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長谷川(保)
委員 そうしますと、先ほどのお話ですと、今のところは二十四時でつき添い婦さんは雇い入れることにしてある。それで実働は八時間だということですか、しかし実働のはかり方——もし厚生省に入っております
資料と私の持っております
資料とが同じ場所でやったものであるといたしますと、先ほど来お話しのように、ひどい話でありますが、便器をはさんだ時間は入れたけれども、はさんで排便をするまでそばについて待っておるその時間はタイムに入れてない。そのほか、
患者のために手足を動かしてやった時間は入るが、単に見守っておるというときには労働時間に入っていないというお話も伺っておる。従って、このタイム・スタディでやることは、ずいぶんいいかげんなものだと聞いておるのであります。厚生省自身がやったことでなく、厚生省は責任を負えないということですが、どうも私ども実際
療養所へ参りまして、つき添い婦さんの勤務時間を見ておりますと、やはり八時間ではないと思うのです。非常に長い時間やはりやっていらっしゃると思うのです。ことに
労働基準法から申しますれば、これは一日のうちに二回休む時間を取らなければならないということにもなって参りますし、先ほど来お話しのように、各
療養所の
病院当局は、とうてい二千二百七十人にされたのではやれない。今の設備で二千二百七十人にされて、しかも
療養所に常勤している者として時間
通りきちっきちっとやられたのでは、とうてい手も足も出ない。だから重篤
患者や手術
患者を入れることはやめなければならないというようなことになっていくのは、ほんとうのように思える。だから、厚生省としては、今の二千二百七十人を第四・四半期に八千三百円で雇い入れるということにつきましては、方針をお変えにならないと、重大な支障が起ってくると思う。
次官がおいでになったようですから、次官にお伺いいたします。今度つき添い婦の廃止が起って参りました事情はいろいろあるようですが、その一つの大きなきっかけは、清瀬
病院及び東京
療養所におきまする不正受給の問題であります。この不正受給という問題が、どうも当局の認識と事実が違っているようである。たとえばこういうことなんです。繰り返すようですが、二人づき、三人づきというようにして二重取り、三重取りをしておるというように会計検査院ではお考えのようですが、ところが事実はこうなんです。事実は、今の
医療扶助制度のやり方に少し欠陥がございまして、それで
病院では、重篤な
患者だからすぐつき添いをつける必要がある、こういうふうに医者は認めてつき添い看護の許可願いを出すようです。ところが、
審査会か
審議会というものがございまして、それを書面審理をした上で、これは不当であるということで許可をしないということになります。そうすると、先ほど来伺ったところによりますと、つき添いを雇い入れるのは、建前として被
保護の病人だ、ところがこれは
生活保護法の要
保護者でありますから、もちろんそれを払うことができません。事実つき添い料、看護料を支払っている実情というものは、都が支払う、こういうことになります。法の建前としては要
保護者が雇い入れたということになる。現物給与だ、こういうことのために、どこでも払ってくれるところがない。しかも清瀬、東療の実情というのは、実は
病院と
患者自治会とつき添い婦の組合と三者が、万やむなく話し合いの上で、今のプール制というものをやって、そうしてそういうふうな不払いのあった場合には、つき添いのおばさんがどうしようもありませんから、場合によっては二人前三人前取るときもあったろうと思うけれども、事実大部分はそうでなくて、実は二人づきにしても三人づきにしましても一人づきにしても、東療では八割ないし九割、あるいは清瀬
病院でも同様に毎日の
賃金を少し切られる、それをセーブしておいてプールしてやるということが事実大部分のようです。それだから、実際はつき添いのおばさんは、そういう金の取れないときも全部ならしまして、なるほど国から出ております金はもらうことになりますけれども、事実においては一人についても十割もらっておらない。そのうち一割なり二割なりチェックされて、そしてプールしてある。そのプールしてある中から、つき添い料の払われぬときのものをもらっているというようなことであったり、あるいはいま一つの場合は、肺の摘出の場合に、国では三週間しかつき添えない、あるいは胸郭成形では二週間しかつき添えない。それでは
患者がどうにもなりませんから、今の
病院三者が話し合って、これを専門につけるのは、肺の摘出の場合には三週間、都ではつき添いを許してくれますが、それを二週間専門についてあと二週間引きずる。つまり四週間に引き延ばして、二週間引きずるときに、一人専門につき添っているものが、二人づきなり三人づきなりになりまして、そうして引き延ばして看護を全うしているというのが実情なんです。だから二人ついているときに二人分、三人ついているときに三人分取っているというのはあたりまえですけれども、全体から見ると、やはりただ一人なんです。私はつき添い婦のある人に来てもらって実情を聞いたら、二人取り三人取りというものを全然やっておりません、こういうことを申しておりますが、それは事実なんです。幾分のそういうような不正はあったかもしれませんが、全体から見ると、
医療扶助制度の欠陥から来ていると思う。そこに考えてもらわねばならぬことは、そういう不正受給ということが一つの大きなきっかけになりまして、今までのつき添い婦の制度をやめて、今度は二千二百七十人という常勤の者を雇い入れてそれでまかなっていくということは考えられない。というのは、その結果どうなるかと思って、私は各幾つかの
病院を最近回ってみた。まず
病院当局の意見を聞いてみた。そうすると、
病院当局ではこう言う。今まででも設備が悪くて、また看護がろくにできないで困っている。それを、もしこういうことになりますならば、とうてい自分たちは責任が持てないから、これからは重症の
患者や手術
患者は
入院させることをなるべくしないように、軽い者だけを選択していく、これよりほかに道がないと言っているのです。
患者もまた、実に悲痛な訴えをしている。そうして、ことに私どもの同僚であります八木代議士のごとき、ついこの間、中野
療養所において昨年胸郭成形手術をやったみずから体験者であります。もしこのようなことをされて、個人づきでないものにされるなら、とうてい自分たちは
患者としての体験からいっても耐えられない、だから、自分は体験を訴えて皆さんの了解を得たいから、公聴会をぜひ開いてもらいたい、私は
患者自治会の一人として、出席して公述人として実情を語りたいと言っている。帆足代議士もそうである。こういうような事態でありますから、この問題について、私は厚生当局は考え直さなければだめだと思います。もっと実情を調べてしないと、事は
患者さんの生命の問題でありますから、考え直さなければだめだと思います。こういう点について、厚生次官の御意見を伺いたい。
もう一つ、厚生次官が御婦人でありますから伺いたいことは、今日つき添い婦の実態というものを、厚生省当局でも調べられていると思いますが、その多くの方が子供をかかえ、また戦争未亡人の方である。非常な苦心をして子供を養って
生活に奮闘しておられる方々である。今申しましたような、単に会計検査院から厚生省がしかられたというようなことで、しかもその実情が果してどこにあるかということも、十分私は考えなければならぬと思います。そういうときに、このつき添い婦の方々を八千三百円で雇い入れる。八千三百円で子供を持って養っていけるかどうか、そういう
生活の非常に切迫した問題が起って参る。ことに、失業問題ということになりますならば、実に重大である。そうすれば、どうせ
生活保護法をかけなければならない。国の
予算といたしましては、どっちにしても出す金である。それならば、一生懸命に働いている方に出すべきだ。まじめに一生懸命に働いて苦闘しておられる方に出すべきで、
生活保護に回らなければならないというような苦境に追い込むべきではないと思う。これらの点について、厚生次官は幸い婦人でありますから、十分御理解があると思うから、御意見を承わりたい。