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1955-06-09 第22回国会 衆議院 決算委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年六月九日(木曜日)    午後一時四十一分開議  出席委員    委員長 上林與市郎君    理事 山本 正一君 理事 徳安 實藏君    理事 山中 貞則君 理事 山田 長司君    理事 吉田 賢一君       床次 徳二君    松岡 松平君       生田 宏一君   小笠原八十美君       三鍋 義三君    佐竹 晴記君       細田 綱吉君  出席政府委員         防衛庁次長   増原 恵吉君         防衛庁参軍官         (経理局長)  石原 周夫君         防衛庁参事官         (装備局長)  久保 亀夫君         大蔵事務官         (管財局長)  窪谷 直光君  委員外出席者 防衛庁警備監補         (海上幕僚監部         経理補給部長) 渡辺 信義君         防衛庁警備監補         (海上幕僚監部         技術部長)   松崎 純生君         大蔵事務官         (主計局司計課         長)      柳沢 英蔵君         大蔵事務官         (主計官)   吉村 真一君         会計検査院事務         官         (検査第一局         長)      保岡  豊君         参  考  人         (元大蔵省中国         財務局長)   森岡謹一郎君         専  門  員 大久保忠文君         専  門  員 岡林 清英君     ————————————— 六月九日  委員田中彰治君辞任につき、その補欠として南  條徳男君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  国有財産(旧軍艦「梨」)の売払及び取得に  関する件参考人より実情聴取     —————————————
  2. 上林與市郎

    上林委員長 これより会議を開きます。  前会に引き続き、国有財産(旧軍艦「梨」の売払及び取得に関する件について調査を進めます。  この際お諮りいたします。本件に関し、昨八日の理事会におきまして、元中国財務局長森岡謹一郎君を参考人として当時の実情を聴取することに申し合せをいたしましたが、さよう取り計らうに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 上林與市郎

    上林委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。  それではただいまより森岡参考人に対する質疑に入りますが、きのうの理事会において理事方々から、原則的な質問委員長においてやったらどうかという御意見もございましたけれども、時間の都合もありますので、委員諸君参考人に対する質疑によって進めることにいたしたいと思います。  この際参考人に一言申し上げますが、本日は御多用のところ万障お繰り合せの上御出頭の由、大へん御苦労に存じます。旧軍艦「梨」の売り払い及び再取得に関する問題については、本委員会において重大な関心を持って鋭意その真相究明に努めて参った結果、ようやくその概貌も明らかになりつつあるのでありますが、本日ここに、あなたが中国財務局長の職にあって本件関係した当時の事情について、委員各位質疑にお答えを願うことによってその実情を明らかにされ、もって本委員会本件調査に資するところあらしめるよう御配慮あらんことを特に要望いたしておきます。  それでは森岡参考人に対する質疑を順次許します。山田長司君。
  4. 山田長司

    山田委員 森岡中国財務局長にお伺いいたしたいと思います。あなたが中国財務局長時代に、旧軍艦「梨」に対する富士製鉄及び平郡漁業協同組合払い下げ申請があって、これと売買契約をされたことがあるかどうか、最初に伺いたいと思います。
  5. 森岡謹一郎

    森岡参考人 あります。
  6. 山田長司

    山田委員 この申請については、魚巣として払い下げを受けたいということと、それからスクラップにしたいという申請が当時あったわけですが、この払い下げについて最初からの経緯を簡単に御説明願いたいと思います。
  7. 森岡謹一郎

    森岡参考人 お答えいたします。この問題が起きましたのは昭和二十六年の春ごろかと思うのでありますが、当初は平郡の村長をしておりました松田氏が参拝まして、あれを魚巣にしたい、あれを売らないでそのまま置いておくことはできないかというような、口頭でありますが申し出もあったのであります。その後八月ごろに至りまして、書類をもってぜひ平郡の漁業協同組合払い下げてもらいたいという陳情書が参ったわけであります。その後、これは売るにいたしましても相当金額になるわけであります。従いまして、一漁業協同組合でこれが買い得るかどらか、もし買ったといたしましても、その代金が払えるかどうかという点から、私どもはむしろ消極的であったわけでありまして、よく考えていただ、きたい、相当金額であるから、相当長い間かかってやるとしても非常に大きな負担になるというようなわけでありまして、直ちにその話には乗らなかったわけでありますが、自乗地元におきましては非常に熱心でありました。ぜひ何とか魚巣にしたいということでありまして、結局いろいろと折衝いたしました結果、二十九年の春になりまして方針をきめて、一部解体をいたしまするくず鉄富士製鉄に売るという方針をきめまして、六月になりまして契約を締結したような次第でございます。
  8. 山田長司

    山田委員 この契約は、表面は富士製鉄広畑製鉄所であり、それから平郡漁業組合のように見えますけれども、行って調べてみますと、実際は金を出したのは北星船舶であり、さらに新生という東京の銀座七丁目にある産業会社であるようでありますが、このことについては、最初からあなたの方では知っておって黙認した形でそのことの進行を見ておったのではないか、こうわれわれは想像できるのです。しかもこういうサルベージ会社というものがただ一社や二社のことじゃないのだけれども、これらのことについて、全部北星代金を納入してあるのだから、随意契約をしてあるということを最初から内諾を与えておったのではないかという感じがするのですが、あなたは北星船舶から金を受け取っておるのですから、これに何らかの疑念を抱かなかったのかどうか。
  9. 森岡謹一郎

    森岡参考人 お答えいたします。今の船の代金の件でありますが、私どもは、その代金平郡漁業協同組合あるいは富士鉄から出ておりまするか、あるいはその他どこから出ておるかということについては、一向関心を持たなかったと申しますか、そういうようなところから出ておるということは知らなかったわけであります。
  10. 山田長司

    山田委員 もう一ぺん今の話を伺いたいのですが、一体国有財産が海の中に沈んでおるのを見て、それを払い下げるという重大な立場にあなたは置かれておりながら、その払い込んでくる買い受け人がだれであるのかさっぱりわからずに金を受け取っておることになるわけですが……。
  11. 森岡謹一郎

    森岡参考人 ただいまのお話は、私ども現在になれば、その金がどこから出たということはわかるかと思うのでありますけれども、その当時は、払い下げを受けました相手方代理人として持ってきたわけでございますから、その金がどこのなにから出たということまでは考えていない。しかし売り払いの相手方から出たものであるということで受け取っておるわけでございます。  それからさらに先ほど質問のございました、そういうような実情を知りながら随意契約をしてあるということを、あらかじめ内示したといいますか、そういうことがあったのじゃないかというお話でありましたが、平郡の漁業組合を代理しております北星船舶というものに私自身は会ったことはないのでありまして、従いまして北星船舶と私どもがこの「梨」について話をいたしましたのは、方針がきまってから後係の者が話した程度であります。従いまして北星船舶にさようなことを示す、内示をするというようなことは、ちょっと私としては考えられないことなんでございます。
  12. 山田長司

    山田委員 平郡漁業協同組合、さらに富士製鉄とあなたの方と契約を締結したのは六月二十一日ですが、その六月二十一日以前に北星船舶の人に、実は前日伺ってみますと、三月からすでに船の位置の調査を開始しておる。しかも作業日誌を調べますと、九月十九日に作業の開始をしておる。それから六月五日の日には浮力タンク四個を設備したほかに、起重機船使用して作業をやっておる。それから六月二十五日の日には引き起しが完了しておるというようなわけなんです。ですからどう考えてみましても、中国財務局としては調査をすることよりも何よりも、黙認しておったのではないか。あなたの方では、潜水夫作業していることも、北星の人が大勢行っていることも全然知らなかったのであるかどうか。黙認していたとしかわれわれには考えられないのですが、この点はどうなんですか。
  13. 森岡謹一郎

    森岡参考人 お答えいたします。北星船舶の者が行って調査をしたということは、その当時におきましては知らなかったのであります。
  14. 山田長司

    山田委員 この払い下げについて、三百五十四万という払い下げ金額の決定は、一体何を基準にして中国財務局払い下げを許可したのか。大体行って調べてみると、「楡」という軍艦によく似ているというので、その「楡」という軍艦の設計をそのまま——実は見積書などを見ると、基礎を置いて調べているようにわれわれには感ぜられるのですが、どんなにみても四億くらいの価格があるといわれている船について、三面五十四万という価格は、どこを基準にして中国財務局はこれを認めたのか。一体その根拠はどこにあったのか。当局としてその査定をした根拠を一応伺いたいのです。
  15. 森岡謹一郎

    森岡参考人 お答えいたします。価格の算出の根拠についてでございますが、ただいまお話がありましたように、同型艦の「楡」の資料基礎にいたしまして、それから発生いたします金属類価格を出しまして——これは時価によって出すわけでございますが、そういたしまして、それから引き揚げ解体に要します経費を差し引いて三百五十四万円というものが出たわけでございます。そこでただいまのあとにありました四億もするというお話でございますが、私どもは海底に沈んでおります軍艦は、スクラップのかたまりとして考えておるのであります。これは陸上に揚げましたものは、全部解撤作業というものを命令によりましてやったわけでございます。その後におきましても、スクラップのかたまりということで返還を受け、それを管理しておったのでございます。従いましてたくさんの潜水艦なり軍艦を処理いたしたのでありますが、すべてさような方式で海の底にありますスクラップのかたまりという考え方で価格を出しておったわけでございます。従いましてただいま出しました価格の出し方については、私どもも間違いはないというように考えております。
  16. 山田長司

    山田委員 あなたは間違いないと言っているけれども、この船の海中に沈んでいるときの状態は、船の右舷大穴があいている。大穴があいているのだから、これはスクラップにしてもしようがないじゃないかという見解が出ているのを承認しているようです。引き揚げてみたところが、右舷には全然穴がない。一つも船はいたんでいない、そういう結論が出ているわけです。この結論が出たのは、あなたはいつ知ったのか。
  17. 森岡謹一郎

    森岡参考人 今のを揚げまして、その後物として使えるということが私どもの耳に入りましたのは、二十九年の八、九月ごろだと承知しております。それまでは少くともただいま申し上げましたようなことでありまして、これが生きて使えるということは、きまっての話とは、今までの処理なり価格の出し方なりとはおのずから違うのでありまして、御了承願いたいと思います。
  18. 山田長司

    山田委員 あなたは八月、九月ごろに知ったと言っているけれども、この漁業組合長神代弥助という人は防衛長官木村篤太郎氏にあてて七月十日の日に具申書を出しているのです。その具申書内容は、船として使用ができるからということを意味する申請書です。こういうことから考えてみると、それでは漁業組合の方では軍艦使用することはできるといって防衛庁に言ってきているけれども財務局の方では全然それは知らなかったわけであります。
  19. 森岡謹一郎

    森岡参考人 知らなかったわけでございます。
  20. 山田長司

    山田委員 それでは防衛庁がこの船を買い上げる意向があるらしいということを知ったのはいつごろですか。
  21. 森岡謹一郎

    森岡参考人 先ほど申し上げましたように昨年の八月の終りから九月ごろにかけてでございます。
  22. 山田長司

    山田委員 そうすると私はあなたに尋ねることになる。なお不思議に思うが、あなたはそれを知ってから漁業組合富士製鉄払い下げ条件がそのときに変ってきたじゃないですか。払い下げ条件が変ってきて、軍艦使用できる、くず鉄でないということがはっきりしたときに、財務局長としてそれをどういうふうにすべきかという処置をおとりになりましたか。
  23. 森岡謹一郎

    森岡参考人 お答えいたします。それを私どもが知りましたのは新聞紙上最初知りまして、それから現地について多少聞き込み等をいたしまして、直ちに本省に連絡をいたしました。ほんとう防衛庁軍艦として使う意思があるのかどうかということも一面確かめたわけであります。お話のごとく、使えるものであって、条件の違うからというお話でございますけれども、実際防衛庁で使えるのか使えないのか、使う意思があるかどうかということがはっきりしませんと、私ども契約条項によってどうするということはできないわけであります。一応そういう考えで進んでいるけれども、考えてみたらどうも使えなかったということであるならば、前の通り魚巣にすべきでありまして、それが最後結論が出るまでは何ともできなかったわけでございます。
  24. 山田長司

    山田委員 中国財務局の管内にはかなり軍艦が、この戦争末期までの間に撃沈されて沈んでいると思いますが、それらについては八幡製鉄富士製鉄にほとんど払い下げる、しかもその払い下げ対象になっているのは三晃物産という物産会社製鉄所の方から委任をとってこれが払い下げをやっているようでありますから、こういう場合にあなたの方では一体事実上大会社委任状によって払い下げているものかどうか、それからまた今までどんな数の払い下げを行なっているのか、その数がわかっていたならば、一応ここで御発表願いたいと思います。
  25. 森岡謹一郎

    森岡参考人 八幡製鉄富士製鉄に売りました数はわかりません。ただ今ここでわからないが、調査いたしますればわかると思いますが、覚えておりません。ただ八幡製鉄なり富士製鉄に売りましたのは、主としてくず鉄公定価格のあったときがおもでありまして、その後時価で売るようになりましてから沈船につきましては競争契約で売っております。従いまして今お話のごとく、特に八幡富士が多いとも私は考えていないのでございますが、調べてみないとわかりません。
  26. 上林與市郎

    上林委員長 山田君に申し上げます。大体申し合せの時間が参りましたので、その点を考慮して御質問を願います。
  27. 山田長司

    山田委員 漁業組合製鉄会社にこれだけの船の払い下げをするに当って、あなたは大蔵省からどういう指示を受けたか。指示を受けないとするならばどういう理由で受けずにこれが売り渡しをしたのか、最後にこのことを伺います。
  28. 森岡謹一郎

    森岡参考人 艦艇魚巣にするということは非常に異例に属する事件でございまして、当初申請がありましたときには、先ほど申しましたように、実際に使うかどうか、あるいは価格の点で魚巣などに使っていいものかどうかというようないろいろ疑問な点がありましたので、最初からは本省に伺わなかったのでありますけれども、実際に売りましたのは二十九年でございますが、ほんとうに買うということで、組合の決議を持って参りました以後におきまして、本省にどうすべきかという伺いを出したわけでございます。この沈みました艦艇を売ります際には、どうしてもその地方漁業協同組合——平郡の漁業組合ということになるわけでございますが、了解を得ることが実際問題としては必要なのであります。この「梨」は沈みまして以後割合に盗難にもかからず現在まできたのは、土地の漁業組合等の協力があったおかげと私ども考えておりますが、そういうようなわけでこれにはこの地方漁業協同組合相当関心を持っているわけであります。そういうことで他に売る際には、自分のところで要るのでありますから、非常に強い反対がある。もしこれを競争入札にするにいたしましても、前もって補償というようなものを幾らぐらいにきめるかということをきめなければ、競争入札にかけても結末が出ないことがはっきりいたしておるのであります。そういう点から考えまして、どうしても平郡の漁業組合に売らざるを得ない。しかもこれが使用目的産業保護助成の線に沿うというようなことで漁業組合対象にいたしたわけでございます。このあと富士製鉄というのは、若干のくず鉄が出ますので、その出ましたくず鉄方々に行って、国有財産がいろいろなところに行って問題を起すということは遺憾でありますので、確実なところにこれを入れまして、共同随意契約をいたしたようなわけでございます。従いまして本省指示は受けてやっておったのであります。
  29. 山本正一

    山本(正)委員 関連してちょっとお尋ねいたしますが、国と払い下げ申請人との間に払い下げ契約が締結されたのは、二十九年六月二十二日でございましたね。
  30. 森岡謹一郎

    森岡参考人 二十一日だと思います。
  31. 山本正一

    山本(正)委員 二十二日のように思いますが、六月二十一日でございますか。
  32. 森岡謹一郎

    森岡参考人 はい。
  33. 山本正一

    山本(正)委員 そこでさっき山田委員からもお尋ねしたのですが、この物件の引き揚げ作業はそれよりも四十日ぐらい前から現実に着手しておるのです。これは従来の参考人より説明があり、それからそれを了解できるような文献、資料がありますから間違いないと思います。それでその作業を担当した人のこの間の説明によりますと、六月の二十二日、つまり契約の当日には海の底に横倒しになっておった沈船の引き起し作業がほぼ完了したということです。私どもしろうとでわかりませんが、相当大きな船の引き起しが完了するまでは、海の上でも数隻の大型の船を使わなければならない。陸上でも数十名の人間が作業しなければならぬ、その数十日の間それだけ大がかりの作業が継続して行われておるということを所管の財務局としてあなたは全然御存じないという、事実は御存じないということはあり得るかもしれませんよ。しかし一般の常識としては少しく納得いたしかねるのですが、その辺いかがなものですか。
  34. 森岡謹一郎

    森岡参考人 お答えいたします。さような場合、最後契約調印をいたしますまで手をつけさせないで厳重にやるのけ、全くその通りだと思いますけれども、この場所は本土から相当離れた小島の沖にあるもの、でありますので、沈みまして以後私どももそうたびたびそこに行くというようなこともやっていないわけであります。先ほども申しましたように、この管理につきましては、地元協同組合が非常に好意を持ってやってくれておりますので、私どもほかからの盗難ということについては安心をいたしておったわけであります。それで今の、実際に売り払いました相手方委任を受けた代理人の行為でございますが、これについては私ども早くそういうことを知れば抑え得たかと思いますが、いずれにいたしましても、去年の正月にすでに平郡の漁業組合、それから富士製鉄はきまっておりましたけれども、そういう共同相手方でお前のところに売ってやる、しかもその価格はこれぐらいだということで大体の話がついた後においての調査でありますので、私どももそれは調印後にすべきだと思いますけれども、非常に間違ったということも考えていないようなわけであります。
  35. 山本正一

    山本(正)委員 まあそういう事情は、伺って一応うなずけないこともございませんが、あなたのお話では、先ほどは全然知らなかった、そういう調査作業も知らなかったというお話であるから、常識上非常に納得がいたしかねるので伺ったのであります。あなたの今の御説明によりますと、正式に譲与したのは六月の二十二日であるけれども、それよりも数十日前にもうこの平郡漁業組合にそれをどの程度の値段で払い下げをするという内意を与えておる。内意を与えた手前上、正式の手続は完了しなくてもその引き揚げ作業に手をつけたということは黙認したという意味にとってよろしいのですか。知らなかったというのではなくして、黙認しておったということに伺ってよろしいのですか。
  36. 森岡謹一郎

    森岡参考人 お答えいたします。先ほど知らなかったと申しましたのは、その事実を申し上げたわけでございまして、知らなかったけれども事情はこうだったというのが今の説明だったわけであります。事実は知らなかったのです。
  37. 山本正一

    山本(正)委員 それではそれ以上私は追及いたしませんが、あなたの言われたことをもう少し整理を願いますれば、あなた自身が非常に矛盾しておるということにお気づきになると思う。どうも常識納得がいたしかねます。まあそれ以上私は追及いたしません。  もう一つ伺っておきたいのは、あなたの方で払い下げ代金の三百五十四万ですか、それを受け取られて正式の領収書を発行しております。その領収書あて名払い下げ申請者名義ではございません。全然払い下げ関係のない者に領収書を発行しておる。これは私どもあなた方のおやりになっておる出納事務内容はよくわかりませんけれども、こういう種類の成規に官庁から発行された領収書名義人というものは、世間から見ますと、一応それが正当の権利者であると了解することが、通念上当りまえです。従いまして、全然申請関係のない者がそういう成規領収書を持って、世間にこれが利権的に扱われるという憂いも相当あるわけです。従来本件以外に、全然無関係の者に領収書を発行したというような事例はございますか。
  38. 森岡謹一郎

    森岡参考人 さようなことはないつもりでございます。本件領収入が、北星船舶社長あて領収書を発行いたしておりますが、これはやはり代理人ということを表示してやるべきであった、。不備な点があると思っております。
  39. 山本正一

    山本(正)委員 領収書あて名は、収納帳簿の方にはどういうふうになっておるのですか。やはり領収書に記載したあて名人から収納したことに記載してありますか。
  40. 森岡謹一郎

    森岡参考人 領収書をさような名義で出しておりますので、おそらく代理人の表示をしないで書いているかとも思うのでありますが、その際代金を受け取りましたのは、漁業協同組合委任状を持って、しかも全額に関して委任を受けて参ったのでありまして、受け取ることは差しつかえないと思うのでありますが、その領収書代理人ということを表示していなかったわけでございます。この点は遺憾に存じておる次第でございます。
  41. 上林與市郎

    上林委員長 それでは、山田委員質問を継続して下さい。
  42. 山田長司

    山田委員 最後にもう一点伺います。先ほどの答弁の中にもありましたが、たくさんの船艦の払い下げスクラップとして出しているようですが、今度の「梨」の場合もその一つだと思うのですけれども払い下げをする場合に全然財務局としてはこれを調査も何もしないで、今までの船もこれと同じように払い下げをしたのか、今度の場合にもそうなんですが、財務局としては一人の水夫も入れて調べずにこれを払い下げをしたのか、参考に伺っておきます。
  43. 森岡謹一郎

    森岡参考人 通常の場合は図面等がございますので、そういう図面くず鉄の量を計算いたしております。従いまして、もぐってみるという場合は、特に問題があります際に、潜水夫をこちらで雇いまして、入れて調査をした事例もございますけれども、多くの場合は計算で出しておるように承知しております。
  44. 上林與市郎

    上林委員長 それでは次に吉田委員に発言を許します。
  45. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 森岡中国財務局長に伺いますが、あなたが財務局長をやめたのはいつですか。
  46. 森岡謹一郎

    森岡参考人 財務局長をやめましたのは、昨年の十一月十六日でございます。
  47. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 あなたは、北星などがこの軍艦政府に売り込む話を知ったのは昨年の八、九月ごろかのように言っておりました。同僚委員からの質問に、昨年の七月の十日にすでに買い主の平郡漁業組合から防衛庁長官に軍艦として買い上げてもらいたい趣旨の具申書が出ておることを知らなかった、こういうことであります。ところがあなたの方は売買契約によってみましても、重要な国有財産の処理の跡始末でありまするので、この二十条によってみましても、用途指定期間、すなわち当初は四カ月でありますが、六月から四カ月の間はあなたの方には随時部下の職員をして売り渡した財産の状況を実地に調査せしめて、使用条項等についても調査して所要の報告をせしめねばならぬ義務を持っておるのです。そういうような諸般の調査報告等の事務は行わなかったのでありますか。
  48. 森岡謹一郎

    森岡参考人 私の記憶では、特にそのために人を派遣した記憶はございません。
  49. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 あなたは記憶があるとかないとか言うんだが、この重大な問題を起して、三百五十万円の価格引き揚げた後には四億もするような価格差の市大な結果を来たしておる。そういうような場合に記憶があるとかないとか——なかったというならばなぜしなかったかと尋ねたいのでございます。と言いますのは、防衛庁に向って買い主の漁業組合などから、漁業組合名義で、あるいは北星サルベージ業者から買い上げてほしいという要請をし、陳情をし、運動をしておるのは、すでに引き揚げ途中のことなのであります。引き揚げ最中から東京に往復して出資者の新生産業社長なども使い、あるいはいろんな人に渡りをつけて政府に売り込み運動をやっておる。あなたの方はそういうことを全然知らなかったのだ、今記憶がないと言っておるのだけれども、このような重大な軍艦の売り払いの跡始末で、あなたとしては財務局長としてあとの管理等についても重大な義務があると思う。どうしてそれを行わなかったのですか。
  50. 森岡謹一郎

    森岡参考人 こういうような新しい問題になりますると、非常に大きなことなのでございますけれども、私ども最初に処理をいたしましたのは、一部はくず鉄、一部は漁巣にいたすものであります。そういうような気持でやっておったということに遺憾な点があったかと思いまするけれども、しかし新しい事態が起きない前といたしましては、都合がつけば行くというような程度で従来もやって参りまして、特にこのために問題も起したこともございませんので、さようなことにいたしたわけでございます。
  51. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そこに重大な問題がやはりひそんでおると思う。一体契約書に堂々と記名捺印をして、あなたは国の所有の物件を処理する政府の担当の職員といたしまして、いろんな条項を規定しておるのけ、これはいいかげんにしたのではなかろうと思う。そういうようなところからこういう問題が私は発生したのじゃないかと思う。この何十条かの条文というものは、これはあなたにすればあるいは例文であって、そういうものは事故さえ起らねば別に守る必要はないんだ、こういうようなお考えであったら、これは事故が起ります。そもそも一体客観的に見れば、現存する機械はりっぱな機械であります。何の損傷も来たしていない機械であります。でありますので、そういうような物につきましても、あとう限り可能な方法で事前調査をしなくてはならぬ。ところが事前調査もしていない。海底調査ももちろんいたしていない。のみならず自後の調査の報告も一切やっていない。こういうようなところに、私はあなたの局の綱紀が弛緩しておったのではないかと思うのです。今考えて一体どう思いますか。
  52. 森岡謹一郎

    森岡参考人 お考えいたします。今のお話で、これがほんとう防衛庁でお使いになれるということになりまずると、さようなことになるわけであります。しかし最初に申し上げましたように、どこまでも管理し処分をいたしますのはくず鉄のかたまりである、ずっと前から私どもはそういう考え方できておったわけであります。軍艦の沈んだものを浮かしてさらに使うということは、昨年新聞に出るまで——出てもそんなことができるのかと思ったくらいでありまして、今まで沈船を処理しました際に考えつかなかったと申しては何でございますけれども、そういうような状態だったのであります。その点は御了承願いたいと思います。
  53. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 これでは全くあなたには管理能力がないと申さなければならぬ。軍艦の沈んだものを管理するのなら軍艦の性能くらい知っておかなければならぬ。あなたとしては幾多のこういう事件を調査も十分しないで処理してきたという前の事例から、いいかげんにお扱いになったのだと思う。売り渡しの前において調査を十分にしなかったということは、何としても大蔵当局として、国の財産を管理するあなたの立場として責任を果しておらない。あなたの職務を十分に行なっていなかったと思わざるを得ない。この点については今責任を追及いたしましたところで、あなたはもう役人をやめておるのだから、白々として当委員会において答弁したらそれでいいかもしれぬ。しかしながら国としては大へんなことであります。そういう役人が国の財産を処分したり管理したりしてくれましたならば、どんな損害が国に生ずるかわからぬということを思いますと、われわれとしてはほんとうに心外にたえません。あなたはサルベージ会社などが東京に猛烈な売り込み運動をやっておったのをいつ知ったのでしょうか。ほんとう引き揚げ最中からも行っておったのです。あるいは引き揚げ当初から軍艦だということを知っていてやったのではないかという印象を当委員会に与えておるのです。その点がまだ明瞭になっておらぬから、きょうも多数の人に来てもらって調査を進めておるのです。最初から知っておったのではないだろうか。そもそもあなたは、引き揚げ軍艦を売り込んだらうんと高い値で買ってもらえるのではないかということを知っておったのではないだろうか。それとも部下は知っておったが、自分は知らなかった、自分は売って金さえ取ったらそれでいい、金をとっても、第三者名義領収書を発行するというずさんな行為があるのだから。そういうことじゃないだろうか。そもそも軍艦として使用することができるかできないかをあなたがほんとうに知ったのはいつのことなんだろうか。やはり今言うがごとく、引き揚げが済んで東京の運動も着々進んで、しかる後新聞に出て初めて知ったなんという間の抜けたことがあったとは考えられない。ほんとうに八、九月になって初めて知ったのですか。
  54. 森岡謹一郎

    森岡参考人 お答えします。ほんとうに八月の新聞に出まして初めて知ったわけでございます。
  55. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 あなたはその後指定期間の延長を数回やっております。これはどういうわけですか。
  56. 森岡謹一郎

    森岡参考人 私が在任中にやりましたのは十一月の初めにやったものでございますが、その当時になりますと、すでに新聞にそういうことが出ておりますので、これはあるいは軍艦に復元できるものじゃないかということも頭にあったわけであります。もしさようなことで、生かして使うというようなことができるのならば、あわててこれを魚巣にするということはいかがかということで、延期を認めたようなわけでございます。
  57. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 増原次長は見えておりますか。
  58. 上林與市郎

    上林委員長 出席しております。
  59. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 あなたとは独立して質問したいのでありますけれども、今のに関連しておりますのでちょっと一点伺いますが、元財務局長防衛庁への売り込みを知ったのは昨年の八、九月だと言っておるのであります。ところが事実におきましては、昨年の七月十七日付で文書は出されておるのであります。またおとといの参考人等によりましても、相当以前から防衛庁の方へ関連をつけておるのであります。あなたは一体この売り込みの運動につきましてお知りになったのはいつごろからですか。運動と言って悪ければ、この買い上げてほしいという申し入れに対しまして、あなたが買い上げの事情最初に知ったのはいつごろなんでしょうか。
  60. 増原恵吉

    ○増原政府委員 参考書類を差し上げておりますように、この申請が出ましたのが十八日付のものであります。その中に十日日付のものが添付書類で来ておったわけであります。この書類はその方の海幕関係で回覧になっております。私どもがこの事実を知ったのはその後でございます。明瞭に今いつであるということははっきり記憶がございませんが、八月に入ってからであったというふうに記憶いたしております。
  61. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 今の参考人は十一月まで在任しておられたのでありますが、あなたの方におきましては、こういう重要な物件の買い上げ方の申し入れがあるということになって参りますと、一応東京の管財局あるいは地元財務局などへまず何かの文書等によって照会を発する、このような手続としても当然なさるべきであったと思うのでありますが、そういうような御記憶はいかがでございましょうか。次長でなくても局長でけっこうですから……。
  62. 渡辺信義

    ○渡辺説明員 中国財務局に対しましては、経理補給部の経理課の職員の渡辺一等海尉が、八月二十九日に東京を出まして、この現場の調査をいたしましたときに、中国財務局に立ち寄り才して、まず防衛庁としては予算が許すならば買いたいんだがということを伝えております。そうして払い下げ条件などを聞いております。それから十月になりまして、その日付は記憶しておりませんが、私が直接……。
  63. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 中国財務局と話し合ったということだけでいいのです。  そこで参考人に聞きますが、あなたはこの政府への売り込みの事実を知ったのは八、九月ごろであると言われたのだが、一体そういう事実を本省の管財局に直接御通知になったのですか。なったならばこれは重大な事情の変化です。なぜならば、あなたの方は四カ月を指定いたしまして、用途指定を厳重にしておるのであります。スクラップ魚巣であります。ところが軍艦として政府へ売るということを文書でもってやっておる。そういうことをあなたがおさせになったのは九月である、これは大へんなことであります。そこで事情調査をしなければならぬのは当然であります。これはしたかどうか知らぬが、第一本省と連絡、協議いたしましたか。
  64. 森岡謹一郎

    森岡参考人 それは先ほどもお答えいたしたことでありますが、さようなニュースをキャッチいたしましたので、直ちに本省管財局長あてに、こういうような話があるが、実際そういう意向があるのかどうか、至急にお調べ願いたいという連絡をいたしております。
  65. 上林與市郎

    上林委員長 吉田君、大体申し合せの時間が参りました。
  66. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それではもう一点で終ります。これはあとからいろいろと事情が判明した上で——われわれは今日なお疑いを持ち、あるいは推定をいたしておる次第なんでありますが、この軍艦の売り込みというものは相当計画的に行われたのではないだろうか。と言いますのは、第一価格におきましても三百五十四万円である。これは時価何ほどかわかりませんが、少くとも四億円と言われるのであります。ここに商売人が介在いたしまして、自己資金なく、他人資本をもってサルベージをやったような人が活躍いたしまして、それが引き揚げの途中に、もうすでに売り込みの計画を進めておる、こういうことになっておりますので、かなり計画的に売り込みの計画がもくろまれたのではないだろうか、こういうふうにも考えられるのであります。あなたは、今日となりましては、かく問題が大きくなって参っておりますので、言いにくい点はあるかも存じませんけれども、いずれにいたしましても、安い値段で売って一ばいかけられた、こういうことはお考えにならないでしょうか。またそういうようなことがほんとうじゃないだろうか、こういうふうに思いますが、あなたはどうお考えになりますか。あなたも、今日問題を収拾することにおいてやはり一役お買いにならなければなりません。何といってもあなたはこれの責任者であったのだから。これの処分の実行者なんだから。だから問題を収拾するということにおいて、国の立場に立ってお考えにならなければいけません。ほんとうにこれは相当前から国に売り込むという計画もあって進められたのではないだろうか。幾多こういう点について疑念をおはさみになったのではないだろうか。その後、あなたがやめられた後も、数回にわたりまして、この指定期間の延長が行われておるのであります。御疑問が生ずるような幾多の材料が出てくるのであります。最初の売買の価格といい、あるいは最初の買受人の方から出されました大体の金額といい、いろいろな経費の見積りといい、原価計算といい、何やかや調べてみると、やはりここにいろいろな角度から疑わしいものが出るのであります。結局これは財務局として一ぱいかけられたのではないだろうか、こういうふうにも考えられるのです。これはどうお思いになりましょうか。今日のあなたの感想として、過去におやりになったことに対するあなたの御所見を聞いておきたいと思います。
  67. 森岡謹一郎

    森岡参考人 お答えいたします。今の私の感じを率直に申し上げますと、先ほども申し上げましたように、この問題は……。
  68. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 先ほどと同じなら答える必要はありません。
  69. 森岡謹一郎

    森岡参考人 二十六年から平郡の漁業協同組合が熱心に来たわけであります。その当時は、軍艦と申しますか、さようなものはおそらく日本国に、あまり頭になかったことだと思います。そのころ以来ずっと続けて、三年幾らもたってやっと解決した問題でございます。従いまして、最後に飛びついた——飛びついたと申しますか、いよいよ判こをつくころになって考えたものがあるいはあるかも知れませんが、この「梨」の処理全体を通じましては、私はさようなことがあったというようには考えておりません。
  70. 上林與市郎

    上林委員長 次に徳安委員に発言を許します。徳安君。
  71. 徳安實藏

    徳安委員 参考人にちょっと伺います。八日に新聞に出てから初めて知ったというお話でございます。そこで、本省に伺いを立てたという御返事がございましたが、その本省に伺いを立てられて、御返事はどういう御返事がありましたか。御記憶あれば伺いたいと思います。
  72. 森岡謹一郎

    森岡参考人 昨年の八月にその情報を伝えますとともに、指示を仰ぎました。回答としては、結局これに関するいろいろな資料を送れということだけでございまして、防衛庁のお考え等は私のところにお示しいただかなかったのでございます。
  73. 徳安實藏

    徳安委員 資料をお送りになりましてその後の御返事、あるいはまた折衝はどうでございましたか。ただ資料を送られただけで、それでもう何もなかったのですか。
  74. 森岡謹一郎

    森岡参考人 資料を送りましてからは、別に何もなかったのであります。
  75. 徳安實藏

    徳安委員 そうすると、十一月の十六日に辞任されますまで、本件に関しては、防衛庁で買い上げるとか何とかいう問題について、あるいは大蔵省なり防衛庁なり、あるいは部外の人からも何も話がないままに過ぎたのでございますか。
  76. 森岡謹一郎

    森岡参考人 その話を聞きましてから、一体どうなるのであるかということは、会議等の席では聞いたように思うのでありますけれども、別に防衛庁において研究中だったと思うのであります。従いまして、使う使わぬということがきまらないために、本省の方からも私の方に何らの御連絡がなかったものと思います。
  77. 徳安實藏

    徳安委員 ただいま申しましたように、この問題について多少疑惑があるように世間では伝えられておるのでありますが、大蔵省防衛庁以外の方から、局長時代この問題に対して何か話があった事実はございませんか。
  78. 森岡謹一郎

    森岡参考人 お答えいたします。「梨」に関する限り、私は、さき申しました平郡の人以外会った記憶はございません。
  79. 徳安實藏

    徳安委員 もし払い下げの目的変更の場合、あるいはまたこうした防衛庁で買い上げて軍艦にするというようなことが決定いたしましたら、引き続いて局長として在任であった場合は、どういう処置によってこの軍艦防衛庁の方に、あるいは今買っておる者から防衛庁に売らせるか、あるいは解約をして防衛庁の方に大蔵省から所管がえをするか、二つあると思いますが、その当時どういうようにお考になっておったと思いますか。
  80. 森岡謹一郎

    森岡参考人 お答えいたします。ただいまそういう事態に当面したらどうするかという御質問であったと思うのでありますが、あれをくず鉄にするとかあるいは漁巣にしますということは、使えないというような前提で考えておったわけでございますので、あれがいよいよ国で要るということになりますれば、これを処理しなければならぬわけであります。私ども常日ごろ考えておりますことは——結局国有財産によって特定の人が非常に不当な利益を得るということのないことをいつも考えておったわけでございまして、これを解決いたします方法といたしましては、契約を解除して一応大蔵省に取り戻して所管がえをいたしまするか、あるいはまた買受人から防衛庁に譲り渡すことを承認するという手も契約条項にあるわけでありますが、その価格ほんとうに合理的なものでありますならばさような方法をとれないこともないと思うのであります。いずれにいたしましても、それを防衛庁で使えるような態勢に持っていく、しかもその間に不当な利得者がないということ、話が円満に進むということ、そういう点を考えて本名の指示を仰いでやるということだろうと思います。
  81. 徳安實藏

    徳安委員 けっこうです。
  82. 上林與市郎

    上林委員長 それでは次に佐竹委員の発言を許します。
  83. 佐竹晴記

    ○佐竹(晴)委員 あなたが先ほどおっしゃっておった判こを押したというのはいつですか。
  84. 森岡謹一郎

    森岡参考人 延期の判こだと思いますけれども、昨年の十一月でございます。
  85. 佐竹晴記

    ○佐竹(晴)委員 売買契約書は六月二十一日になっておるようですが、そうではありませんか。
  86. 森岡謹一郎

    森岡参考人 売買契約を結ぶ前に決裁をいたしましたのはその前であるのでありまして、六月の十七、八日か、とにかくその近所であろうと思います。その決裁をいたしましてから、契約調印をいたすわけでございます。
  87. 佐竹晴記

    ○佐竹(晴)委員 それではお尋ねいたしますが、当時本件は、これは実は競争入札をするのが原則であるけれども、特に随意契約による払い下げをすることに内諾を与えたことはありませんか。
  88. 森岡謹一郎

    森岡参考人 それは昨年の一月ごろになりまして漁巣として随意契約をする、ただしスクラップが出るから適当な製鉄業者と共同でならやるという指示をしたわけでございます。
  89. 佐竹晴記

    ○佐竹(晴)委員 この物件のうちには、いわゆる富士製鉄の必要であるくず鉄のほかに、相当数の非鉄金属が含まれておることを御存じでありませんでしたか。
  90. 森岡謹一郎

    森岡参考人 非鉄金属ももちろん軍艦でありますのであることを承知いたしております。
  91. 佐竹晴記

    ○佐竹(晴)委員 くず鉄と非鉄との歩合は、一体どの程度のものと思われますか。
  92. 森岡謹一郎

    森岡参考人 お答えいたします。鉄類と非鉄金属との割合は私今覚えておりません。ただいろいろな資料等で、その決済をいたしますときには、非鉄が幾らあり、鉄類が幾らあるかということを見て決済をいたしたわけでございますが、ただいま割合は存じておりません。
  93. 佐竹晴記

    ○佐竹(晴)委員 くず鉄に比して非鉄もほとんどそれに近い程度の数量があることを御記憶ありませんか。
  94. 森岡謹一郎

    森岡参考人 その記憶はございません。
  95. 佐竹晴記

    ○佐竹(晴)委員 昭和二十九年の五月三十一日、すなわちあなたがいわゆる決済をいたします前に、本件の問題の中心であります三晃物産株式会社から富士製鉄株式会社広畑製作所あてに出しました書面によると、くず鉄は一千五百万円、非鉄は一千万円となっております。ほとんど同一程度のものではなかったかと思いますが、あなたの方においてもお調べがあっておるはずです。ほとんど同様程度のものではなかったですか。
  96. 森岡謹一郎

    森岡参考人 お答えいたします。書類を少し読みますればわかるのでありますけれども、あやふやなことになりますので御了承をいただきたいと思います。
  97. 佐竹晴記

    ○佐竹(晴)委員 ただいまお尋ねしましたのは、数量ではなくして価格なんでございます。大体本件は、くず鉄として冨士製鉄のほしいものとそれから漁巣としてほしいもの、この二つのために払い下げをしたというんです。しからば非鉄金属はその目的の範囲外であることは申し上るげまでもありません。富士製鉄も非鉄はほしくありません。さらに漁業組合においても、たとえばしんちゅうのように非鉄金属を漁巣にする目的はありません。ところがそのくず鉄を中心にして払い下げが行われておるが、あにはからんや、そのくず鉄とほとんど同様の価格のある非鉄のあることを眼中におくことなしに、くず鉄の処分同様にこれを処分なさったということは、これは一体どういうことなんです。二千万円もするところの価格のあるくず鉄と非鉄が含まれておるのにかかわらず、その半分くず鉄一千万円についてはこれを考慮においたが、あとの非鉄一千万円については眼中におくことなしにこれを払い下げするなどということは、国家の財産を管理いたします者として、これは善良なる管理者の注意をもってしておる行為であると認められましょうか。
  98. 森岡謹一郎

    森岡参考人 お答えいたします。今申しましたのは、比率が幾らであるか知らなかったということでありまして、実際に評価いたします際には、鉄が幾ら、しんちゅうが幾らという金属ごとに計算をいたしまして、それに時価をかけて出すものでありまして、非鉄金属の価格は、鉄並みにぶち込んでやったのだということではないのでありまして、その点も御了承いただきたいと思います。
  99. 佐竹晴記

    ○佐竹(晴)委員 あなたは価格の点を一切お隠しになりますが、それはあとで調べたらすぐわかる。さらにお尋ねをするのは、それならくず鉄と非鉄とがほとんど同一価格程度のものがあった、さように見るといたします。そこでくず鉄富士製鉄がほしい。それからそれ以外の物、非鉄は必要でない。漁業組合も、魚巣にするには、鉄よりももっと価格の高いしんちゅうはほしくない。そうすると、この非鉄は、払い下げを受ける以外の者に横流れするのは当然のことである。この横流れを想定いたしまする払い下げを、国家を代表するあなたが財務局長としてなさるべきであるかどうか、これを聞きたいのです。
  100. 森岡謹一郎

    森岡参考人 ただいまの御質問については、私どもも非常に心配しているところでございまして、さようなことのないようにいろいろと考えているわけでございます。このたびのごとき場合におきましては、冨士製鉄というような者を入れましたのは、さような点についても間違いのないようにやってもらうという気持で大メーカーを入れたようなわけであります。お話のございました非鉄については、さような事態が起きるのでありますが、これをほんとうに処理いたしますためには、国でやって仕訳をするとか、国でサルベージその他をやって解体をして売るとか、何か特別のことをやりませんと、現在のような方式でやりますと、その問題はついてくるかと思います。
  101. 佐竹晴記

    ○佐竹(晴)委員 払い下げを受ける申請者は富士製鉄であって、いま一つ相手方漁業組合でありますから、そこでそこへ三晃などというブローカーが入って、非鉄を処分するような仕組みが出てくる。それをあなたが黙認した。また黙認をしなければ、非鉄をほしくないところの富士製鉄漁業組合だけにどうして払い下げをいたしましょうか。非鉄のあることは知って、判をつくときには、あなたは調査をして計算をしたとおっしゃった。よく承知の上で、非鉄をほしくない人に払い下げをしている。だから中のブローカーが跳梁ばっこする。むしろこれはブローカーへ払い下げたものと見なければならぬ。国家の財産を預っておるあなたがそういうことをなさるから、ここに問題が起きてくる。あなたはこれについて何の責任もお感じになっておりませんか。
  102. 森岡謹一郎

    森岡参考人 お答えいたします。さようなことは、私どもも予見できないわけではないのでありまして、今のような場合に、さらに非鉄のメーカーを入れて三人でやるというようなことを考えることも方法かと思いますが、従来鉄を中心に沈船の処理をやっておりましたので、さようなことにいたしたのであります。今から御指摘をいただきますと、さようなことも考えなければならぬという感じも持つわけでございます。
  103. 細田綱吉

    ○細田委員 本件の駆逐艦「梨」に対しては、富士製鉄平郡漁業協同組合連名の払い下げの前に、昭和二十七年の七月一十八日付で漁業協同組合から払い下げ申請があったことを御記憶でございますか。
  104. 森岡謹一郎

    森岡参考人 払い下げ申請のありましたことは覚えております。
  105. 細田綱吉

    ○細田委員 そのときの払い下げ代金は一千百三十万円で五カ年の分納であったというが、それはその通りでございますか。
  106. 森岡謹一郎

    森岡参考人 はっきりは記憶をいたしておりませんけれども、当初申し出て参りましたときの価格は一千万円を越えておったと思います。
  107. 細田綱吉

    ○細田委員 そうすると、担保物件の請求なんかをされておるようですが、それにしても、かりに担保の不足を来たしたにしても、一千百三十万円の払い下げ申請に対して、どういうわけで単なる三百六十万円で払い下げになられたのか、その点を一つ
  108. 森岡謹一郎

    森岡参考人 お答えいたします。私ども国有財産を売りますときには、そのときの時価で売るということで考えておりますので、当初はまだくず鉄その他の価格が非常に高かったわけでございます。従ってさように価格差が出たのは時価の変動ということでございます。
  109. 細田綱吉

    ○細田委員 そこで一つ非常に疑問が起きるのですが、平郡漁業協同組合の担保物件でも、一千百万円に足りたか足りないかは別としましても、もっとある。未登記である。なぜもっと早く御処分にならなかったか。結局当時は特需関係からいってスクラップの方が下ってくるという見通しもあった。何かほかの力が動いて、もっとスクラップ代金が下る時期を待って、そうして一千百万円で売れたものをわざわざ三百六十万円のときにまで——もっとあったかもしれませんが、あなたたちが評価もできたという一つの言いわけのできるときまで延ばして、そうして三百六十万円で払い下げたというのが真相じゃないですか。ただ単に担保の物件の提供だけで三百六十万円になったというなら、これは平郡漁業協同組合の担保物件は、一千百万円に足りるか足りないかは別として、もっとある。そこに何かの力が動いて、そうしてやがてはこれはまた船に使えるのだ、駆逐艦に国家が買い入れてくれるのだという陰の力があったのじゃないですか、その点を一つ
  110. 森岡謹一郎

    森岡参考人 平郡において値下りを見越してずるずるしておった、あるいはまたわれわれもさようなことを見込みながらずるずるしておったというような事実はありません。ただ私どもは、魚巣にするということは前例のないことでありますので、非常に大事をとり、また実際問題として平郡の漁業組合でこれだけのものを持てるかどうかという点も非常に心配をいたしておりますので、買いに来たらすぐに売るということは容易にきめてなかったわけであります。またその間いろいろなところから延ばすような話といいますか、さようなことは一切ございません。
  111. 細田綱吉

    ○細田委員 それでは、あなたがわずか一年半ばかりの間に、一千百数十万円で売れるものを三百六十万円でしか処分できなかったということに対して、当時の財務局長として国に責任をお感じになりませんか。
  112. 森岡謹一郎

    森岡参考人 私どももできる限り高く売らなければならぬという考えを持ってやっておりますけれども、鉄の相場の動きの見通し等につきましては、なかなか考えた通りにはいかないわけであります。実際問題としてさような価格差ができたということについては、責任を感ぜざるを得ないと思います。ただしかし延びたがためにもしこれが使えるということになるならば、非常にいいことになったように考えるのでございます。
  113. 細田綱吉

    ○細田委員 あなたは延びたがために再び使えるよ、うになったとすればいい、こういうことですね。それだからあなたは問うに落ちず語るに落ちるのですよ。最初からこの「梨」の払い下げは、再び改装して国にもうけて売るという仕組みになっておって、あなたたちはそれに乗ったのでしょう。問うに落ちず語るに落ちるというのはそれなんです。これはスクラップが一番下ったというときでしょう。スクラップが一時にこれだけ下ったわけじゃない。じりじり下ったところをそのままおるならば——国のために少しでもよけい有利にさばこうとする者であるならば、かりにこれがあなたの私有財産としてごらんなさい、じりじりしてそのままこんなに下るまで待っておられないでしょう。あなたの、国が再び使えるようになると言うのは、問うに落ちず語るに落ちた。そのことが当時あなたの頭にあって払い下げたものではなかったか、これをもう一度お伺いします。
  114. 森岡謹一郎

    森岡参考人 お答えします。今さようなことを申したのでありますが、私は当時そういうことを考えておったわけじゃございません。そういうことであれば申し上げないのですけれども、今結果論をそんなことに申し上げて誤解をいただいたかと思うのでありますが、さようなことは一切ございませんので、御了承いただきたいと思います。
  115. 上林與市郎

    上林委員長 ちょっと御相談申し上げます。森岡参考人に対する申し出がございました質疑は一応終えましたけれども、ただいま吉田委員より、森岡参考人に対する質疑は終了しないで、暫時中止して、次に関係政府当局に対する質疑に入って、さらに必要に応じて森岡参考人に対する質疑を行いたいという申し出がございましたが、このように取り計らうことに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  116. 上林與市郎

    上林委員長 御異議なしと認めます。それでは森岡参考人には御苦労様でした。なお恐縮ですが、ここでお待ちを願います。  それではただいまより本件について関係政府当局に対する質疑に移ります。なお政府出席者の氏名を申し上げますると、防衛庁増原次上長、石原経理局長、久保装備局長、渡辺経理補紬部長、松崎技術部長であります。大蔵省側からは吉村主計官、柳沢司計課長、窪谷管財局長、なお会計検査院からは保岡検査第一局長が出席しております。質疑の通告がありますので順次これを許します。佐竹晴記君。
  117. 佐竹晴記

    ○佐竹(晴)委員 管財局長にお伺いいたします。あなたは現職の前に防衛庁にお勤めになっておられましたか。またその御職務はどういうことでございましたか。
  118. 窪谷直光

    窪谷政府委員 昭和二十五年に警察予備隊が創設されました際に、警察予備隊本部の経理局長として赴任をいたしました。その後警察予備隊が改組になりまして保安庁に相なりました。同庁の経理局長として引続き在任をいたしまして、二十八年の八月までその経理局長の職におりました。その後現在の管財局長に赴任をいたしております。
  119. 佐竹晴記

    ○佐竹(晴)委員 あなたの防衛庁に御在勤の当時において、「梨」の買い上げについて何かあなたが関与されたことがありますか。
  120. 窪谷直光

    窪谷政府委員 私は全然そういうことを耳にいたしたこともございません。従ってまた扱ったこともないのであります。
  121. 佐竹晴記

    ○佐竹(晴)委員 「梨」の払い下げについて、大蔵省平郡漁業組合富士鉄から陳情を受けたことがあるようでありますが、あなた御存じでございませんか。
  122. 窪谷直光

    窪谷政府委員 私が現職になりましてからは全然どこからも陳情を受けたことはないのでありますが、昭和二十六年のころに平郡の村長さんが見えまして、魚巣にいたしたいがという話しを担当の係の者にしていった模様でございます。
  123. 佐竹晴記

    ○佐竹(晴)委員 それについて何かあなたが関与せられたか、あるいはまたお聞き及びになったことがございますか。
  124. 窪谷直光

    窪谷政府委員 全然ございません。
  125. 佐竹晴記

    ○佐竹(晴)委員 北星船舶から何か陳情を受けたことがございませんか。
  126. 窪谷直光

    窪谷政府委員 この「梨」の問題が起りましたと申しますか、引き揚げをいたしましたあとで、いつでございましたか、二十九年の暮れのころだと思いますが、防衛庁の方で再使用を、できればそういうふうに措置をできないものだろうかというような話しを聞いたことがありますが、それ以前には全然北星船舶のだれにも、知己もございませんし、またこういう話しについて聞いたこともございません。
  127. 佐竹晴記

    ○佐竹(晴)委員 「梨」の払い下げについて国と富士製鉄及び平郡漁業組合の間に払い下げ契約書ができておりますが、これは御存じでございますか。
  128. 窪谷直光

    窪谷政府委員 これは「梨」の問題が起りましたあとで承知をいたしたのであります。
  129. 佐竹晴記

    ○佐竹(晴)委員 一昨日富士製鉄の広畑工場長がこの委員会に出まして陳述せられたところによりますと、契約はただいま申し上げまするごとく、国と富士及び平郡漁業協同組合との間に成立をいたしておりますが、実際は三晃物産から「梨」のくず鉄を必要に応じて買い入れているので、富士は一金も代金を納入しておらないのみならず、引き揚げの経費も支出しておらず、かつ引き揚げた物件、すなわち「梨」の管理さえもしていないということがわかりました。ただ形式的に所有権があると言っておるばかりであって、これはまさしく富士名義を貸したにすぎないことがよくわかるのであります。従来大蔵省といたしましては、このような方式の払い下げをお認めになっておられますか。
  130. 窪谷直光

    窪谷政府委員 くず鉄払い下げをいたします場合に、製造業者の代理店と申しますか、製造業者から委任を受けました者を契約相手方にいたすということは、従来やっておる例はあるのでございます。
  131. 佐竹晴記

    ○佐竹(晴)委員 委任を受けた者を本人として、当事者としてでございますか。あるいは代理人と表示してでございますか。
  132. 窪谷直光

    窪谷政府委員 もちろん本人の代理人として契約をいたすのでございます。
  133. 佐竹晴記

    ○佐竹(晴)委員 一昨年三晃物産の方の当委員会における陳述によりますと、軍艦伊勢、日向についても同様な方法で払い下げを受けて、三晃が八幡製鉄スクラップとして売ったと申しておるのでありますが、このことについてあなたは何か御存じではございませんか。
  134. 窪谷直光

    窪谷政府委員 そのことにつきまして私は承知をいたしておりません。
  135. 佐竹晴記

    ○佐竹(晴)委員 こういう代理人というものは、ほんとうの、いわゆる事務処理のための代理人である場合は、それは今の局上長のお認めの通り、そういう場合はあり得るでしょう。しかし「梨」の場合等については、明らかに三晃はブローカーなのです。そこで結局ブローカーを通じて八幡製鉄払い下げたということになりますので、もしそうだとすれば、この三晃というブローカーが得るところの利益だけは、払い下げ物件はそれだけ安くなったということになって、国に摸作を加えることになるのみならず、製鉄所には必要でないところの非鉄金属なんかは渡す必要がありませんから、結局そのほかへ横流しをすることになりまして、契約履行の途上においていろいろと問題が起りますのみならず、国家においてもこの契約を中心としていろいろ危険をかもすおそれがあるのでありますが、かようなブローカーを代理人として取り扱わせることを当局といたしましてはお認めになっておられますか。
  136. 窪谷直光

    窪谷政府委員 従来は、本人の正当な委任状がございまして、その資格が代理人でありますれば、その契約相手方として、契約の締結、それから納入物件の引き受けというようなことを代行いたすことを認めて参ったのであります。ここ数日来当委員会で御審議を願っております質疑応答の経過を通じまして感じましたことは、どうもこれは考え直すと申しますか、研究をしてみなければならぬ問題ではなかろうか。委任の場合に、そういうふうな広範な委任ではなくて、単純に事務の委任だけに限ってやらすべきものではなかろうかというふうな感想を今持っておりますが、これにつきましてはさらに研究をいたしたいというふうに考えております。
  137. 佐竹晴記

    ○佐竹(晴)委員 ただいま局長の仰せになる通り、今度の「梨」の払い下げについては、払い下げ申請から、契約から、代金納入から、物件引き取りに至るまで、これを三晃に委任をいたしております。しこうして復委任を禁じておるのにかかわりませず、三晃は北星船舶にさらに復委任をいたしております。しこうして契約当時者は一切代金を納入いたしておりません。そうして北星がその姉妹会社でありまするところの新生産業と共同でこれを引き揚げまして、魚巣スクラップにすることにして、そうしてこれを防衛庁に売り込もうとしておるのであります。この間北星は呉造船に「梨」の保全修理を委託いたしまして、その債務を支払わないために呉造船はこの艦に対しまして留置権を主張しておるようでございます。一体これをどう処理なされたらいいとお考えでありますか。
  138. 窪谷直光

    窪谷政府委員 仰せになりましたように非常に複雑な事態に相なりまして、私どもこういうふうな事態になりましたことに対しまして、全く責任を痛感いたしておるのでありまするが、それはそれといたしましても、善後措置を公正妥当につけなければならぬということを考えておるのでありますが、それにはまず一応契約を解約いたしまして、とにかく物件を国のものに取り戻すということが何としても先決であろうということ、さらに引き揚げの費用につきましては、だれが引き揚げましてもやはり引き揚げの費用はかかるのであります。もちろん査定は適当にいたさなければならぬと存じますが、その査定をした適正な引き揚げの費用を補償する。それからまた呉造船の問題でございますが、実はこういうふうな複雑な事態に相なっておるということも御審議を通じまして明らかになったのであります。そのあたりにつきまして私どもが至らない点、これまた私ども痛感をいたしておりますが、呉造船の人の話によりまずと、善意の管理者として処理をしておるということに相なるようでありますので、これはどらも事務管理ということになろうかと思うのであります。事務管理の費用につきましては民法の事務管理の規定を見ますと、償還請求権があるようでございまして、それらについてもやはり必要の費用及び改良を加えましたものにつきましてはその適正な有益費というものを補償をいたしまして解決をしなければならぬのではなかろうかと思うのでありますが、ただこれも当委員会におきます御審議の結果を待ちまして、なおかつ非常に複雑な法律関係に相なっておりますので、政府部内の他の関係を担当いたしておりますところとも十分な打ち合せをした上で、誤まりない措置をいたきなければならないというふうに考えておる次第でございます。
  139. 佐竹晴記

    ○佐竹(晴)委員 まず契約を解除し、国が取り戻す、それから引き揚げの費用についてはサルベージの方にも支払ら、呉造船に対しては事務管理の民法の規定に基く償還請求権を認める、こらいったことでございますならば、あなたはきわめて複雑な関係にあるとおっしゃいますが、それだったら複雑な関係でなしに、法律しきわめてさらさらと解決ができるのであります。ところがこの委員会で問題になったのは、それではなしに、背後にあるところの政治家あるいはブローカーがこれと関係のあるところの方々とともにこの問題を複雑にいたしておるのではないかと思うのであります。当委員会においてこれを取り上げたゆえんのものは、早く契約をすっかり解除して国へ取り戻すなら取り戻す、そうして実費を支払うべきものは払って、そうしてさっぱりした姿に返すというのでありましたならば、すぐに取り戻してすっきりした姿にすることを希望してのことであって、これにかかっておるところのいろいろな問題を払ってしまえば問題はないと思うのであります。この方向に当局が意を向けられておりますことについては、私どもまことにけっこうであると存じます。少くともさようにやることによって、今日に至りますまでいろいろと策謀しておったところの手合いがあったといたしますならば、これを一掃することによってのみでも半委員会の目的は達せられると存じます。従ってこのことについては、すべてに公正なる、そうして明朗なる処理を私は希望してやみません。  次に、私はこの際さらに承わっておきたいことは、先ほど中国の財務局長に尋ねていたのでありますが、こういう払い下げ関係について、たとえば「梨」についてもくず鉄が一千万円、非鉄が一千万円、これは三晃物産から富士製鉄へ出した依頼の手紙の中にあるものであります。当時のお調べもそれ以前にやっているはずであります。これが先ほどの中国の財務局長が決裁をして判をつきます以前にすでにこの文章が出されておる。そうしてくず鉄はどれだけあって、非鉄はどれだけあるということはすっかり明らかである。しこうして財務当局にもわかっておるのです。わかっておるのにかかわらず、非鉄関係は一切眼中に置いたか置かぬか、あるいはそれが横流れをすることを考えたのか考えぬのかわかりませんが、くず鉄のみを中心としてやりましたために、非鉄というものは横流れをせざるを得ない状態のもとに払い下げをする、こういったようなことはとうてい適正な事務管理の方法であるとは考えられません。管財局長といたしましても、将来こういった払い下げをお認めになるか、また将来これに対してどういうお考えをお持ちになるか、この際承わっておきたいと存じます。
  140. 窪谷直光

    窪谷政府委員 佐竹先生のおっしゃいますことまことにごもっともと存じます。できるだけそういうふうなくず物につきましては、鉄と非鉄金属との区分をつけて、それぞれの用途に流れるように処理をすべきものだと考えます。ただ何さま小人数の職員でやっておりますので、非常にこまかい区分まではいたしかねるかとも思いますが、この大体と申しますか、その大綱につきましては、今御開陳がございましたような線で将来研究をいたしまして、できるだけそういうことが実際に行われるように努力をいたして参りたいと思います。
  141. 佐竹晴記

    ○佐竹(晴)委員 先ほど契約を解除して取り戻して実費を支払う、さらに事務管理の費用も償還請求をするなどによってすっきりした方がいいとおっしゃっておられる。今日のお気持はまことにけっこうだと思われる。しかし今日に至るまですでに四回にわたって延期をせられておる。まことにこういったところにも不明朗があると思います。すみやかにこの際一つ当局といたしましては善処せられんことを要望いたします。  と同時に、いま一つ申し上げなければなりませんことは、今日まで軍艦払い下げについては、日向、伊勢、榛名、出雲、天城、青葉なぞ、これがやはり払い下げになっておるようであります。これについてもおのおのその用途に応じて、くず鉄くず鉄、非鉄は非鉄というような区分をして適当にやるべきであると思うが、これについては一体今までどういう方策をとっていたであろうか。また先ほど問題になっております代理人の点についても、ブローカーを跳梁ばっこせしむるような方法において、これらの軍艦払い下げをさしていたのではないかと思うのでありますが、これら過去においてなされた幾多の軍艦払い下げについての実情はいかがでございましょう。
  142. 窪谷直光

    窪谷政府委員 これは、具体的な今あげられました軍艦につきましては、ちょっと調査をいたしてみませんと、今承知をいたしておらないのでございますが、大体沈みました状況が非常にはっきりいたしておりますようなものにつきましては、原則としては競争入札でやるべきものでございます。それ以外に、沈没の状況等から、どこに沈んでおるかなかなかわからないというふうな状態でありますものとか、さらに沈没場所はおよそ見当はつくけれども、その状態がどうなっておるかよくわからないというようなものにつきましては、まず調査の許可を与えまして、その調査の報告をもちまして、その調査をいたしました者に随意契約で売り払いができるという道が開かれておるのでありますが、これらの具体的な船につきましてどういうふうであったか、あるいはまた仰せのような代理人が介在しておったかどうかというようなことにつきましては、ただいま承知をいたしておりませんので、調査をしてみたいと思います。
  143. 佐竹晴記

    ○佐竹(晴)委員 私はそれでけっこうですが、一言委員長に要求いたしておきます。ただいま私の申し上げました日向、伊勢、榛名、出雲、天城、青紫、伊一三三なぞ、旧軍艦契約書、代金納入の状況及びそのくず鉄、非鉄なぞに関する払い下げの際の調査内容等について、委員長より詳細の報告を各係に要求されることをお願いいたします。
  144. 上林與市郎

    上林委員長 了承いたしました。なお大蔵当局でもこれは出していただけますね。  次は山田委員の順でありますが、今生田委員から発言を求められておりますの、生田委員
  145. 生田宏一

    ○生田委員 防衛庁の方にちょっと承わっておきますが、旧軍艦「梨」について、防衛庁の方で、これを買いたいということを申し込んできた人たちに意思表示をされたことがありますか。
  146. 久保亀夫

    ○久保政府委員 ただいまの御質問は、「梨」を買ってもらいたいと申し出た者に対して意思表示をされたかという御質問に承わりますが、先般も申し上げましたように、当初私ども聞きましたのは、七月十八日の書面を持って参りますその直前であります。北星船舶から、初めてこういうことがあるがお取り上げ願えぬでしょうかということがございまして、そのときに私どもとしては、一体使いものになるのかどうかということを一応見てから判断するのが至当でなかろうかということで、八月の上旬にとりあえず調査に参ったわけであります。その以後その調査の結果の検討あるいは予算の見通し——御承知かと思いますが、十一月の後半に二十八年度の船舶の大部分の契約をいたしますので、その辺の見通しを立てつつ、内部での方針を検討いたしておったわけでありまして、北星船舶もしくはその代理人にいろいろ資料を求めた事実はございます。しかしそれではこれできめたということを、そういった関係にはっきりと意思表示したことばないかと思います。
  147. 山田長司

    山田委員 関連して。久保装備局長に伺いたいのですが、私たちは決定される前に一度断わったという事実を耳にしているんですが、そういうことはあったかないか。最初にそれを伺います。
  148. 久保亀夫

    ○久保政府委員 ただいま申し上げましたように、そういった申し出がありまして、いろいろな角度から私ども検討いたしまして、——もちろん簡単にきまる問題ではありませんで、予算の面あるいは技術的内容その他の検討を続けておって、十二月あるいは一月ごろにだんだんその考え方が固まっていった、こういう経過でありまして、それまでに一たん買わないときめたようなことはなかったのであります。
  149. 生田宏一

    ○生田委員 防衛庁の方で「梨」について数字をあげられてわれわれの方へ御説明がありましたが、二十九年度の繰り越し予算で三億八千万というのがあります。これは軍艦「梨」について三億八千万円というものを使いたいということなんですが、その三億八千万円の使途の内訳を御説明願えればけっこうだと思います。
  150. 石原周夫

    ○石原(周)政府委員 その点は、過般の委員会で一応の内訳を申し上げたのでございまするが、契約を解除いたすことになりますと、そこで三百五十四万円の金額が違って参りますが、三百五十四万円の金額を含めまして三千五百万円というものが引き揚げの費用の実費、残りの三億五千三百万円程度を改造の費用に充てたいということでございます。ただその際にも申し上げたかと思いまするが、これは計算をするときの基礎でございまして、この金額を必ず出すのだということではございませんので、この金額を目安にして具体的な原価計算をいたしまして、適正な価格を出したいというふうに思っております。
  151. 生田宏一

    ○生田委員 そうすると、軍艦「梨」を活用したいということば庁議できまったことでございますね。ところが一方では富士製鉄、それから平郡漁業組合、この二つの所有権者に対してはまだ大蔵省との間で所有権の移転も何もその後具体的な話が済んでいないですから、そうしますと何か防衛庁の方ではいろいろな事情はあるであろうが、何か含みを持ってこの旧軍艦「梨」の処理に当っておるのであって、どうも手続の上ではあまりはっきりした順序がついておらぬように思うのでございますが、その点はどうでございますか。
  152. 増原恵吉

    ○増原政府委員 資料を差し上げましたように、申請が出ましたのは七月の終りごろでありまして、一応調査をしてみようかということで調査に人をやりました。その結果これは相当の改造をするならば使えそうだという程度のことがわかりました。それでなお詳細調査をする必要はもちろんあるわけでありますが、一応使えそうだという前提で、しからば金のやり繰りその他をできるかどうか。やり繰りをこちらで考えまして、大蔵省の了承をまた得られることができるかどうか。そしてその平郡漁業組合富士製鉄、それから申請を出しましたのは北星船舶、そういうようなところの状態が何といいますか、一目瞭然ということでないような点を財務局と、これはだんだん年末くらいになりましてからですがいろいろ話しをして、そうして一応予算のやり繰りは年が明けましてから大体できるということで、さらに改造の具体的な問題をどういうふうにすればいいかということの調査をその後いたしました。そうしてこれは入手をしたいということにしたわけでございます。その経過が続いて参りまして、現在は当委員会でもいろいろ御審議をいただいておりまするので、直ちに処理を急ぐということを差し控えておるということであります。
  153. 生田宏一

    ○生田委員 防衛庁の方ではそのようにちゃんと予算の手当をした、こう言われるのですが、そうすると大蔵省の官財局の方であの「梨」の物体の所有権についてはどちらかに処分をしなければ、かりに今のまま置いてあなたの方で買いたいと言ってみたところで、今の状態で買えるわけではないし、払い下げの取消しの処分を行うとか、そういうような手続きをせずにこの問題をやってきたというところに、われわれにしても非常にすっきりしないところがある。こういう感じになるのです。その方針をまず政府の方で明らかにせずして、こんなものを議論したって何もならぬと思うのです。その辺に対する御処置はどうされるのか。すでに二十九年度の繰り越しとしてわれわれは既決事項として決議をしてあるのですから、それがあんまりはっきりとした処分権の基礎というものができていないままにそういう予算が議決されておるということは、はなはだわれわれとしても了得しかねるところなんです。その辺はどういうようにお考えですか。
  154. 窪谷直光

    窪谷政府委員 御発言ごもっともに存じます。私どももできるだけ早く処理をいたしたいということで調査をいたして参ったのであります。払い下げをいたしました当時ば、先ほど中国の財務局長が御報告申し上げましたように、船として再生できるということは全然考えていなかったのでございます。これは調査が十分に行き届いていなかったということについては責任を痛感いたしておりますが、その後防衛庁の方に船として使えぬだろうかという話を持ち込んでいるという話を聞いたのであります。もちろん防衛庁の方にも連絡をいたしますと同時に、中国の財務局の方にも資料その他の要求をいたしたのでありますが、いろいろ調べてみますと、どうも北星船舶というものが主役と申しますか、なぜ表面に出てやっているんだろうかという疑いを実は私どもは持ったわけでございます。この点先般来当委員会におきましても皆さん方いろいろ御疑問をお持ちになって質疑をされておるのでありますが、それで船の所有権というのは一体だれが持っておるのか。たとえばこれを国が再取得いたしますにいたしましても、だれを相手にして、またどういう手続でもってやるべきであるかということの調査は実はいたしておったのでございますが、何さま強制調査権を持っておるわけでもございませんので、どうも真相がなかなかつかめないということでいろいろやっておったのでありますが、とにかく法律上の問題としては所有権はやはり平郡漁業組合富士製鉄にある。しかしながら単純にこれだけを相手にして契約して、あとの処理をそのままにしておくということでは、あとに問題を残す危険もあるというようなところから、どういうふうにこれを処理したらいいかということで検討をいたしておったのであります。先ほどから徳安委員でございましたかお話しがございましたように、ここには二つの道があるわけです。一つ払い下げ契約によりますと、中国財務局等が事情やむを得ずと認めて承認をいたしますれば、用途変更と申しますか、それができるのであります。それが一つの道であります。それはもちろん用途変更を承認いたします場合にも、その用途変更の目的の公正なものであるかどうかということ、さらにそれによって不当な利得は得ないようにということはもちろん条件でございますけれども、そういう方法でいくべきか、それともまた一応とにかく契約を解約して、とにかく物件を国に取り戻すということの方が適当であるかというようなことについて実は検討いたしておったのであります。それらの決断と申しますか、というものがおくれて参りましたことは、はなはだ私とも事務のやり方として反省をいたしておるのでありますが、幸いにと申しますか、当委員会において御審議を願うことに相なりましたので、だんだん事態がはっきりいたして参りました。どうもまだ私ども皆様方がお持ちになっておったような疑いというものは、必ずしもそうはっきりしておるということでもございませんけれども、この際の処置としてはやはり今の考え方として先ほど佐竹委員に申し上げましたように、とにかく契約を解約するという方向、これが一番すっきりした、また疑惑を残さない方法ではないかということで、実は考えておるのでございますが、せっかく御審議を賜わっておりますので、この委員会の審議の結果を待ちまして、なお政府部内で法律関係のところとも十分の協議をいたしまして、誤りなきを期したいというふうに考えておる次第であります。
  155. 生田宏一

    ○生田委員 お話しを聞いておりますと、この問題は所有権がはっきりしていない。だれが本件の主役であるかということがはっきりしないので困っておる。それは防衛庁の方でもそういうような御意見ですし、あなたの方でもそういう御意見です。そうすると防衛庁と管財局との間にすでにこの点については何回も御相談があったものと思うのです。御相談がなくて、この案件の処理の見通しがなくて、二十九年度の予算の繰り越し予算として三億八千万円使おうという決意には防衛庁としてもなれないだろうと思うのですが、聞いてみると両方とも心配しておった、よく事情はわかっておったのであるが、どうしようかということはちっとも決定しないままに二十九年度の繰り越し予算として三億八千万円使おうということだけが予算の上に現われてきて、すでに議決事項になっておる。こういうことは私は考えられないことなのであって、防衛庁大蔵省との間に話し合いがあって、お互いにこれはまだ未解決の事項として、懸案中のものであったか、あるいはまあしかし何とかなりましょうからやっておきましょうということでやられたのか、これはまたどちらに属するものか、その辺のことを私は承わっておきたいと思うのです。
  156. 窪谷直光

    窪谷政府委員 予算の関係は私の局の所掌ではございませんが、私のところの局といたしましても、防衛庁の方の技術的な調査が進みまして、船として再生できるというふうな考え方が明確になりますと同時に、それは国で再取得をいたしまして、船として再生することが適当だということは、私どもも考えておったわけであります。ただそれを取り戻す方法と申しますか、相手方に不当な利得を与えずして取り戻すにはどうしたらいいかということについて、疑念を持ちましたと申しますか、慎重に検討をしなければならないということから、日がおくれて参ったような次第でございます。従いまして、防衛庁の方でこれを船として再生するということにつきましては、私どもも適当なことであるというふうに考えておりました。この点は非常に両者の間に意見の相違もなかったのであります。ただこれを取り戻す手続と申しますか、誤りなきを期したいというようなことから、こういうようにおくれて参った次第であります。この点まことに申しわけなく存じている次第でございます。
  157. 生田宏一

    ○生田委員 防衛庁の方にお尋ねをいたします。今の管財局長お話ですが、国の方がもう一度あの物件を適当に、関係のあったものに損害を与えないように、その程度で取り戻して、防衛庁の方が管財局の方から譲ってもらう、こういうような方向でしばしば御相談があったのでございますか。
  158. 増原恵吉

    ○増原政府委員 これはただいま管財局長から申された通りでありまして、私どもの方では、ことしに入りましてからでありますが、技術的な調査をしました上で、大体改造に三億五千万円程度、これはさらに、先ほど経理局長が申しましたように、原価計算をいたしまして締め上げるつもりでありますけれども、その程度の見積りをつければ、これはりっぱに使えるという見通しをつけまして、その方に三億五千万円を繰越金として繰り越す分のうちから融通ができるという見通しをつけ、別に現在浮き上っておるものを取得するのには大体三千四、五百万——引き揚げの実費及び三百五十四万円という払い下げ代金を含めまして、これもなお精細に締め上げることをするわけでありますが、大体そういう見積りをつけまして、これを取得するということをきめたわけであります。現在浮き上っておるものを取得する手続につきましては、初めすらっと考えたところは、私どもは金としてはそういうきちっとした締め上げで出すつもりでありまして、あのものを四億で買うとかなんとかいうことは夢にも考えたことはない。そういうきちっとした金額で買うことにして、初め一応すらっと考えましたのは、いわゆる用途変更の形で、魚巣及びスクラップとしてやるというものを、用途変更を財務局の方でしてもらって、こちらの方へ譲り受けるということを初めは一応すらっと考えたのでありますが、だんだん相談をして研究をしているうちに、解約をしてやるという方が筋がさらに通っていないかという問題が出まして、この方は実は私どもではとやかく言う筋はありませんので、管財局の方の御判断に待つという態度で、私どもとしては適正な値段で現在浮いておるものを入手し、適正な値段で改造をするということをしたい、こういうふうに考えておったわけでございます。
  159. 生田宏一

    ○生田委員 御意見はよくわかりましたが、そういうようにかなり筋道の立った御意見があるにかかわらず、昨年の暮れごろから問題になった、ものを、今までちっとも物事の解決が進まずにやってきたというところに、お役所の方の手落ちが確かにあると私は思う。ことに三億八千万という改装費あるいは買上費というものが予算として国会の承認を得る手続をとった以上は、こういうような予算の基礎になるべき措置についてやっておかなければならぬはずなのに、今もって、そうしたいと思っているとか、そうした方がいいのではないかというような御意見だけであって、こうしたい、こうするのだというような片鱗さえも見えない、こういう態度で予算をお出しになり、こういう案件を処理されるということになれば、これはやはりある程度の疑惑を受けることはやむを得ぬと思う。私はすみやかにこの問題は役所が処理の方針、意見を立てるべきだと思う。そうしないと、われわれにいたしましても、おかしいじゃないかということになります。私はこの点についてはどうしても納得のできないものがある。はっきりと所有権者というものはわかっているし、本件関係人というものもそうたくさんあるわけじゃない、北星船舶というものだけしかないのですから、富士製鉄平郡漁業組合北星船舶、この三者を寄せてそれで解決すればすぐ解決し得ることを、どうして今まで解決しないのだろうか、そこに一切の問題があると思う。必要以上の無用な議論をしてみたり、無用の疑惑をこうむったり、どうしてこれだけの措置が役所にできないのか、私は簡単なことだろうと思う。また参考人の話を聞いてみれば、参考人の方でも、損失を受けないような適正な値段で買っていただくことはけっこうだ——あるいはこの席に呼ばれたからそう言っているのかもしれませんが、しかし大蔵省の方で用途変更ではだめだ、これを一たん払い下げを取り消し、そうしてもう一度国の所有としてこれを利用する、こういうことに方針がきまるならきまるで、役所の方できめれば何でもないことです。どうしてこれができないのだろう、私はそこに疑問を持っている。お役所がこれをすみやかに処置をしないならば、依然として疑問は解消せざるもの、こういうのが私の意見であります。一言御参考までに申し上げておきます。
  160. 山田長司

    山田委員 船を買い上げたのは、富士製鉄漁業組合が買い上げたわけですが、それについて交渉を防衛庁の方にしていったのは新生産業だと思うのですが、それについて防衛庁ではどんな交渉を最初したのか、そのてんまつを増原次長に伺いたいと思う。
  161. 増原恵吉

    ○増原政府委員 参考資料を差し上げましたように、初め防衛庁申請書を出して参りましたのは、北星船舶工業株式会社代表であります。  なおてんまつにつきましては、他の説明員から申し上げます。
  162. 渡辺信義

    ○渡辺説明員 概略を申し上げます。昭和二十九年の七月八日ころ、北星船舶工業株式会社の代表取締役の又場氏が、海上幕僚監部の技術部に出頭いたしまして、「梨」が船舶として使用できると思うから見てくれと、口頭で申し出がありました。そこで技術部では、書類がなければ問題にならないということで、又場氏はその言によりまして処置をとったと思われるのでございますが、七月二十一日に防衛庁ではこれに関連する文書を受け取っております。それはすでに委員会に提出された関係の文書であります。その後現場の調査をいたしまして、この調査報告についても、決算委員会にすでに出しておりますので、ここで説明を省きます。これらの報告に基いて、二十九年の八月十三日に海上幕僚監部といたしましては、部長会議を開催いたしまして、入手できものならば一隻でも造成したいという決議をいたしました。八月の二十六日になりまして、海上幕僚監部としては、これを予算化するには、いずれにしても見積りをしてみなければならないというので、私が委員長になりまして、その他関係の課長が三名、課員が三名で見積りの評価委員会を作ったのであります。そこで二十七日に又場氏を呼びまして、今までのいきさつを聞いた次第でございますが、そのときに初めて見積書を受け取りました。そこでその見積り総額は八千七百万何がしの金額になっております。その後技術的に、さらに現場の調査作業日誌等の状態を見ないと、見積りができないものですから、人を派遣して、八月の二十九日から九月の二日にわたってこれを調査いたしました。このときに中国財務局に出頭して、払い下げ実情について聴取いたしました。九月の十日ごろに、私どもとしてはおおむね見積りの内容を作ったわけでございますけれども、その後金額の折衝をいたしまして、なかなか両者の協議が整わないで年度末になっております。十二月の下旬ごろになりまして、こちらの要望する金額に応じられないならば、もう話を打ち切りましょう、ほしいことはほしいんだけれども、いずれにしても予算のワクの問題もございますし、もしこちらの要望する金額で応ずるならば、買うように話を進めますと、私は又場氏に申し伝えたのであります。そのときに本人はあきらめたというような感覚で、おまかせしますということになったわけであります。そこで、防衛庁としては予算的に購入可能の見通しがつきましたので、購入を実際に担当いたしておりますのは、防衛庁は調達実施本部という付属機関がやっておりますので、その関係の課長に、私は又場氏を紹介いたしました。そこで私の予算化するための見積りの状態は一切終了いたしたわけでございます。その後さらに再調査がございまして、設計資料等を得るために、一月の二十四日に、その必要を認める庁議が決定されまして、二月に関係者が出頭して、詳細な設計をすることになりました。これらの設計は非常に時期を要しまして、先ほどから御指摘があるように、非常におそいというのは、そういう方面にも原因がある。ほとんど裸になったような船をりっぱに仕上げるためには、相当の日時が要るということになっておる、その程度であります。
  163. 山田長司

    山田委員 北星船舶のものであるという認定をあなた方は下して、北星船舶と交渉したのですが、こういう重大な問題について交渉する場合に、払い下げたのが漁業組合であり、富士製鉄であるということは、いつ知ったのか。
  164. 増原恵吉

    ○増原政府委員 差し上げました資料にありますように、最初に出してきました買い上げ使用申請書というのに、平郡漁業組合の、これは北星船舶がその責任において実行する、防衛庁で買って使ってもらうことは北星船舶がその責任で実行をすることにいたしましたというのが付いており、富士の方からもそういうことは北星にまかしてあるという話がありまして、一応北星を相手にして今経理部長から申したような話し合いをした、こういうことになります。
  165. 山田長司

    山田委員 防衛庁の技術の関係者が呉造船所へ行って、はずされている部品その他を見て、何かこの機械類について手入れの方法を教えてきたようなことはないか。
  166. 松崎純生

    ○松崎説明員 そういうことはございません。
  167. 山田長司

    山田委員 大蔵省に承わるのですが、すべて沈没船の払い下げについては、大体富士製鉄八幡製鉄所に払い下げているようですが、その払い下げは大体三晃物産払い下げをしているようですけれども、一体払い下げ富士製鉄八幡製鉄にしていながら、三晃物産払い下げをするというのはちょっと理解できないものがあるのですが、これはどうしてもっと明確化して払い下げをすることができないのか。大蔵当局に伺います。
  168. 窪谷直光

    窪谷政府委員 これは富士その他八幡等が、くず鉄入手の方法として代行店を一般に使っておるのであります。その代行店が八幡富士代理人として契約をいたしておるということでありまして、従来は大体それで支障がなかろうというふうなことから、その契約様式を認めて参ったのでありますが、先ほど申し上げましたように、どらも委任の範囲が広過ぎはしないか。私は研究を要すべき問題があるように存じますので、これは早急に研究をいたしたい。そういう場合の委任の範囲はむしろほんとうの事務の代行の範囲にとどむべきが適当ではなかろうかと考えられますので、早急に研究をいたしてみたいと考えます。
  169. 山田長司

    山田委員 防衛庁は「梨」の買い上げについて予算的措置を大蔵当局としたと思うのですが、このてんまつを——実は主計局長が来るようにさっきから要求しているのですが、主計局長が来ないので因る点もあるのですが、どんな交渉をされたのか。
  170. 石原周夫

    ○石原(周)政府委員 予算上の折衝といたしましては、先ほど説明を申し上げましたように、大体二十八年度建造計画と申しますか、それの発注が大体済みまして、年度の予算実行の計画の見当もついたというところで、大体十二月中に見当をつけたのであります。それに基いて一月中に内局の方の会計課長から大蔵省の主計局に相談をいたしまして、大体御了承を得たわけであります。二十九年度の予算の実行をもって「梨」を購入することについて御了承を得た次第でございます。その後年度の末に至りまして、この予算が繰り越しになることになりましたので、五月四日付をもって大蔵省の繰り越し承認をもらったのであります。
  171. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 まず最初に伺いたいんですが、管財局長本件沈船「梨」の売買につきまして、要するに魚巣を目的とする場合は、これは特殊な用途でありまするから、漁業組合対象といたしまして相手が固定することはこれはやむを得ないのであります。ところがスクラップということになりましたら、全国に大きなスクラップ業者のくず鉄を必要とする鉄業者はまだたくさんあるわけでございます。これを少くともスクラップの分について随意契約にしたということは適切でないと思うのですが、この点どう思いますか。
  172. 窪谷直光

    窪谷政府委員 一般にくず鉄を処分いたします場合に、できる限り競争契約によるべきことはもちろんでございますが、この場合におきましては片方が魚巣になる、しかもその範囲が具体的に明確化しない、大体二百五十トンと七百トン程度に区分されるであろうということは大体の目安はついておるのでありまするが、具体的にどうもはっきり——これは揚げてみて切断をしなければはっきりしないというふうなことから、もちろんそういうことで残りの方を競争入札に付するということも不可能ではないと思います。しかしながら技術的に非常に困難性があったのと、それからたまたまそういうふうな状態で一緒に買い受けようという申し出が富士以外にはなかった。また漁業組合の方ではできるだけ早く魚巣にしてもらいたいというようなことの事情がございまして、富士の方と随意契約をいたしたというふうな次第でございます。
  173. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 買い手がなかったと言いながらも、聞けばわずか七百トンくらいのくず鉄のことでありますから、全国の鉄業者は求めればあるいは買い手があったかもわかりません。それは一歩譲りまして、富士を指定いたしまして随意契約をした場合に、これは予算、決算及び会計法の百条によりますると、「随意契約によろうとするときは、なるべく二人以上から見積書を徴さなければならない。」ということになっております。これもやはり慣例によりましてそういったことが省略されるという法律無視の行為が多いのかも存じませんけれども、やはり国の重要な財産の処分でありまするから、そういうような手続をしても多くの日数、経費がかかる問題でないのでありまするが、そういうことをやった形跡がないのでありまするが、こういった点についてどうお考えになっておりますか。
  174. 窪谷直光

    窪谷政府委員 これは随意契約をいたします場合にも、やはりほかの者から予定の見積りをとるべきだと考えております。「梨」の具体的な件につきましてとっておりますかどうか、ちょっと私今承知をいたしておりません。
  175. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうすると財務局長がおられると思いまするから、そういう事実があったかなかったか、なぜとられなかったか。
  176. 森岡謹一郎

    森岡参考人 お答えいたします。当時はその見積りをとらなかったかと思います。
  177. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 なぜとらなかったのですか。
  178. 森岡謹一郎

    森岡参考人 数量もくず鉄として製鉄原料に使いますものはきわめて少いわけでありますからとらなかったわけでございます。
  179. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 どうもあなたはやはりなるべく自分で有利なような答弁をなさろうというような傾向が顕著に見える、今はもうあなたは公務員じゃありませんけれども、やはり公務員の態度としてはよくないと思います。現にあなたのやった売買行為につきまして、あなたの上役であった大蔵省管財局長は、事態が今日のようになっておることはまことに遺憾であるという遺憾の表明もしておる、あなたはやはり依然としてそういう責任を感じた言葉は片鱗も言われない。もっぱら自己に有利なような弁解に終始する、実に私は日本の公務員として悪い一つの現われだと思うのです。価額が低かったからとらなかった、七百トンだからとらなかった、何もこの百条には価額が低い場合とか七百トンとかそんなことは何も書いてありません。現に先ほども申しました会計法の九十六条によりますと、大体特殊な場合、契約の性質または目的が競争を許さない場合以外は随意契約ができないはずであります。こういうのは例外でありますので、七百トンを小さしとしないで処分手続をする、価額の見積りもさしてみる、こういうような丁重な手続をとるべきだと私は思うのであります。ところが金額が少い、価額が少い、省略してしまった、もう相済みだというただいまの御答弁は、まことに私は納得しかねまするが、これ以上は申しません。  そこで管財局長にさらに伺いますが、一体こういうことでよいのでしょうか、あなたの方も今後どこに沈船があるのか存じません。またどこにどんな大きな国有財産があって処分されないとも限らぬ、その他の旧軍用財産についての現況等については資料をとっておる、こういうようなことは将来幾多の事例もあると思うのですが、こういうような法令を無視するということを原則的に行なってよいだろうか、やはりでき得る限り丁重に履行するということがよいんじゃないかと、われわれは考えるのですが、御所見いかがでしょうか。
  180. 窪谷直光

    窪谷政府委員 まことにごもっともでございまして、私どももそういうようにもちろん努めておるつもりでございますが、こういうふうな事例が出て参りますことはまことに遺憾に存じますが、将来ともに戒心をいたしまして、さらに努力をいたしたいと思います。
  181. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 防衛庁の次長に伺いますが、あなたの方へ売り込む、という言葉がきたなければ、買い上げていただきたいという申し出があったようでありまするが、こういった場合には、事の処理はまず大蔵省の予算関係というよりも国有財産を処理する管財局関係と種々御協議になるというのが私は行政を推進する建前ではないかとも考えるのですが、そういうことをした形跡はないのですが、これはどういうわけですか。
  182. 増原恵吉

    ○増原政府委員 沈船引き揚げてみたら船として使えそうだから使うように考えてくれないかという申請が出ましたことは、資料をもって差し上げてある通りであります。その場合に、これが使えるものかどうか、一応見ましてから相談をするということがよかろうということで、最初のときにはまず見に行ったということでございますが、その後一応これは使えそうだということになりましてからは、相談をいたしまして、最初にはとりあえず見に行って使いものになるかどうかを見た、こういうことでございます。
  183. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうじゃないのです。あなたの出している資料によれば、昨年七月十八日付で北星船舶があなたの方へ買っていただきたいと申請書を出しておるのです。当時はまだ船が揚っておらぬ、作業の最中なんです。八月六、七日ごろにあなたの方は海上の幕僚の技術官等を現地に派遣をして調査をしておる、そうして詳細な調査の報告書が出ておる、その報告書によれば機関のごときは完全であって何らの棄損もない、こういうようなりっぱな報告書が出ておるのです。しかしまだ大蔵省は知らないのですよ。大蔵省が知ったのは九月十三日付ですよ。九月十三日になって初めてあなたの方に照会状を出している、そしてあなたの方はそれに対して答えているのです。何も大蔵省管財局へそのようなことを通知して、協議した事実はないのです。そんな間違った答弁をこの委員会でしてもらっては困るのです。どうなんです。間違っているなら取り消しなさい。
  184. 増原恵吉

    ○増原政府委員 申請の出ましたのは仰せの通り七月十八日の日でございます。そして参りましたのは、今おっしゃいましたように八月になりましてから調べに行きましてこの報告書が出ておる、こういうことでございます。
  185. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 私の伺っているのはそうじゃないんです。あなたは、引き揚げてよいので、それで調べに行った、そうして大蔵省へはその旨を知らせた、こういうふうなお話でございましたが、事の経過はそうじゃありません。事の経過は、引き揚げの最中に、あなたの方へすでに買ってもらいたいという申入書があったのです。これは北星の社長などの話を聞いてもその通りです。そしてただちに八月の上旬に調査をしておる。そうしてただちに詳細な報告書があなたのお手元に出されておるのであります。その報告書によれば、機関部のごときは完全だという報告書なんです。ところがそのような交渉があるにかかわらず、大蔵省管財局は全然知ないのです。九月に入りまして、九月の中旬になりましてから知って、文書であなたの方へ照会しているのです。そういう経過になっているのです。そこで私が聞くのは、こういうものは引き揚げの途中において軍艦として使ってほしいというような申し入れがあれば、これはやはり国の財産の処分として管財局にまず御協議するのが建前じゃありませんかということを聞いておるのです。そして買受人ではない者が出入りして売り込みにきておるのです。こういうようなことに対しましても、一応は疑惑を持って行政は処理されるのが建前だろう、こういうふうに思いますので、第一に大蔵省管財局と御協議になってしかるべきでないかと思うのですが、その方はほったらかしなんです。その方はほとんど無視されて今日まできておるんです。こういうことは私は、このことの経過にかんがみまして、やはり政府内部におきましても横の連絡の関係のとり方が間違っている、そういうことも思いましてあなたに伺ったんです。なぜ管財局と十分に御協議になってしなかったか。そうしたならば私は事の筋が通るような道がもっと早く発見されてきただろうと思うのです。それはどういうわけです。
  186. 渡辺信義

    ○渡辺説明員 十月に入りまして私が管財局に出頭いたしまして、適当な値段で買えるなら買いたいと思っているということを申し伝えております。
  187. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 十月といったらもうずっと後のことなんです。東京でいろいろ話しをしているのはずっと前のことです。数カ月後のことをあなたはおっしゃっておる。だから数カ月後にそういうふうに管財局とお話する前に、やはりこれは管財局とお話になって、買い主がだれであるかということを確認しなければならない。だんだん聞いておると、又場社長との間にあなたは買い入れ値段について折衝しておられる。おかしな話なんです。一体又場社長が所有者なんですか。又場社長が自分でサルベージの費用を出し、あるいはその他の経費を出しているかもしれません。委任状を持っているかもしれません。しかし委任状といっても成規のものは一つしかありません。これはごらんになったかもしれませんけれども富士のものはないのです。あなたは防衛庁の予算執行の問題としてお取り扱いになる場合に、売り主が自己の所有物でない物を、他人の物を処分するような場合に、その代理権限等について、委任状等について精査確認をして、しかる上これと話し合うというような、なぜそういう丁重な手続をとることをしなかったんだろう、こういうことをわれわれは不思議に思うんです。そういうところなんだ。富士製鉄に聞きましたら、三晃物産というスクラップのブローカーに委任状を渡したきりなんです。ほかにはどこも委任状を渡しておりません。こういう実情なんです。ところがその次の、何か委任状を受けたとかいう又場というサルベージ業者が、しきりにあなたの方に出入りしておる。それで代金の折衝をしておられる。値段が合うとか合わぬとか妙な話なんです。こんな者を相手に値段の折衝をすること自体が、私は官庁の予算執行の建前からいたしましておもしろくないと思います。そういうあり方が私は防衛庁のあり方だろうかと思う。それは実に納得しにくいことであります。十月になってから管財局に話をしたというのはおかしな話です。もっと早く管財局に行って、所有者がだれだ、だれに売ったんだ、どういう条件で売っておるんだということをきちっと調べた上で、筋を通して相手を見つけて、適当にあなたの行動をとるべきではなかったかと思う。どうしてそういうことをしなかったかというところにわれわれは非常なる不満を持っております。いかがでしょうか。
  188. 渡辺信義

    ○渡辺説明員 先ほども申し上げましたように、中国財務局には九月の初めに買いたい意思表示をしております。それから又場氏をなぜ相手にしたかという問題でございますが、これは先ほど次長からお話がありましたように、漁業組合の方からは委任状をとっておる、それから富士製鉄の方は、確実に話がきまり次第委任状はとりますというような状態でありましたし、いずれにしても買うという以前におけるところの目安というか、値段をつけるという問題をまずきめる必要がありますので、そこで今まで長い間折衝をしてきたわけであります。
  189. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 ちょっと次長に伺います。あなたはきょうは防衛庁の長官にかわって御出席になっておるものとして伺うのでありますが、一体防衛庁の予算の執行の場合に、重大なる物件の購入というような場合に、所有者がだれかわからぬような、ブローカーのような者を相手にして値段の折衝をするというようなことを一体おやりになっておるのか、そんなことをやっておるのが防衛庁なんだろうか。一体そういうようなことは、官庁の態度といたしましてはどうしても明るくないと思う。そんなことをなさると、いろいろな人が出入りいたします。そうしてその中には、あなたの方にいろいろ御迷惑をかける人も来るかもしれません。実にこれはよくないことだと思います。その辺は厳として、筋を通してされねばならぬと思う。相手を見きわめることなくして折衝をするというようなことは、私は規律上もおもしろくないと思う。あなたはきょうは長官の代理者として、防衛庁全体の予算の執行の責任者の意味におきまして伺いたいのです。そんなようなことでいいものでしょうか。
  190. 増原恵吉

    ○増原政府委員 仰せの点ごもっともに存じます。われわれの方でもだんだん研究をいたしまして、その後さらに慎重を要するということが実はわかりまして、長引いておるのであります。その点将来十分気をつけねばならぬと思いますが、当時は、ただいま申しましたように、実は買う話をする前に、その当時の、二十九年度の船舶建造費のやりくりでできるかどうかという目安をつけるための、資料を得るという意味合いの話をするということであったのであります。その点、仰せの通り将来は十分に注意してやりたいと思います。
  191. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 どうも私は、この委員会においてあなたのような態度は誠意がないと思うね。検査院の第一局長に伺います。私はこの予算処理の問題については聞きましたので、重ねてここで聞くつもりはないのであります。ただあなたに御意見を伺っておくのでありますが、事実関係は、二十八年度の船艦建造数は十六ぱいであり、その中には当「梨」は入っておらぬのであります。二十九年はもちろん入っておりません。七十五億円の繰り越しというのは、もちろん二十八年度の十六ぱいの建造費の現に建造中のものの残りであります。そこでこれをこれに充当せんとするのであります。そのような場合一万二千数百トンの軍艦「梨」の購入、これは練習艦として用いようとするものでありますが、このような重大な物件の購入が、二十八年度の予算目的でないもののために予算を使用するということは、財政法十二条の違反でないかというふうに私も指摘したのであります。この点につきまして検査院の明確な御所見を伺っておきたいのであります。
  192. 保岡豊

    ○保岡会計検査院説明員 その点につきましては検査第二局長が研究しておりますけれども、私といたしまして述べさしていただきますれば、項に掲げてあります予算目的に違反していないと私は思うのであります。しかし当、不当ということから申すとはなはだおもしろくないのじゃないか、予算としてはこういう大きなものは数をちゃんと示して予算を取るべきものでありまして、値段だけをきめてやるべきものではないのであります。それからまた建造ということは、新しい新式のものをやるという目的もちゃんとはっきりしておるならば、古物を買ってきてそれを改造するということは、予算目的には反するのじゃないかと思いますけれども、その項に掲げてあります意味だけにおきましては、どうもそこにおいて予算に反するという結論は出ないと私は思います。それは第二局長の方で十分研究しておりますから、その点については私として責任ある答弁は申し上げかねるのであります。
  193. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 大蔵省主計官が見えておるので、吉村主計官に伺います。今のように内容は十六ぱいの建造ということに確定をいたしておるのでありますが、これはやはり予算目的に反するということになるのではないのでしょうか。これは今後の例になります。もし購入をさらに強行するということがありましたならば、私はどこまでもこの点は追及をいたしまして、事の理非を明白にすることは国会の責任だろうと思っております。それでありますので、このように十六ぱいの建造費に入らぬということは、すでに防衛庁の長官が明らかに答弁されておるのであります。それでそれ以外の船を購入せんとするのでありますから、これはやはり目的外の使用になると思うのであります。一応この際あなたの御所見を伺っておきます。
  194. 吉村真一

    ○吉村説明員 お答え申し上げます。防衛庁におきまして各種の船舶を建造するために、国会の御審議を願いまして船舶建造費としまして計上しておるわけでございますが、御承知のように二十九年度の造船におきまして相当の船舶をアメリカからもらう予定だったのでございます。それが数におきましては相当もらったのでございますが、防衛庁の意図するような大きい船につきましては数量が非常に減りまして、防衛計画上支障があるということで、既定の船舶の建造につきまして若干の余裕を生じたものでありますから、これを使用して「梨」を購入して練習艦——練習艦とは申しますが、これは二十八年度の予算で作っております乙型の警備船程度の精能は持っておるものと思いますから、さしあたり練習艦には使用いたしますが、将来有事の際には警備船としても使用が可能である。こういう点におきまして、確かに予算の当初の積算には入っておらなかったのでありますが、全体の防衛力の一環としまして「梨」を購入しまして改装することは予算目的に違反しないではないか、こう考えております。
  195. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 次長に伺いますが、今も主計官の御答弁によると、やはり当初の積算に入っておらなかったということが明白になっておる。そこで私はあなたに念のために伺っておきたいのでありますが、予算の目的には合わぬということについて私もだんだん御意見を申し上げたのでありますが、その点についてあなたの方は依然として予算の目的に反しないという趣旨を維持して、これを購入せんとする、そういう態度を改めることをなさらないでいかれるのでありましょうか。それともその点は他の方法があるならば、他の方法をもって進んでいくことがよいとお思いになりましょうか。これは一つ念のために伺っておきます。
  196. 増原恵吉

    ○増原政府委員 最初の積算の際には入っておらなかったことは、ただいま主計官の方から申し上げた通りであります。私どもも了承いたしております。「梨」を購入をし、改造をしたいというのはこれまた主計官の言われましたように、二十九年度の米国よりの供与がこうしたいわゆる駆逐艦と申しますか、警備船甲、乙というところが著しく減りましたので、何とかこれをできるだけ埋めたいという考えで——幸いに若干の建造費の節約余裕ができましたので、大蔵省の承認を得て買うようにいたしたいと考えたのであります。ただいまのところ長官の決裁を得ております方針は、「梨」を買いまして改造したいということでございます。
  197. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 率直なところをおっしゃっていただきたいのです。こういうことはあったのですかなかったのですか。これは皆さんのためにも明らかにしておいた方がお互いにいいと思いますので、一つこれをも筋を通しておきたいと思うのであります。おととい新生産業の社長にここに出てもらいましていろいろと伺いましたところが、ある前国務大臣がいろいろと中間で御尽力になったということが言われておるのです。「梨」の購入につきましては一たんは買わない方針が庁議できまった。ところがさらにいろいろな政界有力者の懇請があって買うことに変更した、そういうようなことが伝えられるのであります。でありますので、あるかないかを一つはっきりお伺いいたしたい。これらのことについて何かそれに似寄ったようなことがあったかどうか。私はそれが必ずしも悪いというのではありません。もしこれが国のために利益なりという御判断のもとにそういうふうに助言をされた人があったならば、それはちっともかまわぬとこう思います。ただそうでなしに、さような買い方をすれば莫大な経費がいるけれども、懇請もだしがたく庁議変更ということになると、これは困ったことになります。そういうような不明朗なことばないと思いますけれども、何かそういったような、似たようなことでもあって、このような説があるのであろうか、こういうふうに思いまして、なおあなたにこれらの点について伺っておきたいと思います。
  198. 増原恵吉

    ○増原政府委員 経過は先ほど他の政府委員からも申しましたように、北星申請書が出てきましたのをきっかけにしまして見に参りまして、一応使えそうだということで、できれば買いたいという心持になったわけでありますが、しかし金が幾らでもあるわけじゃございませんし、また金のやりくりは二十九年度における繰り越しの建造計画が、契約をしましてその節約余裕があるかないかにかかっておったわけであります。そういうことをにらみながらこの問題が推移しておりましたので、庁議で買うという決定を去年度においてしたことはございません。従いまして、一度買わないとしてまた買うとした経過は全然ございません。従って、その間有力者からお話があってそういうことになったというようなことも全然ありません。
  199. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 庁議で決定した、決定しなかった、どうもその辺の結末の結論がはっきりしないのでありますが、しかし結局は「梨」を購入することにきまっておった、これは私が今から問い返すまでもないことであります。あなたの方の資料によって購入ということが明らかになっておりますし、各種委員会におきましてこの点は御説明になっておりますから、購入するということが御決定になったことは間違いないのでございましょう。
  200. 増原恵吉

    ○増原政府委員 言葉が足りませんでしたが、一ぺん購入と決定し、途中で購入をやめ、さらに購入を決定したということがないと申したのでございまして、日を明確に私記憶しておりませんが、ことしになりましてから庁議で購入決定をいたしております。
  201. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そこで、ちょっとその点くどくなりますけれども、なおあなたの方に、これは一つのあり方として、こういうことのやり方として伺っておかねばならぬのですが、やはり一番重要な利害関係——利害関係と言うのは語弊がありますが、重要な相手方として富士製鉄というものがあったが、富士製鉄に対しては全然話がなかったのです。これはやはり、後日、富士製鉄に対しては適当に承諾を得たり、委任状をとったりすることができるだろうという見込みであなたの方はやっておられたと思う。準備段階であったかのようなお話がさっきからだんだん出ておったと思うのでありますが、あなたの方といたしましては、やはりこの際は、富士製鉄に対しても相当連絡をして、相手の意向も確かめるというような手も打つべきであったとお考えになりませんでしたか。これは問題になりましてだいぶんになるので、だんだんあなたといたしましても、これに対していろいろな角度からさらに御研究もあって、過去の行為については検討もされたことと思いますが、富士製鉄というものは全然あなたの方でオミットして、ただ一本、又場だけを相手としてやっておるということになっておりますが、富士製鉄をなぜ相手にしなかったのかということについて、なおちょっと疑念がありますので、これも念のために聞いておきたい。
  202. 増原恵吉

    ○増原政府委員 私のところで考えておりまするのでは、今年に入りまして買おうという庁議を決定しましたというのは、適正な値段で買える場合、それで、一応予算は三億八千何がしというものを節約の方から充当しようということでありますが、その金額でさらに原価計算をして適正な値段で買える場合にはやろう、こういうことをきめたわけであります。そうしてこれに基いて今度契約する、まず浮いている「梨」を手に入れる。そこで財務局の方と具体的に話し合いをしてみますと、所有権者は平郡漁業協同組合なり富士製鉄であることは間違いないが、何と申しますか、相当実質的に関与している北星というものがある。あるいは資金を融通した新生というようなものもあるということになりまして、この契約をどうするかにつきましては財務局の方へ相談をし、いろいろお願いして今日に至っておるわけでありまして、さっきも申し上げましたように、最初は用途変更というようなことで、その三社といいますかあるいは三社になりますかから買うというふうなことも一応考えたこともありますが、法律関係として必ずしも適当でないかもわからぬ。すなわち、契約を一応解除して、国の物としてこれの移管を受けて、サルベージの費用なり何なり適正なる出費を補償とかその他の形で支払うことがよいというようなことで、これを管財の方でも研究をしていただいておって今日に及んでいるという実情でございます。
  203. 上林與市郎

    上林委員長 申し合せの時間が大体来ましたので、その点も考えてやって下さい。
  204. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 一つ管財局長に伺います。さきに佐竹君、徳安君などから結末の処理方針等に対する質疑があったわけであります。あなたになお私からも伺っておきたいと思いますが、これは現地の状況を見てみましても、事実の状態も、法律の関係も、各般にわたりまして非常に不安定ないし不確実な状態にあるわけであります。そういうことでありますので、もしあなたの方においてすみやかにこれを処理なさるということであるなら、私どももいろいろ扱いについて考えてみたいと思うのでありますが、なお晴れない部面もあるのであります。しかしそれはそれといたしまして、今日の段階においてああいう状態であるということは、見てきた者といたしまして心外にたえぬのであります。でありますので、あなたの方で適切に、かつすみやかにこれを処理するという御方針でもお立てになる御用意でもあり、またそういうような御決意でもあれば、私ども委員会におきましてもこの扱い方につきましてよく考えてみたいと思うのであります。そういう点についてあなたの方の御用意のほどを一ぺん伺ってみたいと思うのであります。
  205. 窪谷直光

    窪谷政府委員 現在の状態が法律関係並びに事実関係ともに不安定不確実で遷延を許さないということは私も同様に考えます。従いまして、できるだけすみやかに公正妥当なる処理をすべきものと考えるのでありますが、その方針といたしましては、先ほど佐竹先生その他に申し上げましたような方針で考えたらいかがであろうかということで考えておるのであります。なおこの点は、当委員会の御審議の結果を待ちまして、その方針をすみやかに確定をして処理するというふうな取り運びにいたしたいと考えております。
  206. 佐竹晴記

    ○佐竹(晴)委員 防衛庁の次長にお尋ねいたします。北星となぜ交渉したかという質問に対して、漁業組合具申書があったことと、富士製鉄の方から話があったことを先ほど述べておられますが、その通り間違いございませんか。
  207. 増原恵吉

    ○増原政府委員 これは資料を差し上げてありますところによりまして、漁業組合の方からの何といいますか、この「梨」の再使用を目的とするすべての行為に対しては、北星船舶工業株式会社の責任において実行されることといたしましたというのが一つついております。それから富士の方は口頭で了解を得ておるというふうに話を聞いております。
  208. 佐竹晴記

    ○佐竹(晴)委員 富士からは口頭で話があったと申しますが、いつごろ、だれからだれにそういう話がありましたか。
  209. 増原恵吉

    ○増原政府委員 口頭であったというのは、北星がそう申したということでございます。
  210. 佐竹晴記

    ○佐竹(晴)委員 それでは富士製鉄からは何らの話しがなかったと聞いていいですか。
  211. 増原恵吉

    ○増原政府委員 そのとき富士製鉄から何らの話しがなかったのです。
  212. 佐竹晴記

    ○佐竹(晴)委員 そのときというのはいつですか。またいつごろからいつごろまでのことを言うのですか。
  213. 増原恵吉

    ○増原政府委員 いわゆる北星から申請がありまして一応見に行こうというので見に行った、その時分をそのときと申したのであります。
  214. 佐竹晴記

    ○佐竹(晴)委員 その時分に北星から話しがあった。しかし富士製鉄の方からは何も話しがなかったんですね。
  215. 増原恵吉

    ○増原政府委員 さようでございます。
  216. 佐竹晴記

    ○佐竹(晴)委員 それならば漁業組合の方からは具申書が出た。りっぱにここに裏づけがあるとあなたはおっしゃられて、それを重要視いたしております。富士製鉄の方は、単に北星の方から話しがあったというだけで北星を信じ、委任者である富士製鉄の方からは何らの話しもなければ委任状の提示もないのに、中間のブローカーの話しだけを聞いて、それでよろしいと思われたわけですか。
  217. 増原恵吉

    ○増原政府委員 この点は先ほど吉田委員の御質問にもお答えをしましたが、十分慎重を尽さなかったうらみがあると存じます。そのときのこちらのつもりは、そこですぐ売買の話しを始めるということでなしに、一応見て使いものになるかならないかを調べてくるという心持であったわけでございます。
  218. 佐竹晴記

    ○佐竹(晴)委員 ブローカーの暗躍によっていろいろ工作が進められることを何らの警戒もなしにこれを受け入れることの当否が問題です。かりにそれを調べたならば客観的の価額がきまるのだ、そこで調査をしよう、これはいいといたしましても、それはあなた個人であったらそれでけっこうです。国費を費して調査をなさっているのでしょう。もしブローカーがやっていたが、富士製鉄本人はそんなことをまかしたことはない、私は存じませんと言ったときに、その調査に要した費用はどうなさるおつもりでしたか。
  219. 増原恵吉

    ○増原政府委員 その点は先ほども申し上げましたように、慎重を欠いたうらみがあるような気がいたします。ただそのとき北星の人から話しを聞きました係の者は、北星引き揚げのことを請け負ってやっておるという形のものであると認めまして、単なる口開きというようなことでないところで一応のこちらの調査をしてみようという心持を定めたということに相なった次第であります。
  220. 佐竹晴記

    ○佐竹(晴)委員 漁業組合からの話しについては漁業組合自身具申書によってこれを確かめて、本人の委任に基くものなりとして処理をなさったといわれるほど、それほど委任者の委任にあなたが注意をなさったことは当然であります。しかるに富士製鉄からは何らの委任状も示されることなしに、単に話しがあっただけだということを信じてこれをやった。しかしそれは途中における調査だからかまわないとおっしゃるけれども、ただいま申し上げますように、調査についても国費を要する。もしも結果いかんによっては、その調査に莫大な費用を投じたことが一切無になることも考えたならば、漁業組合からは具申書を示されたのに、富士製鉄よりは委任状をも示されることなしに、中間のブローカーの言のみを聞いて相当の経費をこれに投じて調査をなさるということは、単に私が軽率でありましたなどと言っただけでは済まされぬと思うのです。もしもこれが個人と個人との関係においては、それらの費用が損失をこうむったならば重大なる損害賠償が行われる。国費をもってやっておるから、これが一万人、二万人、十万人行っておってもそれが国費でもって済むんだということになりますけれども、もし長官にしろ、あなた個人の責人になって、その調査費たとえば五万なり十万なり二十万なりをお前弁償せよといって、あなたの月給の中から出さなければならぬということになると、あなたは重大な感じがせられるでしょう。自分の身になって考えると重大になるが、国費をもってする場合にはへとも思わぬというそのことがいけないと言うのです。  次いで私はお尋ねをいたしたいのでありますが、「梨」の買い上げについては話しが進んでおったけれども、途中でその話しはやまったではないかということに対して、一切そういう事態がないと言われておりました。ところが二十九年の九月二十日の庁議においてかようなことの庁議が行われ決定がなされたと承わりますが、もう一度承わっておきます。その庁議においてそういうことはないでありましょうか。
  221. 増原恵吉

    ○増原政府委員 今九月二十日とおっしゃったと思いますが、その前に「梨」を買うことをきめた庁議をいたしたこともございませんし、その前後に庁議を開いて今度は買わないときめた庁議をしたこともございません。
  222. 佐竹晴記

    ○佐竹(晴)委員 二十九年の十一月十日に自由党本部へあなたがお出向きになりましたことがありますか。
  223. 増原恵吉

    ○増原政府委員 明確にちょっと記憶をいたしかねております。
  224. 佐竹晴記

    ○佐竹(晴)委員 そんなことだけ明確をお欠きになってはこれはなりません。そういった点があるならばはっきりとおっしゃって——別にこれは悪い意味に私は解釈するのではないのでありますから、お答えを願った方がいいのじゃないかと思われます。本日は政府委員ですから、それはあまり掘り下げては聞きません。しかしあなたがお答えにならぬようでございましたならば、あらためて証人として宣誓をお願いいたしましてお聞きをいたしたいと思いますが、当日あなたは本多さんや大野さんや水田さんにお会いになった御記憶を何か喚起されませんか。
  225. 増原恵吉

    ○増原政府委員 日付を申されましたのではっきりした記憶がないと申したのでありますが、そのころ自由党の本部へ行きまして、たしか本多さんと大野さんにお目にかかったことがあると記憶をしております。
  226. 佐竹晴記

    ○佐竹(晴)委員 その当日本多さんや大野さんからどういったようなお話しがあったでございましょう。
  227. 増原恵吉

    ○増原政府委員 そのときの話しは、「梨」を防衛庁使用するような考えがあるかということであったように記憶しておりまして、答えましたことは、一応大体使いものになるという調査ができておりますが、いろいろと今金の工面その他を研究しておるというふうにお答えをしたように記憶しております。
  228. 佐竹晴記

    ○佐竹(晴)委員 当日のお話しの内容についていま少しく承わりたいと思いますけれども、きょうは政府委員のようでありますから、必要によりまた証人としてお願いすることといたしまして、その程度にとどめておきますが、もう少しさかのぼって、九月二十日の庁議において、旧艦船「梨」は終戦直前の建造であって、当時すべて物資が不足であるために非常に粗製である、将来の戦争には役立たないといったような話が出て、これはどうも財政上の都合もあり、購入は打ち切った方がよかろうという話の出たことはございませんか。
  229. 増原恵吉

    ○増原政府委員 軍艦「梨」は仰せになりましたように終戦直前にでき上ったもので、比較的粗製のものであるというような意見は出たことはございます。しかし打ち切ると申しますか、その前にいわゆる買うという決定をしたことはまだございません。経費の工面をし、適正な値段で買えるということであるならば買う方向で研究をするという状態が続いておったわけでございます。そのとき庁議をもって打ち切るというふうなことはなかったのでございます。
  230. 佐竹晴記

    ○佐竹(晴)委員 庁議をもって打ち切ることを決定したことはないとおっしゃいますから、そう承わりましょう。しかし終戦直前の建造であって粗製であるというお話が出たという。この意見はおそらく買わない方がよかろうという意見に傾いておった人々の意見であろうと存ぜられる。ところがただいまのあなたのお言葉によりますれば、二十九年十一月の十日であったかなかったかはわからないが、そのころ自由党本部において本多さんと大野さんに会って、そして「梨」を軍艦として、またこれを——取得という意味でありましょうが、買い取る考えはないのかといったようなお話があって、それに影響されて、それはやはり買うた方がよかろうという気持に傾いたのではないでしょうか。
  231. 増原恵吉

    ○増原政府委員 私の記憶で申しましたが、庁議の際に粗製乱造という話が出たかどうかは明確に記憶をしておりませんので、その点訂正をいたしますが、そういう話が庁議の場合あるいはほかの場合かに出たことは確かでございます。そうしてそれに対しては、技術方面の人々から、やはり十分に使い得るものであるという話を聞きまして、私どもは使い得るものという認識をもってずっと進んできておるわけでございます。従いまして今仰せられましたように、自由党本部でお目にかかったときのことに影響をされたということはございません。
  232. 佐竹晴記

    ○佐竹(晴)委員 よろしゅうございます。
  233. 上林與市郎

    上林委員長 それでは細田委員
  234. 細田綱吉

    ○細田委員 二十九年度の予算でこの「梨」買い上げの予算は幾ら組まれておりますか。
  235. 石原周夫

    ○石原(周)政府委員 船舶建造費でございますが、二十九年度の歳出予算は、当初予算の百十三億二千八百万円でございまして、節約後百一億九千五百万円になっております。そのうち繰り越しを三十五億三千四百万円三十年度にいたしておりますが、そのうちに先ほど申しましたような三億八千八百万円……。
  236. 佐竹晴記

    ○佐竹(晴)委員 本年度の予算で「梨」の改装費と言いますか、改造費と言いますか、これをどのくらい組んでおりますか。
  237. 石原周夫

    ○石原(周)政府委員 三十年度には「梨」に関する予算はございません。先ほど申し上げましたように、三億八千八百万円の繰り越しのうちにおきまして改造費を三億五千三百万円と見込んでおるわけでございます。
  238. 細田綱吉

    ○細田委員 そうすると三億八千八百万円という予算は、「梨」をどういう形で買い取る予算でございますか。
  239. 石原周夫

    ○石原(周)政府委員 先般も申し上げましたように、大体これを練習艦として使用することが可能な程度にいたすわけであります。練習艦と申し上げましたのは、これに武器をもちまして武装をいたしますれば、先ほど申し上げましたように警備船乙と申しますか、二十八年度の計画をもちまして着工いたしておりますのと大体匹敵いたしますが、とりあえずのところにおきましては、まだこれからの問題になりますので、武器のつきません形で練習艦として作り上げるのに必要な金額であります。
  240. 細田綱吉

    ○細田委員 三億八千八百万円は、要するに改装さしてから買う予定ですか、現状のまま買い上げる予定ですか。
  241. 石原周夫

    ○石原(周)政府委員 買い上げるという言葉は、先ほど大蔵省管財局長からお答えがございますように適当でありますかどうか、契約を解除いたしまして、引き揚げの費用その他実際かかった費用を払いますということに相なりますれば、これは必ずしも買い上げということでございませんけれども先ほど来申し上げておりますのは、払い下げ代金を含めまして三千五百万という金額をその方の実費弁償に見込みまして、そのほかに三億五千三百万円は、防衛庁におきまして改造をさせます費用でございます。
  242. 上林與市郎

    上林委員長 参考人に対する質疑も含めまして他に御質疑はございませんか。
  243. 山田長司

    山田委員 森岡参考人に対してもう一度伺いたいのですが、それは払い下げに対して、あなたはおやめになっているから責任を痛感する点が非常に少いのじゃないかと思うのです。私はこの「梨」を調べるに当って、中国財務局調査費用がないので、潜水夫を使って調査をせずにこれを払い下げてしまったのじゃないか、こう思ったのですが、先ほどあなたから伺いますと、今庄での中にときどき潜水夫を使って調べた事例がある、こういうふうなことを言われていますが、今まで潜水夫を使って調べた船は、どんな船を今まで調べてみたことがあるのか、これを一応参考に知りたいわけです。あなたは今やめているから、あるいはこれについてお答えをするのに非常に困難な点があるかと思いますが、大蔵当局とこれは一つ話し合って、中国財務局の方からさらに調べて、大蔵当局から提出していただきたいと思います。
  244. 森岡謹一郎

    森岡参考人 お答えいたします。さように特別な場合調査をいたします際は、あらかじめその旨を本省に連絡いたしまして、調査費を若干もらいまして調査をいたしたのでございます。例といたしましては、軍艦「陸奥」が爆破しまして二つになっておるわけですが、その頭の部分がないというようなことを言う者がありまして、実際そのものがないのかどうか、私どもそれを処理するために参考にせなければなりませんので、その際潜水夫を雇いまして実際に調査をいたしたことがあります。
  245. 山田長司

    山田委員 前にそういう事例があるのにかかわらず、この場合はどうして潜水夫を使って調べなかったのか、参考に伺っておきます。
  246. 森岡謹一郎

    森岡参考人 お答えいたします。「陸奥」の場合は、実際にわれわれがあると考えておりますものがないというようなことを言う者が出ますし、実際一回調査しました結果、そういうことを答申したところもあったのです。それで確認するためにぜひ私の方の手で調査する必要がありましたのでやったわけであります。今回の「梨」の場合は、大体その調査と申しますか、それをくず鉄として払い下げるということにつきましては、調査の必要はなかったということでやらなかったわけであります。
  247. 山田長司

    山田委員 くず鉄として処分をしようとしてくず鉄でなかったという事例が出てしまっているのですから、あなたはそれについてやはり責任を感じなければいかぬと思う。私が資料として出してもらいたいと言ったことは、やめているあなたには困難かもしれぬので、その点管財局長一つお願いしたいのですが、どうか中国財務局の方を一応調べてみて、今までの事例でそういう場合でどんな場合があったのか、それから今前の財務局長が言っておるように、調べずに、スクラップにする申請だったならば何もかまわない、みな払い下げたという事例で今までにどんな場合があったのか、それを提出願いたいと思います。
  248. 上林與市郎

    上林委員長 局長は了承されました。  森岡参考人に対する御質疑はありませんか。——なければ、森岡参考人に対する質疑はこれをもって打ち切ります。  森岡参考人には長時間御苦労さまでした。お引き取りを願います。     —————————————
  249. 上林與市郎

    上林委員長 細田委員から発言を求められております。これを許します。細田君。
  250. 細田綱吉

    ○細田委員 今月の四日の朝日新聞のトップ記事で、防衛庁は十年分の軍服をお買い入れになるということが出ておるが、果してそういう事実があるかどうか、この点を伺いたいと思います。
  251. 増原恵吉

    ○増原政府委員 六月四日の新聞でありましたかに出ておりましたその十年分ということについて申し上げます。これは買いましたのではございませんで、米国側から供与を受けました。生地の分と仕立てた分とございますが、大ざっぱに言いまして、生地の分で九十八万ヤールくらい、約百万ヤールで、仕立てたもので三十五万着くらい、上と下と多小数が違いますが、そういうようなものを無償で供与を受けたということでございます。
  252. 細田綱吉

    ○細田委員 委員長から、この正確な数量それから種類等の資料の提出を御要求願いたいと思います。
  253. 上林與市郎

    上林委員長 了承いたしました。他に御質疑はございませんか。——ないようでありますから、本日はこの程度にとどめたいと思います。  次会の開会日時は公報をもってお知らせすることとし、これにて散会いたします。    午後五時四分散会