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1955-06-22 第22回国会 衆議院 外務委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年六月二十二日(水曜日)     午前十時二十四分開議  出席委員    委員長 植原悦二郎君    理事 大橋 忠一君 理事 菊池 義郎君    理事 須磨彌吉郎君 理事 北澤 直吉君    理事 穗積 七郎君 理事 戸叶 里子君       伊東 隆治君    並木 芳雄君       山本 利壽君    稻村 隆一君       高津 正道君    細迫 兼光君       森島 守人君    西尾 末廣君       松岡 駒吉君  出席国務大臣         国 務 大 臣 杉原 荒太君  出席政府委員         防衛庁次長   増原 恵吉君         防衛庁参事官         (防衛局長)  林  一夫君         防衛庁参事官         (経理局長)  石原 周夫君         外務政務次官  園田  直君         外務事務官         (アジア局長) 中川  融君  委員外出席者         外務事務官         (条約局第一課         長)      高橋  覺君         外務事務官         (条約局第二課         長)      西堀 正弘君         外務事務官         (国際協力局第         三課長)    松井位七郎君         運輸事務官         (船員局労働基          準課長)   龜山 信郎君         運輸事務官         (航空局監理部         国際課長)   澤  雄次君         労働事務官         (大臣官房国際         労働課長)   三治 重信君         専  門  員 佐藤 敏人君         専  門  員 村瀬 忠夫君     ————————————— 六月二十二日  理事松本七郎委員辞任につき、その補欠とし  て戸叶里子君が理事に当選した。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事の互選  日米相互防衛援助協定等に伴う秘密保護法の一  部を改正する法律案内閣提出第一二一号)  航空業務に関する日本国とカナダとの間の協定  の締結について承認を求めるの件(条約第七  号)  船舶の滅失又は沈没の場合における失業の補償  に関する条約(第八号)の批准について承認を  求めるの件(条約第八号)  海員の雇人契約に関する条約(第二十二号)の  批准について承認を求めるの件(条約第九号)  海上で使用することができる児童の最低年齢を  定める条約(千九百三十六年の改正条約)(第  五十八号)の批准について承認を求めるの件(  条約第一〇号)  船員健康検査に関する条約(第七十三号)の  批准について承認を求めるの件(条約第一一  号)  商品見本及び広告資料輸入を容易にするため  の国際条約への加入について承認を求めるの件  (条約第一二号)  観光旅行のための通関上の便宜供与に関する条  約の批准について承認を求めるの件(条約第一  三号)  観光旅行のための通関上の便宜供与に関する条  約に追加された観光旅行宣伝用資料輸入に  関する議定書批准について承認を求めるの件  (条約第一四号)  国際情勢等に関する件     —————————————
  2. 植原悦二郎

    植原委員長 これより会議を開きます。  理事補欠選任についてお諮りいたします。理事松本七郎君が、昨二十一日に委員を辞任されましたので、理事が一名欠員となりました。この際その補欠選任を行いたいと存じますが、先例により委員長において指名するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 植原悦二郎

    植原委員長 御異議がなければさように決定いたしまして、戸叶里子君を理事に指名いたします。
  4. 植原悦二郎

    植原委員長 日米相互防衛援助協定等に伴う秘密保護法の一部を改正する法律案を議題といたします。質疑を許します。並木芳雄君。
  5. 並木芳雄

    並木委員 MSAにつきまして第一年度、すなわち初年度援助受け渡しは終了いたしたと思います。それで今度は第二年度でございますが、日本会計年度からいうと、今年の四月から来年の三月末までを区切って、その一年度における交渉はどのように進展をしておりますでしゃうか。と申しますのは、昨日アメリカ農産物受け入れについての協定が衆議院を通過いたしましたが、MSA法五百五十条による農産物の購入の項目からはずれておりますので、だいぶMSA自体援助が影が薄くなってきたように思われるのでございます。また聞くところによりますと、本年度アメリカの方からの兵器引き渡しというものは、現地では全然なくなったのではないか、こういうようなこともありますので、この際第二年度、すなわち本年度におけるMSAに基く援助について、長官がどのように交渉を進められており、どこまで話が解決したものがあり、なお今後どの点か未解決であるか、その場合の見通しとあわせて、お伺いしておきたいと思います。
  6. 杉原荒太

    杉原国務大臣 お答えいたします。アメリカからの援助を期待いたしておりますものは、新年度における陸の方の増員に伴います装備でございますが、火器類、それに特車、それが陸の方で一番おもなものでございますが、その他特殊の通信機械車両というものがございます。それから海の方におきましては、これは訓練の対象物として潜水艦一隻、それから海の航空磯でございますが、これは約四十二機を期待しております。それから空の方におきましては、約百九十四機というものを期待いたしております。なおこれは大体見通しがついているところでございます。なおこのほかに、いわゆるMSA援助一つ適用といたしまして、F86、T33の部品工具類等について、MSA援助としてこれを受ける話し合いを今しております。これは大体の話し合いがついておりますが、なお細部について話し合い中でございます。そういう状況でございます。
  7. 並木芳雄

    並木委員 それらのうちに秘密保護法適用を受けるものと予想されるものがありますかどうか。ありとすれば、どういう項目になって参りますか。
  8. 林一夫

    ○林(一)政府委員 本年MSAによって供與されるもののうちの防衛秘密について、いかなるものが予想されるかという御質問だと存じますが、私ども現在予想されておりますのは、艦艇の方につきましては、まだ掃海艇が二隻引き渡しが残っております。これについての掃海具に関する文書がおそらく防衛秘密に該当するのではないか、こう考えております。航空機につきましても、F86とか、今後ジェット戦闘機が参りますが、その中にも多分秘密個所があるのではないか、こういうふうに予想しております。
  9. 並木芳雄

    並木委員 ただいま長官のあげられたこういう品目を合計してみますと、大体金額にして何憶ドルくらいになりますか。
  10. 杉原荒太

    杉原国務大臣 先ほど申し上げました陸の装備品等が大体九十九億くらいに一応計算しております。これはどういう計算かと申しますと、いろいろな資料によりまして、新品価格である場合を推定いたしまして、それの約六割ということで、一応計算をしてそうなるわけでございます。それから先ほど申し上げました海の潜水艦の方でございますが、これは日本で新造したならば、新造費としてどのくらいかということを推定いたしまして、それの約六割ということで計算した額になります。これが十八億幾らくらいの計算になります。それから飛行機の方でございますが、これは約百四十四億くらいだったと思います。これも計算は、大体新品価格をいろいろな資料によって推定いたしまして、それの約八割ということで計算した数字でございます。それで今のおもなるものを合計いたしますと約二百六十億でございます。
  11. 並木芳雄

    並木委員 これらの兵器日本国内での生産ということは、私どもは逐次、やっていくことが必要であると考えておりますが、いわゆる防衛生産計画については、防衛庁長官はどういうふうにお考えになっておりますか。そうしてこの話し合いはどういうふうに進められておりますか、この際承わっておきたいと思います。
  12. 杉原荒太

    杉原国務大臣 アメリカ側援助の今度の見通しを大体考えてみますと、従来受けておりました陸の方について申しますと、火器類及び特車以外の一般車両通信機こういうもの——私の方では前の火器類特車等装備品甲類というふうに呼んであとの方の一般車両とか通信機械の方を乙類と呼んでおりますが、その乙類につきましては、今後これの供与を期待することは非常にむずかしいと考えております。なお甲類につきましては、今後も相当期待できると思っておりますが、しかし部品等につきましては、逐次日本側でこれをやっていく必要があるだろうと考えておりますし、なおさらに日本側で今技術的に見まして可能であるものにつきましては、自由な研究をすることが必要だと考えております。  それから海の方につきましては、今後艦船の供与ということは、これは期待できないというふうに見通しております。  飛行機につましては、これは今後もかなり期待できると思いますが、しかし先ほど申し上げましたように、F86、T33につきましては、その部品治工具供与を受けまして、そうしてこれを日本国内で組み立て生産する、こういうふうにやる方針でございます。
  13. 並木芳雄

    並木委員 ただいま陸上と海の方と伺ったのですが、航空の方はいかがですか。
  14. 杉原荒太

    杉原国務大臣 私最後に申し上げましたのが実は空の方のことでございます。
  15. 並木芳雄

    並木委員 そういたしますと、陸上海上航空別に、大体アメリカ軍が何年ぐらいで撤退を完了するという想定のもとに計画を進めておられますか。そうして撤退を完了した暁における陸海空の人員は、何名くらいを想定して長官計画を進めておられますか。
  16. 杉原荒太

    杉原国務大臣 アメリカ軍撤退の問題でございますが、これは原則的に申しますれば、日本側自衛体制整備に伴いまして逐次撤退する、またそういうふうに期待いたしておるのでありますが、これをはっきりと、その時期はいついつというところまでは、まだ遺憾ながら申し上げ得る状態にございません。ただ地上部隊につきましては、約五千名が近く撤退することに相なっております。  それから撤退した場合の日本側防衛力規模について、その人員等の大体の見当の御質問でございます。この点は実はただいま長期計画として検討いたしておりまして、防衛庁自体としても実はまだ成案を得るに至っていない状況でございます。この防衛力規模内容等は、非常に大事な、いろいろな点から検討を加えなければならぬ点でありますので、今せっかく検討中でございます。
  17. 並木芳雄

    並木委員 今まで秘密保護法適用を受けた事件はございますが、ありとすればどういうふうにそれが処理されているか。
  18. 林一夫

    ○林(一)政府委員 秘密保護法適用を受けた事件はございません。
  19. 植原悦二郎

  20. 穗積七郎

    穗積委員 長官はお急ぎのようですから、簡単にして、また次にお伺いすることにいたします。  MSAに伴う本年度武器受け入れですが、どういう計画によって、そういう先ほどお話のような武器を受けるようになったのか、そのこちらの態度が、防衛力増強計画というよりは、むしろ私はある意味では、古い言葉を使えば作戦計画に立っていると思うのですが、その基本的な御方針を最初に伺いたいと思います。
  21. 杉原荒太

    杉原国務大臣 お答え申し上げます。今のMSA援助を受けますにつきましては、日本側として必要だと思うところをもとにして向うと折衝いたしまして、そういうようになっている次第でございます。陸の方につきましては、今度陸の自衛官を約二万名増員し、それに伴う平服二千を加える必要があると思っておりますが、それに必要な装備品を要求したわけでございます。  海につきましては、今度日本側におきまして警備艇四隻の建造、それから中型の掃海艇を約三隻ということを要求しておったわけでございますが、それに先ほど申し上げました潜水艦一隻、さらにもう一つは旧軍艦の「梨」を調達いたしたいということを考えております。この海の方につきましては、実は現在海の方の主力をなしておりますものが、前にアメリカから供与を受けましたフリゲート艦十八隻でございますが、これは御承知通り大域中にできたもので、艦齢も十年有余たっておるという性能も非常に旧式なものでございまして、海上護衛という上からいたしますと非常に適切を欠く。従いましてこれを新式の護衛艦にかえることが必要だと考えておる次第でございます。もちろん海につきましてもいわゆる大鑑至上主義といいますか、大鑑というようなことは一つ考えておりませんで、要は海上護衛ということが重要な護衛艦任務考えております。もう一つ掃海艇の方の整備ですが、これは非常に必要だと考えております。これは戦争中に日本の近海に投下されました機雷の処理ということが、実はまだ非常にたくさん残つておりまして、終戦以来今まで掃海には非常に努力しておるのでありますが、なお危険海面掃海の地域が二万平方キロ以上ありまして、現在の自衛隊掃海能力をもっていたしますと、なお数年くらいかかるだろうというふうに思われる状況にあるのでございます。  それから空の方でございますが、これは御承知通り、昨年航空自衛隊が発足したばかりでありまして、今日までのところは施設整備拡充等のほんの初歩的な、基礎的な学校教育というような実体の状況にあるわけでございます。従いまして飛行機にいたしましても、ほとんど大部分が練習機ばかりでございまして、実用磯といたしましては輸送機を十機と連絡機を一機持っておるような状態でございます。今度アメリカ側からF86を五十四機とそれから輸送機を六機、合計六十磯というものを実用磯として、あとアメリカ側から期待します百九十四機のほかは全部練習機でございます。そういうような実情でございます。
  22. 穗積七郎

    穗積委員 防衛計画について、今たとえば機雷の残ったものを探すのに掃海艇が必要だとかいうことは、非常に眼前のことでございますから、それほど問題はないと思うのですが、こういうふうに、年次にわたってこれから増強していこうという一つ防衛計画を持っております以上は、私はどうしても仮想敵国想定されなければならぬと思うのです。世界のすべての国々が日本武力をもつて侵略してくるというような夢想をして、それに対応する防衛というようなものは考えられないのであって、具体的な国際情勢判断の中から、どういう危険があるかということによって、その国の防衛計画というものは立つと思うのです。従って武力をもって侵略をする仮想敵国というものがなければならぬと思うのです。この問題についてはわれわれの委員会においても幾たび——長官にはまだ直接お尋ねしたことはありませんが、幾たびか前内閣MSA協定時代から論議いたしましたが、ついにお答えがございませんでした。木村長官もそうでしたが、今度木村長官からあなたにおかわりになって、あなたに対しても他の委員会において、この問題については質問をしてお答えになったはずでございます。それを見ましても仮想敵国はないという一点張りで、今までお答えになっていないので、そういう仮想敵国なり、それからそういう自衛の危機の情勢判断というものがなければ、私は一国の防衛計画というものは立つはずはないと思うのです。防衛計画なくして単なる架空の夢想によって、増兵計画を立てていくというようなことになれば、国民生活とのバランスなどは考えられなくなるし、その合理的な根拠もなくなると思うので、これは私も実はとことんまで一ぺんお伺いしたいと思っておったのです。この前の他の委員会における答弁を見ましても、木村長官当時にお答えになったこととさっぱりお答えが前進しておらぬわけです。この間の委員会から今日に至りまして、なおかつその問題についてはお答えいただくような新たなる構想はないのでしょうか。
  23. 杉原荒太

    杉原国務大臣 自衛隊の主ため任務が、直接侵略及び間接侵略に対して、わが国の安全を守るということに相なっておるわけでございますから、侵略を受けた場合にこれを防衛するということでございまして、決して他国に攻撃的な脅威を与えるとい趣旨のものでないことは、もうはっきりしておるわけでございます。従いまして、自衛隊そのものがいわゆる外征軍というような性格のものでないこともはっきりしておることだと存じます。そういうわけでございまして、しかもこれはいわゆる直接侵略間接侵略というような事態が、万一にも起りますような場合にこれを防ぐためのものでございますから、あらかじめどこの国を攻撃するなんというようなこととは全然違うわけでございます。いわゆる仮想敵というようなものをきめつけたようにしてやるつもりはございません。
  24. 穗積七郎

    穗積委員 仮想敵国という言葉が感ければかえた言葉でけっこうです。何も私は、その国とは不倶戴天のあだをなす国だから、どうしても倒すか倒されるかどっちかでなければならぬという意味で、仮想敵国という言葉を使ったのではないのでありまして、いやしくも武力をもって国を守ろうという考え方を持つならば、武力をもって攻めてくる国があると考えなければならぬ、そういう意味で私は仮想敵国という言葉を使ったのです。すなわちあなたの言葉をかりますならば、間接侵略または直接侵略の危険のある国は、一体どういう国をお考えになっておるのかということで言葉をかえてもけっこうです。それも直接侵略間接侵略があってみなければわからないことであって、それに対して、あった場合に対応するための用意だとおっしゃるならば、一体どんな直接侵略かつ間接侵略があり得るのか、その侵略行為規模、方法、時期等についての想定でもけっこうです。そういう情勢判断でけっこうです。それがなければ、どれだけのものを作ったら、これで一応当分の現在の情勢の中においては、日本の治安が守り得るんだという目標もお立ちにならぬでしょう。そしてまた逆を申しますならば、そういうめくら軍備であるならば、予想せざることがどんどん出てくるわけですから、幾ら作っ  てみたところでとうてい間に合わなかったということになれば、これは国民生活を圧迫しながら軍備をどんどん作っても、それは軍備を作るまでに国民生活は破壊はいたしますが、できた武器国民生活を守ることはできない、何らの役に立たなかったという結果になる危険もあるわけなのであって、これたけなら何カ年計画なり——五カ年にしても十カ年にしても、そのことを私は一々申しませんが、政府は責任を持って武力を持っていく必要がありと考えられる以上は、こういう情勢で安心だから一つがまんをしても兵隊にも出てきてもらいたい、金も出してもらいたい、場合によれば命も捨ててもらいたい、こういうことなのです。その情勢判断——私は仮想敵国という言葉が悪ければかえます。あなたのお言葉によって間接侵略、直接侵略についてどういう情勢判断をしておられるか。特にあなたは外交官出身で、われわれは党は違いますが、あなたの明敏にして率直なる情勢判断なり御意見については、かねがね敬意を表しておるのです。ですからそういう意味で、あなたに何らかの情勢判断がなければならぬ。情勢判断なくして今の日本防衛の任を担当しておられるというはずはないと思うのです。仮想敵国という言葉はやめます。一つ情勢判断をお伺いしたいのでございます。
  25. 杉原荒太

    杉原国務大臣 今世界情勢を見まするとき、非常に複雑だと思うのでありますが、その間にあって戦争防止、平和の維持という方向の動きも、非常に強いものがあると私は思います。しかるに一方において事実として各国ともそれではいわゆる直接侵略間接侵略が絶対にないか、そうは言えないというところから、実際問題からいたしまして各国ともそれぞれの備えをしておるのは事実なのです。そうしておそらく世界政治家たちは、また国民も、戦争防止、平和の維持ということを希望しているものだと思います。いろいろ従来の戦争侵略の実例を見ますと、平和の維持を希望しておるにかかわらず、状況判断などを誤まって、そこからある局地の事件が起る。それがひいては大きくなったという事例があるのであります。従いましてまだ今日の世界実情というものは、万一に備える危険というものはもう絶対にないのだというところまではいっていないものと私は判断いたしております。
  26. 穗積七郎

    穗積委員 平和の方向と対立の傾向との一般的情勢判断についての現内閣の御意見は今お話通りで、重光さんも大体そのような御答弁をしておられます。ただどっちによけい比重を置くかということは多少ニュアンスが違うだけだと思います。ところが今お尋ねしたのはそういうことではございません。私がお尋ねしたのは外務大臣としてあなたにお尋ねしたのではなくて、防衛庁長官としてあなたの判断を伺ったのですから、日本防衛計画を合理的ならしめるため基礎として、背景としてのあなたの直接、間接侵略情勢判断を伺ったのです。
  27. 杉原荒太

    杉原国務大臣 ただいま申しましたように判断しておるのでありますが、わが国の安全を保つための防衛というものを考えます場合に、その一番の主眼点はやはり現実のわれわれの国土を防衛するということが、中核になるわけでございます。先ほど申しますように、外に出ていって攻撃するという、そういうものではなく、全くの厳格な意味における自衛でございますから、そういう点から判断し、またいろいろ防衛力規模等について話もございますが、これは国民生活等を不当に圧迫しないような考慮を十分にする考えであります。経済の安定、これなくしてまた防衛ということは考えられないわけでございます。そういう点を十分考えてやって、この防衛力限度等について考えなければならぬことだと考えておる次第でございます。
  28. 穗積七郎

    穗積委員 私ども現在の防衛問題を論じますのは、この基本問題でございます。前内閣岡崎外務大臣木村防衛長官のお考えは大体わかっておりました。ところが新しい内閣になって、特に外交の面におきましては多少の違いが出てきておるわけです。ある意味では大きな違いといっても差しつかえございませんでしょう。特にあなたと鳩山さんとは、民主党内閣外交政策に対して、大きな推進力となっておることは、自他ともみとめておられると思う。そういう意味で私は、これから日本防衛計画をどういう方針で継続していくかということについては、対外的な政策における変化があったと同じように、国内におきまする防衛計画に対しても、それに即応する外交方針、その背景をなす国際情勢判断に対しての変化がなければならぬと思うのです。私は先ほど申しました通りに、今年度MSAによります武器受け入れについては、アメリカから押しつけられたものではなくして、日本計画によったものだというお答えでありました。そうお答えになるだろうと私も予期いたしておりましたが、しかし私どもがあえて邪推や中傷ではなくして、こういう計画を漫然と進めておるということになれば、あなたもまたその地位についてアメリカとの交渉に当るならば、同じ従来のアメリカ一辺倒方針を押しつけられる、または踏襲する、それを繰り返しているにすぎないというようなことでは、これは私は矛盾もはなはだしいと思う。従ってこの問題は日本防衛問題を論議するに当りまして、基本的なことでございますから、外交散策とともに、——私は外交政策一般の今のあなたの御意見を伺おうと思っておりません。あなたが外務大臣におなりになったならばそのことを伺いますが、私はきょうは防衛長官としてのあなたに対して質問をしておるのです。すなわち日本の今継続しつつありますMSA協定を中心にして、強化しつつあるその防衛計画の合理的な基礎としての間接または直接侵略危険性に対する情勢判断を、どこに置いておられるかということを伺っておるのでありますから、事が起きたときに何も用意がなくてはいかぬからやっているのだという漫然たるお答えでは、日本がかくかくの武器アメリカから受け、国民に対してはこれこれの軍事費を出してもらって、それで防衛計画を立てているのだという説明をなさる基礎はないと思う。アメリカから押しつけられているから、しょうがなしにやっているのだというならそれでよろしゅうございましょうが、そうでなしに、日本自身の計画であるというならば、あなたのおっしゃる国際情勢ではなくして、もう一歩進んで日本に対する間接または直接侵略に対する危険の情勢判断は、一体どこに置いておられるかということです。夢のようにこつ然として起きるということを想定しておられるのか。それがなければ国内におきまする陸海空の第一比重をどこへ置くかということ、それからまたその中でどういう兵科、どういう兵器に主力を置くかということも、またあなたが指導しておられる、兵隊の訓練にいたしましてもどういう点に重点を置くかということも、今申しました現実の直接または間接侵略の相手方は——どこでもよろしゅうございますが、不特定多数でもけっこうです。そういう直接または間接侵略情勢に対する判断なくして、武器または兵科の選択、訓練の方針というものが立つはずはないと私は思うのです。私は昭和六年の陸軍の幹部候補生でございます。その当時の幼稚な日本の作戦におきましても、われわれはそういう基本的なことは習ってきたのです。まして今日のような国際的に複雑な、しかも高度な武器の体制を取っておりますときに、総合的な防衛計画日本が自主的に立てようというときに、その判断なくして立とうはずはありません。立てたその内容、計画国民を納得させ、国民の代表であるわれわれ国会を納得せしめるためには、立っておるところの計画が、客観的に正しいか正しくないかということを、妥当であるか妥当でないかということをきめますには、日本に対する、今おっしゃった直接または間接侵略に対する情勢判断とにらみ合せた上でなければならぬと思うのです。そういう意味で、私はくどいようでありますが、一つ問題の焦点をそこにしぼって申し上げますから、ほかのことはおっしゃって下さらぬでもけっこうですから、その問題に対するあなたの基本的な判断防衛長官として防衛計画を立てる場合の判断アメリカMSA協定に従って武器を受ける交渉をなさるための基本的なあなたの態度を決定するための必要な判断、その点にしぼってお答えをいただきたいのでございます。
  29. 杉原荒太

    杉原国務大臣 御質問ごもっともでございますが、先ほどからたびたび申し上げますように、万一の場合というものが、どういう形で、どういうふうになるかという点は、非常にむずかしいと思います。そして防衛計画を立てていく場合の主眼は、あくまでも他国を脅威するような攻撃的なところにあるのではないのでございます。日本の地理的の状況などから見まして、侵略を受けた場合、これを排除するだけの力を日本自身で持つ——現在はほとんど日米安保条約に基いて外国に防衛を依存しているが、独立国として、やはり日本としても、相当の備えはいたしておく必要がある、こういうふうな考え方が基本でございまして、それ以上具体的に、御満足のいくような答えは非常にむずかしいと思います。
  30. 穗積七郎

    穗積委員 どうも遺憾ながらこの間他の委員会お答えになった御答弁を一歩も前進していないので、非常に私は残念に思います。あなたのためにも私のためにも残念だと思う。こういうことでは、合理的な、国民を納得させるための防衛計画、それを実行するための予算の要求というものの根拠がないと言わざるを得ないと私は思うのです。  それでは言葉をかえて具体的にお尋ねいたします。他の委員会におきましては、九州地区か一体なぜ重要なんだということ、そういうことで仮想敵国問題と関連してお話がありましたから、おそらくそれについては同様な御答弁であろうと思いますので、蒸し返しになりますから避けますが、たとえば今度ジェット機の問題が大きくなり、それから昨年度MSA協定に件いまして受け入れました三十六億の金の使途につきましても、やはり二十数億、二十五億ばかりの残余の金は、ほとんどジェット機の生産に集中するといっている。従ってその問題について、日本のこれからの防衛計画か、航空計画に相当重点を置いていきつつあるということは明瞭だと思うのです。  それでは第一にお尋ねいたしますが、たとえば航空基地として漠然とそういうふうにお考えになっておられるのなら、たとえば三沢、横田、立川、小牧、板付等の重要な航空基地は、どういう基準によってお選びになって設定されたものでございますか。アメリカが設定したのをそのまま踏襲されたのか、あなたがそれを受け継がれて、ここでこういう重要な航空基地をこの地区に設定する、これこれの土地に置くということについて、一体どういう基礎をもってこれを踏襲されたのか、今度これを拡張しょうとしておられますが、どういう観点に立ってこの航空基地の重要地点が選択されたのか、その重要性の条件を御説明いただきたいと思います。
  31. 杉原荒太

    杉原国務大臣 今の御質問の飛行基地の問題は、自衛隊の飛行場のことではないことを御承知の前提での御質問だと考えますが、アメリカ側で今度飛行場の拡張を要求しておりますのは、ジェット機の使用に伴いまして、従来の滑走路では不足する、そうして現に不足しているためにいろいろの事故が起っているので、そういうことのないようにということがもとになっている次第でございまして、それ以上のことはないと考えます。
  32. 穗積七郎

    穗積委員 実は防衛問題論議のために私どもは初めてあなたのお話を伺うわけですからただしているわけですが、今あなたは、航空基地等はアメリカ航空基地であって、それの要求に従ったもので、いわばわれわれの関知したところではないとおっしゃいました。駐留いたしますアメリカの兵隊は、一体アジアのどこの国を侵略する目的を持って置いていることを許しているのですか。そんなことを聞いたことがない。無防備である日本に対して、日本の直接または間接侵略の危険を防ぐ目的を持ってのみに限定してこの国にいることが許され、この国にいる権利を持っている。従ってこれらの基地は米軍の基地ではありますが、日本防衛の目的、日本防衛に必要なる作戦計画に従って、これらの地区が選定されているわけでありますから、日本国政府は、それらの地区を選定しまたは拡張することの合理性を認めなければならぬはずであります。従ってその計画については、もとよりアメリカ軍の意思も入っていることを認めざるを得ませんが、しかしその計画の中には、日本防衛計画または防衛の意思が入ってはいないのだということを言うことは、とうていできないと私は思うのです。そういう意味で伺っておるのですから、その点で御答弁をいただきたいのでございます。
  33. 杉原荒太

    杉原国務大臣 今おっしゃいましたように、アメリカ軍の駐留は、日本の安全を保つことが基本になっている。これは安保条約にも、その趣旨のことが明瞭に書いてあります。今日本日本自身を守る自衛の手段を持たないので、日本を守るための暫定措置として、日本を外国の武力攻撃から阻止するためにやるのだという趣旨のことを、はっきりと安保条約自体にも明示されており、今おっしゃいました趣旨の通りだと存じます。その基本からいたしているわけでございまして、今の問題の飛行場は、日本の安全を守るために必要だというところから、そこに基本を置いてやっている次第でございます。
  34. 穗積七郎

    穗積委員 ですから、日本を守るためのこれらの基地をどういう基準によってお選びになったのか、どういう判断によってその拡充をお認めになろうとしておるのか、それを伺っておるのです。一般的、抽象的なことはお互いにもう理解しておるはずでございますから、これは論議をする必要はないので、具体的にこれらの地区が、どういう直接侵略間接侵略防衛に対する合理的な判断に立っておるかということを伺っておるわけでございますから、そういう点にしぼってお答えをいただきたいわけです。
  35. 杉原荒太

    杉原国務大臣 ただいま申し上げましたのは、根本の筋のことを申し上げたのであります。アメリカ側でも、従来使用しております。飛行場のうちで、先ほど申し上げますように滑走路が短いために事故が非常に起る。それだから拡張してもらいたいという要求がございまして、そしてまたその必要性は認めざるを得ないと思います。しかしこの中におきしましても、なるべくこれをしぼりまして、今のところ五つということになっておるわけでございます。これはいろいろ御意見でござましょうか。上げますことでやつておる次第でございますから、よろしく御了承願います。
  36. 穗積七郎

    穗積委員 明確なるあなたの、長官としてのそういうお答えでは、実は了承するわけにはいかぬのです。しかしこれ以上お答えにならぬというのですから、問答を繰り返しましても時間の空費でございまからから、問題をかえてお尋ねしますか、それでは日本防衛計画というものの、つまり直接または間接侵略に対する判断仮想敵国等の問題にたしてお答えしていただけないのはやはり何といっても皆さんの心の中に憲法の問題があるからだと思うのです。憲法の要綱が、あなた方にお答えすることを引き締めておるのだと思うのです。平和憲法の建前上答えられないそういうところも非常に多くあると思うのです。ところが日本防衛に対しまして、片棒以上の責任を担っておりますアメリカは、戦争をを建前としておる国でございますから従ってこれは差しつかえないと思います。日本計画はしゃも日本防衛に対して共同の責任を持っておるアメリカ日本防衛計画というものはあるだろうと思うのです。これは昨年度MSA協定を論議いたしましたときに、アメリカ日本防衛を起点とするアジアにおける作戦計画等も、実は前内閣の時代においては、アメリカ側から示されたはずであって、その問題についても、われわれこの委員会におきまして質疑をいたしたことがございます。その後久しくこの防衛問題について、当外務委員会では論議をいたしておりませんので、そこで新しい長官を迎えましたからお尋ねいたしますが、その後の情勢アメリカ計画をも加えまして、最近におきますアメリカ日本を中心とするアジア防衛計画というものを一つ話し合いになっているだろうと思うのですが、お示しをいただきたいのです。
  37. 杉原荒太

    杉原国務大臣 アメリカ軍防衛計画というものにつきましては、私申し上げる地位にございません。
  38. 穗積七郎

    穗積委員 それは、どういうわけですか。秘密ということですか。
  39. 杉原荒太

    杉原国務大臣 その点は今申し上げますように、アメリカ防衛計画、内容そういうものを私申し上げることまできません。
  40. 穗積七郎

    穗積委員 アメリカ本国の全世界に対する軍備計画作戦計画をあなたがお答えするというわけにはいかぬでしょう。そんなやぼなことを聞いておるのではない。そういうことではなく、日本防衛に対しては、アメリカも安保条約を通じて、この問題については日本国民に責任を持っておりますよ。だからこそいろいろな協定を通じて、日本に経済的なまたは役務その他の便宜を供与する義務をアメリカの兵隊どもは要求しているのだ。従ってこの問題は外国ではないのだ。日本防衛に関して、私は国民として聞く権利がある。一体どういう協定のどこにそういうことがございましょうか。日本国民はアメリカ日本防衛に対する計画に対して質問することができない。または政府は答えることができないというような秘密保護法というものはどこかにございましょうか。そんな秘密協定がどこかにございましょうか。そんなことはわれわれは聞いたことがない。私は日本防衛に対するアメリカの責任ある方針を聞かしていただきたい。政府を通じて聞くのが順当ですから聞くのです。われわれは軍司令部へ行って、お前らわれわれを守ってくれるというが、お前らの計画はどうなんだ。それによってわれわれの協力の仕方は違うのだということをしたいわけですが、常識的にはできない。だから同の責任を持っておる日本政府を通じて聞くわけです。日本政府はこれに対して国民に説明をして安心させたり、あるいはときには協力を要求したり、あるいはアメリカ軍の権利を納得させていくことは当然必要だと思うので、そういう意味で私は聞いておるのですから、答えられぬという理由は大臣にはないと思うのです。
  41. 杉原荒太

    杉原国務大臣 アメリカ軍防衛計画の内容については、公けにされておらないのでございますから、私これを申し上げる自由はないわけでございます。御承知通りアメリカ防衛計画内容等は、行政協定に伴う刑事特別法の条項もあることでございますから、公けにされないわけでございます。
  42. 穗積七郎

    穗積委員 きょうはごく基本的の問題について、これらの防衛問題を論議する場合の新しい一つの御意見を伺おうと思ったのですが、どうも何も得ることができませんで、はなはだ遺憾でございますが、あともう一点伺っておきます。それはこういうことでございます。日本の直接侵略、または間接侵略の危険に対する、今日日本国民が一番心配であるところは、ソ連や中共にあるのではなく、むしろアメリカの原子兵器を持ち込む点、アメリカの原子兵器を中心とする作戦が戦争を予防の意味でも何でもいいが、そういう危険を実は一番感受しているわけです。先般ビキニにおきます水爆実験のために、二千数百万の反対署名のほうはいとして集まりましたのは、民意の自然発生的の要求であって、それが最近の軍事基地の反対運動に思想、主義を超越して、これこそ大衆の自己防衛意識から出ている原子兵器に対する非常な神経だと思う。今度の濃縮ウラン受け入れに対しても、日本輿論が異常に神経をとがらしているのはそれなので、ソ連、中共の直接侵略間接侵略を始める危険を感ずるということよりは、日本の大衆は鋭敏にアメリカの原子兵中富が日本の中に持ち込まれる危険を実は感じている。このことにつきましては重光外務大臣は、実はそんなことはない、もしやるときにはわれわれの承諾を求めてでなければやらないはずだし、そういう場合にはわれわれは承諾しないはずだという趣旨のお答えがありました。しかしその直接の責任はこの問題についてはあなたのところにあるわけですね。そこでこの問題について民主党内閣防衛計画として原子兵器が持ち込まれないという証拠、国民を安心せしめる証左は一体どこにございましょうか。
  43. 杉原荒太

    杉原国務大臣 これまで外務大臣及び総理大臣からもその点申し上げているわけでございまして、アメリカ側で責任ある人がそう言っているのでありますから、責任ある者の言というものはそれが一つの証拠だと思います。
  44. 植原悦二郎

    植原委員長 穗積君、防衛庁長官は参議院の予算委員会にさっきから呼ばれているから、あなたの質問があまり長いから、なるべく端折ってするか、一部は次に残していただいてもいいと思います。
  45. 穗積七郎

    穗積委員 委員長もお聞きの通り防衛問題の非常に大事な点ですから伺ったわけですが……。
  46. 植原悦二郎

    植原委員長 ごもっともだと思いますが……。
  47. 穗積七郎

    穗積委員 委員の関心事だから、今これをやっておくことは、他の委員の方とまた繰り返す煩を避けることであって、私一人が時間を空費しているわけでございませんから、よく御了承をいただきたいと思います。  それで長官にちょっとお尋ねいたしますが、重光さんはのらりくらりとした説明をしておられますが、あなたは、日本国民をいずれの国から生ずる危険からも防ぐ責任を持った長官ですよ。今申しました通り日本国民が最近防衛上一番不安に感じ出していることは、ソ連、中共の直接侵略問題ではなくて、そういうことは遠のいて、むしろアメリカの原子兵器の使用の仕方に関心があるわけです。その危険を防ぎ、その危険に対する国民の心配を安心せしめる責任があるのがあなたの地位なのです。従って今申しました通り、重光さんが、責任のある方がおっしゃったというなら、何月幾日、だれがどこで、日本政府のだれに、どういう言葉で原子燥弾を持ち込まぬということをしゃべったのか、聞かしてもらいたいのです。条約にはそんなことは書いてありません。原子爆弾を持ち込むときには、日本の承諾なくしては持ち込まぬということは、今まで日米間で結びました軍事協定の中のどこにもありませんいですから、しゃべったというが、そのしゃべったことが国際法上一体安心のできる値打のあるものであるかどうかわかりません。しかしあなたの言葉をかりれば、責任のある人がしゃべったのだから安心してよかろう、条約または条約対等以上のものだという御判断でございましょうが、そのあなたの判断をする前に、一体どこで、だれが、いつ、どういう言葉でしゃべったのか、それを聞かしていただきたいです。
  48. 杉原荒太

    杉原国務大臣 外務大臣が、アメリカ側の責任ある人に確かめておるということを言明しておられるわけでございます。それがいつ、どこでということにつきましては、当の確かめられた外務大臣からお答えしていただくのが適当だと思います。
  49. 穗積七郎

    穗積委員 はなはだ遺憾ですが、それは防衛庁長官として職務怠慢だと思います。職務怠慢でございますよ。防衛関係というのは、ソ連、中共だけの直接侵略を防ぐのがあなたの任務ではなくて、いずれの国から生ずる日本の危険に対しても、日本の人民の安全を守るのがあなたの責任なのであります。こういう問題が今まっ先に一番大きな不安として起きております。アメリカ側の原子兵器の使用の仕方等について、外務大臣が、ということですが、国民にかわって国民の安全を保つ責任を持っているあなたが、そんなことで安心できるのかどうか。閣議でも何でもちゃんと外務大臣からお聞きになって、それならなるほど安心だということを、国民に、つまり国会に対して説明ができるはずでしょう。その問題は実は外務大臣に責任があるのではない。あなたに責任がある。一番関心の深いことなんです。それではあなたは、いつ、どこで、アメリカのだれが、どういう言葉でしゃべったかということを、重光外務大臣に一ぺんもおただしになっておらぬですか。
  50. 杉原荒太

    杉原国務大臣 実は私今度の国会が始まってからでございますが、外務大臣に確かめましたところが、向うにも確かめておるという——それが何日のいつだったということは、私正確に記憶ございません。
  51. 穗積七郎

    穗積委員 日にちのことは大よそでよろしゅうございます。
  52. 杉原荒太

    杉原国務大臣 この会期中でございます。私が確かめましたのは、四月か五月だったと私記憶しております。そして先ほど申し上げましたのは、そういうことは外務大臣のことだというふうな意味では決してございませんので、その辺の正確なところは外務大臣からお答えするのが適当だ、こういう趣旨でございます。
  53. 穗積七郎

    穗積委員 それであなたは、日本国民の心配に対して責任ある長官として納得させるだけの確実さがあるとお考えになりましたか。
  54. 杉原荒太

    杉原国務大臣 私はそう考えております。
  55. 穗積七郎

    穗積委員 そうお考えになったのなら、それは一体どういう相手の地位、相手の言葉によってそうお考えになったのでしょうか。それはどういうことですか。日にちはどうでもよろしゅうございます。
  56. 杉原荒太

    杉原国務大臣 それは外務大臣が、アメリカ側の責任ある人から聞いて確かめたということでございますから、私はそれを信頼いたしております。
  57. 穗積七郎

    穗積委員 あなたは現在防衛庁長官におなりになって、責任ある地位にございます。同時にあなたはすぐれた外交官として、今まで長年の経験と知識を持っておられる。そこで、そういう言葉が果して今までの国際政治の中において信拠すべきものとして取り扱われたろうか。国際法と同等、同等以上の効力をそういう言葉が持つものであるかどうか。そんなことはわれわれ常識として考えられない。われわれが学びました国際政治史、外交史等を通じましては、一国の防衛問題、原子兵器に対する危険に対して、これが完全な証拠であり防波堤であるなんという、そんなものにわれわれは信拠を置くわけには参りません。今までの経験でも、条約があってすらいろいろ心配が生ずる今までの国際外交である。従って、だれがしゃべったかわからぬが、同じ閣内にいる外務大臣が確かな人に聞いて、大体いいと言っているからといって、それじゃあなたは国民に対する責任が済まぬと思う。国民の心配に対しても……。ですからもう少しはっきりしていただきたい。私が外務大臣に直接その事実を伺うのと、あなたに伺うのと、伺っている意味が違います。あなたの責任が外務大臣とは違います。ですから次回の委員会までに外務大臣に、国民が心配しているから安心させるために、納得のいくように内容をはっきりしてもらいたいということで要求されて、正確に聞いていただいて、そしてあなたのそれについての判断をお加えになった上で、次会に答弁をしていただきたいのでございます。  そのほか私はこの問題討議に当って、基本的な諸点の質問をまだ残しておりますが、委員長から時間の御催促でございますから、次会に明確な御答弁をお願いいたしまして、きょうはこれで打ち切って留保いたしておきます。     —————————————
  58. 植原悦二郎

    植原委員長 次に本日の日程中、条約第七号より第十四号までの八件を一括議題といたします。質疑を許します。並木芳雄君。
  59. 並木芳雄

    並木委員 私はカナダとの航空の問題について伺っておきたいのです。それはカナダとの航空はいかなる計画が行われているか。それから本年度向う一年間の外国航空計画について明らかにしていただきたいと思います。聞くところによるとルフトハンザ飛行機会社ですか、それがやはり日本との間で航空航路を持ちたいという話が進められているそうですが、それらの点、それからまた豪州との間の航空はどうして話し合いが、停頓しているか。あるいはこれは非常な赤字でもってやり手がないというようなことも聞いておりますけれども、そうだとすれば航空事業に対して政府が力を入れて、豪州航路などを開通するように持っていくことが大切な問題であろうと思いますから、この際これらの諸点について計画を明らかにしていただきたいと思います。
  60. 澤雄次

    ○澤説明員 カナダとの間には、今カナダ航空会社がバンクーバー東京香港の間を毎週二便やっております。日本航空といたしましては当分の間カナダに航空路を開く計画はございません。それから豪州との関係でございますが、これは豪州のカンタス航空会社がただいま東京に一便、イラクに一便、それぞれシドニーから航空路を持っております。日本政府としては豪州に航空路を開く計画はただいまのところございません。豪州との航空協定は大体この秋ごろに東京か豪州で行う予定になっております。
  61. 並木芳雄

    並木委員 ドイツとの問題は……。
  62. 澤雄次

    ○澤説明員 ドイツとの間には何の計画もございません。航空協定の予備交渉もいたしておりません。
  63. 並木芳雄

    並木委員 フィリピンとの間はどうですか。
  64. 澤雄次

    ○澤説明員 フィリピンとの間は何の計画もございません。
  65. 並木芳雄

    並木委員 そうすると、私が尋ねようと思ったことについては、まことにさっぱりした答弁で、何にもないのですけれども政府はそんなことでいいのですか。今のような貧弱な計画だったら、日本の海外航空というものはまことに悲惨なものになるのじゃないですか。もう少し積極的な政策を示して、もし欠陥があるならば、こういうところに欠陥がある。だから国会の方でもそういうものに対して力を入れてもらいたいということになれば、われわれもまた力の出しようがありますけれども、今のようなさっぱりした答弁だと、これは取りつく島がないわけなんですけれども、それでいいのですか。
  66. 澤雄次

    ○澤説明員 日本航空は昨年の二月に初めて米国との間の航空路を開き、それから今年の一月から香港との間の航空路を開きまして、それぞれ週三便をやっております。この間DC6B五機、DC4七機を購入いたしまして、この航空整備をやっておりますが、御承知のように航空会社は航空路、特に国際航空路を開きました当初におきましては 非常な赤字かございますので、まずこの開始しました米国線、香港線を充実いたしまして、業績が改善してから漸次他の方にも航路を伸ばすよう計画いたしております。ただいま日航の資本金は三十三億でございますが、そのうち二十億は政府出資、本年度におきましてもさらに十億の政府出資をお願いいたしております。さらに補助金も今年度は三億五千万円お願いしております。御趣旨まことにごもっともでございまして、私たちもそのように飛躍的な計画を持ちたいのでございますが、まだ航空路を開始しました当初でございますので、着実にすでに開いた航空路をまず整備いたしまして、それから漸次航空路を伸ばしていきたい、このように考えております。
  67. 穗積七郎

    穗積委員 外務省にお尋ねしますが、この協定を結びまして、カナダに対する日本航空路要求の権利ですか、カナダが他の国に許しております航空路に対しては、こちらがする、しないは別ですが、要求した場合には、平等な権利が認められると理解して結んでおられるのですか。
  68. 園田直

    ○園田政府委員 その通りであります。
  69. 穗積七郎

    穗積委員 そうしますと、先ほどのお話では、カナダに対してはそれはどのあれがないから、他の国と同様な計画は持たないというのでしょうが、今後この協定を特に結ぶことによって直接生ずるメリットはどういうことだとお考えになっておりますか。
  70. 高橋覺

    ○高橋説明員 先ほど航空局の方からお答え申し上げましたように、現在のところ当分の間カナダへわが方の航空機が出ていかないということでございますので、この協定を結びますことによりまして直ちに直接の利益があるというわけではございません。ただ従来カナダは、平和条約十三条に基きまして、わが国に一方的に乗り入れの権利を持っていた、この状態が解消しまして、双務的にこちらも乗り入れの権利を得る、現在のところでは、それだけの事態が変る、それだけでございます。
  71. 穗積七郎

    穗積委員 現在は日航機を向うへ乗り入れるという計画はないにしても、大体航空業務のマーケットとしては、将来のカナダについてどういうふうに判断していらっしゃいますか。
  72. 澤雄次

    ○澤説明員 日本から見ましたカナダの航空市場としての価値でございますが、将来は機種が変って参りまして、DC7C、それからスーパー・コンステレーションが出て参りますから、東京から北方ルートと申しますか——北方ルートは無着陸飛行ができますので、バンクーバーは米大陸に対する非常によい中間地点となる、その意味では将来は非常に重要な市場となると思っております。
  73. 穗積七郎

    穗積委員 寡聞にしてよく事情を存じませんが、現在カナダから日本へ乗り入れている航路の利用状態、並びにその航空線の経営状態は大体調査なさっていらっしゃいますか、わかりましたらちょっと……。
  74. 澤雄次

    ○澤説明員 カナダから日本への路線、これは日本だけでございませんで、現在カナダの航路会社は香港まで行っております。それでカナダから東京に来る旅客も相当ございますが、香港からカナダ、あるいは南米までこのカナダの航空会社は路線を伸ばしておりますか、香港し労務省と申しますか、これを大量に南米に輸送しております。その意味でカナダ航空会社は非常に黒字になっていると承知いたしております。
  75. 穗積七郎

    穗積委員 今の問題は、われわれしろうとながら平素考えることですから、希望として申し上げたいが、国際的航空路線をやる場合には、電話利用と同じであって、なるべく長い方がその路線自身も生きると私は思うのです。今おっしゃるように、カナダ東京だけでなくて、東京から香港、または香港からアフリカなり、さらに南米なり、あるいはまた西ヨーロッパまで、ずっとその国の航空路が次から次に乗り継ぎができて便利である。たとえばワシントンから日航機でもってカルカッタまでずっと乗り継ぎで行けるというように、切符がワシントンですぐ買えるということが、その航空路全体を生かすゆえんだと私は思う。このような協定を結んで、だんだん日本の国際航空路の権利を確保していくわけですが、その場合にはやはりその局に当っておられる方が思い切って予算も要求されて、ちびちび出しておったのでは予算が死ぬわけですから、早くこうやって得た航空路の権利を実益にかえるために、今おっしゃった通りこのカナダがやっている路線が黒字になっているというようなことであるならば、マーケットとして有望なわけでございましょうから、ぜひそういうことを積極的に進めていただきたいということを要望いたしておきます。  ついでにお尋ねいたしますが、現在日航のパイロットはまだアメリカ人ですか。
  76. 澤雄次

    ○澤説明員 国内線の機長は大部分日本人に切りかえましたが、国際線の機長はまだ大部分が米人でございます。しかしこれも漸次日本人に切りかえていく方針でございます。
  77. 穗積七郎

    穗積委員 日本人のパイロットの場合とアメリカ人の場合とではコストがだいぶ違うと思いますが、どのくらいの比率になっておりますか。
  78. 澤雄次

    ○澤説明員 ただいま正確な数字を持っておりませんが、アメリカ人のパイロットは大体月千五百ドルくらいと承知いたしております。日本人の場合は諸雑費入れまして四百ドルくらいでございます。
  79. 穗積七郎

    穗積委員 えらい違いですね。これは早く日本人パイロットにすべきことは当然なので、操縦技術その他については決して遜色ないと思うのです。そういう意味で早く切りかえるべきだと思っていたわけですが、これについては特に急いでおられますか。それで見込みとしては——これは全部日本人パイロットに切りかえるべきであると思うのですが、日本側の養成計画、それからアメリカ人を全部日本人に切りかえる大体の計画といいますか、見込みをちょっと説明して下さいませんか。同時にその説明の前に現在の日本人パイロットとアメリカ人パイロットとのパーセンテージを示していただきたい。
  80. 澤雄次

    ○澤説明員 国際線におきましては、全体のパイロット六十五名のうち十五名ばかりが日本人パイロットでございます。国内線につきましてはちょっと正確な数字を持っておりませんが、国内線につきましては五名がアメリカ人のパイロットで、ほかはほとんど日本人のパイロットでございます。率は約一〇%がアメリカ人パイロットになっております。  国内線につきましては大体来年度中に全部日本人パイロットに切りかえます。それから国際線につきましては正確な年次を申し上げられませんが、大体国内線の機長を勤めました者を国際線のパイロットとして使用いたしまして、それを国際線のパイロットにいたしていく計画でございます。大体国際線につきましては、全部を切りかえますのにあと四年くらいかかる計画でございます。
  81. 穗積七郎

    穗積委員 最後にその点についてどういうわけでそんなに長くかかるのか、その事情をちょっと——技術的な点でございますか、アメリカとの交渉にネックがあるのか、むしろアメリカとの交渉にネックがあると思うのですが、日本のパイロットの技術不足が原因でしょうか。そんなことはないでしょう。そんな四年もかかるはずはないと思うのです。
  82. 澤雄次

    ○澤説明員 日本には今パイロットが非常に多いのでございますが、これはみな軍の古いパイロットでございまして、これを商業パイロットにかえますのに相当の年次を要します。それから機種は全然変ってしまってDC4、DC6Bでございまして、この技術をアメリカから受けますのに相当の毎次がかかるというのが一つ、いま一つ航空交通管制と申しておりますが、それは今英語でやっております。御承知のように航空交通管制はヴォイス・コントロールでございますので、耳がなれますまでどうしてもそれくらいの年次がかかるわけでございます。普通の陸上の英語でございましたらちょっと聞き違いましてもあとで訂正ができますが、航空交通管制では非常にすぐれた耳を持っていなければ非常に危険でございます。
  83. 穗積七郎

    穗積委員 そうしますと問題のネックは、日本人パイロットの技術未熟という点にのみあるようですが、アメリカとの交渉の中に何かネックもあるのじゃないですか。
  84. 澤雄次

    ○澤説明員 アメリカとの交渉は何もございません。これは純コマーシャル・ベーシスに基きまして、日本航空アメリカ航空会社からパイロットを借りております。しかも短期で借りておりますので、日本側で切りかえ得るという自信がつきましたときには、いつでも切りかえられるわけです。
  85. 穗積七郎

    穗積委員 私せんだってアメリカの新聞だったか何かで見たのですが、日航でパイロット養成者の選抜をやったでしょう。去年だったと思いますけれども、そのことについてアメリカ側でほめられた、非常に粒ぞろいで勉強の態度、技術、能力等についてすばらしいと礼賛されたようです。そういう記事を見たことがありましたが、あれはむろんもう帰って優秀なパイロットになっているだろうと思いますけれども、そういうようなわけで、アメリカ側にネックがないとすれば耳なんかに四年もかかる必要はないので、青年諸君であるならなおさらで、子供だって生まれて四年たてば日本語を十分聞いたり、しゃべったりすることができる、しかもしゃべる言葉なんというものはテクニカル・タームでございますから、きまった言葉でしょう。そんなものに四年も八年もかかるはずはないので、半年も行っておれば大がい見当はつくだろうと思うのです。そういうことを積極的におやりになったらどうでしょうか。日本の当局に積極性がないことがそういうことをおくらしているのではないかと思うのですが、そのパイロット養成に対するもっと積極的な方策というものをお立てになって、それで早くこれを切りかえる必要があると私は思うのですが、そういうことをお感じになっておられぬのかどうか、そういうことを積極的に促進する計画をお立てになることを要望したいのですが、お考えはどうでしょうか。
  86. 澤雄次

    ○澤説明員 お説、全くごもっともでございまして、航空局としても、日本航空の赤字を脱却するために、一日も早く日本人パイロットに切りかえるように指導いたしております。
  87. 戸叶里子

    戸叶委員 商品見本及び広告資料輸入を容易にするための国際条約への加入について承認を求めるの件についてお伺いしたいことは、たとえば国際見本市などに商品を持って参りまして、そうしてもしもこれを日本で処分したような場合には、どういうふうな罰則なり何なりがあるのでしょうか。
  88. 西堀正弘

    ○西堀説明員 ただいまの国際見本市の場合に、日本に持って入られます見本の取扱いでございますが、これは現在のところその特殊性にかんがみまして、日本におきましては非常に簡略な取扱いを行なっております。関税法の第四節の保税倉庫の規定を適用いたしまして、その保税倉庫の庫入承認を受ければ足りる、こういうことになっております。従いましてただいま御質問の庫入承認を受けて日本に入りました見本を、最初の条件に従わずにこれを処分した、こういう場合におきましては、同じく関税法の第十章に罰則規定がございまして、第百十五条「左の各号の一に該当する者は三万円以下の罰金に処する。」そこの二に、「保税倉庫に外国貨物を入れることの承認」云々がございます。従いましてただいまのように国際見本市へ出品のための見本の輸入につきまして今日本が行なっておりますこの保税倉庫の取扱い、これに違反いたしましてそれを国内において処分した、こういう場合におきましては、ただいま申し上げましたように、第百十五条によりまして三万円以下の罰金に処する、これで取り扱われております。
  89. 戸叶里子

    戸叶委員 日本がこれに加盟した場合に、ほかの加盟国で同じような不正が行われた場合には、その国の罰則を受けるわけになりますか。それから時間を省略いたしましてもう一点伺いたいのは、これに加盟している国と非加盟国との特典の違いというようなことがあるかどうか伺います。
  90. 西堀正弘

    ○西堀説明員 ただいまの第一点、これはお説の通り、よその国においてそれぞれ国内法によりまして罰則規定がございますから、それによって処罰されるわけでございます。  第二点、これはただいまのところ諸外国において見本の取扱いが非常にまちまちでございます。国内法によりまして商品見本に関する規定を設けている国、これは日本、ドイツ、スイス、英国、それから商品見本に関する一般的規定を全然設けていない国、アメリカ商品見本に関する規定があいまいである国、フランスというように非常にまちまちでございます。それでたとえて申しますと、ただいまこの条約に加入いたしませんでも、日本におきましてはこの条約の内容は実際に国内法で実施されておりますから、何ら差は生じないのでございますが、たとえば例をアメリカにとりますと、アメリカではカタログなどの輸入につきまして非常にきびしい関税法が適用されておりまして、非常に少量のものはよろしゅうございますが、ちょっと多量になりますと大体課税されるといったような現状なのであります。アメリカがかりにこの条約に入るといたしますと、この条約で認められておりますところの範囲内におきましては、それが免税措置になるといったように、わが国の場合と異なりまして非常にきびしい規定を設けている国が多うございますので、その国につきましてはこの条約の利益というものは相当に大きい、こう考えております。
  91. 戸叶里子

    戸叶委員 アメリカがこの条約に加盟しない理由はどういうわけでしょうか。
  92. 西堀正弘

    ○西堀説明員 アメリカはこの条約に署名いたしておりまして、現在批准国内手続をとっておるというような情報を得ております。
  93. 植原悦二郎

    植原委員長 それでは今の商品見本及び広告資料輸入を容易にするための国際条約への加入について承認を求めるの件については他に質疑はありませんか。——なければこの承認を求めるの件は、質疑が終了いたしたと取り扱っておきます。
  94. 穗積七郎

    穗積委員 ちょっと待って下さい。私の方まだ委員が全部出ておりません。きのうまで連続で疲れて欠席をせられたのだと思うのです。従って私の方でもしそれについて質問があったらさせてもらわないとここで打ち切りだということを了承するわけにいきません。
  95. 植原悦二郎

    植原委員長 きょうは終ったと一つ御了承願いたい。  それから航空業務に関する日本国とカナダとの間の協定締結について承認を求める件については御質問があらませんか。——なければ本日だけこれを終了いたしたことにいたします。なお追加がありましたらそのときにお許しすることにいたします。
  96. 戸叶里子

    戸叶委員 ILO条約に加入している各国状況各国がILO条約に加盟していると思いますが、その状況はどのようになっているか、もし今おわかりにならなかったら、あと資料でいただきたいと思います。
  97. 三治重信

    ○三治説明員 現在七十ヵ国でございますが、先日ベネズエラが石油委員会のいざこざで脱退通告を出しておりますから、それが成立すると二年間効力がありますから、結局正式の加盟は現在六十九ヵ国ということでございます。
  98. 戸叶里子

    戸叶委員 日本でILO関係の条約でまだ加盟しておらないものはどんなものでございますか。
  99. 三治重信

    ○三治説明員 ILO条約は現在百三ございまして、今運輸省の方が四つ出しておりまして、これが批准されると二十二条約批准されるということになります。
  100. 戸叶里子

    戸叶委員 そうすると百三のうちの二十二というとまだ大へん少いわけですが、そのほかにも近く加入するようなお考えがあるでしょうか。
  101. 三治重信

    ○三治説明員 できるだけやっていきたいと思いますが、戦前から批准になった条約が非常にたくさんございます。それとあとからできたのと重複するのが相当あるわけでございます。条約は数ありますけれども、しかしながら戦後日本国批准した条約は、そのうちで労働関係としては最も基本的ないわゆる職業紹介とか、労働勧告とか、団結権の自由とかいうようなのが加入と同時に批准をしておりますので、あとのいろいろのこまかい条約につきましては、それほど現在急ぐ必要もないかと思いますけれども、逐次日本国内方針を立てる上において必要なものからやっていきたいと思います。
  102. 戸叶里子

    戸叶委員 労働法の改悪というようなことが言われておりますけれども、もしも、労働法を改正するようなことになりますと、ILOの条約に加盟しておりましても、その条約に違反するというようなことが出てくると思いますが、この点はどういうふうにお考えになりますか。
  103. 三治重信

    ○三治説明員 労働省の建前といたしましては、たとい批准しておられなくとも、現在の国際労働条約を下回るような線に現行の制度を下げるようなことはしない。これは国際労働条約の範囲内でするというような基本的態度は、たとい改正するにしてもずっと持っております。
  104. 戸叶里子

    戸叶委員 今の御答弁ですと問題ないのですけれども、どうかしますとそうでないような改正が行われるようにも伺っておりますので、この点を気をつけていただきたいと思います。  直接この条約ですが、たとえば船舶の滅失は又は沈没の場合における夫業の補償に関する条約にいたしましても、あるいはまた海員の雇入契約に関する条約というようなものを見ましても、個々に除外規定を設けております。海洋航行に従事するすべての種類の船舶及び舟艇というものに対しては保護がありますけれども、その他の除外されたものに対する保護というようなものはございません、そういうものに対する保護はどういうふうにしてあるのですか。
  105. 龜山信郎

    ○亀山説明員 条約で除外が相当大幅に行われておりますが、現在の日本船員法では条約の通用範囲よりも広く船員法を適用いたしております。たとえば雇い入れの条約において百トン以上の船舶に適用、百トン以下には適用しないと書いてありますけれどもわが国船員法では五トン以上の船舶ということになっております。それで大体におきまして、今度四つ出しております条約適用範囲よりも現行の船員法の方が適用範囲は広くなっております。
  106. 戸叶里子

    戸叶委員 私はこれでよろしゅうございます。
  107. 植原悦二郎

    植原委員長 ILO等の諸案について他に御質問はありませんか。——なければ、以前の航空業務に関する件と、商品見本に関する件と同一に取り扱って、今日はこの質疑は終了したことといたします。     —————————————
  108. 植原悦二郎

    植原委員長 これより国際情勢等に関する件について政府当局に対して質疑を行うことといたします。並木君から緊急質問が出ておりますから、これを許します。並木芳雄君。
  109. 並木芳雄

    並木委員 それではお許しを得まして、私は濃縮ウランについて園田外務次官に質問をいたします。  いよいよ懸案の濃縮ウランの仮調印ができましたが、いつ国会に出すつもりですか。現在でも出そうと思えば出るはずですけれども、これを出せない理由はどこにありますか。八月ゼネヴァで平和会議が開かれますが、その結果を待って出そうというおつもりですか、その点を明らかにしていただきたいと思います。
  110. 園田直

    ○園田政府委員 先般外務大臣答弁いたしました通り、仮調印の効力は法律的には修正できるものと解釈しておりますので、本調印をいたしましてから国会に提出するつもりでございます。
  111. 並木芳雄

    並木委員 本調印はいつごろになりますか。
  112. 園田直

    ○園田政府委員 大体八月以降くらいだと見通しをつけております。
  113. 並木芳雄

    並木委員 そうすると、ゼネヴァの会議を待っておるという配慮に基くものと了解してよろしゅうございますか。
  114. 園田直

    ○園田政府委員 ゼネヴァの会議を待って調印するつもりはございませんが、その他の手続上ゼネヴァの会議意見等も参考になるのじゃないかと考えております。
  115. 並木芳雄

    並木委員 仮調印の内容につきまして修正を要するような場合が出てきたときには、アメリカに申し入れて本調印までに修正をするという用意は、政府に十分あると見ておりますが、その点念のために伺っておきます。
  116. 園田直

    ○園田政府委員 仮調印は法律的には修正できるものと解釈しておりますが、政治的には仮調印いたしたものでございますから、正式調印は国会に提出をしてその御意見を承わりますが、政府としては仮調印に基いて承認を得たいと考えております。
  117. 並木芳雄

    並木委員 そうすると仮調印のまま政府が国会に了解を求めるという手続はとらないつもりですか。このままで、われわれが質問をすればそれには答えるけれども政府の方で積極的に国会にあらかじめ了承を求める。そうして本調印に円滑に運ぶという手順は運ばないつもりですか、どうですか。私は運んだ方がいいと思います。
  118. 園田直

    ○園田政府委員 仮調印では本調印の根幹をなす値段の問題、あるいはその他の重要な問題等もまだきまっておりませんので、そういうものをきめてから本調印をお願いをするつもりでございます。
  119. 並木芳雄

    並木委員 それではただいま値段の問題がまだきまっておらないのに仮調印をするというのは、これは実際問題としてはずいぶん重要な問題でございます。私は与党ですからそこをあまり突っ込むことばできませんけれども、それをあとからこの本文に追加をされるのでございますか、それとも何か別個の細目協定ができるのでございますか、はっきりして下さい。
  120. 園田直

    ○園田政府委員 賃貸取りきめでございますからそのようにしております。
  121. 並木芳雄

    並木委員 賃貸取りきめの中に含まれる項目をおっしゃって下さい。
  122. 園田直

    ○園田政府委員 この際大体仮調印に関しての御報告を申し上げて御答弁にしたいと考えております。  濃縮ウランの提供とこれに伴う技術などの援助に関して、六月初めからワシントンにおいて米国政府当局と交渉を開始しておりましたが、今般交渉当事者間において協定案文について妥結を見ましたので、昨日ワシントンにおいて井口大使とロバートソン国務次官補による仮調印を行いました。  本協定は原子力の非軍事的利用に関する協力のための日本国政府アメリカ合衆国政府との間の協定と称しまして、前文及び九ヵ条よりなっております。有効期間は五ヵ年間で更新ができることになっております。この協定によってわが国は米国から実験用原子炉の燃料として二〇%まで濃縮したU二三五の含有量六キロ以下のウランの貸与を受け、実験用原子炉の設計、建設及び操作、これに伴う健康及び安全の問題、放射性同位元素の医学的、生物学的研究、医療、農業及び工業における利用などに関し、機密に属さない情報が交換されるとともに、わが国は燃料等の使用に関する保全措置、米国原子力委員会への年報の提出、資料を軍事目的に使用しないことなどの責任を有しております。  濃縮ウランの賃借料は今後の交渉によって決定せられるわけでありますが、大体実験炉の価格の少部分と見られております。実験炉としては政府は一応湯沸かし型を今のところ予定しております。  この協定は両国の国内手続を完了した旨の両国政府間の文書を交換する日をもって効力を発生することになっております。本協定の効力発生とともにわが国における原子力の開発及び平和的利用は画期的な一歩を踏み出すこととなる次第でございまして、今後諸般の国内準備が推進されるものと期待をしております。  なお将来の原子力発電に関する米国トルコ間協定第九条のごとき規定は、本協定の目的とは直接の関係かございませんから、本協定には規定しないこととして、将来もしわが国が希望する場合には、原子力発電に関して、米国政府と協議し得る旨の公文を両国政府間において交換することとしております。
  123. 並木芳雄

    並木委員 賃借料は未定であるといいますけれども、これは未定から決定へ明らかに可能性はありますか、トルコとの協定ではいまだに明らかにされないのでありますが、ただいま言われました賃貸に関する協定には値段の点がはっきりとして参りました。
  124. 園田直

    ○園田政府委員 その問題は、計算その他の関係上、大体一月くらい要してきまると考えております。
  125. 並木芳雄

    並木委員 値段がはっきりしてくるのですね。
  126. 園田直

    ○園田政府委員 そうでございます。
  127. 並木芳雄

    並木委員 見当でどのくらいだかわかりませんか。今日本受け入れようとするウラン六キロ当り見当で何ドルくらいですか。
  128. 園田直

    ○園田政府委員 見当でまだ御報告申し上げる段階ではございません。
  129. 並木芳雄

    並木委員 有償か無償かということが問題になっておりましたが、有償貸与ということにきまったのですか。
  130. 園田直

    ○園田政府委員 有償でございます。
  131. 並木芳雄

    並木委員 実験用の炉の方でございますが、大体幾つくらい作る予定で向うと交渉されましたか。
  132. 園田直

    ○園田政府委員 目下のところは一つでございます。
  133. 並木芳雄

    並木委員 ただこの場合には貸与という文字が使ってないで、売却または貸与ですか、こういう使い分けがしております。炉の資料受け入れる場合有償貸与でありますか、それともわれわれが買うのですか、どっちにきめたのですか。
  134. 園田直

    ○園田政府委員 そういうあらゆる場合を考えまして、最も有利な方にきめたというのが主として大蔵省の意見でございます。われわれもこの点によって決定するつもりであります。
  135. 並木芳雄

    並木委員 売却の場合、一つの炉について見当で幾らくらいですか。私は予算的措置を心配してお尋ねします。
  136. 園田直

    ○園田政府委員 正式の話し合いではなくて、向うの雑誌や新聞等からのそれによると五十万ドルくらいになっておりますが、ただいまのところ正確にどういとうことは申し上げられません。
  137. 並木芳雄

    並木委員 私は知らないから聞くのですが、炉に作ったものを受け入れますか、それとも資材を受け入れ日本で炉を作り上げますか。
  138. 園田直

    ○園田政府委員 それは今後の具体的な取りきめでございまして、まだ決定いたしておりません。
  139. 並木芳雄

    並木委員 大体日本でどういうところへこれを設けるという計画は立っておるのですか。
  140. 園田直

    ○園田政府委員 ただいま経済審議庁が中心になって検討中でございます。
  141. 並木芳雄

    並木委員 大体一つの炉が五十万ドルくらいの見当でけっこうですが、これは相当の額です。それについて先般アイゼンハワー大統領が、日本に対しては半額にしてもいいということを言明いたしまたが、これは可能性がありますか。この交渉の過程において、政府はどういうふうに見通しをつけておられるか。
  142. 園田直

    ○園田政府委員 その通りでございます。可能性がございます。
  143. 並木芳雄

    並木委員 それから二〇%までに圧縮した六キロのウランというものは、圧縮しなければ五倍というふうにわれわれは考えていいのですか。つまり六キロは五分の一であるからそれに五倍かけて、全体の重さとしては三十キロ、こういうものが来るように考えていいのでしょうか。そうすれば初めに六キロが一つの炉であるというふうに想定をしておった日本側計算は、六キロでその三十を割りますと、五つの炉を設けることができるという計算になってきます。数はふえればいいのか悪いのか、どっちがいいのかということを聞きたい。もしそうだとすれば、五つにふやす計画があるのかどうか。
  144. 松井位七郎

    ○松井説明員 御説明申し上げます。ウランの核分裂を起すのはウランの二三五でございます。これが普通は天然ウランの中の構成分子の百四十分の一となっております。本来は核分裂を起さないウランの二三八と一緒になっております。核分裂を起すのは二三五でありますが、その含有量が少いと、その燃やす炉の面積は非常に大きく、構造その他の経費でも非常にかかります。アメリカでは空気散布法によりまして、ウランの二三八と二三五を分析することに成功いたしまして、これによりますと容積は非常に少いけれども、核分裂を起すウランの方が多くある、これは普通エンリッチと申しております。そういうことによって炉の負担が小さいものを使って実験用に使えるという利点があるので、アメリカは今のところ二〇%まで濃度圧縮、エンリッチド・ウラニュウームを一〇〇%二三五とすれば大体三〇キロ、出てくるのは二三八と一緒になっているので、ウラン二三五に換算すれば六キロでございますが、二三八と一緒にするためにこれが二〇%として五倍になりまして、三〇キロになるわけでございます。  第二の御質問でございますが、これは現在予定されている湯沸かしの炉の燃料、一つの消費量は大体四百グラムでございます。従って一つの炉では燃料が余り過ぎるではないか、もっと炉を作ったらいいじゃないかという考えは当然起ると思います。これは今後の予算措置あるいは民間会社がこれをやる意思があるか、能力があるか、そういう諸般の問題を勘考して決定されることになると思います。
  145. 並木芳雄

    並木委員 大体八月ごろ本調印をして、現物が来るのはいつごろに予定していますか。
  146. 園田直

    ○園田政府委員 本協定が国会の承認を得ましたる後、その経費については予算の特別措置をお願いしなければなりませんので、その上からのことでございますから、まだ期日については申し上げられません。
  147. 並木芳雄

    並木委員 かりに臨時国会が開かれないとして、通常国会でこれを承認いたします。予算的措置が必要の場合には三月一ぱいかかるものと見て、その場合に、それでは一番早くしていつ来るか、それさえできればすぐ来るか、こちらの準備さえできればあしたにでも来るのですか。
  148. 園田直

    ○園田政府委員 炉を注文しましてから製作だけでも一年くらい要しますので、予算ができてからでございましても、直ちに何ヵ月あとというわけには参らないのでありますから従いまして何月かまだ検討がつきません。
  149. 並木芳雄

    並木委員 一年もかかるのですか。——そうするとずいぶん急いでいるのですから、本調印をしないでも、仮注文というようなものでも出しておかないといけないと思いますが、その点の準備は大丈夫ですか。
  150. 園田直

    ○園田政府委員 まだこちらが正式に——そういう権限まで出て参りまして注文いたしたといたしましても、普通のメーカーの問題、その他の問題でいろいろ折衝がございますから、何ヵ月後ということは計画しておりません。
  151. 並木芳雄

    並木委員 やはり来年の末ころになるというのですから、見当からいうと年度のもっと早くにはならないのですか。
  152. 園田直

    ○園田政府委員 炉を注文して、炉ができてからウランをもらうわけでございますから、相当長期間かかります。
  153. 並木芳雄

    並木委員 大体何月ごろくらい、諸般の何がスムーズにいって早い場合です。
  154. 園田直

    ○園田政府委員 国内受け入れ体制その他がございますから、来年の年末になるのか、あるいは再来年にかかるのか、そのところはまた検討してみなければわかりません。
  155. 並木芳雄

    並木委員 問題になったトルコとの協定の第九条、すなわち今度の交換公文に落されたものについてお尋ねいたしますが、交換公文にするのだったならば、本協定の中に入れても差しつかえなかったように思うのですがいかがですか。
  156. 園田直

    ○園田政府委員 今申し上げました通り、本協定の目的とは直接関係ございませんから、本協定には入れませんでした。ただし将来わが国が希望する場合には、原子力発電に関して米国政府と協議する旨の文書を取りかわしたわけでございますから、これは本協定には入れません。しかし本協定を提出いたします場合には、交換公文書は添付をして提出するつもりでございます。しかしこれは審議の資料として提出するわけであります。
  157. 並木芳雄

    並木委員 一緒に提出しても、この交換公文は国会の承認を得ない場合があり得るおけなのです。分離してこれだけが承認を得ないで否決された場合でも、それは差しつかえありませんか。その点の効力はいかがですか。効力からいえば本文と同じようなものでありますけれども、交換公文とした以上は、交換公文のこのトルコとの協定九条に相当する部分については、反対も相当出てくると思いますが、その場合にこれだけが承認を得なくても、本文の方の効力には影響を及ぼさないのですか。政府はどのように解釈しているのですか。
  158. 園田直

    ○園田政府委員 交換公文書は国会の承認の対象にはならないと解釈をいたしております。
  159. 並木芳雄

    並木委員 ちょっと理解しかねるのですけれども……。承認の対象とはならない。それならば効力においては何もないということになります。本文と同じような効力を持っているのだけれども、事柄が将来にわたることであるから交換公文という形式をとったのであるということですか。
  160. 園田直

    ○園田政府委員 何ら義務を負うべき筋合いのものではありませんから、これは政府の行政権内において取りかわせるものであると考えております。
  161. 並木芳雄

    並木委員 私は少し疑問を持っておるのです。義務を負うものでないと言われたけれども話し合いはそうだったでしょう。トルコの注文によってアメリカの方がああいう条項をつけたということを聞いておりますから、日本の方の注文で、将来必要ならば向うの援助を得られる、それがこの交換公文だろうと思うのです。しかし、それならば私は書き方があったと思うのです。アメリカはこれを援助すべきものとすという文章にすべきものだったと思うのです。ところが協力という言葉が依然使われております。これには非常な疑問を抱いているのです。日本の方が希望するということを交換公文の中に入れたいということは、私はこれは確かに政府交渉としては成功であると思うのですが、その請求したときにはアメリカがこれに援助すべきものという片務義務にすればよかった。協力という言葉を使っておるから、将来動力の炉を運営するについて、いろいろ先方から注文が出てきて、ソ連あるいは英国などとの間の取引の場合に介入されるのではないかという懸念が出てくるわけですが、いかがですか。
  162. 園田直

    ○園田政府委員 言葉の中には、もし日本が希望するならばという言葉を使っておりますし、協議という言葉を使っております。
  163. 並木芳雄

    並木委員 協力という言葉はありませんか。あるでしょう。協力は双務協定になるのです。
  164. 園田直

    ○園田政府委員 もし日本が希望するならばという言葉がついておりますから、もし希望しなければ、米側が協力を申し出てもこちらの希望がなければ断われるといろあれがついておりますから、御質問のような御心配は要らないと考えます。
  165. 並木芳雄

    並木委員 その協力はアメリカだけの協力ですか、はっきりしておきたいのですか……。トルコの九条は双方で協力し合うという意味です。では今度のこの交換公文における協力は片務的なものですか。はっきりしておいていただきたい。
  166. 園田直

    ○園田政府委員 日本側が希望した場合には双方的な協力でございますけれども、希望しなければアメリカが協力を申し出てもこれは断わる権限がございます。
  167. 並木芳雄

    並木委員 そこがはっきりしない。なおその点を研究しておいていただきます。その条文の書き方から言うと、こっちから希望するのだから、希望したときに向うが援助するのだというのが常識からいうと普通の書き方です。その時に協力し合うということが論争になるのですから、もしこれからでもそういう点を直す可能性があるならば、はっきりとしていただければなおけっこうです。
  168. 園田直

    ○園田政府委員 こちらが研究するのではなくして、そちらの読み方がおかしいと思うのです。協定をやる場合の可能性について協議するのでありましで、日本側が希望しなければこれはいつまでも断われる問題であって、他の国々とのこれに関するいろいろな問題は何ら制肘を受けておりません。
  169. 並木芳雄

    並木委員 別に攻撃しておるのではないのですから次官、そんなにあわてて答弁しなくてもいいのです。これは協力とすると、その次の段階には協力し合うということになる。だから希望しなければいいのです、希望しない場合は、向うだけが一方的に援助する義務があるのならば問題はないのだけれども、その次の段階は協力し合わなければならないという段階になると思うのです。
  170. 園田直

    ○園田政府委員 並木委員が解釈を急いでおられるような気がいたします。それはこちらの希望があって、そうして向うから申し出があってやる場合の第一の段階の仕事は、協力についての協定をやる、その協定について協議をするわけでございますから、協定をやるかどうかという協議は希望があるならばそういう協議をやる、なければやらぬという問題でございますから、今までの答弁に何ら変りはございません。
  171. 並木芳雄

    並木委員 藤岡博士かソ連に行くことになりましたが、その結果によっては将来ソ連からウランを受け入れるということについては、この協定では別に何も縛られておらないと思いますが、その点いかがでございますか。
  172. 園田直

    ○園田政府委員 他国の、ソ連または英国との関係は何ら縛られていないばかりでなく、交渉の経過については、そういうことは何ら問題でないというようなことになっております。
  173. 並木芳雄

    並木委員 政府としては、将来ソ連または英国から受けることが有利であるという考えが出てきた場合にはこれに応ずる準備がある、こういうふうに理解してよろしゅうございますね。
  174. 園田直

    ○園田政府委員 ただいまはまず最初のアメリカの原子炉の受け入れを慎重に御相談中でございまして、あとの問題は将来の問題でございます。
  175. 並木芳雄

    並木委員 保全措置の問題でございますが、これについては原子炉の実験から生ずるいろいろな害があります。この害を取り除くために何か立法措置が必要になってくるのではないかと思いますが、ウランの保全措置として、また鉱害を除去する措置として、いかなる準備を政府は進めておられますか。
  176. 園田直

    ○園田政府委員 ただいま経済審議庁でこれが及ぼすその他の諸般の問題を研究しておりますが、その保全並びに鉱害についての立法措置を講ずるべく、関係厚生省あたりとも相談をして検討中でございます。
  177. 並木芳雄

    並木委員 ウランの実験が将来原子兵器、原子爆弾その他の軍事目的に使われてはならないという第八条の項目がございます。これについて必ず将来デリケートなところで問題が出てくるのは、たとえば飛行機の中のある部分の部分品に原子力を応用したものが使われたような場合、それをしも制限するほどの規定なのか。大きく前に原子兵器、原子兵器に関する研究ということを掲げておって、「他の軍事目的」というふうに書いてあるところを見ますと、あるいは軍艦における部分品、飛行機における部分品、そういうふうに原子力を応用した部分品的なものについては差しつかえないのではないかというような議論が出てくると思うのです。それならちょうど電力を利用してやるのと同じような意味において、それほど深刻に考えなくてもいい場面が出てくるのではないかと思いますが、この解釈はどういうふうになっておりますか。
  178. 園田直

    ○園田政府委員 現在の段階では武器に使おうとしてもその可能性がございません。
  179. 植原悦二郎

    植原委員長 並木君に御相談申し上げますが、あなたは国際関係の問題についてなるべく緊急にわたることというので質疑を始めたのです。なお通告者も多いのですから、今のような細目については本問題が出たときに願います。
  180. 並木芳雄

    並木委員 もう一点、この問題を管理するために、政府は原子力庁というようなものを設置する考えはありませんか。これを最後に聞いておきたい。
  181. 園田直

    ○園田政府委員 ただいま考えておりませんが、科学技術庁などということが論議になっておるようでございます。
  182. 植原悦二郎

    植原委員長 菊池義郎君。
  183. 菊池義郎

    ○菊池委員 私はフィリピンの賠償問題に非常な関心を持っておりますが、外務大臣の各委員会における答弁を聞いてみても、四億ドル以上出てもいいのか、四億ドルにとどめたいのか、その辺政府の意向がまださっぱりわからぬのですが、その点をお伺いしたいと思います。
  184. 園田直

    ○園田政府委員 御承知通りに、第一回の大野・ガルシァ協定で四億ドルという数字が出て参りまして、これが破談をいたしました。そこで、その後フィリピンは依然として十億ドルを主張しておりまして、フィリピンとの賠償を妥結に導くことは、日本の貿易あるいはその他の国交調整上重要であると考えて、四億ドルと十億ドルの両方の主張のままではこれが妥結に至りませんから、その中間において何か妥結点を認めたいというのがただいまの段階でございます。
  185. 菊池義郎

    ○菊池委員 われわれは八億ドルの説にも驚いておるのでありますが、四億ドルと十億ドルの間を政府は考慮しておるというのでさらに驚いたのでありますか、そういうように了解してよろしいのですか。
  186. 園田直

    ○園田政府委員 四億ドルではまとまらないことはすでに見通しがついておりますし、またフィリピンの十億ドルでもわが国内態勢上まとまらないことは当然でありますので、両方から主張し合って、四億ドルと十億ドルの中でこれが五億ドルになるか六億ドルになるか、その中間の線をお互いに検討しておるという段階であります。そういう意味であります。
  187. 菊池義郎

    ○菊池委員 向うの方から八億ドルに練り上げたという話がありますが、八億ドルと四億ドルの間とわれわれは考えたのですが、十億ドルというのはどこから出たのですか。
  188. 園田直

    ○園田政府委員 十億ドル、四億ドルというのはずっと以前からの話でございまして、そこで向うではただいま八億ドルの線を出してきているようでございます。
  189. 菊池義郎

    ○菊池委員 四億ドルの間において調整するということは一応考えられる。われわれは四億ドルでもまだ高いと考えておるのでございますが、重光外務大臣はいつか八億ドル、四億ドルの中間をとって六億ドルなら妥協してもよいじゃないかということを言われたのでありますが、外務省の意向はそんなものでありましょうか。外務省の意向と政務次官の意向は大分違っておりますが……。
  190. 園田直

    ○園田政府委員 違ってはおりません。ただいま交渉の経過中で、しかもフィリピンからは新聞でしばしば伝えられるような報道が参りまして、こちら側としては迷惑しておることは大臣の答弁した通りであります。その折衝の段階中に、六億ドルならばよいとか、五億五千万ドルならよいとか言うことは、交渉にも影響しますので、かんべん願いたいと思います。
  191. 菊池義郎

    ○菊池委員 平和条約が結ばれた当時は、南方諸国の全部の賠償を合せて七億ドルないし十億ドルというように見越しておったのであります。それが今日のような状態に発展して、われわれまことに遺憾に存ずる次第でありますが、外務大臣はいつも、賠償が妥結すれば貿易が飛躍的に伸張するということを言っておりますけれども、われわれはその根拠がさっぱりわからないのです。飛躍的に増大するというその根拠について、外務省あたりが考えていることを一つお聞かせ願いたいと思います。ただいまフィリピンとアメリカとの間には、貿易に関して協定がありまして、やたらに関税を下げることもできないという状態になっております。どういうお考えでありましょうか。
  192. 中川融

    ○中川(融)政府委員 賠償支払いが貿易にどういう影響を及ぼすかという点の御質問でありますが、たとえば日比関係に例をとってみますと、御承知のように現在フィリピンから日本に来ますものは、通常貿易において大体年間五千万ドルから六千万ドル程度でございます。それに対しまして日本から先方に輸出いたしますものは、大体半分程度、三千万ドル程度でございます。これは平和条約がまだ批准されておらず、正式国交が樹立されていないために、日本は最恵国待遇を受けていないのでありまして、フィリピン政府の一方的な措置によって、いろいろ日本に対する制限措置が陰に陽にかかっておるのであります。これが賠償問題が解決して正武国交が樹立すれば、当然最恵国待遇というものが正式に日本に認められるのでありまして、その結果日本の貿易は相当伸張するというように考えられます。  なお米比通商協定は、御承知のようにアメリカに対しましてある程度の特恵関税というものを認めており、あるものは税が全然かからないというような特恵待遇をしておるのでありますが、この特恵の程度が漸次減ってくることになっておりまして、従ってこの特恵の程度が減るにつれまして、実は日本の貿易も伸びてこなければならないのであります。これが正式に国交の回復しておらない今日のような時代においては、フィリピン側の一方的措置によって制限されるおそれがあるのでありまして、この機会に賠償問題が解決し、正式に国交が回復されれば、日本の貿易は非常に伸展するのではないか、かように考えておるのであります。  なお、さらに賠償自体の効果といたしましても、賠償は十年なり十五年なりで支払うわけでありますが、それによって日本の商品ことに資本財というものが非常に行くのであります。その後のことを考えてみますと、これは日本の品物を買い付けることにより、おのずから日本の品物がさらに続いてどんどん出ていく。なお日本から賠償に出しました品物の部分品とか修繕とか、その他それに付随いたしまして、いろいろな品物が通常貿易として先方に流れていくということも当然予測れるのでありまして、そのようなことから、賠償はやはり貿易に好影響を与えると考えております。
  193. 菊池義郎

    ○菊池委員 インドネシアもまだ国交回復をしないのでありますけれども、フィリピンの倍くらいの大きな金額をあげておりますでありますから、ただいまの局長のお話は必ずしも当らないのでありますが、それはよしといたしまして、今まで平和条約締結前において日本からは賠償品としてフィリピンその他の方に大分出しておるのですが、これらはその額の中に入るのですか、賠償の中に入るのですか、除外ですか。
  194. 中川融

    ○中川(融)政府委員 ただいまの御質問は、占領治下において、マッカーサー司令部の指令によりまして、中間賠償という名前で各求償国にある程度の品物をイヤマークして送ったのをおさしになっておると思うのでありますが、これはサンフランシスコ条約締結前に行われたことでございまして、その後の交渉におきましては、これは一応すでに送ってしまったということから、将来きまります賠償額には算入されないというような前提のもとに大体交渉が進められております。
  195. 菊池義郎

    ○菊池委員 南方諸国には日本として宣戦布告をしないし、先方からも宣戦布告をしていないわけで、終戦後に独立した新しい国家に対して、日本が賠償を負担しなければならないという根拠がどこにあるかということを、国民のほとんど九分九厘までがわからないのです。それについてどういうふうに外務省では知られておりますか。
  196. 中川融

    ○中川(融)政府委員 終戦後新しく独立いたしましたフィリピン、インドネシアの国が、この間の戦争におきまして日本は宣戦していないということは事実であります。これはそのとき存在しておらなかったわけであります。しかしながら、サンフランシスコ平和条約におきましては、これらの国々も日本に占領された地域に新しく独立いたしまして、連合国の一つとして参加を認められたのでありまして、その意味でサンフランシスコ条約では、これらの国々も賠償請求権を認められておるのであります。従って日本は、これらの国々に対してはやはり賠償を支払う義務があると解釈しております。もっともその国々の中で、たとえどインドネシアのごとく、サンフランシスコ条約には調印しましたが、これを批准する意向がないというようなことがはっきりしておる国もあります。これらの国は、サンフランシスコ条約では縛られないわけでありますが、しかしその経緯にかんがみまして、日本はやはりサンフランシスコ条約に規定してあるように、日本の軍隊によって占領された国々に対しては賠償義務がある、かように考えておる次第でございます。なおタイだけは例外でありまして、タイはすでに初めから独立国でありまして、独立国が条約によりまして日本と共同の戦争をしたのでございますから、これは賠償請求権なし、かように考えております。
  197. 菊池義郎

    ○菊池委員 今の局長のお話ではよくわからぬのですが、私はこういうように解釈するのです。つまり本国でありました英、米、フランス、オランダなどの日本に対する賠償請求権をその独立した元の領土であります新国家に継承せしめて、そうして日本に請求権を生ぜしめた、そういうように解釈することは当らないのですか。
  198. 中川融

    ○中川(融)政府委員 戦争が行われましたときには、これらの多くの国は独立していなかったのでありまして、その当時においては、それぞれ本国であますアメリカとかイギリスとかオランダとかに属していたのであります。従ってそのときにおきましてはそれぞれの本国が要もるに国家あるいは政府として日本との関係があったわけでありますが、越後におきまして独立したこれらの国々が戦争中における日本の占領というか、侵入というか、そういう事実に基きまして請求権はやはり認められたという経過になっておるのでございます。
  199. 菊池義郎

    ○菊池委員 政務次官にお尋ねいたします。通商協定あるいは漁業協定、今、日ソ交渉中でありますが、これらの協定政府の方は講和後にするという建前でやるそうでありますが、この拿捕された漁船であるとかあるいは安全操業の問題、こういうことは在ソ同胞の帰還要求とからんで同時に折衝した方が一番よいと思われるのでありますが、外務省の方針はどうでございますか。
  200. 園田直

    ○園田政府委員 仰せの通り漁業に関する自由操業の問題、拿捕船の返還の問題及び資源の開発問題等については、抑留同胞送還と同様諸懸案として国交調整前にこの問題を解決したという強力に申し出ております。
  201. 菊池義郎

    ○菊池委員 終戦の宣言は相手国が承諾するとしないとにかかわらず、一方的の宣言で効力が生ずるわけでございますが、万が一、日ソ交渉の途上においてこの手を打たれたらあと交渉はどうするつもりであるか。そういう点について外務省の方針をお伺いしたいと思います。
  202. 園田直

    ○園田政府委員 そういうことがありませんように正式の国交調整をはかり、平和条約の調印ができるように極力折衝中でございまして、まだその段階の緒でございます。
  203. 菊池義郎

    ○菊池委員 ソ連がもし中共と一緒でなければ日本を国連に入れることを承服しないというように言い出した場合、まあこれはあとのことでございますが、そういう場合には、日本政府といたしましてはどういう態度に出るべきであると考えておられますか、その政府の腹がまえを聞かしていただきたい。
  204. 園田直

    ○園田政府委員 重大な国交調整の折衝中にこういう問題が起ったらどうするか、相手が考えなかった場合にどうするかということについて、経過中に仮定の御質問答弁することはまことに困難でございますのでごかんべん願いますが、今のようなことはないと考えております。
  205. 菊池義郎

    ○菊池委員 ソ連に対する財産の請求権は放棄すべきでないと私は考えておるのであります。現にきのう鳩山先生のところにすわり込んで、満州あるいは南樺太、千島等の引揚者が同盟を作って損害に対するところの立法措置を講じてもらいたい、そうして助けてもらいたいというような最中でありますから、今日ソ連に対するところの損害賠償の請求権を放棄するということを公言するということは、対外的にも対内的にも策の得たるものでないと考えておりますが、政府はどこまでも請求しないと、最初からはっきり態度を宣明しておられるのですか、どうですか。
  206. 園田直

    ○園田政府委員 みずから権利を放棄して主張するようなことは断じていたしておりません。
  207. 植原悦二郎

  208. 穗積七郎

    穗積委員 きょうは時間をお急ぎのようですら一点だけ聞いておきたいのですが、濃縮ウランの問題ですれけども、これは新聞紙上で拝見しますと、細目協定を結んでしかも後に本調印をやるという話ですが、そういう方針で進んでおられますか。
  209. 園田直

    ○園田政府委員 必ずしも細目協定ができなければ本調印をしないというわけではございませんが、細目協定の大体の見通しがつかなければ本調印に移らぬことは事実でございます。
  210. 穗積七郎

    穗積委員 そこでわれわれは態度を最初に明らかにして政府に要望しておきたいのです。というのは、この前の安保条約の問題で、安保条約は国会に承認を求めるけれども、行政協定は国会に承認を求めませんということでしたが、むしろ行政協定には非常に多くの重要な点があったわけです。今度の濃縮ウランの問題につきましても、再再高碕長官にもわれわれ要求しておいたのですが、細目協定の中に国民生活並びに国民の権利義務に影響のあるような重大なことは入れない、そういうものがある場合には本協定の中に入れて必ず国会を通してもらいたいということを要望しておいた。ところが協定の昨日調印されたものを見ますと、そういうふうになっていない。この問題に関してわれわれの調査したところによると、細目協定が問題なんですよ。ですからわれわれは細目協定を見なければ本協定の審議はしたくない。けれども法律的に言えば、細目協定はあなた方の解釈によれば、国会の承認を求める必要がないという態度をとっておられる、われわれはこれも当然国会の承認を求めるべきだという立場をとっておりますが、あなた方が多数を擁して勝手に解釈されて、細目協定は国会の承認を要せずという態度で本協定だけ先に出させて、あとひものつくような細目協定アメリカと結んでしまって、それを国会に審議権がないという取扱いをされても困るから、そこでわれわれは細目協定を見てから後に本協定に対する審議に臨みたい、態度を明らかにしたいというふうに考えております。われわれの見るところでは、政府方針としても本協定の国会承認を、細目協定を結ぶ前に特に急ぐ必要はないのですから、細目協定の内容が明らかになってから本調印もすべきだし、当然国会承認もその後にすべきだ、それでも差しつかえない事情にあるというふうにわれわれは判断いたしますから、そういうふうな取扱いをしてもらいたいと思うのです。そのことに対して政府の大体の予定なり御方針を今事前に伺っておきたいと思うのです。重ねて質問しないで済むようにはっきり答えていただきたいと思います。
  211. 園田直

    ○園田政府委員 御意見は先般来から十分承わっておりますから、そのように努力いたします。
  212. 植原悦二郎

  213. 戸叶里子

    戸叶委員 濃縮ウランの仮調印をなさったのですけれども、先ほどの並木委員の御質問に対する答弁を伺っておりますと、あと大体の細目協定と、それから値段の点が話がつかないから本調印にいかないということでございましたが、もしもそれからの問題が解決しますと、すぐ本調印にいくのであって、本調印の前に細目協定とかあるいはまだ値段の点以外のことでは交渉する問題はないのかどうか、この点を承わりたいと思います。
  214. 園田直

    ○園田政府委員 その通りでございます。
  215. 戸叶里子

    戸叶委員 今度の場合には仮調印から本調印という形をとることははっきりしておりますけれども、仮調印のままで有効であるというような場合が今までにあったかどうか、その点を伺いたいと思います。
  216. 園田直

    ○園田政府委員 ございません。
  217. 戸叶里子

    戸叶委員 先ほどの質問の中で科学技術庁のようなものを作る構想を持っていられるとおっしゃいましたが、本調印前に何か正式な受入機関というようなものが作れる見通しがあるか、それとも本調印をしてしまったあとで正式な受入機関をお作りになるおつもりか、その点を承わりたいと思います。
  218. 園田直

    ○園田政府委員 ただいまのところは原子力調査会の総合部会というところで、この問題をいろいろ検討いたしております。
  219. 戸叶里子

    戸叶委員 そうしますと受け入れあとから科学技術庁の案ができることになるのですか。
  220. 園田直

    ○園田政府委員 科学技術庁の問題は詳しく申し上げませんでしたが、国会内で各派の御意見によってそういう方向が示されておるようでございまして、政府といたしましてもその方針に従って検討したいと考えておりますが、これに間に合うように一つの特別庁なり省ができるとは今のところ考えられません。
  221. 戸叶里子

    戸叶委員 視察委員の人が来るようでございますが、その場合にはMSA協定の顧問団と同じような資格のものかどうか、この点伺いたいと思います。
  222. 園田直

    ○園田政府委員 まだそういうことはただいまのところ何らきまっておりません。
  223. 戸叶里子

    戸叶委員 そうしますと、それは細目協定のときにきめられるのでしょうか。
  224. 松井位七郎

    ○松井説明員 御説明申し上げます。オブザベーションという文句を使っておりますが、これはアメリカが所有権を持っておるところのウランの保管に関して世の中で大きなひもではないかと議論された条件の一つでございます。本協定の中には、日本政府はもし原子力委員会の代表者が要請するならば、随時貸与を受けたウランを使っておる炉の活動状況その他についてオブザーブすることを許すということが書いてあるだけでございます。これが細目協定の中に入るかどうかは今後の交渉いかんによって判明すると思いますが、オブザーブを許すということは、向うの要請があれば許すということでありまして、他人の所有に属するものを保管する場合には、現所有者が何をしておるか使い方を見たいといえば、これを許すのが民法上の概念からいいましても、ナチュラルな程度のことではないだろうかと思っております。視察員がどういう特権を有するかということは、特別の条約とか何かがない限りは、普通の外国政府の人間が日本に来た場合と取扱いは同等だろうと思います。
  225. 戸叶里子

    戸叶委員 これを受け入れることによって、何か秘密保護法に似たようなものを作らなければならない場合が出てこないかどうか。
  226. 園田直

    ○園田政府委員 ただいまのところ、それは考えておりません。
  227. 戸叶里子

    戸叶委員 もしも出てきた場合には、今国会にかかっております秘密保護法のあの中に当然入れらるべき性質のものじゃないと思いますけれども、この点はどうなんでしょうか。
  228. 園田直

    ○園田政府委員 現在のところは全然それに入れる考えは持っておりません。
  229. 戸叶里子

    戸叶委員 それを持ってくるときに輸送料はどちらが負担するのでしょうか。大体どのくらいになるものですか。
  230. 園田直

    ○園田政府委員 今後の細目協定できまることでございまして、概略の見当はつきません。
  231. 植原悦二郎

    植原委員長 次会は公報をもってお知らせいたします。  本日はこれにて散会いたします。   午後零時五十五分散会