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1955-07-05 第22回国会 衆議院 海外同胞引揚及び遺家族援護に関する調査特別委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年七月五日(火曜日)    午前十一時九分開議  出席委員    委員長 高岡 大輔君    理事 臼井 莊一君 理事 辻  政信君    理事 堀内 一雄君 理事 中山 マサ君    理事 神近 市子君 理事 戸叶 里子君       赤城 宗徳君    保科善四郎君       眞崎 勝次君    眞鍋 儀十君       楯 兼次郎君    柳田 秀一君       受田 新吉君  出席政府委員         外務政務次官  園田  直君  委員外出席者         外務事務官         (アジア局第一         課長)     小澤 武夫君         外務事務官         (アジア局借入         金審査室長)  池田千嘉太君         大蔵事務官         (理財局国庫課         長)      高橋 俊英君         文部事務官         (調査局宗務課         長)      宮川 孝夫君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人招致に関する件  在外公館等借入金整理準備審査会法の一部を改  正する法律案高岡大輔提出衆法第二五  号)  遺家族及び留守家族援護に関する件  修正意見申入れの件     —————————————
  2. 臼井莊一

    臼井委員長代理 これより会議を開きます。  この際お諮りいたします。昨日山下委員より提出されました未帰還者留守家族援護に関する提案に関しましては、理事会において協議いたしました結果、現在未帰還留守家族等援護法の一部を改正する法律案社会労働委員会審議されておりますので、本委員会といたしましては、未帰還者留守家族等援護法の一部を改正する法律案に対する修正意見として社会労働委員会に対し申し入れをいたしたいと思いますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 臼井莊一

    臼井委員長代理 御異議なきものと認め、さよう決定いたします。  なお右申し入れ方法等につきましては委員長に御一任を願います。     —————————————
  4. 臼井莊一

    臼井委員長代理 次に、お諮りいたします。ビルマ地区における戦没者の遺骨につきましては、いまだ収容慰霊も行われておりませんので、早急に収容慰霊を行なってもらいたいとの要望が各地にあります。本委員会といたしましては、早急に本問題を検討し、促進するため、さきに現地に行かれました方より現地の状況を聴取いたしたいと思いますが、これらの人を本委員会参考人として実情を聴取することに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 臼井莊一

    臼井委員長代理 御異議なきものと認め、さよう決定いたします。  なお、参考人招致の時日、手続等委員長に御一任願います。     —————————————
  6. 臼井莊一

    臼井委員長代理 次に、前会に引き続きまして在外公館等借入金整理準備審査会法の一部を改正する法律案について議事を進めます。  先日の委員会におきまして辻委員より述べられました修正意見本人より撤回の申し出がありましたので、ここに御報告いたします。  では、質疑を継続いたします。通告がございますので、順次発言を許します。中山マサ君。
  7. 中山マサ

    中山(マ)委員 私がお伺いしたい件は、あの当時の状態によりまして、日本政府在外公館受け取りを出すについても混乱の中で非常に煩鎖であるために、ある一つ団体とかそういうふうなところへまとめて、そうして一つ受取難風を出しておるというような事例がございまするが、これを、そのときの情勢にかんがみまして、その人その人に別にしましてお返しいただくことは不可能なものかどうか、私はお尋ねしたいのであります。私が今持っておりまするところの陳情書は、同じ家に住んでおった人で、中共軍が入って参りまして、そうして中共軍に対してお金を出せと言うてきたことについて、そのお金を出すことを渋りまして、持って帰る金ももう全然ないし、日本公館に出しておけばそれが日本へ帰った暁には払い戻してもらえるという、自分の国に対する信頼の感覚から、それを中共軍に出すことを断わって、そうしてそのお金自分名前在外公館の方に貸したら中共軍からどういう目にあうかもしれぬということをおそれまして、そうして自分と同居している人にその金をお渡しをして、その人はこの事情在外公館の方に申し入れて、そうして自分代理行為としてこの受取書を受け取っておる。しかも、この実情を明かしたので、その受取証も二枚にしております。同じ名前ですけれども、二枚にしてこれの受け取りをもらっておる、こういう特別のケースもあるわけでございますが、帰って参りましたところが、これは片一方は十万円ですか、片一方八方幾らという金でございますが、それを打ち切られてしまっている。その現実状態がここで完全に無視された形になっておるのでありますが、この問題についての当局のお考えをお尋ねしたいと思います。
  8. 池田千嘉太

    池田説明員 この借り入れの趣旨を具体的に申しますと、上海のごときにおきましては、一口五十方法幣以上にまとめて出してくれるようにという事務上の関係で、そういう依頼を借り入れる方から言ってありまして、そういう向きに対しましては、その内容がはっきりわかっておりますから、一々何人で出したというような内容のわかっている分については、一々に分けて、そうして証書各人に対して出しております。ただいまのお話のような場合も、もし確認されたとしましたら、証書は確か二枚出ているはずであります。それでこれは、支払いの場合において、支払い法律何条でしたか、一人につき五万円という限度がありまして、何枚証書が出ましても支払いの場合五万円で切られるわけでして、二枚で十八万出あっても五万円、一枚で十万円あっても五万円という、そういう関係になっておる事件だと思います。
  9. 中山マサ

    中山(マ)委員 これは受取書は二枚になっておるようであります。確認証は四二三八と四二三七ということになっておりますので、八万二千円と十万何がしという金になっておりますから、こういう二部になっておりますときには、それは名前一つでも別々にお支払いいただける。——今これは裁判になっておるのでございますが、それでは拒否されたものと見なければならないと思います。
  10. 池田千嘉太

    池田説明員 この返済の実施に関する法律の第四条に、同一人についての計算したその借入金金額合計額が五万円をこえるときは五万円ということになっておりますから、証書が何枚ありましても、同一名、義人の証書ならば、五万円以上は何枚あってもくれないわけであります。
  11. 中山マサ

    中山(マ)委員 前の発言あと発言は違うように思いまするが、それはどういうことなんでしょようか。
  12. 池田千嘉太

    池田説明員 これは、現実に借り入れた場合に、はっきりと上海の場合の五十万円以上にまとめて持ってこいと言った場合には、その内容が借り入れたもので全部だれとだれとだれが出したということがわかっておりますから、その通り証書を分けて書いたんでございます。それで各人金額は出しただけの金が返るわけになりますが、お話の場合は同一人の名義で出したという場合は、同一人に証書が二枚出るわけですし、その場合には、今申しましたこの第四条の規定によりまして、証書が二枚あっても、一人につき五万出以上は打ち切られるわけになるのです。
  13. 中山マサ

    中山(マ)委員 これは私は非常に不親切だと思うのであります。今これは裁判ざたにしておるくらいでございますが、それは同一人が出しましても、もしその同一人に対して団体的に出すというなら二枚出す必要はないと思うのであります。しかも、この人は生命の危険をおそれて、中共軍の要求に応じなかったので、もしこれをこういうふうにして日本国の方へ出せば、やられるかもしれぬというその命の問題についてでございますから、自分名前を特に秘したわけでございます。ですから、私は、これはそういうふうにまことにその日の生活にも困っているような人たちに対して、しかも、日本国の政治のとり方が悪かったために、向うにおる人がそういう苦しい目にあっておるにもかかわらず、幾ら裁判でも情状酌量ということがあるのでございます。まして国家がこういう状態にある人から借り金でございますれば、こり真相を証人によりまして聞いていただいて、二枚を渡してある以上は、私お払いいただくのが、国のとるべきところの真心と申しますか、当然の行くべき道であろうと思うのでありますが、これでも、二枚に持ってきたものでも払わぬとおっしゃるのですか。それは私どうも受け取れないと思うのであります。
  14. 池田千嘉太

    池田説明員 これは、先ほど申し上げましたように、特殊な事情がありまして、特に申し出てある場合は審査会においても十分審査したはずでございますが、一度証書になって同一人名義として二枚出た場合は、これは法律によってそういう取扱いをするということにきまっておりまして、支払い過程においてはどうにもならないのです。結局、審査会において審査の場合、それを二人の名義にし得る事情にあれば、証書を二枚にすれば二人に五、万円ずつ十万円払われるわけですけれども証書になった以上は、支払い過程においてはどうも方法がないと思います。
  15. 中山マサ

    中山(マ)委員 それでは、こういう事情を実際にお調べいただきまして、名前を今でも切りかえていただけますでしょうか。絶対にいかぬとおっしゃるのでしょうか。
  16. 池田千嘉太

    池田説明員 もう一度本人から申し出がありますと、審査会の方ヘかけて審議してみますけれども、こういう事情は、各地とも似たり寄ったりといいますか、特に満州あたりでは、満州国に協力した警察官とか満州国官吏というような人で、特に名を秘さなければならないというような立場の人もあったようですし、そういうのは、ずいぶん調べまして、特殊な事情として審査会でも審議したはずでございますから、もう一度審査会の方へ申し出願えれば、さらに審議し直してみることは可能だと思います。どういう結果になりますか、わかりませんが……。
  17. 中山マサ

    中山(マ)委員 それでは、ぜひこの問題もとくと実情に照らしてやっていただきたいと思います。なぜならば、命の問題がこれにかかっておったのでございますから、こういうようなことにしなければならぬ、しかもそれが全財産であった、引き揚げてきてまことに気の毒な生活をしている人に、金は借りて国が使ったけれども、そんな特殊事情は知らないんだというようなことでは、まあ終戦直後なら国の経済も非常に悪いのですから、あるいは泣き寝入りすることもあるかもしれませんけれども、もう十年たちまして、今日日本独立国にもなり、いささか経済もよくなっておるというところでございますから、ぜひ一つこういう窮地に立っておる人たちをお救いになることこそ——今日福祉国家とかいうことも言い、鳩山総理大臣友愛精神ということを内閣の一枚看板にしていらっしゃるのですが、これは、友愛どころか、友愛手前の問題だと私は思います。義務の問題であり、責任の問題であり、命にかかっている問題でございましたから、ぜひ一つその内閣々々のよって立つところの看板に従って処理していただきましたならば、野党といえども双手をあげて賛成する問題であろうかと私は思うのでございます。どうぞ、こういう問題は、ただ、しゃくし定木的に、こういう法律が出ているからあとは知りませんというようなことをおっしゃらないで、ぜひ一つその状態を真剣に調べていただきたい。審議会でも、いやこれは法律があるからだめなんだと一蹴するようなことでは、私どもが信頼するところの内閣とも審議会とも言いかねると思います。私どもはただ一代議士としても、こういうことならば、証人さえあれば聞いてやらなければならぬということがすぐ頭に来るのでございますから、ぜひお願いをしたいと思います。今おっしゃいましたこういう案件が全国でどれほどございますでしょうか。たとえば、警官とかいうような人たちは名を秘さなければならぬというようなことをおっしゃいましたね。私も舞鶴へお迎えに行って参りましたときも、帰ってきた人たちの中では、警官は必ず殺される立場にあった、それを、やっとのことで名前を隠して逃亡して帰ってきましたという人にも舞鶴で出会っておりますから、そのことも私はわかるのであります、そういうケース借入金の問題で何件くらいございまして、そのお金はどれほどになっておりますか。
  18. 池田千嘉太

    池田説明員 今お議の警察官とか満州国官吏という部分は的確に私は覚えておりませんが、何十件かあったように思っております。それで全部やっております。ただいまのお話ですが、支払い法律の方で五万円で切ったからこういう問題が起ったわけでございますから、そういうことも、今後さらに、お話の次第もありますし、審議会とも連絡しまして、なるべく御趣旨に沿うようにいたしたいと思います。
  19. 中山マサ

    中山(マ)委員 今日いろいろ恩給だとかあるいは援護の問題にいたしましても、終戦後当初にはかからなかった人たちも、この国会におきましては、それの幅を広げて、かかるようになっております。たとえば、この間から山下先生がやっていられましたところの報道陣営の人百七十四人でございますか、こういう人たち報道班として新聞社の所属で前線へ行った人たちすらも、援護法一つかけてやろうじゃないか、兵隊と同じようにやはり前線で死んだ人だからということで、だんだんとその幅も広げられている今日でございますから、こういう件数が数十件とでも申しますれば、それは国家経済にも大きな響きがあるかとも思いますけれども、わずか数十件という小さい問題でございますれば、ぜひ一つ、今善処しようとおっしゃいました通りに、こういう問題は、とくとその実情をお調べの上、ほんとうにこの人たちが得心して、たとい金目が五万円であっても、やはり国は言った通りのことをするのだというだけのことはしていただきたいということを要望いたしまして、私の質問を終ります。
  20. 柳田秀一

    柳田委員 在外公館等借入金整理準備審査会法の一部を改正する法律案、これは私は趣旨において別に何ら異存はありませんが、これを政府提案でなしに議員提案でなされた御趣旨一つ提案者から伺いたい。
  21. 高岡大輔

    高岡委員長 これは、御承知のように昭和二十七年六月三十日で期限が切れているのでありますが、いろいろ陳情といいましょうか、話が方々から参りまして、そうしてこの問題を当引揚委員会で取り上げなくてはならない、かようにまず考えたのであります、そこで、当然国家として支払うべきものを、そのように延び延びにして、しかも法律期限が来たからということで、ほったらかしておくことは、これは決して好ましいことではないという考えで、外務省の方にも連絡をし、大蔵省の方にも連絡いたしました。ところが、三年間も打ち切られているのを今さら出すのもどうもあれだし、一つ何とか考えてもらえないかという、どっちかというとしり込みの形が見えたものでありますから、私は自分責任上、国民の一人として、そういう官庁がしり込みされるようでは困ると思ったものですから、私が提案者となって提出した次第であります。
  22. 柳田秀一

    柳田委員 提案者にお聞きするよりも政府にお聞きした方がいいと思いますが、ついでに提案者から聞くことになると思いますが、この配付された資料で、二枚目の方に、「なお引揚者税関に預けた書類が、その後解除になり返環されて参りました中に、未請求借入金関係書類が多数含まれていること等確認請求のものが現在相当数ありますので」云々となっておりますが、引揚者税関に預けたというのはどこの税関ですか。
  23. 高岡大輔

    高岡委員長 私の聞いておる範囲では、九州方面税関で、あの当時ああいう混乱のときでありますから、非常に多くの荷物を受け取ったのでありますけれども、その整理がなかなか手間取っておって、ようやく最近になって整理がついて、ぼつぼつ所有者に返している。返された本人は、受け取って中を調べますと、あのとき初めて、借入金信用証が出てきた、しかし考えたらもう期限が切れておる、こういうことを聞かされております。
  24. 柳田秀一

    柳田委員 改正前の法律によりましても、本邦上陸後一年以内、こうなっておるわけです。ところが、今のお話のように、混乱しておるときに内地へ引き揚げて税関に預けた、その書類がぼつぼつ返っている、その中には大事な債権書類があった、こういうことなのです。それでは引揚者が非常にお気の毒だから延期しよう、これはもう当りまえのことです。そうなって参りますと、本来ならば、引き揚げてから税関に預けた荷物は早急に引揚者に、返すべきものなんです。そうしたならば、少くとも一年以内にはその債権者政府確認請求を、出さるべきなんです。これが、政府の、税関の怠慢によって今までほったらかされておった。ぼつぼつ返された書類の中にはこういうものがあった。これは明らかに三年たっておる。三年たっても五年たっても、たたしたのは政府じゃないですか。税関の力が即刻お返しになったならば、引揚者は一年以内に債権者として当然の権利請求できた。ところが税関の方がお返しにならぬから、返そうと思ったら期限が切れておった。引き揚げ後一年以上経過してしまった。そういうふうに延び延びになったのは政府責任ではありませんか。その点を政府からお聞きしたい。
  25. 池田千嘉太

    池田説明員 ただいまの、税関証書を預かりましたのは、昭和二十一年ごろ大挙して大陸から帰った時分に、こういう関係書類は全部税関で書きかえしたといいますか、証券類などは為替管理法に基きまして持ち帰りを禁止されて税関へ全部預けさせたのです。それがやっと昭和二十八年の秋から各人に返還されることになったのであります。借入金の方としましては、この証書類はなくても確認申請はできるということになっておりまして、その分につきましては、証書がなくても、私の方は台帳があるものは全部それによって確認した。その他証拠か何か手がかりになるものがあれば、それによって確認したわけでございますが、やはり引揚者内地各地に散在していたり、気がつかなかったりした者があったらしくして、税関から返されるに及んでこういう書類が出たがということで、去年あたりから盛んに問い合せが来たわけでございます。それと、もう一つ合せまして、借入金台帳の方で調べましたところ、大体四万件余り未請求のものがあるということでわかりましたので、これらをあわせてということで、引揚者団体の方から国会の方へ請願が出たような事情と思っております。
  26. 柳田秀一

    柳田委員 手続の問題はいかがあろうとも、あの当時帰って参りました引揚者にとっては、内地の土を踏んでほっとしただろうと思うのです。それですから、税関に預けた書類にどういうものが入っておったか一々覚えておられるものではないと思う。その中で、うろ覚えでも覚えておって請求できるような人はよくよくの人で、大ていの人はそこまで頭が回っていない。しかも、今の話を聞いてみますと、それは解除になるまで返されていない。だから、先ほど提案者が言われたように、一年以内に請求をしようと思っても請求できない状態政府の方では置いておいたんです。しかも、その後三年たっておるから請求できないというのでは、あまりにも無責任ではないか。そんな無責任な話がありますか。大体こういうように三年も五年も未請求のものをほうておいた責任政府の方にある。そうすれば、三年たっておろうが、五年たっておろうが、解除になるまで債権債務に関するものは預かっておったんだから、引揚者に渡っておらない。従って、引揚者は、こういう法律があっても、債権請求する準備資料がなかったわけで、最近それが解除になったところが四万件もあるということがわかった。なぜ政府はみずからの責任においてこの法律案を出してこないのですか。その点について責任ある答弁を願います。  私はこの法律案をすぐにでも通したいのです。ただ、政府がいたずらに自分責任を転嫁して、政府の方ではこれは三年もたっていてはちょっと出しにくいから、政府の方から、委員長あなたの責任議員提案してくれ、こういうばかなことがありますか。これは政府責任なんです。引揚者はいろいろな面で困っておるのですが、引揚者がいかに自分権利すら請求できないような状態に置かれておるかということが、こういうところにはっきり現われてきておると思うのです。これは、政府みずから、おくれておりましたけれども、こういうような事情がありましたためで、政府の方から今度こういうような改正案を出しますから、よろしく御審議願いたい、こう出てくるのが当りまえだ。そんなものを委員長に裏から手を回して議員提案にしてくれというようなことは、なっていない。またそれを引き受けた委員長委員長だと思う。私は、委員長は、そんなものは引き受けず、政府提案で出してこい、こう言われるのが当りまえだと思う。何も政府責任を買う必要はない。これは私は政府責任によって出さなければならぬものだと思う。私は、ここではっきり言うならば、議員提案を引っ込めて、政府責任においてもう一ぺん出してきなさい。そうでなかったならば、もう少し責任ある答弁をしなさい。
  27. 池田千嘉太

    池田説明員 ただいまのお話政府提案にしなかったという理由につきまして、実は結局最後において一度はどうしてもやらねばならないとは考えておりましたけれども、これをどの時期にやるかということをはっきりまだきめかねておったところであります。たまたま関係者の方から請願書が出ましたので、当時政府提案にするにはやや時期がおくれておったということで、請願者の方からも特にこちらの国会へお願いしたような筋で、その方が動き出した、そんな事情になっておるわけであります。
  28. 柳田秀一

    柳田委員 私もこの法律を早く通したいのです。それはやまやまなんです。しかし、今言っておりますように、問題の本質はそんなことではないと思う。政府はもっと引揚者に対して責任をとらなければいけない。時期がおくれたというが、おくれるようにしたのは政府なんです。税関が早くそういうような債権書類解除すればよかったのだ。そういうような手続をとらずして、いたずらにじんぜん今日に至らしめたのは政府責任ではないか。引揚者には何の責任もない。この前の法律政府提出になっておるのですから、こういう改正も、議員提出でなしに——私は議員提出にしてもよろしゅうございますけれども、それでは政府責任一つも明確になっておらない。もしも議員提出ならば政府はほおかむりをすることになる。大蔵省なんかは進んでこういうようなことをやらぬから、外務省なんかは、進んで大蔵省のしりをたたいてでも、こういうようなことをやらすべきだ。この点は審査室長ではこれ以上答弁できないと思いますから、外務大臣政務次官責任ある答弁をして、そうしてこれを議員立法にするか、それとも政府責任をはっきりする意味において政府提案にするか。やはりこういうふうにして審議というものは筋を通さなければいかぬ。こういうことを特に私がこの問題で言うのは、実際引揚者に対してあまりにも無責任だから、政府はもっと責任を明確にしろということを強調したいがために私は言っておるのです。この法律案には賛成です。この法律案そのものにはどこにも文句を言うところは一つもない。だからそういうふうに措置をとっていただきたい。
  29. 臼井莊一

    臼井委員長代理 ちょっと速記をとめて下さい。   〔速記中止
  30. 臼井莊一

    臼井委員長代理 速記を始めて。柳田秀一君。
  31. 柳田秀一

    柳田委員 政務次官がお越しになりましたので、外務省のというか、政府責任だけをはっきり確かめおきたいと思います。ただいま上程になっている在外公館等借入金整理準備審査会法の一部を改正する法律案を読んでみますと、引揚者日本に帰られたときに、税関債権書類債権債務書類を預けられた。そのものが最近返還された。その中には、今議題になっている国の債務として確認することを請求しなければならぬ書類が入っている。これが、法律によりますと、引き揚げてから一年以内。そうするとこれは時効にかかっている。だからその期限を延ばそう。私はその趣旨においてはもとより賛成です。何も異議はないのです。ただ、この法律案議員提案で出ているので疑義を抱いたのです。これがなぜ議員提案になったかということを提案者に聞いてみると、政府の方で、三年もたち、今さら政府案で出すのもどうかと思うので、委員長さんにお願いして出してもらったと言う。提案者は引揚の委員として委員長責任上出さなければならぬ。これは委員長のお立場として当然だと思う。ただ、問題は、そこではっきりしなければならぬのは、そういう債権書類税関に預けられて、それが引揚者にすぐに返っておったならば、それから一年以内にこういう債権請求引揚者がやらないなら引揚者の怠慢だと思うが、書類が返ってこないのだから、これは引揚者の責めに帰すことはできない。返ったときには時効にかかっている。この法律の現行法は政府提案なんです。そこで、この期限を延長するという改正法律案をなぜ政府責任において出さなかったのであるか、それを私は追究しているのです。ただ、議員立法とか政府提出とか、そういうような提出形式を言っているのではないので、私の言っているのは、引揚者のこういう問題に対しては、政府は、責任を持って、もっと親身になってお世話するという誠意があるならば、三年たとうが、五年たとうが、これは引揚者の責めに帰すべき問題ではないのですから、政府はそういう面子にこだわることなく、政府提案として政府責任において出さなければならぬ。それをなぜこういう議員提出によって出したかという点に問題を集約して尋ねているのですが、審査室長答弁では納得ができない。ですから政府責任ある態度をはっきりと表明していただきたい。これだけです。
  32. 園田直

    ○園田政府委員 今御指摘の通りでございまして、この問題がおくれていることを責任を持って解決するのが、政府の当然の義務であり責任でございます。予算の折衝段階におきましても、この問題は今の税関手続のために書類の返却がおくれたということ、あるいはまた、引き揚げられた方で、新聞等にしばしば公告いたしましても、これの手続がおくれられた方もまだ相当あるようでございます。従いまして、これを延期をして、ぜひ政府責任を持って支払いをしなければならぬ。その財源等も今まで組まれた予算の中でも若干残っておりますので研究をしておったのでございますが、議員提案をいただいた格好になりまして、その点、まことに政府として責任を明確にして政府がみずから進んで早くお願いをしなかったという点については、率直におわびを申し上げなければならぬと考えております、従いまして、今議員提案をお願いいたしまして、財源等は大体御承知の通りにございますが、事務費の約三百万ぐらいのことが問題になって参ります。この点について実はしばしば折衝をしましたが、御承知の通りに各省一律に予算の削減を受けたために、この方面の事務費の捻出ができないままに、どうやってこれを解決するかと研究中に事態がここに至りまして、政府責任をとる以前に議員の方々から御提案をいただいたようなことでございます。この際深く処置についてのおわびを申し上げるとともに、可決いただいた暁におきましては、皆様方の御支持をいただきまして、大蔵省とも折衝して、その事務——事務費と申しましても、これは主として、延期をして、こういうことをしていただけば支払いますといって、引揚者の方々に伝達するための新聞広告であるとか、調査費であるとか、そういう方面の金額でございますが、財源だけでこの三百万の金が出なければ、ただ延期をしたという名目だけであって、今御指摘いただきましたような、引き揚げて困っておられる方方の実際上の利益を幾分なりとも追加することができ得ませんので、そういう点も皆様方の御支持を得て大蔵省と折衝し、御期待の通り政府責任において何とか解決したいと考えております。
  33. 柳田秀一

    柳田委員 それならば、提案者一つ提案を引っ込められて政府提案にされた方が——会期は一カ月延長されたのですから、参議院に回っても、あと各党が責任を持って通す確約もできるのですが、政府提案に切りかえられる意思はありますか。
  34. 園田直

    ○園田政府委員 皆様方の御意見がさようにきまれば別でありますが、議員の方で提案をされた以上は、皆さんの御意思でそれを御決定になるようであれば差し控えます。
  35. 柳田秀一

    柳田委員 私は提案者に一言言っておきますが、こういう問題はわれわれとしてだれしも異議がないと思うのです。現在あなたは引揚委員会委員長になっておられて、しかもこういう提案をなさるのですから、だれが考えても国民として当然なさなければならぬこういう法律は、各党の理事にお諮りになって、こういう問題があるが、政府はなかなか出さぬから、議員提案にして、各党の理事提案者になるという方途をとられるならいいが、こちらには御相談がなく、あなたの方だけで、高岡大輔提出、賛成者五十一名という形で出されるのは、問題があると思うのです。
  36. 高岡大輔

    高岡委員長 その点についてはおわびを申し上げなければならないと思いますが、この問題は引揚委員会の際に一度申し上げたことがございますけれども、いつも理事の方のお集まりがなかったり何かしておりますうちに、その後会期は一カ月延びましたけれども、この問題を出す出さないというころには、会期は一体どのくらい延びるかということの見当もつかず、当時わが党の国会対策委員会では、おそくも八日か十日ごろまでには打ち切りたいというような考えであることを聞いたものでありますから、それでは時間的に非常に困難であると思いまして、国会対策委員長や政務調査会長と相談をし、この問題については今までも議員提出期限の延長をしてきたんだからと、今までのことを申し上げ、党の了承を得て提出したような次第であります。決して各党の方々を軽視したという考え方はなかったのでございます。この点一つ御了承願いたいと思います。
  37. 柳田秀一

    柳田委員 先ほど政務次官からおわびを申し上げると言われた。どうもこの内閣はおわび内閣だなどと新聞にも出ています。きょうの天声人語にも、あやまれ、あやまらぬとかいって、ひやかされておりました。私は決してそういうことをあげつらうのじゃないのです。高岡さんは委員長ですから、各党の力を結集して、国会の総意で提出するという形に持っていかれた方が、より今後この委員会を運営される上においていいんじゃないか。多少皮肉にとれたかもしれませんが、そういう意味で申し上げたので、この法案そのものには私は少しも異議はありません。  そこで、もう一度政府に確かめておきますが、新聞広告をすると言ったって、あんな新聞広告を見る者はありません、三面記事を読むだけでやっとで、広告なんか読むのは、八千万国民のうちに何人おりますか。聞いてみれば四万件あるというのですから、政府責任において当然なすべきものをなさなかったというのなら——この四万名の人も、半分あきらめるか、引き揚げのどさくさまぎれのことですから、権利がなくなっているぐらいに思っているかもしれない。だから、政府責任において、この四万件の人には、はがきででも、今度法律改正されたから、あなたは国に対して債権が残っております、債務者である国の方で払いますから、すぐ請求手続をとって下さいということを、それぞれの債権者にお出しになりますか。それだけを確かめて、お出しになるということを確約されるならば、今までの質疑応答を通じて不満もありましたが、これで打ち切ります。
  38. 園田直

    ○園田政府委員 関係市長村に御依頼をしますほかに、名簿がわかっておるものは直接通知をするつもりであります。
  39. 中山マサ

    中山(マ)委員 関連して。伺いますところによりますと、事務費がゼロになっておるそうでございます。ただいま政務次官の御発言によりますと、その事務費等については大蔵省と折衝して善処するというお話で、ございますけれども、どうも善処だけではちょっと心もとないように思いまするが、外務省責任において、政務次官責任において、事務費と申しましても三、四百万円のことだそうでございますから、この事務費を捻出していただくということが一つ。、ぜひこれをやっていただきたい。これに関して考えますると、借りるときには仏様のような顔をして借りて、いざ返すという段になったら、お金はあるけれども為替料がないといりような言い方では、どうも私は納得が行かないと思いますから、どうぞ一つ返すときには政務次官が仏顔をしていただいて、ぜひこの三、四百万円の事務費を、政務次官責任において、いかなる方法でもかまいませんから、ぜひ一つ出していただいて、早急にこの困難をしておる人たちにお払い戻し下さいますように、その点を私は確かめておきたいと思います。
  40. 園田直

    ○園田政府委員 御注意の点はよく責任を持ちまして解決をいたします。
  41. 臼井莊一

    臼井委員長代理 他に御質疑はございませんか。——御質疑がなければ、これにて質疑は終了いたしました。  これより討論に入りますが、討論の通告がありませんので、討論を省略いたします。  直ちに本案について採決いたします。本案を可決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  42. 臼井莊一

    臼井委員長代理 御異議なきものと認めます。よって本案は可決いたしました。  なお、報告書等につきましては委員長に御一任を願うことに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  43. 臼井莊一

    臼井委員長代理 御異議なきものと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  44. 臼井莊一

    臼井委員長代理 次に、在外資産に関する件について質疑の通告がありますので、これを許します。  実はまだ政府委員が見えないようですから、これはあとに回しまして、堀内委員より靖国神社の合祀の問題について発言を求められております。この際これを許します。堀内一雄君。
  45. 堀内一雄

    ○堀内委員 靖国神社の英霊の合祀の問題につきましては、昨日文部当局から事務的の問題については一応の説明があったのでございまするが、私は、この問題について、次のような理由から、もう少しよく徹底的に事情を調べて善処するようにいたしたいと考えるのでございます。昨日説明のありましたようないきさつから靖国神社はでき上っておるのでありまして、そうして終戦昭和二十八年の末までに、三十七万余の英霊の合祀ができておるのでございまするが、現在なお約八十五方の合祀ができていないのでございます。そこで、そのおもな理由といたしまして、靖国神社に経費がないというようなことになっておるのでございまするが、すでに、このことにつきましては、昭和二十八年の九月に、靖国奉讃会ですか、そういう団体ができて、三年計画で合祀を完全にするということになって、次のような予算で始めたのでございます。内容といたしましては、社頭の整備費というようなものが二億二千万円、遺族の接待費が一億七千二百万円、合祀費が二億一千五百万円、募金費が五千五百万円ということで始めて、二千四百万円程度の募金ができたのでございますが、もとより、三年計画ということになっておりますので、その募金の現金の納付は三年でやるということになっておったのでありますが、中にはいろんな事情で三年分をすでに納めてしまったというような状態の町村もあるのでございます、しかるに、その後の運営において、三千万円にさらによそから三千万円金を借りてきて休憩所々を作るというようなことをいたしたために、むしろ現在三千万円の借財があって、合祀そのほかに一対する方の事柄に滞っておるというような状態であり、なお、聞くところによりますれば、英霊を合祀することの通知を受けますと、遺族が神社へ参る、そうすると遺族から合祀料というものを百円ずつ納めさせる、そうして遺族が自分の方で金を納めて合祀してもらっておるというような実情にあるようでございまして、(「けしからぬ」と呼ぶ者あり)こういうことは、英霊の頌徳の上からいっても、私はまことに不都合しごくと考えるのでございます。しかし、この問題につきましては、昨日説明がありましたように、憲法そのほかの関係もありますの、でなかなか困難があると思いますが、何にいたせ、終戦後十年の今日、まだ二百万英霊の中の三分の二が合祀してない。しかも、その様子を開きますと、五、六年かかると言うておるので、ありますが、私は、今日までの経過から見て、五、六年ではできないと思うのでございます。と申しますのは、昭和二十八年の九月に奉讃会ができて、そのときも三カ年計画ということで、始めて、今日まで約三十万の合祀はできたのでありますが、なお百三、四十万の未合祀があるというようなことを考えて、このままほうっておきましては、何年かかって合祀が終るのかわからぬというような状態になることをおそれるのでございますが、この際、担任の省と申しましても、どうも文部省でもなし、厚生省でもなし、きわめてあいまいになっておるのでございますが、   〔臼井委員長代理退席、委員長着席〕 この点につきましてしかる、べき参考人等を呼んで調査いたしまして、何とかこれが打開の方法考えていただきたいと思うのでございますが、この際委員の方にお諮りを願いたいと思うのであります。
  46. 高岡大輔

    高岡委員長 ただいま堀内委員からお申し出があったのでありますが、これにつきまして近き機会に参考人を呼んでこの問題を究明いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  47. 高岡大輔

    高岡委員長 さよう決定いたします。  ほかに御発言がなければこれにて散会いたします。なお次会は公報をもってお知らせいたします。    午後零時十七分散会      ————◇—————