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1955-06-21 第22回国会 衆議院 決算委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年六月二十一日(火曜日)     午前十一時二十六分開議  出席委員    委員長 上林與市郎君    理事 椎名悦三郎君 理事 山本 正一君    理事 徳安 實藏君 理事 山中 貞則君    理事 山田 長司君 理事 吉田 賢一君       床次 徳二君    本名  武君       横井 太郎君    片島  港君       三鍋 義三君    細田 綱吉君  出席国務大臣         国 務 大 臣 杉原 荒太君  出席政府委員         防衛庁次長   増原 恵吉君         大蔵政務次官  藤枝 泉介君         大蔵事務官         (管財局長)  窪谷 直光君         国税庁長官   平田敬一郎君  委員外出席者         大蔵事務官         (国税庁長官官         房会計課長)  喜田村健三君         大蔵事務官         (国税庁徴収部         長)      中西 泰男君         会計検査院事務         官         (検査第一局         長)      保岡  豊君         専  門  員 大久保忠文君         専  門  員 岡林 清英君     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和二十八年度一般会計歳入歳出決算  昭和二十八年度特別会計歳入歳出決算  昭和二十八年度政府関係機関決算報告書  国有財産(旧軍艦「梨」)の売払及び取得に  関する件     —————————————
  2. 上林與市郎

    上林委員長 これより会議を開きます。  国有財産軍艦「梨」の売り払い及び再取得に関する件について議事を進めます。  本件につきましては、去る五月三十一日の委員会においてこれを取り上げまして以来、関係政府当局にその経緯をただし、また本件関係者参考人として出頭を求め、その実情を聴取する等、鋭意その真相究明に努め、もって国有財産の管理及び処分の適正を期せんと努力いたしました結果、本日ここにその結論に到達する段階となりました。  この際本件について山本正一委員より発言を求められておりますからこれを許します。山本委員
  3. 山本正一

    山本(正)委員 本委員会国有財産軍艦「梨」の処置について、次の決議をなされんとの動議提出いたします。  政府は、旧駆逐艦「梨」について、国と富士製鉄株式会社及び平郡漁業組合との間になされた売買契約は速かにこれを解除して国にその所有権を回復し、これが処理については更に適切なる措置を講ずべきである。   右決議する。  以上であります。
  4. 上林與市郎

    上林委員長 ただいま山本委員より提出されました国有財産軍艦「梨」の売り払い及び再取得に関する件についての動議に御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 上林與市郎

    上林委員長 御異議なしと認めます。よって山木君の動議のごとく決しました。  ただいまの本件についての本委員会決議は、委員長において関係即あて送付の手続をすることといたしますから、御了承願っておきます。  この際政府より発言を求められておりますからこれを許します。大蔵政務次官
  6. 藤枝泉介

    藤枝政府委員 ただいま当委員会で御決議になりました「梨」の処理方針につきましては、御決議趣旨を十分に体しまして、政府においても善処いたしたいと存じます。  なお、ただいま意見を申し述べましたのは、大蔵大臣の責任においてさよういたすことであることをつけ加えておきます。
  7. 上林與市郎

  8. 杉原荒太

    杉原国務大臣 ただいまの御決議趣旨は十分尊重いたしまして、防衛庁といたしましてはその善後処置を公正妥当にしていくつもりであります。
  9. 上林與市郎

    上林委員長 次に、吉田委員より発言を求められておりますから、これを許します。古田委員
  10. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 本案件につきましては、国政国有財産取得喪失の問題といたしまして、また国の予算執行並びに行政及び政治道徳上の問題といたしまして、本案件の内容、経緯成り行き等につきましては、国民は多大の関心を持っておるものと考えられますので、委員長においては、本案件を適当の機会に本会議において報告せられるようお取り計らいあらんことをお願い申し上げたいのであります。
  11. 上林與市郎

    上林委員長 ただいまの吉田委員提出動議のごとく取りはからうに御異議ありませんか。
  12. 山中貞則

    山中委員 本会議報告については賛成をいたしますが、その報告については国会法並びに議事規則、その他前例等を勘案いたしまして、最も妥当なる機会をとらえて報告されるように付加いたしまして賛成をいたします。
  13. 上林與市郎

    上林委員長 山中委員の御発言委員長において了承して、適当に取り計らいたく思います。  それではただいまの吉田委員提出動議のごとく取りはからうに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  14. 上林與市郎

    上林委員長 御異議なしと認め、吉田委員動議のごとく取りはからうに決しました。     —————————————
  15. 上林與市郎

    上林委員長 次に昭和二十八年度決算中、本日はまず大蔵省所管のうち租税の項について審査を進めます。すなわち昭和二十八年度決算検査報告一〇〇ページより一〇五ページに至る報告番号五四ないし九四、及び一一八ページより一二三ページに至る報告番号一三〇ないし八三三を一括議題とします。質疑の通告がありますので、これを許します。片島港君。
  16. 片島港

    片島委員 私は今の番号に入る前に、この前の委員会吉田委員から資料提出を求められた五千万円以上の滞納額調べでありますが、この会計検査院報告書などを見ましても、滞納した者についてのいろいろな事例として十万、二十万という滞納者などが個人名前をあげてこの報告書の中にも掲載せられているものが多いのであります。しかもこの提出資料を見ますと、財産差し押え済みとか処分済みとか、国税庁関係では公表済みのものであります。差し押えをされてからこれがほかの方にわからぬというのではなくて、差し押えされたものは当然公告されていると思うのであります。そうすれば当然名前を書いていけないということはないのではないか。これが非常に微妙な段階にあって、秘密にしておられる問題ではなくて、すでに処分せられているという問題について、特に名前を出されない。私は五千万円以上であろうと一千万円以上であろうと五百万円以上であろうと、調べがつく限りは国会に発表していいものと思いますが、いかがでございますか。
  17. 平田敬一郎

    平田政府委員 滞納者公表につきましては、実は私ども影響するところがいろいろございますので、少し慎重に扱いをいたしてきたわけでございます。今始まったわけではございませんで、御説明申し上げますと、終戦直後実は滞納者公表して、それによって間接に徴税の督促をはかったらどうかというような司令部等意見もありまして、そういうことをやったこともございますが、それによりまして若干の促進的効果はございますけれども、反面、事実が正確にそのまま報道される場合におきましても、銀行、信用その他に関連するところが大きくて、どうも及ぼす影響の方が大きいのではなかろうか。それからややもすると一部の事実だけが公表になりまして、全体がはっきりしない。それによりましてまた迷惑を及ぼすといったような場合もございましたので、実は三、四年の間は公表しないという建前にいたしてきたわけであります。最近の事態について考えますときに、お話通り大体どういう状況になっているかということは、これは委員会等にもよく御説明申し上げまして、私ども仕事やり方等について十分説明をする必要があるかと存ずるわけでございますが、全部氏名まで公表するのはいかがかと存じまして差し控えさせていただいているわけであります。なお少し古い事実になりますれば、影響も比較的少いと認められますので、これを長くいつまでも秘密にしておかなければならないということまでも考えないのでございますが、できますれば審議に差しつかえない範囲におきまして、こういう形で資料を御提出いたしまして、それに基きまして御審議を願うならばいかがであろうか、かように実は考えている次第でございます。
  18. 片島港

    片島委員 しかし差し押え処分などをやられた場合には、当然税務署としてはそういうことは公表せられているのではないか。
  19. 平田敬一郎

    平田政府委員 もちろんお話通り差し押えにつきましてはそれぞれ税務署等において公売公告をいたします。差し押えは公告いたしませんが、公売処分をやっているものにつきましては公告してやっております。事実上わかる分につきましてはこれはいたし力ないと思うのでございますが、それにしましても積極的にこちらから公表して明らかにするというところまでは差し控えた方がいいのじゃないかという趣旨でありまして、もちろん実際上ここに載っている方をすでに世間で知っているところも多いと思いますけれども、それをこちらからさらに進んで公表するということはいかがであろうか、こういう意味合いで申し上げているのでございますから御了承倣いたい。
  20. 片島港

    片島委員 この問題についてはどうしても名前が発表せられないということになりましても、五千万円以上でなく、これを一千万円以上とか五百万円以上という形でお願いしたら、そういう資料提出できますか。
  21. 平田敬一郎

    平田政府委員 実は五千万円以上のものにつきましては、本庁で時時刻刻状況を個別的に取りまして、それに基きまして、もちろんこれは局が管理しておりますから、局に必要な指導をいたしております。五千万円以下の分につきましては金田の各国税局におきましてそれぞれやっているわけでございますので、資料を今すぐというわけには参らないのでございますが、もちろん調べればわからないこともございません。しかし件数もこの方が相当ございますし、状況もいろいろあるかと思いますが、概況的なことでございますれば必要に応じまして御提出してもよろしいかと思います。
  22. 上林與市郎

    上林委員長 国税庁には私も今までちょっと疑問があったから申し上げたことがあるのですが、こういう御意見なり御質問が出ることを憂えて、私は委員会運営上建前からこの前話した。それで国税庁ではこういうことは勉強済みと思いますけれども、私ども処理する建前として持っている資料提出要求に関する規則、これを一ぺん読みますから、それから見て、こういう資料というものが完全なものであるかないかということを言ってください。そうでなければこういう議論だけで時間を取っては因るのです。憲法から申し上げます。憲法の第六十二条「両議院は、各々国政に関する調査を行ひ、これに関して、証人出頭及び証言並びに記録提出を要求することができる。」それから国会法第百四条「各議院又は各議院委員会から審査又は調査のため、内閣、官公署その他に対し、必要な報告又は記録提出を求めたときは、その求めに応じなければならない。」衆議院規則の他の条文はこの前申し上げましたから省略いたします。だからこういう法規から見て、資料要求に対して一カ月かかってこのくらいの資料で完全なものかどうかということなんですよ。何度もあなた方に話してある。だからそういう不完全なものなら不完全なものらしいからという、そういう答弁でないとこれはなかなか結論が出ないと思う。率直にそういう意味で話してもらいたい。
  23. 片島港

    片島委員 これは今委員長からも発言がありましたが、こういう大口のものになりましたならば、私たち決算委員として、実を言うと税金の問題を非常に重要視しているのであります。こういう高額のもので差し押えを食った、あるいはそこでもうつぶれてしまったというようなことにもなっているのでありまして、決算委員として、徴税などに過酷な点があったのではなかろうか、あるいは徴収額決定などについて不当な点があったのではなかろうかというような場合には、そういう気の毒な人をここに証人なり参考人として呼んでから、私たちがその事情を聞かなければならぬようなこともあり得る。そうしますと、どうしても個人だとか、会社だとか、滞納者呼び出しようがないので、そういう点で私たち委員としては、これは発表するというのではなく、一応そういうような便宜のために資料を要求しているのでありますから、——開発銀行の融資の場合、元利償還をやらない人々について発表せよということを要求いたしました場合にも、金融機関の常識としてこれはどうにもできないからといって非常に懇願せられました。しかしながらここで刷りものにしては発表しないが、必要がございますればここに持っておりますからどうか来て見て下さいといって、非常に親切であった。私たちはそれを帳面につげて、自分たちがこの資料を持ったことがあるのであります。それをこういう五千万以上、しかももう公売実施中とか、公売会社がつぶれてしまったというようなものでも——それを私は国税庁として非常に不当なことがあったのではないかとさえ疑問を持つのでありますから、そういうようなものはここにはっきりと、出されないなら出されない、しかしそういう必要がありますれば、ちょっと見て下さいというような親切心はあっていいのではないかと思いますが、それもできませんか。
  24. 平田敬一郎

    平田政府委員 御審議に必要の範囲資料は提供すべきだと考えますし、公表の点だけ事前によく委員長等と打ち合せができますれば、それに応じまして必要な氏名等をお示ししても差しつかえないと存じます。
  25. 片島港

    片島委員 よろしゅうございます。委員長の方からこの問題については適宜国税庁長官と御相談の上、でき得る範囲に善処していただきたい。
  26. 上林與市郎

    上林委員長 了承いたしました。
  27. 細田綱吉

    細田委員 ちょっと関連して。私はその点どうも国税庁数字は納得できない。委員長に、特に国税庁に、五千万以上と吉田委員の方で申し上げた。これは各地方国税局へ照会してもいいですが、一千万以上の滞納者も出してもらいたい。五千万以上は本庁においてすぐわかるというからこれは第一回、第二回の一千万以上、やはりだれがどれだけ納めてどれだけ残った、そして一千万以上残っているという滞納者について厳重に資料を要求する。
  28. 平田敬一郎

    平田政府委員 これは先ほど申しましたように、国税局資料がございますので、ちょっと時間を要すると思いますが、五千万以上と同じ形式でございますれば、調製させていただきたいと思います。多少の時間を要することを御了承願いたいと思います。
  29. 片島港

    片島委員 昭和二十八年度における一般会計歳入決算明細書の三ページからでありますが、これを通覧いたしますと、源泉所得に対する課税分におきまして、二十七億円も収納未済額といいますか、予算額に対して収納済み歳入額が少い。源泉所得というのはいうまでもなく給与の方から前もって差引をしておるのでありまして、特に年度の中途において、たとえば〇・二五とかあるいは年末闘争というような場合における、非常に多額の年度当初における予算には予期しなかった給与というものに対しても、累進的に課税をせられておるのであります。   〔委員長退席山田委員長代理着席〕  それが予算額よりも徴収決定済み額が多くなっておりますし、また予算額に比して二十七億円も収納しない分、不足分が出てくるというようなことは、私たち常識的に考えた場合には十分わからぬのでありますが、この点はどうなっておるのでありますか。
  30. 平田敬一郎

    平田政府委員 源泉所得税につきましては、実は今までの経過を御説明申し上げますと、毎年当初予算で見積った歳入よりも実績が常に上回るというのが例であったのでございます。そういう例でございましたので、二十八年度におきましては、実は補正予算の際にできる限りそういう実績にかんがみまして見積りをふくらます、というのは語弊がございますが、見積りを十分にやろうじゃないかということで見積りいたしまして、給与上昇率などを年度末までにある程度あると予定して、補正予算で相当な修正増をいたしたわけでございますが、結果におきまして若干予想したほど給与水準が上らなくて、その結果二十何億という歳入不足を生じたというのが二十八年度における実情でございます。この不納欠損収納未済額、これも年々ございますが、特に二十八年度収納未済額例年に比べて増加しておるわけではございませんで、今申しましたような事情で二十八年度におきましては源泉所得税が少し赤字を出した、こういうのが実際の状況であります。
  31. 片島港

    片島委員 これは補正予算でそういう見積り増をやったというだけでなくして、当然源泉課税の場合に、雇用主徴収をしておっても納めない、本人からは取ったが納めないというのが相当あると思うのでありますが、その額はどのくらいになっておりますか。そしてそれに対してはどういう措置をしておられるか、つけ加えて御説明願いたい。
  32. 平田敬一郎

    平田政府委員 二十八年度におきまして減収になりましたのは、主として私が申しましたような事情によると私ども考えております。  それからお話の第二点の、給与受取人から徴収して会社が払わないという例が多いのかどうかということでございますが、この関係は法律的には非常にはっきりしておりますが、実際問題としましては、結局会社金繰りが苦しくなりますと、税を引いた残りの分だけの給料を払いまして——税金はもちろん払った額に対応いたしまして翌月十日までに納めなければならぬということになっておるわけでありますが、その分を金繰りその他が苦しいためにやむを得ず納めないで延ばしておく。中には会社が非常に苦境になりまして、延ばしておる間に払えなくなって差し押え処分を受けるというのもございます。その間そういう事情に実はあるようでございます。
  33. 片島港

    片島委員 その金額は。
  34. 平田敬一郎

    平田政府委員 その金額と申しましても、厳密にこの分は給与所得者から現実取ってそれを流用したのか、あるいは税引きで払って、あと税金の部分は別にどうしたのかというこの区分というものは、なかなか実際上分けることは困難でございまして、特別にそういう調べはいたしておりません。会社給料給料として払い、税金はそれに対する税金を計算いたしまして、これは当然会社の債務といたしまして政府に支払うべきものだということになるわけでございますが、一応払ってその中からというわけではございませんものですから、厳密に分けることは困難でございます。
  35. 片島港

    片島委員 しかし徴収決定額というのがここにはっきりしておるのでありますから、徴収決定をやって納めないというのならはっきりおかっておるじゃありませんか。
  36. 平田敬一郎

    平田政府委員 結局納めないで残っておる税額というのが、ここにございます収納未済歳入額六十五億六千二百万ですか、この数字が、厳密にいいますと二十九年の三月一ぱいに政府に払い込むべきものが払い込まれなくて翌年度に繰り越した額ということに相なるわけでございます。
  37. 片島港

    片島委員 そうじゃないんです。あなたは補正予算のときに見積り水増しをしたと言われておるが、それによって水増しされた金額補正予算によって明確になっておるはずです。その点はっきり幾らになっておるかという、水増し実績というものは、大体区分けができるのじゃないですか。すると、そうでなくして、あなたの方で民間会社等徴収決定をしたのになお払わないというのとの区別は、この金額では区分はできませんか。
  38. 平田敬一郎

    平田政府委員 補正予算で直した額の正確な数字は今手元にございませんが、これは相当な額を状況に応じまして補正予算の財源として実は勤労所得税を出したわけでございます。今お話の点は、結局二十八年から二十九年度収入未済で繰り越した額が六十五億六千二百万円でございまして、これは全体の勤労所得税に対する、そういうものがそれだけあったということで、補正予算の分、それから本予算の分と厳密に分けまして申し上げることはなかなか困難と思いますが、ただ補正予算で幾ら直したか、この数字は後ほど取り調べまして御説明申し上げたいと思います。
  39. 片島港

    片島委員 そうすると昭和二十八年度において、源泉所得は、それだけ補正予算水増しまでして見ておられると言っておられるのであるが、一方法人税の方を見ると、百五十六億八千二百余万円も未収があるのにかかわらず、なお予算額よりも二百二十億七千四百余万円も予算額を超過しておる、こういう計数が出ておるのでありますが、百五十六億何がしも未収があるのになお二百二十億以上も予算額を超過しておるというのは、一方においてはこの源泉所得の分は非常に水増しまでして予算額をふやしておいて、法人税の方はこの予算額を非常に甘く見ておるという結果になるのじゃないかと思うのですが、この点はいかがでしょう。
  40. 平田敬一郎

    平田政府委員 正確な数字は、あとでさらに調べまして、もしも違っていましたら直させていただきたいと思いますが、とりあえず今私の手元にある資料で御説明申し上げますと、昭和二十八年の当初予算によりまする源泉所得税が千九百三億の見積り予算でございましたが、それが補正予算によりまして二千二百七億という見積り増を実はいたしたのでございます。そういう見積りをいたすにつきまして、例年いつも源泉所得税増収が出てきたものですから、どうも年度末まである程度の給与水準が上昇するというその見方を、少し見過ぎたのではないかと感じておるわけでございます。  それから法人税の方は、当初予算では千六百八十八億に対しまして、補正予算では千七百六十八億、これもそれだけ見積りを変えておりますが、法人税の方はそれにもかかわらずやはり決算状況がよくて、自然増収が出てきたということだと思います。法人税は御承知の通り申告納税になっておりまして、すぐ歳入影響するということでございまして、なかなか的確な見積りがいつもむずかしい状態になっておるわけでございますが、この年度におきましては補正予算見積りましてもなおそれだけ業績は増加した、こういうことに相なっているわけでございます。
  41. 片島港

    片島委員 私が聞いておりますのは、源泉においてはそのように大体水増しをされた、法人においても手直しをされておるのにもかかわらず、まだこの徴収決定額というのが予算額よりも非常に多くなっておるのです。千七百六十八億に対して二千百五十億という徴収決定をやっておる。だもんだから、百五十六億八千二百余万円も未収になってきておる。しかしながら予算から比べてみるならば、二百二十億七千四百余万円も予算額を超過して納めておるという結果になっておる。あまりにもこの金額が大き過ぎる。これは国税当局としては、こんな見込み違いというのは当然あり得ないのじゃないか。源泉課税においてはなかなかうまく見積られておるのでありますが、法人課税においては予算上非常に手を抜いておられるのじゃないかという感じを受けるのです。いかがです。
  42. 平田敬一郎

    平田政府委員 歳入予算は、いつもできるだけ将来のいろんな情勢を織り込みまして、実は見積りの的確を期しているわけでございますが、法人税は、今までの実況から見ますと、えてして変動が激しいようでございます。と申しますのは、さっきも申しましたように、今申告納税になっております。それから大法人の分が、税金のほとんど半分くらいを占めておるのでありますが、これは会社がどういう決算をやるかによりまして、利益の状況はやはりだいぶ違ってきまして、正確な見積りを作るということは、前であれば前であるほどなかなかむずかしいような情勢でございます。でございますが、もちろん過去の事例等も見まして、できるだけ正確を期しておるわけでございますが、二十八年度にありましては、御指摘通り約二百二十億程度の増収になったわけでございまして、これは別に作意的に見積りを云々したというわけではございません。  それから私ども税執行に当りましては、予算見積りというよりもむしろ税法を的確に実施するということを中心にして運用をはかっておりますので、ときによりまして若干の増減を来たすことはやむを得ない。ただしかし本年度法人税見込みがだいぶ違っておるということは御指摘通りでありまして、これは全く今申し上げましたように、実は法人税収入の入り方の特殊性からくるものだと考えておるわけでございます。
  43. 片島港

    片島委員 特殊性ではなくして、勤労所得のようなものに対しては非常に水増しをして大きな予算を組んでおるし、一方においてこういう大法人などには非常に手ぬるい予算を組んでおるということが私には感じられるわけです。故意でなくても、自然そういうふうになるし、特に再評価税のごときは、予算額に対して徴収決定額が十六億余り少い。酒税のごときは五十八億余りも少い。さらにまた有価証券税は、予算額に対して約半額、すなわち十二億八千八百万円に対して徴収決定額が六億四千九百余万円という約半額くらいの決定をいたしておるのに、なおかつ二億円という未収が出ておるということであるならば、これらの課税対象に対しては徴収決定もできるだけ少く見る。それでもなおかつ非常な未収が出ておるのがそのままになっておるということは、私たちこの明細書を見たときに非常に疑問に思う。再評価税、酒税、有価証券税などは、明細書によって見ますと、そのような、私が今申し上げたような数字になっておるのでありますが、これはどういうわけでしょうか。
  44. 平田敬一郎

    平田政府委員 今の御質問の直接のお答えにはなりませんが、なお御参考までに、二十九年度につきましてはまだ四月末の数字で、決算でございませんが、ちょっと状況を申し上げておきますと、源泉所租税の方は三十七億程度、一・八%の増収になるわけでございます。法人税の方は、去年の下期の状況が少し悪くなりまして二十三億の減収、これは決算の締め切りまでにはもう少し数字が動くかと思いますが、一・三%ほど歳入がマイナスになっておる、こういう状況になっておりまして、この辺の点、私どもできるだけ見積りの的確を期することに努力しておるわけでございますが、どうもこういう状況が出てくるような次第でございます。  それからなお今御指摘の再評価税、有価証券取引税の問題でありますが、再評価税の問題も、これは実は会社がこの当時どれくらい再評価するか、それによって税額が動いてくるという次第で、どの程度会社が再評価するかという見込みにつきまして、これは予算を見積るときと実際に行いますときとの、ときのギャップがありますためになかなか的確なものが出なくて、今まで年々再評価税は、少し大幅に見積ると赤字になる、内輪に見積ると黒字になるといったような状態が続いてきたような次第でございます。なかなかこういう点の見積りはむずかしいところでございますが、徴税に当りましては決してそれに対しまして見積りによっていいかげんなことをするという考えはないことを重ねて申し上げておきます。  それから有価証券取引税の方は、実は有価証券の取引が時期によって非常に激変いたしますのは御承知の通りで、歳入見積ります場合におきましては、大体一番直近の過去三カ月くらいの平均をもとにいたしまして、それに若干の増減を予想いたして見積っているような次第でございます。これは時によって差が激しい。従いまして二十八年度につきましては、最初見積りましたときからあと情勢が非常に変りまして、証券界が悪くなりまして、取引数量が減りましたために減収になって非常にギャップが出てきた。条件が悪くなりますと、しいて私ども手かげんするわけでございませんが、どうしてもやはり納まる分が少くなるという関係で、このような結果になっておるかと思います。有価証券の取引税は二十九年度分も同様に遺憾ながらどうもだいぶ大きな違いが出てきそうでございますが、この方は事柄の性質上年によって赤字が出たり黒字になったりするということは、できるだけ少くなるようにいたしたいと思いますけれども、やむを得ない状況かと存じておるわけでございます。
  45. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 平田長官に伺います。まず五千万以上の滞納の問題ですが、やはりこの問題は注目すべき観点であると思いまするので、国会といたしましてこれに対して適正な審査をすることが必要であると思うのであります。そこでこれは私らの調べによりますと、大体本年の二月末現在で五千万以上の滞納の総額は二十二億余万円に達しておると思うのであります。そこでこのうち法人が大部分でありますが、その法人でなお利益配当を継続してやっておるものがあるのかないのか、この点を一つ明らかにしたいと思うのであります。これはやはり私どもといたしましては、五千万円以上の税を滞納しておるというものについては、最も大規模の法人が多いのでありまするので、何ゆえにそのような滞納があるのか、またその場合に利益配当をすることは妥当であるかどうか、またそういうことがありとすれば、それは徴税国政の上においてはどういうふうに考えておられるのかどうか、こういうような観点から少し審査してみたいと思うのです。もっともそのような事実がないというのであるならばこれは問題外でありまするが、どうも事実ありというような世評もあるものですから伺ってみたいのです。さきの同僚委員の質問に対するお答えの趣旨もありましたので、この際は一応そういう事実があるかないか、個人の甲乙丙を明らかにするしないは別といたしまして、まず御答弁願っておきたいと思います。
  46. 平田敬一郎

    平田政府委員 この中では今お話のように実は整理中のものが多いのでございまして、配当しているのはないのでありますが、三つほどこの中にございます。一つは課税標準の決定に対して異議がございまして、審査請求中のものであって、審査請求の済むまで強制徴収を見合しておる。これは考えようによっては当然でございますが、審査の途中におきまして事実関係を慎重調査いたしましたところが、見込みといたしましても大体直さなくてはならぬだろう、こういうものにつきましては督励をそう厳重にしないという考えでいっておる。これが一つでございます。あと二つほど実は配当をやって滞納をやっているのがございますが、これは私どもお話のような観点から十分そういう点を考えておるのでありまして、配当をやって滞納をするとはけしからぬということで、督励を加えておるのでありますが、状況によりましては配当をとめるとかえって業績がうまくいかないで、税の納まり方が悪くなる。こういうものも中には遺憾ながらあるようでございます。それをあくまでも配当しておる限りは強行してやってしまうということになってきますと、具体的にいろいろ会社事情によりまして判断を加えなければならぬような問題もございまして、そういうものがこの中に二つほどございます。しかしこれは過去一年前に比べますと、それぞれ滞納額が相当減ってきておりまして、こちらに納付誓約をいたしておりまして、誓約の趣旨に従って履行しておる状況であります。もしも誓約に従って履行しないという場合には直ちに必要な措置をとるということになろうかと思いますが、その辺のところが、会社事情を聞きますと、配当を落してしまうとかえってまたうまくいかなくて、どうにもならぬというような事態もあるので、やむを得ず認めておる。しかしこの点は私どもは原則的には吉田委員の御指摘になるような頭で対処いたしたいと思いますから、今後そういう観点からさらに整理の促進につきまして十分きめたいと考えておる次第であります。
  47. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 私は五千万円以上の大口滞納というものはこれはやはり全国の小額所御者の滞納の問題と対比いたしまして、その会社の特殊事情によって、国税庁当該係の所見によって方針がきめられるというような、そういうふうにすることはいかがかと思うのであります。と申しますのは、もしそうであったならば、そういうことが悪意に許されるということでありますならば、五千万円以上ということであれば歳入の上におきましても大きな影響があるわけであります。またこれが現在二十数億、その後入ったかどうか存じませんが、二十数億ということになって参りますれば、やはりそういうようなものを対象といたしまして、政府歳入行政の最高の方針というものが決定せられて、これを国税庁当局が行っていく。こういうようなことはかなり国の歳入行政の中核に触れた重大な一つの方針が適用されていかなければならない。もし徴税宮がその会社の経済の事情を判断して、これは右する方がよい、これは配当するがよい、これは待ってやるがよい、これは誓約書を入れておるからこうしたらよいというような、二、三の判断をすぐ懇意になし得るということが許されるならば、私はいろいろな弊害が起りはしないかと思います。なぜならば、かりに滞納を五千万円するような会社ということであれば、社会的に有力な存在である。従って政治的にも力があるかもしれない、従って行政の上に何らかの圧力が加わるかもわからぬというようなことがありましては、これはやはり租税が公正に行われるという面に暗い影をさす危険があります。でありますので、やはり長官が責任を持って、あるいはまた大蔵大臣担当の国の徴税行政の最高の方針の現われとして、処理する具体的な方針が立てられなければならぬと思いますがこの点につきましてはいま少し詳細な御説明を次の機会にでも聞くこととしておきたいと思いますから、そのつもりでもう少し具体的に御用意を願っておきたいと思います。  それから次に伺いたいのは、一般に歳入の大部分を占めておるのは申すまでもなく税であります。そこでこの税務行政というものの経費、これは一般会計の予算書を見れば大体わかるのですが、この際かいつまんで行政費と目すべきもの、施設費も大体加えまして、ただし専売納付金、益金、印紙などは全部除いていいのですが、関税も加えまして二十八、二十九、三十年度で大体どのくらいの数字になるのだろう、これはあとで一つ資料として出していただくこと々委員長にお取りはからい願うことと、パーセンテージでもいいですから、かいつまんだ概況の御説明をしていただけませんか。
  48. 平田敬一郎

    平田政府委員 徴税費につきましては、私どもいろいろな角度から検討いたしまして適正を期することにいたしておりますが、昭和三十年度予算におきましては、百六十六億八千六百万円計上させていただいておりまして、国税庁が取り扱っておりまする租税収入に対しましては百円当り二円三十四銭、二・三%程度の徴税費になっております。内容の詳細は御質疑に応じまして御提出申し上げたいと思います。
  49. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そこでこれも資料として出していただきたいと思うのですが、大体各国、二、三でいいと思いますが、外国の実例に徴しまして一体日本の徴税行政費というものは高いのであろうか安いのであろうか、これは私の方で調査してから質問するのが順序でありますが、資料としてお出し願えれば大へんけっこうだと思います。そこで資料をいただきましてから、この点は少し徴税行政の簡素化とか改善とかいうものに関連して伺ってみたいと思うのであります。  それからその次に伺いたいことは、検査院の決算検査報告書に国税庁関係の批難事項がずいぶんとあるのですが、実のところこれは読む煩にたえぬという印象なのであります。これはやはり法令の適用あるいは是正されたものもずいぶんあるようでありますが、こういう批難件数というものは調べれば際限なしに出るのじゃないだろうかと思ったりします。手に限りある会計検査院におきましてはとてもこれ以上応接のいとまがないというくらいにやっているのじゃないかというように感じるのでありますが、国税庁といたしましてこのような多数の批難事項が出ておりますについては、直ちにそれぞれ取り上げて次の年度にこのようなことのないような措置、方針を協議し、あるいは対策を立てるというようなことをしていっておるのでしょうか。毎年別表とかいうのでこまかく数百に上る案件が出てくるのでありまするが、これはとても浜の真砂のようでほんとうは審査にたえぬのでありますが、これはどうなっておりましょうか。   〔山出委員長代理退席、委員長着席〕
  50. 平田敬一郎

    平田政府委員 お答え申し上げます。実は私ども会計検査院の御調査による結果につきましては重大な関心を持っておりまして、それを十分参考にしまして行政の改善に努めることに今までもいたしたわけでございますが、今後ともそういうことにつきましては一そう検査院の率直な御意見を承わりながら、改善をはかるということに努めたいと存じております。今まで私がまずまっ先に取り上げまして努めましたことは、税務部内の不正関係を徹底的に根絶しなければならないというので、一時架空経理ということを多数指摘されておりましたが、これはけしからぬというので、これをやめることに二年前から努力いたしまして、幸いにしてこの方は最近の御検査では一つも出てきてい、ないのであります。それから職員の使い込みも実に重大なことでありまして、これも一時相当多かったのでありますが、これにつきましても相当厳重に仕事のやり方に監督を加えまして努めました結果、だいぶ最近は減ってきております。しかしまだございますことは前に申し上げました通りで、二十五年度は五十四件御指摘を受けましたが、二十八年度は六件程度に漸減しております。その方はさらに一そう厳重な監督等を加えまして絶滅をはかりたいと考えております。  それから一番多いのは租税の賦課徴収に関する取り過ぎあるいは徴収不足、この二つでございまして、これは率直に申しまして、この方については私ども仕事の上でいろいろな工夫改善をいたしておりますが、何しろ課税件数が非常に莫大である、時期等本相当急いでやらざるを得ない場合もございまして、検査院から多数の指摘を受けておりますことはまことに遺憾しごくに存じておるわけでございます。このうちで今までの検査院の御調査の結果、またあるいはわれわれの部内調査の結果で一番努めましたのは、税務署の中にあります部内の資料の総合整理と申しますか、これが十分できていなかったために検査院から御指摘を受けました例が実は相当ございます。二十八年度決算につきましては、国会に御報告になる前に、検査院から状況を聞きまして、この点は特に国税庁といたしましても重要事項——件数があまりに多く、しかも額も相当なものがあるというので取り上げまして、実は昨年特別監査を実施いたしまして、二十九年度は二十八年度に比べまして、この点はおそらく相当の改善を見ておるように考えております。しかしこれもまだ目下会計検査院検査中でございまして、その結果を見なければわからないことでございますが、いずれにしましても、注意すれば直し得る点はまっ先にやりたい、そのほか検査院の御指摘事項にいろいろ多数のことがございますが、法令の解釈等につきましても、御承知の通り税法がいろいろ複雑になっておりまして、しかも税負担が重いといったようなところからいたしまして、仕事がまだ十分能率的にできていないという点は多々あるかと思います。こういう点につきましては結局職員の指導訓練、仕事のやり方の全体をうまく組織化する、この二つの面からしまして鋭意努力をはかるということが、結局におきましていい解決方法じゃないかと存じておるわけでございます。率直に申しまして何しろ課税件数が多いのと税が重いので、年々なるべく早いテンポで少くなるように努力するつもりでございますが、多数のうちにはある程度は出てくるのじゃないかということを考えております。
  51. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 なおもう少し総論的なことを私は聞きたいのですが、この検査院の報告書によりますと、二十八年度におきましては、既往年度分の滞納分を加えますと、収納未済額の総計が千百二十二億七千百万円に上っております。つまり一千億円以上に上っておるのであります。もっとも二十八年度におきましては九割四分ほどの収納の成績であるのであります。そこでこれはこの調子でいきますと、だんだんとふえるのではないだろうか、こういうふうにも考えております。そこで私は抜本的にあなたの国税庁長官としての御心境を開いてみたいのだが、一体国税庁長官というものは税を一生懸命に取ってできるだけ成績を上げるということが一番大切なお仕事であろうと思うけれども、そういうことの以外に、やはりできるだけ国の経費に必要なる収入をふやすためには、税の重圧が国民の経済なり生活を圧迫しているというような、そういうこともお感じになるということ、つまり本来の仕事から全く相反する立場の関係でありまするが、やはり取らねばならぬけれども、取り過ぎたとか、あるいは従ってもう少し課税を軽減しなければならぬじゃないかというような面、そういうようなことについてはお考えになることはないであろうか。あるいはそういうことについては、これはあなたが大蔵大臣でないんだから、政府を代表して御意見を発表になることがよくなければ私は聞こうといたしませんけれども、とかく年々累増していきまする滞納のことを思いまするというと、これは税務官吏が取るのが下手だからではあらず、一面いかにしても支払えないというような、自然に累増するというような面があるのではないだろうか、やはり両方の面から検討していくというのが、私は国の役人としての一つの中正的な立場があるのじゃないかと思うのですが、そういうことについて何か御意見はありませんでしょうか。もっともこれは長く御意見は聞こうといたしませんですから、そういうことについての御意見があれば、これは将来のわれわれの参考のために一つ聞いてみたいと思います。
  52. 平田敬一郎

    平田政府委員 お尋ねの二点ほどについて簡単にお答えいたしますが、一つは滞納の全体の状況につきましての御感想でございますが、まことに私どももこの点は戦後の無恥が毎年滞納の増という形でしこりが残って累積されてきておる、こういうふうに感じておりまして、これが今後何年かたちまして徐々に、しかも相当急テンポに減っていきますことは、私どもの仕事の一つのめどといたしております。昨年一年で若干整理は進捗いたしました。昨年の三月末現在の千百五十八億の総滞納が本年度は一千四十億程度になりまして少しは減っております。しかしまだまだ全体といたしましてもちろん平常的な状態ではないと考えておりまして、これをいかにして合理的にうまく処理するか、今後大いに勉強したいと思っておるところであります。  それから税の負担の問題につきましては、実はこれはあるいは個人的なことになるかと思いますが、私ども、そうではなくとも直接税の方が、ことに所得税、法人税等の、なかんずく所得税がどうも実際の国民の経済状況から見て少し重過ぎやしないかということをつくづく感じているわけでございまして、私は機会あるごとにそういう方面はできるだけ減税をはかりまして、しかもなお健全なる財政政策がいくようにという角度から実は意見を申しておりまして、これは長くなりますが、要点を申し上げますと、そういう点が一番無理がある。地方税におきましては事業税に少し無理があるのではないかというふうに感じております。
  53. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それから所得の利益の捕捉の問題でありまするが、往々にして経済的に非常に有利な地位にある方、しかしてまた政治的に大きな力を出し得るような存在、こういうところの大きな利益が逃げておるというようなことがよく言われるのであります。そこでこれも資料でいいと思いまするが、一応資料を出してもらった方がいいのですが、製糖会社の問題であります。これは法人の問題でありまするからそれぞれ法人が精算をいたしまして決算して利益の有無を出しますから正面からは何もあなたの方としては議論がないかもわかりません。わかりませんけれども、たとえば昨年の年度末におきましても一カ月分の年末手当がほしいというて血道を上げてあちらこちらで闘争が行われた当時、ある製糖会社のごときは、これはそれに当って直接私が知ったわけではないのだけれども、伝うるところによると、従業員が六カ月の年末手当をもらった、こういうことも伝えられる。その中身をさらに聞いてみると、なんでも輸入の原糖の価格、それから関税あるいは加工費その他消費税も加えておるか、消費税はその段階でどうなりますか、何しろ市価九十何円の三盆白の原価は六十円台だろうというようなことすら聞くわけです。そういうような方にはどこかで莫大な利益があるのじやないだろうか。なぜならば国会報告資料によりますと、年間百万トン——八十数万トンから十数万トンふえておりますから、ざっと百万トンと見ていいのでありますが、もし三十円の利益があるとすると、私どものそろばんを置いてみると、トンに三万円以上の利益もあるし、さらに百万トンということになると三百億円にもなるのじゃないだろうか。こういうような辺に莫大な利益というものが隠されておるのじゃないだろうかということすら考えるのであります。もっともこう質問するといえども、私は製糖会社に何の恩も恨みも利害関係も実はないのでありますが、こういうようなことを思いますると、非常に国民が疑惑を持つのも無理からぬ。そうすると国会に対しまして、製糖会社の利益を少し吸い上げなければいかぬという法律が出るというような工合になって、やはりうわさあるところ何かほんとうな、煙あるところ火があったということの推定もつくわけであります。そういうことも考えるのですが、一体われわれ国民が三盆白百円も出して買わなければならぬ、今日また三盆白以外に砂糖はありません。昔は黄ザラというものがあって、黒い砂糖を好んで農家は食ったものですけれども、農家といえども三盆白以外に、町を歩いてもないわけであります。これは独占禁止法の関係があるのかともわれわれは考えておるのでありますが、それはともかくといたしまして、輸入の原糖、製糖会社関係、そういうようなところに相当に利益があるのじゃないかと思うのだが、こういうことについて特に御検討になったことありましょうか。一つ御意見も聞き、なお一応今お尋ねした趣旨に沿うような資料を出していただきたい。
  54. 平田敬一郎

    平田政府委員 御趣旨通り製糖会社は昨年はだいぶん利益を出しているようでございまして、従って税金も相当納めておるようでございます。もちろん調査も、私どもといたしましてそういう方面に対しましては十分な調査をいたしているつもりでございますが、内容の詳細の点につきましては、少し資料を整えまして、その上で御説明申し上げた方がいいと思いますので御了承願います。
  55. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それから少し具体的なことに入りまするので、その前にちょっとお伺いしておきたいのだが、寄付金支出というものは、これは何ですか。私も法律を調査してお尋ねすればよかったのですけれども調査しておりませんが、寄付金支出というのは税法上どういう性質を持っておるのでしょうか。
  56. 平田敬一郎

    平田政府委員 会社が寄付します場合におきましては、ほんとうの寄付である限りにおきましては、利益の二%でしたか、ちょっと数字は違っているかもしれませんが、利益の一定割合、二%か、ごく少い数字でありますが、それ以内におきましてはどこに寄付しようと、これは通常法人が仕事をやっていく上において必要だという意味で損金に算入することを認めております。それをこえて寄付する場合におきましては、これは原則として課税された残りの利益から寄付するものだ、こういうことにいたしておりますが、たとえば私立学校が戦災復旧をするとか、あるいはいろいろそういう場合には、特定の場合には大蔵大臣が指定をしまして、損金に算入することを認める場合がございます。それから個人の寄付金は、これはどうも非常に納税者の数も多いし、態様も多いので、税法では経費に落すことを今認めておりません。ただ商売人がその商売の必要上ほんとうに営業上の経費と認められるような寄付金、これは事実の認定に依存するわけでございますが、これはある程度必要経費に見ております。
  57. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 この問題は、寄付というものがおよそ個人ならば一切の支出のどのくらいの割合になるのかということは、一つこれも何か資料があったら出してもらいたい。これはやはりジャウプ勧告がありましたときにも問題になったと思うのであります。ことに最近の地方財政の赤字できりきり舞いしております実情は御承知の通りであります。従って地方財政を補填するために、また一時の資金繰り等のために公共事業あるいは学校の増改築、補修、修理等に至りまするまでやはり地方住民の寄付というものが相当な割合を占めておるということは御承知だと思います。おそらくあなた方がお住いの地区におきましてもこういう問題は相当あるだろうと思います。そこでそれが全然経費にもならず、損失にもならぬということ、ことに個人の場合におきましては全然これは顧みられないというようなことになりましては、これはどういうものであろうか。もしそれその割合が相当なパーセンテージになるということでありましたならば、個人生活を裏から脅かしておりまする、しかもやむを得ざる必要なる経費といたしまして、これは税法上重要な課題に私はなるのじゃないか、こう思うのであります。ただやむを得ざる寄付というものはどのくらいの割合になるかということは一つ資料で御説明願いたいと思います。ことにいつの委員会でありましたか問題になりましたのは、裁判所の建物の建築の場合に、住民から相当な寄付を取って建築をしたというのが問題になっておったようなことすらあるのであります。公けの建物がそういうような個人の寄付、会社の寄付、住民の寄付によってできるのは最近は少いか存じませんけれども、いずれにしましても、日本人の生活というものは、そういうような近所隣あるいはその住民の郷土のある地域の寄付というようなものが、これが一種の不文律的な社会の生活上の必要なものにどうもなるのであります。非常に大事なことと思いまするのですが、これについて御調査になったことはありましようか。もちろん今法律もあるくらいですから、調査資料も十分にあることと思いまするが、個人におきましても、明らかな寄付は、当然これは実は所得から削って費用なり、損失なりにするというふうにするのが、当然じゃないかと思うのですが、これはどうお考えになりますか。
  58. 平田敬一郎

    平田政府委員 個人の所得税でも寄付金を控除するかしないかという問題は実は多年ある問題でございまして、大蔵省でも始終その問題を取り上げてやっておりますが、今までの例によりますと、個人の寄付金となりますとなかなかどういうところに幾ら寄付したか立証してもらうと申しますか、そういう関係がなかなか厄介じゃないか、それで、納税者もなかなか簡単ではないのみならず、税務署の方もその認定につきましていろいろ問題が起きはしないかという関係等も考えまして実はまだ解決されていない、つまり、控除することに立法されていない現状でございます。御承知の通りアメリカではある程度引いておりますが、日本でそれをやることにつきましては、まだ大蔵省といたしましてよう決意しない状況でございます。しかしこれは、確かに所得税の問題としましては一つの問題でございますので、今後改正の機会におそらくそういう問題も当然取り上げて検討さるべきだと思います。  資料につきましては、これはなかなか大へんな調査でありまして、今ちょっとありますかどうですか、私自信ございませんが、帰りまして調べまして、ありましたら御提出申し上げる、それで、ありませんとちょっとこれは相当な時間をとって日数を要するということを御了承願いたいと思います。
  59. 山田長司

    山田委員 ただいま吉田委員の質問に寄付の問題が出ましたが、このことは地方自治体にとっては実に大へんな問題になっておるところがあるわけです。少い町村で年額七十万円くらい、多いところになりますと三百万円くらいの寄付が地方自治体にきているわけです。それで、ただいま裁判所の寄付の問題が出ましたが、裁判所だけでなくて、拘置所の寄付、警察署の改築の寄付、それから税務署の改築の寄付、こういうものまで割当がいっているようです。それは具体的な事例はありますが、中でも最もけしからないのは、警察の後援会費です。地方の村落のボスがこれに介入して、寄付を集めて歩いて警察に自転車の新しいのを買って納めるとか、あるいは冬寒い期間中の燃料費を出してやるとか、こういうことで旧来のボス勢力の温存をはかっているというようなことが考えられるわけですが、一体、地方財政法の四条の三と私は記憶しておるのですが、そういう寄付の仰せつけをしてはならぬようなことが出ていると思いますけれども、これらについて国税庁は何らか地方へ指示をするような意図があるかないか、参考に一つ伺っておきます。
  60. 平田敬一郎

    平田政府委員 実は私どもも、税務署関係におきましては、寄付は受けるようなことのないようにということを相当厳重にいたしておりまして、私どものところにもそういうことはしないように、寄付なんか集めないようにたびたび注意しておるのでありますが、何かお耳に入っていることがありましたら、なおさらよく注意いたしたいと思います。十分御注意願いたいと存ずる次第でございます。  それから一般の自治体に対する寄付につきましては、別途自治庁でこの問題を取り上げておるようでありまして、そういう寄付はさせないと申しますか、そういうことにつきまして各省に厳重な申し合せをしまして、自治体に寄付を仰せつけることをしないようにということで、たしか先般そういう方向で閣議決定でございますか了解がございまして、流していたかと思います。それから、自治体側で、地方自治法の改正であるいはそういう問題を取り上げていたかと思います。この方は主として私どもの所管ではございませんで、自治庁の方でございますので、必要でございますれば自治庁の方からお開きいただきたいと思います。
  61. 山田長司

    山田委員 管轄が自治庁であることはわかっているが、税金を取り立てる方に非常に支障が起ってくるので、そのことについては国税庁から自治庁の方に蕨市に言っておいていただきたいと思うのです。そうでないと二重の負担が住民にかかることになります。さらにもう一つは、警察の威信の問題などにおいてもこれはかなりゆゆしい問題として残ると思います。そういう点で、ぜひ国税庁の方から自治庁の方へ強く言い、それから自流庁の方から地方に伝達方を一つ要請しておきたいと思うのですが、その点についてお骨折りを願いたいと思います。
  62. 平田敬一郎

    平田政府委員 もちろん税と寄付の問題は始終関連がございますので、御趣旨の点まったく私も同感でございます。必要な連絡を十分いたしたいと思います。
  63. 山田長司

    山田委員 寄付金につきましては、私はもう少し突っ込んで立法的な措置まで積み上げていくことが国民生活を調整する上において一つの問題解決になるだろうと思うのであります。そこで自治庁におきまして禁止するとか閣議で禁止するとか、そういうことは末のことであります。自治庁で禁止したところが、自治庁自体におきましても、一体日本人が個人としても、会社としても、団体としても寄付なしに生活できるというような認識に立つこと自体が誤まりであります。私ども税の法律を一から十まで見ても、ほんとうにわからないのです。それほど複雑です。われわれは法律の条文をよく見る方ですけれども、税法ほどややこしい規定はございません。それほど複雑な仕組みになって、脱税がないように、できるだけ徴税ができるようにしなければならぬというのが日本の実情であります。それはやはり社会生活が複雑だからです。洋食を食ったり、支那料理を食ったり、日本飯も食ったり、洋服を着たり、はかまをはいたりするようなそういう複雑な生活態様というものが、やはり経済生活の面にも、従って租税の面にも私は現われておると思う。でありますから、これを閣議で禁止するとか、自治庁が禁止するとかいうことじゃなしに、それは川の下で手を広げて水の流れをせきとめるのと同じで、これは逆なんであります。でありますから、まずもって私はやむを得ざる寄付金、例をあげれば公共施設とか、公共事業とかいうようなものに対する寄付は、当然損失とか経費に落す、こういうような措置に一応出た方がいいのじゃないか。認定に因るとか何とかいうことを言うけれども、ずいぶんこまかい認定を税務署はやっておるのであります。そういうふうにやむを得ざる公共事業の寄付とか、個人のつき合いというのじゃない趣旨のものは、納税上適当に考慮するという措置が必要じゃないかと思うのです。あなたの方においてそういうことについて少し御準備になったかどうか。でなければわれわれも研究してもいいと思いますけれども、もっとその点は突っ込んでお考えになることが必要ではないか、長年の懸案で大蔵省事務当局もこの辺だんだんと適当に法律をお作りになるかしらぬけれども、私は非常に大事な問題であるだけに、その生活上の価値は大きいと見ております。あなたの方でそういうことについてこういうふうにしたらというようなおおよその線を引くお考えは具体的にはないでしょうか。あるいは事務当局としても案をお立てになって、それが国の法律化するというところまでお気づきになったことはどんどんと実現するように御協力になってしかるべきだと思う。何かしら税務署というところは税金ばかり取る、検察庁は犯罪人を作るというような感じでなしにいってもらいたいと思うのですが、その点はいかがでしょうか。
  64. 平田敬一郎

    平田政府委員 所得税にはいろんな控除を現在認めておりまして、申告書をお書き願えれば、いろんなものがあることにお気づきになると思いますが、もう一つ寄付金控除をそれにプラスするということになりますと、受取書とかいろいろな問題がございまして、会社がまとまってやっておる場合には割合いに簡単だと思いますが、個人の場合ですと、私ども具体的に踏み切りにつきまして問題が多いかと存じております。昭和二十五年の税制改正の際も実はこの問題を取り上げたのですが、結局実行を見ませんでした。それから一昨年でしたか、税制調査会でもやはりこれを取り上げたのですが、結論を得なかったということに相なった次第であります。しかしお話のような点、個別的に妥当性を期するという点につきましては、たしかに問題がありますから、私どもこの問題は今後の問題として十分検討を加えていってしかるべき問題ではないかと考えております。御意見の点はよく承わっておきたいと思う次第であります。
  65. 山田長司

    山田委員 この際長官に一点伺っておきます。非常に税の種類が多いために園長は税金の種類別についての納め方、かかってくる内容等について理解できない点が多々あると思うのですが、これを一般に知らせる方途としてはどういう方途が講ぜられておるのですか、参考に承わっておきたいと思います。
  66. 平田敬一郎

    平田政府委員 税が非常に複雑でありますので、なるべく納税者によくわかってもらうようにということで幾つかの方法をとっております。一つは申告の時期をとらえまして、申告書並びにその説明書などで、できるだけ所得税なら所得税の内容をわかってもらうように努めております。それから国税庁でも、私たちの所得税というパンフレットを作りまして、これは団体方面に広く配付しております。まだ配付しておりませんでしたら、御参考までにあとでお配りしてもいいと思います。それから学校方面を対象といたしまして、簡単な租税教室という三、四十ページくらいの。パンフレットを作りまして、おもに中等学校の先生方にお配りして、これを教材として話してもらうというやり方をやっております。その他税金の行方というパンフレットを、これは前にお配りしたと思いますが、年々作りまして、なるべくわかっていただくように努めております。それから文部省とも話し合いまして、社会科の内容にできるだけわかりやすく、理屈抜きで税の話を載せてもらうようにいろいろ頼んでおりますが、この方はまだなかなか思った通りには至っておりません。このようにいろんな方法を考えまして、できるだけわかってもらうように努めたいと存じておる次第であります。申告所得税でありますので、そのことが私ども一番大事なことだと存じております。
  67. 上林與市郎

    上林委員長 他に御質疑はございませんか——ないようでございますから日本はこの程度にとどめたいと存じます。  次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時四十八分散会