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1955-05-06 第22回国会 衆議院 社会労働委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年五月六日(金曜日)     午前十時三十三分開議  出席委員    委員長 中村三之丞君    理事 大石 武一君 理事 中川 俊思君    理事 松岡 松平君 理事 大橋 武夫君    理事 山花 秀雄君 理事 吉川 兼光君       植村 武一君    臼井 莊一君       亀山 孝一君    小島 徹三君       床次 徳二君    山本 利壽君       横井 太郎君    亘  四郎君       越智  茂君    小林  郁君       高橋  等君    野澤 清人君       岡本 隆一君    多賀谷真稔君       滝井 義高君    中村 英男君       長谷川 保君    受田 新吉君       神田 大作君    堂森 芳夫君       山口シヅエ君    山下 榮二君  出席国務大臣         厚 生 大 臣 川崎 秀二君  出席政府委員         厚生事務官         (大臣官房会計         課長)     堀岡 吉次君         労働政務次官  高瀬  傳君  委員外出席者         専  門  員 川井 章知君         専  門  員 引地亮太郎君         専  門  員 浜口金一郎君         専  門  員 山本 正世君     ――――――――――――― 三月三十一日  委員臼井莊一君辞任につき、その補欠として大  森玉木君が議長指名委員に選任された。 同日  委員大森玉木辞任につき、その補欠として臼  井莊一君議長指名委員に選任された。 四月六日  委員臼井莊一君辞任につき、その補欠として菊  池義郎君が議長指名委員に選任された。 同月三十日  委員菊池義郎辞任につき、その補欠として臼  井莊一君議長指名委員に選任された。 五月四日  委員櫻内義雄辞任につき、その補欠として床  次徳二君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 四月六日  珪(けい肺法案(阿具根登君外十三名提出  参法第三号)(予)  労働基準法の一部を改正する法律案(阿具根登  君外十三名提出参法第四号)(予) 四月二十八日  麻薬取締法の一部を改正する法律案内閣提出  第一八号)(予) 同月五日  技能者養成機関助成費国庫補助に関する請願  (菊地養輔君紹介)(第二五号)  同外二件(佐々木更三君紹介)(第一一一号)  理容業界安定対策確立に関する請願(上林山  榮吉君紹介)(第三三号)  同(田中織之進君紹介)(第五七号)  上水道地盤変動対策事業継続施行に関する請  願(濱地文平紹介)(第三四号)  同(宇田耕一君外三名紹介)(第三五号)  同(生田宏一君外四名紹介)(第八七号)  公的医療機関整備資金融資に関する請願(松  浦周太郎紹介)(第四三号)  児童福祉施策是正に関する請願長谷川保君外  一名紹介)(第五六号)  社会保険に対する国庫負担金導入立法化等に  関する請願柳田秀一紹介)(第五八号)  国立療養所附添廃止反対に関する請願(長谷  川保紹介)(第七二号)  同(平岡忠次郎紹介)(第九四号)  同(松田竹千代紹介)(第一〇八号)  日雇労働者健康保険給付範囲拡充に関する請  願(愛知揆一君紹介)(第七三号)  戦没者遺族等援護強化に関する請願小坂善  太郎紹介)(第七四号)  同(愛知揆一君紹介)(第七五号)  同(早稻田柳右エ門君外一名紹介)(第八八  号)  美容師法制定に関する請願長谷川保紹介)  (第七六号)  同(並木芳雄紹介)(第九三号)  母子福祉法制定に関する請願福田赳夫君紹  介)(第九五号)  同外三件(倉石忠雄紹介)(第一〇九号)  国立療養所附添廃止反対等に関する請願(中  原健次紹介)(第一〇七号)  結核予防法の一部改正に関する請願鈴木善幸  君紹介)(第二〇号) 同月十四日  国立療養所附添廃止反対等に関する請願(山  崎始男紹介)(第一二七号)  同(石山權作君紹介)(第一二八号)  同(中村三之丞紹介)(第一二九号)  同(櫻内義雄紹介)(第一四七号)  国立療養所附添廃止反対に関する請願(井手  以誠君紹介)(第一三〇号)  日雇労働者生活安定に関する請願渡邊良夫  君紹介)(第一三一号)  戦没者遺族等援護強化に関する請願渡邊良  夫君紹介)(第一三二号)  同(下平正一紹介)(第一四五号)  同(原茂紹介)(第一四六号)  美容師法制定に関する請願清瀬一郎紹介)  (第一四八号)  同(園田直紹介)(第二〇〇号)  日雇労働者健康保険法給付範囲拡充に関する  請願河野密紹介)(第一五〇号)  失業対策事業費増額等に関する請願河野密君  紹介)(第一五一号)  医業類似療術行為期限延長反対に関する請願  (平田ヒデ紹介)(第一七四号)  同和問題に関する請願足鹿覺紹介)(第一  九九号)  上水道地盤変動対策事業継続施行に関する請  願(關谷勝利君外八名紹介)(第二一八号) 同月二十八日  理容業界安定対策確立に関する請願田中龍  夫君紹介)(第二三二号)  同(岡良一紹介)(第二六六号)  同(中川俊思君紹介)(第二九四号)  同(亘四郎紹介)(第三一八号)  戦没者遺族等援護強化に関する請願床次徳  二君紹介)(第二三三号)  同(倉石忠雄紹介)(第二六九号)  同(佐々木更三君紹介)(第二九七号)  母子福祉法制定に関する請願福永健司君紹  介)(第二六四号)  同(加藤品藏紹介)(第二六五号)  技能者養成機関助成費国庫補助に関する請願  (佐竹新市紹介)(第二六七号)  同外六件(中村三之丞紹介)(第二六八号)  同外一件(原茂紹介)(第二九六号)  受胎調節普及に関する請願野依秀市紹介)  (第二九五号)  国立療養所附添廃止反対に関する請願伊瀬  幸太郎紹介)(第二九八号)  同(稻村隆一君紹介)(第二九九号)  同(三輪壽壯紹介)(第三二二号)  国立療養所附添廃止反対等に関する請願(三  浦一雄紹介)(第三一七号) の審査を本委員会に付託された。     ――――――――――――― 同月十三日  授産施設増設費国庫補助に関する陳情書  (第一六号)  精神障害者医療費全額国庫負担に関する陳情  書(第一七号)  ビルマ戦没者遺骨収容に関する陳  情書(第一八号)  国民健康保険における医療給付費国庫負担等に  関する陳情書  (第一九号)  戦傷病者戦没者遺族等擁護強化に関する陳情  書外九件  (第二〇号)  けい肺法制定に関する陳情書  (第二一号)  技能者養成機関助成費国庫補助に関する陳情  書外一件  (第二二号)  同  (第六七号)  戦没者遺族等援護強化に関する陳情書  (第四九号)  内地部隊戦病死軍人及び軍属に弔慰金等支給  に関する陳情書  (第五〇号)  失業対策事業費全額国庫負担に関する陳情書  (第六八号)  国立療養所結核病床増設に関する陳情書  (第六九号)  漢方きゆう医術の立法化に関する陳情書  (第七〇号)  国立療養所附添廃止反対に関する陳情書外一  件(第八八  号)  生活保護法による医療費支払促進に関する陳情  書  (第八九号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  麻薬取締法の一部を改正する法律案内閣提出  第一八号)(予)  昭和三十年度厚生省関係予算説明聴取  昭和三十年度労働省関係予算説明聴取派遣委  員より調査報告聴取     ―――――――――――――
  2. 中村三之丞

    中村委員長 これより会議を開きます。  まず麻薬取締法の一部を改正する法律案議題とし、審査に入ります。厚生大臣より趣旨の説明聴取することといたします。川崎厚生大臣。     —————————————
  3. 川崎秀二

    川崎国務大臣 ただいま議題となりました麻薬取締法の一部を改正する法律案につきまして提案の理由を御説明申し上げます。  現在麻薬取締法によって取締り対象とされている麻薬は、同法別表に掲げるところでありますが、今般国際連合より同表第二十一号三—ヒドロオキシーエヌーメチルモルヒナン及びその塩類並びに第二十二号三—メトオキシーエヌーメチルモルヒナン及びその塩類のうち、右旋性のものについては、一九四八年の麻薬に関する国際条約第三条の規定に基き、麻薬から除外する旨の通告があり、その除外事由につき検討いたしました結果、これらのものは麻薬としての危害が全くありませんので、麻薬から除く必要があると考え、所要改正を行おうとするものであります。  以上がこの法律案提出する理由でありますが、何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いする次第であります。
  4. 中村三之丞

    中村委員長 本案は付託になったばかりでありますので、質疑その他の審議は次回以後に譲ることといたします。     —————————————
  5. 中村三之丞

    中村委員長 次に昭和三十年度厚生省関係予算につきまして、厚生大臣より発言を求められておりますので、これを許します。川崎厚生大臣
  6. 川崎秀二

    川崎国務大臣 昭和三十年度厚生省所管一般会計及び特別会計予算案についての御説明を申し上げます。  昭和三十年度厚生省所管一般会計予算要求額は八百三十六億五千八百七十五万九千円でありまして、これを昭和二十九年度補正予算を加えての予算総額八百三十八億一千六百三十七万六千円に比較いたしますと、一億五千七百六十一万七千円の減少となっておりますが、当初予算七百五十三億六千百九十四万七千円に比較しますと、八十二億九千六百八十一万二千円の増加となっております。またこれを一般会計予算総額に対比いたしますと、その八・三八%を占め、前年度の八・三六%に比べまして、むしろ微増を示しているのであります。  さらに、前年度予算中には、生活保護費の過年輩不足分及び災害関係臨時的経費合せて三十六億二千万円が計上されていたのでありますが、本年度におきましては、これらに相当する臨時的経費は、生活保護費及び児童措置費過年度不足分として十二億円が見込まれておりますほかは、少額の過年度災害復旧費が計上されているにとどまり、これらを通計いたしましても十二億一千余万円にすぎないのでありまして、これらの経費を控除して前年度に比較いたしますと、実質的には二十二億円余の増加となっているのであります。  次に、この予算のうち、特に重要な事項についてその概要を御説明申し上げます。  第一は、社会保険整備育成施策に必要な経費についてであります。社会保険は、社会保障制度の主柱をなす制度として、今日きわめて重要な意議と役割をになっておりますので、これを育成助長して参りますことの緊要なことは申すまでもないことであります。従いまして前年度に引き続いて各社会保険を通じて、その事務費全額国庫において負担することとし、これに必要な経費として四十億九千一百余万円を計上いたしますとともに、厚生年金保険及び船員保険の長期と失業の給付費に対しましても、従前と同様、その給付財源の一部を国庫において負担することとし、これに必要な経費として十四億八千三百余万円を計上いたしているのでありますが、本年度施策におきまして、特に重点となっておりますものは、一、まず政府管掌健康保険及び船員保険医療給付に対する国庫負担であります。政府管掌健康保険財政につきましては、前年度において約四十億円、本年度において三十億円の赤字が予想されるのであります。これは、医療機関普及発達に伴ってその利用度が高められたこと、医学の進歩による医療内容改善によって医療費が増高の一途をたどっているに反し、保険料収入デフレ施策の浸透に伴い鈍化傾向にあることに基因していると考えられるのであります。この赤字財政再建整備をはかりますための抜本的な施策は、学識経験者等斯界権威者をもって構成する審議会臨時に設置いたしまして、その審議を待ってこれを確定する予定でありますが、当面の前年度及び本年度赤字合計七十億円につきましては、国庫において負担することとしたのであります。ただ本年度において、その全額一般会計において負担いたしますことは、財政規模等から見て困難でありますので、さしあたり本年度においては十億円を負担し、残余の不足財源は一応長期借入金によって操作し、明年度以降において毎年十億円程度を借入金償還財源補てんのため、一般会計より厚生保険特別会計に繰り入れることといたしたのであります。これとともに、当面の不均衡な保険財源改善をはかるため、保険料率現行の千分の六十より六十五に引き上げるほか、標準報酬等級改訂を行うことを予定している次第であります。  船員保険におきましても、疾病保険部門の収支不均衡による赤字が約一億五千万円見込まれますので、健康保険と同様、この不足財源補てん国庫において負担することとし、とりあえず本年度においては二千五百万円、明年度以降においては毎年度本年度同額程度一般会計より船員保険特別会計に繰り入れることに予定しております。これとともに、健康保険と同様、若干の保険料率引き上げ標準報酬等級改訂等を行うことといたしておる次第であります。  第二、次は日雇労働者健康保険制度強化充実であります。同保険制度は、発足後いまだ日が浅いこと、その特異な雇用形態と被保険者が低所得階層に限られていること等のため、その給付内容一般健康保険に比して劣っておるのでありますが、創設後最近までの実施状況に照らし、これを政善することが適当と考えられますので、給付期間現行の六カ月より一年に延長いたしますとともに、新たに療養給付に歯科の補綴を加え、埋葬費及び分娩費等現金給付をも実施することにいたしたのであります。これらの給付内容向上の裏づけとして、従来と同様に療養給付費の一割を国庫において負担することとし、これがための経費として一億九千八百余万円を計上いたしたのであります。  第三、さらに国民健康保険につきましては、従前に引き続き、その健全な運営を助成することを目的として、療養給付費の二割に相当する金額を各保険者に対して助成交付金として補助するため、四十八億二千九百余万円を計上いたしますとともに、赤字保険者に対し前年度同様、その再建整備を促進するための貸付金として三千万円を計上いたしたのであります。  第二は、結核対策強化に必要な経費についてであります。過般の実態調査によりますと、わが国の結核患者は二百九十二万人と推計され、そのうち、入院を必要とするものは百三十七万人の多きに達していることが明らかにされ、その禍害の広さと深刻の度は想像以上のものであることが察知できるのであります。従いまして、結核撲滅施策を一段と強化することといたしたのであります。まず患者発生予防と発病の早期発見のため、健康診断及び予防接種強化徹底をはかることとしたのであります。すなわち、健康診断実施対象を、従来の学校、収容施設事業所等集団生活者指定地域の三十才未満の者より、学齢に達した者以上の全国民に拡大したこと、要注意者に対しては六カ月後に精密検査を新たに行うこととしたこと、最も感染のおそれのある患者家族予防措置強化、特に狭隘な住宅に家族と雑居している患者に対しては隔離療養室無償貸与制度を試験的に設けたこと、一般住民に対する健康診断及び予防接種費用減免率従前の一〇%から五〇%へと大幅に引き上げたこと等でありまして、これらの施策に必要な経費として約四億八千三百万円を計上いたしたのであります。また結核療養所病床につきましては、いまだ不足を告げている実状にありますので、国立一千床、公立三千六百床、法人立五千四百床、合計一万床を前年度と同様に増設いたしますとともに、結核回復者アフターケア施設二カ所を新たに設置いたしますほか、国立結核療養所の諸施設整備等に必要な経費として十一億三千六百余万円を、結核回復者アフターケア施設経営費不足財源に新たに二分の一の補助を行うに必要な経費及び国立結核療養所維持運営に必要な経費等として九十九億二百余万円を、従来と同様医療費公費負担に対する補助に必要な経費十六億一千二百余万円を、その他結核予防従事者の研修、実態調査等に必要な経費を含め、結核対策のため総額百三十一億五千五百余万円を計上いたした次第であります。  第三は、覚醒剤及び精神衛生対策推進に必要な経費についてであります。  一、ます覚醒剤対策につきましては、さきに内閣に覚醒剤問題対策推進中央本部を設けて、覚醒剤に対する総合施策の樹立と推進をはかって参ったのでありますが、さらに、取締りを一層強化いたしますとともに、広く国民ヒロポン禍害のおそるべきことの認識を深め、青少年の施用防遏に協力を求めるため、一段と広報活動を活発に展開することにいたしたのであります。特に、覚醒剤中毒者を収容してこれに必要な医療を行うため、精神病院に二千百床の病床を併設することにいたしたのでありまして、これら覚醒剤対策に必要な経費として、一億二千六百余万円を計上いたした次第であります。  二、次に精神衛生の面におきましては、患者保護の立場より、また公安上より見まして、保護収容すべき患者に比べて病床不足が顕著でありますので、公立及び法人立に二千二百床の増床を行いますほか、国立精神頭部療養所施設整備のための経費を含め、一億八千九百余万円を計上いたしたのであります。また、国立療養所の経営のための経費及び都道府県知事が本人の保護公安上の必要に基いて命令する措置入院経費並びに精神衛生相談所運営に要する経費等、七億三千三百余万円を計上いたした次第であります。  第四は、受胎調節に必要な経費についてであります。受胎調節は、最近における人工妊娠中絶激増傾向にかんがみ、従来、主として母体保護見地より、その普及指導をはかって参ったのでありますが、さらにこれを促進いたしますことが、人口対策見地からも緊急不可欠と認められますので、家族計画思想の一そうの普及徹底を図ることにいたしたのであります。このための施策として、さしあたり受胎調節普及度の最も低いと思われます生活困窮者に対しまして、受胎調節に必要な器具、薬剤等を無償または低廉な経費で提供することとして、三千二百余万円を新たに計上いたしましたほか、前年度に引き続き保健所が中心となってその普及指導を行なって参るために必要な経費として、二千六百余万円を見込みました次第であります。  第五は、水道施設等公衆衛生関係施設整備充実に必要な経費についてであります。  一、まず、公衆衛生基礎施設であります水道施設整備普及は、公衆衛生維持向上を期する上におきましてきわめて重要でありますので、その整備に意を用いてきたのでありますが、特に、下水道施設は、整備に巨額の経費を必要とするため、その普及がはなはだしく渋滞いたしておりますとともに、事業費の中に占める労務費が比較的高い事情等をも勘案いたしまして、本年度より緊急就労対策の一環として整備することとし、従前に倍する四億一千八百万円を計上いたしたのであります。また、飲料水に基因して消化器系伝染病の多発する農山漁村に対し、簡易水道の布設を助成するため六億四千万円を計上いたしましたほか、特別鉱害復旧臨時措置法及び臨時石炭鉱害復旧法に基いて特別鉱害及び一般鉱害対策事業に対し補助を行うに必要な経費並びに南海地方の震災に基因する地盤変動対策事業に必要な経費等一億六千五百余万円を見込んだのであります。  二、次に、公衆衛生第一線機関として重要な機能役割をになっております保健所につきましては、C級からA級への格上げを九カ所行いますとともに、老朽施設十箇所を改良整備し、さらに、エキス線等重要設備整備をはかる等のための経費として一億三千四百余万円を計上いたしまして、その機能強化に努める所存であります。さらに運営費におきましては、要員の充足状況を考慮して実人員を経費算定の基礎といたしました反面、給与の単価を実情に即して若干の引き上げを行うこととしまして、その所要経費十六億一千七百余万円を計上いたした次第であります。  第六は、国立病院等医療機関整備に必要な経費についてであります。医療機関整備につきましては、医療体系中枢機関としての国立病院をして、名実ともにその指導的役割効率的運営を遂行せしめるため、相当大幅な整備改善を行いますに必要な経費として十二億二千二百余万円を見込みましたほか、一般地方病院の需要に応じて貸し出しを行うため、ラジウムを設備するための経費一千六百余万円を新規に計上いたした次第であります。  また、公立一般病院につきましても、医療機関整備計画にのっとって、その整備を助成促進するため四千五百万円を計上いたしますとともに、引き続き国立病院の一部を地方へ移譲することとし、これを促進するための経費として一千八百万円を計上いたした次第であります。さらに無医村または医師不足町村の解消と国民健康保険の健全な運営に資するため、国民健康保険直営診療所整備拡充を行うこととして、これに要する経費として二億円、伝染病予防上必要欠くことのできない隔離病床一千八百六十六床の整備のための経費として一億五千余万円をそれぞれ計上いたしました。  第七は、生活保護に必要な経費についてであります、生活に困窮する者に対し、その最低限度生活を保障し、その自立を助成するために必要な経費でありまして、扶助の種類は従来と同様であり、保護基準につきましても、結核患者に対する栄養加算改善を行いましたほかは、従前と同様といたしているのであります。反面、不況の進行過程にかんがみ、保護人員は前年度補正予算算定基礎人員に対し、各扶助とも五%の上昇を見込んで所要経費の算定を行いました結果、扶助費は合せて三百四十三億九千四百余万円となり、前年度に比して十七億四千四百余万円の増加となっているのであります。しかしながら、旧軍人恩給及び日雇労働者健康保険実施に伴う減少見込額十九億円、前年度不足見込額十億円をそれぞれ加除いたしますと、扶助費の純計は三百三十四億九千四百余万円となり、かえって前年度より八億八千二百万円の減少となっているのであります。これは旧軍人恩給裁定進捗に伴う減少見込額増加が六億四千万円、過年度赤字計上分が前年度より十九億八千六百万円の減少となっているためであります。  右のほか、保護施設事務費に七億二千七百万円、生活保護法施行のための経費に四億三千余万円が見込まれ、これらすべてを合せまして生活保護に関する経費として三百四十六億五千二百余万円を計上いたした次第であります。  なお、保護実施につきまして、洩給または濫給の防止をはかってその適正な運用を期するとともに、指導的職員の資質の向上をはかるため、都道府県基幹要員人件費として全額国庫負担委託費を交付することとし、これに必要な経費として新たに八千九百余万円を計上いたしたのであります。  第八は児童保護に必要な経費についてであります。まず、措置費につきましては、施設増設に伴う児童増加を見込みますとともに、デフレ施策の影響をも考慮して、保育所及び母子寮援護率を若干引き上げることといたしましたほか、前年度不足分二億円を含めまして算定いたしました結果、その所要経費は五十六億四十余万円となり、前年度に比べまして八億三千余万円の増加となっているのであります。  また、盲児及び肢体不自由児等身体障害児に対し、育成医療を施し、あるいは義肢等補装具の支給を行うための経費児童相談所及び一時保護所運営に必要な経費並びに保母養成所に必要な経費等三億二千二百余万円を計上いたしているのであります。  第九は、世帯更生運動の推進に必要な経費についてであります。疾病、失業または事業の失敗等によって経済的破綻を来たし、あるいは自立の道を失って被保護階層に転落するおそれのある世帯に対し、その再起更生のため適切な指導を行いますとともに、必要な資金を低利で融資してその生活意欲を振起せしめて、自立更生をはかることといたしたのでありますが、その実施につきましては、都道府県をして都道府県社会福祉協議会を通じて、右に述べましたような生活困窮者に対し、自立更生に必要な生業、技能修得、事業継続及び支度等に必要な資金の貸付を行わせることとし、国は、これに必要な経費の二分の一を補助することとしたのであります。このための経費として、三千万円を計上いたしたのであります。  第十は、社会福祉施設整備充実に必要な経費についてであります。生活保護施設整備につきましては、養老施設に重点をおいてその増設整備をはかりますとともに、老朽施設の補修改良のための整備をもあわせて行うことといたしまして、これに要する経費一億八千二百余万円を、児童福祉施設におきましては、前年度に引き続いて保育所及び母子寮増設を中心としてその整備拡充を行うこととしまして、四億円をそれぞれ計上いたしておりますほか、身体障害者の更生援護施設、同和地区の生活改善をはかる総合福祉施設、公益質屋の整備等のため四千九百余万円を計上いたしたのであります。  また、民間社会福祉事業の振興をはかるため、昨年設立されました社会福祉事業振興会に対する出資金として、さらに一億円を計上いたしまして、民間の社会福祉施設整備充実を期している次第であります。  第十一は、戦傷病者戦没者遺族及び留守家族等援護のための経費についてであります。戦傷病者戦没者遺族等援護法に基く遺族年金、障害年金及び障害一時金の支給等に必要な経費といたしまして三十億四千八百余万円を、また未帰還者留守家族等援護法に基く留守家族手当、障害一時金及び療養費等に必要な経費として十四億二千七百余万円をそれぞれ計上いたしました。右のうち、遺族年金及び留守家族手当は、旧軍人恩給の公務扶助料の引き上げに対応して本年十月以降若干の増額を予定いたしておるのであります。また、療養の給付を受けるもののうち、大部分のものは本年十二月二十八日をもって法定の療養給付期間を経過することとなりますので、なお当分の間、これを延長することを予定しているのであります。  第十二は、引揚者の援護に必要な経費についてであります。昨年度中の海外からの引揚げ人員は、集団及び個別を含めて三千二百七十四人となっておりますが、中共及びソ連地区にはいまだ相当数の残留者が帰還を待望しているものと想像されますとともに、両地区とも残留者の帰還が引き続き期待されますので、一応集団三千人、個別五百人、戦犯釈放百人を予定いたしまして、その輸送、帰還手当の支給、食事、被服、日用品及び医療等の給与を行うに必要な経費のほか、集団収容施設の補修整備のための経費を含め六千九百余万円を計上いたしまして、その受け入れ援護に遺憾のないことを期しているのであります。  なお、引揚者の定着援護に必要な住宅施設につきましては、建設省所管に計上されております第二種公営住宅のうちより、八百五十戸を引揚者用に建設する予定にいたしている次第であります。  右に申し述べましたほか、らい予防及び国立らい療養所の経営費等、らい対策に必要な経費として十七億三千四百余万円を、法定伝染病予防費の補助として七億円を、アヘンの専売事業の円滑な運営をはかるために新たに設けられたあへん特別会計の固定運転資金に充てるため、同特別会計に対し繰り入れを行うために必要な経費として三千五百万円を、戦傷病者及び身体障害者に対し、更生医療実施または補装具の支給等、諸種の援護を行うために必要な経費として三億四千四百余万円を、母子世帯の経済的自立を助長してその福祉の増進をはかる母子福祉貸付資金に必要な経費として五億円等をそれぞれ計上いたしたのであります。  以上、昭和三十年度厚生省所管の一般会計予算のうち、若干の重要な施策につきまして御説明申し上げたのでありますが、このほか保健衛生、社会福祉の各費目につきましても、それぞれ所要経費を計上いたしておるのであります。  次に、昭和三十年度厚生省所管の特別会計予算の大要について御説明申し上げます。  まず第一は、厚生保険特別会計についてでありまして、さきに申し述べましたように、健康保険においては、前年度及び本年度赤字補てんするため六十億円の長期借り入れを見込みますとともに、収支均衡を失いました保険財政改善に資するため、保険料率引き上げ標準報酬等級の改訂を予定いたしております。また、日雇労働者健康保険におきましては、給付期間の延長と給付の改善を行うことといたしました。右に要する経費として、健康勘定におきましては、歳入歳出とも五百三十二億七千九百十二万円、日雇健康勘定におきましては、歳入歳出とも二十二億二千三百二十八万三千円、年金勘定におきましては、歳入四百五十億一千九百九十二万円、歳出九十二億九千五百六十二万八千円、業務勘定におきましては、歳入歳出とも二十八億三千五百六十一万四千円を、それぞれ計上いたしました。  第二は、船員保険特別会計についてでありますが、健康保険について申し述べましたと大体同様の措置をとることといたしておるのであります。これに要する経費といたしまして、歳入四十五億九千八百二十五万八千円、歳出四十億六千七百六十五万三千円を計上いたしました。  第三は、国立病院特別会計についてであります。さきに述べましたように、国立病院施設整備を行うために必要な経費を大幅に計上いたしましたほか、三億円の債務負担行為を計上いたしているのであります。前年度に引き続きまして、血液銀行、高血圧の治療センター、ガンの治療センターをそれぞれ若干個所整備いたしますとともに、もっぱら地方一般病院に対し貸し出しを行うためにラジウムを設備することといたしまして、これら総体の経費として、歳入歳出とも七十八億五千四百六十六万八千円を計上いたした次第であります。  最後は、あへん特別会計についてであります。あへん法に基いてアヘンの輸入、売り渡しの事業を独占的に行うため、昭和三十年七月一日を期して設置することといたしており、本年度は、輸入三十五トン、国内産の収納二・五トン、製薬原料としての売り渡し三十二トンを予定いたしまして、所要の収支を見込みました。すなわち、歳入歳出とも一億九千六十三万七千円を計上いたしました。以上、昭和三十年度厚生省所管一般会計及び各特別会計の予算につきまして概略御説明申し上げたのでありますが、何とぞ本予算案の成立につきましては、格別のお力添えをお願い申し上げる次第であります。(拍手)
  7. 中村三之丞

    中村委員長 次にただいまの説明の補足説明を堀岡会計課長より聴取いたしたいと存じます。堀岡政府委員
  8. 堀岡吉次

    ○堀岡政府委員 ただいま大臣から御説明申し上げましたことについて、お手元にお配りいたしました横刷りの「厚生省所管予算要求額事項別調」という印刷物によって、概略御説明申し上げたいと思います。三、四枚めくっていだだきますと、ページの打ってあるところがありまして、事項別内訳と書いてあるところがございます。そこから事項別に申し上げたいと思います。  第一番に、人口対策費でございますが、このうち、1の人口問題審議会は、審議会の経常経費であります。  それから2は別段申し上げることはございません。  3は、先ほど大臣が説明しました生活困窮者受胎調節普及事業費補助金であります。対象としましては、大体二十万人を予定いたしております。  次に二の医薬分業関係費につきまして、御説明申し上げます。そのうちの1は医薬関係審議会経費でございます。これは別段御説明申し上げませんが、2以下の2、3、4、5、6、これまでは医薬分業の実施が来年の四月一日になりますので、その間までに必要な調査をするための経費でございます。先般の新医療費体系と申しますか、それらの調査に、いまだ欠けておる点の調査をやって、より充実した調査を行いまして、医薬分業の実施の資料としたいという意味で、五つの調査をする費用を計上いたしたのであります。  三は特別に申し上げることはございません。  四の国際会議その他諸費のうち、3の諸会議費としまして、アジアの盲人会議と東南アジア歯科学術会議、それから家族計画会議というのが、それぞれ三十年度において日本において開催されますので、それに要する若干の経費を新規に計上いたしたのであります。  次は三ページの五、国立公園等運営費でございます。ここでは別段申し上げることはございませんが、在来国立公園の整備補助金としましては、都道府県補助金を交付して、それによって設備の整備をやっておったのでありますが、本年からこれを直轄に——国立公園はそもそも今まで直轄でありますので、直轄の経費に組みかえたという点だけで、その他別段に御説明申し上げることはございません。  それから四ページの六の厚生統計調査費といいますのは、厚生省の統計調査部において所管いたします調査の費用でございますが、先ほど医薬分業関係で申し上げました経費は、ここに含めて統計調査部関係で一部行うことにいたしております。  七の優生保護の優生手術交付金、これは前年度と同様であります。  八の結核対策でございますが、結核対策国立の一千床、それから内訳はその備考欄に記載してあります通り、公立においては三千六百床、法人においては五千四百床。在来昨年までは三千六百床社会保険で行なっておりましたが、健康保険赤字でございますので、それほどの余裕がございませんために、これはいたさないということにいたしております。  次の2が療養所の運営費、これは国立の療養所の運営費でございますが、二十九年度において一千床増加いたしておりますので、それの経営費がふえるわけであります。なお、さらに三十年度に一千床増床いたしますので、それの経営費三カ月分を計上いたしておるのであります。なお、ここに特段記載いたしておりませんが、つき添い看護婦が、療養所の直轄の常勤の労務者をもってこの仕事をさせるということを計画いたしておりまして、その二千二百七十人分の三ヵ月分の経費をこの中に計上いたしております。明年昭和三十一年の一月以降において実施する、それまでの備準期間をおいてやるという予定でおります。それから2の公立法人立がゼロになっておりますのは、在来公立赤字補助を計上いたしておりましたのを、本年は計上しないということのためであります。3の健康診断でありますが、先ほど大臣から御説明申し上げました通り、年令の三十才以上の制限を撤廃いたしますので、大幅に実施人員がふえるわけでございます。なお、それに伴いますところの保健所のレントゲン自動車の設備をするということのために、診断費におきましては経費増高を予定いたしておるのであります。次に4の予防接種費は、これも健康診断実施人員がふえますので、それに伴いまして経費を計上いたしたのであります。それから5の訪問指導費でございますが、健康診断をやりますので、患家指導、これが結核の蔓延する一番原因といわれておりますが、その患者家族指導するということのために見込まれる人員が多いので、人数の増による金額でございます。それから五ページの一番下の医療費でございます。公費負担の問題でございますが、公費負担には新規に外科手術に伴うエキス線検査というものを見込んだのであります。範囲は、それ以外は在来通りであります。金額的に減少いたしておりますのは、パスとかあるいはヒドラジッドというふうな薬価の軽減を見込んだものでございます。  8の居宅隔離室設置といいますのは、これも先ほど大臣から御説明申し上げましたが、一戸当り一・二坪の移動式の簡単な隔離室を作ってモデル・ケースとしまして、一県五十戸、全国二千三百戸程度を二分の一補助でもってやってみたい、こういう新規のケースとして行いたいと考えております。  10が結核回復者保護費、これは在来通り二カ所新規に作っていく。運営費につきましては、府県が運営いたしておりますが、非常に経営費に苦慮いたしておりますので、新規に二分の一の補助をするという予算を計上いたしたのであります。  それから結核関係のその他につきましては、それぞれ備考欄に記載しておりますので、特段ここで申し上げることもないかと思います。  次は八ページ、めくっていただきまして九の精神衛生対策であります。まずベッドの増でありますが、精神関係は昨年二千百床の増床をいたしましたが、本年は四千三百床の増床を予定いたしております。なお、この中には問題の覚醒剤関係の分として、それを二千百床含めて考えております。  運営費は、国立運営費は別段申し上げることはございません。公立についても、これは赤字補助を取りやめたのです。  それから三番目の精神衛生費の補助、これは措置病床数を若干上昇を見ましたし、なお、在来ベッドもふえておりますので、それによって増加を来たしたのであります。相談所は特段申し上げることはございません。  十は覚醒剤対策でありますが、1の覚醒剤中毒者の収容病床整備費は、先ほど精神関係のところで一般的に御説明申し上げましたのを、さらにここに記載しただけでございます。  2の覚醒剤問題対策推進中央本部費、これも先ほど大臣から説明されました中にありました推進本部の費用でございます。3が啓発宣伝の費用として六百万円を計上したのであります。  それから次に行っていただきまして、十ページの十一のらい対策でありますが、らいについては、特段申し上げることはございません。ただ2の療養所整備費としまして、らいにつきましては奄美の和光園に百五十床増床をいたしております。奄美復帰後、らい患者の調査をいたしました結果、若干増床をしなければならぬ、内地にいまだ収容の余地はありますが、奄美大島のことでありますので、らい患者は寒い所へ移しますと健康上よくないということで、奄美につきましては特に百五十床増床をするという予定でおります。その他特段に申し上げることはございません。  (6)のらい研究所の費用も、昨年三千万円が千二百万円になって大幅に落ちておりますのは、これは昨年度建設いたしましたためにその建設費がないので、それだけ減額しておりますが、中身は変りありません。  十二番目は伝染病予防対策費でありますが、これも特段申し上げることはないかと思います。  次は十三番目の保健所費でございます。まずその運営費につきましては、人員は、先ほど大臣から御説明申し上げましたが、充足率を本年度は七二%の人間が充足されるという予定で予算を計上いたしております。ただ、予算単価につきましては、昨年の十四万五千二百六十円を本年度は十七万七千七百八十円ということに引き上げております。  それから次は十二ページをめくっていただきまして、3の施設整備費とございます格上げ、C級からA級九ヵ所は、昨年新設は十ヵ所いたしておりましたが、今年度は新設は一年見合せるということで、格上げ九ヵ所、それから新しく老朽建物の改築を認めて、それを十ヵ所分だけ計上いたしたのでございます。  それから優生保護相談事業費補助金は、人口問題でありましたが、計上の個所を保健所費のところにまとめて計上しようというために、ここで再び計上いたしたのであります。  十四番の性病予防費につきましては、特段申し上げることはございません。  十五番の公衆衛生関係施設整備費、これについても別段申し上げることはございません。  十六番は、水道施設関係の整備でございます。第一番の簡易水道でございますが、簡易水道の六億四千万円は、昨年の当初と大体同額になるかと思います。  それから2の緊急就労対策下水道事業費、これは先ほど大臣から御説明申し上げましたような次第でございまして、倍額の四億一千八百一万六千円を計上いたしております。別途北海道の開発関係については、北海道開発経費として二千七百万円程度をその方面に計上いたしております。  それから3、4はそれぞれ法律に基くものでありまして、前年度に引き続きまして計上いたしております。  それから5の地盤変動は、先ほど大臣から御説明申し上げました南海大震災関係の残りの分であります。それから過年度災害分は、これも昨年の災害の分で、これは別段申し上げることはございません。  上水道につきましては、在来補助金を四千万円程度毎年計上いたしておりましたが、総体の事業費が百何十億というような膨大なものでありまして、きわめて僅少の補助金であります。問題の中心は、起債の問題でありますので、本年度補助金としては予算に計上いたさなかったのであります。  次の十七番の食品検査費については、特段申し上げることはございません。  十八番の公的医療機関整備費、これは大体1は前年と同程度の金額でございます。  それから2の旧国立病院整備補助金は、新規に千八百万円計上されておるようにお受け取りと思いますが、実はこれは昨年当初予算にありましたが、補正予算の際に不要を見込みましてゼロにいたしましたので、昨年の補正後の予算と比較いたしますと新規の形になっておるというものでありまして、国立病院の移譲ができますならば、その際の補助金として使うという予定のものでございます。特に新しくやったというものではございませんので、念のため御説明申し上げておきます。  それから十九番の国立病院特別会計へ繰り入れ十三億円、これも大部分は国立病院整備費でございます。その点は裏の十六ページの上段に記載をいたしております。なお、ラジウムの購入費一グラム千六百五十万円、これは大体主として外部に貸付をしたい。もちろん余裕があれば病院で使うわけであります。  それから事項ニ十番の国家試験費でございますが、これについては特段新しいこともございません。  それから二十一番の有機燐酸製剤対策費二十五万円、これは非常に少額な金額が新規予算として計上されておりますが、例の農薬のパラチオンの技術員の技術講習をやるための費用を計上いたしたのであります。  二十二番のあへん特別会計へ繰り入れについては、これも先ほど大臣から御説明申し上げました通り、新規に本年度からは四月以降あへん特別会計を作りまして、これの金で買い、売り払い、その売払代金でまた売り払うということで特別会計を創設する、そこへ流用するということで、三千五百万円を計上いたしたのであります。二十九年度につきましては、一般会計で約一億円の金額でなまアヘンを買い上げしたのでありますが、三十年度におきましては、ただいま申し上げましたような特別会計において操作をしたい、こう考えた次第であります。  それから二十三番の特殊医薬品買上諸費、これは伝染病の際の医薬品の買い上げでございます。これが一億円大幅に減額をいたしたようになっておりますが、この一億円は昨年度はなまアヘンの買い上げの一億円であったのであります。  二十四番、麻薬取締諸費、これの麻薬取締員交付金は単価の増でありまして、その他特段に申し上げることはございません。  次に十八ページを見ていただきます。事項ニ十五番、生活保護費でございますが、基本的な考え方は先ほど大臣から申し上げた通りでありまして、三十年度補正予算の際の人員の五%の増を見込む、単価はそれぞれ前年度補正予算のときの単価をそのまま使う。ただ栄養加算の点は先ほど大臣から御説明申し上げましたが、月四百三十円を月七百二十五円に三十年七月一日以降実施したい、これらの考えで計上いたしております。大臣から御説明申し上げた通り、恩給等の減少なり、あるいは前年度不足分なり、それぞれ差し引きまして、形の上では前年度から見ると八億五千万円ばかり減額になります。  それから事項ニ十六番の生活保護監査指導地方公共団体委託職員、これは五百八人——これは府県の幹部職員だけでございます。生活保護実施は、全国的な同一方針でやるべきことと、それからもう一つは、生活保護の施行に当ります幹部職員につきましては、ある程度そういう事業に数年間従事した人であるとか、そういうことを要求したいというふうなこともありまして、全額国庫負担の委託職員を置くことに本年度新規に計上いたしたのであります。これは地方交付税交付金にあるものでございます。  二十七番、身体障害者対策、更生医療それから補装具の給付、これは予算経費に従いまして対象人員から割り出したものでございますが、別段申し上げることはございません。それから戦傷病者の分につきましても予定経費に従いまして進めておりますので、別段申し上げることはないかと思います。  それから二十ページの中で事項7の国立光明寮と9の国立保養所は、金額が六百万円ないし八百万円の減額になっていますが、二十九年度施設費関係が完成いたしまして、その点が落ちておるので、大幅に減っておるものであるというふうに御了承願えばいいかと思います。  それから二十一ページの一番上に書いてございます事項10の身体障害者実態調査費というのが、新規に百三十二万二千円計上いたしております。これは今から数年前に身体障害者の実態調査をやりまして、数年経過しておりますので、その実態を把握するために新しく調査をする、そういうための経費を計上いたしております。  二十八番、消費生活協同組合貸付金は、大体前年度と同様であります。  二十九番、社会福祉施設整備、1、社会福祉施設補助は別段申し上げることはございません。公益質屋は前年通り、地方改善施設補助も特段申し上げることはございません。  三十番の例の振興会の出資金でございますが、とにかく一応一億円ということで、昨年より七千万円の増ということで計上しております。  それから裏を見ていただきまして、二十二ページの三十一番の事項、世帯更正運動補助、これは新規でございますが、先ほど来大臣からるる御説明申し上げましたようなボーダー・ライン層の人々に対するいわば立ち上りの資金の貸付ということが実体でございます。テスト・ケースでもございますので、金額は三千万円、若干ではございますが計上いたしたのでございます。  三十二番の災害救助費でございますが、第一番の災害救助補助金が、昨年より二億八千万円減になっておりますが、昨年の三億五千万円は、二億八千万円過年度赤字を計上いたしておったのでございます。災害救助補助金は例年七千万円を予算に計上してあります。災害の発生の際は、まっ先に予備金支出を行なって今まで参っておりますので、そういう意味のものと御了承おきを願いたいと思います。  三十三番、児童保護費でございます。1の措置費補助金でございますが、これは備考欄に記載しておりますように、援護率保育所関係につきましては三〇%から三六%、母子寮につきましては六〇%から六三%に増額をいたしております。それから人員につきましても、もちろん施設の数がふえておりますので、それに相応する人員を認めております。その他の単価補正はやっておりません。なお、この中には別途二十九年度赤字として二億円を計上いたしてございます。  それから2、3、4、5、6、7、この辺は特段御説明申し上げることはありません。大体前年度と同様でございます。  裏をめくっていただきまして、二十四ページの季節保育所設置補助金、これは昨年三千万円を計上いたしておりましたが、本年度は一応見合せるということで、計上いたさなかったのでございます。それから9、10は特段申し上げることはありません。  それから事項三十四番、二十四ページのまん中でございますが、児童福祉施設整備四億円、これは若干減額いたしてございますが、四億円計上いたしてございます。  それから三十五番の母子福祉貸付金、これが昨年から見ますと七千万円の減額でございますが、御案内のようにこれは貸付金が返還されておりますので、府県の特別会計に運営される金額はだんだんふえておる、こういうことでございます。母子福祉貸付金は、償還が非常によろしいのでございまして、そういう関係で、本年におきましては一応この関係の特別会計としては、この程度で十分できるのではないかと思っております。  三十六番社会保険国庫負担金でありますが、1、厚生保険特別会計繰入のうち、業務取扱費財源、これは特別会計の事務費でございます。他会計繰入、これは郵政特別会計への繰り入れであります。庁舎新営費、公務員の宿舎、特段申し上げることはございません。  それから福祉施設費財源ということでゼロとありますのは、これは先ほど結核の方でちょっと申し上げましたが、社会保険の方は赤字でありますので、三分の一を一般会計からもらって、三分の二を自前財源でつくります。結核ベッドの新設は本年取りやめるということでゼロといたしておるのであります。  それから次が、健康保険給付費財源として十億円、これについては大臣からさきに御説明申し上げました通りでございます。昨年度の四十億、本年度の三十億、通じて七十億の赤字を見込まれております。それにつきまして一般会計から十億円、長期債でもって六十億、その六十億につきましては、次年度以降十億円ずつ一般会計から繰り入れる、こういうことで計上いたしたのであります。  それから日雇保険の財源につきましては、これは一番下の備考欄を見ていただきますと、そこに記載いたしてある通り、新規につきましては埋葬料と分娩費を、現金給付として新規に認めております。歯科の補綴も、在来認めておりませんでしたが、これも新規に認める。給付期間につきましては六ヵ月を一年に延長する。そのことに要する給付費がふえます、それに対する一割の国庫負担がありますので、それを計上いたしたのであります。  それから裏をめくっていただきまして、二十六ページの厚生年金保険給付費財源、これが昨年度より三億九千万円増加いたしております。これは御案内の厚生年金保険給付が、毎年ふえていくのは当然でありますので、それに伴う法定の国庫負担金を見込んだ、こういうことでございます。  その次に、日雇健康保険施設費財源繰入といたしまして、昨年度は百十八万円ありましたものを本年ゼロといたしました。これは、実は日雇健康保険が昨年新しく出発いたしまして、簡易診療所を作ったのであります。その財源を一般会計繰り入れでいたしておったのでありますが、給付期間を延長いたしますので、これらは本年度一般会計から財源等はやらないということで計上いたさなかったのであります。次は2の船員保険特別会計繰入でございます。これも先ほど来申し上げました厚生年金保険特別会計繰入の問題と同様でございます。この船員保険特別会計繰入の業務取扱費財源、その次の保険給付費財源、この中に、健康保険赤字に相当する分として二千五百万円を予定いたしております。なお、船員保険の方は長期債は取り上げておりません。長期資金そのものは、船員保険では一体として運営されておりますので、長期債の起債をいたさなかったのであります。  次の、福祉施設費財源ゼロとありますのも、結核ベッドであります。先ほど来申し上げたと同様赤字でありますので、結核ベッドを作ることは全然やめるということのために、ゼロということにいたしたのであります。  事項三十七番の健康保険組合補助、1の事務費は、組合の事務費政府管掌の一人当り単価でやった金額を計上いたしたのであります。  2の結核病床整備補助金ゼロとありますのも、政府管掌で申し上げたと同様であります。健康保険組合におきましても手元不如意でありますので、三分の一の補助金をもって三分の二の自前財源を出して結核ベッドを作ることは、本年度は見合せるということでございます。  三十八番の国民健康保険助成費でありますが、1の助成交付金は、問題は一件当り点数、一点当り単価、それから被保険者数ということでありますが、一件当り点数、一点当り単価につきましては、それぞれ若干の増額を見込んでおります。被保険者数につきましては、前年度予算に二千七百二十八万五千人を計上いたしたのでありますが本年度は二千六百八十五万六千人を計上しております。ただ二十九年六月の実績が二千五百二十三万一千人ということでありますので、それに増加を見まして二千六百八十五万六千人ということで大体足りるのではないかということで、こういうふうに見ておるのであります。  二十八ページをめくっていただきまして、事務費補助金でございますが、これは単価に被保険者数をかける、単価は前年度と同額でございまして六十二円三十銭、それに被保険者数をかける、被保険者数の減が金額の減になっております。  保健婦設置費につきましては、これは若干の人員の伸びを見ております。  それから3の直営診療所建設費、これは昨年度三億八千万円でありますが、本年度はだんだん施設も完備してきておりますので、二億円を計上いたしたのであります。再建整備貸付金、これは法定によるものでございまして、だんだん減って参りましたが、一応三千万円を計上いたしております。  指導監査委託費と申しますのは、府県に委託した府県の職員の活動費でございます。  三十九番の引揚援護事業でございますが、先ほど大臣から御説明申し上げましたように、引き揚げ人員の見込みをどうするかという問題で、これははっきりつかめないのでありますが、一応集団を三千人個別及び戦犯釈放者等を想定いたしまして、中身はおよそ前年度と同様でございます。  2の引揚者集団収容施設補修費補助金、これは新規の予算でございますが、北海道にあります集団収容施設が非常に腐朽しておりますので、これの整備補助金を新規に計上いたしたのであります。  それから四十番の留守家族等援護費、これは一般の留守家族等援護につきましては、軍人恩給のベース・アップに伴ってスライドしまして、大体月五十円を十月一日から増すということで計上いたしております。  なお、先ほど大臣から御説明申し上げました療養費につきましての期間延長と申しますのは、本年十二月二十八日でもって期限が切れるということでございますので、それを当分延長する分を計上しております。  それから四十一番の戦傷病者戦没者遺族等援護費、この遺族年金につきましてもべース・アップ等でスライドする関係上、それの五ヵ月分を計上いたしております。なお三月分につきましては、翌年度からになりますので、これは三十一年度に持っていこうということでございます。  それから三十ページの中で特に御説明申し上げておきますが、3の障害一時金というのは、新規の形で予算上計上されておりますが、これは法律上ちゃんとこういうものがありまして、今までも支給しておったのでありますが、在来はこういう特別の目分けはしないで実行しておったのであります。それを本年度予算上、目分けをしたということでございまして、中身につきましては前と同じであります。  それから次は四十二の事項、旧軍人遺族等恩給進達事務処理費でありますが、これは二十九年度大幅に進捗いたしましたので、相当額減額するということでございます。  大体おもな経費は以上でございます。  それから特別会計の方は、別段特に申し上げることもないかと思いますが、アウト・ラインは先ほど来申し上げましたので御了解願いたいと思います。  健康勘定でありますが、一、の健康保険料の収入は、摘要に詳細に記載いたしておきました。標準報酬はどうなっておるか、保険料率の引上げ、千分の六十を千分の六十五にするということは、ごらん願えればおわかりになると思います。それから一般会計よりの受け入れも、先ほど申し上げた通りであります。それらにおきまして五百三十二億の歳入でありまして、給付費は先ほど来申し上げた通りであります。  それから日雇いにつきましても、変ったところは給付の延長だけであります。それから特二の裏にいきまして、歳出は先ほど来申し上げた通りでございます。  特三の年金勘定は特段に変更をいたしたことはございません。法定のものをそのまま計上いたしただけでございます。  それから特四、特五については、特に申し上げることはございません。  それから特六の船員保険特別会計でございますが、これも別段申し上げることもございません。大体前段に申し上げたことを特別会計として新しく設けたわけでございます。  それから特七の国立病院特別会計でございますが、これも別段申し上げることはないかと存じます。  それから特九のあへん特別会計につきましては、これも大体一般会計で御説明申し上げましたものを、特別会計としてここに記載いたしたのでございます。  非常に取り急ぎました御説明で恐縮でございますが、以上で終りたいと存じます。     —————————————
  9. 中村三之丞

    中村委員長 次に昭和三十年度の労働省関係の予算につきまして、高瀬労働政務次官より説明聴取いたしたいと存じます。高瀬労働政務次官
  10. 高瀬傳

    ○高瀬政府委員 今回提案されました昭和三十年度一般会計及び特別会計の予算中、労働省所管分につきましてその概要を御説明申し上げます。  まず第一に、一般会計におきましては、歳入において、総額三億十五万九千円で、前年度の二億三千四百十九万四千円に比較して、六千五百九十六万五千円の増加となっておりまして、この主たるものは、国家公務員等退職手当暫定措置法に基いて受け入れる特別会計等の失業者退職手当負担金であります。一方歳出におきましては、総額三百三十九億七千七百三十三万八千円で、前年度の二百九十二億六千八百五十七万三千円に比較して、四十七億八百七十六万五千円の増加となっております。なお、このほかに建設省所管の官庁営繕費に五千六百三十二万七千円を労働省関係分として計上いたしておるのであります。  次に、この歳出の内容について概略を申し上げますと、その一は、失業対策の拡大強化であります。経済諸施策の進展に伴いまして、失業情勢は必ずしも楽観を許さない実情にありますので、現行失業対策事業のワクの拡大をはかり、これを再編成するとともに、新たに特別失業対策事業として建設的な事業を大規模に実施するのほか、失業保険制度改善し、適用範囲の拡大、給付内容の適正化等の措置を講ずることによって失業者の生活の安定を期することとし、これに必要な経費として失業対策事業費補助百六十八億二千万円、失業保険費負担金百十七億四百万円、政府職員等失業者退職手当三億六千万円、合計二百八十八億八千四百万円を計上いたしております。  その二は、労使関係の安定促進であります。国民経済の自立達成を期するためには、労使関係の安定をほかり、産業の平和を確立することが強く要請されている現情にかんがみまして、民主的労働組合を育成し、健全な労使関係を発展助長するため、労働教育の整備充実をはかるとともに、労働組合の福祉厚生活動の促進、労働金庫の適正なる運営等の施策を強力に推進することとし、これに必要な経費として六千百七万五千円を計上し、なお労使関係の合理的かつ円滑なる調整をはかるため、中央労働委員会並びに公共企業体等労働関係調整委員会に必要な経費として一億一千二百六十三万五千円を計上いたしております。  その三は、労働経済に関する統計調査の整備充実であります。労働経済に関する統計を迅速かつ的確に収集整備してこれを分析し、労働行政施策基礎資料とするとともに、労使その他関係方面に提供し、紛争議の合理的解決、生産の増強等に寄与するため、前年度に引き続き毎月勤労統計、労働生産性統計、職種別賃金実態調査及びその他労働事情に関する統計調査を実施するほか、新たに地域的に発生する失業情勢を迅速的確に把握し、失業対策に万全を期するため、地域別等就業失業調査を実施することとし、これに必要な経費として一億八千九百十九万九千円を計上いたしております。  その四は、労働関係における国際協力の強化であります。国際労働憲章に規定されいる義務を履行し、積極的にこれに協力するために必要な分担金及びILO関係の諸会議への出席旅費等の経費並びにわが国の労働事情に関し海外広報活動実施するための経費として、九千五万九千円を計上いたしております。  その五は、労働保護行政の円滑なる運営の確保であります。労働者の保護と福祉を積極的に推進し、労働生産性の向上をはかるため、労働基準行政を一段と刷新整備するとともに、産業災害の防止と、職業病けい肺等この種疾病の特殊性にかんがみまして、これが予防及び特別保護の方途を講ずるほか、中小企業における労働者の技能水準の向上をはかるため、技能者養成施設に対し助成を行うこととし、これに必要な経費として十二億五千七百二十四万六千円を計上いたしております。  その六は、婦人及び年少労働者の保護助長であります。婦人及び年少労働者の特殊性にかんがみまして、これら労働者の保護と福祉の増進をはかるとともに、一般婦人の社会的地位と生活向上をほかるため、地方婦人少年室の行政機能強化するほか、前年度に引き続きまして、各種調査の実施、啓蒙資料の発行等を行うための経費として、六千百十万九千円を計上いたしております。  その七は、就職の促進と職業補導事業の拡充であります。現下の雇用情勢にかんがみまして、就職の促進をより一層強力に実施する必要がありますので、公共職業定安所の職業あっせん機能強化してこれが効率的運営をはかるとともに、産業界の要求する技能労働力の円滑なる需給調整をはかるため、前年度に引き続き一般公共職業補導所を運営するほか、新たに家庭婦人、未亡人等を対象とする家庭内職、家事サービス等の職業補導事業を実施することとし、これに必要な経費として、三十億百十九万二千円を計上いたしております。  その八は、その他一般行政事務に必要な経費であります。如上の経費のほか、大臣官房等における行政事務費として、三億二千八十二万三千円を計上いたしておるのでございます。  第二に、労働者災害補償保険特別会計につきまして申し上げます。この会計の歳入歳出は、いづれも二百三十二億五千六百七十三万円で、前年度の二百四十億四千八百二万九千円に比較して七億九千百二十九万九千円の減少となっておりまして、歳入の主たるものは、保険料収入の二百九億九万九千円と、支払い備金受け入れの十五億円であります。また歳出の主たるものは、労働者災害補償保険給付費の百七十五億三百五十五万一千円でありますが、本年度は労働者の業務災害被災者に対する療養給付の適正充実をはかるため、前年度に引き続き労災病院の整備拡充を行うとともに、懸案事項でありましたけい肺病罹災者等の予防及び保護強化するため、近く今国会に提出を予定しておりますけい肺等予防及び特別保護に関する法律に基き、けい患者及び外傷性脊髄損傷患者に対する療養、休業、配置転換給付並びに、けい健康診断実施する等のため、十二億八千四百六十五万五千円を計上いたしております。  第三に、失業保険特別会計につきまして申し上げます。この会計の歳入歳出は、いづれも四百五億九千三百五十八万四千円で、前年度の四百二億九千六百五万一千円に比較して二億九千七百五十三万三千円の増加となっておりまして、歳入の主たるものは、保険料収入の二百五十億六千七百五十八万二千円と一般会計より受け入れの百十七億四百万円であります。また歳出の主たるものは、失業保険給付費の三百四十二億四千二百万円でありますが、特に本年度におきましては、本会計の積立金より生ずる運用利子収入のおおむね二分の一を充当することにより、労働者の福祉増進をはかるため、職業補導施設及び宿泊施設等の保険施設を拡充整備することとし、これに必要な経費として五億五千万円を計上するのほか、失業保険法の一部を改正し、適用範囲の拡大と保険給付の適正化をはかることといたしております。  以上をもちまして、労働省所管関係予算の大要の説明を終ります。何とぞよろしくお願い申し上げます。
  11. 中村三之丞

    中村委員長 なお本件につきまして御発言もあろうかと存じますが、これは次回以後に行うことといたします。     —————————————
  12. 中村三之丞

    中村委員長 次に、先般のソ連地区からの引き掲げに際し、委員を派遣してその援護状況を視察して参ったのでありますが、その報告を私が派遣委員を代表して簡単に御報告いたす予定でございましたが、時間もだいぶ経過いたしましたので、その報告を会議録に参照として掲載いたしたいと存じますから御了承を願います。  次会は公報をもって通知いたすこととし、本日はこれをもって散会いたします。     午前十一時五十九分散会      ————◇—————