○
穗積委員 私
ども現在の
防衛問題を論じますのは、この基本問題でございます。前
内閣の
岡崎外務大臣、
木村防衛長官のお
考えは大体わかっておりました。ところが新しい
内閣になって、特に
外交の面におきましては多少の違いが出てきておるわけです。ある
意味では大きな違いといっても差しつかえございませんでしょう。特にあなたと鳩山さんとは、
民主党内閣の
外交政策に対して、大きな
推進力となっておることは、自他ともみとめておられると思う。そういう
意味で私は、これから
日本の
防衛計画をどういう
方針で継続していくかということについては、対外的な
政策における
変化があったと同じように、
国内におきまする
防衛計画に対しても、それに即応する
外交方針、その
背景をなす
国際情勢の
判断に対しての
変化がなければならぬと思うのです。私は先ほど申しました
通りに、今
年度の
MSAによります
武器の
受け入れについては、
アメリカから押しつけられたものではなくして、
日本の
計画によったものだという
お答えでありました。そう
お答えになるだろうと私も予期いたしておりましたが、しかし私
どもがあえて邪推や中傷ではなくして、こういう
計画を漫然と進めておるということになれば、あなたもまたその地位について
アメリカとの
交渉に当るならば、同じ従来の
アメリカ一辺倒の
方針を押しつけられる、または踏襲する、それを繰り返しているにすぎないというようなことでは、これは私は矛盾もはなはだしいと思う。従ってこの問題は
日本の
防衛問題を論議するに当りまして、基本的なことでございますから、
外交散策とともに、
——私は
外交政策一般の今のあなたの御
意見を伺おうと思っておりません。あなたが
外務大臣におなりになったならばそのことを伺いますが、私はきょうは
防衛長官としてのあなたに対して
質問をしておるのです。すなわち
日本の今継続しつつあります
MSA協定を中心にして、強化しつつあるその
防衛計画の合理的な
基礎としての
間接または直接
侵略の
危険性に対する
情勢判断を、どこに置いておられるかということを伺っておるのでありますから、事が起きたときに何も
用意がなくてはいかぬからやっているのだという漫然たる
お答えでは、
日本がかくかくの
武器を
アメリカから受け、
国民に対してはこれこれの
軍事費を出してもらって、それで
防衛計画を立てているのだという説明をなさる
基礎はないと思う。
アメリカから押しつけられているから、しょうがなしにやっているのだというならそれでよろしゅうございましょうが、そうでなしに、
日本自身の
計画であるというならば、あなたのおっしゃる
国際情勢ではなくして、もう一歩進んで
日本に対する
間接または直接
侵略に対する危険の
情勢判断は、一体どこに置いておられるかということです。夢のようにこつ然として起きるということを
想定しておられるのか。それがなければ
国内におきまする陸海空の第一比重をどこへ置くかということ、それからまたその中でどういう兵科、どういう
兵器に主力を置くかということも、またあなたが指導しておられる、兵隊の訓練にいたしましてもどういう点に重点を置くかということも、今申しました現実の直接または
間接侵略の相手方は
——どこでもよろしゅうございますが、不特定多数でもけっこうです。そういう直接または
間接侵略の
情勢に対する
判断なくして、
武器または兵科の選択、訓練の
方針というものが立つはずはないと私は思うのです。私は昭和六年の陸軍の幹部候補生でございます。その当時の幼稚な
日本の作戦におきましても、われわれはそういう基本的なことは習ってきたのです。まして今日のような国際的に複雑な、しかも高度な
武器の体制を取っておりますときに、総合的な
防衛計画を
日本が自主的に立てようというときに、その
判断なくして立とうはずはありません。立てたその内容、
計画が
国民を納得させ、
国民の代表であるわれわれ国会を納得せしめるためには、立っておるところの
計画が、客観的に正しいか正しくないかということを、妥当であるか妥当でないかということをきめますには、
日本に対する、今おっしゃった直接または
間接侵略に対する
情勢判断とにらみ合せた上でなければならぬと思うのです。そういう
意味で、私はくどいようでありますが、
一つ問題の焦点をそこにしぼって申し上げますから、ほかのことはおっしゃって下さらぬでもけっこうですから、その問題に対するあなたの基本的な
判断、
防衛長官として
防衛計画を立てる場合の
判断、
アメリカと
MSA協定に従って
武器を受ける
交渉をなさるための基本的なあなたの態度を決定するための必要な
判断、その点にしぼって
お答えをいただきたいのでございます。