に流用されておって払えない、こういうことになっておりますのが今日の実情だと思うのであります。そこで、一つの工夫といたしまして、国の方から直接都道府県の支払い基金事務所に払い込むことにしたらどうか。そうすれば、八割というものはそこですでにできているわけでありますから、市の方といたしましても、一度入って他へ流用してしまって、今度は十割でありますから、さあ出しにくいということになりましょうが、二割なら何とか出そうという線も事実あり得ると思う。ですから、これも私地方の県に参りまして実情をいろいろ調べたとき、やはりそれを訴えられた。県の方で話し合って、何とか直接支払い基金事務所に払い込んでくれないか、そうすれば、何とかなる、そうすべきだと思うが、そういう法律を作ってくれないかといわれた。そういう手続ができないかどうか。そうすれば、久我山病院の問題だけではありません、全国の問題として、一ヵ月なら一ヵ月というものは早く金が入るということになってくると思うのであります。
  77. 安田巌

    ○安田(巌)政府委員 お話の点、大へんごもっともなところがあると思うのでありますが、現在におきましては、保護を実施いたします実施権者と申しておりますが、同時にこれは義務があるものでございますが、これが府県知事と市長でございます。八割は国庫の補助ということになっておりますから、そこで補助をもらって、一ぺん県の予算に組んで、二割を足して——あるいは市ならば、市が八割を国からもらいますと、それに二割を足して市が払うということになっておる。その根本的なものを変えないと、ただ八割で、もらっただけ払うのだからというわけで、基金の方に打ち込んでいくということが非常にむずかしいじゃないかと思いますけれども、御趣旨のことはよくわかるわけでございますので、なおよく検討させてもらいたいと思います。  なお、市で二割を負担する問題があるために、金が来ても、二割がないので払わぬという場合もあるように聞いております。私確かめたわけではございませんが、そういうことがありますと、せっかくの国の金が何にもなりませんから、やはり二割を出せるということを確かめて渡すことも必要だという、逆の場合もあるわけであります。十分そういう点は研究いたしたいと思います。
  78. 長谷川保

    長谷川(保)委員 ここはなかなか現実問題として重点だと思うのです。それでは逆に、生活保護関係の金は、他に流用してはならないというような法律を作るというようなこと、あるいは政令でそういうことをきめるというようなことができるかどうか、またそういう御意思が当局としてあるかどうか、この点を伺ってみたい。
  79. 安田巌

    ○安田(巌)政府委員 私どもの方は、当然流用してはいかぬと思っておるのでございますが、なおそういうことを明白に法律にするかどうかということにつきましては、研究させていただきたいと思います。
  80. 長谷川保

    長谷川(保)委員 この点は非常に大事な点だから、私はぜひ考えてもらいたいと思うのです。本来、生活保護法を作るときには、生活保護法の金というものは、前渡しで払うということにしたのでありますが、その後当局は、生活扶助の金だけは前渡しをしていうっしゃるようである。この診療報酬の金自体も、国が財政上しばしば行き詰まっておりますので、金がおくれるということがあるかもしれませんが、やはりこういう点は、もしおくれていって金融ができないために、病院で必要な物も高い物を買うということになりますと、結局患者の診療それ自体が低下する、あるいは食餌その他が低下するということになりますから、ぜひとも特別の配慮をしてやっていただきたい。全国の診療機関、医療機関は、非常に困っておりますから、特に配慮していただきたいと思っております。  それからさらに、こういう久我山病院の現実を前にしまして、もし当局で金融の方策をこの福祉法人にしてやるということが、何らか具体的にできるかどうか、あればどういう道があるか、このことを承わりたい。
  81. 安田巌

    ○安田(巌)政府委員 私の方といたしましては、こういった赤字の補てんと申しますか、あるいは借りかえというようなことにつきまして、金融の道というものは、私どもだけの関係ではないのでございます。やはり市中の金融機関にあっせんをするということができるかどうかという程度でございます。
  82. 長谷川保

    長谷川(保)委員 社会福祉事業振興会の方から、融通できる金はありませんか。
  83. 安田巌

    ○安田(巌)政府委員 これは御承知のように、昨年まで非常に額が少うございましたし、本年度は一億ございますけれども、そういうふうな赤字補てんとか借りかえということには、今大蔵省と相談をいたしましてきめております貸し付け方針では、含まれていないわけでございます。
  84. 長谷川保

    長谷川(保)委員 御承知のように、この間もお話がありましたが、銀行がこういう社会福祉法人には金を貸すのを渋るわけです、そこに今日社会福祉法人が非常に困難しておる理由があるわけです、社会福祉事業振興会を作らなければならぬという理由もあるわけですが、やはりこういうような場合に、もうすでにほうっておけば高利貸しのえじきになってしまうかもしれない、あるいはつぶれてしまうかもしれぬ、こういうようなわけでありますから、特別な援助をしてやる必要があると思うのであります。銀行から融資するとか、何か局長に腹案か確信がありましょうか。ゆうべも、患者あるいは職員諸君も非常に心配をしておりましたので、何か腹案があるかどうか。具体的なことはおっしゃれないと思いますから、具体的なことでなくて、何か腹案があれば、確信があれば、教えていただくと大へん喜ぶと思います。
  85. 安田巌

    ○安田(巌)政府委員 私別にただいま久我山病院の借入金を銀行から借りかえることについての具体的な手はないのでございますが、向うからも、いろいろと具体的な計画を出すようでございますので、それと見合いまして研究いたしたいと思います。
  86. 長谷川保

    長谷川(保)委員 社会福祉事業振興会などの金も、こういうような非常に危機に立った場合には、何とか融通できるような道をお開きになっていただきたい。  それから、少し問題をかえしまして、この久我山病院のことを調べてみると、馬場某という理事が事務長をしておるようです。これは元東京都の援護会の役員であり、それから入ったようです。それでまあ悪意とばかり云い切ることもできないのでありますけれども、調べてみますと、この人の手を通って七分、五分というような高利のものが入っておる。そうして一方またこの人は、ある場所で老人ホームか何かを最近お建てになったようであります。そちらの方は、高利は高利でありますが、比較的安い高利で借りておる。そこにどうもあやがあるように思う。全体を見て参りますと、理事が下部の人の名前を借りてか、あるいは適当にあっせんをして不当な金融をこの病院にしているということが、どうも悪推量かもしれませんが、推察できるのであります。先ほどの補助金の問題等にも、この東京都の援護会の役職者という地位が、少しものを云っているようにも察せられるのであります。この人は事務長をしておりますけれども、この仕事を見るために、一週間に一ぺんぐらいしか見えられない。こういうところに、この不祥事の、非常に困難に陥りました真因があるのではないか、こう私は、いろいろ伺ってみまして、にらんでおります。こういう社会福祉法人の理事について、これは本省直接の監督ではありませんが、何か今度の事件についてお調べになったことがございますか。
  87. 安田巌

    ○安田(巌)政府委員 先ほど、こういうふうな高い金を借りております場合に、社会事業振興会の方から金を回せないかというお話があったのでありますが、これは御承知のように、社会福祉法人のうちには、医療事業をやっておるものが、一番金融の道が開けておるようでございまして、これは長谷川委員よく御存じと思いますが、一般の方は非常に困難で、しかも額がこまかいのであります。そこで、たとえば三千万円とか四千万円とかいうものを出しますと、あとに残りますものはほとんどなくなりますので、どうしてもやはり養老院とか子供の施設とか、何ぞやの更生援護というような、なかなか金の借りられない方に先に回すということになっております。いろいろ御意見がございましたけれども、さしあたりすぐにどうというわけにはいかないのじゃないか、こういうふうに考えております。  それから理事でございますけれども、社会福祉法人の理事になります場合には、欠格条項がございまして、生活保護法とか児童福祉法、身体障害者福祉法、あるいはこの法律によって厚生大臣の解散命令を受けた場合の解散当時の役員であったとかいうこと、もう一つは親族が理事の数の半分以上なってはいけないというような制限がございますけれども、そのほかのところでは、なかなかその人が適当であるかどうかということがわからぬ場合もあろうかと思う。そのために府県知事を経由いたしまして、府県知事のところである程度調べて参りまして、なお厚生大臣が調べるような方法をとっておるのでありますけれども、具体的に今お話しの馬場という理事につきまして、どういうふうなことがあったかということは、私は記憶いたしておりませんし、調べたこともございません。
  88. 長谷川保

    長谷川(保)委員 どうもこの問題をめぐりまして、悪意とばかり考えてしまうのもどうかと思うのでありますけれども、どうも理事や役員の手を通って、善意でやったものかもしれませんが、不法に高利なものが出ておる、これは事実でありまして、こういう問題について十分お調べをいただきたい。  それから、お調べにいらっしゃいましたときに、患者の食餌についてお調べになりましたでしょうか。
  89. 安田巌

    ○安田(巌)政府委員 これも先ほど途中でございますけれども、給食の材料費だけが一日九十四円から九十五円の間だというふうに、東京都の人が調べたのによるとそういう報告を受けております。
  90. 長谷川保

    長谷川(保)委員 今東京都でございますと、材料費は本来幾らでありますか。
  91. 曾田長宗

    ○曾田政府委員 東京都全体のは、私どもも確たる資料を持っておりませんが、九十六円が国立療養所の材料費でございます。
  92. 長谷川保

    長谷川(保)委員 入院費の中には、食餌の材料費幾らということはきまっておるので、はありません。
  93. 曾田長宗

    ○曾田政府委員 特別内訳はございません。普通の食事を給する——普通のと申しますか、いわゆる完全給食というようなときには、点数加算するということで、そのうち幾ら材料費を使うかということは、別に定めておるわけではないわけであります。
  94. 長谷川保

    長谷川(保)委員 そうすると、今入院料の中に入っております完全給食でありますと十三点ですか、それを実際に計算しますのには、今の炊事に働いております者の人件費、それから材料費及びさらに償却費等が入るでしょうし、燃料その他も入るでありましょうが、そういうことで全体で幾らということになっているのでございますね。どうもこういうような病院が困りますような場合には、最初に減らす——とにかく二百人、三百人という食糧をちょっと減らせば、毎日三度々々のことでありますから、非常に楽になるわけであります。この疑いが、行ってみるとやはりあるのです。ですから、そういうことになりますと、患者にとっては非常に迷惑でありますし、また国の金を出しておるのが、どっか横に行ってしまっておるということでありますから、これらについても、当局におかれまして十分御調査いただきたい。  今日はこの辺でやめておきます。
  95. 中村三之丞

    中村委員長 それでは本日はこの程度にとどめまして、明十六日午前十時より開会することといたします。  これにて本日は散会いたします。    午後四時四十一分散会