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1955-03-28 第22回国会 衆議院 決算委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年三月二十五日       有田 喜一君    椎名悦三郎君       田中 彰治君    篠田 弘作君       山中 貞則君    山田 長司君       吉田 賢一君 が理事に当選した。     ————————————— 昭和三十年三月二十八日(月曜日)     午後一時四十一分開議  出席委員    委員長 上林與市郎君    理事 有田 喜一君 理事 椎名悦三郎君    理事 篠田 弘作君 理事 山中 貞則君    理事 山田 長司君 理事 吉田 賢一君       赤澤 正道君    安藤  覺君       横井 太郎君   小笠原八十美君       關谷 勝利君    片島  港君  出席政府委員         大蔵政務次官  藤枝 泉介君         通商産業政務次         官       島村 一郎君         運輸政務次官  河野 金昇君  委員外出席者         通商産業事務官         (大臣官房会計         課長)     出雲井正雄君         通商産業事務官         (企業局長)  徳永 久次君         運 輸 技 官         (港湾局長)  黒田 靜夫君         海上保安庁次長 島居辰次郎君         会計検査院事務         官         (検査第二局         長)      上村 照昌君         会計検査院事務         官         (検査第三局         長)      小峰 保栄君         専  門  員 大久保忠文君         専  門  員 岡林 清英君     ————————————— 本日の会議に付した案件  国政調査承認要求に関する件  昭和二十六年度一般会計歳入歳出決算  昭和二十六年度特別会計歳入歳出決算  昭和二十六年度政府関係機関決算報告書  昭和二十七年度一般会計歳入歳出決算  昭和二十七年度特別会計歳入歳出決算  昭和二十七年度政府関係機関決算報告書     —————————————
  2. 上林與市郎

    上林委員長 これより会議を開きます。  まず、国政調査承認要求の件についてお諮りいたします。去る二十五日の理事会の申し合せによりまして、今会期におきましても、決算の適正を期するため、国政に関する調査をいたしたいと存じます。調査する事項は、一、歳入歳出の実況に関する事項、二、国有財産に関する事項、三、政府関係機関の収支に関する事項とし、調査方法は、関係方面より意見聴取報告及び参考資料要求等といたしたいと存じます。右の通り国政調査を行うことといたしまして、衆議院規則の定めるところにより、議長に対し承認要求をするに御異議はありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 上林與市郎

    上林委員長 御異議なしと認めます。よってそのように決しました。
  4. 上林與市郎

    上林委員長 次に参考資料提出要求についてお諮りいたします。本委員会において付託案件審査または国政調査のため関係各官庁その他各方面に対して参考資料を要求し、その他照会、回答を求める必要あるときは、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 上林與市郎

    上林委員長 御異議なしと認め、さよう取り計らうことに決しました。     —————————————
  6. 上林與市郎

    上林委員長 次に決算審査方針等についてお諮りいたします。御承知のごとく、昭和二十六年度決算は第十五回国会に提出せられ、昭和二十七年度決算は第十九回国会に、また昭和二十八年度決算は第二十一回国会にそれぞれ提出せられ、今国会におきましては、去る三月二十三日に本委員会にそれぞれ付託されました。このうち昭和二十六年度決算及び昭和二十七年度決算については、前国会までに会計検査院検査報告順にその審議を進め、農林省所管の分、すなわち、昭和二十六年度決算検査報告第八二九号まで及び昭和二十七年度決算検査報告第一五一三号までの質疑を一応終了いたしておりますが、昭和二十八年度決算も付託されておりますので、今回は便宜二十六、七年度決算について、まず当局から簡単に総括説明を聴取し、前国会までに質疑を一応終了いたしております部分については、特に問題のない限りこれが審議過程委員会議録等参考としてごらん願うことといたしまして、通商産業省所管より審査を進めることにいたしたいと存じます。  なお審査方法でございますが、先例により会計検査院検査報告基礎とし、政府説明書並び提出資料等参考とし審査して参るわけでございますが、昭和二十六年度決算批難事項は千百九十八件、昭和二十七年度決算批難事項は千八百十三件の多数に上ります関係上、この際は重点的な審議方法で進めることとし、他の比較的類似した案件についてはなるべく簡潔に願いたいと存じます。また質疑応答はできるだけ簡明にし、審議促進に御協力を願いたいと思います。昭和二十八年度決算については、昭和二十六年度決算及び昭和二十七年度決算審議の終了後にその審議に入りたいと存じます。  以上申し述べました事柄はすべて去る二十五日の理事会で申し合せを行い、また本日の理事会で再確認いたしたところでございます。ただいま御報告いたしました理事会の申し合せのごとくにこれからの審議を進めたいと思いますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 上林與市郎

    上林委員長 御異議なしと認めさよう決定いたします。     —————————————
  8. 上林與市郎

  9. 藤枝泉介

    藤枝政府委員 この機会に一言ごあいさつ申し上げます。  今回大蔵政務次官を拝命いたした藤枝でございます。何とぞよろしく御指導のほどをお願い申し上げます。  昭和二十六年度及び昭和二十七年度一般会計歳入歳出決算、同特別会計歳入歳出決算及び同政府関係機関決算報告書を、会計検査院検査報告とともに第十五回国会及び第十九回国会にそれぞれ提出いたしましたが、いまだ御審議を了しておりませんので、この際あらためてその大要を御説明申し上げたいと存じます。  まず、昭和二十六年度決算内容についてでありますが、同年度一般会計歳入決算額は八千九百五十四億円余、歳出決算額は七千四百九十八億円余でありまして、歳入歳出を差引いたしますと千四百五十六億円余の剰余を生ずる計算であります。この剰余金から昭和二十七年度に繰越しました歳出財源に充てなければならない金額七百三十一億円余及び昭和二十五年度剰余金使用残額二百六十八億円余を差し引きました四百五十五億円余が昭和二十六年度新たに生じた純剰余金となるのでありまして、その二分の一の二百二十七億円余につきましては、財政法第六条の規定に基き昭和二十八年度国債償還財源として使用済みとなっております。  以上の決算額予算額と比較いたしますと、歳入におきましては、予算額七千九百三十七億円余に対して千十七億円余の増加となるのでありますが、このうちには、前年度剰余金受け入れ予算額に比べて六百三十九億円余を増加しておりますので、これを差し引きますと、純然たる昭和二十六年度歳入としては三百七十八億円余の増加となるのであります。この増加内容は主として法人税酒税等租税収入増収によるものであります。  一方、歳出におきましては、予算額七千九百三十七億円余に前年度一般会計からの繰越題三百七十億円余、それに緊要物資輸入基金特別会計法附則第六号及び第八号の規定に基く旧貿易特別会計からの繰越額五十九億円余、計四百二十九億円余を加えました予算現額八千三百六十七億円余から支出済み額七千四百九十八億円余を差し引きますと、その差額は八百六十八億円余でありまして、そのうち、翌年度に繰り越しました額は前に申し上げました通り七百三十一億円余、不用額は百三十六億円余となっております。  右の翌年度への繰越額内訳は、改正前の財政法第二十五条の規定によって、あらかじめ国会承認を得て翌年度に繰り越しました金額が六百八十八億円余、財政法第四十二条但書の規定によって避けがたい事故のため翌年度に繰り越しました金額が三十億円余、また学校及び保育所の給食の用に供するミルク等の譲与並びにこれに伴う財政措置に関する法律第五条の規定によって翌年度に繰り越した金額が十三億円余となっております。  次に、昭和二十六年度特別会計決算及び同政府関係機関決算についてでありますが、これにつきましては、それぞれの決算書によって御了承願いたいと思います。  なお、同年度における特別会計の数は三十四会計政府関係機関の数は十九機関となっておるのであります。  次に、昭和二十七年度決算内容につきまして御説明申し上げます。同年度一般会計歳入決算額は一兆七百八十八億円余、歳出決算額は八千七百三十九億円余でありまして、歳入歳出を差し引きいたしますと二千四十八億円余の剰余を生ずる計算であります。この剰余金から、昭和二十八年度に繰り越しました歳出財源に充てなければならない金額千百八十九億円余及び昭和二十六年度剰余金使用残額四百五十五億円余を差引いたしますと、四百二億円余が昭和二十七年度新たに生じた純剰余金となるのでありまして、その二分の一の二百一億円余につきましては、財政法第六条の規定に基き、昭和二十九年度国債償還財源として使用済みとなっております。  以上の決算額予算額と比較いたしますと、歳入におきましては、予算額九千三百二十億円余に対して、千四百六十二億円余の増加となるのでありますが、このうちには昭和二十六年度剰余金受け入れ予算額に比べて千百八十七億円余を増加しておりますので、これを差引いたしますと、純然たる昭和二十七年度歳入としては二百七十四億円余の増加となるのであります。この増加内容は、主として所得税、再評価税関税等租税収入専売納付金増収によるものであります。  一方歳出におきましては、予算額九千三百二十五億円余に昭和二十六年度一般会計からの繰越額七百三十一億円余を加えました予算現額一兆五十七億円余から支出済み額八千七百三十九億円余を差引いたしますと、その差額は千三百十七億円余でありまして、そのうち、翌年度に繰り越しました額は、前述の通り千百八十九億円余、不用額は百二十七億円余となっております。  右の翌年度への繰越額内訳は、財政法第十四条の三の規定によって、あらかじめ、国会承認を得て翌年度に繰り越しました金額が千百七十一億円余、財政法第四十二条ただし書きの規定によって避けがたい事故のため翌年度に繰り越しました金額が十七億円余となっております。  次に、昭和二十七年度特別会計決算及び同政府関係機関決算についてでありますが、これにつきましては、それぞれの決算書によって御了承願いたいと思います。  なお、同年度における特別会計の数は、三十五会計政府関係機関の数は、九機関となっております。  以上が、昭和二十六年度及び昭和二十七年度一般会計特別会計及び政府関係機関決算につきましての概略でありますが、最後にこれら決算基礎となりました歳入歳出等執行状況につきまして申し上げたいと存じます。  歳入歳出執行につきましては、かねてから予算編成の趣旨に従い、かつ、その目的の実現に鋭意努力いたしますとともに、その経理につきましても厳正かつ適正な執行に意を用いて参っているのでありまして、これがため、諸般の制度について整備改善措置を講ずる一方、会計職員に対する研修等の強化をはかって、これら職員資質向上にも極力配意いたしておるのでありますが、なお、会計検査院から昭和二十六年度につきましては、一千百九十八件、昭和二十七年度につきましては、一千八百十三件に上る不当事項の御指摘を受けるに至りましたことは、種々事情の存することとはいえ、遺憾にたえないところであります。  これにつきましては、綱紀の粛正を一そう強化するとともに、さらに、会計法令整備経理職員資質向上をはかる等予算の適正、かつ、効率的な運営の確保に一段の努力を傾注しておる次第であります。  何とぞ、よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。
  10. 上林與市郎

    上林委員長 次に会計検査院当局より決算検査の概況について説明を聴取いたします。会計検査院第二局長上村照昌君。
  11. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 私は会計検査院の第二局長でございますが、一般的な事につきましては二十六、二十七年度とも検査報告に詳細記載してございまするので、その点で御了承願いたいと思います。     —————————————
  12. 上林與市郎

    上林委員長 それでは本日は昭和二十六、七両年度決算検査報告のうち、通商産業省、運輸省の各所管について審査を進めます。件数が非常に多くまたお手元に配付いたしました審査日程では、本日の委員会両省所管についての審議を一応終了することになっておりますので、重点的に御審議を願いたいと思います。まず通商産業省所管について御審議を行います。  すなわち昭和二十六年度決算検査報告二百二十一ページより二百三十二ページに至る報告番号八三〇ないし八三七並び昭和二十七年度決算検査報告三百ページより三百七ページに至る報告番号一五一四ないし一五一六を一括、そのうち審議促進昭和二十六年度番号八三〇、八三一、昭和二十七年度番号一五一四ないし二五一六について特に詳細に説明を求めます。
  13. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 昭和二十六年度につきまして通商産業省関係検査報告に掲載してある案件は八件ございます。御審議の都合上重点的に御審議になります点について御説明いたしまして、その他については御質問によってお答えしたいと思います。  まず八三〇号は国鉛輸入に当って措置の当を得なかった、こういう事態でございます。これは昭和二十六年の三月に、矢作製鉄株式会社外会社朝鮮産土状黒鉛千五百トン余りを約二千万円で売られたわけでございますが、その後契約にありますカーボン含有量が不足するということで値引きをされまして、四百万円ばかりを会社に返還された事態が起こっているのでございます。これはどういうわけで起りましたかと申し上げますと、この土状黒鉛は三千トンを当初輸入するという契約でございまして、ことに問題になっておりますのは第二回分でございます。そして第一回分のものにつきましてはクレームがついておったような状況でございますが、このクレームにつきましてはその後値引きをするということで解決したのございます。そういうふうな状況でありますのに、二回分として入って来た千五百トン余りにつきまして相手方から引き取ってくれというよう話があったわけでございます。さようなわけで引き取りに応じかねておったわけでございますが、その後品位がどういうふうであるかという点について通商産業省試験せられた結果、カーボン含有量が七一・六一%あるということで引き取られたわけでございます。しかしその後会社が引き取ってから後にはこれほどの品位に達していないということが判明したわけでございます。平均いたしまして六〇%ぐらいになっておるわけでございます。かような事態はどういうわけで起ったかと申しますと、土状黒鉛のごとく品位が一定していないものにつきましては、試験そのものといいますよりも、試験にどういうものを使うかという、試験品を採取する段階が非常に重要なものでありますが、その点について十分な考慮が払われておらなかった。厳格に申しますと、円錐四分法とか申します方法によりまして試験品を採取して、これに基いて試験をする、こういう措置が講ぜられたならば、果して品位が七一%あったということで引き取らなければならなかったかどうかという点について非常に疑問があるのでございまして、この点につきましては、試験をするに当りまして措置が必ずしも十分でなかったという事態のために、値引きをするようなことが起って来たものでございます。  次は八三一号でありますが、これは図書を輸入するに当りまして、極東貿易にその実務宰務を代行させまして、結局におきまして政府が千八百余万円の損失をこうむるような事態が起ったということでございます。これは最初は、極東貿易株式会社実務代行をさせます場合に、全社がまず小売商を通じて代金を前受けする、そうしまして、会社が金を受け取りまして、これを日本勧業銀行特別口座に預け入れ、政府の指示に従って政府にこれを納める、そして政府はこれを外国に送金しまして、書籍輸入して、これを小売商を通じて売りさばく、こういう仕組みであったわけでありますが、その後、代金を先に取ることが購読者に不便であるということで、方法を変えまして、先に書籍を送ってもらって、その後において代金を集めて政府が送る、こういうような方法がとられたわけでございます。ところがその間におきまして、最初方法によりまして会社が集めました四千四百万円ばかりのうち、会社が千六百余万円を他に流用して書籍代に充てなかった、こういう事態がございまして、これに対しまして、小売商等会社が持っております売掛代金と差し引くというようなことをいたしまして、結局において千百余万円を会社が純粋に流用してしまった、こういうことが起ったわけでございます。これにつきましては、政府実務代行会社にさせており、その責任政府であるということで、その千百万円を小売商等政府から返還させる、こういうふうな事態が起ったわけでございます。  もう一つは、代金を後送するという方法をとられてから後におきまして、前送の書籍代金二千五百万円のうち二千二百万円を送金できない、こういうふうな事態が起りまして、それに対しましては、書籍外国から割引しておる関係もございまして、二千百万円を政府責任において払わなければならぬ、こういう事態が起ったわけでございます。結局におきまして、前の千百余万円と二千百余万円、合せまして三千三百二十七万四千円というものを政府損失をこうむったわけでございますが、その後会社から回収されたものがございまして、結局におきましてこの検査報告を提出するときは、国の損失が千八百八十五万余円、こういうふうになっておるわけでございます。その後政府において回収に努められた結果、約百万円ぐらいがさらに回収されております。  かような事態を生じました理由は、会社資力信用が必ずしも十分でなかった、こういうものを入れて指名競争されたということがまず第一点でございます。それから最初代金小売商等から集めて送金するという場合に、一流銀行保証状を取るという約束になっておりましたのにかかわらず、ただ単名手形を取っておられただけだ、こういう点で十分な措置が講じられてなかったという点と、それからさらに、会社小売商等から代金を集められて、日本勧業銀行に預金されておる場合に、どういうふうな状況になっておるかというふうな点について監査が十分行われていなかったという点と、それから次の、代金あとから送るという方式に改めてからは、代金あとから取るのでございますから、その代金の徴収について何か確保する方法を講じなければならぬと思うのございまして、あるいは担保を取るとかいうふうないろいろな点があると思うのでございますが、そういう点について何らの措置が講じられていなかった。こういうふうな点がありまして、要しまするのに、この実務代行を委託されて損失をこうむるに至ったという点につまして、政府といたしまして、必ずしも万全な措置が講ぜられていなかったこういうふうに考えているわけでございます。  次は二十七年度でございますが、昭和二十七年度は三、四件ございます。そのうち最初の一五一四号を申し上げます。これは、工業技術院地質調査所等において経理の紊乱した事態でございます。概括的に申し上げますと、旅費等架空支出をいたしまして、その金で宿舎等を買うというような事態が起こりました。さらに、宿舎がいらなくなって、それを売却して、その金をいろいろな方面に使って来た、こういう事態でございます。もう少し詳しく申し上げますと、地質調査所と、それから北海道の同支所とで百一万円ばかりの旅費架空支出をされまして、これで札幌におきまして宿舎一棟を購入されております。さらにまた、地質調査所で、五十万九千円ばかりを同じように旅費の名義で架空支出をされまして、そのうち二十万円と、さらに地学協会というものから五万円の寄付を受けられまして、二十五万円で仙台で家屋を買われた、こういう事態がございます。さらにまた、地質調査所で三十万九千円の架空旅費を支出されて、さらに職員拠出金の三百二十八円ばかりを合せまして、三十一万円で福岡支所宿舎を購入されておるわけでございます。その後仙台宿舎を四十五万円で売却されまして、三十九万円だけは入金しておりますが、この三十九万円と、福岡支所を同じように売却されまして、その代金が三十万円でありますが、その三十万円の代金とを合わせまして六十九万円、これと宿舎料の十八万四千円ばかりを合せまして八十七万四千になりますが、これを宿舎関係修繕費固定資産税等に二十一万八千円を充てられ、さらに会議費等に十四万九千余円、その他の経費に十一万一千円を充てられまして、残金としては三十九万四千余円が残っておったわけでございます。この残金宿舎残代金の入っていなかった分とを合わせまして、返済すべきものを地学協会等に返済されまして、残った金は全部現在は国庫に返っております。宿舎等が必要であったということは、おそらく当時の事情から必要であったのだろうと思うのでございますが、予算経理を乱ってかような事態を起されたことについては、はなはだ遺憾に考えておるわけでございます。  次は一五一五号でございます。民有国営ホテル国費を投ぜられましたいろいろの経費について、それの回収措置が講ぜられていないという事態でございますが、これは外国貿易使節団に使用させるために、ホテル・トウキョウほか四つのホテルを借り上げられまして、国費でいろいろの施設等経費を支弁されておるわけでありますが、その経費が二億三千三百万円ばかりになっております。ところがこれが民営に二十五年四月から切りかえられるということで、借り上げ契約を解除されておるわけでありますが、契約を解除する場合におきましては、政府におきまして施設したその経費につきましては、当事者間で協議をして処置するということになっておりますが、何らの措置が当時講ぜられなかったわけでございます。その後二億三千余万円のうち、約六百万円につきましては、大蔵省が所管がえをしまして処置することになったわけでございますが、その他につきましては、相当の施設をしましたものにつきまして金が残っておるわけでございます。しかもその中には有益費と認められるものも相当ございますのに、これに対して何らの措置が講ぜられなかった、しかも相当長く経過しておるという点ははなはだ処置が緩慢であると考えるわけでございます。その後一部につきましては償還済みになり、なお現在においても償還未済のものございます。  次は一五一六号、機械管理当を得ないものであります。ことにあげておりますのは、機械を貸し付けあるいは保管されたもののうち、百二十四台が借主がかってに処分するとか、あるいは保管人から騙取されておる等の事態でございます。これは要するに管理が十分でないというふうに考えるわけでございます。この事態につきましては、二十八年度検査にも相当見受けられるわけでございまして、この点につきましては、なお財産が残っておることでもございますから、十分の管理と処分の促進がはかられることが適当だと考えておるわけでございます。
  14. 上林與市郎

    上林委員長 ただいまの説明に対し、通産省当局において、補足説明があればこの際発言を許します。徳永企業局長
  15. 徳永久次

    ○徳永説明員 ただいま会計検査院から御指摘のありました分のうち、終戦後特殊な政府貿易の形をとっておりました際に問題になっておりました事項ニ件があるわけであります。第一点の黒鉛の問題ありますが、これも会計検査院から御指摘のありましたように、黒鉛の商売を当時役人がいたしまして、第一回の第一船分の商売で思うような品位のものがなかった。そういうようなことから第二船分につきまして、相当慎重な手続をし、あるいは値引きの交渉等もしたようでございます。しかしながら結局つきつめてみますと、第二回分の単価について値引きもさせたわけでありますが、品位についてきめます際に、試料の検査も、両方の話合いできまっておりました東京工業大学に分析を頼んでやってもらったのであります。ただこの分析の材料に使います試料の取り方、その面に疎漏があったのではなかろうかと思われるわけでありまして、もちろん相当の者が向うの中国側と共同で立ち会って試料も採取いたしておるわけであります。いよいよそれを処分してみました際に、今度は国内の払い下げを受ける業者側と、処分します際の試料の採取を厳密にやって、それからまた品位検査もやってみましたところ、売主側とやりました際よりも品位が下っておったということがわかりました。従ってその差額だけ国庫に損失を与えたということになっておるわけであります。当時の担当の者がどういう試料の採取の仕方をしたかということにつきまして、正確な精密な記録が残っておりませんので、当時の事情を正確に把握することができかねる状況にもあるわけでございます。また当時の担当の者もすでにやめてしまっておるというようなこともございまして、いろいろなことからみましても、こういうものの試料の取り方というものは非常にむずかしい。率直に申しまして役人のふなれで、試料はもちろんとってきたわけでありますが、取り方をむずかしい仕方によって取るということをよく心得ないで取ってきた、その取ってきたものを検査して品位をきめた、そういうところに間違いのもとがあったのではなかろうかと推定されまして、はなはだ私ども困ったことだと思っておるわけでございます。そういうこと、買ったときの分析の品位と、売るときに調べたら、いわば誤差があったのじゃないかといわれますので、せめて売主に対していよいよ売るときに調べてみたらこうなって違っておるぞということで、単価は値引きさせたわけでありますが、品位のことについて誤差が起りましたので、クレームの問題として相手方からその差額をとりもどすといいますか、一たん金は払ったわけでありますが、そういうかけ合いもやってみたわけですが、もともとこの二回目の商売を中国側とやります際に、契約条件まできめてございまして、分析をきめる際に両方立ち会って試料を採取してどうこうというふうになっておったわけであります。
  16. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 議事進行。御説明中恐縮ですが、こういう程度の御説明ばかり聞いておったら説明だけで日が暮れますから、今の政府当局の弁明的な御説明は、やはり質疑があったらそれに対して重点的にお答えになったらいいんじゃないかと思います。資料なしに、だろう、だろうということばかりお述べになってもどうも一向われわれ頭に入りませんので、さようお取り計らい願えればけっこうです。
  17. 上林與市郎

    上林委員長 発言を継続して下さい。
  18. 徳永久次

    ○徳永説明員 以上のようなことで、あとからクレームの問題として請求をいたしましたが、契約条項上、十分の根拠がないということでわが方の疎漏の点もございまして、クレームによって取り戻すことには成功しなかったというような事態に相なっておるわけでございます。  それから第二の御質問ございましたことを簡単に申し上げますと、輸入実務代行につきまして、いわば実務代行者の不信行為によって、それが損失をいたしたということになっております。会計検査院からその業者の監督が十分でなかったから使い込んでしまって、あとばたばたされてみても結局とれなかったのだから、監督不十分じゃないか、いわばそこを強く指摘されておるわけであります。何分にもたくさんの件数のあったことでございますし、さような十分の監督のできなかった点もあろうかと思うわけでございますが、自後におきまして損害を最小限度にとどめることにいろいろな努力をしましたものの、十分の成果を上げ得ないということに至っておるわけでございます。  第三点に国有機械の払い下げにつきまして、若干の間違いが起っていること、これは簡単にお触れになりましたが、私ども国有機械につきましては件数も非常に多うございますし、中にちょくちょくと間違いが起っておりますから、一日も早く処分をすることが、何よりの問題解決のもとでもあり、ことに処分につまして相当部分をくず化することも、むしろこの際適当ではないか、機械も相当古くなっておる事情もございますし、その点で鋭意努力をいたしまして、ただいまのところでは残っておりますものが四千六、七百台くらいになり、しかも四千六、七百台のうち契約未済のものが千三百台、そうしてこれも数ケ月中に処分するというところまで、昨年来大いに馬力をかけまして努力して参っておるわけでございます。さようなことで、問題の起る余地そのものをなくするということにも、目下せっかく努力しておるというような状況でございます。
  19. 上林與市郎

    上林委員長 この際通商産業政務次官島村一郎君より発言を求められております。これを許します。
  20. 島村一郎

    ○島村政府委員 この機会をおかりいたしまして一言ごあいさつを申し上げたいと存じます。  今回はからずも通商産業政務次官に就任いたすことに相なりました。御承知のようにきわめてふなれでございますが、どうぞ皆さん方の御鞭撻と御指導を切にお願い申し上げる次第ございます。  さてただいま御審議をいただいております昭和二十六年度並び昭和二十七年度歳入歳出決算につきまして、会計検査院の批難を受けましたことは、まことに恐縮に存ずる次第でございます。それ以来できる限り係員を督励いたしましたり、あるいはまた処分を要するものは処分をいたしました次第でございます。今後一そうこうした不当の処置のないように十分注意を怠らないつもりございますので、ここにこの問題に対しまして遺憾の意を表明いたす次第でございます。
  21. 上林與市郎

    上林委員長 質疑の通告がありますから、これを許します。吉田賢一君。
  22. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 私は昭和二十六年度通商産業省関係事務について質疑をいたします。  二百二十八ページ八三五号、物品の売渡代金の収納処置当を得ないもの、これは二十六年の四月から十月までの間に出光興産株式会社という油会社にB重油、軽油などの鉱油を十三万二千百九十五キロリットル余り、八億八千三百八十一万四千余円で政府が売り渡したのでありますが、     〔委員長退席、山田委員長代理着席〕  この購入について、同会社から政府の売り渡しする以前に他へ売却したり、もしくはその後政府から買い受けた後に売却したものもあるようでありますが、多額の代金が長い間未収になっておる、こういう案件であります。そこで伺いたいのでありますが、この種の政府の所有の外油が、たとえば二十六年八月から十月まで同会社に売り渡しましたB重油は二万九千余トンになっております。価額は一億九千七百余万円になっております。これを無償で同会社政府は寄託しておったものが、いまだ政府の所有が離れていないのに、これを同会社が無断で売却した記載になっております。こういうような政府所有の鉱油数億円のものが無断で他へ売却されるというのは一体何に原因するか、一体そういうことについての原因を政府はよく調べたのかどうか、まずこういう点について伺ってみたいのであります。  なおちょっと委員長にお願いしますが、できるだけ簡潔に質問いたしますから、なるべく簡明に御答弁願えまするようにお願いいたします。
  23. 徳永久次

    ○徳永説明員 当時輸入しました油につきまして、終戦後御承知のようにタンク施設というものが必ずしも十分ではなかったという事情もございまして、一定の場所のタンクに詰めっぱなしで置き得ないというような事情がございまして、それぞれの需要者——需要者というと語弊がございますが、会社の持っておりますタンクに便宜移しかえて保管させる、これは役所では出保管という言葉を使っておりますが、そういう形で保管させなければならないという事情もあったようであります。鉱石等につきましても同じような事例があるわけであります。置き場の関係上、需要者であります製鉄業者とかアルミの精練業者とか、そういうところの置き場を借りてやらざるを得ないというような事情がございまして、そういうふうなことから、品物自身が業者自身のものと全然分別できないような事情もございまして、その間いわば形式的に見ますれば、政府の物を勝手に使ったというようなことも起ったりする余地が生じたような事情に相なっておるわけです。
  24. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 これは二万九千余トンになっておりますが、何トンくらいをタンクに保管しておったのですか。場所はどこですか。
  25. 徳永久次

    ○徳永説明員 ただいまちょっと手元に資料を持っておりませんので、正確に何トンをどこのタンクでということは……。
  26. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 あなたの今の御説明によると、保管者の油会社の所有物と政府のものとが混合して、所有関係が明瞭にならぬ部分があるというような御説明である。それはあなたは単に想像でおっしゃっているのじゃないかと思う。これは二万九千余トンの油でありますから、あるいは幾つかのタンクに入れたもののようにも一応考えられますが、もしそうであるとするならば、これのみをある特殊なタンクに全部充満するというような入れ方にもなっておるかもわからぬ。そういう場合には、自己の所有物と政府の所有物との区別がつかぬ、そういうことは想像できぬのであります。要するにこれは政府が自分の所有物を他人に保管を託しておって、数億円のものが、約三万トンのものが、売却もしないうちに、     〔山田委員長代理退席、委員長着席〕 その中の相当量がかってに売られてしまったというような案件でありますので、何かそこに相当大きな保管を託しておる政府といたしまして監督が不行届きであったのか、あるいは悪い想像をするならば、保管を託されている会社政府当局との間に何か不正な関係でもあって見のがしたのではないだろうか、今の価格ならともかくも、二十六年における約二億円であります。(1)の分は二億円であります。二億円のものがこういうふうに他へ流されてしまうということはたいへんは事実だと思うのです。今これについての関係書類はお手元にないというのですか。
  27. 徳永久次

    ○徳永説明員 手元にないと申しました趣旨はこの席に持って参りませんという趣旨でございまして、あと役所に帰りまして調べますれば、十分のものができると思います。
  28. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうしますと、これは今形式的に見れば勝手に売り渡したのでというようなお話だが、何億円もの政府の所有物が民間の会社に勝手に売り飛ばされてしまって、そうして形式も実質もないと思うのだが、これはわれわれ民間人から考えましたら非常に大へんな事実なんであります。これはきわめて重大な国民の財産の他人による勝手な処分をされてしまったことになるのですが、あるいは横領ということになるのかわからぬのですが、その辺のことについても糾明をしたのですか、どうなんですか。
  29. 徳永久次

    ○徳永説明員 もちろん預けます際に、処分を勝手にしてよろしいということはないわけでありまして、もし間違って勝手に処分した場合には、それに対する違約金を取るぞというような契約条項も、事前にもそういう措置が講じてあったわけです。従いましてその後の措置といたしまして、そういう聞違いのあったということを発見し、従いましてそれ相応の商品代金を取りますのみならず、そういう違約によりまして、無断使用の違約金というものも、契約に基きます分は徴収はし終っておるわけでございます。
  30. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 これは違約金を取るとかなんとかいうことを私は問うておるのではないのでありまして、そういうことよりももっと根本的に、政府の所有物を——これによれば八月及び十月に政府は売り渡しているのであるが、すでに六月から他に会社は売却してしまっているのです。そこで政府の所有物を勝手に売却したというような案件でありますから、そのような場合には違約金という責任を問うというような方法しか考えいのかどうか。そうではなくして、全く他人のものを保管しておる会社が、その他人のものを勝手に売却処分したということになるのでありますから、そういう場合には、もっとさらに言うならば、刑事的責任を追及するというくらいに、厳重に責任を追及するのが当然でないかと思うのであります。違約金の約束があるとかなんとかおっしゃるけれども、そういうような問題よりも、もっと深刻に考えなければならぬ問題でないかと思う。一々違約金だけで処理していくということであるならば、こういう関係においては刑法は介入しないようなことにもなる。そんなばかなことはないはずだ。そこでそういう面についての糾明をなさったのかどうか。そうして政府の所有物を民間の会社が勝手に売り渡すようなことがあっても、違約金ということで済ましているというのが政府のやり方であるのかどうか。
  31. 徳永久次

    ○徳永説明員 数字的にどの件がどうなる、どの件がどうなるということを、正確な資料がなくて申し上げられないで、はなはだ遺憾でありますが、先ほど申し上げました出保管の形等をとります形が、すべてこれ業者だけの責任ばかりでもございません。役所から現実に操作上割当はしなければならぬ。しかし当時司令部からもらいますドキュメントと対応して値段等が正確にきめられるというような関係から、一時渡すことは渡しておくけれども、金銭上の跡始末はあとに延ばすというようなこともやらざるを得ないような事情もあったようでございまして、そういうものはいわば役所の操作上の出保管の形式というようなこともあったようでございます。そういう部分が本件の場合にどの程度該当がございましたものか、あるいは先ほど申し上げました配給業者であります出光のそれ自身のタンクを借りました関係で間違って処分されたものがどういう関係になっておりますか、数字的に申し上げられないのははなはだ遺憾でございます。
  32. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 私は数字について問うているんじゃなしに、性質に重点を置いて伺っているのです。勝手に売り飛ばされたら、これは犯罪行為じゃないか、そういう点について糾明をなさったかどうかというのです。金銭的にどれだけの損をしておったかということはあとで聞きますが、そういう場合に政府にも責任があったということでそれで済ますというのでは、これはたいへんだろうと思う。少くも政府の所有物が他人によって勝手に売却処分せられたという案件は、もっと厳重な追究をしていかねばならぬのじゃないかと思うのです。うち、どれほどの金額にそれが該当するのかはこの際は明らかになっておりませんけれども、いずれにいたしましても全体としては莫大な量になっておりますので、そういうことについて、金銭以外に、保管者が政府のものをかってに処分したという点については厳重な追究をしたのかしないのか、それはせぬでもよいのかどうか、これについてお聞きするのです。簡単でよろしゅうございますからおっしやて下さい。
  33. 徳永久次

    ○徳永説明員 当時の事情は、私詳細に勉強いたしておりませんので、正確なお答えができないのははなはだ残念でございますが、もう少し調べさしていただくことをお許し願いたいと思います。
  34. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうしますとこの出光興産株式会社政府の保管中の物件を単に売却した、数量はこの際はっきりわからぬらしいのですが、代金は、当時の実情から見れば、すなわちこの需給関係が、需要が非常に大きくて供給源の統制時代でありますので、おそらく代金は前取りして他に売却しておるのではないかというのがわれわれの常識でありますが、代金は出光としてはよそから取らずに売ったのですか、取っておって政府へその金を渡さなかったのか、その点はどうですか。
  35. 徳永久次

    ○徳永説明員 はなはだ申しわけないのでございますが、会計検査院から、跡始末が十分にいっていないというおしかりがございまして、その後の処置につきましては通産省で努力いたしましてケリはついたというようなかっこうに相なっておるわけでありますが、ただいまお話のように、この間に政府当局と出光の間にはある程度ケリがついたとしましても、出光がそれによって不当に利得をしたのじゃなかろうかどうだろうというようなお尋ねの事情につきまして、私勉強不十分でございます。
  36. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 その次の七万一千九百余万トンにつきましては、代金は五億三千七百余万円で政府は出光へ売渡しておるのでありますが、これにつきましても前者の問題とともに数年間代金が遅れておるということでありますが、こういうような金は何ぼでも先へ持っていって、品物取り勝ちというような時代におきまして、元金が八億八千余万円、これが十億円に売れたのか何ぼかわかりませんけれども、そういうような時代におきまして、政府の所有物を勝手に会社が売却して、そうして政府といたしましてはそれの刑事責任もよう追究しないし、代金も数年間かかってようやく二十八年の九月三日に完済したというようなまぬるい経過になっておるのですが。一体そういうようなことはなれ合ってやっているのじゃないのですか、こういうようなふうにすら想像されるのであります。政府といたしましても、八億八千数百余万円の代金回収などはどんな手段をもってでもすみやかに回収するという手をなぜ一体打たなかったのですか。これも勉強しておられないのでわからぬという答えなら今日はどうにもならぬのですが、どうなんですか。
  37. 徳永久次

    ○徳永説明員 支払いも遅延いたしまして、結局最終的に回収のつきましたのは二十八年五月ということになっておるのであります。その間までの延滞利息九千七百十万円ほどは、それも回収済みに相なっておるわけでございます。ただ今お話のございましたように、すぐに払わない、延べ払いといいますか、延滞して納めておりましたのにつきましては、これまた当時の事情を正確に存じませんのであれでございますが、今お尋ねのような、政府の担当の者が会社側となれ合いで延納を認めているとか認めてないとか、さようなことは私全然信じたくもないわけでありますが、これも事情を十分承知いたしておりませんので……。
  38. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうしますと、前段質問いたしました問題につきましては、金額はわからぬけれども、また重油の量ははっきりわからぬけれども、ともかく政府が寄託いたしました油、政府の所有物を勝手に出光興産株式会社が売却してしまったというものが何ぼかはあったということはお認めになるのですね。
  39. 徳永久次

    ○徳永説明員 ただいま私の手元に持っています跡始末書類の中に、違約金として七百六十八万円を取っておりまするので、その違約金と申しますのは、管理責任者としての不始末といいますか、そういうようなものをさしていると思いますので、それに該当する若干の事実があったんではないかというふうに思います。
  40. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 かかる不当な国有財産を勝手に処分したような、こういう会社に対しましては、その後政府は、たとえば外油の買い取りなどについて、外貨資金の割当、売却などをした事実があるのですか、あるいはすべきかいなやを詮議したこともあるのか、その辺はいかがですか。
  41. 徳永久次

    ○徳永説明員 ただいま実は本件の問題につきまして事情を知っております者をこちらへ参りますように手配いたしておりますので、恐縮でございますがそれまで先に進め願いたいと存じます。
  42. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 この点は大事な点で、確かめておきたいと思いますので、この点をちょっと質問を保留いたします。
  43. 上林與市郎

    上林委員長 吉田君に申し上げますが、先ほどの資料は要求いたしますか。
  44. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それじゃ一括していたします。二十七年度決算報告番号一五一五、ページ三百四でありますが、外国貿易使節団に使用させるために賃借りしておったホテル・トウキョウ、ホテルヤシマ、芝パークホテルホテル洛陽、ホテル浪速等に関する施設についての処理が全然もしくは非常に遅延してできておらない、こういう案件のようであります。これによりますと、ホテル・トウキョウなどに対して政府がなした政府所有の施設が、二十八年の八月までに引き継ぎを終了したときに、なお二億二千六百余万円あったらしい説明であります。ところで二億円以上のホテル施設、これは水道、ガス、照明、暖房等いろいろあるようでありますが、ホテルトウキョウといえば丸ノ内にございまして、東京一流のホテルでございますが、こういうようなところの施設の代償が政府にとれないで、数年間経過するというのは、一体どういうわけなんですか。
  45. 出雲井正雄

    ○出雲井説明員 当初予定いたしましたホテルが全部で七つございます。そのうち現在の段階で縣案になっておりますのが二件ございます。これはホテル浪速とホテル洛陽であります。あとホテル・ヤシマと芝パーク、この分につきましては、政府有益費といたしまして回収すべき、いわゆる評価額と称しておりますが、この評価額が決定いたしました。ただヤシマは、個人所有で現在ホテルを経営いたしておりますが、芝パーク同様営業状態が思わしくないということで、延べ払いの格好になっておりますが、金額自体は決定いたしております。  本日までにはそうきまりましたが、数年間延びました理由は、ホテルは、原所有者、ホナルの建物を持っておる人と、ホテルを経営しておる人と、国と、これだけございまして、接収を解除いたしますときは、一応原所有者はことごとくこれを原状に復旧していただいて、それぞれもとの用途に使いたい、こういう強い個人的な要望を持っておったのでございます。それに対しまして、そのときに委託経営をさしておりました人は、原所有者の意向に反して、なおホテル業を継続していきたいという意思もございましたが、この問題については、すでに解除と決定した以上、私どもは、原所有者に圧力を加えて、なおホテルを経営しておる人に強制的に貸してやれということは言えない立場であります。しかし諸般の情勢で、ホテルは二十五年解除いたしましたときにはなお払底の事情にございまして、民有国営方式のホテル業というものはやめるが、できれば原所有者と当時委託経営をしておった者がよく話し合って、ホテルを継続してくれないか、そうしていい環境のもとに、バイヤーを招致して、輸出振興あるいは外貨獲得の一助に資したい、こういうような腹でおったわけでございます。その結果各ホテルとも、東京地区におきましては、一年更新、五年の見込み、あるいは十年契約ということで一応存続したわけでございます。その場合に、この評価をどういたすかということにつきまして、私どもはいわば当事者でございますので、適正なる第三者に評価をしていただくのが公平を保つゆえんでもございますから、大蔵省の方に依頼いたしまして、適正なる評価をしてくれ、こう依頼しておきました。この間、冒頭申し上げましたように、ホテル所有者といたしましては、接収も解除になったのだし、自分らもこれをもとのように使いたい、すなわちいわゆる原状に回復してくれ、こういうような主張をするわけでございます。これに対しましてホテルの委託経営を受けておりました管理業者の方は、できれば原所有者と話し合って、ホテルをもう一、二年、あるいは数年でもやらしてくれ。こうなりますと現状通り使っていくわけでございまして、国が施設いたしましたいろいろの有益費がことごとく生きてくるわけであります。その間の両者の利害というものを大蔵省の方で——担当は財務局がいたしておりますが、調整されまして、暫定的にはホテルの経営を継続しつつ、ようやく関係者がこの評価額を了といたしまして、決定いたしました評価額で、今日まで東京についてはすでに取り立てました。ヤシマ、芝につきましてはいまだ少し金額が残っている、こういったふうな関係になっております。
  46. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 東京だけに限定して伺いたいのですが、ホテル・トウキョウの国の所有財産となっておりました施設金額は何ほどでありますか。
  47. 出雲井正雄

    ○出雲井説明員 ホテルトウキョウにつきましては、国の施設は、当時の簿価で計上いたしてございますが、ラウンドナンバーで申しますと、ホテル・トウキョウ本屋八千三百万円、ホテル・トウキョウのモーター・プールの付属施設といたしまして二百二十万円でございます。
  48. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そういたしますと七千五百余万円の帳簿価格の所有物が国のものとしてあったわけでありますが、これはいずれも登録してあったものであろうと思いますが、帳簿価格も明らかであり、またこういうものを管理することについてはそれぞれと専門の役所があるわけでありますが、その評価が数年もできないということは一体どういうわけになるのですか。それはなるほどあなたの方は、建物の所有者と経営者の利害関係が違う、それからまた建物所有者の希望もあり、等々、いろいろとその間継続して経営するかいなやについての意見の相違等から、そういった方面関係がさっぱりしないものがかりにあったにいたしましても、しかし政府の所有の設備として七千数百万円のものがあるということであれば、それに対しまして何ほどの時価、使用の対価が算定されるべきかというようなことは、そんことは十日もかからずして明らかになるのが当然だろうと思います。管理しておるのは大蔵省なんですが、大蔵省に依頼しておって評価ができない、財務局が担当しておってそれが明らかにならない。いつそれが最終的になったのか御説明はありませんけれども、とにかくこの数年間放置された。一体そんな財産管理方法があるのでしょうか、どうでしょうか。
  49. 出雲井正雄

    ○出雲井説明員 やや事務的になりますが、一言つけ加えさしていただきますと、昭和二十五年四月に国営方式をやめました際に、当時の国有財産関係の法規で参りますと、この種の不動産につきましては大蔵省に移管と申しまして、帳簿上経営はそれまで通産省がやっておりましたが、用途が終ったときに国有財産全体を見る大蔵省に移管するのが当時の法規の建前になっておりましたので、私どもといたしましては、本件のような評価とか、それからさらに売却手続とか、こういった種類の仕事を大蔵省あて直ちに国有財産法第八条というのに基きまして引き継いでくれということで出しておいたのでございます。これに対しまして事が従来の経営的な業務と違いまして、非常に臨時的な仕事であったために、この法規の解釈の問題につきまして、それではあるものについては正式に引き継ごう、しかしややこしいものについては君の方でやってくれというので、法規の解釈について一応部内でそういう意見に傾きました。昭和二十六年九月に大体そういう結論が出て参りまして、正式通牒といたしましては二十七年の五月に、これこれの範囲は大蔵省に引き継ぐ、これこれのものは通産省で処理してくれというはっきりしたものが参りました。もちろんその間私どもとしては管理に漫然と日にちを過したわけではなく、万一私どもがやる場合には一体どうしたらいいか、しかしできれば専門家である大蔵省の方でやっていただきたいということでやっておりましたが、この間に日にちを要したということ、それからさて実際に評価をつけていただくという段階に入りますと、建物所有者が原状復旧で強く出てくるのと、従来ホテルの委託を受けて経営いたしておりました者が、現状通り営業さしてくれという利害の問題がありまして計算に手間取ったこういうような状況になっております。
  50. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それではお答えにならぬ。つまり行政財産から普通財産に引き継ぐということでしょうが、引き継ぐ範囲がいずれになろうと、経営者と所有者と利害が対立しょうと、そういうことは評価の困難か簡易かということに関係ないことなのです。いずれにしても国の所有財産であったことには間違いない、管理が大蔵省に行こうとあるいは通産省にあろうと、どの範囲がどちらへ行こうと、そういうことは評価ができるとかできないとかいうことに関係ないことなのです。そこですでに国有財産でありますから、国有財産である限りはそれの何ほどの使用対価が相当かということは、これはもう数日もかからぬでできるのじゃないかということなのです。それを数年間しなかったということは財産管理の大きな怠慢でないかというのが私の問題点なんです。そこをあなたに伺っておるのです。率直にお述べ願いたい。そういう利害の関係が対立しておる、それで引き継ぎ範囲が問題であったので延び延びになってほったらかしておったというのであるならば、それならそれでいいのです。専門家の大蔵省が評価を依頼せられて数年ほったらかしておくということは、ちょっとしろうとでも理解しにくい。そこを伺っておるのです。
  51. 出雲井正雄

    ○出雲井説明員 私御質問の骨子となるところを事務的に誤解申し上げておりまして、経過ということをいろいろ申し上げました点はおわび申し上げます。  ただいま御指摘の通り国有財産の範囲がすでに明確であり、これを政府部内のいずれの部局で処理するかというようなことは別問題といたしまして、要するにこの明確な物件について評価を決定する、この問題はホテルの原状回復あるいはホテルの存続という問題に関係なくきめられる問題であることは御指摘の通りでございます。かつ昭和二十二年にホテルを接収いたしまして、それ以後投下した施設金額等は判明いたしておりまして、これに基いて所管の問題とは別個に、究極的にいずれの省がやることになるといたしましても、評価を進め得た状態にあったことは間違いないことでございまして、所管の問題で日にちを費したというようなことは、この評価額の決定が延び延びになっておったという申訳には相なりません。私どもといたしましては、現状ではすでにきまった評価額につきまして極力取り立てをして、全力を尽しております微意をくんでいただきまして、評価が数年の間延びておったという点につきましては、率直におわび申し上げる以外、ここで弁解の余地はないことと存じております。
  52. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それではその延びておった間の使用対価というものは、少くとも七千万以上の時価がある——帳簿価格ですから時価はもっと大きいかもわかりませんが、七千万以上の価値のある物件の使用対価は相当なものだと思うのだが、これは賃料の形式か何かはともかくといたしまして、使用の対価は取ったのですか取らなかったのか、それはどうなんです。
  53. 出雲井正雄

    ○出雲井説明員 国営ホテル施設いたしました付加財産に対する使用料につきましては、これを厳密に計算いたしまして、年度別に各ホテル別に関東財務局の方からそれぞれ金額をいただいております。そしてただ懸案となっておりますのは、相手方が火災保険をかけておる場合は、付加財産に相当する保険料全額を使用料から控除することができる。ただいま保険料につきまして、どのくらい保険を全体についてかけておったか、この問題になっている部分に対する、いわば分割的な保険料がどのくらいのものであるか調べています。この手続がきまれば、借料をきめたいと思います。
  54. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 ただいまその施設の所有権はどうなっておりますか。
  55. 出雲井正雄

    ○出雲井説明員 この施設につきましては、契約を解除した際に国が付加した財産については両者協議の上で評価し、売り払うものは売り払うということになっておりまして、その間は現在の建物町有者とホテル業者、ホテルを経営しておる人と契約して……。
  56. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 所有関係を聞いておるのです。どこの所有であるか。
  57. 出雲井正雄

    ○出雲井説明員 ホテルに付加したものでございますか。
  58. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 私の伺いたいのは、評価の対象になった物件もしくは施設については、ただいまはどこの所有になっておるのか、こういうのです。依然として国の所有なのかどうか。
  59. 出雲井正雄

    ○出雲井説明員 これは代金完納と同時に原所有者に所有権を移転するということにいたしております。
  60. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 原所有者というのは、建物所有者のことですか。
  61. 出雲井正雄

    ○出雲井説明員 建物所有者です。
  62. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 代金ならば、売却ですか。何ぼで売ったのか。
  63. 出雲井正雄

    ○出雲井説明員 取り上げた金額でございますか。評価額はホテルトウキョウが二百二十五万円……。
  64. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それだけでいいのです。前の御説明によりますと、七千五百三十余万円の帳簿価額でありまして、これが使用料の取り立ても遅れておって、そして売却が二百二十余万円でなさるというのは、三十分の一で売ってしまったということになるのですが、それは一体どういうわけですか。
  65. 出雲井正雄

    ○出雲井説明員 ただいまの点は冒頭ちょっと申し上げました、要するに政府の簿価といたしまして本屋につきましては七千三百万円、付属施設につきましては約二百万円あるわけでありますが、その付属施設の方は全部大蔵省の方に引き渡してありますので、ただいま申し上げました金額に応ずる分は七千三百万円でございます。御指摘のように、これが二百二十五万円であるということについてその差はどういうことかという点でございましょうが、施設と申しましても、建物そのものを新たに基礎から一戸建てたのと違いまして、平易に申しますと、建物のペンキを塗りかえておるとか、あるいはガスのパイプをつけたとか、一件々々ここに出ておりますが、そういうような費用がございまして、建物一軒そのままあるのとだいぶ趣きを異にしておるのではないかと思われますし、同時に私どもが伺いましたところでは、ホテル・トウキョウの場合には、建物の原所有者は将来できるだけ近い機会にこのホテルを自分らの手に返してもらって、本来の目的に使うんだということで、その辺のところを勘案されまして、その道の専門家の方でこういう評価をしていただいたわけであります。
  66. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 私の聞きたい点は、ホテルがどこの経営になろうと、建物がだれに使用されようと、そういうことでなしに、帳簿価額が七千三百余万円のものが二百二十五万円という何十分の一かで売却されてしまう。こういうようなことは異例なことではないかと思いますので、不思議だから聞いたのです。その点ちょっと会計検査院の方の意見を聞きます。
  67. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 ただいま簿価七千三百万円とおっしゃいましたが、私の記憶するところは、七千三百万円はおそらく使用経費でありまして、簿価の方は少し少くなっておるのではないか、三千三百万円くらいになっておるのじゃないかと思います。それにしても売却価格が二百二十何万というのは非常に安いという感じは一応受けるわけでございますが、ただ私の方といたしましては、二百二十五万円で決定したということは承知しておりますが、どういう内容で、どういうようにきまったという詳細は実はまだ承知いたしておりませんので、検討した上でこれが適当であるかどうかということをきめていきたい、こういうふうに考えております
  68. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 その点は七千万円以上の帳簿価額のものが二百数十万円で売却されたということは、普通から見てもどうもおかしいと思うのですが、これは一つ通産省の方で明確に国会に対する御答弁を願わなければいけません。もしほんとうに時価が二百二十五万円であるならば、それはともかくといたしまして、時価が七千万円だけれども、何かの意味においてこれを安くしたということであれば、その理由を明らかにされなければいけない、こう思うのですが、一つ簡単でよろしいから、その点をはっきりしていただきたい。
  69. 出雲井正雄

    ○出雲井説明員 私どもはただいま御指摘の点は、通産省として会計の方の能力は持っておりますが、かかる尨大な物件の処理につきましては、本来の専門家にまかせてしかるべきものなのでございまして、ここで再び事務手続を申し上げて恐縮でございますが、こういう際の慣例に従いまして大蔵省の方に依頼いたしました。ただその考え方につきましては、説明は伺っておりますが、これが責任のある官署によって決定された、専門家によって決定された数字で、当事者の私どもがお手盛りで作った数字ということは全然ございません。
  70. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 その専門家というのは、一体どこの何課で、だれなんですか。
  71. 出雲井正雄

    ○出雲井説明員 これは大蔵省に話をいたしまして、地区の関係で関東財務局に依頼してございます。公文書で全部処理してあります。
  72. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 この点関東財務局から評価いたしました経緯、それに対する文書が発行されておると思いますから、これは一つお取り寄せ願っておきたいと思います。適当にお計らいを願います。  私はこの点はそれだけにとどめまして、残っておりまする、今の油の一点だけちょっと三、四分で済ませたいと思います。  さきに指摘いたしましたが、出光興産に政府所有の油を売却いたしました。これにつきましてそのような事実があった場合には、その後の政府のこれらの会社に対する措置も相当考慮されなければならぬかと思うのでありますが、これはいかがなものですか。外貨の割当表につきましても相当考慮するのが通常じゃないかと思いますが、そのようことはなされたかどうか。国損とみなすべきものはどれほどの金額になったのでありますか、その辺を一つはっきりしておいていただきたい。
  73. 徳永久次

    ○徳永説明員 お尋ねの事項につきましてお答え申し上げます前に、先ほど私が申し上げました点、多少事態を誤認しておると思われる点が多うございますので、先ほど来の私の説明を訂正する意味で事実関係の御説明をもう少しお許し願いたいと思います。  先ほど来からお尋ねの中に、出光が無断で政府のものを処分したとするならば、ただ政府としてはそれに多少延滞利息をとるだけでは済まないので、ある意味での刑事上の問願とか、そういうふうな問題があり得べきではなかろうかというようなお尋ねがあったのであります。その点私事実関係の認識が不十分でございまして、あるいはそういうまぎれもあるように申し上げたかと思いますが、少し当時の役所の仕事のしぶり、物事の性質を申し上げまして、誤解のないようにさせていただきたいと思います。  結論から先に申し上げますと、いわゆる刑事上の問題というような性質の事態にはならないというふうに言い得るのではないかと思うのです。と申しますのは、当時通産省の臨時通商業務局がアメリカから油をもらいまして、それを保管して売っておったのであります。当時石油類はすべて割当制になっておりまして、それを売ります場合に、石油には御承知のごとく元売り業者いわば卸売屋といいますか、そういうものが十三軒ございます。そこにまず政府の割当をして行くというような操作をしていた時代のことでございます。それによりましてアメリカからもらいまして配りましたものが総計百八十二万トンほどあるわけであります。金額で百二十億くらいになっておるわけであります。ところがそういうやりくりをして、それだけのものを統制のもとで処分いたします際にどういたしたかと申しますと、油そのものを政府から受け取ったとしましても、受け取ったものの数量、品質……。
  74. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 さえ切るようで悪いですけれども、時間もないので一般的な御説明でなしに、お尋ねした案件について具体的に答えてほしい。
  75. 徳永久次

    ○徳永説明員 ごもっともでありますが、特別の例外にいたしたわけでございませんで、一般の例の扱いにいたしておりましたので、その事情をちょっと御了解いただいておきませんと間違いが起りますので申し上げるわけであります。  もらいまして、それをすぐ処分しようとするにしましても、金額もはっきりしない。それから政府はタンクを持たないから、いずれは民間の十三の商社に割当をしなければならぬけれども、それのタンクを借りて入れておくという形をとっておったわけです。それが先ほど申し上げました出保管の形式でございます。所有権は政府にあり占有権は業者にあるというような形になっておったのであります。そうしてあとで割当をしていくわけです。割当をいたしますと、業者は割当をもらったならば、それに基いて一定の期間の間に代金を払って処分してよろしいということになる。割当をもらいますということは、いわば所有権が業者に移るという関係になります。ただ金を払わなければ使ってはいけないぞというような法律的の関係に相なっておるわけであります。以上のようなものが一般的なものでありますが、同じような手続によりまして出光に扱わせ処理させましたものが総量約二十八万トンございまして、価格にいたしまして約十七億九千万円ということになっております。船の数にいたしまして九十ぱいぐらいに相なっておるようであります。出光が扱いましたものにつきまして先ほどから問題になっておりますのは、こういう終戦後の特別の事情で扱っておりました扱いの一番終りの方に入りました船の分に該当するもののようでございます。この最後のものにつきまして割当をして、それに対して代金がすぐに納まらなかったということに相なっておるわけであります。  それを具体的にもう少し申し上げますと、割当をいたしましたので、従って所有権は業者にあるが、政府との関係におきまして代金を払ってない、それを取り立てなければならない、延びた分は延滞利息を取らなければならない。それから無断使用の違約金を取らなければならない。そういう関係事態は相なったようであります。その措置といたしまして、この終りの方の最後の二船分が問題を起したのでありますが、それ以前のものにつきましては、先ほど申しましたように総計十七億に該当するものを扱ったわけでありますが、それにつきましては比較的順調に参っておつたようであります。従いまして、もしこの問題の起りましたのが出光に扱わせました最初のころでありましたならば、政府といたしましては、お前の方は金の払いが悪いからお前のところの割当をかげんするというような措置がおそらくとり得たかと思います。こういう戦後の異例の、政府が直接貿易をいたしますような一番最後の事例のものが、こういう事態に相なったということになるのでありまして、従いまして先ほどお話がございましたように、払いが悪いから従って今後の割当について特別の措置をとるというようなことにつきましては、さような措置はしていないということ、それからまたその扱い者をかえるというようなことも問題にしたようでございますが、そういたしますとマル公はございますし、その保管費用、保管タンクを移しかえるとか、輸送に要するタンカーの費用とか、いろいろな問題がございますし、思うにまかせないというようなことに相なったわけでございます。
  76. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 わかりましたが、そうするとますますわからなくなるのですが、この検査院の指摘しておりますのは、何年何月に出光に対して重油を売却したということになっております。そこでこの種の統制物資が特殊な人に政府の物が売却せられるときは随意契約によるとかいう法規もあったように記憶するのでありますが、あなたの説明によりますと、割当をした瞬間に所有権が出光に移った、こういうことになる。すると割当ということで売買契約ができた、こういう趣旨に御説明になっておるが、売買契約は別にあったというふうにもとれるのですが、その点はいかがなんですか。これは検査院からお聞きいたします。割当をしたときに、瞬間に所有権が出光へ全部行っちまった。だからその後代金を払おうと払うまいそとれは不当不法でないというのが今の通産省の御説明なんです。私どもは割当をするということのほかに、やはり売買契約というものがあって、そしてこれが随意契約になったのである、こういうふうに理解しておったわけであります。非常にその辺が飛躍しちまって、そういう種類の随意契約も特に必要でないというようにも感ぜられるような説明が今されておる、いかがですか。
  77. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 ただいまの点でございますが、私の方では現実に売買契約があったとき売買のあったもの、こういうふうに考えておりまして、割当があった場合に、所有権が移るというような法律的な根拠は承知しておりません。
  78. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 つまり所有権の所在はそうすると売買契約ができたときに所有権は移転する、あなたの方ではそういう御見解ですか。
  79. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 売買契約ができまして、それから現実の物を保管しておるわけでありますが、現実に処分権限の生じるのは引き渡し指図書を渡してから、現実に処置してよしろい、こういうふうに大体なると思います。
  80. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうしますとそれは根本的な大きな食い違いであります。検査院の御説明によれば売買契約があり、指図書があって初めて出光はこの多量の石油の処分ができる。通産省の御説明によると、割当があったらその瞬間に所有権が出光へ移るのだから、移った以上は代金あとで払ってもらってでも、売り飛ばしてしまっても、別に横領罪にもならなければ、不法不当という責任は問えない、こういうような御説明で大へんな食い違いであります。これは重ねて御答弁願っておきましょう。
  81. 徳永久次

    ○徳永説明員 私の言葉では不十分であったと思いますが、この割当をします以前におきまして、政府がすでに将来割当てそうな業者に対しまして、出保管の形で預けておるという形が一つあるわけです。その後正式に割当をいたします際に契約書を取りかわすという形になっております。それによりましてこの契約に基きまして代金を幾ら払えという義務が生ずるということになる。金を払いまして、ただいま会計検査院からお話があったような引き渡し指図書というものが出る、かように思うわけでございますが、ただほかの事例と違いますことは、これは前にも申し上げましたが、業者のタンクの中に保管されてあるということでございまして、政府が預けました物を、業者は自分自身の物と分別して保管しておるわけではない。そういう事情から見まして、現実的に政府が預けた物を処分したかしないか、それを荷渡し指図書がなければ動かしてはいかぬものというには、事実関係はそう理解できない性質の商品ではないかといふうに考えられるわけであります。従いまして割当と同時に契約がなされ、代金を払わないで使ったという限りにおきまして違約ということにはなりましょうが、それを先ほどお話しがございましたような、いわば政府の物を横領とか、そういう観念で理解するのがよいのかどうかということには、非常な疑問があるのではないかというふうに考えるわけです。
  82. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 私が聞きますのは、結局国損が何ほどあって——国損がないというのであるならば、これはまた別でありますけれども、そうしてその原因たるや、政府の所有物が無断で売却されたという事実があるのかないのか、これを聞いておるのです。あなたは割当があったら、その瞬間に所有権が出光会社に移るとおっしゃっておるから会計検査院に確かめた。検査院ではそうではないと言う。売買契約によって、かつまた指図書がなければ処分できないという関係に立っておる、こう言うのでありますから、代金どうこうを聞くのでないのであります。あなたの御説明によると、割当があった瞬間に所有権が移転するという御説明なんだが、今はまた割当と同時に売買契約すると、こういう意味なんですね。そうなれば売買契約がなかりし場合には、よしんば出光の所有のタンクに保管を委託してあっても、それはまだ処分し得ない法律の関係にあるということは間違いないと思います。それならば当然不法もしくは不当に処分されたということはわかり切ったことではないでしょうか。それをたまたま私が横領とか何とかいう言葉を出したので、あなたは警戒して御答弁なさるのだけれども、あなたが責任者でないのですから、ここは率直に淡白にお認めになっていたらよいと思うのです。はっきり伺っておきます。
  83. 徳永久次

    ○徳永説明員 お尋ねでございました国損を与えたかどうかという点でございますが、事務的に考えましてかようなことに相なるのではないかと思います。会計検査院からおしかりを受けておりますごとく、納入のおくれておるものを取り立てをぐずぐずした限りにおきましては、国損があるというふうに見るべきかと思うのでございますが、しかしその後それに対しまして延滞利息も契約通りのものを取った。また違約金も取りまして、ただいま今日におきましては、その損失はカバーされておるというふうに理解すべきかと思うわけでございます。  それから先ほどの点にまた戻りますが、契約はあるわけでございますが、しかしその契約は先ほど申し上げましたごとく、割当と同時に契約がなされるというわけでございます。私はそれを省略いたしまして割当ということで申し上げたのであります。
  84. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それでは最後にだめを押しておきます。結局政府の所有の油が、保管を他人に委託しておるときに、その他人が処分したという事実はどうも間違いないらしい。その後代金とか、契約に基く違約金が回収されて、完納しておるかどうか、私はこれを聞こうとしておるのではないのであります。ここに至りました経緯として、政府の所有物が無断で莫大な量、多額の金額の物が他に売却されるようなことが起った原因はどこにあるのか。そういうことに対して、政府としても内外——内部に対しても、また相手方に対しても厳重な追究をなぜしなかったか、この点に私の疑問があったのであります。あなたに最後にだめを押しておきますけれども、売買の契約がなければ所有権は移転しない、よしんば出保管であろうと、何にかかわらず、国のものを勝手に売ったということは、これは許すべからざることであるのではないか。これに対する御意見だけ伺っておきます。
  85. 徳永久次

    ○徳永説明員 契約によりまして所有権を移転するといたしましても、それを処分するには金を払ってからでなければいかぬぞということが、契約でもはっきりいたしておるわけであります。それを払わないうちに処分してしまったという点があったことは、業者として不当な処置であるということは、間違いなく言えるかと思います。
  86. 上林與市郎

    上林委員長 次は山田長司君。
  87. 山田長司

    山田委員 二十六年度の八三一という案件です。総司令部より米国人文科学図書二十万ドルの政府輸入の実施が要請された、この事件です。民間貿易によるべきものが、民間貿易によらないで、総司令部の要請によって競争入札をされた、そして図書の購入を行なったという問題ですが、この極東貿易という貿易会社が最低で落札したのはいいが、この貿易会社はもうすでになくなってしまっておるにかかわらず、その回収をすべき一千八百七十二万円という金額について、これは会計検査院と同時に通産省の方へ伺いたいと思いますが、昭和二十七年六月より昭和三十二年一月までに分割弁済をさせることにした、こういうことが書いてあるのですが、一体分割弁済をさせると言っているのに、この会社がなくなってしまっているという状態のときに、昭和三十二年一月までにどんなふうに分割弁済させようとしておるのか、一応参考に伺っておきます。
  88. 徳永久次

    ○徳永説明員 分割払いと申しましたのは、会社自身はその後業績不良で解散になったようでございまして、連帯保証人がございますので——当時の役員をいたしておりました者に連帯責任を背負わしておりましたので、会社はなくなりましたけれども、そのものたちに対しまして、あとの取り立てを細細ながら実行しておるということになっております。
  89. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 ただいまお話のように、会社はなくなっておりますので、いかなる方法によりましても、通産省ができるだけ取り立てられるというふうな方法を講じられておるわけでありまして、少しでも入るものなら、取り立てられる方がけっこうじゃないか、こういうふうに実は考えております。
  90. 山田長司

    山田委員 極東貿易が業務不振で、六月に五万円しか納入されてないで、八月は納入されなかったというようなことを書いてあるわけですけれども、こんな状態で不振なところに持ってきて、連帯保証人というものは一体どんなところがなっているか。  もう一つは極東貿易が最低落札者でこういう落札をしたわけですけれども、一体この落札したときに極東貿易の資産調査というものを全然しないで、何でもかまわない、安く落したからというので、そこに依頼したものかどうか、これを聞いておきます。
  91. 徳永久次

    ○徳永説明員 先ほど委員からの御発言もありましたが、実は当時の通産省は、民貿が始まっておりましたので、これを民貿でやることを極力主張したようでございますが、当時司令部から従来通り政府貿易でやれということを強く言われて、やむなく政府貿易の形を取ったようであります。しこうして極東貿易の資産状況につきましては、当時その方を政府に対して押しましたCIEから、このものの資産状況も指定貿易をやらせるのに適当であるという、民法上の保証とは違いますけれども、そういう形のあれがございまして、それをそのまま実行したというような事情になっているようでございます。
  92. 山田長司

    山田委員 本の購入にまでCIEはそんな横車を押したものですか。国民は総司令部というものにかなり信頼感を持ったのですが、本の購入にまでCIEが横やりを入れて本の購入をさせたものか。こんなことでは、CIE自体が日本のこういう会社と何かしら不正なつながりでもあったような印象をわれわれは持つのですが、そういうことについてあなたは何かそういうことがあったような感じを受けたかどうか。
  93. 徳永久次

    ○徳永説明員 CIEと極東貿易との間にどういう関係がございましたか、そこまでは私どもわかりませんが、当時通商局が、民貿に切りかえた際でもございますので、極力反対したことは事実でございます。ただ不満ながら司令部の言う方式によってやったということは事実のようでございます。
  94. 山田長司

    山田委員 極力反対したというが、一体極力反対したというばく然たることだけでは理解ができないのです。それからこの貿易に当って、二十万ドルものものを買う場合に、一体契約に当っての保証として、一流銀行などの保証は——金額的に見て五百万円の額面の約束手形が提出されたというようなことが言われておるけれども、一体手形だけぐらいで、そういう大きな取引のあとで不正な事実がこうしてあがってきているにかかわらず、こんな落札者に対する大きな依頼をしたものかどうか、具体的に一つ話してもらいたい。——答弁のないうちに、私の言ったことに間違いがあるといけないからもう一ぺん言っておくのですが、契約をしておりながら保証をとらなかったということのようですが、この有無です。
  95. 徳永久次

    ○徳永説明員 この競争入札の方式によりまして、政府貿易にして実務担当者をきめるということは、司令部の指図によりましてきめられたわけであります。しこうして極東貿易が一番安く落札したのでそれにきめられた。ただその極東貿易実務代行を頼むにつきまして、通産省といたしまして相当の金を扱わせたのでございますから、それに相応ずる保証金といいますか、そういうものを取るべきであったのです。当時担当といたしましては業者からの単名手形をもらったわけでありますが、これは銀行の保証もついておりませんので、信憑力の弱さというものがあるわけであります。その点が実は会計検査院からも御指摘になっておりますごとく、その件の処理に当りました担当の者の処理分に非常な疎漏、手抜かりがあったということはあるわけでありまして、この点私ども非常に遺憾に思っておる次第であります。
  96. 山田長司

    山田委員 五百万円の一流銀行の保証書あるいは約束手形を提出しておいて、しかる後にこの取引がなされるべきはずだったのですが、全然保証金は入れられずにあったので、この契約不履行の場合にこれを没収するという規定があったにかかわらず、全然それをなさずして、金を払ってそれで本が入らない。しかもその本は直接アメリカから買って来てやる本であったらばこんなことはなかったろうけれども、日本の国内にある小売店から本屋はその本を買って、それを納めているというような、こういう事実なんですから、これはその期間中にわからなければならなかったはずなんです。これはどうしてその期間中に保証金を取らずに進行させておったのか。係の人がぼんやりしておったからでは済まないと思うのです。その点をもう少し明確にお答え願いたいと思うのです。
  97. 徳永久次

    ○徳永説明員 極東貿易が小売店から買ったのではございませんで、こういう二十万ドルの米書を入れるからということは政府で発表になり、それに応じまして、外国図書を買いたい人は小売店を通じて代金を添えて極東貿易に予約注文をしなさい、極東貿易はその代金を納めまして外国へ注文する、そういう形をとるわけでありまして、その買い手でありまする最終の本の購読者からは代金を取った、しかし金を自分で使い込んじゃって、従って本はその人たちに渡せないことになったというような事態に相なっておるわけであります。
  98. 山田長司

    山田委員 話を聞けば聞くほど奇怪な話ですが、会計検査院の指摘した一千八百八十五万円ですか、この莫大な会計検査院の指摘に対して、一体保証人はどんな顔ぶれがあげられて、昭和三十二年一月までの間に分割弁済されるようになっておるのか。保証人の顔ぶれを一つあげてみてもらいたいと思うのです。
  99. 徳永久次

    ○徳永説明員 当時保証人と申しますのは、通産省といたしまして最初から保証人を置いておったわけではございませんで、この間違いが起りまして、その責任の追及上、この会社はつぶれたといたしましても、会社の運営に当っておりました役員に対しまして、会社がつぶれたあとにおきましても、結局極東貿易の使い込みをしたのはお前たちの責任であるからというようなことで、当時の役員に事後の追及措置といたしまして、公正証書によって連帯保証をさせたということに相なっております。
  100. 山田長司

    山田委員 三十二年一月までの間にどんなふうな保証人に分割弁済の方法をとらしておるのか、そのことを聞きたいのです。
  101. 徳永久次

    ○徳永説明員 連帯保証をしておりまする全役員が別な会社もその後において作っておるようでありますが、その会社自身また成績不良というようなことでございまして、月々一人大体千円ずつ払えということになっておるようでございますが、それも全部正確には払い切れないで来たというような状況であります。
  102. 上林與市郎

    上林委員長 通産省所管について他に御質疑はありませんか。——ないようでございますから、次に進みます。     —————————————
  103. 上林與市郎

    上林委員長 次は運輸省所管について審議を進めます。すなわち昭和二十六年度決算検査報告二百三十三ページより二百四十六ページに至る報告番号八三八ないし八八三、並び昭和二十七年度決算検査報告三百八ページより三百二十一ページに至る報告番号一五一七ないし一五八六を一括し、そのうち二十六年度番号八三八、二十七年度番号一五一七ないし一五一九、一五二八、一五五四、一五六二について説明を求めます。小峰説明員。
  104. 小峰保栄

    ○小峰会計検査院説明員 二十六年度に指摘いたしました運輸省の八三八号、これについて御説明申し上げます。これは下関にございます第四港湾建設局で五十トン起重機船の貸付料を六十九万円余り取りまして、これを歳入に入れないで自由に使ってしまった、こういう案件であります。この船は起重機船としては最も大きいものでありますが、昔海軍の持っていた起重機船であります。福岡の財務局から二十四年の十二月港湾建設局が直営工事用に使う、こういうことで一時借り受け中だたつわけであります。それを二十五年の九月十八日から民間の会社に——これは連合国軍の仕事をしておった会社でありますが、それに転貸してしまったわけであります。自分で直接使うという条件に反しまして転貸したわけでありますが、会社から貸付料をとりまして、それが合計で最初会社から百万二千円、それから第二会社から四十九万円とつたのでありますが、これを、先ほど申し上げましたように国の歳入に入れませんで、自由に使うということをしたわけであります。一部は現金で持っていたわけであります。  第二に、貸しました桝谷組海事工業所、これが借り受け中に、会社の本拠である宇部へ門司から回航いたしまして、また門司に帰って来る途中、当時は瀬戸内海も非常に危なかったのでありますが、啓開航路外に出て参りまして、触雷沈没ということで、この起重機船を沈没させてしまったわけであります。この検査報告を作りました当時は、沈没した船の跡始末はまだきまらなかったのでありますが、その後桝谷組から弁償させることにいたしまして、これが満足にほとんど入って来ない。会社は事実上税金を滞納して差し押えを受けるという状態になっておりまして、現在のところ弁償の見込みはないという状況であります。これは二十七年の一月三十日の衆議院の行政監察委員会でも取り上げられまして、大ぜいの証人を呼ぶということで、いろいろ御論議があった案件であります。賠償金は当時の船価を七百四十七万円と評価いたしまして、これを沈んだままでスクラップとして売りました五百五万円、これを差し引いた二百四十二万円、それにその時期までの遅延損害金百十九万円を加算して三百六十一万円ときめたのでありますが、現在までに入りましたのが六万九千円余り、三百六十一万円のうち六万九千円ほどしか入っておらぬという状態であります。  それから二十七年度でありますが、二十七年度の一五一七から一五一九までの経理の紊乱の案件であります。これは海上保安本部——海上保安庁の出先機関でありますが、この海上保安本部で、当時ほかの建設省などにも相当ございました例の架空名義によって経費を捻出して、予算を現金化して手元に置く、それをやみで使う、こういうケースの一例であります。  まず一五一七号、これはここにございますように、第一、第二、第五、第六、第七、第九、この各海上保安本部で——海上保安庁は御承知のように二十三年の初めに発足したのでありますが、当時の住宅事情が非常に悪い。こういうので修繕費とかあるいは職員旅費、こういうところから七百十五万余り金を捻出いたしまして、また民間からの寄付金二百十四万円、これを合せまして、職員宿舎十九棟を新築または購入したわけであります。これを今の旅費とか、修繕費とかから出して購入いたしましたので、それを正規の国有財産として登記することはできません。そこで国有財産として処理しないで、海上保安協会——これは財団法人でありますが、この名義で国が借りる、こういうことにしていたわけであります。十九棟のうち六棟は、財務局——御承知のように公務員宿舎を借ります場合には大蔵省の財務局が借りる、こういうことになるわけでありますが、架空経理をして国費で買いましたものを借りたことにし、そして財務局に家賃を払ってもらうということをしたのであります。はなはだおかしいのでありますが、当時はこの家賃が九十七万二千円、これは財務局から受け取ったのであります。それから居住者から徴収しました宿舎料四十三万九千円、これを別に経理いたしまして、その宿舎修繕費、こういうものに充てていた、こういうケースであります。これはその後私どもの方で全部整理してもらって、現在ではこういう変なものはすベて国有財産、こういうことに整理がえしてございます。  それから一五一八でありますが、これも今と同じようなケースでありまして、架空の名義による船員旅費、航海日当、修繕費、こういうものを出しまして、それを職員旅費とか会議費、食糧費とかに使っておる、こういうケースであります。  一五一九は物品の架空経理と申しますか、海軍が置いて参りました機械類をスクラップとして売りまして、その金を国の歳入に納めないで、一部は使い、大部分はどこへ使ったかわからない。七十万円で売ったのでありますが、これは第六管区広島であります。その中三十四万円については、船員詰所の用地補償に伴う補償料ではっきりしておりますが、三十六万円は使途が不明だというケースであります。これは責任者が刑事問題になりまして起訴されまして、まだ判決がきまっておりません。  それから(2)の分は、石炭を二百トン買いまして、百五十九万円払ったのでありますが、実際に納入されたのは百八十七トン、差額の十三トンは、ちようど刑事事件になって問題になったあとで納めた、こういうケースであります。  それから(3)は、物品の取扱いが悪い。出納簿にも載っていないのがある、こういう物品経理の悪い案件であります。  それから一五二八以下四件ほど運輸省の港湾関係の災害復旧事業費補助の代表的な事例をお示しになっておりますが、その前に運輸省の補助事業の検査概要をごく簡単にお話しておきます。港湾補助というのは全国では相当数が多いのでありますが、二十七年度は千九百八十カ所全国にあるわけであります。そのうち九百十八カ所を会計検査院で実地検査をしたわけでありますが、そのうちの半分で、これは建設省とか農林省ではとてもこれだけは検査できないのでありまして、農林省は六%くらい、建設省でも一五%くらいしか見られないのであります。港湾工事は数が相当多いとはいいながら、農林省の工事や建設省の工事が何万とあるのと違いまして、比較的実地検査がよくできたわけであります。検査いたしてみますと、出来高が設計通りできてないで、不足している、あるいは設計上もとの石が使えるのに、それを使わないで全部新しく購入している、あるいは災害復旧とは認められないいわゆる便乗工事、こういうものが相当にありまして、同時に事業主体として当然負担しなければいけないものを負担しないで、国庫補助金の範囲内で工事をやってしまう。これは農林省や建設省には非常に多いのでありますが、運輸省でも二十七年度に出ているわけであります。そこで設計通り金を使いませんので、非常に工事の出来高が悪い。すぐにこわれてしまったものもある。またこわれそうだ、こういうものもあるわけであります。これが二十万円以上で整理いたしますと六十六件、これだけ検査院で二十七年度分として見つけたわけであります。十万円以上といたしますと百三十二件、倍になります。この六十六件の中から、先ほど話のありました一五二八号以下というのがこの表の中にございますが、この表ではちょっとわかりにくいので、代表的なケースとして三百十三ページに(1).(2).(3).(4)として文章で取り上げて書いてございます。この文章で書きました案件だけを先ほどお取り上げになったわけであります。これについて簡単に申し上げます。  まず最初の一五二八号、これは(1)として愛知県の案件であります。これは疎漏工事の代表、設計の手抜きが非常に多くて、一部がすでに完成後わずか五カ月でこわれてしまった、こういうケースであります。これが百四十四万円、国庫補助が五十七万八千円でありますが、師崎の修築工事であります。練石積護岸延長七十メートルの積石に約四分の一は規格外、これは小さいものを使ったわけであります。護岸の水中部分の胴込みコンクリート、これが非常に粗悪だ。そのために完成後わずか五カ月間で七十メートルのうち半分の三十五メートル、これがこわれてしまった、こういうケースであります。  それから(2)としましたのは一五五四号であります。これは山口県の日本海岸の方でありますが、日置という村があります。ここの災害復旧工事で五百三十二万円、国庫負担金が三百六十八万円でありますが、港内に堆積しました三万立米を浚渫した、こういうことで補助金が要ったわけでありますが、実際には三万のうち一万二千しか浚渫しておらぬ、残りのものは、これは河口の港でありますが、川の水の流下によって自然に流れてしまった、そういう案件であります。三万のうち一万二千しかやらないで済んだ。そこで国庫負担金はさっき申し上げました三百六十八万円でありますが、その実際の工事費は二百二十七万円で足りてしまった、百四十万円余ったわけであります。百六十三万円の自己負担をしないばかりか、国庫補助金が百四十万円余ってしまった。そこで川の導流堤、これは全然設計にない査定外の工事でありますが、川の導流提をつくってしまった、浚渫が導流堤にかわってしまった、こういう案件であります。これは便乗工事の代表的なケース、こういうことになっております。  それから(3)が一五六二号であります。これは徳島県の椿港、これはやはり災害復旧であります。防波堤の捨て石、これが二百十四万円ほど過大に見込んである、こういう案件であります。いわゆる設計過大、設計の水増しと俗に申しますが、水増し設計の代表的なケースとしてここにあげたわけであります。二十七年度に着工いたしまして、まだ五百万円の工事を始めたばかりだったのでありますが、五百万円に対しまして、工事費は実際は国庫負担金以下の四百十六万円でやつておった。そして本来五百万円に対しまして地元が三十万五千円負担しなきゃいかぬのですが、それを負担しないばかりか、五十三万円ばかり国庫負担金が余ってしまった、こういう案件であります。それから最後に大分の西中浦、これが松浦港災害復旧でありますが、これは四百十三万円、国庫負担金が三百二十一万円で防波提の復旧をした、こういうことになっているのでありますが、捨て石の出来高が不足しているためにこの工事費は国庫負担金と同額ということで、村が負担したとしておる九十一万円を全く負担していない、こういうケースであります。
  105. 上林與市郎

    上林委員長 この際運輸政務次官河野金昇君より発言を求められておりますからこれを許します。河野金昇君。
  106. 河野金昇

    ○河野(金)政府委員 運輸政務次官になりました河野金昇でございますが、この間の解散までは委員諸君とともに決算委員会でそれぞれ役所をいじめた立場でありますが、今度はいじめられる立場にまわったのであります。きよう皆さん方から御指摘を受けております、御質疑を受けることになっておりまする運輸省所管の海上保安庁、港湾局、これは私たちが委員をやっているときにも問題になったものでありまして、幾つもの不正なるあるいは手落ちの事犯が含まれておるのであり、会計検査院から今説明がありましたけれども、何も文句を言う必要はないのであります。会計検査院から指摘された以上はみんなこれは悪いことである、しかし私たちが静かに考えてみますると、役所の仕事というのは悪いことがあってもその跡始末が実は不十分であった場合が多いのであります。おそらく海上保安庁なり海運局においてもあるいはそういうような傾向が過去においてあったのではなかろうか、必ずきようあたり皆さん方から御指摘を受けることであろうと存じますが、こういう事犯が起きまして以来、厳重に監督あるいは会計制度なんかも厳重にいたしまして、その後はこういう事犯の起きないように努力をしておるのであります。万一今後不幸にしてこういうような事犯が起きた場合には、厳重な処分をして官紀綱紀の粛正に当りたいと思うのであります。どうぞこの所管事項につきましては、私就任間もなくでありまして、個々の事犯につきましてはよく存じておりませんから、きようはそれぞれその責任者を連れて参りましたから、十分に一つ御検討の上なるべく二十六年、二十七年のこの委員会にかかっておる問題を御処理くださいまするようにお願いしたいと存じます。(拍手)
  107. 上林與市郎

    上林委員長 運輸省関係について質疑の通告があります。これを許します。吉田賢一君。
  108. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 私は、昭和二十六年度決算検査報告の二百三十八ページ以下、補助金、番号は八四二ないし八八三に載っておりますものについて伺いたいのですが、補助金はこれは今検査院の御説明の一端にもありましたごとく、運輸省、建設省等におきましても、補助金をめぐりましての工事の不正、不当というものがずいぶんと上って参ります。そこで最近の予算編成方針等にも現われまして、補助金削減とか、補助金節減とかいうような声もずいぶんと出て参ります。これは真実必要とする面からいたしまして、実に迷惑千万な次第であります。  そこで港湾局長に伺いますが、補助金の使用につきまして、とかく問題の起りまする中に、補助金の限度で仕事を仕上げようというような、そういう傾向が多分に見えるのであります。もう一つ補助金をとるためには相当な運動費が要るんじゃないかというようなことも一般に言われるのでありますが、その辺につきまして、私どもも少し突っ込んで、この際は露骨にそういう弊害のあることをお気づきのことを一つ御説明願いたいと思います。そうしませんと私ども個々につきましていろいろと検討して参りまして、その辺が明らかになってきませんと、これはただ単に不当経理であり、あるいは不当事実ありということで個々に終ってしまって、結局それがかえって必要な方面への予算圧縮の原因になるというような悪い面だけが結果として残されるわけであります。  そこで港湾局長に聞きますが、補助金を申請するにつきましては、およそどういうようなことに事業主体は多くいろいろな経費を使うというふうにお思いになりましようか、申請の段階、補助金をとってくるところまで行きまするには……。それはいかがでしょう。
  109. 黒田靜夫

    ○黒田説明員 補助金を運輸省といたしまして計上いたしまする順序でございますが、二つに分けて考えたらよくおわかりになるかと存じますが、一つは一般の修築工事でございます。もう一つは災害復旧工事でございます。修築工事につきましては、事業主体が県である場合が多うございます。大きな、大阪とか名古屋のような港湾では事業主体が地元の市当局になっておりますが、これらがそれぞれ自分の港の発展に必要な計画を立てまして、その計画は運輸大臣が諮問いたしまする重要港湾の計画審議会にかけまして、それで決定した計画をそれぞれ要求して参ってくるのでございまして、その要求に応じまして、必要と認める緩急の度合いで、最も急いでやるものから逐次、これは補助事業として修築をやることが必要だという判断を下して、補助金の交付をいたしておるような現状でございます。その間地元の理事者なりあるいは議会あたりから私どものところに陳情がございます。文書の陳情もございますし口頭の陳情もございますが、私どもは陳情はできるだけ文書によってやることを慫慂しておるのでございまして、十分それで目的を達成して行きたいというふうに考えております。  災害復旧工事につきましては、現地に台風とか地震等の災害が起きました場合に、災害の発生報告が参りまして、それを受けまして本省からそれぞれ地方に災害の査定官を派遣いたします。派遣いたします場合には、その年の災害に対するいろいろ査定方針をきめまして、厳重に現地に行って技術、事務の者並びに出先の県市町村の係官、それから大蔵省の出先の財務官も立ち会うことになっております。これらの人が立ち合いまして災害査定を行なって帰って参るのでございまして、この災害査定を行いました災害額を三年間におおむね復旧することといたしまして、初年度は三割、次年度は五割、第三年度は二割という目標で災害復旧をやっておるような次第でございます。その間にいろいろ災害の設計過大なりあるいは出来高不足のないように厳重に査定をして参るのでございまして、先ほど会計検査院の小峰局長からもお話のありましたように、こういうような便乗災害とかあるいは地元の負担をしないような過大設計は、これを抑制することにあらゆる方法を講じておるのでございまして、特に最近いろいろ会計検査院からの指摘等もございまして、できるだけ実地査定を中心にいたしまして、実態の把握の非常に困難な机上査定は極力これを排除するような方針をとっておるのでございます。なお都道府県の担当の者に対しまして、いろいろ実務担当者の講習会とか技術的の研究会等をやりまして、災害復旧実施の適正を期しておるような次第でございます。
  110. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 私が伺いたいのは——そういうような一般的な御方針で災害復旧その他修築の工事ができるということになるのでしょうが、それにもかかわらず、やはりここに批難されているような幾多の工事上の不正な事実が暴露されておるのであります。こういうふうになりますのは、これはその事案の一々によって見ねばわからないかもしれませんけれども、少くとも補助費だけで事業を完成しようという小さな事業主体——県等はそれがないと思いますけれども、事実上の小さな事業主体になりますと、そのような場合には相当な陳情運動、設計その他について経費が要るんじゃないかということを実は心配しておるのです。そこを聞きたいのです。今、陳情はなるべく書面で審査して実地の状態の把握——これはもとよりけっこうなことでありますが、現実は、国会開会中は陳情団殺到というのはごらんの通り。言うがごとくに、やはり陳情しなければなかなか用を足せないというような現地の実情なんです。だから御希望及び理想は理想といたしましても、従ってそういうような場合にいろいろな要らざる経費がよけい要るということが、これは共通した一つの弊害じゃないかと見ておるのですがね、この点についてあなたの経験を話してもらいたいというのが、私の尋ねる要点なんです。
  111. 黒田靜夫

    ○黒田説明員 御指摘のように陳情が予算期になりますと相当たくさん参ります。これらの陳情は、私どもはできるだけ進んで実情は聞くようにはいたしておりますけれども、できることならば言わんとするような陳情は、おおむね事前に書類等によってわかっておりますので、陳情がないことを希望をいたして、本来の職務に邁進できるようにいたしたいと考えておるのでございますが、陳情があります以上、来ればやはり一応話は、現地がわざわざ来るのでございますから、これを詳細聞き取るというのも一つの職務になるんじゃないかと考えておるのでございまして、この陳情は、県の場合あるいは市町村の場合、そういったような公共団体を中心にしまして、それを構成しておる議会の方々も一緒に、市議会なりあるいは村議会、町議会の方が一緒においでになるような場合が間々ございまして、私ども実務を担当しております者は陳情責めには相当参っておるような現状でございます。
  112. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 あなたの方が地方へ出られたときには、地方におきましては接待、みやげもの、そういう経費が相当たくさんにかかるという、そういう弊害はないのですか。
  113. 黒田靜夫

    ○黒田説明員 公共事業をやって、修築の補助を交付いたしまする関係上、現地の実態の把握は十分やらなければなりませんので、ときに必要に応じて港の特別の視察をやることもございますし、また一般的視察もやり、工事の促進なり工事の能率向上に努力をいたしておるような次第でありまして、現地に行きました場合に、地元の公共団体あるいは関係の方々、多くの人の歓迎会に出席することはございます。
  114. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 検査院の指摘せられておるのは、大ていある段階まで工事が進捗した後らしいのでありますが、事前に見るならば、より多くの被害が未然に防がれたのではないか、こうも考えられるのであります。そこでそういうような場合には、一面におきまして工事監督というものが十分に行われておらぬということも考えられるのではないであろうか。そこで工事の監督は、これは事業によりましょうけれども、修築の場合あるいは復旧の場合は違っておるかもしれませんが、運輸省といたしましては、こういうように指摘をせられる以前に、未然にこのような事実を防ぎ得る、こういうような段階が工事監督の途上においてあるべきではないかと思うのですが、その点についてはどういうことになりましょう。
  115. 黒田靜夫

    ○黒田説明員 御指摘の通りでありまして、工事の事前においていろいろと監査を厳重にいたしますと、相当の不当なり不正を防止することができるのであります。一例を申し上げますと、昨年二十八年度以前の全災害の再検査を計画的にいたしたのでございます。二十八年度以前の全災害は、金額にして二百二十二億余円、それから件数にいたしまして七千二百二十六件あるのでございますが、これを昭和二十九年の八月までに全面的に再査定を実施いたしました結果、不要不急の整理あるいは工法の修正、設計過大の是正等をいたしました結果、金額で大よそ十四億の削減を見ておりますし、また件数で千二百五十件を削減いたしておるような実例がございます。また工事の途中におきまして、中間検査なりあるいは工事が終りましたときの竣工認定等も厳重にいたしまして、これらの不正あるいは便乗工事の防止ということに全力をあげてできるだけこれを削減するように努力いたしておるのでございます。
  116. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 二十年の検査につきましても二十七年の補助金——番号は一五二一ないし一五八六、大体同種類の事項でありまするので、共通関係が多いと思いまするから、一括して伺います。運輸省におきましてこの種の補助事業に対しまして、財政力の貧弱な町村が事業主体の場合に、すでに工事は竣工をいたしておるのにいまだ補助金を交付いたしておらぬという実例は全国的にはないのでございましょうか。
  117. 黒田靜夫

    ○黒田説明員 災害復旧工事と修築と二つにわけて考えてみたいと思いますが、修築につきましては、補助金を出しまして、補助金に相当する地元の負担だけの仕事を毎年やる建前になっておりますので、この件につきましては補助が遅れておるようなことはございません。災害復旧工事でございますが、災害復旧工事は、非常に大きな災害が起きますると、従来の方針通り三カ年でこれを復旧する方針ではございますが、地元といたしまして受けた災害を応急に復旧したい、あるいは災害が二度来ないように、地元の負担で仕越し工事つまり災害額が決定いたしておりますので、それに見合う補助が来ない先に工事を先んじて行う場合が間々あるのでございますが、これらの仕越し工事に対しましては、できるだけ補助の交付をいたしておりまして、現在仕越し工事に対する交付金の残っておる額はそうたくさんはないかと思います。これは相当こまかい資料になりますので、一々現地に聞き合せなければわからぬと思います。と申しますのは、現地では事業主体が市町村なり県でございますので、災害が大体決定いたしますると、従来の例によりまして、公共事業のワクがきまっておりますので、今年は補助金はこの程度だという見当をつけてやるのでありますから、おおむね残っておるものはそう多額にはならぬ見込でございます。
  118. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 これはお調べの上、全国的に補助の残っておるという数、額、すなわち工事の事業主体、補助額等を一つ資料として当委員会にお出し願いたいのであります。その点はやはり実情といたしまして、おそらく貧弱な町村が事業主体の場合には、急を要する資金を臨時に借り入れまして、それで事業をする、利息を払わなければならぬ、まだ補助が来ない、竣工はしておる、検査も終了しない、こういうことは相当あるのではないかと思うのであります。半面から見ますると、そういうことで法律に規定しておる以外に事業費の負担がかさんで参りまするので、その負担をどうして埋め合わすかというようなことになって、おそらくはその次の他の工事等によりまして、何らかの手抜きその他の方法で利益を上げよう、あるいは経費を削減しようという手を打つ原因になると思うのであります。これはほかの省における事業とも共通した現象でございまするので、あなたの方としては少なければけっこうと思いますけれども、いずれにいたしましても、日本の補助事業の一つの大きな弊害でないかと見ておるのであります。法律によって補助をしなければならぬ建前にあるものが、事業主体に仕事をしっぱなしにさしておいて、補助を出さぬというようなことがたとい一つでもありましたならば、やはりそのよって来るところを厳重に調べて、処理をするという方法を講じなければならぬのではないかと思うのであります。これは資料としてぜひお取り寄せ願っておきたいと思いますが、よろしゅうございますか。
  119. 黒田靜夫

    ○黒田説明員 御指摘の補助の残りですが、修築分に対しましては先ほど申しましたようにございません。積極的な改良建設でございますので、政府が認めない限り地元で先んじてやった場合は、全部地元の負担になりますのでございませんが、問題は、災害復旧工事だと思います。災害復旧工事では、査定額に対しまして、法律的にそれだけの額を出さねばならぬことになっておるのでございますが、大体は出ておるのですが、あまり重要でないようなところは予算のわくがきまっております関係で、そこまで手が伸びないようなところがないでもないと考えます。それでこの資料を集めるということでございますが、これから出先の方に照会を出すわけでございます。そういたしますと、先ほど申しましたように大体災害の全額が二百二十億で、件名が七千二百もございますので、照会を出して返事を取りますのにある程度の時日がかかりはしないかと思いますので、その点お許しを願いたいと思います。
  120. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 日時がかかってもよろしゅうございます。やはり私どもといたしましては、非常に重要な資料と考えますので、それは全国的にお取り願って、本委員会に提出されんことを希望いたします。
  121. 上林與市郎

    上林委員長 日数がかかってもよろしいそうでございますから、それでは出して下さい。  運輸省関係について、他に御質疑はありませんか。——別に御質疑もないようでありますから、以上をもちまして、本日予定いたしました通商産業省及び運輸省両省所管についての質疑は一応終了いたします。  この際御了承願いたいことがございます。本日は、会計検査院からの昭和二十六年度決算検査報告及び昭和二十七年度決算検査報告に関する概要説明を便宜上省略いたしたのでございますが、会計検査院より委員長の手元に概要説明書が来ておりますので、諸君の御参考に資するため、本日の会議録末尾に掲載することといたしたいと思いますので、御了承願いたいと思います。  次会は明二十九日午後一時より開会し、郵政省、電気通信省、日本電信電話公社及び労働省関係について審査を進めます。  本日はこれにて散会いたします。     午後四時四十二分散会