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1955-05-25 第22回国会 衆議院 社会労働委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年五月二十五日(水曜日)    午前十一時開議  出席委員    委員長 中村三之丞君    理事 大石 武一君 理事 中川 俊思君    理事 大橋 武夫君 理事 山下 春江君    理事 山花 秀雄君 理事 吉川 兼光君       植村 武一君    臼井 莊一君       亀山 孝一君    小島 徹三君       横井 太郎君    越智  茂君       倉石 忠雄君    小林  郁君       高橋  等君    中山 マサ君       野澤 清人君    八田 貞義君       岡本 隆一君    多賀谷真稔君       滝井 義高君    長谷川 保君       帆足  計君    八木 一男君       横錢 重吉君    受田 新吉君       神田 大作君    堂森 芳夫君       山下 榮二君    中原 健次君  出席国務大臣         厚 生 大 臣 川崎 秀二君  出席政府委員         厚生政務次官  紅露 みつ君         厚 生 技 官         (公衆衛生局         長)      山口 正義君         厚 生 技 官         (医務局長)  曾田 長宗君         厚生事務官         (社会局長)  安田  巌君         厚生事務官         (引揚援護局         長)      田辺 繁雄君  委員外出席者         厚 生 技 官         (保険局医療課         長)      館林 宣夫君         専  門  員 川井 章知君         専  門  員 引地亮太郎君         専  門  員 浜口金一郎君         専  門  員 山本 正世君     ————————————— 五月二十五日  委員中村英男君及び多賀谷真稔君辞任につき、  その補欠として八木一男君及び帆足計君が議長  の指名で委員に選任された。     ————————————— 五月二十四日  未帰還者留守家族等援護法による療養給付適用  期間延長に関する請願勝間田清一紹介)(  第六九一号)  同(横錢重吉紹介)(第七六二号)  同(吉川兼光紹介)(第八〇二号)  同(河野正紹介)(第八三三号)  未帰還者留守家族等援護強化に関する請願(  亀山孝一紹介)(第六九二号)  同(中村時雄紹介)(第六九三号)  同(井谷正吉紹介)(第七一六号)  同(仲川房次郎紹介)(第七一七号)  同(伊瀬幸太郎君外三名紹介)(第七五五号)  同(小川半次郎紹介)(第七五六号)  同(安平鹿一君紹介)(第七五七号)  同(田中織之進君紹介)(第七五八号)  同(柳田秀一紹介)(第八〇五号)  同(坊秀男紹介)(第八八〇号)  未帰還者留守家族等援護法による医療給付適用  期間延長等に関する請願岡本隆一紹介)(  第七一八号)  同(加藤清二紹介)(第一〇二〇号)  国民健康保険法改悪反対に関する請願八木  一男紹介)(第九二一号)  国立療養所附添廃止反対に関する請願八木  一男紹介)(第九二二号)  同(横路節雄紹介)(第九二三号)  同(飛鳥田一雄紹介)(第九二四号)  同(山田長司紹介)(第九二五号)  同(中崎敏紹介)(第九二六号)  同(八木一男紹介)(第九九九号)  同外二件(山花秀雄紹介)(第一〇〇〇号)  同(井手以誠君紹介)(第一〇〇一号)  同(稻村隆一紹介)(第一〇〇二号)  同(中村英男紹介)(第一〇〇三号)  同(福井順一紹介)(第一〇〇四号)  同(大野市郎紹介)(第一〇〇五号)  同外一件(山下春江紹介)(第一〇〇六号)  同(山口好一君外一名紹介)(第一〇〇七号)  同外一件(横錢重吉紹介)(第一〇〇八号)  国立療養所附添廃止反対等に関する請願(佐  々木更三君紹介)(第九二七号)  理容業界安定対策確立に関する請願中馬辰  猪君紹介)(第九二八号)  同(大石武一紹介)(第九九七号)  同(川野芳滿紹介)(第九九八号)  戦傷病再発医療費全額国庫負担に関する請願(  福田昌子紹介)(第九二九号)  同(二階堂進紹介)(第九九四号)  同(平野三郎紹介)(第九九五号)  同(熊谷憲一紹介)(第九九六号)  戦傷病者割当雇用に関する請願福田昌子君  紹介)(第九三〇号)  同(平野三郎紹介)(第九九一号)  同(熊谷憲一紹介)(第九九二号)  同(池田清志紹介)(第九九三号)  医業類似療術行為期限延長反対に関する請  願、(田中伊三次君紹介)(第九三一号)  同外一件(柳田秀一紹介)(第一〇〇九号)  同(小川半次紹介)(第一〇一〇号)  クリーニング業法の一部改正に関する請願(八  田貞義紹介)(第九三二号)  同(仲川房次郎紹介)(第九三三号)  同(河野密紹介)(第九三四号)  同(山中貞則紹介)(第一〇一二号)  同(有馬輝武紹介)(第一〇一三号)  同(五島虎雄紹介)(第一〇一四号)  同(今井耕紹介)(第一〇一五号)  同(小島徹三君外一名紹介)(第一〇一六号)  同(池田清志紹介)(第一〇一七号)  同(床次徳二君外一名紹介)(第一〇一八号)  同(伊瀬幸太郎紹介)(第一〇一九号)  戦没報道班員遺家族年金支給に関する請願(  中馬辰猪紹介)(第九九〇号)  美容師法制定に関する請願菅野和太郎君紹  介)(第一〇一一号)  上水道地盤変動対策事業継続施行  に関する請願赤松勇紹介)(第一〇二一  号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人招致に関する件  結核予防法の一部を改正する法律案内閣提出  第四八号)  未帰還者留守家族等援護法の一部を改正する法  律案内閣提出第六九号)  戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部を改正する  法律案内閣提出第七〇号)  附添婦制度に関する件  食品衛生に関する件  水道に関する件     —————————————
  2. 中村三之丞

    中村委員長 これより会議を開きます。  まず、未帰還者留守家族等援護法の一部を改正する法律案及び戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部を改正する法律案の両法律案を一括して議題となし、審査に入ります。まず紅露厚生政務次官より趣旨説明を聴取いたします。紅露政務次官
  3. 紅露みつ

    紅露政府委員 ただいま議題となりました未帰還者留守家族等援護法の一部を改正する法律案提案理由について御説明申し上げます。  改正の第一点は、留守家族手当月額を本年十月分より二千三百五十五円に増額することであります。すなわち、従来より未帰還者留守家族に毎月支給しております留守家族手当の年額と、戦傷病者戦没者遺族等援護法規定に基く先順位者たる遺族に支給する遺族年金の額とは、留守家族遺族とに対する処遇の均衡をはかる意味からしまして、同額を支給することとなって今日に及んでおりますので、今回、遺族年金の額が本年十月一日より二万八千二百六十五円に引き上げられることに伴いまして、留守家族手当についても同様に月額五十五円の増額を行うことにいたす次第であります。  改正の第二点は、帰還患者に対する療養給付期間を三年間延長することであります。すなわち、未帰還者留守家族等援護法施行前に帰還した方々で、旧未復員者給与法または旧特別未帰還者給与法により、国が療養給付を行なっていましたものにつきましては、未帰還者留守家族等援護法制定後は、この法律によりまして、引き続き療養給付を行なって今日に及んでいるのでありますが、法に定められた七年間の療養給付期間が、本年十二月二十八日をもって満了することとなりましたので、政府といたしましては、その期間満了後の措置につきまして種々研究いたしました結果、今回療養給付期間を、さらに三年間延長することが適当であると考えられますので、このように措置する次第でございます。  以上提案理由につきまして御説明申し上げましたが、何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことを切望する次第でございます。  それでは引き続きまして、ただいま議題となりました戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部を改正する法律案提案理由について御説明申し上げます。  戦傷病者戦没者遺族等援護法昭和二十七年四月一日より実施され、自来各方面の御協力のもとに二百九万件をこえる裁定を行い、それぞれ援護措置が及びましたことは、まことに喜ばしいことと存じております。今回、援護措置をさらに強化するため、この法律の一部を改正することにいたしましたが、ここにその概要につきまして御説明を申し上げます。  改正の第一は、先順位者遺族年金額を、本国会に別途提案されております恩給法の一部を改正する法律の一部を改正する法律による旧軍への公務扶助料増額に対応して、二万八千二百六十五円に引き上げたことであります。  第二は、遺族年金または恩給法による公務扶助料は、戦没者公務上の傷病により死亡した場合において支給されるのでありますが、太平洋戦争中の戦地で受傷、罹病し、これで死亡した軍人につきましては、太平洋戦争特殊事情、特に戦争末期における戦地特殊事情によりまして、果してその傷病公務によるものであるかいなかの判定に相当の困難を感ずるものもあり、また、軍人戦地において生じた傷病は、その勤務特殊事情から、そのほとんどが公務上の傷病として取り扱うのが妥当であると考えられますので、これらの者が戦地勤務中死亡した場合または戦地勤務を離れてから原則として一年以内に死亡した場合におきましては、公務以外の事由で死亡したことが明らかであるものを除き、援護審査会の議決により、公務上死亡したものとして取り扱おうとすることであります。  第三は、現在弔慰金を支給する遺族範囲は、配偶者、子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹に限られておりますが、弔慰金支給趣旨にかんがみまして、これらの遺族がないときは、他の三親等内の親族で、戦没者生計関係を有していたものにも支給し得ることにいたしたのであります。  第四は、軍人恩給が停止された日、すなわち昭和二十一年二月一日以後に遺族以外の者の養子となったもので、遺族援護法公布の日、すなわち、昭和二十七年四月三十日前に縁組を解消したものにつきましては、右の期間縁組をもって年金の失格あるいは失権の事由とすることは必ずしも適当でないと考え、この改正法施行後は、遺族年金を支給しようとするものであります。  第五は、いわゆる雇用人等軍属につきましては、従来昭和十六年十二月八日以後における戦地勤務の者のみについて本法を適用しておりますが、日華事変中、事変地勤務していた者も、本法の対象に加え、それぞれの規定に従いまして、障害年金障害一時金または遺族年金を支給することにいたしたのでございます。  第六は、軍人につきましては、死亡の原因が公務によるものでない場合におきましても、事変または戦争勤務に関連する傷病によるものでありますときは、遺族に対し弔慰金を支給することになっているのでありますが、太平洋戦争における戦地勤務軍属につきましても、軍人の場合と同様に、弔慰金を支給する措置を講じました。  第七は、太平洋戦争の終結に際しまして、いわゆる単純な憂国の至情の発露として、敗戦の責を痛感して自決した者が相当ありますが、当時、これらの者の置かれた立場等考えますと、その事情まことに掬すべきものがありますので、援護審査会において、公務死したものと同視すべきものと議決したときは、その遺族に対し、遺族年金及び弔慰金を支給することにいたしたのであります。  以上が今次改正の大要でありますが、そのほか、これらの措置に伴う所要の調整もあわせて行なったのであります。  以上提案理由につきまして御説明いたしましたが、何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことを切望する次第であります。
  4. 中村三之丞

    中村委員長 以上で説明は終りました。  なお本案についての質疑は次会以後に譲ることといたします。     —————————————
  5. 中村三之丞

    中村委員長 次につき添い婦制度に関する件についての調査を進めます。  本件に関しましては、昨日山花委員からの議事進行に関する発言もあり、先刻理事会におきまして協議いたしました結果、来たる五月二十七日午後一時より委員会を開会し、参考人より意見を聴取することといたしたいと存じます。  参考人といたしまして、東京民生局長加藤清一君、国立東京療養所長砂原茂一君、国立千葉療養所長岡田藤助君、そのほか中野療養所及び国立療養所浩風園のつき添い婦代表の方一名ずつ、以上の諸君を選定し、その手続等に関しましては委員長に御一任願うことに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 中村三之丞

    中村委員長 御異議なしと認め、そのように決します。     —————————————
  7. 中村三之丞

    中村委員長 次に、本件に関して発言の通告がございますが、政府当局がまだ見えておりませんので、その間、食品衛生の問題について、植村委員から発言を求められておるので、これを許可いたします。植村武一君。
  8. 植村武一

    植村委員 この機会に簡単に伺っておきたいと思うのでございますが、四月二十八日だと思いましたが、衆議院の本会議農林大臣から、酪農振興の一環として高温殺菌措置を認める発言があったのでございますが、高温殺菌とか低温殺菌とかいうようなことは、これは農林大臣権限ではなくて、少くとも厚生大臣権限だと思いますが、そういう発言をされた以上は、政府として、これを認めたと解釈してよろしゅうございますか。
  9. 山口正義

    山口(正)政府委員 牛乳低温殺菌高温殺菌の問題でございますが、これは衛生学的に見まして、狭い意味食品衛生、あるいはもっと広く、栄養の面から考えまして、低温殺菌の方がいいということは、世界各国で認められておるところでございまして、わが国におきましては、低温殺菌原則として実施していくという方針をとっているのでございます。ただ、低温殺菌をいたします場合には、相当施設を必要とするということは御承知通りでございますので、これを中途半端な施設で実施いたしますと、かえっていろいろ弊害の起る場合もございますので、その点十分注意していかなければならないと思うのでございます。政府におきましては原則として低温殺菌を実施していく、しかし、地区によりまして低温殺菌を実施しにくいようなところ、特に農村地区等におきまして低温殺菌施設その他の関係でなかなか実施しにくいというようなところにおきましては、高温殺菌を認めるというような方針で進んでいるのでございまして、その点でどういう地区にそういう高温殺菌を認めていくかということにつきましては、私厚生省当局農林省当局と相談をしながら進めているわけでございまして、農林大臣が御発言になりました点は、おそらく事務当局同士でいろいろ話し合いを進めている線をお考えいただいて御発言いただいたものと、そういうふうに私解釈いたしております。
  10. 植村武一

    植村委員 今、高温よりも低温の方がいいというお話だったと思うのでありますが、これは学者によっていろいろ違うようでありまして、低温の方が非常にいいというデータを持っていらっしゃる学者もあるし、大して変らないという考え方のデータを持っていらっしゃる学者もあることは御承知通りであります。そうしますと、かりに低温の方がいいのだということになりますと、今度、学童高温牛乳を販売してよろしい、飲用させるのが目的だということになりますと、むしろ学童にはいい牛乳を持っていかなければならぬということになるのですが、そういう面については、どういうふうにお考えですか。
  11. 山口正義

    山口(正)政府委員 発育期にあります学童に対しまして、栄養学的に見ましていいと言われておりますのは、今御指摘通りに、低温高温についていろいろ学者によって意見の出ておることは、私ども承知しているのでございますが、大勢はやはり低温殺菌の方が栄養学的に見ていいというふうに言われておるわけでございます。そういうふうに言われております際に、学童に対して高温殺菌のものを飲ませることをどういうふうに考えるかというお話でございますが、できれば低温殺菌牛乳を飲ませることがいいと思うのでございますが、しかし脱脂粉乳のように、栄養学的に見て、現在やっておりますやり方よりも、より一歩前進という点を考えますれば、高温殺菌牛乳でもいいじゃないか。低温殺菌高温殺菌牛乳につきましては、やはり価格の面もありますので、学校給食を実施いたします場合には、経費の点もからんで参りますし、一挙に一番いい点にまでいくということはなかなかできにくい状況もございますので、一歩前進というようなことを考えていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  12. 植村武一

    植村委員 そうしますと、一方は低温でなければいかぬという行き方と、もう一つ高温でも差しつかえない、こういう二つの線が出てくるわけでありますが、そういうことは、かえって牛乳の販売の上において、また牛乳の消費の上において、混乱を起しはせぬかと考えますが、どうですか。
  13. 山口正義

    山口(正)政府委員 先ほども申し上げましたように、いろいろな状況が許せば、低温を全部普及させていきたいという方針でございます。ただ、いろいろな事情のために、現在の日本状況で、すべてそれを採用するということができない状態でございますので、いろいろ特別な措置考えていかなければならないのでございます。その点で、ただいま御指摘のように、一部においては高温殺菌も認められるということになりますと、いろいろ支障あるいは混乱などが起るという点も、現実にあることは承知いたしておるのでございまして、そういう点は、私どもの方と農林当局とよく打ち合せをしまして、できるだけそういうトラブルが起らないように措置して参りたいというふうに考えております。
  14. 植村武一

    植村委員 高温低温の優劣については、先ほどお話のあった通りでありますが、果して低温牛乳というものが現実において販売されておるかどうかということは、私は疑問だと思う。ことに夏季においては、御承知通り低温だったら非常に腐りやすい。そういうことのために、低温と称しておりながら高温をやっておるという面が、私は現実に非常に多いと思う。そういう点はお認めになっておりますか。
  15. 山口正義

    山口(正)政府委員 低温が腐りやすい、高温は腐りにくいという問題については、いろいろ議論があると思うのでございますが、低温殺菌いたしました牛乳一つ長所は、一挙に腐敗菌が発育せずに、その間において乳酸菌が一応繁殖するというようなことで、一挙に腐敗にいくということを防ぎ得るというような長所があるのでございますが、それはそれといたしまして、この低温殺菌の現在のやり方は、低温殺菌いたしまして、そうして一定時間の間摂氏十度以下に下げて保存をしておくというところに、大きな意味があると思うのでございます。そこで、果してそういうふうに十分保存されているかどうかという点が一つ。それから、そういうふうに十分保存されていないと、いろいろまた腐敗——これは高温の場合も同じように起ることでございますが、そういう点で低温殺菌しないで低温と称して、高温をやっておるところがあるということを知っておるかというお尋ねでございますが、私ども一つ一つ当っておりませんが、一部にそういうふうなことをやっておるということを聞いている部面もあるのでございまして、そういう点につきましては、この低温殺菌高温殺菌趣旨を十分その実施している人たちに理解してもらうように、これを衛生当局から府県衛生当局を通じて十分指導していかなければならない。御指摘のように、いまだ日本現実状況として、十分に理解されていない面もあるということは事実でございますので、そういう点は今後十分是正していかなければならぬというふうに考えております。
  16. 植村武一

    植村委員 大臣が、かりに所管大臣でなくても、大臣が本会議高温殺菌を認める、こういうことを答弁された以上は、現在の厚生省令改正されるつもりでございましょうか、お伺いいたします。
  17. 山口正義

    山口(正)政府委員 私、農村大臣の御答弁を今承知いたしておりませんので申しわけございませんが、農林大臣は、全部に高温殺菌を認めていくというふうにおっしゃったのではないというふうに私理解しているのでございまして、その点は先ほども申し上げましたように、事務当局同士で、現在の省令範囲内で厚生次官の通牒でその取扱いをいろいろ規定しているのでございますが、その線で、一部に高温殺菌を認め得るということになっておりますので、私どもといたしましては、省令を別に改正しなくても、現在の取扱いで進んでいける、そういうふうに考えているわけであります。
  18. 植村武一

    植村委員 そうしますと、大臣国会において答弁したことが、現実の面になりますと、府県の知事の権限に属しておるわけです。そういうような不合理は、一つこの際すみやかに是正される必要はありませんか。
  19. 山口正義

    山口(正)政府委員 農林大臣も、おそらく特別な地区について高温殺菌を認めていくという御趣旨で御発言のことと思うのでございまして、そういう点につきましては、私ども県当局と指導いたしまして、この点はしばしば御指摘も受けているのでございますが、府県当局取扱いについていろいろ差があるということを伺っているのでございます。その点は、この牛乳殺菌、それから牛乳を普及させるという趣旨を十分徹底させるように、今後も指導していかなければならない、そういうふうに考えております。
  20. 植村武一

    植村委員 厚生省では、低温殺菌に非常にとらわれていると思うのでありますが、それは今日までそういうふうに指導してきたものを、今度また高温殺菌に切りかえる場合の厚生省としての過去の責任というような問題を考慮されておる面も私はあると思うのであります。しかしながら、こういう問題は、そういうような面子にとらわれずに、現実牛乳というものは、現在の厚生省令制定された当時は、かけがえのない栄養品だということに立って、厚生省としてはやったと思うのでありますが、現在は牛乳というものは主要食糧とみなすべきである。そういう面から、一人でも多くの人に飲ませていい。たとえば、一つの例をとりますと、暖かい乳を冬は飲みたいということが人情なんです。それでも、今の厚生省令では冷やさなければならぬ、冷たいままで飲まなければならぬ。駅売りにしても、またどこかの店頭で買うにしてもそうです。がたがたふるえているときでも、冷たい牛乳を飲まなければならぬ。こういうようなことは、嗜好に反した不自然な省令だと私は思う。そういう点に対しては、一体どういうふうにお考えになっておりますか。
  21. 山口正義

    山口(正)政府委員 嗜好の問題になりますと、これは非常にデリケートな問題を含んでおると思うのでございますが、ただいまの省令でございますと、先ほどから申し上げましたように、一定の温度以下に保存しておかなければなりませんので、家庭に配給しますとき、私どもの手に入りますときは冷たい状態で入ってくるのでございますが、しかし、これを——乳幼児などに飲ます場合も同じようなことが考えられるのでございますが、栄養的に見まして、いろいろな成分を破壊しない程度に少し暖めて飲ませるということは、実際に行われているところでございます。その点、非常に熱いものを飲みたいとおっしゃる方は、これはまた別でございます。そういう点の嗜好の問題は、他の食品についても同じことがいろいろ考えられると思うのでございますが、私どもは、そういう牛乳というようなものについては、栄養品である、やはり主食になっても、栄養的に見ていい状態で飲んでもらうというのが、正しい行き方であるというふうに考えますので、非常に熱くしてしまった場合に、その中に含まれております栄養成分が変化を来たすというふうな場合には、そういうことをされないで、しかもできるだけ嗜好に合うように飲んでもらうというふうに指導していかなければならない、そういうふうに考えております。
  22. 植村武一

    植村委員 私は家庭に入った牛乳のことを言っておるのではなく、たとえば駅売りとか、店頭販売の場合です。これは冬に冷たい牛乳を売ろうたって売ればしませんし、飲む方にしても、またそんなものを飲みたいという気づかいはない。そんな点は、一体どういうふうにお考えになりますか。
  23. 山口正義

    山口(正)政府委員 駅売り、店頭の具体的な問題になりますと、いろいろ困った問題も起るかと思うのでございますが、そういう際にも、できるだけ微温で飲めるように、いろいろな措置考えていただかなければならぬのではないか。私どももそういうふうに指導するのが正しい行き方ではないか。先ほども申しましたように、低温殺菌できるというような場合に、わざわざそれを熱くして、その中に含まれております栄養成分に変化を来たさせるというようなことは、なるべく避けるべきではないかというふうに考えます。
  24. 植村武一

    植村委員 局長の今のお話は、高温になったら非常に栄養分が悪くなるという考え方に立っての御議論だが、しかし、これは学者によって違うのでビタミンC以外は大して差がないということが学者の常識になっておると思う。それなのに、なお低温にこだわられるということの真意がわからない。ことに大臣国会において答弁している以上は、そのことを都道府県の知事の許可を要するというふうなことは、私はもってのほかであると思う。これはやはりすみやかに厚生省令改正されて、実施されんことを私は望んでおきます。
  25. 八田貞義

    ○八田委員 今のに関連して質問をしたいのですが、四月の自然休会明けの本会議におきまして、河野農村大臣は、厚生大臣との間に昨年十二月末覚書を交換して、高温殺菌牛乳の消費奨励を推進することになっているとお述べになったが、どのような内容を持った覚書か、お知らせ願いたいのであります。
  26. 山口正義

    山口(正)政府委員 ただいま手元に持ち合せがございませんので、後ほど資料を取り寄せて御報告申し上げます。
  27. 八田貞義

    ○八田委員 またあとで詳しく聞いてみたいと思います。私はその覚書の内容の詳しいことは知りませんが、大体山間僻地に限って高温殺菌乳を許すということが、覚書の中にあったというふうに聞いております。こういうふうになりますと、省令五十八号が五十二号に改正されたときに、次官通牒としてすでに出ているわけなんです。それをさらに覚書を交換されたのは、省令五十二号をお知りになっていなかったためか、またはどのような考えがあってこのような覚書をさらに交換されたのか、そういうことについてお伺いいたしたいのであります。
  28. 山口正義

    山口(正)政府委員 覚書の詳しいことにつきまして、は、あとで御報告申し上げたいと存じます。  ただいま八田委員からの御指摘の点でございますが、これは次官通牒の線に沿って従来までやっておったのでございます。その点で、先ほども申し上げましたように、一部県によって非常にでこぼこがございます。そういう点で、趣旨を徹底させていきたいという考えで今回の措置をとっていきたい、そういうふうに考えております。
  29. 八田貞義

    ○八田委員 農林省におきましては、中小都市に高温殺菌施設設備費としまして二千二百八万円を本予算に計上しておりますが、この場合厚生当局におきましては、このことを知っておられるかどうか。
  30. 山口正義

    山口(正)政府委員 その予算につきましては、私ども承知いたしているわけでございますが、それを実施いたします場合に、どういうところにそれを実施してもらうかということについては、農林省と厚生省とよく相談して進めていくということにいたしております。
  31. 八田貞義

    ○八田委員 省令第五十二号におきまして、山間僻地における高温殺菌乳を認めておりますのは一石から二石、あるいは二石限度内の処理能力、すなわち家庭能力を対象としたものであります。このような場合には、今民間で起っておるところの十円以下の牛乳販売も期得できるわけなんです。しかるに、農林省における予算のように中小都市を対象とするとなりますと、工場処理を要求することになります。従って高温殺菌の方式を採用することとなりまして、施設費におきまして今までの低温殺菌処理法とあまり違わないことになります。そういう点について、どう思われますか。またこのような工場処理をすることになりますと、牛乳が安くなるということは全然考えられないのであります。この点について、御所見をお伺いしたいのです。
  32. 山口正義

    山口(正)政府委員 従来から、高温殺菌の方法によりますと、低温殺菌より牛乳の価格が安くなると言われておるわけでございます。しかし、ただいま八田委員から御指摘のように、高温殺菌相当大規模に実施していくというときにバック消毒をたくさんやるということになりますと、やはり相当経費がかかりますので、必ずしも高温殺菌乳の方が安くなるというふうにも言えないと私ども聞かされているのでございます。それはただいま八田委員の御指摘通りでございます。一石、二石というような場合、大体一千本ないし二千本というような処理でございますが、これは必ずしも家庭ばかりというふうにも考えられませんで、ある程度の規模の施設はしなければならぬというふうに考えられるのでございます。私ども一応取扱いは、厚生次官通牒では一千本ないし二千本ぐらいの線のところをねらって、できるだけそういうところには高温殺菌を認めて牛乳の普及をやっていきたいというふうに考えているわけでございまして、農林当局の予算に計上いたしておりますその地区につきましては、先ほど申し上げましたように、これは事前にもいろいろ話がございましたが、私どもの方ともよく相談して、現在の牛乳普及の態勢の線にのっとってやっていきたい、そういうふうに考えております。
  33. 八田貞義

    ○八田委員 今の説明で大体わかりましたが、一石から二石というと、家庭能力を対象としたそういう作業であります。従って農村においてのみ現在やられておるのでありますが、どうかその点についてよく認識されまして、特に農林省におきましては、中小都市を対象とすることになっておるのであります。この点について、農林省の方に今の御意見を十分にお伝え願いたいと思うのであります。大量消費のための施設費となりますと、ただいま申し上げましたように高温殺菌処理工場も低温殺菌処理工場も、あまり変りはないということになって参ります。かって牛乳調製法というものができまして、予算も計上されまして、各県で乳質の改善向上のための牛乳検査を実施するための検査所が設けられたことがございますが、これがいつの間にか消えて、その後仕事をやっておらぬ。高温殺菌乳の施設補助費がこのような運命をたどっていかないことを願うのでありますが、厚生当局におきましては、公衆衛生の見地からいきまして、また将来農民あるいは消費者側のためになると思って、農林大臣の予算計上に同意されておったかどうか、その点についての御意見をお聞きしたいのであります。
  34. 山口正義

    山口(正)政府委員 農林当局の提出いたしました予算につきましては、ただいま八田委員から御指摘通り、やはり農村の振興ということと同時に、公衆衛生という広い意味から、栄養的に見まして牛乳の消費が多くなるということは望ましいことでございますので、その点で協力したいと思っております。ただし、その際に、狭い意味食品衛生という点を決して忘れないように、その点十分注意していかなければならないというふうに考えております。
  35. 中村三之丞

    中村委員長 八田君に申し上げますが、関連質問は簡単に願いまして、あなたのお申し出のつき添い婦制度に関する御質問をお願いいたします。
  36. 八田貞義

    ○八田委員 そうしますと、私は衛生科学処理の面についてお伺いしたいのでありますが、時間がないようでございますから、いろいろな高温殺菌乳を認めるに際しまして、どのような衛生監視の方法をとられておるか、こういうことにつきまして、何か具体案をお持ちのことと思いますので、あとで一つお知らせ願いたいと思うのであります。
  37. 山下春江

    山下(春)委員 ちょっと関連して。今植村委員、八田委員お話を聞いておりまして、そのほかのことでちょっと基本的なことをお伺いしたいのですが、低温殺菌をやりますために、農村でも大体百二、三十万円の施設費をかけて、今すでにやっておるのであります。そういう時代に、この高温ということを、政府部内である省では高温と言い、ある省では低温を奨励しないまでもそれを停止させないというようなことでは、すでに資金の払底しておる農村の微弱な人々が、百数十万円の資本をかけて低温施設をいたしたことに対しまして、非常な混乱と焦燥を感じさせておるのでありますけれども、一体どうしてそういうことが起ったのか。そうして今お話を聞けば、低温が大体厚生省は基本的にいいと考えておる、高温でもこれという悪いところはないということであるにかかわらず、そういう牛乳というものは、今谷委員から言われたように、今ではただ単なる栄養素とか、ぜいたく品とかではないのでありまして、そうして農林省がどのように有畜農業を他の法案で奨励いたしましても、現在のようなそういう使用面の管理が混乱しておったり、あるいはいろいろな面で酪農の奨励をするかたわら、消費する面がそういうふうに混乱しているということは、乳牛を飼っている農村の酪農家にとっては一大脅威であります。一体厚生省は、農林省が何といいましょうとも、衛生方面を担当する厚生省としては、しっかりした一つの信念がなくてはならないと思いますけれども、どうしてそんな混乱を起したのですか。
  38. 山口正義

    山口(正)政府委員 厚生省といたしましては、先ほどから御答弁申し上げておりますように、低温殺菌の方がいいわけで、低温殺菌でいくのが本筋であるというふうに考えて、従来からも、ただいま御指摘のように農村等におきましていろいろ施設をして、それに対して、かつては融資の世話をしたということもあるのでございます。それでできるだけ進んでいきたいという方針には変りはないのでございますが、ただ酪農を振興して参ります場合に、地区によりまして、必ずしも低温殺菌が直ちにうまくできるというところばかりでもございませんので、そういうところには、やむを得ず高温殺菌を認めていきたいという方針で進んでいくのでございまして、ただいま御指摘のございましたいろいろ混乱を起しているじゃないかという点につきましては、役所のやり方がはっきりしないからというおしかりを受けるかもしれないのでありますが、私どもといたしましては、低温殺菌原則で、例外的に高温殺菌もやむを得ないところには認めていきたい、そして牛乳の消費をはかっていきたいという線は現在も変っておりません。ただいま御指摘のように、あっちこっちで混乱が起っている、これは役所の責任であるという御指摘があれば、まことに申しわけないと思いますが、そういう点は、今後はないようにしていきたいと思います。
  39. 山下春江

    山下(春)委員 そういう腰の弱い御答弁じゃだめでありまして、厚生省が、高温殺菌でもいいのだという学理的な根拠がくつがえった一つの原因があればよろしいのでありますけれども、今もって厚生省がないとおっしゃるならば、これは農林大臣厚生大臣が圧力をかけられたかどうかしりませんけれども厚生省が屈服した態度であって、農村の山の中で低温殺菌はできないはずはないのです。高温殺菌をするだけの融資のめんどうをごらんになれば、どんな山の中の単位農協でも、これをやろうとしているのです。それでその地域の牛乳学童に最も低廉に、原価同様に配給するということになれば、学校給食等におきましても、非常に有望な牛乳のはけ口があるのです。そして今回政府は経済六カ年計画の中にそういうものを織り込んでいるはずであります。そういうことならば、少くとも学童あるいは学校の先生あるいは学校の職員に漏れなくなま牛乳を飲ませるという一つの線に立ってこそ、酪農が考えられるのであって、その他の製品では、とても酪農の優秀な将来の見通しはないと思います。それならば、厚生省はそういうことに屈服しないで、これだけの予算を分散しないで、これまでと同様にどんないなかにでも——いなかには低温殺菌ができないという確固とした何か一つの理由がございますか。
  40. 山口正義

    山口(正)政府委員 低温殺菌を実施いたします場合に、先生も御承知と思いますが、相当程度の施設が必要でございます。この言葉は適当でないかもしれませんが、非常に簡易な低温やり方をいたしますと、温度が低いために、かえってその前後の取扱いを間違いますと、雑菌なんかが入る心配がありますので、その点で低温殺菌をはっきり規格通り実施いたしますには、ある程度の経費がかかるのでございます。そういう点で、私どもあまり無理なことは要求できないのじゃないかということを考えております。
  41. 山下春江

    山下(春)委員 そういたしますと、今私が申しました農村にやっております百三十万円ないし百五十万円の施設は、厚生省の許可になっておりますが、あの許可はでたらめだったのですか、あれでも差しつかえないのでございますか。
  42. 山口正義

    山口(正)政府委員 現在やっております施設は、県当局がちゃんと許可してやっております。ただその際に、取扱いにいろいろなれない点がございまして、雑菌が入っているというようなデータも出てきておりますので、そういう点は、私ども十分是正していかなければならないと存じておりますが、あまり零細なところまで相当の金額の施設をしてもらうということが無理なときには、それはそうまで無理をしないようにしていきたいと思います。
  43. 山下春江

    山下(春)委員 結論を出させていただきます。あまり零細なところまでとおっしゃるのですか、高温殺菌といえども、零細なところで措置をすることは不可能なんです。農村の山の中の御事情をもう少し深刻にお考えになれば、高温殺菌といえども、まことに零細な措置をもってやるということは不可能です。ある程度それは集約しなければできないのであります。そうすると、低温であろうと高温であろうと、その施設に対しては全く違いはないということです。すでに今日までまじめに厚生省の指示に基いて県の許可をとって低温を進めているものに対しては、これは非常な変革を与えることです。農村の酪農地帯に対しては、政府として実に申しわけない一つの精神分裂だと思うのであります。こういう朝令暮改をやられたのでは、農村の酪農家だけが迷惑をするのでありまして、そういう点で農林省が高温を許すということも、農林大臣がそう言明されたかどうか、予算委員会は私知りませんけれども、まだ今日からでも是正する余地があるならば、従来厚生省が自信を持って指導した方向に、これらの予算をどうにか振りかえてもらって、その線でいってもらいたい。私は酪農地帯から出ている者ですから、特にその感を強くするのであります。非常に産地に混乱と焦燥を覚えさしているということは、酪農の将来に非常に暗い影があります。その点は、厚生省がもう少し自信を持って、このことを農林省と御交渉願って、なるべく末端に混乱を起さないような方法を講じていただきたいと念願しております。     —————————————
  44. 八田貞義

    ○八田委員 牛乳問題がまだありますが、あとにいたします。  昨日の同僚委員政府の質疑応答から、私の質問も大分狭まってきたのでありますが、つき添い婦の問題に関して、なお二、三疑義をただしたいと思いますので、質問いたします。  医療法施行規則第十九条第一項の三号におきましては、患者に対する看護婦及び准看護婦の配置は、患者四名に看護婦一名ということが定められております。国立結核療養所におきましては、患者六名に看護婦一名を配置することを一応の基準としていると聞いております。ところが、実際には欠員その他で、看護婦の数が非常に不足しているのが現状でありまして、調査によりますと、国立療養所におきましては八・三名の患者に対しまして一名の看護婦しか配置されていないということであります。大幅に増員できない。そこで看護の補助業務に当る者のかわりとしてつき添い婦がいわゆるナース制度として、常時看護を必要とする患者、また手術直後の患者につき添いまして、現在の看護婦定員ではとうてい手の回らぬ看護をいたしているわけであります。すなわち、現在の看護態勢を補うため、また必要のため、つき添い婦制度ができたものと解釈しているのであります。しかも、医療技術の進歩に伴いまして、外科手術の適した患者もその数を増すこととなると思うのであります。局長さんは、外科患者だけについてみても、今までのところ大体総ベッド数の一割二、三分のところが一ヵ年の手術件数となっていると言われますが、これはもちろんのことで、今後設備を十分に改善していけば、今後はもっと手術件数は増加していくものと見なければならない。というのは、現在においても医療券その他によって抑制され、つき添い婦がつかないから、仕方なく外科手術を見合せるといった現状にあるからであります。すなわち、外科医師からすれば、もっともっとナース制度をふやしてもらえれば、手術患者をふやすことができると言い得るのであります。しかるを、局長さんは数次にわたる説明において、つき添い婦制度を常勤労務者として採用することによって、療養所内における看護の態勢を整えることができる、病院の管理を施設長一本にまとめる体制にすることができると言われますが、現在のつき添い婦が病院の統制力に入っていない、指示を受けないでやっているというような事実があるのでしょうか。あれば具体的にこういうことがあったと、実例をあげてお示し願いたいのであります。  それにもう一つ、二千二百七十名を常勤労務者として採用すれば、ナース制度として十分やっていけるとお考えになった医療技術上の根拠をお示し願いたいのであります。
  45. 曾田長宗

    ○曾田政府委員 ただいまの御質問に対しまして、あるいはお答え漏れがあるかもしれませんが、そのところは、また重ねてお尋ね願いたいと思う次第であります。  今日におきまして、看護婦の一応の定員というものは、一万人余りになっております。病床は大体六万床でございますので、六人に一人という工合になっておるのであります。ただいまお話のございましたように、十分に定員を満たし切っていない、欠員があるというようなこと、あるいは昨日もいろいろお話し申し上げましたように、この看護婦の定員を雑仕婦が食っておるというようなことで、現実に資格のある看護婦はそれだけおらない、これは仰せの通りであります。しかし、これはいわゆる雑仕婦と申しておりますけれども、事実は看護補助者といったようなものがこのほかにございまして、これが看護婦の定員を食っております。そういうような意味におきまして、今お話の比率よりは、幾分看護員の人数はふえておるわけでございます。しかしながら、それにしましても、私ども当然別個に認めていただくべき雑仕婦というものがないために、非常に無理をしておる。その欠を補うために、外からつき添い婦さんに入ってもらっているということは、御承知通りであります。これを先般来お話し申し上げておりましたように、大体今度の二千二百七十人という人たちが新たに認められるといたしますれば、外来棟あるいは手術棟、治療棟というところでもっていろいろ仕事をいたします者、あるいは婦長、総婦長といったような特別な監督に当ります者、こういう者を除きましても、看護員としては、大体六人に一人くらいというような配置ができるのではないかというふうに考えておる次第であります。  それから手術の件数というものが、今後ふえるのではないかというお話につきましては、これは私どもとしましても、国立の療養所は、一般の国内におきましての結核患者の収容施設というものの平均に比べまして、手術に重点を置いていくべきだというような考え方をもっていろいろ計画も進め、また大蔵省の方にもいろいろ御考慮を願っておるのであります。しかし、遺憾ながら、いろいろ設備を要するような、より経費のかかります処置というようなものをいたしますことについて、なかなか私どもが思うように設備が整って参りません。こういうことであるにかかわらず、外科の手術というものを既存の設備だけでできるだけ一つ力を入れて手術件数をふやすようにというふうに指示はいたしておりますけれども、今のようないろいろの隘路がございまして、どの程度に進めて参りますか、私どもとしては、もっと進めたいと思っておりますが、そうむしょうにふえていく、急激にふえるということは、必ずしも考えられないのじゃないかというふうに考えております。  それからもう一つは、これは手術を希望する患者の問題もあるわけでございますが——これはまだあまり確たる事実として申し上げかねるかもしれませんけれども、かっての結核の実態調査などにからみまして、いろいろ付随的な調査が行われました資料等から推察いたしますと、いろいろ化学療法の発達と申しますか、改良と申しますか、こういうような点から考えて、外科の適応症というものが、むしろ幾分減ってくるのじゃないかというような説がございますことも御承知通りだと思います。こういうようなことで、私どもとしましても、これは将来まだふやしたいというふうには考えておりますけれども、どの程度にこれがふえてくるものかということにつきましては、十分それを基礎にするだけの伸びを見るわけにもいかないのであります。大体三十年度の予算といたしましては、私どもこれくらいのところでどうにかまかなっていき得るのではないかというふうに考えた次第であります。
  46. 八田貞義

    ○八田委員 ただいま、もう一つ質問を申し上げた病院管理の必要からつき添い婦制度を廃止するのだとおっしゃったが、その運営につきまして質問をいたしたのであります。その点。
  47. 曾田長宗

    ○曾田政府委員 具体的な事例と申しますと、これはいろいろ響くところもございますので、私のうろ覚えのようなことを申し上げることもどうかと思います。とにかく、いろいろ今のような体制でございますと、十分その所長の意思が通じないことがある。絶対に所長の意思が通じないというようなことは、私どもも申さぬのでありまして、大体円滑にいっておりますときは、院の趣旨と申しますか、チーム・ワークをこわさずにいくというようなことができると思うのでありますけれども、ときによりましては、その間にそごを生ずる。もう一つの問題は、いわゆる勤務の体制を整えていく。先ほどからもお話がございましたが、たとえば二十四時間引き続き不眠不体で看護をしなければならぬような患者さんもある。こういう場合にもしも院の職員としてでございますれば、これを二人なり三人なり、大体三人になると思うのでありますが、交代制でもって休息もせずに——休息もせずにと言えば言葉が悪いかもしれませんが、引き続きだれかを責任者といたしましてつけておくというようなことも考えられるのでありますけれども、今のような体制でございますと、どうしても一人のつき添いさんに二十四時間一応ついていていただくという形になします。これが一日ならいざ知らず、二日もあるいは三日も続いたというようなことになりますと、これは生理的に不可能なことでございまして、こういうようなときに交代制を考えていくというようなことは、これは院の職員としてでございますと、その勤務をいろいろ指示していくことができるというようなことで、さような意味で所長が十分にその勤務の体制と申しますか、これを整えていく、あるいは指示をしていくということができます。そういうことが、特別にいろいろな闘争が起ってくるというような意味では必ずしもございませんで、そういう積極的な所長の計画というものが、どうも十分に実施できかねるような事情にある、さように御了承願いたいと思います。
  48. 八田貞義

    ○八田委員 今のお話を伺いますと、つき添い婦は、どうも監督が十分にいかないで、つき添いはどうも熱心にやらないというようなお考えをお持ちのようであります。さらに、今のお話をお伺いいたしましたり、また今までのお話を伺っておりますと、つき添い婦の不正受給というのがきっかけとなって、廃止を計画するに至ったのであるというような一般の印象を、さらに濃くするようであります。病院管理をどうしてもやりたい、設置を一本にまとめていきたいという構想の方があまりに強過ぎて、少数の悪い例だけを取って全般を律するように、しかもまた、現在の結核療養所の実情を無視して、つき添い婦の定員を合理化しようとするように考えられてなりません。つき添い婦の方々は、多年療養所におって生活してきた人々ではありましょうが、また療養所においていろいろと協力してくれた人たちであります。そういった人たちの側の立場というものも一つ十分にお考え願いたいのであります。単に療養所の管理の面だけから考えるのではなく、つき添い婦の実態というものをよく考えていただくとともに、患者の不安のないようにしていただくことをお願いいたしたいのであります。  それからもう一つ、患者二十五人につき添い一人というこのたびの制度につきましては、さいぜんからの御説明にもありましたが、私の調査したところでは、二十九年当初のベット数六万三千五百かける二十五分の一で二千五百四十人となります。ところが雑仕婦としまして現在二百七十名がおるので、差引二千二百七十人となる、こういった計算の基礎からきているように承知いたしております。局長さんは、つき添い婦は移動性、動揺性があるから、現在員をはっきりとつかみ得ないと言われておりますが、約三千六百人は現在つき添い婦として生計を立てている人たちであるといわれているのであります。しかも、四百へは自費でもってつき添いを願っておるので三千二百人だけが医療券の発行によってつき添い婦として働いているということになりますので、差引九百三十人が職にあぶれる格好になります。しかし実際には、二十九年末には千床のベッドがふえておりますので、これを勘定に入れますと、千人について四十人分割合でつき添い婦が新たに採用されます。そして八百九十人となってくるわけであります。さらに本年度の千床増加によって四十人が採用されるといたしましても、八百五十人たけは残る勘定、すなわち、つき添い婦廃止によって八百五十人の人は職を失うことになります。三千六百人と申しましても、これは確かな人員数ではありません。仕事の性質から、始終継続して従事する人もありましょうし、一カ月置きくらいに来る人もありましょう。ですから実際には、今までつき添い婦として生計を立てている人の数は、全国看護同盟の言うごとく、四千百十九名くらいはあるものと見なければなりません。どうか一つこの点を十分に御調査願いたいのであります。  以上は、算術計算の上から、つき添い婦廃止に伴う失業者の数を想定いたしたのでありますが、採用条件によりては新規に雇う者もできましょうから、もっともっと失業者の数は増すものと考えなければならない。千名以上の、あるいは二千名くらいの仕事にあぶれる人の出現を考えなければなりません。そこで私は、政村としてどのような方法によって採用されるか、その条件ともいうべきものについてお聞きいたしたいのであります。
  49. 曾田長宗

    ○曾田政府委員 つき添い婦の仕事といたしましては、大体看護婦の手の足りないところを補う——つき添い婦の中にも五、六%は看護婦の資格を持っておる方もあるのであります。この仕事、それから、そのほか患者さんの身のまわりの仕事と申しますか、いろいろ、からだの清拭、被服の洗たく、あるいは副食の調達というようなこともしておられるわけであります。さらにそのほかに、これは直接医療とは関係はございませんが、長い間生活しておられるということになりますれば、何かの買い出しをするとか、あるいは郵便を出しに行くとかいうような、いわゆる小間仕事のようなものもあるのであります。現在はこういうようなものをいろいろ雑多にやっておられると思うのであります。私どもとしましては、院としては、ただいまもお話し申し上げましたうちならば、看護婦として当然やらなければならぬ、いろいろからだの清拭等、あるいは副食にいたしましても、実際に病状としては一般食がとれないといったような人たちに対しては、これは看護婦ではございませんけれども療養所として、さような患者さんには、その口に合うような、病状に適した主副食というようなものを準備するとかいうことを考えていかなければならぬと思います。また洗たくの問題等につきましても、今日におきましては、洗たく場の設備というようなものは、相当に整ってはおるのでありますけれども、今万般のものをお預かりするというわけにはいかないようなことになっております。これが全然患者さんの専属のつき添いさんがいないというようなことになりますれば、この処理ということも、私ども所として考えていかなければならぬと思うのであります。こういうようにして参りますと、結局看護婦の手伝いといたしまして、必ずしも今日の看護婦が受けております教育水準とか、あるいは試験を通ったというような条件は満たされないけれども、実際には看護婦さんの手伝いを十分にしていけるような方を採用していくということであります。もちろんこの中には、多少技術的には必ずしも十分でないという方があるかもしれぬ、ことに年のいっておられる方々の中には、そういう方があるのであります。にもかかわらず、非常に親切に患者さんのお世話をやいて下さっている、あるいはいろいろな他の職種の者とチーム・ワークをよく取ってやっていって下さるというような方もございますので、こういうような方々を、形式的にただ年を取っているとかなんとかいうことでもって排除するというようなことはないようにいたして参りたいというふうに考えております。
  50. 中村三之丞

    中村委員長 八田さん、まだ長いですか。
  51. 八田貞義

    ○八田委員 ええ、もう三十分ぐらい……。
  52. 中村三之丞

    中村委員長 それでは午後にお回し願えませんですか。
  53. 八木一男

    八木一男委員 議事進行について。午後になさるような御意向でございますが、それは私としてはけっこうでございますが、先ほど御通告申し上げております通り、川崎厚生大臣に、午後できるだけ早く、十分な時間を取って出席があるように、委員長から強力に御交渉いただきたいと思います。予算委員会の方にも出席要求があるそうでありますけれども、ただいま予算委員会があるからと申しましても、差し繰り合って、両方かけ持ちもできるはずでありますから、午後には必ず厚生大臣が出席できるように強力に御交渉願いたいと思います。
  54. 中村三之丞

    中村委員長 厚生大臣の出席につきましては、ほかに大橋君からも要求がございますから、午後出席するよう強硬に申します。     —————————————
  55. 中村三之丞

    中村委員長 なお、この際ごく簡単にということで、水道に関する問題について越智君より発言を求められておるのでございますが、これを許します。越智君。
  56. 越智茂

    ○越智委員 山口局長に二、三ごく簡単にお伺いしたいと思います。それは南海水道が南海震災で地盤が沈下いたしまして、これによって飲料水に塩水が出て参りました。政府におきましても昭和二十五年から二十九年度まで、ある程度の予算をつけてこれを解決して参りました。ところが、現在まだこれらに関係する事業が七億八千万円残っておることは御承知通りであります。しかるにかかわりませず、三十年度の予算に三千万円しか計上いたしておりませんが、厚生省としては大蔵省と折衝の場合、三千万円要求したのか、あるいはいま少し多く要求したのか、これをまず伺いたいと思います。
  57. 山口正義

    山口(正)政府委員 ただいまお尋ねの地盤沈下の水道の予算でございますが、これはただいま越智先生が御指摘のように、昭和二十五年からずっと計上いたしておりまして、一応継続して参りまして大体昭和二十八年で終了するという予定で進んで参ったのでございます。しかし、どうしてもまだ終了いたしませんので、昭和二十九年も一応予算を要求したわけでございます。その際に、大体従来の見通しから、この程度で終りにするというようなことで進んで参っておったのでございますが、どうしてもまだ終了いたしませんので、三十年度続けて予算を要求したわけでございます。ただいま、なお数億の事業量が残っているのではないかという御指摘でございます。私どもいろいろ調査をいたしているわけでございますが、あとからあとから塩水が入ってくるというようないろいろな事態が起って参りますので、この地盤変動の計算には、非常に複雑なファクターが入っているのでございます。ただいまお尋ねの要点の、厚生省として三十年度どれくらい要求したかという点につきましては、従来のいきさつもいろいろございましたので、大体二十八年で終りであるというような見通しで進んで参っておりました関係で、その際ずっと進んで参りました予算の要求の残っておりました分三千万円を要求したというようなことでございます。
  58. 越智茂

    ○越智委員 これは御承知のように、二十八年にあなたの方の厚生省と大蔵省が査定をいたしました九億六千万円は残っておる、こういうことを認めたように思いますが、これはそう承知してよろしいのですか。
  59. 山口正義

    山口(正)政府委員 ただいまの事業量をどういうふうに査定したかという御指摘の点、私ちょっと詳細に承知いたしておりませんので、あとで調べて御報告申し上げます。
  60. 越智茂

    ○越智委員 これは御承知のように特殊の問題であります。簡易水道の面で別に考えておるようにも考えますが、この簡易水道は四分の一の補助、地盤沈下の方は二分の一、そういうことになりますと、今まで地盤変動対策でやって参りました個所と、今後変って参ります四分の一補助では、非常な開きがあります。あなたの方も大蔵省も、七億八千万円残っておる、こういうことを認めておりますので、今後これらの問題につきましては、特にお考え願いたいと思います。同時に、私どもこういう大きな問題をそのままほうっておくということも許しがたいと思いますので、私ども何かの形でこれらの修正をする機会を持ちたい、かように考えておりますが、この三千万円で事足っておるのではないということはお認め願えますか。
  61. 山口正義

    山口(正)政府委員 三千万円を要求いたしましたいきさつは、先ほど申し上げましたように、従来の二十八年度でおしまいだというようなことで、その残りというようなことでやっておるのでございますが、先ほども御指摘のように、地盤変動の問題は、ずいぶんあとになっていろいろの事態も起ってきておりますので、私どもその点は十分考えていかなければならぬ問題であるというふうに考えております。あと一般簡易水道でまかなったらという意見も出ておりますが、それはただいま御指摘のように、補助率が違いますので、実施市町村としては非常に困難を感ずるのではないか、いろいろの点を勘案して私ども考えられれば考えなければならぬのじゃないかというふうに思います。
  62. 越智茂

    ○越智委員 次に、簡易水道でありますが、これは国民の非常な要望でありまして、私どもこれに大いに努力して参りました。ところが本年度は昨年度より非常な削減をしておりますので、これだけではまかない切れないと思っております。この点につきましては、厚生省におきましても今後一そうの御奮発を願いたい、そういうことを要望いたしておきまして、私の質問を終ることにいたします。
  63. 中村三之丞

    中村委員長 午前中はこの程度にとどめまして、午後二時まで休憩いたします。    午後零時十七分休憩      ————◇—————    午後二時二十六分開議
  64. 中村三之丞

    中村委員長 休憩前に引き続きまして会議を再開いたします。  つき添い婦制度に関しての調査を進めます。八田貞義君。
  65. 八田貞義

    ○八田委員 採用条件につきまして、はなはだ漠としたお答えをいただいたのでありまするが、現在のつき添い婦の中から採用するのは、施設長であると了解していいのですか。
  66. 曾田長宗

    ○曾田政府委員 施設長が選考いたします。
  67. 八田貞義

    ○八田委員 そうしますと、先ほどの御説明におきまして、つき添い婦の平均年令は四十七才で、中には七十才以上の者もあるが、決して年令というものに機械的にとらわれないで採用する、しかも施設長に一任するというふうに言われておるのでありますが、必ずしもこれが守られるという安心感は浮んで参りません。あなたのさいぜん言われたような考えを持つ人もありましょうし、全然別な観点に立って採用する人もあると思われます。いろいろと今までもっともらしい理屈が述べられてきておりますが、そのねらうところは人員の整理、人員の交代ということにあるのではないでしょうか。もしそうでなかったならば、ただいま大きな問題となっているつき添い婦制度に関する反対運動が起るはずはないと思うのであります。さらにまた、先ほど説明の中におきましても、優秀な者だけ採って、その他の者については整理していくというような意味のことを言われたのでありますが、ただいまのような採用方法でいきますと、えてしてボス的存在のようた人だけが採用されて、黙々として働いている人が失業するというような、正直者がばかを見るというようなことが起りかねないのであります。しかも、つき添い婦の大部分の人は、病夫や小さい子供を持つ戦争未亡人やあるいは引揚者など、一家のにない手として働いている不幸な境遇にあるのであります。このような人を仕事にあぶれた日雇い労務者のような状況に追いやってよいでしょうか。このようなみじめな人を失業即死を意味するような境遇に追いやって、どれだけの経費が節減できるとおっしゃるのですか、一つお伺いいたしたいのであります。
  68. 曾田長宗

    ○曾田政府委員 新たに増員になりました雑仕婦として採用いたすという人たちの選考につきましては、もちろん病院長がこれを行うのでございますけれども、その際の考え方、方針というようなものは、各施設長に十分納得できますように指示いたします。またその後につきましても、その適用の状況ということについては、私どもの方も監督をいたして参るというふうに考えております。  それから、非常に生活に困っておられる方々に対して、結果として非常にむごい措置に陥りはしないかという御懸念に対しましては、理論的に申しますれば、私どもは医療施設をお預かりいたしておるのであります、患者さんのお世話ということが第一任務でございますので、未亡人等の生活については、私どもは決して一時的に責任を持っておるわけではないのであります。しかしながら、職員の採用というようなことにつきましては、もちろんそういうように非常に狭い考え方ではならないというふうに考えておりますので、私どものすなわち施設の立場として、できる限りはその点も考慮して参りたいというふうに考えておる次第であります。
  69. 八田貞義

    ○八田委員 経費の節約の点についてはどうですか。
  70. 曾田長宗

    ○曾田政府委員 私どもは、この制度によりまして、経費が著しく節約されるということを目的とはいたしておりません。
  71. 八田貞義

    ○八田委員 経費の節約の面から考えたことではないと言われるならば、医療体制をよりよくしていくという点で考えられていると思うのでありますが、従来、療養所の看護定員は不足がちであるのと、診療内容におきましても外科療法がふえてきた、またふやしたいということで、現状におきましても手不足を職員の間から訴えられているということを耳にしております。つき添い婦も必要に応じて適正に配置して、遺憾のないように看護態勢をやると言われますが、現在の状態でさえ、つき添い婦が足りないと言っておるのです。国立中野療養所の医療従業員の数は看護婦、雑仕婦、つき添い婦を含めて患者三・二名に一名であつたのが君名に一名ということになり、今までよりも下回る手術しかできないというようなことが起ってきましょう。患者もまたこのような状況になるのでは、不安で手術を拒むことになりましょうし、また療養所内におきましても入院を断わるような事態も予想されるのであります。準備態勢のできた施設から、たとえば手術件数とか、現在つき添い婦のいる数などから、看護力の低下しないように配分されることと思いますが、これでは二十五人に一人の配分を受けることができない施設もできてくると思われます。ですから、つき添い人を一切つけさせぬというような方針をきめてしまうことは、あまりにも実情を正しく把握したものではないとのそしりを受けることになりますので、十分御調査の上、患者あるいはつき添い婦の不安を招くような急激な制度の改廃をお慎しみ願いたいのであります。療養所長の間でも、この問題について寄り寄り協議し、強く反対的態度に出ておると聞いておりますが、どうでございますか。
  72. 曾田長宗

    ○曾田政府委員 療養所長に対しましては、私ども考えていることを随時考え方の進行に伴いまして、ある程度伝えているわけであります。またそれに対して、所長の意見というようなものも聞いてみております。みな大ぜいの人たちが集まっているときもあり、また個々に私どもの方から出向きまして相談をしてくるという場合もあるのであります。その結果から申し上げますと、初めに話を持ち出しましたときには、結局人員が非常に不足しているというようなところから、できるだけ職員の多数増員を必要とするというようなことで、私どもがある程度出しました案に対しても、非常に懸念を持っている人たちもあったことは事実であります。ところが個々の施設についてみますと、非常に不安に感じておられるところと、それからどうにかやっていけるでしょうというふうに考えておられる人たちとございます。結局療養所長は、一つ一つ療養所を責任を持って引き受けているわけであります。従って自分の施設についてはいろいろな意見を申されます。しかしながら、他の施設につきましては、いろいろ相互間に、同僚でありますから意見の交換はありますけれども、責任を持った意見というか、発言というようなものには、必ずしも取れないのであります。私どもいろいろ個々の施設に当ってみますと、結局機械的にこれを実施したならば、非常に無理のいくところと、それから割合に機械的にいってもすらすらと実施できるというところがございます。私どもといたしましては、個々の施設について、先般も申し上げましたように、結局重症患者と軽症患者との割合、あるいは外科患者、あるいは手術の件数、また手術の中でも、御承知のようにいろいろな種類の手術がございますが、こういうようなものを勘案して参りますと、現在全然つき添い婦をつけておらないような施設も実は若干ございます。こういうようなところには一応の平均として二十五人に一人ずつ——これは増員分ですが、それだけの増員をしなくても、施設も無理なしにやっていけるというようなところもございます。決して平均を下回るようなところがあるからといって、それではすぐ仕事に差しつかえるというようなことはないと思うのでありまして、手術の件数の非常に多い病院、あるいは外科患者をたくさんかかえている病院などにこの人員を配置して参るということになれば、大体看護力の低下を来たさずにやっていけるのではないかと思っております。ただ、先ほども申しましたように、これだけの人員を入れていただけば、もうつき添い婦を絶対に排除するんだ、あるいはこの制度を廃止するのだというようなことは、再三申し上げましたように、私ども必ずしも考えておらぬのであります。ただ、おおむねこれくらいの人数を入れていただいて、そうしてこの人たちが仕事に十分になれて、チーム・ワークがよくいくというようになりますれば、今までのように外からお手伝いに来ていただく必要が逐次なくなっていくであろうというふうに考える次第であります。
  73. 八田貞義

    ○八田委員 今のお話を伺っておりますと、つき添い婦を廃止しても十分やっていけるというお話でありましたけれども、個々の施設長には異論がある。しかし、今のお話では、十分やっていけるというお話のようでございます。  そこで、私はさらに次の点を希望いたしたいのでございます。今、局長さんのお話によりますと、この話は上から方針をきめまして、下の方に流していったというように印象づけられるのであります。もちろん各施設によって異論があることは——この状態ではできないという意見施設長からあったはずであります。それに対しまして、施設長の意見を十分に入れてやるから心配するなとおっしゃるようでありますけれども、実際にはつき添い婦がぜひともほしいのであります。つき添い婦が得られないので、看護の面においていろいろな困難を感じておるような状態にあるのであります。  さらに、いま一つ私が申し上げたいのは、このような方法によって施設長が採用いたして参ります際には、採用の選択とかいわゆる首切りは、施設長がやることになります。不幸にして馘首の座にすわらされた者の身の振り方については、全部施設長の責任においてやらなければなりません。責任を負わなければならないような位置に置かれた施設長の身にもなって考えていただきたいのでございます。設備の不備を人力で補っているというのが、療養所におけるところの実相であります。この問題につきましては、以上申し上げましたようなことからだけでも、なおまだ十分に調査すべき事項を多数に残しているのであります。現在のつき添い婦は、その雇用形式が患者との個人契約であるため、身分上の保障は一切ないという哀れな状態を、公務員並みの待遇を受けさせるということでありますから、まことにけっこうなことではありますが、実際にやってみて、やはり手が足りない場合には、つき添い人の制度を活用することによって、できるだけ完全な看護をやっていただくということを、当然当局において考えていただく必要があると思われます。慎重な態度で臨まれることを希望するとともに、いずれ公聴会におきまして、以上のことについてさらにただしたいと存じます。  これで一応私の質問を終ります。
  74. 中村三之丞

    中村委員長 中原健次君。
  75. 中原健次

    ○中原委員 先日来数次にわたりまして、つき添い婦の制度問題について各種の御質疑があり、あるいは御答弁、御説明があったわけでありまして、大体当局のこの問題についての御見解はわかると思うのであります。従って私の申し上げたい点は、かなりそのために圧縮されておるわけであります。しかし、もう二、三点の問題について、局長の御見解を聞いてみたいと思います。  まず第一番に、いわゆる定員外定員ともいう常勤労務者制を施行なさろうとなさるその御見解の基礎には、診療看護の体系の中の欠陥を、これをもってためる、是正するというふうに述べられたと思うのであります。従って、ための欠陥ということですが、そのための欠陥というのは、一体どういうことだろうか。いろいろ御説明もあったように思いますけれども、実はその焦点がつかみにくいのでありまして、一体欠陥とはどういうことであったか、このことをちょっとお伺いします。
  76. 曾田長宗

    ○曾田政府委員 一つは、昨日も本委員会においてお話があったのでありますが、このつき添い婦さんについていただく患者というものの基準が、今日いささか不明確であります。社会局の方では、大体一人に一人のつき添い婦がつききりについておらなければならぬほど重態な者でなければ、つき添い婦を認めないというような方針を立てておられるのでありまして、今のところは、これが表向きの政府方針というようなことになっておるわけであります。しかしながら、これは今度私ども患者を預かっております方の施設として見ますと、なるほど一人の患者さんに一人のつき添い婦がつききりにつくほど仕事はないかもしれない、二人の患者を世話していていただいていい程度の病状である、しかしながら、これが所の職員の手が足りないために、半人分のお世話をするということでも、その半人分というものがなかなか出てこないというような状況から、この二人の患者あるいは三人の患者に対していろいろお世話をするというようなことが、現状としては必要な場合が出ておるわけであります。さればといいまして、これを三人あるいは四人、極端なことをいいますればそれ以上というような患者さんに、つき添い婦がついていくというようなことになりますと、どなたのためにどれくらい仕事をしていただいて、どなたのためにどれだけ仕事をするというようなことが、このしかるべき患者と申しますか、こういう人たちが、その仕事のいろいろの時間割のようなものですとか、どの患者についていただく、どの患者は今度——決して患者の病状は固定しておりませんで、いろいろ軽快したり重態になったりする、こういうようなときに、逐次これをかわっていただくというようなことが、いわば生活保護関係でもってついていていただきますとなれば、今度はどなたののを少しやめて、そうして新たにどなたにまたついていただくのだというようなことを一々明確に記録にとどめておくとか、届けをするとかというようなことは、事務的にいいましても非常に煩瑣なことでありまして、こういうようなことが、その所の職員としておりますれば、所長の命令によりまして、患者何人につく、あるいはどなたとどなたのお世話をするというような工合に、随時かえていけるというようなこと、これが今日の体制として非常に困ることなのであります。  それから、同じようなことでございますけれども、今は原則としては、一人の患者に一人のつき添い婦がつくということになっておるわけですが、これがいわゆる二十四時間勤務というような形になっておるのであります。しかし、実際問題として、二十四時間つききりというようなことはできないわけであります。ほんとうに手術の直後というようなことになりますれば、これはもう引き続きほんとうに十分な注意をして、つききりにいろいろな看護もせねばならぬというような状態であるわけであります。こういうようなときに、この勤務の態勢としまして、病院の性質といたしまして、夜勤ということもやってもらわねばならぬわけでありますが、この夜の勤務の者を本日は何へ、それからその翌日はまた何人と、病状によっていろいろに変えていく、こういうようなことが、今の制度でありますと、随時やっていくというわけにはいきません。こういうこと、それからさらに、患者によりましては、必ずしも一人を個室に入れておかなければならぬというようなものではございませんで、二人部屋あるいは三人部屋というようなところで一緒に看護をしてあげられる、つき添いの仕事をしてあげられるという病状の方もあります。こういうようなことで、患者の病状によって随時看護の態勢を整えていくというようなことは、今のように所の職員となっていただかないということですと、非常に不都合がある。そのほかにもございますけれども、かような点が最も本質的な問題だと思っております。
  77. 中原健次

    ○中原委員 所長の管理を確実にするとでもいいますか、そういうふうな意味から、今度のいわゆる常勤労務者の制度をとりたい、こういうふうに承わったのです。もちろん一つの経営の中で、あるいは一つの機構の中で、その首長が管理権を持つということが非常に適当であるということは、だれも異存はありません。現在、それならつき添い婦の実情はどうなっておるか、つき添い婦の実情を調べてみると、やはりなるほど管理命令権が法的に裏づけられておるというわけではないようでありますけれども、慣習的にはやはり所長の管理権は及んでおるというのが実情であります。私どもはそのように病院の実情を見て察しておるわけであります。従って、この管理権の確保とでもいいますか、そういう意味からの今度の制度の切りかえについては、結果としては、別にそれほど大きな状態の改善は望みがたいのではないか、むしろ、それは現行の状態をいささか規律づけたという程度のものにすぎないのではないかと感じます。だからといって、そのことが悪いとは申しませんが、しかしそうであってみれば、そのつき添い婦の現在の要員の数を二千二百七十人に圧縮して、この看護の態勢を是正し得たということが言えるだろうかどうだろうか、こういう疑問が出てくるわけです。従って、新しい制度のもとで採用される常勤労務者の勤務時間の問題等については、たしか昨日局長の言葉であったかと思いますが、一般公務員と同様の勤務制をとりたい、そういうふうに言われたと思います。そうすると、一般公務員と同様の勤務時間制をとりたいということになって参りますれば、やはり実働時間八時間なら八時間ということに局限されると思うのです。そうなって参りますと、徹夜拘束するということはできない。あるいはそういうことになれば、いわゆる三交代になりますか、そういうようなことになってくるのではないか。従って、これを三交代制にすることによって、現在のつき添い婦の勤務状態を新しい制度に切りかえたということになると思うのです。そのことは、どういうふうになりましょうか。
  78. 曾田長宗

    ○曾田政府委員 昨日も一応お答え申し上げたかとも思うのでありますが、今日におきましても、つき添い婦の今ついております患者さんが、二十四時間不眠でつき添っておらなければならぬというような状況には必ずしもございません。このように夜でも不寝番をつけなければならぬというような状況にあります患者さんは、数が限定されております。こういうような夜勤の人たち勤務というものを、仕事の配分としまして、その勤務割といたしまして定めておきますれば、十分二十四時間お世話をするということはできる。それから、よりだんだんと軽症になって参りますれば、二十四時間つき添いさんがついておるというふうにいいましても、これは二十四時間ずっとつききりに仕事をするというものではないのでありまして、明らかに眠ってもおりますし、休息もいたすというような状況でありますので、こういうようなところは、看護はその病室の担任の看護婦というものが随時回ってくるというようなことで、看護の内容を落すというようなことにはならないというふうに私ども考えております。
  79. 中原健次

    ○中原委員 もちろん徹夜いわゆる不眠の状態で病人を見守っていなければならぬという状態が連続であろうとは思いません。しかしながら、かりに居眠りをするにいたしましても、あるいはまた床について一定の時間休むことができるにいたしましても、深夜に及んで何どき必要が起ってくるかもしれない、こういう状態はあるはずだと思います。従ってそのためには、たとえば三人の人を備えておる場合にこれを一人半にする、あるいは一人にするということは、実情から考えて可能な場合もありましょう。しかしまたそうでなくして、真実にやはり三人が深夜といえども何どきでもその必要にこたえるだけの段取り、態勢を整えて控えておるという必要もあると思う。そういう場合は、時間的には拘束を受けるのではないかと思います。なるほど目を見開いて患者のまくらべに坐してこれを凝視しておるというような息詰まるような緊張の時間でないにいたしましても、何どきその必要にこたえて立ち上らなければならぬかもしれない、こういうことがあると思います。そうなって参りますと、そういう時間に備える態勢というものは、やはり一つ勤務の態勢と、私どもはそう考えます。従って勤務の態勢がただ実際の数としては減るといたしましても、絶えず備えられておらなければ、重病患者に関する限りは備えができておるとは言えないことになると思う。そういう問題について、たとえば今回の二千二百七十人の新採用によってできた常勤労務者の場合に、それにこたえることができるという、少くともその立案をするためのいろいろな経験上の基礎計算ですか、そういうようなものもあるだろうと思うのですが、これはどうでしょうか。
  80. 曾田長宗

    ○曾田政府委員 ただいまのお話につきましては、私どもは、そばにつき添っておる人がじきじきおりましても、いろいろ疲れて眠っておるというようなときには、患者さんから呼び起されれば目をさますかもしれぬ、しかし熟睡しておればさまさぬかもしれぬ——失礼な言葉でありますけれども、こういうような状態と、それから所の職員を配置いたしておきまして、夜はたとえば一時間に一ぺんずつ回ってくるというような制度にいたしました場合、これはどちらの方が果してその夜のお世話を十分になし得るかということになろうかと申しますと、私どもは、必ずしもただそばに寝ておられたからということだけでは、この看護がより十分であるというふうにも考えないのであります。もちろんこれにはいろいろ物的の設備の問題もございまして、このごろ新しい病棟等におきましては、いろいろナース・コールとか、あるいはインターホンとかで、患者さんがベルを押すと、看護室の方とすぐ話ができるというような設備も、逐次整えて参りたいと考えておるわけであります。こういうようなことで、必ずしもそばに寝ておりませんでも、多少場所的には離れておっても、十分の看護を申し上げることができる。もちろん、重態の場合とかあるいは手術をした直後というようなときには、これは不寝番までつけなければならぬと考えております。ただ、御懸念がございますように、理屈としてはそうでもあろうけれども、今までの慣習として、何かそばに寝てもらっている二とが非常な安心を与えるということは、私どもも仰せの通りだと思うのであります。これは私どもも、国立病院におきましては、大体今のつき添い婦をつけずに、所の看護要員でお世話するというような形で行っておりまして——国立病院におきましても、このごろは結核療養所よりも、かえって死亡例は多いくらいになっておるのであります。あるいは外科の手術もいたしておるのでありますが、さような措置で、決して欠陥がないとは今日申しませんけれども、おおむね順調に看護を進めているという状況でございます。いろいろ療養所内におきましても、方々の施設あるいは私どもの持っております国立病院の事例というような経験をもとにして、大体考え出した案でございます。
  81. 中原健次

    ○中原委員 病院の実情から考えますと、つき添い婦の方が、病人の病状をのみ込みながら、いわば呼吸をつかみながら、そのそばで絶えず看護に当っておるということは、心理的にもそうでありますが、実情から考えても、確かにこれは非常に安心な状態であると思います。ゆり起したけれどもなかなか起きないというようなことが、ときにはあったかもしれませんけれども、大体看護の業についておる人は、もう少し近接な気持で仕事をしておるように思うのです。それは私どもも経験を持っていますから、よくわかるのですが、ベルを押して来てもらえるであろうという期待よりは、身近にいてもらう方が、ただ単に心理的な問題だけでなくて、実体的にその方がより確実であるということはいえるわけです。これをあえて否定する根拠は出てこないように私は思う。  なお、もう一つは、一定の時間にぐるぐる回ってくるという制度ですね、これは重病患者の場合は、非常に心細いと思うのです。今、なるほど来たかもしれないが、その次に来るまでの間は非常に心細いことになってくる。あるいはその間に、たまたま大きなあやまちが発生するという場合もある。ですから、そのことがよりいいという説明には、少しなりにくいのではないかと私は思うのです。従って、それでもなおかつ常勤労務者制を取り上げられて、そういう仕組みにやってみたらという考えを持っておいでになるかもしれませんけれども、これははなはだ冒険だと思うのです。かなり危険が伴う。ですから、かりに常勤労務者者制を取り上げるにしても、そのことが悪いとはいいません、しかしそうであっても、現在のつき添い婦制度そのものが、そういう雇用関係になっていくということなら、これは別問題ですけれども、全然つき添いの形が変ってしまうというところに、非常な不安と大きな危険があると私は思います。従って、そういう点については、ただ、提案をしたから、どうしてもこれに固執するという強硬な気持になる必要はないのではないか。もしも、実情を調べた結果として、やはり相当危険が加味されるとすれば、むしろ欠陥是正が、かえって欠陥を助長するということにもなるのではないか、つまり新しい欠陥を作り上げるということになるのではないかというふうにも考えられて参ります。この問題については、他の委員の諸君も、大体そういうことを言っていられたと思いますが、もう一度考え直す心要がある、何としてもそのことが大切であるというふうに私は考えます。  もう一つは、新制度によっての給与のことです。大体八千円から八千五百円の圏内ということに承わっておるのですが、果してそれが妥当な給与額であろうかどうか。こういう仕事をする人々の過重労働とでも申しますか、それはかなりひどいものがあると思うのです。従って、その労働力に対する代償としても非常に乏しいと思いますし、そういうことでなくて、その人の生活を維持させるという意味から判断してみても、この給与額では、はなはだ不足ではないかと思います。従って、これは一般の給与の基準もあることでありますから、その給与基準とにらみ合わされたところに給与号俸の点を考える必要があるのではないか、そういうふうに私は思います。この給与決定についての御説明も、いろいろあろうかと思いますけれども、これはその仕事を有効に適切に、しかも有能に行わしめようとすれば、なおさらこのことは相当真剣に考えてみる必要があるのではないか、こういうふうに私は思います。現在の給与のいろいろな状態考えてみましても、一万円を下るような金額が基礎の給与になったのでは、これはほんとうはやれないのではないかというふうに私は結論としては考えるのですが、これについて、どのような見解でございましょうか。
  82. 曾田長宗

    ○曾田政府委員 私どもも、私ども施設で仕事をしてもらいます職員の待遇が、できるだけ高いものであるということは、望ましいのであります。しかしながら、これはただいまもお話がありましたように、いろいろつり合いもあることでございまして、一がいにこの高きを望むわけにもいかぬのでございます。現状といたしましては、この前も御質問にもお答え申し上げましたように、大体地域によって非常に違うのであります。一日二百五十円くらいから四百五十円くらいというような幅を持っておるのであります。そして大体は月に二十三、四日くらいの勤務というようなことになっておるだろうと思いますが、それに対しまして、今の月大体八千円というふうにいたしますと、幾分下っているように見られるのでありますが、私どもとしては、これはそのほかに超勤も加わります。それから、今日におきましては共済組合利用の道もないのでありますが、その道も開かれて参る。それから本年度予算としましては、第四・四半期だけ予算を組んであるのですから、それが表に出てきておりませんが、年間予算にしていただきますときには、期末手当が出ることになります。こういう点を考えますと、必ずしも待遇として低下することにもならないのではないかというふうに考えております。また現状と照らしまして、これは今日まで採用されております雑仕婦であります。現在でもすでに採用になっている雑仕婦があるのでありますが、これが四級の二号ぐらいが初任給になっておるわけであります。今回は五級の三号というものを平均として取っております。それからまた、つき添い婦の場合には昇給ということがございませんが、今度雑仕婦として採用になりますれば、時期が来れば逐次昇給もして参るというような道がありますので、これは決して十分ではないかもしれませんけれども、必ずしも待遇の低下ということにはならぬのではないかと思っておる次第でございます。
  83. 中原健次

    ○中原委員 現在受けておる給与の状態を調べてみますと、大体東京、大阪が一万五千円ぐらいに実際はなっておるように思うのです。これはやはり十分実情をお調べになる必要があると思うのです。それから京都あたりが一万三千円、岡山、広島あたりで一万円から一万一千円に事実上なっている。これはこういう書類もあるわけでありますから、お調べになったらおわかりのことと思いますが、大体そういうふうになっておると存じております。しかも、それはどちらかといえば、もちろん決して十分ではないと思います。従って、今度の新しい制度をここで設けられるに当っては、やはりそういう実情の中から数字が打ち出されていかなければ、その人々の仕事を快く保障するということになりにくいのではないかと、こう私どもは見る。これは皆さんの今までのいろいろな御質問の中で、判断のつき得ることと思います。  それから、もう一つ私が申し上げたいと思うことは、一つの観念として、二十四時間詰めきりというのは、その時間の中に睡眠してよろしい時間があるから、その時間を抜いたあとだけが勤務時間であるという考え方、これはちょっと問題があるのではないかと思います。従って、現在のつき添い婦の人々の勤務実情というのは、これは一般の勤務の実情とは全然違うものを内容に持っておると、私はそう思います。従って、これはほんとうを言えば、そういう異常な勤務状態を続けておるつき添い婦の人々の待遇というものが、はなはだお粗末な待遇であるということが言えると思うのです。これはなるほど朝の九時から晩の四時までというきちんとした時間だけを勤務して、それ以後は自由に解放されている人が、その時間をかりに根詰めに仕事を続けたとしましても、あとの時間は拘束を受けない、これはよほど気持の上で楽だと思います。また実は勤務というものは、そういうものでなくちゃならぬのじゃないか、にもかかわらず、現状のつき添い婦制度というのは、はなはだどうも妙なことになって、しかもそうならざるを得なかったという慕情もあると思います。そうなってみれば、月二十三日ですか、何かそういうことになっているのですか、勤務時間は。
  84. 曾田長宗

    ○曾田政府委員 二十二、三日というようになっております。
  85. 中原健次

    ○中原委員 そういうことになっておるようであります。従って、私はもっともだと思いますし、あるいはもう少し縮められていいのではないかとさえ思うわけです。従って、そういう経験が基礎になって常勤労務者の問題を考えられたとすれば、やはり常勤労務者制度の場合の勤務時間は、その点が十分考慮された結果として取り扱われていかなければならないというふうに思います。だから、終日二十四時間ぶっ続けの勤務という状態は、なくすることになるかもしれませんが、しかし、それはさっき申しましたような意味で、はなはだ不安な状態、要するに、ここにかなり問題がかかってくるのではないかというふうに思います。それらの問題について局長の御見解を聞かせてもらいたいと思います。
  86. 曾田長宗

    ○曾田政府委員 ただいま先生の御指摘になりましたように、現状としても二十四時間ぶっ続けの拘束、しかもこれが数週間にわたってかような勤務状態が続くというようなことは、実際問題としては、続かないので休んでもおられると思うのであります。しかし、まじめな方であれば、なるほど自分の睡眠時間を縮めてでも、いろいろのお世話をするというような方も出てくるかと思う。こういうようなことでもって、非常に不安定と申しますか、非常につかみようのない勤務状態になっておりますので、かような勤務はおもしろくないというように考えております。しかも、これは最近の病院の管理と申しますか、こういうようなことでもって、いろいろ学者たちも検討いたしておるのでありますが、今まで病院というところの仕事の仕方が、あまりに従来の因習にとらわれておった、もっと合理的に人の配置とかあるいは仕事の配分とか、あるいは、これは今まで申し上げませんでしたけれども、患者にいたしましても、重症者も軽症者もみなまぜこぜで一病棟の中に入れておくのが従来の常でありましたけれども、しかしこれを軽症者は軽症者だけ集めて、非常に少数の職員でもってお世話をする、そのかわり手数のかかる患者さんに対しては、今後寝ず番をつけて一つお世話をするというように、患者を種類別にいろいろ分けていく。このごろ、外科患者等はだんだんそうなってきておりますけれども、こういうようなこととか、あるいは言葉が悪いかもしれませんけれども、病院自身の科学的な管理、科学的な運営、あるいは科学的な態勢を整えていくということが、これは必ずしもただ机上の理想ということではなしに、いろいろ先ほどからも申しておりますように、病院あるいは療養所の若干について試験的にやってみております結果から、これは実施可能の問題ではないかというふうに見ておる次第であります。
  87. 中原健次

    ○中原委員 さらに、現在の要員が四千二百人とされておりましたが、昨日の局長の御答弁の中では、実はこの数字が現状と違う、むしろいろいろ複雑な内在する事情を相殺してみると、逆に減ってくる。従って、今度の二千二百七十人と現在の要員の数との間は、非常に接近する、きわめて抽象的な御説明だったと思うのですが、御説明があったと思うのです。そのことは実地を調べればわかることではありましょうが、私どもがいろいろ調査した線では、それほどにその間の員数の差が接近するとは実は思いません。従って、そこに一つり基礎の相違もあるように思いますが、いずれにしましても、それが局長の御説明のように、かりにそれを数字で表わせば、あるいは三千五百となるか、三千二百となるかわかりませんが、そうであったとしましても、では現行の人数をそこまで圧縮しても、現在なされておる仕事の成果が二千二百七十人をもって十分上る、こういうふうにごらんになるでしょうか。その点は、ただ一応ということなのか、その点を明らかにしていただきたひと思います。
  88. 曾田長宗

    ○曾田政府委員 私ども今度の計画を立てますときには、やはりある程度の見通しに基かざるを得ないのであります。そういう意味におきまして、先般も御説明申し上げたと思いますが、昨年の七月ごろの数字といたしまして三千六百、そのうち家族つき添いあるいは若干の自費つき添いというものが四百ほどございますので、三千二百くらいあったということを申し上げました。その後につきましては、これは施設によっていろいろ違います。かえって前の調査のときよりも幾分ふえたというところもございます。しかしながら、減っておるところの方が多いように、私どもは今のところ考えております。今、各施設からまたその調査報告をとっておるわけであります。そういうようなところから——これも私は確たることは申し上げかねるのでありますけれども、どちらかといえば、ふえておるのではなしに、むしろ減っておるであろう、従ってその差は縮まっておるであろうというふうに考えております昨年の七月の三千二百というのを基準にいたしますと、二千二百七十というのはちょうど七一%になっておるわけであります。私どもは、今のように病棟管理の方法というようなものを適正にし、また看護態勢というものを整えていく、またさらに採用後のいろいろな訓練、現在訓練というようなものを重ねて参り、この制度になれて参りますれば、大体現在鮮度の看護というものはできるのではないか、水準を下げるということにはならないのではないかというふうに考えておる次第であります。
  89. 中原健次

    ○中原委員 このことは非常に重大なんです。病人の立場から考えますと、これは大へんなことです。看護の状態が、成果が必ず保証されるというのでなければ、命がけの問題なんでして、つき添いが少くとも完全になされなければそのための過失から助かる人が助かりがたくなったり、ちょっとした時間の差で与えられるものが与えられなかったために行き詰まるという場合もあり得るわけです。病者の場合は実に微妙なんでして、ちょっと一服の水がほしいと思うときに、それが間に合わなかったために、どうにもならなくなってくるということもあるわけです。従って、そういういわば全く文字通り危機の時間におる病人を相手にしての事柄ですから、このように七十何%、かりに当局の計数で考えても七十一%にまで圧縮して、それで、しかもその間にいろいろな訓練も要るという御説明が今あったようですが、訓練に要る時間もまたかかるわけですから、その間の時間の空白が出てくるわけです。そういう場合に、かりにそれでなし得るとしても、やはり問題が起るのじゃないか。つまり、その点はあまりにも冒険を試みられておるのではないかという印象がやはりするわけです。ことに、先ほどから申しますように、やはり夜を徹して身近についてもらうということの必要は、私はまだ消えておらぬと思います。いろいろ実際の経験の中からの要求をさっととらえてしまうという形になることが、果してよき措置だろうかという疑問は、当然出て参るわけなのであります。従って、そういう点をかれこれ考慮されると、あまりにも理念の中だけで問題を作り上げられて、それを実際に行おうとしておいでになるのじゃないだろうか、こういう感じが非常に深い。いや、むしろ感じどころではなくて、そういう実情が出てくると思います。それについていかがでしょうか、御確信がおありなんでしょうか。
  90. 曾田長宗

    ○曾田政府委員 先ほども申し上げましたように、多少人員が減っても、筋の通った態勢を整えていくというようにいたしますれば、大体事足りるだろうというふうに言ったことが、きわめて安易な考え方だというふうにお受け取りになったかもしれませんが、私どもも、これがしかく簡単なものだというふうに考えておるわけではございません。これに対しまして、先ほどもちょっと触れましたが、物的の設備の改善というようなこと等についても、いろいろ努力をいたして参りたいというふうに考えておるわけであります。また食事とかあるいは洗たくだとか、こういうサービスというようなものも、大いに改善して参らなければならぬというふうに見ておるわけであります。ただ、そういうことで患者さんが非常に不安に感ずるのじゃないか、とにかく頭数だけでもそろえるということで、不安に感じはしないかということでございますが、私どもとしましては、先ほどからもここで申しておりますように、これはただ単に机上のプランというだけではなしに、他の施設あるいは病状の中の若干のテスト・ケースというようなものの経験を土台にしまして、これならば大体できるじゃないかというふうに考えておるのでありまして、今後の計画を立てますときに、失敗するということを期待しながら計画を立てるということはないことだと思うのであります。私どもはこれでもって大体うまくいくものというふうに考えておるのであります。しかし、これはやはり人間のなすことでございます。今、先生方にいろいろ御心配いただいておりますように、とにかく患者に不安を与えるようではいかぬじゃないかということは、私どもとしてはモットーといたしておるのでありまして、患者の看護、診療というものに、著しい支障を生ずるということが明らかになって、あるいは事実として出てきても、それに対して自分たちの方針はかようにきめたのだから、猪突邁進するというような考えは、私ども持っておりません。大体の私どもの見通しは持っておりますけれども、それがその通りにいかないという事情に対しましては、私どもとしても、それに応ずる措置が必要となればとるということは、考えておるわけであります。しかし、私どもは十分慎重に計画を進めて参るというつもりである次第でございます。
  91. 中原健次

    ○中原委員 テスト・ケースがどこかであるというお言葉でしたが、これがもし事実なら、秘密にしないで、われわれにも実はこうだという実情を見せていただければいいと思います。その中でわれわれが判断をして、実情を調べて、なるほどこの経験から結論すればこうなるというのが出て参りますれば、これは了解できると思います。ただどこかにあるというくらいのことでは、われわれやはり納得できません。というのは、先ほどから申しますような事情考えますと、これはある意味では、非常に強い労働強化をここに作り出して、今日のような失業段階で、うかうかしていると食えなくなるというので、生保をもらうよりは働いていこうという気持が人間の気持にありますから、何とかして職業にかじりつこうという気持を逆に利用して、非常に強い労働をしいる、その結果として労働強化に期待しながらこの問題を考えられた面があるのじゃないか、こういう心配を実はあわせて感じるのです。そういうことじゃならぬと思うのです。それでは看護が完全になされることが期待できない、むしろかえってとんでもない失策の方が起りやすいのじゃないか。人間の能力には一定の限度がありますから、その限度を考慮の中に入れながら、労務の管理はお考えになる心要があるのではなかろうかと、こう思います。  なお、これは先ほどお尋ねしましたけれども、お触ればなりませんでしたが、拘束された時間というものに対する考え方、これは私は労務管理をする立場で考えてみれば、非常に重要だと思うのです。この考え方が、間違いの上に立てられてきたのでは、どうしても思わざる失敗が起ることが多いようでございます。おそれがあるどころではなくて、これは多いと思います。だから、そういう点は、それをぴしっと三つに割る、つまり三交代というふうに考えるわけではありませんけれども、それにしても、そのことが考慮の中に入っての労務の立て方というものが考慮されることが大切ではないか。私は大体そう思うのですが、この点はちょっとしつこいようですけれども、もう一度承わりたいと思います。
  92. 曾田長宗

    ○曾田政府委員 重症患者の場合には、特別にどれだけのつき添い婦の仕事をする、看護の仕事をするということがございませんでも、ただ単にそのそばで見守っておることがきわめて重要であるという場合はございます。しかしながら、病状がある程度軽快して参りますと、そばにおるということと、それから必要が出たときにまくら元にあるベルを押せば、すぐに当直の当番の看護婦が飛んできてくれるというような状況にありますことと、実質的にはほとんど違いがないという状態もある。ベルを押せないようなときには、もちろんそばにいる必要がありましょうけれども、病状によっては、そばに寝ておらなくても、勤務室に待機しておって随時巡回してくるということで、十分看護の目的は達するという場合があるというふうに私ども考えております。
  93. 中原健次

    ○中原委員 それは議論になりますから申し上げませんが、私はまだ納得いたしておりません。しかし看護婦が、その答えとしては非常に動く形が出るように思います。そうすると、現在の看護婦の定員数は、少くともそれにこたえるだけの態勢でありますか、どうでしょうか。
  94. 曾田長宗

    ○曾田政府委員 これは時とともに診療の内容あるいは看護の内容が向上して参るということは、私どもの希望するところでございますので、現在よりも、より多くの定員を得るということは望ましいと考えておりますが、現在の定員によりましても、現在お預かりしております患者さんたちに対して、まずまずの看護はできるというふうに考えておる次第であります。
  95. 中原健次

    ○中原委員 看護婦の備えの方は、まずまずというお言葉で御説明になりましたけれども、私は、これはもう少しほんとうのことをお考えになる必要があるのではないか。たとえば、東京のある病院で調べてみますと、日曜日などは、一つの病棟の中に看護婦さんが二人いるのが一番いい状態であります。京都の方のある病院を調べてみると、これは一人の場合がしばしばである。というのは、人数の問題であります。看護婦さんは定数がありますけれども、これは三交代になっております。そういうことで看護婦さんの勤務する時間が、そのため非常に制約されて、要求にこたえられないという状況が出て参る。一人でもよろしい、十分であるということなら別ですが、そういうことはちょっと言えない。ですから、私は、これは具体的に計数を申し上げることはできるのでありますが、それはいいといたしまして、とにかくこういう実情があるものですから、この実情にこれをにらみ合せて御観察にならなければ、妥当な結論は出にくいのではないか。今、看護婦さんのことが問題になっていないから、必要ならベルを押せば看護婦がすぐ来る、こうおっしゃるのですけれども、それなら、看護婦の今日の勤務事情について具体的な調査を始めるとどうなる、これは大へんなことになるのです。これでは足りない、これは足りないどころではなくて、これでは仕事もできない。ただそれを、現在のつき添い婦の方たちがいろいろな形で補助しながら補われておるというのが実情のようです。これは私が申し上げませんでも、少くとも御担当になる長としてのあなたにはわかるはずです。わかっていなければならぬのです。一応このつき添い婦の問題だけは何とか議員を納得させようというので御説明になるのじゃ困るのでして、われわれは、無理押しをしようとは思っておりません。ことに、改善ということはいいことですから、そのことに不賛成という立場を初めから持とうとしておるのじゃないのです。ただ問題は、その打ち出された主題にこたえるような中身にならなければ、言葉と中身が違ったのでは、これは意味をなさないばかりか、大きな罪業が重ねられてくると思うから、それで心配するわけです。従って、看護婦さんの今日の状態についても、相当詳細な御研究はあるはずですが、あるとすれば、今の御説明は、私ははなはだ残念ながらあなたの人格にいささか不安を感じる。実際はそういうものじゃないと思うのです。だから、やはり私が今まで考えてきた局長の人格なら言えないことを、あなたは今おっしゃったという感じがするのです。それはちょっと極端な表現を使うように感じますけれども、そのように私は不安を感じる。一体、そのように言葉で物事が片づくのだろうか。実情と違った言葉で物事が片づくのだとすると、わが日本の国家行政の万般に問題があるということになってくる。ことに医療行政は、人の命とすぐにつながっているのですから、大きな問題じゃないかとも思うのです。これは私の言い過ぎでしょうか、どうでしょうか。
  96. 曾田長宗

    ○曾田政府委員 ただいまのお話でございますが、これは私どもも、ただいまのお言葉をけんけん服膺して反省しなければならぬというふうに考えておる次第でありますが、私ども再三申し上げましたように、療養所だけが特に人員不足に悩んでおるかどうかということの問題でございまして、私どもは、一方では国立病院も持っておるわけであります。そちらの人員の配置状況というようなものとにらみ合せました場合に、必ずしも療養所がそれほど——もちろん私どもは、不十分なことは感じますけれども、これが今の二千二百七十人の増員ということぐらいでは、どうにもこうにも療養所が動かぬというほど不十分な状態にある、特に療養所が悪い状態にあるというふうには、必ずしも考えられないということなのであります。それは一人よりは二人、二人よりは三人というような考え方でいきますれば、看護の内容を向上するという意味にいきますれば、できるだけ多い方がよろしいのでありますけれども、とにかく最低限で患者さんの診療及び看護というものに、一応のお世話を申し上げるということのためには、どれだけの人数が要るかということの限りにおいては、まずまず事を欠かないほどにいけるのではないかというふうに考えておるのであります。これは患者さんの診療あるいは看護に重大な支障を生ずることが明らかだということになりますれば、私ども考えておりますことをいつまでも固執するというような考え方は毛頭ございません。
  97. 中原健次

    ○中原委員 もちろん、あらゆる万般の機構の中に人員が不足しておる面のあることもあるでしょう、あるいはまた相当十分だといわれておる説明もよく聞くわけです。そのことはいいのですが、だから特に療養機関がどうであってもいいということには、ならぬと思う。私どもは、極端な無理な要求を申し上げようとしておるわけじゃないのです。だから、二人よりは三人がいいだろうし、三人よりは五人がいいだろうというような、そういう無制限な考えは持っておりません。やはり妥当適正な人数が保証されればいいと思います。同時に、妥当適正な制度が設けられればいいのであって、そのことについて、別に極端な考えを持っておりません。ただ問題は、先ほどから申し上げますように、御提案になられましたつき添い婦制度を常勤労務者制の方に切りかえようとなさるそのことの中に、どうも納得ができないどころか、心配にたえられない、非常に不安であるという問題があるために、申し上げておるわけであります。従って、そういう一つのテストがここで持ち出されたということになると、これは非常におそろしい感じがするのです。やはり人の命にすぐつながっていくのでありまして、ほかのことなら、それがなくても一時間や三十分で死ぬわけではないからということもあるでしょうが、重病患者の場合には、それはほんとうに言えるわけです。ちょっとした瞬間の措置の間違いで、命を落さなければならぬことがあるのです。これは事実あるのです。ちょっとした注意の行き届いたために、その人が遂に生きていくことができる、助かる、こういうことはあるのです。そういう微妙な点があるのですから、それだけに、そのつき添い婦制度についての検討は一そうその他のことももちろん非常に重大でありますが、それに劣らず、むしろ非常に熱心にこのことが討議されなければ、結論がはなはだ不安であるということになるために、今申し上げているわけなのであります。ただ、当局としてはこれだけのことをお出しになられたのでありますから、われわれがこのことに対して不安を感じようとも、これをどこまでも強行する御意思を持っていられるかもしれませんけれども、それでは私は困ると思うのです。そういうものじゃない。これはやはりわれわれがほんとうに人間としてといいますか、まずそういうところへ一応立ち戻って考えて、その上から立てられたその案が、今日の国家のいろいろな事情の中で、まあこの程度はということにならなければならぬじゃないかと思います。従って、そういうことを考えますだけに、ことに、このつき添い婦制度のそういう転換に関しましては、まだまだ研究が要る、このままではとべてい納得ができない。昨日あたりの御発言を伺っておりますが、いろいろな各派の議員の方の御発言の中に、大体一貫性があると思うのです。皆さん同じような不安を持っておいでになるように思うのです。そうであってみれば、各党各会派の委員の方たちの御不安が大体一致しているとすれば、これはやはりどのように聡明な知能をお集めになられた当局であっても、少々判断が何かに強制されて、何かのためにさせられたということになるのではないかという心配さえ私どもは伴うて参ります。おそらくそうじゃありますまいけれども、そう思わざるを得ないです。でないと、どうも判断がつかない。われわれの知能が少々とぼけておって、とんでもないことを言っておるとすれば、これは議員というものはどれもこれもみなとぼけている。私だけじゃないのです。大体不安を感じているのは、皆さん大体似ているような御発言に聞き及びますから、これは一大事である。やはりこの点は、もう一度一つ御判断を立て直される必要があるのじゃないか。何もきょうのきょう急いで立て直さなければどうにもならないというわけじゃないのですが、そのために減員される人々の措置の問題も、昨日いろいろ詳細な御答弁を承わりました。私はそれを聞いております。なかなか行き届いた御答弁ですけれども、これは非常に抽象的であります。しかも、これに対して内容的な裏づけはどうなるかということになると、これは問題になると思うのです。たとえば、まず失対の救済の問題も出てくると思います。あるいは政府で云云という問題もあるし、あるいは自力増床の問題もあるからその方へ振り向ける、あるいは年配者もあるとか、あるいは社会局云々とかいろいろなことをお考えになられたようです。それはもちろんけっこうだと思いますけれども、しかし、そのために起る具体的な数字はどうなるか、これははなはだ不安です。現実にさえ、あれだけの大量の失業者を出して、政府も八十余万といわなければならぬようになってきました今日の段階では、私はこれはなかなか簡単に片づく問題ではないと思います。従って、この問題についても、一応局長の責任において対策を具体的にいろいろ御考究になられたことと思いますけれども、実はこれは不安です。なかなかそう簡単には片づきません。現在の失業状態というのは、これはおそるべき恐慌です。ですから、こういう状態のもとで、またさらにここで失業者を作り上げるという措置についての対策は、もっともっと内容的なものになってこないと、ただこの場ではそういう説明で済んだといたしましても、その次にすぐ具体的な、場合によれば悲劇さえ伴うおそれがないとは言えないと思う。もちろん、せなければ、全部を生活保護でみなかかえ込むからいいじゃないか、かりにそういう安易な考えが出るとすれば、これは大へんなことです。そういうことでは、ちょっと良識ある答えではないということになると思う。ことに、働いておる人は、働きたい、仕事をしようとする意欲に燃えております。そうであってみれば、まずその人々をどのようにより十分に働いていただくようにするかという、その仕向け方の方がやはり先になると思います。そういうふうに考えて参りますと、今度の常勤労務者制のお取り上げについては、もう一応の深き御判断が要る、こういう結論がいやおうなしに出るように思います。これは私ども何らのこだわりがあって申し上げるのではない。昨日も次官が、何でも病人第一であるという言葉を非常に言われた。もちろんその通りです。従って、病人を第一だと考える熱意があるならば、なおさらのことです、やはりこの問題はその要請にこたえる形でお取扱いが願いたい。そうであってみれば、今までの審議の結果として、どうもそこに不安が絶えず横たわっておる。であってみれば、病人本位ということも、あるいは単なる言葉だけに終らせるおそれがあるということも私は言えると思います。従って、これはつき添い婦の方の生活権、労働権の問題だけではないのです。それだけではない。そのことも非常に重大であると同時に、病人のことが、そういう関係上非常に気づかわれるわけでありますから、かれこれ御判断をいただきまして、なるほど納得のいく結論をお出し願いたい、このように思います。これは私の希望を申し上げたわけですが、願わくはそれに対する局長の私に対する最後の御答弁を伺っておきたいと思います。  なお、これは委員長にお願いいたしますが、大臣が午後出席だと思うて、実は待ち焦がれておるわけですが、御出席になっておりません。願わくは、本日大臣の御出席を求めたいと思います。先ほどからもそういう要求もあったようでありますが、その点について、せっかくお取り計らい願いまして、大臣御出席になりますれば、この問題だけでありません、ほかの問題もありますので、発言をさしていただくことをお願いいたしておきます。
  98. 曾田長宗

    ○曾田政府委員 こまかいことは、ここで申し上げることはどうかと思うのでございますけれども、結核療養所においては、病院等に比べたって数が少いじゃないかということでありますが、再々申しておりますように、病院は大体四床に一人の看護婦、それから療養所は六人に一人というような見当になっております。これは明らかにそこに差があって、療養所では看護婦の手不足を生じておるのではないかというようなお考えが、かなり基礎になっておるのではないかというふうに思うのでありますが、これは病院におきましては、何しろいわゆる外来診療というものがございますので、今のは、病床に対しまして看護婦の現員が大体どのくらいの割合になっておるかということを算出いたしますれば、そのくらいになっておるということでありますので、ほんとうに病頭看護に当るということを考えますれば、病院におきましても、それだけはおらないような状況でございます。それからまた、結核療養所が最近病院化して参った、すなわち積極的な治療が多くなりつつあるということは言い得るのでありますけれども、今日におきましても、慢性の疾患でございますので、急激な変化が一般病院に比べまして、決して多いというわけではなしに、幾分少な目になっておるということは当然想像できるのであります。また自分でもってある程度の身のまわりの仕事もできるという患者さんもよけいにおられますし、またもう一つは、同じ種類の患者さんを集めておりますので、いろいろ看護あるいはお世話の仕方が比較的雑多な患者さんのおられるところに比べれば、小人数でお世話できるというような事情もございますので、病院等に比べまして、病床当りの看護婦が少いということは、これはある程度は少くて足りるものだというふうに私ども考えておるわけであります。ただしかし、二千二百七十人というものが、これが果してぴったり適正であるかどうか、これよりも百人、二百人多いことが必要ではないかどうかというようなことは、こまかいことになりますと、これはなかなか判断がむずかしいと思うのでありますが、私どもとしましては、さような意味において、大体はということを申し上げている次第であります。  それから、かような意味におきまして私ども患者さんのお世話をする看護の内容あるいは診療の内容を低下させるような結果が生じないかということにつきましては、できるだけの努力をし、またそれに基いてこの案を進めさせていただいておるというふうに御了承願いたいと思うのであります。  問題は、その次の、今まで何はともあれ、この数をつかむことは困難ではあろうけれども、いずれにしろ相当数のつき添いの仕事をしておった人たちが仕事がなくなるのではないかということのお話につきましてはこれは私どももジレンマでありまして、この看護態勢、病院の管理ということを、より合理的に、よりできるだけ十分なサービスができるように今後持っていく、その発展の基礎を築きたいというような意味で、一方は今回のような形を考えていただいておるわけでありますが、しかし、その反面において、多数の失職者を出すというような、これは目的ではないかもしれぬけれども、それに伴う一つの困った事情として出てくること、これに目をつむって知らぬ顔をするのはけしからぬではないかという御注意に対しましては、私どもも、この点につきましては決して目をつむっておるわけではないのでございます。ただ、私どもの立場といたしますれば、これは昨日政務次官もお話しになりましたように、私どもとしては、ことに医務局長といたしましては、これは患者さんをお預かりいたして十分のお世話をする、そうして、ただいまばかりでなしに、将来の病院のあり方、それから看護の態勢というものを整えていくということに、私ども第一次的な責任を感じておりますので、この点でいろいろと努力をさせていただいておるわけであります。ただ、非常に視野を狭くしまして、自分の仕事だけを進めていって、ほかにどんな副次的な弊害が起っても、障害が起ってもかまわぬというような立場は許されないのでございます。今のように、失職者が出るようなことをできるだけ避ける、できることならばそれが一人も出ないような措置を講じていくことができるならば、それに努力をして参らなければならぬ。しかし、これは一番よろしいことを申しますれば、看護要員あるいは診療要員につきましては、今までの、たとえば病院等の例をとりましても、それ以上に上回っても、よりよけいの人員をいただきたい、私は正直のところを申しますれば、さように考えておるのであります。しかし、それがなかなか実際問題としましては可能でないということになりますれば、これは私どもの立場としては、おしかりを受けるかもしれませんけれども、できるだけその関係の機関と協力して努める。それからまた、先ほどどなたかがおっしゃいましたが、厚生省あるいは医務局長施設長に全部責任をおっかぶせてしまって、全部これは施設長がしかるべくやるからというようなことをいうのではないかという御発言がございましたが、私どもも、その一人々々のことはよく存じておりませんし、これは当然施設長にまかせざるを得ないと思いますけれども施設長がこの問題を処理いたしますについては、私どものいわゆる出張所も各ブロックにございますのですから、このブロック、あるいは事情によっては私どもの方からも係員を派遣するなりいたしまして、できるだけ適正な措置を講ずるように努めたいと考えておる次第であります。  一応私の考えておりますことを申し上げた次第であります。
  99. 中村三之丞

    中村委員長 横銭重吉君。
  100. 横錢重吉

    横錢委員 今のつき添い看護の問題につきまして、なお関連がありますので、一、二ただしたいと存じます。先般来、つき添い看護の問題について、いろいろ質疑が繰り返されておるわけでございますが、当風の説明を聞いておって、なるほどこれならばいい制度になるであろう、後顧の憂いをなくしてこの改訂に対して賛意を表する、そういう結論が出てこない。これは一体どういうところに問題があるのだろうと考えておるわけでございますが、   〔委員長退席、大石委員長代理着   席〕 その前に、一体今日の国立の療養所における医師、看護婦、雑仕婦等の定員と、それから現在の実人員との関係はどういうふうになっておるか、おわかりならば、最初に一つその点を承わりたい。
  101. 曾田長宗

    ○曾田政府委員 療養所あるいは病院の職員の職種も、かなり多岐にわたっておりますので、そのうち特に今お話しの医師、看護婦だけでよろしゅうございますか。それならば、ただいま定員だけは直ちにわかりますので、その点を申し上げます。  まず、ベッド数は六万三千五百であります。それに対しまして医師が千七百三十七、婦長が五百五、看護婦が一方四百二十九、雑仕婦が三百十一、そのほか病棟雑仕婦が二百七十、これは定員でございます。
  102. 横錢重吉

    横錢委員 現在員についてはどうですか。
  103. 曾田長宗

    ○曾田政府委員 現員については、ただいま数字を持ってきておりませんが、大体充足いたしております。
  104. 横錢重吉

    横錢委員 国立の療養所において、つき添いを看護に当らせている病人の程度、どの程度の人につけさしておるのですか。
  105. 曾田長宗

    ○曾田政府委員 大体の基準といたしましては、結局重症者で自分で簡単なる身のまわりのことも十分始末ができないというような人及び手術後の方ということになっておるのであります。重症者と申しますれば、安静度の一度、二度、手術後の方と申しますと、肺切除術というような直達手術を行いました人たちについて、大体三週間程度つけさせるということになっておるのが現状であります。
  106. 横錢重吉

    横錢委員 身のまわりの始末のできない人に対しては、つけておられるというお話ですが、私が国立の療養所を回った工合によりますと、寝返りも打てない者に対して、つき添いがついておらない。この病棟には個室が二十ほどありますが、その中でつき添いがついておるのは、現在では面会もできない呼吸困難な者だけであって、重症の患者にはほとんどついておらぬのです。この現状は御存じでありますか。
  107. 曾田長宗

    ○曾田政府委員 生活保護法によるつき添い看護をつけておる基準がございます。それをもう少し申し上げますれば、看護の給付の承認要件として、一「被保護者の病状が重篤であって絶対安静を必要とし医師又は看護婦が常時監視を要し随時適切な処置を講ずる必要がある場合。」二「被保護者の病状は必ずしも重篤でないが手術のために比較的長期に亘り医師又は看護婦が常時監視を要し、随時適切な処置を講ずる必要がある場合。」ということになっております。
  108. 横錢重吉

    横錢委員 現在のつき添いの状況は、そういう工合でありますが、さらに看護の点を言うならば、御答弁によると、十分にやり得るようなお話でございますが、現実には、国立療養所の中において、七十人の患者に対して夜間勤務している者は一人しかおらない。この一人しかおらないものを、今日つき添い婦を廃止して、さらにどの程度夜間勤務している者をふやすのか、あるいはまた看護ができ得るとお考えになりますか、その辺のところをお聞かせ願いたい。
  109. 曾田長宗

    ○曾田政府委員 私ども考え方といたしましては、療養所の中におきましても、いわゆる軽症度患者を入れております病棟、それから内科関係の患者、また外科病棟という工合に考えているわけであります。この軽症の方がまじっておりますと、これはかなり大ぜいの患者に対して、少数の看護人でよろしいというようなことになるわけであります。しかし外科病棟のようなところでありますれば、比較的多数の者を夜勤にもつけておかなければならぬというふうに考えておるのでありまして、ただいま申されました七、八十人に一人というようなことは、現状としてつき添い婦さんなどがおられますから、あるいはさような形をとっているところがあるかもしれませんが、私ども病院等の例から見まして、また病棟によりましては、さような状態に放置はしておけないというふうに考えております。
  110. 横錢重吉

    横錢委員 私が今申し上げたのは、国立療養所における実際を申し上げたわけですが、夜勤は一人しかおらない。従って、その七十名のうち、重症者の安静度一、二度の者は二十名というような情勢でありまして、完全に看護が果されていない。しかもこれらがつき添い看護の廃止に伴って、さらにどういう状態になるのか考えてみたときに、必ずしも看護が強化されるというようには受け取りがたいのであります。   〔大石委員長代理退席、委員長着席〕 それで先般質問しましたときに、この改正をする当時の考え方としては二点ある。一点は、病院がこれを掌握するためである。もう一点は、教育をし、常勤労務者にすることであるというような点でありましたが、さらに前の委員の質問でもわかりましたように、院長の掌握という点については、現実に医療券によるところのつき添い婦というものは看護婦の掌握のもとにあって、一々その指図のもとに動いている。従って、今日さらにこれを強化する必要は何もないという情勢のもとに置かれている。このような情勢のもとにおいて、さらに病院が掌握をしなければならない不都合な点を、どういうふうに考えておられるのか。それからもう一点の教育をすると言われているけれども、二カ月ごとに更新をするという方法で、教育をする期間があるとお考えになっておられるかどうか。これは非常に大事な問題でありまして、常雇いの構想を打ち出しておきながら、実は二カ月でもって更新をするという方法は、現在の基準法を最も巧みに利用した方法と言い得るのでありまして、二カ月でもって更新するのであったならば、現在のつき添い制度の方法と何ら変るところはないのではないか。教育の強化、看護の強化ということにはならないのではないかと考えるが、この点どうですか。
  111. 曾田長宗

    ○曾田政府委員 私ども考えておりますのでは、先ほど申しましたように、個々の患者は別といたしまして、一応病棟として考えます場合には、外科病棟では五十床に大体二人の夜勤をつける。それから内科病棟におきましては五十床に一人の夜勤をつけるというような工合に考えておるわけであります。もちろんこのほかに、手術直後というような人たち、それから特別な重症者というような人たちには、再々申し上げておりますように、特別な配置をするというふうに考えておるわけであります。  それから常勤労務者という名前でありながら、二カ月ごとに切りかえるのはおかしいじゃないかというお話でございますが、今、常勤労務者の採用の条件が一応そういうような形になっておりますので、二カ月ごとに一応形式的に切りかえることになっておりますが、実質的には引き続き採用いたしまして、六カ月以上勤務いたしておるときには期末手当も支給し得るということになっており、また先ほど申し上げました通り、共済組合の利用というようなこともできるようになっておりますが、ただいまのところ、さように定めてありますので、私どももそれに従わざるを得ないのであります。それに対しまして、二カ月ごとに身分が切れるのでは、教育なんかできないじゃないかというお話でございますが、今のように、形としてはなるほどさようになっておりますけれども、実質的には引き続き勤務をしていただきたいというふうに私ども考えておりますので、この数カ月、数年引き続き勤務していただく限り、私どもはその間に講習とか、あるいはそのほか現任中に与えますいろいろな教育というようなことを施し得る期間はあるものというふうに考えておる次第であります。
  112. 横錢重吉

    横錢委員 常勤が二カ月ごとの形式になっておるから、それに従うのだというのですが、しからば、それはどういう点でなっておるのであるか。基準法においては、三カ月以内で日雇いを雇うことができるという方法があるのであります。今あなたがおっしゃられたような何カ月、何年というように使う構想であるならば、当然これは長期の契約をして身分を安定して使うべきものなんです。それを二カ月ぐらいの形式に切ってしまって、雇用者の方では、何らいろいろな問題についての責任を負わない。こういうやり方を、もしも厚生省がやったならば、この形式は一体病院だけで済むか。単に国立だけでなしに、民間の病院にも波及してくるし、他の事業場にも波及してきて、大へんな問題になってくるのではないか。こういうような不安定な労働契約は、何十年何百年昔にはあったものだがそういう制度の中から、現在のような安定した契約の制度に変ってきておる。それをなぜこういうふうに改めようとしておるのか。
  113. 曾田長宗

    ○曾田政府委員 この二カ月ごとに切りかえるということの問題は、この予算が定員として数えられない職員になっております。二カ月以上雇用するという場合には、どうしても定員に繰り入れなければならない。そうしますと、定員法の改正というような問題も出て参りまして、措置がむずかしくなってくるというようなことがございますので、私ども、別に常勤労務者でなければならない、定員に入れることに反対しておるというような意峠ではないのでございますけれども、いろいろ人員の増加というようなことで、このことにつきましてはいろいろ難点がございます。私ども、この増員が可能であるならば、実質的に実施いたしたいと考えております。積極的に二カ月に限りたいという意思は毛頭ございません。それから待遇が下ったというお話がございましたが、私聞き違えておるかもしれませんが、今日のつき添い婦さんは、大体一カ月以内の期間で契約が結ばれておるように、私、承知いたしておるのであります。その方々に対しまして、二カ月は十分ではございませんけれども、より不安定になるというふうには考え得られないのではないかと思っております。
  114. 横錢重吉

    横錢委員 今のつき添い婦は、医療券の発行によって二十四時間勤務という形をとって、しかもそれには雇用者がはっきりした形に出てこない。しかも、その身分はそのとき限りの契約であって、きわめて不安定なものである。このことは、問わなくてもわかっておるところの今日の問題である。従って、これをどういうように改めるかということについては、私ども賛成です、何とかしてこれは改めなければならないものだと考えておる。ところが、それを厚生省の方で常雇いにする、教育して看護の能力を上げるのが今度の目的であると言っておりながら、実際にはそうではなくて、定員の中に加えないのだという。定員の中に加えない常雇いというのがあるか、それは臨時雇いである。臨時雇いであるならば、これはやはり臨時雇いとしての待遇を考えなければならない。臨時雇いであるならば、将来定員の中に入れるという考え方が出てこなければならない。それをあくまで現在の不安定な状態を、一応名目だけ変えて二カ月程度の形式にする。こういうような方法では、改善でも改悪でもなんでもない現状のままということになる。現状のままとということに形式はなって、実際には人数の削減をはかるということだけが効果として出てくるのであると思うが、その辺のところはどうでありますか。
  115. 曾田長宗

    ○曾田政府委員 現状の通りという御意見でございますけれども、私どもとしましては、現状よりも数段改善されたものと思っております。ただ、ただいまの御意見のように、人数が幾分減っておるじゃないかというお考えに対しましては、これは再々申しておりますように、私ども多々ますます弁じたいとは考えておるのですが、この程度の人員でございますれば、現在程度の患者の世話はできるのではないかというふうに考えておるのであります。
  116. 横錢重吉

    横錢委員 つき添い料金の未払いがあるということに対しては、当局はどう考えておられるか。二月、三月分の料金がまだ払われておらないというのは、ざらにある。それのみならず、十一月、十二月分の料金がまだ支払われていないところもある。そのために、つき添い婦が生活困難に陥っておる。こういう事情については、どういうふうにお考えになりますか。
  117. 安田巌

    ○安田(巌)政府委員 つき添い婦の費用を払いますのは、実費患者と生活保護法と社会保険と三つあるわけでございまして、昨日何かそういうふうなお話を私どもの課長が承わっておりますので、生活保護の方につきましては目下調べております。
  118. 横錢重吉

    横錢委員 目下調べておるという意味は、わかったならば直ちにこれを支払いするという意味と、今後においてはこういうような未払いをやらないという二つの意味が含まれておるかどうか。
  119. 安田巌

    ○安田(巌)政府委員 どういう事情で未払いになっておりますかというようなことも、よく調べてみたいと思っております。
  120. 横錢重吉

    横錢委員 事情を言うならば、本省の方から金がこないから払わない。市役所あるいは地方事労所、これらにおいては金がないから払うことができないという理由で未払いをしておるという点ですから、この点をつけ加えて、一つお調べを願いたいと思います。
  121. 安田巌

    ○安田(巌)政府委員 生活保護の方の金は、二十九年度は医療費がふえましたために、大分赤字が出て参ったのでありますが、御承知のように、二十九年度の補正予算で七十億追加になりましたので、現在のところでは、大体私ども実は支払いは順調にいっておるように思っております。もちろん、私どものつもりでは、府県なり市に対しまして払っておるはずでございますけれども、そういう点もよく調べてみたいと思っております。
  122. 横錢重吉

    横錢委員 それでは、次に医療監査についてお尋ねをいたします。法人立あるいは私立の病院あるいは結核の療養所、これらの患者に対して、厚生省が直接診断を行なって、医療監査ですか、これを行なって、退院勧告等の処置を行なっておるが、これらの理由について一つお聞きしたい。
  123. 館林宣夫

    ○館林説明員 医療監査につきましては、通常は各都道府県が独自の対策でやっておるのでございますが、またそれと並行いたしまして、厚生省と各都道府県と共同で監査をする場合があるわけでございまして、ただいまお尋ねのございました実態上各法人あるいは国立病院等の入院患者について調べるというような事例は、共同で行うという場合は普通ないことでございまして、各都道府県が監査の事前措置といたしまして、その実態を調査をいたしまして、その資料に基いて監査をする場合があるかと思います。
  124. 横錢重吉

    横錢委員 ちょっとその答弁がわからないのですが、それでは厚生省の方として、府県の方にこれらを命じたことがないということになりますか。
  125. 館林宣夫

    ○館林説明員 現在、健康保険あるいは国民保険等、いわゆる社会保険の関係の監査あるいは医療の適正化に対する措置の一端といたしまして、必ずしもこれは監査を目標とするものではございませんが、患者の実態の調査あるいは入院患者の調査、そのほか各種の調査をいたしておるわけでございまして、さような意味においては、適正な医療が行われるように現地においての指導監督を指示いたしておる次第でございます。
  126. 横錢重吉

    横錢委員 患者の実態調査その他の調査として、どういうようなことをおやりになっていますか。
  127. 館林宣夫

    ○館林説明員 たとえばこれは特に特定の患者だけを指すわけではございませんが、ある地区の医療の頻度が非常に多いというような場合には、その地区に何ゆえさように頻度が多いであろうかというような意味で、患者を調査する場合もございます。また基金の審査から一応患者を調べる必要が生じたような場合には、実際に患者を調べるというようなことをいたすわけでございます。
  128. 横錢重吉

    横錢委員 それならば、この生活保護法の患者だけではなしに、健康保険——これは組合立、政府管掌を含めまして、国保、共済組合、これらの全患者に対して診断を行なっておるということについては、御存じでありますか。
  129. 館林宣夫

    ○館林説明員 まことに申しかねますが、私の方の所管の問題は、健康保険並びに船員保険あるいは国民保険の関係でございまして、大体生活保護の関係も同じような方針でやっておると思います。
  130. 横錢重吉

    横錢委員 それでは、さらに具体的に申し上げますが、千葉県の中における幾つかの病院にこれが実施された。それは、今の関係の組合、患者としては、千葉県のみならず、東京都方面の患者全患者にわたって、入院しておる者に全部、県の民生部保険課が中心になってこれを行なった、このことについては御存じですか。
  131. 館林宣夫

    ○館林説明員 これはもちろん千葉県に限ったことではございませんで、どの県でもおそらくあると思いますが、従来やってきております行政措置の一端として、もちろん千葉県においても、さような措置が行われておると承知いたしております。
  132. 横錢重吉

    横錢委員 行われておるとすれば、どういうような形式、どういうような委任の方法でこれを行なっておるか、府県が行う場合ですね。
  133. 館林宣夫

    ○館林説明員 現在法律に基きまして、保険者は患者を診断する権限があるわけでございまして、さような権限に基いて患者の調査を行う場合もございますし、また入院の承認をいたした場合の事務の確認のために、さような措置をとる場合もあろうかと思います。
  134. 横錢重吉

    横錢委員 はなはだ不明確ですが、今のは保険者と言われたのですか、保健所と言われたのですか。
  135. 館林宣夫

    ○館林説明員 保険者です。
  136. 横錢重吉

    横錢委員 保険者というのは、どういう意味ですか。
  137. 館林宣夫

    ○館林説明員 従いまして、組合関係の患者でございますれば、組合として患者を診察する場合がございます。政府管掌健康保険の患者でございますれば、保険課がやるのであります。
  138. 横錢重吉

    横錢委員 それだからして、私が、しからばどういうような形式で委任を受けておるのか、たとえば健康保険組合立の患者に対して診断をする、あるいは共済組合の患者に対して診断をする。この場合には、今言われた診断をすることができるというのならば、その委任の形式、これは実際にどういう形で受けられておるか。
  139. 館林宣夫

    ○館林説明員 私ども正式にさような指示をしたことは実はないのでございますが、そのような場合には、おそらく入院の承認に対する事務の確認行為として行なっておるのではないかと推定されるわけであります。
  140. 横錢重吉

    横錢委員 事務の確認行為という程度ならば、これに対してその適否とか、あるいはまた退院すべき者、あるいは入院を続ける者というようなことをやる権限というものは、別段持っていないわけですか。
  141. 館林宣夫

    ○館林説明員 入院を承認いたしました場合に、一定の期限をもって承認するわけでございますので、その病状によりまして、その期限をさらに延長する必要があるかどうかということを判定する場合に、これを参考にするであろうと想像できるわけです。
  142. 横錢重吉

    横錢委員 今の場合、はなはだ答弁が漠としているのですが、現実には県の保険課が中心になって生保患者その他の社会保険に入っている者に対して、全面的に患者を診断する。その診断をした結果、これは不適当である、即刻退院すべきである、あるいは今月中に退院すべきである、こういうような命令を出して勧告しているわけですが、こういう問題に対しては、どう考えておられますか。
  143. 館林宣夫

    ○館林説明員 もちろん、入院の必要性につきましては、主治医がこれを判定いたしまして、その判定を参考といたしまして入院の承認を保険課がするわけでございますが、さようなときに極力施設の長その他の御意見は十分尊重いたして行うべきことであることは申すまでもない次第でございます。
  144. 横錢重吉

    横錢委員 施設の長あるいは主治医の意見を尊重すると言うけれども、それらの意見はほとんど聞いておらない。そうして、入院しているところの患者に対して県の技官が診断を行う、そうして、これに対しては退院の勧告を出す。一体主治医がずっと見ているというものと、一ぺんの診断とは、どちらの方が優位性があると考えておられるか。こういう監査の方法というものが適当であるかどうか、この点についてはどう考えておられるか、伺いたい。
  145. 館林宣夫

    ○館林説明員 もちろんさような場合に、施設側と摩擦のないような措置が行われることが望ましいわけでございまして、日ごろから私どもも、もちろん行政行為として十分適正な医療費の支払いが行われることを望んでいるわけでございますが、もちろんただいまおっしゃいましたように施設側が絶えず患者を見ているわけであります。施設側の意見は十分に尊重いたしまして、摩擦のないような実際上の取扱いが行われるように、期待いたしておるわけであります。
  146. 中村三之丞

    中村委員長 横錢君に申し上げますが、厚生大臣が見えましたので、厚生大臣への質疑を始めたいと思います。大臣はごく短時間しかおいでになれませんので、どうぞ御了解願いまして、それでは大橋武夫君。
  147. 大橋武夫

    ○大橋(武)委員 厚生大臣にお伺いしたい点は、今年度の国立療養所の予算におきまして、看護婦を補助する雑仕婦が新たに二千教百名計上せられているのでございます。この予算の執行に関連いたしまして、今後、現在国立療養所において採用いたしておりますつき添い看護への制度を廃止するのではなかろうか、こういうことが言われているのでございまして、そのために全国療養所に入っておりますつき添い婦諸君が、非常に心配をいたしておられるわけでございます。そこで、この問題につきまして、政府のお考え並びに今後の御方針等を明確にしておきたいと思うのでございますが、まず第一に伺いたい点は、この予算の執行によりまして、現在のつき添い人が廃止せられるといたしますならば、当然ここに数千名に上るところの失業という問題ができてくるわけでございます。従って、こうした失業について、厚生省としては、そういう失業は絶対に起らないように措置するのだというのならば、いかなる方法によって失業者が生じないような措置をおとりにたるお考えでありますか、この点をまず第一に伺いたいと思うのでございます。時間がございませんから、質問の方をまとめて申し上げたいと思います。お含みを願います。第二の点は、医務局長の御説明によりますと、この新しい予算を執行いたしますために、二千人余りの看護婦の助手を採用する際には、現在のつき添い人の中から相当数採用せられる見込みである、こういうお答えでございました。ところで、現在のつき添い人は、すでに御承知通り、その月収は毎月一万数千円という額に上る方もあるわけでございます。これによって自己並びに扶養家族の生計を立てている。しかるに、今回予算に計上せられております数字から出るところの新しい助手の平均給与額は、月額にいたしまして八千円ないし八千五百円ということになるわけでございまして、これでは今まで通りの生活が維持できないのではないか。せっかくつき添い婦の方々が病院に採用せられましても、生活の維持ができないのじゃないかということを、非常に心配をいたしておられるわけでございます。そこで、このつき添い助手と申しますか、新しく国立療養所で採用せられるに当りましては、給与は一律に決定されるのであるか、それとも、本人の年令あるいは経験あるいは扶養家族等の点をお考えになりまして、従来の生活に、さして支障のない程度の給与を決定して採用せられる御方針であるか、この点を第二の点として伺いたいと思うのでございます。  それからなお、これらの新しい看護助手として採用せられる者のほかに、相当数の失業者がなお出る見込みであるかどうか。もし失業者ができない見込みであるといたしましたならば、どういう理由によるのか、その根拠を御説明いただきまして、つき添い人の諸君に安心をしてもらうことのできるようにしていただきたい、こう考えるわけでございます。これらの点につきまして、大臣の明確な御答弁を承わりたいと存じます。
  148. 川崎秀二

    ○川崎国務大臣 ただいま大橋委員より、つき添い看護婦の今回の問題につきまして、非常に御熱心な御質問があったのでありますが、私も全国のつき添い看護婦の方々から、今回の国立療養所における職員増強に伴って起った事柄に対して、非常に陳情の多々ありますることは承知をいたしております。今回国立療養所におきましては、現在職員の定員が十分でございませんがために、医療の重要部分を占めております患者の看護につきまして、その相当部分を社会保険及び生活保護によって認められておるいわゆるつき添い制度によって、今日まではやって来たわけであります。またこれらのつき添い婦が、個々の患者と雇用関係にありますため、療養所の監督も、一般の職員に対する場合と同じ程度には及ばない。これは先般長谷川委員からお尋ねがありました際に、私が社会労働委員会第一回の委員会でお答えを申した通りでありまして、これがため、従来から患者の看護、ひいては療養所の管理運営に円滑を欠いた節も多々あったのであります。私どもは、こういう状態をきわめて遺憾に存じておったわけでありまして、今回患者に対する医療はもちろん、看護その他患者の身辺のお世話を、国立療養所の職員の手によって行いたい、こういう考え方のもとに必要な職員の増員をはかっていきたいというのが、今回の国立療養所増員に伴うところの措置趣旨であります。これに伴いまして、つき添い制度を廃止するというふうに今日はとられておるのでありますが、これは看護を充実するということに政策が転換をいたしてきたというふうに御理解を願いたいというのが、大体の趣旨原則的な考え方でございます。  ただいま御質問の第一は、これに伴って失業が出るのではないかということであります。これは今日のつき添い看護婦の数が、巷間では四千名と称しておるものもありますが、厚生省考え方といたしましては、調査によりますと三千六百名であり、そのうち四百名は家族つき添いの関係になっておりますので、三千二百名ということに相なると思います。そこで今回二千三百名の療養所職員の増強を行うわけでありますから、従って、この転換措置におきまして足りない部分は、九百名ということになるわけでありますが、これらの措置につきましては、当然他の医療機関にもお世話を申し上げたい、また新採用は、むろん原則としてこれを採用するということになりますから、失業の面は非常に少くなるのではないかというふうに私どもは思っておるのであります。しかし、もし失業が発生をいたしますというような場合におきましては、もとより一般失業対策の対象として、職員安定所と特に緊密な連絡をとりまして、就業の機会を確保するよう措置をいたします。と同時に、ただいまも西田労働大臣に申してきたのでありますが、数としては、まずどのくらいの見当になるか、今日は十分に荷担することはできないけれども、そういうようなものが万一出た場合においての十分なる失業対策については、考えをしてくれということを、直接大臣から大臣の方へ連絡をいたして、また下部の事務機構におきましても、十分に連絡をいたしておりますので、かかることのないように万全の措置を講じたい、かように存じておるのが、第一の御質問に対するお答えであります。  それから第二の御質問は、今回そういうような措置が行われた際に、新採用する際に、今までのつき添い看護婦の平均は、大体一万円くらいであったということでありまして、それは御指摘通りでございます。これを今度の措置といたしましては、平均として八千五百円という基本給を給与いたしますとともに、超勤、期末手当あるいは共済組合等の関係をも含めまして、なるべく従来と同じような給与をするように措置をいたしたい。平年度に直しますと一万七百円ぐらいにまで持っていきたいと考えておる次第であります。  第三の御質問は、第一の質問とやや重複したように私考えましたので、第一のお答で御了承を願いたいと思います。
  149. 大橋武夫

    ○大橋(武)委員 大臣の御説明は大体了承いたしましたが、ただ大臣は、若干これによって失業があるかもしれぬということを予測しておられまして、この救済については、労働省に対して救済措置を頼んでおるということをおっしゃっておられるわけであります。この点が非常に問題であると存ずるのでございます。と申しますのは、現在のつき添い人の諸君は、病院における看護の手伝いということについては、すでに相当な経験もあり、また直ちに間に合う人たちでございます。従って、これが職業安定所を通じて一般的に失業者として解決されるということになりますと、どういう新しい職場に世話をされるか、これは非常に不安があるわけでありまして、職場によりましては、今までと非常に仕事の性質が違ったり、あるいは収入の状態が違ったりいたします。これは本人といたしましては、非常に迷惑をいたす点だろうと思うのでございます。そこで、もし全員が療養所に雇い入れられないといたしましたならば、その余の人たちにつきましては、できるだけこれを他の医療機関の看護要員としてお世話をいただくということが、最も適当な方法ではないかと思うわけでございます。ことに今回の医療の充実ということは、国立療養所の問題でございますから、従って、一般の私立の療養所であるとか、あるいは政府関係におきましても、現在の国立療養所以外の療養所等においては、引き続きつき添い人というようなものを必要とするところが相当にあるのではないかと思われるわけであります。従って、こうした面において、つき添い人をお世話していただくということになると、単に労働省だけで全責任を持っていただくだけでは十分でないのであって、やはりそうした面に関係の深い厚生省みずからが、自分の責任というお考えをもって相当な御努力を願う必要があるのではないか、まだそうしていただくことが望ましいのではないかと考えるわけでございます。従ってこの失業の問題につきしまては、労働省が失業の係だから、それに万事一任するというお考えではなく、やはり厚生省の管轄下にあり、あるいはその影響下にあるこうした医療機関に、どこまでも厚生省が責任を持って世話をし、生活上の不安を与えないようにする、こういう御方針を伺えるといたしましたならば、大へん私はけっこうなことではないかと思うのでございますが、この点について、大臣のお考えを明確に承わりたいと存じます。
  150. 川崎秀二

    ○川崎国務大臣 ただいまだんだんのお話でありまして、御指摘通りでございます。私は労働省に最後のことを連絡をし、また相談をしておるということを申し上げたのは、内部におきまして解決をし、厚生省関係の医療機関等にこれを吸収するということに、第一の方針を置いておるからでありまして、最終的に、なおそれでも失業者が出るというような場合にのみ、労働省との連絡調整におきまして解決をしたいと申し上げた次第であります。従いまして、御指摘通り国立療養所といたしましても、増員補充にはこれらの人々を採用するという基本原則を立てたいと思います。それから同時に、他の医療機関にお世話をする。本年は三万ベッド増床ということが他の医療機関において具現をするような形勢になっておりますので、それらもあわせて実行したい、さように存じておる次第でございます。
  151. 大橋武夫

    ○大橋(武)委員 よろしゅうございます。
  152. 中村三之丞

  153. 八木一男

    八木一男委員 厚生大臣に御質問を申し上げます。厚生大臣は、すべていろいろな政治の方向をきめるときに、国民の声を聞き、またその当該の関係のある人の声を聞いて持っていくのが、民主的な政治のやり方であるというお考えに立っておられると存じます——一問一答で御返事を願いたいと存じますが、時間の関係上、想像をまじえて申しますので、違いましたらそのつど御訂正願いたいと存じます。そういうお考えに立っておられるものと、私は確信するものでございます。それで、すべて今の政治の制度が、そのような観点に立って行われておりまして、たとえば農民の問題の一番重大な問題でございます米価の問題におきましても、米価審議会というものがあって十分にいろいろな関係者の意見を練って、そこにおいて官庁がいろいろな案を立てられる、それを国会に提出されてそれを審議してやっていくというような方法をとっているのが現状でございます。現在問題になっておりますつき添い婦の問題につきましては、そういう制度がないことは大臣の御承知通りでございます。でございますから、そのような実態を知らないという欠点をカバーするために、厚生当局は、大臣以下すべての方々が、あらゆる観点からその当事者のほんとうになまの意見を聞くというお気持が必要であろうかと思うわけでございまして、厚生大臣も、このお気持をお持ちであるはずと思うわけでございます。ところが、五月十日の本委員会の質問におきまして、岡本委員厚生大臣に、たとえばこの問題は、直接の関係を持ちます手術直後の患者あるいは処置なし患者といわれる重態患者の状態を、ぜひ厚生大臣に見ていただきたいという御要望を申し上げておるのでありますが、その間十日か二週間におきまして、大臣並びに厚生省の幹部の方々が、そのようなことを実行していただいておれば幸いでございますが、私はまだ寡聞にしてそれを聞いておらないのでございます。そしてまた、つき添い婦の人人、あるいは患者の人々、あるいはその関係者からのすべての陳情書を受け取って、ただいまも読んでおられるようでございますけれども、その人々の、大臣にお目にかかってほんとうのことをいろいろ申し上げたいという態度に対しまして、お忙しい状況でありますから、はなはだ困難ではございますけれども、時間を積極的にさいて聞いてやろうというお気持がなかったように拝見するのは、はなはだ遺憾でございますが、その点についてお答えを願いたいと思います。
  154. 川崎秀二

    ○川崎国務大臣 ただいま御質問のことは、これらの問題に対して、直接当事者から意見を聞き、またその周囲の者から十分に実情を聞いたらどうか、あるいは直接に視察をしたらどうかというような意味の御質問であったと思うのでございますが、この問題が起きまして以来、各種の陳情も直接お受けをいたしております。従いまして、これを回避したことはありませんけれども、御承知のごとく、今日厚生行政は万般にわたっておりますので、あるいは健康保険等の重要な問題のために忙殺をされておって、十分にお伺いする機会が少かったことは御指摘通りかもしれません。
  155. 八木一男

    八木一男委員 ただいま大臣のお気持を拝聴いたしまして、非常に安心したわけでございます。お忙しいことはわかっておりますが、陳情に来る中には、重態な患者は来られないわけでございます。でございますから、こういうことを一つ勘案していただきまして、ぜひ至急にその実態を調べていただきたいと思うのでございます。そしてもう一つは、厚生事務当局、特に医務局長その他幹部の方々は、この問題についていろいろと御検討になってこの案を、この方向をお出しになったことと存じますけれども、しかしながら、ほかの問題と違いまして、この問題は、国立療養所の問題は、厚生省自体が管理の一番頭に立っておるという状態にございます。ですから、厚生省所管のほかの美容師の問題、理容師の問題ではなくして厚生省自体が所管の大将になっておられますので、その立場上、ほかの問題とは違って、管理者の立場でものを考えられるというおそれがなきにしもあらずだと思うわけでございます。でございますから、特にその際におきまして、厚生当局は、御自分の立場でものを判断してそれを押し切るのではなしに、その反対の立場にある人たちの声を特別によく聞いていただいて御判断を願わないと、間違いが生ずるおそれがあると思うわけでございます。この点について、特に大臣の御配慮を願いたいと思うわけでございます。  それから、先ほど大臣の御答弁から拝見いたしたわけでございますが、実は私は最近まで療養所に入院しておりまして、七本骨を切った経験を持っておるわけでございます。そこで、制約された時間てございますか、ごくわずかな時間で実情を大臣に聞いていただきたいと思います。ただいま、たとえばこういうことをやることによって、療養所の患者の取扱いについて不十分な点がないというようなお考えで御答弁になっておられると存じますけれども、現在の状態においても、非常に不十分な状態にございます。そしてこの制度を実行されましたときは、さらに不十分な状態になることは明らかでございます。その点につきましては、各政党の各委員の方々が、昨日来ほんとうに熱心に御討議をしておられました。厚生大臣は不幸にしておられませんでしたけれども、もう一回速記録をお読み願いまして、その問題についてお考え直しを願いたいのでございます。療養所の実情におきましては、今手術を受けて再起を願う患者が、たまりにたまっております。その人たちを一日も早く再起させて、人間としての生きがいのある生涯にさしてやろうという観点から、その手術をする医者、あるいはその看護婦が、今の定員の少い状態において、自分の健康を犠牲にしながらも、その患者の手術に邁進して、その量を非常にたくさんやっておるわけでございます。でございますので、前線に立っておる医療当事者の努力は、実に涙ぐましいものがあるわけでございます。そのような状態にございますので、やはり今の療養所の中の患者に対するいろいろな看護その他は、そのような状態と定員の少い状態で、はなはだ不十分でございます。その点を辛うじてカバーしておるのがつき添い婦の諸君の、これもまた献身的な努力でございます。先ほど医務局長の御答弁をいろいろ伺っておりましたけれども療養所のつき添いの人は、労働条件その他でかたくなに考えておるのではなくて、患者をなおそうという衷心からの親切な気持から渾身の努力を続けて、自分のからだの悪くなるのも忘れてやっておられるような状況にあるということをどうかお心にとめていただきたいと存じます。昨日来、何かいろいろな手違いで、この医療券の切り方がどうこうという問題で、つき添い婦自体をいろいろとよいものでないという観点から考えておられるような状態があるやに承わりましたので、その考え方を全然改めて、つき添い婦の言葉をあらためて聞いていただきたいと思うのでございます。そこで、今大臣は、療養所長の管理下にないので、はなはだ管理上不都合なことが起るということを言われましたけれども、これは大臣は厚生事務当局から聞かれておるだけで、大臣自体はその実態を把握しておられないと思います。私は自分の体験から判断いたしますときに、そういうことは毛頭ございません。つき添い婦は婦長の指揮下において、実に正しく動いております。またこのつき添い婦制度を変えて、このような状態になって、定数の少い状態で不完全看護がさらにひどくなるような状態では、事実患者の手術をもっとよくやるとか、重態の患者をどうするとかいうことに責任が持てないので、この問題には反対であるという療養所の所長の意見が多数にあるのでございます。医務局長にお願いしたい点は、あるいは療養所の所長その他の意見も、いろいろヴェールがかぶさってあなた方のところに来るおそれがございますので、どうか胸襟を開いて、その点を考えていただきたいと思うのでございます。そのような意味におきまして、このつき添い婦が今やめになるということは、現在の不完全看護を、さらに不完全にする状態になるということを、私は確信を持って言うわけでございます。ただ一人の患者の訴えでございますけれども、今まで患者の声をなまに厚生大臣はお聞きになっておられないと思います。私の言葉で不十分でございましたならば、重症患者に直接何回も聞かれて、その立場を考えていただきたいのでございます。肺切除の手術をいたしましたときに、切除をいたしました場所で血が出てきまして、その中の血たんを出すのに工合が悪い。そのたんを出す努力をするのに、肺活量が半分以下、三分の一に減っているので、非常に苦しい。それを無理して出しましたときには、気管枝の断端を縫った糸がとれて、死に至るような危険性がある。そういうおそれにおののきながら、静かに一生懸命血たんを出そうという努力を患者がしているわけであります。そのたんがだんだんのどにまで来たときに、肺活量が少いために、そのたんがまた元に戻ってしまうわけでございます。そのようなときに、つき添い婦が舌のところに手を入れて、そのたんの端をつかまえて引きずり出すというようなことをやっているわけでございます。このようなことを、おそらく厚生大臣は御存じにならないと思うわけでございます。それからまた喀血の患者は——喀血する患者ならば、どうにもしようがないからほっておくとお考えになる方も、医学者でない方にはあるかもしれませんけれども、喀血したら、その血を全部はいてしまえば、命が助かるのであります。ところが肺活量が少いために、出かかった血を吸ってしまう、そこで首を締められたのと同じ窒息状態になって死ぬ患者が多いのでございます。これは二つの事例だけでございますが、そのほかにもたくさんございます。そのような場合、すぐそばにつき添い婦がおらないときには、命にかかわるようなことが多々あるのでございます。厚生行政に熱心な厚生大臣は決してあなたの行政の間違いで病人が死ぬようなことを欲しておられないと思われるわけでございます。皆さん、どうかその点で、よく調べて、この間違いを正していただきたいのでございます。医務局長は、もちろん完全看護に至る道を切り開くために、熱心に御計画になったに違いありません。その良心は疑わないのでございますが、しかし医務局長の見られる実態と患者の感じる実態、つき添い婦の感じる実態とは違うのでございます。その点について、大臣医務局長も、その他の厚生当局の方も、どうかもう一回このことをお考え直しいただきたいのでございます。局長さんは、もし誤まりがあったら、それを元に戻すのにやぶさかでないと、先ほどほかの委員に対して御答弁なさいました。どうかその謙虚な、ほんとうにありがたい態度を維持していただきまして、もし間違いがあったら、即刻改めていただきたいのでございます。これをもしお知りになって強行されるときには——この問題が、医療制度の革新に燃えられたのではなくて、再軍備予算を強行するために、一兆円予算を強行するために、医療扶助の金を減らさなければならないという要件でこれをなさったものであるならば、その点について、それを打開していただきたいと思うのでございます。今までは、いいからこれをやるという御答弁が多かったわけでございましたが、私どもは、そうではなくて、大蔵省とのやり合いにおいて、ずいぶん御努力はなさいましたが、厚生省の御希望通りのところまでいかなくて、生活保護費を減らさなければならないという立場のために、無理をして御答弁になっているような感じがするわけでございます。もし、そういうことがございましたならば、厚生大臣も、自由党の方も民主党の方も、あるいは私ども社会党の者も、この問題については、大いに関心を持って、何とかしてこのような逆転しないような方向に持っていきたいという考えの方が多いようでございますので、議員が厚生当局と一緒になりましたならば、大蔵省がそのことを拒否いたしましても、わずかな金額のこの問題は、協力した努力によって片がついて、そしてこの問題を前の通りに戻す、あるいはほかの点でよくするということが可能であろうと思うわけでございます。  私どもは想像を交えて申しましたけれども、ほんとうの意味で実態を見ていただいて、もしその点について誤まりであるということがお気づきになりましたならば、元へ戻していただきたいのでございます。私どもは、それを攻撃いたそうとは思いません。しかし、一回きめたものを元に戻すという御努力は、非常にむずかしいものでございます。その御努力に対しては、満幅の敬意を払うものでございます。そして全力をあげて協力を誓うものでございます。どうか政党政派の立場を離れまして、患者の立場から、つき添い婦の立場から、そして看護婦、医者の立場から、元へ戻してもらいたいのでございます。  大へん激しまして恐縮でございましたが、その点につきましてお答えを願いたいと思います。
  156. 川崎秀二

    ○川崎国務大臣 先ほど以来、八木さん自身の御体験から発せられた、尊い経験に基く実情をるるお話をいただいたのであります。そういうような事象が各方面に出ておるということも、部分的には承知をいたしておるのでありますが、全体的な視野に立ちまして、今日このような施策をすることが、国立療養所を強化するものであるという考え方に立って行なった政策であるのでありまして、これを元へ戻すということは、今日は私ども考えておらぬのであります。ただ、今お話をいただいたような手術の直後の問題などのごときは、私も六、七へんそのお話を聞いております。ことに、これは御体験に基いたことでありますから、非常に貴重なお話でありまするので、今後手術直後などにおきましては、必ず看護婦をつけるというやり方でやっていきたいと思います。また、ただいまいろいろなお話もありましたけれども、この過渡期に起ってくるところのマイナスを克服して、全体としてのプラス面に転換をしていきたいというふうに考えて出した案でありますから、厚生省の立場をも十分に御了承を願いたい、かように私ども考えておる次第であります。
  157. 八木一男

    八木一男委員 今、厚生大臣の御答弁を伺いまして、非常に残念でございます。私どもは、本心からほんとうのことを申し上げておるのでございますが、厚生省の原案を正しいものと信じ切って御答弁になったようでございます。私は、調べていただきたいということを申し上げておる。ですから、まだ時間があるわけでありますから、患者の声を聞き、つき添い婦の声を聞いて——厚生省は大きな構想を持っておられるし、医務局長初めりっぱな権威者がおられる。しかし、神様でない限り、間違いがないとは言えないわけでございます。私たち委員が、間違いではないかという疑いを指摘し、そうして大ぜいの方が陳情し、私ども自体も、このようにほんとうに衷心よりお訴え申し上げておるわけであります。厚生省当局としては、面子があるでございましょう、立場があるでございましょう。しかし、それを乗り越えてやっていくのが、川崎さんの任務でございます。川崎さんは、日本の厚生行政についてのホープでございます。ホープのはずであります。私は、ここで川崎さんが前進していただきましたときには、川崎さんを見直し、民主党を見直そうといたします。しかし、後退をいたしましたときには、ほんとうに今日限り、あなた方と戦わなければならないことが起るわけでございます。現在厚生省の事務当局が、大臣に何を申されたかわかりません。しかしながら、事務当局が完全看護と称しておられる国立病院においてすら、つき添い婦を雇い、また忙しい家族をつけてやっているような実情があることを御存じでございましょうか。先の目標のために、困難に耐えて、苦しみに耐えてやっていくといわれますが、その到達した目標のところが不十分なんでございます。私は厚生大臣のその実行力に信頼していたものでございます。十億円の健康保険の問題は、非常に不十分で、私どもは満足はできませんけれども、今の内閣の状況において、十億円取られた努力は見上げたものだと思っております。その厚生大臣に、ほんとうに政党の立場を離れて、患者の立場から、つき添い婦の立場から、そうして病院の従業者の立場からお願いしておるわけであります。どうか事務当局の案が完全無欠なるものというような認識に立たれないで、もう一回再検討していただきたいと思います。大臣としては、事務当局に敬意を払い、これを大事にされる立場があることも知っております。しかしながら、日本の国の政治をよいように、間違いのないように持っていく配慮が、それ以上に重要であるということを、大臣もお考えになると存じます。どうかその点でお考えになっていただきたいのでございます。  時間もございませんので、最後に一言申し上げますが、今の失業の問題であります。厚生省当局の計算によりましたならば、三千二百人で、二千二百七十人、九百三十人の失業であって、そのうちのある部分は雑仕婦として雇用するから、それだけ失業にならないという御説明のようでございます。しかしながら、三千二百人という数字には、はなはだ疑義があります。四千二百人という数字が上っておるのであります。どうかこれも御検討願いたいと思います。ただ自費によるものがその差額であるというお考えもあるかと存じますけれども、このような雑仕婦を置くことによって入院料が上り、そのような財政的な負担のために、自費でつけられない人ができてきて、そして患者の看護はうまくいかない、そしてつき添い婦の失業者がふえるというような状態もあることを考えていただきたいと存じます。  どこの省におきましても、自分の所管で行政整理をやるときには、大臣はほんとうに捨て身になってこれを防がれると思います。自分に関係のある業種で行政整理が起ることを、極端に少くするために、なくするために一生懸命がんばられるのが常道でございまして、川崎さんは、その点において人後に落ちないと思います。このようなつき添い婦は、厚生省の直接の従業員ではございませんけれども厚生省の政策によって首を切られる人々でございます。まさに皆さんの使っておられた人が首を切られるのと同じでございます。しかもその人たちは、病人の家族をかかえたり、未亡人であったり、あるいは子供をかかえたりして、苦心惨たんして世の中を生き抜いている人々でございます。ほかに転職のやりにくい人々でございます。その人が失業して、この生活苦の激しい世の中にはうり出された場合に、どのようなことが起るかということも、川崎さんにお考え願いたいと存じます。川崎さんは、厚生省の事務当局の顔を立ててそれを貫いたために、つき添い婦に、病人にあるいは労働強化で嘆いている、非常に苦しんでいる病院の従業者に、犠牲者が出てきたことをお考えになりましたならば、もう一回考え直して、これを検討し直すという気持になっていただけるものと私は信じたいのでございます。どうか御答弁をお願いいたします。
  158. 川崎秀二

    ○川崎国務大臣 先ほど来、だんだんのお話でありまして、ことに、もう一度考え直してみる点はないかということでございますが、これは先ほどの御答弁を繰り返す以外に、今日の段階としてはないのでございます。しかしながら、こういう問題は、すべて世論によって決定をし、また当事者はもとよりでありますが、医師であるとか、あるいは療養所長であるとか、関係の人人の、最も知識のある人々の意見をむろん徴してきめることだろうと考えております。従って、この法案が審議をされておりまする過程におきまして、どうしても世論の大多数が許さぬというようなことになりますれば、厚生省としては考え直さなければなりませんが、今日の厚生省の立場としては、先ほど申し上げたことを繰り返す以外にないのであります。ただ、もし民主党であるとか各政党というものから、つき添い看護婦の問題については絶対に反対だというような機運が出てくるということならば、これは考え直さなければなりませんけれども、今日の段階では、党の考え方も、またその他の政党のうち、これもやむを得ないと考えておられる党の代表の方などもありまして、今直ちにこれを撤回するというような気持がないことは——八木さんの御質問の趣旨には沿わないかもしれませんけれども、そうお答えする以外に方法はないと、こう申し上げておきたいと思うのであります。
  159. 中村三之丞

    中村委員長 八木さん、あなたはもうこれでとめて下さいませんか。時間がありませんし、また中原君の御質問がありますから……。
  160. 八木一男

    八木一男委員 今の厚生大臣の御答弁については、ほんとうに不満でございます。ただいまはいろいろの御関係がおありになるでございましょうから、お帰りになりましてから、もう一回私の申し上げたことをよくお考え下さいまして、もう一回考え直していただきたいと思います。希望を申し述べまして……。
  161. 中村三之丞

    中村委員長 中原君の大臣に対する質問が保留されておりますから、この際これを許します。時間がございませんから、どうか御簡潔に願います。中原君。
  162. 中原健次

    ○中原委員 大臣に二つお願いします。  第一点は、ただいま御質問がありました問題であります。先ほど局長との間で、いろいろ質疑応答があったわけでありますが、ただいまの御発言の中にもうかがわれますように、実情と当局の扱いの間に、何分かの誤差がある。問題の実態をつかむ場に何か誤差があるということが、どうも考えられてならない。しかもそのことは、ただいま大臣も言われましたように、大体世論の動向がそれは無理であるということになれば、政府としても考えなければなるまい、こういう言葉もあったのでありますが、この委員会の中で今まで数々の発言もございましたが、その数々の発言を通して考えましても、大体純正な世論の動きがここに表現されておるかと思います。従って、この問題に対しては、いわゆるかたくなな立場にお立ちになるのではなしに、ほんとうに実態を十分御考察になられてお取扱い方を決定されたいと、私どもはこのように思います。このことは、われわれが今まで数々拾い上げて参りましたいわゆる実態の調査の中から、当然出てきておる結論である。時間がないようでありますから、議論は申しませんが、ただそのことを私もつけ加えて申し上げておきます。  それからもう一点は、原爆の問題であります。原爆の被害者の治療態勢、そういう問題なんです。今度の予算の中に、そういうにおいのする類似のものが現われてきておる。この予算の中に、放射能被害調査研究委託費として一千二百四十四万二千円という数字が出ておるわけですが、この問題について、実は現在原爆被害者で治療を要する人が、一応広島で件数に出ておりますのが一千だといわれておる。もちろん実情はもっとたくさんあるわけですが、現在とりあえず医療機関に反映されておるものが一千といわれております。そうすると、その一千の人に対する当局措置としては、どのようにお考えになっておるか。これは国としてはあまり積極的に対策をとらなくてもよろしいという御見解であられるのか、それとも、そうではなしに、何とかしたいというお立場にお立ちになるのか。もし、そうであるとすれば、これは私の想像ですが、この費目、一千二百四十四万円という金は、それに値する金額ではないと思う。そこで、この予算とこの問題に対する対策との関係、これをお聞かせ願いたい。
  163. 川崎秀二

    ○川崎国務大臣 ただいまの第一の御質問につきましては、先ほど八木委員の御質問に対しまして、十分お答えをいたした通りでありますが、もとより法案を出すからには、これが原案の通過ということは、われわれ政府としては願っておるところであります。しかし御指摘通り、実情その他が国会に反映されまして、国会において修正をされたり、あるいはこれが否決になったりする場合もあるのであります。もとより政府としては、今回出しました考え方を御了解を願いたい、かように思いますけれども国会の多数によってきめられることでありますから、各政党その他における御意見が、どうしても反対だということに集約をいたされれば、そのときには、もちろん考え直さざるを得なくなると思うのであります。ただ、御発言でありましたが、この委員会におきまして御発言がありました大部分は、確かに絶対反対の立場に立っておられる方々のようでございます。しかし中には、看護を十分にするためにやった措置であって、失業対策その他一切の措置を完全にするならば、やはりこの方向に進んだ方がよいというお考え発言もあるようでありますから、それらは委員会審議に一切おまかせをする以外にないと思うのであります。  それから、原爆の問題につきましては、原爆の治療費の問題でありますが、治療費は今日は国では直接出さないという方針になっております。詳しいことにつきましては、公衆衛生局長から答弁をさせていただきたいと思います。
  164. 中村三之丞

    中村委員長 厚生大臣に対する質疑は、本日はこの程度にとどめまして、明日継続することといたします。  ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  165. 中村三之丞

    中村委員長 速記を始めてください。  明日は午前十時より開会し、本日はこれにて散会いたします。   午後五時二十三分散会