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1955-07-25 第22回国会 衆議院 建設委員会 第36号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年七月二十五日(月曜日)     午前十一時二十二分開議  出席委員    委員長 内海 安吉君    理事 荻野 豊平君 理事 山口 好一君    理事 瀬戸山三男君 理事 西村 力弥君       伊東 隆治君    大高  康君       廣瀬 正雄君    松澤 雄藏君       有馬 輝武君    三鍋 義三君       安平 鹿一君    山田 長司君       日野 吉夫君    中島  巖君       前田榮之助君    三宅 正一君  出席国務大臣         建 設 大 臣 竹山祐太郎君  出席政府委員         建 設 技 官         (道路局長)  富樫 凱一君  委員外出席者         議     員 牧野 良三君         議     員 松浦周太郎君         議     員 小澤佐重喜君         議     員 木村 俊夫君         議     員 楯 兼次郎君         議     員 竹谷源太郎君         建 設 技 官         (道路局道路企         画課長)    佐藤 寛政君         専  門  員 西畑 正倫君         専  門  員 田中 義一君     ————————————— 七月二十五日  委員竹谷源太郎君辞任につき、その補欠として  日野吉夫君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  国土開発縦貫自動車道建設法案阿左美廣治君  外四百二十九名提出、衆法第二六号)     —————————————
  2. 内海安吉

    内海委員長 これより会議を開きます。  国土開発縦貫自動車道建設法案を議題といたします。これより本案につきまして質疑を行います。通告がありますので、順次これを許します。廣瀬正雄君。
  3. 廣瀬正雄

    廣瀬委員 二、三お尋ねしたいと思います。この自動車道建設するにつきましての目的は、第一条に書いてありますようでありますが、この一条を読みましても、重点がどこにあるのやら、どういう目的で特にかような専用自動車道を作るのやら、それらのことがはっきりわからないのであります。開発のための道路であるか、あるいは現在の交通難を救済するための専用道路であるかということにつきまして、御説明をいただきたいと思います。   〔委員長退席瀬戸山委員長代理着席
  4. 竹谷源太郎

    竹谷源太郎君 第一条のこの法律目的がどうも不分明であるという御質問でございますが、それはないと思うのであります。この法律二つ目的を持っておりまして、一つは、日本の四割にも上る土地資源が未開発になっておる。これを普遍的に開発いたしまして、日本経済の自立を促進し、また完全雇用、そして経済の発展をはかろうとするこの国土開発目的と、あわせて、もはや京浜神戸大阪等交通飽和状態になっておりまして、鉄道を複々線にするなり、あるいは東海道の第二国道も作らなければならぬ、建設省においても自動車専用東海道弾丸道路の必要をもうすでに七年前から痛感せられまして、その設計計画もなされておるというようなわけでございまして、この一つ交通幹線自動車道によりまして、東京大阪間の飽和状態に達しております交通需要を満しますとともに、しかもそれはむしろ短距離で便利に連絡できますと同時に、未開発中部地帯資源開発し、そして人口都市集中を分散させるなり、あるいはその地方における資源開発、そして農業並びに工業の伸展をはかろうとするものでありまして、目的はきわめて明確であると考える次第でございます。
  5. 廣瀬正雄

    廣瀬委員 ただいま御説明をいただいたのでありますが、第一の国土開発というねらいにつきまして、この法案に予定いたしております地域を通過いたしまして、どれだけの経済効果があるかということにつきまして御説明をいただきたいと思います。
  6. 三宅正一

    三宅委員 ただいまの廣瀬さんの御質問でありますが、数字等につきましても用意いたしておりますから、これは必要がございますれば竹谷君からでもやっていただきますが、要するところ私はこう思います。この間も参考人に対する質問で私この点を強調いたしたのでありますが、要するに日本におきましては、平野地帯にだけ人口も集中しておるし、都市も集中しておるし、産業も集中しているという状態であり、実際において国土の二割くらいしか開発されていない。それとともに、国が非常に細長いために、たとえば宮崎県にも適用されることでありますが、鹿児島有馬君などが言っておられます通り、汽車がだんだん遠のくに従いまして、距離が遠いというだけでなく、産業構成後進性を持つ。これが大阪−広島間の時間で鹿児島まで通れるということになり、また北の方で言うならば、東京−福島間の時間で青森まで行けるということになりますれば、青森の酪農も、乳が一日で東京に持って来られることになりまして、非常に経済開発が行われる。同時に赤石山系などにおいて道路がないために、ほとんど風倒木になって腐朽しておりますあの森林資源も使えるようになる。さらにまた高いところにダム・サイトができますことによって洪水等も防げるし、ダム開発経費も非常に安くなる。海岸地帯におきましては、潮風のために精密工業ができない。ほんとうの精密工業は山地へ持って行かなければできない。戦争中疎開いたしました工業におきまして、山林に残りましたのは、信州等の例を見ましても精密工業だけである。こういうような関係からいきまして、農業、林業、それからその土地における石灰等を利用いたします工業、あらゆる面におきまして、これを通しますることによって国がまるくなり、表日本裏日本との連絡がつくのでありまして、私は政治家的な感覚から考えましても、非常に大きな経済資源開発になると思うのであります。多目的ダムということがいわれておりまするように、ダム一つを作りますについても、それオンリーに考えますれば建設費も高くつくのであって、総合的な開発という見地でいくことが経済効果も発揮できるいう議論が、すなわち単目的ダムを多目的ダムに持ってきたと同じ意味でもって、非常に大きな経済効果を予見し得ると思うのであります。なお数字等につきましては、資料で差し上げておりますからなんでございますが、楯君から一つ説明いたします。
  7. 楯兼次郎

    ○楯兼次郎君 参考資料としてお手元に差し上げてある中の、今日まで民間あるいは各省において調査をされました一応の予想でありますが、そのあらましを申し上げますると次のように考えておるわけであります。それは中央道の場合を申し上げますると、もし三十六年以降中央道完成をいたしますると、年間交通量トラックだけでも三千八百台、このように考えております。それにいわゆる誘発交通量というものが加味されるわけでありますが、年間トラック三千両といたしましても、年間約二百二十億の節約額になる、これがまず当面する利益であろうと考えます。人件費であるとか管理費であるとか、あるいは自動車償却費等を見積りますと、今日一キロ二十円の消費をしておりまする額より軽減をされる。こういう資料が出ております。それから中央道の場合には、未開発資源開発という点を想定いたしますると、大体森林が二百万石、それから地下資源、いろいろな鉱物その他でありますが、これが七百万トン、それから今三宅先生がおっしゃいましたダム等ができまして電源開発ができるわけでありますが、これが大体五十万キロワット、それから開拓、草地、牧野改良等によりまするところの農業開発が三十万町歩、それから特に観光でありますが、観光も人員を想定いたしますると、大体三千万人の観光客がこれを利用するであろう、こういうふうに考えられるわけであります。それから適地産業立地振興でありますが、農畜産業が大体五十万トン、それから工業これが百万トン、それから生活の領域の拡大、こういうことを目的にもうたっておりまするが、いわゆる人口の再配分といいますか、そういう面を見ますると、大体百万人の人が適地といたしましては二十個所に五万なり十万なりというふうに新しい都市農村ができまして分配をされていく、こういうのが今日までわれわれの承知をいたしておりまする、もし中央道完成をされました場合に想定をされまするところの経済効果であります。
  8. 廣瀬正雄

    廣瀬委員 ただいま御説明を承わったわけでありますが、数字的にいろいろお話があったのでありますけれども、さような数字が出ますということは、二十年を予定いたしておりますこの縦貫道路だけの完成でさようなことができるとお考えでございますか、それともその後あるいは並行的に考えられますところの横断と申しますか、肋骨支線と申しますか、さようなすべての路線完成した暁におきまして、さような経済効果があるのだというような御調査数字になっておりますものかどうか伺いたい。
  9. 楯兼次郎

    ○楯兼次郎君 もちろん自動車道幹線としてできますると、私ども法案説明の中にも言っておりまするように、肋骨状支線が大体二千五百キロでありますかを作るという予想でありまするので、今日の国道であるとかあるいはまた新たなる支線であるとか、そういうものがこれに刺激をされまして建設をされる、もちろんそういうものを見込んでこれらの資源開発をされてくる、こういう考え方であります。
  10. 廣瀬正雄

    廣瀬委員 それから目的の第二に御説明がありました東京大阪間の例を引かれましてお話があったのでございますが、交通量緩和と申しますか、そういうような目的につきまして、日本の一番北端の北海道稚内、それから一番南端の鹿児島という二つ地点から考えますれば、最短距離、最小の時間ということになると思うのでありますけれども交通迅速化ということはそういう点から考えますればそれだけなんでございますけれども交通量緩和ということになりますと、大きな都市を経過しなければならないということが非常に問題になると思うのでありまして、現在果してどれだけの交通量があるか、かような中央線北海道から九州まで縦貫させまして、どの程度交通量があるかということと、主要な大きな都市間の交通量緩和につきまして、具体的にどういう程度、かような道路建設されることによりまして緩和されることになるかということにつきましての御説明をいただきたいと思うのであります。
  11. 楯兼次郎

    ○楯兼次郎君 今何両転換をされるかという数字的の説明はちょっとできにくいのでありますが、この前の委員会でも申し上げておりましたように、大ざっぱに考えまして、私どもは一応こういうことを考えておるわけであります。現在の陸上輸送政府統計によりましても大体六億トン近くある。やがて五年以降十年を見ますと十億トン近くなる。そういたしますると現在の輸送力では輸送し切れない。現在のままほうっておけばしまいには、特に東海道あたり自動車使用禁止をするとか何らかの手を打たなければなりませんから、五年以降の想定をして国会としては何らかの措置をしなければならない。そういたしますると、一体鉄道を増設をするのか、あるいは道路か、こういうふうに論議が分れてくると私は思います。何らかの輸送機関を作らなくてはならないことは、これは必然だと思います。そういうことを考えますると、今日百四十万台の自動車があるそうでありますが、年々一五%から二〇%激増をしておる、こういう情勢を見ますると、やはり鉄道より自動車需要というか、輸送の方が年々強くなっていく。といいますると、どうしても自動車による輸送という点に重点を置いて、輸送機関考えなくちゃならぬというところから、自動車道という問題が提起をされて参ります。  そうしてこれは私は主として中央道のことを言っておるのでありますが、それでは一体どこに作るかという点になりますると、今御質問の方が申しておられましたように、交通量緩和かあるいは国土開発かという論が、ここに提起をされて参ります。そうした場合、日本のような非常に貧弱な経済の国では、やはり交通緩和国土開発資源開発という点を両方採用して、建設をしていかなくてはならないであろう。そういうふうに考えてみますと、中央道の方が日本の将来にとって非常に有利である、こういうふうに考えられるわけであります。それで山の中をそんな長い自動車道を作っても、現実に困難を感じておる東海道が困るじゃないか、こういうお説が出ると思いますが、これはいわゆるレールのない鉄道でありまするから、列車でたとえてみますると、急行列車運転、こういうことになるだろうと思います。そういうふうに考えると、東京名古屋あるいは大阪あるいは神戸というような、長距離運転をする自動車をここに吸収する、そうして東海道国道等は、今後改修整備をして近距離輸送にこれを使用する、こういう考え方が正しいではないか、こういうように考えます。  それからこの自動車道ができますれば、当然肋骨状支線あるいは現存する道路というものがこれにくっつきまするので、迂回をしてもその自動車道を通った方が速いという自動車は、それを経由してこの道路に吸収されてこよう。それで数字を出せと言われますると、ちょっと困るのでありますが、十分閑散でない。われわれ四十年には一万合がこの自動車道を通る、こういうふうに想定をしておりまするが、そういうふうなことが確実に行われるであろう、こういうように考えておるのであります。  それから建設費の問題も、東京大阪間を直線にとりますると、五十キロ短かいわけです。従って隧道等においてある程度建設費がかかっても、五十キロ長い東海道よりこの方が全体としては安くなるであろう、こういうふうに考えます。  それからいま一つは、やはり平地通りますると、人家の立ちのき、あるいは耕地をつぶす、こういうような問題が起きて参りますので、これも法案の中に、できるだけ避けるということをうたってございます。それから全体が立体交差をいたしまするので、平地立体交差というものは、これは非常に建設費もたくさん取られまするし、困難ではないかというようにも私ども考えておるわけであります。そういうふうな面を、なかなかうまく言い表わせませんが、そういう面を考えると、どうしてもこの自動車道というものが必要であり、特に京浜中京それから大阪神戸を結ぶ線は、直線の方があらゆる面から考えて有利であろう、こういうような考え方提案をしたわけてあります。  それからもう少し大きな問題になりますると、先日来参考人から陳述がありましたが、日本国土のせいぜい三〇%にも満たないところに人口工場がひしめき合っております。これを再分配、再分布をするには、やはり今われわれが提案をいたしておるような構想でなければ、再配分をされないのではないか、ちょっと大きな問題でありますか、そういうことを考えております。
  12. 廣瀬正雄

    廣瀬委員 工場の再配分につきましても、今度の道路建設と関連させて考えているということにつきましては、私どもは非常に異存がございますが、さようなことは申し上げないことにいたします。また開発につきましても御説明がございましたが、開発を別にして、交通量緩和ということになって参りますと、稚内鹿児島を結ぶという最短距離の、そして一番経費の少い道路建設するということでありますれば、別表に示されているようなことが考えられると思いますけれども道路というものは、自動車専用道路であれましても、さようなわけにいかないのでありまして、結局どれだけ利用するかということが問題になってくると思いますが、そうなった場合に、途中の都市都市を結ぶ経過関係、つまり都市間の交通量、かようなことが、新しく道路建設いたします場合に考えなくちゃいかぬと思います。さような考慮が今度の中央道路の案にはほとんど払われていないということを、私どもは遺憾に思いますけれども、かようなことについてはどんなお考えでございましょうか。
  13. 楯兼次郎

    ○楯兼次郎君 私主として中央道のことを申しているのでありますが、これが完成すれば、私どもは転換されるのが大体三千八百両と見込んでおります。その数字の根拠はどうかと言われますと、今ここではっきり言えませんが、三千八百台が転換される、こういうふうに考えております。
  14. 竹谷源太郎

    竹谷源太郎君 ただいま廣瀬委員から、交通路線都市都市の人がいるところを連絡する、そして交通量緩和をはかるのが、交通機関としての使命ではないかという御質問のように承わったのでございますが、これは非常に大きな問題でございまして、むろん東海道交通緩和のためには、寅海道の田でも畑でも、工場でも家屋敷でも移転をして、そして一番交通の激しい、人口の密集した地帯道路を作るということは、さしあたりの交通緩和には役立つであろうと存じます。しかしながらこの国土開発縦貫自動車道の非常に大きなねらいは、日本国土開発にあるのでございまして、従来のように、都市都市を結ぶというよりも、道路が人のあとを追って、人がおればそこに道路を作るという観念ではなしに、この道路を作って、新たにそこに人を引きつけて、そして都市なり農村なり建設して日本開発をはかろう、そして海岸地帯に密集した人口山間僻地でも、あるいは未開発の地でも分散疎開してもらって、そして普遍的な開発をはかって、効率的に国土を使おうというねらいでございますので、人を追って作る道路ではなくて、道路を作って人をこれに引きつけるという構想が、この縦貫自動車道の非常に大きなねらいでございます。そういう意味合いから、大都市大都市あるいはその中間に中小都市がたくさんあって、利用価値が高いというよりも、今までなかった中央道を作れば、東京大阪間で四、五十キロも距離が短縮せられ、スピードも速く、しかも経済的に価値の高い土地や田畑を使わないで、なおそれに肋骨線を作りまして、たとえば東京小田原間の荷物は、むろんスピードがありますから八王子へ出て、そして中央道に乗って長野の方に行くというような調子になりますので、この中央道を使えない地域は、静岡、浜松辺くらいのものでありまして、東京——小田原商あるいは愛知——大阪——神戸間の物資は、全部この中央道東京に持ってくる、あるいは神奈川県に持ってくる場合に使えるのでありますから、交通緩和に非常に資するとともに、人が必要だからそこに道路をつけるということでなしに、この道路を作って人をそこに引きつけるという観念で、この法案中央道あるいは縦貫道というものの構想ができ上った次第でございまして、この点をとくと御了承願いたいと思う次第であります。
  15. 廣瀬正雄

    廣瀬委員 今の御説明は、やはり国土開発目的一つあるという御説明を、敷衍してされたもの解するのでありますが、さような考え方からいたしまして、国土開発並びに現在非常に難渋しております交通量緩和ということに、より一そう役立つということでありますれば、あえて別表にうたってあります経過地点でなくてもよろしいというお考えでありましょうか。
  16. 竹谷源太郎

    竹谷源太郎君 と申しますのは、今交通上の問題で一番差し迫っております東京大阪間の問題について言うならば、これはやはり東海道を通るよりは中央道を通る方が、あらゆる面で妥当であるという考えから、やはり別表設定が必要であると考えておる次第でございます。
  17. 廣瀬正雄

    廣瀬委員 それでは第一条の目的についての質問はそれだけにいたしまして、資金関係でございますが、いつかお話を承わったのか、私資料を拝見いたしたのか、はっきり記憶いたしませんけれども、三千キロを建設するのに六千五百億円でございましたかの資金を必要とする。しかもその後引き続き肋骨横断の線を考えておるのだということでございますが、かような膨大な資金につきましては、何らか特殊な方法でその確保にお見込みがあるのかどうか、この点について承わっておきたい。
  18. 竹谷源太郎

    竹谷源太郎君 三千キロにつきましては中央道は一キロ三億円、その他は大体二億円という計算で、六千五百億円というような数字が出ておるわけであります。それから肋骨道としては二千五百キロ、それでその経費千二百億円でございますが、これは従来できております国道、県道を改修するなり補修するなりしてやるのであります。それからまた必要なところには新しい路線を改めて設定をするというわけで、従来の道路というものをできるだけ活用することはむろんでございます。それで経費はざっと五千億ぐらいあれば、十分りっぱな肋骨道ができると考えておる次第でありますが、しこうしてこのような六千五百億プラス千二百億というような、約八千億に上る巨額な費用でございますが、まず最初の基幹道路であります六千五百億円について申しますれば、これは先般の青木参考人からの公述にもございました通り、年に二、三百億でございまして、ただいま日本総合開発のために財政投融資をしておるもののわずかに六%程度でございますから、国がこれを実行しようという本気な気持でかかれば、この問題は解決する、外資を導入するまでもなく、国内の費用で十分まかなえるという青木参考人陳述もございましたが、われわれもそのように考えておる次第でございます。その一例として電源開発費用も、本昭和三十年度においては四百五十億ばかり財政投融資をいたすのでありますが、それが昭和三十四年度以降におきましては百六十億ばかりに減らされまして、それだけでもう三百億出てくるわけであります。これを縦貫自動車道路に振り向ければ、直ちに財源が出てくるというふうに、貸金の面は国が総力を上げて、これを実施しようとする熱意と計画を持てば、十分実行が可能なものである、かように考える次第でございます。
  19. 廣瀬正雄

    廣瀬委員 それでは国の一般財政に依存するというわけですか。財政投融資と申しますか、普通の歳出に期待しておるわけですか。
  20. 竹谷源太郎

    竹谷源太郎君 その点は国家資金を直接役人するなり、あるいは運用部資金資金を投資するなり、あるいはそのときの国家財政の状況によって——これは一つの案であります。むろん提案者としてもその資金面については、これはそれぞれ国家財政関係もございますし、また審議会でも審議をいたしますから、それによって固めていきたい、こういうふうに考えております。
  21. 廣瀬正雄

    廣瀬委員 財政投融資のことは別といたしまして、国の普通の歳出ということになりますれば、国道でございますので揮発油税関係を持ってくるわけでございます。そちらを自動車専用道路に食われるということになりますと、道路の五カ年計画に非常な支障を来たすということを心配いたすわけでありまして、そうでなくても日本道路の悪いことは世界でも有名なのでありますから、私ども建設委員といたしましては、ちょっとでも道路をよくしたいということで非常に苦慮をいたしておるわけでございますが、一般財政に依存するということになりますれば、さような方面に非常に支障を来たしはしないだろうかと心配いたすのでありますが、その点についてのお考えを承わっておきたいと思います。
  22. 三宅正一

    三宅委員 提案者の間におきましても、そういう点についてのこまかい打ち合せば、議員立法の性質からいきましてやっておりませんけれども、私ども気持といたしましては揮発油税その他でやります道路改修補修、新設ということについては、もっとふやさなければならぬと思っておりますが、これ自体はただいま説明のありましたように、特に東京名古屋大阪間というような超飽和状態になっておる道が、しかも一キロについて二十円も安くなるということになると、補修等関係もありますから、当然有料道路でいけると思います。そういたしますれば、これは審議会がきめることになりまして、さらに精密な調査をやった上できめていただかなければならぬわけでありますけれども、大局的な考え方からいきますれば、三百億くらいの財政投融資でやる。その財政投融資についての利子補給損失補償ということは、後者の形態をとりますれば当然国がやる、そうして有料道路でございますから、この関係に関する限りは相当の金が入ってくる。それを、償還はむろんいたしますけれども、毎年財政投融資で二百億、三百億入れていきまして、償還した分をほかに積み立てて、さらに九州だとか東北とか北海道とかいう路線に持っていきますれば、年々相当程度の収入が入ってくるという別途の会計でいきますれば、非常にむずかしいことはないし、要するに廣瀬さんが御心配になっておるように、揮発油税などの一般道路の再補修に食い込まぬということの線は確認しておいてけっこうだ、こういうふうに考えるわけであります。   〔瀬戸山委員長代理退席、荻野委員長代理着席〕
  23. 廣瀬正雄

    廣瀬委員 今資金の問題について御説明いただいたわけでありますが、幸いに政府当局から建設大臣もお見えになっておりますので、これは大蔵大臣の所管事項だと思いますけれども、政府当局は、このほとんど全員提案縦貫自動車道路についての資金関係は、いかようなお考えを持っておるか、大体法案が出ましてだいぶ日数がたっておりますので、次官会議、閣議等で方針がきまっておるのではないか、こう思いますので、お尋ねいたしたいと思います。
  24. 竹山祐太郎

    ○竹山国務大臣 実はこの法案に対する政府全体の意見は、今いろいろ検討しておりますので、閣議にまだ正式に意見として諮ってございませんから、私は建設大臣としてお答え申し上げるほかに、今他の大臣の分をあわせて申し上げるわけに参りませんが、御要求ごもっともでありますから、できるだけすみやかに政府の見解も取りまとめてお答えのできるようにいたしたいと思いますが、せっかくのお尋ねでありますから、私だけのお答えでお許しいただきたいと思いますが、御存じの通り建設省も、従来いろいろの名前で呼ばれてはおりますけれども有料道路としての東海道に沿っての道路を作るべきであるということで、調査費も計上して、今日まで調査を進めて参っておることは御存じの通りであります。その他の地方についてももとより考えないわけではないのでありますが、今廣瀬委員の御指摘の通り、一方においては必ず五カ年計画を達成するということに全力を上げて、事務的に進めておるわけでありますので、予算措置としては、これらのものを直ちに予算に計上すべく、準備は今まだその段階に至っておりません。しかし私としては、就任以来この問題の重要性と必要性にかんがみて、国会の御意見もよくのみ込んだ上で、努力をいたさなければならぬものと心得まして、高碕長官や大蔵大臣、通産大臣、その他経済閣僚にしばしば話をいたしまして、国内資金は、今のところ現実にはなかなかゆとりがございませんから、できるならば外資の導入——これだけにたよるといういくじのないことを考えるわけではありませんけれども、長期の低利の資金が外資に得られるならば、国全体の資金のゆとりを作る意味においても考えるべきじゃないかということで、大体見解を一つにいたしまして、実はアメリカに事務的に準備は着々進めておるような次第でありますが、まだ決定的な段階にはもちろん至っておりません。それらもあわせ考えまして、国会の御審議の結果とも相待ちまして、私はできるところから一歩でも早く実現することが国会の御意思でもあろう、また当然やらなければならぬことだと考えておるような次第であります。今後とも閣内におきましても、さようないろいろの意見の調整に努力いたして御期待に沿いたい、かように考えておる次第であります。
  25. 廣瀬正雄

    廣瀬委員 次に審議会のことにつきましてお尋ねしたいと思うのでございます。審議会のことにつきましては、第五条と第十二条に書かれておるようでございますが、これは内閣総理大臣の諮問機関でございますか、ただ建議することができるというための機関でございますか。第十三条にはそういうことが全然うたっていないのでございます。つかさどるという冒頭の文句で表しておるようでございますが、この点について……。
  26. 竹谷源太郎

    竹谷源太郎君 これは諮問機関でございまして、内閣総理大臣が基本計画を立案をいたしまして、この審議会の議決を経るという様式になっております。
  27. 廣瀬正雄

    廣瀬委員 私ども日本を縦貫する自動車専用国道は、絶対に必要であると思っております。従いましてこの法案の立案の趣旨には賛成なのであります。ただしからばどこに路線を選定するかということになって参りますと、非常に大きい問題があると思うのでありまして、調査審議の期間は相当に必要であるのではないかと思うのであります。従いましてこの法律案の考え方は、この審議会建設のための審議会でありまして、この法律によって別表に経過地、つまり路線建設される場所を明記いたしまして、具体的に毎年度の予算の範囲内で、しからばどことどこを取り上げてやろうかというような場合に、この建設審議会にかけるようになっておるようでございますが、私ども考え方としましては、別表、つまりどこを縦貫自動車道路が通るべきかということにつきましては、大きな問題でありますので、この審議会の性格を変えまして、調査立案、そのことからこの審議会の仕事にする。それはやはり総理大臣の諮問にこたえて、諮問機関としてさようなことを審議し、答申する、そういうことに持っていくべきではないかと考えておりますが、こういうことにつきましてのお考えを承わりたいと思います。
  28. 楯兼次郎

    ○楯兼次郎君 いろいろ審議会の問題については考え方があると思いますが、われわれ提案者としましては、過去国会がとって参りました慣習をそのままここに持ち込んだのであります。鉄道新線建設等の場合にはやはりこれと同じような形式をとりますし、この方法が過去においては一番支障がない、合理的である、こういうことでやって参ったので、その方式をとったのであります。それからあとの十二条でありますが、あとの方の問題につきましては、今やっております電源開発の様式をそのままにとって、ここに提案をしておるわけでございます。いろいろ考え方はあると思いますが、少くとも最高の決議機関でありますから、個所を指定して調査をやらせるなりいろいろのこともやらせるということの方が、ルールに合ったやり方ではないかというふうに考えるのが一点。それから野放しで、縦貫道路を作るのだからどこでもいい——どこでもいいと言うことはちょっと言い過ぎかもしれませんが、適当な個所を選定せよ、こういうことでは調査の担当者も困るでありましょうし、また悪く言えばそれが各県なり町村なり議員の紛争の種になって、そのために成功するのも成功しない、こういう状態になるのではないかというように考えておるのであります。これが過去国会のとって参りました一番最上の道であるというような慣習を尊重いたしまして、ここに提案した次第であります。
  29. 廣瀬正雄

    廣瀬委員 私の考えもあながち、どこを通ってもいい、またいつさような答申をしてもいいというような漫然たる考え方ではないのであります。やはり此は北海道稚内から南は九州の鹿児島までというような表示は、少くとも、法律のどこかに明記しておく必要があると思っておるのでありまして、それをしなければ、結局大都市重点主義になりまして、辺陬の地は忘れられるということが心配でございますので、決して漫然たる考えではないのでございます。あくまで日本を縦貫する自動車専用道路を北の端から南の端まで貫くということを、はっきり法律にうたっておく必要があると思っております。それから鉄道敷設法の例を引かれたのでありますけれども、あれは御承知のように、法律で定められましたところの予定線——法律線と申しておりますが、これがありまして、これを毎年々々具体的に予算の範囲内で実行いたします場合に、建設審議会にかけておるのであります。ところが予定線が法律で決定されますには、相当長い年数かかりまして調査立案し、国会において慎重に審議した結果が法律に現われてきておるわけでありますので、今回の場合におきましては、ついこの間これが提案されたばかりでございまして、さような調査立案の余裕も国会においてはございません。そこでこの際応急にとれる方法といたしましては、そうしてこの法律案を通そうといたしますれば、調査立案の審議会を作るというようなことに持っていくべきではないか。そうして縦貫自動車道路の目ざす方向を明らかに指向しておく必要があるのだ、かように私は考えておりますが、いかがですか。
  30. 楯兼次郎

    ○楯兼次郎君 どうも今ここで全部説明をするということは、私は能力がないのでできませんけれども、結局自動車道路でありまするから、最短距離で、一番短かい時間で、なおかつどうしても都市の市街地へ入るのではございませんけれども、やはり大きい都市の郊外ということに起点、終点、通過点が置かれなくちゃならぬと思います。そういうような点を考えますると、大体常識的にそのコースというものがおのずからきまってくるんじゃないか、こういうふうに考えるわけでありますが、そういうほかの条件を加味して、別表等が最も妥当であろう、こういうことで決定したのであります。
  31. 廣瀬正雄

    廣瀬委員 言葉じりをつかまえてどうこう申すわけじゃございませんけれども、常識的にというお話でありますが、かような重要な、国策に関連のあります問題は、われわれしろうとの常識ではいけないと思うのでありしまして、さようなことを立案することにこそ、衆知を集めてりっぱなものを作って、着々実行に移していくということでなければならぬと思うのでありまして、この点明らかに見解を異にするわけであります。
  32. 楯兼次郎

    ○楯兼次郎君 簡単に弁明しておきたいのは、常識的という言葉の使い方が悪いとおっしゃれば取り消します。しかし先ほど来私が考えている点を申し上げましたが、それは難易利害はあるでしょうけれども、そういう点を総合して自動車道としては適当であろう、十人のうち九人、十人までここの道を調査しよう——これは建設じゃございませんから、一応この法律案が通りますると、本格的に調査をする、こういうことになりまするから、まだ幾分か検討の余地は残っておると思います。これはとても困難であるが、何でもかんでもここを通っていかなければならないということではないと思います。
  33. 竹谷源太郎

    竹谷源太郎君 この法案には二つの大きな骨子があると思います。すなわち自動車道を作ること、そしてそれが国土を縦貫するという問題だろうと思います。そこで国土縦貫の場合、北は北海道稚内から南は鹿児島まで、どこを通してもいいのだということになりましては、非常に重要な二つ目的のうちの一つを、白紙で審議会あるいは内閣総理大臣に国会がまかしてしまうということになりますと、国家の最高立法機関である国会が、内容を示さないで指示するようなことになりまして、法案の中身がまるでからっぽになってしまうのではなかろうか。やはりこれは国会としての最高意思でもって、縦貫ということの大体の地点を明示することが絶対必要ではないかと思う次第でございます。しかして別表中の中央自動車道、東北、北海道、中国四国、九州と並べてありまするが、ここに書きました主たる経過地というのは、一つの県のある地点付近とあるのでありまして、この地点くらいは明示しなければ、内閣総理大臣もまた建設審議会もとほうにくれるであろうし、また国会も、社会的経済的に見て革命的な立法でございまするから、中身のないものを作ったようなことになるのじゃなかろうか。どうしてもこの程度のものは法律において明示することが絶対必要であると考えます。この法案立案の当初におきましては、もっと詳しく地点を明示したのでございまするが、実施に当ってはいろいろ開発の観点、あるいは交通上、あるいは技術的に難点もあって、そのように明確にしたのでは一々法律を変えなければならぬというので、大まかなところで大体縦貫自動車道路の通過路線がわかり、しかしてこの法律実施の上にも大なる障害がないというところで、いろいろ検討の末、このように非常に大まかではありまするが大体の路線を決定いたしまして、別表といたしたのでございまして、やはりこの程度ございませんと、鹿児島から北海道まで行くのに、あるいは海岸ベリを通ってみたり、あるいはとんでもないところを通ってみたり、これは日本全国を内閣総理大臣もしくは建設審議会調査測量しなければならないことになりまして、非常に困難をして、白紙委任で弱り果ててしまうでありましょうし、また国会の意思というものも現実に実現せられなくなるおそれが多分にあると思うのでありまして、やはりこの別表程度路線は決定しておくことが必要ではなかろうかと思う次第でございます。
  34. 松浦周太郎

    松浦周太郎君 審議会の問題でありますが、なるほど審議会において審査してやればいいではないかという御議論は一応筋は立つと思いますけれども、大体鉄道を通すときでも、資源開発交通、収支の計算というようなものを見てやる場合、ほんとうにの国ためを思うならばその線を通す方がいいけれども、各都市に引っぱられたり、いろいろなべづるのように曲げた道路が少くないのです。これは私ども北海道の例を見ても、これがために開くべき資源が開けないという例がずいぶんあるのであります。われわれが立案したこの法律案は、これは貫通するまでどうしても必要なのであって、立案当時にわれわれの考えていた線は、今もいろいろ御指摘がありましたが、脊梁山脈を縦貫さして、地下源資、森林資源、農耕地あるいは電源というものを完全開発して、国家経済力あるいは交通に資したいということに重点があるのです。通すならどこを通してもいいじゃないかという行き方は、ほんとうにこの法律の精神をなくしてしまうことだと思うのです。交通網を発達させると同時に、私のねらいは、従来の交通のあり方では日本資源の完全開発総合開発はできない。せめてこういう道路を、アメリカがコロラドスプリングスからデンヴァーまで通したああいう意味におて、北海道稚内から鹿児島まで、従来あまり交通がなかったところの難業をあえてやる。その精神がこの法難案の中にあるわけなんです。それが別表を取られてしまって、内閣がかわり、立案者の精神がだんだん変って、次々に審議会の意向を打診してやるということになると、立案当時の精神がしまいに失われてしまうのではないかというところに、私どもは一番重点を置いておりますから、その点一つ御了解を願いたいと思います。
  35. 松澤雄藏

    ○松澤委員 ただいまの別表の問題でございますが、各提案者からいろいろ御説明があったようでありますが、一応国会議員として提案するのであるから、その目標を定めなければならない。目標のない提案では審議する方も困るだろうというふうな話がございましたが、この方面から考えていきますと、しからば今のは単なる目標だけでございまして、もしも今後審議調査の結果、その目標が悪いとなれば変えるということにも考えられます。これは理の当然だと思いますが、その点念のためにお伺いしておきたいと思います。
  36. 楯兼次郎

    ○楯兼次郎君 今の御質問は、私がさっき答弁をいたしました言葉に関連してだろうと思いますが、私がどうしても通らないものはそれは考えなくてはならないであろうということは——この別表にもこまかい個所はうたってございません。その付近であるとか、あるいはただ単に県とか市というような字句がうたってありますので、私の考えなくてはならないというのは、たとえば五里向うへやるとかそういう点を言っておるのでありまして、やはり今松浦先生がおっしゃいましたように、このコースのあらましは現コースでは将来困る、こういうふうに私も考えます。ただ五里とか三里とか向うへやるという点は、これはやむを得ないだろう、こういうことです。
  37. 松澤雄藏

    ○松澤委員 もしもただいまのお話のようになって参りますと、提案者各位の方におかれましては先ほどからお話のように、われわれみずからの手においても徹底的にこれを調査したというわけではなくして、ある程度の推定があり、想定があるのだというようなお話を承わっておったわけですが、そうなって参りますと、ただ推定とか想定とかいうふうな点だけで確固不動の法律を頭からきめておいてそうしてかかることは、少しく危険性があるのではないか。従ってある程度調査をする余裕を持たしておくべきではないか、かようにも一応考えますが、これに対する御意見を承わっておきたい。
  38. 松浦周太郎

    松浦周太郎君 これは今御答弁のありましたように、二キロや三キロは思ったより多少変るということはあるだろうと思う。たとえて言えば、東京から発して長野県を通って京都に行くというような場合、東海道線を通るということになると、われわれの立案当時の精神が失われることを言っておるのであって、この方向に向って実際の測量、設計をする場合に、多少のことは審議会にまかせるべきだろうと私は思うのです。立案者としては先ほど申しましたような精神を失わないということは、方向を示したのであって、その方向に向って実測をし、その他の立案をした場合に、こちらをやった方がいいということの差が少数であるならば承認することができると思うけれども、これが甲府を通るのが静岡を通るということになれば、それはわれわれの言う資源開発は完全に行われない。今日本に埋もれている資源は背稜山脈にあります。農耕地も同じであります。ことに北海道のごときは、道路開発されることによって今後入植される者も相当あるが、従来の交通の範囲においてはだめなんです。これは鉄道の場合でも言い得る。しかしそれは難工事だから、これだけの経費をかけてこれだけはいかぬという、そのときだけの計算をして、将来の資源に対する利用価値というもののことを考えない。それではこの国土を開けないと思うのです。私はやはり国土総合開発計画縦貫道路というものは、切り離すことのできないものだと思っている。私は北海道総合開発についてもいろいろ考えておりますが、何といっても道路を作ってやるのでなければ、資源開発価値はない。つまらぬ話をするようでありますが、ドイツの林道はことごとく一方交通でありますけれども、アスファルトもしくはこまかいバラスで自動車が縦横に走れるようになっておる一本の間伐丸太でも、道路完成することによってその価格というものは非常に下る。日本は林道がないから、間伐丸太を持ってくるまでに経費がかかる。一つの例を言えば、まだまだ脊梁山脈にあるすべての資源は、むしろ考え方によっては、今日の科学の発達によっては、道路が開けるならば、今開けておる三割くらいのところよりも七割の資源に手をつけることになりますから、われわれの意思はそういう意味で別表をつけたのであって、今御指摘になりましたような運輸行政の建設審議会のように曲げられてしまえば、これはだめなんです。現に私は、人の名前を言っては悪いから言いませんが、私の地方に約五里くらいのところに、ますぐ行けば二里くらいで行ける。そこに山がある。その山を通せば非常な資源開発できるのだけれども、なべづるのように回してやった例がずいぶんある。そういうことは許されない。静岡に来てまた山を登るなんということは許されない。それよりもまっすぐに直線コースを、いわゆる縦貫して行くということでないと、われわれの意思が行われないのでありますから、国土総合開発計画とこの縦貫道路は密接不離なものであって、むしろこれによって総合開発計画ができるということを考えておりますから、多少のこまかい点については、この意思を通す上に、どういう設計をしてどういう路線考えるかということについては、実測をして、その結果によって審議会の諮問を受けるのでありますが、われわれの意思はやはり通してもらわなければならぬというところに重点のあることを御了承願いたいと思います。
  39. 三鍋義三

    ○三鍋委員 関連して。ただいま提案者のお気持はよくわかりましたが、この別表を決定されるまでには相当な御研究をなさったと思うのでございますが、今後審議会その他で研究した結果、いわゆる総合開発その他の法律のできた趣旨に沿うためによりよき地点が発見された、こういう場合は変更しても差しつかえないか、その点についてお聞きしたいと思います。
  40. 三宅正一

    三宅委員 これはもちろん三鍋君の言われた通りだと思うのです。しかし松浦君が申されましたように、稚内から鹿児島まで国土を縦貫いたします脊梁山脈の南面を通ります一本の道路、それからそれに肋骨道路をつけるということが、国全体の総合計画だと思うのです。距離は縮まり、まるくなる。表日本裏日本をつなぐ、この精神はどうしても生かさなければならない。その場合に赤石山系通ります場合に、こっち側を通るがいいか、こっち側を通るがいいかということはあろうと思います。この程度のことは実測して研究すべきであります。しかし初めから日本の国の非常に細長いのをまるくし、表日本裏日本と連絡のないのを結ぶ。そうしてさらに中央道について言えば、東京名古屋大阪最短距離でつなぐということについては、現在の技術からいきますれば、直線でいくのが一番いいのですから、その基礎を生かして、そして途中の利害関係によって、高速度の直線道路がこう曲ったりああ曲ったりするということはいけない。これはあくまで情実は防がなければならない。こういう点で私は大体御了解がいただけるのではないかと思うのであります。それからまた実際問題といたしまして、質問をなさっておりまするこちらの方の委員諸君の御意見の中におきましても、東京から北海道へ行く線、それから大阪から鹿児島へ行く線などについての異議はほとんどないと思う。問題になります点は、東海道の線にわたってずっと中小都市がある、その間の中距離交通などについても飽和状態になっておる。中央道に関する問題が一つの大きな問題だと思うのであります。しかしこの点についても、提案者全体の思想統一をいたしております点は、この際日本の山地を通ずる道を一つやらなければいけない。その線は生かさなければいけない。これと別個に、東海道において交通緩和のために国道第一号線を大改修するとかいうことはけっこうである。さらに将来日本経済に余裕ができまして、裏日本にも高速度自動車道を一本ずっと作るとか、表日本にももう一本東海道のようなものを作るということは、将来の問題として何ら異議を差しはさむものではないし、現実に東海道路線を直すことにも異議はないけれども、基本的に国土総合開発縦貫道路としては、この線を生かしてもらわなければ問題にならない。これを一つお互いの大局的な、政治家的な感覚をもって、だから四百何十人という人が署名をされたのだろうと思うのでありますが、だれだってそうこまかい調査はしていない。しかし中央道に関する限りは、かつて私どもの党から提案をいたした関係もございますので、みずから調査に行きまして、府県の当局とも、あるいは市町村の当局等とも、山梨、長野、それから岐阜等の関係においては懇談もし、実地踏査もいたしておるのでございます。それから民間の関係では、田中君などが非常に大きな犠牲を払われまして、実測もやっておる。さらにここにおられます提案者の小澤君が建設大臣のときには、この問題に対する委員会等も特に開いていただいて、この間の経緯としては、吉田前総理大臣などもこの点に非常に熱意を持っておられて、一応の専門的な審議もされたという経過もありますので、私は大体の予定路線を引きます上における基礎資料としての調査は、少くともこの東京——大阪間に関します限りは相当のものができておると思う。さらにこれが審議会ができることによって、国の費用をもって調べていただいて、あやまちのないようにやっていただくことはけっこうだけれども、その精神を一つ生かしていただきたいということが提案者としての一ほんとうのその趣旨がくずれてしまったのでは問題になりませんので、こういう点を大局に立って一つ御了承を願いたいと思うのであります。
  41. 三鍋義三

    ○三鍋委員 よくわかりましたが、松澤委員の心配されるのは、何か固定して、これは絶対動かないものであるということに対する不安だと思うのです。面線最短距離であって、そうして資源開発のこの法案の趣旨が徹底されれば、審議会その他の審議の結果、よりよきものがあった場合に、多少変更しても差しつかえない、こういう御見解だと思いますが、それでよろしゅうございますか。
  42. 松浦周太郎

    松浦周太郎君 もうさっき言いましたから、それで御了承願えると思います。ほんとうに松澤さんの御心配はごもっとものことと思いますが、われわれはこまかしいことをやっておるのではない。いわゆる資源総合開発のバック・ボーンがこの道路である。今三宅さんが御説明なりましたように、そういう必要なところは肋骨を適当に入れる。そうしてバック・ボーンの働きが十分できるようになって、とにかく狭い国土の未開発資源を十二分に開発して今三割しか使ってないから、あと七割のところを合理的に使っていきたいというそのバック・ボーンですから、その点御了解を願いたい。
  43. 松澤雄藏

    ○松澤委員 ただいま他の委員からもお話がありましたが、今の御意見でわかったような気もいたします。精神をあの別表に表わしたというふうな意味ですから、従って精神がくずれなければ、確固不動のものではないというふうな考え方もある程度持ってもいいのだという御説明のように承わって了承したいと思います。  ただ最後に一言だけ申し上げたいのは、この法案の一番最後に、どの目的に当てはまるのかわかりませんけれども、本法案施行に要する経費は八十万円と見込むと出ておりますが、あまりにも莫大なる所要経費なものですから、びっくりして法案を見せていただいたのですが、八十万というのは何に使うのか、それだけちょっと御説明願いたい。
  44. 竹谷源太郎

    竹谷源太郎君 別表の問題はいろいろ御論議がございまして、大体おわかりのことと思うのでございまするが、この法案の骨子となるのは別表でありまして、やはり別表設定することは絶対必要であると思います。ただ松澤さん御心配のように、何かの場合に、あるいは工事の技術上その他非常に重大な問題があるというような場合には、その別表の多少の改正というようなことも、そのときの内閣総理大臣なりあるいは審議会の議によって申し出があれば、国会として考慮することになると思いますが、とりあえず別表というものは設定しておきまして、その方針のもとに進んでいかなければならぬと思うのであります。  なお八十万円の予算の問題でございますが、これは予算を伴う法案提出の場合には、そのような経費を明示する必要がございます。新たな立法によります審議会の庶務、事務局の運営費、これは絶対必要な経費でございまするので、計上した次第であります。
  45. 西村力弥

    ○西村(力)委員 開発重点として縦貫道路を作られる精神、われわれその通り絶対賛成でございまするが、しかし将来の道路の維持あるいは融資資金の返還、こういうものは道路の収入によらなければならないと思うわけなのですが、そうしますと中央道路の収入はずっと一応見込まれておりまするけれども、これは京浜工業地帯大阪の方の阪神工業地帯とを連絡する道路であるから、やはりこれが主になって道路収入がよけいあるのじゃないか、こういう工合に思うのです。他の東北線とかあるいは北海道路線を作れば、いろいろ開拓なりあるいは森林資源なり、鉱産資源なり、そういう開発が大いにできて、国家のために益するところ多いけれども、将来の維持の問題になると、交通量を増してそこから上る収入でもって、維持管理あるいは融資分の返還に充てるだけのことを見込むのは相当困難ではないか、こう考える。そういう点についての専門的な研究をお聞かせ願いたいということと、そういう工合になりますると、やはり利用収入を上げるためと国土開発という両方の目的を両々調和するという工合な予定線になってこざるを得ないのでないか。やはり諸都市に近い方になるべく寄せて収入を上げていこう、しかも開発のための道路としての意義も立てよう、こういうような二つ目的を調整した計画にならざるを得ないではないか、そういう点はどういう工合にお考えでございまするか。将来東北にそういう道路を作って林を切る、また鉱産も相当開発されるといいましても、今開発されない鉱産はやはりあまり重要なものもないだろうと思うし、森林資源も七割あるにしても、切ってしまえば簡単にいくものであります。そうしてそういうところで出る森林資源というものは、これは人工植林はほとんど不可能じゃないか、天然林が多いのではないかと思う。そうするとそれがまた資源として開発されるまでの期間も相当あるし、一時山も荒れてくるというようなことも相当考えざるを得ないわけなんです。そうしますと、どうしてもやはり道路収入というものを相当見積る計画にならざるを得ないのではないか、そのような点について開発重点とする正当なるわれわれの意思とともに、将来の維持管理のための収入を上げるための措置、こういう点についての御研究がございましたらお聞かせ願いたい。
  46. 松浦周太郎

    松浦周太郎君 ごもっとな御質問でありますが、経済都市を除いて経済利用価値のないことは当然のことでありまして、今三宅さんのおっしゃったようにバック・ボーンとしての中央道総合開発の意味において、また近距離直線コースの意味において作るといたしましても、それは経済都市肋骨線が通じていなければ効果が現われませんので、そのことはもちろん十分考えなければならぬと思います。むしろよく考えてみるならば、経済都市に通ずる肋骨の方も、やはり並行してこれを行うのでなければ、御指摘のようなことになると思います。  それから森林のことにお触れになりましたが、これは背稜山脈であるから、ほとんど人工造林はできないのではないかという御指摘でありますが、日本森林需要は、そんな安易なことでは需給のバランスをとることができない。もちろん造林のための撫育その他の方法といたしましては、天然更新または人工造林を並行して行わなければならぬと思います。これも近距離直線コースができることによりまして、苗木の運搬、間伐材の利用、その他従来自動車道路を個人で作るにもどうにもならなかった急峻山岳地帯考えてみれば、なるほど造林もできないかもしれませんが、これがドイツで見たように、このバック。ボーンの中央道路から経済都市に通ずる肋骨を完全にいたしましたならば、利用価値も高まるであろうし、造林経費も非常に安く上ると思います。従ってこの造林の方法に対しましては、直ちに全部人工造林するというわけには参りません。適度の間伐、適度の斫伐をいたしまして、天然更新、つまり過熟老齢樹を伐採することによって、あとの稚樹、幼樹が盛んに伸びるというやり方でありますが、これは北海道は御承知のように人工造林よりも天然更新に重点を置いております。ソ連はほとんどその方法をとっておりますが、われわれが今後やろうとするならば、これはやはり人工造林と天然更新を並行して、この道路を活用することによって、森林の培養が十分できるという見通しを持っております。だからやらなければならぬという考え方を持っております。ただ七割使うということを言いましたことは、森林のみではありません。いわゆる地下資源におきましても、従来相当な鉱脈があるけれども輸送路がないために放置されているところも少くございません。もう一面は有畜農業でいくのでなく、酪農業でいくならば、後進地帯も楽に開けるというようなこともかね合せて、地上、地下あるいは農業というような点に思いをいたしますときに、この道路の使用量が少いために赤字が出るのじゃないかというようなことでは、開発の実が上りませんから、そういう面に重点を置いて、政府もまた議員も総合的に努力していくべきである、こう思っております。
  47. 西村力弥

    ○西村(力)委員 次に本法案で今までもずっと問題がありまして、私の懸念しておる問題は、資金が途中で切れるということが一番おろしいことであります。そうすれば二年間や三年間やって、数百億も資金を投入しておる。それによって同様の道路の使用料がほとんど上らないとすれば、山間地帯にすばらしい飛行機の発着路みたいなものがぽこんと残るのであって、とんでもないことになるのではないか。これの見込みは十分つけて仕事にかからなければならぬ。いろいろお話をお聞きしてみますと、相当御自信のあるようなお話であります。ところがただいま建設大臣の話では、日本全体の縦貫道路でないにしても東海道線だけでも外資導入を考えて、それの折衝を始めておる、こういう話なんです。それで現実に政府側の財政事情というものは、この法案に対してはまっこうから財政的に対立してくる状態にあるのではないか、こういう工合に考えられるわけです。そこで一体これをどうやって切り抜けていくか、こういう点に対するほんとうに国費を握る自信だけではなくして、相当現実的な、あるいは計数的なといいますか、そういう研究をして確信を持って進みたい、そういう確信を国民全体に示さなければならない、こういう工合に私は考えておるわけなんでございます。その点に対する提案者の御意見を承わりたい。
  48. 小澤佐重喜

    小澤佐重喜君 この問題は資金面で非常に困難な問題であります。従って今提案者説明しました年額二百億ないし三百億を一般会計から出すというようなことも、できればけっこうでありますが、今西村君が言いますように、できない場合はどうするかということを考えなければならぬわけです。それで私はできないときの考えを申し上げるのですが、たとえば中央道の審査に当りましても、観光道路とかあるいは賃貸し道路というようなものを考える場合に、大体予定線のうちに測量ができて、こういう線ができるということがきまりますれば山梨県の富士吉田近所から何湖へ行く、観光道路、そこへ行く道路は山梨県が必要だということを言われておるのでございます。そのときにこれは賃上げ道路でありますが、県にいわゆる賃上げ道路の融資を政府からしまして、そしてその線を将来の中央道の一環として観光道路としてやっていくわけでありますから、先の問題でありますが、これは山崎君が米国へ行くときに、財界に大阪と彦根の間を外資でやろう。そして外資でやるのはあの辺へ出れば大体ペイする。ペイするという点をこまかく切りまして、そうしてそのペイずる個所からやっていく、あるいは必要度においてやっていく。そうするとぽつぽつしたものはありますが、これは必要によってぽっつり切ったのですから、この分だけペイする、こういうことも考えられるのでありまして、そういうことも考慮に入れて、そうして点線ができますれば、これを一つ結ぶ。財源があった場合にはそこで結ぶというような個人の場合でも、政府の場合でも、都道府県、町の場合でも、必要に応じて予定の線の一環を道路として利用していくというようなことを考えるならば、これは予定の年限よりも非常におくれて参りますが、最後には一本に連結ができる、こういうような最悪の場合の見通しを持っております。
  49. 三宅正一

    三宅委員 西村君の御質問まことにごもっともでありますが、私もこの問題には非常な関心を持っておりまして、予算委員会等におきましても各大臣に質問をいたしたわけであります。竹山君とも個人的にも話をするし、予算委員会等でも答弁をいたしておりまする点は、今外資のことを考えておりまするのは、私の承知している範囲では大阪名古屋間の場合について考えております。これはたまたま東海道の線と中央道を行きましても、両方ともあすこでは同じでありますが、そういう点はまずできる点からやった方がいいということを竹山君なども個人的に言っておったところもありますが、要するにこれだけ大きな仕事を本格的に考えようというとき、提案者から再々申し上げました通り、私は国費がそのまま一兆円の予算から出すことはできないにしても、財政投融資関係で本気にやるということになれば、年に二百億、三百億の金はむずかしいことはないと思うのであります。同時に交通難緩和という見地からいきましても、東京大阪間だけは何としてもやらなければ、現在どうにもこうにもならぬ状態でありますから、私はそれとの関連において、これが通りますれば当然やれる。それでしかもこの関係においては、かりに有料道路ができますれば費用も相当に残ってくる。それを奥地の開発といいますか、東北道、中国道、九州道、北海道道という方向に持っていってちっとも差しつかえないのでありまして、問題は国の意思さえ決定すれば、資金関係は困難といいながら問題でない、こういうふうに考えております。
  50. 西村力弥

    ○西村(力)委員 第四条に「国以外の者に対し、一段自動車道建設を免許することができる。」こういうところは今小津さんのおっしゃったようなことでございますが、また国以外の範囲の中心には地方公共団体以外の純民間、あるいは外国資本、そのままそういうものも考えられるかということをお聞かせ願いたい。
  51. 小澤佐重喜

    小澤佐重喜君 これは提出者全体としてもそういうことを考慮するし、現実にもこれを完成しようと思えばそういうふうに考えていかないと、実際三宅さんの言われた三百億、五百億だけを来年度になって出せるというようなことは、非常に望むことは無理じゃないか。従って私は問題は最悪の事態の方が、現実の面には有効になってくるのではないか。その最悪というのは今申し上げたような工合で、これは民間でもいい、それから地方団体でもよし、国の道路でもよい。何でもその線に少しずつ持っていきたい、こういう考え方であります。
  52. 西村力弥

    ○西村(力)委員 私は地方公共団体にゆだねるのはいいが、日本の背骨を作る道路に外資が入るなどということは、将来のことを君えると相当問題があるのじゃないか、こういう工合にこれは感じとして持っておるのです。だからこれは絶対に排撃するという工合にしていかなければいかぬじゃないか。そうでないと困る。私は気分的にという以上の理由を今言いませんけれども、とにかくこれだけの日本を縦に貫く道路を作るときに、そういうところまで外資を入れてやることは、決してわれわれ日本の将来にとってプラスにならぬ、こういう考えを持つわけでございまするが、提案者側においては、こういう考え方に御賛成は願えませんでしょうか。
  53. 三宅正一

    三宅委員 外資を入れることについて言えば、こういう道路でありますれば、おのずから国会にまたその点についての御相談があるわけであります。あなたも入っておられる四百何十名の提案者が、その点についての意見の一致はしておらないようでありますが、説明に立ちました提案者の側におきましても、そこまでの話し合いはまだしておりません。しておりませんが、ほんとうにやる気でありますれば、この間の青木さんのお話ではありませんけれども、出す気であれば国で出せる。国という意味は、財政投融資等の関係において出せると思いますが、これは審議会等ができて、しかももし外資を入れるというような線が出てきまするならば、これに対してはやはり国会の意思を聞かなければなりませんから、私どもとしては、理想的にはそういうことでなしにやれればなおいいという感覚を持っているということだけを申し上げておきます。
  54. 西村力弥

    ○西村(力)委員 国会の意思といいましても、私たち少数党の状態で、最後にはそういう考えになってしまえば押し切られる。これはやむを得ないところでございまするが、この法案を制定する当初において、そういうことは排除するのだ、こういう工合に理想を追って一つやっていただきたい、かように考えるわけなんです。第四条の解釈は、この法案を制定する当初において、はっきり意思を統一していきたいものだ、こういう希望意見を申し述べておきたいと思う。
  55. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 この問題では、多くの委員の諸君からいろいろ詳細にお尋ねをいたしましたし、また提案者代表の各位からも、事こまかにその所見を御披露なさったので、大してお尋ねすることは実際はないのです。ただ先ほど別表の問題でいろいろ質疑応答がありまして、これは国土開発を眼目とした縦貫道路という精神をくずしてはならない、こういうことをよく御説明なりました。私どももその気持には変りはございません。いわゆる中央道の問題については、これは長い間私どもも一応研究しております。技術的にその実行の仕事ができないとは言わないけれども、相当困難であるところもあるわけでありますが、一応いろいろな角度から研究をされております。ところがその他の部面について、この図面に引かれておる路線、またこの別表にいろいろ都市の付近ということで書いておられますが、この点については、そう深い研究は私はなされておらないと思う。そこでいろいろああいう御意見、御質疑が出ると思うのでありますが、この問題はきわめて重要な問題であります。しかし提案者代表の気持はわかりましたし、あえてこれをくどくど御質疑をいたすわけじゃありませんが、ただ一つの例として私は申し上げる。ここに九州自動車道ということで門司から鹿児島まで書いてありますが、この九州の縦貫道路というものは長い間の歴史がありまして、そして九州各県が集まって、現在その縦貫路線まできまっている。それと非常に違っているが、こういうことが非常に問題になるのじゃないかと思うのです。従ってどういう御研究のもとにこういうふうな構想を立てられたかということに、私は相当疑問を持っております。九州各県共同で長い間道路の研究をして、そして九州縦貫道路というものを、数年前にその路線が決定されておりますが、そういう点を御勘案になったかどうか、こういうことを決定されて、そしてこれを動かすべからざる原則のように言われるところに、私どもは相当の疑念を持っております。先ほど松浦さんがお話しになりましたように、私もあっちへ曲げ、こっちへ曲げしていいとは全然考えておりません。またこういうような開発ということを考えるならば、相当困難があっても突き通す、いわゆる縦貫道路を作らなければ意味がないということは、この法律を作ってやる以上意味がないということは考えております。しかし今私が申し上げたような点が考慮されておらない。そしてここに突如として法案別表に書かれるということになると、私どもはあまり感心しないという気持があるわけであります。この点について私はこれ以上追及いたしませんが、御所見を伺っておきたい。
  56. 竹谷源太郎

    竹谷源太郎君 私九州におけるかねての御計画の詳細については承知しないのでありますが、これが専門の開発道路であれば、大分、宮崎等の山の中を通過するということは非常に意味があるのであります。しかしこの法案は初めから国土開発、そして交通網の完成という二大使命を二つながら持たせなけれななりません。そういう観点からいいますと、やはり九州における重要都市の連絡というものを重点として考えなければならぬという観点から、この別表のような路線を選定いたしたのであります。これに関して九州全体の普遍的な国土開発につきましては、肋骨線その他の支線によって、開発目的をなお十二分に達成し得るように考えている次第でございまして、これらの幹線とそして肋骨線と、この双方の連絡によりまして、九州全体の普遍的な産業開発目的を達し得る、かように考える次第でございます。
  57. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 私の考えを率直に申し上げると、これは提案者の代表がたびたびおっしゃったように、特に先ほど松浦さんからもおっしゃったように、あっちこっち曲げようなどとは私どもも全然考えておりません。今申し上げたように、こういう特別な法律を作ってやる以上は、一つの国策として大きな方針を持ってやらなくちゃならないということは十分承知をしております。だからそういう路線をきめるときには、あらかじめこうやって法定するのもけっこうでありましょうけれども、やはり大方針であればあるほど——一大革命のような法律でありますから、それならばそれであるほど、私はやはり審議会において、この大方針にもとらないような方針で、そして慎重に調査研究をして路線をきめるのが、事の順序であろうと思っております。私はあえて御研究が足らないとは申し上げませんけれども、ただ先に、そういう方針だから、法律の上で、あるいは図面の上で線を引くのだというやり方も一つのやり方には違いないけれども、しかし正直なところ、この道路が来年から確実に着々と行われるとは私は全然考えておりません。でありますから相当な期間、今の大方針にもとらないように調査立案をして路線を決定すべきが、私はほんとうの行き方であろうと思います。先ほど来お話しになりましたように、いわゆる中央道について、海岸路線あるいは山岳路線との間に争いがあるから、その点相当御心配なさっておるということを私は想像いたしておりますけれども、もうそういうことを今日心配する時代ではないと思っております。それは東海道沿岸の道路を作るのもけっこうでありましょうけれども、この狭い国土ではもうそういうことを考える時代ではないと私ども考えておりますから、そんなことを御心配なさらなくてもいいのではないか。これはいかに審議会といえども、そういう根本の方針をこの法律できめたら、そんなことはできるものではないという考えを持っておりますので、この別表に非常なる執着を持たれるということは、この際かえって害がありはせぬかと思うのです。これはもうすでに御意思は十分わかっておりますからお尋ねはいたしません。  もうこの法律の内容については、いろいろ廣瀬委員から御質問がありまして、時間も経過いたしましたので申し上げませんが、ただこの大方針ができるのに、しかもこの大計画ができますのに、一体この仕事はどこがするのだということが明確になっておりません。このいわゆる国土縦貫の道路は、一体だれが実際に仕事をし、そして実際に道路建設していくのかという方針が、この法律には明示されておりませんが、その点はどういうふうにお考えなさっておられますか。
  58. 竹谷源太郎

    竹谷源太郎君 実は第十九国会で中央通事業法案として提案いたした場合は、東京神戸間四百五十キロ、それをやるということと、それから三人の理事をもって構成する会社を実施機関としてこれに当るという路線の問題と、そして執行の任に当る機関に関するものまでも含めたのでございまして、今回提案したのはそれではなくて、全国的な縦貫道路を規定いたしまして、それを実施する機関については、この建設法ができましたその次の国会において法案として提出をすべく、今回はいかなる機関がこの実施に当るかということは、まだ未定になっておるのでございまして、その点御了承をお願いいたしたいと思います。ただこの建設審議心の事務局につきましては、もう行政事務どこが扱うかという御質問でありますならば、これにつきましては大いに意見もございまするが、関係からいいますと、これは建設なり運輸省なり農林省なり通産省、特に経済企画庁に関係が深いのでございますが、各官庁全般にわたる問題でございまするので、企画庁がこの事務にさしあたり当るのが妥当ではないかというように考えまして、内閣の審議室というところで一応事務を扱う、そして各官庁の粋を集めましてこれの調査、測量、設計、基本計画の立案等をやる、こういう建前にいたしておるわけでございます。しかし何といっても実施は内閲総煙大臣にまかせておるのでございまして、政府において最も妥当な事務局並びに審議会を作りまして、基本計画の立案に当ることになろうと思うのでございますが、われわれといたしましては、各省のエキスパートを集めまして、最も適切、妥当な完璧な基本計画を内閣において作り、建設審議会において決定せられんことを希望しておる次第でございます。
  59. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 今のお話によりますと、北海道開発局といいますか、開発庁といいますか、そういう役所を別に作って、それによってやられるように承わったのであります。それも一つ構想かもしれませんが、しかしこの法律の主たる目標は、なるほど総合開発的なことを言われておりますけれども、実際においては道路を作って自動車を走らせるということが第一の目的だと思います。そこで私は、お尋ねというよりも私ども考えを申し上げると、自動車が走っても何が走っても、この道路行政を三つも四つもするような日本はぜいたくな国ではない、こういうふうな考えを持っております。でありますから、その点どういうふうなお考えを持っておるかということを私はお尋ねしたわけでありますが、その点は一応御意見として承わっておきます。  それから、これはたびたびほかの委員からもお尋ねがございましたし、また皆さんからも非常に御自信のあるような御答弁があったのでありますが、私はまだ承服しておらない。それはどういう点かというと、結局こういう法律を作っていって、その目的、趣旨には私どもも全面的に賛成であります。前から考えておるのです。またこのくらいのことをしなければ、この狭い日本国土では、人口の問題あるいは農耕地の問題その他で、将来はもうにっちもさっちもいかなくなるであろうということを心配して今日まできております。そこでこの御趣旨は非常にけっこうで、道路を作り、あるいはその周辺に町も作ろう、学校も建てよう、工場もできるということで人口の再配分をして、農耕地に適するところは農耕地に当てはめていって、そうして食糧増産をもう少し推進しなければならぬことは、これは日本の国を立てていく上においての一大方針であると思っております。しかしながらそう思いながらも、なかなかここに提案されましたような理想的な仕事ができないところに、実際の政治の現実の問題としての困難がある。できるはずのものができないということでありますので、たびたびお答えがありましたけれども、もう一ぺん所信を承わっておきたいのです。かりに六千億か六千五百億の金をかけまして、これをずっと縮めて東京から神戸までの、いわゆる今日いわれております中央道だけに区切って考えましても、これに二百億か三百億の金をかけて、かりにある部分を構築したとしても、それが将来一体ずっと続いていくかどうか。しかもそれが、東京から名古屋あるいは名古屋から大阪というふうに考えた場合、名古屋から大阪の部分はそれほどでもありませんが、東京から名古屋まで建設をした場合、一体東京から名古屋まで直通で走っておる自動車が何白ありますか。これを融資によってやるという話でありますが、しかし東京から名古屋まで直通の自動車だけでは決してペイするものではありません。でありますから、それだけできても、なおかっこの道路の事業というものは資金面において非常に困難だ、じかもこれが続かなければ、どこか局部を作っただけで資金が寝るということも一応頭に置いて考えないと、あとでそれこそ大へんな後悔をするときが来はしないかと思うのであります。この趣旨には全面的に賛成でありますが、そう簡単にこれを取り急いでやるということが、日本の現状からいって適切であるかどうかということを心配いたしております。そこで皆さんの御所見を承わっておきたいのは、これはこの間も申し上げたので失礼でありますが、今週の朝日新聞のニュース映画をごらんになるとよくわかる。私ども日本全国の道路をほとんど歩き尽しておりますが、ともかく朝日のニュース映画に出ております。日本道路ということで、これはまあ悪いところだけ出すわけでありますが、今のところほとんど惨たんたるものであって、それを建設するだけでも苦心惨たんしております。率直に申しますと、今度の国会で道路経費を削ることが今きめられつつある。そういうような時代です。現在走っておる自動車でさえも通ることができないのです。箱根の峠をごらんになってもわかります。自動車が片道しか今走れない。それともう一つ私が一番心配しておるのは、これは皆さんも御存じの通りでありますが、例の水害の問題であります。治山治水計画を立てておるけれども、一兆八千億かかる。十年でするにしても一年間一千八百億の金がかかるというのに、その治水計画でさえ年に二百億か三百億しかできない、この間も申し上げましたが、わが国は一年に二千億ないし四千億の損害をこうむっておる。公共土木の災害だけでも一年間に五百億ないし一千五百億の損害をこうむっておる。それを復旧するのに今日六年かかって——この委員会でもそれが毎日のようにやかましく言われておるのに、昭和二十五年度の災害が今日まだ治まっておりません。そして今日一千億のあけっぱなしの災害の場所があるのです。この治水計画だけでも十年間計画通りにやられたならば、なるほど一年間に少くとも一千億ないし二千億の国民所得の減がなくなることがわかり切っておりながら、これができない。道路の問題でもそうであります。私はこういう深刻な場面を常にみずから考え、そうしてこれをどうしたらよくなるのだということを常に考えておりますから、こういういい案ではありますけれども、そういうことを全然ほったらかしておいて——先ほど年間三百億くらいの金は青木さんは簡単だと言われたといいますけれども、ものの一点だけを見た目にはそういうふうに見えると思いますが、それではこの水害災害復旧も、あるいは治山治水も、あるいは道路の構築も抑えておいて、これをおやりになるというお考えかどうか。私どもはこれに反対でありません。やりたければやりたいほどそういう心配をいたします。この貧乏国で、そして国民生活がこういうふうな状態でみんな非常に御心配なさっておりますが、こういう事態において、これをそれほど急いでやる力があるかどうか、国全体の今の様子をお考えなさって一つ御答弁願いたいのであります。
  60. 小澤佐重喜

    小澤佐重喜君 瀬戸山君のお話は私も同じように考えております。従って西村君の質問に対しましてもだんだん説明して参りましたように、年二百億ないし三百億を出すということはきわめて困難であろう、むしろ不可能に近いであろう、こういうことを考えたから、その困難な場合においてはどうするかということを仮定してお答えしたような次第であります。従って今かりに来年度、あるいは三年先でもけっこうですが、この測量が進んでいよいよ工事にかかるというような場合に、その命ができなかったらどうするかという御質問だと思うのであります。でありますから私が建設省におったときにこの問題を取り上げたのは、決して現在の道路を五カ年計画というものの費用を削ってこれに充てようとも考えませんし、また一兆八千億かかる治山治水費を削ってやろうということも考えておらぬのであります。それではどういう費目で考えるかといいますと、たとえば各県において観光道路というものが部分に必要であるとか、あるいはこことここだけはつなぎ道路というので必要な場合がある。そっちこっちに計画があるのです。そういう計画を立てる場合に、ここに中央道というものが測量されて、こういう道路が技術的に可能で、将来できるのだということを測量しておきますれば、そういう道路ができることを前提として観光道路が開かれ、またつなぎ道路が開かれてくるではないか。その場合にやはりその基本の計画を立てておけば、局部でも何分の一でもだんだんできていくのじゃないか。これは役所におったときの富樫道路局長からの話でありますが、たとえば神戸大阪間に第二号阪神道路というのが御承知の通りできております。その道路の上に高架線を作って、上だけを高速度の自動車を通すようにしたらよかろうという意見も、道路局長に聞かされておるのであります。やはりそれも一つ考え方です。そういうふうにして将来のことをだんだんやっていくのでありまして、今ここに二十カ年計画ということになっておりますが、これがすぐに実現できると私ども考えておりませんが、少くともそういう目標だけは示さぬと法律案になりませんから出しておりまするが、最悪の場合を考慮しながら将来の日本というものの建設に邁進して参ることも、夢みたいでありますが、われわれ一つの政治じゃないか、こういう見地からこの法案を御審議願っておるのであります。
  61. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 私はこれで終ります。今小津さんからお話がございましたが、先ほど竹谷さんも次の国会でこれを実施する、公団と申しますか、公社というものを作られるというお話であります。私ども法律を作るときには、その法律が空文になっては、それこそ国会の権威に関することだということを常に心配いたしております。これは四百幾らの者が提案いたしておりますから、これができないのが国会の権威にかかわるというよりも、できた法律が一体何のためにできたかわからぬようなこと自体が、私は国会の権威に関することだと思う。これはきょう初めて言うのではありませんけれども法律を作った後それが実際に行われて、国民のためになるかならぬかということを考えながらやらなくてはならぬと思います。今の小澤さんのお話では、そんなことであろうと思います。そうでなければほかに方法がない。ところが竹谷さんのお話では、次の国会ではこれを実施する、公社法を作って始めるのだという御意見がありましたが、そういうことが一体正直に言ってできるものであるかどうか。私は非常に認識不足であるかもしれませんが、そう考えているわけです。その点をお尋ねいたしまして私の質問は終ることにいたします。
  62. 竹谷源太郎

    竹谷源太郎君 私、個人の希望意見を先はど申し上げたのでありまして、これは国会の御審議でどうなるかということは申し上げられない。われわれ提案者の一人としてそのような考えだということを申し上げたので、御承知願いたいと思います。  それからまた資金財政の問題について小澤さんから御答弁がありまして、それで十分だと思いますが、ただそれは非常に最悪の場合の御想定であります。しかしながら瀬戸山さんのおっしゃるように、日本は非常に貧乏である、その上に年々非常な災害を受けている、その災害復旧もできなければまた道路の改善もはかれない、そういうときに巨大な資金をこのぜいたくな道路に使うということは、もってのほかではないかというようにも聞えます。そういう意味ではないか知りませんが思われるのであります。実はそのような貧乏な日本であり、災害復旧もできない日本であればこそ、このような画期的な法案によりまして、日本人の経済生活の向上をはかるというねらいを持っておる次第でございます。現在の窮状を打開するために、このような画期的な経済的な社会的な構想で、日本の再建をはからなければならぬのではないか、だからこの法案が必要である、このように考えている次第であります。
  63. 三宅正一

    三宅委員 瀬戸山君のお話は私ども非常に深刻に承わったのでありますが、明治、大正、昭和を通じまして日本が非常な貧乏な状態から、道路もとにかくここまで作り上げた、また鉄道もここまで作り上げた。私は最近の自動車交通等の発展の状況からいきまして既存の道路をもうちょっと金をかけて手当をするというだけでは、とても日本の貧乏に追っつかない。われわれはこれをどうしてやることが、日本の貧乏を打開するゆえんだと思うのでありまして、もとより政治情勢、経済情勢等がありますけれども重点的に考えさえすれば、ほかの治山治水の道路改修、新設等と並行してやらなければならぬし、可能だということを確信いたしております。それにはこの法案を通しまして審議会ができて、もちろん審議会においてさらに専門家を加え、そして大きな予算を伴いますから、時の政府の責任というものがありますので、今度公社法を出してくるとかいうことについては、これは政府の決意ということにかかってくる点が非常に多いと思いますが、これを通しますことが、私は瀬戸山さんの言われた一切の問題を解決する突破口にもなり得るのではないかという確信を持っておるわけでありまして、これはいろいろ所属の党の立場もあったり、個人個人の認識の相違もありますけれども、大局においてどうしてもやらなければならぬということについては、意見が一致しております限りにおきまして、あと資金をどう効率的に使うかとかいろいろなことについて、さらに発展的に御協議を願いまして、これはこれとして一つ早くやれるように御協力を願いたいと考えるわけであります。
  64. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 質疑ではございませんが、誤解をされているように考えるので一言申し上げておきます。私は当初に申し上げておるように、こういう構想を立てて、今おっしゃったように日本経済、社会のあり方を変えていかなくてはならないということは、全く同じ気持なんです。ですからこの法案は、あたかも私が反対して議論しているようにお考えですが、そういう考えはありません。そういう考えがないからこそお尋ねしているので、こういう心配がありますが、提案者の各位はどういうふうにお考えなさっておるか、この点さえ解決すれば、この法律は何も問題ありません。だからそういうお話を聞いておくのであります。これだけ申し上げておきます。
  65. 日野吉夫

    日野委員 関連いたしまして伺いたいのですが、本案のねらいの中に、やはり完全雇用の線を打ち出そうという一つのねらいがあるわけであります。これはこれには出ておらないのでありますが、もし日本の失業救済をやるといたしますと、ニコヨンで三百五十日救済するとして年に八万四千円かかる。これが十万人ならば八十四億を要し、五十万人を救済するとするならば四百三十億の金が必要なのであります。今労働省の統計でも、完全失業者七十何万と出ておるし、推定では七百万から一千万あるだろうといわれる。この問題を解決することもまた国の大きな要請であるはずであります。当面何といっても雇用力の大きい事業を計画することなしに、これらの問題を解決することはできないのであるが、こういう面から考えると、先刻来問題になっておる年間三百億という金の捻出のしどころが非常に困るように考えられておるけれども、国の要請として当然なさなければならないことであるとするならば、この建設資金の捻出というものは、それこそ三宅さんの言うように、国の意思がきまれば当然出せるのだという話もあるのでありますが、法案の中には完全雇用というようなことも当然考慮に入れられておるはずでありますが、こういう点について提案者はどうお考えになっておられるのか、一つ伺っておきたいと思います。
  66. 竹谷源太郎

    竹谷源太郎君 法律の字句には出ておりませんが、これによりまして大体工事費の三〇%ぐらいが労務費になりますから、三百億とすると九十億から百億ぐらいが労務費として支払われるので、その人員はニコヨンならば十万人以上使えることになりますが、そう安い人ばかりではありませんから、そこまでは行かないかと思いますが、膨大な技術者、事務員、労働者の雇用が増大をいたしまして、また関連産業におきましてさらに何十万かの新たな就業が得られるということになりますと、正確な数字はここにございませんが、少くとも四、五十万の就労がふえる。これだけでも非常に失業対策の効果が現われると思うのでございます。今現に失業対策のため、どうせ数十億の金を公共事業につぎ込んでいるのでありまして、それから見ましても、当面は失業対策、そうして農耕地の拡大あるいは資源開発、電源の開発、鉱工業の発展ということによりまして、何十万あるいは何百万の新たな就業者を得られる。これは開発の効果として得られるのでございますが、道路の事業だけによっても数十万の就業を促進するということは、御質問通りであるとわれわれは確信をいたしておる次第でございます。
  67. 日野吉夫

    日野委員 ただいまの答弁で大体わかるのでありますが、直接この道路建設に要する労働力だけではなしに、関連産業まで考えますと、相当数の雇用力をここに満たし得ると思うのでありまして、このことが当然国の要請であるならば、そう財源の問題にびくびくすることなく、法案が通過いたしますれば、次の実施段階を一つ十分考えられて、この推進をしていただきたい。あまり弱腰で予算をびくびくする必要はないのではないか、こういうことを申し上げて質問を終ります。
  68. 荻野豊平

    ○荻野委員長代理 本案に関します残余の質疑は次会に譲ります。  次会は公報をもってお知らせすることといたしまして、これにて散会いたします。    午後一時二十八分散会