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1955-05-17 第22回国会 衆議院 社会労働委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年五月十七日(火曜日)     午前十時二十九分開議  出席委員    委員長 中村三之丞君    理事 大石 武一君 理事 中川 俊思君    理事 大橋 武夫君 理事 山花 秀雄君       亀山 孝一君    小島 徹三君       床次 徳二君    山本 利壽君       加藤鐐五郎君    小林  郁君       高橋  等君    中山 マサ君       永山 忠則君    滝井 義高君       中村 英男君    横錢 重吉君       神田 大作君    堂森 芳夫君       山下 榮二君    中原 健次君  出席政府委員         総理府事務官         (調達庁労務部         長)      海老塚政治君         厚生政務次官  紅露 みつ君         厚 生 技 官         (医務局長)  曾田 長宗君         厚生事務官         (薬務局長)  高田 正己君         厚生事務官         (保険局長)  久下 勝次君  委員外出席者         専  門  員 川井 章知君         専  門  員 引地亮太郎君         専  門  員 浜口金一郎君         専  門  員 山本 正世君     ————————————— 五月十六日  結核予防法の一部を改正する法律案内閣提出  第四八号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  毒物及び劇物取締法の一部を改正する法律案(  内閣提出第三八号)  駐留軍関係労働者の保険問題に関する件  附添看護人に関する件     —————————————
  2. 中村三之丞

    中村委員長 これより会議を開きます。  まず毒物及び劇物取締法の一部を改正する法律案議題とし、審査に入ります。まず紅露政務次官より趣旨の説明を聴取いたします。紅露厚生政務次官
  3. 紅露みつ

    紅露政府委員 ただいま議題となりました毒物及び劇物取締法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。  改正の第一点は、現在毒物として本法の取締りの対象となっておりますもののうち、特に毒性の強烈なものにつきまして、特別の規制を行うことにいたした点であります。現在、毒性の強烈な数種の毒物につきましては、政令で、主としてその使用の面において、一般の毒物よりも強い規制を加えているのでありますが、法律で定める比較的簡単な手続を経ることにより、何人も容易に入手することができる仕組みになっておりますために、適正な使用能力を期待し得ない者にも、所持使用される可能性がありますし、このため保健衛生上、不測の危害の発生を避けがたい結果となっているのであります。従いまして、今後この種の新規毒物の増加する傾向にかんがみまして、この種の毒物につきましては、毒物劇物営業者研究者または適当な使用者に限り、特定毒物製造輸入使用譲渡、譲り受け、所持等を認め、かつ保健衛生上必要があるときは、一定の品質、着色、表示等、従来とほぼ同様の基準を設けまして、その基準に適合するもののみについて生産、流通を認めていこうとするものでございます。  改正の第二点は、現在毒物劇物廃棄につきましては、何らの規制も行われていないのでありますが、およそ毒物劇物廃棄いたします場合には、一定の適正な方法に基いて行われないときは、これまた保健衛生上、種種の事故を発生させるおそれがありますので、政令で定める廃棄方法に関する技術上の基準に従って行うようにいたしたことでございます。  以上が本法律案提案するおもな理由でございますが、どうぞ慎重に御審議をいただきまして、すみやかに御可決いただきますよう、お願いする次第でございます。
  4. 中村三之丞

    中村委員長 以上で説明は終りましたが、この際高田政府委員より補足説明を聴取いたします。
  5. 高田正己

    高田政府委員 ただいまの提案理由説明で、要点は尽きているわけでございますが、なお若干敷衍をいたして御説明を申し上げます。  毒物劇物取締法によりまして、毒性のあるものを取り締っているわけでございますが、最近新しい非常に毒性の強いものが出て参りまして、いろいろと問題を起しているのでございます。皆様方よく御存じのパラチオンといわれております稲の二化メイ虫を殺します農薬、これなどがその顕著な例でございまして、このパラチオンは、これを本格的に使い始めましたのは二十八年からでございます。その事故の概要を簡単に御紹介してみますと、二十八年一年間におきまして、事故の総件数といたしましては千七百五十五件ほど起っておりまして、そのうち千五百六十四件は中毒事件でございます。百九十一件は生命を落した事件でございます。それから昨年の二十九年の状況は、事故の総件数におきまして二千百九十四件という、前年より若干上回った数字を示しておりまして、その内訳といたしましては、中毒事件が千八百八十七件、死亡いたしました者が三百七件というような数字を示しております。もっとも二十八年と二十九年におきましては、このパラチオン使用量あるいは使用面積がずっと増加しておりますので、その割合からいたしますと、事故は少くなっておりますが、ともかくさような件数を示しております。さらに注意すべきことは、ただいま申し上げました百九十一人、三百七人という死亡者の中で、二十八年におきましては百二十一人、それから二十九年におきましては二百三十七人というのが、これを使用して自殺をいたしたものなのでございます。かような状況パラチオン状況でございますが、さらに新しくペストックス3というような新しい農薬も使いたいというような要望もございますので、それらの情勢に即応いたしまして、ただいまの毒物及び劇物取締法では、若干心配な点がございますので、今回の改正をお願い申し上げた次第でございます。  改正要点につきましては、ただいまの提案理由説明でおもな点は大体尽きているわけでございますが、簡潔にさらに内容につきまして御説明を申し上げます。お手元にお配りいたしました資料の中の五番というところに、新旧条文対照表がございますので、これをござらんになっていただけば仕合せだと存じます。  改正の第一点は、これが最も重要な改正でございますが、毒物の中で毒性の特に強烈な特定毒物につきまして、これを特定毒物という概念を一つ設けまして、それに必要な規制を加えたことでございます。この特定毒物に関する規制内容が五つに分れるわけでございますが、その一つといたしましては、第二条に第一項を加えまして特定毒物定義を設けたことでございます。現行の第二条では、毒物及び劇物定義いたしまして、別表第一に掲げる物であって医薬品以外のものを毒物といい、別表第二に掲げる物であって、医薬品以外のものを劇物ということにしておりますが、毒物毒性の特に強烈なものを特定毒物といたしまして、第三項を起し、別表第三を新たに設けて、これに列挙いたしたわけでございます。この条文の最後のところに、別表第三というのがございますので、ごらんをいただきますと、別表第三の一の、四エチール鉛と二のモノフルオール酢酸は、現行法の第十六条第一項に掲示されておりまして、前者はオクタン価を高めるためにガソリンに混入されるものでございます。後者は野鼠の駆除のえさに混入して使うものでございます。別表第三の三号から六号までは、これは現行法の第十六条第一項の規定に基きまして、政令で指定をいたしておる毒物でございます。第三号及び第四号が先ほど申し上げましたパラチオン及びメチル・パラチオンと称されているものでございまして、主として稲の二化メイ虫駆除に用いられるものでございます。第五号と第六号は現在は使用されておりませんが、ムリタン及びカストリックスと称しまして、野ネズミを殺す目的使用されるものでございます。それから第七号に掲げておりまするオクタメチルピロホスホルアミドというむずかしい名前でございますが、これはパラチオンと同じく有機燐製剤の一種でございまして、現行法ではまだ毒物として指定されておりません。従って現行法の第十六条第一項で取扱いに特別の規制を受ける毒物に指定されておらぬのでございますが、最近その使用が望まれているので、新たに掲げることにしたものでございます。この製剤が先ほど私がちょっと申し上げましたペストックス3の商品名で知られております。柑橘類のダニの駆除に用いられるものでございます。なお八号を掲げましたゆえんは、毒物というものは科学の進歩とともに新しいものが出てくるのは当然でございますので、八号を設けましてそのような事態に応ずる用意をいたしたわけでございます。  以上が、特定毒物定義関連いたしました規定でございまするが、特定毒物関連いたしまする問題の二番目といたしましては、三条の二を新たに起しまして、特定毒物につきましては毒物劇物営業者等一定資格のある者以外の者に対しまして、その製造輸入使用譲渡、譲り受け、所持等をすべて禁止したのでございます。現行法の第三条では、毒物または劇物製造業輸入業または販売業登録を受けた者でなければ、毒物または劇物販売授与目的製造したり輸入したりまたは販売授与することは禁止しておりますが、これ以外のものが単に販売授与目的でなしに、製造したり輸入したりまたは譲渡をすることにつきましては、別に禁止されておりません。しかし特定毒物につきましては、その毒性が特別に強烈な点にかんがみまして、販売授与目的とするといなとを問わず、この第三条の二によりまして、およそ製造輸入使用譲渡、譲り受け、所持等について、一定資格のある者以外の者に対して禁止することにいたしました次第でございます。  第三条の二の特別のものだけにつきましては、この禁止の解除をいたしたのでございます。それで第三条の二の条文には十一項まで規定がこまかくございますが、第一項は製造禁止規定でございまして、毒物または劇物製造業登録を受けている者と、特定毒物研究者すなわち学術研究のため特定毒物製造し、もしくは使用することができる者として、厚生大臣許可を受けた者でございますが、この特定毒物研究者以外の者の製造を全面的に禁止いたしておるのでございます。  第二項は、輸入についての禁止規定でございまして、そこに掲げてありまする以外の者の輸入を全面的に禁止をいたしておるわけでございます。  第三項から第五項までは、使用に関する禁止規定でございまして、そこに掲げてありまする者が、そこに掲げてあるような目的使用する場合のみを許している、こういう筋合いでございます。  第六項から第九項までは、特定毒物譲渡、譲り受けに関する規制でございまして、これもその条文をお読みいただきますればわかりまするように、そこに掲げてあります者が、かような場合にだけ譲渡、譲り受けができるという規制を加えたものでございます。それから第十項は、これは所持禁止規定でございます。かような場合にのみ所持してもよろしいという規定でございます。かような場合以外は所持してはならないという規定でございます。  それから第十一項は、特定毒物使用者について、使用することができる特定毒物以外の特定毒物を譲り受けることを禁止したほか、その所持もできないことにしておる規定でございます。  以上、この第三条の二の規定に違反した者に対しましては、第二十四条の罰則規定によりまして、三年以下の懲役もしくは五万円以下の罰金に処しまたはこれを併科するということに相なっておるわけでございます。  以上が特定毒物に関しまする禁止行為内容でございますが、特定毒物につきまして改正されました第三番目の点は、第十六条をお開きをいただきますと、ここにあるわけでございますが、取扱い等基準を第十六条によって定めたものでございます。現行法の第十六条に、そこにごらんになりますような規定がございまして、今日では改正法特定毒物と指定されるような特に毒性の強いものは、すべてこの現行法の第十六条によってこれが規制されておるわけでございますが、この現行法の第十六条の中で、ただいま申し上げましたようなわけ合いで、三条の二の方で規定された内容のものもございますし、なお現行法の第十六条におきましては、毒物が付着したりあるいは毒物を包含しているものにつきましての規制ということが明確でございませんので、それを明確にいたしましたり、以上のような条文の整備を加えたわけでございます。  次は、特定毒物につきましての改正の四番目の点でございますが、六条の二におきまして、特定毒物研究者許可のことの規定を新設いたした次第でございます。  それから特定毒物改正の第五点でございますが、二十一条におきまして、登録が失効した場合等の措置規定改正いたした次第でございます。  以上申し上げました五点が、特定毒物関連をいたします改正要点でございまして、この特定毒物関連をいたします規制が、改正の第一番目の重要な点でございます。そのほか改正要点といたしましては、第五条におきまして、毒物劇物営業登録基準を改めましたり、それから第八条におきまして、事業管理人資格についての規定を改めましたり、第十五条の二におきまして、廃棄方法について規定を新設いたしましたり、あるいは第二十条におきまして、聴聞についての関連する規定改正をいたしましたり、あるいは二十二条の二項におきまして、業務毒物または劇物を取り扱う者が、毒物または劇物貯蔵等に関する規定に違反したときは、相当の期間を定めて措置命令を出すことができるというふうな規定を新設いたしましたり、それから罰則を整備いたしましたりしたような改正点がございますが、これらはいずれも、申し上げてみますれば、やや技術的な改正の点でございまして、特に詳しく御説明をする必要はないかと存じます。  なお、そのほかに経過規定といたしまして、改正法は公布の日から起算して五十日を経過した日から施行するというふうに、施行期日に余裕を設けておりますが、これは現行法のもとにおいて、合法的に毒物所持している者が、改正法によりまして特定毒物所持することができない者になる場合に、施行期日をおくらせることによりまして、適当に処分させることができるよう考慮したことが最大理由でございます。なおこのほか、この法律施行準備期間を若干必要とする、すなわち政令整理改廃というようなことが必要になりますために、かような猶予期間を設けたわけでございます。なお、やはり附則の第三項でございますが、この法律施行前にした違反行為に対する罰則の適用についての経過規定を設けた次第でございます。  以上、ごく要点だけを簡潔に申し上げました。おわかりにくかったかと拝察いたしますが、不明な点は、御質問を得ましてお答えを申し上げたいと存じます。
  6. 中村三之丞

    中村委員長 本案につきましての質疑は、次会以後に譲ることといたします。     —————————————
  7. 中村三之丞

    中村委員長 駐留軍関係労務に関する件につきまして、発言の通告がございます。順次これを許します。亀山孝一君。
  8. 亀山孝一

    亀山委員 私は駐留軍要員健康保険組合料率変更に関する問題で、御質問を申し上げたいと存じます。この組合は、おわかりのように、全国七百の軍事基地及び施設に勤務しております日本人労務者健康保険組合でございまして、現在十六万五千名を擁しておりまする最大健康保険組合であります。ところが、昨二十九年度におきまして、健康保険全部の赤字欠損状態と同じような事情によりまして、この組合も著しい欠損を生じ、これが運営につきまして、非常に支障を来たして参ったのでございます。そこでこの組合は、先般協議をいたしまして、従来の料率であります千分の五十を千分の五十八に引き上げることに相なりまして、これを本年三月八日に厚生当局申請したのでございます。ところが、いまだにこれが認可がございません。伺うところによりますと、厚生当局より、調達庁を通じて米軍の方へ、いろいろと折衝をしておられると伺うのでございますが、この折衝経過並びに調達庁の今後の見通しを、この際お伺いしたいと思うのでございます。
  9. 海老塚政治

    海老塚政府委員 ただいま御質問のありました駐留軍要員健康保険組合料率引き上げにつきましては、御発言の通り、本年三月初め総会におきまして、従来の千分の五十の保険料率を千分の五十八に引き上げることを決議いたしまして、目下厚生省認可申請中でございます。これにつきまする事業主といたしまして、アメリカ側との折衝の過程はどうであるかという御質問でございますが、本件につきましては、実は昨年末当時より、この問題につきましてアメリカ側考え方を打診いたしているのでございますが、アメリカ側といたしましては、駐留軍要員健康保険組合料率の引き上げ問題につきましては、アメリカ軍駐留軍要員健康保険組合経営に何らかの形で参加すること及び何らかの形で駐留軍要員健康保険組合業務監督をいたすことを日本政府と共同してやるようにし、その上で保険料率引き上げ問題を検討いたしたい。それまでは料率引き上げは考慮することはできないという態度を持っているのでございます。昨年末以来、調達庁厚生省とも協議の上、アメリカ側に、この問題につきまして再三折衝いたしたのでございますが、実は一昨年の秋、労務基本契約の改訂の問題がございまして、その際にも、だいぶ前の話でございますが、健康保険組合に対するアメリカ軍参加の問題が議題に上りまして、まだ発効にはなっておりませんが、労務基本契約案には、アメリカ軍日本政府と共同して健康保険組合経営監督参加するという条項が入っているのでございます。調達庁といたしましては、事業主といたしまして、厚生省とこの問題につき協議いたしました結果、アメリカ側に、それならばどういう形でアメリカ軍組合に対する参加ということを実現するかということを協議いたすことにいたしておりますが、この問題につきまして、彼我若干意見の食い違いがありますために、現在日米合同委員会を通じまして、意見の調整をはかっておるという段階になっております。
  10. 亀山孝一

    亀山委員 ただいまの御説明で、ほぼわかりましたが、今の日米合同委員会を通じていろいろ交渉しておいでになるということでありますが、それにしても、大体のお見通しはどういうものか、そのきまるまでの間、一体どういうようになさるつもりか、その点をちょっとお尋ねいたしたい。
  11. 海老塚政治

    海老塚政府委員 実はこの日米合同委員会の現在の段階におきましては、アメリカ側日本側との問題になっております点は、日米合同委員会健康保険に関しまするサブ・コミティを作る、そのサブ・コミティにおきまして、どういう形でアメリカ軍参加するかということを協議する、この二つの点。繰り返して申しますと、サブ・コミティを作る点、それからサブ・コミティでどういう問題について討議するかということが問題の中心点になっております。実は五月九日付のアメリカ側からの日米合同委員会に対する書簡によりますと、至急にこの合同委員会で、ただいまの問題について意見の調節をはかりたいということを申しております。また、もし日米合同委員会においてサブ・コミティ設立するということがきまった場合には、かくかくの者をアメリカ側委員として任命いたしたい、こういうことを申し入れてきております。日本側からは、だいぶ以前に日米合同委員会に対しまして、日本側の考えておりますサブ・コミティの性質その他につきまして、また委員の氏名につきまして、日米合同委員会に連絡するよう外務省から通知してあるのでございますが、非常に近い日米合同委員会におきまして、このサブ・コミティ設立及びサブ・コミティ任務等につきまして、話が行われるということになっていると考えられている次第であります。
  12. 亀山孝一

    亀山委員 サブ・コミティの問題は了承いたしましたが、ただ、今申し上げたことにお答えがないのは、その見通しの問題です。大体いつごろまでにそういうお話が妥結するのか。そしてそれまでの間は、この料率問題及び駐留軍要員健康保険組合運営はどういうようにお考えになっておるか、その点を一つお伺いいたしたいと思います。
  13. 海老塚政治

    海老塚政府委員 サブ・コミティ設立につきまする日米合同委員会の問題につきましては、当方といたしましては、できるだけ早くこのサブ・コミティで問題の解決をするようにいたしたいという意図のもとに、厚生省とも外務省とも連絡をとりまして、また直接福島長官から先方の担当者でありますゲーノーという参謀次長にこのサブ・コミティ話し合い促進方を、つい最近において努めているのでございます。私どもといしたしましては、一日も早くこのサブ・コミティの問題が解決するように取り進めていきたいというふうに考えております。  なお、この問題が解決いたしまする間の組合財政その他につきましては、あるいは厚生省の方から御説明があることかとも思うのでございますが、ただいまのところ四月から六月まで暫定予算という形で、厚生省の御認可をいただきまして、組合の実際の業務を実施いたしていくという状態になっております。
  14. 亀山孝一

    亀山委員 久下保険局長がお見えになっておりますから、保険局長にお伺いしたいと思うのでございますが、今の日米合同委員会、特にサブ・コミティができ上ってから——なるべく早くこれが折衝を開始して妥結を急がれるといたしましても、それまでの間は相当の期間を要するものと思うのでありますが、それまでの駐留軍要員健康保険組合を、どういうように運営しておいきになるおつもりであるか。またこの方面の方のお話によりますと、法の三十七条を適用して行政命令云々ということも耳にしておりますが、その点のところを一つお尋ねしたいと思います。
  15. 久下勝次

    久下政府委員 まず組合財政状況を簡単に申し上げますと、昭和二十九年度の純計におきまして、収入不足は約二億三千万円、これは収入総額二十億四千万円、支出すべき額二十一億八千万円、それに法定準備金九千万円というようなものの差引計算でございます。約二十億の財政に対しまして、二億三千万円の収入不足があるのでございます。これを支払い未済額の点から見ますと、昭和二十九年の決算時におきましては、約三億四千万円の赤字財政であるのでございます。そのために先ほどお話のありましたように、千分の五十の保険料率を千分の五十八にいたしまして、その八は千分の四ずつの労使折半負担という原則に従ってやる、それで財政を建てようというのが、健康保険組合考え方でございまして、その線に沿いまして私の方に認可申請が出ておるのであります。しかしながら、実は駐留軍要員健康保険組合は、申すまでもなく他の健康保険組合と変った点がございまして、法律上の事業主日本政府になっておるのであります。しかしながら事業主として最も重要な義務でありまするところの保険料負担につきましては、米軍が出すことになっております関係上、この保険料率引き上げの千分の四につきまして、アメリカ側の承認を得られませんと、認可をいたしましても、結局料率引き上げは実行できないということになるわけであります。さような関係上、調達庁とも打ち合せまして、話し合いがつくまで認可を差し控えておるような次第であります。ちょっとよけいなことを申し上げましたけれども、そういういきさつでございます。そこで、最初に申し上げましたように、現状の保険料率のままでは、三十年度はさらに大幅な赤字が予測されまして、健康保険組合財政は危機に当面をいたしておるようなわけでありますので、私どもとしても、このままいつまでも放置しておくわけには参らないと考えておる次第であります。何とか調達庁の方とも話し合いをし、一緒になって米軍とも折衝をいたしましてこの問題の解決を一刻も早くやるべきであると思っております。その間の措置といたしましては、やむを得ませんので、現行の千分の五十の保険料率の範囲内において便宜な措置をとるという考え方で、さしあたり今調達庁からお話のありましたように、四、五、六の三カ月分につきましては暫定予算を組み、その暫定予算期間内でも何とか解決するように、さらにそれが先に延びるようでありますれば、またおそらく引き続いて暫定予算ということになろうと思いますが、結局結論的には相当大幅な赤字でありますので、このままいつまでも放置しておくわけには参らぬと思います。最終的な問題は、まだ別にきめてはおりませんけれども、そうした組合財政の現状から考えまして、いつまでもほうっておくわけには参らない、何とか根本的な対策を考えなければならぬのじゃないかというふうに思っておる次第であります。
  16. 亀山孝一

    亀山委員 ただいまのお話で、大体は了承いたしましたが、組合の方からの御意見を聞きますと、今の五十と五十八の差である千分の八のうち千分の四が駐留軍負担というのでありますが、それを駐留軍が納得するまでの間、便法として一時政府が立てかえて、そうして健康保険組合運営に支障ないようにしてもらいたいというような希望が今労働委員会であるやに聞いておりますが、そういう問題について、当局はどういうふうにお考えでありますか。
  17. 海老塚政治

    海老塚政府委員 実は私の記憶に間違いなければ、千分の四を上げることによりまして事業主の被保険者側も同じでありますが、負担金額が増加いたしますのが、一億五千万円だったと思います。月に直しましても千数百万円の負担増になるわけでございまして、法律上の事業主といたしまして、まことに申しわけないのでございますが、実はこの問題につきましてアメリカ軍とのやり取りの文書の中に、アメリカ側は、日本政府がいかなる支出をしようとも、自分の方の承認がない限りその補償はしないとあり、本件につきましては、実は再三交渉いたしましたが、先方から文書できつく申し入れてあるのでございまして、金額も非常に多額に上りますし、そういうような事情もありますので事業主として保険組合の意向に沿うことができない状態になっている次第でございます。
  18. 亀山孝一

    亀山委員 大体御質問を申し上げまして、当局の苦衷はわかりますが、何しろ冒頭に申し上げましたように十六万五千を擁しております駐留軍要員健康保険の問題でございます。国会でこれを取り上げまして、非常な関心を持っているということを一つ念頭に置かれまして、なるべくすみやかにこれが適切なる解決を見まするように、格別の当局の御心配、ごあっせんを希望いたしまして私の質問は終ります。
  19. 中村三之丞

    中村委員長 関連質問を許します。小島徹三君。
  20. 小島徹三

    ○小島委員 今この問題で承わりますと、三億からの赤字が出ているということですが、一体調達庁は三億の赤字が出たことについて、どういうところに原因があるかということを、お調べになったことがありますか。
  21. 海老塚政治

    海老塚政府委員 実は昨年度この赤字問題につきまして、健康保険組合といたしまして、いかに収支の均衡を合せるようにするかということを、理事会、総会でいろいろ相談したのでございますが、赤字のおもな原因は、法五十五条によりまする被保険者の給付費、これが駐留軍労務者は異動が激しいということと、それから一般の労務者、一般の官公吏などの場合と違いまして、雇用主におきましてのアフター・ケアが少いという点から、一般の保険組合と違って相当の支出を余儀なくされるという点がおもな原因となっております。それから従来、基地の診療所その他の特別診療所等を、かなりかかえておりますので、それらの経費が相当の金額に上っております。こういう点が健康保険組合赤字になるおもな原因になっておるのでございます。さらにもう一つ、ほとんど毎年二万人ぐらいずつ被保険者の数が減じている。これが保険料収入の減少という大きな原因になっております。
  22. 小島徹三

    ○小島委員 組合管掌の健康保険は、相当黒字になっているのがあると思うのですが、これに限ってそんな大きな赤字が出るということについては、被保険者などの責任というよりは、むしろ国家なら国家、調達庁なら調達庁というものに責任があるのじゃないか。あるならあるで何か考えなければならぬと思うのですが、どうなんでしょう。あるいはよくある手で、健康保険組合赤字の大きな原因として、乱診であるとかいろんな点があるのですが、そういう点は全部調査済みになっているのですか。国家として責任を負わなければならぬものであるならば、国家は考えなければなりませんし、金額は相当大きなものですから、その点よく注意しておるのですか、どうでしょう。
  23. 海老塚政治

    海老塚政府委員 さらに、先ほどの問題についてつけ加えますと、御承知の通り、駐留軍労務者の健康保険組合保険料率は、現在千分の五十ということになっております。被保険者の数が多いということ、あるいは平均給与が一般に比べて高いということを考えてみましても、料率が他の健康保険組合に比較して必ずしも高過ぎるというような状態でないことは事実でございます。しかしまた一面御指摘がありました保険給付の乱用ということも考えられるのでございまして、この点は、昨年度におきましても当方から保険組合に乱給の防止というようなことにつきまして、いろいろと手を打っているのでございます。また先ほど申し上げましたが、実は基地診療所その他の診療所につきましても、やむを得ない最小限度にとどめるように、ある程度の診療所の整理も昨年度において行なった。こういうふうに保険料に合せまする緊縮ということも考えまして、いろいろ財政の立て直しをするように昨年度努力をいたした次第ですが、それでも現在の千分の五十ではとうていやっていけないというような事態になりまして、被保険者といたしましても、この保険料率の引き上げということにつきましては、必ずしも賛成するような筋合いのものでもなかったのでございますが、いろいろ努力をいたしても経費の節減をはかることはむずかしいという結論になりまして、昨年度最後の総会におきまして、料率引き上げをやるに至ったというような経過になっております。
  24. 小島徹三

    ○小島委員 それ以上承わることはございませんが、結局調達庁が一応雇い主という形になっておっても最後には米軍がやるということになれば、しょせんアメリカのことですから、非常に合理的なものでなければ納得しないと思うのですけれども、私は決して今までの健康保険組合のみならず、ほかの組合なんかの問題につきましても、ルーズだとは申しませんけれども、私どもが見ても、相当納得のいかないような乱診、乱給がある。勝手に金歯を入れて、それで健康保険組合の金を払わなければならないというようなことがあったとして、日本で考えたら、まあまあそんなことはと思われるようなことでも、私はアメリカ人の性質として、なかなかやかましいと思う。だから、そういう点について、非常に合理的なものを作って、そしてアメリカに話すという点を、私は考えてもらいたい。どうも今までの私たちの考え方から見ると、アメリカ人は非常に合理的にものを考えようとしておるのに、日本の方では、この辺は仕方がないだろうというような変な腹芸というか、あいまいな点で物事を解決しようとするから、事がややこしくなっておる。その点は、アメリカに払わなくちゃならないということになっておるのなら、納得できるだけの用意をして、そして一日も早く交渉して解決してもらいたい、これだけの希望を申し上げまして私の質問を終ります。
  25. 中村三之丞

    中村委員長 山花秀雄君。
  26. 山花秀雄

    ○山花委員 今、同僚委員の方から、いろいろ質問がございまして、大体わかった点もございますが、なお一、二重ねて質問をしたいと思います。  ただいま小島委員質問の際の政府委員から答弁の一節に、保険給付の乱用もある、いろいろ手を打っておる、こういうような御答弁がございましたが、具体的にその乱用があるという点を、もし明示できましたならば、御指示を願いたいと思います。
  27. 海老塚政治

    海老塚政府委員 ただいま具体的にどういう例があるということを、手元に資料の持ち合せがございませんが、目につきますのは、病院その他におきましてとかく乱診が行われるということを聞いておりますので、そういう点につきまして、適正な診療を行うようにいたしたいと考えている次第でございます。
  28. 山花秀雄

    ○山花委員 この問題は、健康保険組合としては、特に赤字が出ておる組合としては、基本的な問題だろうと思うのです。単に風説とかあるいは聞いたという程度では済まされない問題だと思いますので、ただいま具体的な資料がないと言われましたが、この次の委員会ででも、具体的に資料を一つ明示していただいてこの問題を議論していきたい、私はかように考えますので、次の委員会にそういう乱給、乱用の資料を提出してもらいたいと思います。それから、これは当然調達庁厚生省に関する問題でありますが、従来この組合がこのように赤字が出るようになった点につきまして、今日まで監督官庁としては、どういうような積極的御指導をなさったかという点を、一つお聞かせ願いたいと思います。
  29. 久下勝次

    久下政府委員 率直に申し上げまして、駐留軍要員健康保険組合は、過去におきましては、かなり組合経費の問題があったことは事実でございます。これらの点につきましては、現在の理事者になりましてから、こちらとも協力をいたしまして、私どもとしては、いろいろな面において経費の節減なりあるいは運営の合理化というようなことについて具体的に指示をし、着々成果を上げてきておると考えておる次第であります。具体的に申しますと、組合会議員及び理事の定数が、過去においては非常にたくさんありました。このために、一回の会議を開きますために非常な費用がかかっておったのでございます。そこで、必要な限度にこの議員の定数を減員するように指示をいたしまして、これもすでに実現を見ておる次第でございます。それから事務機構におきましても、私ども見まして、かなりむだがあったように考えましたので、事務機構の縮小も指示いたしております。そのほか、それに伴いまして、当然職員定員の減員も指示をいたしたような次第であります。また直営の医療機関を持っておりますが、これもしさいに検討をいたしますと、非情に大きな設備が、比較的少い人員のために用意されておるという点もありましたので、そういう点につきましては、合理的に医療機関の規模の縮小をいたしたい、あるいは場合によっては廃止をさせたいというようなことも指示をいたしたような次第であります。こういうようなことが、私ども今日まで具体的に指示をしたおもな問題でございます。もちろんこれをもってまだ十分と申すわけには参らぬと思いますけれども、現在の理事者の努力も相伴いまして、その他、たとえば、従来は組合会議を開きます際には、全国適当にあっちでやったり、こっちでやったりというような費用のかかるやり方をしておりましたが、今日ではもうすべて東京だけで会議を開いて、なるべくそういう経費を節減するというようなことも、現実的には行われておるような次第でございまして、私どもとしては、そういうふうな観点から監督官庁として見ておりまして、少くとも過去に比較して隔世の感があるというふうに思っておる次第でございます。
  30. 山花秀雄

    ○山花委員 基地内の診療施設について、いろいろ御意見がございました。これは費用がかさむような意見のようにも受け取れましたが、大体基地内に診療施設を置くということは、アメリカ軍当局の強い意向であるというようなことを承わっておりますが、この点はどうなんでしょうか。
  31. 海老塚政治

    海老塚政府委員 基地診療所設置の当時におきましては、アメリカ軍からも強い要望がございまして、設立を見るに至ったということを聞いております。
  32. 山花秀雄

    ○山花委員 ただいまその基地内に診療所施設を設置したことが、大体費用がかさむ原因の一つにも説明されておるのでありますが、当初にアメリカ軍当局からそういう意向が強く言われたので、そういう傾向が非常に多く広がってきたという、それが一つ赤字の原因にもなっておるというように拝察されるのですが、そういうような点で、今度の料率引き上げ一つの原因の責任が、遠回しに申し上げますと、やはりアメリカ軍の方にも若干あるのじゃなかろうか、こう考えております。この点は交渉の過程で——日米合同委員会という交渉は、いつも長くなるので、その結末が出てからということになりますと、今の健康保険組合財政は破綻するのではないかと思います。今の健康保険組合財政状態で、現状のままで妥結する時期まで保てるかどうか、この間の見通しを、監督官庁としてはどうお考えになっておりますか。
  33. 久下勝次

    久下政府委員 お尋ねをはずれますが、私ども見ております点を簡単に申し上げます。先ほど海老塚労務部長からお答えのありましたように、健康保険組合財政困難の一番大きなものは、健康保険法五十五条による継続給付の問題でございます。これは駐留軍要員の労務の特殊性から参るのでありまして、被保険者資格をなくしましてから法定の期間給付を受けます者が、非常に多数に上っておりまして、これは他の健康保険組合には全然見られない状況でございます。これが財政負担の最も大きな問題であり、またこれが赤字の原因になっておると思われるのでございますが、この点が、実はそういう労務の特殊性からくるものでありまして、私どもとしては、いかんともいたし方がないものと思っておる次第でございます。この点、よけいなことでございますが、つけ加えておきます。  そこで、お話のように、このまま放置して話がつかないままにしておきますと、結果的には、料率を千分の五十のまま据え置くことにしますと、五十八に上げました場合との差額が昭和三十年度につきまして約二億七千万円でございます。この二億七千万円というものは、先ほどは二十九年度の実績から見ました収支の関係を申し上げたのでありまして、二億三千万円の収入不足ということを申し上げましたが、それに見合う金でございまして、それに若干の余裕がございますけれども、これだけは実は完全に支払い不能の状態になっておるわけでございます。そこで、現状のまま推移いたしましてもこういうことになりまして、さらに労務者がだんだん減っていく傾向がありますので、赤字傾向はおそらく年とともにもっとひどくなるのではないかと思っておる次第であります。従いまして、今日の状態におきましては、料率引き上げをいたします以外には、私どもとして考え得る措置としては、こういう大幅な金を生み出す方法はございません。とりあえず暫定的に措置はいたしますけれども、結局千分の五十の範囲内でできるだけのことをしていくということでありますから、結果におきまして、その赤字の部分だけ支払い不能の形、あるいは遅延の形で将来に持ち越される格好になっていくわけでございます。それは先ほど他の委員の方の御質問お答え申し上げたように、私どもこの問題につきましては、何とか一刻も早く妥結をするように、米軍当局の理解を得るように努める所存でございます。
  34. 山花秀雄

    ○山花委員 赤字の原因が、ただいま指摘されましたように、他の健康保険組合に見られないようないわゆる解雇された後の給付という問題がこの組合に限って多くある。そこまで論じていきますと、結局労務基本契約あるいは日米行政協定等々の国内法適用でない不当解雇ということが、この組合に限ってたくさんございますので、そういう傾向が生まれてくると思いますが、こういうことが一応はっきりわかっております監督官庁としては、この問題に関して、保険経済上の適切なる指導、あるいはまた特別に何か留意をするような点があったかどうかという点をお聞かせ願いたい。
  35. 久下勝次

    久下政府委員 先ほど、今まで指示をいたしました問題のおもな点につきましては、御説明を申し上げたのでありますが、実は組合運営につきましては、かなりこまかい指示を毎年いたしております。特に昨年あたりは、広範にわたって相当強い指示もいたしておりますが、ただいま手元にこれを持ってきておりませんので、後ほどその写しでも作りましてお手元に差し上げたいと思います。おもな点は先ほど御説明申し上げたような点であります。
  36. 山花秀雄

    ○山花委員 ただいま政府委員説明を聞いておりますと、結局は一日も早く解決しなければこの問題が解決できない。米軍当局の認可のない限り、組合赤字はますます増大をしていく。そこで、大体いつごろというめどは、他の委員からもお聞きになりましたが、なるべく早くというこちら側の希望的観測だけお答えになったので、結局はどうにもこうにもやっていけないような状態が続くのではないかと思います。そういう場合に、たとえば日本側として立てかえ払いのような形をしても、アメリカ側では、そういうものは話がきまるまで一銭も払わないというような意向が強いというお話でありますが、しかし、これはもうすぐ解決する問題じゃございませんので、やはり国庫負担というようなことで、一応問題になり得ると思いますが、そういう便法を政府当局で万一の場合にはやり得る決意があるのでしょうか、どうでしょうか、これを一つお聞かせ願いたい。
  37. 海老塚政治

    海老塚政府委員 先ほども亀山委員に対する御答弁の中で申し上げたのでございますが、現在のところ、財政的にも、もし厚生省認可が非常に遅くなる、あるいは厚生省の方で認可をするというような場合に立てかえて払うことができるかどうかという問題は、現在のところ困難であるというふうに考えております。
  38. 山花秀雄

    ○山花委員 日米間の話が早く終らずにずっと期間が長くなりますと、また立てかえ払いが非常に困難だということになりますと、自然にこの組合財政的破綻を来たして解散というような結果になろうと思いますが、その場合にこれを政府管掌に切りかえて運営をするつもりなのかどうか、お聞かせ願いたい。
  39. 久下勝次

    久下政府委員 私どもといたしましては、まだそういう段階のことまで決定的に考えておるわけではございませんけれども、しかし仮定をおいて、もしも財政的に行き詰まって組合員がどうにもできないようになったらということでありますれば、当然これは政府管掌の健康保険に移行していかざるを得ないと思っております。
  40. 山花秀雄

    ○山花委員 駐留軍労務者の労務管理費、これは保康保険負担金等も含んで一人当り一カ月四千六百二十九円と決定されていると聞いておるのですが、このワクの変更はないのですか、できるものでしょうか。
  41. 海老塚政治

    海老塚政府委員 これは協約にもあります通り、労災保険その他と同様に、アメリカ側協議の上価格の調整を行うことができるということになっておりまして、それに基いて、先ほど来申し上げております対軍折衝を実施いたしておる次第であります。
  42. 山花秀雄

    ○山花委員 大体の当局側の意向もよくわかりました。組合側の財政破綻に近づきつつあるという状況もよくわかりました。最悪の場合には、これは一つの仮定論になって参りますが、政府管掌もやむを得ないという一応の政府当局の決意もわかりました。しかしながら、この問題は、政府管掌にしてすべてが解決したということは、あまり指導が適切でなく、策を得ないものだと私どもは考えておりますので、一つうんと努力を払って、一日も早く軍当局の了解を得るように御尽力を願いたいと思います。また先ほど乱給に関する適切なる資料を提供してもらいたいと要求いたしましたが、一応具体的な事例を次の委員会までに御提出を願うことにいたしまして、私の質問を終ります。
  43. 中村三之丞

    中村委員長 多賀谷真稔君より質疑の通告がございますが、本人がおいでになりませんから次会に譲ります。
  44. 滝井義高

    ○滝井委員 関連して。健康保険法五十五条によって、駐留軍労務者の継続給付が非常に多いことが、赤字一つの大きな原因になっておるということでございますが、この継続期間の多い疾病は何ですか。
  45. 海老塚政治

    海老塚政府委員 呼吸器関係のものでございます。
  46. 滝井義高

    ○滝井委員 他の健康保険組合に見られない程度に、駐留軍労務関係者に結核の発病率が高いということは、これはやはりその労務自体に非常な無理があるのか、あるいは何かそこに具体的な理由がなければ、駐留軍労務者だけが他の健康保険組合より継続給付が多いという具体的な原因は、私は出てこないと思うのです。何か労務管理の上に非常に無理がありまして、労働の強化が行われておるとか、何かそういう具体的なものがなければ、同じ日本の環境の中で、駐留軍労務者だけに結核が多いということは出てこないと思うのです。その点、なぜ結核が多いのか、明白にしてもらいたい。
  47. 海老塚政治

    海老塚政府委員 呼吸器関係の者の解雇後の療養に支出がかさむということは、駐留軍の労務者の平均罹病率が、他の産業部門に比べて高いというのではございませんで、解雇者が、駐留軍労務の特殊性と申しますか、ということのために非常い多いということと、それから他の事業主の場合は、事業主自体がある期間療養の給付をやるということと、この両方の関係でございまして、労働強化その他による呼吸器の疾患が駐留軍労務者に多いのとは違うというふうに考えております。
  48. 滝井義高

    ○滝井委員 どうもはっきりしないのですが、駐留軍労務者は非常に異動が多いということが一つと、特殊性が多いということは、異動が多いとかいうことなんですが、他の健康保険組合でも、事業主は給付は決してやらぬのであって、保険組合が給付をやるのです。ただその事業主が診療機関を持っておるかどうかという点については、ある程度の違いがあると思うのですが、これは駐留軍労務者の厚生施設としても、それぞれその基地の中に診療所なんか持ってやっているわけです。こういう点は違わないと思うのですが、違わなくて特に継続給付というものが大きく、赤字の原因として出されるということ、しかもその継続給付が主として結核である、こういうことになると、これはもう少し具体的に御説明願いたいのであります。
  49. 海老塚政治

    海老塚政府委員 言葉が足りませんで……。先ほどの事業主が給付をするというのは、事業主経営いたします病院におきまして、事業主の負担において保険組合とは別に療養をさせるという意味でございます。その点訂正いたしておきます。
  50. 滝井義高

    ○滝井委員 保険局長に尋ねますが、ほかの事業場で、健康保険組合を作っているところで、事業主が別に結核の療養費を出している、今のデフレ下で経営が苦しいときに、そんな経営者というのは、私はちょっと寡聞にして聞かないのですが、そういうところがたくさんありますか。
  51. 久下勝次

    久下政府委員 お尋ねの問題は、私はむしろ否定的であるというお答えをする以外にないと思います。私が特に継続給付の問題を申し上げましたのは、おそらくそれは海老塚労務部長もその趣旨で言っているのだろうと思いますが、他の健康保険組合、他の国内事業所におきましては、病気になりましてすぐに解雇されないで、若干身分がつながるわけであります。そうしますと、当然保険料の収入もある。健康保険財政の上から、保険給付は行われますけれども、身分が続く限りにおきましては、若干収入が伴っておるところが駐留軍労務者が病気になると、解雇される率が高い、それが駐留軍労務の特色だと私は思う。そういたしますと、差し引き給付の方はどんどん行われますけれども、解雇が多いために収入が伴わない、従って支出の面におきまして、それが大きな比重になって現われる、こういう原因でありまして、必ずしも駐留軍労務者だけが結核の罹病率が高いということによるものではないと思っておる次第であります。
  52. 滝井義高

    ○滝井委員 大体それでわかりました。もう一つ駐留軍労務者の法律上の事業主日本政府である、それから保険料の負担は米軍が出すことになっておる、こういう御説明でありましたが、そうすると、これは防衛支出金の中の、行政協定でいう合衆国軍の交付金ですね、一億五千五百万ドル日本がアメリカにやることになっておる、今年は一億六百万ドルに減っておるのですが、あの米軍交付金の中からこの保険料は出てくるものですか、それとも米軍自身がみずからの金を出してくるものですか。
  53. 海老塚政治

    海老塚政府委員 先ほど山花委員から御質問がありましたように、労務者一人当り管理費として四千六百二十九円米軍から支払われているわけでございまして、その金は防衛分担金の方から米軍が支出するというふうになっております。     —————————————
  54. 中村三之丞

    中村委員長 それでは次に、つき添い看護婦の問題につきまして発言の通告がございます。これを許します。大橋武夫君。
  55. 大橋武夫

    ○大橋(武)委員 私の伺いたい点は、昭和三十年度の予算におきまして、国立結核療養所に、新しく看護婦の助手というような制度が設けられることになったそうでございますが、そうした助手が設けられることに関連いたしまして、従来患者についておりましたつき添い人が失職するような心配があるのではないかというので、当事者の間にだいぶ心配があるようでございます。この問題について、御方針をまず承わりたいと思います。
  56. 曾田長宗

    ○曾田政府委員 お話の点は、私どもの療養所におきまして、ただいま御指摘のありました二千二百七十名だと承知しておりますが、これだけの常勤労務者を雇用いたします予算が組んであるのであります。もっとも、これは昭和三十年度の第四・四半期の三カ月分だけ組んであるのでありますが、そのためにこの療養所の職員が、これだけ採用になりますと、今までつき添い婦として患者についておった者が、失職しはしないかという御質問だと考えるのであります。つきましては、まず、ただいまついておりますつき添い婦というものは、別に定員があるとかなんとかいうものではございませんので、一年のうちでも、忙しい時にはついてもらいますし、用のない時にはやめてもらうというようなことでもって、非常に浮動いたしておるものなのであります。そういうような関係で、何人そのために失職するかというようなことを数でもって出すことは、非常にむずかしいのであります。ただちょっと資料が古いのでありますけれども、昨年の七月に調べました数字で見ますと、特に社会保険あるいは生活保護の関係でついておりますつき添い婦は、おおむね三千百人か二百人くらいの数字であったのであります。そういたしますと、そこに一千人足らずの食い違いがあって、それだけを比べますと、失職しはしないかということで、このつき添い婦の人たち自身は、自分がちょうどそれにぶつかりはしないかという心配を持っておられるんじゃないかと思うのであります。これは、今申し上げましたように、実は必ずしもコンスタントのものでございませんで大体一カ月ごとの雇用になっておるわけでありますが、それでもって更新される人もあり、交代する人もあるというようなことで、今日でも動いておるわけです。ただ、計算していきますと、そういうようなことで失職するんじゃないかという心配が出てくるのですが、今の二千三百人ばかりの分と、それからそのほかに、実は昨年度の増床分が約五百人くらいある、それから今年の増床分千床に対する人員としまして、これが二百人足らずになっております。こういうように、もちろんこれはつき添い婦ばかりではないのでありますけれども、増員を考えていきますと、この隔たりというものは、非常に小さくなってくるのではないかというふうに思っておるわけであります。ただ、実際問題といたしましては、私ども療養所で雇用いたしますものとしては、できるだけ患者の看護、つき添いに当りまして、最も親切に、それからまた最も患者に喜ばれるようなサービスのできる人を採用いたしたいというのが筋であります。しかし今までつき添い婦の本質は、今申し上げたように非常に浮動的なものでありますけれども、実態として長い間引き続き次から次へと患者がかわっても、その療養所で長く仕事をしておったというような人でありますれば、こういう人たちが失職することは、御本人も困りましょうし、また病院としても、なれた人にやはりついていてもらいたいのでありますから、かような人たちはできるだけ今度の増員になりました分として採用いたして、引き続き仕事を続けてもらいたいというふうに考えておるわけであります。しかし、その中で、今のようにどうも病院に長くおることは本人も好まぬとか、あるいは必ずしも適当でないというような人たちに対しましては、まだ余裕もあることでございますので、その予算が決定いたしますれば、その間にいろいろ他の施設のあっせんとか、あるいは転職とかいうことにつきまして、いろいろ関係機関と連絡をとりながら、できるだけ善処して参りたいというふうに考えておる次第であります。
  57. 大橋武夫

    ○大橋(武)委員 そういたしますと、この助手の制度ができますと、今までのつき添い人の制度はやめる、こういう前提でお考えになっておられましょうか。
  58. 曾田長宗

    ○曾田政府委員 つき添いの制度と今回の雑仕婦の増員とは、筋から参りますれば関係のないことであります。御承知のように、これは私の答弁するところかどうかわかりませんが、生活保護の方といたしましては、このつき添い婦をつけなければ患者の診療あるいは療養に事を欠くというような場合には、医師の診断によりまして、つき添い婦をつけ、そうしてその経費は公費で負担するというような道になっております。この制度にはいささかも抵触するものではないので、これは残るわけであります。ただ問題は、ただいまは国立の療養所だけであります。ほかの療養所は今まで通りで何も関係はないのでありますが、国立の療養所だけとして考えましたときに、これだけの人数がふえたためにつき添い婦は一切置かないということにつきましては、つき添い婦をやめるためにこれだけの人間を置いていただいたわけではないのであります。しかし人員がそろって参りますれば、つき添いの必要は逐次減少して参るであろうというふうには考えております。
  59. 中山マサ

    ○中山(マ)委員 関連して。雑仕婦というのと、いわゆるつき添い婦という仕事の違いは、どういうところにあるのでございましょうか。今のお話では、あえてつき添い婦を解除するわけではないのだというお話でございますけれども、私どもは毎日々々陳情を受けております。しかも、つき添い婦というのは、子供をかかえた未亡人たちが圧倒的に多いものでありますから、未亡人たちといたしましては、もう自分たちの年から考えても、ほかのところへ転職する見込みがない、相当な年の者が多いから、子供をかかえて路頭に迷わなければならぬというようなことになるという陳情が非常に激しいのでございまして、私も心配しております者の一人でございますが、そのお仕事の違いを、ここで一つ説明願います。
  60. 曾田長宗

    ○曾田政府委員 いろいろな考え方があり得ると思うのでありますけれども、私どもが療養所の中で必要といたしておりまするつき添い婦というものは、医者の診療に対しましていろいろの介補をいたし、またある程度看護婦の独立性といたしまして、患者の看護に当るその仕事の手伝いをいたすということが、むしろ一つの大きな仕事でございます。ところが、療養所におきましては、いろいろな設備の関係あるいは療養所自身の人員の関係というようなところから、入院いたしました患者に対して、ある程度の身の回りの世話と申しますか、食事で副食を必要とするとか、あるいは自分たちのはだ着類だとかいうようなものの洗たくをするとかいうようなことにつきまして、本来から申しますれば、さようなことのないように、病院として患者に一人一人というわけにはいかないとしても、なるべく患者の嗜好に合ったようないろいろな種類の食事献立をするとか、あるいは今申し上げたような洗たくとかいうようなものについては、患者が心配しなくてもいいような態勢を十分整えていくということが病院のある程度の責任で、せいぜいそこまででありますが、その辺のところが必要であるというふうに考えられるのであります。これが病院の手が足りませんと、病院の職員で十分できないというところから、外よりつき添い婦を入れておるというわけでありますが、すでに病院では、大体外からつき添い婦は入らないことを原則として今日やっております。療養所の方は今まで職員が足らなくて、患者の手当が十分できぬところから、つき添い婦が入っておったというような関係になっております。
  61. 大橋武夫

    ○大橋(武)委員 それで今の二千二百七十人増加すれば、これでもう病院の方では絶対につき添い人なしで看護ができるという前提でこれが出た数字でございましょうか。
  62. 曾田長宗

    ○曾田政府委員 この問題につきましては、いろいろ物的設備の問題というようなこと、それから診療及び特に看護組織の問題でございます。たとえば、重症の患者は重症の患者で一つ所になるべく集め、軽症の人たちは軽症の人たちで集めて、そうして自分たちでいろいろ身の回りのことをやれる者は自分でやっていくというような形に整えて参りますと、ただごっちゃにまぜておりますのに比べまして、非常に人員のむだを省くことができるというように考えられております。ただいまの態勢のままでもって、人数だけをただ変えたらどうかということになりますと、いろいろ困難が生ずるというふうに心配される向きもあるのでありますが、私どもとしては、今のように看護組織を整えていく、あるいは病棟のいろいろな設備、こういうようなものも整えて参るというようにいたして参ります。またただいまのところでは、つき添い婦として外から入っている方は、病院長あるいはそのほかの病院の職員としては監督権も何もないわけであります。それでこういうふうに勉強してもらいたいといったところで、もちろん話し合いはできましょうけれども、積極的にはどうしようもない。それに対しまして、一つの責任を施設長が持って、そして組織的に仕事をしていただくという看護チームの中に入ってもらいますと、相当仕事も能率が上り、また仕事を現実にやる方も、仕事がやりやすくなるであろうというふうに考えておりまして、私どもはいろいろ個々の具体的な施設に当てはめて、ただいま検討いたしておるのでありますが、私どもとしては、もちろんやってみなければわからぬわけでありますけれども、まずまずこれで今まで程度の看護というものは実施できるであろうというふうに考えておる次第でございます。
  63. 大橋武夫

    ○大橋(武)委員 昭和三十年度の大蔵省で査定された二千二百七十人というのは、これはあなたの方でいずれ予算を要求されて、それを大蔵省が査定したのだろうと思いますが、一体幾ら要求したところが二千二百七十人に査定になったのか。要求の人員は幾らでございましたか。
  64. 曾田長宗

    ○曾田政府委員 従来から療養所の看護定員等は不足がちでございます。それからまた療養所の診療内容が、いわゆる外科療法等がふえてきているというようなことで、手不足を職員の間からは訴えております。私ども、それにも理由があるというふうに考えているわけでありますが、一がいに多数の職員の増員というようなことも困難でありますので、ただいまのところでは、財政の事情というようなものもありましょうし、私ども最小限これだけは必要だという意味におきまして、ただいまの二千二百七十名を要求いたしました。これをさらに減員はできないかというような話は、大蔵省の方からかなりきつくございましたけれども、私どもとしては、これだけはぜひちょうだいいたしたいということで、私どもの要求を認めてもらった次第でございます。
  65. 大橋武夫

    ○大橋(武)委員 そうすると、これは当初の要求がそのまま通ったわけですね。
  66. 曾田長宗

    ○曾田政府委員 さようでございます。
  67. 大橋武夫

    ○大橋(武)委員 そこで、まず患者の側からいいますと、この二千二百七十人で、果して完全なる看護が保障されるかどうかという点は、非常に心配な問題だと思う。一つは、患者の立場からもそういった点が問題になるだろうと思いますが、今局長のお話を伺っておりますと、いろいろ御研究中で、何とかこれで完全にやるように努めてみたいというお話でございますが、私どもといたしましては、果してできるかできないか、多分できるだろうというような程度で、つき添い人は一切つけさせぬというような方針をきめてしまうというようなことでなく、実際やってみて、やはり手が足りない場合には、つき添い人の制度を活用することによって、できるだけ完全な看護をやっていただくということが、これが当然療養所としてお考えいただくべきことではなかろうかと思いますので、まだ実施の時期も大分先でございますから、十分にこの間に御研究をいただきたいと存ずる次第であります。これが一つ。  それから残りました問題は、失職者の措置でございます。これはつき添い人それ自体の資格といいますか、素養、そういう点で、どうしても今後採用するのはまずいというのは別でございますが、しかし、できるだけ現在のつき添い人から優先的に採用していきたいということを希望するとさっき言われましたが、この局長の御方針は、一つ最後まで明確に間違いなく守っていただきたいと思いますが、この点はいかがでございますか。
  68. 曾田長宗

    ○曾田政府委員 先ほど申し上げましたような方針で参るつもりでありますが、施設によりましては、よいつき添い婦、また今後雑仕婦として採用いたしますそういうような人たちをつけるのに困っているぐらいというようなところもございます。今までやっておりました人たちの中で、よくなれた人たちというような人々は、園の方も喜んで採用することと思っております。
  69. 大橋武夫

    ○大橋(武)委員 それから先ほど局長のお言葉の中に、数が始終変ってくる、それで的確に数を押えにくいのだ、しかし大体三千百人ぐらいということでございますが、これは大体作業の性質としまして、始終継続して従事する方もありましょうし、一カ月置きぐらいに来る人もありましょう。ですから、実際の今までつき添い婦として生活を立てていた員数は、三千百よりも相当上回ることはあっても、下回ることはおそらくないだろう。そういう点につきまして、一つ十分に御調査をいただきまして、さしあたって生活に困るというような者につきましては、なおつき添い制度を臨時的に認めるなり、そういうような方法で、十分に御考慮をいただきたいと思いますが、この点はいかがでありましょうか。
  70. 曾田長宗

    ○曾田政府委員 これも先ほど申し上げたのでありますが、このために失職をいたすというようなことになるべくならないように——先ほど申し上げたように非常に動いております。動いているということは、希望しているのだけれども、結局妙な言葉で、悪いかもしれませんけれども、日雇い労働者があぶれたときのような状況でいるのだという者も、若干はいるだろうと思います。しかし中には、特に療養所あたりは、都会地近郊のは少し事情が違うのでありますけれども、一般に少し大都会から離れたようなところにあるのが多いのでありまして、そういうようなところですと、大体うちでもって農業をやっておりながら、そういう療養所から求めがあった場合に出てくるという形の人たちもございますので、こういうような人たちは、要するに小づかい銭かせぎがなくなってくるというようなことで済むかもしれないのでありますが、そのような人たちもあります。しかし、中にはほんとうにほかに行きようがないのだという方もあります。それから一番困るのは年輩の方で、療養所といたしますれば、療養所の職員あるいは患者さんの立場からいいましても、ほんとうなら、療養所の職員としてなら、もう少し元気な人に世話してもらいたいというようなことを考えられる程度に年を取った人、こういうような方々の処理が一番困ると思うのであります。しかし、これも療養所長に私ども話し合って、いろいろ事情を聞き、またこちらの意向も伝えているのでありますが、決して年令というものに機械的にとらわれないようにというふうに申しておりました。年は取っておりましても、または若い者のように十分にからだは動かないとしても、それだけいろいろこまかい気づかいをしてくれる、また長い間療養所で仕事をしてなれておるという人は、年は取っておるけれども、そういう人たちには残っていてもらいたいという方もあるようでございます。そういうところに、あまり機械的な処置をとらないようにするということは、注意しております。
  71. 大橋武夫

    ○大橋(武)委員 大体伺いたいことはよくわかりましたが、これはつき添い人の側から言いますと、今までそれで自分が生活を立てておった、その制度が根本的に変って、今後はどうなるかわからない、いわばつき添い人個人から見ますと、革命にでも会ったような気持がするだろうと思うのです。そこで療養所の方のお取扱いとしましても、多年療養所のために生活を立てておったし、また療養所についていろいろともに協力してくれた人たちなのですから、そういう人たちの側の立場ということも一つお考えをいただきまして、単に療養所側から見て、これは不都合だとか、役に立たぬというような療養所の能率だけを考えることなく、多少療養所の看護能率というような点にマイナス的な面が出るにしても、とにかくこういう革命の際ですから、一応相手方をできるだけ広く新しい制度にスムーズに移行させていく、特に生活上の不安を与えないように注意するという点を、一つお考えいただきたいと思うのです。そしてそれがために、この二千二百七十名の予算だけで、うまく処理ができないという場合においては、並行的に従来のつき添い人の制度をもあわせてある期間存続させる、そういう方法によってでも、完全に救済するということを一つお考えいただきまして御処置を願いたい。これを最後に希望としてつけ加えまして、私の質問を終ります。
  72. 中村三之丞

    中村委員長 中山君の関連質問を許します。
  73. 中山マサ

    ○中山(マ)委員 ちょっと関連して。そうすると、この雑仕婦というのとつき添い婦というのは、同じことなんでございますね。
  74. 曾田長宗

    ○曾田政府委員 これはこまかく申しますと、非常にデリケートになるのでありますが、少し失礼いたしましてもう少しこまかく説明させていただきますと、まず第一は、はっきりとした看護婦であります。要するに、準看護婦も入りますが、これは医師の診療介補と患者の看護に当るということになっております。それから療養所におきましては、看護婦のほかに、雑仕婦というものがきわめてわずかにございます。病院は、雑仕婦というのが、大体病床二十五に対しまして一人の割合でついておりますが、療養所におきましてはこれがなかったのであります。全国で三百五人ですか、きわめてわずかの者がついておりましたが、これは病棟の雑仕婦ではなしに、いろいろ庭なり、あるいはそのほかの患者のおりませんところの掃除だけでも、これくらいの人数は要るわけで、全然病棟の雑仕婦というものはついておらなかったのであります。しかし私どもとしては、その病棟の雑仕婦というものが必要であるというふうに考えまして、療養所の看護の態勢としては、今の看護婦と雑仕婦というこの二本建でやっておるわけなのであります。従いまして、この雑仕婦は、普通に考えますと、お掃除をするというような仕事は、これは看護婦ではなしに雑仕婦がやることを筋とするというふうに見ておるわけであります。それ以外に、患者さんの身のまわりのことをいろいろ心配するということは、看護婦が全部やるというのが理想であります。ところが今日におきましては、看護婦の定員が足りない、定員が足りないだけではなしに、定員をふやしていただきましても、今でも一年に数千人ずつ増員いたして、今年あたりは一万人以上も看護婦ができておるのでありますが、なかなか追いつかないというような状況にあります。大体雑仕婦は、むしろお掃除というようなことが主でありますけれども、この雑仕婦に看護婦の手伝いもさせなければならぬというようなことになりまして、これは長期の教育を受けた看護婦の必要はないので、非常に短期な教育、あるいは正規の教育を受けなくとも、その方面に親切だとか、あるいは賢いとか、いろいろな看護補助者としての才能を持っております人たちを採用していく、つまり看護助手あるいは補助看護婦というような形のものが要るのではないか。外国にもそういう制度がございます、ナース・エイドと申しまして、正規の看護婦の補給が十分に足りないときに、かような制度を使っております。日本としてに、このナース・エイドというものを、ただいまのところは正規には認めておらないのでありまして、結局今日では雑仕婦という形で採用せざるを得ないということになるのであります。事実御承知かと思いますが、国立療養所におきましてちょうだいしております看護婦の定員を全部看護婦では埋め切っておらないのであります。その中の一割五分ぐらいかと思いますが、資格のない者を入れておる。いわゆるナース・エイドというか、ただいまの建前で行きますと、実は雑仕婦が占めておるという形になっております。こういうようなところが、制度としても欠陥であるわけであります。こういうようなことで、つき添い婦は、このナース・エイド及び今日の雑仕婦の仕事の足りないところをつき添い婦がついていて、若干は看護婦さんのやることまでときにはやるわけで、薬を飲ませるとか、あるいはいろいろからだをふいてやる。からだをふくのもいろいろな程度がございますけれども、ほんとうならば看護婦でなければ無理だと思うようなことまでやらせておるというような状況でございます。従って、十分の資格のない者がやりますので、よほどなれた者でありませんと、患者さんの看護にも多少の支障を生じてくる。ただつき添い婦は、一応の形としては二十四時間つき続けというような形になっておりますものですから、何か見ていてもらうような感じはありますけれども、これはいろいろ調査もありますが、実質的には八時間ぐらいの仕事を今日のつき添い婦もやっておるのであります。実質的には八時間ぐらいであります、あとはやはり休みましたり眠ったりしておるようであります。こういうようなことでありますので、その質を向上させていくのには、これを放置して置くべきではなく、それぞれ制度化していかなければならぬのじゃないか。ただ、これは急激にいたしますと、いろいろ故障を生じますので、できるだけさようなトラブルの起らないように順次に持って参りたいというふうに私ども心がけております。
  75. 中山マサ

    ○中山(マ)委員 この八時間制度は、やはり交代制でもって八時間ずつやっていくのか。たとえば療養所で外科手術をしたりするような大病人には、二週間ぐらいおつけになるそうでございますが、なおりかけの人でも、八時間なら八時間ということでこの制度を限定してしまいますと、非常な不安が起るのじゃないだろうか。それは継続的に循環するものであるかどうかということを、一つお伺いしたい。
  76. 曾田長宗

    ○曾田政府委員 これは患者の方から出ております不安なのでございますが、とにかくつき添い婦は、何はともあれ二十四時間ついていてくれる、ところが今度病院の職員になると、これは八時間で縛られるということであります。これを非常に機械的に考えますと、今までのつき添いさんの三倍の人間を入れてもらわないと、ずっと二十四時間見ていてもらえないというような、機械的な心配をする方もあるのでありますが、これはただいま申し上げましたように、実態としましては、大体今ついておりますつき添い婦も、実際に患者の世話をしておりますのは八時間というくらいな数字が出ております。それで結局、あとはついておるとは言いながらも、実はいつでも仕事を頼もうと思えば頼めるような状態になっておるという安心感を与えているということで、実際の仕事にはなっておりません。それで、そういう状況であるならば、もしもベルを押し、ナース・コールで話ができる程度の人たちでありますならば、これはそういう設備を整えますれば大体心配はない。また黙っておっても、看護婦なり療養所の職員が、今までより以上にひんぱんに回ってきてくれるということで、この心配はないと思います。一番言われるのは、手術をした直後あたりは、これはどうしたって二十四時間ついていてもらわなければ因るということなのであります。さような場合には、二十四時間私どもはつけるだけの措置ができるという態勢は整えられるというふうに考えておるのでありまして、さような場合には、八時間ずつ三交代になると思います。ただ、そういう必要のある患者さんがどれくらいになるかということを、私どもいろいろ計算をしてみておるわけであります。たとえば、外科だけとるわけにはいかないかもしれませんけれども、外科手術の患者だけを見ましても、今までのところ、大体総ベッド数の一割二、三分くらいのところが一カ年の手術件数になっております。そうしますと、五百床の療養所でございますと、平均しますれば一カ年に大体五十、六十というのが手術の件数でございます。そういたしますと、平均すれば一週間に一人ということでございます。それから患者さんに二十四時間寝ず番をしなければならないのはどのくらいかと申しますと、これも患者個々のケースによって違いましようけれども、ほんとうの寝ず番ということになりますと、これは私ども厳重に現状をあれしておりますが、これは一週間全部つける必要はないだろうというふうに考えております。この人のやりくりとしまして、私どもは大体平均的にはお世話できる。ただ患者さんあるいは療養所の職員も心配しておりますのは、一応予算案の中に出ているのを計算してみますと、たとえばベッド二十五床について一人の増員ということになっておる、それじゃ心配だというようなことになりますが、機械的には参りませんので、外科患者の手術の多いところ、あるいは重症患者の多いところ、少いところというふうにやって参りますれば、大体私どもこの看護の内容を落さずにやっていけるのではないかというふうに考えております。
  77. 横錢重吉

    横錢委員 関連しまして、今、つき添い制度のことについてお話を伺っておりますと、この趣旨は、きわめて看護力の低下を来たさない、さらにまた医療態勢をよくするというような趣旨のもとに、この制度の改革をしようというように聞えるのでありますが、この制度を改革しようとしておるほんとうの精神について、要点をもう一度お伺いいたしたいと思います。
  78. 曾田長宗

    ○曾田政府委員 ただいまも一、二御指摘になったのではありますが、療養所内におきまして看護の態勢を整えたいということ、そのことを、さらに分けて参りますれば、所長が看護に当ります全職員に対して統制力を持ち、そうして看護について責任がとれるような態勢にいたしたいということ。それにまた関連いたしますが、つき添い看護をいたします者の教育あるいは質の向上というようなものをはかって参りたいというようなことが、この制度を設けました趣旨でございます。
  79. 横錢重吉

    横錢委員 所長が統制力を持つという点については、現在のつき添い制度は、実際には医療券その他によって出てきているが、病院の統制力の中には入っている、指示を受けてやっていることは事実だと思うのですが、しからばこの改革をした後においては、身分というものは保障される立場に立つのか。
  80. 曾田長宗

    ○曾田政府委員 今度増員される者の身分は、常勤労務者ということになっておるのであります。これは定員には数えられておらぬでのありますけれども、大体二カ月ごとに切りかえをいたすことにはなりますが、これは引き続き勤務をいたすということになりまして、これが継続いたすことになりますれば、期末手当というようなもの、また日常におきましての超過勤務というようなもの、あるいは共済組合の利用というような点につきましては、定員内の者と同じような待遇を受けるということになりまして、身分は、今日におきまして一カ月ごとにつき添い婦として勤務をするということに比べますれば、数段固まって参るものというふうに私ども考えます。
  81. 横錢重吉

    横錢委員 今の趣旨から見ると、制度を切りかえて、りっぱな看護のできるものに変えていくというような趣旨に聞くのですが、その内容をさらに聞けば、常勤の労務者である、また法網をくぐるようなことをして二カ月ごとに切りかえをするということであっては、これはとうてい医療態勢の前進という方向で問題が考えられておらぬのであります。要するに、今日のつき添い制度の負っているところの財政的な問題についてこれを解決づけよう、しかもそれをどういうふうにか合理的に表面を固めながらやっていこうというような趣旨ではないかどうか。
  82. 曾田長宗

    ○曾田政府委員 私ども今日のような国の財政状態でございますので、なるべくむだな経費を要求するというようなことは控えなければならぬという考え方は、もちろんございますけれども、この問題につきましては、私ども経費を節約するために切りかえをするというようなことはございません。これは今年出した予算ではございません。数年来大蔵省に要求しております予算なのであります。大蔵省の方では、今日までなかなか理解して下さらなかった。それからまた、これは今回の予算書に載っておりますのは三カ月分でありますが、これを年間に延ばしますと、たしか今の期末手当なんかの関係もございますので、十二カ月ではなしに、その上に期末手当分も入ると思います。こういうふうにしますと、ここに載っております三カ月の四倍というだけではなしに、もう少しふえて参る。それからまた、いろいろそのほかに療養所内の物的な場所の設備というようなものにつきましても、さらに改善しなければなりません。決して経費の節減というようなことで、この制度を考えたものではないのであります。
  83. 横錢重吉

    横錢委員 今の点で、経費節約ではないということになれば、問題は医療態勢をよりよくしていくという点で考えられていると思うのです。しからば、その上にさらにまた現在これに従事しておるところの人々の職業上の不安定ということに対しては、これを与えないように措置をする用意があるか。
  84. 曾田長宗

    ○曾田政府委員 この点は、先ほど御答弁申し上げておりますので、御了承願いたいと存じます。
  85. 横錢重吉

    横錢委員 問題がそこに一つありそうな気がするのであります。この前の入退院基準の問題等を見ましても、単に乱給あるいは乱診、こういうような点についての改革をすることを主として出されたのでありますが、実際には、この制度が及んでから全国的にはわからないが、私の方の千葉県だけでも、入院制限が相当に響いて、現在では一一%という数字が出ておる。このことは、今度の予算書を見ても、医療体系強化を初めとするベッドの増加が出ておるけれども、現実にはいろいろな診療の制限が出てきて、このため入院がはばまれておる。従って、法人経営でやっておるところにおいては、病院そのものが成り立たないというところまで今日出てきておる。こういう現象を見るときに、さらにまたここに出てきておるところのつき添い制度の問題も、実際表面にはもっともらしい理由がつけられておるけれども、そのねらうところのものは人員の整理、人員の交代というところにあるのではなかろうか。従って、もしそうでなかったならば、この問題はもう少しスムーズに、これらの人々の間にトラブルを起さずに解決がつきそうなものである。こう考えるのであるが、先ほどの説明の中においても、優秀な者だけを採って、その他の者については整理をしていくという意味のことが言われておるのであります。これではとうていこの問題の解決ができない。しかもそれが趣旨ではなくして、現実には経費の節約でもない、そうしてつき添い人の教育をさせる、あるいは所長に統制力を持たせるという意味である。さらにまた、その内容においては二カ月ごとの切りかえにして、身分の安定をはからしていくというような意味であったならば、問題をもう少しトラブルを起さずに解決をつける線があるのではなかろうかと考えるが、御答弁を願いたい。
  86. 曾田長宗

    ○曾田政府委員 この問題につきまして、いろいろ患者あるいはつき添い婦という人たちに、十分その趣旨を徹底させて、よく納得してもらって、不安を与えないようにというような御趣旨につきましては、私どもも十分手を尽したというふうには申しかねるかと存ずるのであります。この点は、院長、所長初め職員を通じまして、十分その趣旨を理解していただきたいというふうに、今後努力するつもりでおります。長い間の療養生活をやっております患者さん、あるいはかなり年輩の人たちもまじっております婦人の方々、こういうような方々は、私どもの考えておりますことを先回りして、いろいろと不安な念を抱かれるというような点もございますので、私ども、今後十分に、無理のないように、できるだけ円滑に進めるようにするという趣旨を理解していただきたいというふうに考えておるのであります。
  87. 横錢重吉

    横錢委員 現在つき添い婦の収入を、一カ月どの程度に押えておるか、それからまた新しく考えられるものにおいては、つき添い婦の一カ月として、どの程度の収入を考えておられますか。
  88. 曾田長宗

    ○曾田政府委員 地方によりまして、かなりな差があるようでありますが、大体全国的に見ましたのでは、おおむね一万円程度と考えております、それが現状であります。それに対しまして、今回の予算に組まれましたのは、たしか月単価は八千百幾らという額であったと思うのでありますが、これは先ほど申し上げましたように、年間予算と、さらにいろいろな手当等がついて参ります。大体その暁には、おおむね一万円をちょっと出るような予想をいたしております。
  89. 横錢重吉

    横錢委員 現在のつき添い一万円程度というのは、内輪に見過ぎておるのである。それからまた家族の構成等について、あるいはまた現在どういうような人たちが従事しておるというような内容については、お調べになりましたか。
  90. 曾田長宗

    ○曾田政府委員 私ども一応の資料に基いて、先ほど平均の収入というものを申し上げたと思いますが、東京近郊等は、それよりも高目になっております。それに対しまして、地方におきましては、これをかなり下回っておるというような状況であります。それから現在ついておるつき添い婦の状況というものについては、かなりいろいろなことを調べてもおりますが、最近の資料をまたただいま取りまとめ中でございます。それが出て参りますれば、もっとはっきりして参ると思いますが、大体資格を持っております者は五%程度で、きわめて少数でございます。それから年令は概して高年者が多いのでありまして、平均四十七才くらいになっております。
  91. 横錢重吉

    横錢委員 この問題は関連質問でありますし、また最近の資料をまとめられておるというお話でありますので、さらに次の機会に質問をいたすことにいたしまして打ち切ります。
  92. 中村三之丞

    中村委員長 次会は公報をもって御通知することとし、本日はこれにて散会いたします。     午後零時四十分散会