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1955-05-21 第22回国会 衆議院 外務委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年五月二十一日(土曜日)     午前十時十五分開議  出席委員    委員長代理理事 須磨彌吉郎君    理事 大橋 忠一君 理事 菊池 義郎君    理事 北澤 直吉君 理事 福永 一臣君    理事 穗積 七郎君 理事 松本 七郎君       伊東 隆治君    高岡 大輔君       山本 利壽君    稻村 隆一君       細迫 兼光君    森島 守人君       和田 博雄君    戸叶 里子君       松岡 駒吉君    岡田 春夫君  出席国務大臣         内閣総理大臣  鳩山 一郎君  出席政府委員         内閣官房副長官 松本 滝蔵君         外務政務次官  園田  直君         外務事務官         (大臣官房長) 島津 久大君         外務事務官         (欧米局長)  千葉  皓君         外務事務官         (条約局長)  下田 武三君  委員外出席者         外務事務官         (経済局次長) 西山  昭君         専  門  員 佐藤 敏人君         専  門  員 村瀬 忠夫君     ————————————— 五月十九日  婦人参政権に関する条約批准について承認  を求めるの件(条約第六号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  関税及び貿易に関する一般協定のある締約国と  日本国との通商関係の規制に関する千九百五十  三年十月二十四日の宣言の有効期間を延長する  ための議定書への署名について承認を求めるの  件(条約第一号)  在外公館名称及び位置を定める法律等の一部  を改正する法律案内閣提出第四四号)  千九百三十六年の危険薬品不正取引防止に  関する条約批准について承認を求めるの件(  条約第五号)  婦人参政権に関する条約批准について承認  を求めるの件(条約第六号)  国際情勢等に関する件     —————————————
  2. 須磨彌吉郎

    須磨委員長代理 これより会議を開きます。  国際情勢等に関する件につきまして、鳩山内閣総理大臣に対する質疑を行うことといたします。  総理大臣は、予算委員会に御出席の都合から、十時二十五分までしかこの委員会に出ておられませんから、さように御了承おきを願いとうございます。松本七郎君。
  3. 松本七郎

    松本(七)委員 最近の報道によりますと、何か首相引退を予想されるようなことがしきりに取りざたされておるのでございますが、首相真意を御披瀝願いたいと思います。
  4. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 かって予算委員会答弁をいたしました通り、私が考えております仕事が相当にできましたならば、その際にはやめたいというような考え方を持っておりますが、期限をつけて、いつやめるから予算案を通るようにしてくれというような考え方は断じて持っておりません。
  5. 松本七郎

    松本(七)委員 それでは、今民主党の方から自由党の方にいろいろ会談の働きかけが行われておるようですが、それには首相が適当な時期には引退してもいいということを、民主党から自由党側に言われておるようですが、このことは総理が御承知の上でやっておるのですか。
  6. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 それは知りません。そういうような話し合い三木君 がしておるとも思いませんけれども、少くとも私は存じません。
  7. 松本七郎

    松本(七)委員 本日の新聞によりますと、三木総務会長は、鳩山首相もそれを了承されておるというようなことで、自由党に働きかけておられるように相当はっきり報道されておる。大事な時期であるので、こういうことは全然事実無根だと今総理は言われますけれども、世間には非常に大きく響くだろうと思います。ですから、この点首相真意を再確認しておきたいと思いますが、予算委員会等で明らかにされましたように、日ソ交渉あるいは世界平和の見通しがつくまでは、がんばるのだというこのお気持は変らないのであるかどうか、もう一度御答弁をお願いします。
  8. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 変りはございません。
  9. 松本七郎

    松本(七)委員 次に対ソ交渉の問題で、先般、十九日付だったと思いますが、松本俊一代表が行かれるについて、基本要綱というものが新聞に出たわけでございます。それと関連して、何か鳩山総理超党派的な構想をお持ちのように報道されておるのですが、これの具体的構想というのはどういうことですか。
  10. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 松本俊一君 が基本要綱をつくっておるかどうか知りませんけれども、まだ見たことはございませんが、多分基本要綱準備はいたしておるものと推測はいたしております。そういうようなものが大体できましたならば、各派の一致した要求というようなものができれば、松本君 もさぞ交渉するのに便宜だろうと思いまして、どういう形で各派交渉したらいいかということを目下検討中でございます。
  11. 松本七郎

    松本(七)委員 総理はそういう考えを持っておられるにかかわらず、具体的にはどんどん先に進むという形が出るとまずいと思います。今の保守党同士話し合いにしても、総理自身は全然引退気持がないにかかわらず、話し合っておる方では、自由党に対する一つの話しかけの材料に総理引退ということが軽々しく口にされるというようなことでは、明るい政治は実現できないと思いますが、こういう点を少し総理自身が乗り出して引き締められる御意思はございませんか。
  12. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 松本君 と同じように、私の同志の連中が新聞を見てびっくりいたしまして、今日はずいぶん方々から電話や訪問を受けました。私はあなたに対する答弁と同じようなことを申しておったのであります。どうかして世の中の誤解の生じないような行動をとりたいと思っております。
  13. 松本七郎

    松本(七)委員 そこで先ほどの基本要綱の問題でございますが、これも六月一日から日ソ交渉が始まる予定なので、そういうものをなるべく早くつくっていただくことが必要ではなかろうかと思います。そうして、超党派外交を推進するというお言葉でございましたが、具体的な構想はまだこれからということなのですけれども、やはり何か基本的な要綱というものがないと、ばく然とした、外交問題は超党派でというわけにはいかないと思う。今の日本の場合は特に日ソ交渉について、この間新聞に出ました四項目かの基本要綱というようなものであるならば、私は超党派外交はある程度実現できると大きな期待を持つわけでございますが、その場合に、今の印象ですと、自由党だけに非常に働きかけて、何だか自由党民主党が妥協するような印象を与えておるわけでございますが、総理のお考えとしては各党に働きかけるお気持はございませんか。
  14. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 外交についてはもとより社会党にも参加してもらいたいと思っております。そこで超党派外交委員会というようなものでは少しかた苦しくなるものでありますから、外交懇談会というような名称において社会党の人々も参加してもらって、そうしてソ連要求する基本の条項を話し合ってもらいたいというような考え方をただいまは持っております。
  15. 松本七郎

    松本(七)委員 それを私どもはこういうふうに基本要綱というようなものがもう新聞紙上にも発表された以上は、なるべく早く松本全権等首相も何らかの機会で、そういう具体的な案をつくって、そうして一つ各党に呼びかけていただきたいと思うのでございますが、その場合に今のお話では社会党にということでございましたが、たとえば労農党だとかあるいは共産党というものに対しては、どういう態度でお臨みになりますか。
  16. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 そのことについては、まだ考えておりません。
  17. 松本七郎

    松本(七)委員 ここでちょっと別な問題についてお伺いしておきたいのですが、実は御承知のようにこの前台湾で国民政府主催のもとに反共会議というようなものを開く予定になっておったのですね。こちらでも渡邊銕藏さんなんかが代表団の団長として参加される予定になっておったようですが、それが、李承晩政府日本が参加するのではといってこれに反対しておったわけなのです。あの蒋介石政権主催しておる会議の、報道されておる議題というようなものを見ますと、結局は各国の政府に対して、反共立法措置の樹立の促進などを決議してこれを要求するということになるのですが、こういうものに日本代表が今日参加するというようなことについて、今の世界情勢から考えて、反共立法措置というようなことをうたうということは時代錯じゃないかと思うのですが、この機会総理共産党に対する考え方、対策というようなものをお聞かせ願っておきたい。
  18. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 私は共産主義自由主義と正反対の対照的な主義だと思いますから、民主政治を樹立していくのには、共産主義は害になる主義だと思っております。けれども、その共産主義日本にびまんしないことについてどういうようなやり方でいくかということについては、ただいま具体的な考えを持っておりません。ちょっとここで答弁しにくいことでございます。
  19. 松本七郎

    松本(七)委員 ただ、その反共立法というような、非合法化というようなことは、全然首相としては、民主政治の建前から排斥すべきだというお考えは堅持されると思うのでございますが、いかがですか。
  20. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 ただいま私はそれに対して検討中でありますから、正確な答弁ができません。
  21. 須磨彌吉郎

    須磨委員長代理 松本七郎君に申し上げます。ちょうど時間ですから……
  22. 穗積七郎

    穗積委員 関連して。
  23. 須磨彌吉郎

    須磨委員長代理 それではほんとに一、二分ですよ。
  24. 穗積七郎

    穗積委員 総理に関連してお尋ねしておきたいのです。きょう、伺いますと松本委員が特にお願いして来ていただいて、時間の確約がおありになるそうですから、一点だけ、今の総理がおやめになる問題についてですが、これは総理は今のところはこの間の予算委員会の御答弁に対してさらに考えが変っておらぬということでありましても、一方われわれが特に重視いたしておりますのは、ソ連との国交回復の問題だと思うのです。そういたしますと、ソ連との国交回復のための交渉というものは、相当時間がかかるということを予想しておかなければならぬ。ところが国内の政治情勢は必ずしもそれを待ってということでなくて、場合によりますと保守党両党の間におきます話し合いがそれより先に進まぬとも限りませんが、そういう場合には、やっぱりあなたの今のお考えと時間的ずれができまして、ロンドン会議が妥結する前に総理引退をなさらなければならぬというような場合があると思うのです。そういうことも予想されますので、関連して一つお尋ねしておきたいのは、民主党総裁としてそういう交渉をなさいます場合には、この問題に関する限りは、自由党がこれをぶちこわすというようなことのないようなはっきりした一つ条件として、政治方針条件として、党として交渉なさるべきだと思うのですが、総裁としての御決意が一点お伺いしたいのでございます。  それからもう一点は、今の超党派外交問題でございますが、われわは再々申し上げますように、鳩山外交政策全体についてわれわれが賛成しておるのではないのであって、今の未条約中共ソ連との関係を何らかの形で打開していきたいというお考えについては、われわれ全く同感でございます。従って松本委員が暗に希望されて、われわれにも意見を聞けという趣旨のように受け取れる御質疑があり、そういうような御答弁がありましたが、この場合に鳩山内閣外交全体に対する超党派外交委員会というようなものでは、われわれはこれはとうてい応ずることはできないのであって、特に今問題になっておりますロンドン会議に対する各党意見はどうだというような意味でお尋ねいただくならば、われわれは率直に意見を申し述べることができるとも考えられるわけです。予測されるわけですが、従ってわれわれにお話になる場合には、鳩山内閣外交政策全体に対して超党派外交態勢で協力してもらいたいというお話をされるおつもりであるのか。ソ連中共との外交回復問題に限ってわれわれの意見をお求めになるおつもりであるのか。その点を前もって一つはっきりしておいていただきたい。この二点をお尋ねいたします。
  25. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 第一点は……。
  26. 穗積七郎

    穗積委員 第一点は、もしあなたがロンドン会議交渉の途中に引退されなければならなくなった場合に、民主党総裁として、これは党の基本方針でございますから、自由党お話をなさる場合には、ソ連との国交回復中共との貿易その他の回復等については、これはわれわれの方針をのんでもらいたい、その方針をくずさないようにやってらもいたいという確約を求められて、しかる後にいわばその政策をバトンを渡されて交渉なさるべきだと思うが、総裁としての御決意はどうであるか。これは将来のことに属しますので何でありますが、そういう場合も想定されないことはありませんから、念のために伺っておきたいのでございます。
  27. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 第一点について、私の引退の時期といいますか、それに関係した問題についてお答えをいたします。私は引退の時期をきめて自由党交渉するというようなことは全然存じません。ただ今日考えておりますことは、私は日ソ国交調整というものは非常に重大な問題と思っておりますので、その中途において私は責任をゆるがせにすることは罪悪だと考えております。  それから第二の点につきましては、もちろん外交懇談会もしくは調査会というものを考えておりますのは、松本君がソ連交渉する際に日本代表して、日本全体の意向として交渉した方が非常に有利だと考えますので、その目的のために外交調査会外交懇談会をしたいと思っておりますものですから、従って外交調査会懇談会目的は限局されておるものと考えております。
  28. 須磨彌吉郎

    須磨委員長代理 これにて暫時休憩いたします。     午前十時三十一分休憩      ————◇—————     午前十時四十七分開議
  29. 須磨彌吉郎

    須磨委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  千九百三十六年の危険薬品不正取引防止に関する条約批准について承認を求めるの件及び婦人参政権に関する条約批准について承認を求めるの件を一括議題として、政府委員から提案理由説明を求めます。園田政務次官
  30. 園田直

    園田政府委員 千九百三十六年の危険薬品不正取引防止に関する条約批准について承認を求めるの件に関する提案理由説明をいたします。  この条約国際連盟主催のもとに一九三六年にジュネーヴで開催された麻薬不正取引防止会議において作成されたものでありまして、わが国は同年六月二十六日に署名を行なったのでありますが、その後戦争などの理由によって批准が延期されたまま今日に至ったわけでございます。  この条約わが国がさきに当事国となっておる麻薬に関する一九一二年一月二十三日のへーグ条約、一九二五年二月十九日及び一九三一年七月十三日のジュネーヴ条約補足条約でありまして、これら三条約に対する違反行為を国際的に訴追処罰するための措置を拡充することを内容といたしております。従ってわが国はこの条約当事国となる場合には、麻薬害毒流入に対する防衛態勢を一掃強化できるばかりでなく、麻薬分野における国際協力を一そう促進することができるようになるわけであります。  この条約は、一九三九年十月二十六日にすでに効力を生じておりまして、わが国としましても、以上に述べました利点を考慮に入れ、この際批准を行い、この分野における国際協力の実をあげることが必要であると考えます。よってこの条約につき御承認を求める次第でございます。以上の事情を了承されまして、慎重御審議の上、本件につき、すみやかに御承認あらんことを希望いたします。  次に婦人参政権に関する条約批准について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。  この条約は、国際連合が一九五二年の第七回総会で採択し、翌一九五三年三月三十一日に署名のために開放したものでありますが、わが国は、本年四月一日特命全権大使沢田廉三をしてこの条約署名をいたさせました。  この条約は、婦人の地位を国際的に高めようとする国際連合の事業の一環として作成されたものでありまして、婦人に対し男子と対等の選挙権と被選挙権を保障すること及び婦人に対し公職就任機会均等を保障することを内容とするものであります。  本条約に対しては、その趣旨及び内容に賛同して参加する国が続出している状況でありまして、この際わが国がこの条約当事国となりますことは、国際協力という見地から望ましいことであるばかりではなく、わが国においてすでに確保されている男子と対等な婦人参政権を国際的にも確認することとなり、きわめて有意義であると考えられます。  よって、この条約批准につき、御承認を求める次第であります。右の事情を了承せられ、慎重御審議の上、本件につき、すみやかに御承認あらんことを希望いたします。
  31. 須磨彌吉郎

    須磨委員長代理 これにて提案理由説明は終りました。右二件に対する質疑次会に譲ることといたします。     —————————————
  32. 岡田春夫

    岡田委員 ちょっと議事進行について申し上げますが、この前の外務委員会において、私は当面一番問題になっております原子力受け入れの問題について、資料要求をしたのであります。ところが、きょうの委員会の席上で配付をされました資料を見ると、米国原子力法事百二十三条、こり資料配付が行われておりますが、私の要求いたしましたのは、一九五四年の米国原子力法全文要求したのであって、百二十三条一条だけを要求したのではありません。この百二十三条だけをお出しになるくらいなら、これはすでに外務省から出ている資料に、これよりももっと詳細なものが出ております。それをここへ私は持ってきておりますが、国際協力局の第一課で、百二十三条だけでなくて、百四十四条もその他もっと詳細にわたる資料提出をされているのであります。こういうような資料提出の仕方は、一体どういう意味であるか。外務省としては、こういう資料しか出せないというような秘密でも考えておって、こういう点を出さないつもりでおありになるのか、あるいはまた別に考えて、資料の全部、原子力法全文翻訳がまだできておらないという理由のため、われわれの方に資料提出できないのであるかどうか。しかし、全文翻訳できておらないとすれば、これは明らかに外務省の怠慢であると思う。なぜならば、昨日すでに原子力問題の受け入れについて、閣議の決定が行われて、そしてこれに対してのアメリカとの交渉に対する申し入れが進められようとしているときに、原子力法全文がいまだに日本語に翻訳されておらないとするならば、これは明らかに外務省の怠慢以外の何ものでもないと、私は思います。しかし、察するに、私は全文ができているのではないかと思う。しかし、国会にこういうものを配付するとうるさいから、今のうちはほおかぶりをしておけという、例によって外務官僚の悪い習慣によって、こういうことをほおかむりをして逃げていくという考え方を持っているのじゃないかと思う。そういう意味で、民主党では私の信頼できる一人である園田君がおられますので、外務官僚諸君にうまく言いくるめられて、そして国会に対して資料を出せないというようなことになるというならば、あなたの任務が果せないことになってくると私は思う。ですから、この際はこの資料全文いつお出しになるか、出さないつもりであるかどうか、特に、先ほどこの委員会理事会においては、参考人をこちらに呼んで、この問題についても徹底的にわれわれは審議しようといっているときに、アメリカ基本法である原子力法全文がいまだに外務省から配付できないというならば、これはわれわれとしても審議が進められない。こういう点について、われわれは決意を固めなければならない場合もあると思いますから、この点について、詳細な、責任のある御答弁を願いたいと思います。  なお、私の要求いたしましたのは、原子力法だけではありません。アメリカトルコとの協定の今までの概略、あるいはまた要旨でもけっこうであります。これは新聞にも発表になっておる。少くも政府として責任のある資料を私たちは要求するのであります。また、フィリピンとの協定内容あるいはまたその他二カ国について、これはこの前言っておりますから、こういう問題についても、一体どの程度外務省としては議員に対して資料配付する気持があるのかどうか、この点をこの際はっきり伺っておきたいと思います。そうでなければ、われわれは外務省官僚諸君国会を軽視するという気持がその中に潜在しているために、これを配付することをおくらせているのであると考えざるを得なくなって参りますので、この点をはっきり御答弁願っておきたいと思いますし、資料配付についての今後の見通しを伺っておきたいと思います。
  33. 園田直

    園田政府委員 責任ある答弁をいたします。ただいま御質問のありました各種資料は、決して国会提出をしないでほおかむりをしようなどという考え方は毛頭ございません。むしろ進んで原子力を平和利用せんとする政府方針皆さん方に披瀝をして、各種資料によって御審議を願いたいと考えている次第でございます。ただいま岡田委員からの要求されました資料は、外務省で急いで準備をしておりますが、翻訳は全部終っておりますが、印刷関係で組んでおりましておくれておりますので、写真にとってこれを印刷に回すなど、各種方法を講じて準備をしております。なおそのほかトルコフィリピン等に関する資料もその通りでございまして、来週は大体印刷が終るものと考えますので、一時間も早く整備を急ぎまして、必ず配付いたすようにいたします。
  34. 岡田春夫

    岡田委員 今のは責任のある御答弁とは私はまだ受け取れないのであります。責任のある御答弁ならば、来週という七日間もあるような日にちを区切ってお話になるのでは困る。それは理事会においてすでに参考人を来週の水曜または木曜にこちらへ呼んで意見を聞こうと言っているときでありますから、来週という七日間の日にちを置いてそのような資料配付の御答弁をなさっても、それは責任のある答弁とは私は考えません。少くとも参考人がここに呼ばれる前に資料全文配付されておらなければ、われわれは外務省誠意を認めるわけにいかないと思うのであります。誠意のある御答弁をすると園田君が仰せになりましたので、重ねて誠意のある御答弁を願っておきたいと思います。
  35. 園田直

    園田政府委員 仰せ通りなるべく参考人出頭まで間に合せたいと思いますが、実際問題として印刷が果して間に合うかどうか、相当懸念する点もございますが、できるだけ間に合せるようにいたします。今印刷しているのは本印刷でありまして、ガリ版刷りにしたのは部数がわずかでございまして、配付するほど部数がございません。従いましてやむを得ない場合はガリ版その他でも準備するような方法を講じたいと思います。
  36. 穗積七郎

    穗積委員 条約局長にちょっとお尋ねいたしますが、ソ連イギリスにおきましても原子力法があるだろうと思うのですが、それに関する資料外務省に整えてございますか。
  37. 下田武三

    下田政府委員 ソ連につきましては、少くも私は原子力に関する立法承知しておりません。それからイギリスにつきましては、アメリカのアトミック・エナージー・ロウに匹敵するような立法のあることを承知しておりません。それはむしろ原子力を扱う行政組織法的なものはあると思いますが、こういうオーバールール法律はないのじゃないかと思います。
  38. 穗積七郎

    穗積委員 それではアメリカ原子力法に全く当るような法律がないといたしましても、イギリス並びソ連原子力国際活動に関しますいろいろの方針でありますとか、あるいはまたその他の資料があるだろうと思います。ソ連からも他の国に原子力国際協力をしている事実もあることですから、そういう場合におきます取りきめの内容でありますとか、そういうものを至急整えて、同様に、原子力問題に対する委員会審議参考資料として提出していただきたいと思うのですが、それについて、この際、外務省意思と、それからいつごろまでにできるか、見込みをお答えしていただきたいと思います。
  39. 下田武三

    下田政府委員 これは国際協力局でやっておりますから、すぐ連絡いたしまして、御趣旨に沿うよう、すみやかに処置いたしたいと思います。
  40. 松本七郎

    松本(七)委員 議事進行について。委員長にちょっとお伺いしたいと思います。この前岡田委員から要求した資料のことが今問題になったのですが、委員会要求する資料は、委員長に要求して、委員長から各省に要求する建前になっているわけです。それを直接ここで政府委員にあれを持ってこい、これを持ってこいと言うので、そういうそごを来たす。やはりこの前のときも、岡田君はそれをはっきり言っているのです。委員長の方で一つお取り計らい願いたい、こういうことを言っているわけです。これはおそらく植原委員長の方から、文書か何かでやっているのではないかと思いますが、それは一体どういうふうな要求をされているのか、それがわかれば明らかにしていただきたいと思います。
  41. 須磨彌吉郎

    須磨委員長代理 この前の御注文の御趣旨は、すでにそれぞれの向きに伝えてあったのでございます。今後も督励をいたしまして、そろえるようにいたします。
  42. 松本七郎

    松本(七)委員 内容は、百二十三条を資料としてよこせと委員長は要求したのか、それとも岡田君が要求したものを全部文書か何かに書いて要求したのか、その経過を聞いているわけです。
  43. 須磨彌吉郎

    須磨委員長代理 岡田春夫君から申されました内容を、そのまま今までの慣例に従って取り次いであるのでございます。それでございますから、さよう御承知おきを願いたいと思います。     —————————————
  44. 須磨彌吉郎

    須磨委員長代理 これより関税及び貿易に関する一般協定のある締約国日本国との通商関係の規制に関する千九百五十三年十月二十四日の宣言の有効期間を延長するための議定書への署名について承認を求めるの件を議題といたします。本件に関しまして質疑を許します。戸叶里子君。
  45. 戸叶里子

    戸叶委員 ガットの加入が、大体見通しとして八月ごろ日本も許されるということをICCの代表者が言っていたようでございますが、この点はいかがでございましょうか。
  46. 下田武三

    下田政府委員 ガットの正式加入を実現いたしますためには、御承知のように締約国の三分の二以上の賛成を必要とする次第でございます。現在までのところ、大体二十一カ国くらいの賛成を確保し得ておるのでございますが、肝心なあと二、三カ国というところの交渉が相当難渋いたしておりまして、ただいまのところ、確実に正式加入が実現し得るということは申し上げられない段階にございますが、今後とも極力各国と折衝いたしまして、必要な賛成国数を獲得いたしたいと存じております。
  47. 戸叶里子

    戸叶委員 その見通しは大体いつごろと立てていらっしゃいますか。
  48. 下田武三

    下田政府委員 二十一カ国の賛成を得ておりまして、あと二、三カ国と申しますと、実は御承知のベネルックス三国であります。オランダ、ベルギールクセンブルグの三国にちょうどキィスチング・ボートを握られているような形になるのでありますが、このベネルックス三国のうちでも、特にオランダがいろいろな他の問題との関連におきまして、日本を率直にサポートいたしてくれる情勢にないのであります。先般のバンドン会議におきましても、西イリアン問題が日本を含めて満場一致で成立したというように、全く関係のない問題も関連させられておるようでございます。オランダは一番困難でありますが、ベルギー、ルクセンブルグの方は比較的同情的かと思います。夏までの間にこの三国を説得いたしますれば加入できると思います。この点、今のところは、先ほど申し上げましたように確に見通しが立たないわけであります。
  49. 戸叶里子

    戸叶委員 仮加入の場合と、今度の正式にガット加入を許された場合とで、日本にとって大きな利益の違いというものがありましたら知らせていただきたい。
  50. 下田武三

    下田政府委員 御承知のように、ガットと申しますか、一般関税協定自体はまだ発効していないわけであります。ただ別に議定書を作りまして、それがあたかも発効しているかのごとく措置しているわけでございます。ですから、締約国間においてすら議定書によってかりに発効さしているというわけであります。その点で、実は日本が昨年仮加入を実現し得ました結果、締約国と現在の日本とは実質において大した変りがないと申し上げられます。しかしながら、締約国団の会議に正式に参加して、そうして締約国と同じように投票権を行使し、発言権を行使することが完全にできないという形式的な点につきまして、現在日本締約国より不利な地位に置かれているという状態でございます。
  51. 戸叶里子

    戸叶委員 アメリカでこの間修正案が通りました互恵通商法ですけれども、あの内容は私まだよく読んでおりませんからわからないのですが、互恵通商法と日本のガット加入との問題はどういうふうな関係になっているか、その点承わりたいと思います。
  52. 西山昭

    ○西山説明員 お答えします。現行のアメリカの互恵通商法は、一九四五年の一月一日現在の税率を基準にしまして、その五〇%まで関税を引き下げ得る権限を大統領に与えておるわけであります。問題となっておりますクーパー法案は、それにつけ加えまして、今年の七月一日現在の税率を、今後三カ年にわたりまして毎年五%の範囲、三カ年に一五%の範囲内におきまして引き下げ得ることとなっておりましたが、上院のジョージ修正法によりまして、七月一日現在の税率を一月一日現在に繰り上げたわけでございます。その他にも若干小さい問題がございますが、大きい点は、今の課税の引き下げの基準の日付を七月一日から一月一日に引き上げたことでございます。これが日本にどういう関係を及ぼすかと申しますと、日本につきましては、現行の互恵通商法によりまして、目下ジュネーヴで関税交渉をやっておりまして、その結果が、現行の互恵通商法の満期となります六月十一日以前に妥結いたしますと、それに基いて五〇%以内の関税の引き下げの恩恵に浴するわけでありますが、クーパー法案の原案によりますと、現行の五〇%以内の引き下げに続きまして、七月一日現在でさらに毎年五%ずつの引き下げを受けることになっておったわけであります。ところが、ジョージ修正案によりまして、現在のジュネーヴにおきます関税交渉によりまして、一九四五年七月一日現在の五〇%以内の引き下げには浴しますが、一月一日に日付が上りました結果、一五%以内の引き下げの場合は、さらに今後一五%までの幅の間で、三カ年間に三分の一ずつ引き下げられることになるわけであります。それからさらに、関税交渉におきまして据え置きの品目につきましては、依然として一五%の引き下げの恩典があるわけでありますが、一五%以上の引き下げを受けました分につきましては、一五%の引き下げが認められないということになるわけであります。よその国との関係がどうなりますかと申しますと、よその国は、すでにアメリカと五〇%基準の関税交渉を過去において数回やっておりますので、すでに引き下げられた税率に基きまして、さらに一五%引き下げの恩典があるわけでありますが、日本につきましては、関税交渉を過去においてやっておりませんので、その点につきしては若干不利な立場になるわけであります。しかしながら、現実に関税交渉におきまして全額五〇%引き下げということも全部ではありませず、また、日本と同じように関税交渉をやっていない国との関係におきましては、日本は同等の立場に立つわけであります。それから、現在アメリカ日本と関税交渉をやっております内容は、まだ発表の時期ではないと思いますが、その内容いかんによりまして、相当アメリカが大規模な引き下げを日本に与えておると仮定しますれば、実際問題としては、今後の一五%がそのまま日本に対して差別対遇になるとは限らないわけであります。
  53. 戸叶里子

    戸叶委員 結論といたしまして、今度の修正案によって、日本アメリカの場合は、日本がガット加入が許されても有利ではないというふうにとってもいいわけですか。
  54. 西山昭

    ○西山説明員 ガットに加入します前提といたしまして関税交渉を行うわけでありまして、今ジュネーヴで行われております関税交渉が妥結しなければ、日本はガットには入れないわけでございます。それから関税交渉自体が、すでに、一九四五年一月一日現在の税率の五〇%までの引き下げを対象としておるわけでありますから、日本としましてはもちろん有利なわけでございます。
  55. 戸叶里子

    戸叶委員 今のところが私はちょっとはっきりしないのですが、アメリカの修正案が通った場合でも何らの影響がないというふうに了承していいわけですか。
  56. 西山昭

    ○西山説明員 影響があるかないかと申しますのは、先ほども申し上げましたように、内容的にはすでにアメリカと関税交渉を行なった国よりも若干不利ではありますが、日本の正式加入につきましては、何ら影響はないわけでございます。
  57. 須磨彌吉郎

  58. 松本七郎

    松本(七)委員 この議定書を一月三十一日に採択された場合に、棄権が五と欠席が三ということでございますが、その内容を国別に御報告していただきたい。
  59. 下田武三

    下田政府委員 棄権いたしました国は、英連邦諸国中の四カ国、すなわち、英国、オーストラリヤ、南アフリカ連邦、ローデシア・ニアサランドの四カ国と、チェコスロバキアの五カ国であります。なお、欠席いたしましたために棄権と同等の効果になりました国がペルー、ニカラグア、ハイチの三カ国でございます。
  60. 松本七郎

    松本(七)委員 これらの棄権並びに欠席の国の今後の動向はどういうふうになっていくという見当でございますか。
  61. 下田武三

    下田政府委員 現在の交渉におきましても、遺憾ながら先般の棄権国は、特に英連邦の諸国は同じ態度をとっております。しかしながら、ハイチ、ニカラグァ等は目下説得中でございまして、まだ明確に反対という態度は示しておりません。
  62. 松本七郎

    松本(七)委員 ベネルックス三国のガットに対する基本的な態度というものはどういうことですか。
  63. 下田武三

    下田政府委員 ベネルックス三国は、ヨーロッパにおける有数な貿易国といたしまして、ガット自体には大賛成であり、また、ガットによる利益をみずからは受けておりながら、日本に対してこの利益を与えることにちゅうちょうしておるわけであります。これは御承知通り、主として、綿製品等による日本の競争力に対する非常な危惧というものが原因になっておると存じます。
  64. 松本七郎

    松本(七)委員 そうすると、この議定書採択の場合のベネルックス三国の態度というものはどういうところにあるわけですか。
  65. 下田武三

    下田政府委員 ただいま御審議を願っております議定書日本の仮加入を延長しようという議定書自体には賛成いたしております。目下交渉しておりまするは、日本を正式に加入させるという問題でありまして、それにはまだ賛意を表することにちゅうちょしておる次第でございます。
  66. 松本七郎

    松本(七)委員 特にイギリスが、日本がかりにこれに参加しても、ガットの適用を除外するというようなことを声明いたしましたが、あれの経過と、それから今後の見通し、それから、日本政府としてイギリスに対してどういう働きかけをその後しておるかという点についての御説明を願います。
  67. 西山昭

    ○西山説明員 イギリスは、日本と競争する産業、ことに繊維産業につきましては競合関係にあります関係で、国内政治的な事情も多分にあるかと思われますが、従来とも、日本の業者の意匠その他に対する不正の取扱いにつきまして相当強く不平を持っているわけであります。意匠を模倣しましたり、あるいは市場に急激に製品を送り込んで国内の市場を撹乱する、その他いろいろ日本不正取引あるいは急激な輸出の防止、そういうようなものに対する深い関心があるわけでございます。従いまして、イギリスとしましては、日本が国際社会におきまして、正当な一員としまして、公正な立場において商取引を行うということに対しては原則として反対をするわけではないのであるが、日本の不正競争その他今申し上げましたような点について何らかの保証を得らなければ、無条件にガットの権利義務関係を受諾するわけにはいかないという態度をとってきておるわけであります。日本の正式加入の問題が関税交渉とも関連しまして具体的になりました最近におきまして、イギリスとしましてはいろいろ考慮を重ねていたのでありますが、先般日本の正式加入につきましては、以上のような理由から、遺憾ながら賛成するわけにはいかない、従って三十五条を援用して日本の加入に反対する、ただし日本がガットの一員となる正当な理由についてはイギリスとしても反対し得ないので、今後ともこのような困難が除去されるように努力したい、ついてはガットの問題とは一応切り離しまして、日英間の通商関係を恒久的な基礎に置くために、通商航海条約を締結したいということを申し出ておるわけでございます。わが方といたしましては、恒久的な通商航海条約を締結すると申しましても、その内容が、イギリス日本のガット加入に対して反対するような理由からいろいろの条件をつけられれば、最恵国待遇を基本とする通商航海条約の締結には問題がある、どのような形で日英間の今の困難を解決するかということは、もう少しさらにイギリス側の具体的な提案を待って検討したい、こういう段階になっております。従いまして六月の初めから貿易会談を行うわけでありますが、そのあとに引き続きまして、おそらく日英の基本的な通商航海条約の問題が提起されると思いますが、その際に日本側としましてはどのような態度をとるか、現在から検討中でございます。
  68. 松本七郎

    松本(七)委員 三十五条の内容をお聞かせ願いたい。
  69. 西山昭

    ○西山説明員 三十五条と申しますのは、加盟国がある国のガット加入の申請に際しまして、関税交渉をし、かつ申請国に対して積極的にガットの条項の適用をやらないという意思表示をしなければ反対できない、こういう趣旨であります。従いまして三十五条と申しますのは、日本が加盟の申請をいたします場合には、自分の国はガット関係を認めないということを意味する規定でございます。
  70. 松本七郎

    松本(七)委員 そうなると、かりに日本の加盟を三分の二の多数で認めて、日本が正式に入ったという場合にも、イギリスはこの三十五条によって日本のガット加盟国としての資格を認めないのだ、こういう態度を固執できるわけですか。
  71. 西山昭

    ○西山説明員 さようでございます。
  72. 松本七郎

    松本(七)委員 そうすると、その場合にそういう態度で臨まれたところの日本はどういう機関でもってそれに対抗することができますか。何ら対抗措置はない、つまり泣き寝入りしなければならぬということですか。かりに英国が三十五条に基いて日本を認めないといった場合に、日本はガットの中でどういう処置をもってこれに対抗するか。
  73. 西山昭

    ○西山説明員 日本は、イギリスとの関係におきましては、ガットの権利義務に拘束されないわけでございます。
  74. 松本七郎

    松本(七)委員 そうすると結局は、強い国との間では自由競争で、弱い国は泣き寝入りしなければならぬ、実情はこういうふうな結果になるわけですね。
  75. 西山昭

    ○西山説明員 泣き寝入りと申しますか、日本イギリスとの関係は、毎年二億ポンドの大きい貿易関係を有しておりますので、日本としましても、現在のイギリス側が苦情を言っておりますような不正競争その他につきましては、相当積極的にこれを矯正しまして、国際社会で正当な立場におきまして競争できるような方向に向う必要があるのではないかと思っております。
  76. 松本七郎

    松本(七)委員 そうするとそういう場合には、イギリスが正式な加入を認めるようなことを日本自体がやる以外に道はない、こういうことでございますね。
  77. 西山昭

    ○西山説明員 日本側におきましては、そのような欠点がわが方にある点は矯正いたしますし、イギリスに対しまして日本としても要求できる点は主張して、今後日英関係をさらに改善していく必要があるのではないかと思っております。
  78. 松本七郎

    松本(七)委員 それからさっきちょっと触れておられた意匠の問題なんですが、これは日本政府としては、国内に対してどういうふうな指導方針というか態度をもって臨んでおられるのか。
  79. 西山昭

    ○西山説明員 意匠問題につきましては、これは結局しまするに業界の良心の問題でございますので、業界ともよく懇談いたしまして、業界も多分にその気持になりまして、わが方から昨年イギリスに業界の代表が参りましたし、最近もイギリスから参りまして、種々懇談の結果、漸次両者の満足いくような方向に解決しつつございます。その一つの現われとしましては、意匠センターというようなものを設けまして、実際面で商取引の上におきまして意匠の盗用等が起らないように、業界におきまして自主的に自粛する段取りとなっております。
  80. 松本七郎

    松本(七)委員 条約局長の先ほどのお話では、結局いつ正式加盟できるか見込みはないということに解するほかないと思うのですが、そうなるとこの議定書の延期々々でずっと進む以外に道はなくなるわけですか。
  81. 西山昭

    ○西山説明員 現在の関税交渉は、現行のアメリカの互恵通商法の規定に基いて行われておりまして、この互恵通商法が六月の上旬で満期になりますので、その以前に関税交渉が妥結する必要があるわけでございます。従いまして具体的には六月の上旬までにははっさり見通しがつくのではないかと思っております。
  82. 松本七郎

    松本(七)委員 その関税交渉見通しはどうですか。
  83. 西山昭

    ○西山説明員 関税交渉見通しは、まだ最終的になっておりませんので、はっきり申し上げられませんが、関税交渉をやっています国との関係におきましては、関税交渉は妥結するのではないかと思っております。
  84. 松本七郎

    松本(七)委員 大臣がお見えになりませんので、この機会外務省の事務当局に解釈問題を少しお聞きしておきたいのと、それから政務次官もおられますので少し問題を出してみたいと思います。一つは、これは外務大臣がおられるときに実はお聞きしておきたいと思っていたのですが、防衛分担金に関する日米共同声明で、これは予算委員会でも問題になったのですが、これは政務次官でなくて条約局長でもけっこうですが、共同声明の第三項にわざわざ日米安全保障条約のことに触れておるわけです。日米安全保障条約には、日本が自国の防衛のため漸増的にみずから責任を負うことの期待が表明されていることが想起される。こういうことをうたっているわけです。これについて漸増的にみずから責任を負うことの期待が表明されているというこの期待です。これは一体どういうことに対する期待なのか。自国の防衛について全般的に——日本の防衛ということ全体について、一切を日本責任を負ってくることを漸増的に期待しておるのか、それとも防衛力を増強するということについての日本責任を期待しておるのか、この点を今までどういうまとまった解釈をされてきておったのかをこの機会にもう一度明らかにしておいていただきたいと思います。
  85. 下田武三

    下田政府委員 平和条約と安保条約を締結いたします際に連合国側が陥りましたジレンマは、占領中において日本を完全にまる裸に軍備撤廃をいたしてしまいました。ところがいよいよ平和条約を発効させて日本を独立国とする場合に、そのまる裸の国では安全は保てないという事態に直面いたしました。そこで連合国の政策が転換いたしまして、やはり日本は自衛力を持たなければならない、そこでこういうフォーミュラが採用されたわけでありますが、アメリカは永久に日本を守る義務を負うことはごめんである。従って暫定的の措置として日本を守る。暫定的であるから、やがては日本自身が自分みずからを守る力を持ってくれなければ困る。御指摘の日米共同声明で想起されております漸増的にみずから責任を負うということは、とりもなおさず日本自身が自分で日本を守れるようになるようにみずから自衛力を漸増して、そしてその暁においてみずから自国防衛の責任をとれるようになることを期待するという安保条約の前文に表明されております期待でございます。
  86. 松本七郎

    松本(七)委員 その場合の自衛力ということは、非常に広い意味に解釈された自衛力か、それとも非常に狭い意味で軍事力というふうにこれは解釈されたものか。そこに何らか日米間にはっきりした解釈上の合意があるのかどうか伺いたい。
  87. 下田武三

    下田政府委員 その点は平和条約にも安保条約の前文にも書いておりますが、自衛という観念を二つにわけまして、集団的または個別的の固有の自衛権を持つものであるということを確認いたしております。従いまして米ソすら一国では自衛を保てないのでありますから、日本ももちろん集団安全保障に一方たよるべきであるが、しかながら集団安全保障にたよるといたしましても、集団安全保障機構中の一単位としての自衛力だけは少くも持ってくれなくてはいかぬ、そういう考えであると思うのであります。
  88. 松本七郎

    松本(七)委員 しかしその場合の自衛力の内容です。自衛力といっても、それは個別的の場合もあろうし、集団的に発動される場合もあるでしょう。けれども、それと同時に自衛力の内容は、やはり社会一般の情勢、生活状態というようなことも広くいえば自衛力になるのです。それでその集団保障あるいは地域集団保障と言われるような場合に広い意味の自衛力、それから軍事力という限られた自衛力が両方含まったものとして解釈されておるのか、それともその場合には軍事力による自衛力という意味に限定されておるのか、その点はいかがです。
  89. 下田武三

    下田政府委員 その点につきましては日米間に明確な解釈があるわけではございません。いわんや三軍方式にするかとか、あるいは陸海空軍の数、装備をどうするかというような軍事的な詳細な合意は何もございません。しかしながら御提起になりました問題につきまして、これはアメリカ側の考えでございますが、アメリカは何も兵力だけをもって自衛力とは解しておりません。昨年御審議を願いましたMSA協定中にも防衛力と防衛能力という言葉を使いわけております。防衛能力と申しますことは、生産設備その他軍事産業と申しますか、軍備の背景となる工業力も当然含ませて考えておると思うのでございます。でございますから、軍事的な戦う力自体という非常に狭義なものではございませんで、その背後にある産業経済設備というものも含めた自衛力が、安保条約に書いてある自衛力の観念ではないかというように考えております。
  90. 松本七郎

    松本(七)委員 そうするとその広い自衛力の中どういう自衛力に重点を置くかということについては、日本政府責任で解釈し、また実行もすることができるということでございますか。
  91. 下田武三

    下田政府委員 これは日本の自衛力の問題でございますから、当然日本政府の独自の解釈で立ち得ると思います。但しその安保条約の期待が現実となりまして、日本自身がみずからもうわが国は守れるから、米軍は帰ってもよろしいという問題が現実に起りました場合には、やはり日米間で協議して両方とも納得の上で行きたいということにならざるを得ないと思います。それまでの段階におきまして日本がいかに判断するかは、もっぱら日本側の問題であると思います。
  92. 松本七郎

    松本(七)委員 私が今日なぜこれを聞かなければならぬかというと、この前の総理大臣の日米共同声明の防衛分担金問題のときの答弁で、結局ここにうたってある昭和三十一年及びそれに引き続く年間において、自己の資力によって防衛目的のために振り向ける、これが今の内閣だけの道義的な責任であって、次の内閣にはこれは法的には及ばない、こういうことをはっきり言われたわけなのです。これは当然行政協定その他にもこういう問題がこれから起ってくると私は思うのです。将来かりに内閣がかわって、日本の自衛力について、もう産業その他の広い意味の自衛力の中で軍事力というものは日本にはあまり必要ないのだ、こういう解釈をして、日本の自衛というか防衛についてアメリカさんにたよる必要はないのだ、責任を持てるからどうぞ一つ帰ってくれ、こういうことを言われる場合に、そこにまだ問題の起る余地はあると思う。その場合にアメリカの方からお前は自衛力はあるというけれども、今のところはあるとは思えない、こういう異論が今の御答弁では出る余地があるように思うのでございますが、この点いかがですか。
  93. 下田武三

    下田政府委員 これは米軍の日本駐留というものが日本の希望によって行われたものであり、アメリカ側は日本の希望をいれて——安保条約にも受諾すると書いてございますが、向うはむしろ義務として日本に駐留することを引き受けたわけでございます。その義務を解除する段になりますと、これはやはり全般の極東情勢のみならず、世界情勢判断に基いて決定すべき問題となりますので、世界情勢の問題である以上は、一国の判断だけで世界情勢はこうだときめつけるわけには参りませんので、これはやはり当事国の間で相互の見解を披瀝しまして、納得の上で撤退ということになるのが自然であると存じます。
  94. 松本七郎

    松本(七)委員 政治的な扱いはそういうことになると思うのですが、法的にいうと、日本から防衛について依頼を受けて、そしてアメリカはこれを義務としてやっておる、そういう建前ですね。そこで将来日本が、それではもう自衛はそちらさんにおたよりする必要がないと認める、従ってどうぞお引き取り下さいとこう出た場合に、法的には義務を解除されるのだから引き揚げるというのが本筋になりはしませんか、その解釈はいかがですか。
  95. 下田武三

    下田政府委員 実際問題といたしましては、米軍は米国の納税者の負担において莫大な経費を使って日本に来ておるわけでございますので、もう早く引き揚げたい色がありありと見えます。でございますから、むしろ日本がもういいから引き揚げてくれという前に、アメリカの方からもう引き揚げさしてくれというかもしれません。その点は米国は必要以上にいすわるような希望はごうもないのでございますから、先ほど申し上げました反対の場合の方がむしろプロバブルであるかもしれないと存じております、
  96. 松本七郎

    松本(七)委員 そこはまだなかなか問題がございますけれども、解釈はそういうことで一応おきます。  それから政務次官に一つお尋ねしておきたいと思います。この間政務次官おられたかどうか存じませんが、オーストリア国家条約の十六条の問題をちょっと私お伺いしたときに、下田条約局長の御答弁があったのですが、実はこのオーストリア国家条約十六条に、オーストリアはドイツ及び日本で設計された航空機を購入あるいは製造しない、こういう不都合な規定を設けられたわけです。これの事情についてはもっと詳しい情報をとっていただいて御説明をお願いすることにしておるのでございますが、そのときの条約局長の御推察では、旧枢軸——ドイツと日本とイタリアが含まっておったわけですが、この枢軸の復活ということに列国が非常な疑惑を持っておるのじゃないか、警戒しておるのじゃないか、そういうところからこれは来ておるのじゃないかというお話だったのですが、私もこの点は十分考えてみなければならぬ問題であると同時に、これはあり得ることだと思う。あり得ることであるばかりに、日本としてはいろいろな問題でこの点は大いに考慮を払わなければならぬと思うわけです。それで私はさっきちょっと総理大臣にもお尋ねしたのは、政務次官も民主党の方ですが、さっき私が指摘しました台湾におけるアジア反共会議、これには渡邊銕蔵さんを団長にして、自由党の総務である船田中さんと、あるいは民主党の代議士であり、しかも総務である北吟吉さん、こういう方が行かれる予定になっておったのです。そしてこの反共会議議題はどういうことかというと、各国の政府の対共産党政策などの資料を提供して意見を交換するとか、あるいは各国に反共機運を盛り上げるための民間運動方針あるいは政府に対して反共立法措置の樹立促進をするとか、そういうことが盛られておるわけなんです。これは世界の動きからすると、われわれから見ればはなはだ時代錯誤なことだと思うのでございますけれども、こういう動きのあるということはやはり見のがせないと思うのです。しかも日本がこれに参加するというので、南朝鮮がこの会議を開くことに猛烈に反対したわけです。それで一時はこの会議をもうやめようかといっておったわけですけれども、結局聞くところによると日本がこれに参加しないようなことになるのじゃないかと言われておる。その南朝鮮はどうして日本の参加にそういう文句を言っておるかというと、ソビエトや中国と深入りするとか、あるいは共産党が合法的に日本では認められているとかいろいろなことを言っておるわけです。こういうことが、私はだんだん日本を再びそういった昔の狭い反共の陣営というものに固まらせるような、内政干渉とまではいかなくても、そういう形が出てくる可能性があるのじゃないかと思うのです。こういう点を、よほど今後の外交政策並びに国内政治の上でも私は考えていかなければならぬのじゃないかと思って、さっきちょっと総理大臣共産党に対する考え方というものをお伺いしたわけでございますが、外務次官も当然このアジアの友共会議については、何らかの情報なども得られておっただろうと思うのですが、外務省としてはどういうふうな態度でもって、台湾における反共会議というものには臨もうとされておるか。政務次官おそらく大体の情勢はおわかりだろうと思いますが、一つ経過と考え方をお知らせ願いたいのでございます。
  97. 園田直

    園田政府委員 ただいま御質問の台湾におけるアジア反共大会は、この前の韓国の大会の当時から、日本側の代表のオブザーバーまたは正式の会議出席について問題になって、そのために昨年は延期になって、今年再び台湾において開かれる予定になったものでございます。これについては台湾の方でも民間の行事としてやられておりますが、台湾の内々の意向として、日本側からいろいろな配慮を願いたいということもあったようでございます。しかしこれは党としましても政府としましても当然タッチすべき問題ではございませんので、純然たる民間団体の行事としてただ見ておっただけでございます。しかしこういう台湾の反共大会における出席者の問題にいたしましても、正式の党の代表または政府代表として代表者を派遣してもらいたいという動きも一部あったようでございますが、今松本委員のおっしゃいましたような趣旨から、党としても、政府としてもこれは拒絶して、純然たる民間の団体として動いておるわけでございます。動いておりましたところ、今おっしゃいましたような理由で韓国の方から抗議が入り、今日本代表出席については無期延期というような状態で、多分今おっしゃいましたように出席できないような状態になるのじゃないかと思っておりますが、内々政府としては、こういう問題があることによって、共産圏側と自由主義側との対立を来たすような、あるいはいろいろな刺激を与えるようなことになっては困る、こういうふうに考えております。
  98. 松本七郎

    松本(七)委員 韓国側から日本政府に対して、何かこの問題に対して言ってきておるのですか。
  99. 園田直

    園田政府委員 全然言ってきておりません。
  100. 松本七郎

    松本(七)委員 次に別な問題でございますが、四月三日に樺太の海馬島で日本人漁夫が四名死体として発見されております。破損した船体の一部からこれは第三金栄丸の乗組員であろうということがわかったということが、旧ソ連代表部のドムニッキーさんから外務省あてに、これは文書通知だったと思うのですが、通報があった。しかし日本側はこれに対して何らのあいさつもないというわけです。そして今は仮埋葬してあるそうですが、遺族の方は早く引き取りたいのですが、これは外務省から一言旧ソ連代表部の方にあいさつしてもらえば順調に進むだろうということですが、われわれ外から察したところ、しきりに国交回復前の代表部は認めないとか非常にかたくなな態度で終始しておられるので、何らの相談がないのじゃないかと思いますが、これは人道上の問題ですから、やはり代表部からそういう通知を受けた以上は、一応儀礼として日本政府からも代表部にあいさつされて、早く処置された方がいいと思うのですが、どんなものですか。
  101. 園田直

    園田政府委員 ただいまの問題は四月十八日に今のような経緯で外務省承知することができました。従いまして、ただいま日ソ交渉に入る前提の段階に——ただいま日本におりますソ連代表部の人々は代表部と認めらるべき筋合いのものでもございませんので、そういういろいろの問題について正式な道を開くために日ソ国交調整をば始めておるわけでございます。しかしそういう形式的なことだけにこだわって、人道上の問題を放任するわけには参りませんので、政府としてはただちに日本赤十字社を通じまして向うに電報をもって埋葬してあります死体その他についての引き取り方についてただいま交渉中でございます。
  102. 松本七郎

    松本(七)委員 日本赤十字社に外務省から話されたのはいつですか。
  103. 園田直

    園田政府委員 五月六日でございます。
  104. 松本七郎

    松本(七)委員 これは非常に遅れておるので、きょうも陳情書がまた別に来ておるのです。これは日中日ソ国交回復国民会議議長の久原房之助さんと大日本水産会の平塚常次郎さんの名前できょう陳情書がまた来ておりますが、問題は大分前から問題になっておるこの点質問したいと思っておったのですが、早く跡始末をするように一つ促進方をお願いしたいと思います。
  105. 園田直

    園田政府委員 外務省としては情報をとりまして直ちに措置をいたしまして、水産庁の方から電報その他の通知をもってやっておりますが、外務省としてもすみやかに措置するよう促進いたします。
  106. 須磨彌吉郎

    須磨委員長代理 本日はこれにて散会いたします。次会は公報をもってお知らせいたします。     正午散会