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1955-05-26 第22回国会 衆議院 社会労働委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年五月二十六日(木曜日)    午前十時四十五分開議  出席委員    委員長 中村三之丞君    理事 大石 武一君 理事 山下 春江君    理事 山花 秀雄君 理事 吉川 兼光君       植村 武一君    臼井 莊一君       亀山 孝一君    草野一郎平君       小島 徹三君    横井 太郎君       亘  四郎君    越智  茂君       小林  郁君    中山 マサ君       野澤 清人君    八田 貞義君       岡本 隆一君    滝井 義高君       中村 英男君    長谷川 保君       帆足  計君    横錢 重吉君       堂森 芳夫君    山口シヅエ君       中原 健次君  出席国務大臣         厚 生 大 臣 川崎 秀二君  出席政府委員         厚 生 技 官         (公衆衛生局         長)      山口 正義君         厚 生 技 官         (医務局長)  曾田 長宗君         厚生事務官         (薬務局長)  高田 正巳君         厚生事務官         (社会局長)  安田  巌君         厚生事務官         (保険局長)  久下 勝次君  委員外出席者         厚生事務官         (医務局次長) 高田 浩運君         厚 生 技 官         (保険局医療課         長)      館林 宣夫君         厚 生 技 官 金光 克己君         専  門  員 川井 章知君         専  門  員 引地亮太郎君         専  門  員 浜口金一郎君         専  門  員 山本 正世君     ————————————— 五月二十六日  委員八木一男君辞任につき、その補欠として中  村英男君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付して案件  結核予防法の一部を改正する法律案内閣提出  第四八号)  予防接種に関する件  附添婦制度に関する件     —————————————
  2. 中村三之丞

    中村委員長 これより会議を開きます。  まず予防接種の問題について、厚生大臣より発言を求められておりますので、これを許します。川崎厚生大臣
  3. 川崎秀二

    川崎国務大臣 東京都下におきまして、赤痢予防注射のために、相当数学童がその副作用のために発熱、吐きけ、あるいは戦慄を覚えたという事件が起りましたので、この問題について、経過を申し上げたいと思うのであります。  東京都の北多摩郡下におきまして、村山小学校第一分校の在校生七百八十二名中三百六十一名に対しまして、三月二十四日、赤痢ワクチン接種いたしましたところ、昨二十五日、副作用のために欠席する者が七十六名も出たのであります。また出席者の中にも、二百十三名症状を呈して参った者がありましたので、さっそく帰宅せしめたのであります。これは本日に至りまして、欠席者は六十二名に減っております。  それからもう一つは、同じく北多摩郡下でございますが、砂川小学校というところでございまして、砂川小学校におきましても、二十四日、在校生千二百名中八百二十三名に接種いたしましたところ、二十五日、村山小学校と同じように百三名の欠席がございました。本日午前中では、これが八十六名に減って、登校いたしておる者もございます。症状といたしましては、先ほど申し上げましたように、発熱をいたしたのでありますが、四十度以上に上った者も、一時はかなりあったのであります。嘔吐、悪感、戦慄というような症状を伴いまして、すこぶる憂慮さるべき状況であったのでありますが、本朝、熱の高い者はほとんどなくなりました。昨日夕刻には、三十八度以上が六名あったのでありますが、本朝にはほとんどなくなった、こういう報告に接しておることを、あわせて御報告を申し上げます。  この赤痢ワクチンは、一昨年から野外接種を始めまして接種者には罹患率が相当低下し効果ありと考えられるが、対照とした接種者におきましても、罹患率の低下しておることが認められましたので、本年も接種を続行中であったものでございます。厚生省関係といたしましては、赤痢ワクチン研究班主体となって実施しておるものであります。今回実施をいたしたものは、東京都が希望者に対し保健所その他を動員いたしまして実施したものであることも御報告を申し上げておきます。  ワクチンは、予防衛生研究所福見研究室におきまして免疫付与力とともに安全試験を行なって、安全と認められたもののみをやるということになっておりまして、東京都下におきましては、このワクチンをさらに防疫職員に試みて、研究室では〇・四ccの皮下接種ということでありましたが、副作用が強いたのに、実際に実施をいたしましたのは〇・二ccということになっております。  なお、これは東京都下で初めてこのような副作用の問題が起ったのでありますが、すでに全国各地におきましては、ここに一、二年続けて行なってきておりまして、何ら事故がなかった。けさほども、神戸でこれは相当大規模に行なっておる地域がありますが、ここからは、何らの事故が認められなかったが、東京で起ったのはどういうわけであろうかという問い合せにも接しておるほどであります。二十五日、昨日の朝この問題が起りかけました際に、東京都の山下防疫課長現地におもむいて事情調査を行うとともに、関係方面へ陳謝をいたしまして、事態の解決に努力をいたしておるそうであります。厚生省といたしましては、東京都だけの問題ではありませんので、昨日防疫課金光技官細菌製剤課浜崎技官をそれぞれこれに同行せしめまして、調査に当っておる次第であります。なお予防衛生研究所からも、現地に行っておるはずであります。さしあたり医療の万全を期するよう東京都と連係をいたしまして、十分に事後収拾に努めておるような状態でありますが、このような事件が起りましたことは、はなはだ遺憾な状態でありますので、まず社会労働委員会に御報告申し上げようと思い、本日の審議に先だって、当方より申し出をいたした次第であることもあわせて報告をいたしておきます。  なお、昨日現地に参りました金光厚生技官も参っておりますので、御質問がありますれば、政府といたしましては十分にお答えをいたすつもりでございます。
  4. 中村三之丞

    中村委員長 本件につきまして発言通告がありますので、これを許します。植村武一君。
  5. 植村武一

    植村委員 ただいま厚生大臣から砂川小学校並びに村山小学校における赤痢予防ワクチン接種による副作用のことにつきまして、一応経過報告がありましたが、私はこれについて一、二質問をいたしたいと思います。  私は、主として朝日新聞によるのでありますが、朝日新聞によりますと、昨年も一昨年も、それぞれ十万人に接種をした、それにもかかわらず、その副作用は認められなかったと、こう書いてあるのでありますが、それは一体皮内注射をやられたのか、皮下注射をやられたのか、それを伺っておきます。
  6. 川崎秀二

    川崎国務大臣 東京都は皮内注射をやりました。それから全国においては、皮下注射を行なっておるはずであります。
  7. 植村武一

    植村委員 先ほどの御説明でもありました通り、このワクチン皮下注射基準が〇・四ccである。それを予防職員注射したが、それが副作用が非常にひどかったので、〇・二ccぐらいが適当ではないかという結論を得たとおっしゃいますが、それは大人に対する量であって、子供に対する量は、一体どのくらいが適当であるということの結論を得ておりますか、それを伺っておきたい。
  8. 山口正義

    山口(正)政府委員 先ほど大臣から御報告申し上げました通り、この赤痢ワクチンは、まだ予防接種法で取り上げておらない段階でございますので、その基準におきましても、薬事法に基きます正式の基準ではございません。先ほど大臣からも御報告申し上げましたように、この赤痢ワクチンにつきましては、昭和二十八年以来厚生科学研究費に基きまして研究班が結成されました、その研究班方々——これは赤痢専門家学者が集まってやっておられるのでございますが、その方々がいろいろと検討されまして、人に使う場合にはどれくらいにしたらいいかという基準を一応設定されました。そしてそれにつきましては、やはり人体実施いたします場合には、安全試験をやらなければなりませんので、薬事法国家検定に準じた方法予防衛生研究所で一応検査をいたしまして、安全度ということを見きわめた上で、人体に応用しているわけでございます。大人子供との割合でございますが、赤痢ワクチンにつきましては、副作用大人よりもむしろ子供の方が少いというような状態でございます。その研究班考えられておりますのは〇・四cc以下をやるならば子供でも大丈夫だということでやっておられました。先ほど大臣から申しましたように、ほかの県では今まで皮下注射をいたして参っておったのでございます。昭和二十八年に約十万人、二十九年に十五万人実施いたしたのでございますが、今までこういう発熱副作用がなかったのでございます。今回このような副作用が出ましたという二とにつきまして、原因がどこにあるかということを目下鋭意調査中でございます。
  9. 植村武一

    植村委員 この薬に関する限り、まだ統計的なデータが出ておらぬので、予防接種によって使われていない薬だということを明言なさいましたが、そういう薬を、なぜいたいけな学童にお使いになったか、それはどういうお気持でお使いになったか、お伺いいたしたい。
  10. 山口正義

    山口(正)政府委員 赤痢予防接種につきましては、戦前も幾たびか研究が続けられておったのでありますが、戦前には、副作用が強い割合免疫効果が上らないというので、一般に用いられていなかったわけでございます。終戦後におきまして、御承知のように、終戦直後各種の伝染病が非常に蔓延いたしましたが、その後逐次減少いたしまして、昭和二十四年にはあらゆる伝染病を含めましても五万六千というような数字に下って参ったのでございますが、それはいろいろな事情があると思うのでございます。食糧事情の好転をそういう原因にすることはいろいろ御意見があるかと思うのでありますが、いろいろな原因がありまして、昭和二十四年からまた赤痢が非常に蔓延して参りました。赤痢予防対策といたしまして、いろいろ手を打ってきているのでございますが、なかなかこれが思うように防遏できない。同じ消化器系伝染病である腸チフスにつきましては、最近非常に減少してきているのでございまして、腸チフスにおきましては、御承知のように予防ワクチンがございますが、この予防ワクチン効果が相当出てきているのではないかというふうに考えられているわけでございます。そこで私どもも、赤痢予防接種があれば、もっと赤痢蔓延を押えられるのではないかという観点に立ちまして、昭和二十六年から再びこの赤痢予防ワクチン研究ということを始めてもらいまして、これは昭和二十六年二十七年は、ごく一部の学者にだけ厚生科学研究費を出して、これをまだ外に持ち出さない程度でいろいろ研究をやってもらいました。その際にも、研究室の中の研究者自身がいろいろ刺して、その反応あるいはその免疫上り工合などを調べて参っておったのでございますが、それで大体ある程度免疫効果が得られる、そして副作用もそうないという見通しがついて参りましたので、先ほど申し上げましたように、昭和二十八年から全国的に学者に班を作っていただきまして、これを本格的に検討を始めていただいたわけでございます。その際に、その製造方法につきまして、いろいろな方法学者によって研究されておりますので、それを比較検討するというようなことで、二十八年からまだ今日まで続いているわけでございますが、その間に実際に実施いたしまして、ワクチンを刺した人たちと刺さない人たちとの間に相当はっきりした免疫効果が出るという成績が現在得られつつあるわけでございます。副作用につきましても、先ほど申し上げましたように、今まで、一昨年十万人、昨年十五万人やりました。その一般希望者に実際にやります前に、研究者自身が、教室の人たちお互い注射してみて、その反応程度などを十分検討した上で、希望者に対して実施するという状態をとって参ったのでございます。不幸にして今回こういう副作用があったことにつきましては、その原因を調べてみなければわかりませんが、こういう事態が起ったということは非常に遺憾なことでございますが、今までこれを希望者に対して実施するという際には、十分慎重な態度をとってやって参ったつもりであります。
  11. 植村武一

    植村委員 過去における注射の結果は、副作用がなかった、ところが今回はあった、こういう御説明でありますから、今回のワクチンに限って何か欠陥があったということは想像できます。そこで、私は伺いたいのでありますが、このワクチンは、今度国家検定を経ていない、国家検定に準じた方法検定をやっている、こうおっしゃる。これは、私は厚生省としては、すこぶる軽率なやり方ではないかと思うのでおります。しかも、それを学童実施するというに至っては、私はますますその責任が大きいと思う。こういう問題に対しては、どういうふうにお考えになりますか。
  12. 山口正義

    山口(正)政府委員 先ほど来申し上げておりますように、これが現在まだ予防接種法に取り上げられておりません。従いまして薬事法に基きます国家検定を直ちにこれに適用するという事態には、まだなっておりません。しかしながら、国家検定に準ずると申し上げましたのは、国家検定の際に行います効力試験安全試験と同じ方法で、予防衛生研究所人たちが、十分念を入れてやって外に出すということにいたしておりますので、薬事法の適用を受けていないという意味で、そういうふうに申し上げたわけでございまして、やり方自体につきましては、同じ方法でやっているわけでございます。先ほど申し上げましたように、これを行政的に全部取り上げるという段階にまだ至っておりませんが、その研究者方々責任を持って実施していただいているわけでございます。  学童実施したということにつきましては、やはり赤痢蔓延年令層関係等考えまして、集団生活を営んでおりまして、あちこちに赤痢集団発生等がございますので、学校当局とよく話し合って、今回の学校の場合におきましては、それぞれ両親の方の了解も得て、赤痢発生を未然に防止したいという気持でこれを実施したわけでございます。
  13. 植村武一

    植村委員 予防研究所といいますと、これは国立であり、国から一億三千五百万円の予算を出しておる。国民としては最も信頼できる予防研究所と心得ておる。その施設からかような結果を生んだということは、私はまことに残念に思います。しかも、国民予防研究所に対する信頼を非常に薄らげる結果を来たすことを、私はおそれるのであります。また国民予防接種ということを、これが動機となって非常におそれ、また忌避する結果になることを、私はおそれております。それがまた伝染病蔓延に非常に大きな影響を及ぼすのではないかということをおそれるのでありますが、その点について、特に厚生省当局は、今後どういうふうにお考えになりますか、お伺いいたします。
  14. 山口正義

    山口(正)政府委員 ただいま植村先生の御指摘の点、まことにごもっともでございまして、私ども十分その点反省して参らなければならぬと思っているのでございますが、先ほども申し上げましたように、今回実施いたしましたワクチン副作用が強かった原因がどこにあるかという点を、徹底的に究明いたしまして、今後こういう事態の起らないように、そしてただいま御指摘予防接種というものに対する国民一般方々の不安が起らないように、また国立予防衛生研究所信頼というものが薄らいでは聖天でございますので、そういうことのないように、万全を期して参りたいと考えます。
  15. 川崎秀二

    川崎国務大臣 ただいまの御質問は、ひとり公衆衛生局長だけが答えるべきものでなく、私も所信を申し述べておいた方が、今後の問題によかろうと思いますので、考えを申し述べてみたいと思うのであります。  専門的なことは知りませんけれども、こういう予防接種のために副作用が起ったということは、はなはだ遺憾なことでございます。しかしながら、医学が進歩いたしまして、予防接種あるいは予防注射というようなことのために伝染病を防遏し得る、伝染病蔓延に対して積極的な施策が遂げられるということになりまするならば、この傾向はやはり助長していかなければならぬと思うのであります。これが実施に当っての慎重なる研究と同時に、かかることが起らないように万全の措置を講じつつ、なお積極的な施策をやっていくのが国の建前であろうと思いますので、御注意の点は十分服膺いたしまして、その趣旨に沿うように努力はいたしますが、方向としては、伝染病その他の悪疫に対しまして、積極的な予防防遏の手段を、その事件のために頓挫することのないように私どもはいたしたい。従って、起りました事件に対しましては、昨晩私は二の報に接しますとともに、直ちに事務当局並びに東京都にも連絡をいたしまして、徹底的な研究調査をしてもらうとともに、発病患者に対しましては、幸いにして今日生命に危険のある者は全然出ておりませんけれども、十分なる看護をするようにということの指令をいたしておいた次第であります。  以上今後のこともおりますので、厚生省の方針を申し述べておきます。
  16. 植村武一

    植村委員 ただいま大臣お話もありましたので、大体了承いたしましたが、ただこの副作用というものは果してこの薬に欠陥があるのか、それともこれがかりに皮内注射であったら、さような程度副作用は起らなかったのか、こういうことをまず伺いたいことと、それから、もしこの薬の製造過程において欠陥がありといたしましたら、その原因はおそらく御調査なすっていらっしゃると思いますが、結果がはっきりいたしましたら、製造責任者に対しては、私は厳重なる処断をする必要があると思う。こういう点について、伺っておきたいと思います。
  17. 山口正義

    山口(正)政府委員 ただいま御質問の第一点の皮内接種皮下接種の問題でございます。本ワクチンについて、どちらが強いかということは、ほかから類推しなければならないと思うのでありますが、一般に申しまして皮内接種の方が反応が少い、皮下接種の方が反応が強く出るという結果でございます。これは接種の最でも違って参ります。もちろん、皮内接種の場合には、その接種の場所、技術等考えまして、ごく微量しか注射できませんし、皮下接種の場合は相当量接種できますので、一般皮下接種の方が反応が強いわけでございます。  このワクチンに、もし何か欠陥があった、特にその製造過程に何か欠陥があったということになりますれば、これは十分今後措置をしていかなければならないと思うのでございますが、これは一般市販品として製造されているものを、こちらで使っているというわけではございませんので、製造者に対してどういう措置をとるかというような点は、調査の結果、どういう事態があったかということをよく調べました上で考えさせていただきたい、そういうふうに考えております。
  18. 中村三之丞

    中村委員長 本件に関しまして質問通告がございますからこれを許します。大石武一君。
  19. 大石武一

    大石委員 ただいまの厚生大臣の御報告の中に、ちょっとわからないことがありましたからお聞きいたしたいのですが、野外接種を二十八年度より実施しているというふうに聞きましたが、ちょっとそれをもう一ぺんお聞きしたいのです。
  20. 山口正義

    山口(正)政府委員 私から大臣にかわって御答弁申し上げます。先ほど申し上げました昭和二十六年、二十七年は純然たる研究室内だけで、いろいろ一部の学者たちがやっておったわけでございます。二十八年からは厚生科学研究費によりまして、一般希望者に対してもこれを実施するということでございまして、その意味で、そういう表現を使わせていただいたので、もし野外接種という表現が当を得ていないという御指摘でございますれば、そういう意味でございます。
  21. 大石武一

    大石委員 わかりました。野外というのは野の外という意味かと聞いたのです。とがめたわけじゃなくて、わからなかったから聞いたわけです。  次に、お尋ねしたいのは、これは局長でけっこうです。接種実施した実施者はだれですか。責任主体、順序をお聞きしたいと思います。
  22. 山口正義

    山口(正)政府委員 先ほどから申し上げておりますように、この接種いたします研究班主体になってやっておりまして、実際に接種いたしました人は、東京都が依頼をいたしまして、都の職員保健所職員、それから国立療養所職員接種に携わったわけでございます。
  23. 大石武一

    大石委員 今お聞きしたのは、やった者でなくて、どこにその責任があるか、どこで実施をし、計画し、どこから指図をしたかということです。
  24. 山口正義

    山口(正)政府委員 計画は研究班でございますけれども、実際の責任者東京都でございます。
  25. 大石武一

    大石委員 都から各学校の方へ接種したらいいじゃないか、どうだということを話をして、それで、やってもらいましょうということで、その接種をしたということになるわけですか。
  26. 山口正義

    山口(正)政府委員 その通りであります。
  27. 大石武一

    大石委員 その責任については、あとでお尋ねしますが、先ほど植村君がちょっと質問されましたが、厚生大臣の話では、去年、今年あたり、ほかでもだいぶやっておるけれども中毒は起らなかった、今度だけ起ったというお話でありますが、去年、今年で何人くらいおやりでしょうか。
  28. 山口正義

    山口(正)政府委員 先ほどもちょっと申し上げましたように、昭和二十八年度は約十万人、二十九年度十五万人、三十年度の数字はまだしっかりつかんでおりません。
  29. 大石武一

    大石委員 そうすると、今までその場合に発熱であるとかなんとかはあったでしょうけれども、大したことは起らなかった、今度だけ起ったというと、ワクチンそのものが悪いというよりは、何か不純物が入ったというような、ほかの原因で起ったのではなかろうかという考え方なのです。ですから、先ほど植村君の質疑もありましたように、ぜひとも原因を究明していただきたいと思う。これは重大な問題です。  もう一つ、さっき局長説明でわからないことがありました。大体〇・四ccだけは接種に耐え得るというお話でした。ところが、子供たちは〇・二ccだけやっておる。これは新聞に書いてありますが、果してどのくらいやれば有効であるかという目安は、もちろんおつきでしょうけれども、どのくらいが大体有効なんですか。
  30. 山口正義

    山口(正)政府委員 大体この研究班実施いたしておりますのは、一応〇・四cc皮下ということでやっておりました。ただ慎重に慎重を重ねておりますために、ワクチンができ上りまして一応検査いたしました上で、また一応自分たちが実験してみまして、反応が強いというときには減量してやるということで、実施いたしておるのでございます。今回のは、最初にやりましたときよりは反応が強いのじゃないかということも心配したのではないかと思うのでございますが、〇・二cc、それから今までは大体皮内接種をやっておりまして、今回東京都で初めて皮下接種をやりましたので、特に量を減らして慎重にやったのではないか、そういうふうに考えられます。
  31. 大石武一

    大石委員 そうすると、〇・四ccやればよくきく、〇・二ccやったのではききが薄い。しかし、薄いといっても、酒やたばこと違って、半分飲んでも酔っぱらうというのとは遅いまして、御承知のように、ある限度までやらなければいけないものですから、果して〇・二がきくかどうかということは、研究の余地があるわけですね。ですが、一応副作用もあるというわけで遠慮してやったのでしょうし、それはもう少し今後の研究も進めてやらなければならぬ問題ですから、そういうことをやってもらいたいと思います。  私が、今お聞きしたいのは、昭和二十四年でありましたか、宮城県の栗原郡の岩ガ崎町で、小さな子供たちにジフテリアのワクチン注射したことがある。これはもちろん予防接種法に入っておらない薬でありました。あのときは北里研究所で作ったものでありますが、非常に有効であるというので、どこでも使っていたわけで、市販されていたわけです。それを接種いたしましたところが、六十五人ほどひどい中毒症状を呈した。あとで見ましたら、そこに結核菌が入っておったという問題があった。それはジフテリアの血清とは全然違いますから、不純物がまじったという原因ははっきりわかっておるのでありますが、この問題で二人ほど死亡しましたし、三人ほどからだの不自由な子供ができた。その後も、初めての実験でありますからわからないけれども、将来どういう結果になるだろうかということを調べておりまして、いろいろ厚生当局との間に問題が起って、まだ解決しておらない。これと同じように、この接種の場合にも、何百人という子供が中毒を起しているわけです。この場合に、きのう、きようの経過でありますから、わかりません、大したことはなさそうでありますけれども、初めてのことですから、どういう不純物があったかわかりませんし、将来どういう結果を起すか予測できないのです。幸いに腸チフス予防ワクチンのように、二、三日の反応だけで全部なおって出てくればけっこうでありますが、ただ、将来何か問題を起して、接種を受けた子供に重大な肉体的な障害でも与えるようなことが起りましたら、そのような場合には、十分な医療の手当であるとか、あるいは今後の生活に対する保障であるとか、いろいろな問題が起って参ります。それにつきましては、どのような措置を講じられる御方針であるか、大体のお考えでけっこうでありますが、厚生大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
  32. 川崎秀二

    川崎国務大臣 これは実施主体が御承知のごとく東京都でありますから、地方公共団体も考えなければなりませんけれども、国家としては、地方公共団体が調査をいたしまして、その結果、重大な事態に入った、たとえば、今御指摘のように、後年に至って身体に重大な障害を与えるということになるならば、地方公共団体の責任のみならず、国家としても、これに対する生活の保障、あるいはその他の保障の措置を講じなければならない、かように考えておる次第でございます。
  33. 大石武一

    大石委員 ただいまの厚生大臣お話を聞いて、非常にうれしく思います。これは単に一川崎厚生大臣だけでなくて、厚生省自体がそのことを銘記されて、今後も大臣はしょっちゅうかわられるわけでありますが、今後もヒューマニズムの立場から対策をとられるように、心からお願いする次第であります。  最後に、このような問題が起りまして、おそらく研究班の方もがっかりしているだろうと思うのです。しかし御承知のように、赤痢は、今、日本中に広がりまして手がつけられないのです。ですから、ぜひともこのような事件で意気阻喪しないで、大いにがんばって、徹底的に原因を究明され、今後も大いに予防接種を発展させるようお願いいたします。
  34. 中村三之丞

    中村委員長 さらに関連質問通告があります。これを許します。小島徹三君。
  35. 小島徹三

    ○小島委員 私わからぬ点を一、二お聞きしたいのであります。第一は、今まで二十八年度及び二十九年度において、相当数の実験をしたと同じようなデータでなぜ接種しないで、変えたものにしたのか。たとえば今までやった経験に基いてそのままやれば——必ずしもそれだけであのような問題が起きたのではなかっただろうけれども、特に皮内注射皮下注射にして、それを減らしたということには、どういう理由があるのでしょうか。
  36. 山口正義

    山口(正)政府委員 大体先ほどから申し上げておりますように、二十八年以来全国的に——道府県で実施しておりますのは、皮下注射でありまして、東京都では今まで皮内注射でやったわけでありますが、皮内注射皮下注射の実績を比較してみますと、皮内注射の方はなかなかむずかしい、皮下注射実施する場合は、非常に容易であるということで、これを今後多くの人たちにやって参ります場合に、できれば皮下接種でやった方がいいというような観点から、研究班の方としては、できるだけ皮下接種方法をとっていただきたいというような考えで進んで参っておったと思うのでございます。そういう意味合いにおきまして、従来、東京都では皮内注射でやっておりましたものを、今回皮下接種に変えたというふうに承知いたしております。
  37. 小島徹三

    ○小島委員 それでは二十八年度、二十九年度に、全国的に見て皮内接種皮下接種は、どういう割合になっておりましょうか。
  38. 山口正義

    山口(正)政府委員 皮内接種実施いたしておりましたのは東京都だけでございまして、他の府県は皮下接種実施いたしておりました。
  39. 小島徹三

    ○小島委員 そういう結論からしますと、全国的に皮下接種をして何らの反能もなかった。ところが、東京都は今まで皮内接種したものを皮下接種にしたところが、ここに反応が起きたということになると、私は専門家でないからわかりませんけれども、どう考えてみても、何らか薬自体に欠陥があったような気がするのですが、そうじゃないのでしょうか。
  40. 山口正義

    山口(正)政府委員 ただいま御指摘の点は、ごもっともでございまして、単に皮内接種から皮下接種に変えたために副作用が強かっただけではないのではないだろうかと考えます。その点につきましては、先ほど来申し上げておりますように、残っておりますワクチンにつきまして徹底的に調査いたしたい、そういうふうに考えております。
  41. 小島徹三

    ○小島委員 それにつきましては、私、川崎厚生大臣一つお願いがあるのです。それは、今までいろいろな厚生省の取締り規則がございますが、薬品について、変なものができておったり、薬品のみならず清涼飲料水のごときものでも、非常に悪いものが入っておったりする、そういうものを製造した者に対する罰則が、今まで軽過ぎた。そういったことによって伝染病の犠牲になる者が多々あったりするにかかわらず、その罰則というものは実に軽い。これでは幾ら厚生省伝染病にかかったものを救うためにいろいろなワクチン考えてみたところで、何にもならないのであって、厚生省やり方に根本的に考えなければならぬことがあるのではないか。たとえば、薬を作るにしても、清涼飲料水を作るにしても、これに対する罰則を徹底的にしない限りは、幾らやったって、どろぼうをつかまえることばかり考えて、どろぼうになる者がないようにすることを忘れておったのでは、何にもならぬと思う。どうも今まで厚生省関係のいろいろなこういう問題についての罰則を調べてみると、軽過ぎる。罰金にしたところで、現在の段階で一万円や十万円というようなわずかな金だったら、平気で払う連中ばかりおるのです。だから、罰金くらいかまわない、とにかくもうければいいという気持でやるやつがたくさんある。そういう者に対する罰則を根本的に変えて、そういう者に対しては、営業を停止してしまうとか、場合によったら永久に営業できないようにするとか、あるいは懲役にやるというくらいの強い決心を持たなければ、なんぼたっても、いたちごっこだと思う。そういうことに対して、川崎厚生大臣はどういうふうにお考えになっておられるか。これは古い話で、今申し上げてもおかしな話だと思いますけれども、かつてアメリカのニューヨークの市長選挙があったときに、牛乳に入っている脂肪分が足りないとか、十分でないということが原因して、市長選挙がひっくり返ったことがある。それほど公衆衛生に対する取締りを厳重にしない限り、いつまでたっても日本の伝染病はやまないと思う。そういうことに対して、厚生大臣はどうお考えになっておられるか、それを承りたい。
  42. 川崎秀二

    川崎国務大臣 御承知通り、日本の保健衛生の状態は、大きな観点で申せば、アジア地域においては非常にすぐれておると言われておりますが、世界的に見れば、非常な立ちおくれを示しておることは、各委員承知通りであります。従いまして、保健衛生の確保ということになりますれば、やはり今日の厚生省の方針としては、積極的な施策をやる。そのためには、薬にしても一その他のものにいたしましても、なるべく保護助長ということの方針において積極的な施策をとりたいということが、今日の段階であろうと思います。しかし、その反面におきましては、これがために起ってくるところの弊害というものが、かなり御指摘通り認められますので、並行して当然罰則の問題につきましても、慎重に考えてみなければならぬ段階に入ったのではないか、その意味では御意見の点は十分に考えまして、今後再検討し、御趣旨に沿うて善処いたしたい、かように存じておる次第であります。     —————————————
  43. 中村三之丞

    中村委員長 次に、結核予防法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。同時に、つき添い婦の問題についての発言通告がありますので、順次許可いたします。横錢重吉君。
  44. 横錢重吉

    横錢委員 昨日の医療の監査につきましての質問が途中で打ち切られましたので、この点について大臣にお伺いいたしたいと存じます。  最近の結核対策に対して厚生省施策が強化されて、どしどし結核撲滅の線に進んでおるようには見られるのでありますが、しかしながら、内部的に見ると、そうでもないように考えられるわけであります。その中で特に入院しておる患者に対して、国保であれ、あるいは生保であれ、あるいは健康保険、共済組合、こういうような患者に対しまして、厚生省からの依頼を受けた者が病院に行きまして、一々患者の診断を行なって、これに強制退院の勧告をしておる。こういうようなことに対して、大臣はどういうように考えておられるか、お伺いいたしたいと思います。
  45. 川崎秀二

    川崎国務大臣 ただいま御指摘の強制退院というような問題であります。どこでそういう状態が起っておるか、十分には承知しませんが、私の聞いておるところによると、千葉県あたりの一部におきまして、そういうことをやっておるということも聞き及んでおります。そういう強制退院というようなことは、当然避けなければならぬことでありまするけれども、病院の施設その他におきまして、今日の収容能力その他の関係から問題が起って参ります際には、十分にその患者の状態について、主治医並びに医師会とも連絡をして、その相談の結果、一致をした者に対してのみかかる措置を講じておるということは聞き及んでおります。
  46. 横錢重吉

    横錢委員 今の御答弁によりますと、聞き及んでおるという程度でありますが、大臣の方から命令を下したということはないのでございますか。
  47. 川崎秀二

    川崎国務大臣 ございません。
  48. 横錢重吉

    横錢委員 それならば、府県の保険課が中心になりまして、厚生省の委任を受けなければならないようなことのみならず、全部の社会保険等にわたってこれを行いまして、しかもこれに対して強制退院を命じておるというこの事実を、どうお考えになりますか。
  49. 川崎秀二

    川崎国務大臣 ただいま御答弁申し上げました通りでありまして、その地域地域において、ことに千葉県等において起っておる事態でございますが、私はそういうようなことは、決して好ましいこととは思っておりません。しかしながら、病院の収容施設の状態、あるいは患者の状態によりましては、適正の処理をしなければならぬ関係で、各方面の了解を得て行なっておるといたしますならば、今日の状態としてはやむを得ない措置じゃないかというふうに考えております。
  50. 横錢重吉

    横錢委員 それならば、次に移ります。一部負担金の実施を行いました結果、各療養所等においては、負担金の滞納か急速に言えておるわけであります。この現象を一体大臣はどう見ておられるのか。滞納がふえてくるならば、またあとから財政上の問題となって出てくるでありましょうし、それからまた、滞納を理由にして退院をさしたならば、結核対策は進まないと考えるのでございます。予防法の精神にも反しますし、結核の治療が進まないということにもなりますし、このことに対して、どう考えておられますか。
  51. 川崎秀二

    川崎国務大臣 ただいまの一部負担というのは、何をおさしになっておるのでございましょうか、ちょっと私了解しかねますが……。
  52. 横錢重吉

    横錢委員 生保患者の一部負担でございます。
  53. 安田巌

    ○安田(巌)政府委員 生活保護の医療扶助の入院患者の問題かと思いますので、私からかわってお答え申し上げたいと思います。生活保護は、国民の最低生活を保障するという考え方でございまして、その最低の生活というものについては、一応定めた基準があるわけでございます。そこで、特定の人が病気になりまして、幾ら医療費がかかるかということがわかりますと、そのうちその人が幾ら負担できるかという収支の認定をいたすわけでございます。その収支の認定によりまして、その人が幾ら負担ができるかということがわかりますと、それをその人が出しまして、足りないところを医療扶助で出す、こういう建前になっておりますから、一部負担ということはあり得るわけでございます。
  54. 中村三之丞

    中村委員長 横銭君にちょっと申し上げますが、大臣に対する質問は、ほかに三人ほどございますから、簡明にお願いいたします。
  55. 横錢重吉

    横錢委員 それでは、最後にもう一点お伺いをいたします。結核療養所に入院をしておる者が五年、十年あるいは十五年という長期にわたっております。しかもこれらの患者に対する診断の仕方というものは、退院が可能であるという見方と、あるいはまた退院はまだできないという見方とが交錯をしておるわけでございます。これがいろいろの問題で出てくるのでありますが、要するに、この問題は、現在の回復者というものが社会に復帰する条件ができておらない、大体からだはよくなったとは思うのであるけれども、しかしながら長い間入院をしておった結果、元の職場に帰ることができない、あるいはまた出ていきましても生活の自信がない、あるいはまた社会に出ることの恐怖感につきまとわれておる、あるいは就職をしようとしましても、健康体の者ですらも就職することができないのであって、従ってこれらと競争して就職の機会にありつくことができない、こういうような大きな条件が、社会復帰をはばんでおるのでありまして、これがまたベットを回転させないという一つの理由にもなっておると思うのでありますが、これらの問題について、どういうふうに大臣はお考えになっておりますか。
  56. 川崎秀二

    川崎国務大臣 ただいまのは一般的な御質問でありまして、ことに私からお答えしなければならぬ問題であろうと思います。結核患者が長年寝ておりまして、今日健康保険等で医療給付を行っておる期間はわずか三カ年でありますから、その後の療養につきましては、相当に生活的にも苦しい環境に追い込まれてくると思うのであります。これらの問題につきましては、十分に厚生省としても考えなければならず、またただいま御指摘の、多分アフター・ケアの施設などをもう少し充実をさせるならば、そういうような憂いが少くなるのではないかという意味のことであろうと思いますけれども、これは私も、従来の後保護施設というものが非常におくれておるということを痛感いたしておりますので、今度の予算におきましては、アフター・ケアの施設を行うために二カ所だけ設置をする予算を組んだわけであります。しかし、これが効果を発揮いたしますように、たとえば民間の東京電力その他で行なっておりますアフター・ケアの施設が、非常に最近効果を上げまして、その後職場に復帰いたしました者が成績を上げておるというような実情も聞いておりますので、でき得る限りこういうものの施設の拡充に将来は努めたい。本年度の予算は、まことに粗末なもので恐縮千万でありますけれども、とにかく後保護施設につきまして手をつけたのでありますから、今後は一そうこの線を拡充をしていきたい、かように考えておる次第でございます。
  57. 横錢重吉

    横錢委員 今のお答えの中にありましたアフター・ケアの問題でありますが、二カ所でおそらく百人か二百人程度のものしかできないのではないか、これはその期間が一年間を要しますので、二カ所で二百人程度のものを教育したのでは、とうてい社会復帰の全体的な条件は解決することができない。従って、たくさんの療養回復の状態にある人々に対して、就職上の問題について、もう少し突っ込んでこれを考えなければならないのではないか、かように考えておるわけでもります。そのためには特に回復者であるとか、その他のいろいろな厚生省としての管轄の中に置かれる未亡人の問題とか、あるいは身体障害者とか、こういうようなものも含んで参ると思いますが、そういうものを含めて強制就職できるような方法、これは何らかの措置考えなければならないと思いますが、こういう問題についてどうお考えになりますか。
  58. 川崎秀二

    川崎国務大臣 ただいま後保護施設の問題は、御意見をまじえての御質問でありましたが、私も全く同感でありまして、事実わが国の後保護施設が非常に劣っておる。施策も不十分であるということは、十分認識をいたしておりまするし、本年度の予算でも足りないと思っております。しかし、二十八年度においてすでに三カ所、二十九年度も三カ所というような実績もありまして、本年はさらにこれを拡充するわけでありますから、今日のところこれでは不十分でありまするけれども、だんだんに拡充をしていく以外に方法はないと思っております。もとよりこれらは身体障害者の職場復帰前における心身の鍛練あるいは体位の回復ということとも関連して、なるべくわが国の労働人口というものをふやしたいという考え方からいたしまして、当然経済政策とも深い関連を持ちつつ進めていかなければならぬ問題であると考えております。ことに海外におきまするアフター・ケアの施設などは、われわれに深い示唆を与えるものがありますので、将来はすみやかにこれらの水準に向って日本の後保護施設も並んで拡充をしていきたい、かように申し上げておる次第でありますが、本年の予算が少いとか、あるいは今までの施設が不十分であるということについての御指摘は、その通りでありまして、これはもう弁解の余地はないことを率直に申し上げておきます。
  59. 横錢重吉

    横錢委員 今の就職の問題については、最終的には労働省の問題にもなろうかと思いますが、厚生大臣としても、この問題について何らかの解決策を出さなかったならば、ベッドの回転ということもでき得ないのではないか、特に回復者の就職ということはきわめてむずかしい状態でありますので、何らかお考えを持っておられるかどうか、もう一点お伺いいたします。
  60. 川崎秀二

    川崎国務大臣 御示唆もありますので、これは単に労働省にまかせておくだけではなしに、厚生省と労働省との間に、身体の回復の途上にある者に対する特別の協議会などをつくりまして、そうしてそこで慎重に対策を練りまして今後の対策に資したいというような考え方を持っております。
  61. 中村三之丞

    中村委員長 野澤清人君。  ちょっと申し上げますが、厚生大臣に対する質問は四人ございます。どうぞそのおつもりでお願いいたします。
  62. 野澤清人

    ○野澤委員 お忙しいようですから、きわめて簡単に質問いたします。  特につき添い婦の問題についてだけ伺いたいと思うのですが、過日来つき添い婦の問題は、各委員より微に入り細にわたっての質疑応答がありましてあるいは局長大臣等から御回答もあったのでありますが、どうも今度のつき添い婦の制度の改革というものが、ピントはずれをしているような感じがいたします。どういう理由でつき添い婦を廃止して新たな雑仕婦に切りかえるのかということが、局長の話を聞いた場合は、実にのらりくらりとした話であり、また大臣からお話を聞きますと、確かにこういうポイントでやっておるというところがはっきりうかがえる。うかがえますが、昨日のように八木君の悲痛な叫びを聞いてみましても、大臣としては考慮の余地がないというような態度に追い込まれておる。ここには、この委員会としても言うに言われない事情が相当伏蔵しているのであります。こうしたことは政府方々としても、遠慮会釈なく真相を伝えて、医療の完璧を期するためには、話し合いされることが至当だと思うのであります。そこで大臣にお尋ねしたいことは、今度の改正は、政府が発表いたしましたように、今度の予算措置によって急速にこの制度を確立する考えが基本方針であるか、あるいは暫定的にこれを推進するいうお考えか、この一点をお聞きいたしたいと思います。
  63. 川崎秀二

    川崎国務大臣 これは明快にお答えをいたしておきます。療養所の管理運営並びに療養所における看護の徹底をするために、一種の方向づけをいたしたのでありまして、従いまして、看護をまんべんなく徹底をさせたいということの考え方から起ったことであることを、はっきりさしておきたいと思います。
  64. 野澤清人

    ○野澤委員 それで大体方向づけだけのことはわかりましたが、それでは、これは局長でも大臣でもけっこうでありますが、今後の療養所の医療あるいは看護等に完璧を期し得る自信があるかどうか、この点についてお伺いいたします。
  65. 曾田長宗

    ○曾田政府委員 私ども国立療養所の実態、それから国立病院の結核病棟の状況を検討しました結果といたしましては、私どもは、まずまずできるというふうに考えております。
  66. 野澤清人

    ○野澤委員 大へんはっきりしたお考えですが、まずまずできるということは、今度の予算措置だけでもって完全にできるという確信をお持ちなのか、多少でこぼこはあるが、そのうちに完璧を期せられるだろうというお考えなのか、その辺のところをはっきりお伺いしたい。
  67. 曾田長宗

    ○曾田政府委員 私は、今日の日本の医療施設の現状としましては、まずまず十分な看護ができる。日本の現状はいかんということになりますれば、私は満足はいたしておりません。これはここに大臣がおいでるところで申し上げてどうかと思いますけれども、これは国立病院におきましても、国立療養所におきましても、将来としましては、私はもっと看護力は充実したいということは考えております。一挙には参りません。ただいまとしては、この程度でできるというふうに見通しをつけております。
  68. 野澤清人

    ○野澤委員 まずまずという言葉が、非常に意味深長なんですが、ところで、完璧を期し得るということは、予算措置によって制度の改革を急激に実施する方向づけをしたという大臣お話で、その意味はわかりますが、実際にこれを実施した結果が、満足すべき完璧を期し得ないような状態発生した場合には、あるいは患者に対する責任というようなものの所在は、その療養所の所長が責任を負うべきか、あるいは局、課長、ひいては大臣がその責任を負うべきか、そのところをはっきりしてもらいたいと思います。
  69. 川崎秀二

    川崎国務大臣 私は、このことによって、ただいま局長が答弁をいたしましたが、確かに日本の療養所その他病院が、一般の病院もそうでありますが、看護力が非常に十分だとは私も考えておらないのであります。ただ、一歩ずつでも看護を十分にし、終局的には完全看護の方向へ向って足を踏み出すことが適当であるというふうに考えましたので、この措置を行なったのでありますが、ただいま御質問の、重大なる支障が起ったときにはだれの責任であるか、これは申すまでもなく今回の予算を実行せんといたしておるのでありますから、従いまして、予算を伴いました問題は、最終的責任は、すべて厚生大臣にあります。
  70. 野澤清人

    ○野澤委員 はっきりしてきました。ところで、このつき添い婦の問題を中心にしてこれを分析してみますと、三つの問題点が表面に出てくると思います。その一つは、大臣の言われたように、診療所の管理上の問題が出てくる。それから第二は、実際の患者の立場から考えた問題、もう一つは、つき添い婦自身の生活権の問題と、しぼってくると三つの問題点が浮び上ってくると思います。従って、制度の改革のときには、えてして急激な変化のために精神の動揺を来たし、想定あるいは見通しの誤まり等によって、不安を醸成する場合が非常に多いのでありますが、この三つの問題を拾い上げてきますと、管理上の問題とか、患者の今後の療養、あるいは医療等の問題については、今大臣のおっしゃられたように、完璧を期する決意である、また見通しも完全にまずまずできるという局長の御意見等から判断しますと、この第一の管理上の問題と第二の患者の立場というものは、政府自体の大臣以下の責任において、おそらく完全に行えるものと善意に解釈いたしたい。従って、それが完全にできるというのであるならば、今度の制度の改革というものは、決して無理の行くものでない、将来に、まずまずでなしに、ほんとうに完全に看護もでき、完全に療養もできるという方向づけに対しても一歩前進でありますから、私は一応これは納得し得ると思う。  ところが、第三の問題であるこのつき添い婦自身の生活権の問題についてでありますが、政府の権限で二千二百七十名が採用になる、その採用する方向としては、努めて従来の者を拾い上げる、こういうふうな御説明でありますけれども、この点に関しては、おそらくつき添い婦諸君は、たびたびだまされているので、政府はああいうことを言うが、この問題についても四千名と数え、三千二百名と数える者のうちから、努めて採ってくれるという方針が、万一だまされる結果にたったならばどうするかということが第一の心配、第二には、振り落された者の今後の問題はどうなるかという点が、大きな問題点であると思うのであります。そこで、これも局長でも大臣でも、どちらでもけっこうですが、全国国立療養所一つ一つの立場を分析されまして、その立地条件とか、規模、設備あるいは手術の頻度等から考えてみて、つき添い婦を完全に取ってしまった場合に、今後の運営の円滑に多少でも甲の療養所と乙の療養所ででこぼこができるという御想定があるかどうか、一律一体にまずまず完璧を期し得るとお考えになっているか、この点を明らかにしていただきたいと存じます。
  71. 曾田長宗

    ○曾田政府委員 私どもこの予算を執行いたします場合には、個々の施設の特殊性を十分に考えまして、患者の質、いわゆる内科患者あるいは外科患者、あるいは重症者、軽症者、あるいはその施設の立地条件、あるいは建物、設備の状況というようなものをよく勘案いたしまして、十分実質的に不公平のないように人員の配分をいたしたいというふうに考えております。
  72. 野澤清人

    ○野澤委員 不公平のないように実施するということは、今後の問題であります。私は、現在に即して、あなた方自体が甲乙をつけ得るほどの差があるかどうかということを聞いているのであります。
  73. 曾田長宗

    ○曾田政府委員 個々の施設の条件には、相当大きな差がございます。
  74. 野澤清人

    ○野澤委員 差があることが、はっきりして参ったのであります。今度の制度の改革というものは、法的にあるいは予算措置をして、急激な改正あるいは制度の確立ということに、大臣はまっしぐらに突進して参るのでありますけれども、この行政上の措置に関しては、大臣考え方が間違いないと思う。間違いないと思いますが、その間、このつき添い婦の立場を考えてみますと、単に予算とか、あるいは法的な、あるいは行政上の措置だけで割り切れないものが残ってくるじゃないか。そうしますと、これはどうしても政治的に解決しなければならぬ問題が起きてくる。そこで私は、今局長の言明によりますと、現在これを分析してみますと、各療養所において甲乙がある、こういう前提のもとに強行突破せられるのでありますならば、今回の制度の改革を実施する上において、政府自体において、甲乙のあるこの施設、あるいは規模あるいは立地条件等を勘案して、特例を設ける御意思があるかないか、この点を大臣にお尋ねいたしたいと思います。特例と申し上げますことは、つまり、つき添い婦を全部廃してしまって、今度の雑仕婦の二千二百七十名を配置したままで完璧を期し得るという御自信はあっても、急激にこれができないと仮定するならば、特定な療養所の所長が、その環境あるいは規模、設備、手術等の頻度から、正当の理由を具申しまして、厚生大臣に、この療養所だけは特別に生活保護あるいは社会保険等の給付によって、従来通りつき添い婦を使用しても差しつかえない、こういうふうな意味で人員で限定するか、患者数によって一定の数字を出すか、これは法規上の問題でなしに、少くとも政治的な意味合いからこれらの問題に対して特例を設ける御意思があるかないか、この点をお尋ねいたしたいと思います。
  75. 川崎秀二

    川崎国務大臣 今回実施いたします新たな制度によって、現に療養所個々の中に起っておりまする難点につきましては、御指摘のような点が多々あると思うのであります。特に療養所の規模あるいは環境につきまして非常な差があるということは、ただいま局長が率直に認めておりますので、これは相当に考えなければなりませんけれども、特定の療養所だけにつき添い制度を残すという考えは、今日はございません。   〔委員長退席、吉川(兼)委員長代   理着席〕 従って、それならば、そこに起ってくるところのでこぼこはどうするかということの御懸念がありましょうけれども、これは十分にそれぞれの状況に照らし合せまして、配置転換その他の措置を行いまして、これがために一つの療養所のつき添い婦が非常に悲痛な境地に陥るということのないようには努めたいと思っております。
  76. 野澤清人

    ○野澤委員 大体、決心のほども、操作のほどもわかってきたのでありますが、私が政治的な意味において解決する必要があるじゃないかということを申し上げましたことは、過般私は大臣に対しまして、厚生行政には好ましからざる現象がたびたび起きて参る、特に今度のつき添い婦の問題は、日患同盟等と結びつけられまして、ややともすると赤の手先になっておるじゃないかという過般の小島君の御質問もありましたが、そういう誤解も多分に含んでおる。しかも、そのつき添い婦の人たちが、赤の手先であるのでなしに、療養の根本において、そうした錯綜した空気が多分にある。しかも、昨日の大臣の言明によりますと、世論政治であるから、その声がこの堂に満ちあふれるならば、考え直さぬでもないというお話であります。特に私が三つの問題点を拾い上げて、管理上の問題と患者の立場というものは分離すべきである、そうしてつき添い婦の問題を考えるべきであるということを先ほど前提いたしましたのは、この点にあるのであります。万一このまま推し進めるということになりますと、このつき添い婦自体の不安と錯綜する生活権の問題でありますから、相当高度な飛躍をしていく。そこに患者自体の将来の看護上の不安というものが醸成されますと、再び厚生省を中心とし、あるいは国会を中心としまして、好ましからざる大衆デモ行進と、デモ陳情等の事態も引き起されるようになるのではないかと懸念いたすのであります。従って、こうした好ましからざる現象を起さないように、今後の厚生行政には自分は努力するんだということを、かつて私にお答えを願った川崎大臣でありますので、こうした問題をわざわざ錯綜させないで、何らか政治的な意味合いにおいて、日夜心配していますつき添い婦の余剰の人々の問題に関しましては、なるべく厚生施設方面に使うとか、あるいは手ぬるい労働大臣と折衝してきめるということでなしに、緩和策として、実際に設備が不完備であり、また人的配置が不完全であって、患者の立場も困る、管理上にも支障があるという療養所が必ずできると思うのであります。こうしたものに対しまして、特例を暫定的に設け、しかも国家の予算の許す範囲で、完全看護の線までこれを持っていく。本年度は二千二百名であっても、来年度はあるいは三千名になるか、四千名になるか、予測しがたい定員外の定員でありますので、政治的な考え一つの行き方として、再御考慮を願う余地が十分あると思うのであります。しかもこの考え方も、大臣は全然お捨てになるというのでありますれば、おそらく明日からでも実力行使というような、好ましからざる現象を出現すると思いますので、私は質問の最後に、希望として一応申し上げておきますが、この件に関して、大臣が絶対再考の余地なしというてお答え願うことは御遠慮願う、むしろ、たとい一日でも二日でもよろしいから、じっくりこの問題について特例可能であるかどうか、特例がどのくらい政治的な意味合いを持つかということの御考慮を願いたいという希望を申し上げ、質問を打ち切ります。
  77. 川崎秀二

    川崎国務大臣 ただいま野澤委員から、今回の新制度に関しまして、原則としては自分も賛成であるけれども、そこに起ってくる三つの要素、そのうち特につき添い婦の生活権の問題については重大な問題であるので、療養所の規模、あるいはその環境においては特例を設けたらどうかということの御質問が二回にわたってあり、政治的配慮をする必要があるのではないかという御要望ないし御質問もあったわけであります。私といたしましては、今回の新制度に対します政府の所信は、今日といえども変っておりません。しかしながら、万事は国会で最後的におきめ願うことであって、その意味合いにおきましては、十分に研究をする必要はあろうかと思っております。ただし、私が世論によってどうこうということを申しましたことは、決して世論というものは、陳情者だけが世論ではないのでありまして、客観的な視野に立ってこれらの制度をながめておる大多数の国民の意見によって考えなければならぬことであることはもとよりであります。そこで、野澤さんの所属しておられる自由党、あるいは私どもの民主党におきまして、そういうような措置が決定的に必要だということになれば、われわれとしては再考慮をしなければならぬ要素も出てくるとは思いますが、今日のところ、特例を設ける考え方はございません。
  78. 吉川兼光

    ○吉川(兼)委員長代理 堂森芳夫君。
  79. 堂森芳夫

    堂森委員 昨日の八木君の御質問に対しまして、厚生大臣は世論がもし新制度に反対であるというようになるならば考慮する、こういうお話がありました。先刻の野澤君の質問に対しましても、国会の方でそういう空気になれば考え直してもいい、こういうふうな御答弁であったものと思います。もちろん、国会の審議というものが、厚生大臣の意見をいろいろ決定をするのだと思いますが、しからば厚生大臣は、このつき添い婦廃止の問題について、たとえば全国の療養所の所長の人たち、あるいはまた患者の人たち、あるいはつき添い婦の人たち、あるいは全医労というような労働組合の人たち、こういうふうな方面の人たちの陳情、あるいは組合員の意見を、直接に会ってお聞きになったことがあるかどうか。お聞きになったとしたならば、どういうふうな意見が多かったか、そういうことの御経験がございましたら、まず御答弁を願いたいと思います。
  80. 川崎秀二

    川崎国務大臣 つき添い看護婦の方々から最初に御陳情のありましたのは、私が大臣に就任しまして一週間日くらいにありまして、この下の二階の閣議をする部屋の前でお会いをいたしましたことが一番最初の皮切りであります。その後、数回にわたって御陳情がありまして、つき添い看護婦の方々の直接の御陳情を受け、その実情を聴取いたしましたのが、たしか六回ほどであろうと思っております。その他患者同盟の方々から、ぜひともその実情を聞き、また私どもの意見を聴取をしてくれと社会党の山花委員から申し込まれておりますけれども、まだこれは日取りがきまりませんがために、今日までお会いができないで残念に思っております。そういうことでありまして、決して陳情その他を今日まで回避をしたとか、あるいは会わなかったとかいうことはありません。昨日も答弁を申し上げました通り、予算委員会の審議あるいは健康保険等の処理のために忙殺をされておりまして、多くの時間をこれにさくことができなかったことは、正直に申してその通りでありますが、すでに六回ほど陳情を受けております。
  81. 堂森芳夫

    堂森委員 たとえば、全国国立療養所の所長——実際の患者側、そういうふうなつき添い婦の代表、そういう方だけでなしに、患者を治療する側の方の人たち、そういうふうな側の人たちの意見を聞いておられるかどうか。それから多くの会われた人たちの意見はどうか、反対か賛成かどういう考えか、そういうことをお聞きしたいのでありまして、会った回数はどうでもいい、こう思っております。
  82. 川崎秀二

    川崎国務大臣 ただいままで私どもの会いました方々におきましては、つき添い看護婦の問題については、反対の情陳ばかりであります。しかし、私どもの友人の医師その他の中には、新制度に対して賛成の意見を持っているものも相当数にございます。   〔吉川(兼)委員長代理退席、委員   長着席〕
  83. 堂森芳夫

    堂森委員 医師と申しましても、いろいろな立場の医師があると思うのでありまして、あなたの管轄下にある全国国立療養所の所長さんたちはどうか、これをお聞きしたい。あるいは御答弁になれなければ、局長でけっこうであります。
  84. 川崎秀二

    川崎国務大臣 国立療養所長は、大体この問題に対しては賛成をいたしております。
  85. 堂森芳夫

    堂森委員 医務局長一つ御答弁願いたい。
  86. 曾田長宗

    ○曾田政府委員 この前にも一応御報告申し上げたと思うのでありますが、このお話は古い沿革を持っております。言葉が悪うございましたが、数年前から、この職員の増を考えたい、職員が増になれば、外からの手伝いのつき添い婦の人たちが入ってくるチャンスがだんだん少くなっていくというこの考え方については、所長は数年前から賛成であります。ただ、これがどの程度に人数を入れられるか、どの程度に人数が入ればどの程度に減るかということにつきましては、これはいろいろ各所長が、自分の所につきまして、これくらいならば大ていできるということは申しております。この数は、所長はマキシマムを申しております。私どもの方は、どこまでいけば仕事ができるか、率直に申し上げまして、意見はそういうふうに出て参る。私どもはそれを見まして、その数字が果して妥当であるか——私どもにいたしましても、療養所を預かっております以上、たくさんならたくさんほどいいのでありますけれども、これは実際この予算に盛ります場合には、なかなか困難であります。私どもとして、先ほどから申しておりますような国立病院の現状だから、せめてそこまでは持っていきたいというふうに考えましたのが大体今回の案なのであります。これも、私ども率直に申し上げますれば、病院と療養所とは、看護婦の定員が大体病院においては病床四に対して一人、療養所は六人に対して一人ということになっております。しかしながら、足りないのは雑仕婦の数で、これが非常に差があるということでございまして、せめてそれだけはそろえたい、それだけそろえたら、大体病院と療養所と同じ程度の看護ができるのではないかというふうに見ておるわけなのであります。
  87. 堂森芳夫

    堂森委員 今の医務局長の答弁によりますと、全国の療養所長が大体賛成であるということですが、それはやはり定員の数によるのでありまして、所長たちはマキシマムどれくらいを要求しておるか、あるいはみんな二千二百七十名という程度でいいと思っておるのか、その点を一つお聞きしたい。
  88. 曾田長宗

    ○曾田政府委員 所長は数字を出しておりません。ただいまのように、これだけあればまずまずできるだろう、とにかく十分できるということを言っておりますが、それはどこの施設でも、全国を通じてみたときには、何人かということは出てきません、また出てくるはずもないだろうと私は思うのであります。もう説明を繰り返す必要はないと思うのでありますが、それに対しまして、私どもは、まずこれくらいでできると思うということで、所長に会っていろいろ話をしてみております。そういたしますと、初めから食わずぎらいでできないという根拠もない、それならば、とにかくやってみましょうというように、お互いに話し合いをして今日に至った次第であります。
  89. 堂森芳夫

    堂森委員 どうも、医務局長は、数字の大家だというのでありますが、こういう核心に触れると、まずまずとか、大体とかということでぼかしておられまして、非常に遺憾に思います。しからば、従来六万数千のベッドが各病院にあって、つき添い婦は自費患者には大体どれくらいついておって、健保、生保の患者にはどれくらいつくものか、数字がありましたら、ちょっとお知らせ願いたと思います。
  90. 安田巌

    ○安田(巌)政府委員 これはちょっと数字が古いのではありますけれども、生活保護の方は、昭和二十九年の九月で六千二十四人になっております。これは看護承認件数の調べであります。
  91. 堂森芳夫

    堂森委員 六千二十四人というのは、何ですか。
  92. 安田巌

    ○安田(巌)政府委員 一カ月に承認をいたしました件数でございます。
  93. 曾田長宗

    ○曾田政府委員 自費生活保護及び社会保険関係患者に対して、それぞれ何人ついておるかという資料は、ただいまちょっと持ってきておりませんので恐縮ですが、資料として差し上げられると思いますので、後ほどお手元にお届けいたします。
  94. 堂森芳夫

    堂森委員 これは非常に重要な問題でありまして、今度の新制度によりまして、自費患者で生活の余裕のある人は、自分で雇えると思います。ところが生保、健保の患者たちは、自分で雇うことができない。それで二千二百七十名の定員で雑仕婦は押えられる、こういうことになりますと、やはり余裕のある人はつき添い婦をつけるけれども、そうでない人はつけられない、こういうことに相なるのでありまして、従来全国の結核ベッドに入院しておる自費ある、は生保、健保の思考さんたちについておったつき添い婦の数を、資料としてまず要求したいと思うのであります。  そこで、私はお聞きしたいのですが、前に質問もあったと思いますけれども、雑仕婦というのは、一体常識的な意味におけるほんとうの雑役でありますか、あるいはどういう部門なんですか、医務局長にお尋ねしておきたいと思います。
  95. 曾田長宗

    ○曾田政府委員 今回の予算に盛り込んであります雑仕婦のうち、半数はいわゆる雑仕事をし、約半数は看護の助手の仕事をいたします。
  96. 堂森芳夫

    堂森委員 そうしますと、雑仕婦の半分は補助看護婦のような役目で、半分は雑役、こういうことでありますか。
  97. 曾田長宗

    ○曾田政府委員 さようであります。
  98. 堂森芳夫

    堂森委員 そうしますと、雑仕婦になっていく人たちは、将来看護婦に正式になるという若い人たちも、そこに収容して行くということに相なるのでありますか、あるいは従来のつき添い婦をそのまま転用していく、こういうことになるのでありますか。
  99. 曾田長宗

    ○曾田政府委員 現在におきまして、十分資格のある看護婦を採用いたすべき定員のうち、雑仕婦に転用いたしておりますものがございます。でございますから、予算の形から参りますならば、看護婦の定員は看護婦で埋めまして、今回の雑仕婦の半数を看護補助者というふうにいたしますれば、予算面と実施面とがぴたりと合致するわけであります。しかしながら、今日まで雑仕婦として、すでに看護婦の定員を食って仕事をしていただいておる人たちもありますので、今度の常勤労務者も、実質的には待遇が変らないと思うのでありますけれども、これに対しては、いろいろと不安と申しますか、不満という気持も持たれている向もございますので、実施に当って私どもは身分を切りかえるというようなことは考えずに、逐次移行せしめたいというふうに考えております。かように考えますと、今度予算に盛ってあります二千三百人ばかりの人たちの採用の際にも、できますならばこの看護補助者としての看護婦の有資格者、または看護補助者の力を持っておる人たちをよけいに採用する、これは運用の面でありますが、さように心組んでおる次第であります。
  100. 堂森芳夫

    堂森委員 いろいろお聞きしたいのでありますが、私は前の同僚議員がたくさん質問しておられますから、これくらいでやめますが、最後に、厚生大臣に重ねて質問申し上げたいと思います。  現在厚生省調査でも、従来つき添い婦は四千名あるいは三千数百名おった。これが二千二百七十名ですか、新制度によってそこに定員がきまるわけでございますから、従ってたちどころに千数百人あるいは二千名の失業者といいますか、職にあぶれる婦人がたくさん出る、こういう問題であります。こういう人たちに対して、厚生大臣はどういうふうな措置をとっていかれるようなお気持でおられるか、あるいはどうされるか、あるいは今後これらに対して起るであろうところの混乱に対して、厚生大臣はどういうような決意を持たれるかという点についてお聞きして、私の質問を終りたいと思います。
  101. 川崎秀二

    川崎国務大臣 これは昨日も御答弁申し上げました通り、今回の措置によりまして、三千二百名とこちらは推定いたしておりますが、つき添い婦の失業問題が起るわけでございます。もとより、ただいま二千二百七十名の看護補助者の増員をお願いしておる次第でありまして、これに吸収するものも多数あると思うのでありますが、それ以外の数字は、御指摘通り千名以上に上りますかどうか、そのときの状況によりまして、また医療機関その他にも、相当数これらに当てる予定をいたしておるものもあります。ことに、昨日も御質問のありましたように、他の職業に転職することを許さないものであるから、国立療養所以外の公立私立の医療機関に対して、厚生省は強力なる措置をとれということを指摘されておりますが、厚生省といたしましても、これらの人々の失業が、現実的に深刻な状態に立ち至らないという方向に向って努力をいたしたいと思っております。なお、それでもなおかつ若干の失業者が出るということになりますれば、これは非常に重大な問題でありますので、これらにつきましては、労働省の職業安定所にも連絡をいたしますばかりでなく、労働大臣に対しましても、直接にこれらの人々が実際に失業の場面に直面することのないように考えをいたしてもらいたいということを申しておる次第でありまして、私どもといたしましては、とにもかくにも、そういう一段階、二段階、三段階に分けての措置考えまして、かかる事態発生しないように努力をするつもりでございます。
  102. 中村三之丞

    中村委員長 帆足計君。
  103. 帆足計

    ○帆足委員 時間も移りました上に、同僚議員からそれぞれ情理兼ね備わる要望、質問がございましたので、私は簡単に要望を申し上げたいと思うのです。  本日、同僚議員諸君のお許しを得まして、この委員会に出席さしていただきましたのは、私自身も、数回喀血いたしまして、長い間の闘病の苦しみをなめて参った一人でありまして、八木君の療養所にはよく見舞いに参りました。今度の総選挙では、八木君はベッドの上から供託金を納めに参ったような実情でございました。この問題につきまして、——政府委員は、まずまず新しい制度でやっていけると申されましたけれども一つ一つの療養所を例にとってみますと、実情はそうなっていないのでございます。所長としては、経営の方法論として、完全看護の方向に行くことは、私はこれは合理的であると思います。私は病院の経営には、そういうことから関心を持っておりまして、聖路加病院やそれから特に衛生病院の管理など、非常に感心して、たびたび見学に参りました。ベル一つでもって看護婦さんがにっこり笑って、夜中でもすぐかけつけてきてくれて、最少の人数で最大の能率をあげておるヨーロッパ式の看護は、もうすばらしいものです。しかし、それにはそれ相応の設備が必要でありまして、ベルとか部屋の配置とか、または食糧の配給機構、洗たく機、電気冷蔵庫、カン詰の使用、その他設備が伴わなければできないことでございます。  そこで、私は本論に入ってお尋ねするのでありますが、一、二例をあげて申し上げます。明日は参考人の方々を呼びまして、率直に意見を聞くわけです。厚生大臣の言われたように、世論というものは、患者の叫び、つき添い看護婦の皆さんの叫びだけが世論でないことも事実です。この方々の世論も大切ですけれども、医学の問題で一番重大なのは、医者の意見と所長さんの意見でありましょう。それから患者の意見も非常に重要です。これらの意見を明日の参考人から聞かれまして、そしてそれが専門的見地から考えましても、もっともであり、実際的であり、かつ委員の大多数がそれを是なりと認めましたならば、ぜひともこれを撤回いたしますなり、撤回でなくとも、その趣旨に現実に即応するように修正をしていただくということは、私は委員会があり、参考人を呼んで公聴会その他これにふさわしいことをいたしますのは、そのためだと思うのです。もう、一度政府の方で原案をきめたから、決して動かすことができない——私は貿易委員会におりますが、貿易の問題なども、おおむね超党派的な課題の一つですが、社会、厚生の問題は党派の立場を離れて話し合わねばならぬことの一つだと思うのです。ことに、このように敗戦後の貧しい国では、これは共同任務の一つだと思います。それで、明日参考人を呼びまして、おおむね科学的、実際的に考えてもっともだという節がたくさんございます折は、大臣におきましても、数日余裕を置いて特別の御考慮をして下さる意思がありやいなや、まずこのことを明確にしていただきたいと思います。
  104. 川崎秀二

    川崎国務大臣 ただいま世論政治の問題、それから今回の措置に対して、非常に強い反対の動きがあり、明日あたり参考人を呼んだ結果、委員の大多数の方々がこの法案に対して反対ないしは修正の動きが出たときには、政府はどうするかということでございます。私は、万事はこの委員会においておきめ願うことでありますから、最終的には委員会の御決定に服さなければならぬと思っております。従って、そのときには政府は再考慮しなければならぬ段階になるかとも思いますけれども、今日の私ども考え方は、原案を修正する考え方はございませんし、もとより毛頭これを撤回するなどという意思はございません。また各党におかれましても、これらの処理については、すでに参考人を呼ばれるまでもなく、十分にお考えのようでありまして、もとより参考人の意見によって大きく影響されることはおろうかとは思いまするけれども、今日私どもの見通しておりまするこの問題に対する処理は、大体において私どもの党並びに一、二の政党においては、大体これらを原案の考え方において推し進めることの妥当性を認めていただけるものと確信をいたしておる次第でございます。
  105. 帆足計

    ○帆足委員 この案が出ましたゆえんのものは、完全看護への方向へ進むということが、病院経営の一つ方法としては妥当性もあると私は思うのです。しかし、世上伝えられるところによりますと、それよりも、やはり貧しい財政のワク内で、予算節約のために、大蔵省から大いに節約してもらいたいということであるので、無理を重ねたというふうに聞いておりますが、そのようなことも大きな理由の一つなのではないでしょうか、御答弁を願いたいと思います。
  106. 川崎秀二

    川崎国務大臣 これは厚生省の方で考えて大体の案を作り、財政当局とも折衝はいたしましたが、その間において、大蔵省側から圧力をかけられたとか、大蔵省側の発意でこちらに働きかけたとかいうことはございません。
  107. 帆足計

    ○帆足委員 私は、財政のワクが乏しいためにやむなくこういう状況になったものならば、同情し得るものと思っておるのです。大体通産省は商工業者のことを非常に心配しますし、農林省は百姓のことをかばい過ぎるくらいかばうのですが、厚生省は医者と患者を目のかたきのようにされておると私は思うのです。これは、もちろん川崎大臣が御就任になる前のことでありまして、今でもそれが続いておるということは、慣性の法則か過去の惰でございましょうから、一日も早くそういう風潮がなくなることを私は希望するのです。川崎さんに対しては、国民の世論は非常に期待しておるのです。その第一歩において、もしこういう重要な問題が実際的見地から離れてきまるということになりますれば、若いゼネレーションの大臣に対する期待が、幻滅の悲哀を感じさせられるという点においても、非常に残念だと思うのです。中野療養所を例にとりましても、わずか数年前、ストレプトマイシンのできる前にあの門をくぐることは、絶望と恐怖と神秘の門をくぐることでしたが、今は化学療法と結核外科と結核病院の進歩によりまして、あの門をくぐることが、とにかく希望の門をくぐることになりました。ほんとうにうれしいことです。しかし、今は結核の過渡期でありまして、現象形態としては死亡率は減っておりますけれども、患者はふえ、そして入院する者は今後ふえ、特に外科が非常にふえなくてはならぬ段階です。大臣は非常に健康で、私はうらやましいと思って尊敬しておりますが、私どものように何回も喀血した者は、喀血の苦痛というものを——皆さん御承知でしょうか、昨日八木君が説明されていたとき、私は胸が詰まる思いがしました。それから肺外科の手術というのは、なかなかひどい手術です。手術の済んだあとは、ベルを押す力もないのです。一週間は絶体絶命の状態が続くのです。そして今後は、結核とは空洞の病気です。結核の神秘は空洞にあるのです。空洞をつぶすことが結核の一つの仕事です。そのためには、どうしても外科がふえねばならぬわけです。これには非常に看護が必要です。今日の日本の段階では、食餌、洗たく、それから寝汗をとること、たんを処理することなどです。設備の乏しい今日、アメリカの病院のようにはいかないのです。そこで中野の療養所を例にとりますと、重症が大体百人以上いると私は思うのです。それから手術が毎月五、六十人以上あるのではないでしょうか。ますます手術はふえてくる傾向にあるのです。二百名近くの患者に対して、つき添い婦が今百名から百工、三十名おるでしょう。それを五十名どころか、三十名か四十名に減らすと聞いておりますが、かりに半数に減らしましても、とうてい困難だと私は思います。院長さんの立場からいえば、派出婦さんを訓練して一元統制のもとにやれば、能率も上り、秩序、訓練もよくなることは一面の事実です。しかし、だからといって、数字を半分近くに減らしたのでは、とうてい手か回らないと思います。設備もこれに伴いません。従いまして、政府委員は、大体所長さんは異存ないと言ったそうですけれども、所長さんは、これを統一的指揮下に置いて、完全看護の方向に向う病院経営に異存がないのであって、ただいま政府が提出されておるような定員では、とうてい手が回らないということは、もう自明の理なんです。たとえば中野療養所をモデル・ケースにして、一つ政府委員に調べていただきたいと思います。一体何人中野療養所に割り当てるというのでしょうか。従いまして、明日の参考人の意見を聞きまして、もう少し私は検討していただきたいと思うのです。そうしてまた重点配給をして、それでほんとうに差しつかえがないというならば、それはよいことでしょう。もちろん派出婦さんの失業問題の対策もあります。しかしそれは、今次の問題については、非常に重要な問題ですけれども、ある意味では第二の問題でしょう。それはそれとして、適切な対策を立てねばなりませんけれども、病院経営は、病院経営の問題がまず一貫して貫かれなければならぬ問題でありましょうが、その患者を預かる所長さんの仕事は、これではできないと私は思います。そこで、もしこれを修正するとすれば、専門家の立場からいろいろな案があるでしょうけれども、私はただいままでのように、つき添い看護婦の方を一人の患者に一人機械的につけるというのではなくて、二人、三人に一人つけてもよいような制度にでもしてそれを補ったらよいかと思うのです。実際の話は、これは予算の節約と医療の合理化という二つの面から来た事件ではないかと思うのです。合理化によって経費を節約し、節約された経費をさらに有用に使うということは、悪いことでないと思うのです。しかし、それならばそれで、とにかく患者が不安を感じないように、もう少し実地の検討をしていただきたいと思います。たとえば、清瀬とか中野の療養所に、何名の割当をお考えになっておるのでしょう。ただいま、おそらく御回答しにくいと思いますから、また明日でも理事の方にそういう点も打ち明けられて、果してそれでよいかどうか、所長さんが、まあよいと言っておるのは、これは所長さんの訓練と指揮下に統一的に置けば、能率が上るという経営の方法論に賛成なのであって、今度のこの予算の削減と人員の削減に賛成しておる所長さんは一人もないと私は思います。現に中野療養所では、昭和二十六年にこれをやろうと思って失敗しましたし、国立病院でも、いろいろ不便を感じております。しかし療養所の方は、最近特に結核外科がふえて参りまして、これは非常に大きな手術でありますから、これでは手が回りかねる。そのために、自費療養の力しかない多くの人たち、今日善良なサラリーマンでも、生活が乏しいために——私などはもとは健康保険にかかったことはないのです。それは恥と心得ておった。ところが今日、議員になって健康保険証を取られたのは、一番の苦痛です。そこで、今小さな会社の嘱託をしておりまして、やはり健康保険に入らしてもらっております。というのは、私は今ずっと気胸を続けております。もちろん気胸自身は、今も再検討中ですけれども、もうずいぶん長く続けておりますし、家族にもまた負傷者がおりますので、健康保険に入っておるような状況です。この健康保険だけでやっと生計費を補っておる、生活の安定を確保しておるというのが、私は今日の実情だと思うのです。終戦以来、私どもは地主を食いつぶし、家主に迷惑をかけ、あとはお医者さんに迷惑をかけて、お医者さんの犠牲によって生き延びてきたようなものだと思うのです。従いまして、今は健康保険制度というものは、国の中堅階級の支柱です。非常に大事なものです。健康保険の患者につき添い婦などぜいたくでつけられるかというような観念も、潜在的にはどっかにあったと思いますが、それは間違っておると思います。またつき添い看護婦さんというものは、将来教育して一元統制のもとにもっと高度の能率も持たねばならぬと思いますが、設備が伴っていないときに、一挙にそれを望むことはできません。従いまして、療養所をごらんになって、その設備と結びつけてどのくらいの定員が要るか。ベルですら、完全についていないのです。部屋の番号ですら、明確になっていないような状況です。そして患者はとても多くて病院は広いのです。これらのことを一つ虚心坦懐にお調べ下さいまして、川崎さんになったために、今日よりも病院が悪くなったということにだけはしないでもらいたい。今日より経費は節約したけれどもよくなった、来年はもっとよくなるだろうという方向に持っていくことを、われわれは期待しておるわけです。同僚議員の皆さんの御質問を聞きましても、みな大臣に好意を持った質問をしておるのです。そういう点も御考慮下さいまして、明日の参考人の意見も聞かれまして、また一、二のモデルケースで病院をごらんになりまして、支障のないようなお取扱いを切にお願いいたします。
  108. 中村三之丞

    中村委員長 中原健次君。
  109. 中原健次

    ○中原委員 なるべく重複を避けたいと思うております。なお、たくさん御質問をする考えでもありません。ただ一つ、つき添い婦の問題につきまして、いろいろ大臣としての立場からの御答弁もあったわけでありますが、一つ問題の食い違いがあるかのような感じがしますので、それだけ一点指摘いたしておきたい。それは二千二百七十人に人数を減すということから、減員との間の数の距離が大体九百名、千名などということに、概念は扱われておると思うのですが、実情は果してどうか。これはだいぶ違うと思います。なお、先ほど報告になりました数字を見ますと、生保関係で月末のその月の承認件数が六千二十四、これにいたしましても、六千二十四という数字は、今度の数をお取りきめになりましたその基礎と、無関係だとはいえないと思うのです。かように考えますと、この点で、人数もだいぶ見解に食い違いがあるのじゃないか。そうすると、その措置についても、これはだいぶ結果が変ってくると思います。  それからもう一つは、二千二百七十人を全員現在のつき添い婦の中から採用するということがきまっておるのなら、話はまた多少数字の点で確実性が出て参りますけれども、これも先般来からの局長の御答弁によりますと、必ずしもそうとばかりもいかないという感じもいたします。そうなって参りますと、二千二百七十人を除いたあとをこのように処理するという観点にお立ちになったのでは、また処理のなさり方に狂いが生じるのではないか、こういうふうに思います。従って、かれこれ思いますると、やはり相当多数の犠牲者が考慮され、想像されるというふうになって参りますので、この点については、先ほどから大臣の御答弁でも、結論としては労働大臣と相談してということでありましたけれども、今日のわが日本の失業状態は、私が申し上げるまでもなしに、十分御承知願えておると思います。どんどん失業者はふえております。いわゆる大量の失業者がどんどん出ております中で、さらにこの一つの制度の中から、数千名の失業者を作り出すということになって参りますれば、この最後の段階として、労働大臣と相談して御措置をなさるといたしましても、これは相当困難が当然伴うのじゃないかというふうに思いまするし、これらの点につきましては、おおよそこうなるであろうという構想を、局長がかねて七項目ばかりに分けて説明しておいでになりますけれども、これは昨日申したことでありますが、実はこの取り上げられました七項目ばかりの救済策というのは、数字的な基礎が非常に薄弱です。ただそういうことが頭の中に浮んでは参りますけれども、それに対してどれだけの人を当てはめ得るかといえば、これは相当困難だと私は思います。ことに、一応つき添い婦としての長い経験を持たれた方の処理としては、どこへでもというわけにはいかないことは、大臣局長もおわかりになっているところであります。そうなって参りますと、範囲が大分狭まって参りますから、それの救済策としては、よほどの中身のある対策をお立てになっておいでにならぬことには、当てがはずれて参ると思います。当てがはずれて参りますと、この措置のために、また失業者を作るという結果も出て参りますから、この間の数字の食い違い等もありますので、一応この点に対する御判断をもう一度伺っておきます。
  110. 川崎秀二

    川崎国務大臣 今度の国立療養所の約二千三百名の看護補助者の増員ということは、正確に申し上げると二千二百七十名の増員でございます。従いまして、今日つき添い看護婦の数を三千二百と厚生省では把握をいたしております。その他にも四百の、これは別ワクになるわけでございましょう、自費でつけておるものがあるわけでありますが、それを加えて三千六百といっておりますが、大体三千二百と厚生省としては考えておるわけであります。そうすると、九百三十名という差が出て参りますが、そのうち本年国立療養所におけるベッドの増加によりまして、五百名ぐらいの増員を他に見込めることができますので、これを合せますれば二千七百七十となります。もっとも、その中の町名くらいは——五百と申し上げましたが、四百と考えれば正しい数字ではないか。従って、二千七百七十ではなくして二千六百七十ということになります。従って、あとのものをどうするという二とが、せんじ詰めた問題になってきましょうけれども、この中の大部分については、医療機関にお世話するということができるのではないか、またそういうふうにしなければならぬ、こう私ども考えておりますし、これは非常に小部分ではありましょうけれども、私の推定でも、この機会におきまして自発的に他の職業に転換をされる人がないとは限らぬと考えております。もっとも、これは非常に小部分ではあろうと思っておりますが、すでにそういうふうに数字をせんじ詰めて参りますと、その中には多少の自発的職業転換者もふろうかと思っております。従って、こういうふうに数字をせんじ詰めて参りますと、実際に医療機関に転職もできず、自分から自発的にも他に職業を求めることができないというような方々は少数になってこようと思いますが、この少数の失業者につきましては、先ほど来答弁をいたしておりまするように、労働省とも十分に連絡をいたしまして、万遺憾のないようた措置を講じたい、かように存じておる次第であります。  なおもっと細部のことにつきましては、局長より答弁させていただきたいと思うのであります。
  111. 中原健次

    ○中原委員 やはり二千二百七十人というのは、現在のつき添い婦の中から取り上げた数字としてお取扱いになっておる、だから二千二百七十で、四百だけ他に増員可能があるから二千六百七十人、こういう計算のようです。ここに私は問題があると思う。それなら二千二百七十人の全部を、現在のつき添い婦の中から必ず採るというのが確実であれば、この話の扱い方でよろしいと思いますが、何かそうではなさそうな感じが、かねて局長の答弁ではあったように思う。そのことを、はなはだしつこく申しますけれども、これはやはり大切なことだと思います。ただし、これはこの制度が承認されるという意味からの話でして……。  なお、もう一つ問題になりますのは、二千二百七十人が、いわば看護婦半分、半分が雑役、いわゆる雑作業ということになると、つき添いの今の人のしておる仕事との割合がどうなるか。これもだいぶあいまいに考えられるのですが、これは問題はないでしょうか。  それからもう一つは、減員をするということのために起る労働力のそれだけの欠乏が出てきはしたいか。労働力がそれだけ差し引かれて参りますが、差し引かれて参りますことを、それを所長の管理のよろしきを得て十分にやる、言いかえれば、労働をもう少し強化して、あるいはそこに合理化してやる。合理化ということば、しばしば強化に関連しますが、そういうふうな意味でやればたし得る、そういうことも言えましょうが、しかし、この看護婦の仕事というのは、機械的にただ労働作業を繰り返すということをもって足るものではなくて、心を打ち込んで、全く自分の身についておる気持で看護に従事するということが、つき添い婦の人の看護の成果を上げることになるのじゃないかというふうに考えられるのです。そうなって参りますと、やはり今急速にこういう制度の転換をなさるために起るいろいろなミスが、やはりそこから出てくるのじゃないか。そうすると、せっかく御企画になられましても、その企画が大きな失敗を演ずるおそれはないかということになって参ります。これは局長からは御答弁を聞いておりますけれども、どうも局長さんの御答弁が、私は局長という一つのポストからくる、あなたの位置からくる、どうしてもそこをそのように説明しなければならぬというような感じがしてならぬのです。どうも公正な理論だとは聞き取りがたいのです。従って、これは一つ大臣としてはそのことについてどうお考えになられるか、これも伺っておきたいと思います。  もう一つ……。
  112. 中村三之丞

    中村委員長 中原君、ちょっと中断してあれですが、厚生大臣は一時から社会保障制度審議会があるのだそうですから、厚生大臣だけに対する質疑を……。
  113. 中原健次

    ○中原委員 今の質問大臣にしていますので、それを大臣から一つ……。
  114. 川崎秀二

    川崎国務大臣 確かに私も横で聞いておりまして、そういう印象を委員方々が持たれることは当然であると思っております。そこで、今度の二千二百七十人は、つき添い看護婦からばかり採るということには限らないと思います。思いますが、その際におきまする優先的なものは、やはり何といいましても、今日の切りかえのときにおきまして、つき添い看護婦を最優先で採るべきが当然の策であろうと私ども考えております。その際において、適当であると判断されるならば、二千二百七十名全部つき添い看護婦が転換をしてもいいことである、理論的にはそう考えるのでありますが、実際に当って果してそういう適任者になり得るかどうかということには、問題があろうかとは考えております。
  115. 中原健次

    ○中原委員 原爆の被害者の問題について、大臣にぜひ聞きたいと思っておりますが、この問題はきようでなくてよろしいのです。
  116. 中村三之丞

    中村委員長 中原君、政府委員に対して御質問を御継続願います。
  117. 中原健次

    ○中原委員 それでは大臣が帰られれば、あとは大して問題もないのです。大体局長気持はよく了解しておるのです。それは納得というわけではないけれども、わかっておりますから、明日参考人の御出席もあるようですし、その参考人の御意見をつぶさにお聞き願い、またわれわれも聞かしてもらいます。そうしてその結論をどう処理するかについては、委員各位の良識が結論を出すことになるのでありますから、その良識によって出た結論を忠実に履行していただくことになるわけでしょうから、それについては質問を打ち切ります。
  118. 滝井義高

    ○滝井委員 資料の追加をお願いしたい。さいぜん堂森委員から資料の要求がありましたが、あれをもう少しこまかく分けてもらいたいと思います。それは国立療養所国立における一般病院のつき添いの人数と、それからそれに支払った生活保護、健康保険、国民健康保険、それから共済組合と自費、こういうものに分けて、人数と金額を出していただきたいと思います。これは国立療養所の会計を見れば、すぐにわかるはずです。それを金額と人数とに分けて出していただきたいと思います。
  119. 中村三之丞

    中村委員長 次会は明日午前十時から第二委員室において開会することとし、午後一時から参考人の意見を聴取いたします。  本日はこれにて散会いたします。   午後零時五十六分散会