運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1955-06-29 第22回国会 衆議院 外務委員会 第25号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年六月二十九日(水曜日)     午前十時三十四分開議  出席委員    委員長 植原悦二郎君    理事 大橋 忠一君 理事 菊池 義郎君    理事 須磨彌吉郎君 理事 穗積 七郎君    理事 戸叶 里子君       伊東 隆治君    楠美 省吾君       夏堀源三郎君    並木 芳雄君       山本 利壽君    犬養  健君       福田 篤泰君    渡邊 良夫君       稻村 隆一君    高津 正道君       細迫 兼光君    森島 守人君       西尾 末廣君    松岡 駒吉君       岡田 春夫君  出席政府委員         外務政務次官  園田  直君         外務省参事官  矢口 麓藏君         外務事務官         (国際協力局         長)      河崎 一郎君  委員外出席者         外務事務官         (欧米局移民課         長)      種谷 清三君         大蔵事務官         (主計官)   谷川  宏君         専  門  員 佐藤 敏人君         専  門  員 村瀬 忠夫君     ————————————— 六月二十八日  委員松平忠久辞任につき、その補欠として松  本七郎君が議長指名委員に選任された。 同月二十九日  委員高岡大輔辞任につき、その補欠として楠  美省吾君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  日本海外移住振興株式会社法案内閣提出第一  三六号)  国際情勢等に関する件     —————————————
  2. 植原悦二郎

    ○植原委員長 これより会議を開きます。  日本海外移住振興株式会社法案を議題といたします。通告順によって質疑をお許しいたします。大体二十分見当で一つ願いとうございます。稻村隆一君。
  3. 稻村隆一

    稻村委員 今度の会社は、中南米を主たる目的としているのですか、それをお聞きしたいのです。
  4. 矢口麓藏

    矢口政府委員 現段階におきましては、さようでございます。
  5. 稻村隆一

    稻村委員 実は私個人としてはこの法案に対して賛成なのです。ところがたまたま私の知っている人が南米アマゾンに行っておりまして、それから手紙を実はもらっているのです。それからこの間も、南米アマゾンを視察して帰った私の友人のある有名な学者と評論家、この人たちも、私にどうしても国会でアマゾン移民のことを問題にしてくれ、こう言うので、私実はそのことについて詳細に聞きたいと思うのです。前から移民会社は評判が悪く、移民の頭をはねるとか、無責任の送り方をするとか、いろいろあったのですが、私はアマゾンというところは、どういうところか知らぬけれども、地図で見る、全欧州よりかずっと広い。なるほど資源もあるかもしれないけれども、これは市場が、非常に遠くて、鉄道の一番近いところでも二百キロぐらいある。そして市場が遠いところはこれは常識上困るにきまっておる。そしてブラジル政府としては、ブラジル人に盛んに行けということをいっておるし、ブラジル人地主等自分所有地を開墾したいのだが、ヨーロッパ人ブラジル人はだれも行かない。そこで日本移民に目をつけたのですが、ところがそういうことに対していろいろの非難があるわけです。今度政府移民会社を作って、監督を厳重にやるということはけっこうですが、移民棄民じゃないのですから、何といってもその人間生活基本的人権を擁護するものでなければ、これはやっても何にもならない。ただ移民会社の金もうけの犠牲になるだけだ。この間もこういう事件があったわけです。サンパウロ市の日本人インテリ団体の土曜会の人たちがこっちに来たときに、中央公論主催座談会があった。アマゾン移民は三代目にはサルになる、こう言ったところが、危うく国外追放になるところだったわけです。そういう事実がある。それで私がいろいろ報告を受けたところによると、アマゾンといってもいろいろあるけれども、大体アマゾン一帯は表土が浅くて、天然物は何千年たっているかわからないからたくさんあるけれども、しかし実際上これを植えて育ててみるというと、よく育たない、ゴムなんかもそうだ。フォードが開拓したヴェルティラ・ゴム園というものは全然さびれておるわけで、南方植林ゴムが発達してから、天然ゴム以外は見込みがないような状態になっておる。そういうところに、日本人に対して何の施設もなく、ジャングルに追い込むということは許すべからざることだと思う。かりに現地大使館等に聞いても、実際はちっとも行って見ておらないそうです。これは中野好夫氏も言っておりました。外務省人たちは全然だれも見に行っていない。そういう状態なのですが、それに対してよく当局としては調査しておるのかどうか。私はだんだん質問したいと思いますが、まずそのことをお聞きしたいと思っております。
  6. 矢口麓藏

    矢口政府委員 お答え申し上げます。主としてアマゾン移民に対する御質問と考えますが、アマゾン移民実情をまず最初に申し上げますと、終戦直後、わが方の移民ブラジル受け入れましたときには、アマゾン並びに中南伯にも日本移民受け入れておったのであります。ちなみに申し上げますが、御承知通り移民には二つございまして、集団的に参ります開拓移民と申しておりますが、そのほかに雇用移民といいまして、向うに行って使用人になる移民でございます。この二つがございますが、アマゾン移民の方は主として前者、すなわち開拓移民の方が大部分でございます。ただいまの御質問はその開拓移民に関するものと了解されますので、その含みでお答えを申し上げますと、先ほどちょっと申し上げましたように、初めてわが方の移民受け入れますときは、南も中部も北も入れておったのでありますが、終戦直後少しごたごたがございまして、最近は南方においては集団的な日本移民はあまり歓迎せぬということに相なったのであります。従いまして去年あたりは主としてアマゾン方面に参っているのであります。河の施設もないというわけじゃございませんので、これはブラジル側では憲法の規定によりまして、歳入の三分だけはブラジル開発のために使用する、こういう工合になっておりますけれども、いろいろな事情ブラジル側にもございまして、必ずしもそういう通りには実行されておらない点もありますけれども、一応はそういう工合な運びに相なっております。現に私見て参りましたけれどもさようであります。  それから日本側では何もしてないじゃないかということでありますが、今お説の通り、何しろ欧州全体のような広さでございますから、なかなか手が届きかねて困っておりますけれども、現地大使館領事館の者も最近はしばしば現地に行って実情調査しておりますし、そのつど報告もきております。また東京からも海外協会連合会あるいは地方の海外協会の方も、また外務省の者もしばしば最近行って、できるだけの実情調査に努めておりますが、何しろ範囲が広いのと予算等の制限がございますので思うにまかせず、まことに残念しごくにこの点は存じております。  そういたしまして、今後どうするかと申しますと、今申し上げたような事情でございまして、受け入れ態勢がなかなかうまくいきませんので、今年度はアマゾン方面よりもほかのもっと有利な方面に出したい、こう考えております。
  7. 稻村隆一

    稻村委員 それからこれも私は人権尊重の上からどうしても政府の方に責任を持ってもらわなければならぬと思うのですが、監獄部屋を張って日本人を押し込んでおる事実がある。ブラジル役人移民会社監督下に全く移民に自由を与えていない。それはマナウスに近いところの新しい日本人入植地ですが、そこが川の中の離れ島のようになっておる。船に乗らなければ町へ出れない。その船をブラジル役人は押えて、百家族の部落ですが、一週間に七人しか出入を許さない。たびたび出る者は逃亡のおそれありとして逮捕命令を出しておる。それがために、アマゾン奥地からサンパウロ市までは東京からシンガポールまでの間の距離があるそうです。それで逃げて帰れた者はいいけれども、逃げて帰れない者は十年働いてもサンパウロまで出る旅費を作れない、こういうふうな状態になっておるのです。そういうふうなことを一体外務省当局はよく知っておるのでしょうか、これは実際上向うから間違いのない情報として私の方に入っておるのです。
  8. 矢口麓藏

    矢口政府委員 私自身も去年の暮れに向うに参りまして、マナカブールというところのお話だと拝察いたしますが、実はこの記事といいますか話は新聞に一度出まして、その書いた人とわれわれ話したことがございますが、これに関連しましてベレンにある領事館から行って実情調査いたしましたけれども、今の監獄部屋のごときそういうことはないという現地から報告がきております。しかしそういうような不自由があるのは事実であろうかと思われますので、今度移民政策を新たにするに当りまして、できるだけ御期待に沿うように改善するために最大の努力をいたしたいと思います。
  9. 稻村隆一

    稻村委員 そういうところへ入れるのは何といっても絶対けしからぬですよ。一方引き揚げだの海外発展とか国のためだということを言っても、その人間生活を守らなければ何にもいいことはない。日本人間ヨーロッパ人ブラジル人の行かないようなところへ棄民として送るということは、これは実に無責任きわまる。この前から私ずいぶん移民問題の研究もしたことがあるのですが、もう二十年くらい前からそういう例はしばしばある。なるほど南米へ行って成功しておる人もあるのですが、しかしずいぶん無責任な移民政策によって犠牲になって死んでおる人も多いわけです。そういうことは当局としてはよほど注意してもらわなければならぬと思うのです。  六月十三日の朝日新聞にも出ておりましたが、例のアマゾン中流ドラドス松原移民の問題ですが、この人が前に自殺したヴァルガス大統領と親友だというので、マットグロッソ州のドラドスに広大な土地を獲得した。そうして第一期松原移民は約二百家族日本の各県庁で選考しております。そうして日本政府から渡航費の援助を受けて入植したのですが、脱出者が続出をした。本人も失意のうちに帰国しなければならぬというふうな実情になっておるのですが、そのことを外務省ではよく御存じですか。
  10. 矢口麓藏

    矢口政府委員 お答え申し上げます。二つ質問があったと思いますが、第一の棄民である、無責任であるということに対しましては、われわれもブラジル移民の、特にアマゾン移民のことについては日夜その対策に悩んでおる次第でありますが、先ほどもすでに申し上げました通り、一昨年の末から去年にかけましての情勢におきましては、アマゾン唯一の行きどころであったような状態でございましたし、しかして先ほどお話がございましたように、アマゾンに入りますと二代目にサルになる、三代目にサルになるといううわさが昔からございまして、しかしてわが移民があそこに入りまして、御承知のことかと思いますが、ジュートコショウでありますが、この二大産業アマゾンに打ち立てまして日本人の成果、実力というものは広くブラジル人に今日買われておるのでございます。従いましてアマゾンに参りました者が全部棄民になったかといいますと、決してそういうわけじゃございませんで、今申しましたジュート並びにコショウ栽培者は非常なる成功をいたしておるわけでございます。現在はそのほかに麻とかあるいは米とか、あるいはゴム先ほど説明のような困難がございますが、その他の種々の永久作物を作るためにいろいろ努力はしておるのであります。ただ移民はある程度の危険は伴いますので、なるたけこの危険を少くするために今後も一そう努力するつもりであります。  それから六月十三日の新聞に出ました松原移民につきましては、この松原氏は御説の通り終戦ヴァルガス大統領から五千家族日本人入植の許可を取りつけてくれた功労者でありますけれども、彼のやりましたことは不幸にして一応失敗といいますかけちがついたような形になっておるのであります。その理由は先ほどおっしゃられました通り、第一には自分の企業の失敗もあります。それから自分の名において引き入れた移民失敗もございます。第三にはヴァルガス大統領の死という三つの事件が重なりまして、一応失敗したような形になったわけでありますけれども、政府としては、彼が五千家族のコンセッションを取りつけた功労に対しては、非常にこれを多とする気持は持っており、何らかの形でこれを具体化したい、こう考えております。
  11. 稻村隆一

    稻村委員 それで、そういう不用意な移民をやることは、これはどうしても追及しなければならぬと思うのですが、大体満州移民のことは私よく知っておりますが、満州移民なども、全部じゃないですけれども、実にひどいやり方をしておった。それと同じように、いやしくも日本人間向うへやるときに、そういう不用意なやり方をやって、そうしてジャングルの中で苦しめるというふうなことは、これは実際人道上重大問題であります。そういうことを平気でいて、一方では成功した者があるなんということでは、これはとうていそれによって納得できないのです。なるほどあそこでは、コショウ成功者はたくさんあるそうです。コショウもこれはコショウ景気に乗っているのだから、あまり将来性はないそうです。そこの人たちは、何十年の間奴隷的な生活によって非常に苦しんだわけですが、そこにやはり新しい日本人が行きますと、ちょうどしゅうとのような気持で、自分たちも昔はひどい目にあったのだから、お前たちはもっと働かなければいかぬというようなことで、非常に奴隷労働のような生活をしいるのです。そこへ入って今成功している人々の間には、常に対立があるそうです。そういうふうな事実があるのです。ですから、よほど考えてやっていかないと、ただ移民を送ればいいというようなやり方、たとえば一部の悪評のある政治屋とかそういう者の宣伝によって、またそれに動かされて、何ら農村問題も、それから農民生活のことも、移民政策のことも知らない外務省当局者が、そういう無責任なことをやって、そうして現に多くの同胞を餓死させたり、ひどい目にあわしているというふうなことは、これは実に許すべからざることであると私は思うのです。  それで松原移民の問題ですが、これもはなはだ不用意なことで、これを政府が援助して軽々にやったということが間違いなので、失敗とか成功とかいうことは、一年や二年でわかるものじゃないのです。ただ移民をさせて、その移民をした人たち生活をほんとうに守る方向にあるかどうかも、仕事がうまくいくかどうかというその方向がきまるだけであって、今すぐよくなるとか何とかいうことはないのですが、松原移民についても、実にひどいことがあるのです。その松原移民から脱出した斎藤医学博士の話によれば、県庁で作成された契約書に出ている家屋、生活費の支給などに関する条項が、現地では何一つ実行されていない。これまでの費用は全部移民の借金となって、しかも借用証は鉛筆で書かれ、金額がはっきりしないものに署名せよと言われた。現地で手に入る日用品は、何でも市価の二倍以上である。現地に着いたときは約束の病院、学校はもちろん、家も井戸もなく、二キロも行って谷水をくんでこなければならぬ。それから移民監督やその手先がピストルを持って唯一の通路を扼し、入植者自由外出はもちろん、外来者出入さえも許さない。こういうふうな事実があるのでありまして、南米移民の背後には血の出るような悲惨な話があるのです。むろん天国に行くわけじゃないから、苦労するのは当然だけれども、そういうふうな、人権を全く無視したような移民をやって平気でおるようなことは、これは実に私はいけないと思うのです。  それから、これは松原移民だけじゃない。あのマナカプール辻移民に対しても同じであって、そこも全く受け入れ態勢ができていない。何を作っていいかわからなくて、行った者は二十数種の作物を、試験的に作って、ここでは何が向くかということをこれからやるというふうな状態で、実にひどい状態になっている。逃げて帰ろうとしても帰れない。とにかく奥地からサンパウロまで来るには東京からシンガポールの間ぐらいあるから、どうにもならぬというふうなわけです。成功しているのは下元健吉という人のやっているコチア産業組合、これだけが実にうまくいっている。ところがほかの方はそのような失敗をしているのに、そういうこともあるが、一方において成功もしているというふうなことを言って何気なしに考えておったら、これは大きな人道上の問題であって、いやしくも当局者日本の国民を送るときにおいて、その人間生活とかあるいは将来性を考えないで、ただいいかげんに、松原移民とか辻移民とかいうふうなものに、県庁機関を通じ、政府機関を通じて農協あたりから人を呼び集めて連れていくということは、実にけしからぬと思うので、もしこの会社ができても、同じように一部のブローカーみたいな者にやらせるものであるならば、私はこういう会社には反対せざるを得ない。これは実に重大問題ですよ。どうです、そういう松原移民辻移民に対して、外務省は正確な情勢をとっておりますか。
  12. 矢口麓藏

    矢口政府委員 一つ一つ私から御返事を申し上げることにいたします。しゅうと的なものがある云々ということにつきましては、このコショウ製作その他については、そういう傾向はあるようでございます。といいますのは、コショウを作って今日の大成功をしたその陰には、おっしゃる通りの非常な苦労があったようでございまして、その苦労を、あとから来た者に簡単に均霑されては困るといったふうな気持はあるのでありまして、やはり自分らと同じとは言わぬにしても、ある程度の苦労はしてもらわなければ困るというような苦情は、しばしばわれわれの方にも報告がございます。  それから無責任にあそこに人間をほうり込んでいるということは、われわれはそう無責任という形じゃないと思っているのであります。できるだけの調査はいたしているつもりでありますが、先ほどから申し上げます通り非常に範囲が広くて、また予算的な措置も十分でないものでございますから、なかなか意にまかせず因っている次第であります。今その一例として、辻機関のやっておりますマナカブールお話がございましたけれども、これは私去年の秋向うに行って現実に見てきましたが、マナカプール受け入れ態勢は非常にいい。ほかに類例のないほど非常にいいところでございます。ただおっしゃいました通り、どういう適作物を作るかということが問題でございまして、今おっしゃられたように政十種の、あるいはそれ以上のいろいろな植物を取り寄せて、適作物の発見に努力しているという実情であるのは事実でございます。何も調査もしないで送り込むというわけではございません。  それから今度できます会社は、こういったふうなことが起らないようにするのが一つのねらいでございます。といいますのは、このマナカブールにいたしましてもあるいはその近くにあるモンテアレグレにいたしましても、一番の困難というものは運転資金がないことです。たとえばトラックを買う金もない、あるいは脱穀機を買うような予算もない関係上、種々財政的な圧迫に苦しみまして、その結果おもしろからざる結果を生むということもございますので、そういったものを緩和したいというのが一つのねらいでございます。  それから松原氏のことや斎藤博士のことにつきましては、移民課長の方からお答えいたします。
  13. 種谷清三

    種谷説明員 松原移民は大体和歌山県を中心として送出したものでありますが、入りました当時、予定せられておりました融資がなかなか円滑に参りません。受け入れ施設等において若干の手違いを生じたのは事実でございます。また選考せられました移民のうちに、労働に適しない家族が混入いたしておりまして、当初の激しい肉体労働に耐え得ずして、ごく少数でありますが逃亡いたしましたり、あるいはしょっちゅう不満を述べるということで、なかなかうまくいかなかったのは、特に当初において事実でございますが、その後松原氏がブラジル銀行から約二千コントスの融資を得まして、それで一応息を吹き返したことになりました。その後は特にコーヒーを相当植えることができまして、今日ではごく一部の、十分な労働力を持たない家族はなおある程度難渋をいたしておりますが、大部分の者は円滑にいきつつあるという情報現地から参っております。
  14. 稻村隆一

    稻村委員 それではもうアマゾン移民などは当分絶対にやめたらどうですか。これは常識上考えられますよ。市場の遠いところへ農民を送るなんて、野蛮人にすることです。そういうようなばかなことを絶対にやる必要はないと私は思う。今後は軽率にアマゾン移民というふうなものは、絶対にやらないようにしていただきたいのです。これは調査に行かなくてもわかっています。アマゾンみたいな市場の遠いところで輸送力がない——コショゥなんかは飛行機で送ったって間に合うけれども、ほかのものは全然間に合わない。そういうようなブラジル人すらいかないようなところへ日本移民をやるということは、根本的に間違っていますよ。農業を知らない人が空想的にそういうことを考えるのです。ああいうところには絶対にやらないようにして、サンパウロに近いところでも、日本人などが農場を経営していてずいぶん人手の不足しているところがあるのですから、今度の会社としてはそういうところに呼び寄せ移民などで力を入れてもらいたい。ああいう市場が近いところは幾らでもあるわけです。大量に何十万も何百万も行くのなら別だけれども、どうせ幾らもやれないのです。年に五百家族くらいしか行けないのですから、そういうふうに危険のあるところへやるということは、私は非常にいかぬと思うのです。それでそういうふうな呼び寄せに重きを置くとか、あるいは既墾のところに重きを置いて移民を送る、こういう考えは当局にはないのですか。
  15. 矢口麓藏

    矢口政府委員 お答え申し上げます。今までの調査も、これは決して外務省だけでやったのではございませんで、農林省とできるだけの調査をやったつもりでございますけれども、なかなか意に満たなかったのはお説の通りであり、また私ども申し上げた通りでございます。それで私たちも今年度は、絶対とは申し上げかねるかもしれませんけれども、できるだけアマゾンヘは送らずにやっていきたいという根本方針を持っております。と申しますのは、先ほどもちょっと触れました通り、去年は南の方におきましては若干の呼び寄せ移民以外には入れてくれなかったものでございますから、仕方がなかったのでございますが、今年は幸いに南伯方面情勢がやや緩和いたしておりますし、それに新たに登場して参りましたドミニカ並びにボリビアという国がございまして、この方面に送出し得ることが可能になって参りましたので、本年度は、われわれはアマゾンには重点を置かないことにいたしておるのであります。  それから付加して申し上げたいと思いますのは、戦前の移民の九五%まではお説の呼び寄せ移民、すなわち雇用移民でありまして、これが移民の大宗でございます。戦後におきましても、私の記憶にして誤まりないならば、約六割近くの移民雇用移民すなわち呼び寄せ移民でございまして、これは一番安全な移民形態でございますので、われわれといたしましても、でき得る限り、農業移民については、こういう形態に送り出して御期待に沿いたいと思います。
  16. 楠美省吾

    楠美委員 関連して一言。ただいま稻村委員質問に対して、矢口参事官は、アマゾンには根本としてたくさん送らぬ方針だと言いましたが、実はアマゾンの支流にグァマ川という川がございます。これは農林省も非常に関心を持っておりまして、昨年われわれ六名の代議士が行った場合に、農林省はとくとそれを調べてくれと言いました。ここは非常に水田のできるところでございまして、約二百五十万町歩の水田ができるのでございます。日本は海外から米をたくさん入れておりますが、ブラジル方面からどんどん米ができて入った場合に、それだけ南米日本の物資がバーターで入るのでございまして、それはやはり先ほど稻村委員の言われたように、困った点があるのはありますけれども、私たちの視察した調査に関しては、一番優秀な村が評判の悪かったアマゾンにあるのでございます。私はヴァルガス大統領と自殺する二週間前に会った際に、ヴァルガス大統領は、よく来てくれた、君を待っておった、実はアマゾンの支流のグァマ川を日本農民にやってもらいたいのだ、これは水田のできるところで、ぜひ一つ超党派的にやってくれということを申されたのでございますが、いかにアマゾンは原始林が多くても、われわれは今原子力を使っていろいろな農業政策その他をやり得る時代になっておるのでございまして、多数の日本人を入れるのには、どうしてもアマゾンというのを取り上げなければいかぬ。特にそこにはグァマ川という二百五十万町歩の水田のできる川があるのでございまして、やはり代議士諸公もいろいろ勉強しておるでありましょうが、それ以上に外務省の専門家が勉強しているのでございますから、いろいろの質問がございましても、断々固たる方針をもって外務省はやってもらわなければいかぬと思いますが、矢口参事官根本的にアマゾンにたくさん入れない方針というのは、それは本気で言っておるのですか、それを一つ承わりたい。
  17. 矢口麓藏

    矢口政府委員 お答え申し上げます。根本的に入れないと私は申し上げた記憶はございません。ただ今年度はアマゾン移民はあまり重点を置かないつもりだ、こう申し上げたつもりであります。お説の通りあのグァマ川の水田事業につきましては、これは非常に有望でありますが、ただ相当の資金を必要といたしますので、この資金の獲得、ブラジル側並びに日本側から融通がつけば、ぜひこれは敢行しなければならぬことでございます。ただ本年度においてそれだけの資金のめどは、今度の会社におきましてもこれだけのものをかかえ込むのは困難じゃないかと思いまして、果して今年度にこれを完遂し得るかいなかは疑問なのでございます。繰り返して申し上げますが、今年度はアマゾン移民につきましては、去年のようには重点を置かずに、ドミニカとかあるいは南伯、ボリビア方面に重点を置きたい、こう考えておると申し上げたつもりでございます。
  18. 菊池義郎

    ○菊池委員長代理 稻村君、だいぶ時間が経過しておりまして、あとにまだだいぶ質問者がおりますから、どうか簡単にお願いいたします。
  19. 稻村隆一

    稻村委員 私も、アマゾン移民を将来とも絶対にやるなというのじゃなくて、ああいうところへやるには十分な準備と受け入れ態勢を作って入れろ、こういうのです。決して入れるな、こういうのじゃない。だから現在受け入れ態勢ができておらぬのだから、受け入れ態勢ができるまでこれを待ったらどうか、こう言っているのです。原子力ができて開発になるならこれは大いにいいと思いますが、私はまず既墾地からやれというふうなこと、矢口参事官もなるべくそういうふうにすると言われましたが、そこで私は南米移民は、南米のことはよく知りませんけれども、いろいろ情報を取り調べたところによりますと、コロンビアとかドミニカとかあるいはボリビアというふうなところは、日本移民を送ってもブラジルアマゾンのような悲惨なことになるようなことはない。むろん準備も必要であるけれども、大した準備もなくて行ってすぐ邦人が農耕に従事できるような所じゃないかと思うので、そういうふうなコロンビアとかあるいはドミニカ、あるいは今村代議士が計画をして死なれたのでありますが、ボリビアとかいうところに移民を送るような計画を今外務省はしているかどうかをお聞きしたいと思います。
  20. 矢口麓藏

    矢口政府委員 お答え申し上げます。先ほども触れました通り、最近に至りましてわが方に好意というか、移民受け入江態勢を示しておる国の一つにボリビアがございます。それからドミニカがございます。それで最近十五家族ばかりボリビアに向けて出発いたしておるのでございます。引き続きまして送るため、移民協定を作ってからの方が、移民向うに定着してから安心して仕事ができると思いまして、また今後の送出のためにも便利であると確信いたしまして、ただいま移民協定の作成に両政府において寄り寄り努力中でございます。それからコロンビアにつきましては、コロンビアに直接参りました過去の移民というものは少うございまして、ブラジルその他から流れ込んだような者が約二、三千人おるのでございますが、ウズラ豆その他において相当の成功者といいますか、うまくいっているような実情でございます。ただ遺憾ながらコロンビアは日本移民を歓迎する、来てほしいという態度は現在のところ示しておりませんので、今度は向うの呼び寄せに若干は別といたしまして、相当数の人間を送り込むという計画は立てずにおる次第でございます。
  21. 稻村隆一

    稻村委員 この会社のことですが、矢口参事官説明書か何かによりますと、私はこの会社は非常に監督を厳重にして政府が一切指導してやらないといかぬと思います。これはむろん政府の出資もあるけれども、やはり普通の営利会社になる危険性が多いのです。それで移民ブローカーなどがばっこする危険性が多いのですが、あなたの説明を見ますと、公社にすると南米の国家意識的傾向を刺激するから、誤解を受けるから、こういうことが書いてありますが、私はこれは国策会社にして厳重な監督のもとにやらないといかぬと思うのですが、その点どうなのですか。
  22. 種谷清三

    種谷説明員 この会社は第一義的には商法の適用を受ける株式会社ではございますけれども、その認可その他の監督条項についてごらん下さればおわかりの通り、非常に厳重な政府監督を受けるようになっております。ただいまのお話通り、厳重な監督を受ける国策会社であるというお考えに近いのではないかと私どもは考えております。
  23. 菊池義郎

    ○菊池委員長代理 山本君。
  24. 山本利壽

    ○山本(利)委員 移民問題がわが国の人口問題解決の一助として非常に奨励されなければならぬということは事実でございますが、移民として渡航いたします者のまず懸念するところは、先ほど質問のありましたように、かの地へ行ってから非常な苦労をするのではないかという点と、さらに遠き将来において自分たちの辛苦が報いられるかどうかということであります。戦前にわが国民がどんどん流れ込みましたのは朝鮮、満州でございまして、ただいまはその方向移民を送ろうというのではありませんけれども、そこに財産その他を残しておって、今、日本人の多数が朝鮮、満州の問題について重大なる関心を持っているのでございます。先般外務大臣に御質問申し上げましたときには、日韓交渉あるいは北鮮との交渉開始ということは、今のところなかなか困難なようなお話でございましたが、ここ数日来の新聞によると、アリソン米大使が日韓両国の融合をはかるために努力しておられるような記事が載っております。もちろんこれはわが政府からの依頼によるものではないと考えますけれども、こういう際にこそわが政府は日韓問題等についても柏車をかける時期ではないかと思うのでございます。ちょうど園田政務次官も御出席でございますから、まずこの点について当局はいかように考えておられるか、御答弁にあずかりたいとい存じます。
  25. 園田直

    ○園田政府委員 先般御報告申し上げました通り、アリソン米大使が韓国に渡っておりますが、日本と韓国との間の国交調整をアリソン大使に政府が要請をいたした事実はございません。アリソン大使が韓国に渡りまして、諸種の任務の中に日本と韓国の国交調整に奔走しているという新聞記事は拝見をいたしておりますが、これに関する何らの正式な通牒あるいは情報等は受け取っておりません。  日本と韓国の問題は御承知通りに戦後非常に緊迫の度を逐次加えまして、拿捕船の問題その他領土の問題あるいは漁業の問題等なかなか多数の問題を含んでおりまして、先般は韓国におきましては排日の暴動が起るような状態でございました。日韓交渉については仰せの通り、いろいろ努力をいたしておりますものの、今日ソ連と中共との国交調整や貿易の問題等が進められております段階にありますときに、新聞紙上等で北鮮との貿易あるいはその他の問題が取り上げられておりまして、北鮮と日本が通商なり国交を開くのではないかというようなことが、韓国の李承晩大統領の神経を非常に刺激しているようなわけでございまして、これも一つの理由になっておると思います。先般鳩山総理が金公使と会談をしましたときに、その点について金公使の質問に対して、そういう意思はないということを言明されまして、その後緊迫した韓国と日本の間が何らかお互いに話し合いをしようという方向に、向いてきておるのではなかろうかという感じを持っておりますので、仰せの通り、この時期に極力国交を調整しようと考えております。
  26. 菊池義郎

    ○菊池委員長代理 山本君にうっかり発言を許可いたしましたが、移民会社の方を先に片づけるように理事会の申し合せがありますから、移民会社の方を一つお願いします。国際情勢のことはあとにしてもらいたいと思います。
  27. 山本利壽

    ○山本(利)委員 先般、矢口参事官の御答弁によれば、日本が送り得るならば一年間に約五万人の受け入れ可能な国があるということでございましたが、今回の日本海外移住振興株式会社というものが設立されて、それの活動が一応軌道に乗ったらということは、一、二年後になるかもわかりませんが、どの程度の移民を毎年送り得る可能性がありますか。
  28. 矢口麓藏

    矢口政府委員 この移民送出の現段階におけるかぎといいますすか、一番大きな要素は渡航費でございます。渡航費の多寡によりましてどれだけの人間を送り得るかということにかかっておるのでございまして、今度できます移住会社の発展性とは直接の関係はございません。御承知と思いますけれども、今度の移住会社現地におきます農業、工業並びに漁業等の仕事を援助するものでありまして、もちろんこれは移民を含むものでありますが、渡航費とは関係ございません。二、三年の後にどれくらい人間を送り得るかということは、どれだけの渡航費を国庫から支弁してもらえるか、船賃をどれだけ下げるかということに関連してきまるのだと思います。
  29. 山本利壽

    ○山本(利)委員 ただいまの御答弁は、私まことに不可思議だと思うのでございます。今回御提出になった法案の第八条の第一項一号に「外国へ移住する者に対し、渡航費を貸し付けること。」となっております。一番最初に掲げてあるこの条項が全然あなたの頭からのいておるということは、私はまことに不可思議なことであると思います。
  30. 矢口麓藏

    矢口政府委員 この第八条第一項にお説の通り資金を貸し付けるということをうたってございますが、九条のところに参りますと、この金は、予算範囲内において云々ということで、国庫から支弁するということになっておりまして、これは今度の借款とは別なのでございます。
  31. 山本利壽

    ○山本(利)委員 それではあらためてお尋ねいたしますが、渡航費の貸付ということは国庫がするのであって、会社渡航費には関係がないとおっしゃるのですか。この点、私先般来民主党の政策委員室等でいろいろこの法案のできますまでに伺っておったこととは非常に違うように考えます。その点明瞭にお願いいたします。
  32. 矢口麓藏

    矢口政府委員 御答弁申し上げます。現在御承知通り渡航費の貸付といいまするものは、海外協会連合会外務省の意を受けてやっておるのでありますが、今度はこの渡航費の貸付の仕事を新移住会社にやらしむるというのが今度の法案の内容でございます。従いましてこの回収の仕事もこの新移住会社がやるという建前になるのであります。
  33. 山本利壽

    ○山本(利)委員 その点私さらにこの法文をよく研究いたしまして御質問をいたしますが、先ほどの御答弁によると今度の会社は先方での事業を援助するのである、しかしその事業というのは、私はこの法文を受けての感じから申しますと、これから渡航する者に対して渡航費も貸せるし、同時に向うへ行ってからの事業を助けるための費用を貸すものであるというふうに解釈しておったのでありますけれども、事業家が事業をして、そうしてその移民を迎えさせるように間接にその事業を助けていく、移民に対しては間接であるけれどもこの事業会社に対してこの会社が貸付をし、あるいは会社みずから事業をする、そういうことでありますか。
  34. 矢口麓藏

    矢口政府委員 今のこの渡航費は円貨でございますし、それから今度の借款の金は外貨でございますので、その関係からしても、外貨は外で使うということの方針をとっておるのでございます。今われわれが描いております構想では、この借款は向う農業をやる人たちの資金にしたい、あるいは農民を多数、あるいは漁民を多数、あるいは工業労働者を多数吸収するであろうところの事業に投資または融資いたしたい、こういう考えでございます。
  35. 山本利壽

    ○山本(利)委員 そういたしますと、この際にお尋ねいたしますが、今回の会社に対しては、政府は今年度において一億円の出資をすることになっておる。そうするとこの会社の総資本額というものは大体いかほどの予定でございますか。そして今度の借款の千五百万ドルというものは、それではそれを運用資金といいますか、その方へ回すのでありますか、あるいは何らかの形をとってそれも資本金の中へ入れようというのでありますか。
  36. 矢口麓藏

    矢口政府委員 お答え申し上げます。政府の資金は一億円でございまして、今度の予算の修正でいただいたわけでありますが、そのほかに予定しておりますのは、民間資本といたしまして五千万円くらいを想定いたしております。この金は国内におけるいわゆる諸経費等に充てることになるはずでございます。それから先ほど申し上げました通り外貨、すなわち千五百万ドルは外国において移民に関連するところの事業並びに移民自体に貸し付ける、こういう構想でございます。  それから言い落しましたが、この一億円は大体五年か、もっとかかります、毎年一億円くらいずつふやしまして十億円くらいの資本金にまで持っていきたい、こう考えております。
  37. 山本利壽

    ○山本(利)委員 第八条の第二項に「会社は、前項第一号の渡航費の貸付の事務を外務大臣の指定する団体に委託することができる。」とありますが、これは大体どういった種類の団体でありますか、予想されるものをお知らせ願います。
  38. 矢口麓藏

    矢口政府委員 お答え申し上げます。この「外務大臣の指定する団体」という意味は、現在海外協会連合会という団体がございますが、これはまだ法制化されてはおらぬものでございますからこういう文字を使ったのでありまして、すなわちこの移住会社は海外渡航費の貸付を海外協会連合会に委託する、その事務を委託するという趣旨でございます。
  39. 山本利壽

    ○山本(利)委員 私はその民間団体のことについてあまり詳しく存じないのでありますが、そういう団体があまりに多過ぎたから、昨年でございましたか、それを統合して海外協会連合会ができたように思っておるのであります。それが過去にどういう効果があったということは別といたしまして、今回ここに移民会社ができるならばそれに統合されるべきものであって、別個にそういう海外協会連合会というものを存置して、政府から会社に資金を流し、またその会社からこれに委託してというようなことは、いたずらに回り道をするばかりで事務の停滞を来たすのみであると考えるのでありますけれども、何がゆえにこの連合会というものを存置しなければならぬか、その点についての御説明を承わりたいと思います。
  40. 種谷清三

    種谷説明員 お答えいたします。私どもは、移民の事業のうちには、たとえば移民の募集、選考及び教育というような採算のべースに乗り得ない事業、それからこの会社が将来実施する業務のように採算のベースに乗るものと、二つながらあると思うのであります。そして採算のベースに乗るものと乗らないものとを一緒にしてやります結果は、従来の経験上特に移民の歴史について見る限り全部失敗をいたしております。私どもは現地の主として受け入れ態勢の整備にかかるこの会社が行う業務は、十分に採算のべースに乗り得るものでありますので、これはこれだけ抽出いたしまして一つの独立の機関によって実施せしめることが適当であるというふうに考えたわけであります。
  41. 山本利壽

    ○山本(利)委員 それでは海外協会連合会というものはこの新設の会社から——もとは政府から流れてくる金でありますが、それをこの会社から受け取って渡航費の貸付と、同時に現地におけるところの教育であるとか、衛生であるとかその他文化施設等の指導に当ろうというのでありますが、今日までその連合会は一体そういうことをした経験がありますか、その実績について承わりたい。
  42. 種谷清三

    種谷説明員 お答えいたします。今日まで連合会は現地におきましては、渡航費の回収事務を現地受け入れ機関と協力してしておりましたのが現地における仕事でありました。もっぱら国内において移民の募集、選考、訓練という業務に従事しておったのであります。
  43. 山本利壽

    ○山本(利)委員 それではこの問題は後日にまた機会を得て御答弁を願うことにしまして先を急ぎます。  今月の二十七日付の毎日新聞によると、政府移民促進のために十カ年計画を立てているということが載っておりましたけれども、計画そのものは新聞には出ていなかった。果してすでに十カ年計画はできておるのであるか、できておればその概要について御説明を承わりたい。
  44. 園田直

    ○園田政府委員 お答えをいたします。新聞に発表されました通り政府は今般移民に関する移民局の設置並びに移民会社法案をお願いしますに先だちまして長期の移民送出計画を作っております。概略は、十カ年間でございまして、一カ年間に約五万人、総計五十万の計画を立てておったのであります。しかるにこれをいまだ発表いたさずなお検討いたしておりますゆえんのものは、幸いに移民会社なり移民局というものの設置がお願いでき得るならば、その後これに伴い内閣に移民に関する審議会を設けることとなっております。この審議会におきまして移民に関する諸計画並びに年次計画等の審議をいたして、内閣総理大臣の諮問に答申することに相なっております。今日の移民の問題は、今までの、過去の移民の惰性を捨てて新しい移民の計画を立てなければならぬ時期であると政府は考えております。先ほどから稻村委員から数点にわたる御指摘を受けましたる通りに、今日われわれが考えておりますものは、今までの、過去の移民は国家の国策の一つの手段として日本国の足場を築くという立場から、国内で団体訓練なり日本的な訓練をやって向うに送っておりました。あるいはまた一面先ほど御指摘にありました通りに、日本人に働く場所を与えるという意味の移民というよりも、むしろ受け入れる側は、自分たちの国民で解決できない原始的な困難な土地の開拓に、日本人を利用するという意味の移民受け入れもあったことは事実でございますので、そういう面からこの際一擲をいたしまして、戦後の各国の外交の方針に従い、富と人類の再分布という方針から、話し合いによってお互いの国民に働く場所を与えるという意味の基本方針移民外交に変っていかなければならぬと考えております。従いましてそういたしますと、そこに一つ移民計画を持ちまして御相談をしなければなりませんが、その際注意をしなければならぬことは、今日日本移民の障害となっておりますことは、かつてのごとく日本が国策の一手段として、日本国家なり国民の足場を築くのではなかろうかという点が、非常に各国に対して誤解を与えておりますので、国家の国策の一環としてやるのではない、一人心々が相手国の国民の一人となって——同化政策をもってわれわれは移民をやるのだという趣旨を、各国に了解を願わなければならぬのでございます。ところがまた一面そういたしますと、移民した直後の、今までもいろいろな点がございましたが、移民した直後、その移民の人々が一人前の生活能力をもって相手国の国民としてこれに奉仕をするまでの段階は、生活の保障なりあるいはいろいろな企業の資金等を保障して、送り出した国家としてこれを援助する義務がございます。そういう意味におきましてこの会社というものを作り出して今御相談を願っておるようなわけでございます。なおまたその移民の地域につきましても、今までは中南米重点の移民でありましたが、今後はいろいろな外交の調整と関連をいたしまして、近距離で費用等も半分で済むような近隣諸国にも御相談願わなければならぬ、こういう点においてさらに検討して皆さん方に御報告を申し上げたいというので、これを正式に御報告することは暫時御猶予を願っておる次第でございます。
  45. 山本利壽

    ○山本(利)委員 当局においてもいろいろお考えのようでありまして敬意を表します。また今回南米における日本移民の同化性について研究するための学術研究調査団が渡航するようでございますが、かつての北米における日本移民排斥の事情等から考えましても、この問題は非常に重大な問題でございまして、今回学術研究調査団が渡航するということは、政府としても十分にこれを援助する必要があると考えるのでありますが、これに対してはどの程度の援助を考えておられるかという点。さらに今後この種の調査団を派遣するということが必要でありますと同時に、この問題をますます盛んにするために、移民受け入れていてくれる国々の大学、あるいは研究団体に対して、日本移民の同化性についての研究と指導を依頼するということは、私は非常にけっこうなことだと考えるのであります。日本からたくさんの費用をかけて送る、これもけっこうでありますが、現地の大学あるいは研究所に対してスカラシップ等を提供いたしまして、この問題について研究調査を遂げさせたならば、その人たち日本移民に対して一生涯非常に深い関心を持ちましてこの指導研究を続けてくれるものであると私は考えます。また同時に今回渡航いたしますところの学術研究調査団等に対して、当局から御注意願いたいことは、先方に参りましてから、決して日本移民にのみ当っていろいろものを聞かないということでございまして、その土地々々の先方の政府機関等によく連絡をとって、調査研究しなければ、昔の帝国主義あるいは軍国主義のひもを再びつけるような誤解を招くおそれがございますから、その意図を十分日本から行っておりますところの外交官及びその先方の政府当局に向って了解を得て、その援助のもとに研究することが必要だと考えます。私も北米における移民の問題について多少の研究調査を遂げた経験がございますけれども、日本人は同化性に富んだ国民だと私は考えますので、いかに同化するかという指導が必要なのでございますから、それらの点についても十分な御努力をいただきたいと考えます。いろいろ質問やら私見を申し述べましたけれども、その御回答を得まして、私の質問を終ります。
  46. 園田直

    ○園田政府委員 仰せの通りでございまして、ただいまの学術研究調査団は、実は外務省といたしまして御依頼を申し上げ、派遣するような運びとなっておる状態であります。すでに現地に打ち合せのために外交官を一名派遣し、研究団を派遣するに際しましては、外務省として法制上許す範囲内において最大の援助をしたいと存じております。なおそのほかに東京大学の助手一名を二カ年間調査のために派遣する計画等も立てております。後段の御意見に対しましては全く仰せの通りでございますから、さよう努力するつもりでございます。
  47. 植原悦二郎

    ○植原委員長 夏堀源三郎君。
  48. 夏堀源三郎

    ○夏堀委員 本法案の趣旨は大へんりっぱでありますけれども、内容を検討いたしますと、これは一片の作文にすぎないのであります。この法案によって移民が果して可能であるかどうか、私は不可能に近いものがある、こう断ずるのであります。よってこの法案を作成するまでには、外務省と大蔵省とかなり意見の食い違いがあったということを聞いておる。内閣官房において辛うじてこれを取り上げ、そして調整をとったのでありますが、自由党と民主党の間において共同の協議によって決定した非常に大きな項目もいつの間にか削除されて、これが原案となって提案になっておるのであります。よってこの重要な国策が成功するかどうか。外務省、大蔵省、議会が意見を統一してこれを大きく振り出さなければならぬという意味において、私はこれから若干の質問を行いたいと思いますが、政府に対してあえて攻撃的にどうこうという意味ではありません。ただそういうことも御理解のもとに何とかお互いの協力体制をもってやろう、こういう意味で申し上げるのでありますから、さよう御了承を願いたいと思います。まず根本の問題でありますが、この会社法案というものは、ただいま御答弁になっておりましたけれども、これはほんとうに政府が一本となって考えた国策であるかどうか。そして国策ではありましょうが、その国策の程度は一体どの程度を考えておられるか。たとえば本国会に提案されるようなことも新聞に出ております日航会社、石油開発等、これはみな国策会社であろうと思いますが、こうした会社と比較して、一体移民政策というものはどの程度の重要性を持っておるのか。そして国策の程度を、先ほど簡単に説明がありましたけれども、大ざっぱに、いわゆる構想を政務次官から承わりたいと思います。
  49. 園田直

    ○園田政府委員 本法案作成の経緯におきまして、各省の間に意見の食い違いがあったことは当然でございます。しかし、激しい意見の食い違いと論争はございましたが、これは各省の所管業務からくる熱心さの主張であって、相当な食い違いは、大蔵省、外務省その他農林、労働各省との間に調整ができて、このような法案にまとまってただいまお願いに出たわけでございます。従いまして、この法案で今日の段階ではお願いをしようという考え方でわれわれは提案をしたわけでございます。この法案に基くわれわれの基本方針というものは、先般申し上げました通りに、今までの移民と申しますとすべて農業移民というふうに考えられまして、しかもその移民というものは、どちらかというと、言葉は悪うございますが、日本で食い詰めた者がよそへ出かせぎに行くというような移民の印象を与えておりました。従いまして今度この会社法案の中に盛ります行事で御了解願いますように、世界移民の趨勢に従いまして、農業移民ばかりでなく、企業移民と申しますか、イタリアその他で実施されておりますところのいろいろな農業、漁業、工業その他の事業を行う移民をやりたいというのが第一のわれわれの考え方でございます。それに際しましては、まず第一に渡航費を貸し付ける、及び向うにお渡りになったあとの営業資金あるいは企業等の資金をこれに援助する。場合によっては相手国の了解を求めて会社で直営の事業を行う。そうしてここに移民されたあとの移民の方々の産業その他の個人の生活の振興をはかりたいという考え方でございます。
  50. 夏堀源三郎

    ○夏堀委員 一片の御答弁によってそのままこれを運営に移して、その通り行くかどうかということは私は疑問を持っておる。先ほど申し上げたように、大蔵省との間において若干の摩擦があったことは察知されました。ただちょっと大蔵省の方にお伺いするのですが、大蔵省はこの問題に対しては何か非常に渋っておるのじゃないか。そういう結果は今後の運営に支障を来たしはせぬか。これはあとで申し上げますが、各条項に照らしてそれは支障を来たすであろうことがうなずかれるのであります。大ざっぱではなはだ申しにくいのでありますが、大蔵省が本案の作成に当って非常に緻密に研究していろいろ御意見のあったことは、それは当然でありましょう。しかしこの運営に当って大蔵省として、この法案にいろいろ手入れをして、これが完全に運営できるという御自信があるかどうかということを、大蔵省の方にお伺いしたいのであります。
  51. 谷川宏

    ○谷川説明員 お答え申し上げます。この会社法案の提案するまでのいきさつはいろいろございましたのでありますが、この会社は申すまでもなく、日本国民の海外移住を促進するために特に設けられたのでございまして、この会社の将来の運営いかんによって、日本の海外移住というものがどの程度に大きく発展するかということがきまるわけでございますので、その意味におきまして、大蔵省といたしましても相当の関心を持っておりますことは申すまでもないことだと思います。従いまして出資金の問題にいたしましても、あるいは外貨債務の実体的保証という結果になるような条項につきましても、相当審議いたしまして、この条文の中に取り入れられているわけでございます。要するに問題は、この会社が現実に運営を行い、初めは小さいながら、将来非常に大きな規模に育っていくかどうか、その行き方につきまして、私どもの関係しております財政の面からいきましても、財政を通して現実にこの会社が成長していくということには関心を持っておるわけでございますが、幸いこの国会におきましてこの会社法が通過いたしました場合におきましては、今後とも私どもも仕事の範囲内におきまして、できるだけこの会社の発展に対して力を尽したいと考えます。
  52. 夏堀源三郎

    ○夏堀委員 まず第一に、支障を来たすであろうということを私は申し上げましたが、移民に貸し付けるその資金は財政面から支出になる。その財政面から支出になるのを一応この会社が受け取って移民に貸し付ける。この移民渡航費というものは一体どの程度の回収ができるかどうか、またこれまでの実績によってどういうことになっておるのか、これを外務省の方から伺いたい。
  53. 種谷清三

    種谷説明員 渡航費の回収の実績についてお答え申し上げます。渡航費は昭和二十七年の十二月に貸付が開始されまして、昭和二十九年度の終り、つまり今年の三月末までに約四億七千万円が貸し付けられております。その元本についてはまだ支払い時期が到達いたしませんで、利子についてのみ支払うべきことになっておるのでございますが、利子の回収予定額約二千百万円のうち、回収済み額は約五十七万円でございます。
  54. 夏堀源三郎

    ○夏堀委員 短期間のうちの問題でございますから、回収がつかないのも無理はないと思う。そういうようなことで回収が不可能になるおそれがあるから、この問題の取り扱いを、この会社に貸し付けて、この会社が責任を持って何か移民協会というものに貸すということになるのじゃないかと思いますが、そこでこういう問題が出てきはしないかと思う。たとえばこれは半官半民の会社でありますから、回収が非常に鈍い。よってこの会社が国策会社ではあるけれども、実際の運営の面において支出したものが、あるいは回収不能に終りはせぬかということを大蔵省が考えて、どの程度の御心配であるのか。ひいてはまたこの会社の設立に際して若干の——先ほど五千万円と申されたようでありますが、民間からも募集する際に、そういう観念から、民間からの金が集まらぬのじゃないか、こういうようなことも私は心配するのであります。この点に対して大蔵省側の御意見と外務省側の御意見を承わりたいと存じます。
  55. 谷川宏

    ○谷川説明員 民間の出資金が集まるかどうかというお尋ねでございますが、これは外務省がおやりになっておりますので、できるだけ集まれば集まるに越したことはない、かように考えております。
  56. 種谷清三

    種谷説明員 渡航費は将来どのよもに回収されるかという、その見通しでございますが、私どもは率直に申しまして、渡航費は非常に回収が困難であるという感じを持っております。その理由は、まず主観的な条件といたしまして、移民の心理にあると思うのであります。戦前の渡航費は、補助金として移民がただもらっていたものであります。その観念がいまだに払拭しきれないものがございまして、これはもらったものだというように安易に考える傾向が強いということが一つの理由であります。その次に、ほかの人が返すなら自分も返す、ほかの者が返さないのに自分だけ返したら、正直者がばかを見るというような考え方もあるようであります。そういった理由が移民の心理的な理由でございますが、客観的に見ましても、渡航費そのものは移民の生産事業に投下される金ではございません。向うに渡るというだけの、いわば消費金融でございまして、その性格上生産金融でないために、返しにくいということがございます。また遠隔の地であるということもございます。ただいままでの実績によりますと、一家族当り五十万円くらいになっておりますが、この五十万円という金が、やはり現地で一家の労働力だけでこれからやっていこうという者に対して、なかなか返しにくい高額の金だという事情もございます。それとまた現地において生産事業に従事いたしまして、いろいろほかから金を借りまして、また来年も借りなければならぬということで、どうしても現地で生産事業のために借りる金を先に返すということからいたしまして、渡航費の方はあと回しになるという事情もございます。それと何といたしましても回収の困難な大きな理由は、広大な地域に移民がばらまかれておりまして、いわば債権の管理が非常に困難であります。取り立てるにいたしましても、例で申しますと、手紙を出す場合でも、先ほどお話がございましたように、リオからマナウスに出す手紙と、リオから東京に出す航空便とでは、マナウスに出す手紙の方が遠くなるというようなこともあり得るわけでありまして、またこれを取り立てに行くということになれば、その旅費の方が取り立てる金よりも高くなるというような事情もございまして、いろいろの理由から、はなはだ渡航費というものは返りにくいという見通しを私どもは持っておるのであります。
  57. 夏堀源三郎

    ○夏堀委員 ただいま大蔵省側の方の御答弁としては、民間からは出資してくれればいいのだが、出資してくれなくてもやむを得ないというような意味と私は解釈いたしました。私の考えとしては、民間の方からもできるだけ出資してもらいたいものだ、五千万円どころか一億円ぐらいの出資をしてもらいたいものだと思います。なぜ私がそういうことを申し上げるかと申しますと、私も自由党内閣時代総理からの内意を受けて、各国を調査して参りましたが、あちらの方では日本の進出態勢を待っている。しかもそれは非常に堅実な、規模の大きいバックで進出することを望んでいる。向う政府は私に対して、日本は人口が多くて困るだろう、こう言いました。これはどこでもそうです。これに対して私は、日本は人口が多いけれども、貴国に来て何とか救済してくれという意味で参ったのじゃない。まず貴国の利益をはかりましょう。貴国の利益をはかって、そしてこの未開発の海や地域を開発することは、貴国の利益ばかりじゃなく、これは世界人類の福祉である。よって日本人移民することによって貴国の利益になるとともに、世界人類の福祉にもなるから、われわれ日本国民の進出することを大歓迎してくれと言いましたら、それはその通りだ、大歓迎いたしましょうと言っておりました。またあちらの方では、それは国策として取り上げ、そして政府も出資するし、政府が命ずる信用ある団体を作らせて、それとタイアップしてやる、こういうことまでも申されたのであります。よってこの会社はどの程度の力を持って進出するかということは、今後の問題でありますが、できるだけ民間の出資も大きな出資をしてもらって、大きく進出することが、それは向うへの信用上よろしいのではないかと私は考えているのであります。その意味において、民間は出しても出さなくてもやむを得ないのだと言われますが、しからば一億程度の資本で一体どの程度の運営ができるか、おそらく一年のうちに人件費、調査費等でなくなってしまうのじゃないか。そうした場合、政府はそのあとを引き受けて、必要な資金を支出する心がまえがあるかどうか、この点に対する見解を承わりたいと思います。
  58. 谷川宏

    ○谷川説明員 お答え申し上げます。資本金が非常に少額であるという点ごもっともな御質問だと思いますが、何分新しい会社でございますので、また会社の性格といたしまして主として金融的な職能を営むということからいたしまして、その原資を外国からの借入金に仰ぐ、それを移民その他に貸すという関係になっておりますので、単に資本金の多募によって会社の盛運が左右されるというふうには私ども考えないのでございまして、この貸付金をできるだけうまく貸し出しをいたしまして運用していく、また会社の経理にいたしましても、できるだけ簡素な仕組みで、できるだけ合理的な金の使い方をいたしますならば、今お話のように、一億円がすぐなくなってしまうというようには、私どもは考えておりません。
  59. 夏堀源三郎

    ○夏堀委員 二、三質問しておるうちに時間が参りましたから、きょうはごく簡単に申し上げておきますが、この問題は、非常に重要な問題でありますので、あとで外務大臣と大蔵大臣の出席をお願いいたしますから、委員長においてよろしくお願いいたします。
  60. 植原悦二郎

    ○植原委員長 きょうは来られないですけれども、要求しております。
  61. 夏堀源三郎

    ○夏堀委員 それではこれは非常に大事な問題ですから、御研究を願っておきたいと思うのであります。輸出入銀行の業務の範囲云々ということがございますが、これはどういう意味でありましょうか。
  62. 谷川宏

    ○谷川説明員 外務省からお答えするのが筋と思いますが、私ども関係いたしますので、お答え申し上げます。第八条第一項第二号、第三号におきまして、ただし書きの規定によりまして、「日本出入銀行の業務の範囲に属するものを除く。」ということが規定されておりますが、これはこの会社の業務範囲日本出入銀行の業務範囲と重複する場合が理論上考えられますので、その業務の分野を明確にする目的によりまして規定したものでございます。従いまして移民促進に関連いたします設備輸出資金等の融通を必要とする場合におきましては、すべて日本出入銀行が扱うこととなるわけであります。この場合におきまして、日本出入銀行がどういう方針によりましてその申請を取り扱うかという段取りになるわけでございます。それは当然に日本出入銀行の一般の営業方針から見まして、取り上げ得るものが取り上げられることになりましょう。従いまして問題の移民促進に関連いたします設備輸出資金の融通につきましては、日本出入銀行が実体的に審査をして、それで将来の回収の見込みその他を考えまして、一応貸付をすると決定された場合には、それによってやっていくという趣旨でございます。
  63. 夏堀源三郎

    ○夏堀委員 日本出入銀行の業務のうちに、「本邦からの輸出及びこれに伴ってなされる本邦法人若しくは本邦人からの技術の提供を促進し、又は本邦の輸入市場の国際収支上より有利な地域への転換を促進するため、本邦輸出入業者、本邦製造業者その他の本邦法人又は本邦人に対して、外国為替の管理に関する法令の規定に従い外国法人に出資し、若しくはその株式を収得し、又は外国法人に設備等を貸し付けるため必要な資金を貸し付けること。」という条項がありますので、もしこれがこの範囲いう面において、輸出入銀行が、「その株式を収得し、又は外国法人に設備等を貸し付けるため必要な資金を貸し付ける」と規定してありますと、この会社が、先ほど申し上げたように、あちらでそういうものに投資することがあり得るだろうということを考えますときに、これが輸出入銀行の規定とかち合う面がありはしないか、この点に対して何かお考えがありましょうか。
  64. 谷川宏

    ○谷川説明員 お答え申し上げます。ただいまの御質問に対しまして、ただし書きの規定によりまして、「日本出入銀行の業務の範囲に属するものを、除く。」という規定は、今御指摘の、本法案の第八条第一項第二号、第三号にもつけ加えられておりますので、投資する場合におきましては、輸出入銀行法の規定によりまして投資できるという場合においては、輸出入銀行でやる、ただしそれは輸出入銀行法で限定しております。輸出入銀行法は、御承知通り、輸出の振興という見地から貸し出しをするわけでございます。その場合におきましては、目的は移民受け入れる、あるいは同時に輸出振興ということで、両方の目的によってその投資が行われる場合におきましては、輸出入銀行で投資を実施することができる場合には、それによるということでございます。  なお御参考までに、条文をお読みになられましたので、本法案に基く業務に関連いたしまして、輸出入銀行が取り扱う業務を例示的に御説明、申し上げるならば、第一に、移民受け入れを行う本邦法人等が、外国において生産事業を行うという場合の設備の新設または拡張——これは輸出入銀行法の第十八条の六号に規定されておりますが、この場合、あるいは移民受け入れを行う外国の事業主及び移民または移民団体自体に対しまして、本邦からの設備等の輸入またはこれに伴ってなされる技術の受け入れのために必要とする資金を直接融通する。これは輸出入銀行法第十八条の第三号に規定されておりますが、これが本法案の第八条の二号と三号の両方にかかるだろうと考えます。それから移民または移民団体が設備を自分で携えて持っていく場合、移民または移民団体に対しまして必要な資金を融通する、これが問題となるだろうと考えます。その他今御指摘の移民受け入れを行う外国法人に対しまして本邦の法人が出資をするあるいは株式を収得するあるいは設備を貸与するために必要な資金を融通する業務——輸出入銀行法の第十八条の五号、あるいはまた移民受け入れを行う外国の法人に対しまして、日本の法人等が設備を輸出するに必要な資金を融通する業務を行う、これらは輸出入銀行が独自の立場から業務を行うことができると考えるわけであります。
  65. 夏堀源三郎

    ○夏堀委員 あなたの答弁はいわゆるあなた一流の解釈で、日本国民の全体にわたってそのような解釈がとられればよろしいのでありますけれども、法律でありますから、ここに「ただし、日本出入銀行の業務の範囲に属するものを除く。」となった以上は、この輸出入銀行のこの規定と、先ほど申し上げたようなこの会社の投資貸付という規定とがかち合った場合に、その「範囲に属するものを除く」というところと抵触せぬかという常識論になりますので、一片の答弁によって、さようでございますかということはできないだろうと思います。私の方でもこれは研究いたしますから、大蔵省の方でも十分研究して、法律のために抜き差しがならないようなことがないことを私は希望しておきます。  委員長、まだよろしいですか。
  66. 植原悦二郎

    ○植原委員長 連続して。あなたは、大蔵省と外務省に対して、根本的な問題を質問されておるのですから、この問題については、委員長が考えましても大蔵省と外務省がかなり意見を調整しなければ、この法案を審議する上において非常な支障を生ずるものと私は思います。だからあなたはなるべく簡潔に、大蔵省と外務省がこの問題をさらに研究する根本を与えられるような質問をもう少し継続してよろしいと思います。
  67. 夏堀源三郎

    ○夏堀委員 今直ちに結論に達することは困難だと思いますので、私の方でも十分に研究いたしますから、大蔵省、外務省もこの問題に対する十分の御研究を願いたいということで、この問題はこれで一応打ち切ります。  あとお願いしたいのは渡航費の問題で、これは非常に大きな問題であり、どなたもが考えている問題なのです。コマーシャル・ベースに乗る貸付であれば乗ってくるとおっしゃるけれども、また乗らないんだ。けれどもイタリアの方ではもうコマーシャル・ベースに乗っているんだ、これはもう非常な実積を持っておるから、本国への送金ばかりでも一億ドル以上になっておりましょう。そうしたふうに非常にうまくやっております。日本はまだ基盤ができておりませんので、そこでこれから苦労しなければなりません。その成功するまでの問、この会社を持ちこたえることができるかどうかということを心配して私は質問しているのであります。民間投資は大いに歓迎しなければならぬ。そのためにこの移民に貸し付ける金というものは、どうせ政府が財政面から支出しておるのであるから、一億円のこの小さな会社の運営を困難ならしめないような方法を御研究願いたい。これは今ここで議論してどうこう言ってもいたし方がありませんから、この点に対し御研究願いたい。輸出入銀行の面と渡航者への貸付の面は非常に大きな問題でありますから、これを一つ御研究願いたい。  もう一つ出入銀行がこの会社の運営に非常に大きな力を貸さなければどうにもならぬのだから、輸出入銀行が、これは金融業者でありますから当然のことでありますけれども、貸しやすい、協力しやすいようにするには、結局この会社が輸出入銀行の債務に対する代理行為と申しますか、あちらの取り立てをして安心を与える、いわゆる代理行為を営むという方向に持っていけば、輸出入銀行はこれに対して相当強く協力を願われるであろう、このような感じもいたしますので、これもあわせて御研究願いたい。この三点を申し上げて、きょうはこれで質問を打ち切ります。
  68. 植原悦二郎

    ○植原委員長 海外移民法案に対する質疑は、きょうは一応この程度にいたしておきます。     —————————————
  69. 植原悦二郎

    ○植原委員長 ごく時間を限って国際情勢に関する件について政府当局質問を行うことといたしますが、これは理事の了解を得て十分か十五分程度と時間を限定されてありますから、どうか質問者はそのつもりでお願いいたします。岡田春夫君。
  70. 岡田春夫

    ○岡田委員 理事の諸君の十分間という御了解をいただきましたので、その程度で緊急の問題だけを質問いたしておきたいと思います。  まず第一は、これは岡田政務次官に一つゆっくり伺いたかったのですけれども、この間の参議院の外務委員会においても、今度の原子力の平和利用のアメリカとの協定は正式調印、あるいは本調印といいましょうか、調印はジュネーヴ会議のあとになるということを答弁をされております。この点は私は間違いないであろうと思うのですが、これはきわめて重要な問題でありますので、この点を確認をしていただくことが一つ。もう一つは、すでに仮調印ができておるわけでありますが、この仮調印の正文をいつ発表になるか、この点をぜひ伺っておきたいと思うのでありますが、この正文が現在まで発表されておらないのはどういう理由であるか、この点もあわせて伺いたいと思います。
  71. 園田直

    ○園田政府委員 濃縮ウランの正式調印は早急にはできませんので、ジュネーヴ会議後ころになるのではなかろうかという見通しを申し上げたことは事実でございます。その後仮調印を終りまして逐次取りきめ等も進んでおりますので、できれば今回の日米協定を正式調印後、間に合えば国会に提出したいと考えております。
  72. 岡田春夫

    ○岡田委員 私の質問に対する答弁にはまだなっておらないですが、仮調印の協定文の正文はいつ発表されるつもりであるか、この点を私は伺っておる。
  73. 園田直

    ○園田政府委員 ただいま米国政府と発表について打ち合せをいたしておりますので、近々に御発表できると思います。
  74. 岡田春夫

    ○岡田委員 折衝中というのはどういう意味ですか。アメリカの原子力法の百二十三条に基いて、その協定文を大統領の決裁を得る、そういうことが必要であるためにおくれているという意味ですか、その他の点でありますか。
  75. 園田直

    ○園田政府委員 単なる事務上の、文句その他打ち合せ上の手続のためにおくれております。
  76. 岡田春夫

    ○岡田委員 大体いつごろ発表される予定でありますか。
  77. 河崎一郎

    ○河崎政府委員 お答えいたします。仮調印後のほかの国の例を見ましても、例の三十日の米田議会の審議期間を待たないで発表した例もございますし、従いまして日米の協定もごく近々に発表になることと思っております。
  78. 岡田春夫

    ○岡田委員 今の御答弁によりますと、仮調印後三十日の国会提出の経過期間、これの手続の関係で正式発表がおくれている、こういうように解してよろしいのでございますか。
  79. 河崎一郎

    ○河崎政府委員 ただいま申し上げました趣旨は、必ずしも米国側の三十日間の期間の満了を待たなくても、米国側は当事国と打ち合せの上で発表した例もございますし、日本の場合も三十日以前に発表の運びになる見通しが非常に強いわけであります。
  80. 岡田春夫

    ○岡田委員 十分でやらなければなりませんので答弁も簡単にやって下さい。そうすると日本の協定文は、アメリカとしては今所定の手続に基いてアメリカの国会に提出する準備を進めている、こういうふうに解釈してよろしいわけですか、そういう点はどうです。
  81. 河崎一郎

    ○河崎政府委員 米側ではそういう手続を進めておるわけであります。
  82. 岡田春夫

    ○岡田委員 その問題をもう少しいろいろ聞きたいのですが、これはあとでいたしましょう。この仮調印をするのに当って、井口大使がその仮調印のサインをするときに、原子炉の型の要求をいたしております。ウオーター・ボイラー型がほしいということを要求したといわれるのでありますが、こういう事実がありますか。それからウオーター・ボイラー型にきめたことの根拠は、どういう根拠に立ってこれをきめたのか、日本外務省がこれをきめたのであるか、こういう点について一つ伺っておきたい。
  83. 河崎一郎

    ○河崎政府委員 交渉の経過におきまして、井口大使自身が先方に、受け入れるべき炉の型を指定したことはございません。係官の間で日本側としては大体ウオーター・ボイラー型をもらいたいのだというような、漠然たる希望の表明はございました。
  84. 岡田春夫

    ○岡田委員 時間がありませんから要点だけを聞いて参りますが、この前河崎さんとあれしたのだが、きょうは私はざっくばらんに話しますから、あなたも率直にお話願いたい。一つ大切な問題があるのです。一月の十日付で外務省が文書を出されておるのですが、アルゴンヌ、オークリッジの学生募集についての外務省からの通達が関係方面に出ておるわけなのです。この通達の内容をもしおわかりになれば——そこにメモを持っておいでにならなかったら、私の方で申し上げてもけっこうですが、その通達の内容はどういうものであるか。私は今ここで申し上げますが、これは大体これに間違いないかどうかを伺いたいと思うのです。応募に当っては、アメリカ担当官の要請として、特別な試験はやらないけれども、日本政府のリコメンデーションを必要とする。ただしその応募者は政治的、思想的色彩のないということが条件である。一番後段の点が私はぜひ伺いたかったわけなのでありますが、こういう意味の通達を外務省で出されたということを私は聞いております。しかもこの文書は原子力利用準備調査会総合部会にも実は配付されている。こういう事実があるかどうか、この点を伺っておきたいと思います。
  85. 河崎一郎

    ○河崎政府委員 ただいまお尋ねの外務省から関係省への通達でございますが、これは日にちも覚えておりませんが、一月の十一日付で参りました向うの口上書に例のアルゴンヌの原子炉技術者訓練計画がございまして、先方の申出の趣旨を関係各庁に通達をいたしたことは覚えております。ただしその通達の内容のこまかい字句は私覚えておりません。
  86. 岡田春夫

    ○岡田委員 今の内容については御存じないというお話ですが、とするならば、この次の委員会までにその内容についてお調べを願って、御報告願いたいと思うのです。と申しますのは、これは政務次官もよく聞いておいていただきたいのですが、一月の十日付の外務省の通運と一月十二日付の通達と二つある。内容は同じものなのです。ただし十日付には政治的、思想的色彩のない者という条項が入っているわけなのです。しかもこれにアメリカのある担当官の要請によりということが入っている。この点が非常にわれわれとしては重大な問題なので、一月十日付の通達というものをお出しになった事実があるかどうか。しかもその内容については、これは関係官庁あるいは民間団体に対しても通達をすでにお出しになっているはずでありますから、ぜひこれは国会に提出をしていただきたいと私は希望いたしておきます。
  87. 河崎一郎

    ○河崎政府委員 先ほど申し上げましたように、日にちも正確に覚えておりません。ただ米側からの申出の次第を関係方面に通達したことは事務的にあると思います。私自身記憶いたしておりません。
  88. 岡田春夫

    ○岡田委員 今の資料は委員長からぜひ提出を要求していただきたいと思うのです。これは今後原子力の平和利用協定の場合において、日本の協定として伝えられる第八条にオーソライズド・パーソンという言葉があるのですが、これに関連してくる条項になってくるので、ぜひこれは資料として要求したいと思いますので、委員長からお取り計らいを願いたいと思います。それから時間がありませんから続いて一緒に質問いたして参りますが、ジュネーヴ会議が八月に開かれるわけでありますが、これは大体今までの政府側の答弁によっても、一種の学術会議であるというようなことが伝えられておりますのに、最近新聞等で伝えられるところによると、そういう専門的な学者を選考するのでなくて、非常に政治的な色彩を持った選考の仕方をやっているように実は感じられるのであります。きょうあたり新聞を見ると、日本の代表団の団長は学者ではなくて外交官がなるということが伝えられております。学術会議のようなジュネーヴ会議に外交官が行きましても、この問題はおそらく何が何だかわからないのではないか。今の原子力の問題でさえあまり日本外務省はわからないようであるが、この程度以下にわからないのではないかと思う。こういう点についてはどういう経過になっておるか、選考の基準はどうなっておるか、そうしていつまでにこれを決定して発表する予定であるか、代表は五名で、顧問十数名ということになっておるが、この顧問の選考等についてはよほど慎重にやらなければならないと思うのだが、この点はどうであるか、こういう点を一括して質問いたしておきますから一つ御答弁を願いたいと思います。
  89. 園田直

    ○園田政府委員 これは原子力平和利用促進のための知識、情報の交換が目的とされておりまして、学術会議的な色彩が濃いことは事実でありますが、ただし単なる学術会議でないことは、この会話が国連の主催による政府間の国際会議であることからいっても、そういうことは想像できると考えます。団長の問題は、それは何もそういう色彩からきたのではなくて、派遣推薦をしておる学術研究会から、向うのいろいろな会議の進行やあるいはその他いろいろな情報交換の関係等で、自分たち学者ばかりでは困るから、ぜひ外交官を団長にしてくれないかという申出が来ておるところでございまして、派遣団の意見でございます。ただしこれはどうするかただいま検討中でございます。それからその顧問、いつこれを発表するかということも、予算等との関係もございますので、ただいま検討中でございます。
  90. 岡田春夫

    ○岡田委員 今の答弁は非常に自己矛盾の答弁なので、団長は外交官から選べというのが派遣団の意向でありますと言うのでありますが、派遣団はまだできていませんから、そういう意向を持っておるわけはないので、そういう御答弁では私は納得いたしかねますが、時間がありませんからこの程度にいたしますが、この点特に要望いたしておかなければならないのは、原子力問題に対しては、今度は非常に権威ある学者の諸君は慎重論の人が多い。故意か偶然か知らないが、こういう慎重論の学者、しかもこれの専門家である学者を、最近代表団の選考の中に意識的に外務省が落している気配がある。そう言ったら、あなたはきっと藤岡由夫を入れておるじゃないかと言うだろうと思うのですけれども、藤岡さんという人は、あれはいわゆる原子物理学の学者ではないので……。
  91. 植原悦二郎

    ○植原委員長 岡田君、この際、短かくするために人の批評はおやめ願いたいと思います。
  92. 岡田春夫

    ○岡田委員 それで、もっと原子物理学の学者を入れて、本腰を入れてやらないことには、日本外務省としても、日本の国としても体面にかかわるので、この点は十分に慎重に選考を願いたい。  それからもう一つは、二、三日前の新聞に伝えられましたが、ジュネーヴ会議に提出の資料論文を、日本外務省が盛んに政治的な意図のもとにこれをチェックしている。たとえば原水爆資料というようなもの、日本が世界において初めて受けている原水爆の被害の資料なんかを提出させないように修正を、外務省として論文の提出者に対して申し入れて修正をさしております。それからビキニ関係の気象上の問題、こういうような論文なんかは、外務省が初めは作れと言っておきながら、これの提出を拒否しているというような事実があがっております。こういう点から見ても、今度のジュネーヴ会議に代表を派遣することについて、日本外務省としては非常に政治的な意図をもって、そういうようないろいろな準備を進めているような印象を与えているように私は感じますが、こういう点は、実際の問題としてどうなっているか、この点、最初の点とあとの点を御答弁願いたい。
  93. 園田直

    ○園田政府委員 先ほど申し上げましたのは、派遣団の意見というわけではなく、推薦を願っている学術会議の学者の方々の意見という意味でございます。  今おっしゃいました集められたアブストラクトの中には、原子力の平和利用に役立つかどうか、会議の議題に関係があるかどうかの見地からいって、多少疑問に思われる点があったので、これを正式に提出できるかどうかということを国連事務局側と相談した結果、一、二のアブストラクトの提出を見合せたことはあります。しかしこれは一部に伝えられるような受理を外務省が拒否したとか、この問題をめぐっていろいろ摩擦があったという意味ではなくて、国連事務局側と連絡して受理できるかどうかを確かめた上で、まずいのを一、二とどめただけでございます。
  94. 岡田春夫

    ○岡田委員 これで終りますが、今委員長に要求した点だけを一つ……。
  95. 植原悦二郎

    ○植原委員長 委員長に対する申入れは、外務委員が聞いておって了承をされておりますから、その意味において適宜に取り計られることと思っております。  速記をとめて。     〔速記中止〕
  96. 植原悦二郎

    ○植原委員長 速記を始めて。  次会は公報をもってお知らせいたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後零時三十五分散会