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1955-05-16 第22回国会 衆議院 社会労働委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年五月十六日(月曜日)     午後二時十六分開議  出席委員    委員長 中村三之丞君    理事 中川 俊思君 理事 大橋 武夫君    理事 山花 秀雄君 理事 吉川 兼光君       臼井 莊一君    亀山 孝一君       小島 徹三君    床次 徳二君       山本 利壽君    横井 太郎君       高橋  等君    中山 マサ君       永山 忠則君    野澤 清人君       多賀谷真稔君    滝井 義高君       中村 英男君    山下 榮二君       中原 健次君  出席政府委員         厚生事務官         (児童局長)  太宰 博邦君         労働事務官         (労政局長)  中西  実君         労働基準監督官         (労働基準局         長)      富樫 総一君         労働事務官         (職業安定局         長)      江下  孝君  委員外出席者         専  門  員 川井 章知君         専  門  員 引地亮太郎君         専  門  員 浜口金一郎君         専  門  員 山本 正世君     ————————————— 五月十三日  委員滝井義高辞任につき、その補欠として武  藤運十郎君が議長指名委員に選任された。同月十四日  委員松岡松平君及び高橋等辞任につき、その  補欠として松永東君及び相川勝六君が議長の指  名で委員に選任された。同月十六日  委員相川勝六君及び武藤運十郎辞任につき、  その補欠として高橋等君及び滝井義高君が議長  の指名委員に選任された。     ————————————— 五月十三日  毒物及び劇物取締法の一部を改正する法律案(  内閣提出第三八号)同日  理容業界安定対策確立に関する請願藤枝泉  介君紹介)(第五七四号)  同(内藤友明紹介)(第五七五号)  同(久野忠治紹介)(第六〇三号)  同(淺香忠雄紹介)(第六〇四号)  同(小平久雄紹介)(第六四七号)  同(大橋忠一紹介)(第六四八号)  国立療養所附添廃止反対に関する請願外一件  (植村武一紹介)(第五七六号)  同(栗原俊夫紹介)(第六一一号)  同外一件(坂本泰良君外一名紹介)(第六一二  号)  国立療養所附添廃止反対等に関する請願(中  原健次紹介)(第六一〇号)  技能者養成機関助成費国庫補助に関する請願  (鈴木周次郎紹介)(第五七七号)  同(北山愛郎紹介)(第六〇一号)  同外一件(井堀繁雄紹介)(第六〇二号)  クリーニング業法の一部改正に関する請願(中  村三之丞君紹介)(第五七八号)  同(横井太郎紹介)(第六〇〇号)  未帰還者留守家族等援護法による療養給付適用  期間延長に関する請願武藤運十郎紹介)(  第五七九号)  国民健康保険法改正に関する請願(細野三千  雄君紹介)(第六〇五号)  健康保険による医療費の被保険者負担反対に関  する請願中原健次紹介)(第六〇六号)  健康保険法による療養給付適用期間延長等に関  する請願中原健次紹介)(第六〇七号)  社会保障費予算確保に関する請願中原健次君  紹介)(第六〇八号)  結核回復者強制雇用に関する請願中原健次  君紹介)(第六〇九号)  食生活改善に要する予算復活に関する請願(山  口丈太郎紹介)(第六一三号)  戦没者遺族等援護強化に関する請願唐澤俊  樹君紹介)(第六四六号)  母子福祉法制定に関する請願中村梅吉君紹  介)(第六四九号)  ヒロポン害悪撲滅に関する請願山中貞則君紹  介)(第六五〇号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和三十年度労働省関係予算説明聴取等に関する件  児童保護に関する件     —————————————
  2. 中村三之丞

    中村委員長 これより会議を開きます。  まず児童福祉の問題につきまして、中山委員より発言を求められておりますので、これを許します。中山マサ君。
  3. 中山マサ

    中山(マ)委員 児童福祉法の第二条には、国は児童心身ともにすこやかに育成する責任を負うとございますが、その直接の責任当局でおありになりますところの児童局は、今日児童生命が次々に奪われていくその責任ということについて、どういうふうにお考えになっていらっしゃるかということをお尋ねしたいのであります。私がこれをお尋ねする理由は、近ごろ、非常に国会でも問題になっておりますところの紫雲丸事件で、児童がたくさん命を失った。その前にも、いろいろと修学旅行につきまして、児童たちが命を奪われた事件が報道されております。この紫雲丸で命を失った子供達の死体がまだ全部引き上げられていないというときに、岩手県におきましては、また修学旅行のことでもって学童が十二名即死をした。そして数名けがもしておるというような事件が、昨日でございましたか、報道されておるのでございます。横山泰三さんの漫画を見ましても、修学旅行に出すときには、親は子供水さかずきをして別れたがよかろうかというような、まことに皮肉なものさえ飛び出すというようなことになっておるのでございますが、児童局といたしましては、この問題に対する責任をどういうふうにお考えになっておりますか、それをまず伺いたいと思います。
  4. 太宰博邦

    太宰政府委員 今回の紫雲丸事件とか、あるいは岩手県の修学旅行中の学童のバスの事件とか、非常に多数の生命、これはあえて児童とばかりいわず、おとなも入っておるのでありますが、これはお互いに国民の一人として痛ましいことであると考えます。また政府一員としても非常に申しわけない、残念なことと存じております。ただ、これに対しましては、どういうふうに処置するかということになりますと、それぞれの関係当局でいろいろ考えておられることと存じますが、私ども政府一員として、ことに児童問題の一般的な面を所管いたしている一人といたしまして考えますことは、あえて児童といわず、おとなといわず、日本の現在の社会において、人間生命尊重ということについて、何か欠けている面があるのではなかろうか。そういうような点から、たとえば多くの人の生命を預かる交通機関従業員とか関係者などにおきましても、その自覚が十分でないために、たとえば疲労したまま運転をしてみたり、そして事故を起してみたりということになりまして、事故を起したあとで恐縮するということが落ちでございますけれども、やはり根本的には、もう少し人間の命の尊重ということに対する社会全般自覚、こういうものが社会の中に広がってくることが、何といっても基本であろう、かように考えておる次第でございます。
  5. 中山マサ

    中山(マ)委員 中学校校長先生だとかが、いろいろ御意見を御発表になっているのを見ますと、当事者も国もネジがゆるんでいる、このネジを締め直せというようなことを書いていらっしゃるようなことを見たのでございますが、今、児童局長さんの御答弁を聞いておりますと、これは一般論でございまして、私は一人前の方々がそれぞれ自分のお仕事で旅行していらっしゃるということと、これとは分けて考えたいと思うのであります、児童の命がこういうふうにして奪われるということは、結局このごろの修学旅行を見ておりますと、修学といういわゆる学を修めるという意味でなしに、私はお楽しみ旅行のように見受けるのでございます。しかも、今度紫雲丸で命を奪われた子供たちは、小学校の十一才十二才の子供たちであった。あの死亡者の顔を見ますと、まことにいたいけな子供たちばかりでありまして、こういう人たち県外まで連れていかれる、山陰でしたか、山陽でございましたかの学校子供たちが四国まで連れていかれた。私はある造船関係の人から話を聞いたのでありますが、今の日本の船はどうやら船底にもっと堅実な構造をしなければならぬ、バラスを入れるとか言っておりましたが、そういうものが抜いてある。それでひゅっと片一方に傾いたら、ひっくり返るのが常識だというようなことを、私は大阪のある船会社の人に聞いて帰ったのでございますが、そういう危なっかしいものへ、学校調査もしないで子供たちを出す。しかも学校先生も大ぜいを受け持って、事がございましたときに、その学級全体を助けるというようなことは、これは人間の力ではとうていできない。今度も何人かを助けて自分がはい上ろうとしたら、中から先生を呼ぶ声がしたのでその子供に手をかして、手をつないだまま死んでいらっしゃったといったようなことも報道されたのでございますが、私の考えといたしましては、おとなのことは、児童局としてはちょっとわきに置いていただいて、児童を守るという意味から、児童局としては、もう修学旅行もお楽しみ程度のが多いように私には見受けられますので、一つ修学旅行という問題につきまして、県外の遠いところへつれていってもらうということについて、児童局としていわゆる子供のからだを健全に守る責任があるという点から、文部省の方へ何か御進言でもしていただく御意思はないものかどうか、またそういうことができるものかどうか。もし児童局としてそういうことができないような態勢にあるとしましたならば、私どもは何とかほかの方法考えなければならぬ、こういうことを私は考えるのであります。特に子供を持つ者といたしましての考え方から、親を非常に不安に陥れるという点もまた考えなければなりませんので、そういう権限がおありになるかどうかということも、私は承わっておきたいと思います。
  6. 太宰博邦

    太宰政府委員 子供生命というものを重大視しなければならない、これは何も私どもだけがそういうことを深く考えておって、文部省当局がその考えが比較的浅いという、そういうことはないと私は思います。これについて、かりにそういうことを抜きにして、今回の事件などについて、厚生省から文部者に何か進言でもしたらどうかというお話のようでありますが、これは別に権限があるとかないとかいうことでなしに、政府部内でありますから、それはできます。また必要があるならば、私はやるべきだと存じます。ただ、お尋ねの中にあったかと存じますが、小さな子供遠距離修学旅行に連れていくことについては、もっと考えなければならないのじゃないかということ、ことにいわんや、それが修学が慰安のような傾向を帯びるような問題があれば——私どもも、それは常識論としてさように考えております。ただし、県内だけでもって始末すべきであるかどうか、それは遠距離といっても、どの程度のものをどうチェックするか、こういうことにつきましては、やはりいろいろ議論の存するところもあろうかと考えるわけであります。これは私どもよりも主管の文部当局においていろいろ検討してくれていることと聞いておりますが、そういうものについて十分意見ども承わって、もし何か申し上げる必要がございますれば、私ども進んで文部当局にもこちらの意見というものを申し入れたい、こう考えております。
  7. 中山マサ

    中山(マ)委員 それはぜひそういう観点に立って、この福祉法にも、児童局責任ということは明確に書いてあるのでございますから、その文字に対する御責任を痛感していただいて、ぜひ一つ児童局から文部当局に、この修学旅行の件について、もっと率直なる措置を取っていただくように願いたい。今問題になって責められておりますのは、運輸関係人たちだけでございまして、文部省はそれを身近に感じておるというような空気は、私は一向受け取れないのであります。それで今日私は、この委員会においてこれを問題にいたしまして、ぜひ一つ児童局として、子供の命を守るという点で、文部当局とお話し合いを願いたいと思います。これはそれで一つ了承いたします。私、もう一つ伺っておきたいのでございますが、このごろ婦人議員団で取り上げております、あの鹿児島松元事件であります。この福祉法の中にも十五才に満たない者を宴席へ出すとか、そういうふうなことをしてはならないという条項が出ておりますが、十五才から十八才までの人たちを、制服のままで宴席にはべらせ、あるいはいろいろな醜態を演じたというようなことが、このごろ問題化されてきておりまして、この間藤原先生も参議院で緊急質問をしておるようでございますか、児童局としては、この事件について鹿児島の方と御連絡をおとりになりましてお調べになりましたでございましょうか、どうですか。
  8. 太宰博邦

    太宰政府委員 私ども耳にしましてから、すぐ向うと連絡をとり、また関係当局とも連絡をとって、概要だけ承知いたしております。
  9. 中山マサ

    中山(マ)委員 それでは、御調査になりました結果、そういう子供たちのこういう事件について、どういう処置をお取りになりましたでございましょうか。
  10. 太宰博邦

    太宰政府委員 ちょっと手元に資料を持ち合せてございませんので、私の記憶でお答え申し上げますから、いずれ詳しくは、また間違いがございましたら訂正いたします……。
  11. 中山マサ

    中山(マ)委員 それでは次回に資料をいただいてから、お願いすることにいたします。
  12. 臼井莊一

    臼井委員 ただいま中山委員から、児童局文部当局に対して、児童生命に対する保護について一つ注意をしていただくような御意見がありました。私も、今中山委員の御意見のように、修学旅行が、名の示すように修学ではなく、娯楽旅行に堕していることを痛感いたすものであります。そして私ども自分子供のときを思い出しますと、たとえば、旅館に泊れば、もし火事があったならば一体どういう逃げ道を作って逃げるか、こういうことを皆考えておけということを、校長先生から言われた。中学時代にそういうことを言われたのが身にしみて、今でも旅館に泊ると、特に現在のように三階以上の高い建物等の場合には、われわれ、いつもそういうことを思い出すのです。でありますから、旅館に泊ったときには、旅館に泊ったときに自分を宇る心がまえ一つ先生指導していただく。それから船に乗ったならば、ちゃんと救命具があるのですから、もし難船の場合には、救命具をつけて船員の指揮に従ってどういう行動をする、そういうことを、すぐに実地について生命を守るような指導をしていただくことが必要だと私は思う。この間の紫雲丸の写真などを見ても、用意のいい子供はちゃんと救命具をつけておるのです。ですから、時間が短かいとしても、必ずしもつけるいとまがなかったとは考えられない。ところが、多数の子供はつけていないように思われます。そういう具体的な問題について、汽車に乗ったらどういう心がまえがいるかということを、あわせて一つよく指導していただきたい。非常に、余分なことのようですが、平素考えていたことを申し上げて、意見だけにとどめておきます。一つよろしくお願いいたします。
  13. 山花秀雄

    山花委員 ただいまの問題に関連いたしまして、基準局長がおいでになっておりますから、ちょっと基準局長にお聞きしたいと思います。新聞の報道によりますと、岩手県の事件運転手談というところで、非常に労働強化の結果こういう不始末を起したということが載っているのですが、われわれも一応想像ができるのです。問題は、そうなりますと、やはり基準関係にも相当関連性があると思うのです。多くの工場あるいは作業場、職場において、基準が守られていないところが具体的に非常に多いのです。ところが、基準局の方でも人手がなくて、場所によっては一年に一回指導に回れないというようなところもあるやに承っておるのですが、今度の問題も、ほんとうに労働強化の結果来たものであるかどうかということを一つ調査を願って、労働強化の結果こういう不祥事が起きたということになれば、災害を防止するために、特に一般乗客を乗せるような職場では、もっと適切な指導をしていただきたい。一応調査をしていただいて、真偽を確かめた上で対策を立てていただきたい。基準局長のお考えを承りたいと思います。
  14. 富樫総一

    富樫(総)政府委員 お話まことにごもっともでございます。さっそく調査を命じておりますので、不日詳細な調査結果が出ると思います。御趣旨に沿いまして善処いたしたいと思います。
  15. 山花秀雄

    山花委員 基準局においては、さっそく調査をなさっていらっしゃるそうですが、一応明白になりましたならば、本委員会にも、こういう対策を立てたということをお知らせ願いたいと思います。     —————————————
  16. 中村三之丞

    中村委員長 それでは昭和三十年度労働省関係予算につきまして発言の通告がありますので、これを許します。多賀谷真稔君。
  17. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 前回の質問に引続きまして、御質問いたしたいと思いますが、各県、各市におきまして、就労日数が著しく差を見せて参っております。従来とも差があったと思いますけれども地方財政の逼迫によりまして、ますますその差が激しくなってくるのではなかろうか、また失業者の発生の状態におきまして、この差が激しくなってくるのではなかろうかと勘案されるわけですが、これをいかに調整されるつもりであるか。現実に数字によって、非常な差を生じておるところを見るのでありますが、どういうお考えであるか、お尋ねいたしたい。
  18. 江下孝

    江下政府委員 お尋ね就労日数調整の問題でございますが、多賀谷委員からも御指摘になりました通り、現在失業対策事業実施が、市町村の財政問題とからみまして、一方において相当問題をかもしておることは事実でございます。私どもといたしましては、この問題につきましては、大臣からも申し上げました通り、できるだけ国家財政によるウエートを重くいたしまして、地方庁がこれに取りつきやすいような方向に持っていくということを考えたのでございます。残念でございましたけれども、一兆円予算ワク内で縛られましたために、一般失業対策事業においては、昨年度以上の補助率の増加を見ることができなかったのでございますが、特別失事業につきましては、特に労力費事務費につきましては、富裕でない自治体については五分の四という補助率の単価を認められておるのでございます。決してこれによってどうということでもございませんけれども、私どもとしましては、極力各自治体と十分この財政問題についても責任を持って話し合いをいたしまして、補助率がかりに低くても、起債ないし平衡交付税交付という面について、これは具体的に個々的に折衝してあっせんしてやるほかに方法がないというふうに考えております。
  19. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 今の点についても、単に国家負担を多くして市町村負担を軽くするということは、し かもワクがきまっておる状態では、なかなか困難かと思うのですが、もう一つ事業そのものがなかなかないという場合もあるのだろうと思います。そこで、私は、もう少し政府としては、抜本的な対策が必要ではないかと、かように考えるわけです。炭鉱合理化法案も近く出るということですが、炭鉱合理化法案が、かなりの解雇を予定されておるようで、石炭局資料によっても、少くともこの法案によって一応完成されます三十四年におきましては六万名ほどの首切りが出るわけですが、現在、どの炭鉱におきましても、御存じのようにあき家が非常に多い。寮あたりは、ほとんどあき家になっておる。要は失業者をあっちこっちに移動させて仕事をさすということが、かなり困難になっておるのは、住宅関係が最も大きい問題であると思うのです。そういう場合に、これは私個人の案ですけれども、首を切った場合には、古い、もうあまり用を足さないといえば語弊がありますけれども炭鉱としては、これ以上将来において勤労者を就労さす予定がない、炭鉱自体でそれをこわしていかなければならぬという場合には、何とか一つ家をつけて、どこかへ建設事業なりあるいは開拓事業に従事さす、こういうような方法がとられれば、失業対策というものは、かなり十分行われるのではなかろうかと思うのです。あるいは移動住宅という問題もございましょう。そういう面については、どういうようにお考えであるのか。まず第一には、石炭合理化法案によって出る失業者について、本年度または次年度においてはどういうように考えられておるか、さらにそれを吸収するには、どういう対策があるか。さらに、今話しておりますところの各県各市において非常にむらが出ており、その調整には、やはり住宅というものが非常に関係があるが、それはどういうように考えておるか、こういう点についてお答え願いたいと思います。
  20. 江下孝

    江下政府委員 まことにごもっともなお話でございます。実は仰せまでもなく、現在の日本におきましては、住宅が非常に不足しておる。これが結局配置転換のスムーズな実施を阻害しておる一番大きな原因の一つにもなっておると思います。これについて、御承知の通り政府におきまして特別に住宅の計画を作りまして、これを今国会にも御提案申し上げておわるけでございます。実はあの住宅対策につきましては、関係省からみな関係者委員となりまして、本部に入りまして、今後住宅建設実施につきましては、詳細に意見を交換いたしまして、それぞれの立場からこの住宅建設問題について十分調整をするという建前に相なっております。正直に申し上げまして、それじゃ雇用面配置転換面で、どういうふうにこの住宅を活用するかということについては、実はまだきまっておりません。きまっておりませんが、私は住宅本部委員として参加いたしておりますので、今後、予算通過等と相待ちまして、この問題については相当真剣に議論を進めて参りたいと思っております。特に石炭鉱業合理化法案に伴います石炭労務者配置転換につきましては、今お話住宅がやはり一番大きな問題の一つじゃないかと私は思っております。失業対策といたしましては、現在考えております一般失業対策事業、あるいは特別失業対策事業というわくにとらわれませんで、炭鉱地帯に最もふさわしい失業対策を、またそれとあわせて考えていくということも必要かと存じております。ただ、現在のところ、それじゃどういう事業考えておるかと言われましても、まだその点までについて、突っ込んだ対策は立ててないわけでございますが、今後通産省方面と十分話し合いまして、はたして合理化法案による失業者がどの程度出るかという点を的確に把握いたしまして、正確ないい案を実は作りたいというふうに考えております。
  21. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 首切りを予想して出されんとしており、かなり膨大な資料用意されておることは承知しておるわけですが、そういう場合に、やはり失業対策が十分考えられないで、一応失業者が出てからということでは、非常な不安を招くだけであります。そこで、やはりこれだけの首切りが予想できるならば、政府としては失対事業の方もこういう受け入れ態勢がすでにある、こういうものを一緒に出されるのでなければ、十分な用意ができていないと私は考えるわけです。とにかくあらゆる法律が、一応首を切って、失業者が発生した後に対策考える、こういうことでは、法案それ自体においても、非常な困難が予想されると私は思うのです。私は合理化法案のことについてとやかく言うわけじゃありませんが、そういう態度が、あるいはけい肺においても若干考えられるのではなかろうかと思うのです。そういうことが十分考えられる。そこで、政府としてはどういう失業対策を持っており、これをどういうように吸収して行くか。ことに今度買い上げの対象になる炭鉱は、大体年間三百万トン出炭に応ずる炭鉱である。そうしますと、ざっと考えましても二万数千人中小企業解雇者が出る。その炭鉱は、政府が買い上げた以上、すぐ再開するという見通しはもちろんない。少くとも、政府が買い上げておいて再開さすということでは、政府が資金を出す必要はありませんから、まあここ数年の間再開される見通しはないと考えなければならない。従来ですと、炭鉱がつぶれましても、あるいは買手がつくのではなかろうかという考え方があったわけですが、今度は炭鉱がつぶれますと、もう再開されるということは全然考えられませんので、そういう点について十分なる失対の対策がなくちゃならぬと思うのです。ことに家なんかの場合は、もう数年間放置しておきますと腐りますから、処分をしやすいと思うのです。やはり合理化法案あたりを出される場合には、では家屋の分についてはどうするか、あるいは開発銀行の抵当に入っているかもしれませんが、しかしこれは何とかして労働者にわけて与えるとか、あるいは若干の資金その他を援助して与えるというようにするか、あるいはまた、その資材をもってどこかへ移動して別個につくって、失対事業と調和さすいうことも考えられるでしょう。そういう点も、首切りということが予定されている法案ですから、労働省としては、すでに十分な対策があってしかるべきだと考えるわけですが、法案がもう出ようとしているのに、失対の方は全然考えられていない、こういう状態は、私は非常に遺憾と思うのです。加うるに、政府はこういうことを言っているのです。もうほうっておいてもつぶれるのだから——法案が出たからつぶれるのではない、ほうっておいてもつぶれるのですよ、もう続々つぶれつつある。こういうことであればこそ、私はなおさら用意が必要であると思うのです。そういう点について、労働省としてはどういうようにお考えであるかお尋ねいたします。
  22. 江下孝

    江下政府委員 石炭の失業問題でございますが、特に昨年、一昨年におきまして、非常に大量の離職者が出まして、石炭地帯におきましては、相当な社会問題が生じたわけでございます。現在でも、石炭地帯におきます失業問題は、相当深刻な様相を呈しておるということが申し上げられると思います。私どもといたしましては、現在の炭鉱の失業状態の実情にかんがみまして、できるだけ有効適切な失業対策を、実は実施して来ておるのでございます。必ずしも十分とまでは参りませんかもしれませんけれども、鉱害復旧事業実施等にいたしましても、炭鉱失業対策という問題を優先して考えて来たのでございます。ところで、今お話石炭鉱業合理化法案の問題でございますが、これにつきましては、私ども今通産省と相談しております限度におきましては、この法案実施されますのは下半期になりますが、下半期になりましても、直接この法案による離職者というものは、本年度におきましてはそう大した数字ではない、来年度以降から相当大きな数字になる、本年度はせいぜい数千人程度ではなかろうかというふうに実は聞いておるのです。そこで、現在の炭鉱の失業問題についての対策というものと、それから石炭鉱業合理化法案によります新たな失業問題と、実は二つ重なって出て来ているわけであります。私どもとしましては、今お話合理化法案によりますものにつきましては、本年度におきましては数も少いわけでございますから、これは通産省と相談してきちっとした計画を作りまして、この合理化法案提案の際には、その点をぜひ明確にしたいと思っている次第であります。ただ、現在までたくさん失業者が出ておりますので、これらに対しましても、相当な措置をあわせて考えて行かなければならぬということに実はなっておるのでございます。合理化法案によりますものにつきましては、本年度のものについては、ぜひきちっとした事前の計画を立てて、それによって合理化法案自体実施していくというふうに措置したいと思っております。
  23. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 やはり本年度は、確かに合理化法案によるものは少いと思いますが、ことに次年度に多いと思います。しかし、やはり法案を出す場合には、政府考え方、計画だけは十分立って出していただきたいと考えるわけです。本年度は少いから、次年度になったら計画をするということでは、私は労働者に非常な不安を起さすだけであると思いますので、そういう点を十分勘案してやっていただきたいと思います。  それにつきまして、実はちょっと予算から離れますけれども、失対の問題でありますから一応聞いておきます。例の筑豊炭田の炭を苅田港から出すという川崎・油須原線と俗にいわれておりますが、この問題につきまして、ことに遠賀川改修工事その他では、地理的に見まして必ずしも吸収できない炭鉱労働者がいるわけです。ですから、この線は遠賀川改修工事その他では吸収できない層をちょうど吸収し得る地点にあると思うのでありますが、これを失対事業ではどういうふうにお考えになっているか。県あたりにおきますと、何とかして市町村の失対として、あるいは県の失対として基礎工事だけをやっておく、そうして将来において国鉄から買ってもらうということを前提に、最初国鉄の計画に沿うて失対事業として部分的に行う、こういうことも県あるいは市町村では考えられておるようでありますが、そういう点については、どういうような状態になっておるか、お聞かせ願いたいと思います。
  24. 江下孝

    江下政府委員 苅田線の新線問題でございますが、これは仰せのごとく、ちょうど炭鉱地方を縦断するものでございますし、失業対策といたしましては、格好なものであろうと考えております。そういう意味におきまして、私どもも、できるだけ新線の建設を望むわけでございます。ただ、あくまでも考え方としましては、何と申しましても、これは国鉄の新線建設でございますので、これはやはり国鉄の予算をもちまして、あるいは融資を仰ぐなりの措置で実施されるのが本筋でございまして、失業対策費でこれを実施するということは、本来の筋に私は合わないと考えております。ただ実際問題として、国鉄も予算がなく相当苦しい、何らかの意味でこれを失業対策的に実施してくれないかというような陳情は相当ございます。希望もございます。従ってそういう点について、どこまで私どもとしまして協力できるかという点について検討はいたしておりますけれども、現在失業対策事業として実施するということは、ちょっと考えていないのでございます。
  25. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 この問題も、私は国鉄としては、何も新線計画で緊急やむを得ない必要性があるというわけではないので、むしろあの失業者をどうするかという問題の方が、この新線を促進する大きな要素になっておると思う。もう一つは、実は輸送費の関係で炭の値段が下るということから、これは取り上げらるべきものであって、国鉄としては採算が合うわけでもないし、国鉄が計画しなければおれの方は動かぬという態度では、非常に困るのであって、むしろ労働省の方が、あるいは石炭局の方が積極的に出ていただきたい、かように希望しておきます。  続いて、例の知識層失業対策というものが盛んに言われてきたのですが、本年度ではどういう計画を持っておるか、お尋ねいたします。
  26. 江下孝

    江下政府委員 前回の本委員会で、本年度学校卒業者の就職状況についてお話を申し上げました。その際、特に大学卒業者の就職状況が相当悪いということもお話申し上げました。三月末現在で、大体二万程度がまだ就職できないでおるということでございます。しかし、現在さらにこの大学卒業者の就職につきましては、対策本部であっせんをいたしておりますので、進行途上の問題でありますから、今後まだ相当成績が上ることも期待はいたしております。しかしいずれにしても、大学卒業者等の知識層の失業問題は深刻でございます。そこで、私ども第一段階に考えておりますのは、本年実施いたされます国勢調査、あるいは各省で行います調査、統計等の事務に、できるだけこういう大学卒業者等の知識層を優先的に採用するということを措置したいと思っております。これは今のところ、まだめどがつきませんが、大体私どもの見当では、一万人程度はこれで吸収できるのじゃないかと考えております。先ほど申し上げましたように、現在まだあっせん途中でございますので、今後いましばらく事態の推移を見ました上で、さらにインテリの失業問題に対しましての対策考えてみたいと思っておりますが、現在のところは以上の通りでございます。
  27. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 知識層の失対については、数年前に、政府では予算を組まれ、各県においては実施したという記憶を私は持っておりますが、その後それが取りやめになっておる。そういうのは、やはり効果があまりなかったと判断されて取りやめになったのか、そういうことがわかりましたらお聞かせ願いたい。
  28. 江下孝

    江下政府委員 正確な記憶はございませんが、私の記憶する限りにおきましては、あの当時若干の知識層失業救済事業を計上いたしましたのを、直接動機としましては、当時の司令部によりまして、こういう非生産的なものは失業対策事業として不適当である、こういうことが取りやめた一番大きな理由であったと思います。なお、その中に含みます理由としては、もちろん荒廃しました国土を建設するのが最も先決である。従って、もし金を使うというならば、建設的な事業にまず優先的に振り向けるというのが建前である。知識階級のごとき、いわば非生産的なものについては、これを認めるわけにいかない、こういうことであったと思います。
  29. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 そういたしますと、今度の知識層の失対の問題として考えられております国勢調査にしても、統計にしても、これは政府がやるのだからということで、予算の計上はされないのですか。それとも、県あたりが統計をとる場合には、予算の計上をされますか。国庫として補助をするという式にされますか。ただ、国の事務であり、あるいは県の事務でもあっせんをするという程度で、別に予算の計上その他はされないわけですか、その点はどうですか。
  30. 江下孝

    江下政府委員 現在のところ国勢調査につきましては、ある程度予算を計上いたしまして、失業者の吸収をはかるということになるのであります。そのほかにつきましては、全般的な大きな予算の増加をはかってやるということはないわけであります。現在あります予算でできるだけあっせんをする、こういうことでございます。
  31. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 どうもたまたま国勢調査の年に来ておるからということで、失対事業としては、別に格段の対策もないようですが、この点についても、私は十分考慮していただきたいと考えるわけです。  さらに、日雇い失業保険の給付金の問題です。法律ができましてかなりになるのですが、百四十円が依然として据え置かれておる。ほかの法律は経済情勢の変動その他によって変ってきておりますけれども、この分だけは、依然として据え置きになっておるのがどうもふに落ちないのです、どういう理由であるのか。さらに、百四十円というのは、日雇い労務者の平均賃金が幾らのときに設定されたものであるか、この点についてお伺いいたしたいと思います。
  32. 江下孝

    江下政府委員 日雇い失業保険の給付額が、現在の制度では毎日の給料の額が百六十円以上の者につきましては百四十円、こうなっておるのでございます。百六十円以下の者につきましては九十円。この法律実施しました当初におきましては、百六十円以下の者も相当おったのでございますが、現在はほとんど全部が百六十円以上の賃金をもらいますので、現実には百四十円の保険金をもらっておるというのが実情でございます。  そこで、これを上げるという問題でございますが、これを上げますと、一つには、今の保険経済から申しますと、保険料をどうしても値上げしなければならぬ、こういう情勢に相なります。それから、いま一つ考えなくてはならないのは、日雇い失業保険は、この制度によって必ずしも全部がおおむね均等して恩恵を受けるということに相なっていない。たとえば就労日数のいいところ——全国の半分以上あると思いますが、そういうところは、ほとんど保険金の掛け捨てになるということであります。断続六日、継続四日でございますので、かりに断続六日という待機期間を計算いたしますと、二十四日稼働の地方では、この実益はないのであります。それでは待機をやめたらいいんじゃないか、こういう御議論が出ると思いますが、待機と申しますのは、これはこの保険制度の乱用、失業の確認ということから、どうしても置かなければならない制度でございますので、もしこの待機をなくするということになりますと、これも先ほど申し上げました、やはり保険料の大幅値上げとという問題に実は突き当ってくるのであります。現在の平均賃金が二百八十円でございますが、そうすると、保険料が百四十円というと五割でございます。五割というのは、もちろん十分な金ではございませんが、そう少い金でもないし、保険料の値上げと相互勘案して考えました場合には、やむを得ないじゃないかということで、一応現在のままの据え置きに考えておるのでございます。  それからお尋ねの、日雇い失業保険を実施しましたときの平均賃金は二百二十五円でございます。
  33. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 この点についても、よく研究していただきたいと思うのです。やはり二百二十五円の時に百四十円の日雇い失業保険給付額が設定されておる。しかるに、二百八十円になっても依然として据え置かれておる。それは今お話になったような理由もあるでしょうけれども、やはりふに落ちない面もあると思います。今お話がありましたが、実は百六十円以下は九十円だけれども、その分についてはほとんど適用がない。せっかく法律に書いてあって、ないということは、法律の方が実情に沿わないということであります。むしろ法律改正の時期が来ておる、こういうように考えるわけでありますが、やはりこの点についても、もう少し研究していただきたいと思うわけです。  それから、例のいつでも問題になります盆と年末の手当、盆には三日、年末には五日ですか、従来の慣例によって手当が支給されておるのですが、もうほとんど慣例になっており、労働者の方は、既得権だ、こういうことになっておると思うのです。これは予算の中から常に捻出していかなければならぬ、事務的にも非常に困難な問題ですが、一つこの際は予算に計上されたらどうか、かように考えるわけですが、その点についてお聞かせ願いたいと思います。
  34. 江下孝

    江下政府委員 多賀谷委員もよく御承知の点でございますが、私また繰り返してその理由を申し上げる必要もないと思いますので、実はその点については答弁を遠慮させていただきたいと思います。日雇い失業者本来の建前からいたしまして、予算的にはっきり手当というものを組むわけには参りません。けれども、しかしその趣旨にのっとりまして、ある程度盆と暮れには就労日数の増加、あるいは賃金の増給という措置を実施して参りましたし、本年におきましても、予算の許す限りこの点について考えてみたいと思っておるのでございます。
  35. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 では、次に基準局長お尋ねいたします。例のけい肺予算が、特別会計にも一般会計にも出ておるわけです。一応けい肺法案が出てから審議に入ると思うのですけれども予算の内容だけを御説明願いたいと思います。
  36. 富樫総一

    富樫(総)政府委員 お答え申し上げます。けい肺に関する予算は、まず労災保険特別会計に計上しておるのであります。その総額は八千四十五万円、この八千四十五万円の内訳は、けい肺にかかりまして、労災保険の三年間の給付が打ち切られた後に、同様の給付を二年間延長する、こういうことになっておりますが、その二年間延長分のけい肺給付費が四千三十五万円でございます。それから同じように外傷性脊髄損症にかかったものに対する給付が三百五十七万でございます。それからけい肺の健康診断に必要な経費が三千六百五十二万円、以上が約八千万円の内訳でございます。その三分の一を国庫が負担することになっております。その国庫の負担する三分の一の額、すなわち二千六百八十一万円というものを一般会計に計上して、一般会計から特別会計に繰り入れるということになっております。予算の措置は、以上の通りでございます。
  37. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 職安局長にお尋ねいたしますが、日雇いの健康保険の取扱い、これは非常に困っておるのです。給付額も非常に少いというので、取りに行きますと、旅費がかかって困る。こういうことで、実は厚生省の方に話に行きますと、安定所の方に依頼をしたところが、断わられたということであります。法律は違いましょうが、便宜的に何らか措置願えないものだろうか。この点は、労働省としてはどういうお考えであるか、お聞かせ願いたいと思います。
  38. 江下孝

    江下政府委員 便宜上から申しますと、多賀谷委員の仰せの通りであります。ただ、これは国の機関の出先としてえらくセクショナリズムにとらわれるようでございますけれども、労働省の出先としまして第一線の公共職業安定所は、非常な苦労でございますが、現在やっております日雇いの一般就労問題を扱いますだけでも、実は手一ぱい、この上に健康保険の面までも扱いますと、これは相当な過労になるおそれがある。できるだけ過労を分散させようという気持も、実はあったのであります。
  39. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 その点について、私は実情がわからないわけではございません。確かに職安の職員の連中は、ほとんど有給休暇をとっていない、こういう実情であります。実はそれに関連して、年末に失業保険の給付をやる場合に、二十九日から休みますが、二十九、三十、三十一日とこの三日間を、労働者の方としてはぜひ給付してもらいたい、こういうことで、所長も、ではやってもらいたいという話であった。ところが職員の方は、われわれは休んでいない、従来も休暇を返上して仕事をやっている。自分たちがこの年末の休暇を返上してやるというのは、あまりにも酷じゃないかということで、現地では非常に問題になり、われわれも職員組合と失業者との間に立って非常に苦慮したわけでございますが、こういう点については、やはり私は特別の取り計らいをしていただきたい。ことに、私たちが一昨年からずっと職業安定所を回ってみますと、非常な事務の過労になっております。ですから、本年度は事務員の人件費はどの程度予算が増額になっておるか、お聞かせ願いたいと思います。
  40. 江下孝

    江下政府委員 一兆円予算というワクの制限がございますので、私どもの期待いたしました通り予算増加にはなっておりませんけれども、しかし旅費、庁費等の事務費におきまして、第一線の安定所だけで約三千万円の増加を計上いたしております。人間につきましても、一面において過去に行政整理がございましたけれども、安定所の場合には、最小限度の率にとどめております。そういう操作もいたしまして、できるだけその軽減をはかっておるのでございます。年末の失業保険給付につきましても、御指摘のようなケースがおそらくあったろうと思っておりますが、私どもの方としましては、超勤をできるだけ有効に配賦しまして、そういう場合に、超勤がないために就労を拒否するというようなことのないようにいたしておりますが、全体といたしましてのワクが相当窮屈でございますので、あるいはそういうケースもあったかと思いますが、今後はできるだけそういうことのないように、私といたしましても心がけていきたいと考えておるわけでございます。
  41. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 もう一言質問しておきますが、実は長崎県の中島鉱業所が御存じのように閉鎖になって、二千名からの工員が首を切られました。それで失業保険の手続その他失業保険金を受けるにつきまして、島を渡って本土に出ていかなければならないわけです。そこで何とかして福島町で支給できるような方法を講じてくれ、こういうことを言ってきております。従来も、たしか岩屋炭鉱の場合だったか、あるいは新屋敷の場合であったかと思いますが、便宜的措置がとられたと思うのですが、二千名の離職者が給付金をもらいに船に乗って一時間ばかり行って、そうして町へ行ってほとんど使ってくる、家族は非常に困る。こういう状態では、せっかく失業保険制度がありましても、効を奏さないと思うのですが、その点どういうようにお考えであるか。また実情を十分調査の上、出張所あるいはその他の便宜ができるものであるか。暫定期間でけっこうでありますから、この点についてどういうようにお考えであるか、お聞かせ願いたい。
  42. 江下孝

    江下政府委員 その点につきましては、実情を調査いたしまして、現実に失業の認定が厳正に行われるということが確保されます限り、現地において現金の支給をすることは、必ずしも困難ではないというふうに考えております。
  43. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 では、労政局長がお見えになりましたので、お尋ね——お尋ねというよりも、要望しておきたいのですが、実は福岡県鞍手郡の室井炭鉱というのがあるわけです。これは元の日満鉱業株式会社新目尾炭鉱というのがございまして、それが日満鉱業の閉鎖によってつぶれました。その後室井孝という人が買収をいたしまして始まった炭鉱でございます。ところが、その炭鉱従業員が大体三百名程度と思いますが、その従業員が集まって、組合を結成しようではないかというので、四月十日、組合の結成にかかったわけであります。トラック二台からなる会社側の暴力団らしき者が来て、かなり威圧を加えましたけれども、とにかく大会は行われ、組合が結成されました。その後組合長、副組合長、書記長が突然解雇をされた。そうして現在福岡の地方労働委員会に、不当労働行為の救済の申し立てをしておる。ところが、組合長でありましたか、書記長でありましたか、そのうちの一人が会社をやめました。みずから首を切られたのですが、やめる手続をとりまして、そうして今度は会社側の証人として出てきておる、こういうような実情であります。もう一人の方は逃亡いたしまして、どこかへ逃げてしまった、こういう状態です。そこで組合長だけが残りまして、孤軍奮闘しておりましたところが、その組合長が離職上のことで会社の事務所に行きましたところが、鉄棒でぶんなぐられまして、かなりの打撲を受けて新入炭鉱の労働組合に救援を求めて保護に来てくれというわけで、保護を願って、新入炭鉱労働組合の事務所に行っておる、こういうような実情でございます。これは私も地方の炭鉱、ことに中小炭鉱の労働組合をいろいろ扱いまして、経験のないことではございませんが、事件が起きますと、必ずそこの事件の当該者が買収その他によっていなくなる。これは中小炭鉱の労働組合の不当労働行為の通例になっておる。これはきわめておかしなことですが、組合幹部が首を切られる、そこで不当労働行為の救済の申し立てをする、そこでいつの間にか切られた連中が承諾をする、そうして今度は反対の審問に立つ、こういう例は幾つもあるわけです。そこで私は、この問題は、かなり大きな問題であると考えて、今までも証人の証言の証憑力について、いろいろ申し述べたこともあるわけですが、この事件について、一つ徹底的に調査をしてもらいたい。それは不当労働行為の救済の申し立てをしておるからいいじゃないかということにならない。と申しますのは、その解雇された連中が、すでに会社側に立っておる、あるいはまた残った連中は暴力に会っておる、こういう状態でありますので、単に組合幹部の首切りだけではなくて、組合そのものが壊滅の状態になっておるわけです。ですから、この問題について一つ至急調査をしていただいて、後日の委員会で報告していただきたい、かように考えております。
  44. 中村三之丞

    中村委員長 次会は明日午前十時から開会することといたしまして、本日はこれにて散会いたします。     午後三時二十一分散会