○長谷川(保)委員 これは非常に大事なことでありまして、ただいまお話の点をどうか——多分全国の私的な社会福祉施設、児童福祉施設に勤めておりまする職員やあるいは経営者の方は、今のお言葉を非常に重大なものとして受け取ると思うのであります。また非常な希望と喜びとをもって受け取ると思うのであります。どうか今日の
厚生行政におきましては、同じように公的なものと相並んで、ときによっては公的なものよりもはるかに徹底してりっぱに、その不十分な施設の中におきましても、非常な努力をして働いておりまするそれらの人々が、今の言葉を非常な期待と喜びとをもって聞くということをお
考え下さって——今日の実情におきましては、残念ながらさようにはなっておりませんで、公的なものと私的なものと非常に差別があるということをお
考えいただいて、今後の
厚生行政に十分な御尽力をいただきたいと思うのであります。
ほぼ同様な面で、
生活保護の点でもいろいろな問題がございます。ことに
生活保護の中の大きな問題でありまする
医療扶助の面で、やはり最近
医療扶助の適用を非常にきびしくいたしました。先日もあるところへ参りましたところ、そこで聞いたことでありますが、御主人が
結核になって寝ていらっしゃる。それを入院させる。どうやら入院をさせたのでありますが、ところが細君が子供を一人かかえて一生懸命に働いてかせいで参りますものは、親子二人の生活をささえるにようやっとだと私どもには
考えられるわずかなものでありますが、この
医療扶助の適用の基準を非常にきびしくいたしまして、その中からなお相当額の入院料の一部
負担をせよということを言われた。社会福祉主事がそう言って参りました。その細君が、どうしてもこれでは子供をかかえて生活ができないじゃありませんか、どうやってこれで生活しますかと言ったときに、さすがに社会福祉主事も、できないことはわかっていますが、
医療扶助の適用の基準がやかましくなって、どうしてもこれだけ納めてもらわなければならぬのですよ、生活が苦しいのはわかっておりますけれども、そういうように上から言われておりますので……、こういうことで応対をした。わかりましたと言って、その夫人が帰っていこうとした。あまりけしきばんで、わかりましたと言うて帰っていきますので、心配をして社会福祉主事がとめて聞いた。あなた、非常にかたいお顔をして帰っていくけれども、どういうつもりですかと聞いたら、あなたは私ども親子が二人で生活できないということを承知でこれをやれとおっしゃる、それならば、方法がつかないことはわかっておりますから、私は主人とともに死にますからと、こう言ったという実話を聞いたのであります。こういうことが
現実に第一線で、現場でたくさん行われておるのであります。今日各国立療養所でも、私ども現場を回ってみますと、
結核療養所のベッドがあいて来ておる。どういうわけであいて来ておるのか、行って聞いてみますと、
生活保護の方の一部
負担がきびしいために入ってこれない、また入院を許可しないという現象が起って来ているんだというのであります。
また先ほどの児童福祉施設のときと同じでありますけれども、同様に今度は
医療扶助施設におきましてはその一部
負担が入りませんために、その一部
負担の金を支払ってくれませんために、それを
医療保護施設が自分でかぶっている。これは
現実にかぶっております。そのために
医療保護施設が動かなくなって来ているというところも相当あるのであります。いや、ほとんど全部だと思います。さらに、非常に困ったことは、きょうは
現実問題を
大臣に聞いてもらうのでありますけれども、たとえば
生活保護の金、
医療保護の金あるいは
医療の
健康保険の金でもそうです。これが御承知のように地方の市に参りますと、市から
健康保険診療報酬支払基金事務所の方へ払い込まない。私ども知っているある市のごときは、最近六百万円これをためております。そのために県の支払基金事務所では、全然その種の金を払うことができない。払うことができないで方法がつかなくなっているのが第一線の
医療施設であります。
医療費をどうにもしようがないということになりまして、今日非常な苦労をしております。銀行から融通資金を借りて、そのために大きな利子を払う。おそらく銀行に払っておる利子は、全国の
医療施設では大へんなことだと私は思う。この間あるところに参りましたところが、日赤の病院がやはりそうです。病院が動かなくなっておる。地方の小さい町にあります日赤の病院でありましたが、個人のところに頭を下げて金を借りに行っておる。金が入ってこない、こういうことです。これも児童福祉施設で両面から参っておる。一方におきましては
医療扶助を一部
負担を強行せられるために、病院におったが出ていかなければならぬ、あるいはまた病院に入院しなければならぬけれども入れない。当然健康で文化的な
最低生活をする権利がある
国民でありますけれども、事実におきましては全然これが行われておりません、憲法違反が至るところにございます、児童福祉法違反が至るところにございます。今日
大臣は、社会福祉
行政を進めていかれる決意を持たれておることを、先ほど私どもは承知したのでありますが、
現実においてこういうことが今日行われておる。よほどしっかりこの点をやっていただかなければいけない。そういうような一部
負担の問題について、どうか事務当局を十分にその点を指導していただきたい。これは厚生事務当局だけではなく、地方の非常に大きな問題である、政府全体の大きな問題であると私は思うのであります。よほど
新進気鋭の
大臣ががんばってもらわないと、憲法
通りいかないということをお
考えいただきたいのであります。
先般来入退所基準というもの、あるいはつき添い看護人の整理で、主として全国の
結核療養所、国立
結核病院等が大騒ぎをしたことは、御承知の
通りであります。
厚生省の御意向では、つき添い看護人を全部やめてしまうという御意向だということをちょっと耳にしたのであります。二千人の全国のつき添い看護人を首にしてしまうということを聞いたのでありますが、そういうことが今日
考えられておるのかどうか、また
大臣はそういうような道をおやりになるというお気持であるかどうか。もしそういうことになりますと、実際に患者
たちがベッドの上で泣くと思います。この点どういうようなことになっておるのか、
大臣にこまかく伺うのは無理かもしれませんが、全国の
結核療養所におります何十万の
結核患者とその家族が、今日非常に心配をしておりますから、この際伺っておきたいのであります。