○曾田政府
委員 医療機関の
状況につきまして、報告を命ぜられましたのでありますが、いかなる点について御疑問をお持ちでございますか、そのことを十分につかみ切っておりませんので、ごく簡単に申し上げまして、また御
質疑に応じてお答え申し上げるということがよろしいのではないかと思うのであります。
私
ども、特に名をあげて報告を命ぜられました施設のうち、一つは国立の足利療養所の問題でございます。足利療養所は、足利市の大沼田町にありまして、もちろん結核療養所でざごいますが、ベッド数は三百十八、五月中一日平均の患者数は二百六十七名、これに対しまして
職員かが名、そのうち医師が七名というようになっておる療養所でございます。この足利の療養所につきまして御報告を求められた御
趣旨は、最近足利の療養所におきまして、患者とこの院の管理者との間に若干の紛争がございましたので、おそらくその
状況を御報告申し上げるように調査を命ぜられたものと存ずるのであります。
六月十六日に患者大会が開かれまして、所長の退陣を含む十四項目の要求決議があり、その決議文を所長に交付いたしたというような事情がございました。これよりも先だちまして、特に地元の各新聞社、あるいは地元関係の県
会議員、国
会議員その他関係諸官庁等に陳情書と申しますか、ただいまの患者の要求項目を書き並べましたものを郵送いたしたというようなことがございました。このことは、私
どももあとになって知ったわけであります。その要求の
内容につきましては、御質問がありますればまた詳細に申し上げますが、外科医による手術を行なってもらいたい、手術の件数がこの療養所においては少いというようなこととか、あるいは面会所を作ってくれ、外気舎を廃止しないでもらいたい、浴場をもっと増設してほしい、洗濯をもっと徹底的に頻繁にやってもらいたいというようなこととか、あるいは残飯が出ておるはずであるが、その残飯の処理によって得られる収入のうち、患者に少し分配してもらいたいというようなこと、それから先ほど申しましたように所長の退陣を要求するというようなこと、十四項目を伝えて参ったのであります。
六月十八日に施設側としては、所長退陣というのでは、所長としても応待ができない、そのほかの項目についてはいろいろ考究するということで、この検討をいたしました結果を患者側に回答いたしました。その間、患者はその回答書を見まして、これでは誠意が足りないというふうに言い張りまして、直ちに二十名の患者がすわり込みを開始した。もちろんすわり込みをした患者は、大体二時間ずつ交代ですわっておったというふうに聞いております。
六月十九日に、地元関係の県
会議員あるいは衆議院議員の方がいろいろ調停し、他方患者説得ということも試みられ、また施設側に対しても、できるだけ早く問題を解決するために、譲歩できるものは譲歩するよう考慮してほしいというような御意見が伝えられたのであります。施設側としましては、前回よりもさらに若干譲歩した第二回の問答をいたしたのでありますが、患者側はそれを不満としてすわり込みを解かぬという回答がございまして、その夜も前夜と同様に、患者は交代しながらすわり込みを続けたような
状況であります。
二十日になりまして、また新たに衆議院、参議院の地元に関係の先生がお見えになりまして、いずれにしても、このような事態を長く続けることは、患者のためにも、また所のためにも適当でないというようなことで、所としても患者の要望をいれられるものはいれてほしいという仲介があり、一方患者に対しては、すわり込みは何としても中止すべきだというような御勧告がありまして、同日の夕刻すわり込みが廃止されたというような
状況でございました。
その後、この二十日に回答いたしました所の意見について、その具体的な実施方法を、さらにこまかく
折衝したということを患者が申し出て参りました。
六月二十八日に、患者といろいろ話し合いをいたしたというようなことでございましたが、その際に、特に残飯問題については、患者としては要求を引き下げるというような話であったそうでありますが、それと同時に患者自身が残飯を集め始めまして、外部の特別な人たちに——業者と申していいかと思うのでありますが、その残飯を買い取る者を所内に入れまして、それに売り渡すというようなことをいたしました。そうして、所から申しますと、残飯は出ていないということを申しておるのでありましたが、さような事態が続く以上は、施設側としましても、所の管理上、あるいは所内の衛生上から申しても、さような状態は適当でないというので、その中止方を申し出ておるわけでありますけれ
ども、患者側はそれを承知せず、まだその状態を続けておるというふうに私
どもはただいま報告を受けておるのであります。その後七月四日にもまた参議院の方がお見えになりまして、こういうように所と患者が長い間対立しておるということはおもしろくないから、何かはっきりと結末をつけるようにというふうに話し合いがあったのであります。しかしながら、その患者の要求の中には、所長の一存できめるわけにもいきかねるというふうに考えたらしいのでありますけれ
ども、患者からの要望がきわめて強烈であるというようなところから、約束をしても、所長自身として実行できるかできないか、かなり疑わしいような事項まで含んで、一応やるように
努力をしましょうというような話をつけたようでございます。
さような
状況で今日にまで至っておるのでありますが、今日におきましても、この所長退陣というような問題及び残飯の処理の問題が特に中心となっていまだに問題がくすぶっておるような
状況でございます。
大体この足利の問題につきましては、いかなる点を御報告申し上げればいいのか、必ずしも的確にはわからぬのでありますが、今の患者と施設との紛争の問題についての、きわめて概略的なことを御報告申し上げた次第であります。
それから国府台病院の問題につきましては、これも御
趣旨がよくわからないのでありますが、国府台病院は、名前の
通り千葉県市川市の国府台にございまして、病院の入院定数は七百九十、うち精神病床が四百八ということであります。国立病院の中におきましても、精神病療養所と一般の国立の病院との中間の性格を持っておりまして、特異な存在の一つでございます。それから
職員は
定員が三百九十名、現在はほとんど
定員一ぱいでございますが、三百八十四名になっておるような
状況でございます。先ほど申し上げましたように、病床の数は定められておるのでありますが、二十九
年度の実績は幾分下回りまして六百五十二人、一日平均でございます。こういうような状態になっておるのであります。なおそのほか、外来患者といたしましては、二十九
年度の平均に四百十二人ということになっております。それから完全給食は全入院患者に対して実施いたしておりますが、完全看護は、精神科の患者だけに実施いたしておるわけであります。
それから寝具の
設備も、原則として全患者に給与貸与をいたしておるような
状況であります。
それから診療費の負担
状況は、社会保険が、入院患者といたしまして四四・七%、外来は三八%、生活保護法は、入院が三四・八%、外来は六・六%、自費は入院におきまして一九・一%、外来は五四・四%、そのほか、わずかでありますが、減免等の患者が一%
程度、入院においても外来においてもあるというようなことでございます。
この国府台病院の一つの特徴は、先ほ
ども申し上げましたように、一般病院と精神病院との両方の性格を持っておるのでありまして、あまり国立病院の中では、かようなたぐいのものはたくさんないのでありますが、一つには、一般患者の診療に当ります際にも、いわゆる精神的な要因と申しますか、かようなものを十分に考えて処理していく、あるいはまた精神病の患者といたしましても、明確に精神病院であるということのために、患者が診療を受けにくいというような
状況が薄らいで、一般患者として病院に見てもらって、実際に精神障害がありますならば、それを詳細に検査し、また治療を受けるというような姿になっておりまして、比較的精神病者である、精神病の診療を受けに行くということを他に知られたくないというような人たちには、喜ばれておるというような
状況になっておるわけであります。
御質問の
趣旨、この調査を命ぜられました
趣旨が何であるか、これも正確につかみかねるのでありますが、先般式場病院が火災を起しまして、すぐ近所にございますものですから、被災患者をこの国立病院に引き受けました。その際に、かなり荒廃した病床に患者を入れたというようなことが、不適当ではないかという注意を受けたことも一時あるのであります。大体国府台の精神病床は、軍時代にできたものでございまして、決してりっぱな施設というわけには確かにいかないのでありまして、最近若干補修いたしまして新しい病棟を作るというようにして、逐次古い病棟を廃止いたして、新しい病棟に改めたいというふうに考えておるわけであります。古い病棟で、まだ廃止にはなっておりませんそこに収容をいたしたというようなところで、決して医療法から見て、医療法に抵触するよりな病棟ではないのでございますけれ
ども、ことに新しい病棟等ができますと、その比較の上から、非常に見劣りがするというようなところから、ひどい病棟に入れたのではないかというようなお話が出たのであろうというように了解いたしておるのであります。
なお私
どもとしましても、式場病院のすぐ近隣にございましたので、とりあえず患者を収容いたしたのでありますが、これが
相当長期に収容看護をするということになりますれば、より適当な施設に移すことが適当であろうというふうに考えまして、きわめてわずかな者はまだ国府台に残っておりますけれ
ども、大部分の者は国立の武蔵療養所、千葉県にあります下総療養所、両療養所に分散収容いたしたような
状況でございます。
大体国府台病院の
状況もこれくらいにいたしまして、御質問がございますればわかる限りはお答え申し上げたいというふうに考えております。
それからもう一つは、財団法人生光会清瀬療養所についてでございます。この生光会につきましては、いろいろ当
委員会においても詳細なる御調査が行われたようでございます。私
どもといたしましては、この療養所がいかような状態になっておるか、特に医療法の建前から、どういうような
状況であったかということを承知いたしておるだけでございまして、御希望の調査事項というものを、十分お話し申し上げることができるかどうか、非常におぼつかなく考えておるのでありますが、一
通りのことを申し上げますれば、経営主体は財団法人生光会、これは昭和二十九年の三月に東京都の認可を受けたということになっておるのであります。管理者は石原という医師でございます。病床は二百三十六床、これは全部結核病床ということになっておりまして、従業員は、医師が五名、看護婦が二十九名、その他十五名、合計四十九名ということになっております。
医療監視の結果は、これは新しいまた報告は参っておらぬのであります。二十八
年度の報告が定期に東京都から送られましたものが参っておるのでありますが、その結果によりますと、特に医療監視の結果、あまりにも悪いというような結果は出ておらないのであります。これはももろん日常の平生の
状況として監視を受けた場合だと思うのであります。それが、御承知のように六月でございましたか、看護婦を中心とする従業員組合と、療養所の
理事者側との間に、特に給与問題をめぐっていろいろ争議が起った。一方従業員組合の方では、外部のいろいろな友好団体から応援を得るというようなことがあり、
理事者側としましては、その行為に行き過ぎがあるというようなところで、警察に連絡して、その取りしずめにかかってもらうというような措置をとり、また他面において、言葉が悪いかもしれませんけれ
ども、右翼がかった団体というものを所内に招きまして、そしていろいろ警備に当らせるというようなことがきっかけとなって、いろいろ紛争が激化いたしました。そしてこれを組合側から不当労働行為だというようなことで、東京都の労働
委員会に提訴したというふうになっておるのでありまして、今日のところにおきましては、私
ども東京都からの報告を受けております限りにおいては、十分注意はしておるが、患者の治療上、今のところ特別な非常措置をとるというような必要もない、十分監視をしておる
状況であるというふうに報告を聞いておる次第であります。
私
どもといたしまして、一応調査いたしましたことは、おおむね以上のようでございますが、なお御質問がございますれば、逐次お答え申し上げたいというふうに思う次第であります。
それから、なおもう一つあげられました病院としては久我山病院があるのでありますが、久我山病院につきましては、社会局の方でお調べを願いましたのて、社会局の方から大ざっぱにでも御報告願った方がいいのじゃないかと思います。