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1955-05-27 第22回国会 衆議院 公職選挙法改正に関する調査特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年五月十七日  島上善五郎君が委員長に、早川崇君、淵上房太 郎君、古井喜實君、青木正君、松山義雄君、阿部 五郎君及び井堀繁雄君が理事に当選した。     ————————————— 昭和三十年五月二十七日(金曜日)     午前十一時五分開議  出席委員    委員長 島上善五郎君    理事 早川  崇君 理事 淵上房太郎君    理事 古井 喜實君 理事 小金 義照君    理事 井堀 繁雄君       薩摩 雄次君    山本 利壽君       大坪 保雄君    橋本 龍伍君       堀川 恭平君    木原津與志君       山口丈太郎君    鈴木 義男君  出席政府委員         検     事         (刑事局長)  井本 台吉君         警  視  長         (警察庁刑事部         長)      中川 董治君  委員外出席者         総理府事務官         (自治庁選挙部         選挙課長)   降矢 敬義君         総理府事務官         (自治庁選挙部         管理課長)   桜沢東兵衛君         衆議院法制局参         事         (法制局第一部         長)      三浦 義男君     ————————————— 五月十八日  委員茜ケ久保重光君、細迫兼光君及び山本幸一  君辞任につき、その補欠として木原津與志君、  山口丈太郎君及び片島港君が議長指名委員  に選任された。 同月二十三日  委員阿部五郎辞任につき、その補欠として森  三樹二君が議長指名委員に選任された。 五月二十七日  理事松山義雄君及び阿部五郎委員辞任につき  、その補欠として小金義照君及び片島港君が理  事に当選した。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事の互選  公職選挙法改正に関する件     —————————————
  2. 島上善五郎

    島上委員長 これより会議を開きます。  まず理事補欠選任につきお諮りいたします。去る十七日理事松山義雄君が、また二十三日理事阿部五郎君がそれぞれ委員辞任せられましたので、その補欠として小金義照君及び片島港君をそれぞれ理事に選任いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 島上善五郎

    島上委員長 それでは、さよう決定いたします。     —————————————
  4. 島上善五郎

    島上委員長 引き続いて、公職選挙法改正に関する件について調査を行います。  過日の理事会において各派の理事諸君と御相談をいたしましたところにより、まず本日は主として去る二月の総選挙を通じて見た公職選挙法問題点といったところを、それぞれの立場において調査検討し、自由に御意見を出し合っていただきたいと存じます。御承知通り、第二十回国会において成立した公職選挙法の一部改正法は、昭和二十七年七月の改正に次ぐ大改正と言われておるものであり、去る二月の総選挙改正法のもとで行われた最初の総選挙であった関係上、同法に対しては種々の問題点もあったのではないかと想像せられるのであります。そこで、まず、改正法実施経過の面で、選挙管理施行並びに取締りのそれぞれの当局者より御報告を願い、それに対し、選挙を現実に行なった側として委員各位の御質疑及び御意見を御発表いただきたいと存じます。  それでは、まず自治庁選挙部管理課長桜沢東兵衛君よりお願いいたします。
  5. 桜沢東兵衛

    桜沢説明員 去る二月二十七日の総選挙の結果につきまして、ただいまお手元に結果調べ参考表をお配りいたしておきましたので、ごらんいただきたいと思います。  今度の選挙の結果につきましては、表でごらんいただきますと詳しい御説明は要らないと思いますが、今回の選挙の結果は、二十七年の十月選挙に比べますと投票率は若干低下しておりますが、前回の二十八年の四月選挙に比べますと今回は約一%近い投票率の上昇を見ておる次第でございます。全国的に見まして、当日は一部が天候が不良でありました関係で、投票成績前回よりも若干落ちたような結果になっておりますが、選挙の行われました全般的の状況は、今回は管理上大した問題も起らず、大体順調に行われたものと思います。ただ、今回行われた選挙の中で若干の問題があったわけでございます。それは、静岡県の藤枝市におきまして、投票当日投票用紙投票前に紛失いたしておりまして、これがために約一時間ばかり投票がおくれたという問題がございました。それから、氏名掲示の誤まった問題で、富山県の高岡市、大阪の東住吉区、滋賀県の野洲郡の兵主村、愛媛県の伊予郡岡田村などに氏名掲示が誤まって掲示されておったという問題がございました。この中で、富山県並びに大阪の問題は、選挙無効の訴訟が提起されておるのでございまして、ただいま審理中でございます。それから、立会演説会告知用ポスター掲示を誤まった問題、これは福島県の伊達郡霊山町と千葉県の成田市にございまして、告知用ポスターの党名を誤記したという問題でございます。それから、選挙公報の印刷誤まりの問題、これは山口県に起った問題でございまして、一候補者公報末尾の文を他の候補者末尾に誤まり印刷してしまったという問題で、これはさっそく印刷をし直しまして、直ちに前の誤まった分を回収して配布し直してございます。それから、詐偽投票が行われたという問題、これは長崎県の対馬の佐須奈村と石川県河北郡の森本町、この二カ所に詐偽投票の問題がございまして、これはいずれも検察当局において捜査中でございます。それから、選挙公報掲載申請受理が拒否されたという問題、これは公報の締め切り時間が経過してから公報掲載申請を持って参りました関係で、この掲載申請受理を拒否されたという問題で、秋田県、愛知県並びに鹿児島県に起った問題でございます。以上が今度の二月選挙における管理上の問題と申しまするか、ただいま訴訟の行われておる問題、並びに訴訟の提起はございませんが、当時問題になりましたこと、さらに検察当局においてただいま捜査中の事柄でありまして、これらはいずれも関係者におきまして十分の注意をいたすように監督をいたしておったのでございまするが、現地におきまして関係者の全くの不注意によるものが多いようでございまして、大へん遺憾に存じておる次第でございます。  管理上の問題となりました問題を、簡単でございますが、以上御報告させていただきます。
  6. 島上善五郎

    島上委員長 次に、法務省刑事局長井本台吉君にお願いします。
  7. 井本台吉

    井本政府委員 私どもの方は、取締り関係を分担しておるものでございまして、大体取締りの観点から全貌を見ておるようなわけでございます。統計を逐次とっておるのでございますが、非常におくれまして、現在の状況ではお手元に配付いたしました四月三十日のものが最近の集計になっております。この四月三十日付の全国検察庁におきまして受理いたしました衆議院議員選挙事犯の総計は二万八千七百十七件でございます。これは前回の総選挙における一万五千三百三件に比較いたしますると一万三千四百十四件の増加となっておるのでございます。なお、二十七年の十一月の当時の受理件数に比較いたしますると、当時は四万四千六十九件を受理いたしておりますので、それよりは相当数減少しております。  私ども検挙の方針といいまするか、どうしても検挙いたさなければならぬのは、いわゆる実質犯といいまする買収供応もしくは選挙自由妨害等悪質犯罪につきまして特に全力を注いで検挙をいたしております。いわゆる形式犯といいまする、ただいま申し上げた買収供応選挙妨害など以外の犯罪につきましては、法規の不知というような点で思わず犯罪になるというようなものにつきましては、そう検挙いたさないので、ただいまのところまで、かような点について特に検挙いたしておりまするのは、組織的、計画的に、十分法規を研究いたしまして、買収供応に劣らないような悪質な点が認められるものにつきましては、形式犯におきましてもちゅうちょなく検挙を続けておるのでございます。かような実質犯形式犯検挙の比率などにつきましても、従来の選挙とは格段の相違というようなものは、今回の事犯検挙では見受けられません。  なお、今度の選挙に際しまして私どもも非常に注意いたしたのでございまするが、毎回選挙の際に被疑者とかあるいは関係者自殺者が出ますので、ふだん善良な方々が、たまたま選挙法に触れるということで取調べを受け、あるいは関係人として取調べを受けました際に、受けたショックによって死亡するようなことがあってははなはだお気の毒であるから、十分その点については注意するようにということで、たびたびの会合の際、あるいは大臣、検事総長の訓辞の際などにも、その点について御注意を願ったのでありますが、結局、この総選挙におきましても、現在のところでは大体十四名ほどの自殺者が出ております。この自殺のケースにつきましては、検察庁におきましても一つ一つ自殺の経緯、動機等について十分調査をいたしておりまするが、現在の状況ではいわゆる人権侵害のような事実は認められておりません。刑務所の中で死亡した者が二名ほどございまするが、これは多少管理者注意の行き届かなかった点があったやにも考えられる点があるのも多少あります。その他、大体、自宅に帰りましてから、いろいろ精神的なショックを受けて自殺をしたというような実情でありまして、かような自殺のようなことになりました方々に対しては、まことにお気の毒でありますので、将来ともかような点につきましては、かような事故のないように十分注意いたしたいと考えておるのでございます。  それから、選挙事犯の公判の審理状況でありまするが、これは、まだ起訴後に日がたっておりませんので、現在なお捜査中のものもございまするし、前回選挙に比較いたしましてどの程度裁判が進行しておるかというような具体的な実情については、まだ調査の段階には至っておりません。しかしながら、従来選挙事件が非常におくれますので、この問題につきましては、這般最高裁判所におきまして裁判所法務省警察庁弁護士会が協議いたしまして、選挙裁判については特に敏速にやろうという申し合せをいたしました。具体的にいろいろな事犯について、かような点についてはお互いに努力しようというような申し合せを数回いたしまして、これを全国に流して、早く裁判をするように努力するということに相なったおけであります。その後各地の裁判所警察庁弁護士会におきまして選挙裁判促進協議会をやっておりますから、今度の事犯につきましては裁判は相当早く進捗するのではないかと考えるのでございます。  なお、こまかい取締りその他を通じまして、われわれとして選挙法をかような点について改正した方がいいのではないかというような点につきましては、警察庁自治庁方々といろいろ協議いたしてございますので、後ほど自治庁の方からお聞き取り願いたいと存じます。
  8. 島上善五郎

    島上委員長 次に、警察庁刑事部長中川董治君にお願いいたします。
  9. 中川董治

    中川(董)政府委員 過般、公職選挙法相当部分改正がございましたので、その改正事項と、法務省自治庁とも解釈等につきましてもよく打ち合せいたしまして、そういった内容について私ども警察官の最末端に教育させる必要がありましたので、そういう教養上の資料を決定いたしまして、改正法等が誤りなく第一線に従事する警察官等に徹底する方途をさしずめとったのでございます。その後新しい公職選挙法に基きまして衆議院の総選挙施行せられましたので、私ども犯罪捜査面といいますか、取締り面というものになっていきますから、その捜査が効率的に行われ、しかもその方法がもちろん人権を侵害しないようにきわめて適正に行われていくという点につきましては、われわれ捜査面といたしましては重要な事項でありますので、人権等の侵犯が行われないように、適正にしかも効率的に捜査が行えるようにというので、われわれ警察には各警察本部というのがあるのですが、その警察本部長会議というのをいたしまして、そういう点について十分お互いに研究いたしまして、間違いのない選挙取締りをしたい、こういう念願で犯罪取締りの面に従事したのであります。その結果、まず、この公職選挙法改正に限らず一般の選挙違反を防止するという点につきましては、地方選挙管理委員会に御心配をいただきまして、選挙管理委員会の方で、候補者の方、運動員方等違反にならないようにという打ち合せ、啓蒙等措置を講じていただいたのでございます。それで、私ども取締り面を通じましていろいろ犯罪捜査にあずかってきたのでありますが、犯罪統計は、私ども警察庁におきましては、選挙施行後一カ月後現在及び三カ月後現在、こういう日に区切ってとっておりますが、ただいままだ三カ月後現在になりませんので、一カ月後現在の報告があるのであります。一カ月後現在の報告によりますと、件数にして一万件余り、人数にいたしまして一万八千人強という状況でございます。  以上が今度の衆議院の総選挙に当りまして私ども警察関係者として特に注意した事項でございますけれども第一線捜査をやるというような状況のもとにおきまして、適正にやっている分も多いのでございますけれども、いかがかと思われる点も各方面から御批判をいただいております。ことに取り調べられた方が自宅に帰られて自殺なさったという例もございますので、そういった点につきましては、私ども警察側取り調べ方法について落度がなかったかどうか、こういう点を十分反省いたしまして、私ども内部監察官組織がございますが、監察官等をして取り調べをいたさせております。現在までのところ、取り調べ中の事件もございますので、まだ明確な結論も出ておりませんが、たとえば留置場において死亡いたしました方が一件ございますが、こういった点は警察留置管理組織においてさらに十分に注意をしておったならば未然に防止する機会があったのではなかろうかと思われる点もありますので、そういった面につきましてはそれぞれ責任者について懲戒上の措置を講じております。また、調査中に属しているものの原因等につきまして究明中の事項もございますが、私どもといたしましては、かりそめにも法律の運用を誤まったり、ないしは注意力の不足によって国民の方々に御迷惑をかけるようなことがあってはならない、こういう立場で、それぞれそういうことを検討すべき事件等につきましては検討中に属するのでございます。検討の完了した分につきましては、ただいま申し上げましたように、管理勤務者等につきまして懲戒上の措置を講じておるのであります。そういった点についてはいつの選挙につきましても十分考えているのでございますが、今回の選挙につきましても、そういう考え方で努力したのでございます。現在もそういう気持でいろいろ検討を加えておるのであります。  当委員会でいろいろ御研究になります立法問題につきましては、ただいま法務省井本局長からお話のありました通り法務省警察庁自治庁関係官がそれぞれ自分たちの義務を通じて考えられることにつきまして検討しあいまして、自治庁のところで一応検討したものをまとめる、こういうふうにやっておりますので、御了承をいただきたいと思います。
  10. 島上善五郎

    島上委員長 ただいまお聞きのように、自治庁選挙部並び法務省警察庁の各当局者から先般の選挙に関する御報告がございました。委員方々で御質疑、御意見のある方は御発言を願います。淵上房太郎君。
  11. 淵上房太郎

    淵上委員 この機会にちょっとお尋ねいたしますが、刑事局の御調査による件数と、警察庁件数とだいぶ件数が違うようでありますが、たとえば戸別訪問の数でも、人員が、四月三十日現在の刑事局の方の調査によりますと二千百七十一人、五月二十日の警察庁調査によりますと千六百二十九人、こういうふうに四、五百違っている。それから、合計の総数において、受理総員が二万八千七百十七人という刑事局調査に対して、警察庁の方では一万八千三百七十三人、ちょっと一万人ばかり人員が違うのでありますが、これはどういうわけでこんなに違うのですか。
  12. 井本台吉

    井本政府委員 ただいまのお尋ねの件でございますが、警察庁における統計選挙後一月ということで、法務省の締め切った期日と日が違っております。私どもの方の一応の統計は本年の四月三十日現在となっておりますので、それよりも……。
  13. 淵上房太郎

    淵上委員 警察庁の方は五月二十日ですよ。一カ月ほどあります。
  14. 井本台吉

    井本政府委員 五月二十日は作成の日だと思います。統計選挙後一月後にやったのであります。その関係でちょっと数が少くなっておるものと考えます。なお、同じ日に統計をとりましても、私どもの方は受理した件数でございますので、多少警察庁の数よりも少くなるのが普通なので、念のため申し上げます。
  15. 淵上房太郎

    淵上委員 わかりました。  この際警察庁の方にお願いがあります。ただいまの御説明によりますと、先般の衆議院選挙自殺者が十何人出たという御報告であります。その中で、御説明がありましたように警察留置場自殺したのが一件ある。それはおそらく三月三日の日の福岡県大隈警察署留置場におけるものだと思います。その被疑者の状態並びに自殺経過監督上とられた処置、状況等につきまして、この次の機会でよろしゅうございますから、お調べの上御報告願いたいと思います。
  16. 島上善五郎

  17. 木原津與志

    木原委員 質疑じゃないのです。調査請求を……。二月の総選挙の件ではないのでございますが、私が調査を願いたいと思うのは、過ぐる四月の地方選挙長崎県の県知事選挙状況について、自治庁その他関係方々からちょっと状況調査していただきたいと思うのです。実は私が現認したのでございますが、御承知のように、長崎県では一人の知事候補が出まして、そうして選挙を争うたのです。その選挙立会演説で、片っ方の側の候補者から明らかに雇われたと目される暴力団のような、右翼じゃない、これはやくざのように私は見受けましたが、そういう人たちが十何人ぐらいずつ一立会演説会場に雇われて入り込んで、しかも、次から次に立会演説をやるのに、トラックでそのやくざを十何人ずつ乗せて、会場から会場に連れて回るのです。そうして、会場内では、これはもうヤジじゃないのです。ヤジのできるような品のいいやつじゃない。やくざで、そのやくざが十五、六人一団となって、対立候補演説を喧騒をきわめて妨害する。それに対して、普通人と違ってやくざだものだから、こわがって聴衆が全然それを制止することができない。そのために、ヤジられる側の相手候補演説ができなくて、しどろもどろになり、中止するというような事例がたくさんあった。それで、私ども、あまり見かねまして、長崎の選管及び警察へ、ああいう計画的な妨害を何で黙って見ておるかというので、選挙事務長を通じて抗議をしたこともあるのですが、そういったようなことがありまして、立会演説の初めからしまいまで——八十回くらい立会演説会をやりましたが、私が現認したものだけでも三回ありますが、聞くところによれば、毎回どこの会場でもそういった雇われた暴力団妨害で終始しておる。最後には、警察の方でも見かねたか、一応その会場警察官がたくさん入り込みましたが、その入り込んだときは戒厳令下選挙というような感じがしたのです。そういったような事例があったし、また、佐世保におきましては、左派社会党県会議員候補者が県政の批判をやり過ぎるというので、やはりその暴力団の一党だということを聞いておりまするが、選挙事務所に直接乗り込んで来られ、あるいは自宅にまで押しかけられて、脅迫を受けたという事実もある。それは当時告発いたしまして取調べがされておりましたが、その結果がどうなったか聞いておりませんが、とにかく、そういうようなことで、実態がほとんど公明選挙なんというものじゃないのです。実にひどかった。計画的に雇われた暴力団立会演説妨害をして、相手方の候補発言機会を奪うということがとてもひどかった。そういうような事例がありましたから、これを一応自治庁なりあるいは警察庁から実態調査されて本委員会で事情を御報告していただきたいと思います。
  18. 島上善五郎

    島上委員長 ほかに御発言はございませんか。——それでは本日はこの程度とし、次会公報をもってお知らせいたします。  これにて散会いたします。    午前十一時三十九分散会