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1955-06-01 第22回国会 衆議院 外務委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年六月一日(水曜日)     午前十時三十七分開議  出席委員    委員長 植原悦二郎君    理事 大橋 忠一君 理事 菊池 義郎君    理事 須磨彌吉郎君 理事 北澤 直吉君    理事 福永 一臣君 理事 穗積 七郎君    理事 松本 七郎君       伊東 隆治君    高岡 大輔君       並木 芳雄君    福田 篤泰君       稻村 隆一君    高津 正道君       細迫 兼光君    戸叶 里子君       松岡 駒吉君    岡田 春夫君  出席国務大臣         国 務 大 臣 高碕達之助君  出席政府委員         外務政務次官  園田  直君         外務事務官         (大臣官房長) 島津 久大君         外務省参事官  寺岡 洪平君         外務事務官         (アジア局長) 中川  融君         外務事務官         (欧米局長)  千葉  皓君         外務事務官         (経済局長)  湯川 盛夫君         外務事務官         (条約局長)  下田 武三君         外務事務官         (国際協力局         長)      河崎 一郎君  委員外出席者         専  門  員 佐藤 敏人君         専  門  員 村瀬 忠夫君     ————————————— 本日の会議に付した案件  国の援助等を必要とする帰国者に関する領事官  の職務等に関する法律の一部を改正する法律案  (内閣提出第七六号)  千九百三十六年の危険薬品不正取引防止に  関する条約批准について承認を求めるの件(  条約第五号)  在外公館名称及び位置を定める法律等の一部  を改正する法律案内閣提出第四四号)  国際情勢等に関する件     —————————————
  2. 植原悦二郎

    植原委員長 これより会議を開きます。  国の援助等を必要とする帰国者に関する領事官職務等に関する法律の一部を改正する法律案議題といたします。政府より提案理由説明を求めます。園田外務政務次官。     —————————————
  3. 園田直

    園田政府委員 ただいま議題となりました国の援助等を必要とする帰国者に関する領事官職務等に関する法律の一部を改正する法律案提案理由及びその内容説明いたします。  まず提案理由説明いたします。  現行の国の援助等を必要とする領事官職務等に関する法律は、その施行以来一年九カ月となりますが、この間にこの法律を実際に運営してみた結果、次に申し述べますように、この法律の一部を改正することを適当と考える次第であります。  まず現行法律第三条により帰国費を貸し付ける場合には、帰国者在留地から本邦までの船車賃並びに途中の生活費及び医療費を貸し付けることができますが、法律第二条に基き船長に対する送還命令により帰国者を送還する場合には、乗船地までの船車賃並び生活費及び医療費を貸し付けることができない現状なので、このような場合にも帰国者が乗船するまでの諸費用は、これを貸し付けることが適当と考えられます。  次に領事官は、もともとその管轄区域内の行政事務についてのみ職務を行うことになっているので、領事官管轄区域外の地に帰国を援助する必要がある者がいる場合には、現行法律では帰国を援助することができないのであります。しかし、このような場合にも、もよりの領事官帰国を援助することが適当と考えられます。  次に夫婦は、民法第七百五十二条により互いに協力し扶助しなければならず、また同七百六十条により婚姻から生ずる費用を分担する等の趣旨にもかんがみまして、どちらか一方が、国の援助等を受けて帰国した場合には、他の一方が返済能力があれば、一方が借りた帰国費等を他方が国や船会社に対し返済するのが妥当と認められますので、帰国費等償還義務者として新たに配偶者を加えるのが適当と考えられます。  以上三項目の理由によりまして、この際この法律改正するのが適当と考えますので、これらの改正主眼とした今次の改正法律案をここに提出する次第であります。  以上が本法律案提案理由であります。  次に本法律案内容を概略説明いたします。  まず第二条に第二、第三及び第四の三項を追加し、乗船するまでの必要な旅費、すなわち乗船地行き旅費を貸し付け得ること、貸付の場合の手続規定及び乗船地行き旅費定義を掲げました。この定義中には、領事官管轄区域外から乗船地までの旅費も貸し付け得るように配慮されてあります。  次に第三条を改正しまして、領事官管轄区域の内外を問わず、いずれの地にある者に対しても帰国費を貸し付け得るように措置しました。  次に第五条を改正しましたが、これは乗船地行旅費の五字を加えるとともに、条文の表現を整理しただけで、文意は変っておりません。  最後に第六条及び第七条の改正でありますが、これは乗船地行き旅費帰国費等の新たな償還義務者としての配偶者の三字及び乗船地行旅費の五字を当該条項中必要な個所に差し入れたものであります。  以上をもちまして、本法律案提案理由及び内容説明を終ります。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御採択あられんことをお願いいたします。
  4. 岡田春夫

    岡田委員 議事進行。これは再三にわたって私は委員長を通じて注意を喚起している問題でありますが、事外務省の運営につきましては、秘密外交のにおいが非常に強いということを暴露している事実がある。それはこの間から、すでに三週間前に濃縮ウラニウム受け入れの問題に関して資料要求を私は委員長を通じて申し込んだのでありますが、これに対して当時園田政務次官は、誠意をもって一週間以内に資料をそろえて提出をいたしますということをはっきり答えているのであります。それにもかかわらず、今日までに提出されました資料というものは、ほとんど提出された資料としての価値のないものばかり——と言わないにしても、私の資料提出要求のそれにこたえるものではありません。たとえばアメリカ原子力法の全文、日本翻訳文要求したのに対して、英文の原文だけをよこしている。そしてこれについては、一週間以内に印刷をいたしまして必ずお手元に配付いたしますという政務次官の答弁にもかかわらず、いまだに配付になっておりません。これはアメリカトルコ協定仮訳でありますが、これにつきましても実は外務省としては出すつもりがなかったのであります。ところが外務省のある局から国会に対してこれを提出する以前に、民間団体に配付しておるという事実を私は突きとめて、この点について私が暴露したものであるから、やむなくアメリカトルコ協定仮訳を、その日は徹夜したといって出しておるのであります。ですから、こういう点から見ると、濃縮ウラニウム受け入れに関する資料を今後出すというつもりはない、すなわち秘密外交そのままを暴露して出すつもりはないというように私は判断せざるを得ないのであります。園田政務次官誠意をもってという字の上には不という字がもう一つ加わっておる、こういうことではこの外務委員会の運営上重大な支障がありますので、この点についてどのようにされるのか、委員長を通じてこれについてのはっきりとした扱い方を伺っていただきたいと思います。
  5. 植原悦二郎

    植原委員長 岡田君の発言はごもっともと感ずる点が多々ありますので、その旨を、あなたに対して誠意をもって事に当るように政府に伝達いたします。さよう御承知を願います。  国の援助等を必要とする帰国者に関する領事官職務等に関する法律の一部を改正する政府提案説明は終りました。  本案に関する質疑次会に譲ります。     —————————————
  6. 植原悦二郎

    植原委員長 次に、在外公館名称及び位置を定める法律等の一部を改正する法律案、千九百三十六年の危険薬品不正取引防止に関する条約批准について承認を求めるの件、この二案を一括して議題といたしまして、両案に対する質疑を許します。並木芳雄君。
  7. 並木芳雄

    並木委員 いつか鳩山総理大臣中共との間に領事を交換する、中共領事館を設けたいというように、だれかの質問に対して答えておりましたが、外務省としてはその準備を進めておるのですか。
  8. 下田武三

    下田政府委員 その件に関しましては、重光大臣より大体のお話がありまして、検討するという趣旨お答えになっておられますが、検討の命を受けております。ただいまのところ、私ども法律上の見解は次のようなものでございます。  わが国におきましては、領事派遣する場合には、天皇の認証のある委任状発給を必要といたします。そうしてこの委任状を持って相手国に参ります場合には、相手国の元首の署名のある認可状発給を必要とすることに相なっております。でございますから、このような形式を伴う領事派遣ということは、これは何と申しましても、相手国承認する法律上の効果を生ずることになりますので、現段階におきましては、中共領事派遣するということは困難であると考えております。
  9. 並木芳雄

    並木委員 もし領事を交換することが困難であるとすれば、これにかわるべきものとして、たとえば通商代表部を置くとか、何らかの便法が考えられると思いますが、その点はいかがですか。
  10. 下田武三

    下田政府委員 代表部というような法的の資格のある者を派遣または交換するということも、同じくやはり不可能だろうと思います。同様の法律的理由をもちまして……。ただ先般、民間貿易協定が結ばれまして、その中に書いてありますような民間通商代表部、そういうミッションの派遣は、法律上からも現段階において差しつかえないと考えております。
  11. 植原悦二郎

    植原委員長 並木芳雄君に御注意申し上げますが、その問題は外務大臣からかなりお答えになっているはずです。それでそういう外務大臣が答えたような質問は、時間の都合上なるべく避けていただきたい。ただ御注意までであります。
  12. 並木芳雄

    並木委員 その後の経過を聞いたのです。フィリピン在外事務所の問題ですが、ずいぶん長くなりまして、これはもうそろそろ大使館昇格をする話が出てきていいと思うのです。そういう計画はないのですか。必ずしも平和条約締結が終らなくても、大使館とか公使館を設けた前例はあるのですか。フィリピンとの間の賠償会談なんかもかなり順調に進んだかに伝えられております今日ですから、在外事務所昇格するという話も持ち出してきていいのではないかと思います。ネリ全権がきのう帰りましたけれどもフィリピンとの間の賠償交渉内容とともに、ただいまの点を答弁してもらいたいと思います。
  13. 下田武三

    下田政府委員 国交が正式に開かれておりません国家の間におきましても、特にその旨の合意が成立いたしますれば、平和条約なしで大使館相互に交換するということは法律的には可能でございます。しかし実際問題といたしまして、フィリピンにいたしましても、平和条約締結前に在外事務所大使館に直すということには応諾しないことは明らかでございます。なお今次大戦後の前例につきましては、ビルマとの平和条約署名をされましたが、しかし批准を交換しなければ発効しないわけであります。しかし日緬間の友好関係にかんがみまして、批准による発効前に署名の直後、在外事務所大使館に直すという措置がとられております。またサンフランシスコ条約批准前に、オランダその他のヨーロッパ諸国は、在外事務所大使館に切りかえるということを認めておる例もございます。
  14. 並木芳雄

    並木委員 質問の後段の賠償交渉内容は……。
  15. 下田武三

    下田政府委員 アジア局長が来ておりませんが、要するにネリ大使が帰りましたのは、交渉が決裂したということではございませんで、専門家間に行われておりました交渉がある進捗を見せて、一定の段階に達しましたので、この際本国政府と打ち合せるということが、ネリ大使にとって必要となりましたので、一たん帰るということに相なったわけであります。
  16. 並木芳雄

    並木委員 またネリ大使はこちらへ来るのですか。この次の会談フィリピンでやるのですか。
  17. 下田武三

    下田政府委員 またネリ大使が参りますか、あるいは違う人が参りますか、あるいは今度わが方から人が参りますか、それらの点はまだ確定しておりません。
  18. 並木芳雄

    並木委員 韓国との間の問題ですけれども韓国日本における代表部というのですか、これはどういう資格でおるのですか。向うだけは日本におって、日本から韓国に対してまだ在外公館を設けておらないというのですけれども、その関係はどういうふうになっておりますか。そういう一方的なことがなぜ許されるのかどうか。これは現在日本にあるソ連の元代表部との関係とともにはっきりしておきたいと私は思います。
  19. 島津久大

    島津政府委員 在京韓国代表部は、昭和二十七年の四月二十八日付の日韓間の交換公文によりまして、わが国としましては相互主義の原則のもとに、その設置を認めたわけであります。その後わが方の在韓公館設置の意向を通報と相互主義の確認の要求に対しまして、先方は一昨年十一月二十五日の回答をもって拒否をして参ったのでございます。わが方は重ねてその年の十二月一日付の書簡で韓国側の再考を求める旨の申し入れを行なったのでございますけれども、まだそれに回答してきていないというのが現状であります。
  20. 並木芳雄

    並木委員 そうすると見通しとしては、近く日本から韓国派遣する状態にあるのですか、ないのですか。
  21. 島津久大

    島津政府委員 これは申すまでもなく日韓間のそのほかのいろいろの話し合いに関連をいたしているのでありますが、現状におきましてはいつというような確たる見通しあるところまでは参っておりません。
  22. 並木芳雄

    並木委員 最近台北における韓国駐在大使が語っているのでありますが、日本北鮮と何らかの交渉を始めている現状においては、とうてい今後円滑なる関係を維持できないから、日本における代表を引き揚げるというようなことを台北記者団に語っております。その北鮮との交渉ということについてはどういうことをさしているかわからないのでありますけれども、何かそれに該当する事案があるのですか。また韓国から北鮮日本との間の何らかの交渉について申し入れがありましたか。
  23. 島津久大

    島津政府委員 御質問のような手続としては私どもははっきりした情報を持っておりませんが、どういうことでございますか。韓国関係者がそのような言説をときどきなしているような情報はございますけれども、私どもとしましてははっきりしたことを聞いておりません。
  24. 並木芳雄

    並木委員 現在日本にあるソ連の元駐日代表部、これの地位について政府は現在どのように考えておられますか。きょう日ソ交渉が始まるのでありますが、この交渉段階において必ず何らかの機関を設けるようにという話が出てくるのではないかと思う。その場合に現在日本が事実上この存在を認めているのかおらないのか、その問題が重要になってくると思う。もし認めておらないとすれば、今後日ソ交渉の途中においてこれを認めろというような申し出が出てきた場合に、政府はどういう態度をもって臨むか、その点。
  25. 寺岡洪平

    寺岡政府委員 元ソ連代表部日本政府といたしまして認めておりません。これは御承知のようにソ連側サンフランシスコ平和条約を調印いたしませんでしたので、目下退去要求している状況になっております。ただ元ソ連代表部を実際上認めるかどうかという点につきましては、今後の会議進行いかんによって決定されると思いますが、少くとも現在の段階におきましてはソ連代表部は認めておりません。
  26. 松本七郎

    松本(七)委員 ちょっと関連して。領事の問題ですが、戦争状態にある国の間でも名誉領事を置くという例が今まであったようでありますが、名誉領事なら便宜的な処置として中国との間にも交換することが可能じゃありませんか、この点を伺いたい。
  27. 下田武三

    下田政府委員 戦争状態に現にある国家の間で名誉領事といえども交換するということは私は考えられないと思うのであります。そういう前例もまだ承知いたしておりません。
  28. 植原悦二郎

  29. 大橋忠一

    大橋(忠)委員 在外公館の問題でお伺いしたいと思います。カサブランカ領事館を置く、それからエチオピアにも公使館を置く、イスラエルも公使館グァテマラ、ニカラグァにも公使館、こういうふうに非常にたくさんの在外公館を置くということになっておりますが、これらの目的は、主として通商貿易関係を拡大するということのように思われます。しからばこの公使なり、領事なりに任命される者が通商貿易に関して相当知識もあり、経験のある者を選ばぬことには、これはただ外貨を使うだけで何の役にも立たぬと思うのでありますが、どういうような基準でこの公使なり領事なりを選定しておられるか、その点を一つお伺いしたいと思います。
  30. 島津久大

    島津政府委員 一般的に見まして戦後の在外公館仕事が経済問題に重点があるということは、これはもちろんでございます。しかし在外公館は必ずしも経済問題だけが主眼ではありません。また館長も経済問題の専門家で必ずしもなければならぬということはないと思います。その意味であらゆる角度から検討を加えましてお願いしておるわけであります。なおまた御指摘になりましたような公館にすべて本任の大公使を出しておるとも言えないのであります。たとえばニカラグア、グァテマラは兼轄でございます。またラオスも兼任であります。エチオピアのごときも代理公使をもってこれに当てる方針になっております。また館長自身がエキスパートではございませんでも、館員には極力その道の専門家を入れることにいたしまして、外務省他省から入ってきて外交官の立場で在外勤務をしておる者もすでに相当数に上っております。数から申しますと通産省から来ておる者が一番多くなっております。
  31. 大橋忠一

    大橋(忠)委員 しからばこれらの領事館なり公使館なりにおける仕事の内訳は、具体的にどういう仕事をやるのですか。たとえばカサブランカならカサブランカ、あるいはエチオピア公使館なら公使館で具体的にどういう仕事をやるのですか。
  32. 島津久大

    島津政府委員 これは具体的にとおっしゃいますが、カサブランカ方面日本の商権を伸張したいという希望がもとになって開設するわけでございます……。
  33. 大橋忠一

    大橋(忠)委員 それはどういうふうにしてやるのですか。おるだけでは僕も経験があるのです。
  34. 島津久大

    島津政府委員 具体的なことは資料につきまして御答弁いたします。しばらく御猶予を願いたいと思います。
  35. 大橋忠一

    大橋(忠)委員 それでは現実にどういう仕事をやっておるか。そうして現実にどういう効果を上げておるかということを一つ具体的にこの次までに調べてきていただきたいと思います。  それから今度仏印三国の大使館を開始する——いわゆる東南アジアというようなところでありますが、これまた一体どういう仕事をやるのか。また大使昇格させることもどういう利益があるか。私はかくのごとくラオスのごときところまで大使館を置くということはどうかと思う。ラオスは人口もわずか百万か二百万で、人の名も私は実は寡聞にして知らないくらいです。カンボジアヴェトナムとのつり合い上大使館昇格させるということですが、前にはサイゴンに総領事館なり、プノンペンに分館があったくらいなもので、いかに大使の値打が下ったといえども三つも大使館を置くことはあまりにひどいと思う。こういうふうにしていくと、つり合い上からいうと在外公館全部を大使館にしなくちゃならぬというようなことになってしまう。理屈をつければそれぞれみな一理はある。その上大使となるとやはり格式ばって参りますので、若い活動的の人間を任命したいと思っても資格の点でできぬということになるので、えてして外交官の古手の何にもならぬ者を無理に引っぱり出して任命するということになりまして、そうして向うへ行ってむしろ金をため込むというようなことに専念するような者もできるわけです。そうなるとかえって親善関係なるものが、逆に感じを悪くするようなおそれさえ私はあると思う。そこでやはり在外公館設置し、昇格せしめ、人事を扱う上においては、真に国家のためになるかどうかということをよほど慎重に考えてやらなければいかぬと思う。従ってこれはどういう具体的の利益があるか。どういう仕事現実にやるのか。たとえばカンボジアのごときところに大使館を置いておるのは米と英だけ、ヴェトナム大使館を置いておるのも米と英だけです。ところが日本は御承知の通り政治的には何らの発言権がないのです。従って私は米英同様に大使館を置く必要はないと思う。米英は、無論今ここは共産圏との猛烈な角逐場であります関係上政治的に非常に重要でありますが、日本は別に直接何らの関係がない。ただ関係のあるのは親善関係経済関係だけだろうと私は思う。従って米英大使館を置いておるがために、日本大使館を置くという必要は毛頭ないと思う。一体どういう具体的の仕事をやるのか。さらにまたヴェトナムのごときは政情がきわめてこんとんとしておりまして、将来どうなるやらわからぬ節も相当あるのであります。私は、米英に追随してこちらも大使館を置くという必要はないと思う。また置いた場合に一体どういうような仕事をやるのか、そうしてどういう効果があるのか、こういう点について私は御説明願いたいと思う。
  36. 園田直

    園田政府委員 ただいまの大橋委員質問お答えいたします。今お尋ねになりましたヴェトナムカンボジアセイロンあるいはその他の国々に例をとって申し上げますと、まず第二次大戦独立したヴェトナムカンボジア及びセイロンの三国は、御承知のごとくわが国に対して非常に友好的でございまして、親善関係の増進及び経済協力を求めておりまして、従来相互に交換している公使大使昇格したいということを先方から要望して参りました。これは政府アジア重点政策の観点からも賛成でございますので、本年二月、在外公館の種類の変更に関する政令をもって、従来の公使館大使館昇格せしめたのでございます。またイランは、御承知のごとく最近の外交方針としてアジア重点を置く傾向にあり、以前から大使交換を申し越してきておったところ、わが方といたしましても戦後世界政局における中近東諸国重要性は重視する必要がありまして、なかんずくイランは、わが国にとって石油問題など通商上においても非常な重要度を加えております。従って前記政令で既設の公使館大使館昇格せしめたわけでございます。なお先方在京公使館のうちイランカンボジアの両公使館は、すでに大使館になっております。セイロンヴェトナムの両公使館は、先方国内措置関係でいまだ大使館昇格しておりません。ただし見込みとしては、ヴェトナムは近日中に、セイロンは本年十月中に大使館昇格を実現する模様でございます。  なおこれは一例でございますが、今お聞きになりましたラオスの問題にとりましても、戦後独立した新興国家でございまして、昨年わが国アジア重点政策に基いて、アジア諸国との間には大使を交換するとの外交方針にのっとりまして、わが方のヴェトナムカンボジア公使館大使館昇格いたしました。ラオス在日大使館を開設したい旨、本年一月わが在タイ太田大使を通じて申し入れて参りましたので、わが方としても大使館昇格をもってこれに応ずることが、アジア諸国との善隣関係強化の点から見ても必要であり、なお当分の間は在タイ大使をしてラオス大使を兼任せしめる予定であります。元来ラオスは親日的でございまして、各種の資源を埋蔵しており、未開発資源に対してはわが方の経済援助技術提携を希望しておるわけであります。  今申し上げましたのは一例でございますが、わが政府は、重光外務大臣としてはアジア地域重視政策重点を置いてやっておりますために、特にアジア中近東諸国重点を置いて、先方申し入れ等もあり、あるいは経済的、あるいは戦後日本独立をして、真に独立国家として世界各国とのいろいろな条約締結、その他政治的の面において対等に立ち上るためにも、情報をとる意味におきましても、こういう面に重点を注いでおるわけであります。
  37. 大橋忠一

    大橋(忠)委員 大体在外公館の使節を交換すれば親善関係が保てるという観念が、ぼくの体験によりますれば、ナンセンスである。事によると変な人選をやって、かえってそれがために悪くなることさえある。この経済関係の点におきましては、実際に経済のことがわかり、話せばすぐ仕事に取りかかれるというような人が向うへ行ってやればいいけれども、ただ今までの形式的の大使公使なんかの外交官を送ったところが、何も効果がないのです。私は断言する。そこで一体どういう仕事をやろうとするのか、具体的の問題について研究して一つ答弁をしてもらわぬことには、われわれとしてはにわかに賛成することはできません。ただ重視するがゆえに大使を送る、公使を送る、それは外務省の外務官僚のなわ張りは非常に拡張して強くなるが、莫大な大切な外貨が使われるのであります。逆に向うから大使公使が来ましても、その接触面というものはインテリのきわめてわずかなものでありまして、大衆との接触はないのであります。日本は経済的に非常に困難で、アメリカの六億ドルの特需によってようやくつないでおり、これを何とか解消しなくてはならぬという立場の日本としては、外貨の効率的使用、節約ということは重大問題でございます。外務省のなわ張りが非常に広がることは、外務省としてはいいかもしれぬが、国家のためには非常に考えなくちゃならぬ。だから私はもっと具体的にどういう必要があるということをはっきり示していただかぬことには、にわかに賛成することはできないのでございます。従ってこの次までによく御検討の上に、ただ単にこの三国のみならず、その他すべての今度増設し、昇格するところの在外公館の使命、具体的にどういうことをやるか、また今までやってどういう効果現実にあったかということを具体的にお示しを願いたい。この次にお答え願いたいと思います。
  38. 園田直

    園田政府委員 ただいま大橋委員発言の通りでございまして、大使館公使館等を設置したからといって、必ずしも効果があるものではございません。それは一に機構の問題と人選の問題、それからそれに与える目的によって、目的を達することは承知しております。従いまして戦後御承知の通りに日本の外交の力というものは非常に落ちておりまして、端的に申し上げまして、今日の日本独立後ようやく三年、外交というよりもむしろ戦後の終戦連絡事務所という地位から、ほんとうの外交という地位に立ち上ろうとする重大な段階であると私は考えております。なおまた諸外国の在外公館設置位置等につきましても、政治経済の発展と国際経済の変化によりまして、おのおのかつての在外公館設置地点の重点が逐次変って参っておることも事実でございます。従いましてそういう意味から、われわれは今日の在外公館の数が決して多いとは考えておりません。  試みに例をとってみますると、在外公館大使館の数は、日本が十九、インドが三十二、イタリアが三十六、ドイツが二十八、フランスが五十七、アメリカが六十八、イギリスが五十、人員にいたしましても、日本は四百六十八名、インドは三百五名、イタリアは八百三十二人、ドイツは千百六十五人でございます。今日の在外公館の数が非常に多く、単に外務省のなわ張りを広げるためにやるとは断じて私は考えておりません。従いましてこういう意味におきまして、在外公館設置の場所その他の方針等については慎重に検討いたしまして、今日の非常に不足な財政状態ではございますが、今日の状態で満足すべきでは断じてございませんから、よく御意見を承わって、できるだけ今日の状態で無理をいたしましても、なるべくこういう外交拠点というものの形式をまずとって、その形式の内容を入れるという外交推進の足場であると思いますので、広げたいと考えております。  なおここに在外公館を持っていってそうして何かできるかという人選の問題は、機構とは別個の問題でございます。人選の問題は仰せの通りでございまして、戦後しぼんだ外交を推進する外務省が、在外公館がふえましたがために、非常に弱い人事をやったり、あるいは古手の官僚をふやしたりするということは、非常に慎しまなければならぬことであると考え、十分慎重に検討するつもりでおります。幸いに大橋委員外務省の大先輩でございますから、与党大橋委員の御意見等も十分承わりまして、国家のために万遺漏なきようにいたしたいと考えておりますので、御審議願いたいと考えております。
  39. 大橋忠一

    大橋(忠)委員 とにかくこの次までにどういう仕事を一体具体的にやるのか、今までこういうものを広げてどういう利益があったかということを具体的に御答弁を願わぬことには、われわれはにわかに賛成はできないのであります。それは他の国が非常にたくさん持っておるということを言われるのですが、他の国が持っておるがゆえに日本もそれにならって置く必要はない。他の国がたくさん持っておっても何もならぬ、あまり役に立たぬということになれば、日本は何もそれをまねずに、緊縮政策でもってほんとうに効率的に在外公館をどこに置くかということを、まじめに再検討すべきだと思う。  いま一つ、あまりに大使館を多く作ると——インドとか将来インドネシアとか、そういう重大なところに大使館を置くことには、私は毛頭異存はない、それは必要であります。ところがあまりに小さいラオスとかセイロンに置くということになると、大きい国に対する大使の重みがなくなってくる。その上にこういうふうにたくさん置きますと、格式ばって、人事の点であまり若いのを大使にするわけにいきはせぬ、大使となると、やはりひねて年を食った外交官で、金をためる一点張り、金でもためて日本に帰ってから家でも建てようとするようなくさった人間しか大使に置けやせぬ。それよりも公使程度にとどめて、実際に間に合う人間を送って、積極的に通商なり経済発展に努められた方が有利である。大使になると、人選上格式ばるために、ろくな者が行かない。かえって親善を害し、経済発展を阻害するような者がよけい行くと思っておる。それでこういうふうに大使館を乱造するのは考えものであるという点から、私はどうしても首肯することができません。一つこの次までに、具体的にどういう効果があるか、どういう仕事をやるのか、そして今までの事例で、具体的にどういう効果があったかをよく検討してみて、御答弁によって私は最後の判断をしようと思います。
  40. 園田直

    園田政府委員 ただいま仰せの通りさらに資料を集めまして、御納得のいくような御報告を申し上げて御審議願いたいと考えております。なお大使を乱造して、外務省が人事上非常に変則的な無気力なものになるのではないかというお考えでございますが、その点についてはこのように考えております。今度の在外公館設置につきまして、外務省の人員がふえ、一挙に縄ばりがふえるいうことはございません。今日は戦前と違いまして、三分の二が外務省の出身でございまして、他の三分の一は大蔵、通産、農林等各省の出身者でございまして、経済重点に外交を進めていくという関係上、そういう人事構成に大体なっております。なお大使をあまり作ると、格式ばってきて仕事ができなくなるという仰せでございますが、その点については私も特に考えておることでございまして、外務省内におきまして、大使をやった人間が、国家代表として職についた関係上、何か総理大臣か大臣と同格のように考えて、大使といえば何かえらいように思う考え方は誤まりであって、こういう誤まりを是正して、はつらつたる外交官をもって大使あるいは公使の職を務めさせ、新たなる戦後の外交を進めていくことが必要であると考えております。現在は御承知のごとく大公使の区別はなく、いずれも認証官でございまして、いずれの国におきましても、話し合いを進める場合に、相手の格式、肩書を重要視して諸外国が外交を進めていることは、御承知の通りでございます。米国におきましても、あるいはその他の国々におきましても、重要な国あるいは近隣国家等におきましては、小さい国であっても大使をやっておるところもあります。従ってそういう格式の大使をやるが、それに対するいろいろの手当等の問題は、また御意見を承わって、将来これは検討しなければならぬ問題であるとは考えております。
  41. 大橋忠一

    大橋(忠)委員 もうやめようと思いますが、最後に、格式ばって大使公使と違うというようなことをおっしゃいますが、実際はその代表する人物の背景である国家いかん、また人間いかんであって、それが大使であろうが公使であろうが、領事であろうが実際問題として大したことではない、そう思っておるのです。人いかんの問題です。人間そのものなんですから、その点一つよくお考え願いたいと存じます。御注意申し上げますが、格式みたいなものは、それは理屈であって、そんなことは問題にならぬ。
  42. 植原悦二郎

    植原委員長 大橋君、よろしゅうございますか——高碕審議庁長官が今すぐに参りますから、このままでお待ちになった方が次の質問に御便宜だと思いますから、さよう取り計らいますから御承知を願います。  それから岡田君の資料要求に対しましては、審議に差しつかえを生じますから、どうか外務省で間違えないように願います。また大橋君の今の御質問も、私はきわめて重要だと存じますから、これに対してもどうかはっきりとした御答弁を願えるように一つお願いいたします。     —————————————
  43. 植原悦二郎

    植原委員長 これより国際情勢等に関する件について、政府当局に質疑を行うことといたします。通告順によって質疑を許します。穗積七郎君。なお質問者が多数ありますから、なるべく制限時間内にお願いいたします。(「何分ですか」と呼ぶ者あり)十分です。
  44. 穗積七郎

    穗積委員 私は本日は前会からの約束によりまして、総理と外相と高碕長官に質問をすることになっておりましたが、総理並びに外相がお見えになりませんから、それに対する質問は留保いたしまして、高碕長官に対する質問だけきょうさせていただきたいと思います。  問題はもとより濃縮ウラニウム受け入れ問題でございますが、政府が昨日あたり特に他の委員会で御答弁になっておられるように、トルコ協定の例に見られますような第九条、すなわち発電に原子力を利用する場合には、アメリカの援助を受けることを双方が予想いたしました協定文には反対されるということを言っておられましたが、政府が今考えておられますひもつきであるということのおもなる点は、それにとどまりますか。
  45. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 お答え申し上げます。まだどういう条件が出るかわかりませんが、ひもというものにつきましては、たとえば将来日本において原料が発掘された場合に、あるいはアメリカの統制を受けなければならぬというふうなことがあれば、これは大へん大きなひもだと思いますから、それははっきり拒絶したいと思います。  それからトルコ協定の第九条につきましては、これは私ども見たところ別に大きなひもとは考えませんが、日本の自主的考え方から原子力を動力等に使う場合に、アメリカに協力を求めるということがきめられるなれば、これは別にひもとは考えません。けれども動力用に原子力を使う場合にアメリカと協議しなければならぬとか、あるいはほかの国からの協力が得られないとかいった場合には、これはひもと考えますから、どこまでも自主権を持っていける日本のため、それだけの考えでこれを利用するということを協議するなればこれは協定に入れてもいい、こう存じております。
  46. 穗積七郎

    穗積委員 政府のこの間の決定は、原子力調査会の決定もそうでありましたが、それを承認されまして条件を一つ問題にしておるわけです。それからもう一つは、受け入れ態勢といいますよりは、日本の原子力研究並びに産業開発に対する自主的な計画を打ち立てるということになっております。これは伺うとまだできていないようですが、一方において交渉もやられるわけですから、この問題に踏み出される以上は、早急に自主的な計画を立てなければならぬと思いますが、機構並びに計画を一体いつまでにお立てになるおつもりなのか、またその内容について、高碕私案なるものでももしおありになりましたら、その構想をお示しいただきたい。この二点についてお伺いします。
  47. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 この問題は原子力平和利用調査会におきまして今慎重に検討中でございます。私どもといたしましては、大体の構想とすればこれは政府だけの機関でなくて、民間がいつでも参加し得るようにそういう道の開いたものとしてできるだけ公開性を持っているもの、そういうふうなものに調査研究機関を持っていきたい、こういう所存でございますから、これを利用するにつきましてはそれができたらさらに考えるべきものだ。まず最初に、どういうふうに現在の日本の原子力を研究するところを作るかということは、今の濃縮ウラニウム等を持って参りますと、これをすぐどこへ入れるかということが先決問題でありますから、非常に急速にきめたいと思ってやっております。
  48. 穗積七郎

    穗積委員 その点はいつごろきめますか。
  49. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 いつごろきめるということにつきましては言明いたしかねますけれども、なるべく早くやりたい。
  50. 穗積七郎

    穗積委員 およその見当は……。
  51. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 およその見当は、これはアメリカとの交渉にもよりますけれども、なるべく二、三ヵ月くらいの間に何らかの形態を作りたい、こう存じておりますが、これは予算の関係もありますものですから、いろいろの点から考慮いたしましてなるべく早くやりたいと思います。
  52. 穗積七郎

    穗積委員 次にお尋ねいたします。大体政府の予定通りこの月の中旬ごろまでに交渉を妥結したいというお考えのようですが、そうなりますと、それを受け入れる時期等とにらみ合せて、国内の自主的な計画がきめられるものと理解しておりますが、さように理解してよろしゅうございましょうか。
  53. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 この月の中ごろ妥結するという御推定でございますが、これは私はそう急速に参らないと存じます。相当慎重にやっていきたいと存じております。従いましてかりに協定ができても、これを実際に受け入れるということになるとそう急速には来ないと思っておりますが、しかしあまりゆっくりかまえておってはいけませんから、受け入れ態勢だけは相なるべくは早く実行いたしたいと考えております。
  54. 穗積七郎

    穗積委員 交渉に当りましては——今のいろいろな外的条件の問題でありますが、先般から問題になりましたいかなる型のものを入れるかということでございますが、今政府はウォーター・ボイラー型を入れるというようなお考えでございますか、それが一点。もしそうであるとするならば、その型の選定は一体だれにお聞きになって、どういう理由によって三つの型のうちウォーター・ボイラー型をお選びになるのか、その理由と御判断を伺っておきたいのです。
  55. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 まだウォーター・ボイラー型をとるとは決定いたしておりません。これは中心を原子力平和利用研究会の方で決定をしていただきたい、こう存じております。それによって政府は考慮したい、こう思っております。
  56. 穗積七郎

    穗積委員 この間、調査会の会長である外務大臣も事が非常に技術的な問題になるし、われわれ技術に対して門外の者は技術者の意見を聞かなければならぬと言っておりますが、その場合の取捨選択につきましてはこれらの人の意見を聞く必要があろうと思うが、その場合には、調査会に関係しておる技術者だけにお聞きになるつもりでございますかどうでございますか。
  57. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 できるだけ衆知を集めたいと存じます。単に調査会の意見だけでは——これは重要なるファクターといたします。しかしながらもっとほかの意見もできるだけ聞きたいと思っております。
  58. 穗積七郎

    穗積委員 現に交渉はあしたから始まるわけですが、それに対しまして、その意見はアメリカに今行っておる交渉団の中にはそういう衆知を集めるような衆知はないと思う。従って国内においてその準備を始められなければならないが、この交渉に即応して、調査会を中心にして衆知を集めるような方法をお考えになるのか、大体の構想がおありになりましたら、この際伺っておきたいと思います。
  59. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 ただいま、現在の原子力平和利用研究会を中心にやっておりますが、その方面におきましても科学者、技術者以外の人たちも入れまして、そうしてできるだけ衆知の意見を聞くように、こういうふうなことを私どもは申しつけておるわけなのでございます。
  60. 穗積七郎

    穗積委員 トルコ協定を見ましても、協定はすでにできましたが、これの実施は非常に停滞いたしております。それは何かというと、われわれがあれを資料として見ましても実施の細目というものはほとんど書いてない。従っていろいろな秘密の保持の問題とか、あるいは調査方法、技術の指導、援助等々の内容、あるいはまたそれを保持いたしまして本国へ返す等のいろいろな実施に伴います条件が必要になってきておると思うのですが、それができていない。従って日本の場合にも、おそらくはこの双務協定以外に——本協定以外に実施協定といいますか、技術協定といいますか、あるいは貸与協定というか、名前は別でございますが、細目のある協定が必要になってくると思うのです。そうしますと実はそのことが国内におきまして、特に関係者にとっては重要な権利義務を生ずることになると思うのです。そのこと自身が大事だと思う。従って一昨日の当委員会におきましても、鳩山総理はこの協定は必ず国会にかけるべきである、かけるつもりであるという御答弁をなさいました。ところで問題は、これは国民に対して権利義務を生ずる点であるから国会にかけるというのですが、名称は別としまして、今の実施に伴いますいろいろなこまかい協定、これも当然国会にかけ、国民の前に示してわれわれの審議を経て取り扱うべきだと思いますが、長官はそれに対してどういうお考えを持っておられるか、伺っておきたいと思います。
  61. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 本協定を締結いたしますときに、将来私どもの考えております自主的な検討なり研究ということに、じゃまになるようなことがあるかないかということをよく検討いたしまして、それは本協定の中にどうしてもきめてもらう、そのほかに何しろ予算も伴うことでありますから、価格の点等も、あるいは貸与にするか、貸与はどういう条件だといったようなこともきめて、問題になるようなものは本協定のときにきめておきたい、こういう所存でございます。しかし実施に当りまして細目の協定になって参りますと、これはただいま申しましたような問題が起らないような範囲におきましてはこれは細目に移さなければならぬ。細目は一々国会の御承認を得るということは困難だと思いますが、本協定の中に問題となるべきような問題はよく取り上げて、入れてから本協定を作りたい、こういう所存であります。
  62. 穗積七郎

    穗積委員 すでに向うから内示されました協定の内容というものは、大体トルコ協定に基準を置いたものなのです。それでは今まで国内における研究の自由、日本の自主性等について、長官も賛成してそれを主張していると言っておられる点については何ら確約を得ておらないのですか。国民の安心はあれだけではとうていできません。従ってそういう問題については、あなたはお入れになりたいというお考えでけっこうでございますが、もしそれが入らない場合には入らない場合で、あとの貸与協定または技術協定等によって、それらの今おっしゃった重要な問題がその中へ盛られるようなことになりましたならば、名称は技術協定、貸与協定等いずれでありましても、内容は重要でございますから、従って名目にとらわれず、当然国際間の権利義務を負い、また国内におきましては国民に対する権利義務を規定する新たなる協定でございますから、当然国会に承認を求むべきものだとわれわれは信ずるのです。従って総理の御答弁も、あなたが先般の外務委員会お答えになりましたことも、何ゆえにこの協定を国会の承認を求めなければならないかという理由は、名称、名目にとらわれずして内容にあるのだ、内容重要性から当然だというお考えであったわけですから、従ってあなたのおっしゃるように、本協定の中にすべてが盛られるならばよろしゅうございますが、盛られないで、トルコ協定のようなものになりました場合には、当然この細目協定もその重要な部分につきましては国会の承認を求むべきが私は当然だと思う。これは理の当然だと思うのです。長官の良識あるお考えからいきましても当然だと思うのですが、そう理解してよろしゅうございますか、重ねてお伺いしたいと思います。
  63. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 ただいまの穂積さんのお説、私は全く同感でございます。ただ現在どの程度に交渉しておるかということにつきましては、外務省の当局から説明いたします。
  64. 河崎一郎

    ○河崎政府委員 高碕大臣の命令によりまして交渉現状を簡単に御説明申し上げます。  先般閣議で交渉を早急に開始するということがきまりまして以来、在米大使館ではその細目についての予備的の話し合いを始めておりますが、本交渉は一両日中に井口大使先方のパターソン大使——これは原子力関係の国連関係大使でありますが。パターソン大使との間に正式の交渉が開始されるわけでございます。
  65. 穗積七郎

    穗積委員 この問題は鳩山総理並びに良識ある高碕長官の御答弁からいきまして、理の当然として——私は今申しましたお話ではまだ内容はわかりませんが、万が一トルコ協定のように具体的な内容の問題が全部本協定から漏れました場合には、あとの貸与協定または技術協定がわれわれの審議にかけられるべきものと信じたいと思いますが、もう一ペんその点について長官の御所信を伺っておきたいと思います。
  66. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 協定の技術につきましては——本協定でどうするこうするとはっきりお答えすることは私はできません。しかしただいま申し上げました通りに、将来日本の原子力の研究なり日本の原子力に対する独自的の考えに障害を来たすというふうな問題がないようにいたしまして、協定を結びたいと思いますから、そういうことがあるならば、第一、協定を結ばないという考えでおるわけで、さように御承知を願いたいと思います。
  67. 園田直

    園田政府委員 今の問題について大事なことでありますので、外務省としてもお答え申し上げます。木協定を国会にかけることは当然のことであります。実施取りきめは本協定の委任に基いてそのワク内で政府当局が取りきめるものでありますから、国会に報告はしますが、国会の承認を求めることはいたしません。実施取りきめと国会にかける本協定とは——内容によって重要なものは本協定に入れることは、おっしゃる通り当然のことであります。
  68. 穗積七郎

    穗積委員 非常におかしいと思うのです。園田さん、あなたも議員であり、議員としての意思を尊重すべき立場にあると思う。単なる事務官僚の考え方で物を判断すべき立場ではないと思うのです。名前が条約であろうと、協定であろうと、あるいはまた実施協定であろうと、内容によって、重要なものは当然国会にかけて審議すべきものだと思うのです。その考えについては長官は御異存はございませんでしょう。国際関係に新たなる権利義務を設定するものであるから、国内においては国民に新たなる権利義務を要求するものであるから、名目形式にとらわれず、これはすべて当然国会にかけるべき性質のものと理解すべきだと思うのですが、その考えが誤まりであるならば正していただきたい。長官と次官のお二人からもう一ぺん御答弁を願いたいと思います。
  69. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 先ほど御答弁申し上げました通りに、新たなる権利義務がこれにつけ加えられて、それがしかも日本の原子力の研究にじゃまになるというふうなことで、多少疑問になるような事項が入りますれば、これはすべて本協定の中に入れてしまいたい、こう考えております。
  70. 園田直

    園田政府委員 今の穗積委員の御質問とわれわれの答弁との食い違いはないと考えております。本協定と実施取りきめとの場合に分けて、実施取りきめの中に重要な本協定に入れるべきものを入れて述べるようなことがあってはならぬとわれわれは思います。協定と実施取りきめとは、その性格の本質から、一方は国会の承認を求むべきものであり、その国会の承認を求めた基本方針に従って細部をきめるのが実施取りきめでありますから、権利義務を生ずるようなそういう重要な問題は、本協定の中に入れて、皆様方の承認を受けることが、政府としての当然の責任でございますから、われわれの答弁と穗積委員質問とに食い違いはないと考えております。
  71. 穗積七郎

    穗積委員 トルコ協定に見られるものは、実は非常にばく然といたしましたあいまいなものになっております。従って日本政府はあのようなものでなくて、もっと明確なものを幾条かに——条の数は多くなりましても、それをはっきりさせた本協定を結ぶ、そうでなければこれを結ばないというお考えであるとわれわれは理解いたしますが、そのように一つ努力していただきたいと思うのです。  それからあと時間を委員長から御催促でございますから、高碕長官にこの際一括して二、三の点について簡単に結論的にお答えをいただきたいと思うのです。  もし受け入れました場合には一体これをどこの管理にお置きになるつもりであるか。国営でおやりになるつもりなのか、あるいは大学の研究室にお移しになるつもりなのか、あるいはまた官民合同のようなものでいくのか、あるいは完全な民間団体の所管にお移しになるつもりであるのか、それについて長官のお考えを伺っておきたいのでございます。これが一点でございます。それから第二には、この前も私のお尋ねに対しまして、広く世界からこの日進月歩の技術と品物は受け入れたい、従ってアメリカ一国に拘束されるような協定は結ばないつもりであるとおっしゃいました。特に平和利用につきましてはアメリカ必ずしも世界の最高レベルではないのであって、英国その他においてもこの研究は行われておる。同時に今ロンドンにおきまして松本大使ソ連との交渉に移っておるわけですが、この場合にも漁業であるとか、あるいは経済並びに文化交流の問題も提案される方針政府は明らかにされておりますから、その文化交流の中においてソ連側のウラニウムの受け入れについてお話し合いをされるつもりはないかどうか。イギリスについても同様でございます。逆に引っ返していえば、イギリスまたはソ連からアメリカの条件よりより有利な条件において日本に貸与の申し出があった場合には、これをお受けになる用意があるかどうか、その点をお尋ねしたい。これが第二点でございます。  最後にもう一点、一緒にお尋ねしておきますのは、今まで政府の御用を勤めておって、この問題に対しても熱心にやっておる唯一の学者といわれた藤岡博士、原子力調査会の委員でもありますし、学術会議の小委員長でありますが、この方が先般の本委員会に参考人としてお見えになりまして、総括的に見て八月にジュネーヴにおきまして原子力問題に対しまする国際会議が行われる。そこでアメリカのみならず、ソ連、イギリスの発表もある。続いてここにおいて各種の展示会もある。ですからこれを見た上で日本方針を決定しても決しておそくはない。その方がより正しい受け入れ方であると思うという証言をなさいました。藤岡博士にしてかくのごときでございますから、他の権威ある日本の物理学者全部それ以上でございます。従って今度の交渉に当りまして、今指摘されておりますように九条等も問題になっておりますので、すべて総合的な判断の上で——アメリカに対して拒絶するというようなかたくななことは申しませんが、少くとも八月以後国際情勢や各国の態度あるいは研究を見た上で、政府はこの問題に対して取っ組む。今の長官の御所信によれば、日本の自主的な計画も秋までには大体御方針が御決定になるようですから、時期としてもそれからでおそくはない。スタート・ラインをそこにお引きになるつもりはないかどうか。これはわれわれとしても国のために切に希望するわけです。あまりおとらわれにならないで、特に良心的な長官は将来のことを考えて、そういう再検討をされるだけの余裕はお持ちにならないかどうか、この三点について一括してお答えをいただきたいと思います。
  72. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 お答え申し上げます。  第一の受け入れ態勢の問題でございますが、これはただいま原子力利用調査会において研究しておりますが、大体の私の方針といたしますれば、先ほど申し上げました通り、これはとにかく政府が相当金を出さなければペイしない仕事でございますから、民間にまかすわけにもいかない。といって民間がこれに相当発言権を持っているということにしなければ将来悔いを残しますから、やっぱり政府が金を出してやって民間にも幾らか出資させる、そういうふうな機関でやっていきたい。(「半官半民ですね」と呼ぶ者あり)そういうような考えでありますが、しかしこれはどういうふうな結論になりますか、既設の理化学研究所もあるとかあるいは電源開発会社の機構を変えてしまう、あれは政府の出資でもありますから、ああいうものについてまた法律を変えるとかいうふうなことも考えられるし、あの手この手を考えておりますが、これもなるべく早くきめたいと思っております。根本の原則は、金がかかるのだから、できるだけ政府はそのめんどうを見なければならぬ、しかし政府だけでやるべきものでなくて、民間も入り得るという体制を作っていきたい、こういう所存でございます。それから第二のイギリス及びソ連の問題でございますが、現在御承知のごとく濃縮ウランを作っております国はアメリカのほかにはイギリスとソ連だけだと思っております。この方面から有利な申し出があればいつでもこれは受け入れられるようにやっていきたい。従いまして、アメリカからかりに濃縮ウラニウムを買っても、将来これに縛られるということがないようにいたしておきたい、こういう所存でございます。  それから第三のジュネーヴ会議でございますが、これは御承知のように非常に大じかけの会議で、大体の目的が紀元二千年における世界の動力はどうなるであろうかということが主題となって各国とも非常な勢いで参加いたします。これは実際の参加者は一国において五人くらいしか選定してないようですが、随員は何人でも連れていってもいいので、ソ連のごときは何十人と連れていくそうです。これは技術的の研究としては非常におもしろい有力なものだと私も思って、その成り行きを興味というよりも非常に重要視しておるわけでございます。これを待って、そうして今の濃縮ウランを受け入れるかどうかという御質問でございますが、濃縮ウランを受け入れるということは、これは今申しました通りに、現在これを供給する国はアメリカのほかにソ連とイギリスだけなんです。いつでも得られるという体制ならば一日でも早く得た方が研究するのに楽だから、これを得た方がいいじゃないか、得られるためにくくられるということでは困る、こういう趣旨です。今のジュネーブ会議は、藤岡さんのお考えと、まだ会いませんので多少食い違いがあるかも存じませんけれども、しかしそういう会議ができてよくわかるのだから、それまで待ったらどうか、待って価値があればいいが、私はそんなにえらい価値はないような気がいたします。というのは、濃縮ウランを買うということは、私はごくわずかの研究用の石炭を買うような気がしておるのです。そこのところは私の認識が誤まっておるかもしれません。えらいひもがついたら困る、だからそういうふうな考えで進んでいきたい、こう存じておるわけです。
  73. 植原悦二郎

    植原委員長 委員長から高碕国務大臣に将来の誤解を避けるために一言お尋ねしておきます。  アメリカと今度の協定ができたとしまして、その場合にそれと同一あるいはそれ以上のウランの申し込みがあれば受け入れるというお話でございましたが、ソ連とはまだ国交が調整されておりません。それゆえに今のソ連に対することは、ソ連との国交がノーマライズされた後にもしそういうことがあればと了解しておきたいと思いますが、いかがですか。     〔「問題ないじゃないか」と呼び、その他発言する者あり〕
  74. 植原悦二郎

    植原委員長 問題であります。委員長としては明瞭にしておかなければ、いつでもそういうことが問題になって、ただ質問に時間を費すおそれがあるから、委員長としてこの意見を述べておくことはちっとも差しつかえがありません。     〔「委員長異議がある」と呼ぶ者あり〕
  75. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 ただいま委員長のおっしゃった通りに、国交関係が結ばれていなければやれったってできようがありませんから、委員長のおっしゃる通りであります。
  76. 植原悦二郎

    植原委員長 委員長はさようにものをはっきりいたしておきますれば——いつでも再三、再四質問があって困ります。そして穂積君はずいぶん、人の三倍以上の時間を使っておりますから、あなた御了承願いたい。高碕長官の時間もありますから次の質問を許します。並木芳雄君。
  77. 並木芳雄

    並木委員 今度の協定第二条を見ますと、貸与という言葉を使っておりますが……。
  78. 穗積七郎

    穗積委員 並木君、ちょっと待て。未条約だって船の注文をとっているじゃないか。石炭買うと同じなら、ソ連から船の注文をなぜとっておるのですか。通商代表部日本に置いて、それですでにもう注文をとっているじゃないの。貿易をやっておるじゃないの。
  79. 植原悦二郎

    植原委員長 貿易をやっておっても、今の濃縮ウランに対する政府の答弁はさようだと了解していいかと委員長質問しておくのに差しつかえはありません。     〔「委員会の意思ではありません」と呼ぶ者あり〕
  80. 植原悦二郎

    植原委員長 念のために委員長がそういうことを質問しておくのは委員長としてあることです。
  81. 穗積七郎

    穗積委員 ソ連と未条約状態であっても現に代表部を置いて船の注文をとっているじゃないの。その場合石炭を買うと同じだと言っている……。
  82. 植原悦二郎

    植原委員長 議論は別としてあなたの質問に対して外務政務次官が答弁があればそれは許します。今委員長がいろいろの問題のために意見を述べて質問しておくのは委員長がなし得ることであります。
  83. 穗積七郎

    穗積委員 それは私の質問とは違う。私の質問趣旨はそうではありませんから、はっきりしておいて下さい。
  84. 植原悦二郎

    植原委員長 ちょっと待ってください。園田政務次官御答弁がありますか。
  85. 園田直

    園田政府委員 ありません。     〔岡田委員委員としてやって下さいよ、それは委員会を代表することになるじゃないか」と呼び、その他発言する者多し〕
  86. 植原悦二郎

    植原委員長 岡田君、静粛に願います。穂積君の質疑に対して、もし外務政務次官が答えるということで、それをさえぎったらそれは済みません。それで政務次官が答えるならば許します。
  87. 穗積七郎

    穗積委員 その前に委員長議事進行ですが……。
  88. 植原悦二郎

    植原委員長 その前にと言うが、この問題は関連しているのです。
  89. 穗積七郎

    穗積委員 いや、関連じゃない。私が高碕長官にお尋ねしたのは、何も国交回復したならということを言ってお尋ねしたのではない。そういう趣旨をあなたが曲げて、委員会を代表して、委員長発言として、国交回復後の発言だというふうに歪曲されるということは、これはあなたの越権でございますから、長官に対してそのことをもう一ぺん説明しておく必要がある。
  90. 植原悦二郎

    植原委員長 委員長はいつでも随時すべての問題を明らかにするために質問することができます。     〔発言する者多し〕
  91. 植原悦二郎

    植原委員長 岡田君ちょっと静かにして——岡田君静かにしてください。高碕国務大臣に申し上げます。今の私の発言は、委員としての発言だと御了承を願っておきます。
  92. 穗積七郎

    穗積委員 それなら長官にちょっと申し上げておきたい。
  93. 植原悦二郎

    植原委員長 あなたの発言は……。
  94. 穗積七郎

    穗積委員 あなたが発言したからこの問題が起きたのです。私は発言を打ち切ろうとしたのに対して、あなたがそういった誤解を招くような発言をされたから問題が起きたのです。
  95. 植原悦二郎

    植原委員長 あなたは質問じゃないのですか。
  96. 穗積七郎

    穗積委員 質問じゃありません。だから発言さしてください。議事進行についての発言です。委員長並びに高碕長官に申し上げておきますが、今委員長からおっしゃいました要旨は、私の要旨とは全然趣旨を異にしておりますから、私の質問に対する御答弁として、そういう理解でお受け取りにならないようにお願いしたいのです。現にあなたがおっしゃったように、ウラニウムを買うことは石炭を買うようなものだとするならば、ソ連と未条約国の関係にありましても、現に通商代表部日本国内に置いて、そうして船その他の注文をして貿易をやっておるのです。従って未条約国の間においてはそういうものの取引はできないというような断定、独断いたしました間違った意見は、これは別問題であって、当然あなたの良識からいけば、特に貿易を伸ばしたいという産業人の代表であるあなたの意見からいえば、平和条約締結問題とは別個の問題として、当然この問題は取り扱うべきだと私は思うのです。そういう趣旨でございますから、あなたの答弁もさように理解いたします。
  97. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 私が濃縮ウランを買い入れることは石炭と同様と申しましたことは、これの利用の方から申したわけでありまして、取引をするということになりますれば、ウランの取引は政府間の協定が必要だということになれば、政府政府との間にまだ国交条約ができないときに政府間の協定ができなかったらやむを得ません。
  98. 穗積七郎

    穗積委員 そんなことはありません。条約の前に鳩山さんは中国との間において貿易協定ができるということをここで言明しておられます。この間できてきた貿易協定はそううたってある。講和条約前において政府間において貿易協定ができるものだということは、鳩山総理がちゃんとこの委員会において言明しておられます。ですからあなたの政治解釈は別だが、法律解釈として、委員長とあなたの解釈は全然間違っております。未条約国の間においても政府間において協定が当然できるべき性質のものであって、やっておるところが現にある。また鳩山さんは中国との周においては、場合によったら講和条約前に貿易協定を結んでもいいということをこの委員会で言明しておられます。そんなあなた間違った法律解釈で断定されては困る。ですから重ねてその点は確認しておきたいと思います。
  99. 下田武三

    下田政府委員 ソ連から濃縮ウランを貸与されるということになりました場合におきてましては、私どもといたしましては、政府間の協定なしに貸与するというようなことはとうてい想像できません。トルコとアメリカの間の協定でも、ごらんの通りに貸与を受けたウランをアメリカの承諾なしに他に譲渡してはいかぬという規定がございます。でございますから、少くともソ連といたしまして、ソ連から受けたウラニウムをアメリカに譲渡するというようなことはソ連が言うはずがないのでございます。でございますから、どうしても現実のウラニウムの希少価値にかんがみまして、そういうものを貸そうという場合には、どうしてもうしろに政府間の協定を必ず必要とするということになるのじゃないかと思うのであります。そうしますと、政府間の協定を結ぶということになりますと、現在の日ソ間ではまだその段階にございませんので、やはり高碕長官のおっしゃいますように、これは国交調整後のことに事実上は相なるかと思うのであります。
  100. 植原悦二郎

  101. 並木芳雄

    並木委員 トルコとの協定の第二条を見ますと、「ウラニウムを貸与する。」という文字が使ってあります。日本の場合には貸与は無償ですか有償ですか。もう今日の段階までには判明したはずでありますが……。
  102. 河崎一郎

    ○河崎政府委員 無償か有償か、今度の交渉で、はっきり先方の意向を確かめつつあるわけであります。
  103. 並木芳雄

    並木委員 まだわからないのですか。
  104. 河崎一郎

    ○河崎政府委員 まだわからないのです。
  105. 並木芳雄

    並木委員 トルコの場合はどうだったのですか。
  106. 河崎一郎

    ○河崎政府委員 トルコの場合も正式発表はありません。ですからわかりません。
  107. 並木芳雄

    並木委員 そんなことはすぐわかるはずなんですけれども、それがわからないのですか。     〔発言する者あり〕
  108. 植原悦二郎

    植原委員長 静粛に願います。
  109. 並木芳雄

    並木委員 私は民主党でありますけれども、この問題が起ったときに、ごく二、三の人しか知らないのです。われわれ知らないのに反対もできないし賛成もできない。だからそういう専門の人におまかせしなければ仕方がないという見地でこの前聞いたのであります。ところが藤岡博士のように、われわれの信頼した人が、あとからこの協定を見て、こういうひもがついてくるのじゃ大へんだというので、不明をわびておる場面が出てきた。それじゃ大へんだというので、われわれもこの問題をやはり検討し直す必要があるという点から聞いておるわけなのです。
  110. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 この問題は先ほどお答え申し上げましたごとく、幾らで借りるか、借りるなら幾ら払うか、これは本協定の中に入れるべきものだと存じまして、今せっかく検討中でございまして、向う交渉中であります。
  111. 並木芳雄

    並木委員 これはまだ党とかなんとかの問題まで来ていないのです。この問題は党の中でも知らない人が多いのだから聞いておるのです。そのトルコとの協定の第二条には、同じく数量について規定がございます。数量はどういうふうに交渉しておりますか。トルコとの場合には「いかなる場合にもU—二百三十五を最大限二十パーセントまで濃縮したウラニウムの中に含まれるU—二百三十五が六キログラムをこえないものとする。」こういうことになっておりますが、日本の場合でも同じですか。それからこれは将来六キログラムをこえる場合もあり得るというのが、その協定の中に織り込まれますか。
  112. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 数量等につきましても目下交渉中でありますから、これを余計持ってくるかどうか、向うの都合もあり、またこっちの都合もありますから、まだ数量はきめておりません。交渉中であります。
  113. 並木芳雄

    並木委員 十年という期間はずいぶん長い期間ですけれども、その十年の期間に六キログラムをいじくっているのですか。(笑声)その辺は私はしろうとだから聞くんだ、わからないんですよ。ですから十年間と数量との関係はどういうふうになっているのですか。
  114. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 協定の期間は、トルコとの間は十年という協定期間になっておりますが、これは私は少し長いと思いまして、五年ぐらいでやろうじゃないか、こういうふうに向うに言うてやっております。それで五年間六キログラムでがまんするのか、こういうことでございますが、それは協定の後にまた数量を増すなり、あるいは初めから都合によってはその数量を減ずるなり、それはできると思いますが、数量の問題は今申し上げました通りにまだ決定しておりません、交渉中でございます。
  115. 並木芳雄

    並木委員 数量は将来六キログラムをこえて受け入れるということはやはりあり得る、こういうふうに了解してよろしいわけですね。
  116. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 必要があれば、協定ができますれば数量を増し得るものと考えております。
  117. 並木芳雄

    並木委員 第六条のところに「ウラニウムを保管することを保証するために必要な保全措置」という言葉が使ってあります。この保全措置というのはどういうふうに日本政府では了解しておりますか。いかなる保全措置をやるのか。
  118. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 二つの意味があると存じます。一つは万一間違って被害を与えては困る、そういう保全と、それから盗難とかほかへ持っていかれるとか、そういうような意味と、二つあると思います。
  119. 並木芳雄

    並木委員 それから年次報告を提出すること、また随時日本において使用されている原子炉の運転状態を観察をすることを許してやらなければいかぬというので、これはアメリカから観察に来るのだろうと思います。それはどういう資格日本に観察に来るのですか。その身分の扱い、あるいは人数、その他、技術顧問というようなふうにして受け入れるのか、その点はいかがでありますか。
  120. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 その点はまだ判明いたしておりません。
  121. 並木芳雄

    並木委員 判明していないというのが多いようです。  次に一番の問題の第九条であります。先ほど長官は、あくまでも自主性を持ってやりたいということを述べられておりました。それならけっこうですけれども、この九条と同じような協定文を承認いたしますと、せっかく長官が自主性を持とうと思っても持つことができません。それは何となれば「動力発生用原子炉の設計、建設及び操作にまで及ぶより一層の協力を考慮させるものであるということを希望し、かつ、期待するものである。」という前段を受けて、「したがって、両当事国は、トルコにおいて原子力から動力を生産することに関して協力するためさらに協定する可能性について相互に随時協議する。」と書いてあります。ですから日本が今受け入れる一番の目的はこれを発電用に利用するという点にある以上、これが動力発生用の原子炉として設計される場合には、当然両国間でさらに協定をしていかなければならないわけです。これは別個の協定であり将来の協定であると私は思います。これが大問題なんです。ですからせっかく長官が自主性を持っていきたいとここで言明されても、そのときにこれで自主性が失われてくる。その点、はっきり答弁できますか。私はこれが一番急所だと思うのです。
  122. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 現在アメリカから受け入れんとする濃縮ウラニウムは、これは動力用に使わないのであります。そのほかの試験用に使うのであります。
  123. 並木芳雄

    並木委員 今度受け入れ濃縮ウラニウムは動力用に使わなくとも、受け入れる目的は将来日本において発電その他の動力にこれを利用しようというのです。利用する場合に、それじゃ日本は全然アメリカと手を切って独自の立場でやるのですか。依然アメリカとの関係を継続してやっていくのだったらば、この協定によってさらに協定をしていかなければできないわけなんだ。
  124. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 それは先ほど穂積さんの御質問お答え申しました通りに、濃縮ウランを受け入れるについて、これは今動力用に使わないのでありますから、動力用の問題について今この濃縮ウランを受けるためにアメリカからぜひ協力せなければならぬというようなオブリゲーションがあっちゃ困ります。それは除きます。従いまして将来動力用にウラニウムを使うときに、日本側として必要であるというならば、アメリカ側の協力を得ることが必要であるというのなら、これは別途に協定いたしたいと思います。
  125. 並木芳雄

    並木委員 そこのところがまだどうも理解しにくいのですが、どっちです。それでは将来になってアメリカの協力を得るということになれば、やはり長官それは当然これに抵触してきます。それともここは今度の交渉で削除しますか。とりあえずこの後段の将来さらに協定するというところを削除してしまいますか。しまうならば私どもは了解します。しまわないでこの原文と同じものを今度織り込むのだったら、これはいつまでたっても並行線で、アメリカと濃縮ウランの協力を保つ以上は明らかにひもがついてくる。だからこそ藤岡さんも前言を取り消して、不明をわびているわけです。これに対する長官のはっきりした答弁を願いたいと思います。
  126. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 先ほど申し上げました通りに、原子力を動力用に使うということについて、ほかの方の国からの協力を得られないというふうな条件がつくようならば、これは当然削除すべきものと存じます。
  127. 並木芳雄

    並木委員 長官ちょっと半分新しい答弁が出てきましたけれども、もしほかの国から動力用になるところのウラニウムが輸入できてるならば差しつかえないということの前提に立っての答弁のようですが、そうすると、長官はもしアメリカがどうしてもひもをつけるというならば、アメリカとの関係は断って、今度はほかの国からひもつきでないウラニウムを輸入する、そこまでお考えになっているのですか、今の答弁ではそういうふうに考えられますが……。
  128. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 先ほどから何べんも申しました通りに、いろいろなひもがつく、いろいろな条件がつく、日本の研究なり、アメリカ以外の対外的の折衝なり、対外的の協力に非常な差しつかえがあるというならば、これは拒絶したいと思っております。
  129. 並木芳雄

    並木委員 それならばちょっと別個の問題のようにもとれるのです。つまり外国からの受け入れ、あるいはまた外国との関係ということになりますが、私が聞いているのは、アメリカとの関係において動力そのものを日本で発展せしむることが今度の輸入の主眼ではないですか。ですからこそわれわれも賛成の立場をとってきたわけですけれども、動力に発展する場合にはこの九条がひっかかってきますから、九条をそのまま引用すれば当然ここでひもがついてくる、これを心配しているのです。それで長官もさっきいろいろの角度から見てひもがつくならばこれを削除したいというように答弁されましたけれども、削除する理由の最大なものは、私が唱えている理由と長官が考えている理由と違うわけです。私のは当然交渉の初っぱなから削除してもらわなければ困るのだ、アメリカの濃縮ウランを基礎にして日本ではこれを発電にまで発展せしむる、そこに初めて利用価値があるのだ、これがあってはひもがつくから困るのだという交渉をおやりになって下さい、初めから削除を向うへ申し出て下さい、こういう要望を今しているわけです。ですからその通りやっていただけませんか。
  130. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 これは何もアメリカが独占的に濃縮ウランを供給するというのではありませんから、従いまして、私は供給してやるのだから一つのオファーである、こう考えておりまして、今話を進めているようなわけでありますが、それにいろいろな条件がつくというようなことなら、オファーをお断わりすればいいわけであります。今持って参ります濃縮ウランというものは発電用に使うということでなく、ほかの研究用に使いたい、こういうわけでございます。それを持ってくるときに発電用の問題だとか、そういうことについて将来アメリカからいろいろとひもをつけられるならば、それはお断わりしたい、こういうことだと思います。これは私ははっきりしていると思います。
  131. 並木芳雄

    並木委員 最後に私お尋ねいたしますが、長官の基本的な考え方をお尋ねしたいのです。実は濃縮ウランの問題が出ましたときに、非常な秘密が伴うだろうということを私どもは考えておったわけであります。というのは、アメリカの一九五四年の原子力法を見ますと、百二十三条ですか、しきりに国防省が云々とか防衛上の問題とかそういう険しい表現が使ってありまして、明らかにこの原子力法を作るときの立法者の頭の中には、例の原子爆弾とか水素爆弾とか、そういう兵器を前提としての原子力の取扱いということがあったに違いないと思う。ところが長足の進歩で今日は半年あるいは一年足らずにしてすでにこの原子力は神秘的な兵器用の段階から脱皮して、平和のために使われる商品的な姿になってきたのではないかと思うのです。長官も先ほど石炭のようなものだと言ったけれども、私もほんとうにそう考えるのです。確かに私は幾年かたって振り返ってみるときに、ちょうどかつてラジオができたときにわれわれは目をみはった、それがまた十年足らずして今度はテレビができ、これに耳目を驚かした。同じように今度濃縮ウランが出現して今こそわれわれはこれに飛びついているような形ですけれども、やがては過去の物語りになってくる、非常なスピード時代に入っていくのではないかと思う。なぜ私がこのことを長官にお尋ねするのかというと、ですからこそ今度の問題もあまり飛びつかずに、得たりや応、これで日本の産業革命ができるのだというような一つの理想に走ってしまわないで、むしろじっくりと売手と買手の立場のどっちにあるだろうかということを、長官も経済界の御出身ですから頭にあるだろうと思いますが、それを頭に置いていただきたい。むしろ今は売手のマーケットではなくて、買手のマーケットに転換してきているのではないか、ですから政府は盛んにアメリカ側をバック・アップしておりますけれども、それはむしろもったいをつけるべきである。もはや秘密はない、私は秘密のないような原子力は値打がない、飛躍しているかもしれませんけれども、そういうふうに考えているが、むしろこれから発展してもっと強力な兵器ができるかもしれない、そういう秘密のある原子力こそとうとびたいと思うくらいです。秘密もなくなった、長官の言葉をかりて言えば、やがては石炭のようになるであろうというこの商品に対して、それほどうつつを抜かす価値はないのではないか、だからここで半年や一年おくれてもじっくりと——なまけろという意味ではありません。慎重にこの問題を討議して結論を出されたい。われわれが前にそれがよかろうという賛意を表したのは、政府の第三回原子力利用準備調査会の議決の中に、十分の条件を仮想して政府としてその条件が合うならば受け入れよう、こういう申し合せをしておりましたから、それならよかろうという意味で賛意を表したのでありますが、その後のいろいろの検討の結果は必ずしもわれわれの考えていることと同じではない。今検討されましたようにひもがつくということが一つ、それからすでに商品価値としても時とともに下落していく傾向にある。従ってこれは買手のアーケットになる。むしろ方々の国でオプションをさして、日本は一番いいところを採用するというオプションを持っている、それくらいの立場でいった方が交渉も有利にいくのではないかと思います。従って私は社会党の方から出ております八月二十日まで待てという、そういう形式論にとらわれるのではありませんが、あるいはアメリカの議会がやがて終ってしまうからそれに急いで間に合せなければならぬというので、疑問を残しつつこの協定を締結することは危ないと思う。そういう点について長官の根本的な考え、今後の取扱いについて質問しておきたいと思います。
  132. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 濃縮ウランを受けますのにはやはり一つのひもがついております。これはどういうひもかというと、軍用に使わないというひもがついております。これは当然だと思います。私どもは軍用に使うという意味で持ってきておりませんから、それでそのほかに機密ということがありますが、私は現在の状態においては機密というものはないようにせなければならぬ、こういう考えでございまして、それではなぜ濃縮ウランを買うかと申しますと、それを日本で作ろうといったら莫大な金がかかる。これはとてもできない。できているものを買えば比較的安く買えてそれが試験用に使える、こういうことでとることになっております。根本的にはそうなっておりますが、ただいま御質問のように、できてるだけ慎重にやらねばならぬ。将来において、濃縮ウランなり、あるいはそのほか原子力の原料というものは何でもくれるということになると、バイヤーズ・マーケット、買手のマーケットになるので、こういうことも十分考慮して慎重にやっていく考えでございますから、さよう御了承願います。
  133. 植原悦二郎

    植原委員長 福田篤泰君。
  134. 福田篤泰

    ○福田(篤)委員 今の大事な外交問題としては、ソ連に対しては日ソ交渉アメリカに対しては論ぜられている濃縮ウランの問題があるわけですが、いろいろ委員会を通じて各委員の方々と政府との話し合いを聞きまして今さらながら驚いていることは、基盤としておる与党と政府側の考え、あるいは意向が徹底をしていない、きわめてずさんで不用意である。そこで私は具体的に問題を取り上げて具体的な御返事をいただきたいのでありますが、まず第一に予備交渉は一体いつごろから始めて、予備交渉でどういうことを決定しておるか、内容を具体的にお聞かせ願いたい。
  135. 河崎一郎

    ○河崎政府委員 お答えいたします。予備交渉は、閣議で早急に本件の交渉を開始することにきまって、これは五月二十八日以後におきまして行なっておるのでございます。予備交渉におきましては、主としてスタンダード・アグリーメント、先方の同意しておりますどの国とも大体こういうひな形でつくるのだという協定文があるのであります。トルコの協定がそうでありますが、それについてのいろいろの疑義、細目の点について、先方の意向なり説明を聴取いたしております。
  136. 福田篤泰

    ○福田(篤)委員 先方からひな形についての説明を聞いたというのでありますが、こちらから何か聞いたことはありませんか。
  137. 河崎一郎

    ○河崎政府委員 こちらからまだ具体的に聞いておりません。
  138. 福田篤泰

    ○福田(篤)委員 先ほど長官の御答弁によりますと、この話は慎重にやるから、あるいは間に合わないかもしれないという御答弁でありましたが、そうなると、アメリカの国会の期間の都合上、おそらく本年度は間に合わないと思いますが、政府はそういうことを考えておりますか。
  139. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 アメリカの国会は大体七月の中ごろまでいくだろうと思いますが、私はあまり急いでやりそこなっては困る、できるだけ慎重にやるという方針をとっておりますから、あるいはそれに間に合わぬかもしれませんけれども、間に合わすために、また無理に急いで間違ったことをやっても困る。といって、これはなまけてだらだらやっておっても困るということから、これはできるだけ早くやらなければならぬといって鞭撻をして勉強はいたしておるわけであります。
  140. 福田篤泰

    ○福田(篤)委員 今の御答弁を聞きますと、政府には、これからの日本の産業の発達にとって、原子力のエネルギーがいかに必要であるか、また今の客観的な日本の経済状態から、どうしても早く話がついてアメリカからとらなければならぬという積極的な意欲が少しもうかがわれないのであります。なぜならば、われわれもひもつきはもとより反対であって、これについては各委員は各党の立場から慎重に検討いたしますが、今の政府の御答弁によりますと、アメリカに対しては神経質過ぎるし、ソ連に対してはむしろ無神経過ぎる。そこでこの問題についてはもう一度伺いますが、あなたはこの交渉は本年度に間に合わなくてもかまわないという考えを持っておられるか、お伺いいたしたいと思います。
  141. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 お答え申し上げます。決して等閑に付しておるわけではありません。こういうものを早く利用するということは日本のために必要であると存じまして、これは極力一生懸命やりたいと思います。しかしながら、それがために将来を誤まるということになると困りますから、それの研究だけは十分慎重にやって、そしてこれを早く進めるように、それだけの努力、熱意を持ってやっております。
  142. 福田篤泰

    ○福田(篤)委員 まことにどうもいわゆる鳩山内閣の性格そのままを現わしておると思います。きのうの河崎さんの記者会見の発表談については、いわゆるひな形のアメリカとトルコとの協定について言及されて、トルコと日本とは当然おのずから条件が違うからと言われまして、九条とか有効期間について触れられましたが、トルコと日本とはウランの協定についてどういうことが違うのか、具体的に政府の見解を伺います。
  143. 河崎一郎

    ○河崎政府委員 日本のウラニウム研究も非常に立ちおくれておりますが、トルコは、われわれの得ております情報によりますと、日本よりはるかにおくれておるようでございます。ところが日本ではおくれておるというものの、原子力の平和的利用の問題では相当に進歩しておる面もあるのでございますから、その点では日本とトルコとは非常に異なっておると思います。
  144. 福田篤泰

    ○福田(篤)委員 トルコよりも日本がはるかによいということは子供でも知っておりますが、これから大事な本交渉が始まるのでありますから、トルコと日本とはどういう点が違うから、この交渉に当ってもおのずから日本の条件についてはこういう点が違うだろうということを、はっきり具体的にお答え願いたいと思います。
  145. 河崎一郎

    ○河崎政府委員 トルコとの協定は、先ほども説明いたしましたように、スタンダード・アグリーメントで、先方はこれをひな形にしておるわけであります。それを十分検討いたしまして交渉をやる予定であります。
  146. 福田篤泰

    ○福田(篤)委員 どうも相変らず抽象的で、きわめて不満足の回答でありますが、けさ新聞紙上であなたの談話の出ておるところでは、九条の点と有効期間を五カ年とするというこの二点をはっきりとあげられております。これは政府のあなた方の方針であるのかどうか、もう一度確認しておきたいと思います。
  147. 河崎一郎

    ○河崎政府委員 新聞の報道が必ずしも私の言った通りかどうか、まだ調べておりませんが、ただ先ほど高碕長官も申されましたように、今度の協定は、さしあたっては小型実験炉用のものを入れるための協定でありますから、それを中心としてこの九条の問題なんかを慎重に検討しておるわけであります。
  148. 福田篤泰

    ○福田(篤)委員 先ほどの委員長の御質問に対して、ソ連から将来安ければ買ってもよいという長官の御答弁がありましたが、これは大事な問題ですからもう一度伺います。現内閣の方針は、国交調整をしなくとも経済的には貿易協定をなし得るという見解を発表されたが、高碕長官はこの点はどうですか。国交調整をしなければソ連とは絶対に話をしないという考えであるかどうか。さらにもう一つは、一キロ当り国際価格でどのくらいの見当で判断されておるのか。
  149. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 私の存じております商品的価値から申しますと、私は濃縮ウラニウムも石炭も同じだと思っております。しかしながら、この濃縮ウラニウムの取引については、政府政府との間の協定が必要だというなら、現在中共とわれわれがやっております民間協定とはいささか話が違うように存じます。そういう意味におきまして、これははっきりわかりませんが、やはり国交調整ができなければ政府政府との協定はむずかしかろうと思います。従ってそれができなければこれの受け入ればむずかしいであろうと思います。
  150. 福田篤泰

    ○福田(篤)委員 最近伝えられるところによると、政府は今度MSAに関連する秘密保護の拡張の改正案を考えているようだが、いわゆる原子力法との関係から見て、今度政府提案される秘密保護法の改正は直接関係がないと私どもは考えております。将来の含みとして、政府は原子力の漏洩についての何らかの含みがございますか。
  151. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 現在の段階におきまして、原子力に関する限りは秘密ということは置かないつもりであります。
  152. 植原悦二郎

    植原委員長 岡田春夫君。
  153. 岡田春夫

    岡田委員 まず第一点としてお伺いしたいのは、昨日も記者団会見を行なって、あなたは、濃縮ウランの受け入れは自分としては研究用の石炭を買う程度の問題だと考えている。先ほどからも再三濃縮ウランを買うのだ、こういうお話ですが、あなた買うのですか、借りるのですか。この点がはっきりしなければいけないと思う。外務省で今日交渉をされているのは、買うという交渉はやっていないはずなんです。借りるという交渉をやっているはずなんです。あなたはさっきから買う買うと言っておられるが、買うための交渉をやっておるつもりでも、外務省では借りる交渉をやっておるのです。あなたはどちらの方をお考えになっていられますか、まずこの点から伺いたい。
  154. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 先ほども申しました通りに、私は濃縮ウランというものは利用価値、商品価値から言えば石炭と同じものだ、こう言っておりますが、これを買うにしても借りるにしても、石炭だって借りることもあります。そういうわけでありますから、これを買う、借りるということの問題につきましては、有利だったら借りた方がいいと思います。     〔穗積委員「これはあとのために売らないんだ」と呼ぶ〕
  155. 岡田春夫

    岡田委員 これは今穂積君の言われた通りに売らないのですよ。あなたは原子力法を御存じないのですよ。アメリカの天然ウラニウムは売るのです。そのかわり天然ウラニウムを売る場合には双務協定を必要としないのですよ。これは借りる場合にこそ初めて双務協定が必要になってくるのです。そこでこの前もあなたは予算委員会で再三答弁をされておりますが、濃縮ウラニウム内容、価格については秘密であるという意味のことも言っておられるが、濃縮ウラニウムそれ自体がこれは秘密なんですよ。秘密であるからこそこれは売らないのです。すでにこの濃縮ウラニウムそれ自体に秘密があるから、この協定を結ぶ限りにおいて必ず秘密というものはつきものになるのです。但しこれを買うとあなたがおっしゃるならば、これは秘密はなくなるでしょう。借りるというのならば当然これは秘密のひもがついてくるのです。こういう点をまずはっきりしておいていただかなければ、たとえば第九条の条件を受けて拘束をされるのだというような点だけに、あなたはお話を集中されるとするならば大きな誤まりを犯すと思います。今後日本の将来のためにあなた自身はこの点はそれこそ慎重にお考えにならなければならないと思う。こういう点をまずあなたの御意見として聞きたい。秘密になっている濃縮ウラニウム受け入れる協定である。その限りにおいてその点のひもがつくのである。軍事的な目的のために使わないというひもだけではない、ほかにたくさんひもがあるのです。たとえばアメリカトルコ協定をごらんなさい。六条のA、B、Cをごらんなさい。この中には濃縮ウラニウム日本の国が使った場合において、その使った残りと、そして使ったことによって出てくる灰というものは日本人がさわっちゃいけないということが書いてある。これは秘密じゃありませんか。これは秘密じゃないですか。そしてこれについては、あるいはその他の原子炉の内容、構造についてもこれはいらっちゃいけないということが書いてある。これは秘密じゃないですか。秘密じゃありませんか。ひもじゃありませんか。これをひもでないとなぜおっしゃるのです。どういう根拠があって、ひもでないとおっしゃるのか、その点をまずお聞かせを願いたい。
  156. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 ただいま御指摘の秘密ということは、これは技術上の問題でありまして、商品的の、商売的の秘密であると存じます。従いまして私どもはこれを借りますという上においては、これはその条件として受け入れなければならぬと存じておりますが、これがあるために日本の研究を阻止されるということには相ならぬと存じます。
  157. 岡田春夫

    岡田委員 すでに学界の権威ある諸君が、灰をいじってはいけないということになると、これを使ってみても、その面に対する研究というものは大きな期待ができないということを、この間ここへ参考人として出てきておるときにすでに言っておる。私も自然科学のことはあまり詳しくはわからないが、あなたもあまり御存じないのではないかと思う。どっちかとすると私の方が知っておるのではないかと思うのだが、そんな点はまあいいでしょう。しかしそれよりもこれは単なる商品上の秘密ではありませんよ。灰を処分してはいけない、灰にさわってはいけないというのは、商品の扱いの秘密ではありません。これは明らかにひもです。秘密です。こういう点は明確じゃありませんか。  しかしこの点ばかりにあまりこだわっているといけませんから、私は問題を発展させますけれども、なぜ今度ひもがつかないようにすると言っておるかというと、これはアメリカ原子力法の百二十三条と百四十四条と、双務協定を結ぶ限りにおいて、この二つの適用を受けるのです。そのほかの条章もありますけれども、重要な点はこの二つなんです。そして特に秘密と言われるようなひもというものはつけないとアメリカが言っておるのは、百四十四条の適用をできるだけしないようにするという意味のことだと思うのです。それでは百二十三条に秘密事項がないかというと、百二十三条には秘密事項があるのです。これはあなたはお帰りになってからよく調べてごらんなさい。百二十三条のaの二項です。二項にはこういうように書いてある。協力のために協定中に規定されたる機密保全、その基準とが維持される旨の協定相手国の保証が必要であると書いてあるじゃありませんか。これは明らかに機密ですよ。この機密に基いて今双務協定が結ばれようとしておる。あなたはこれに対してきっとこういうふうに答弁されるでしょう。答弁は先から私は知っています。どういうように答弁するかというと、百二十三条に基いて双務協定を結ぶのだが、この第二項にかからないようにいたしますと答弁するでしょう。しかしこれはうそなんです。なぜうそか。この中に書いてある。百二十三条に基く双務協定を結ぶ限りにおいて、一、二、三、四の四条件を入れなければならないという、絶対条件としての四条件になっている。これを認めないという限りにおいて、あなたは双務協定を結ぶことはできないのですよ。ここ自身にすでに秘密があるということを暴露しておるのですよ。あなたはひもはつかないと言っておられるが、このひもをつけないでどういう形で双務協定をお結びになれるか。そういう御自信がおありになるならば、アメリカ原子力法に基かないで双務協定が結ばれるなら、結んでごらんなさい。
  158. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 その条件があるために、日本の自主的研究を阻止するというふうなひもをつけておるとは存じません。自主的研究を阻止するようなことはありません。
  159. 岡田春夫

    岡田委員 それではもう一つ伺いますが、先ほどから大分質問になっておりまして、国際協力局長も再三言っておられますが、大体アメリカとトルコとの協定を基準にして、その条件を中心にして交渉するというようなことであります。しかしこの場合あなたの先ほどの御答弁を通じても、期限は五年間にする、この点はトルコとは違う、もう一つは第九条を入れないという、この二つだけは違うが、それ以外はトルコ協定の条件に従っていくと考えて間違いございませんか、どうですか。
  160. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 予算の関係等いろいろありますから、それの価格、借りるとすれば借りる場合にどれくらいの費用がかかるといったふうなことを明らかにしておきたいと存じます。
  161. 岡田春夫

    岡田委員 私一人であまり時間を食ってはいけませんから、もう一つ重大な問題を言いましょう。この双務協定は秘密外交なんですよ。あなたが反対されても秘密外交をやっておるのです、日本政府受け入れの腹をきめる場合に当って、直接的にきめた条件がある。あなたは御存じなかったら、こっちの新聞の方から言ってもらいますが、四月二十九日にアメリカの国務省の日本係長フィンという人が、秘密の四条件を日本に渡しているのです。これは井口大使を通じて日本外務省にちゃんとこの四条件が来ていますよ。この四条件を基準にして、これを見たものだから日本外務省はこれを受け入れるべきだという方向をどんどんと出したのです。この四条件を来ていないとは私は言わせない。なぜならば外務省はこの四条件については何ら言っておらない。しかし民間団体、学会、通産省その他関係省には、四条件全部を出しているじゃありませんか。そしてこう言っているじゃありませんか。これは新聞に発表してはいけないと言っているじゃないか。とすれば、秘密じゃありませんか。これを新聞に発表しちゃいけないという四条件が、すでにアメリカからきているんですよ。あなたがもし御存じでなかったら、私読んで聞かせますよ。そんな、私から聞かなければわからないようじゃ、大臣としてあまりにも権威がなさ過ぎる。ですから、外務省から発表させたらいいじゃありませんか。あなたも御存じのはずですよ。原子力利用準備調査会の総会で配付されているはずですよ。その秘密文書四条件を一つこの機会に発表なさい。
  162. 河崎一郎

    ○河崎政府委員 ただいまのお話は、アメリカ国務省の係官の説明でございます。これは先方が非公式に、自分の名前を出してもらっては困るという前提があったものでございますから、国際信義の上からわれわれはそれを守ったわけでございます。
  163. 岡田春夫

    岡田委員 これは重大な問題です。国会の審議上私は重大な問題だと思う。民間団体とか通産省、あるいはその他学会に対してすでに配付されている。その配付されているものを、今発表できないと言っている。委員長として、この国会の審議の権能の問題としても、このようなことが発表できないということで果していいのかどうか。あなたは隠し切っておられますけれども、一部の新聞ではすでにはっきりとその意味のことが発表されておりますよ。外電という形で発表されているんですよ。それをあなたはなぜ言わないんですか。必要があるなら秘密会を要求なさい。国会でこういうことは発表できないというのなら、われわれは審議ができない。秘密の四条件を発表なさい。
  164. 河崎一郎

    ○河崎政府委員 これは発表するとかしないとかいうことは申していないのでございます。ただフィンの申したことは、フィンが自分の名前を出してもらったら困るということを前置きして言ったことでありますから、一般には公表しないわけであります。
  165. 岡田春夫

    岡田委員 国会においてそれを発表しないというのは、あなたはどういう権限に基いてやられるのですか。私たちが要求し、また必要があったら秘密会を開きなさいと言っているじゃありませんか。そういうように隠されるから、ますます秘密のひもがついているということを国民の前に暴露することになるんですよ。秘密のひもがついているんですよ。ここにおられる諸君は全部、秘密のひもだということがはっきりわかりつつあるんですよ。
  166. 河崎一郎

    ○河崎政府委員 ただいまお話の先方資料は、これは一応の説明でございまして、先方申し入れでも公文でも何でもないのであります。そういうものはわれわれの外国との交渉で数限りなくあるわけであります。従いまして、そういうのを発表することは今までもやっておりませんし、今後も技術上やれないと思います。
  167. 岡田春夫

    岡田委員 私が申しましょうか。私が発表してもあなたの権威にかかわりありませんか。それじゃ発表しましょうか。発表するならしてもいいんですよ。私は知っているんだから。ただ私一人だけが知っているのじゃ国会の審議上いけないから、国際協力局長として、担当官としてあなたがそういうことは発表なさらないというのなら、発表しますよ。高碕さん、どうです。発表すべきものでしょう。あなたはひもがないないと言っているのに、あなたの隣の局長は秘密でありますということを言っているんですよ。あなたは慎重に慎重に、ひもがないようにと言っているのに……。あなたはこれを発表すべきでないとお考えになりますか、発表すべきであると考えますか。
  168. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 私はどういうふうなことを言ってきたのか、ちっとも知りません。外務省がやっていることでありますから、外務省が従前の慣例に従ってやることは当然だと思うのであります。
  169. 河崎一郎

    ○河崎政府委員 ただいまお話の先方からの連絡は、内容の秘密かどうかということよりも、むしろ外交交渉において先方は名前を出してもらっては因るがという条件がございます。それでわれわれとしましては、先方の約束を、信義を重んじまして発表しないわけです。
  170. 岡田春夫

    岡田委員 それじゃ私言いましょう。この交渉に当ってあまり重大な秘密事項はないという意味のことを、まず第一に向うから言ってきております。但しその場合に四条件がある。一つは、日本濃縮ウラニウム及び他の貸与物資の安全を保障する。これは保全という意味です。保全を保障する措置をとるという意味のことが、第一項にあります。第二項は、濃縮ウラニウムの消費量に対する記録を作成しなければならないという義務が書いてあります。第三は、アメリカ原子力委員会の要求があれば、いつでも査察するという、この査察というのが重大なんです。行政協定の中にある査察と同じ意味を持っている。四項は貸与物資を他国に譲渡しないという保障です。(「当りまえじゃないか」「六条にあるじゃないか」と呼ぶ者あり)だから、六条にあるということが問題なんです。しかもこれにおいてはトルコ協定内容によると、特に今申し上げた四条件の三の場合は、これは常時——随時になっておるが、常時査察、常時監視をする意味のことが書かれておるのです。これは翻訳上の問題があるのです。外務省から言ってきて、いる翻訳の六条のC項の中には、「トルコ共和国政府は、委員会の要請があるときは、随時、委員会の代表者が、貸与された資材の状態及び使用」——ここまでは随時観察する。しかしそのあとに、その資材が使用されている原子炉の運転状態は、この協定文の原文を見ると、常時観察することになっているはずです。従ってこれから見ると、日本において原子炉を入れても、日本の学者がそのまま運転をするのではなくて、これはアメリカの技術者がここに入って来てこれをやることになる。こういう点が明らかになっていると思うのです。こういう意味でこの協定上の条文、これは翻訳上の問題があります。こういう点からいって。当然日本においていろいろな形のひもがついてきているのです。あなたは先ほど機密保全の問題について百二十三条のa項の二については秘密ではないと言ったけれども、これは秘密なんですよ。先ほどから言っているように、これは秘密なんです。こういう点を通じて見ても、実際に日本人がその内容にわたって知ることができないのです。こういう点がこの一般協定の中ではネグレクトされた形で出ておるけれども、貸与協定の中に明らかに出てくるのです。そこまでの点をあなたが十分知っておられて、そうしてこの協定を結ばれるならいざ知らず、一般的な協定であいまいな個所を作りながら、それに基いて国会の審議を経ない貸与協定を作って、その中に秘密が入れられるような場合があるとするならば、これはきわめて重大な問題だと思う。そういう点を通じて機密のひもがついてくる。こういう点についてあなたは慎重であるべきだと言われておるのは、こういうような意味においてもひもがつかないのである、こういう点についても秘密はないのである、こういう点をあなたは明らかにすることが必要であり、もしそういう点にひもがつくものであるとするならば、この協定は結ばないのであるということを明らかにする必要があると思う。この点を明らかにしておいていただきたいと思います。
  171. 植原悦二郎

    植原委員長 岡田君、あなたの時間は大へん——長官も大へんお急ぎですから、時間をどうか……。
  172. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 ただいま御質問の四カ条は、私はこれは大きな秘密だと考えません。物を買い入れれば、それだけの報告をするのは当然であります。またアメリカから、アメリカの人が来て見るのもいいでしょう。それで日本人が見られないという理屈はちっともありません。アメリカ人が常時監督をするならば、日本人も常時監督すればいいのです。そういう意味におきまして、ただいまの四カ条につきましていえば、日本人だけがこの秘密にされるという心配はないと存じます。
  173. 岡田春夫

    岡田委員 私はまだ質問がありますけれども、あとは重光外務大臣にいたしますから……。
  174. 植原悦二郎

    植原委員長 次会は公報をもってお知らせいたします。本日はこれにて散会いたします。     午後一時一分散会