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1955-05-11 第22回国会 衆議院 外務委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年五月十一日(水曜日)     午前十時四十八分開議  出席委員    委員長 植原悦二郎君    理事 大橋 忠一君 理事 須磨彌吉郎君    理事 北澤 直吉君 理事 福永 一臣君    理事 穗積 七郎君 理事 松本 七郎君       池田正之輔君    高岡 大輔君       松本 俊一君    山本 利壽君       江崎 真澄君    福田 篤泰君       渡邊 良夫君    稻村 隆一君       高津 正道君    細迫 兼光君       森島 守人君  出席政府委員         調達庁長官   福島慎太郎君         外務省参事官  矢口 麓蔵君         外務事務官         (アジア局長) 中川  融君         外務事務官         (欧米局長)  千葉  皓君         外務事務官         (条約局長)  下田 武三君  委員外出席者         総理府事務官         (南方連絡事務         局長)     石井 通則君         専  門  員 佐藤 敏人君         専  門  員 村瀬 忠夫君     ————————————— 五月七日  新日中貿易協定に関する請願池田正之輔君紹  介)(第四五〇号) 同月十日  新日中貿易協定に関する請願池田正之輔君紹  介)(第四八〇号)  伊丹飛行場拡張反対に関する請願山口丈太郎  君紹介)(第四八九号)  福岡地方簡易保険局大濠庁舎返還に関する請願  (福田昌子紹介)(第五五七号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  国際情勢等に関する件  委員派遣承認申請に関する件     —————————————
  2. 植原悦二郎

    植原委員長 これより会議を開きます。  国際情勢等に関する件について、政府当局質問を行うことといたします。通告順によりまして質疑を許します。福田篤泰君。
  3. 福田篤泰

    福田(篤)委員 本日は総理また外相その他閣僚がおられませんので、外交に関する基本問題あるいは政策に関しましては他日を期しまして、現在日米間に起っている具体的な未解決の懸案について、抽象論を避けて、具体的に政府の御所信を伺ってみたいと思います。従って政府側も、これに対しまして具体的に御答弁をいただきたいと思います。  まず今の日米間のいろいろな懸案を見てみますると、政府側の怠慢または無気力が災いしておるのか、あるいはアメリカ側の誤まった対日政策、あるいはわが国の国民感情を無視したような拙劣な政策によるものであるか、いろいろ議論はありましょうが、とにかくあまりにも解決すべきものが解決されない現状であります。  まず第一にお伺いしたいのは沖繩の問題でありますが、現在御承知通り沖繩では、米軍が基地として非常に広大な土地を借り上げている。大体坪当り沖繩B円で二円でありますから、べらぼうに地価を無視した安い値段でありまして、これについて地元の人々は、すでに三万八千人の訴願を行なって、約十倍の値上げを要求しております。これは常識的に見て当然だろうと思いますが、これについて新聞の報ずるところによりますと、アメリカ側も反省しまして、これに対して五千万ドルあるいは千五百万ドル何とか出したいというような報道が、まちまちに伝わっておりますが、政府側として一体これを十倍にする自信があるのかどうか、またアメリカ側がこれに対しまして一体幾ら予算を組むつもりであるか、何らかの折衝をしておるかどうか、またあるいは回答が来ておるかどうか、現状につきまして、及び将来の見通しでもいいからはっきりしたお答えを願いたいと思います。
  4. 中川融

    中川(融)政府委員 ただいま御質問のありました問題につきましては、政府も従来より、何とか沖繩におけるわが同胞の窮状を救いたいということを考えまして、累次アメリカ側折衝いたしておりますことは、福田委員も御承知のことであろうかと思うのであります。この日本側折衝の結果、同時になおアメリカ国内におきましても、沖繩における人権問題ということが相当重く取り上げられておる模様でありまして、新聞その他等でも相当これがいろいろ論議されておるようであります。そのような事情もあると考えるのでありますが、アメリカ政府におきましては、目下沖繩につきまして土地問題に関する新しい政策を立案、実施するということを考えておる模様であります。この点につきましては、在米大使館が常時アメリカ政府折衝いたしておりまして、的確な内容はまだわかるに至りませんが、大体の方針といたしまして、一つ相当思い切った改革をしたいということをアメリカ政府は申しております。おそらく法案の形等になりましてアメリカ議会に提案され、近く実現するのではないかと考えております。なお具体的内容につきましては、われわれは的確にはそれを聴取していないのでありますが、その内容等におきまして、われわれの目から見ますと、なお若干沖縄の実情にそぐわないと思う点もあるようにも考えられますので、そのような点につきましては、できるだけこちらの考え方アメリカ側にも連絡いたしまして、できるだけ実情に沿った、現地のわれわれ同胞希望に沿ったものにしたいというように考えまして、努力いたしておる次第でございます。
  5. 福田篤泰

    福田(篤)委員 現在ワシントンでこの問題について正式の機関を通じて熱心に折衝が行われておる。まことにけっこうでありますが、中間報告として何か具体的な数字が討議されたかどうか、あるいは見通しのついているものがありますならば、もう少し具体的に内容を承わりたい。
  6. 中川融

    中川(融)政府委員 ただいまのところ政府が得ております情報は、現在の土地借り上げ価格というものが、アメリカとしては、一応それをきめた当時におきましてはいろいろの調査によって、大体公正であると思う基準によってきめたのであるけれども、その後現地の非常に強い要望その他から、さらにそれを再検討いたしまして、現在の借り上げ価格を相当上回る借り上げ価格を算定いたしまして、これによって新しい土地借り上げを行いたいと考えておるようであります。しかしながらその借り上げます際の方式といたしまして、一年ごとに地価を払うというような方法よりも、一括いたしまして、相当長期にわたっての借り上げ料を、土地を持っている人に支給するという格好考えておる模様でありますので、この点につきましては、現地のわれわれ同胞希望はそういうやり方ではないので、やはり通常の土地借り上げと同じような方法で、毎年々々地価を払っていくという格好にしてもらいたいということを、さらに、非公式でありますが、われわれが要望先方に伝えて、できるだけそのような方法に近づけるように向う折衝いたしております。
  7. 福田篤泰

    福田(篤)委員 この前のビキニの補償の例もありますから、不当な価格一方的にアメリカ側から最後案として提示されて、こっちがのみ込むような羽目にならないように、もし中間折衝において不当なりと認められる価格が提示された場合には、こちらからも強く要求せられんことをあらかじめ政府希望申し上げます。  これに関連して、どうしても切っても切れない問題として小笠原の問題がございます。それは、沖繩では一応原住島民居住を許され、こういう問題が起った場合にも、居住権なり土地権借地権につきましても、強く発言権を持ってアメリカ側折衝し得るのでありますが、小笠原は、御承知通り領土権日本にありながら、いまだ島民の帰島が許されていない。われわれには理解しがたい、きわめてみじめな、不公平な取扱いを受けておるのは、政府も御承知通りであります。沖繩に比べまして発言権もなく、また国際的に見ましても重要な問題にかかわらず、その対米交渉につきましての基礎が弱いという、まことに同情すべき点があると思うのであります。すでに十年になんなんとして、百二、三十の混血児以外はいまだに帰島を許さない。これについては吉田内閣以来、各党派を越えまして、本委員会におきましても熱心に討議され、昭和二十八年八月四日には衆議院で帰島促進に関する決議案が上程、満場一致で可決されております。また翌二十九年二月十日には本外務委員会におきましても参考人を呼んで、関係当局と十分討議された問題でありますが、一体この帰島の問題はどこまで日米交渉が進展しおるか。またわれわれの得た情報によると、国務省側はきわめて理解がありますが、海軍側がなかなか頑強であってこれを許さないという情報がありますが、東京における駐日米国大使との交渉、ないしはアメリカにおけるアメリカ側との日米交渉の今までの経過を御報告願いたいと思います。
  8. 中川融

    中川(融)政府委員 小笠原に関します問題につきましては、本委員会政府側から累次機会あるごとに御報告いたしておるところでございますが、この問題につきましてはもう三年以前より、機会あるごとにアメリカ側に善処を要望してきておるところでございます。アメリカ側内部におきまして、あるいは国務省軍当局意見の違いがあるのではないかというような御意見もございましたが、われわれもアメリカ内部におきましていろいろな議論があるということを承知しております。小笠原の問題につきましては、根本的な問題といたしましては、平和条約によるところの行政権その他の三権をできるだけ早く日本に返してもらいたいということが、根本のわれわれの考え方でございます。その点につきましても機会あるごとにアメリカ側に申し入れておるのでありますが、現在の国際緊張状況においては急速にこれを実現することは困難であるということが、一貫した先方態度でございます。その行政権等日本に返すことが当分不可能であるというのならば、それでは旧島民、旧住民だけでも帰してもらいたいというのがその次のわれわれの主張でございます。これにつきましてはただいま御指摘のありましたように、ヨーロッパあるいはアメリカ系少数の旧島民のみが復帰を認められて、それ以外の人たち復帰を認められていないのでありまして、これは公平の原則から申しましてもはなはだわれわれとしてふに落ちないところであります。またそれらのいわば内地に強制疎開しておられる旧島民方々は、生活その他におきましても非常に不利益な立場にあられるわけでありまして、非常にお気の毒な状況でありますので、何とかこの人たち復帰を認めてもらいたいということを、これも強く交渉しておるのでございます。ところがこれまた軍事上の要請ということでなかなか実現を見ないのであります。われわれとしてはさらに第三の手段といたしまして、実験的に、たとえば少数の人を帰して、ほんとうにそれが軍事支障があるかどうかということを実際に実験してみたらどうかということも、すでに約一年前より申し出ておるのであります。これにつきましてはアメリカ政府の一部では非常に同情的に取り上げて、いろいろ部内の調整をしていてくれておるのでありますが、やはり現地における軍事上の必要ということから、それもまだ実現をしていないのであります。これにつきましては、行政権復帰ほどは、向うとしても根本的に困り方がおのずから違うであろうと考えまして、できるだけこれを実現するように、さらに努力いたしたいと考えておるのであります。しからばこれがいつごろ実現するであろうかという見通しになりますと、ただいまのところ遺憾ながら的確な見通しを申し上げるわけにはいかない状況でございます。
  9. 福田篤泰

    福田(篤)委員 日本政府でも今あなたが答弁されたように、きわめてこれは不合理であり、同時にまた帰島を許された百数十名のわずかのものも、混血児とはいいながら、やはり日本人の国籍を持っておりますから、明白にこれは差別待遇である。これはあなたも認めておる通りでありますから、この矛盾をそのまま、ただ向う軍事的理由というだけで簡単な拒否をされて、手をこまねいておったのでは、いつまでたってもこの問題は私は解決できないと思う。そこで従来通り向う通り一ぺんの軍事的理由で拒否してきた場合に、しばらく時期を待つとかあるいは泣き寝入りをするというような態度をとられるのか、あるいはもう少し的確に具体的な有効な措置をお考えになるか、もう一点その点をお伺いしたい。
  10. 中川融

    中川(融)政府委員 旧島民方々復帰の問題につきまして、先方が言いますところの困難であるという理由は、特に軍事支障があるということでありますので、われわれとしては島民の方が復帰されても、決して軍事支障を及ぼすようなことはないと確信するということをいろいろの具体的の例をあげまして、たとえばいろいろの産業に従事するに当りましても、決して軍事支障のないような方法でできる、また経済的にも決して軍当局に迷惑をかけるようなことはないように実施できるというようなことを、いろいろ具体的な事例等につきまして例をあげまして、先方折衝しておるのであります。従ってこのような方法によりまして具体的な計画を立てまして向う折衝するのが結局一番近道ではないか、また最も有効な方法ではないか、それ以外にこの問題を実現するための近道というものはやはりないのではないかと考えまして、できるだけ日本側の誠意を込めました計画案具体案というものを提示することによって本件の早急な実現をはかりたいと考えております。従ってそのような方法で今後も強力にこれを推進していきたいと考えております。
  11. 福田篤泰

    福田(篤)委員 統治権の完全な回復は、沖繩と同様に、小笠原に対してわれわれは国民的な要望として当然やりますが、これは時間がかかりますので、先ほど来申し上げた通り、帰島問題については、沖繩ではちゃんとあれだけの人がいても少しも軍事機密の漏洩については心配ないのでありますから、アメリカの言うことはきわめて不合理であり、理解しがたい。この点について従来のなまぬるい態度はやはりあなた方改めて、強く、もっと具体的なわれわれの納得し得るアメリカ回答を得るなり、あるいはこの経過国内に広く発表しまして、どちらの主張が正しいか、むしろ世論に訴えるくらいな意気込みをもって当らなければ、この問題は解決しないと思います。この点十分御研究願いたいと思います。  それからこの問題に関連しまして、先ほど沖繩借地料の問題が出ておりましたが、すでに小笠原島民引揚げて約十年、しかも八千人の人が、多くは生活保護者で、窮乏のどん底の生活をしておりますが、二十九年十月九日に自由党でも大きく取り上げまして、政調会で正式にこれを討議いたしました。そのときの関係官庁の御答弁結論的に簡単に申し上げますと、外務省側としては、帰島問題がまず第一である。一時アメリカが金を出してこれを関東州みたいに租借してしまうというような案は、これはもちろん日本側としてけったのでありますが、帰島問題にじゃまになるようなことはこの際避けたいという御意向であった。大蔵省の方はなかなか片づかないとすれば、当然島民の所有する私有財産、あるいは土地であるとか農業であるとか、水産であるとか、従来大きな産業を持っておったのでありますから、その人々に対する損害補償、いわば特損法に類似したような形式において、何らかの補償をするのは当然であるという結論に達しました。しかし大蔵省側意向として一応外務省がもっと強腰にアメリカから金をとるべきことを主張し、当時の渡辺財務官が渡米中であって、その結果を待って、アメリカがもしはっきりしないで金を払わぬような場合には、日本政府として当然考える、こういうように、これは議事録にもはっきりと載っておるわけですが、今政変にあいまして鳩山内閣になりましたが、この原則は依然として現政府関係当局において認められるかどうか。まずその原則をお伺いしたいと思います。
  12. 中川融

    中川(融)政府委員 ただいま御指摘になりました件につきましての政府事務当局考え方というものは、前内閣当時とかわっていないと考えております。対米折衝の面を受け持ちます外務省といたしましては、自来非公式ではありますがアメリカ側折衝したのであります。アメリカ側といたしましても、旧島民方々が、復帰できないがゆえに非常な経済的損失を受けておられる。当然所有権に基きまして経済的な利益を受けられるべきものが、復帰を認められないゆえにその所有権を行使できず、そのために損害を受けておられるという事情は十分わかっておるのであります。しかしながらそれを補償するという問題になりますと、アメリカ側としてはやはり法律問題をどうしても与えなければならない。そうなると一体そこまで法律解釈としてアメリカ政府補償の義務が生ずるやいなやというようなことにつきまして研究はしておりますが、なかなか結論が出ないというのが実情のようでございます。この点につきましてもあるいは非常に少い補償、たとえば現実にその土地を貸しておるとすれば、それに対して払うべき地代というようなものを支払うということはあるいはできるかもしれぬというような話もあったのでありますが、われわれとしてはそのような額では満足できないのでありまして、所有権を行使できないがゆえに生ずるあらゆる損害補償の対象として考えておりまして、なお折衝中であります。しかしながらこれにはやはり今の法律解釈等々、先方の困難もある模様でありまして、なかなかこれまた遺憾ながら早急に実現は困難ではないかと考えられておるのであります。従って外務当局としましてはこの問題とは一応切り離して国内における補償問題が進められるということをむしろ希望しておるところでございます。
  13. 福田篤泰

    福田(篤)委員 今の御答弁によりまして、アメリカとの話し合いがなかなか進む見通しがない、そういう場合には当然日本政府がこれに対して適当な処置をとってやるべきだということを承わりまして安心しましたが、これについてそれでは一体どのくらいの具体的な数字をお考えになり、また大蔵省にどういう折衝をするなり、あるいはアメリカに対して資料を送って折衝の材料にするとか、今までやりましたことにつきまして承わりたいと思います。
  14. 石井通則

    石井説明員 南方連絡事務局といたしましては一昨年の末ごろであったかと思います。小笠原の連盟の方々が特に、本土におきましては行政協定等によりまして駐留軍から一応、土地を使用、収容された場合、あるいはその他アメリカ軍行為によって損害を受けた場合に補償がなされておる。そこで小笠原にも領土権はあるのであるんだから、本土と同様の補償日本政府として考えてもらいたいというような要望がございましたので、それ以来いろいろ検討いたして参りまして、関係各省で当初非常に議論もまちまちでございましたが、ある程度の意見もまとまって参ったのでございます。その後議会で取り上げていただいた。また昨年十月に自由党政調会で一応の方向がきまったように思いましたので、その方針に基きまして事務当局といたしましては、いろいろやり方を検討いたしまして案を作って参ったのでございます。考え方といたしましては大蔵省の申しますように、やはり一度は外交折衝もしてもらう必要があろうと思っておりますが、現在のように外交折衝をせられた状況におきましては、将来どういうふうになっていくか見込みがつきませんので、事務当局としては何らかさしあたり日本政府措置をしなければならぬじゃないかと思って今日まで考えてきておるような次第でございます。  まずそのやり方といたしましてはいろいろの考え方があろうかと思いますが、現在本土で行われております日本国に駐留するアメリカ合衆国軍隊等行為による特別損失補償に関する法律、この法律に似たような措置をとるのが一番安当でなかろうかというようなことを考えまして、この法律によってもし補償をしたとした場合にはどのくらいの金額になるかということを算定して参ったのでございます。御承知のことでございますが、昨年自由党政調会で取り上げられましてから、講和発効前の小笠原島民のこうむっておられる損失に関しましては、見舞金として約千七百万円を支出いたしたのでございますが、講和発効後の分は懸案となっておりますので、講和発効後の分をその基準で計算してみますると、約六億六千万円になるのでございます。この六億六千万円は小笠原島民農業所得損失として推定されるものが三億五千万円程度であり、漁業所得損失として考えられるものが約三億円でございます。ただしこの数字は終戦前の小笠原農業生産の額と漁業収益の額、農産物あるいは魚の価格上昇指数を見出しまして、その上昇指数によって現在島民が帰島をして漁業を営みあるいは農業を営むとすれば、どのくらいの損失があるかということを推定いたした額でありますとともに、なおこの金額講和発効日以後昨年の末日までの期間の損失として計算いたしておるのでございます。この数字によりまして大蔵省要求をいたしたのでございますが、大蔵省としましてはいろいろな理由があったろうと思いますけれども、残念ながらその要求の額は計上されるに至らなかったのでございます。なおその金額とともにこれが補償方法につきましては、現在本土で施行されております法律によって支給することが困難でありますので、別途小笠原島民補償に関する法律を制定しなければならぬと考えておるのでございますので、その補償基準となるべき法律についての南方連絡事務局としての試案は、今日いろいろな案を考えてきたのでございますが、大体先ほど申し上げましたいわゆる特損法に似たような法律案を作らなければならぬじゃないかというように現在まで考えてきたのでございます。  なお対米折衝に関する資料といたしましても、大体その農業所得漁業所得損失というものを、先ほど申し上げましたような基準で計算いたした資料外務省に差し上げたような次第でございます。
  15. 植原悦二郎

    植原委員長 ちょっと委員長として私もう少し突っ込んで了解しておきたいので、中川アジア局長にお尋ねしますが、行政権返還については再三交渉しておる、今でも交渉しておる、こういうような御答弁であったが、一体それに対して向う主張しておるところが、返還できなければできないというのでいいのですが、ただ再三交渉しておるということじゃ困るのです。向うはいろいろ国際上の情勢はありましょう。極東におけるいろいろの国防上や国際上の情勢もありましょう。だからして返還しなければ返還しないでそれを考えなければならないが、それに対してどんな交渉をし、どんな回答を得て、今では外務省でどんなお考えでしょうか、それをはっきりしておきたいと思う。  さらにはっきりしたいことは、島民向うへ送還するということに対しても交渉しておるがまだらちがあかないというが、もし向う行政権を返さないということであるならば、何のゆえにそこに居住する権利のある島民を帰さないのか。それらに対して具体的にどういう交渉をなされてどういう段階に今あるかも実は伺っておきたい。  それからさらに今の行政権をもし向うが持っておるというならば、それらの島民の持っておる所有物を使用する場合においては、それに対して賠償を払うべきが当然である。それを向う行政権を持ち、しかもそこに居住しておる島民所有物を行使しておりながら、それに賠償もしないというような問題が起るのは一体どういうわけか。その問題がきまらなければ、大蔵省にすぐ賠償しろということも無理じゃなかろうかと思う。それらに対するはっきりした中川アジア局長の今までの経過や具体的の事実をもう一度伺っておくことは、この委員会としては必要じゃないかと思います。
  16. 中川融

    中川(融)政府委員 ただいま委員長の御指摘の点でございますが、琉球、小笠原両群島につきましては、御承知のように平和条約によりまして日本は立法、司法、行政三権の全部もしくは一部というものをアメリカ政府が行使することを承認しておるのであります。アメリカ側のそのときの意図は、これを将来国際連合信託統治にするという考えでありまして、信託統治にする場合にはこれに日本は異議を差しはさまない、承諾するというのが条約の書き方になっております。ところがサンフランシスコ条約を調印いたします当時におきましては、アメリカ側考え方が相当かわって参りまして、要するに国際連合信託統治に付するということは将来の目的としてはあるけれども、おそらくはこれを信託統治に付するという事態にはならずに、結局は日本返還するという事態になるのではないか、従って日本としてはこれらの両群島については潜在主権を持っておるということをはっきり認めたわけであります。従って日本としては将来潜在主権をはっきりして新たな顕在主権に変えてもらうということが究極の目標でありまして、しかもできるだけ早くそういう事態になるということが日本の最も希望するところであります。従ってアメリカにしま対しましては平和条約発効以後いわば継続的にその要求をいたしまして、その結果沖縄につきましては奄美群島の返還ということが一昨年現に実現したわけであります。ところが奄美より南方にあります沖縄本島等につきましては、その際にもアメリカ側態度をはっきり声明したのでありますが、現在の東亜における国際緊張が継続する間は、沖縄本島等については日本側行政権等を返せないということをはっきり言っております。小笠原についても随時日本側要望に対しまして、やはり現在の国際緊張が継続する間は、小笠原も返せないということをはっきり言っております。しかし日本はそのアメリカの言い分を決して承認したわけではないのでありまして、そういうアメリカの意図がはっきり言われた後におきましても、なお機会あるごとに行政、司法、立法の三権を返してもらいたい、潜在主権を顕在主権に変えてもらいたいということを主張し続けてきておるわけであります。一方小笠原につきましてはそういうことでただいまのところはアメリカ政府があらゆる行政を行なっておるわけであります。日本としては潜在主権を一応認められておりますが、あくまでも潜在でありまして、何らこれにつきまして主権国としての権利の行使はできないのでありまして、アメリカ小笠原でしておりますことにつきまして、実際問題、政治問題外交問題として日本はいろいろの注文もつけ、こうしてもらいたいということをいろいろ折衝交渉はいたしますけれども、やはりこれは法律的に申せば、アメリカ国内事項であると見ざるを得ないのでありまして、アメリカ国内事項によりましてアメリカ法律に従って小笠原にあります土地その他のものを使用いたします際も、アメリカ国内法に基きまして補償等が行われるのでありまして、その国内法が不当であるかどうかということにつきましては、日本側は実質的に見て不当であると思う際には、日本人保護という立場から外交折衝をするわけであります。日本の領土であるからそこでそういうことをしてはいかぬというふうな意味での法律問題としては交渉ができないという建前になっておるわけであります。  なお現実の問題といたしましては、アメリカ小笠原を占領いたしまして、ここが海軍の指定地域になっております。従って軍事施設等がいろいろありますけれども、小笠原の原住民の方々復帰が認められません関係上、果していかなる財産をいかに使用しておるかということにつきましても、的確な資料が入らないわけでありまして、この点につきましてはわれわれといたしまして現地交渉する上に非常な支障があるわけであります。小笠原日本側の人を派遣いたしまして、ここで現実に実情も見たいということもかねて申し入れておるのでありますが、これもアメリカ側軍事上の必要と理由ということからまだ許すに至っておりません。ただいま日本側アメリカに対して主張しておりますところは、先ほども申しましたように、小笠原島民の方が——この方々はいわば戦争末期に日本側政府行政措置によって強制疎開せしめられて内地に来られたわけであります。しかしながら戦争が終りまして平和な時代になった以上、当然その方々が旧所有地に帰られて、所有のいろいろ財産を使われまして生計を営むということを認めてもらいたいということは、これは人道上と申しますか、事実上の問題として当然日本側として言えることであります、その意味で交渉を続けておるのであります。アメリカ側は遺憾ながら現在までのところ旧島民の方の復帰を全面的には認めていないのであります。占領中少数の旧島民の人の復帰は認めましたが、これは昔のヨーロッパ系、アメリカ系の子孫の人たちについてのみ占領軍当局復帰を認めたのであります。その点につきましても先ほど申しましたように、そういう人種によって区別することは、はなはだおかしいじゃないかということについて向う折衝しておるのであります。先方はその点は十分わかる、しかし初め来られた方々小笠原に帰ってのその後の状況から見ても、どうもこれ以上の人が帰られることは非常に困るということを言いまして、いまだにわれわれの要望をいれていない実情でございます。
  17. 植原悦二郎

    植原委員長 お答えによってかなり明瞭になったと思います。アメリカの沖縄や小笠原に対する行政権日本がこれを承認したのだから、その所有権向うでは持っておると言わないで、日本の潜在権を認めておる、それだけは確かだと思う。現在小笠原から日本に来ておる人は、日本が戦争のために政府で立ちのきを命じた人だ、それだから沖縄に居住しておってその人の所有しておる財産に対してアメリカが使用の賠償を払うのとかなり事が違う、こういう主張だと思います。ところが日本政府からその立ちのきを命ぜられて日本居住する人でも、依然としてそこの所有権を持っておることは事実です。そこでその所有権を持っておるものを向うで行使する以上は、アメリカ国内法でも賠償しなければならない形じゃなかろうかと思う。それゆえに沖縄に居住する人と、小笠原居住しないで日本に立ちのきを命ぜられて帰っておる人との差別を向うでつけておるのじゃなかろうかと思う。それらに対する突っ込んだ御交渉をなすったことがあるかどうか、伺っておきたい。
  18. 中川融

    中川(融)政府委員 財産権につきましてのアメリカとの交渉の現段階は、委員長がただいま御質疑になりましたようないわば突っ込んだ段階に入っておるわけでありまして、小笠原に残っております旧島民方々の所有財産というものを使用しておるものに対する補償ということは、これは沖縄の例等に比べてみましても、そのような事態がある場合にはアメリカ補償するのは当然でありまして、この点については先方もある程度考慮する考えがあるように見受けられます。しかし日本側向う要望いたしておりますのは単にそれだけではないのでありまして、小笠原島民の方が復帰できないがゆえにこうむるあらゆる損害復帰が許されない事実に基くあらゆる損害、先ほど政府委員から申されました六億六千万円、あの金額アメリカ日本補償すべきであるという趣旨の交渉をしておりますので、そういうことになりますと、アメリカとしても相関関係はよくわかるけれども、法律問題として説明が果してできるかどうかという点で、やはり研究しなければならぬということで、その点において非常に時間をとっておるわけでございます。われわれといたしましては、単に小笠原にあります所有地等の使用料ということでの交渉になりますと、金額も非常に小さくなりまして、ほとんど旧島民の方の御満足を得るわけにいかない金額でございますので、そういう形ではなくて、復帰できない事実に基く損害というふうな形で交渉いたしております。
  19. 福田篤泰

    福田(篤)委員 今月の十日にワシントンで在米資産の返還交渉がなされたようであります。これなどは御承知のようにサンフランシスコ条約で日本人が財産権の返還要求の権利を放棄した。それすらも熱心な交渉に、よっては、向うは全部とはいいませんが一部を認めて、私有財産を尊重するという原則を生かしておる。この点によりましても、このような不合理かつ不当——不法とはいわなくても、少くとも不当きわまるアメリカ政策のために、われわれ同胞八千人が非常に困っておるというような状況を見たときに、政府側としても、私は従来のような微温的なやり方ではらちがあかないと思うのです。どうぞ本委員会で各委員の方からの質問もずいぶん出たのでありますから、そういう議事録などはどんどんワシントンに送られて、そうして日本国内における世論というものも絶えず反映させる必要があると思いますが、そういうような態度について、また努力について、私はまだ欠けておるところがあるのじゃないかと思うのであります。この点について在米資産の返還の一例もありますから、政府側のもっと突っ込んだ積極的な交渉によって必ず打開できると私は思うのであります。法的な、また具体的な資料はたくさんあります。たとえば今、日本行政措置によって引き揚げたと言われますけれども、これは事実に相違しております。最初は日本行政的に引き揚げさせましたが、あとはアメリカ軍初め、マッカーサーが長く居住することを許して食糧まで貯蔵しておった。ところが海軍のニミッツの横やりで途中から、あそこにおることを変更して最後に引き揚げたのが実情であります。資料も全部そうであります。そういうふうにわれわれとしてはアメリカに対して言い分がたくさんある。それから今まで八十回近い陳情その他を行なっておるにかかわらず、ちっとも効果が見られないということは、アメリカ政府の不誠意か、日本政府の無力か、どっちかでありまして、今までの努力に対しては敬意を表しますが、この問題は長くほっておけない問題でありますから、材料は幾らでも出してあるわけでありますから、積極的にこれを生かされて、駐米大使を督励してこの問題を促進するように強く要求いたしておきます。  それからもう一つ最後に言っておきたいことは、そういう意味におきましても、外務省におきましても対米交渉がどうしてもなかなか簡単に行かないという場合には、当然日本政府でこれは考えるべきだといった線を再確認されたことを私はここではっきりと再確認いたしたい。これはおそらく現政府大蔵省当局の予算編成上の財政技術の上から今度の予算に盛れなかったと思いますけれども、この趣旨については大蔵省等もはっきり賛意を表されておる。今後はこれは予算上の問題であるから、別の機会にわが党としてもいろいろ研究いたしたいと思いますが、原則だけを再確認しておきたいと思います。
  20. 松本七郎

    松本(七)委員 関連して。今の小笠原諸島の問題ですが、これは旧敵国の日本国民の一部である小笠原島民に対する処置として、極東の情勢その他理由は何であるにしても、現在のアメリカの扱い方というものは明らかにポツダム宣言の違反じゃないかと思いますが、どういうふうに考えられておりますか。
  21. 中川融

    中川(融)政府委員 ポツダム宣言と関連せしめて研究したことは実は今までないのでございますが、ポツダム宣言は日本人で在外といいますか、日本国外に行っておる、あるいは軍人さんで行っている、あるいは在留民として国外に行っているという人たち日本本土に帰るということについて規定してあると思うのでありまして、従って日本国内におきまして、さらにその中におきましてすぐ出身地にそれぞれ帰すということまではないと思います。平和条約ができましたときの平和条約の書き方からのみ見ますれば、結局小笠原、沖縄というものは、ある意味で将来日本から離され得るというような書き方になっておるのであります。従って必ずしも小笠原、沖縄というものを平和条約自体におきまして日本本土と全然同じには、あの当時は扱っていたかったのじゃないかと考えます。小笠原島民方々小笠原に帰されないということは、人道上から見まして非常によろしくない、納得できない、また軍事上その他の必要から見ても困難がないじゃないかということで交渉いたしておるのでありまして、ポツダム宣言の違反であるという趣旨で交渉しておる次第ではございません。
  22. 福田篤泰

    福田(篤)委員 今の松本委員のポツダム宣言に関連して。法的にはアメリカに文句を言えない、道徳的には文句を言えるという考え方は少し間違いである。たとえば百二十三名の混血児は国籍は日本人であります。これに対して日本政府はいかなる保護とその教育処置についての責任を今とっておられるか。それをまずお伺いしたいと思います。軍事基地にいて日本の国籍を持った者が明らかに百人以上おるにもかかわらず、日本政府はどういう処置をしておるか。たとえば沖縄には地方事務所が置いてありまして、教育その他生命財産の保護の責任を持っておりますが、小笠原はどういう処置をとっておるか、法的にまずお伺いしたい。
  23. 中川融

    中川(融)政府委員 純法律的な解釈といたしましては、結局立法、司法、行政三権を全部アメリカに渡すことを認めておりますゆえに、いわばアメリカ国内にある日本同胞と同じ地位に立つのではないかと考えられます。アメリカ国内にあります日本同胞の保護等のためには、領事館というものがあるわけでありまして、従ってわれわれとしても、もとより小笠原につきましても、できるだけ日本政府機関を設けまして、これの保護あるいは権利の擁護ということに当らせたいのでありますが、この点につきましても、沖縄の事務所を作ります際に、アメリカ側に対しまして、これを交渉したことがあったと記憶いたしますが、アメリカ側としては、小笠原につきましては、このような考えはないという態度を一貫してとっておる、かように考えております。これは人数が少いということがおもな理由じゃないかと考えております。
  24. 福田篤泰

    福田(篤)委員 非常に奇妙な御答弁だと思うのであります。沖縄と小笠原とは、御承知通り平和条約の第三条で、眠れる主権というか、潜在的ではありますが、領土権日本は持っておる。ただ統治権三権向うが握っておるだけでありまして、わが国の領土であることは確実であります。その眠れる主権であるがわが領土に、日本の国籍を持った者が百人以上おる。これについて日本政府はどういう保護の処置をとっておるかお伺いしたい。沖縄と小笠原とは国際法的に見て同一であります。人数が少いか多いかによって領土権内容、性質に変更があるものじゃありません。一方においては那覇市に事務所を置いてわが邦人を保護し、小笠原においては、ただ一方的なアメリカの拒否によって黙って見ておる。これはわが吉田内閣も当然責任があると思いますが、現内閣も当然重大な責任があると思うが、どう考えるか。
  25. 中川融

    中川(融)政府委員 実際問題と法的な解釈の問題と分けて考えたいと思うのでありますが、法律問題といたしましては、日本の潜在主権がこれらの地域にあるだけでありまして、潜在であって現われてこないのであります。従って現われてくる問題といたしましては、いわばアメリカの完全なる行政権のもとにある地域と同じ結果になるわけであります。従ってアメリカ国内にある日本同胞に対しまして、日本政府がどのような保護を加えるかという問題と、結局同じになると思うのであります。その場合に、またもう一つの問題は、小笠原は海軍地域であります。沖縄も、いわばアメリカの事実上の軍政地域でありまして、そのアメリカ国内の法の体系からいいまして、純粋のアメリカ国内とまた違ったアメリカ側考え方が出てくると思うのであります。そのような理由からでありましょうか、沖縄におきましても、日本の事務所が設けられておりますが、これは要するに、沖縄の住民の人たちに対して保護をするためのという機関ではないのでありまして、日本政府のとるべき行政事務というものを現地において執行する。たとえば恩給でありますとか、遺族扶助料でありますとか、このようなものをそれぞれの権利者に渡す。まあ一つの例でありますが、そのような仕事を行う機関として置いてあるのであります。いわゆる領事館的な機能というものは、アメリカ側も沖縄の事務所については認めていないのであります。それが不当であるというふうな判定は、もちろん可能であります。しかし純法律問題として見ますれば、アメリカが自分の国のある一定の地域につきまして、日本の領事館の設置を認めないということがありましても、これは日本として、それ以上法律問題として抗議をするというわけにはいきかねると考えております。
  26. 福田篤泰

    福田(篤)委員 きょう初めて中川局長からそのような御答弁があって、私は非常に驚いている。そういう気持だから、私は対米交渉がうまくいかないということを、はっきり申し上げます。領事館を置くような、いわば日本がほうってしまった外国の領土のようなものだ、アメリカのものだから、何とか一つ返してくれたらと、恩恵的な気持だったら大へんなことになるのです。先ほどおっしゃったように、片方は住民が何万、だから事務所も置いてある。片方は百名ちょっとだから、アメリカも置かせないからがまんしてほうっておくのだ。これでは私は国際上ゆゆしき問題だと思う。私は外務省としての重大な責任をあなたに追及せざるを得ない。なぜ沖縄と小笠原と違いますか。なぜ片方に事務所を置かないか。しかも領事館的性格云々と言われましたが、初めて私はそういう正式な答弁を伺った。条約局長もおりますが、そういう事務所がありますか。領事館にあらず、日本の事務所にあらず、従ってその法的な任務は、邦人の保護にあらずしていわば連絡機関であると、まるでわれわれが占領治下にあるような感覚である。これについて両局長の明確な御答弁を願います。
  27. 中川融

    中川(融)政府委員 条約局長答弁いたします前に、私の答弁を補足いたしますが、お断わりいたしましたように、法律問題とそれから現実の実際問題と分けて御答弁したのであります。私の先ほどの答弁は、法律的な解釈の問題を申し上げたのであります。現実の問題としては、対米交渉は非常に熱心にわれわれとしてはやっておるのでありまして、しかしそれは法律問題に基かず、政治問題、外交交渉の問題として取り上げてやっておるのであります。このような方法でやることによって、私は一番よい結果が得られるのではないか、かように考えております。  なお沖縄と小笠原と地位が違うということは、私は言っておらないのでありまして、同じであると思います。同じでありますが、片方に日本の機関が置いてあり、片方に日本の機関が置いてないということが、どういう理由でそうなったかということのアメリカ側考え方を、いわば御紹介したわけでありまして、決して日本政府が、それらが違う地位にあるというふうなことを考えているわけではないのであります。
  28. 福田篤泰

    福田(篤)委員 アメリカの海軍の基地だとか、あるいは陸軍の基地だとか空軍の基地ということは、向うの戦略上の勝手であります。私が今伺っていることは、両方とも法的に同じ眠れる主権を持ったわが領土でありまして、小笠原には少くとも百名以上の日本人がいるのですから、これについて当然日本政府は、これはさっき申し上げた通り、沖縄と同じように、責任ある官吏が出張して、この保護その他に当るべきだと思います。今お話では、折衝したが、片方は少いからと断わられたと言うのですが、断わられて黙っているのはおかしいと思う。統治権は握られておりますが、沖縄と同じようにこの眠れる主権を持ったわが領土である小笠原に対しまして、あらためて日本の事務所設置方を、強くアメリカ側要求するお考えがありますか、これをお伺いしたい。
  29. 中川融

    中川(融)政府委員 少数でありましても、われわれの同胞がおりますところにおきましては、日本政府といたしまして、できるだけのお世話をするということは当然であります。従って、そのための適当な方法ということは常に考えているわけでございます。ただいままでのところ一つも具体的な形となって現われていないのは、はなはだ申しわけないところでありますが、今後におきましても、何とか日本政府の、それらの人々をお世話するという意味での方法を積極的にとりたい、かように考えております。
  30. 福田篤泰

    福田(篤)委員 今の御答弁で少し安心しましたが、適当な方法という、いわば議会の常用語であるおざなりな答弁でなくして、さっそくあしたでもきょうでも、上司の決裁を得て、アメリカに対してはっきりと、百何十名の日本人が、早く言えば全然日本の手を加えられずにいるのでありますから、これに対して適切な御処置をとるという交渉を、直ちに始められんことを強く要求しておきます。並びにその結果について、最近の機会に当外務委員会に御報告方をお願い申し上げます。
  31. 中川融

    中川(融)政府委員 承知いたしました。そのような措置をとりたいと思います。
  32. 穗積七郎

    穗積委員 議事進行について。けさほど理事会で申し合せをいたしました富士山ろくの米軍の実弾射撃地の問題について、本委員会現地調査するように議運に申し入れを委員長にお願いしてあるわけですが、その後の報告をしていただいて、取扱い方は緊急にしていただきたいと思うので、報告していただきたいのです。
  33. 植原悦二郎

    植原委員長 須磨君から私にかわって国会対策委員長の方へ交渉していただきました。そのことを須磨君から簡単に御報告願ってこの問題を取り扱いたいと思います。
  34. 須磨彌吉郎

    ○須磨委員 ただいま議運はまだ開かれておりませんでしたが、その関係者並びに私の方では国会対策委員長等と相談いたしましたところ、そういう希望があるならば、これはまず外務委員会でおきめになることがよろしかろう、こういう意見であるようでございます。それがないうちに議運だけが先ばしってそれをきめるということは、ちょっと先例も乏しいわけであるから、外務委員会で先にやられる方がいいであろうという御意見でありました。これを御報告いたします。
  35. 穗積七郎

    穗積委員 須磨委員からせっかく委員長にかわって話をしていただいた報告は、今伺った通りですが、前にもどって、委員会で至急案を立てて決定をしていただきたいのです。さようとりはからいを願います。
  36. 植原悦二郎

    植原委員長 今穂積君から御意見がありましたが、けさ理事会においても一応そういうことに異議がないのだ、こういうことですから、あえて決をとる必要はなく、この委員会においては富士山ろくの問題に対して至急現地視察をするということにきまった、こういうことを議運の方に報告することにいたしたいと思います。御異存なければそうきめたいと思います。
  37. 穗積七郎

    穗積委員 それはけっこうでございますが、そうなりますと、委員会は一体何人、いつから幾日間、どういう目的をもって現地視察をするかということを正式にきめて申し入れられないと、その意思だけを表明して向うで中身をきめてもらうということはあり得ないと思うのです。こちらで決定いたしました計画内容向うで承認してもらって、そうして議運で正式な手続を完了してもらう、こういうことになろうと思うので、委員会といたしましては、行く意思があるということだけではなくて、緊急を要しますから、目的、期間、人数等をこの委員会で決定して向うに申し込まないと、向うは立案者ではありませんから、その内容をきめるわけにはいくまいと思うのです。
  38. 植原悦二郎

    植原委員長 御意見わかりました。
  39. 松本七郎

    松本(七)委員 それはやはりそこまでこちらできめないで、緊急にやらなければならぬということをここできめて、それを議運に持ち込んで、議運でもってそういう事態ならばよろしいということになる。その上でなるべく早い機会に何名行くか、いつ行くかをきめる。そうしないと全部今からきめてしまっても議運の方でそれは困るということになるとまずい。委員会でもって緊急性があるから行かなければならぬということをきめさえすれば、議運でそれなら認めるということになる。その上で至急に委員長の方で日取りなり人数等をきめていただくということにしていただきたいと思います。
  40. 植原悦二郎

    植原委員長 二つの御意見がありますが、松本君の御意見でいいのではないかと思うのです。委員会できめてよろしいということになれば、それから何人行ってどうするということをきめたらどうです、穂積君。
  41. 穗積七郎

    穗積委員 それでもけっこうです。
  42. 植原悦二郎

    植原委員長 それではお諮りいたします。先ほどの理事会で御協議のありました北富士の米軍演習場に関する問題については、当委員会より調査のため委員を派遣いたしたいと存じます。この旨議長に承認を求めたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  43. 植原悦二郎

    植原委員長 御異議がなければさように決定をいたします。なお派遣委員の数、人選その他の問題については、委員長及び理事に御一任を願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  44. 植原悦二郎

    植原委員長 御異議がなければさように決定いたします。福島調達庁長官がおいでになりましたから、その質問をお許しいたしたいと思います。質問通告順によってこれを許します。福田篤泰君。
  45. 福田篤泰

    福田(篤)委員 一点だけお伺いいたします。予算委員会において福島長官は、今問題になっておりますジェット機の滑走路拡張について答弁されておりました。そのときに、大体内定したのが五つでありましたが、そのうちで東京都下の二つ、いわゆる立川、横田といわれておりますが、新聞紙上で拝見しますと、立川の基地について、あなたが管轄されておる調達庁の関係宮が調査したところが、砂川町の役場でその調査を拒否されて追い帰されたということですが、この点はどうなんですか。
  46. 福島慎太郎

    ○福島政府委員 ただいまお話の砂川町に参りまして追い帰されたと申しますか、調査もせずに帰ったということは、まだ報告は聞いておりませんが、おそらく事実だろうと考えております。
  47. 福田篤泰

    福田(篤)委員 もしそれが事実とすれば、私は大きな問題だと思いますが、たとえばこの滑走路の拡張問題は日米間の一つの大きな懸案であったと私は聞いております。一応両国間できまったことを日本政府の責任でこれからやるわけでありますが、それが事前に調査に関しての事項すら地元との円満な妥結ができなくて、最初から追い帰されたというようなことになった場合に、調達庁長官としては今後どういうふうなお考えを持っておりますか。
  48. 福島慎太郎

    ○福島政府委員 追い帰されたという新聞記事があったわけでありますが、追い帰されるというと語弊がありますので、私から追い帰されたということを申し上げておるつもりはないのであります。大体こういう性質の事柄でありますので、初めに用地拡張ということで話に参りまして歓迎されるということはないはずなのでありまして、一応最初のときに話がつかなかったということについて別段驚いてもいない次第でございます。
  49. 福田篤泰

    福田(篤)委員 そうすると、驚かないとすれば、いかに地元が反対しても必ず強行されるという御意見でありますか。
  50. 福島慎太郎

    ○福島政府委員 いかに地元が反対しても強行するということで初めからかかっておるわけではありませんので、地元にお願いしておりますのは、どういうふうに拡張したら最小限度でアメリカのいう飛行機の飛べる飛行場にすることができるかというその調査の願いに参っておるのであります。それをいかようにするかということは調査の上できめなければなりませんので、調査もせずにあきらめるというわけにはとうてい参らぬのでありますから、調査だけは、いかようなことがありましても、幾ら手間がかかりましても、口説き落して調査させていただこうと思っております。
  51. 福田篤泰

    福田(篤)委員 そうすると、向うがもし調査を拒んだ場合にはどうするのですか。
  52. 福島慎太郎

    ○福島政府委員 ちょっとやそっと拒まれましても、しんぼう強くお願いするつもりでおりますし、そういう歴史もわれわれ持っておりますので、多少のことは自信があります。
  53. 福田篤泰

    福田(篤)委員 調達庁長官としては、この調査にいろいろ困難があっても、目的は必ずこれを拡張したいというお考えですか。
  54. 福島慎太郎

    ○福島政府委員 調査は相当な困難がありましても、調査の目的は貫徹したいということでございます。調査の上で、飛行場用地に適するようにするには地盤がやわらか過ぎるとか、あるいはこの用地は大き過ぎるとか、そういうことがきまって参りますればまだ話は別でございますけれども、申し上げておりますことは、まずもって調査をするということであります。ほかにも飛行場問題があるわけでございますから、均衡をとる意味におきましても、調査もせずにあきらめる、そういうようなことはほかの飛行場に対しても義理も立ちませんので、調査だけは是が非でもやらしていただくように懇願するつもりでおります。それをあくまでやると申し上げましたのは地面をとるということではないのでございますから、御了承願いたいと思います。
  55. 福田篤泰

    福田(篤)委員 これからなかなか大へんなお骨折りだと思いますが、大体予算委員会でも伺っておりましたがはっきりしないことは、この予算の問題について大体ワクはどれくらいとるとお考えになっておるのか、また話がきまっておるか、また調査に対する時日はどれくらいの期間を予定されておるのか、これを伺っておきたいと思います。
  56. 福島慎太郎

    ○福島政府委員 調査に関しまする時日は四十五日という技術的な意見もあるのでございますが、できるだけ早く三十日くらいで終らせるようにいたしたいと考えております。現在のところは愛知県の小牧を除きましては一件もまだ調査にかかっておりませんので、これらの調査の同意を取りつけた上でやることになりますので、同意がいただけましたらそれから三十日ないしもう少しかかるということになるわけであります。なお予算の点に関しましては、これは防衛支出金に計上せられておるわけでありますが、こまかく分れておりませんが私どもに関します限りは、この飛行場の関係を大体十二億円と予算を計上して御審議を願う予定になっておりますが、これがどういうふうにはっきりこまかく分れておるかということは、まだ飛行場の大きさ自体がきまらない次第でございますので、きまっておらないわけであります。
  57. 福田篤泰

    福田(篤)委員 けっこうです。
  58. 植原悦二郎

  59. 穗積七郎

    穗積委員 私は実はきょう総理並びに外相に出席を要求いたしておきましたが、お見えになりませんので遺憾の意を表しておきます。  次に、調達庁長官がお見えになりましたから、富士山ろくの実弾射撃の問題だけ一つお尋ねしたいと思います。  新聞その他でも報道されておりますし、現地の諸君からも多少事情を聞いておりますが、長官からお手元へわかっております実情を第一にお尋ねいたします。  第二は、アメリカとの協定の立場から見まして、交渉経過はどういうふうになっておるのか。ちょっと説明申し上げますと、県知事を初めとし地元の諸君は、現地調整は完了していないと主張しており、米軍の方はこれは完了したと主張しておるようですが、そこに食い違いがあります。長官の御意見新聞紙上では拝見いたしておりますが、その後新聞に発表になっておりましたような御意見であるかどうか、それを伺っておきたい。これが第二点。  第三点は、今後これをどういうふうに処理されるおつもりであるか。まずその三点について総括的に御答弁をいただきたいと思います。
  60. 福島慎太郎

    ○福島政府委員 北富士演習場の問題は、今回のいわゆる射撃事件が起ります前に種々の懸案がありまして、それの解決が延び延びになっておったということがまずもってあるわけであります。それが今回の射撃事件が紛糾した土台になり原因になると考えております。実情は北富士演習場を二地区に分けまして、かりにA地区、B地区と申しておるようでありますが、一方、つまりA地区は被弾地区、インパクト・エリアと称しまして、B地区の方はたまの落ちない地区ということになっておるわけであります。従来はこの被弾地区、A地区において実弾射撃をしておった。ところが数カ月以前に、これは結局公式には出て参らなかったのでありますが、現地米軍担当官が、従来たまの落ちなかったB地区にもたまを落す演習計画考えなければならないかもしれぬ、つまりB地区も被禅地区にならなければならぬかもしれぬという話をしたことがあるとかいう話でありまして、たまの落ちる地域が広がるということで紛糾を来たしたわけであります。そこでアメリカ側はB地区にたまを落すことをあきらめまして、射程が延びて参ったわけでありますので、B地区の中からもともと通りのたまの落ちる場所へたまを落すという演習方式を考えたわけです。従って先般来紛糾しておりました北富士演習場問題というものと、今般の射撃事件というものとは全然性質の違うものである。ところが演習場の使用条件の協定がございまして、もちろんA地区はたまの落ちる地域である、B地区はたまの落ちない地域であるということがまずもってきめてあり、A地区とB地区との中間には船津という林道が一本、それから吉田口の登山道に一本と、道が二本ありますので、B地区からA地区に向って登山道二本をたまが越える場合には、前もって現地の当局、つまり県当局の意味であろうと思います。現地の当局と調整をするということが協定に書かれておる。従いまして、これは昭和二十七年にできました協定でありますが、そのときからB地区からA地区へたまを撃つということは予定されておった。ただし七、八、九月の登山期は撃たないこと、七、八、九月を除いて撃つ場合には県当局と用談して、時期、場所その他をきめてから撃て、こういう意味でありましょう。原則としてはB地区からはたまは撃たないのであるけれども、A地区へたまを撃て、いずれにしてもB地区にはたまは落ちないということが絶対の条件になっておる。B地区、A地区と申しましても別にまん中に海があるわけではありません。かりに筋を引いておるわけでありますから、B地区側からA地区側にたまを撃つ場合には、県庁と事前に調整をするということになっておる。そこで今回はアメリカ側が四月の初めに、B地区の一地点からA地区の通常たまの落ちる場所に射撃演習をしたいということを申し入れて参った。県はそれを選挙その他の関係もありということで断わったわけです。アメリカ側もそれを了承して引き下った。五月になりましてあらためてB地区の一点からA地区の通常たまの落ちる場所へ撃つ射撃演習を九日から六日間、その後日数は変化いたしましたが、十三日まではやりたいということを言って参ったわけです。これは協定に予想されておることでもありますし、協定にはB地区から道を越えてA地区にたまを撃つことは原則として禁止するように書いてある。しかし七、八、九月を除いて撃つ場合には県当局と調整すると書いてあるわけでありますから、例外的にB地区からA地区へ射撃するということを計画しても、県当局との間に時日、場所等の調整がとれればいいという意味になると思います。しからば今回申し出たのは例外的と認められるかどうかということがまずもって問題になりますけれども、北富士演習場を使い出しまして以来八年間一ぺんもそんなことを言ったことはない。今度初めて四日間なり五日間なり撃ちたいということを言って参ったので、これは明瞭に例外として言って参ったということは間違いない。しからば例外事項としてきめてある事前の調整ということに県当局は応じてその時期その他を定むべきであろう、こう私は思っておるわけでありますが、県は五月の射撃をまた断わった。また断わってもそれはいいのです。五月の九日から十六日までこれはいかぬと言う。いつにしてくれとか、この場所では困るということは私は差しつかえないと思います。これはその後県知事に確かめ、アメリカ側とも交渉してわかって参ったことでありますが、県の方は将来とも絶対にB地区からA地区にたまを撃ってくれては困るということを言ってがんばったわけであります。そういう書類も——全部電報でありますが、あるのです。それをアメリカ側が持って参った。ですからアメリカ側の理屈から言えば、例外的には調整をした上で撃てるということに明文は書いてあるのに、その調整を申し込んだら絶対に撃たさないということは調整に応じないことなんだから、まずもって県側の方が協定違反じゃないか。われわれの方はアメリカ側に言わせればアメリカ側は四月に聞いてみていかぬと言う。選挙だという、じゃ五月だという、しかも五月の返事は絶対に撃たさぬという。しかし協定には明瞭に調整して撃てると書いてある。だから調整の義務は果した、片一方は絶対に調整しないということを言っておる。それで撃つのだ、こういう理屈になってきた。そこのところがもめているわけです。ただきのう県知事さん、その他の方ともお話したのですが、B地区からA地区にたまを撃つということは、現実に被害は一つもないわけです。従来撃ってなかったところで大砲の音が聞えるようになれば、観光客その他も減るだろうということは言えないことはないかもしれませんし、その意味において被害があるといえば言えないこともないでありましょうが、これまた今申し上げましたように、今後のことはわかりませんが、八年間にたった六日間ということを言ってきたのでありまして、そういう実害というものは私ども想像できないのですが、射撃をするという行為自体には被害はない。但し県側なり地元民としての不安は、それを足がかりにしてB地区が被弾地区になるのではないか、あるいはその他の演習もB地区で——今ほとんど使っていないのですが、活発にやるような純然たる演習区域になってしまうのではないかという不安が根本にあって、これが原因でもめておるわけで、射撃そのものは別に痛くもかゆくもない、こういうことを言っておるのであります。いずれにいたしましても県側はアメリカ側の射撃が不法であると称し、アメリカ側は県側が不法であると言い、それで対立しているのが実情であります。  合同委員会においてという御質問でございましたが、昨日開催いたしましたのは施設特別委員会でございまして、合同委員会の本物ではないのでありますが、施設特別委員会におきましては、今の協定に違反するかどうかというところまで問題になったわけで、申し上げましたような理屈を向うに言って、こちら側はそれは日本側アメリカ指摘する通り協定違反——私もそれは考えざるを得ないような気がいたしますが、調整すると書いてあるのに協定に応じないという返事をするということはいかがかと思うけれども、さりとて調整が済んでいるというアメリカの言いぐさも少し無理じゃないか。アメリカが県当局との間に調整する、県当局がわけがわからずに調整しないというのであれば、なぜ私のところでも何でも中央へ文句を言ってこないか。そういう意味で調整が、実質的には日本側よりアメリカ側の方がよけいに調整の努力をしたということは事実でありますけれども、形式的に完了しないということは、しいていえば言えるのではないか。従って事前の調整云々ということが論議されたわけでありますが、これは申し上げましたような事情でありまして水かけ論になるわけです。そうすると私の昨日の感じでは、相当な水かけ論になったのでは、射撃の方はきのう始まったのですが、どんどん進行してしまう。しかも十三日には終るという射撃なのであります。この水かけ論を二、三日くらいやるのはわけはない、そのうちに射撃の方が済んでしまうということになっては、これは仕事としては醜態であると考えまして、また施設委員会委員として出て参りますアメリカ側の諸君では、これを急速に解決するという責任のある処置がとれないと考えましたので、これは協定違反とかあるいはどうだということで施設委員会の問題であるかもしれないけれども、私自身としては施設委員会における論議はこの辺にしておいて、直接現地の司令官なりあるいは極東陸軍の司令官なりに交渉して、事態を解決するようにした方が話が早いと思うから、アメリカ側委員がわれわれの権限だというふうに突っぱらないようにということで、その了解も得ましたので、昨日のところでありますが、実は正直なところは今朝でも行くつもりでおりましたら、向うでも来てほしいという状況なのでありますが、陸軍の責任者と直接私が交渉して片づけてみようと現在考えておる次第でございます。県知事さんとも昨日会い、お話をしておりますので、大体私の考えておりますような線で事態が引き戻されていけば何とかなるでしょうというお話であったと考えております。
  61. 穗積七郎

    穗積委員 長官にちょっと申し上げておきますが、本委員会では事が緊急重大でございますから、近く議長の承認を求めて現地調査をしてみたいと思いますし、場合によりましては現地の諸君のいろいろな事情を聞いてみたい、その予定であります。従って今われわれとしては現地状況をずっと見ておりませんので、一般的にお尋ねするわけでございますが、使用協定によりまして例外を認めて——その場合には例外であるということが一つと、もう一つは現地の承認を得るということが条件になっておるのでございますが、第一これが例外のケースとして認められるか、られないかということについての内容の判定、それはどういう場合に認める、つまりアメリカ軍事的な必要を生じた場合には向うが勝手に例外といっておるのじゃないか、こちらの日本政府としては例外として認めるわけにいかぬということを一般的に言うことができるという解釈になっておりますか、例外という場合をどういうふうに御解釈になっておりますか。向うが例外をきめるのか、こっちがきめるのか、その点をどういうふうに解釈しておるのか、伺っておきたい。
  62. 福島慎太郎

    ○福島政府委員 例外として存在するということになると、その場合現地当局といいますか、知事といいますか、それの承諾を得るとは書いてない、調整をすると書いてある、例外としてはそういうことがある、八年間一ぺんもなくて、この際四日間とか五日間とか言ってきたことは私はりっぱにこれは例外であると考えております。
  63. 穗積七郎

    穗積委員 それではお尋ねしますが、現地調整の内容でございますが、これは通告をもって足れりという意味なのか、こちらの承諾を条件とするものと解釈されておるのでありますか、どちらでありますか。
  64. 福島慎太郎

    ○福島政府委員 その点が明瞭でないことが問題の起りであろうと私はひそかに考えておりますが、しかし調整をするということはやりたいといい、それに対して県側が時期が困るといい、あるいはその箇所が困るといい、それによって相談を重ねておるわけでありますし、承諾と申しますか何と申しますかわかりませんが、いずれにしても調整という以上はその期日なり場所なりについて双方の意見が一致するということが必要であろうかと考えております。しかしながら今回の山梨県側の断わり方のように、未来永劫いけないのだという断わり方は、調整という字の存在する以上は、義務違反といえると思います。
  65. 穗積七郎

    穗積委員 私のお尋ねしておるのはそういうことではありません。山梨県側の断わり方の文書の内容解釈が協定違反になるかならぬかということはその次にお尋ねするので、私のお尋ねしておるのは現地の承諾を条件とするかどうかということをお聞きしておるのでありますが、念のために条約局長のお考えを伺っておきたい、われわれの解釈では当然この場合に承諾が条件でなければならぬと思いますが……。
  66. 下田武三

    ○下田政府委員 条約でございませんので、私権威をもって御答弁する地位にございませんが、調整という字が英語で何という字を使っておるか、今長官に伺ったのでございますが、コオーディネイトという字を使っておるのです、ですからアグリーメントという意味ではないと思います。双方の当事者の同意がなければできないということでなくて、コオーディネイトということでございますから、非常に漠然としておって、むろんやる方も一方的にやるということはできないでしょう、理想的には両方の納得の上でやるということでございましょうけれども、いつまでも納得が得られない場合には協定の面から見ますと、射撃することができるとなっております。権利を明白に与えておるわけでありますから、やはりそちらの方に重点を置いていかなくちゃいけない、そういう気がいたしております。
  67. 穗積七郎

    穗積委員 私ども日本人は、アメリカの文書に対しては責任を持たないのでありまして、日本人といたしましては、日本文によります協定並びにこの法律の通念によって条文解釈すべきであって、現地調整を条件としております以上は、調整がつかない場合にはやらない、例外のときにのみやるということが、一つ条件になると思うのです。それからもう一つの条件は、調整がついた場合にのみやる、この二つの条件がついて初めてその権利が行使されるのであって、そういう例外的な権利が付与されておりましても、それを行使する条件が満たされなければ行使はできないと解釈するのが、われわれは当然の解釈だと思うのであります。あなたは少しアメリカの側に立って、アメリカのために解釈しておられるようなので、われわれとしてははなはだ心外でございます。そうなりますと、現地調整という条件は死文になるわけです。おかしくはございませんか。明らかにこれは調整がつくということが条件である。私は円満なる調整がつくことが条件になっていると思うのです。
  68. 福島慎太郎

    ○福島政府委員 その点はきのうの施設委員会でも問題になりました次第もございますので、私からとりあえずお答えいたしたいと思いますけれども、日本側としては、調整した上で例外が認められることになっておる以上は、調整が完了することが必要であろうということは、少くとも先方に対しては言っておるのでありますが、これは県庁も含めて日本側全体として調整を拒絶しておいて、調整が必要なのだという言いぐさが成り立たない。そこで施設委員会においてこの調整問題を議論するわけにいかないということでございます。
  69. 穗積七郎

    穗積委員 それでは続いて関連してお尋ねいたします。つまり絶対に困るということは、永久に困るという意味だと思うのです。しかも絶対という言葉は、現知事並びに現町村民の予想できる時期までの範囲においては困りますという意味に解釈すべきであって、これはそのつど断わっていいわけでしょう。そのつど断われば、協定違反でも何でもないのです。それならば絶対という言葉を使ったからといって、それは協定違反だ、頭から協定そのものを否定したものだ、協定違反だというようなことを言いがかりにするのははなはだ酷であり、だからといって、それじゃ権利が生ずるかということです。断わり方が悪いから断わり直せということだと思うのです。あくまで調整はできていないのです。たとえば絶対という言葉を使ったと仮定いたしましても、今度の申し入れに対して断わったというそれだけの効力はあるのです。その次の例外の場合に申し入れたときに、この一本の通告でもって断わりの意思表示になるかならないかということは出てきません。第二のケースが出た場合は、今度はその言葉の有無にかかわらず、今度の申し入れに対して調整に応ずるわけにはいきませんという意思表示に少くとも解釈すべきであって、ただ絶対という言葉が——もう一ぺん申し上げておきますが、次にまた来年同時期に申し入れがあった場合に返事をしなかった。返事をしないのは当りまえであって、われわれは意思表示が済んでおる。昨年絶対断わると言っておるんだから、その意思表示をもって次の時期に十分足りるんだということは解釈としては少し行き過ぎである。そうでなくて、この絶対という言葉を使ったから断わりとしては不法であるから、断わりの意思表示は成立しないという解釈は、これはわれわれが習った法律通念ではとうてい成立しないと思うのです。どういうわけでしょうか。
  70. 福島慎太郎

    ○福島政府委員 その点は、今回の山梨県側の回答がおっしゃる通りであれば非常にけっこうであったと思っておるのです。昨日も県当局が——そういう事務的な面を追及するのは酷であるといたしましても、当の責任者であった担当者なども来ておりますので、私の彼らに注文いたしましたこともそれなんです。なぜ五月九日から十四日まで撃ちたいと言ってきたときに、それは困るということをはっきり断わらなかったか、その次に来たらまた断わればいいんだ、なぜ包括的に断わるんだということを注意したのです。ところが相手は申しわけありませんと言って頭をかいておるのです。山梨県は明瞭に包括的に断わったつもりでおるのです。
  71. 穗積七郎

    穗積委員 包括的に断わったらこの調整は成立したものと解釈されるわけですか、条約違反であるから意思表示を別にしろ、あらためて拒否の意思表示をしなさいということを言われるならば別ですが、そういう断わり方をしたから調整は成立したものと解釈するわけですか、そんなばかな話はないですよ。
  72. 福島慎太郎

    ○福島政府委員 調整が成立しておるとわれわれが考えておると申し上げたことはないのです。アメリカ側の方が実質的に調整の努力をよけいしたとは思うけれども、なおかつ完了してないということは考えられるのではないかというふうな言葉で申し上げたつもりでございます。しかし日本側にも落ち度があるではないかと言うから、これは水かけ論になる、十四日までしかやらない騒ぎに対して水かけ論で時間を空費しておったのでは、仕事としては思わしくないのではないかという観点から、その問題はそれとして、責任者との交渉によって射撃をやめさせる、あるいはその解決をどうするかという交渉に移りたいと考えておると申し上げた次第であります。
  73. 穗積七郎

    穗積委員 それでは時間もたって他の委員の御質問に御迷惑ですから簡単にいたしますが、私はこの断わり方は何もその協定を知っておって、そうしてそのことに対して法律の文章として絶対という言葉を使ったのではなくて、強い意思表示として断わるという、つまり強い拒絶の意思表示として使ったものと解釈して、だから協定を否定するという意思表示ではなくて、今度の申し入れに対してはこれはあくまでやめてもらいたい、調整には応じられないという意思表示であるとあなた方がおとりになって、それで向う交渉せられるのが妥当だと解釈いたしますが、そういうお考えはあるかないか。  それからもう一つは、先ほどの条約局長のお話は、われわれはなはだ不本意でございまして、現地調整が条件でございますから、調整が成立しない以上はその権利は行使できないとあくまで解釈すべきであると思いますが、それに対して満足のいけるような御答弁をお願いしたいのです。
  74. 下田武三

    ○下田政府委員 こういう取りきめで相手方にある権利を与える場合に、いろいろ書き方がございます。アグリーメント、つまり同意を得た上で何々することができるという権利、この場合には明白に他方の当事者がいやだと言えばできないわけであります。つまり条件付の権利を与える。ところが条約の場合には、コオーディネーションという字はむしろコンサルテーションという字を使う方がいいのでありますが、その場合にはどうするかといえば、あることをする権利は明白に与えるのであるが、その権利を行使する前に協議する、この場合には調整するということでございます。だから日本側はやぶから棒に実弾射撃をやられては困ると言う権利があるのであります。その場合に協議してくれ、あるいは調整してくれと言う権利があるわけです。ところがコオーディネートするということは、いつから撃つから、それじゃバスを通すのはやめよう、あるいはその場合は前からの長い予定でバスが通ることになっておるから、その日を変えてもらいたいという、両方の当事者の都合を合致させるということがコオーディネーションです。そのコオーディネーションを日本側がはかる機会が与えられておりながら、初めから調整にあずかる権利を放棄しておると見ざるを得ないのです。県当局の態度はどだい頭からいかぬというのですから、相談には応じない。日本側は相談にあずかり、日本の都合を主張する権利を持っておりながら、その調整をやる権利を放棄しておるわけでありますから、これは日本側態度もいいとは言えないと思うのです。しかしまた一方、コオーディネーションということがわざわざ書いてあるのでありますから、完全なコオーディネーションができないにもかかわらず一方的に撃ち出したということは、福島長官がおっしゃった通りアメリカ側にも確かに落ち度がある。結局この時期をめぐって両方に落ち度があるということで、米軍の上級責任者と話をなさって解決をするという以外にこの際解決方法はないのではないか、そういう感じがいたします。
  75. 穗積七郎

    穗積委員 福島長官にちょっとお尋ねいたしますが、あなたが交渉に当っておられるわけですから、従って私はあくまで現地との意思の調整が完了する、一致することが権利行使の条件であると確信いたします。そういうことで一つ進んでいただきたいと思うがどうか。それから今の県側の意思表示は、今申しました通り、協定そのものを否定するという意思表示というものではなくて、この際の実弾射撃に賛成するわけにいかぬという意思表示としてこの場合は取り扱うべきだ。それに欠陥があるからお前の方は眠らなければならぬということを言うことは、これはもう明らかにけんか腰の言い方であって、アメリカ側としてはそういうことは不当な言いがかりだと私は思いますが、そういう意思表示としてこれを取り上げて向う交渉していただきたいと思うがどうか。それからもう一つ時間がありませんから続けてお尋ねしておきますが、今後の方針については、相手のあることですし、交渉前のことですから、ここで一々方針をおっしゃる必要もないと思いますが、もしそれができれば、どういう方針でお進みになるつもりであるか、明らかにしていただきたいと思います。それから第四点としては、交渉が妥結するまで、少くとも現在、昨日から始めました実弾射撃は、地元民のアメリカに対する感情、生活の擁護の点から見ましても、日本政府の権威から見ましても、一まず中止せしめることが当然の措置だと思います。交渉の結果がどうなりましょうとも、交渉が妥結するまでとにかくやめてもらいたいということを要求をし、それを実行せしめることが肝要だと思いますが、そういうことについて長官の決意のほどを伺っておきたいと思います。
  76. 福島慎太郎

    ○福島政府委員 ただいま御指摘のありました県側の断わり方にまずいところがあるということは、県側にさように注意もし、確かめもしておるのですが、そのままそれをアメリカ側に言っておるわけではないのでありまして、アメリカ側はそういう理屈は言うのですけれども、われわれとしては、県側に言っていること、またここでわれわれどう考えてみても日本側の方で権利を放棄したくさいというようなことはお答えはいたしておりますけれども、アメリカ側に放棄したとは言っておるのではないのでありまして、アメリカ側に対してはあくまでも先方の調整努力が完了しておらないという点を指摘して話をしておるわけであります。従いまして県の処置に対して私ここで申し上げたことは過酷でありますけれども、それをそれと同じ言葉、同じ内容アメリカ側と話をしておるわけではないのでありますから、その点を御了解を得たいと思います。アメリカ側は、県の断わりましたときの電報を持って参りまして、こういう断わり方だからということを言っているので、これは水かけ論を承認せざるを得ない。少くもそういう証拠でも残しておいてくれなければ、まだ話のやりようはあるのでありますが、いかんとも収拾のつかないあいさつの仕方になっておる。従いまして私の力の足りない点もありますけれども、この問題が水かけ論になっておるという点だけはいかんともいたし方ないという情勢なのであります。そこで施設委員会においてそういう権利もしくは違反論をやっておりますひまもない事態でありますので、上級指揮官との間に直接了解をつける。その場合には、もちろんアメリカ側の調整の手続の完了してないということ、日本側の落度その他は別として、いずれにしても、いかような事情があろうとも、アメリカの手続も完了してない次第もあるので、射撃は取りやめてほしいということはまずもって言わなければならぬと思います。ただ問題は、これははなはだここでこういうふうに申し上げるのは恐縮なんですけれども、とめさせると申しましても、早くとめさせないと十三日には自然に終ってしまう。昨日来私も行きたがって騒いでおるのですが、けさも先方から催促されて、向うの司令官も会うと言っておりますし、私もいろいろな時間の都合で午後の時間を指定したのですが、午後は演習の関係で遠くへ出る、午前中ならば、午前中かりに行けるにしても、ここから座間までは一時間もかかるからというので、ヘリコプターでも出してやるからというので大騒ぎをしておるのですが、いかんせんこちらの方にも伺わなければならぬということになりまして、かけ合わなければならぬと言いながら、まだ全然かけ合っていないというのが現状であります。従いましてこれはどうなりますか、十三日に済んでしまうというのをつかまえてやめさせようというのですから、これは実際的にはなかなかむずかしいところもあるわけです。やめさせなければならぬということはわかっておりますが、やめさせるのが問に合うかどうかという問題が一つありますので、やめさせるという主張は強く繰り返す決意ではおりますが、それだけで交渉に臨んだのでは、万が一交渉が長引いているうちに済んでいるということでは醜態でありますので、その他の腹をきめてかからなければならぬ。結局これは県知事も指摘しておりますように、B地区の一地点に砲座を設けるが、その砲座を設けるために新たに木を切り倒すわけではなく、あいているところに砲座を設ける。またそのために道を設けるわけでもなく、通常の道から入ってくる。それで従来の東口から撃っている経験から言っても、途中におっこちる心配はない。そういう場合には射撃自体よりも、県として、あるいは地元民としてほんとうに心配しているのは、B地区が被弾地区に将来なるのではないか。あるいはそれ以外にB地区に関連するいろいろの懸案があるわけでございます。問題は小さくなりますが、農民の立入りとか、あるいは登山道の閉鎖の問題、そういったような懸案が解決するならば、そのうちにたまの撃ち方も終ってしまうわけでもありますし、また運よくこれを取りやめることができ、調整した期日において撃たせるというようなことにでもなりますれば、こちらの方は解決すると思うのですが、この機会に従来の懸案、それから地元民の一番心配の種になっておりますB地区というものを実質的にA地区と同じようにするのではないかということを解消させるということが、その交渉の眼目になるかと考えております。
  77. 植原悦二郎

    植原委員長 稻村隆一君。
  78. 稻村隆一

    ○稻村委員 実は軍事基地の問題、これは今さら言ってもしようがないのですが、実際吉田外交は実に困ったことをやったと思う。軍事基地の問題は、イギリスとかフィリピンなどは制限があるのですが、日本はほとんど無制限に要求されれば仕方がないようになっているのです。それをただ協議だとか調整だとかいうあいまいな言葉を使っているわけなんですが、おそらくアメリカとしては、協議、調整しても日本の方でうまく言うことを聞かなければ勝手に強行する、こういう考えを持ってやっているのじゃないですか。
  79. 福島慎太郎

    ○福島政府委員 行政協定と申しますか、そういう基本協定に基き、それから派生いたしましたところの私どもの方の係のやっておりますこういう演習場の使用協定とかそういう種類のものは、協定いたしましたことをアメリカ側が尊重しないということは、それは個々末端に参りました場合に、そういう事態が発生したことが絶無であるということは申し上げかねると思いますけれども、アメリカ軍方針として日本政府との間に、たといそれが調達庁といったような官庁でありましても、協定をした事項を尊重しないのだという方針だとか、あるいはそういう傾向が顕著にあるというような事態は、絶対にないと考えております。
  80. 稻村隆一

    ○稻村委員 これは私の県ですけれども、やはり防衛分担金の削減から飛行場の拡張がきまったのです。それでこれは非常に重要な生活問題なんですが、二十万坪ほど外事課で調査を要求してきた。それに対して土地の農民が中心になって反対期成同盟を作りましてその調査を拒否しているのですが、これは新潟市会も反対を決議しているわけです。富士山同様の問題が起きるわけですが、二十七、八戸の農民が全然土地を失って生活ができなくなるわけなんですが、そういう問題、今どういうふうになっているでしょうか。
  81. 福島慎太郎

    ○福島政府委員 新潟の飛行場の滑走路の延長という問題はございます。ございますがまだ調査をいたしておりませんので、何らかのかっこうでこれを延長しなければならぬということは、これはきまっていると考えても、理論的には調査しなければわからぬということは言えるわけでございますが、実質的には新潟の飛行場の滑走路、これからの飛行機の飛べる長さにしなければ飛行場自体の意味がなくなるということでございますので、いくらかは継ぎ足さなければならないということは、事実としてはそういうことになるというふうに申し上げた方がよろしかろうと思います。ただ今日はまだ調査にもかかっておりません。調査をいたしましても、たとえば新潟の場合は一方が海でございますので、どちらに広げた方がいいかという調査はしなくてもいいわけです、一方に広がるにきまっておるわけであります。御承知のような地形でございます。どこへどういうふうに広げたらいいかということは調査後でなければわかりませず、従ってその大きさその他も調査後にならなければはっきりしたきまり方はいたさないと考えます。従いまして御指摘のございました二十数軒の家があるといったような問題その他につきましても、具体的に調査にかかりましてから三十数日あるいは四十日くらい、その間に計画を定めまして、いよいよどことどこを買収するということでお願いに上るかということが話がきまるわけであります。家などは、そういう場合にはできるだけはずすように計画するのは当りまえであります。それが何軒になるかというようなことは今からきめにくい問題でございますけれども、どうしても若干の家が入ることは、これまた御指摘通りだろうかと思います。その際には移転料とか立ちのき料とか、あるいはかえ地とか、そういう問題の処置になるわけであります。そういう処置につきましては万全の処置をとりたいとは考えております。
  82. 松本七郎

    松本(七)委員 議事進行について。私も発言の通告をいたしておるのですが、時間がおそくなったのと、それから例の今穂積さんから現地調査の問題で、議院運営委員会もそろそろ終るらしいので、期日も切迫しておりますから、私の質問は次会に譲って、すみやかに委員長の方から議運の方に交渉をしていただいた方がいいと思います。
  83. 植原悦二郎

    植原委員長 現地調査の問題はさっそく議長に通告して相談いたします。
  84. 松本七郎

    松本(七)委員 さっきのあれでいうと、正式な手続を議連にするためには、委員の人数からすべてきめていかんならぬのです。だから委員長が早く議運全体の空気からこれが認められるかどうかを確かめ、その上でできそうなら早くここで人数なりその他をきめなければならぬのですから、その時間がないから、さっき穂積さんが発言のように、ここでそれを今協議しておればおそくなるから、早く議運で大体これが認められるかどうかということを確かめた上で、早く人選しようということです。
  85. 植原悦二郎

    植原委員長 その通りです。それだから人数をいろいろきめておれば何だから、なるたけ迅速にこのことを取り扱ってもらう、交渉するということです。その通りです。委員長さように取り計らいます。  本日はこれにて散会することにいたし、次会は公報をもってお知らせいたします。     午後零時四十六分散会