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1955-07-12 第22回国会 衆議院 決算委員会 第25号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年七月十二日(火曜日)    午前十時三十九分開議  出席委員    委員長 上林與市郎君    理事 椎名悦三郎君 理事 山本 正一君    理事 徳安 實藏君 理事 吉田 賢一君       有田 喜一君    床次 徳二君       薄田 美朝君    中馬 辰猪君       片島  港君    三鍋 義三君       佐竹 晴記君    細田 綱吉君  出席国務大臣         文 部 大 臣 松村 謙三君  出席政府委員         文部事務官         (大臣官房会計         課長)     北岡 健二君         文部事務官         (大学学術局         長)      稻田 清助君         厚生政務次官  紅露 みつ君         厚生事務官         (大臣官房会計         課長)     堀岡 吉次君         厚 生 技 官         (公衆衛生局         長)      山口 正義君         厚 生 技 官         (医務局長)  曾田 長宗君         厚生事務官         (保険局長)  久下 勝次君  委員外出席者         判     事         (最高裁判所経         理局長)    岸上 康夫君         会計検査院事務         官         (検査第二局         長)      上村 照昌君         専  門  員 大久保忠文君         専  門  員 岡林 清英君     ————————————— 七月八日  委員横井太郎君及び中馬辰猪辞任につき、そ  の補欠として櫻内義雄君及び戸塚九一郎君が議  長の指名委員に選任された。 同月十二日  委員關谷勝利君及び戸塚九一郎辞任につき、  その補欠として薄田美朝君及び中馬辰猪君が議  長の指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和二十八年度一般会計歳入歳出決算  昭和二十八年度特別会計歳入歳出決算  昭和二十八年度政府関係機関決算報告書     —————————————
  2. 上林與市郎

    上林委員長 これより会議を開きます。  昭和二十八年度決算中、裁判所所管について審査を進めます。それでは昭和二十八年度決算検査報告三二ページより三三ページに至る報告番号一を議題といたします。会計検査院より説明を求めます。上村検査第二局長
  3. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 二十八年度の裁判所関係検査報告に掲記しましたのは、第一号の不正行為一件でございます。事態東京地方裁判所八王子支部及び八王子簡易裁判所で起りました事件でございまして、昭和二十五年から二十八年の十月までの間に、歳入歳出外現金出納官吏民事予納金保釈保証金等五百五万九千円を横領しました事態でございます。これにつきましては、すでに検査報告掲起当時九十二万五千円弁償済みでございましたが、その後さらに五万五千円が弁償になっております。  この犯罪方法は、現金出納簿小切手等は正当の金額を記入しておきまして、日銀から月計突合表が参ります場合に、符合しない点につきましては、月計突合表の控えを改ざんして犯罪を隠蔽しておった次第でございます。  本件以外に特に裁判所関係で御報告いたす事項はありません。
  4. 上林與市郎

    上林委員長 ただいまの会計検査院説明に対し、裁判所当局において補足説明があれば、これを許します。岸上経理局長
  5. 岸上康夫

    岸上最高裁判所説明員 裁判所関係の二十八年度の不当事項について、簡単に裁判所側から申し上げます。  本件は、東京地方裁判所八王子支部庶務課長昭和二十五年ごろから八年の十月ごろまでの間に保管金等約五百余万円を横領したという事件でありますが、職員のうちからこういう不正事件を出したことは、まことに申しわけないと思います。この被害金に対しましてその後弁償がございましたのは、現在までに合計九十八万円でございまして、残額の四百二十万ばかりはまだ未回収でございますが、鋭意回収努力中でございます。  不正事件を起しました関係者処分につきましては、本人昭和二十九年の一月に懲戒免職になりました。なお刑事上の訴追を受けまして、本年の三月に懲役三年という一審判決がございまして、目下控訴中でございます。  監督者関係につきましては、当時の東京地方裁判所の所長、八王子支部支部長あるいは東京地方裁判所事務局長というものにつきまして、その処分方につきまして目下審議中でございます。  裁判所といたしまして、本件行為が起りました原因についていろいろ考えてみたわけでございますが、相当長期間の犯罪行為でありまして、その間に発見がおくれました点につきましては、監督上まことに申しわけない次第と存じておるのでございます。一つは、やり方が巧妙なやり方であったということと、本人が長年裁判所に勤務しておりまして、その人柄も信用されておったことが発見がおくれた原因というふうにも考えられまして、まことに申しわけなく存じておる次第でございます。その後この経理扱い方につきまして、裁判所といたしましては、前々からなるべく多人数の手を渡って金銭の出納を扱うように処置いたしておるのでございますが、何分支部等人員関係からそれがなかなか思わしくいってないというふうなことから、本件の問題もそういう原因から、十分に多人数の手を渡ってやるチェックシステムと申しますか、そういう方法がとれなかったということも一つ原因でございますが、その関係是正しまして、チェックシステムに近づけるように処置いたしたのでございます。なおこういう事故を今後早期に発見する方法一つといたしまして、歳入歳出外現金計算書を必ず最高裁判所を経由して提出さすということにしまして、それに基きまして、その都度日本銀行の方とその残高の照合をするというふうな方法もとったわけでございます。その他会計上の内部監査あるいは会計上の職員の研究、会同というふうなものも、これは従来からやっておるのでございますが、さらに一層予算上の措置もできるだけいたしまして強化したいというふうに考えて、おります。以上簡単でございますが……。
  6. 上林與市郎

    上林委員長 質疑通告がございますので、これを許します。吉田賢一君。
  7. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それでは最高裁判所当局にお伺いしますが、今御説明になりまし東京地裁八王子支部などの職員不正領得事件につきまして、かかる案件監督関係法律上の規定はどれによるのでありましょうか。
  8. 岸上康夫

    岸上最高裁判所説明員 裁判所法の八十条が監督系統規定でございまして、その規定に基いて司法行政監督をいたしているわけでございます。   —————————————
  9. 上林與市郎

    上林委員長 前委員会の要望もございまして、ただいま文部大臣が見えましたから、裁判所の方の質疑あと回しにして、昭和二十八年度決算文部省所管について審査に入りたいと思いますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 上林與市郎

    上林委員長 それでは昭和二十八年度決算検査報告一二七ページより一三五ページに至る報告番号八三四ないし八六七を一括議題とし、前会に引き続き質疑を続行いたします。質疑に入る前に、前委員会質疑に対して文部大臣から先に御発言があるようですからこれを許します。松村文部大臣
  11. 松村謙三

    松村国務大臣 東京芸術大学に関する不正事件につきましては、長期にわたって発見できませんでしたことはまことに遺憾に存ずる次第でございます。なお判決前に損害賠償要求をいたさなかったことにつきましては、当初の被害金額が五百余万円でありましたが、何分にも長期にわたって行われていた関係で、盗用金額の確認に相当の時日を要しましたので、右の請求がこのようにおくれましたが、今度法務省に対しまして損害額六百十一万五千八百七十一円について要求手続を完了いたしました。また大阪大学の件につきましても、判決前ではございますが、さっそく損害賠償要求をするよう処置をいたしたのでございます。なお今後はかかることのないよう十分指導監督することに万全を期したいと思っておりますから、何とぞ御了承をお願いいたします。  また公立文教施設費補助金不当事例処理方針につきまして、その後の経過等を申し上げたいと思います。北海道の沼川中学校屋内体操場整備工事外三十一件にかかる補助金につきまして、不当事項として会計検査院指摘されましたことはまことに恐縮に存ずる次第でございます。指摘されました案件につきましては、すでに関係都道府県に対し返還を要するものであることを一応通告をいたしておいたのでございます。しかしこれら返還を要すべきものと考えられます不当事例の中には、補助金重複受領等きわめて悪質な事例もございますが、このようなものは論外といたしまして、その他のもののうちには、窮迫した地方財政の中にありまして、教育施設整備熱意を傾け、補助対象となった工事は確実に実施されているのが多い実情でございます。ただ従来の法令等の理解が不十分なため、結果的に違反となっているのも少くない実情でありますので、これら補助金返還を決定するに当りましては、公立学校施設費国庫負担法第八条による釈明書等を十分検討いたしまして、慎重に決定いたしたいと考えまして、文部省内に公立文教施設費補助金違反事例処理審査会を設け、現に審査中でありまして、この結論は今月一ぱいに出るものと考えているのでございます。申すまでもなく会計検査院から指摘されましたこれらの事例のすべては、さきに御説明申し上げました通り法令等によれば当然返還すべきものでありますが、この審査会におきましては、その後児童、生徒が著しく増加していること、昭和二十九年度から実施された暫定最低基準によりますと、超過交付とならないこと、法令に定める特例として扱えば超過交付とならない、その後追加工事を実施して是正措置を講じておりますこと、及び直接事業主体責任とするのは酷に失することなどの事情について検討いたし、厳正であるとともに、また最も実情に即した是正措置を検討いたしたいと考えているのでございます。また当然返還すべきものの返還処理が非常におくれておりますことはまことに遺憾でありますが、これは検査院から指摘された事例が非常に多かったことと、これらの処理を均衡を失せず適正に行うため、一括審査会にかけて処理することといたしましたために遅延いたしたものでありますが、現在におきましては、釈明書等もほとんど出そろいましたので、速急に是正措置を講じられる段階に立ち至っておりますことを御報告申し上げる次第でございます。  なお各都道府県に対しましては、補助事業の適正な施行方につきまして注意を喚起する厳重な通達を発しておりますが、さらに今後の対策といたしましては、事業主体の直接の指導監督に当っております都道府県教育委員会に対する指導と、事業主体に対する補助金の趣旨の徹底をはかりまして、一そう補助対象事業実情の把握に努めまして、このような事態の発生を今後防止することに一そう努力いたす所存でございます。何とぞ御了承をお願いいたす次第でございます。
  12. 上林與市郎

    上林委員長 これより前金に引き続いて文部省所管に関する質疑を続行いたします。文部省からは大臣のほかに北岡会計課長稲田大学学術局長も出席しておりますが、時間の関係もございますから、大臣に対する質疑を先にお願いいたします。徳安委員
  13. 徳安實藏

    徳安委員 文教の府である文部省に幾多の批難事項の出ておりますことはまことに遺憾であると思います。とりわけ最高学府である大学方面にこうした忌まわしい事件指摘されましたことは、これまたことに残念なことでありますが、なかんずく今回指摘されております東京芸術大学不正事件につきましては、どう考えてみましても、その緩慢さに驚かざるを得ないのであります。とりわけ、この横領の事実が発覚いたしましたのが二十九年の八月、第一審の判決のあったのが三十年の一月三十一日、その後半年も経ておりますのに、これが監督者に対して何らの責任上の処置がとられていないのであります。こういうことでいいのでしょうか。一つ文部大臣の御所見を伺いたいと思うのであります。
  14. 松村謙三

    松村国務大臣 ただいまの御質問でございますが、その監督不十分の責任がありました事柄につきましては、それには原因はいろいろございますけれども、何と申しましても申しわけのないことと心得ておりまして、今後このようなことのありませんように特に注意をいたす次第でございます。決して弁解がましいことを申すのではございませんけれども、こういう方面監督に対する省の人員その他もきわめて微弱でございまして、ついこういうことも起り、善後の措置もおくれたことと思いますが、もちろん当時すでにそれぞれの処分は了しておりますけれども、このようにおくれましたことについては、文部省としましては、はなはだ遺憾なことで申しわけないと思っております。
  15. 徳安實藏

    徳安委員 この刑事事件に対する責任の所在は、もちろん判決を待たなければならぬと思います。しかし、すでに事実の真相ははっきりし、その内容につきましても何ら酌量すべき余地のない本件のごとき事件につきましては、監督責任者に対しましても、第一審の判決を待つまでもなく適当なる減俸であるとか訓戒であるとか何らかの文部省としての処置をおとりにならなければならぬはずだと思うのですが、先般来、事務当局から承わりますと、まだ何らの処置も講じていない、かようなことでは今後こうした問題に対しても決して戒めにならぬと思います。すでにもう半年も前に判決は下っておる。もちろん最後の判決ではございませんが、第一審の有罪の判決内容を見ましても何ら疑う余地がない。ただ量が重いか軽いかの問題であって、全然情状酌量余地のない本件のごときに対しましては、監督責任者に対しましても適当な処置を講ぜられて、本人はもちろんのことでありますが、監督する地位にある人に対しても十分なる今後の戒めとし、注意を喚起されることが妥当ではないか、かように考えるのです。この点について一つ所見を承わりたい。
  16. 松村謙三

    松村国務大臣 懲戒処分判決の前にそれぞれ手続もいたしたわけではございますけれども、お話通り、何分このような事件措置が漸次おくれましたことについては、まことに申しわけのないことと考えておりまして、今後はこのようなことのないように十分の注意をいたすつもりであります。
  17. 徳安實藏

    徳安委員 それでは大臣お話に今後を信頼してこの点を打ち切ります。  さらに、こういう点は大臣いかがでしょうか。もし不正を行いましたときには、一文でも国の損害を少くするように、あらゆる手段を当局責任者としてお講じになることが当然であると思います。しかるに本件のごときは五百万円以上の大きな損害を国に及ぼしながら、今日に至っても一文補てんしておらない。これは会計検査除指摘通りであります。かようなことはどう考えたって、ほんとに悪いことをした人間が悪かったというならば、たとい質に置いてでも国の方の損害を多少でも補うべく努力をするのが当然じゃないか。それが一文もされていないということは異例でありますが、こういう点に対しまして大臣の御所見を伺いたいと思います。
  18. 松村謙三

    松村国務大臣 国家に対して損害を及ぼしましたことと、綱紀粛正の上から申しましても、許しがたいことと思うのであります。それが今日までこういう緩慢なことに推移いたしましたことは、先刻申し上げました通り、重重遺憾に存ずるのでございまして、今後は国の損害補てんするということはもちろん、また綱紀粛正という意味において十分注意をいたしたいと存じます。
  19. 徳安實藏

    徳安委員 大臣の謙虚な気持においての御答弁に対しまして私は満足いたしますが、特に私の指摘いたしたいことは、この裁判所判決を見ますと、大友に対しましては現住所住所不定になっております。これはあなたの方からお出しになりました参考資料にはっきりと不定になっておるのであります。住所不定、住居がわからないというのです。そういう者に対する判決なんであります。そうして一文補てんをされておらない。しかも行方がわからないのですかどうですか、とにかく住所不定と書いてあります。かような者に対して、今後かりに五百幾らと出ておりますのが六百幾らになって金額が決定して、補てん方法に対して訴訟が起されましても、今になって一体入ってくる見込みがあるのですかどうですか。われわれはどう考えてみたって、もう行方不明になるようなことにしてしまっておけば、あと訴訟を起されたって何したって補てんはできないのだからというようなずるい考えで、こんなことをやっておるのじゃないかと考えるのです。こういうずるい人間に対しては、それこそ断固たる処置大臣とっていただきたいと思うのですが、御所見を伺いたい。
  20. 松村謙三

    松村国務大臣 お話通りでございまして、十分なるできるだけの措置をとります。
  21. 徳安實藏

    徳安委員 もう一つ、これはらち外ですが、文部大臣に御所見をお伺いいたしたいのでありますが、わずか十万円あるいは二十万円、また多くて五十万円くらいの詐欺をしたり、食うに困ってどろぼうをした人間裁判を受けると三年、三年、下手すると五年もの懲役に処せられるのです。五百万円も六百万円も国に損害をかけさせて、自分で使い込んでしまって、住所不定のような人間が、裁判の結果を見ますと、驚くなかれわずか二年半、かようなことは、これは裁判所の方ですから文部大臣関係されることではありません。これはまた私ども別の機会に聞きたいと思いますが、こういう国の金を使った人間はどの例を見ましても非常に刑が軽いのです。住むに家なく食うに食のない連中が思いあまって犯した犯罪等金額がわずかのものでも非常に重い。選挙違反の件につきましても五方、十万、二十万円くらいの金の取引で三年もの懲役に処せられたり、五年の公民権停止になっておる。しかるに五百万円も六百万円も使った者が二年半、ほんうにこんなことじゃ役人の戒めにならないと思いますが、所管外ですけれども、一つ文教の府におられる文部大臣の御所見をこの際伺っておきたいと思います。
  22. 松村謙三

    松村国務大臣 どうも司法の面につきましては私何とも申し上げようがございませんが、今御指摘を承わりますと、その間量刑の程度が軽いという御指摘は、私もやはりこれだけのことをしたのに同様に思いますけれども、もう刑は確定しておることですからやむを得ません。ほかの例から見ますればいかにも軽いような感じがいたします。
  23. 上林與市郎

    上林委員長 次に吉田委員発言を許します。なお大臣の時間が切迫しておりますから、その点も十分御配慮に入れて御質問を願います。吉田君。
  24. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 文部大臣に伺いたいのは二点ございます。第一点は補助金問題であります。昨日の東京日刊紙によりますると、例の補助金適正化法案次官会議で決定したらしいんです。きょうはその問題につきまして閣議も行われたやに聞いております。それで伺いたいのでありますが、今後の補助金の政策あるいは不正補助金に対する処理等をめぐりまして、非常に重要な法律案であると思うのであります。そこで閣議構成の一人としての大臣に伺うのでありますが——本来の主管大臣大蔵大臣と思いますが、この法案を御協議になりましたときに——ほとんどの不正補助金未処理に終っております。文部省はもちろんのことであります。それからここに出て参ります二十八年度決算によりまする厚生省補助金も、ただ期限が切ってある屎尿処理補助金以外は全部未処理であります。こういう原因がどこにあるんだろうかということにつきましては協議対象になったのでしょうか。
  25. 松村謙三

    松村国務大臣 ただいまお話通りきょうの閣議におきましてある程度の刑罰を付するという提案をすることに決定いたしたのでございます。あの法案はその運用をよほど注意をしてやりませんと、いろいろのこともまた起り得る可能性もありますので、運用については閣議でも相当の議論が出たのであります。それはこの文部省のこういう事例の多くをとってみましても、何とか子供のために学校を完成してやりたいというような熱意から無理算段をいたした、そうして補助の単価がなかなか今言うような実際と比較して非常に低い、それを無理して建てたいというようなことからも出てきておるのでございまして、そういうようなことに対しては情状酌量のしんしゃくをいたして法の適正を期そうじゃないかということをきょう閣議できめたわけでございます。
  26. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 しかしながら新聞に伝えられましたところの補助金適正化法案内容を読んでみますと、徴収に関しましては国税徴収の例によりまして強制徴収になっております。そこで現地におきましては、あなたの方の省の補助金は全部未処理であります。厚生省も全部未処理であります。農林省にいたしましてもほとんどその例に漏れない、それから建設省にいたしましてもその他およそ補助金数百の項目、おそらくは数百億円にわたるものが未処理になっております。そこでほんとう国税徴収法によりまして強制執行をする、こういう御覚悟があれば大へんけっこうでありますが、きょう閣議決定になったとおっしゃるから、閣僚としてのあなたに伺っておるんですが、法案通りましたらほんとうにそういうような決意をもって臨んでおられるんでしょうか、これは念のために伺っておきます。
  27. 松村謙三

    松村国務大臣 これは主管が通いますので間違ったことを申しては済みませんから、その法案のときに一つ主管の方からお聞き取りをお願いいたしたいと思います。
  28. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 よろしゅうございます。なおこれは大蔵省の所管でありますけれども、あなたはやはり閣議構成の重要な大臣であらせられますから、従って内閣が国会に提出する法律案責任者の一人といたしまして、明確に認識しておってもらわなければ困るのであります。それでは一つだけ伺っておくことにとどめておきますが、一体処罰対象になっておりますものは事業主体及び申請者であります。使用した人間であります。言いかえますと地方公共団体の長でありますとか、そういうような連中処罰対象になっております。一体国が年間通計いたしますと数百億円にも上る損になっておるであろうというようなこの重大な国損に対しましても、出した方に何の責任も負わせないのか、言いかえますと支出官といたしまして、会計法規定によりますと、各省庁の長は支出につきまして最高責任者でありますが、各省庁の長は何の責任も負わないで何億円、何十億円、何百億円という年々の補助金国損責めを負わずに使った方の人間だけ責めを負うというようなことになっておってよいのでしょうか、その点はっきりしておいていただきたい。
  29. 松村謙三

    松村国務大臣 その点につきましては法においては責任は問われませんが、行政上の責任はこの法ができましたならば一層重大を加えることと思うのでございます。
  30. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 けれども行政上の責任国損をかけた重要な支出官吏責任者が負い、そうして使った側は刑事罰を受ける、五年以下の懲役に処せられる、こういうふうなことでよいのだろうか、この点今あなたのおっしゃった綱紀粛正、紊乱を正すことが補助の不正をなくす唯一の目的だというような御信念に沿うことになるでしょうか。なぜもっと綱紀粛正ならば元をためる、元を粛正するということ、すなわち行政府の責任者をみずから責めるということにもっと真剣であり得ないだろうか、こういう点実に私は片手落ちだと思うのでありますが、重ねて伺っておきます。
  31. 松村謙三

    松村国務大臣 その点につきましては、一方受けた側は意思を持ってそういう違反を起したのであり、一方はそうでなく行政上の不注意、至らぬところから起ったことでございますので、刑をもって罰することはできませんけれども、行政上の意味におきまして先刻も申しましたように、十分の責任をとるということにする、こういうことでこの案が今朝閣議を通ったわけであります。
  32. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それでは別の機会にこれらの問題はもう少し掘り下げて伺うことにして、次に大学付属の病院につきまして、病院財政の点を一、二伺ってみたいと思います。これもあなたとしましては、こまごました点は御了承でないかもしれませんが、一般的な方針について少し伺っておきたいのであります。御承知のように、全国にたくさん大学があって、また重要な医療機関として活用されておりますが、この国立大学の付属病院というものは、一体これは研究が主になっておるのですか、それとも国民への医療サービスといいますか、それが主となるのですか、それはどうなんですか。
  33. 松村謙三

    松村国務大臣 主として大学に付属病院を置きますのは、やはり大学の研究を主体といたしたものと思いますが、それは同時に患者の治療ということも同等の重さを持っておりますことは、これは申すまでもないことと存ずるのであります。
  34. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それではこの点を明らかにしておいてもらいたいのですが、すでに国立病院におきましては、独立採算を目標として進んでおります。そこで大学の付属病院につきましては、財政の観点からいたしまして、これは独立採算を目途とすることはいけないのであるかどうか、それは邪道かどうか、不可能であるかどうか、その点はどうお考えになっておりますか。
  35. 松村謙三

    松村国務大臣 それにつきましては、率直に申しますと、ただいまのところでは、まだまだ独立採算を持つというところまで参っていないと思います。これは国立病院などと違いまして、いわゆる研究という点にも重点がありますから、経費も両方の意味に使われるというような面もありまして、これは直ちに採算の可能があるというわけには参らぬと思います。しかしながらお話のように採算もとれるようにする可能性は、経理のいかんによってはあるんじゃないかと考えまして、そういう面において努力いたしたいと考えております。ただいまのところでは、まだ戦災の復旧、病棟の改善なども十分いかなかったとかいろいろの点がありまして、独立採算というところまでいっておりませんけれども、理想としてはぜひそういうところまでいきたいと考えております。
  36. 上林與市郎

    上林委員長 吉田君どうですか、文部大臣文教委員会の方に行かなければなりませんので……。
  37. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 これだけで……。大学というところは研究を最高の使命といたしておるものでありますから、これに付属いたします病院が必ずしも独立採算でなければならぬという考え方を今私は何も持っているのではないのであります。ただそれらにつきまして、やはり文部省といたしまして、もっと明確な線を打ち出さねばならぬのじゃないかということを痛感するのであります。この点はたとえば最近国鉄の船舶事業が、御承知のような洞爺丸あるいは紫雲丸のような事故を起しましたことにつきましても、やはり陸上輸送が主で、海上輸送が従ということで、そういうことから組織上の欠陥があったといわれますから、従って教育を主とするという大学の使命から申しますと、医療機関というものが、それが最終まで従属的であるかもしれません。でありますから、国立病院のように病院の施設一本でいくのとはおのずから使命が違っておると思いますから、必ずしも国立病院と同じような基本原理に立つものと私も思いませんけれども、いずれにいたしましても、この点について文部省の考え方が徹底しておらぬのじゃないかと思うのであります。たとえば全国の大学病院で建設の途上にあります中央診療機関といいますか、それは東京大学にも施設しつつつありますが、ああいうものにつきましても、一体どこまで真剣にお考えになっておるのか、大臣は御承知かと存じますが、私はしばしば見て知っておりますが、たとえばあの大学の中に八階建の鉄骨が建っております。建っておりますけれども、何も仕事をしておりません。鉄骨は建ちっぱなしでさびてしまうかもしれない、いつからほったらかしているのか知りませんけれども、鉄骨が建ったままですが、どういうわけですか、その建築をほんとうに必要とするなら、どんどん仕事をしたらどうです。予算がないとは言えますまい。何となら、公益事業は継続費で予算をとっておるので、継続費をとっていないというのはもってのほかである。継続費でとっておるなら、ああいうふうにさびついたままうっちゃっておるということはあり得ないと思う。どこまでそういう病院施設というようなものに対して、文部省が重点を置いて真剣にお考えになっておるかということが、どうもはっきりしない。そこでほんとに教育を主とし、研究を主とし、あるいは医療サービスを従とするということであるならば、はっきりと区別して、そしてまたそういうことが何の目的に使われるかということももっとはっきりと、施設の上において、予算の上において、具体的に現わしてもらいたいのです。この辺がどうも明確になっておらぬと思うのであります。今のそういう作業の状況につきましては、これは事務当局から伺います。伺いますけれども、大臣にはっきりしておいていただきたいことは、研究の施設ということであるならば、ああいう膨大な設備をするということは必要ないのじゃないか。それをあんなにさびさせて鉄骨が立ったままうっちゃらかしておる。国会のあそこの建物はどんどんと作業が進行しておる。こういうような不均衡で一体いいのでしょうか。何かそこにまだ未解決の割り切れない——原理、方針がしゃんとしておらぬために、そういう現象が起るのじゃないかと思うのであります。文教の府でありますから、研究が主となるならそれはそれでよろしい。また独立採算でいこうと思うならば、内容をうんと整備いたしまして、独立採算のとれるような内容の充実を期していただきたいのであります。この点は文部省といたしまして、国立大学の運営ないしは大学の財政ないしは病院財政の観点からいたしまして、相当明確な線を打ち出して、方針をきめてもらわなければならぬと考えております。これで御所見を伺いまして、それでよろしゅうございます。事務当局に引続いて伺いますから……。
  38. 松村謙三

    松村国務大臣 まだ確定した方針ではございませんけれども、病院だけではなくて、大学制度の特別会計というような面について考慮いたして従来参っているわけでございます。そういう線についてさらに検討を加えたい、こういうつもりでおりまして、そうなりますと病院も一種の特別会計という形になるのじゃないかというふうに考えておるわけであります。なお詳しいことは大学局長の方からお答えさせます。
  39. 上林與市郎

    上林委員長 文部大臣に対する本日の質疑はこれで終了させていただきます。
  40. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 大臣はまだこの問題については十分に御研究になっておりませんから、これは非常に重要な文部行政の基本的な問題の一つであると思いますので、十分一つ研究していただきたいことを希望申し上げておきます。
  41. 上林與市郎

    上林委員長 なお会計課長、学術局長が残っておりますが……。ちょっとその点を御相談したいのですが、このまま文部省所管質疑を続行いたしましようか。それとも裁判所を先にして……。
  42. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 裁判所の方を一つ……。
  43. 上林與市郎

    上林委員長 それでは裁判所を先にいたします。     —————————————
  44. 上林與市郎

    上林委員長 それでは裁判所所管についての質疑を続行いたします。吉田委員
  45. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 最高裁の方に伺いますが、この裁判所法第八十条の第三号によりますと、「各地方裁判所は、その地方裁判所職員並びに管轄区内の簡易裁判所及びその職員監督する。」こういうことになっております。そこでこの地方裁判所のさらに上部監督はどういうことになるのですか。
  46. 岸上康夫

    岸上最高裁判所説明員 ただいまの点につきまして、第三号の地方裁判所さらに上級は第二号の各管轄高等裁判所が、その管轄区域内の下級裁判所及びその職員監督するとなっておりますので、本件でいえば東京高等裁判所になるわけでございます。
  47. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうしますと、第八十条の三、二、一と逐次上級に監督関係は上っていく、こういうふうに理解していいのですか。
  48. 岸上康夫

    岸上最高裁判所説明員 さようでございます。
  49. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そこで伺いますが、さっきの御説明によりますと、目下控訴中であるという状況であります。一体二十数年来数百万円の公金を不当領得いたしまして、一口で言えば何が不服で控訴しておるのでありますか。
  50. 岸上康夫

    岸上最高裁判所説明員 その点につきましては、仄聞するところでございますが、一審において事実関係は大体争いがなかったように聞いております。ただし本人が心身耗弱状況であったということにつきまして、刑の減刑でございますかを主張しておるように伺っておりますが、詳細は存じません。
  51. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 今の御説明によると、最高裁判所は累次上級の責任があると思うのです。監督責任があるのに、国会に対する説明をできないのは一体どういうわけか。
  52. 岸上康夫

    岸上最高裁判所説明員 私が承知いたしておりますのは今の程度でございまして、詳しい点を、申しわけないのですがまだ調査をしておりません。
  53. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 これは申し上げますが、裁判所は一件しかないのですよ。そこで数十件もある、たとえば各省におきましては詳細な説明資料を当委員会に特に提出になっております。裁判所はたった一件しかありませんのに、事件の具体的な内容について裁判の進行の内容、趣旨について御説明できぬということは、私は非常に不満な感じがするのであります。そこで地方裁判所の所長が、一応の当該監督責任者であるようでありますが、責任の範囲というものは、事案によりましては相当広範囲に及ぶべきものでないかと思います。しからば高裁まで及ぶべきか、最高裁まで及ぶべきか、そういった責任の範囲をどの範囲に及ぼすべきかということについての検討をするというような機会をお持ちになったのでしょうか。また裁判所の全国のこういう例は珍しいので、この種の案件が起りました都度、やはり一応の責任の限界、範囲を明らかにするということが必要でないかと私は思いますが、その点についての審査などはできたのでしょうか。
  54. 岸上康夫

    岸上最高裁判所説明員 ただいまの点につきましては、監督上の責任者として考えられますのには、まず裁判官及びその他の職員がございますが、この裁判官につきましては、御承知のように裁判官分限法によりまして地方裁判所につきましては高等裁判所でそれを懲戒処分をする、高等裁判所及び最高裁判所裁判官については最高裁判所できめるということになっておりまして、目下のところ東京地方裁判所関係裁判官につきまして、所長あるいは八王子支部長というものにつきまして高等裁判所において懲戒にすべきかどうか審議中でございます。  それからなお裁判官以外の職員につきましては、これは任免権が九級以上のものは最高裁判所にございますので、その者につきまして最高被判所の事務当局におきましてその点の調査を目下続行中でございます。
  55. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 私はもう問いませんけれども、この種の事件裁判所としてはまことに珍しいことでございますから、一つ操活にかつ果断をもって適当に責任の所在を明らかにされて、国損の減少につきましても措置を講じ、裁判の成り行きにつきましてもすみやかに結末をつけるよりになす必要があるのじゃないかと思うのでありますが、どうもその点につきまして御進行をぐずついている感が深いのであります。最もそういうことにつきましては敏感なる裁判所といたしまして、もっと早く最終の処理をされんことが望ましいと思うのでございます。
  56. 岸上康夫

    岸上最高裁判所説明員 今後御趣旨に沿うようにできるだけいたします。
  57. 細田綱吉

    ○細田委員 その結末について、結末がついたその結果を文書で当委員会に資料として出していただきたい。
  58. 上林與市郎

    上林委員長 今の点よろしゅうございますか。結末を文書によっで、ここに報告してもらいたい。
  59. 岸上康夫

    岸上最高裁判所説明員 結果のついた、その決定でございますか。
  60. 細田綱吉

    ○細田委員 まだ処分がきまっていないでよう。上級官庁か当該官庁かしれませんが、監督者がどういうふうな決定か、そのままにしていいという結論になったか、あるいは罰俸とか譴責とか何か知りませんが、そういうふうになったという結果を当委員会あとで文書で報告していただきたい。
  61. 岸上康夫

    岸上最高裁判所説明員 わかりました。
  62. 上林與市郎

  63. 上林與市郎

    上林委員長 それでは文部省に対する質疑を続行いたします。先ほどの文部大臣に対する質疑に引き続いて文部省所管に関する質疑に入ります。古田委員
  64. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 出席の政府委員はだれですか。
  65. 上林與市郎

    上林委員長 北岡会計課長と稻田大学学術局長の御両人でございます。
  66. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうしますと、大学の附属病院の財政の観点から、さきの大臣への質疑の継続を稲田大学学術局長に伺います。さきに尋ねました例の中央診療施設の問題でありますが、これは全国的な御計画と聞いておるのですが、私は大臣に申しましたように、赤さびのまま鉄骨がうっちゃってあるのはどういうことですか。
  67. 稻田清助

    ○稻田政府委員 ただいまの御質疑の中心点の、なぜ鉄骨のまま放置しておるかというお尋ねでありますが、御承知のように、国立文教施設費は継続費的な扱いをいたしておりません。従いまして本年度は暫定予算でありまして、これが確定いたしません間におきましては、本年度分の事業を着手できなかった事情があったわけでございます。
  68. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 この施設費は継続費として計上することができないのでしょうか。それから暫定予算には編成をしなかったのでありますか。四、五、六につきまして、たとえば防衛庁の暫定予算、法務省の暫定予算、警察庁の施設費の予算、各省庁の施設費暫定予算というものはずいぶんたくさんあるのです。文部省はどうして暫定予算を取らかったか。
  69. 北岡健二

    北岡政府委員 お答えいたします。暫定予算に文教施設関係で計上いたしましたのは、災害復旧等の部分だけにいたしました。これは初めからワクを小さくいたした関係でございます。それから継続費というのは、先ほど申し上げましたように、文部省関係では取っておりません。
  70. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 取っておらぬから、何ゆえお取りにならないか、取ることが法制上不可能であるかという点。他の省庁は暫定予算で施設費を取っておるのに、どうしてお取りにならないのか。どれほどの経費がいっておるか存じませんけれども、おそらく当初以来数億円をすでに投資しておるだろうと思う。全国の大学の付属のこの種の施設については同一の状態にあると私は想定いたしております。そうであるとすれば、おそらく全体を合せましたら何十億円というものを投資して、そうして建設途上にあってうっちゃらかしてある。これは一日も早く経済的に、効率的に使わねばならぬはずであります。どうしてそういうことをお考え下さらなたかったのか、この三点伺いたい。
  71. 北岡健二

    北岡政府委員 継続費のやり方をどうしてとらないかというお尋ねでございますが、従来から一般に建設関係のものについては、継続費的な扱いをいたしておりません。暫定予算の分につきましては、国立学校の分につきましては、年間の予算ができますまで、大体人件費中心に組みまして、施設等については当面やらなければならない部分だけにとどめた、従いまして復旧等の事業の残りをやるというふうな扱いにいたしたわけであります。
  72. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それはあなた事務当局だからよく御答弁ができないのでありますが、稲田さんに伺いますが、どうして暫定予算をお組みにならなかったか。防衛庁にしましても施設費の暫定予算は取っております。警察庁におきましても取っております。施設費の暫定予算はあちらでもこちらでも取っておる。どうしてお取りにならないか。もし暫定予算でもお取りになって通過しておれば、あんなに鉄骨をさびさしておるはずはないと思う。過去に投資した何億円の投資が一日も早く実用化する時代がくるのであります。さきにも聞いた、研究も施設といたしましても、治療の施設といたしましても、あれはほんとうに必要ならば、もっとどんどんと積極的におやりになるのが忠実なゆえんでないかと思うんです。なぜ一体それをお取りにならないのか。要求したのだけれども、大蔵省が承認しなかったのかどうか。
  73. 稻田清助

    ○稻田政府委員 私の所管ではございませんけれども、特に御指摘でありますので、お答えいたします。
  74. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 あなた所管でないのですか。
  75. 稻田清助

    ○稻田政府委員 所管でありません。
  76. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうすると会計課長、これはあなたでないと答弁できないのですか。
  77. 上林與市郎

    上林委員長 それは管理局長だそうです。
  78. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 文部省のこの方針については管理局長責任があるんですか。
  79. 稻田清助

    ○稻田政府委員 その通りでございます。
  80. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 私は前会以来病院財政について少し伺っておりますので、その責任者委員会に出席してもらえないか。
  81. 稻田清助

    ○稻田政府委員 病院の運営と財政は、私どもと会計課長責任者でございます。建築の方は管理局長及び施設部長の系統が責任者であります。
  82. 上林與市郎

    上林委員長 この次に呼びましょうか。所管が違っておったんでは……。
  83. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 病院財政というものは、何も運営だけではありません。私どもに言わせるならば、広く建設から、運営から、ないしは研究に至るまで、およそ大学の持っておりまする特殊な病院の使命から、総般的に財政を検討してみたい、こう思っておったのであります。  稻田局長に伺いますが、あなたの方としましても、運営の責任者であられる運営の当局といたしましても、暫定予算を取らずにあんなにさびついた鉄骨をうっちゃっておくというような建設の進め方は、非常に不経済だというお考えをお持ちになりませんか。あなたとしましては、一日も早くこれを竣工して、利用し、活用するということが経営上望ましいことでなければならぬと思うのです。これが暫定予算を組まないのでいつの日からうっちゃっているか存じませんけれども、ああいうあたかも戦災を受けたビルの跡のような観をなしております。まことにこれは惨たんたる感じがいたします。もっとどんどんと建設はなされなければ病院運営上お困りじゃないか。あなたの立場といたしましては非常に望ましい事態に相反しているのではなかろうかと思うのですが、どうお考えになりますか。
  84. 稻田清助

    ○稻田政府委員 私どもの関係いたしております学校、研究所及び病院その他におきまして約五百億円が必要だと考えておるのでございます。そのうちごく緊急なものだけ考えましても百億程度は必要でございまするが、はなはだ遺憾ながら年々二十億前後の国立文教施設費がこちらに振り向けられるわけであります。そういたしますると、私どもといたしましては、火災、とか学校の模様がえとかいろいろ問題がございますので、ごくわずかな文教施設費でありますれば、やはり年々の緩急の度合いあるいは着手の前後というようなことをそのときに及んで決定する必要がございますので、必ずしも一つの病院のみに二十億をぶち込んでしまうということもいたしにくい、そういう点は非常に遺憾でございますけれども、現状でございす。
  85. 細田綱吉

    ○細田委員 会計課長のさっきの説明ですと、継続予算はとっていない、またそういう建前じゃない。そうすると某大学の赤さびになって鉄筋が中途で放置されているのは、最初は寄付金か何かでそこまで建ったのでしょうか。国庫の金で建ったとすると、何年度か知らないが、六分建つんだ、七建つんだといって予算をとったのか、その点どういうわけなんですか。
  86. 北岡健二

    北岡政府委員 およそ学校の建築につきましては、先ほど稻田局長も申し上げましたように、最も緊急なものとして百億程度のものを考えております。その百億程度のものにつきまして、国立大学は七十二ございますし、病院が十九、研究所が三十幾つというふうな数でございますが、それのうちから百億程度のものを計画的に取り上げまして、それを年次計画で逐次実施していく、こういう計画でございます。それで第一年度に鉄骨を組んで、翌年その外のコンクリート工事をしまして、三年目に内部の仕上げに入りますというふうな計画のものがございます。御承知のように、八階のああいう大きな工事になりますと、鉄骨を組んでその年にすぐコンクリートをやって仕上げまでいくということは、仕事の実際問題といたしまして非常に困難でございます。従いまして第一年度に鉄骨を組んで、翌年外部をやってその次に仕上げに入る、こういう大きな工事になりますとそういうような段階をとる場合が多うございますし、それから小さいのでございますれば、軸と一緒に内部の仕上げまでその年度内にしてしまうということに相なります。従いましてどこも全部今年鉄骨をやって、翌年軸をやるというふうではございませんけれども、大きな工事になればなるほど、着手してから完成までに日がかかる、こういうことになるのでございます。
  87. 細田綱吉

    ○細田委員 そういう場合に、今年は骨組みをして、翌年はまたコンクリートするというときの予算は、一種の継続事業として予算をとるべきなんです。最低百億々々というが、とりあえず赤さびになったりくさったり——そこまではやるまいが、とにかく強度はだんだん減ってくる。予算をとるためには、あなたの方がそういうことを大蔵省に説明してやったら、大蔵省も認めないとは言うまい。骨組みだけ予算を認めて、翌年認めないということはない。かりに翌年はそのままであっても、翌々年は認めるはずです。その点あなた方の努力が足りないと思うが、どうなんですか。  それから今言ったように、各所に建築途中の建物がある。私も全面的なことは知らないが、ある一つ学校を知っている。一番長いのは骨組みをして何年間放置されているのか。
  88. 北岡健二

    北岡政府委員 大蔵省と全体計画で話しております。従いましてたとえば東京大学の病院にこれだけの——全体で二千何百坪という計画で進みます場合に、その全体は順次こういうような段階でいこうという予算の交渉をいたしまして、大蔵省も大体それを承認して、本年度はそれじゃここまで、来年度はここまでというような大体の見当をつけて予算をつけて参りますから、途中で全然打ち切りになるというふうな場合はまずございません。それから完成までに何年かかるかという点でございますが……。
  89. 細田綱吉

    ○細田委員 骨組みをしてそのまま放置されておる建物があるか。ありとすれば、コンクリートまでに何年くらい置いてあるのか、それを聞いているのです。
  90. 北岡健二

    北岡政府委員 鉄骨を組みまして、翌年は外部の仕上げにかかります。外部の仕上げは翌年中には完成いたしますが、内部の仕上げまでその二年目に着手できるかどうかはちょっと保証できかねますので、三年目になる場合がございます。大体病院の場合ですと、実際に動きますのに、病室であれば、内部の仕上げをしまして、あとベッドを入れるという程度で使えますが、手術室とかそういうものになりますと、この装置を入れるのにまたひまがかかる場合がございまして、実際使えるのはそれより多少延びるというような事態が生ずる場合がございます。
  91. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 あなたに全部聞くわけには参りませんから、一、二点伺っておきます。本年度の予算はもう通過いたしましたが、各大学の中央診療施設と称するもの、これについて予算の配付は済んで、もうお出しになったのですか。
  92. 北岡健二

    北岡政府委員 予算の配付は数日中にいたすような段階にきております。まだ最高部の決裁を得ておりませんが、数日中に出せるという段階にまで参っております。
  93. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 一例をあげたら、東京は何ほどの予算になるのですか。
  94. 北岡健二

    北岡政府委員 今手元に資料を持っておりませんので記憶がございません。
  95. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうすると、各大学全体の中央診療施設につきましての総額はどのくらいですか。
  96. 北岡健二

    北岡政府委員 文教施設の総計が二十二、三億であります。病院は私の記憶では大体五億程度でございます。そのうち東京大学では本年度、例の鉄骨のところの外部の工事をいたします。
  97. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 鉄骨の外部の工事ならどのくらいなんですか。それも資料がなければ説明できないのですか。
  98. 北岡健二

    北岡政府委員 今ちょっとはっきりいたしかねますが、大体四万に坪数をかけたもの、坪数は二千坪だったと記憶いたしております。
  99. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 これは私もしろうとなんですが、今少し的確な、たとえば民間の建築なら、それぞれ建築を進めつつ使用していきます。どこでも一度に全部やってしまって、雨ざらしにしておくというのは例外だろう。民間ではそれほど効率的にやります。というのは、資本を寝させたくないからです。一つはあなた方こういう官庁の建設というものに対する考え方が少し緩慢なのじゃないか、こういうふうにも考えるのです。病院だからできないという御意見かもしれません。その点になると私もちょっとはっきりいたしませんが、いずれにいたしましても、まるで横浜にでも行って、昔の造船所の残骸を見るようなあのままで、ある期間うっちゃっておくということは、建築経済を進める上におきまして、どうも私ども合点がいきにくい。作りつつ使うというふうな方法もあるんじゃないかと思うんだが、その点いかがですか。
  100. 北岡健二

    北岡政府委員 東大病院の場合には、あの鉄骨の隣に現在三階建の建物がございますが、その建物が大体手術室、試験室、そういう部分に当りまして、それに対する病室としてただいま鉄骨を組んでおります。八階の分が入って参りました。それでただいまその三階建の方は完成いたしておりまして、手術室等はもう間もなく内部の装備も終って使用できるようになっております。この場合病室の方はあの下にございます従来の木造の病室がありまして、その病室を使いながらただいまの鉄骨建築を進めていく、こういう考えでございますが、なお三階建の方にも現在すぐに全体として完成しない部分は病室として使っておるような次第でございます。教室等を作っていきます場合にも、たとえば二棟できるというふうな場合には一棟の方をやって、そこへ学生を入れて、次の年に片一方の棟をやるというふうな工合に、おっしゃるような使いながら建設を進めていくというふうなやり方をとっておりますが、ただし病院の場合には一階、二階を完成して、三階、四階の上へまた鉄筋コンクリートの工事をしていくということは非常に困難でございますので、自然一つの単位ができ上るのを待つというふうな事態が生ずる可能性は、教室等の場合よりも多うございまするけれども、今申したような第一棟、第二棟と順次進めていくというふうなやり方をいたしております。
  101. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 文部省関係につきましては、大学の問題についてなお伺いたい点もあるのでありますけれども、やはりそれぞれ所管の政府委員がそろってもらわぬといけませんので、きょうはこの程度にしておきます。
  102. 上林與市郎

    上林委員長 文部省所管に対して他に御質疑はありませんか。
  103. 細田綱吉

    ○細田委員 去年もおととしも相当文部省に対す批難事項があったんですが、文部省は毎年会計検査院批難事項を聞きっぱなしすか、その点を伺いたい。
  104. 北岡健二

    北岡政府委員 会計検査院から批難されました事項につきましてはそのつどその実情をよく調べまして必要な措置をとっておるわけございますが、この前の当委員会で申し上げましたように、三十七年度の分につきましては返還をさせるというふうな是正措置をとらないで終りましたが、今回の二十八年度の分につきましては、先ほど大臣からも申し上げましたように今月中には是正措置の結論を出すように手配いたしております。
  105. 細田綱吉

    ○細田委員 先ほど大臣がおっしゃった何とか委員会で今年中に出た結論は、文書をもらって当委員会一つ資料として御提出を願うようお取り計らい願います。
  106. 上林與市郎

    上林委員長 了承いたしました。文部省所管に関する本日の審査はこの程度にいたしたいと思います。   —————————————
  107. 上林與市郎

    上林委員長 次に昭和二十八年度決算厚生省所管について審査を進めます。昭和二十八年度決算検査報告一三五ページより一五四ページに至る報告番号八六八ないし九二九を一括議題といたします。厚生省所管については前会において会計検査院当局より説明を聴取いたしておりますが、これに対して厚生省当局において補足することがあればこの際発言を許します。説明は簡潔に要領よくお願い申し上げます。堀岡会計課長
  108. 堀岡吉次

    ○堀岡政府委員 それでは御説明を申し上げたいと思います。前会検査院の方から御説明がありました通りいろいろと批難を受けておりましてまことに恐縮に存じております。補助金等の交付につきましては、昨年一月省令をもちまして厚生省所管補助金の交付規則を制定いたしまして、これらの手続等を明確にいたして参っておるのであります。漸次これらの点につきましては改善すべき点は改善を加え、是正すべき点は是正をいたしておるのであります。  事項別に申し上げますと、結核性病等の関係補助金についてでございますが、精算が不十分であるということのため超過補助をいたしておったという事例でありまして、まことに申しわけないと存じております。それぞれすみやかに国庫に返納させるとともに指導監督を厳重にして、今後こういうことのないように注意いたしたいと存じております。  それから国民健康保険事業に関する補助金についてでございますが、これまた貸付金の交付あるいは貸付の条件が実際に備わっていないのにそういうような貸付なりあるいは補助金の交付をしたという事柄でございます。これらも御指摘通りでございまして、それぞれの事案につきまして国庫へ返納せしめる等の措置をとつておる次第でございます。これらにつきましてはまことに申しわけないと存じております。  それから水道に関します補助金でございますが、被害の事実がないのに交付をした、あるいは過年度において施行済の工事について実際の工事費をこえて国庫補助金を交付した、あるいは補助対象事業を中止しておったのに実地調査を十分行わずしてかような不始末を来たしたというふうないろいろの案件でございますが、これらについても十分な実地の調査が行われ得なかったので、かような結果になった次第でございます。超過補助金についてはそれぞれ国庫にすみやかに返納させる等の手続を進めております。今後かようなことのないように十分注意いたしたいと存じております。  それから厚生保険特別会計の問題でございますが、保険給付の適正を欠いたということの御指摘でございます。給付の適正化対策としましては、保険医監査の強化をはかるということで、本年一月から各都道府県に臨時に職員を増置いたしまして、この種の認定を十分にいたして、かようなことのないように十分注意をいたしたいと思います。  なおけい肺等の問題につきましては、労働省とも十分な連絡をとりまして、保険給付の適正をはかりたい、こう存じております。  それから御指摘を受けました回収を要しますところの保険給付費につきましては、給付費は全額回収済みであります。手当金は若干残っておりますが、現在鋭意この回収に努めておる次第でございます。  それから国立病院の問題でございますが、旭川病院で架空経理によって不当支出をしたという問題がございました。これはもう何とも申しわけない次第でございまして、現場においてやむを得ずそういうことをやったという事情について、実は幾ら了承できるものがあるといたしましても、かような点は全く申しわけない次第でございまして、今後かようなことのもちろんないように、十分なる指導監督をやるつもりでおります。  それから九二八から九二九の事案につきましては、それぞれ御指摘通りでございまして、もちろんかようなことのないようにいたすつもりでございます。弁償につきましては、裁判の結果現在和解手続等によって申し立て中でございまして、間もなく解決するものと思っております。  なお、それぞれの責任者等につきましては、厳重な注意をいたしますほか、懲戒等の処分を加えておることを申し上げておきます。それらのものにつきましては、資料として御提出申し上げておりますので、御了承願いたいと思います。
  109. 上林與市郎

    上林委員長 これより質疑に入りますが、厚生省側の出席者を申し上げます。紅露政務次官、堀岡会計課長、曾田医務局長、山口公衆衛生局長、久下保険局長がそれぞれ出席しておりますから、御参考に申し上げます。  紅露政務次官から発言を求められておりますので、これを許します。紅露政務次官。
  110. 紅露みつ

    紅露政府委員 今日は大臣が出席を要求されておるのでございますが、差しつかえがございまして、政務次官がかわって伺いましたので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。ただいま事務当局から、簡単ではございますが、個々の問題についてお話を申し上げたのでございますけれども、二十八年度の厚生省所管事項につきましては、検査報告に批難されました事項がいろいろございまして、補助金等の経理あるいは予算経理不正行為等につきまして、これらはいずれも会計検査院指摘通りでございまして、まことに遺憾に存ずる次第でございます。補助金等の効果的使用と精算の的確な処理につきましては、極力努力して参ったのでございますが、今後とも一そう指導監督に努めまして、このような指摘を受けることのないよう十分注意いたしたいと存じます。また、予算の不当経理及び職員不正行為につきましては、従来とも機会あるごとに厳重な注意を与えまして、その指導監督に留意して参ったのでございますが、はからずもこのような事態が発生いたしましたことはまことに遺憾に存ずる次第でございます。今後さらに一そう事務の監督及び取扱いを厳にするとともに、会計検査を励行いたしまして、この種事故の絶滅に極力努力をいたす所存でございます。  なお財政の健全化につきましては、これは国立病院等特別会計の問題でありますが、適切な対策を講ずるように善処いたす所存でございますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。
  111. 上林與市郎

    上林委員長 質疑通告がございますので、これを許します。吉田委員
  112. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 政務次官にお伺いいたしますが、けさの日刊新聞によれば、補助金の適正化法案が昨日の次官会議で決定されたようであります。先ほどの文部大臣の御説明によりましても、閣議でさらにこの法案が決定したそうでありますが、その通りでありますか。
  113. 紅露みつ

    紅露政府委員 ただいまの御質問の御趣旨は、補助金の適正化ということが閣議で決定したかといわれるのですか。
  114. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 ではもう一度申し上げますが、補助金適正化法案という法律案が昨日次官会議で決定したそうであります。本日閣議でも決定したとの文部大臣の御説明でありましたが、その通りでありますか。
  115. 紅露みつ

    紅露政府委員 私ほかの委員会に出ておりまして、申しわけないことでございますが、まだその事実を確かめておらないのでございます。後ほど確かめまして御答弁させていただきたいと存じます。
  116. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 困りましたね。検査院の二十八年度の検査報告によりますと、二十八年度厚生省一般会計歳出決算八百六十九億五千余万円のうち、六〇%が補助金なりという説明になっております。従って、あなたの省の歳出予算の六割が補助金でありますので、使用省のお立場とすれば、各省に比して最も大きな比重を持っておるはずであります。これは全然御相談なしにきめておるのですか。こういうお問い方はえらい失礼ですが、これは大体御了承のことと存じますが、いかがなものでしょうか。
  117. 紅露みつ

    紅露政府委員 お話のように、これは事務的にはもちろん相談を受けておるのでございますが、その結果を確かめておりませんだけでございます。
  118. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そこで、これはすでに閣議決定を経たというのでありますから、不日その法律案が国会に提出されることになるのであります。この法案なるものがまことに重大な規定をたくさんにいたしておりますので、あなたに二、三点伺ってみたいのでありますが、失礼ですが、これは御答弁を願えますか。
  119. 紅露みつ

    紅露政府委員 存じておりますことは答弁させていただきたいと存じますが、事務的には最も精通しておりまする会計課長を連れて出ておりまするので、数字等につきましては事務当局から一つ御聴取を願いたいと存じます。
  120. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それでは、この問題の重要な資料になっていると思いまするが、厚生省といたしまして、補助金の使用並びに経理適正にあらずという判定をされました各案件につきまして、補助金返還を実行しもしくは返還が完了しておるのはほとんどないと見ておるのですが、いかがですか。政務次官がおわかりでなければ、会計課長から伺います。
  121. 紅露みつ

    紅露政府委員 それでは会計課長から答弁いたします。
  122. 堀岡吉次

    ○堀岡政府委員 お話しの点につきましては、資料として御提出申し上げたと思いますが、現在返還手続中のもの、返還済みのもの、いろいろございますが……。(吉田(賢)委員「ありますか」と呼ぶ)あります。
  123. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それでは返還済みのものを例示していただきたい。
  124. 堀岡吉次

    ○堀岡政府委員 返還済みのものといたしましては、栃木県に対しまする結核予防費の補助金返還済みであります。
  125. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 あなたの資料の何ページですか。資料にはないのですか。
  126. 堀岡吉次

    ○堀岡政府委員 資料の見出しの二のロ、補助金の精算状況及び返納の処置というところの八七一、栃木県、これが返納済みでございます。
  127. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 この資料はこれだけあるのです。そこであなたの方の厚生省批難事項は、たとえば結核予防費補助金につきましても、一三七ページから報告番号の八六八ないし八八六、八八七から八九六、八九七から九一〇、九一一から九二三、九二四ないし二五、これは補助金ないし交付金あるいは若干貸付金が入っておる。ところで今結核予防費補助金報告番号八七一の栃木県が返還済みである。こんなにたくさんの中で、これだけ一つ返還済みというのはそもそもどういうわけですか。
  128. 堀岡吉次

    ○堀岡政府委員 現在府県に対しまして返納指令を出して、やいのやいの督促はいたしておりますけれども、非常に申しわけない話でございますが、地方庁の方がすぐやってくれませんので、私の方で督促中であるということを申し上げるより仕方がないと思います。
  129. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 返納指令を本省が出して、そして苦情を受けた団体などが返納の実行をしない。そこで昭和二十九年一月九日付省令第三号、厚生省所管国庫補助金等交付規則なる省令を特に発布して、補助金不始末の整理を励行することになったということは、資料によっても、あなたのさっきの御説明によっても明らかになっております。ところが現実において、昭和二十八年度と申せば、暦年からいえばもう三年になるのであります。たとえば愛知県があり、神奈川県があります。愛知県のごときは百十万余円、神奈川県のごときは二十七万九千円、わずかなものであります。こういう大県の百万円足らずのようなものすら処理が未了であるというのはどういうわけであるか、返納の指令を出しておるのに応じないというのはどういうわけか、応じる意思がないのか、応ぜしむる熱意がないのか、指令というものはそういうような役に立たぬものでいいのであろうか、その点は一つ政務次官はっきりと御答弁を願いたい。
  130. 紅露みつ

    紅露政府委員 御指摘のような、当然返還を求むべき事項について、その返還がおくれているというこの事実がございますのは、まことに申しわけないと存じます。それにはいろいろ事情もあって調査等もしているのだろうと存じますが、一応それらが済んで、その段階になってから、なおかつそうした遅延を来たしているということについては、これは弁解の余地のないことでございまして、どのような事故のためにそういうようなことになっておりますか、なかなか地方から返してこないと事務当局が申しているのでございまして、事実そうであると存じますけれども、なおよくこれらについてはすみやかに解決ができますように、今後善処して参りたいと存じます。
  131. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 私の伺いますのは、前にお述べになった省令一号を発布して、それに基いて返還指令を出して、今なお返還しない金額といえば、神奈川県がわずか七万九千円にすぎない。愛知県が百十万円にすぎない。こんなはしたな金が、本省が返還指令を出してもまだよう取り切れぬというのは、事情のいかんにかかわらず厚生省は怠慢じゃないか。これは一体国損と思わないか。国民の血税がこういうふうに不当な補助金として処理されているのを——おそらく本省はこれを大臣名によって出されたも一のと思う。本省は支出について会計法上の責任者である。その責任者が、自己の流した補助金が不当であるという判定になり、自己が返還指令を発布したのに、わずか金の返還をなし得ないというようなことは、一体厚生省は怠慢じゃないか。どうですか。
  132. 紅露みつ

    紅露政府委員 御指摘通り、これはもう申しわけの言葉はございません。省令で出ているということは、これは厚生大臣責任において出されているものでございますから、さっそくあとそれが返還いたしますように取り計らいたいと存じます。どうぞ御了承お願い申し上げます。
  133. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 たとえば今御説明になりました、結核予防法に基く補助金の精算状況及び返還処置説明、つまり資料では第二のロであります。これは青森、岩手、福島、栃木、神奈川、愛知、和歌山、山口、福岡、熊本、大分の各県にわたっておりますが、そのうち栃木県、金額にして二十一万二千余円、これだけが二十八年八月四日に返納されている。ほかは全部手続中、こういうことであります。ほかの多くのこともありますけれども、これはやはり私は頂門の一針だろうと思う。私は他の県もすみやかに解決して——国会は余すところ二十日しかないのであります。文部省におきましては、国会中に施設補助の不当については解決して、当委員会に報告すると約束をされておりますが、厚生省においても、少くとも今指摘したこれらの各県の分について、今月中に解決して報告せらるることはできませんか。はっきり一つ御答弁いただきたい。
  134. 紅露みつ

    紅露政府委員 それは当然返還を求め、そしてまた事実返還されなければならないものだと存じますので、今御指摘の点につきましてはさっそく手続をいたしまして努力をいたしますが、ここに御了承願っておきたいと存じますことは、申し上げるまでもないことでございますけれども、それらの県においての事情もございまして、これが予算化を見る必要があるのではなかろうか、かように考える次第でございますが、いずれにいたしましても、厚生省といたしましては、それに向って最善の努力をいたしまして、そしてその結果の御報告は、でき得べくんば今国会中にもと、かように考える次第であります。
  135. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 一応政務次官の御答弁に信頼をしておきます。そのように措置されんことをお願いいたします。  そこで一つ会計課長に伺っておきますが、もし県が返還しないときにはどうなさいますか。
  136. 堀岡吉次

    ○堀岡政府委員 県が返還をせぬとは全然考えておりませんが、これは県のそれぞれの、たとえばただいま御指摘の結核の補助金でございますと、主管は衛生部にございまして、衛生部が県の財務局と、こういう指令がきておるからということう相談をして実施する、こういうことでありますが、全然返還しないとは私考えておりません。
  137. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 私の聞かんとするのは、事実上返還しないときにはあなたの方はどうするかということです。それは返さぬはずはないという御趣旨はよくわかるのですが、返さぬはずがないで済ませるならば、今度の補助金適正化法案は必要ないわけです。返さぬおそれがあるというので、国税徴収法の例によって徴収するという厳格な規定を織り込んでおるのです。あなたの御答弁によると返さぬはずがないという、そういうことでしたら、こんなだらしない結果は来たさぬと思うのです。返還したのは栃木県だけです。だから返さぬということもあり得るので、その返さぬときにはどうするかということです。一体補助金につきましては強制的に差し押えでもやって取るということはできないのですか。
  138. 堀岡吉次

    ○堀岡政府委員 今度問題になっております例の補助金の適正化法案が通るならばいいと思いますけれども、現在のところは強制的に差し押え処分でいけるとは考えておりません。
  139. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうすると、補助金とか、国庫負担金、交付金というのは一体法律上どういう性質になるのですか。
  140. 堀岡吉次

    ○堀岡政府委員 法律的に補助金がどういう性質かということは、私どももはっきりつまびらかにわかりませんけれども、県当局と一種の条件をつけた契約による国の支出金とか、こういうふうに考えております。
  141. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 補助金を国がある公共団体は交付した、あるいは法律と基いて負担金を交付した、これの返還を相手が実行しないときに、強制的に返還せしめる方法がないということは、私には考えられぬ。もし単純に補助金を条件つきの贈与と申しますか、そういうものと見るべきかどうか、これは行政上の行為ですから、若干疑問があるのだが、この点、検査院当局はこの法律上の性質をどういうふうにお考えになりますか。
  142. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 補助金の性質はどういうものかということでございますが、学説その他からいいますと、公法上の契約だということが従来言われておるようでございますが、本件のような厚生省関係は、法律に基きまして負担する、補助するということは、法律上の義務として一応規定してある関係上、契約に基く公法上の義務というふうに解釈する方が妥当かどうかという点については、多少疑問を持っておりますが、公法上の一つの国が負担しておる義務を履行しておるのだ、こういうふうに法律上は見るわけであります。そうしてこの返還につきましては、先ほどからお話がございましたが、その返還債務が私法上の債務であるならば、民事訴訟法におきまして当然強制執行ができる、裁判所に出訴した結果、債務名義を得まして強制執行をすることができる、かように考えておるわけでありますが、しかしこれが私法上の債務であるかあるいは公法上の債務であるかという点について、多少の疑問があろうかと思います。さらに公法上の債務と見た場合に、強制執行裁判所に出訴してできるかどうかという点につきましては、学説上できるというような点もごいますが、この点につきましては、私どもの方でなお検討したいと思って実は研究を進めておるわけでありまして、最終的な意見は現在の状況では申し上げかねると思います。
  143. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 あなたは厚生省会計課長だから、厚生省の不当補助金処理については厚生省としていかにしてこれを納付せしめるかということについて、当然責任者だろうと思うのです。そこでその返納指令を出したと言われるが、それは法律的にはどういう行為に該当し、どういう効力を生ずるのですか。
  144. 堀岡吉次

    ○堀岡政府委員 負担金、あるいは負担金補助金にはそれぞれ使用条件がついておりまして、そういう条件で精算した結果、これこれの金額が余る、あるいはこれだけが不要になるということが出ます。それで国と向うと結んだ条件から見て、それを当然国に返すべきだという一種の申し入れ、こういうふうに考えております。
  145. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 もし条件が満されないもしくは事業主体が義務を履行しない場合は法律に基いて返還の請求をする、こういうことであれば、これは当然裁判所に訴えてでもして公共団体から取り立てることができるのではないか。もし取り立てることができないということであれば、これは法律の欠陥ということか、もしくは一体そういうようなことは道義が許すだろうか、強制的に返還をせしめる手段がないというようなことは、これは国家としてまことにゆゆしい大きな行政上の欠陥であります。この点についてあなたはお考えはありませんか。もしなければ、今日は次官も見えておりますから、大臣とよく御相談になって、これに対する法律上の見解、手段、強制徴収、強制回収、強制返還をなし得べき方法、そういったことについて十分に研究をして御答弁願いたいと思うのだが、いかがですか。
  146. 堀岡吉次

    ○堀岡政府委員 その点は研究いたしまして厚生省としての態度をきめたいと思います。
  147. 紅露みつ

    紅露政府委員 だんだんに掘り下げて伺いますと、非常にむずかしい問題で、しかもそのまま過ぎてきたということにつきましては全く反省させられる大きなものがございます。今日の御指摘の点を帰りまして大臣その他とも相談の上、厚生省の態度をはっきりと申し上げさせていただきたい存じます。
  148. 上林與市郎

    上林委員長 残余の質疑は留保して、本日はこの程度にとどめたいと思います。次会は公報をもってお知らせいたします。  これにて散会いたします。    午後零時四十分散会