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1955-06-15 第22回国会 衆議院 外務委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年六月十五日(水曜日)     午前十時五十六分開議  出席委員    委員長 植原悦二郎君    理事 大橋 忠一君 理事 菊池 義郎君    理事 須磨彌吉郎君 理事 北澤 直吉君    理事 穗積 七郎君 理事 松本 七郎君       伊東 隆治君    草野一郎平君       高岡 大輔君    並木 芳雄君       山本 利壽君    稻村 隆一君       高津 正道君    細迫 兼光君       森島 守人君    和田 博雄君       久保田 豊君  出席国務大臣         外 務 大 臣 重光  葵君  出席政府委員         法務事務官         (入国管理局         長)      内田 藤雄君         外務政務次官  園田  直君         外務事務官         (アジア局長) 中川  融君         外務事務官         (条約局長)  下田 武三君         通商産業事務官         (通商局長)  板垣  修君  委員外出席者         専  門  員 佐藤 敏人君         専  門  員 村瀬 忠夫君     ————————————— 六月十四日  ソヴィエト貿易代表滞日期限延長に関する請  願(池田正之輔君紹介)(第二二二九号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  在外公館の名称及び位置を定める法律等の一部  を改正する法律案内閣提出第四四号)  国際情勢等に関する件     —————————————
  2. 植原悦二郎

    ○植原委員長 これより会議を開きます。  国際情勢等に関する件について、政府当局に質疑を行うことといたします。  緊急質問をしたいとの申し出があります。その緊急質問の第一は、ソ連通商代理滞在期間延長に関する問題とのことであります。発言を許します。穗積七郎君。
  3. 穗積七郎

    穗積委員 私は国際情勢一般につきまして、外務大臣にお尋ねする予定でございましたが、大臣がお見えになりませんから、それの質問は留保いたしまして、今委員長の言われました二つの問題に対する緊急の質問を、大臣がお見えになるまでさしていただきたいと思いますから、その点あらかじめ御了承置き下さるようにお願いいたします。  最初ソビエト貿易代表部クルーピン氏一行の滞在期間延長申請の問題でございますが、これについて、先般外務省事務当局のお考えを伺いましたところが、結論的に申しますならば、真実重要なる商談継続中であるならば、考慮余地がある意味の御答弁がございました。そこで所管は法務省であり、直接の担当官入国管理局長であるということでございますので、担当局長にお尋ねするわけですが、この五月十一日から三カ月間の滞在期間延長申請をお断わりになりました理由を、ここで明らかにしていただきたいと思います。
  4. 内田藤雄

    内田政府委員 ただいま御質問の、クルーピン氏らの在留の問題につきまして、概略そのいきさつを御説明申し上げます。  クルーピン氏、それからモクレツォフ氏及びアワコフ氏の三名は、昭和二十九年の八月に、在留期間九十日という短期商用の資格をもって入国いたしました。それで九十日の期限が参りましたときに、まず一回の更新をいたしまして、さらに二回目の更新が問題になりました節に、われわれ入管の立場といたしましては、通常国際慣行に従いまして、こういう短期商用者につきましては、大体一回、せいぜい二回くらいしか更新をやっておりませんものですから、その当時、もう二回目の更新をするならばこれが最後であるぞということを関係の人々にも申し渡しまして、当時、それで何ら異存がない、二回目の更新期間が済んだならば必ず帰すようにいたしますという誓約書をとっております。そして、二回目の更新をいたしましたその期限が本年の五月十二日にまた切れることになったわけでございます。  ただいまのようないきさつがございますので、通常の場合でございますと、そのまま当然更新拒否ということになるわけなのでございますが、まあ特別のケースでもございますので、念のために、当時まだ二週間くらい余裕がございましたが、本件をどう処置するかにつきまして、外務省通産省、その他の関係当局意見も聴取いたしました。ところが、当時におきましてはもうこれ以上の更新は必要がないという大体の御意向でありましたので、われわれとしましては、その従来のいきさつに従った方針で参ろうと思いまして、本人たちにもその旨を伝えましたところが、それで何ら異存はない、ただ香港に出るために、香港の査証を取りつけるために多少の猶予期間がほしい、こういうような申し出でございました。われわれとしましては、その通り処置したいと思っておりました。  ところが、そういう内意があるということが業者方々にもむろんわかったわけでございましょう、非常に強い在留延期要望が参りました。また外務省寺岡参事官からも、諸般の外交上の考慮から、この際しばらく延期考えてくれないかというお申し出がございました。それでわれわれとしましては再考いたしましたのですが、当時の陳情書によりますと、大倉商事からは二十日間、進展実業からは三週間、永和商事、これが一番長かったのでございますが、それでも一カ月の滞在延期ということを要望して参ったわけでございます。それでかれこれ考量いたしまして、大体一月、しかし商談のことでございますから、さらに多少ゆとりを見まして、四十五日の間、実際上在留を認めるということで処置いたした次第でございます。  この種の問題はこれに限らず、しょっちゅう起っておることでございまして、大体われわれ事務当局としましては、国際慣行も十分参照した上で処置しておりますので、一たんきめましたことは、その通り守ってもらいたいというのがわれわれの希望でございます。
  5. 穗積七郎

    穗積委員 延期になりましてからその後の商談の模様は、局長は御存じでございますか。
  6. 内田藤雄

    内田政府委員 私どもあまりその商売のことにタッチしておりませんが、最近また、その後の商談の都合があるから、もう少し延ばしてもらいたいという希望が出ているということは承知しております。それでただいま申し上げましたように、われわれは原則的にはこういうことは、きめたことを守ってもらいたいのでございますが、しかし商談の実際上の状況というようなことも十分参照すべきであると考えますので、その点につきましては、本日よく業者方々の御意向を伺う機会を持ちたいと思っております。
  7. 穗積七郎

    穗積委員 私は多くを申しませんが、もとよりこういう短期入国許可でございますから、際限なしに幾たび幾たびか、さらに幾たび更新して、結局長期にわたってしまうということはこれは避くべきだと、原則的には思います。おっしゃることはよくわかります。しかし私どもは今特にこの実情を第三者としてながめまして、国の利益立場から見て、これはぜひ本人並びに業界要望にこたえて、政府弾力性のある処置をとられることの方が望ましいというふうに考えます理由二つでございます。  一つは実際、悪意に満ちまして、いたずらに目的の交渉を延ばして、そして長期滞在をするというような作為のあるところは見えません。現在すでに、私どもの聞き及んでいるところでも、綿花でありますとか、木材、プラチナ等々の重要な商談が目下継続中でございます。しかも、通産省の方がきょうお見えになっているかどうか存じませんが、私の仄聞するところによりますと、通産省当局の一部の御意見として、こういう商談があまり長くなるような商談は、できないのだというような御判断をなすった向きもあるかに外務省当局の口を通じて承わりました。これはしかし、そういうこともございましょうが、この具体的な問題に関する限りは、五月十二日から猶予期間四十五日を取りました後におきまして、輸出におきましては図書、映画、船舶その他の商談ができております。輸入につきましては石炭、パルプ、木材等の重要な商談が妥結いたしております。五月十二日からこの猶予期間にかかりましてから、現にそのほか今申しましたような綿花木材を初めといたしまして鉱産物等取引商談がただいま継続中であって、これができることは国の利益に非常になるものだと考える点が、私どもがこのことを強く要請いたします第一点の理由であります。  もう一つは、ごらんの通り形式的に見ますならば、特に未条約国であるソ連から期間を切って参りましたものをいたずらに長くすることは、他の国への聞えもどうかということもございましょうが、御承知通り、ただいま、かの国とは国交の正常化を目標にいたしまして、政府方針として今交渉に当っている、そのさなかに、先般日魯漁業を初めといたしまする日本漁業関係業者が出漁いたしましたときのかの国の態度にいたしましても、いたずらに法律論をもてあそんで、わが方の漁業業務に対する妨害をするとか、あるいはまだしゃくし定木の解釈取扱いをするというようなことでなくて、非常にトレレートな理解のある態度をもって臨んできているやさきでありますから、こういうこともこういう問題を処理するに当りましては、当然国の利益立場から考慮すべき政治的理由だと思います。  以上申しました二つの経済的並びに政治的な特殊の事情によりまして、あと四十五日でございますから、ぜひとも一つ、名目は猶予期間延長でもよろしゅうございますし、あるいはまた滞在日数の正規の更新のお取扱いでもけっこうでございますが——願わくば後者の場合にしていただきたいと思うのですが、それはあえて申しません。そういうふうにお取り計らいいただくことが、私どもは国の利益のために適切であるというふうに考えるわけでございます。従ってそういう立場に立って最後にお尋ねいたしますが、きょう会談をなさるということはけっこうでございますが、会談をなすった上で、今私が申しましたような実情が把握されましたならば、この取扱いに対して、弾力性のある考慮をされる余地がございましょうか、そういう心組みがございましょうか、これを伺っておきたいと思います。御所見を明らかにしていただきたい。
  8. 内田藤雄

    内田政府委員 実情調査いたしたいということは、むろんその調査の結果によっては、われわれの態度も変え得るということを含んでいるとは思います。しかしながら、弁解するようでございますが、われわれといたしましては、この種の問題が起りますと必ず聞きますことは、これが商売利益になり、日本外貨獲得になるのだから延長せよ、あるいは外交的な考慮を加えろ。台湾に非常に関係をお持ちの方は、台湾系中国人を特別扱いにすることが外交的考慮だと言いますし、韓国と非常に利害関係をお持ちの方は、韓国人扱いを特別にするということが外交的考慮である、こういうふうにしばしばわれわれ聞かされております。そこで外交的考慮ということはむろんわれわれとして当然なさねばならぬと考えておりますが、しかしいわゆる外交的考慮を加えました上で、結局ある国人によって差別的な扱いをすることがおもしろくないのではないか。やはりどの人たちも公正に扱われなければならないという観点から、再び戻りましてやはりいわゆる特別な考慮をやらないという場合もしばしばあるわけでございます。ただ御趣旨は十分了解いたしましたので、いろいろ実情調査いたし、また関係方面の御意見も伺いまして善処いたしたいと思います。
  9. 穗積七郎

    穗積委員 もう一ぺんお伺いしておきますが、実情聴取した上で、事情によっては再考慮余地があるということでございますね。
  10. 内田藤雄

    内田政府委員 その点につきましては、私からただいま即答をいたすことは控えさせていただきたいと思います。
  11. 穗積七郎

    穗積委員 その理由はどういうわけでしょう。
  12. 内田藤雄

    内田政府委員 この問題につきましては関係方面ともいろいろ協議してきめたことでございますし、またわれわれの方といたしましても、当時問題が問題でございますので、大臣の決裁をいただいてきめたことでございますから、そういうことで、私が今独断でお答えいたすことは差し控えたいと思います。
  13. 穗積七郎

    穗積委員 関係方面とおっしゃるのは、外務省通産省のことでございましょうね。
  14. 内田藤雄

    内田政府委員 外務省通産省を含んでおりますし、そのほか当時運輸省もたしか入っておったと思いますし、また治安機関も入っておったと思います。
  15. 穗積七郎

    穗積委員 私の申しますのは、最後的な裁定を御返事いただきたいということを申し上げるのではありません。つまりおきめになりましたことに対して、先ほど申しましたいろいろな国家利益立場から見て、国家利益になるということが実情として真実であるといたしましたならば、一ぺん考えてもらいたい。結論はここでどうということではありませんが、考える、検討してみるというだけの余裕というか、心がまえはあってしかるべきだと思いますが、それが答弁できないというのはどういうわけでしょうか。ちょっとわれわれ解せないわけです。  ついででございますから、外務省通産省の方もいらっしゃるようでありますから、この問題に対して特に主管の官庁法務省であり、それから関係官省としては外務省通産省が特に主要なものであると思いますから、先ほど申しましたような実情をおくみ取りいただいて、これを延ばすとか、あるいは拒否するとかいう結論をここで伺うというのではありませんが、検討をする用意があるということをお答えいただけるかどうか、三関係官庁お答えをいただきたいと思います。
  16. 内田藤雄

    内田政府委員 私はただいま申し上げましたのは、検討をいたすということは十分申し上げたつもりでございましたが……。検討はむろんいたします。
  17. 穗積七郎

    穗積委員 他の官庁もそれでよろしゅうございますか。
  18. 板垣修

    板垣政府委員 ただいまの問題は内田局長からお答えいたしましたように、昨年の八月から約一年間にわたって交渉いたしております。大体仮契約約四千万ドルというものを実現するためにやっておったわけでありますが、その交渉の経過を見ますと非常に長引いておる、これは相手ソ連人でありますし、よその国よりは非常に商談が長引く傾向にあるわけでありますが、今後この四千万ドルを完全に履行するまで待つということになりますと、これは相当時間がかかるのではないかというふうに考えますので、通産省といたしましても、できるだけこの商談が実現することを希望はいたしますけれども、一方その他の入国管理上の問題からいたしまして、まず一応打ち切ってまた出直すということも考えられるのじゃないかというふうに私は考えております。ことに最近長引いた一番大きな問題は、木材交渉であります。これは御承知のように最近一部の商談が成立いたしました。この点は、私ども本日商社の方ともよく相談をしてみたいと思いますが、一応木材の方はこれで片がついたということになりますれば、少くとも木材関係代表者の方はこの際帰ってもらってももちろんそうさしつかえないのじやなかろうかというくらいのことを考えております。まだ具体的な事情商社側の方から聞いておりませんので、それを聞きました上で私ども検討を加え、入国管理局の方にも私ども意見を申し上げてみたいというふうに考えております。
  19. 穗積七郎

    穗積委員 今のお答えは、事情は聞くが、結論は先に出しておるというふうに聞えるわけです。この際は帰ってもらう、来るなら再度出直してもらいたい、そういう結論を固持しておられて、その上で事情だけを聞こうということですか。そうではございませんか。
  20. 板垣修

    板垣政府委員 そうじゃありません。木材についてはそういう気がするというだけでありますから、また実情を聞いた上で私ども意見を申し上げたいと思います。
  21. 穗積七郎

    穗積委員 わかりました。それでは私の趣旨もよく了としていただいたようですから、十分一つ実情をよく御調査いただきまして、国の利益のために誤まりのないように、あまり形式的にお考えにならないで、弾力性のあるお取り計らいを、御答弁通りにお考え直しをいただきたい。外務省の御意見はこの前伺っておりますから、同様な御趣旨でございましたら、ここであらためてお伺いいたしませんが、さようお願いをいたします。  次に、板垣さんにお伺いしたらいいのでしょうか、外務省経済局関係にお尋ねしたいのですが、実は先般日中間におきまして貿易協定ができまして、今度大豆五万トン余のものが初荷として交渉が始まったわけです。それに対しまして最近の実情、それからこれに対する政府の御方針を簡潔にお示しいただきたいと思います。
  22. 板垣修

    板垣政府委員 新協定大豆につきましては、通産省といたしましては中共から五万トン入れる予定外貨の割当を発表いたしたわけでございますが、これにつきまして、中共側からのオファー条件を見ますと、五万トンをポンドストレートで払ってもらいたいというふうに読めるわけであります。これにつきましては、私どもは先般締結されました中日貿易協定に関しましては、政府は全然関与いたしておりませんが、この交渉に当られた委員の方からお伺いしますと、日本側としましては、これはあくまで従来のバーター原則はくずすものではないということを向うに申し入れられておりますし、そういう線ならば政府といたしましても、その協定の一部の履行につきまして許可を与え得ると考えておったわけであります。ところが、現実にこの大豆五万トンのオファーを見ますと、バーター原則になっていない。従って政府といたしましてもこれを買いますことは、従来の中共貿易に対する決済方式を根本的に変えることになりますので、現在政府として許可しがたいということで進んでおるわけでございます。その後実際に商社の方から中共側交渉しておるようでございますが、その点はまだ明確になっておりません。従って私どもといたしましては、もしどうしても中共側があくまでストレートポンド払いを固執するということになりますれば、何か別の方途を考えざるを得ない。すなわちさしあたり考えておりますことは、この大豆の五万トンも含めまして、いわゆるグローバル予算とわれわれはいっておりますが、世界のいかなる地域からも買い得るようにする。従ってもし中共側値段の点で、もっとアメリカなり、その他の地域と競争し得る値段に下げ得るならば日本側も買えるでありましょう。ほんとうに競争的なベーシスで中共大豆五万トンも含めて買い付けるという方式考えざるを得ない、こう考えておりますが、まだそこまで決定に至っておりません。
  23. 穗積七郎

    穗積委員 今度のあれはバーターでないとおっしゃいますが、向うオファーを見ますと、九カ月以内に同類物資——すなわちバーター原則とは御承知のように同類物資交換原則ですけれども大豆甲類になっておるところに実際問題としては問題があると思うのですが、形式的に申しますと、船その他の必要な物資を買い付けますことは、はっきりしておるわけですね。それをバーター方式でないとおっしやるのは一体どういうわけでございますか。
  24. 板垣修

    板垣政府委員 今の向うから買い付ける物資、船などは品目自体に問題はございますが、一応その点は別にいたしましてもバーターになっていないのであります。従来われわれが、バーター決済方式と申しておりますのは、こちらからLCを開き、中国側をしてこれに対しまして六カ月ないし九カ月後に何々の品物を買うという保証状を銀行に入れてもらわなければいかぬわけであります。従来は米にいたしましても、大豆にいたしましても、塩にいたしましてもこういう形で、これは御承知の逆トーマス方式と私ども言っておりますが、そういう方式でやっておるわけであります。今度の場合は、その保証状を入れる点においては何ら問題はなかったのでありますが、それだけの見返りエビデンスが少かった。このエビデンスがありますれば、通産省といたしましてはいつでも許可をする用意があるわけであります。
  25. 穗積七郎

    穗積委員 実はこれは業界の諸君にとっても非常に重要だと思いましたし、特に今度の問題は新協定締結後の初荷取引でございますから、しかもその品物をとってみますと、日本国といたしましてはどうしても要るべきものである、生活必需品でございます。そういうことから見まして、これはぜひ実現するように努力すべきである。役所といたしましても国民生活に対して当然責任を持っております以上は、これが積極的にやっておることに文句をつけるのではなしに、事実入るように積極的に努力をすべきだというふうに考えております。  そこで今のバーター方式、逆トーマス方式になっていないということでありますが、これは今までの取引におきましても必ずしもLCの中に明記しないで米にしても塩にしても入っておる事実がある、われわれの調査によりますとそういうことが明らかになっておりますが、そういう事実は全然ございませんか。つまりバーター方式であるということの条件として、LCの中に品目その他取引のあれを明記することが、絶対不可欠の条件であるというふうにお考えになっておるのか。オファーの中に九カ月後にシップその他の必需品を買うというように——しかも相手国にとってみますれば国営貿易でありますし、今までの取引から見ましてもこれは信用問題だと思うのであります。これは向う側としても全部責任を果しておることでもありますし、国際的に見ましても最も信用のできる相手当事者であるとわれわれは考えております。そこで今言いましたように、バーター方式であるかないかということは、LCの中にそのことを一々明記することが、絶対不可欠の条件であって、それ以外のものをこの際考慮することは、実質的な考慮を与えることは不可能であるというお考えでございますか、その点を将来のこともありますからもう一ぺんお尋ねしておきたいと思います。
  26. 板垣修

    板垣政府委員 ただいま最初のお話がありました中共大豆を入れるということの重要度につきましては、私どもも非常な関心を持っておるのでございまして、これには異論はございません。それからバーター決済方式の問題でありますが、これはだいぶこまかいので私どももよくわかりませんが、LCの中に品目そのものをも含めて書き入れる必要はございません。しかしながらやはり六カ月ないし九カ月以内に一定の品目をきめて買うというはっきりした保証が必要なのでございます。この原則は当分の間厳守いたしたい、こういうふうに存じております。
  27. 穗積七郎

    穗積委員 私は、それは取引の実績から見まして、この際あまり固執される必要はないのじゃないかと思います。これは信用問題だと思うのです。LCの中に書きましてもそれが流される場合もございましょう。取引相手当事者によりましては書かなくても今のようにオファーの中に明記してあるわけでありますから、これは信用問題だと私は思うのです。  そこで私は二点について質問を申し上げたいのですが、その一点は、そういう形式上の原則が今までの中国との大豆、塩、米等のすべての取引契約において、完全に厳守されて参りましたかどうか。そうでなくて、表面上はLCだけ見ますれば片貿易ストレート形式のように見えましても、実質的にはバーターになっているという点も考慮して許可されたことは皆無でございますかどうか。そのことをお伺いしておきたい思います。  もう一点は、今申しましたような実質的なバーターであるかないかということの解釈に立ってこういう問題は、特に将来のことですから処理すべきだと思うのですが、それに対するお考えをこの際伺っておきたいと思います。
  28. 板垣修

    板垣政府委員 大豆の点につきましては、私も全部のバーター契約承認書を見ておるわけではありませんからはっきり存じませんが、そういう事実はないと思います。大体原則としては、バーター見返りエビデンスを見てから許可しておるというふうに存じております。  第二の点については、融通性を持たせるかどうかという点は、なかなか問題があるわけでありますが、これを一度許しますと、中共貿易全体についてずるずるということに相なるわけでありまして、先ほど申し上げましたように、この原則はできるだけ厳守したいというふうに考えます。ことにこの大豆について問題がありますのは、先ほど申し上げたように、中共大豆値段の点で問題があるのでございます。これは四十三ドルというべらぼうな値段でございまして、こういう高いものをわざわざ中共から買うということが、実は日本経済にとって利益になるかどうかということでございます。御承知だと思いますが、アメリカの値段と比べてはるかに違う。中国大豆で引き合うのはやっと、とうふ、みその食品の関係だけでございまして、その他の関係ではほとんど値段がつり合いません。それから中共のヨーロッパに出す値段との差は非常なものであります。従って私どもとしては中共がもっと国際貿易競争価格並みに下げてくれば、これは今度の場合はキャツシユで払ってもいいのではないかと考えておるわけでありまして、実は値段の点などもわれわれの考慮の中に入っておる次第でございます。
  29. 穗積七郎

    穗積委員 それでは、私も実はこの数年間の中共との取引の一々のLCを見ておるわけではありませんからわかりませんが、あとで調べてみますが、もし今おっしゃったようにLCに明記されておることが絶対不可欠の条件である、その形式的な条件というものをはずして実質的な条件考えられない、今までもそうしておらぬということを言われましたが、もしその事実があったらどうしますか。
  30. 板垣修

    板垣政府委員 私も調べてみますが、事実がありましてもそれにならって今度それをゆるめるということは今のところ考えておりません。
  31. 穗積七郎

    穗積委員 わかりました。  それでは次にお尋ねいたしますが、これは多少政治的な意味を含んでおりますから、あとで通産大臣に一ぺん御意見を伺いたいと思っておりますが、今日は事務的なことについて大体のことを伺いたいと思います。今値段の問題が出ましたが、値段のことについては、今のお言葉ですと、こういう趣旨に解してよろしゅうございますか。もし値段が、たとえばドイツに出しておりますような三十八ポンドの国際価格水準のものであるならば、これは必ずしも今言いましたような形式的な条件を欠いておっても、最後は悪くすれば現金決済で解決するという腹をきめて、そうしてこの取引をお認めになるつもりでございますか。
  32. 板垣修

    板垣政府委員 もし値段がアメリカあたりとの競争価格になりますれば、これはもういわゆるグローバル予算で自由に買い付けてもいいと思いますし、その場合は五万トンまで買い付けるわけでありますが、そうでなくても、もし質疑の点でずっと下って参りますれば、あるいは現金払いということの考慮余地は十分あろうかと思います。
  33. 穗積七郎

    穗積委員 値段のことは商売の上において非常に大事なことでございますが、ドイツに対する例をとりますと、ドイツは表面上は別といたしまして、鉄鋼その他が見返りとして出ておるはずです。問題は商売のことですから、ドイツの国内における大豆の相場、日本の国内における大豆の相場が問題なのであって、日本の国内の大豆相場が高いから、こういう商談がこっちからオファーしてなったのです。指値は日本業者がしたのです。日本業者が四十二または四十三ポンド、ないしは四十六ポンドまでの値段で引き取ってもそろばんがとれるということで指値をして、向うが四十三ポンドを選んできたわけですね。向うがドイツに対しては三十八ポンドで売っておるのを、日本に対してはそれよりか五ポンドばかり高い値段で売りつけたのはけしからぬという趣旨ですが、これは日本業者が指値をしたからなのであって、それからさらに、日本業者がなぜそういう指値をしたかということは日本の国内相場が高いからである。日本の国内相場が高いということは、今のように小きざみに割当制度をとっているからです。おっしゃる通りグローバル方式をとってお買いになるならば、今言う通りアメリカの大豆はそれは安いかもしれぬが、これはみそ、しょうゆにはならない。従って品質によって用途が違う。ですからそれ並みの取引ができるわけでしょう。そういう方式をとらないで、五トンまたは十トンというふうに小きざみにして割当制をとっているから、こういうことになるのです。しかもその割当で安く買ったにしても、貿易業者なり一部の者がもうけて、大衆のとうふの値段なんというのはなかなか下らない。油の値段もなかなか下らない。ですからそういうことに対してはむしろ政府責任を持って、そのマーケット・プライスの操作はお考えになるべきである。それを理由にしてこの取引を妨害されるという理由は私はないと思うのです。それじゃ伺いますが、そういう方式にお変えになるつもりであるかどうか。大豆操作の根本問題に触れてくると思います。そういう点、局長のお考えを伺っておきたい。
  34. 板垣修

    板垣政府委員 確かに国内の大豆値段につきましては、御指摘のような問題があろうと思いますが、ただいまお話のありました日本業者から指値をしたというお話は、私も詳しくは存じませんが、聞くところによりますと、一、二の業者が、特に食品関係であろうと存じますが、高い値段を出したということだろうと存じます。しかしこれははなはだ困るのでありまして、日本全体の利益から言いますれば、日本だけが非常に高い大豆を買うということは困りますので、われわれといたしましては、これをできるだけ安く、国際価格並みに買いたいという希望を持っております。従ってこれを実現するために一番いいのは、やはりグローバル予算ということで、中共大豆も含めまして国際的に競争さすということが、一番よいのじゃないかというふうに考えております。
  35. 植原悦二郎

    ○植原委員長 穗積君、あなたの質問緊急質問ですから、どうかそのおつもりで願いますと、委員長はただ希望を述べるだけです。
  36. 穗積七郎

    穗積委員 それでは委員長の御希望もありますから……。実はこれは実情が両方とも時間的に緊急を要するものですから、それで緊急性を帯びておるわけです。だから御質問したわけですがそういたしますと、今の割当制の根本は変えていきたいという御所存でございますか。  それからもう一点お尋ねしておきますが、今申しました通り商売のことにつきましては、そのときの市況によるわけです。日本の国内相場が高ければ向うから高いのがくるのは当然のことなんのです。ドイツの相場が安ければドイツには安く売らなければ売れないから安く売ってくる。だから一国が同一商品を売る場合には、他の国へも同じ値段で売らなければけしからぬというようなことはあり得ないと思うのです。それは商売のことです。アメリカが日本に物を売るときだって、アメリカが他の国には安く売っておるものを日本には高く売っておる。同一相場で必ずしも全部売っておりません。それに対して、それならば取引せぬかということですね。しかもこれは一商社の問題ではなくて、国民生活必需品でございますから、これができるように努力するのは商社だけの責任じゃなくて、むしろ政府責任だと思うのです。ですからこの問題は一体どういうふうにこれから御処理になるつもりであるか。その二点、すなわち国際相場引き下げの根本方式は、今の割当制をおやめになるつもりであると、われわれは今の言葉では理解いたしましたが、さように理解してよろしいかどうか。第二点は、その相場のことにつきましては、アメリカが他の国に売る場合においても同様でございますから、従ってそれに対して日本側がその相場にとらわれて、三十八ポンドまで引き下げなければ絶対に取引しないのだ。形式的にいうならば、LCの中にそのことを明記しなければバーター取引形式を備えないから絶対しないのだといって、それでてん然としておられて済むものではない。今申し上げた通り、これはぜいたく品ではございません。必需品でございますから、国民生活責任を持っておる政府としての、その問題処理に対するむしろ積極的なお考えを、第二点として伺っておきたいと思います。
  37. 板垣修

    板垣政府委員 第一の点につきましては、この割当制度全般を変えるということでなくて、どうしても中共側がわれわれの考えておりますバーター方式というものを、はっきりやってくれないということになれば、やむを得ず今度のものに限って変えるかもしれぬということでございます。それから中共が高い値段を出すのは自由でございます。しかし日本としてもなるたけ安いところから買うのも自由でございます。これは政府が買っておるわけではない。商社が買うわけでございますから、できますれば商社が国際的に、自分の一番有利と思うところから買えることが一番望ましいと考えております。ただ中共の場合は、いわゆる特殊の関係もありますし、バーター原則というところで、従来のほかの値段と違った値段でも、バーター方式さえ完備しておれば、今まで通り入ってくるということは御承知通りでございます。
  38. 穗積七郎

    穗積委員 最後中国とり貿易問題について政務次官にちょっとお尋ねいたします。これは他の委員会でもちょっと出たと思いますが、本日の新聞報道によりましても、台湾政府が東洋棉花の取引を取り消しているわけです。これは例の中国との取引をしないという誓約書要請の問題ですが、これは日本政府としては黙っておるべき性質のものではないのであって、商売と政治の問題とは別ですから、日本の経済的利益または経済の自立のために、あらゆる国と取引すべきことは当然であって、それに対して干渉がましく他の国と取引をしては、おれの方のものは売ったり買ったりしないというようなことでは、貿易の自主性に対する悪意の干渉だとわれわれは理解する。ですからそれに対する御所存と、これに対しては一体どういう態度を今までとって来られたか、どうされるつもりであるか。この二点はこの際中国貿易に関連した、緊急な問題ですから、政務次官の御所信をお尋ねしておきます。
  39. 園田直

    ○園田政府委員 中共との貿易について台湾からの申し出は、必ずしも干渉だとは考えておりません。ただし中央信託局等を通じて、いろいろな取引商社に対する抗議、または他の御指摘のような問題がありますので、外務省といたしましては、日本中国並びにその他に対しての貿易を進めておる理由日本経済の特殊性等を特に説明をいたしまして、そして経済の必然性からくる中共貿易というものに対する、日本独自の立場をしばしば説明しておりますが、つい最近そういう問題等に対しましては、大臣みずからそういうものを検討いたしまして、各点に対して、台湾中国政府に申し入れをいたしておるような状態でございます。
  40. 穗積七郎

    穗積委員 それに対する返事は……。
  41. 園田直

    ○園田政府委員 申し入れ中でございます。
  42. 穗積七郎

    穗積委員 それにもかかわらず、向うからああいう取扱いをして参りましたが、それに対してどうされるつもりでありますか。
  43. 園田直

    ○園田政府委員 申し入れいたしましたのは、こういう問題等が起りましたので、今までもしばしばやっておりますが、今般特に各個条について、意見の申し入れをやっておるわけでございます。     —————————————
  44. 植原悦二郎

    ○植原委員長 在外公館の名称及び位置を定める法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。本案に関する質疑はすでに終了いたしておりますので、これより討論に入ります。討論の通告がありますので、順次これを許します。大橋忠一君。     〔「大臣がいなくてもいいんですか」と呼ぶ者あり〕
  45. 大橋忠一

    ○大橋(忠)委員 いなくてもいいです。     〔「大臣が出席になったらまっ先にやろうという理事会の申し合せですから、もう一ぺん理事会を開いて了解を求めて下さい」と呼ぶ者あり〕
  46. 植原悦二郎

    ○植原委員長 大臣は参議院本会議においての緊急質問で来られないから、委員長としては政務次官がおれば皆さんが御了承できると思ってやったのです。御了承を願います。     〔「了承々々」と呼ぶ者あり〕
  47. 穗積七郎

    穗積委員 この前の委員会のときに、この問題の採決をしようといって理事会を開いたら、これは附帯決議のついた採決だから、大臣にも聞かせておく必要があるから、大臣が来たらまっ先にやろうという申し合せをした。それをきょうも再確認している。その理事会の申し合せを無視されたわけですから、理事会を開いて了承を求めた上でやることが手続上当然だと思う。このことはあとあとの議事進行にも関連するのですから……。
  48. 植原悦二郎

    ○植原委員長 承知しました。理事会を開きます。速記をとめて。     〔速記中止〕
  49. 植原悦二郎

    ○植原委員長 速記を始めて。  国際情勢等に関する件について質疑を継続いたします。並木芳雄君。
  50. 並木芳雄

    ○並木委員 きょうの新聞を見ますと、フィリピンの賠償問題について相当詳しく報道されております。先般来、私ども政府に対して、この問題に関心をもって質問をいたしておりましたが、具体的には何らきまっておらないという話でありましたが、先方で報道された点を見ますと、ずいぶん詳しく、具体的に数字まで出てきております。そしてその総額は八億ドルの賠償案であるということで、実はがく然としたわけであります。日本としては四億ドルという線は出したということでございまして、その後のいきさつについはて口を緘して語っておられないのでありますが、こういうような具体的な報道があった以上は、われわれも黙っているわけには参りません。そこで、一体この先方で発表された報道というものはほんとうなのか間違いなのか、外務省はこれを黙過しておってよいのかどうか、詳しく御答弁願いたい。
  51. 園田直

    ○園田政府委員 フィリピンの賠償問題は、まだ結論が出ていないことは事実でございます。ただ先般参りましたネリ大使が、わが方といろいろ折衝の結果、帰りまして、ただいま新聞に出されているような線ならば、将来わが方との折衝のめどがつくのではないかという案を考えているのであろうと推察いたします。こちら側では新聞に発表されたフィリピン側の構想について関係当局意見がまとまったわけでもなし、それについてまだ正式の結論が出いるわけでもございませんが、いずれにいたしましてもそういう目標に向って逐次折衝を進めていきたいと考えております。
  52. 並木芳雄

    ○並木委員 そうすると、日本から資本財の形で支払われるものが五億ドル、それから日本から現金で年四百万ドルずつの割で五年間二千万ドル、それから役務賠償で三千万ドル、投資資金あるいは借款の形で二億五千万ドル——民間資本によって行われるもの、こういう話し合いがあったことは事実でありますか。
  53. 園田直

    ○園田政府委員 向うからそういう意見の開陳はあった模様でございます。
  54. 並木芳雄

    ○並木委員 高碕大臣が大体下相談において了承を与えておるやに受け取れる記事もあるのでありますけれども、その点はいかがですか。全然そういう内諾あるいは了解というものを与えておらないとはっきり政府は言い切れますか。
  55. 園田直

    ○園田政府委員 そういう内諾は与えていないと聞いております。
  56. 並木芳雄

    ○並木委員 この問題は非常に重要な問題でありまして、ただいまの次官の答弁をもってしても、私はフィリピンの方に与える影響は相当大きいと思うのです。決してせっかく行われておる賠償の交渉に水をさすわけではありませんけれども、この前の吉田内閣時代に行われておった数字から見ると、四億ドルが八億ドルになるということは、その内容のいかんを問わず、大幅の増額になるわけでございますから、これは党派というものを超越して、われわれ国会議員としては黙視できない重大問題であります。従って政府はこの交渉をするに当って、その目標に向って大体歩み寄る方針で行くのか、それともこれでは全然問題にならない先方の案であるというのか、そこのところをもう少しはっきりしていただきたいと思います。
  57. 園田直

    ○園田政府委員 今の問題に高碕長官その他が内諾を与えたということを聞いてはおりませんが、向うがそういう発表をするにつきましては、今の程度ならば何かめどがあるという推察を得たのであろうと考えます。わが方といたしましては向うの発表した案は検討しております。これについては発表の表面上の問題ばかりでなく、わが方としても相当具体的に可能性があるような感じもいたしますのでただいま検討中でありまして、それ以上はフィリピンとの問題及び他の賠償関係にある国国の問題、及びわが方閣内の問題等もありますので、これ以上は申し上げられません。
  58. 並木芳雄

    ○並木委員 それではなおあと外務大臣に直接お尋ねいたしたいと思います。
  59. 菊池義郎

    ○菊池委員 関連して。向うのまとまった話の内容を新聞で見ますと、サンフランシスコ条約に全く反するような、たとえば現金の賠償が含まれておる。それから物質賠償が非常に多く入っている。役務賠償は非常に少い。そういうわれわれの考えとまるで違っておるようなものになっているのですが、ただいま政務次官の話を聞きますと、それに歩み寄りのできる可能性があるかのような印象を与える言葉がありましたが、これは重大だと思いますので、もう一ぺんその点をお伺いしたいと思います。
  60. 中川融

    ○中川(融)政府委員 ただいまの御質問でございますが、政務次官が答弁いたしました通り、これは先方の案でございまして、先方がそういう案で日本と折衝しようという方針を大体きめたというような新聞報道が昨日来たのであります。従って明らかに現金賠償でありますとか、あるいはサービスが非常に少いとか、われわれも若干そういう感じはいたすのでありますが、いろいろな点は先方の案を見ましてこれを今後どう検討するか、これに対して日本がどういう態度をとるかということは、日本政府のきめる問題でございますので、ただいま御質問のような点は十分考慮に入れて、今後政府としても研究いたしたい、そういうふうに考えております。
  61. 菊池義郎

    ○菊池委員 ああいうものに近いような条件でもって妥協いたしますと大へんな問題であります。さらにインドネシアもそれにならうでありましょうし、ビルマもまた再要求をしてくるであろうと思います。それからラオス、カンボジァ、ヴェトナム、そういうところも要求するであろうと思うのでありますが、そういうことを考えると、他の国に及ぼす影響は実に重大であろうと思うのです。そういう点を十分に考慮していただきたいと思う。それに対して政務次官の御意見を承わりたい。
  62. 園田直

    ○園田政府委員 そういう問題は十分考慮いたして折衝したいと考えております。
  63. 北澤直吉

    ○北澤委員 関連質問で一言。今のフイリピンの賠償問題ですが、自由党としても一言申しておきます。この前の大野・ガルシア協定では四億ドルということになっておりましたのが、今の新聞報道によりますと八億ドルということになっておりまして、倍であります。私ども考えるところでは、日本が支払い得る年々のそういう対外債務というものは、大体四百億円か五百億円と思うのでありますが、そういう点から申しますと、そういうようなフィリピン賠償は払い得ないと思います。と言いますのは、もしガリオアの債務の整理がきまりますと、どうしても一年に五十億出さなければならぬ。それから英仏その他の外貨債の支払いも大体一年に百五十億、それから連合国財産の補償費が年に五十億、ビルマの賠償がきまったのが年に七十八億、それからタイの特別円の整理できまったのが相当の額であります。そのほかにフィリピンあるいはインドネシア、こう加えますと、たとえばこの四億ドルにしても一体日本の年々の支払い能力の範囲内でこういう巨額の対外債務を払えるかどうか、私は非常に疑問に思うのであります。ところがこれで見まして、それが八億ドルということになりますと、日本の支払い能力という点から考えますと、非常に大きな問題になってくるわけであります。のみならず先ほど菊池委員からお話がありましたように、今度の話では従来日本が絶対に反対しておりました現金賠償というのも入っておる、こういうふうなわけでありまして、どうもフィリピンとの賠償の話におきましても、最初日本の方は相当厳格な態度をとっておったのでありますが、最近になって非常にずるずると譲歩しておる、こういうことでありまして、私ども日本の全体の対外債務の支払い能力という点から考えまして、この問題は非常に大きな問題であると思うのであります。私ども考えでは、ビルマの賠償も一応緒についたところでありますので、このフィリピン賠償問題はそう急いでやる必要はないのではないか、もし日本側希望通りに行くならこれは急いでもけっこうでありますが、こういうふうな八億ドルというような大きな額できめるならば急ぐ必要はない。一応はビルマの賠償をやってみて、その模様を見ながら、フィリピンの賠償、あるいはインドネシアの賠償を考えていった方がいいのではないか、こういうふうに考えるのでありますが、その点につきましての外務省のお考えを伺いたいと思います。
  64. 中川融

    ○中川(融)政府委員 先ほど私からも政務次官からも答弁いたしました通り日本側態度というものは未決定でございます。今後いろいろな各般の状況を考慮いたしまして、政府態度というものはきめることになるのでございまして、ただいま北澤委員の御指摘になりましたような各種の点も十分考慮してきめたい、かように考えております。  なおフィリピン賠償はそう急ぐ必要はないのではないかという御意見もございましたが、政府としてはアジアの隣邦各国との国交改善、正式国交の回復ということはぜひ急いでやりたい。それが基本的な考え方でありまして、もちろんそれにはいろいろな条件等があるわけでありますが、できるだけわれわれとしても最短の期間にアジアの各国との国交を回復したい、こういう目標のもとに努力を続けておる次第でございます。
  65. 北澤直吉

    ○北澤委員 日本が近隣諸国との国交を回復するということはもちろん大事でありまして、なるべく一日も早く近接諸国との間の国交を回復すること、もちろん賛成であります。しかしながらいかなる条件でも、どんな犠牲を払ってでも、なるべく早くやる必要はないと思います。結局国交の調整は、ソ連の場合もそうでありますが条件いかんでありまして、日本側が納得し得る条件でなければ、何も急いで国交回復をする必要はないと思うのでありまして、フィリピンの場合におきましても、国交回復をあせるがために、われわれ日本として支払うことができないような、そういう条件を急いでのむ必要はないと思うのであります。その点は国交回復ももちろん必要でありますが、この賠償問題につきましては、どこまでも日本の支払い能力というものをよく考えて善処せられんことを要望するわけであります。     —————————————
  66. 植原悦二郎

    ○植原委員長 外務大臣が出席されましたから、これより在外公館の名称及び位置を定める法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案に関する質疑はすでに終了いたしておりますので、これより討論に入ります。討論の通告がありますので、順次これを許します。大橋忠一君。
  67. 大橋忠一

    ○大橋(忠)委員 今度の提案によりますと、大使を一挙に六人もふやすという提案でございます。東南アジア方面は重要であるというので、かくのごとき増加を来たしたという御説明でありますが、そういたしますと、さらに中南米方面の移民を送る、また経済的にも発展し得る国々にもつり合い上、やはりふやさなくちゃならぬというようなことになりまして、公使よりも大使の方がはるかにふえる事態になるのであります。本日いただきました表によりますと、国交を開いた国だけでもすでに六十五に及んでおるのでありまして、将来ソ連圏とも国交が開ければ、さらにこの数はふえまして、在外公館の数はおびただしい数に上るのでありますが、かくのごとき膨大なる在外公館の網を維持するためには、莫大な外貨が必要であります。従いまして何とかしてこの在外公館に、少くともその経費につり合うだけの効能を発揮せしめる必要があるということを考えて、私はいろいろ質問をいたした次第であります。  そこで、今度の御提案に対していろいろ説明を承わりました結果、まことにやむを得ぬとは存じますけれども、それに対しては強い希望を持っておるのであります。第一には、かくのごとく大使を非常にふやす、公使も非常にふやすということになりますと、昔のようなスタンダードにおいて大公使を任命するということは、経費の関係上からいたしましても事実上不可能であります。そこである場合においては領事級の人間でも大使という名をつけて、そうして向うへ送り出す必要が起り得ると思うのでありますから、現在も相当幅が広くなっておりますけれども、さらにその大公使の幅を広くされまして、いかなる階級の者でも御任命になって、本省に帰ればもとの階級で働くという手軽な大公使を作っていただきたい。大公使という名からして宮廷外交のにおいがするのでありまして、今日はもう宮廷外交から経済外交の面に移っておりますので、そういう見地から大公使を選択し、任命されるその幅を現在よりうんと広げて、かつその館館の実情に適した人間を一つ送っていただきたいということであります。従いまして、大使であるがゆえにやはり年を食った、昔で言うならば勅任官を卒業してすでに親任官に近づいたような人をやるという格式や形式を無視して、各地の実情に適応した人間を一つ送る。大使を作ったからやはり外交官の古手をやるというようなことでは、いわゆる老後のためにお金をためるというようなことばかりに頭を使って、何らの活動ができない無能な人間を送るというようなことになるのであります。これは吉田内閣時代から、はたから見ておりますと、相当情実による老朽外交官が任命されたような観が非常にあるのであります。重光外相の時代においても、そういうにおいがせぬというわけにはいかないのであります。私はぜひともそういう格式やそういう形式を離れて、実質的にその館々に適した、やれば実際間に合うような人材を広く朝野に物色されて送っていただきたい、これが注文であります。  さらに第三には、外国にちょっと行ってみましたわれわれの感じでは、いわゆる流動経費というものが非常に不足しておるのでありまして、一々会計検査院の検査を経なくちゃならぬようなああいう経費でもっても、その任務を完全に遂行することはできない。ことに東南アジア方面のごときまだよく開けていない国におきましては、やはり宴会をやるとか、物を贈るとか、向うの有力者と親交を進め、日本との関係をなごやかにするという関係で、特に昔の機密費的な経費をもっとよけいおとりになって、そうして通商関係、経済関係の下地を作るようなふうにしていただきたい、こういう希望を私は持っておるのであります。  次に、今後時がたつに従って在外公館の新設を大分考えておられるような話でありますが、必要な公館を作られることはわれわれは反対じゃありません。けれども同時に、現在ある公館でも事実上要らなくなったような公館はちゅうちょなくやめていただきたい、こういう意見を持っておるのでありまして、またそういう公館を具体的にも私は指摘し得ると思っておるのであります。従いまして今後作られる上においても、経費節約の上から、でき得る限り兼轄でもってやっていただきたい。それからまた仕事をやり得るような名誉領事、名誉総領事、英国が現在やっておるような名誉領事、名誉総領事の制度も御研究になって、なるたけ経費の節約をしていただきたい。  かくのごとく館によって流動経費、機密費的のものを支給するためには、やはりもう少し査察制度を厳重にしていただきたい。と申しますのは、日本の内地の官庁と違いまして、遠く離れておるからなかなか向うの状態がよくわからない。だから事実上名だけで活動をしない、そういう不心得なものもできるのであります。そこで私はもっと公正、厳正な査察使を送りまして、そうして人の足らぬところは人を増す、人のあまり要らぬところは人を減す、要らなくなったところは容赦なくやめて他の重要な方面をふやすというふうに、公館制度に対して弾力性を持たせる、そして効果を増進する必要があると思うのであります。この在外公館のうちで通商経済関係が最も重大でありますから、私は在外公館の選択、訓練に特に注意をせられまして、やはり向うに行ったならば——中小企業の人は送れない。その代理を務めるくらいのやはり経済上、通商上の知識を持たし、実際働き得るようなものにせぬことには、在外公館を置いた効果がないと思うのであります。これは英米等が今までやっておりました領事部、コンシュラー・デパートメントというものとディプロマティック・サービスというものとを別にして、特殊な訓練を与える。あまりこれを厳格に区別してしまってもいろいろ弊害ができる。英米においてインターチェンジァブルにいたしたことは御承知でありますが、日本にはあまり交流が激し過ぎて、従ってその経済上及び通商上の知識が散漫になる。従って私は、通商経済問題についての訓練及びその人の選択、任命については特に御研究になって向うへ行ったならばそれだけの役に立つところの人間を送っていただきたい。そうして査察を厳重にして公館の能率を上げていただきたい、こういう私は強い希望を持っておるのであります。私はこれに対して賛成はいたしますが、同時に附帯決議を出したいと思います。  一、大使の階級を多くし大使の任命につき任地の実情に応じ少壮者をも任命し得る制度を確立すること。  二、大公使は格式若くは情実による老朽無能者を排し任地の需要に適ら役に立つ人材を任命すること。  三、在外公館の固定経費、人件費を節約し流動経費を増額して館の効率を挙げること。  四、名誉領事制度並に兼轄制度を拡充し重要ならざる正式公館を整理すること。  五、公正なる立場の査察使による査察を厳重にすること。  六、在外公館の種類を変更するには、特に緊急の必要ある場合を除き、政令によらずして法律により之を行うこと  この六つの附帯決議の動議を提出いたしたいと思います。  これで私の討論を終ります。
  68. 植原悦二郎

    ○植原委員長 北澤直吉君。
  69. 北澤直吉

    ○北澤委員 私は自由党を代表いたしまして、ただいま議題となっております在外公館の名称及び位置を定める法律等の一部を改正する法律案につきまして、賛成の意を表します。しかしながら私どもは、これに賛成するにつきましては、以下述べるような諸点について政府要望し、またただいま大橋委員から提出されました附帯決議案に賛成するものであります。  御承知のように現在の日本におきましては、経済の自立を達成するということが最も大きな問題であります。従いまして日本外交を運営するに当りましても、経済外交に重点を置くべきこともまた論を待たないところでございます。私どもはそういう見地から、日本在外公館を設置するに当りましても、日本の経済外交をできるだけ活発に行うという見地から、在外公館の設置を考えるべきものと思うのであります。今回の政府の提案によりますと、日本貿易の対象として最も重要な中近東あるいは中南米、こういう方面に公館が新設あるいは増設せられるわけでありまして、私どもはその点については賛成であります。しかしながら、たとえば公使館を作るような場合には、公使のほかに館員二人あるいは一人というふうなことでありまして、これでは政府の期待しますような経済外交が十分できるとは思われないのであります。やはり公館を置く以上は、その公館が能率的に、しかも十二分に活動ができねばなりません。どうも今の日本在外公館を見ますと、広く、薄いのであります。館は多いのでありますが、人数が少い。私どもはやはり経済外交を活発にやるためには、重点主義によって、大事なところには相当たくさん人員を置いて、十分な活動ができるようにしなければならぬ。従って在外公館を置く以上は、今のような栄養不良のような公館を直して、もっと十分に働けるように人もふやし、それからまた先ほど大橋委員からお話がありましたような流動資金をふやすというふうに、その在外公館が十二分な活動ができるようにしなければならないと考えておるわけであります。そういうわけで、今回の政府の提案を見ますと、公館は新設されておりますが、そこへ行きます外務省の職員は、先ほど申しましたような館長のほかに一人あるいは二人というわけでありまして、これでは不十分と思います。私どもが外国を歩いて在外公館を見ておりますと、非常に上の人が多くて下が少い、手足が少いのであります。やはり在外公館が十二分な活動をするためには、上級者も必要でありますが、それを補佐する下級の人がもっと必要じゃないか。いろいろ経費の関係もありましょうが、在外公館が十二分な活動をするためには、やはり全体として総合的に職員が充実されるということが必要だと思いますが、今度の政府の提案を見ますと、上の方だけが多くて、それを補佐する職員が少いというふうに思うのであります。そういうわけで、私どもは今回の政府の提案によります在外公館の新設について賛成でありますが、さらに中近東あるいは中南米、そういうふうな日本の新しい貿易の市場におきましては、もっと日本の公館をふやしてもらいたいというふうに考えておるわけであります。  それからもう一点政府希望申し上げたいのは、先ほど大橋委員からも外務省の人事についてお話があったのでありますが、私どもの見るところから申しましても、どうも現在の外務省の人事を見ておりますと、外務省がほんとうに純外交的な立場から考えた人事が、いろいろ政治上の理由によって左右されているような印象を持つのであります。重光大臣はよく、日本は自主独立の外交をしなければならぬとおっしゃるのでありますが、私は日本が自主独立の外交をするためには、まず外務省外務省の主体性を確立しなければならぬと思うのでありまして、特に外務省の人事について外務省が主体性を持たずに、よその部外の事情によって外務省の人事が左右されるというふうなことであっては、私は日本の自主独立の外交はできないと考えるわけでありまして、どうぞ一つ重光大臣におかれましても、日本は自主独立外交をするという見地から、外交の政策においても、また外交の人事の方においても、日本外務省の主体性を確立してもらいたい。そこで初めて日本の自主独立の外交ができるのだと私は考えるのであります。そういう点から考えますと、もし私どもの誤解であれば幸いでありますが、どうも今の外務省の人事が部外の事情によって左右されているというふうな印象を受けますので、一つこの点はぜひ是正していただきたいと思うのであります。まず以上のような希望を申し上げまして、先ほど大橋委員から提案されました附帯決議には賛成をするものであります。
  70. 植原悦二郎

    ○植原委員長 森島守人君。
  71. 森島守人

    ○森島委員 ただいま議題になっております案件につきまして日本社会党を代表しまして所信を申し述べたいと思います。  簡単に結論から申しますと、今回外務省のおとりになった措置については、いろいろ批判すべき点はたくさんございます。われわれといたしましてはその一部を修正すること、また否決することも辞せないと存じておりますが、相手国のあることでありまして、すでに相手国の合意を求められておる関係もありますので、やむを得ざる措置といたしまして大橋委員から提出せられました附帯決議をつけて賛成をする次第でございます。  日本の今後の発展が外交に負うことは申すまでもないことでございまして、これがためには外交陣容の拡大整備を必要といたしますが、ただ公使館を名目上大使館に昇格したという機械的なやり方のみをもって万全を期するとは私たちは考えておりません。しかも政府はヴェトナム、カンボジア、セイロン、イラン等の各国との間に既設の公使館を大使館に昇格せしむることについて、本年二月彼我の間に合意が成立した、従ってこの際公使館を至急に大使館に引き上げる必要があるのだという理由を提示されておりますが、政府限りの措置をもってこの昇格を実現して、事後に至ってこの既成事実に基いて国会に対して法律的措置や予算的措置を要求せられることは筋が違っておる、国会を無視するもはなはだしいものである、私はこう断定いたす次第であります。政府のあげておる理由なるものは本年の二月に合意が成立したという点にとどまっておりまして、何ら緊急を要する理由を発見し得ないのでございます。さらに大橋委員の要求によりまして政府は資料を提出せられましたが、この資料を見ますと、かえって公使館を大使館に昇格することを否定しなければならぬような資料であります。私は納得しかねる、こう存じております。  要するにかくのごとき外務省の措置は、官僚独善の典型とも批評すべきものでございまして、国会を軽視するもはなはだしいものである。このままこれをうっちゃっておきますれば、将来中南米その他の土地にある公使館が、世界情勢の変転いかんによって外務省限りで大使館に全部昇格して、事後に国会に審議を求めるというような措置に出る端緒を開くおそれがある、こう私は信じておるのであります。  この意味におきましてわが党は本案に賛成するといたしましても、今後外務省限りの独断的措置をやめて、原則として事前に国会の承認を求むることを条件とすることが、絶対に必要であると信じておるのであります。これが本案の附帯決議の第六項を明確に記述されております。  次に附帯決議に書かれました一から五にわたる項目については、われわれ決して外務官憲をことさらに誹謗したりするような趣旨のものではございません。いずれも外務省に長年職を奉じまして、そのとうとい体験から割り出した貴重な意見でございまして、外務当局においても十分これを考慮に入れられることとこう確信いたしておるのであります。人事につきましては大橋委員からも北澤委員からもいろいろ御意見がございました。この点につきましても私は賛成でございます。吉田内閣時代吉田人事、Y項追放とかあるいははなはだしいのはI項追放とかいいまして(「I項ではない、A項だよ」と呼ぶ者あり)ことさらに紛争を省内に起したことは、外務省当局でも御承知通りだと思います。しかるに今回の人事を見ますと、相当側近人事と評せられるものがあることは世評の一致しておるところでございまして、これらの点につきましては人事統制の公平を期する意味からいたしまして、十分に御注意あらんことを望みます。  また東南アジア方面に関しましては、ことに農業等重要なる問題もございますので、この方面にも知識経験のある人を配置していただきたいということがわれわれの強い希望でございます。また在外公館におきましては、北澤委員から御指摘のありましたように、市井から人を採ることは非常にけっこうなのでありますが、とかく役人の間の円滑を欠いて、館務が十分に円滑に遂行しておられないという批評はひんぴんとして聞いておるのでございます。私はこれは一々例をあげるまでもなく、外務当局ではすでに御承知のところと存じておるのであります。これらの点につきましても十分に考慮を用いていただきたい、こう存ずる次第でございます。私は一々所見を申し述べることは、いたずらに時間をとりますので、差し控えますが、大体におきまして大橋委員、北澤委員のおっしゃったことと所見を同じゅうする次第でございます。この際政府に対してこの決議案の急速なる実現を切望してやまない次第でございます。政府から提出せられておる本案の内容につきましては、先ほど申しました通り、異論はもちろんございます。しかし他方政府がすでに相手国との間に約束しておられる事情考慮いたしまして、本案をこの際否決したり修正したりすることは、ひいて国際信用の上にも影響するところが多いと懸念せられますので、やむを得ざる措置といたしまして附帯決議を付して本案に賛成をする次第でございます。
  72. 植原悦二郎

    ○植原委員長 松本七郎君。
  73. 松本七郎

    ○松本(七)委員 私は日本社会党を代表いたしまして、在外公館の名称及び位置を定める法律等の一部を改正する法律案に、大橋忠一議員の提出されました附帯決議を付して賛成の意見を述べるものでございます。  詳しいことはすでに他の議員からも申されましたので、ごく簡略に申し上げたいと思いますが。政府のとられました処置についてはいろいろ批判の余地もあろうかと思います。けれども相手国のあることでございますし、特にアジアの問題は、今後日本としても非常に重要視しなければなりませんので、これらの点にかんがみてこれに賛成するのでございます。  ただしこの附帯決議にもありますように、私どもは特にこの附帯決議の中でも、任地の実情に応じて少壮者を任命できるような制度を確立すること、と、それから格式や情実による老朽無能者を排して、任地の需要にかなうような役に立つ人材を任命するというこの点に実は大賛成なのでございます。もちろん任命される側では意識的に老朽無能者だと思って任命するばかはおりませんから、任命される以上は能力があると思って任命されるのでしょうけれども、現に客観的にはたから見て、そういうふうな傾向がまだまだ全然ないとは言えないと私ども考えておるのであります。従いまして今後はこういう点について、特に人事を刷新することに政府としても努力していただきたいことを要望いたします。  それからもう一つ私たちが特に要望したいと思いますのは、他の外国諸国と比較いたしまして、日本の場合には文化的な仕事をする外交官というものが、冷遇されておる傾向があるのではないか。もう少しそういう方がじっくり任地にとどまって、長年その国との文化の交流について、落ちついて貢献できるような優遇策を講ずることが非常に必要であろうと思います。もちろん今後は経済外交と申しますか、そういう点も非常に必要でございますけれども、何といっても利害の衝突のない文化の面からくる交流ということは、外交上非常に大切な点なのでございますから、こういう点もどうか今後一そう力を注いでいただきたいことを要望いたしまして、賛成いたすものでございます。
  74. 植原悦二郎

    ○植原委員長 これにて討論は終局いたしましたこれより採決いたします。本案を可決するに御異議はありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  75. 植原悦二郎

    ○植原委員長 御異議がなければさように決定いたします。  なおただいまの御討論のうち、北澤君、森島君、松本君からは御希望がありましたが、これは御希望としてお述べになったのであるから、政府でその希望を御了承下すっておると思います。ただ大橋君の討論中本案に対する附帯決議が提出されておりますので、この際本附帯決議について議事を進めます。本件について御発言はありませんか。     〔「なし」と呼ぶ者あり〕
  76. 植原悦二郎

    ○植原委員長 政府はこれに対して何か御発言がありませんか。——いずれも御発言がないようでありますので採決いたします。  大橋君の御発言の通り本案に附帯決議を付することに御異議はありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  77. 植原悦二郎

    ○植原委員長 御異議なしと認めましてさよう決定いたします。  なお本法案に関する報告書の作成については委員長に御一任を願いたいと存じます。  本日はこれにて散会いたします。次の日程は公報をもって御承知を願いたいと存じます。     午後零時四十五分散会