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1955-06-07 第22回国会 衆議院 建設委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年六月七日(火曜日)     午前十時四十六分開議  出席委員    委員長 内海 安吉君    理事 荻野 豊平君 理事 高木 松吉君    理事 廣瀬 正雄君 理事 逢澤  寛君    理事 瀬戸山三男君 理事 西村 力弥君    理事 今村  等君       伊東 隆治君    大高  康君       薩摩 雄次君    松澤 雄藏君       山口 好一君    仲川房次郎君       有馬 輝武君    小松  幹君       三鍋 義三君    中島  巖君  出席国務大臣         建 設 大 臣 竹山祐太郎君  出席政府委員         建設政務次官  今井  耕君         建設事務官         (大臣官房長) 石破 二朗君         建設事務官         (計画局長)  渋江 操一君         建 設 技 官         (河川局長)  米田 正文君  委員外出席者         建設事務官         (住宅局住宅企         画課長)    南部 哲也君         専  門  員 西畑 正倫君         専  門  員 田中 義一君     ――――――――――――― 六月六日  水防法の一部を改正する法律案内閣提出第一  二六号) 同日  東泉田地内魚好川沿岸堤防調査に関する請願  (三宅正一君紹介)(第一八六七号) の審査を本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  日本住宅公団法案内閣提出第六三号)  住宅融資保険法案内閣提出第七四号)  公営住宅法第六条第三項の規定に基き、承認を  求めるの件(内閣提出承認第二号)  水防法の一部を改正する法律案内閣提出第一  二六号)     ―――――――――――――
  2. 内海安吉

    内海委員長 これより会議を開きます。  日本住宅公団法案議題とし、前会に引き続き質疑を行います。  なお住宅融資保険法案及び公営住宅法第六条第三項の規定に基き、承認を求めるの件も、一連の住宅政策として関連がありますので、以上三案を一括して質疑を行うことといたします。通告順によりまして発言を許します。西村力弥君。
  3. 西村力弥

    西村(力)委員 日本住宅公団対象は、あくまでも勤労者を主体とするのだと、本会議において大臣答弁なさいましたが、一体この住宅対策において、所得の何%ぐらいが家賃として支出されるのが正しいことであるか、そういうような研究を、建設省の方においてはやられておるかどうか、収入程度はどのくらいが妥当であるとお考えか、お聞かせ願いたい。
  4. 石破二朗

    石破政府委員 所得のうち何%を家賃にさかせるのが妥当かという御質問でありますが、実は戦前と戦後によりまして、実態が相当変って参っておると思います。御承知通り戦前所得の一五、六%までは家賃として払うのが、大体平均の傾向だったと考えておりますが、戦後におきましては主食費食費等収入の大部分を占めるようになって参りまして、戦後の実情所得のうち家賃として払います分は、戦前よりかはるかに低い状況になっております。もちろん、これは住宅の内容も、戦前よりか相当落ちておるとは思いますけれども、いろいろの事情でそういうことになっております。  そこで、この公団賃貸につきまして、どの程度のものを対象としておるかというお話であります。実は住宅金融公庫におきましては、すでに賃貸住宅という制度を始めておるのでございますが、これにおきましては、家賃の大体六倍程度以上収入のある方には公庫賃貸住宅を提供する、こういうような方針で参っておりますので、公団につきましても、大体その辺をねらいとしてやっていきたい、かように考えております。
  5. 西村力弥

    西村(力)委員 この件に関しましては、実態調査がそういう関係の方でできているだろうと思うのでありますが、一体、現在生計費関係に占めている家賃比率はどうなっているか、その件はおわかりございませんか。わからなければ、経済一課か二課あたりの人に来てもらわなければならぬと思いますが……。
  6. 石破二朗

    石破政府委員 戦前、戦後にわたりまして、世帯当り収入額と、大体家賃として何%程度払っているかという統計の調査は、できております。
  7. 西村力弥

    西村(力)委員 それでは、簡潔でけっこうですから、それをお知らせ願いたい。
  8. 石破二朗

    石破政府委員 戦前戦後、いろいろ調査の時期によりまして、対象その他に若干のズレがあるだろうと思いますので、正確にこれを比較して多寡を比べるというわけには参らぬかと思いますが、大体のところはこれでおわかりと思いますので、お答えいたしますと、戦前、つまり昭和十二年から三年ころのものを取ってみますと、住宅費として払っておりますのは、収入の一六・一八%というような数字が出ております。それから戦後の二十九年の三月を取ってみますと、住宅費収入の四・五%というような数字が出ております。もっとも、これは三月はそうでございますが、五月になりますと、一五・二%という数字になっております。
  9. 西村力弥

    西村(力)委員 先ほど、公団住宅家賃の六倍くらいのところを見ているということでございましたが、実際の現在の生計調査からいいますと、去年の三月で家賃の占める比率は四・五%にしかなっていない、こういう実情にある。これが戦後十年過ぎた今日の勤労者生活のやむを得ない実態ではないか、かように考えられるのです。それでおりますので、住宅公団も、大体五%ぐらいの程度家賃を押えるという工合にしないと、結局勤労者はそれの恩恵を受けられない、かようになるのではないかと考えるわけです。そうしますと、住宅公団に収容しようという人々は、どの程度所得階層を見込んでいるのか。大臣に対してもお聞きしたいのです。勤労者のために住宅公団をやるのだと、本会議においてもまことに能弁に力説せられましたが、一体どの程度比率家賃に占められるように見込んでいるか、この点をはっきり私お聞きしたいわけです。私の聞きたいのは、生計実態調査は、現在の勤労者は、家賃に四・五%ぐらいしか支出できない状態にあるということになっているが、公団ではどういう工含にその点考えているか、それをお聞かせ願いたいと思います。
  10. 竹山祐太郎

    竹山国務大臣 本会議でも申し上げましたように、公団のねらっておりますやり方は、大体従来のいわゆる勤労者住宅産労住宅方式を中心に考えておりますから、そこで私は勤労者住宅考えているということを申し上げたのであって、そういう方式をそのままそっくり採っておりますと同時に、いつも申し上げるように、会社が頭金を出さないで済むというところまで積極的に計画をいたしておりますから、これによって勤労者住宅は十分でき得ると確信いたしております。同時にこれは、産労住宅等では、御承知通り会社がその社員のために、厚生施設としていろいろな方法を、その間においてクッションとしてやられておりますから、法律制度上は、そういうことは強制はいたしませんけれども、今後も当然考えられることでありますし、かたがたこの公団住宅十分勤労者住宅になり得る、またそうする考えであります。数字的には官房長から申し上げます。
  11. 西村力弥

    西村(力)委員 では、官房長にお聞きしますが、公団住宅家賃は、大体五千円か六千円の予定だ、こういうお話を聞いているのですが、そうじゃないですか。
  12. 竹山祐太郎

    竹山国務大臣 その点は、いつも申し上げますように、非常な誤解でありまして、五、六千円出せば月賦で自分の家になるものを考えているのと、いろいろ混淆されて世間に伝わっております。五、六千円程度家賃というようなことは、初めから考えておりません。
  13. 西村力弥

    西村(力)委員 それは幾らぐらいを見込んでおられるかということを、お聞きしたい。
  14. 石破二朗

    石破政府委員 初めに、先ほど私がお答えいたしましたことで、ちょっと説明が足らなかった点がありますので、補足させていただきたいと思いますが、御承知通り戦前、戦後の住宅事情は、戦前貸家というものが相当多かった、戦後は貸家というものがほとんどなくなってしまった、そして貸家は大体公営住宅の方がかえって多くなっております。政府の金を入れて建てたものが多くなっております。それで、先ほど御説明申しました住宅費の中には、単に家賃として払うものだけではなしに、自分持ち家に家代として払う分も入っている。そういうものを総合計した平均でございまして、従って戦前住宅費の中には、家賃として払う分が相当多かったのですが、戦後は貸家というようなものはほとんどなくなったような関係もありますので、この住宅費の占める比率が相当下ってきているのだろうと思います。  なお、公団住宅賃貸分家賃のことでございますが、結論から申しますと、大体四千円程度以内でおさめたい、かように考えております。資金の構成もありますし、資金の利息の問題もありますし、そういう関係で、最終的にはきまりませんが、大見当としては、月四千円程度でおさめるように、できれば三千六百円とか七百円程度でおさめたい、かように考えております。
  15. 西村力弥

    西村(力)委員 そうしますと、公団でその六倍ぐらいの収入の人を入れるということになりますと、二万四千円の収入のある人がこの家を借りられるということになりますが、そういう生活が、今勤労者として可能であると思われるかどうか。二万四千円の収入の者が四千円の家賃支出して、それに安閑として住まいができるかどうか。六分の一だと何%になるのでしょうか、計算してみないとわかりませんが、その計算はあとにしまして、実際しからば、現在勤労者が五%の家賃を払っているのが実態だ、一五%しか家賃は払えない、そして五%で四千円というと、八万円の月給取りということになるわけです。八万円の月給取り対象にする公庫住宅だと、私たちはいわざるを得ないようになってくる。そうでなくて、六倍の二万四千円の収入者対象にするのだといいましても、二万四千円の人が四千円の家賃を払って住まい得るような国民生活になっておるとは、私はとても考えられない。このことからいいまして、四千円の家賃ということになると、比率を五%でなく一〇%と押えましても四万円の月給取りになるのだが、一体国民所得に対する家賃比率をどの程度に押えておるのであるか。勤労者にその恩恵を与える家であるというめどを立てて、こういう公団住宅計画されておるか、私は非常に疑問を感ぜざるを得ないわけです。勤労者に対する恩恵であるというようなことを盛んに言われますけれども、そういうところから、どうしても私は理解ができないわけなんです。
  16. 竹山祐太郎

    竹山国務大臣 私のおらぬときの御質問でありますから私にはわかりませんけれども、政府は五%を基準にしておるということを考えてはおりません。それば社会党案であります。社会党案は、お話通り五%の家賃だということを私もよく承知しておりますが、政府は五%を基準にしてきめてはおりません。従って、現在の資金最大努力をして可能な安い家質に持っていっているということを、私は申しておるのでありまして、従来の公序の産労住宅と大差のないところに行っておることは事実であります。
  17. 西村力弥

    西村(力)委員 五%でないといいましても、国民生活生計実態調査では、去年の三月で四・五%しか家賃を払っていない、こういう実態調査が出ておる。これ以上は負担が不可能なんだということを、逆に示しておると私たちはいわざるを得ないわけであります。それならば、五%と考えないで何%の程度に押えて計画せられたのか。生会党の五%ではいかぬとするならば、あなたの方は何%を見込んでいらっしゃるか、これをお聞きしたいのです。
  18. 竹山祐太郎

    竹山国務大臣 いや、私は先ほど申したように、社会党のように五%とか六%とか、収入から算出した家賃を立ててはおりません。従って、現在政府考え得る資金最大限の努力をいたした線で低家賃に決定させておる、これが政府考え方であります。
  19. 西村力弥

    西村(力)委員 そんなことを言っても、五%と考えていないならば、何%に考えているかということを言ってもらいたい。それは精一ぱい安くしてはいれる者は入りなさい、こういうやり口ならば、それでもいいでしょう。しかし、政治をやる限りは、あの諸君住宅不足で困っているのだから、あの諸君階層の者を公団住宅で救済しようというか、あたたかい寝ぐらを与えていこう、こういう目標がなければならぬはずです。他の家主なら、おれのはこれだけの家だからはいれる人は入りなさいといってお客さんを待ちましょうが、そんなことではないはずだと僕は思うのですよ。
  20. 竹山祐太郎

    竹山国務大臣 前におきめになりました産労住宅方式にのっとって――産労住宅は、あくまで勤労者住宅とわれわれも理解いたしておりますから、その方式を原則に立てておると申しておるわけでありまして、何度おっしゃられても、パーセントを基準に立てておるのじゃありませんから、何%が基準かとおっしゃられても、これは御返事申す方法がありません。
  21. 西村力弥

    西村(力)委員 御返事を申す方法はないとおっしゃいますけれども、一体総理府で、国民所得調査とか生計実態調査とかさまざまなことをやっているのは、何のためにやるのか。これは正しい政治をやるためにあるべきはずだと僕は思うのですよ。そういうような手や足を持っておって、そういうことに一切かまわずに、何%の住宅費支出勤労者生活最高限である、これ以上は負担させられないと、この程度のことをわれわれは政治一つ目標として住宅を建てたければならぬのに、こういう考え方がないなんということは、とても私たちには理解ができない。実態調査は、はっきり四・五%しか出していないという現状が出ているのです。
  22. 竹山祐太郎

    竹山国務大臣 私の申しておるのは、政府として勤労者住宅最大限度努力を尽すならば、これくらいになり得るものだと言っておるのでありまして、従来も公布その他でやって参りました勤労住宅を、世間もまた現実にこれは勤労者のための住宅と受け取っておられるのでありますが、ただ平均的な数字をおっしゃるから、私は政府建前皆さん方の御意見のように収入の何%を基準にして家賃を出すという方式をとっておりませんということを、私は申し上げておるわけであります。
  23. 西村力弥

    西村(力)委員 それでは、大臣の個人的な見解でもいいです。勤労者生活実情は、なかなか御理解がいかないかと思いますけれども、しかし大臣とせられまして、勤労者住宅費に大体どのくらいの支出をさせてもいいだろうという、政府方針としてはないにしても、最高どこまで負担させても大体いけるだろうという、腰だめでもいいから、そういう見解はございませんか。
  24. 竹山祐太郎

    竹山国務大臣 実際の問題についてということであれば、官房長からも数字的に申し上げますし、私からも申しますが、実際の問題は、国会ですでにおきめをいただいた産労住宅現実にやっております収入に対する家賃基準は一〇%というところを押えておるわけでありますから、それを、われわれは一〇%でいいと申しておるのではないのでありますが、現実がすでにそういうことをやって、それが世間から見ても勤労者住宅ということで御理解をいただいておるわけでありまして、この建前を、われわれは公団において悪くすることなどは、絶対に考えておらないのであります。われわれの考えておる今度の住宅勤労者住宅だと申すことは、決して看板に中身を偽わりをする考えは毛頭ないものですから申し上げておるのでありまして、大へんえこじに申したのは、私が何%ということを申しますと、それが政府考えている基準なのかということにお取りをいただくことの誤解をおそれて申したのであります。なお官房長から、現実数字については補足して申し上げる次第であります。
  25. 西村力弥

    西村(力)委員 そうしますと、一〇%という程度に大体抑えられておるとしますと、家賃はまだ最後的な算定にはならないとしても四千円程度、こういう工合に踏んでおりますので、四万円程度収入者対象とする、こういう結論に相なってくるわけです。四万円の収入者というと、一般勤労者というよりも、ここに御列席の方々でも、四万円という方はどのくらいいられるか、一般勤労者の範疇からは、ちょっと上回る人々が多いのではないだろうか。勤労者というのは、私たちは、ほんとうのプロレタリアというようには解釈しませんけれども、しかし多くの比率を占める勤労者というときには、やはり四万円程度の人だけじゃなく、もっと収入少い人、そういう人々が直感的に頭に浮んで来るのではないかと思われるわけです。そうしますと、一体食費に何ぼ占め、住宅に一〇%占める、こういう工合にずっと計算していけば、その勤労者生活はどんな形に相なるでしょうか、お伺いいたします。
  26. 石破二朗

    石破政府委員 お話通り、いろいろ御意見はありましょうが、先ほど私がちょっと補足して申し上げましたが、戦前戦後の住宅費に対して、全収入の何%をつぎ込んでおるかということの意味は、単に家賃だけを対象にしたものではありませんで、自分持ち家の分もいろいろ平均しまして、そうして計算したものでありますから、その点は誤解のないようにしていただきたいと思います。  なお、お話通り公団住宅に入り得る階層は、やはりあまり低額所得者は入り切らぬだろう。従いまして、これらのためには第一種公営住宅あり、第二種公営住宅あり、これらを合計して五万戸用意いたしております。その上の階層を大体公団はねらっておるわけであります。なお住宅金融公庫で、従来から賃貸住宅をいたしておったのでありますが、大体それと同じような基準家賃をきめたい、また入居者もきめたい、かように申し上げておるわけであります。
  27. 西村力弥

    西村(力)委員 官房長の御答弁では、先ほどの二十九年三月の四・五%が住宅費の全体の平均だ、こういうことでございます。そうしますと、やはり直接そういう調査担当しておる担当官にここへ来てもらって、お聞きしなければならないことになると私は思う。これでは、お聞きするのも無理があると思うのです。それでありますから、そのことを要求したいのでございます。  今のお話ですと、やはり低額者は無理であって、相当の高額所得者をやる、低額者公営住宅五万戸でやるのだ、こう仰せられるが、今日の何新聞だかにも、三宅晴輝氏が言っているように、これは民自両党の予算折衝のことを批評しておったのですが、その間に、たまたま戸山ヶ原に行ってみますと、公務員アパートがもう厳然とりっぱに建っておる、ところが一般庶民住宅というものは投げやりにされておる、そういうようなこともちょっと出ておりました。そういうように、あそこに行ってみますと、非常にりっぱな建物があるが、一方には古い、昔の東京都の建てた住宅、あんなものがほんとうにごみごみとしてはんらんしておる。それとともに、ああいう行き方が悪いというわけじゃないけれども、やはり公営住宅重点方式を、今やり抜く時期ではないか、こういうことが考えられる。これだけの国家支出をやっていくならば、公営住宅の方をもっともっと強化する方法が大群じゃないか。月収四万円程度人々は、住宅金融公庫でやってもらう。これはやれないはずはないと私は思う。これくらいの余裕がある人なら、やれると思う。公営住宅では、もっと低額者を重点的にやっていくのが正しいのではないか、かように思うわけです。これは私の見解でありますので、御答弁を求めてもしょうがないと思いますので、やめておきます。  次に、私がお聞きしたいのは、昨日も小松委員質問によって、建設省の二百二十名の整理人員公団の方に大方吸収したい、かように考えておるという御答弁でございましたが、建設省において事業量担当というものを、一体官房長はどのくらいが妥当であると考えておるか。ずっと長いこと建設行政に携わって、官房長の役をやっていらっしゃるわけでございますので、どのくらいの事業量担当するのが能率を最もよく発揮させる道である、こういうことをお考えになっていらっしゃるかどうか。去年に比べて予算が減ったから、これだけ首にするのだということになると、去年の基準というのが、事業担当の量として妥当だ、こういう結論に立っていらっしゃるのか、これを一つ官房長にお聞きしたい。     ―――――――――――――
  28. 内海安吉

    内海委員長 西村さん、ちょっとお諮りしますが、大臣は本日予算総括質問のために、ちょっと席をはずさせてもらいたいという希望があるのでございます。この委員会は、明日引き続き開きまして、大臣出席を求めて審議を行いたいと思いますので、この際、本日の理事会の申し合せによりまして、日程を追加いたしまして、水防法の一部を改正する法律案議題とし、提案理由を聴取することをお諮りしたいのですが、いかがでございますか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  29. 内海安吉

    内海委員長 それでは西村さん、しばらく御猶予願います。  御異議なしと認めます。さように決しました。  それではこれより本案につきまして提案理由説明を聴取することにいたします。竹山建設大臣
  30. 竹山祐太郎

    竹山国務大臣 ただいま議題となりました水防法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由説明させていただきます。  本案につきましては、前々から建設委員会の力強い御支援をいただいた経過も持っておりまして、できるだけすみやかにこの水防法改正をいたすようにという御要求を受けておったわけでありますが、財務当局との折衝等のために若干おくれまして、ようやくこの程度のところで提案をいたすことに相なった次第でありますので、おくれました点をお許していただきたいと思います。  わが国が毎年災害により甚大な被害を受けておりますことは、御承知通りでありまして、これが対策一つとして、第五回国会におきまして、水防制度を整備するため水防法が制定されたのでありますが、今回さらに水防活動強化をはかるため、洪水予報災害補償報賞費用分担費用補助等規定を整備することといたしたのであります。  これが本改正案提案した理由でありますが、次にその主要な点について御説明申し上げます。  第一点は、洪水予報規定を整備することであります。現在、利根川、淀川等重要河川につきましては、建設省及び中央気象台が協力して、水位、流量を示して洪水予報を行なっているのでありますが、この際、これを水防活動の一環として水防法規定し、建設大臣及び中央気象台が共同の責任において的確かつ迅速な予報を行い、水防態勢強化に資することといたしたのであります。  第二点は、洪水または高潮により、国民経済上重大な損害を生ずるおそれのある河川海岸または湖沼については建設大臣が、それ以外の河川海岸または湖沼洪水または高潮によって相当な損害を生ずるおそれがあるものについては都道府県知事が、水防活動を行う必要がある旨を警告する水防警報を行うことといたし、水防機関の出動及び準備に指針を与え、水防の一そうの強化効率化をはかることといたしたのであります。  第三点は、水防団長または水防団員公務により死傷した場合における損害補償につきましては、現在制度的に確立しておらず、わずかに扶助という形で水防管理団体の措置にまかせられているのでありますが、これを公務災害補償制度に改めることによって、かかる犠牲者に対する補償を確保し、水防団長または水防団員が後顧の憂いなく水防活動に専念し得るようにいたしたのであります。  なお、一般住民水防に従事したことにより死傷した場合に対する補償につきましても、これに準じて所要の規定の整備をいたしました。  第四点は、挺進水防に従事することによって著しい功労があった者に対し、建設大臣報賞を行うことができることとし、その功労に報いる道を開いたことであります。  水防は、もとより自治団体郷土愛の発露に基く行動ではありますが、その影響するところ、ただに当該自治団体の利益にとどまらず、国の施設を保全し、広く公共の安全を保持する上に至大の貢献をなすものであり、国としても、その功労に報いることは当然のことと存ずる次第であります。  第五点は、水防管理団体水防によって著しく利益を受ける市町村が、当該水防に要する費用の一部を負担する義務があることを法定いたしたことであります。水防に要する費用は、単に水防を行なった水防管理団体だけが負担すべきものではなく、従って、著しく利益を受ける市町村は、応分の負担をなすべきことを明らかにすることといたし、より広範な規模の水防活動がなされ、かつ近隣市町村の相互協力の精神が発揚されることを期待するものであります。  第六点は、現在予算措置のみでなされている国庫補助を法定することによって、国の水防に対する責任と関心とを明らかにし、水防施設の整備促進をはかることといたしたのであります。  なお、付則におきまして、気象業務法を改正し、建設大臣及び中央気象台が行う洪水予報について、気象業務の制度上の根拠を明確にするとともに、建設省設置法及び北海道開発法を改正し、洪水予報及び水防警報に関する建設省及び北海道開発庁の権限及び所掌事務について所要の規定を整備いたしたのであります。  以上がこの法律案提案理由及びその概要でありますが、どうぞ慎重御審議の上、すみやかに御議決あらんことをお願いいたします。
  31. 内海安吉

    内海委員長 次に、本案につきまして、補足説明を聴取いたします。米田政府委員
  32. 米田正文

    ○米田政府委員 ただいま提案理由説明がございました水防法の一部を改正する法律案につきまして、逐条的に御説明を申し上げたいと思います。  まず第二条第五項の改正でございますが、現行法におきましては水防計画の内容として水閘門の操作を定めておくこととし、ダムをそのうちに含めて現実に運用いたしておるのでありますが、字義上、水閘門のうちにダムを含めて解することは、やや困難でありますので、これを明確にいたしたものであります。ダム、水門、閘門等人為的に操作ができる施設については、その操作の方法によっては災害を助長する危険のあるものであることはいうまでもないことでありまして、洪水時において水防上必要な操作と水防との関係をあらかじめ調整しておく必要があるものであります。  第二条第六項及び第七項は、新たに設けたのでありますが、第六項は、現行法第二十九条の中で規定してありましたのを、条文の形式を整理するため、定義として規定することといたしました。  第七項につきましては、後ほど申し上げますが、本改正法では、建設大臣及び都道府県知事水防警報を行うこととなっておりますので、その定義を明らかにいたしたものであります。すなわち水防警報とは、洪水予報、気象予報等の予報により、またはみずからの水位、流量その他河川の状況の判断により、洪水または高潮による災害が起る危険があるときに、関係水防管理団体に対し水防を行う必要がある旨を警告することでありまして、これによって水防上必要な指針を与え、水防活動が迅速かつ適期に行われることを確保しようとするものであります。  第六条第二項中「扶助」を削りまして、第六条の二の規定を新設いたしましたのは、水防団長水防団員災害補償制度を確立いたしたものでありまして、水防団長水防団員公務により死傷した場合における善後措置につきましては、現行法においては、扶助という名目で水防管理団体の措置にまかせられておるのでありますが、この際見舞金的性格を持つ扶助をやめ、公務災害補償として水防管埋団体の義務といたしたのであります。補償基準につきましては水防管理団体が議決または条例で定めるのでありますが、国といたしましては準則を定めまして、少くとも消防機関に属する者が受けておる補償と均衡を失わないよう指導いたしたいと考えております。  第十条の改正は、洪水予報に関するものであります。現行法第十条の見出しは「気象予報」となっておりますが、実体は洪水予報に関する規定でございまして、現在も中央気象台はこの規定によりまして、気象の観測から判断いたしまして、洪水または高潮のおそれがあることを予報し、建設大臣及び知事に通知いたしますとともに、一般に周知の措置をとっておるのであります。見出し及び第一項の改正は、この際実体に即した見出しをつけるとともに、字句の整理を行なったものであります。  第二項は、新たに水位、流量を示す洪水予報に関する規定の整備を行なったものであります。現在利根川、淀川等重要な河川につきましては、建設大臣及び中央気象台が協力して、すでに水位、流量を示した洪水予報を行なっておるのでありますが、この際これを法律上の制度として確立することによりまして、より的確迅速なる予報を行うとともに、さらに他の重要河川にもこれを及ぼしていきたいと考えております。水位、流量を示す洪水予報を行うためには、河川の状況、上流の水位、流量、実降雨量、予想雨量等を総合的に判断してなさなければならないものでありまして、これがため建設大臣中央気象台とは共同して行うことといたした次第であります。実施に当りましては、両者があらかじめ基本協定をつくり、運用に遅滞、そごを来たすことのないよういたす所存であります。  なお、予報の結果につきましては、建設大臣及び中央気象台がそれぞれ全面的に責任を有するものであります。  第三項は、洪水予報を行う河川の指定でありまして、建設大臣が運輸大臣に協議して定めることといたしました。  第十条の二は、知事が、洪水予報を受けた場合において水防管理者等に通知する旨の規定であります。現行法第二十九条は、これと同一趣旨のものでありますが、指定水防管理団体のみに関するものでありますので、これをその他の水防管理団体にも及ぼすものとし、かつ洪水予報との関連を明らかにする意味において、水防活動の章に規定したものであります。  第十条の三は、第十条の二による通知により、またはみずから判断して、洪水または高潮のおそれがあることを知った場合における水防管理者等の通報義務に関する規定でありますが、これも現行法第三十条にありますのを、前に述べたと同一の趣旨により本章に規定いたしたものであります。  第十条の四は、定義の御説明の際申し上げました水防警報に関する実体規定でございます。第一項は、建設大臣及び都道府県知事水防警報を行うべき義務と、建設大臣及び都道府県知事水防警報を行う河川湖沼または海岸について、包括的にその分野を定めたものであります。第二項及び第三項は、水防警報を発した場合における警報事項の伝達に関する規定であり、第四項は、第一項によりまして建設大臣または都道府県知事水防警報を行う場合における河川湖沼海岸についての公示の規定であります。  第十条の五は、水防団及び消防機関の出動に関する規定でありまして、現行法第三十一条と同一の趣旨でありますが、対象を、指定された水防管理団体のみならず、その他の水防管理団体にも及ぼすこととし、水防警報と出動の関係を明確に規定したものであります。  第十六条の改正は、水防管理団体が、水防のため緊急の必要があって、他の水防管理団体、または市町村に応援を求めた場合における費用は、応援を求めた水防管理団体が負担する旨を明確にいたしたものであります。  第二十条第二項は、水防上緊急を要する通信のために、建設大臣都道府県知事水防管理者等が優先的に利用できる通信施設のうち、日本発送電株式会社通信施設につきましては、同社はすでに廃止されておりますため、これを電気事業通信施設と改めたものであります。  第二十九条から第三十一条までの規定は、さきに申し上げました通り、第三章水防活動の章に、第十条の二、第十条の三、及び第十条の五の規定を設けましたので、これを削除することといたしました。  第三十二条の二は、水防管理団体水防によって利益を受ける市町村の費用負担の規定でございます。洪水または高潮により、一たん堤防が決壊し、またははんらんいたしました場合におきましては、その及ぶところきわめて広範な区域にわたる場合がしばしばあるのでありまして、水防管理団体水防は、単に当該水防管理団体のみならず、他の市町村を利すること人なるものがあります。かかる場合におきまして、当該水防に要する費用を、水防を行なった団体、水防管理団体のみの負担に帰せしめず、利益を受ける市町村にも負担をさすことは、公平の見地からぜひとも必要であります。よって新たに受益市町村の費用負担制度を定め、費用負担の責任を明確にいたすことといたしました。第一項は受益市町村の費用分担に関する基本的規定であります。第二項は受益市町村が費用を負担する場合に、その額及び負担の方法につきまして、当事者が協議して定めることといたしました。第三項及び第四項は、協議が成立しない場合においては、都道府県知事が、当事者の申請に基きまして、あっせんをなし得る規定を設けたものであります。  第三十三条の二は、水防に要する費用についての国の補助に附する規定であります。現在国は、予算措置でもって水防施設に要する費用の補助をなしておるのでありますが、これを法律上の補助とすることによって、水防に関する補助の制度を整備し、国の責任と管理を明確にいたしたものであります。第二項は、国の補助は、国民経済上、洪水による影響が重大な河川についてなされること、補助対象となる水防施設の範囲は、政令で定めること、補助率は、都道府県が水防管理団体に対し補助する額の二分の一以内とすること等について規定し、第三項では国の補助額の限度は、水防施設の設置に要する費用の総額の三分の一以内とすることについて規定いたしたものであります。  第三十四条の改正は、現行法において、一般居住者が水防に従事したことにより死傷した場合に、扶助金を支給することといたしましたので、水防管理団体災害補償をなすべき義務があることを明確にいたしたものであります。基準につきましては、準則により指導いたしたいと存じますが、大体の考えを申し上げますと、警察官に扶助した災害給付に関する法律の例にならいまして、給付基礎額を定めて補償するようにいたしたいと考えております。なお第十六条の規定により応援した水防団員等に対しても、本条の対象となっておりましたが、これは第六条の二によって、それぞれ所属水防管理団体補償することといたしました。  第三十四条の二は、水防に従事した者で、当該水防に関し著しい功労があったものに対し、その功労に報いる報賞制度を設けたものであります。現在におきましても、水防功労報賞の費目から水防犠牲者に対して報賞金を支給していたのでありますが、その制度上の根拠を明らかにしたものであります。報賞の具体的な方法につきましては建設省令で定めるのでありますが、その功労程度、献身の程度によりまして、差をつけたいと考えております。特に水防により死傷した方に対しましては、相当な金品を交付することを考慮いたしております。  第三十五条の二は、建設大臣及び都道府県知事水防に関する助言及び勧告の権限を明確にして、水防活動がより強力に運営できるようにしたものであります。  次に、附則について御説明申し上げます。第一項は、施行期日に関するものでありまして、公布の日から施行することといたしました。  第二項は、気象業務法の改正でありますが、気象業務法の気象業務に関する基本的制度に関する法律でありまして、気象、地象、水象等に関する観測、予報、警報等につき、中央気象台の権限及び責任並びにそれらに関する制度を定めたものであります。今回の水防法改正によりまして、水防活動との関連において、水防活動の利用に適合する洪水予報規定が整備され、建設大臣中央気象台と共同して行う洪水予報規定が設けられましたので、洪水予報制度の観点から規定しいる気象業務法を改正する必要を生じたのであります。  まず同法第十三条の改正についてであります。現在中央気象台は、第十三条第二項の規定により、洪水について、主として気象の観測により、一般の利用に適合する予報及び警報を提供することができることとなっておるのでありますが、洪水の影響及ぶところが甚大であることにかんがみ、中央気象台が行わなければならないことといたし、所要の改正を行なったものであります。  第十四条の二は、水防活動の利用に適合する予報及び警報の制度に関する規定であります。これはさきに述べました通り、本条は水防法第十条に対応する規定でございまして、第一項は、水防法第十条第一項に対応して中央気象台が行う高潮洪水等の予報及び警報について、第二項は、水防法第十条第二項に対応して、重要河川について中央気象台建設大臣と共同して水位、流量を示して行う洪水予報及び警報について規定したものであります。第三項は予報及び警報をする場合における周知措置について、一般の利用に適合する予報及び警報等、同一の措置をとる必要がありますので、第十三条第三項を準用したものであります。第四項は、気象業務法によりますと、中央気象台以外の者が予報業務を行う場合には、第十七条の規定により運輸大臣の許可を要することとなっており、また中央気象台以外の者が警報を行うことは、第二十三条の規定により禁止されているのでありますが、建設大臣水防法及び気象業務法に基いて、洪水予報及び警報をする場合には、当然のこととして適用がない旨を宣言いたしたのであります。  第十五条の改正は、水防活動の利用に適合する予報の性格上、警報事項を通知さす相手方に、建設省及び都道府県の機関を加えたものであります。  第十七条、第二十四条及び第三十七条の改正は、第十三条の改正に伴い、字句の整理を行なったものであります。  次に附則第三項は、建設省設置法の改正であります。建設大臣洪水予報及び水防警報を行うこととなったため、建設本省及び地方建設局の所掌事務に関し、規定の整備を行なったものであります。  さらに北海道におきましては、北海道開発局が建設省の事務を分掌することとなっておりますので、北海道開発法を改正し、洪水予報及び水防警報の実施は北海道開発局が所掌し、建設大臣が主務大臣としてこれを監督することといたしました。  以上が本法案の内容でございますが、何とぞ御審議の上、すみやかに御議決あらんことを切望いたします。
  33. 内海安吉

    内海委員長 それでは緊急質問のみを今日はお許しすることにいたします。西村さん。
  34. 西村力弥

    西村(力)委員 去年でしたか、小沢建設大臣水防服を着て伊豆に行っている写真を見ましたが、私は非常に哀れを感じたのです。結局治水予算の貧困というものが、あんな水防服を着て伊豆に行っている状態になるのではないか、こういうような悲観的な観測であった。お聞きしたいのは、間もなく川が荒れる時期も来ますので、この法律案を提出せられまして、いつごろまでにこれを上げてもらいたいと思っておるかということであります。その点はどうですか。
  35. 今井耕

    ○今井政府委員 もう雨季も迫っておりますので、一日もすみやかに一つ……。
  36. 内海安吉

    内海委員長 本案に関しまする質疑は、次会に譲ります。     ―――――――――――――
  37. 内海安吉

    内海委員長 それではもとに戻りまして、住宅三法案につきまして質疑を続行いたします。官房長答弁があります。
  38. 石破二朗

    石破政府委員 お答えいたします。営繕職員一人当りどの程度の工事量を見込むのが適当かという御質問であります。もちろん職員一人当りの消化量は幾らである、従って幾らの事業量があればどれだけの職員を置かなければならぬというのが出てくるわけではございますけれども、御承知通り、国の営繕事業というものには、毎年々々消長がございます。それに応じまして営繕の職員を毎年々々動かすというわけには参らぬと思います。従いまして、ある程度の基幹委員というものは、考えておかなければいかぬと思います。ある程度の基幹委員を大体置いておきまして、事業の少いときは若干ひまになる、多いときは少しはやはり働いてもらうというようなやり方をする以外にはなかろうと思います。  そこで、現在の定員というようなものが、戦後どういうふうに移り変っておるかと申しますと、昭和二十七年ごろまでは、営繕職員は大体千人をちょっとこえる程度でございました。その後数回にわたりまして、安全保障諸費に基く工事のためと、さらに防衛庁の工事のために増員をして、現在千六百七十名ばかりの職員になっておるわけであります。ところが、御承知のごとく、安全保障諸費に関する事業も、三十年度においてやりますのは、二十九年度においてすでに工事の契約をいたしたもので、繰り越しになりましたものを監督する仕事だけしか、もうないわけでございます。また防衛庁の工事については、大差ありませんけれども、そうふえてはおりません。そういうような関係で、今年の実際の事業の消化の量と、去年の事業の消化の量とを比較いたしてみますと、事業の量の方では約三割減って参っております。職員の方は、千六百七十六人でございますか、それから二百二十名引くわけでございまして、これは二割にも当らない、一割ちょっと程度だと思います。私どもといたしましては、できれば多くの者を常用的に置いておきまして、少しは仕事がひまになりましても、その川それぞれ研究なり何なりでやっていきたいとは思いますけれども、何分このふえましたのが、最近安全保障諸費のためと防衛庁工事のために、一時的に、いわば臨時職員とでも申しましょうか、そういうような意味でふえたので、その仕事が減るということになりますと、どうしてもこれは整理しなければならぬ、かように考えておるわけであります。
  39. 西村力弥

    西村(力)委員 それは、事業量の縮小あるいは拡大、それぞれに伴って事業担当量というものが変ってくることはあるでしょうけれども、大体の基準というのがあるのじゃないだろうか。理論的にいかないにしても、経験からいいましても、大体の基準というのはあり得るのじゃないか、こう思うのです。そういうことが全然考えられていないということであったならば、この定員減そのものも、根拠があまりないのじゃないか。この根拠づけは、去年の事業量の分担は正しかった、あのころが適当である、今年は事業量が三割減じたから、それじゃ少し減らさなければならぬ、ほんとうは三割減らすのが何であるけれども、温情でもって少しその率を減じてと、そんな工合にしか考えられないわけでございます。ところが、事業が三割減じたといいましても、去年の建設省の営繕局職員の勤務状況をずっと調べてみますと、所によって少しは違いますけれども、大体月平均十五時間程度の超勤をやっている状況なのであります。この十五時間の超勤ということは、職員が正規に勤務した場合の何%に当るか。週四十時間なら四十時間としまして、これはどのようになるでしょうか、計算しないとわからないのですけれども、これだけのことをやっておるのでおります。この超勤の解消ということを見込んでくれば、事業量の三割減というものは誤まりではないかというような工合にも考えられるわけです。その点はどんな工合でありましょうか。超勤というものは、勤務の形態としては、これは正常なものではない、超勤を全面的に解消するという方向に定員の配置がいかなければいかぬのじゃないか、かように思うわけでありますが、そういう点も御考慮になりましたかどうか、お尋ねしたいわけであります。
  40. 石破二朗

    石破政府委員 もちろん公務員の超過勤務ということは、あくまでも変則でございまして、そういうことを解消することに目標を置いて、職員の配置なり定数というものをきめるべきことはお話しの通りでございます。ただ、実際問題といたしましては、これは役所の事務の管理がうまくないとおっしゃればそれまででございますけれども、人が相当多くおりましても、やはり超勤ということも起り得るのであります。理論的におっしゃいますれば、そういうようなこともおっしゃれるかもしれませんけれども、仕事の繁閑というようなこともありますし、総数としては相当あっても、やはり超勤というようなことは起り得る場合もあるのでございまして、一律に、超勤があるからその超勤が解消するまでは人員整理をしないというようなふうにも参りかねると思います。
  41. 西村力弥

    西村(力)委員 なおお聞きしたい点は、整理をする考えの基礎、これが事業量が減ったから減らすのだと、こういう考え方ではうまくないじゃないか、やっぱり何かもっと別な基準というものがなければならないのじゃないか、こういう点をお聞きしたいわけです。ただ事業量が三割減ったから、これは減らさざるを得ないから減らしたのだ、こういうやり口では、どうも建設省建設行政を万全ならしめようとする立場が、あまり薄弱ではないだろうか、こういう考え方質問しているのです。そうしますと、事業の担当量というものが、年次的にどういう工合にずっと変っているだろうか。何年は一人当り何万円ぐらい、何年は何万円と、こういうようなところはございませんか。
  42. 石破二朗

    石破政府委員 もちろん一人当りの事業の消化量というものは、調査したものはありますが、ただここで持っております資料は、それぞれの年度を現在の物価に修正をしておりません。その辺を御了解の上、お聞きを願いたいと思います。さらに用地費がよけいかかったかどうかというようなことも、考慮に入れておりません。さらに、御承知通り小さい工事がたくさんある場合には、金額が少い場合でも、よけい手数がかかります。さらに、御案内の通り防衛庁の庁舎の工事というようなものは、どさっと固まって大きな金を食うわけでございますが、こういうようなのは、小さな工事が分散するのに比べると、人手は非常に減るというようなことになります。そういう関係で、いろいろの関係がありますので、これですぐ結論をお出し下さいますことにつきましては、御検討願いたいと思いますが、一応の数字を申し上げますと、二十六年度におきましては一人当り六百余万円、二十七年度は七百余万円、二十八年度は一千百余万円、二十九年度は九百余万円、三十年度はここに計算して持っておりませんけれども、下るものと考えております。
  43. 西村力弥

    西村(力)委員 私、この間全国的に有名になった上田市に行って、土木課に行ってやったのでしたが、あそこは一人当り約九十万、それをその通りそのまま比較しようとは思わない。今おっしゃった通り、そういうところの仕事は、ほんとうに石垣一つくずれたのも、みな直しているのだから、そうなるだろうということはわかるのですけれども、二十九年度は九百万、こういう状態でありますが、これも超勤が相当出ておるのでありまして、まあ職員の健康管理なんかも、どんな工合になっているかでございます。相当痛めつけられておるのではないだろうか、こういう工合に推測がつくわけです。今年は去年の九百万よりも、現状の通りであればもっと下回るが、二百二十何名か整理したら去年の程度になるのかどうか、その点はっきりしないのですが、私は先ほどからの考え方によりまして、去年程度基準である、こういう工合考えているように思いますので、その比較はどうなるでございましょうか。二十六年が六百万、これが一番少いようですが、このときの超勤の状況、あるいは職員の健康の状況、こういうものがはっきりすれば、一番わかるのですけれども、大体これは皆さんが考えておられるように、去年を基礎にして、事業量が減ったから減らすというのではなくて、二十六年の六百万程度、あるいはそれ以下のところがあったかどうかわかりませんが、とにかく二十六年の六百万程度のところを基礎にして超勤状況、健康状況、そういうことを一つ調べてみる必要があるのではないか。そうすれば、今年度人員整理すべきかいなかというようなところが大体出るのじゃないか。二十六年度も相当超勤があり、職員に病気そのほかの災害というものが相当あったとするならば、それよりも下回るものを基準とすべきではないか、こうも考えられるわけです。今すぐその資料を要求しましても、むずかしいと思うのですが、大体どんなものでしょう。二十六年の状況で超勤があったかなかったか、健康状況はどうであったか、こういうようなところが、大体でもおわかりになりませんか。
  44. 石破二朗

    石破政府委員 お話通り、仕事が減ったと申しましても、二十年度においても、超勤は相当やらざるを得ないと思います。御承知通り、営繕の現場と申しますのは、全部請負でございます。請負の方は、これはひどいところになりますと、二十四時間作業をやっておるところもありますし、役所の普通の勤務通りの作業をやっておるのではございません。従いまして、これらの現場監督に従事するような職員は、当然これは超勤がつくわけでございます。また本省にいたしましても、予算時期でありますとか、国会等になりますれば、人が多くても少くても、超勤という問題は当然起るだろう。こういうような関係で、超勤というものは人の多い少いにかかわらず、やはり起るだろうと思います。  なお、三十年度の事業の一人当りの消化見込みでございますが、一人当り九百万円という、二十九年度よりかはるかに下る八百万円ちょっと程度になるのじゃないかと目見当をつけておりますが、しかもこれは二十九年度消化予定の百三十数億というもののうち、相当部分は二十九年度においてすでに契約したものが入っております。そういうような関係がありますので、ただ単にこの数字だけをあげましても、いろいろ問題があろうかと思います。
  45. 西村力弥

    西村(力)委員 去年は九百万、今年は八百万と、そのときそのときによって変るのですが、今年は人員整理する段階になったならば、予算の増減によって負担が変ったとしても、このたびの人員整理をやるという、こういう重大な問題をやる場合には、幾らくらいの担当量にすることが、建設行政を有効にスムーズにやるために適当であるかという見当がないということは、私としては遺憾に思えてならないわけです。その点、どうしてもやっぱりないのかどうか。ほんとうはあるんだけれども、それは言えないのかどうか。どうでしょう、官房長これは正直なところを一つ言ってもらいたい。
  46. 石破二朗

    石破政府委員 もちろん、いろいろ検討はいたしておりますけれども、科学的に、一人当りの事業の消化量というものは何ぼが適当だということは、出ないと思います。
  47. 西村力弥

    西村(力)委員 私は、科学的よりも、経験的に出るのじゃないだろうか、こういう考え方を持っておるのです。長年ずっとやってきまして、仕事のでき工合とか、あるいは職員の、先ほどから申しましたような工合に勤務があまりに過重であるかどうか、そんないろいろな点を考慮しまして、経験的に出てくるではないか、こういう工合に思うのですが、こういうのはやはりしろうとの愚論でありましょうか。
  48. 石破二朗

    石破政府委員 今度予定しておりますような仕事の量が、大体、経験から申しまして適正じゃないかと思います。と申しましても、やはり一番先に申し上げました通り、こういう役所というものは、その仕事の多寡に応じて厳密に増減をしていくということには、やはりむずかしい点があろうかと思います。仕事が相当減りましても、一人当りの消化量も減りましても、相当の基幹委員というものはやはり持たしておいていただかなければならぬ場合もありましょうし、従いまして、その反面少しは仕事がふえましても、やはり勉強していかなければならぬというような場合もあろうかと思います。先ほど一番先に申し上げました通り昭和二十七年ごろは、営繕の職員というものは約千名でございました。戦前はこれよりはるかに少かったのでありますが、営繕だけにしますと、まあ大体私どもは経験から申しましても、この程度でいいのじゃないかというふうに考えております。  なお、勤務の状況でございますが、絶対的に勤務が悪いとかどうとかいう問題は別といたしまして、ほかの土木等と比べまして、営繕が従来より特に勤務が過重であったとは、私は考えておりません、大体同じような勤務の状況であった、かように考えております。なお、地方建設局の方はよくわかりませんが、本省だけについて申し上げますと、ほかの局に比べまして営繕が特に忙しいということはありませんから、この点は御了承願いたいと思います。
  49. 西村力弥

    西村(力)委員 それではこの二百何名という人々は、官房長の方でも住宅公団にその道を開きたい、いよいよ整理をされてしまったら、そこにまた活路を求めたいと、それらの対象者も考えておるだろうと思うのですが、この住宅公団の職員の立場は、一体どういう立場なんでしょうか。公務員とかあるいは電電公社のように公社の職員、それに住宅関係では住宅公庫の職員もある、公団の職員もある、いろいろ出てくるわけですが、私が聞きたいのは、これは公庫の職員、公団の職員と差があるかどうかという点です。その点が一つ。  それとともに、職員が公団に行ってからまた建設省に帰ってくれば恩給がつながる、こういうことを聞いておりますが、一体そういう建設省に帰ってくるめどというものがどれほど確実性を持つものであるか、その点について御答弁願いたいと思います。
  50. 石破二朗

    石破政府委員 営繕の整理予定職員の二百二十名が公団に全部就職してくれることを私どもは希望いたし、またそのように努力いたしたいと思いますが、昨日も申し上げました通り公団の職長は公団の総裁が任命するわけでございまして、公団としては、その必要な職員を必要な方面から採用するということしか申し上げかねると思います。ただ、われわれとしては、従来建設省に奉職しておった者でございますから、公団に参りましても十分働けるものと考えておりますので、就職あっせんについて十分の努力をしたい、かように申し上げておるわけであります。  なお、公団職員の身分でありますが、公庫の職員でございますと、これは国の公務員でございますが、公団の職員は一般民間人であります。公務員ではありません。ただ違います点は、身分が刑法の適用につきまして、公務員と同様に扱われるという点であります。さらにもう一点違いますのは、国なり地方公共団体の職員で国の恩給、たとえば恩給は十七年で恩給受給資格が出るわけでございますが、そのうち二年とか三年とか十年とか勤めたある程度実績を持っておる人が公団に参りまして何年か勤める、そうして、さらに政府の行政機関なり政府機関あるいは地方公共団体に帰りました際には、その間公団に勤めた期間が、役所に勤めておったと同じように通算される、こういう点が違うと思います。  なお、この公団に参りました職員が、役所なり地方公共団体にどの程度帰る確率があるかというお尋ねでございましたが、私どもといたしましては、できる限りもう一ぺんもとの役所なり地方公共団体の方に復職できることを期待いたしておりますが、これは、ただここで私どもがいろいろ言明いたしましても、そのときの責任者の考えで、いかように取り計らってくれるかわかりませんので、ここでは私どもの言明を差し控えさせていただきたいと思います。しかし、実際問題としては、できるだけそういう人はもう一ぺんもとの職場に帰して恩給の関係が円満にいきますように取り計らってくれることを期待もいたしておりますし、そのときの責任者も、おそらくそうしてくれることと考えております。
  51. 有馬輝武

    ○有馬(輝)委員 今の質問に関連して、二点ほどお伺いいたしたいと存じます。  今、官房長は、住宅公団との関係で、身分的な問題については、公団の総裁が採用するのであるから、自分たちとしては努力はするけれども、それをはっきり受け合うことはできない、こういうような意味合いの答弁をされたのであります。この点につきまして、せんだって内閣委員会におきましては、建設大臣の方からはっきりとした答弁があったはずでありますけれども、やはりそこら辺について――含みたいな、事務当局としては、きわめて疎漏のない答弁かもしれませんけれども、やはり身分的な問題でありますから、そこら辺については、営繕の諸君が安心するような形で、大臣が内閣委員会でそういった形の答弁をしたのなら、ここでまたそれをもやもやとさせるような答弁ということじゃ、工合が悪くなると思います。その点について、いま一度はっきりとした御答弁をいただきたいと存じます。  それからいま一つは、先ほど一人当りの仕事の消化量の問題につきまして、昭和二十七年以来の消長をある程度説明がございました。昭和二十七年には、大体一人当り七百余万円ぐらいの仕事をしておられて、その後二十八、九年に仕事がふえて、相当量の仕事になってきております。それがまた駐留軍関係の仕事がなくなったので、今度仕事が減ったからある程度の人員整理はやむを得ないのだというようなお話がございました。そうして、その間に、四村委員質問に対して、基準量というものはどの程度なんだという点についての、数字の上での御答弁はなかったのであります。が、しかし、昭和二十七年ごろが一応ノーマルな形じゃなかったか、今年駐留軍関係の仕事は減ったかもしれませんけれども、そのころに比べますと、相田量の仕事をかかえて、先ほどお話がありましたように、超勤その他で無理をしておる状況が出ております。たとえば九州関係の仕事で、まだこちらの計画が終らないのに、現場に人夫の人が行って、もう仕事を始めておるという状況があったということも、ちらほら聞いております。そういう点、もちろんこれは計画のそごからそういう事態が起きたのかもしれませんけれども、しかし、超勤なり何なりというものが慢性的になっておる状況、労務過重になっておる状況というものは、おおい得ないと思うのであります。そういう点について、仕事が減ったから簡単にこれだけの人員を整理するんだ、そういう御説明では、やはり私たちとしては納得できがたいものがあるわけであります。事務当局から、はっきりとこれくらいの消化量が基準なんだからとこういった形で、仕事が減ってきたからこれだけの人員を整理するのだという御説明があって、初めて納得し得るのであって、ここら辺について、いま一度事務当局としての御見解を伺いたいと思います。
  52. 内海安吉

    内海委員長 この問題は、おそらくこれは小松君あるいは西村君や今の有馬君だけの懸念ではないと思います。おそらく建設委員全体に対して、毎日はがきが舞い込んで、そうして出血のないようにみな要望してきております。ですから、この間の事情について、もっと納得のできるような懇切な答弁を希望しておきます。
  53. 石破二朗

    石破政府委員 営繕で行政整理される職員を公団に就職させることに関する御質問でありますが、先ほど申し上げましたことに、別に足すべきことはないと考えます。つまり、理屈から申しますと、私がさきに申し上げました通り公団の総裁は公団に必要とする職員を採用するわけでありまして、これを裏を返してはっきり申し上げますと、公団の総裁が、各省の行政整理においてはみ出した人間だけを採用したというようなことになりますと、公団の仕事も満足にはできないと思います。また世間もそういうことを許すはずはない。従いまして、公団の総裁は、あくまでも広く人材を求めて、そうして公団の職務遂行に支障のないようにするに、これはだれしも違いないと思います。ただ実際問題としては、営繕に長年勤務しておった者は、公団の職にも適当する者が大部分であろうと思いますので、これらの者の配置転換につきまして、建設大臣としてもあらゆる努力を払いたい、かように申し上げたのだろうと思います。  なお、営繕の一人当り工事消化量がどの程度が適正かという点につきましては、正直に申し上げまして、科学的根拠と申すべきものはないと思います。御承知通り、官庁営繕をやっておりますのは、建設省が一番多うございますけれども、防衛庁、郵政省その他各省の役所の仕事の消化量を比較しましても、極端にいいますと千差万別でございます。建設省は、やはり人数もそろえておりますし、また有能な職員もおる関係でありましょう、また仕事の性質もございましょう、消化量はほかの役所に比べてやはり高うございます。それも事実でございます。ただ、去年に比べて相当、三割程度事業量が減っております。しかも、三十年度に消化予定の事業の中には、すでに前年契約もしてしまったような工事の監督だけの業務というようなものも入っております。さらに来年は、前年二十九年度から三十年度に繰り越しになりました安全保障諸費に基く仕事もゼロになると思います。また防衛庁の工事も、今後そうふえるものとはわれわれ期待いたしておらぬのであります。従いまして、科学的にどの程度が適当かということは、やはり経験的に見まして、大体この程度がいいんじゃないかというところで御納得いただくよりほかになかろうと思います。
  54. 有馬輝武

    ○有馬(輝)委員 私は、何も科学的に出せということを申し上げておるのじゃなくして、先ほど西村さんからもお話がありましたように、経験とそれから他の営繕との比較ということが、一つのめどになるのではないかと思うのです。また昭和二十七年ころが一つのノーマルな状態であったと見ますと、それ以後仕事がふえた、それとの比較でものを考えてしかるべきではないか。たとえば、この衆議院の営繕では、一人当り百万くらいの仕事をしておる、あるいは国立国会図書館の建築部では二百万くらいである。多いところでも、厚生省の医務局の整備課で六百四十万くらいの仕事をしておる。ところが、建設省では一千万を越えておると思います。こういった関係から見て、どこら辺がノーマルな状況であるかということを考えていただいた上で、整理についても考えていただかないと、ただ、仕事が減ったから、少くともその仕事を――二十七年から仕事がふえて、そのための人員もふやした、これはやはり一つのめどがあってふやされたのだろうと思うのです。ただ、科学的には出せないから、そうして仕事がなくなったからということで、簡単に整理していくというような形は、私は避けていただきたいと思います。今度行政機関職員定員法の一部改正法律案で、四千名ぐらいの人がほかの省庁ではふえております。これはやはり仕事のボリュームにおいて、ある程度のことが考えられた結果が、そうなってきておるのであって、内閣として今度あくまで人員を整理しなければならないという一つの基本方針があって、理屈抜きに整理していかれる過程ならともかくとして、ほかの省庁ではふえておるところが建設省だけ、そういった状況の中に置かれておるのに減らしていくという形については、たとい住宅公団の問題がありましても、定員法自体の問題として私は納得できがたいと思うのであります。ですから、これ以上押し問答いたしましてもあれですけれども、先ほどの官房長の第一点の質問に対する答弁は、それは事務当局としては、きわめてすきのない答弁かもしれませんけれども、問題は、そういった答弁をこの委員会においてなされるのを営繕の諸君が聞いたら、どう思うかということです。公団の問題は公団の総裁がするんだ、それはきわめて当りまえのことであります。しかし、やはりそこにはいま少し実のある、情のあるところの答弁を求めて私は御質問を申し上げておるのであって、そこら辺について、ここであえて先ほど繰り返された答弁に修正を求めませんけれども、私たちが、先ほど委員長からもお話がありましたように、建設委員全部が考えていることを十分のみ込んだ上で、この問題については処理していただきたい、このことを希望として申し上げておきます。
  55. 西村力弥

    西村(力)委員 昭和二十六年度以降の一人当りの担当量をずっとこうやってみますと、時によってはよけいに負担したり、時には少しゆるやかな場合もあったというようなことを認めたにしまして、それの単純平均をずっと出してみますと七百五十万ぐらいになる。そうしますと、今年の七百五十万が基準で、大体予算によってはそれよりも少くなる場合がある、あるいは努力してもらってもっと出る場合があるというような工合になりましても、そこら辺、七百万円ぐらいをめどにするということも考えられる。実際においては、もっと少い方がいいんじゃないかと思うのですが、かりに七百万平均、そのように出たという場合にしましても、今年の事業量は人員を減らさない程度平均が七百万程度に出てくるのだから、やはり減らしてはいかぬのじゃないかということが、私の経験からも出て来る。今ずっとお話をお聞きしているところからすると、そういう工合に出てくる。そうだったら、そうしてくれたらいいんじゃないかと思うのですが、どんなものでございましょうか。あくまでも整理するのが正しいとするならば、相当の事業分担量になりまして、結局うまくいかないのじゃないか。経験からと言っておりましたので、やってみますと、七百万そこそこぐらいの程度がいいんじゃないか、こういうことが出てくるのです。いかがでございましょう、そういう工合にはお考えできないでございましょうか。
  56. 石破二朗

    石破政府委員 私も仕事の中身がよくわかりませんけれども、本年の営繕の事業の消化量総額は約百三十億見当を予定いたしております。そのうち前年度からの繰り越しといいますのが約八十億、これはすべて契約も終り請負師もきめまして繰り越されたものが、その程度を占めております。従いまして、昭和三十年度におきます事業の一人当りの消化量というものが、昭和二十六年度程度よりも減っておると申しましても、あながちその数字だけで今年の仕事の量が多いとか少いとかは言い切れぬと思います。私は、工事をやる際に、請負師を決定するまでの仕事の量、それから請負工事を決定した以後の監督の業務、その人手を食う比率など、詳細に存じてはおりませんけれども、この程度がいいのじゃないかと思う次第でございます。  なお、公けの席上でございますので、はばかっておりましたけれども、将来仕事の量が非常に減りまして、かりに一人当りの仕事の消化量が五百万とかいうことに落ちる場合がありましても、その際もやはりある程度の職員はぜひ置いていただきたいというようなことをお願いしなければならぬ場合もあろうかと存じます。そういうような関係がありまして、私から申しますと、今年はそうひどい仕事の消化量とは思いませんけれども、この程度営繕の職員がやっていただいて、またそういうことで無理をしていただきます分は、将来楽になっても、ある程度の定員は保有させていただくことをお願いするというような方法でやっていきたい、かように考えております。
  57. 西村力弥

    西村(力)委員 建設省から住宅公団の職員に出た人々は、将来建設省に復帰するというようなことが相当優先的なものとして保障される、こういうことが必要だと思うのですが、その点は無理して住宅公団に行ってもらったのだから、あるいは長いこと建設省におったのだから、復帰のときも相当優先的に考えてやろう、そういう考えてやろうという程度にとどまるものかどうか。公団に行けば公務員でなくなる、組織体として別なものであるが、その職員は純然たる民間職員と違って、法制上の制約を受けて勤務をしておる、また国の方策に対する直接的な業務に携わっておるというような点から、建設省に帰りたい、あるいは建設省に人員を必要とするというようなときが出た場合に、今言ったような公団職員のある程度の制限というようなところから、優先的に復帰することが保障されるような工合になるかどうか、その点をお聞きしたいわけであります。
  58. 石破二朗

    石破政府委員 理屈を言うと、いろいろございまして、あまり大きなことも申されませんけれども、営繕の職員も安心し、また委員の各位も御安心願えるような措置を講じたいと考えております。
  59. 西村力弥

    西村(力)委員 これは次官にお聞きしますが、建設省の将来のあり方について、大臣なり次官なりという人々は、省内の意見なり何かをそれとなく察して、どういう方向をとっていられるか。建設省は直接事業そのものをやらないでいこう、将来はそういう建設省の形にしていく。営繕などという直接事業を担当するというようなことをやめて、予算の獲得なりそれの配分なり、そういう方面だけに進もうとするのか。これは大臣にお聞きしたいと思っておったのですが、次官もその点に対する考えがおありでしたら、お述べ願いたいわけです。
  60. 今井耕

    ○今井政府委員 国として必要な方面につきましては、やはりこれを減らすというようなことなしに、そのときの実情に応じて現在のような方針を進めていきたい、かように考えております。
  61. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 きょうは大臣はおられませんけれども、ちょうど計画局長が見えておりますから、前々回の委員会昭和二十九年度の上水道の新規計画についてお尋ねしたのですが、そのときは、大臣はまだ何も御存じなかったから、次の委員会でそれをどうするかということを御返事願いたいと言っておきましたので、この際計画局長から答弁できたら承わりたい。
  62. 渋江操一

    ○渋江政府委員 この前御質問がございまして、答弁を保留いたしておきました問題は、二十九年度の水道の補助予算の執行についてでございます。御質問によりましてその後私ども内容を調査いたしたのでありますが、この補助予算の金額は、未執行になっております分が約七千万円程度あったかというふうに存じておりますが、この委員会で御質問になりまして御疑念があったと推測されます点は、その七千万円が一括しまして三十年度に繰り越しになっております。繰り越しされました手続といたしましては、私ども内容をよく検討いたしましたが、これは新たに予算の上で一括繰り越しを規定されておりますので、その手続に従いまして、そのまま一括繰り越しを大蔵大臣と協議の上で決定してもらったわけであります。問題は、何ゆえに二十九年度の予算を二十九年度内に執行できずして三十年度に繰り越されたかという点にかかるわけでありまして、その点は、私ども詳細に検討いたしたのでありますが、要するに、これに対しましては、相当大量の新規の水道事業に対して補助予算を決定してほしいという、厚生省並びにわれわれもその協議にあずかっておりますが、新規事業個所の要求を大蔵省に提出をいたしております。実は、二十九年度全体の事業予算の執行といたしましては、新規個所については、できるだけ制約をするという基本的な考え方がございまして、これは公共事業においてもやはりその方針がある程度貫かれておりますが、同様の意味合いにおきまして、水道事業の補助についても、新規個所はできるだけ制約したいというような考え方があったと実は推測されます。さような関係から、提出しました新規個所を全面的に承認することは、なかなか困難であるという関係等がございまして、これを一括個所の決定を三十年度に持ち越す運びに至った、かようなことになっておるわけであります。さように二十九年度予算を三十年度まで新規個所の選択の方針が両省間に一致しなかったということでありますが、さように延び延びになった結果は、私どもとしましては、まことに申しわけない次第と考えておりますので、できるだけすみやかに大蔵省との話し合いをつけまして、新規個所の決定に対する補助予算の執行を、すみやかにつけて御期待に沿うようにいたしたい、かように考えております。
  63. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 詳しいことば、もう言う必要はないのですが、二十九年度の年度末に四十五カ所を認めようということで、民主党の政調会が中に入って、一応それば内定したのです。内定したが、ちょうど年度末であるから、もうどうしても間に合わない。従って繰り越して、年度初め早々にそれを実行に移そう、こういうふうなことになって、地方の四十五カ所の関係公共団体はそれを期待して待っておった。ところが、すでに六月になっておる。私が質問したのは五月でありました。そういうふうなことでは、われわれが国会で審議をし、予算を決定しても、約七千万円ぐらいのものをできないような人たちはやめてもらいたいとまで、私はこの間極論した。それで次の機会と申しましたが、一つ委員会を飛ばしまして、きょう特にそれを念を押しておく。責めるわけではありませんが、そういうようなことで、せっかく国会で議決した昭和二十九年度の予算が、今日もなお方法がつかないというようなことは、これはほんとうにけしからぬことだと思っておる。今、すみやかにとおっしゃったが、この間大蔵省の原主計局次長も、すみやかにやるという話でした。当然のことであって、すみやかにやっていただきたいということを申し上げて、私の質問を終ります。
  64. 内海安吉

    内海委員長 以上三案に対しまする残余の質疑は明日に譲ります。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時三十二分散会