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1955-05-24 第22回国会 衆議院 社会労働委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年五月二十四日(火曜日)     午後一時三十六分開議  出席委員    委員長 中村三之丞君    理事 中川 俊思君 理事 大橋 武夫君    理事 山下 春江君 理事 山花 秀雄君    理事 吉川 兼光君       植村 武一君    臼井 莊一君       亀山 孝一君    小島 徹三君       山本 利壽君    横井 太郎君       越智  茂君    加藤鐐五郎君       小林  郁君    高橋  等君       中山 マサ君    野澤 清人君       八田 貞義君    岡本 隆一君       滝井 義高君    中村 英男君       長谷川 保君    横錢 重吉君       受田 新吉君    神田 大作君       山口シヅエ君    山下 榮二君       中原 健次君  出席政府委員         厚生政務次官  紅露 みつ君         厚 生 技 官         (公衆衛生局         長)      山口 正義君         厚 生 技 官         (医務局長)  曽田 長宗君         厚生事務官         (薬務局長)  高田 正巳君         労働政務次官  高瀬  傳君         労働基準監督官         (労働基準局         長)      富樫 総一君  委員外出席者         厚生事務官         (社会局保護課         長)      黒木 利克君         労働基準監督官         (労働基準局監         督課長)    和田 勝美君         労働基準監督官         (労働基準局労         働衛生課長)  加藤 光徳君         会計検査院事務         官(検査第二局         長)      上村 照昌君         専  門  員 川井 章知君         専  門  員 引地亮太郎君         専  門  員 浜口金一郎君         専  門  員 山本 正世君     ――――――――――――― 五月十七日  委員永山忠則辞任につき、その補欠として越  智茂君が議長指名委員に選任された。 同月十八日  委員倉石忠雄辞任につき、その補欠として橋  本龍伍君が議長指名委員に選任された。 同月十九日  委員橋本龍伍辞任につき、その補欠として倉  石忠雄君が議長指名委員に選任された。 同月二十日  委員高橋等辞任につき、その補欠として松山  義雄君が議長指名委員に選任された。 同月二十一日  委員松山義雄辞任につき、その補欠として高  橋等君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 五月二十三日  未帰還者留守家族等援護法の一部を改正する法  律案内閣提出第六九号)  戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部を改正する  法律案内閣提出第七〇号)  けい肺及び外傷性せき髄障害に関する特別保護  法案内閣提出第七二号)  歯科衛生士法の一部を改正する法律案内閣提  出第六八号)(予) 同月二十日  理容業界安定対策確立に関する請願中馬辰  猪君紹介)(第六八六号)  同(小川半次紹介)(第七五九号)  同(中馬辰猪紹介)(第七六〇号)  国立療養所附添廃止反対に関する請願外一件  (山下春江紹介)(第六八七号)  同(大倉三郎君外一名紹介)(第六八八号)  同(福田赳夫紹介)(第七三一号)  同(横錢重吉紹介)(第七三二号)  同外一件(楯兼次郎君紹介)(第七六四号)  同外一件(五島虎雄紹介)(第七六五号)  同(山下榮二君外一名紹介)(第七六六号)  同(大西正道紹介)(第七六七号)  同(横錢重吉紹介)(第七六八号)  美容師法制定に関する請願今澄勇紹介)  (第六八九号)  同(白浜仁吉紹介)(第七二九号)  クリーニング業法の一部改正に関する請願  (小川半次紹介)(第六九〇号)  旧豊川海軍工廠における戦没動員学徒等の遺家  族援護に関する請願杉浦武雄紹介)(第七  二八号)  生活保護法による保護基準率引上げに関する請  願(福田赳夫紹介)(第七三〇号)  母子福祉法制定に関する請願戸叶里子君紹  介)(第七三三号)  医業類似療術行為期限延長反対に関する請願  (中馬辰猪紹介)(第七三四号)  東京都外地引揚者寮修築費国庫補助に関する請  願(並木芳雄紹介)(第七三九号)  生活保護患者入退院基準撤廃等に関する請願  (佐竹新市紹介)(第七六一号)  国立療養所附添廃止反対等に関する請願(佐  竹新市紹介)(第七六三号)  医療扶助審議会設置反対に関する請願横錢  重吉紹介)(第七六九号)  国民健康保険法改悪反対に関する請願横銭  重吉紹介)(第七七〇号)  東川入河内外七箇地区水道敷設に関する請願  (宇田耕一紹介)(第七七一号) 同月二十一日  国立療養所附添廃止反対に関する請願外一件  (坂本泰良君外一名紹介)(第七九三号)  同(佐々木良作紹介)(第七九四号)  同(吉川兼光紹介)(第七九五号)  同(渡海元三郎紹介)(第七九六号)  同(長谷川保紹介)(第七九七号)  同外二件(田中武夫紹介)(第七九八号)  同(河野正紹介)(第八三五号)  同外二件(福田篤泰紹介)(第八三六号)  同(矢尾喜三郎紹介)(第八三七号)  同(森清紹介)(第八八三号)  同(渡海元三郎紹介)(第八八四号)  同(小林郁紹介)(第八八五号)  同(正木清紹介)(第八八六号)  同(佐々木更三君紹介)(第八八七号)  同外一件(八田貞義紹介)(第八八八号)  同(中村三之丞紹介)(第八八九号)  同(笹山茂太郎紹介)(第八九〇号)  同(川俣清音紹介)(第八九一号)  国立療養所附添廃止反対等に関する請願(木  崎茂男紹介)(第七九九号)  医療扶助審議会設置反対に関する請願吉川  兼光紹介)(第八〇〇号)  国民健康保険法改悪反対に関する請願吉川  兼光紹介)(第八〇一号)  同(笹山茂太郎紹介)(第八九二号)  同(川俣清音紹介)(第八九三号)  生活保護法最低生活基準額引上げに関する請  願(吉川兼光紹介)(第八〇三号)  戦傷病再発医療費全額国庫負担に関  する請願中村時雄紹介)(第八〇六号)  同(田中幾三郎紹介)(第八四〇号)  戦傷病者割当雇用に関する請願中村時雄君  紹介)(第八〇七号)  同(中井徳次郎紹介)(第八四一号)  美容師法制定に関する請願赤松勇紹介)  (第八三二号)  同(木崎茂男紹介)(第八八二号)  理容業界安定対策確立に関する請願川俣清  音君紹介)(第八三四号)  旧豊川海軍工廠における戦没動員学徒等の遺家  族援護に関する請願八木一郎紹介)(第八  三八号)  医業類似療術行為期限延長反対に関する請願  (伊瀬幸太郎紹介)(第八三九号)  同(逢澤寛君紹介)(第八九四号)  引揚者住宅修理に関する請願山花秀雄君紹  介)(第八四七号)  クリーニング業法の一部改正に関する請願(山  下榮二紹介)(第八八一号) の審査を本委員会に付託された。 同月十七日  国立療養所における完全看護制度確立に関する  陳情書(第一〇八  号)  母子福祉法制定に関する陳情書  (第一〇九号)  保育料徴収基準引上げ反対に関する陳情書  (第一一〇号)  健康保険赤字対策に関する陳情書  (第一一一号)  戦没者遺族等援護強化に関する陳情書外一件  (第一一二  号)  同外三件(  第一四五号)  同外一件  (第一七六号)  労働者災害補償に関する陳情書  (第一一三号)  世帯更正貸付資金制度予算化に関する陳情書  (第一一四号)  上水道地盤変動対策事業に対する予算措置に関  する陳情書(第一  一五号)  パラチオン及びホリドール有機燐製剤使用禁止  に関する陳情書  (第一一六号)  国立療養所附添廃止反対に関する陳情書  (第一  三四号)  同  (第一  七七号)  同  (第一九五号)  労働災害防止対策確立に関する陳情書  (第一三五号)  中央競馬会法による民間社会福祉事業資金予算  化に関する陳情書  (第一四四号)  国民健康保険法の一部改正に関する陳情書  (第一四六号)  失業対策事業強化に関する陳情書  (第一四七号)  社会保障費予算確保に関する陳情書  (第一六二号)  同外一件  (第一八〇号)  児童収容施設措置費に関する陳情書  (第一七四号)  旭川市にアフター・ケア施設設置に関する陳情  書  (第一七五号)  歯科技術得業士法制定に関する陳情書外一件  (第一  七八号)  けい肺法制定に関する陳情書  (第一七九号)  徴用学徒死亡者取扱に関する陳情書  (第一八一号)  戦傷病者戦没者遺族等援護法による船員の取扱  に関する陳情書外一件  (第一九六  号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  結核予防法の一部を改正する法律案内閣提出  第四八号)  けい肺及び外傷性せき髄障害に関する特別保護  法案内閣提出第七二号)     ―――――――――――――
  2. 中村三之丞

    中村委員長 これより会議を開きます。  まず日程に追加いたしまして、けい肺及び外傷性せき髄障害に関する特別保護法案議題とし、審査に入ります。高瀬労働政務次官より提案理由説明を聴取いたします。高瀬労働政務次官
  3. 高瀬傳

    高瀬政府委員 ただいま議題となりましたけい肺及び外傷性せき髄障害に関する特別保護法案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。わが国における業務上の疾病予防とその疾病にかかった者に対する補償につきましては、労働基準法及び労働者災害補償保険法において、これを保障しているところであります。しかしながらこれら労働立法において保障せられております業務疾病のうち、けい肺につきましては、他の業務上の疾病に比し、きわめて重篤な疾病でありまして、金属鉱山等遊離けい酸粉塵を発散する場所で労働する者が、この粉塵を吸入するため、肺に特殊の結節を生じ、このため呼吸が困難となり、結局死に至る不治病気でありまして、その病状はまことに悲惨なものであります。また外傷性脊髄障害につきましては、鉱山における落盤、高所よりの墜落などにより脊性髄を損傷し、ために神経系統の麻痺を来たす病気でありまして、これまたけい肺と同様に不治で、その症状のはなはだ悲惨なものであります。  このように、これら二つの特殊の業務上の疾病は、労働者が職場において罹患し、ついに回復することのできないままに死に至るものでありまして、先年までは一般の認識が薄く、また治療予防対策のないままに放置され来たったものであります。しかるところ、終戦後これに関する関係方面の関心が急速に高まり、政府といたしましても、これら特殊の業務上の疾病については、一般業務上の疾病に対する対策のほかに、特別の保護を与えて患者生活の安定をはかることが緊要であると存じ、人道的見地に立って愛情ある保護の手を差し伸べるべく、さしあたりその前提として、昭和二十三年以来けい肺罹患実態把握のため、けい肺巡回健康診断を行い、また労災病院の一環として、けい肺専門病院設置いたしますとともに、けい肺試験室を設けその予防治療について研究してきたところであります。さらに昭和二十四年には、労使及び学識経験者からなるけい肺対策審議会労働省設置し、けい肺全般についてその対策と樹立と行政的保護措置推進に努めて参ったのであります。  また一方、民間におきましても、金属鉱山関係を初め、この病気関係のある方面におきましては、早くからけい肺治療予防とが大いに問題となって、人道的社会問題としてその重要性を認識されて参り、国会におきましても、御承知の通り、いろいろと論議のあったところであります。政府は、これら諸般の情勢を勘案し、けい肺対策審議会具体的結論を得られるよう要請しておりましたところ、昨年十月審議会から政府に対し、一部につき労使意見対立を包含した中間報告が行われたのであります。しかし、政府としては、事態を延々と放置すべきにあらずと認め、審議会中間報告その他を勘案し、諸般資料に基き法案の作成を急いでおりましたところ、本年四月に至り法案要綱決定を見るに至りました。よってけい肺対策審議会及び社会保障制度審議会法案要綱につき諮問いたしましたところ、これについて両審議会としてはいろいろ議論はありますが、今日の段階において、これにより立法手続をとることを全員が了承いたし、その旨の答申を受けたのであります。よって政府は、けい肺及び外傷性脊髄障害に関する特別保護法案を策定し、ここに提案の運びとなった次第でございます。  次にこの法案概要について申し上げます。  第一に、この法律施行後、まず政府がみずから関係労働者についてけい肺健康診断を行い、症状厳正適確把握給付確実性を期することをいたしております。次いで使用者関係労働者を新規に雇い入れる時と、原則として三年に一回、けい肺健康診断を行わせることといたしております。  第二に、けい肺健康診断の結果については、使用者からその資料都道府県労働基準局長に提出いたしまして、けい肺審査医診断または審査により、けい肺症状決定するのでありますが、これはけい肺症状決定一般には困難であるためと、症状決定により、この法律上の効果として作業転換勧告が行われ、また転換給付療養給付休業給付が支給されることとなりますので、公けの立場において公正に適確症状決定をいたすこととしたのであります。  第三に、けい肺健康診断の結果、けい肺症状が進行して第三症度または特別に早く第二症度にかかった者に対しましては、都道府県労働基準局長作業転換勧告して、療養を要する段階に至らぬよう、病勢の進行を及ぶ限り防止する措置を講ずることとし、この勧告に従って作業転換した労働者には、通常、賃金が不利となるのであろうことにかんがみ、一カ月分の賃金相当額転換給付として支給することといたしております。  第四に、作業転換が企業間において行われがたく、ためにやむを得ず離職した労働者に対しましては、政府職業紹介職業補導等について、できるだけ適切な措置を講ずるよう努力いたしますとともに、他面、さらに進んでこれら離職した労働者のために、就労のための適当な施設政府において設置、経営して、その生活の安定をはかるよう努力いたすこととしております。  第五に、けい肺第四症度、すなわち休業して療養を要する段階に至った労働者につきましては、現在労働基準法または労働者災害補償保険法で三年間の休業補償療養補償とを事業主全額負担において行なっておるのでありますが、この法律により、さらに引き続いて政府が二カ年の休業給付療養給付とをすることとしております。外傷性脊髄障害にかかった者についても、これと同様の給付をいたすこととなっております。  第六に、転換給付療養給付及び休業給付に要する費用につきましては、その三分の一は国庫が、その三分の二は使用者が負担することといたしまして、使用者負担金徴収につきましては、原則として労災保険保険料徴収に準じて政府徴収することにいたしております。  第七に、この法律施行に万全を期するために、新たに中央、地方を通じ、けい肺診査医を置きまして、けい肺健康診断等について公正を期しますとともに、労働省けい肺審議会設置し、けい肺に関する重要事項を調査審議することとし、法施行に遺憾なきを期しております。  なお、この法案におきましては、休業給付療養給付等の諸給付につきまして、労働者生活に不安なからしめるため、公租公課の賦課、差し押え等を禁止し、あわせて不服申し立ての道を開くことにより一段とその保護を厚くいたしております。  以上がこの法案提案に至る理由と経過及びその概略の内容でありますが、不治で悲惨な症状を呈するけい肺外傷性脊髄障害にかかった労働者に対して、一日も早く現状に即し、できるだけの特別の保護を加えたく念願する次第であります。  何とぞ、御審議の上すみやかに可決せられんことをお願い申し上げます。
  4. 中村三之丞

    中村委員長 以上で説明は終りました。本案につきましての質疑次会以後に譲ることといたします。     —————————————
  5. 中村三之丞

    中村委員長 次に、結核予防法の一部を改正する法律案議題とし、審査に入ります。  紅露厚生政務次官より趣旨の説明を聴取いたしたいと存じます。紅露政務次官
  6. 紅露みつ

    紅露政府委員 ただいま提案されました結核予防法の一部を改正する法律案提案理由について御説明申し上げます。  本改正の第一点は、市町村長の行う定期健康診断対象者範囲を、小学校就学始期に達しない者を除くすべての一般住民に拡張することとしたことであります。  従来一般住民に対する健康診断は、厚生大臣が指定する区域を管轄する市町村長が、その区域内に居住する三十才未満の者のみを対象として、毎年定期にこれを行なってきたのでありますが、一昨年厚生省が実施した結核実態調査の結果、結核があらゆる地域に、またあらゆる年令層に広範に蔓延している事実が判明いたしましたので、区域の指定及び年令の制限を廃止し、小学校就学始期に達しない者を除く一般住民全部を対象として健康診断を行い、もって結核予防対策強化を期そうとするものであります。  なお、小学校就学始期に達しない者につきましても、毎年定期健康診断を行うのが一そう望ましいことはもちろんでありますが、この年令層結核患者発生は、家族内における感染に起因する場合が非常に多く、従って従来より都道府県知事が実施して参りました患者家族に対する定期外健康診断を一そう強化することにより、おおむね患者把握が可能と考えられますので、これを定期健康診断対象者から除外することといたした次第であります。  本改正の第二点は、定期健康診断回数政令で定めるものとしたことであります。これまで定期健康診断は、一律に毎年一回行うものとされていたのでありますが、結核実態調査の結果に照しましても、結核発病のおそれがあると診断された者等発病率の高い者については、毎年一回の健康診断では不十分であることは明らかでありますので、定期健康診断回数政令に委任し、対象者の区分に応じた適当な回数政令で規定することといたした次第であります。  本改正の第三点は、病院管理者に対し、結核患者入院したとき、所定の事項保健所長へ届け出る義務を課し、保健所長が行う家庭訪問指導その他患家対策の一そう強力かつ円滑な推進に資することとしたことであります。  以上がこの法律案概要でありますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決下さいますようにお願い申し上げる次第でございます。
  7. 中村三之丞

    中村委員長 以上で説明は終りました。本案質疑に入ります。横錢重吉君。
  8. 横錢重吉

    横錢委員 今結核予防法の一部改正の案が出まして、さらに結核予防を広範囲に行なって結核の撲滅をはかりたい、こういうふうに考えておられる政府のお考え方に対しては、心から賛意を持つものでございますが、これらの点について若干御質問いたしたいと存じます。  まず、この予防法制定の目的については、ただいまの御説明でわかりましたけれども、では、一体その実際の効果についてはどの程度考え、期待をいたしておるのであるか。予防法によって発見をされた患者等に対する治療の道は、一体開いているのかどうか、この点に関して御質問いたします。
  9. 山口正義

    山口(正)政府委員 今回御審議をお願い申し上げます改正の第一点の、健康診断対象範囲を拡大することでございますが、それによって患者がより多く発見されるであろう。それに対してどういうような措置を考えておるかというお尋ねでございますが、発見されました患者につきましては、従来もとっておった措置でございますが、入院を必要とする者に対しましては、入院のできるようないろいろの措置を講ずる。そのために、従来ベッドがまだ不足いたしておりますので、昭和三十年度におきましては、一万床の病床の増加をお願いしたいということで予算を計上しているわけでございます。  それから入院できない在宅いたしております患者に対しましては、従来も実施いたしておりましたが、保健所からの保健婦訪問によります患家指導をさらに徹底させていきたい。そうして在宅して適切な医療が受けられるように指導して参りたい、そういうふうに考えているわけでございます。  なお、在宅いたしておりまして、家屋の状況でどうしても家族と同居しておりますために、家族内感染を非常に起す危険性の強いようなものに対しましては、今回初めての試みでありますが、宅地のある者に対しまして、公費で療養室設置してそれを貸与して、本人が安んじて療養でき、また家族への感染を防止し得るような措置を講じたいというふうに考えておるわけでございます。  それから医療費につきましては、これは前年度よりやや総額において減少いたしておるのでございますが、しかしその医療内容、特に化学療法につきまして、比較的価格の安い化学薬品を使用する等のことによりまして、大体予定の人員を消化できるのではないかというふうに考えておるわけでございます。  そのほか在宅患者につきまして、これは生活保護法関係でございますが、栄養補給費につきまして、前年よりも費用を増額するというような措置も講じておるのでございますが、従来これらの発見されました患者につきまして、いろいろ措置を講じておりましたのを、新しい部面を加え、さらに強化する等の措置を講じて、できるだけ療養は十分にできるように措置を講じていきたいと考えておるわけでございます。
  10. 横錢重吉

    横錢委員 今の御説明の中にも、予防法の適用によって、発生をできるだけ食いとめていくという考え方について述べられておるのでありますが、しからば、一体この結核発生はどういうふうにして出てきておるか。その点では栄養増加ということについても触れられておるけれども、実際の患者発生ということについては、過労と粗食に大きな原因があるのではないか。従って、これらの問題についても触れるところがなければ、予防法についての完全な効果は確認できないのではないか、こう考えておるのであるが、この点についてはどうか。特に今の栄養増加ということについては、一体どの程度のものを増加しようという措置を考えておるのか、具体的にお伺いいたしたい。
  11. 山口正義

    山口(正)政府委員 ただいま御指摘のように、結核対策としては、私先ほど冒頭に申し上ぐべきでございましたが、やはり予防に重点を置いていかなければならぬということは御指摘通りでございます。従いまして、その健康診断を実施いたしまして、発病のおそれのあるような者を早期に見つけ出しまして、それが発病に至らないように、いろいろの措置を講じていくということが必要でございます。従いまして、私どもこの健康診断によりまして、発病のおそれのあるような者を発見いたしました場合には、それに対していろいろの指導を加えて発病を防止するように措置を講じていく、その際に、ただいま御指摘栄養の問題あるいは過労の問題を、当然考えていかなければならないと思うのでございまして、またその発病のおそれのある者からの発病が、一般の人に比べて非常に高い率であるということは、結核実態調査の成績からもはっきり出ておりますので、特に今回の法改正にもお願いいたしておりますが、そういう人たちに対しては、年一回でなしに、さらに六ヵ月後に精密な健康診断を実施して、もし発病しております場合には、早期にそれに対して手当を加えていくということをやりたいというふうに考えているわけでございます。  最後のお尋ねの栄養加給面につきまして、具体的にどの程度のことかというお話でございますが、従来生活保護法におきましては四百二十五円の栄養加給費でございましたが、それが七百二十五円に増額されているわけでございます。
  12. 横錢重吉

    横錢委員 予防法制定していくことについて、一応わかりましたが、しからば、予防とともに大事な問題は、現在すでに罹患している患者に対して、どういう治療を施していくかという問題が関連してきておるわけです。現在政府は、入院を要する患者に対して、これを押えている傾向がないかどうか。たとえば、入院を必要としているけれども、予算関係上からして、医療券の発行をしないということ、あるいはまた退院を強制させるというようなことをやっていないか。実際には患者がいるかいないかをやるよりも、現実におるところの二百九十二万とかの患者に対して適切な治療を与えることが、予防法制定前の問題として大きな問題であるのだが、これらの点に関してどう考えておるか伺いたい。
  13. 山口正義

    山口(正)政府委員 入院を必要とする患者に対して、予算面その他で入院を押えておるのではないかというお尋ねでございますが、御承知のように昭和二十八年に実施いたしました結核実態調査の成績によりましても、入院を必要とする患者が全国推定で百三十七万でございます。しかしながら、これは決して現実に全部つかんでおるわけではないのでありまして、つかんでおるのはそのうちの一部でございますが、それにいたしましても、現在の病床数に比べまして入院を必要とする者の数が非常に多いのでございます。従いまして、私どもは、その不足いたしております病床をできるだけ効率よく利用していく、そして入院をして医療を要する者をできるだけ入院さす。そしてもうこの状態ならば入院しておる必要がないという人たちは、できるだけ家庭に帰って、次の人に対して席を譲っていただきたいというような考えで行政を実施いたしているわけでございまして、生活保護法患者につきまして、一応入退院基準というものを作って実施いたしているのでございますが、決して経済上、予算上の問題で入院をはばむ、あるいは退院をさせるというようなことを実施いたしているのではございませんので、できるだけ数の足りない病床をこの結核医療の上で十分に活用したいという趣旨で実施しておるわけでございます。
  14. 横錢重吉

    横錢委員 入退院の基準をきめて、少いベッドの回転をはかっておると言われるのでありますが、それならば、大体この基準をきめてから、フルに病院におけるベッドを回転しておるというように考えられておるのですか。全般的なことはわからないけれども、たとえば千葉県だけの例を見ましても、二千五百四十六のベッドが、ほとんどあいておらなかったものが、三月三十日現在においては二百八十三のベッドがあいている。しかも、これは入退院基準を作ってから、急速にあきベッドが出てきた現象である。福祉事務所その他において医療券の発行を渋ってきておるということが、現実にこういう姿になって出てきておる。しかも、現在入っておる者に対しては、この基準によってこれはまた出て行くように措置を講じる、その結果がこういう数字になって現在ここだけでも一一%のあきベッドが出てきておるのだが、これは一万床のベッド増床という政府考え方とはちょっと相反するような結果となりまして、どんどんあきベッドが出てきておる。この現象についてはどう考えておるか伺いたい。
  15. 山口正義

    山口(正)政府委員 結核病床がフルに利用されておるかどうかという点につきましては、全国的な数字をまとめてみましても、ただいま御指摘のように最近利用率がややでこぼこはあるのでございますが、少し減少しているような結果が出ているわけでございます。しかしながら、その原因がどこにあるかということを、私どもこれから十分検討しなければならぬと考えているのでございますが、先ほどの御指摘で最近まとめました数字によりますと、一定期間の間に、入院いたしました数と退院いたしました数と比較してみますと、退院した数よりも、入院した数の方が多いというような数字が出ているのでございまして、生活保護法の該当者につきましては、昨年の六月一日の入退院基準実施以来三月末日までに退院いたしました者が一万六千、それから入院いたしました者が一万八千でございます。そういうふうな数字が出ているわけであります。
  16. 横錢重吉

    横錢委員 それでは次に、法人立及び私立の病院あるいは結核療養所、こういうところで療養しておる患者に対して、厚生省が直接診断を行なって退院勧告を行なっている、その理由についてお尋ねしたい。
  17. 山口正義

    山口(正)政府委員 ただいま御指摘の法人立あるいは公立の療養所に対して、厚生省が指導して退院の勧告をしておるというような御指摘でありますが、私どもの方では法人立、公立の療養所に対して、そういう措置は現在実施しておりません。
  18. 横錢重吉

    横錢委員 各府県の保険課が先頭に立って、健康保険患者——これは組合立、政府管掌を含めまして、あるいは国の共済組合、生活保護、こういうものに対する全面的な医療監査を行なっておるが、この点については、厚生省はタッチしておりませんか。
  19. 山口正義

    山口(正)政府委員 社会保険につきましては、私、主管ではございませんが、保険の監査は厚生省が指導して実施いたしておる、こういふうに承知しております。
  20. 中村三之丞

    中村委員長 速記をとめて下さい。     〔速記中止〕
  21. 中村三之丞

    中村委員長 速記を始めて下さい。
  22. 横錢重吉

    横錢委員 それではアフター・ケアについて答えられる人は……。
  23. 中村三之丞

    中村委員長 速記をとめて下さい。     〔速記中止〕
  24. 中村三之丞

    中村委員長 速記を始めて下さい。それでは長谷川保君。
  25. 長谷川保

    長谷川(保)委員 先般来つき添い婦の問題が非常に問題になっておりまして、同僚諸君からも、すでに数回にわたって御質問がありましたので、あるいは一部重複する点があるかもしれませんが、この際十分これを承わっておきたいので、御答弁を願いたいと思うのであります。  この問題が、御承知のように非常に大きな問題になりまして、昨年の国立療養所のつき添い制限及び入退所基準の設定当時と同様、非常に重大な問題となって来つつありますが、こういうようになって参りました経緯、どうしてこういうつき添いを廃止するということになってきたか、まず厚生当局の今までのことについての御見解を承わりたいと思います。
  26. 曽田長宗

    ○曽田政府委員 私ども療養所をお預かりしておりますものの立場から申しますと、特につき添いの制度を廃止するというようなことは考えておりません。これは先般御質問がありましたのにも、一応お答え申し上げたのでありますが、私ども療養所といたしましては、かねがね人員の不足に悩んでおります。できるだけ職員を整備いたしまして、患者に対する診療あるいは看護の面において、できるだけの手を尽したいというふうに考えておったのであります。三十年度の予定といたしましては、せめて病院並みにつき添い婦を増員いたしたいというふうに考えまして、大蔵省の方とも御相談申し上げて、一応二千三百人ばかり常勤労務者の予算を組んでいただいた次第でございます。いわゆるつき添い婦の廃止というようなことが唱えられまして、そして私どもにいろいろ意見を聞かされておりますのは、このようにしましてつき添い婦の数がふえますと、結局病院の手が回ることになってくる、そういうことでもって、外から入っておるつき添い婦が不要になるのではないか、結局失職するのではないかというような懸念が起りまして、そしてつき添い婦がやめられる、いわゆるつき添い婦廃止というような声になったのではないかというふうに私ども了解いたしております。
  27. 長谷川保

    長谷川(保)委員 その点については、後にまた伺いたいと思うのでありますが、今日つき添い看護というのは、その経過はどういうようにやっておるか、実情は……。
  28. 黒木利克

    ○黒木説明員 生活保護のつき添いの関係は、被保護患者がつき添いを必要とするという場合に、医者の証明をいただきまして福祉事務所に申請をする。それを実施機関の方で審査をいたしまして承認をする、こういう手続になっております。
  29. 長谷川保

    長谷川(保)委員 そうすると、医者がその判断をする基礎になって、それをあとどういうようにして査定をするのであるか、実情を承わりたい。
  30. 黒木利克

    ○黒木説明員 承認の申請の場合に、いろいろ書類を提出していただきます。たとえば体温の経過とか、その他つき添いを果してつけるような重篤の症状であるやいなやというような判断をするに足るような書類をつけて提出していただきまして、その書類をもとにしまして、つき添い婦をつけ得る症状かいなやということでつき添いをつける。場合によりましては、一応書面審査でございますが、ふに落ちない場合は、電話で連絡するなり、あるいは実地を調査した上で承認をするという手続をとっております。
  31. 長谷川保

    長谷川(保)委員 そうすると医療審議会とか審査会というのでしょうか、それと医師との意見が違う場合が相当あるだろうと思うのですが、そういう場合にはどうなりますか。
  32. 黒木利克

    ○黒木説明員 結局客観的な判断に待つ以外にないのですが、単に実施機関側の独断に流れないように民主的な診療の審査の機関を置きまして、専門医の意見を聞いてきめるというような手続をとっております。
  33. 長谷川保

    長谷川(保)委員 民間施設というようなものならばとにかく、たとえば国立療養所、国立病院というようなところでは、なまの患者を診察しておるわけです。片方は書面審理というようなただいまのお話、なおわからないやつには電話でするようですが、そうすると、おのずからそこに隔たりがあるのは当然だと思う。ですから、民間一般病院などではそういうことはないと思いますが、不心得にして医療それ自体の問題、純粋な医療の問題としてではなしに考える方が、もしあるかもしれないというようなところから、審議会審査会か、正式な名前であるかどうか存じませんが、そういうものとの意見が違うということであれば、そちらの書面審理の方が正しいという場合もあろうと思う。しかし、現実に患者を前において、たとえば国立療養所、国立病院というようなところで、責任のある病院長あるいは医局会議というようなものでそれをきめて参るということになりますれば、間違いは書面審理の方にあって、現実に患者を診察しております者の方に間違いは少い、私はこう思うのであります。従いまして、私はそういう場合には、医師の診断というものに十分権威を認めなければいけないと思うのでありますけれども、どうも事実はそこに開きがある。今度のつき添い問題の一つの発端が、そこにあるとにらんでおるのでありますが、こういう点について、先ほども公衆衛生局長も、予算によって入退院をさせるということはないと言っておられましたけれども、どうも生活保護あるいは保険にいたしましても、予算にからまってそれがなされているという疑いが十分にあると思うのでございますけれども、これらの点につきましては、厚生当局としましてはどうでありましょうか、その点十分の確信があるのでありましょうか。つまり、医師の診断が違うということについて、そういう例がたくさんあると思うのでありますが、十分な確信を持っておいででしょうか。
  34. 黒木利克

    ○黒木説明員 昨年の三月までは指定医療機関の良心に信頼をいたしまして、ほとんどまかせ切りのような運用をやっておったのでありますが、昨年の三月二十日に、会計検査院からつき添い看護についてのいろいろな不正請求の実例があるということを具体的に指摘をされまして、その結果、不本意ながらやはりそういうような審査の機関を設けるというようなことをやったわけでありますが、この問題は、先ほどの御質問にからんで申し上げますと、結局は医者を信頼するやり方と、あるいはこういうふうに審査機関を設けて総合的な判断に基いてやる方法と、もう一つは、いずれにしてもこういうような手続で今後いく限り、主治医の判断と審査機関の判断とにやはり矛盾がありまして、いろいろトラブルも予想されますので、できるなら実施機関、指定病院の側におきまして看護力を充足されまして、こういうような手続を経なくとも、看護が増強でき、十分な看護がつけられるようにしたいというのが、おそらくつき添い看護の問題につきまして、最も正攻法の解決の方法でないかということで、つき添い看護の問題が、こういうふうに今回措置がとられるようになったのではないかというように考えるのでございます。
  35. 長谷川保

    長谷川(保)委員 その点、後にもう少し伺うことにします。このつき添い看護の労働時間というのは一体何時間でありますか。
  36. 曽田長宗

    ○曽田政府委員 つき添い婦の勤務の状態を監督しておるというような立場にはないのでございますけれども、その働いております場を管理しておるというような意味で、療養所で今まで見ております実態、これは全国的に精細な調査をしたというわけではございませんけれども、私どもの若干の施設で調べました結果によりますと、勤務は結局時間の制限なしに、二十四時間ぶっ続けてつき添いについておるというのが大体原則となっております。実際にその勤務状況を見ますれば、二十四時間眠らず食わずにおるわけには参りませんので、実際に患者の身のまわりの世話というようなことをいたしております時間は、今までの調査によりますと、大体八時間というような数字に出ておるのでございます。
  37. 長谷川保

    長谷川(保)委員 看護料は幾らでございますか。
  38. 曽田長宗

    ○曽田政府委員 これも私からお答え申し上げるのはどうかと思いますが、そういうような実情かどうかということを施設で一応調べましたので見ますと、これは地域によって相当幅がございます。またつき添い婦と申しましても、資格がいろいろでございまして、大部分は資格がないのでございます。資格のあります者は相当高額になるというような事情で、一がいには申し上げかねるのであります。
  39. 長谷川保

    長谷川(保)委員 でも一応看護券で許可するわけですから、それについての一日の賃金は幾らか決定しておるわけでしょう。
  40. 曽田長宗

    ○曽田政府委員 ただいまの実情としましては、今申し上げましたように非常に幅がございますが、一日二百五十円から四百五十円くらいの間になっております。
  41. 長谷川保

    長谷川(保)委員 今のお話でございますと、二十四時間ぶっ続けでついていて、調べた結果、実働八時間だというのだけれども、その実働を調べたというのは、どういうように調べたのでしょうか。看護というのは、もちろん始終手を動かし足を動かしておるわけではない、患者を見守っておる、静かに寝息をうかがっておるということも大事なことでありますし、よそから見れば働いていないように見えるときでも、実は患者を非常に大事に見守っておるという労働がある。これは決して軽い労働ではないと思う、精神力を非常に要する労働であります。どういうようにして今の八時間というのをお調ベになったのでしょうか伺いたい。
  42. 曽田長宗

    ○曽田政府委員 この調査につきましては、私どもが企画をして調査をしたわけでもございませんので、その調査の詳細については、さらに資料によって御報告申し上げなければならぬと思うのでありますが、先ほど申し上げましたように、ある施設患者に対する実際の看護時間というものを一応タイム・スタディで調べたというように申しております。
  43. 長谷川保

    長谷川(保)委員 その点どこでどうお調べになったか伺いたいのであります。私の持っておる資料によりますと、大阪の療養所でやりました場合に、たとえば患者に便器をはさんだ、便器をはさむのはタイム・スタディの実働時間に入っておりますけれども、その排便を済ますまで待っておる、これは入っておらない。そういうようなはかり方だと、とんでもないことになると思います。私はこれは非常に大事な点だと思います。基準局長おいでのようでありますが、一体二十四時間ぶっ通しにつけておるということは、労働基準法でどうなりますか。
  44. 富樫総一

    ○富樫(総)政府委員 一般に基準法におきましては、看護婦さんの労働時間は特に一日九時間、一週間につき五十四時間となっております。ただ、ただいまのお話のつき添い婦、これは私ども今聞いたばかりで、よく実情はわかりませんが、患者がこれを雇ってつき添わしておるのでありますれば、これは基準法の適用はございません。そこら辺の実情は、私どもとしては、もう少し調べないと何とも言えないわけであります。ただ一般病院においては九時間、五十四時間、そうなっております。
  45. 長谷川保

    長谷川(保)委員 今の生活保護法の看護券で雇っておるときには、これは雇い主は国になりますか、県知事でしょうか。
  46. 黒木利克

    ○黒木説明員 被保護患者であります。被保護患者に対して、こちらが看護の給付をする。従って法律的には、被保護患者とつき添い婦の契約になるわけであります。
  47. 長谷川保

    長谷川(保)委員 もう一つここで伺っておきたいのは、看護婦は被保護者が雇い入れるのだけれども、看護料は、そうすると国あるいは県から、あるいは市から看護婦に払うということになりますか。
  48. 黒木利克

    ○黒木説明員 直接は現物給付というような格好——現物給付と申しますか、患者に対して現金を給付して、それで患者が雇うというのが法律の建前でありますが、便宜上患者から申請をいたしまして承認があった場合には、その金額をつき添い婦に医事機関から払っておるというような便宜的な支払いの方法をとっております。何となれば、被保護患者に現金を渡しましてそれからつき添い婦に渡すということになりますと、いろいろ支払い等の関係でつき添いの方にもお困りの点があるのではないかというので、便宜的にそういう方法をとっております。
  49. 長谷川保

    長谷川(保)委員 こういうような場合が出て参ります。先ほど来お話のように、医師がつき添いをつけるべきだということで請求をされた。そこで医師としましては、病状からすぐつけなければならないというのでつき添いをつけた。ところが、先ほど来お話のように、これを保護機関に諮ったが、つけるべきでないということになって、事実はつき添いがついたけれども、金は払えないというような場合が出て参ります。そのときには、現実はどういうようにして処理しておりますか。
  50. 黒木利克

    ○黒木説明員 現実的にもつき添いをつけるべきではないものにつけました場合には、払う方法がございませんから、現実には不承認の場合には支払いはしておりません。
  51. 長谷川保

    長谷川(保)委員 その場合に、本人ももちろん生活保護患者でございますから払えない、それから国の方でも払わぬということになりますと、医師がどうしても重篤だということでつけた。ついたのはつき添い婦、看護婦のおばさんだけれども、その料金は全然どこでも払わないということになりまして、つき添い婦さんがその責任を負うということになりますか、現実にはどうなっておりますか。
  52. 黒木利克

    ○黒木説明員 被保護患者に債務があるわけでございますが、現実にはそういうような重篤の場合で、事前に承認を電話等で受けるとか、間に合わないという場合には事前に連絡してもらって、その場限りで事務所で承認をいたしております。大体今までで見ますと、承認を受けない前にそういう看護婦をつけざるを得ない場合には、医者の方を大体信用いたしまして、電話連絡等がありますれば、大体支払っております。
  53. 長谷川保

    長谷川(保)委員 先ほど来の質問応答ではっきりしましたように、金を払うのは、事実は国なり都道府県で払っておるということです。だけれども、今保護課長のお話ですと、つき添いを雇っているのは病人だ、こういうのだけれども、どうもその間に割り切れないものがある。しかも実際問題としては、もし承認にならないときは、事前連絡等でやっている場合もあるが、やらない場合もある。金を払わない場合もある、こういうようになっているのが事実であります。こういう場合に、労働基準局は一体どういうふうになさいますか。労働者を守るという立場になって、つき添いの看護婦さんを守るという場合に、事実は今お話のように事前に雇っているものは払われないというのが実情です。労働者を守る基準局といたしましては、こういう場合にどうお考えになりますか。
  54. 富樫総一

    ○富樫(総)政府委員 伺っておりますと、どうも現在の労働法上の、あるいは労働基準法の適用を受けない状態にある方の問題のようでございます。従いまして、行政事務的には何ともいたし方ないように考えますが、ただいま初めて伺った話でございますので、なお厚生事務当局の話も伺って、できまする範囲内におきまして、十分善処させていただきたいと存じます。
  55. 長谷川保

    長谷川(保)委員 基準局長にもう一つ伺いたいのですが、現実に今こういう問題が起っておるので、後に会計検査院から詳しく伺いたいと思うのでありますが、先ほどもちょっとありましたが、つき添い看護料の不正な支払いがあったというので——それは二十六年から二十八年にかけてということで、多分東京都だろうと思うのですけれども、今年の三月のつき添い看護婦さんの看護料の支払いをとめておるという問題なのであります。もし先ほど来お話しのように、被保護患者が看護婦を雇っておるなら、当然看護婦さんはその人に要求できるわけでありますが、事実は支払い能力がない、けれども、国の法律によってつけた。ところが、昭和二十六年から八年にかけての不正の問題があったということで、当然今日ついておる看護婦さん、これは本人は違います。二十六年から八年にかけてついた方と今三月についた方とは違うのです。ところが同じ国立の療養所に勤めておるというところから、その者に対する賃金の支払いをとめておる。これは今言ったように、決して重篤でないにかかわらず不当につけたということではないのです。こういう問題があるのですが、これは一体どこが責任を負うのか。国で生活保護法というものをやっておるわけです。これは明らかに憲法二十五条から出て参りました国民の最低生活の権利、健康にして文化的な最低限度の生活を営む権利を有するというところから出て参りました生活保護であります。この生活保護法、国の責任においてついておる。少くとも都道府県市でつけておるにもかかわらず、その料金を支払わない。しかもかつての時の違う以前のもののために、今働いている人たちが払われない、こういうようなことは大よそ常識では考えられない措置だと思うのでありますけれども、こういう問題は一体どう措置したらよいか、どうやって労働者を守ったらよいのか、基準局長はどう考えられるか。どうも事柄のいきさつを見ると、当然これは国が、あるいは東京都が責任を負うべきである。こういう賃金をとめておるということは、大よそ考えられないことでありますが、事実はそうなっておるのであるが、一体労働者の権利というものはどこでどう守ったらよいか、基準局長にお伺いしたい。
  56. 富樫総一

    ○富樫(総)政府委員 ただいまの過去の問題につきましても、なお後に厚生当局と打ち合せて聞いてみなければ、実情何とも申し上げかねるのであります。かりに賃金支払い義務が本人と公共団体との間に生じました場合におきましても今日の労働基準法におきましては、われわれに遺憾ながら監督権がないのであります。しかしながら、実情を詳細承知しておりませんので、なお調査の結果われわれになし得る事柄がございますれば、もちろん労働省の性格にのっとりまして、できるだけのことをいたしたいと存じます。
  57. 長谷川保

    長谷川(保)委員 それでは、次に会計検査院の方に伺いたいのでありますが、昭和二十八年に会計検査院が国立清瀬病院及び国立東京療養所の会計検査をなさいました。そのときに、今のつき添い看護料について検査したということでございますが、その実情を承わりたい。
  58. 上村照昌

    ○上村会計検査院説明員 私、会計検査院の検査第二局長でございますが、ただいま御指摘の清瀬療養所と東京療養所は、二十九年の一月であったかと思いますが、ただいまお話の出ておりました看護料につきまして検査を実施しました。検査を実施しました事由は、もちろん検査対象になっておるからではございますが、生活保護法関係において、医療費が相当ふくらんできております。適正な医療費であれば、どんなにふくらんでも仕方がないと思うのでありますが、同時に適正な給付ができておるかどうかというふうな実態を見たいという関係上、検査を施行したわけでございます。その結果、ただいまお話に出ております看護料につきましては、東京療養所については二十七年の四月分、それから清瀬病院については二十七年四月から九月までの看護料について見たわけでありますが、東京療養所におきましては一人のつき添い婦が二名以上についておるケースが十三件、同じように清瀬病院におきましては三百三十五件ほどあったわけであります。このことにつきましては、御承知のように、二十六年の十月に厚生省の社会局長から通牒が出ておりまして、つき添いは患者一人に対し看護婦等一人を専従させなければならないという程度の重篤の病状に限り認められ、患者二人以上をつき添い婦が兼帯し得る程度の病状については承認してはならない、こういうような通牒が実は出ておるわけであります。この通牒と実態を見た場合に、多少違っておるということを考えたわけでございます。もっとも、私ども医者でもございませんし、医療上のことはよくわからぬ点があるわけでございますが、実情から申しまして、病が相当重くても、看護婦さんあるいはつき添い婦が足らない場合に、二人以上につくという実情も考え得るということは、もちろんわかるのでございますが、いずれにしましても、一人について二人以上につきました場合には、二人分に相当する看護料が支払われておるわけでございます。そういう点にも非常に不合理がある、こういうふうに考えまして、この点についての善処方を実は照会しておるわけでございます。さような関係上、ただいまお話のような問題がいろいろ出ておるのではなかろうかと思うわけでございますが、さらに東京都で現在支払いを中止しておるというようなお話が出ましたので、その詳細については、私現在十分承知しておりませんが、検査しました結果につきまして、もし回収すべきものがあれば回収しなければならぬと思いますが、果してこの中から——行政措置の遺憾な点も多少あるように思います。回収すべきかということにつきましては、行政庁において特に考えられた上で決定すべき事項だ、こういうふうに考えておるわけでございます。
  59. 長谷川保

    長谷川(保)委員 医務局長は、あるいは保護課長でもけっこうでありますが、ただいまのお話の清瀬病院あるいは東京療養所の不正受給といわれておりますものについて、東京都が支払いを押えておるということを御承知でしょうか。
  60. 黒木利克

    ○黒木説明員 けさほど電話で照会いたしましたところが、東京療養所については四月分が全額支払われておる、清瀬病院については四月分の半分が支払われておるというような報告がございました。なお、この四月分の半額分はどうするつもりだという私の方の照会に対しまして、例の先ほど申されました不正受給、超過支払い額がある、それとの調整を現在やりつつある。その方法について、いろいろ問題があるから、現在慎重に当事者と交渉を始めておるというような報告でございました。なお厚生省は、五月分のつき添い料については、すでに本月の十七日に令達済みでございます。おそらく推測しますに検査官から指摘されました資料を見ますと、何かつき添い婦の組合みたいなものがありまして、そこで代行で請求をしておって、しかもその組合が、ある療養所においては当時余剰金を百数十万円持っておった、おそらくそういうことで、何かそういうつき添い組合との話し合いで解決しようとしておるのかもわかりません。詳細は照会中でございます。
  61. 長谷川保

    長谷川(保)委員 今のプールされておるという金、その金を、三月分、四月分というのは、多分つき添いさんの方の働いたのが三月で、請求書を書いたのが四月であるかどうかよくわかりません。そこらは違いがあるのじゃないかと思いますが、四月でも三月でもけっこうです。いずれにしましても、不正請求がかつてあったとしても、今日その看護料支払いをとめる、こういうことは正しいとお思いでしょうか。たとえば労働基準法の第十七条には「使用者は、前借金その他労働することを条件とする前貸の債権と賃金を相殺してはならない。」その他二十四条に「賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。」云々、こういうことがございます。こういうことでもわかるように、たとい前借であっても、賃金と相殺してはいけないという規定があるわけであります。ましてただいまお話のように、かつて人も違うというようなときの問題を、今差しとめるというようなことは、どう考えても間違いだと思うのでありますけれども、厚生当局はどういうようにお考えになるでしょうか。
  62. 黒木利克

    ○黒木説明員 つき添い婦の生活の支障になるような解決の仕方は、私の方では期待いたしておりません。そういうことのないように注意をさせたいと思いますが、ただ不当に請求されて、よけいに支払ったものについては、どうしても返還をしてもらわなければならない、その解決の方法で苦慮しておるというのが実情ではないかと思います。しかし、その結果つき添い婦の毎日の生活に支障のあるような解決の仕方はしないように注意をしたいと思います。
  63. 長谷川保

    長谷川(保)委員 そうすると、ただいま申しましたように、つき添いさん自身の方は、今とめられては非常に困るわけです。こういう場合に、もし東京都でとめるというようになりましたら、監督官庁という格好の厚生省は、それに対して支払うような指示をなさいますか。
  64. 黒木利克

    ○黒木説明員 つき添い婦の生活に、もし現実に支障のあるような措置をとっておりますならば、注意をいたしたいと思います。
  65. 長谷川保

    長谷川(保)委員 御承知のように、つき添い婦というのは不幸な婦人が多いようです。戦争未亡人、子供をかかえた未亡人というようなのが多いようであります。こういう方がなかなか大ぜいおりまして、子供をかかえて苦闘しておる方が多いようです。そういうような方々が賃金の支払いをとめられれば、生活が困るにきまっております。もし、そういう東京都が賃金を払わないというようなことがありましたならば、当然厚生省がそれに対して指示を与えるべきではないか。でありますから、この点につきましては、さらに厚生省が善処していただくようにお願いをしておくのでありますが、時間がありませんからもう一歩進みます。  そこで、ただいまお話になりました清瀬病院あるいは東京療養所のつき添いの不正という問題でありますが、この問題につきましては、先ほど来お話がありましたような、つき添い看護の許可を願い出たけれども、それが許可が来ない。しかし病院の医師の判断としましては、つき添いをつけなければならぬという事情で、すでにつけてしまった。すでにつけてしまったにかかわらず、これについて支払いがない。こういうような事情がたびたびあって、そのためにやむなく病院当局と患者自治会、つき添い看護婦の組合三者が話し合いの上で、このプール制度というものを作ったというように私は伺っておるのであります。これは、今のつき添い料を支払わないという問題だけでなく、さらに今日の医療扶助のつき添い制度それ自体にまた別の問題がある。それは、たとえば今結核療養所で外科手術が行われて非常な成績をあげており、これが日本の結核による死亡数がずっと減りました大きな理由でありますけれども、この外科手術、肺の摘出をする、その場合につき添い婦を三週間しかお許しにならない。また胸郭成形手術をなさる、その場合につき添いを二週間しかお許しにならない。ところが、それではどうしても無理だ。今療養所の方は、御承知のように完全看護ではありません。国立病院の方は、大がい完全看護をやっておりますが、大部分の療養所は完全看護をやっておりません。やっておりませんときに、肺の摘出をいたしまして、三週間でもはやつき添いさえつけさせないということでは、実際医師といたしましてこれは責任を持てないというところから、医師、患者及びつき添い婦三者が話し合いをいたしまして、そうしてやむなく、たとえば先ほどもお話のように厚生省の通牒でもって三週間一人の患者に専門につくというのを二週間にしまして、あとの一週間を今度は二人ずつ見て、二週間に引き延ばして、前後四週間としている。こういうふうにしなければ、患者治療に万全を期すことができないという建前からいたしまして、この肺摘出の場合、あるいは胸郭成形手術というような重大な手術をしましたときに、看護婦のつき添い期間を引き延ばし、そのために二人づき、三人づきをしなければならない、させることが一番時宜に適したことである、こういうことでやったようであります。こういう場合に、ただいま申しましたようないろいろな場合が出て参ります。つき添い料をもらえないという場合がある、またこういう場合に、さらに三週間では無理だ、四週間にしてくれ、あるいは五週間にしなければならないというときに、つき添いの許可が来ておらない。これは病状によっては幾らでもあることであります。手術が少し失敗したら、これは幾らでもあることであります。そういうような場合に処するために、実情はむしろつき添い看護婦さんが——これは東京療養所の場合でもそうであります、清瀬病院の場合でもそうでありますけれども、逆に十割もらうべきところを八割もしくは九割にいたしまして、その一割もしくは二割をプールしてある、こういう実情もあるようであります。従って、ここにプールしてあります金が、それが決して全部不正受給ではないのであります。こういうように私どもいろいろこまかく伺ってみますと、実情がだんだんわかって参ります。このプールしてある金が、私の聞いたところでは五十数万という話であります。先ほどのお話では百数十万円ということでありますけれども、これがそういうように、自分たちの身を詰めて、自分たちの全体を守るためにやった仕事である。こういう実情をつまびらかにしてもらいますと、先ほど来のつき添い問題というものが、あの不正受給という問題ではなしに、生活保護法医療扶助の現行のやり方それ自体に対しまする監視の仕方が、実情にそぐわないものだということを考えるのであります。従いまして、それらの点について、まず十分にわれわれは反省をし、そうしてさらに今のプール問題について、もう一度変った観点から会計検査院でもどちらでも考えてもらいたい。そうして、今のおもに気の毒な生活をしております方が多いこのつき添い婦の方の生活を守るために、こういうつき添い婦の支払いをとめるというようなことは、即時やめてもらいたい。こういう問題について、つき添い看護の現行の制度を変える御意思はないか、もう一度検討する御意思はないか伺っておきたい。
  66. 曽田長宗

    ○曽田政府委員 ただいまの制度のもとにおきまして、つき添い婦の制度というものがいろいろトラブルの種になる、この運営に当りましていろいろの困難があるというような意見は、私どもも施設長から聞いてもおるわけでございまして、これをためるというようなことにつきましては、社会局の方ともいろいろ御相談をしておるわけであります。また社会局の方で善処方をおとり下さることを要望しながら、私どもも協力しておるわけであります。こういうことを根本的に解決いたすというようなことは、先ほど黒木課長からも説明がありましたように、どうしても今日の療養所における診療看護の体制というものに、欠けているところがあるのではないか、これはむしろ社会局ではございませんで、私どもの責任なのでございます。病院、もちろん療養所も含めてでありますが、ここで患者さんをお預かりしておりながら、自分たちの職員の手で、また私どもの施設の責任において、十分のお世話ができないというようなところから、変則的に外からいろいろつき添いの方に来て手伝いをしていただいておるというような状況でございますので、これを同じように外から来てお手伝いをいただくのならば、一つはっきりとその所の職員として一緒になって、チームワークの一員に入っていただきたいというような考え方を持っておりますので、今回雑仕婦の増員ということを私どもは努力いたした次第でありまして、これでもってつき添い婦さんを追い出すというようなことは考えておらぬのであります。これだけ人員がそろって参りますれば、つき添い婦さんが外から入っていただくという必要が、ある程度減退していくということは、これは考えられることだと思っております。
  67. 長谷川保

    長谷川(保)委員 私はこの問題が起る前から、数個の国立病院を回ってみました。そこで聞きますことは、まず病院の当局の意見を聞いてみます、そうしますと、病院当局としましては、今日四千二百人ばかりのつき添い婦が、全国の国立療養所におるようでありますが、それを単にこのままで二千二百七十人にされたのではたまらぬ、自分たちは治療の責任は持てない、こういうように申しております。それだけならばまだともかくといたしまして、そこで問題になって参りますのは、こういうように言うのであります。もうこういうことに改められてきたのでは、自分たちは治療の責任は持てないから、これからは軽い患者を入れることにしよう、外科手術を要しない患者を選択して入れるようにする以外に道はない、こういうように申しておるのであります。先ほどもお話のように、今日四千二百人からのつき添い婦さんが全国の療養所におりましても手が回らない。私は決して国立療養所は天国とは思っていません。どうもあっちこっち拝見いたしまして、ずいぶんこれは国立のものといたしましては、まことに国立と言うに恥かしいものだと思っております。これは国立療養所の全部ではありません、例外ももちろんありますが、むしろ例外の方が上等なので、ほんとうに全体的に考えれば、まことにお粗末であり、治療の面におきましても、設備におきましても、あるいは看護におきましても、栄養の問題におきましても、きわめて不十分だと思うのであります。こういうように、もしこのつき添い婦を、厚生省で今度考えておられるようなふうにやるならば、もうどうしようもない。だから、重症な者や手術患者はやめよう、こういうように言っておる。こういう実情を、私は直接病院に行って耳にしてきたのです。そうなれば、私は大へんだと思うのです。だから、今日のあり方で今回お考えになっておりますようなやり方をなさることは、私は絶対いけないと思う。もし私が回って参りました数個の国立病院、これらの国立病院で今申しましたようなことが考えられておるとするならば大へんなことでありますが、これに対して厚生当局としましては——実は厚生大臣、厚生次官においでになるようにお願いしてあるのでありますが、直接御関係医務局長あるいは公衆衛生局長、こういうことになっていくという、そういう傾向がすでに療養所側で考えられておるということ、これはきわめて重大だと思うのであります。これらに対して、今度立案されました厚生省のやり方を、それでも強行なさるおつもりでしょうか、どうでしょうか、伺っておきたいと思うのです。きわめて重大なことでありますから……。
  68. 曽田長宗

    ○曽田政府委員 私ども各施設につきまして、いろいろ事情が異なると考えるのでございます。この予算案から見ますと、全国平均といたしますか、総体といたしてどれくらいの増員というようなことになっておりますが、そうすると、自分の施設にベッド数で按分すると何人くらい来るというような考え方で参りますと、今まで手術の件数が非常に多いというような施設におきましては、不足を来たすというふうに心配しておられるところもあるようであります。しかしながら、これは私どもの施設におきましても、外科患者の多いところもございますし、また非常に重症患者をよけい入れておるところもございます。また比較的軽い患者で長期の療養を目的とする患者の多いところもあるのであります。こういうような工合で、各施設々々に今後この増員分を割り振って参るということになりますれば、これを個々に決定して参らなければならぬと思っております。また私どもその実情に沿うように配分して参りたいというふうに考えておりまして、ただいまも逐次個々の施設についていろいろと具体的な案を進めてみておるわけでありますが、私ども全国的に見ますれば、今のように外科患者の多い、手術件数の多いところというようなところには、全国的な標準と申しますか、平均的に考えたよりはずっとよけいに配置いたして参りたいというふうに考えております。それとただいま四千数百人ということをおっしゃいましたのでありますが、この実情というものは、先ほどからお話がございましたように、私どもの施設としては直接にタッチいたしておりません。また、その月により季節によりまして非常に増減がある。また手術の件数等におきましても、これは必ずしも年平均いたしておりませんので、非常に多いときもあるし、少いときもあるというような状況で、これが動いておりますので、私どもの方で一応調べました数字によりますと、もう少し減少しておりまして、その差がもう少し縮んで参っておるのじゃないかというふうに了解しております。
  69. 長谷川保

    長谷川(保)委員 大へん重大な問題でありますから、先ほど要求してあります厚生大臣と厚生次官を一つお呼び願いたいと思います。続いて局長に質問を継続しておきますが、これは私は、患者側とも会っておりますが、患者側からも悲痛な訴えがありました。もしこれを今までと変えられて病院付きにされるとなると、自分たちは非常におばさんたちに見てもらうのがやりにくくなる。これは今の病院の看護婦さんでもわかる。何とか個人についている形にしてもらいたい、もしこれをとられるならば、自分たちとしてはほんとうに生死に関する問題であると、非常な悲痛な訴えをしておる。同僚の、たとえば八木代議士、帆足代議士のごとき、みずから病院におって手術をなさり、あるいはひどい結核の経験者である、自分も患者の自治会の一員として意見を述べたいから公聴会を開いてもらいたい、こういう要求が同僚代議士諸君からもあるのであります。御自分たちの経験に照らして、どんなに悲痛なものであるか、ここで今の制度を変えられて、病院の今までの看護婦あるいは雑仕婦というようなことだけでいくならば、容易ならぬことであるというのが、八木代議士といたしましては体験から出た叫びであります。私ども、この問題については、公聴会を開いていただくように、理事を通していろいろ今お願いをしておるのでありますが、実に重大であります。これは、あっちがちょっと痛いとか、かゆいとかいう問題でなしに、大きな手術をいたしまして生死に関するときの問題でありますから、あるいは重篤な患者であるという問題——私いろいろな統計をいただいておりますけれども、そういう問題でございますから、この点につきましては、ほんとうに慎重を要すると思う。でありますから、これらについて、当局側がさらに重大な検討をされるように願ってやまないのであります。  そこで、もう一つ伺っておきたいことは、つき添い婦の常勤制と申しますか、今度は定員外の定員にするということでありますが、これは一体どういうようにやるつもりでございましょうか、詳しく計画を伺いたい。
  70. 曽田長宗

    ○曽田政府委員 御質問の御趣旨が、どの程度のことをお話し申し上げればよいのか、多少不安でございますけれども、一応申し上げますならば、ただいまのところ、常勤労務者といたしまして、名目はつき添い婦になっておりますが、二千二百七十人というものが昭和三十年度の第四・四半期についてございます。このつき添い婦の仕事が、本来申しますならば、二種類に分れると思うのでありまして、一つは、ほんとうに病棟のふき掃除というようなことをいたしております普通考えられておりますいわゆる雑仕婦的な仕事でございます。そのほかに、実情として看護婦の手伝いをいたしまして、いろいろ患者の介抱をするというような仕事が、おおむね半分くらいになっておるのであります。結局雑仕婦と申します人たちは、両者の仕事をやる二つのグループに分れるというふうに考えられるわけであります。  今回増員になりますのは、今申し上げたようなことでありますが、実情を申し上げますと、療養所におきましての雑仕婦の定員というものは、今日三百人程度しかございません。非常にわずかしか定員がない。従いまして、看護婦の定員を食いまして、看護婦を入れるべきところを雑仕婦の人たちを採用して仕事をしてもらっておるというような状況になっておるわけであります。でありますから、建前から参りますれば、この新たに増員になりました予算によりまして雑仕婦の人たちを採用する、これは看護助手の仕事を含めての雑仕婦の人たちを採用する。そうして看護婦の定員は、ほんとうに資格のある看護婦さんたちに入ってもらう。予算と実情と合せるという点からいきますれば、さような姿になると思うのであります。しかしながら、今日まですでに定員のうちにございます用員として採用になっております雑仕婦の人たちを、今度の常勤労務者いわゆる定員外の人員にすりかえるということは、実質的には私どもいろいろな待遇としましては大きな変化はないと考えておりますけれども、気持といたしましては、何か格下げの気持がするというようなことで、いわゆる勤務意欲と申しますか、こういうようなものにも響くものがありはしないかというように考えられますので、これは人員が交代いたしますようなときに、随時そのあるべき姿に持っていくといたしまして、今日すでに採用になっておる方々は、そのまま身分を切りかえるというようなことをいたさずに参りたい。従いまして、この二千二百七十人という今度増員いたしました分のうちには、資格がある看護婦さんも、入れられるならばこの中に含めて採用いたして参りたいというふうに考えておる次第でございます。
  71. 長谷川保

    長谷川(保)委員 ちょっと私聞き落したかしりませんが、そうすると、今看護婦の定員の不足しておるところは、あらためて看護婦を雇い入れて、定員を希望通りこれを充足する。そのほかに雑仕婦をあらためて二千二百七十人雇い入れていくということになるのでしょうか。
  72. 曽田長宗

    ○曽田政府委員 看護婦が不足しておると申しますか、ただいま申し上げましたように定員が一応ございましても、その定員の中に、看護婦でなしに雑仕婦の人が入っておるというような状況になっております。従いまして、今後この増加いたします常勤労務者と申しますか、雑仕婦の人のうちにも、実際問題といたしましては、資格のある看護婦さんも、もしも入れられるならば若干入れて参りたいというふうに考えておる次第であります。
  73. 長谷川保

    長谷川(保)委員 労働時間はどうなりますか。
  74. 曽田長宗

    ○曽田政府委員 一般公務員と同様になります。
  75. 長谷川保

    長谷川(保)委員 賃金はどうなりますか。
  76. 曽田長宗

    ○曽田政府委員 平均いたしまして五級二号で予算を組んでおります。八千円から八千五百円くらいのところであります。
  77. 長谷川保

    長谷川(保)委員 そうしますと、先ほどのお話ですと、今のところは二十四時でつき添い婦さんは雇い入れることにしてある。それで実働は八時間だということですか、しかし実働のはかり方——もし厚生省に入っております資料と私の持っております資料とが同じ場所でやったものであるといたしますと、先ほど来お話しのように、ひどい話でありますが、便器をはさんだ時間は入れたけれども、はさんで排便をするまでそばについて待っておるその時間はタイムに入れてない。そのほか、患者のために手足を動かしてやった時間は入るが、単に見守っておるというときには労働時間に入っていないというお話も伺っておる。従って、このタイム・スタディでやることは、ずいぶんいいかげんなものだと聞いておるのであります。厚生省自身がやったことでなく、厚生省は責任を負えないということですが、どうも私ども実際療養所へ参りまして、つき添い婦さんの勤務時間を見ておりますと、やはり八時間ではないと思うのです。非常に長い時間やはりやっていらっしゃると思うのです。ことに労働基準法から申しますれば、これは一日のうちに二回休む時間を取らなければならないということにもなって参りますし、先ほど来お話しのように、各療養所の病院当局は、とうてい二千二百七十人にされたのではやれない。今の設備で二千二百七十人にされて、しかも療養所に常勤している者として時間通りきちっきちっとやられたのでは、とうてい手も足も出ない。だから重篤患者や手術患者を入れることはやめなければならないというようなことになっていくのは、ほんとうのように思える。だから、厚生省としては、今の二千二百七十人を第四・四半期に八千三百円で雇い入れるということにつきましては、方針をお変えにならないと、重大な支障が起ってくると思う。  次官がおいでになったようですから、次官にお伺いいたします。今度つき添い婦の廃止が起って参りました事情はいろいろあるようですが、その一つの大きなきっかけは、清瀬病院及び東京療養所におきまする不正受給の問題であります。この不正受給という問題が、どうも当局の認識と事実が違っているようである。たとえばこういうことなんです。繰り返すようですが、二人づき、三人づきというようにして二重取り、三重取りをしておるというように会計検査院ではお考えのようですが、ところが事実はこうなんです。事実は、今の医療扶助制度のやり方に少し欠陥がございまして、それで病院では、重篤な患者だからすぐつき添いをつける必要がある、こういうふうに医者は認めてつき添い看護の許可願いを出すようです。ところが、審査会か審議会というものがございまして、それを書面審理をした上で、これは不当であるということで許可をしないということになります。そうすると、先ほど来伺ったところによりますと、つき添いを雇い入れるのは、建前として被保護の病人だ、ところがこれは生活保護法の要保護者でありますから、もちろんそれを払うことができません。事実つき添い料、看護料を支払っている実情というものは、都が支払う、こういうことになります。法の建前としては要保護者が雇い入れたということになる。現物給与だ、こういうことのために、どこでも払ってくれるところがない。しかも清瀬、東療の実情というのは、実は病院患者自治会とつき添い婦の組合と三者が、万やむなく話し合いの上で、今のプール制というものをやって、そうしてそういうふうな不払いのあった場合には、つき添いのおばさんがどうしようもありませんから、場合によっては二人前三人前取るときもあったろうと思うけれども、事実大部分はそうでなくて、実は二人づきにしても三人づきにしましても一人づきにしても、東療では八割ないし九割、あるいは清瀬病院でも同様に毎日の賃金を少し切られる、それをセーブしておいてプールしてやるということが事実大部分のようです。それだから、実際はつき添いのおばさんは、そういう金の取れないときも全部ならしまして、なるほど国から出ております金はもらうことになりますけれども、事実においては一人についても十割もらっておらない。そのうち一割なり二割なりチェックされて、そしてプールしてある。そのプールしてある中から、つき添い料の払われぬときのものをもらっているというようなことであったり、あるいはいま一つの場合は、肺の摘出の場合に、国では三週間しかつき添えない、あるいは胸郭成形では二週間しかつき添えない。それでは患者がどうにもなりませんから、今の病院三者が話し合って、これを専門につけるのは、肺の摘出の場合には三週間、都ではつき添いを許してくれますが、それを二週間専門についてあと二週間引きずる。つまり四週間に引き延ばして、二週間引きずるときに、一人専門につき添っているものが、二人づきなり三人づきなりになりまして、そうして引き延ばして看護を全うしているというのが実情なんです。だから二人ついているときに二人分、三人ついているときに三人分取っているというのはあたりまえですけれども、全体から見ると、やはりただ一人なんです。私はつき添い婦のある人に来てもらって実情を聞いたら、二人取り三人取りというものを全然やっておりません、こういうことを申しておりますが、それは事実なんです。幾分のそういうような不正はあったかもしれませんが、全体から見ると、医療扶助制度の欠陥から来ていると思う。そこに考えてもらわねばならぬことは、そういう不正受給ということが一つの大きなきっかけになりまして、今までのつき添い婦の制度をやめて、今度は二千二百七十人という常勤の者を雇い入れてそれでまかなっていくということは考えられない。というのは、その結果どうなるかと思って、私は各幾つかの病院を最近回ってみた。まず病院当局の意見を聞いてみた。そうすると、病院当局ではこう言う。今まででも設備が悪くて、また看護がろくにできないで困っている。それを、もしこういうことになりますならば、とうてい自分たちは責任が持てないから、これからは重症の患者や手術患者入院させることをなるべくしないように、軽い者だけを選択していく、これよりほかに道がないと言っているのです。患者もまた、実に悲痛な訴えをしている。そうして、ことに私どもの同僚であります八木代議士のごとき、ついこの間、中野療養所において昨年胸郭成形手術をやったみずから体験者であります。もしこのようなことをされて、個人づきでないものにされるなら、とうてい自分たちは患者としての体験からいっても耐えられない、だから、自分は体験を訴えて皆さんの了解を得たいから、公聴会をぜひ開いてもらいたい、私は患者自治会の一人として、出席して公述人として実情を語りたいと言っている。帆足代議士もそうである。こういうような事態でありますから、この問題について、私は厚生当局は考え直さなければだめだと思います。もっと実情を調べてしないと、事は患者さんの生命の問題でありますから、考え直さなければだめだと思います。こういう点について、厚生次官の御意見を伺いたい。  もう一つ、厚生次官が御婦人でありますから伺いたいことは、今日つき添い婦の実態というものを、厚生省当局でも調べられていると思いますが、その多くの方が子供をかかえ、また戦争未亡人の方である。非常な苦心をして子供を養って生活に奮闘しておられる方々である。今申しましたような、単に会計検査院から厚生省がしかられたというようなことで、しかもその実情が果してどこにあるかということも、十分私は考えなければならぬと思います。そういうときに、このつき添い婦の方々を八千三百円で雇い入れる。八千三百円で子供を持って養っていけるかどうか、そういう生活の非常に切迫した問題が起って参る。ことに、失業問題ということになりますならば、実に重大である。そうすれば、どうせ生活保護法をかけなければならない。国の予算といたしましては、どっちにしても出す金である。それならば、一生懸命に働いている方に出すべきだ。まじめに一生懸命に働いて苦闘しておられる方に出すべきで、生活保護に回らなければならないというような苦境に追い込むべきではないと思う。これらの点について、厚生次官は幸い婦人でありますから、十分御理解があると思うから、御意見を承わりたい。
  78. 紅露みつ

    紅露政府委員 ただいま長谷川委員から、大へんこまかい専門的な御経験から出たお話がございまして、現在これが相当な社会の問題になっていることを、私ども心配をしているのではございますけれども、今御指摘になりましたような不正受給があったからというだけの理由で、今度のつき添い婦の問題が出てきたのではないように承知しているのでございます。やはり厚生省といたしましての考え方は、管理の面から今のこの状態を続けていくことはよくないのではないか。元来、申し上げるまでもなく、病院療養所が看護婦を持って看護サービスに当らせるということが、本来の行き方でございますのですけれども、どうもその看護力が十分でなかった。終戦当時などから、非常につき添い婦に依存していかなければならないような形が、ここにでき上ったわけでございますけれども、どうも患者とつき添い婦との契約で進むというようなことになりますと、療養所長の指揮管理が完全に行われない。そうしてまたつき添い婦の方々も、何人もお持ちになってそうして不正な受給をしていない、かえって非常に骨を折っておられるという例も、それはあるでございましょう。今伺ったのでございますが、そうでなく、一人々々の患者に、そう重い方でなく、一人つきっ切りでなくてもいいじゃないかというような方にもついておられるというような場合も、一人々々の契約だと出る場合もございましょうし、いずれにいたしましても、どうしてもこの患者さんにはお一人つきっ切りでなければいけないというような判定をして、むだを出さないようにしていこうと思えば、それはどうしても直接療養所等で、療養所の立場において看護婦をつけ、補助員をつけるという行き方がほんとうの行き方であろう。それでこの際、やはり管理上の理由が私は大きいと見ておるのでございますが、この際切りかえよう、こういう考えのように思っておるのでございます。まあ幾つか不正ということもあったかもしれませんが、そういうことが動機になってこの問題が起ったとは、考えておらないのでございます。  それから、二十五人に一人という割合が、これは不安ではないか、療養所の所長も、現にそれは心配だと言われる、そのことも、私は、何と申しましても療養所の問題は、患者病気を早くなおすということが目的なのですから、治療が低下するということであれば、これは一番困ることだと思うのでございますけれども、今申し上げたように、相当むだもありはしないか、そういう観点からつき添い婦、つまり今度の補助員という職の方たちに何人かを受け持っていただけば、そういうむだは出はしない、こういうような考えもあると思うのでございます。ですから、予算を引き詰めるためにというような声もよく聞きます。ただいま長谷川委員は、それをおっしゃらなかったと存じますが、いろいろな面からこれが不合理だ、こう言われるようでございますし、療養所長としては、一応病人を預かっておる立場から、つき添い婦でも補助員、いずれの名義にいたしましても、看護をする人は、これは多々ますます弁ずだと思うのでございます。完全に一人に一人つくということであれば理想的だと存じますけれども、そういう患者病気ということに重点を置く所長さんの考えとしては、私は無理からぬ御心配だと思うのです。ですから、ほんとうにできればどの方にもお一人のつき添い婦なり補助員なりをつけて差し上げられれば、それが一番いいと思うのでございますけれども、今のところはこういう線が出ておるのでございまして、これについては、お話にも出たことであろうと存じますが、失業の問題も出て参ろうと存じます。ですから、そのさわりを大きくしないように、そして失業者をたくさん出していくというようなことがないように、しかもその治療を低下させないように、できるだけそういう線で今考えて、どうにかこれでいけるであろうという線を出しておるわけでございますが、なお御審議願いましていろいろな御意見をお出しいただきまして、結論をお出しいただく。そしていいお考えがございますならば、それを十分私どもとしては考えていきたい、かように考えております。従いまして、今一番大きな動機になったのが不正の受給だというような長谷川委員のお考えとは、私ども考えておることが違うのでございまして、この点は御了承を願いたいと存じます。
  79. 長谷川保

    長谷川(保)委員 今次官は、管理の問題を言われました。この間も、いつか質問しましたときに、医務局長だったと思いますが、管理の問題を出されたのであります。しかし、今日つき添い婦は、どこの病院でも婦長、総婦長の管理のもとにある。そしてたとえばこのつき添い婦がいけないからおやめなさいというようなことも、あるいは新しいいい人を選ぶというときも、これはみな婦長がやっておる。ですから、そういう意味では、完全に管理が行われておる。実質的には人事権と申しますか、そういうものが婦長にあるような事実になっておるのです。だから、もし常勤の労務者にすれば病院長の自由な支配のもとにあるという考え方は、事実と違うのであります。でありますから、私はそのようなアイデアはいいと思う。そのアイデアは決して悪くない、当然だと思う。しかし、そこで考えなければならぬのは、すでに戦後十年、しかも今日においては終戦直後看護婦が移動しましたときと違いまして、どこの病院でも療養所でも、看護婦は定住性を持ってきておる。移動しないのであります。むしろ逆に、どこか適当な病院に看護婦として入ろうとしても、なかなかかわらないのではいれないという実情です。でありますから、本来ならば、看護婦はもう充足していいのである。それが今日看護婦がなお足らないでいるというのは、国立病院療養所に看護婦が足らない、その定員さえもなくて雑仕婦が定員内に食い込んでおるという実情は、これは大きな欠陥が何かあると思う。その欠陥を変えなければならぬ。少くともその欠陥を全部直すまでは、今日つき添い制度というのを軽々に変えるべきではないと思う。そうしたら、その被害はたちまち患者にくる。今日、先ほども同僚議員が、全国の結核療養所のベッドがあいてきたという事実を指摘なさいまして、それについて保護課長からでありますか、局長からでありましたか、いや、かえって生活保護法患者はよけい入っておると言われました。私は今全医労を通して、全国のあきベッドを調べておりますので、間もなくその調査の結果が上ってくると思います。これで、いつからいつまでどうあくかという実情がわかりますから、これについてさらに伺いますけれども、現実に最近非常にベッドがあいてきておるのは事実であります。これは何と申しましても、生活保護法入院を非常に抑制しておるということに違いないと私は判断するのであります。何にいたしましても、こういうような多くの欠陥があります。そのときに、こういうようなつき添い婦制度を変えて二千二百七十人とする。もしそういうことにして二十五人定員ということにしてしまいますと、この間、中野療養所に伺ったときだと思いますけれども、国立中野療養所におきましては、今百数十名おるつき添い婦が、三十数人になるという計算になる。これについては、厚生省の方から、おとなしくしておると、お前のところにはたくさんのつき添い婦を配給するからという達しが内側からあるやにも、ちょっと伺って参ったのであります。あまり騒ぐとやらないぞ、そういうおそれがあるやにも伺ってきたのであります。まさかそう卑屈な役人は、厚生省には一人もおらないと思うのでありますけれども、何にいたしましても、これは今軽々に変えるべきでない。看護婦が今日充足しない、療養所のベッドがあいてくる、これには国立病院としての何か大きな欠陥がある。また今日の実際の行政のやり方、ことに医療扶助あるいは健康保険等の患者治療のやり方に何か欠陥がある。それを十分究明なさって直してからでないと、今申しました中野療養所で百三十何名かおるうちで、三十数名になってしまうというような計算が出てくるようなところに、一部にだけもしこれを濃厚につき添い婦を廃止すれば、今度は薄くなるともっとひどくなる、こういうことであります。これは患者の生命に関する問題でありますから、まだまだ十分研究なさらないと、今、患者、つき添い婦及び病院当局ともに、私どもあっちこっちで伺えば、もう悲痛な訴えなんです。これは考えないといけないと思う。これらについて十分検討なさいますように、政府に願ってやまない次第です。  一応私のつき添い婦に関する問題につきましては、今日のところはこれで打ち切っておきたいと思います。なお結核予防法関係について伺いたい点がありますが、同僚議員からこの問題の関連質問があるそうですから、一応これで打ち切っておきます。
  80. 中村三之丞

    中村委員長 先刻来の質問に関係して質疑をしたいとの申出があります。小島徹三君。
  81. 小島徹三

    ○小島委員 先ほど来の質疑応答を承わって二、三聞いてみたいと思うのであります。  その一つは、公務員並みになるということは、結局八時間労働になると思いますが、実働八時間という、計算すればなるほど八時間になるかもしれませんけれども、実際問題として病人が夜の夜中に急に看護婦を必要とする、雑仕婦を必要とするというような場合、非常に困った問題が起ってくると思います。結局八時間労働だから、もう出ていけないというような問題が起きてきて、最後には、この定員では足りないので定員をふやさなければならぬという状態になるのではないでしょうか、そういうことについてはどうでしょう。
  82. 曽田長宗

    ○曽田政府委員 私どもはただいまのつき添い婦さんたちが実働何時間働いておるかということにつきましては、一応の見当をつけるという意味におきましては貴重な資料だと思っておりますけれども、これにあまりこだわってはおらないのでございます。と申しますのは、いずれにしましても二十四時間ついておるということは、二十四時間全部目をあけて見ているということでないことは明らかであります。さればと言いまして、今おっしゃいましたように、これを八時間でなしに、今度職員がかりに九時間勤める、あるいは十時間勤めるということにいたしましても、とにかく勤務時間にある程度の制限を置かなければならぬということになりますれば、二十四時間はついておられないのでありまして、ここにとにかくギャップがあるということだけは明らかなところであります。にもかかわらず、私どもがかような隔たりがあっても、大体今までの数よりも、むしろ若干下回った人数でも十分な看護をして差し上げることができるだろうというふうに考えております理由は、これは結局勤務体制の問題であります。今申し上げましたし、また先ほど長谷川委員からもいろいろお話がございましたように、一人のつき添い婦さんが必ずしも一人の患者につきっきりにしていなければならぬという状況ではないことが、現状として相当多いのであります。この問題を解決するには、どうしても二十四時間つきっきりにしていなければならぬ、責任を持たなければならぬという程度の重症の者でなければ、つき添い婦をつける必要がないというふうに割り切ってしまうのも、一つの割り切り方でございます。もう一つは、一人に一人のつき添い婦がつく必要はない、二人、三人の患者さんに一人の者がついておってもいいのだというものがあることを率直に認あて、三人づき、極端なことを言いますれば四人づき、五人づきというようなものまで認めるという考え方が、もう一つの勤務体制の考え方だと思うのです。私どもとしましては、結局患者さんの病状によりまして、手術をした直後というようなものは、いろいろ施設の係医官に聞いてみておりますが、人によりましては二日と言う人もある、三日と言う人もある、あるいは大事をとる人は一週間と言いますけれども、二十四時間ほんとうにつきっきりにしなければならぬというのは、最小限見積りますれば、確かに手術した直後の二十四時間は、二十四時間とも目を大きくあけて見ていなければならぬ。これが数日たちますとともに、うとうとと患者さんが眠っているときには、必ずしもそこについていなくていい、そういうような状態が来るということになりますので、私どもの体制といたしましても、手術をいたしましたあとの二十四時間は、必要のあります場合には三人の職員が八時間ずつ二十四時間つきっきりにつく。そのかわり、これが逐次軽快して参りますれば、時間をきめて一時間に何回、あるいはだんだん軽快いたしますれば二時間、三時間に一ぺんというふうに回ってくる、そのうちに自分でもって呼び鈴も鳴らせる、ものもしゃべれるというようなことになって参りますれば、随時呼んでもらえるというようなことにもなってきます。こういうような患者さんが、その病状によってどの程度に病院の中にいるだろうかということの推算なんであります。  今の極端な一つの事例として申し上げますれば、外科手術、ことに肺切除というようなものにつきましては、大体ベッド数の一割、一割ちょっと過ぎるようでありますが、一割余り、そういたしますと、五百床のベッドを持っているところでは一年間に五十例の手術患者があります。そうしますと一週間に一人ということになるわけであります。二十四時間一睡もせずに——これは現在つき添いさんでも、必ずしも全部がそういうふうにはなかなかつききっていないと思うのでありますけれども、そういう場合には、八時間で眠たがらない人をつき添いと申しますか、職員に八時間交代で二十四時間すっかりついてもらうというようなことをも、人のやりくりによって必ずしも不可能ではないというふうに考えております。またこれは病院の例もありますが、病院でも肺切除の手術はたくさんやっておりますので、病院の看護体制というようなものも参考にいたしまして、この療養所における肺切除の例数、それから外科病棟におります患者の大体の数、それ以外の普通の内科病棟、あるいは手のかかりますものでは骨結核、カリエスの患者さんなんかは非常に手数かかかります。こういう方がどれくらいおられるかというようなことを、ずっと当りまして検討したわけであります。もちろん、これを個々の施設について何人というふうに割り出しますことは、今個々の施設に当っているところでありますけれども、大体非常に困難している、困難が生じはしないかということを伝えられておりますようなところでは、今の平均だけではなかなかいきかねると思うのであります。しかし、ところによりましては、今日におきましてもつき添い婦をあまりつけておらない療養所もございます。こういう点を考えていきますれば、先ほど御質問がありましたような、二十四時間という問題も、実際に二十四時間ほんとうに目をあけてついておらないときには数人の者が交代でつく、それからある程度軽快して参りました人については、今の数人の患者さんを見回っていくというような形、あるいは必要なときにだけつくというような形でもって、大体この看護体勢は整って参るというふうに考えております。
  83. 小島徹三

    ○小島委員 それは計数からいったら、そういうふうになるかもしれませんが、実際問題として、実働八時間といっておってもよく公務員は朝の九時から出勤して五時には八時間済んで帰っていらっしゃるのですが、その間決して働いているだけではなくして、たばこを吸っておったり、新聞を読むというようなことも計算に入って八時間になることが多い。だから、これがもし公務員並みに取り扱われるということになると、九時に出勤したから、もう五時で八時間たったから帰る、拘束時間というか、必ずそういう問題が起きてくると私は思う。そうなれば、実働八時間じゃないから、なかなか引っぱることはできない。私は必ず問題が起るのではないかと思う。そういう点についてお考えになっておるかどうかということを、実は聞きたかったのですが、それではそれはよろしい。  もう一つお聞きしたいのは、先ほどの清瀬病院における賃金というか、給与をプールした問題です。これにつきまして、生活保護の問題で、京都なんかでは、福祉事務所長が、朝鮮人の要生活保護者というか、そういう連中におどかされて、必要もない生活保護費を出しておるところがあることは御承知だと思うのであります。ところが、最近の患者の自治会と申しますか、日患同盟というようなものの中に、相当程度の共産党員がおるということは隠れもない事実だと思う。そこで、このプール制度というものを、長谷川君の御質問は非常に善意的に解釈して、また長谷川君自身が善意な方でありますから、そういうプール制度というものについて、患者を中心として考えられたものだというふうにお考えになっておるようでありますし、またそうかもしれないと思いますけれども、同時にわれわれは、このプール制度によって給与を減らされた家政婦というか、つき添い婦というものの人権は蹂躪されておると思う。その人の意思によって、自分から進んでその頭金を出して、そうしてほかの、療養所が必要だというにかかわらず、審査会が必要でないといって雇い入れることができないつき添い婦のために金を出してやるということが、果して自発的にできておるかどうかということについて相当疑問に思う。そういうことについて、厚生当局はお調べになったことがあるかどうかお聞きしたい。——今答弁ができなかったら、あとで答弁をお願いしたい。
  84. 曽田長宗

    ○曽田政府委員 ただいまの問題につきましては、社会局の方から御答弁下さるのが、しかるべきではないかというふうに考えるわけでございます。私どもとしましては、今の実情につきまして、十分調査いたしたことはございません。いずれ社会局の方から、あらためて御答弁申し上げるというように御了承願います。
  85. 小島徹三

    ○小島委員 先ほど、療養所長がつき添いを必要とするにかかわらず、審査会ですか、何か会がありまして、そういうものが書面審理によって必要であるとかないとかきめて、その結果そこに意見の食い違いか出てくる、こういうお話ですが、審査会というものは初めからあったのですか。
  86. 曽田長宗

    ○曽田政府委員 これも私からお答え申すのが筋であるかどうかわかりませんか、私ども承知しておりますところでは、たしか昨年から設けられたものだと思っております。
  87. 小島徹三

    ○小島委員 私はそこに非常に疑問とする点があると思うのです。ちょうど京都の生治保護に関する福祉事務所の所長のように、朝鮮人の強圧を受けて、やむを得ず、仕方なしに自分の生命の安全が保てないということで判をどんどん押して、不必要な生活保護費が払われておるというのと同じように、療養所長が果してほんとうに良心をもってやっておるのかどうか、あるいは外部というか、内部というか、何らかの他からの圧迫を受けて必要でないと思うものを必要だということで出しておる証拠があったために、こういう審査会を設けることになったのではないかという疑いを私は持つのですが、それはどうですか。
  88. 曽田長宗

    ○曽田政府委員 この点につきましては、私どもは療養所の所長その他職員に対しまして、厳正な判断をして、いやしくもむだな要求をするということのないように、しかしながら、また他面、ほんとうに必要である患者については、その要求を無視する、踏みにじるということがあってはならぬというようにと申しておるわけであります。先ほどからお話がございましたように、施設によりましては、会計検査とかあるいは社会福祉事務所からの調査というようなことによりまして、私どもの施設の運営についていろいろ御注意を受けたというような事実はございます。今後できるだけ適正に——人間のことではございますけれども、できるだけその努力をして適正な判断をするようというふうに申しておる次第であります。
  89. 小島徹三

    ○小島委員 私は審査会を設けた理由というものは、そこに相当重大な点があると思うのです。つき添い婦が必要であるかないかということは、長谷川委員の言う通り、厚生省の職員である療養所長を信用するのが当然です。それを書面審理によって必要であるとかないとかいうことは、筋が違っておると思う。にもかかわらず、こういうものを設けなければならなかったということについては、ほんとうに大事なものがあるはずだ。それを厚生当局としては、委員の前で言うことにはばかる点があるならば、またあっても仕方がないと思いますけれども、そういう点は確かに疑問の点があると思う。そういうものを設けなければならなかった根本の理由というものは、もっと隠されたものがあるのではないかと思われる。そういう点を厚生当局はよく考えて、必要ならば、つき添い婦を二千二百七十人にする必要はない、どんどんふやせばいいと思う。そのかわりに、不正な受給がされておる、必要もないつき添い婦をつけて、その金かあいまいに使われておるというようなことがあるならば、そういうものに対しては断固として処置をするという態度をとらなければ、厚生事業というものは結局失敗してしまう。社会保障の問題は、そんな表面のみえだけでやってはいけないのであって、悪いものは悪い、そのかわり必要なものは出すのだという態度をとらなければ、何ぼたってもこの問題は根本的には解決しないと思う。そういう点は何も遠慮する必要はない、たくさん押しかけてきた人間に対しておべっかを言う必要はない、勇敢に悪いものは悪いと言ったらいい。たくさん押しかけて陳情したからといって、ただその場限りのいいかげんな返事をするところにこういう問題が起きておる。私は勇敢に言ってもらいたいと思う。必要だというならばわれわれ委員としては必要な金は協力して出すだけの決心をしておりますから、そのかわりに少しでも間違っておるものは間違っておるとはっきり言ってもらいたい。ごまかしをしておったら、いつまでたってもこの問題は解決しないと思いますから、その点は十分御注意願って、私の質問はこれで終ります。
  90. 中村三之丞

    中村委員長 つき添い婦問題について、神田、八田、中原三君より質問の通告がありますから、順次これを許します。神田大作君。
  91. 神田大作

    ○神田(大)委員 つき添い婦の問題に入る前に、先ほど提出になりました結核予防法の一部を改正する法律案について御質問を申し上げたいと思います。  国民全部に対しまして健康診断をするというようなことにつきましては、まことにけっこうなことであると私は考えるのでありますが、一体、国民全体に健康診断をする場合において、これを実施するところの準備が果してできておるかどうか。国民の健康診断をするというようなことは、容易なことではないのでありまして、今の保健所のあの機構でもって、これがスムーズにできるかどうかということについて、当局の御見解をただしたいのであります。
  92. 山口正義

    山口(正)政府委員 現在一定の施設に収容されております者、またあるいは一定地区の一定の年令層以下の者にだけ健康診断を実施いたしているのでありますが、残念ながらこれがいろいろな事情で、実施率がなかなか十分に高く行われていないというのが実情でございます。それを今後さらに対象範囲を拡大して、果してどれだけの実施成績が上げられるかという御懸念だと思うのでありますが、その点につきましては、私どもも従来の実施成績を十分反省して、今後進んでいかなければならないと思うのでございます。しかしながら先ほど提案理由説明の中にもございましたように、結核の現在の蔓延状況を地区的に見まして、あるいは年令的に見まして、従来のようなやり方では、ほんとうの対策が実施できないというような観点から、範囲の拡大をお願いしたいというわけでございます。その際に、範囲が広がれば、それだけ対象人員かふえるのでございますから、それをどうして健康診断を実施していくか、従来も十分でなかった実施率を、さらに今後推し進めていくかという点につきましては、ただいま御指摘通り、私ども今後十分その点気をつけていかなければならないのでございますが、先般も予算を御説明申し上げました際に説明いたしましたように、保健所の職員の充実をはかりますとともに、保健所の機動力を増すという意味で、レントゲンの自動車を整備することを予算の上でも計上させていただいておりますし、さらに地区衛生組織を育成して、民間一般の受診者が、行政当局のやります健康診断に積極的に協力して、受けに出てきていただくというようなこと、それからさらに、単に保健所の機能だけではなしに、一般の公的医療機関、あるいは一般の医師会の方々の御協力を得て、実施能力を上げていきたい、そういうふうに考えているわけでございまして、従来の実施成績で決して満足すべきものではございませんので、私どもこの点につきましては、ただいま御指摘通り十分注意してやっていかなければならぬ、そういうふうに考えておるのでございます。
  93. 神田大作

    ○神田(大)委員 なかなか容易でないということをお認めになっておられるのでありますが、私どもといたしましても、今度の予算範囲内によって国民全体の健康診断を完全に、しかもスムースにやっていくというようなことは、容易でないと思うのでございます。そういう観点からいたしまして、それをほんとうに実施いたしまして、国民の結核の完全予防に万全を期する上においては、予算を大幅に増額しなければならないと私は考えておるのでございますけれども、一体今のような予算範囲でもって、民間団体の医療機関等の協力を得て完全に実施できると考えておるかどうか、いま一度御質問申し上げます。
  94. 山口正義

    山口(正)政府委員 予算の点につきましては、直接健康診断に要します費用は、国の費用といたしまして二十九年度は一億二千七百万円程度でございましたが、三十年度にお願いいたしております予算は二億四千万円くらいになりまして、直接健康診断に要します費用も相当大幅に計上させていただいております。そのほかに、レントゲン自動車あるいはそのほかの保健所における施設整備という予算は、別にまた計上させていただいておりますので、健康診断そのものに関します予算は、前年度に比べまして約倍額以上にふえているわけでございます。
  95. 神田大作

    ○神田(大)委員 これはやってみないと、その結果は現われないと思うのでございまして、これは見解の相違になるから追及いたしませんが、これを実施する場合におきまして、国民に対して意外な不便を感じさせたり、あるいは負担をかけたりしないように、当局において万全を期してもらいたいと思うのでございます。  それから、いま一つ私懸念いたしておりますのは、農村におきましては、肺結核という病気に対しまして非常におそろしい病気であるというようなことが、もう長い間頭に植えつけられております。それで、国民を全部健康診断いたしまして、あそこの家からは肺結核が出たというようなことがわかりますと、今度は娘の縁談等に対しましても大きな支障を来たし、あるいは近所づき合い等においても、なかなか困難な事態ができてくる。こういうような結核病に対する認識の特におくれておるところの農民等の病気に対する観念を、よほど啓発いたさないと、意外な健康診断によるところの波紋が出てくるのではなかろうか、こう考えるのでございますけれども、このような啓蒙活動、農村等における結核病に対する認識の向上、あるいはこれに対するところの弊害等を、どういうふうに当局は考えておられるか、またどういう対策をこれに対してとっていかれるか、お伺いいたします。
  96. 山口正義

    山口(正)政府委員 ただいま御指摘結核に対する不当の恐怖心と申しますか、あるいはそれに対して、いろいろ考えなくてもいいような影響を考えておるというような実情につきましては、これは今から十年、二十年以前に比べますと、最近は一般の方々の公衆衛生、疾病に対する認識が非常に変って参りましたので、結核につきましても、以前のような状態は逐次解消されつつあるというふうに考えるのでございます。ことに都会におきましてはそういう傾向が強いのでございますが、ただいま御指摘のように、農村一部においては、まだ昔のような考えが相当残っておるところからあるように思っておるのでございます。そこで、それに対してどういうふうな啓蒙宣伝をやっていくかというお尋ねでございますが、これは具体的には、単に役所がやるだけではその目的を達しないということは、御承知の通りでございます。役所関係では、やはり保健所が啓蒙宣伝の中心になるのでございますが、従来も組織されており、また今後も、先ほどから申し上げましたように、育成していきたいと思っております。一般の民衆組織を育てて、それを通じて啓蒙宣伝をするということと同時に、やはり何と申しましても、こういう問題につきましては、専門のお医者さんにいろいろ知識を啓発していただくというのが、一番効果的であるというに考えますので、医師会の御協力も得て、一般の方々の誤まった認識を正していきたい、そういうふうに考えておるのでございます。また政府の外郭団体といいますか、協力団体として結核予防会というものも、これらの思想普及について一役を買ってもらっておりますので、政府といたしまして、予算的にその思想普及について、特に取り立てて申し上げるほどの予算は計上していないのでございますが、厚生省でも毎年一回結核予防週間あるいは月間を実施いたしますので、その際の費用を厚生省内でもある程度計上して、そういうものを利用して、御趣旨のような点を達成していきたい、そういうふうに考えております。
  97. 神田大作

    ○神田(大)委員 説明は、そういう説明になるでございましょうが、実際問題に入りますと、なかなか御説明いただいたようなことにはなっておらないと思うのであります。この不当なる恐怖、それからそれに対するいろいろな派生する問題等につきましては、やはり十分予算に組んで、この不幸な事態が起らないように注意してやってもらいたい、こういうふうに考えておるわけでございますが、この問題につきましても、きょうは時間がありませんから、あとで詳しく御質問申し上げたいと思うのであります。  それと同時に、健康診断をいたしました結果、発見しました結核罹病者に対しまして、先ほど同僚委員からも御質問がありましたが、それをどうするか。結核病床を一万幾らふやしたから、そこに収容するとか、何かいろいろそういう話もありましたけれども、私はそういうことでは、とうてい全部の罹病者を完全に治療する、あるいは隔離するというわけにはいかぬと思うのであります。健康診断はした、病人は発見した、しかしながら、そのあとの対策に対しまして何ら打つべき手がなかったならば、これは何にもならぬことだろうと思うのでございますが、この罹病者に対するところの対策に対しまして、どういうようなお考えを持っておりますか、お尋ねいたします。
  98. 山口正義

    山口(正)政府委員 発見いたしました患者の処置につきましては、先ほどお答え申し上げたところでございまして、決して結核病床一万床作ったからといって、それで患者の隔離が全部できるわけではないことは御指摘通りでございます。従いまして、大部分の患者が在宅いたしておりますので、その在宅患者の方に、より大きな手を差し伸べていかなければならないということは当然のことでございます。その一つの手段として、先ほども申し上げましたような居宅隔離の問題、あるいは家庭訪門の問題等もございます。私ども現在のやり方で決して満足すべきものではない、また足りない点が非常に多いというふうに考えているのでございますが、先ほどお答え申し上げましたような線で一歩々々前進して参りたい、そういうふうに考えているわけであります。
  99. 神田大作

    ○神田(大)委員 この問題はまたあとで御質問申し上げたいと思います。  次に、つき添い看護婦の問題でございます。長谷川委員の方から大分詳しく御質問がありましたので、私は簡単に御質問申し上げますが、問題は、つき添い看護婦を現在の状況下において廃止することが適当であるかどうかということでございます。私は現在の国立病院におけるところのつき添い看護婦の果しておる役割というものは、非常に重大だと思うのでございます。長い間とにかく重病人に対しまして家族のような愛情を持って患者のめんどうを見ておりますことは、金をもらったからこれを見ておるということではなしに、実際病院へ行ってみると、家族の一員としてこれを取り扱っておるというような大きな美点があると私は思う。しかも、この四千何人かのつき添い看護婦のかわりに雑仕婦を二千二百七十人か入れるということでございますけれども、こういうような量的な減少によって、果して長い間病床に横たわっておる患者を見ていくことができるかどうか、非常に急激にこういうつき添い婦制度を否定することは、日本の医療問題に対しまして、非常に重大な問題であると思うのでありますけれども、この点をどうお考えになっておられますか。
  100. 曽田長宗

    ○曽田政府委員 病院のあり方、また病院の看護のあり方というようなものにつきましては、根本的に相当重大な問題がひそんでおると思うのであります。私ども病院の本来のあり方というものにつきましては、先ほど申し上げました通り、私どもは病院が責任を持って病院の職員でもってお世話を申し上げるというのが筋だと考えております。しかしながら、いかによいことでありましても、今までの習慣というようなものは、一朝一夕に退けるわけにはいかないということはございますので、これを実施するという点については、できるだけ無理のないように、漸進的に進んでいくというふうに考えておる次第であります。今のつき添い婦の問題につきましても、ただいまのように、とにかく病院の職員でなしに、自分が個人的にお願いしたつき添い婦さんでないと安心がならぬというような気持を持っている方は、これも現実には多少おありだと思うのであります。しかし、これは病院のいろいろな看護の仕方というような体制が十分になれて参りますと、たとえば私どものところでも、国立病院というものでは、一応いわゆる完全看護の体制をとっておるわけであります、これに対しましても、非常に患者から御不満も聞きます。しかしながら、一方からいいますと、非常にこれはよいことだというおほめもいただくわけでありまして、これはもちろん、だれもそれに対して非難がないというようなことにはいきかねるかもしれませんが、とにかくだんだんとその実情を御検討願いますれば、病院の姿としてあるべき姿が何であるかということは、逐次広く理解していただけるのではないか、またそのために私どもも努力をすべきではないかというふうに考えておるのであります。ただ、その移行につきましては、あまり急激ということにならぬように、私どもとしましても職員がふやされるということになりますれば、逐次増員をして参りたいというふうに考えている次第でございます。
  101. 神田大作

    ○神田(大)委員 つき添い婦のかわりに雑仕婦を入れるというのでございますけれども、先ほども問題になりましたように、つき添い婦の場合は、実質的には二十四時間勤務というような状態もあり得る。また病気によりましては、実際一晩じゅうそばについておらなければどうにもならないという患者がたくさんあると思う。そういう意味合いにおきましても、現在のつき添い婦が、非常な犠牲を払いまして、患者治療に対しまして協力しておるというような態度は、涙ぐましいものがあると私は思うのであります。そういう場合に、そういう犠牲的な看護をやっておるところのつき添い婦にかわって雑仕婦の人が入ってきまして、しかも四千人からのつき添い婦のかわりに、八時間労働の人が二千二百七十人というようなことで、果して完全な看護ができるのか。現在におきましても、看護婦等につきまして手不足である、その他の職員につきましても手不足であるにもかかわらず、なおつき添い婦を廃止いたしまして、それにかわるところの雑仕婦が二千二百七十人というようなことであっては、ますます病院患者に対しまして非常な不便を来たすことになると思うのですが、その点に対しまして、どうお考えになりますか。
  102. 曽田長宗

    ○曽田政府委員 ただいまの御意見といたしまして、今まで非常に熟練した、よくなれたつき添い婦さんたちが、今後は患者のお世話ができなくて、そうして、まるでずぶの少しも役に立たない雑仕婦を入れるのではないかというような御懸念があるようでございますが、私どもとしましては、そういう意味ではございませんで、むしろ今のつき添い婦さんの中からも中に入っていただきまして、あるいは外から新たに入っていただくにしても、これは言葉が過ぎるかもしれませんけれども、私どもの希望としましては、もしもその方々にかわって別の人に入っていただくという以上は、今までの方々より以上に働いて下さる方というのでなければ、病院に来ていただくわけにはいかぬと思っております。今までお仕事をなさってよくなれた方々には、今後も引き続き御協力を願いたいと思っておる次第でございます。
  103. 神田大作

    ○神田(大)委員 だいぶ時間もたって、皆さん方が非常にお疲れのようでございますから、一つ簡単に質問して、あとでまた御質問申し上げます。そこで、もしそれを実施するといたしますと、気の毒なつき添い婦の方々がたくさん失業されると思うのでございます。子供をかかえ、あるいは戦争のために犠牲になっておりますところのこの戦争未亡人の方々、そういうような気の毒な方々がたくさんつき添い婦になっておられるのでございますが、こういう人たちの失業問題に対しまして、当局はどうお考えになっておりますか。
  104. 曽田長宗

    ○曽田政府委員 これも一ぺんお答え申し上げたことがあるかもしれませんが、ただいま私どものところで調べました数字によりますと、昨年の今ごろでございますが、大体三千二百足らずの方が健康保険及び生活保護法関係の負担でつき添い婦についていただいていたというような数字が出ております。それからその後新しい数字をただいまとりまとめておるのでございますが、断片的に私自身最近回りました施設等で調べましたのだと、昨年の今ごろに比べまして若干ずつ減少しておるように申しておるのでありまして、これははっきりわかりませんが、大体三千人を切れるのではなかろうかというような考え方もしておるのであります。今度予算に組んでいただきましたのが再々お話のような二千二百七十人、このほかに昨年の増床分一千床がございます。それから本年またお願いいたしております一千床がございます。両方加えますと六百人ばかりになるのでございます。このうち看護要員が大体七割から八割くらいになりますので、そうすると四、五百ばかりある。もちろん、これはつき添い婦さんという意味でございませんで、看護要員ということになるわけでございますが、そういたしますと、それを加えれば大体二千六百か七百くらいになると思うのであります。こういうような点から参りまして、ただいままで、また現在仕事をしておられる方々、この方々から一つ有能な方々と申しますか、こういう適当な、今後続けていただきたいという方々には、ぜひお残りを願って、そうして仕事を続けていただくというように極力努力はいたしたいというふうに考えております。  それから、それにいたしましても、ある程度の方が、いわばあぶれられるというような事情があるのでありますが、これにつきましても、私どもいろいろ全国の施設として見ます場合には、中には割合に農村地帯でございまして、一応日常の仕事を自分の家でもやっておる、畑仕事をしておる、そうして療養所から頼まれれば出ていくというようなところもございます。もちろん、先ほどもどなたかに御指摘されましたように、ことに都会地のようなところでは、非常に同じ方々が引き続いてやっておられるというところもございますが、農村では今申し上げたような事情のところもございますので、必ずしも病院の方で再々つき添い婦においでを願うというようなことがなくなりましても、そのために決定的な打撃を受けることもないというような事情の方も相当おありだというふうに考えております。しかし、いずれにしましても、職を求めていながら十分に収入の道がないというお方に対しましては、これは療養所の職員ではありませんけれども、極力療養所といたしましても、そのほかに臨時的ないろいろなお仕事がある、たとえば賃金でまかなっております仕事とか、こういうようなことで、何か仕事をお願いできるというようなことでは御援助をする。また、これは私ども直接の問題ではございませんが、失業対策というようなことで、病院でもそういう事業でお手伝いを願いたい仕事はたくさんございますので、そういうような仕事をお世話する。それからさらにもう一つ大きい問題は、年々結核の病床が、最近で三万足らずふえております。これは国でもって直接作り、あるいは補助を出しておりますものが一万でありますが、そのほかに、ほとんどそれの倍近いベッドが、いわば自力増床とでも申しますか、ふえておるような状況でございます。私どもの国立の増床の率は非常に低いのでありまして、御承知のように昨年は千床、今年も千床お願いしているという程度でございますが、そのほかにベッドの増加が各地方ともかなり激しいのであります。ここではむしろ、お医者さんのような場合でありますと、医者の獲得に困っておるというくらいな状況になっておるのであります。看護婦さんあるいはつき添い婦さんという方々に対しても、さような方面においてもいろいろ働き場が開けておるような状況であります。それがいい工合に場所が重なってくるかこないかということが問題でありますが、そういうような面でお世話できるところは極力またごあっせんもする。それからまた、中に七十才以上にもなっておるお年寄りの方が若干おられるのでありますが、かような方々あるいは子供さんが多くて困っておられるというような方々には、社会局あるいは児童局等とも連絡いたしまして、できるだけのことは私どもとしても骨を折りたいというように考えておる次第であります。
  105. 神田大作

    ○神田(大)委員 今この問題は、万が一つき添い看護婦制度を廃止した場合のことを聞いたので、それに対してお答えがありましたが、どうも木に竹を継いだような御説明で、果してそれが完全に就職のあっせんなり、あるいは生活の保障なりできるかどうかというようなことは、まことに心もとないように聞えるのであります。要するに私は、現在のようなつき添い看護婦制度を現在の国立病院の現状において廃止するというようなことは、時期尚早であると考えるのであります。時間もありませんから、この点につきましては後ほどまた御質問を申し上げることとしまして、私の質問はこの程度で終りたいと思います。
  106. 中村三之丞

    中村委員長 八田、中原両君の御質問は明日に譲りたいと存じますが、八田君は資料の要求があるそうでございますから、どうぞお願いいたします。
  107. 八田貞義

    八田委員 先ほど長谷川委員の質問に対しまして、つき添い婦の実働時間八時間とおっしゃいました。後ほど資料を提出されるというお約束を願ったのでありますが、その場合に、資料として次のような資料を出していただきたいという注文を申し上げたいと思います。  まず第一が、実働約八時間とおっしゃいましたが、私たちの調査によりますと、実働八時間三十六分と出されております。このこまかい数字を出された対象となった結核療養所の名前、それから深夜看護について調査がなされておるかどうか、それから看護のための準備時間は認めておったかどうか、それからさらに患者の安静時間中の看護について、これらの問題について検討されて八時間三十六分というものを出されておるかどうか、これについて詳しい資料を出していただきたいのでございます。これは正常勤務についての調査と考えますが、病欠があった場合、その他の事故の場合には、混乱が起ることは当然でございます。混乱が起ったときには、看護婦の就寝すら犠牲にしなければならないことが起ってくるので、このタイム・スタディでされた実働時間八時間三十六分というのは、非常に貴重な資料でございますから、ぜひとも今申し上げました条件を満たされるところの資料を御提出願いたいと思います。
  108. 中村三之丞

    中村委員長 なお横錢重吉君の保険局長に対する御質問でございましたが、局長は社会保障制度審議会に出席いたしておりますので、本日はここに参ることができないそうでございますから、明日に譲りたいと思います。
  109. 岡本隆一

    ○岡本委員 先ほど医務局長の御説明によりますと、大体五百床ほどのベッドがある施設でもって、胸郭の手術をやる患者さんがその一割だ、従って手術患者の実数は週に一名くらい程度である、だから、それでもって、厚生省の計画通りでもって看護はやっていけるつもりだというような御説明があったと思うのですが、しかしながら、私はそうは思わないのです、もっと多いと思うのです。また事実私が聞いている範囲では、もっと多いのです。従って、全国というわけにも参りますまいが、関東だけの範囲でけっこうでありますから、昨年一カ年間にどれだけの胸郭成形手術及び肺切除手術が行われたかという数を調べて出していただきたいと思います。
  110. 中村三之丞

    中村委員長 次に、議事進行に関しまして山花委員より発言を求められております。発言を許します。
  111. 山花秀雄

    山花委員 きょうの委員会審議の模様を見ておりますと、政府委員の出席が悪いので、担当以外の政府委員がいろいろ答弁をしておる。こういう状態では、議事の進行が満足にできないと思います。また他に重要な委員会でもあれば別でございますが、きょうは、私の調べたところによりますと、参議院関係でも社会労働委員会がございませんし、大臣の関係におきましては、予算委員会なんか重要な委員会あるいは出席されておるかもわかりませんが、厚生問題を論議するときには、ぜひとも各局長クラスの政府委員は全員出席をされまして、答弁をスムーズにやっていただいて、議事が進行するように、委員長の方からも出席の要求をしていただきたいと思います。  もう一つは、ただいま資料要求もございましたが、せんだって、厚生関係特に社会保障の関係でございますが、駐留軍関係健康保険組合における乱給あるいは乱診の具体的事実である、こういう政府委員の答弁でありまして、抽象論では審議に差しつかえかあるから、具体的事実を一つ資料として提出していただきたい、これは私から要求いたしましたが、いまだに資料が参っておりませんので、これも委員長の方から一つ御要求を願って、資料を提出していただきたいと思います。  それから、明日引き続いてつき添い婦関係についての質疑が行われますが、質疑通告者の質疑が一応終りましたならば——私は、今日いろいろな意見を聞いておりますと、つき添い婦廃止問題については、同僚委員及び政府委員質疑応答を聞いておりましても、若干見解の相違というところから、いろいろ疑義が出ておりまして、こういう状態では審議をスムーズに進めていくわけにも参りませんので、長谷川委員の方から要請がありましたが、この問題については、関係者代表あるいは学識経験者を含む参考人を呼んで意見の聴取を行なっていただいて、われわれとしては最終的に審議の参考に資したいと思うのであります。われわれの審議を万全にやっていきたい、かように考えておりますので、そのような取り計らいを委員長の方から理事会に諮っていただきたいということをお願いしておく次第であります。
  112. 中村三之丞

    中村委員長 山花君の議事進行に関しましては、政府委員には出席するように委員長より厳重申し入れます。  なお、つき添い婦問題に関して参考人を呼ぶことにつきましては、理事会に諮って相談をいたしたいと思いますから御了承を願います。  次会は明日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。     午後四時三十六分散会