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1955-07-19 第22回国会 衆議院 運輸委員会 第31号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年七月十九日(火曜日)     午後一時五十七分開議  出席委員    委員長 原 健三郎君    理事 有田 喜一君 理事 今松 治郎君    理事 臼井 莊一君 理事 木村 俊夫君    理事 山本 友一君 理事 青野 武一君    理事 大西 正道君       岡崎 英城君    上林山榮吉君       伊藤 郷一君    徳安 實藏君       畠山 鶴吉君    井岡 大治君       栗原 俊夫君    下平 正一君       山口丈太郎君    池田 禎治君       竹谷源太郎君    小山  亮君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 三木 武夫君  出席政府委員         運輸事務官         (海運局長)  粟澤 一男君         運輸事務官         (鉄道監督局         長)      植田 純一君  委員外出席者         運輸事務官         (海運局海運調         整部長)    朝田 静夫君         日本国有鉄道理         事         (営業局長)  唐沢  勲君         日本開発銀行総         裁       小林  中君         日本開発銀行理         事       松田 太郎君         参  考  人         (財団法人日本         船主協会理事         長)      米田富士雄君         参  考  人         (全日本海員組         合組合長)   陰山  寿君         参  考  人         (日本石油株式         会社社長)  栗田 淳一君         参  考  人         (日本鋼管株式         会社原料部長) 安田安次郎君         専  門  員 志鎌 一之君     ————————————— 七月十九日  委員堀内一雄辞任につき、その補欠として田  中彰治君が議長指名委員に選任された。 同 日  委員田中彰治辞任につき、その補欠として堀  内一雄君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 七月十九日  戦傷病者等日本国有鉄道無賃乗車等に関する  法律案原健三郎君外六名提出衆法第五七号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  戦傷病者等日本国有鉄道無賃乗車等に関する  法律案原健三郎君外六名提出衆法第五七  号)  造船計画に関する件     —————————————
  2. 原健三郎

    原委員長 ただいまより運輸委員会を開会いたします。  最初に、ただいま付託になりました戦傷病者等日本国有鉄道無賃乗車等に関する法律案原健三郎君外六名提出衆議院法第五七号)を議題といたします。   〔委員長退席山本(友)委員長代理   着席
  3. 山本友一

    山本(友)委員長代理 最初提出者より提案理由説明を聴取いたします。原健三郎君。     —————————————   戦傷病者等日本国有鉄道無賃乗車等に関する法律案    戦傷病者等日本国有鉄道無賃乗車等に関する法律  第一条 旧軍人軍属たる戦傷病者恩給法(大正十二年法律第四十八号)又は恩給法の一部を改正する法律昭和二十八年法律第百五十五号)の規定による増加恩給傷病年金又は傷病賜金を支給された又は支給されている旧軍人、旧準軍人及び旧軍属であって現にその不具廃疾又は傷病程度政令で定めるところに該当するものをいう。)及び政令で定めるその介護者は、日本国有鉄道鉄道及び連絡船に、運賃を支払うことなく乗車又は乗船することができる。  2 前項乗車又は乗船回数等級、区間その他必要な事項は、政令で定める。  第二条 国は、前条の規定による取扱に伴う鉄道及び連絡船運賃に相当する金額負担するものとする。  2 前項規定による負担の方法その他必要な事項は、運輸大臣が定める。
  4. 原健三郎

    ○原(健)委員 ただいま議題となりました戦傷病者等日本国有鉄道無賃乗車等に関する法律案につき、提案者を代表いたしまして提案理由を御説明申し上げます。  戦後すでに十年を経過いたしまして、戦争による災害はようやく世人の記憶から薄らいできたかの感があるのでありますが、当時戦いにおもむき、不幸傷疾をこうむり、身体の自由を失い、不自由な日常生活をされている多数の人々のあることをわれわれは忘れてはならないのであります。これらの人々に対しては、国として当然援護の手を差し伸べるべきであろうと考えるのでありますが、占領下特殊事情のため、われわれはその意あるもこれをなし得なかったのであります。最近ようやくにして各方面において逐次これが実施を見つつあることは、御承知通りでありますが、本法案もまた同様でありまして、旧軍人軍属たる戦傷病者に対する援護の一方途を開こうとするものであります。  本法案の骨子を大要申し上げますと、増加恩給傷病年金または傷病賜金を支給されている旧軍人、旧軍属等であって、現にその不具廃疾または傷病程度政令で定めるところに該当する戦傷病者及び政令で定めるその介護者は、日本国有鉄道鉄道及び連絡船に、政令で定める回数等級に限り、運賃を支払うことなく乗車または乗船することができることとし、国は、その取扱いに伴う鉄道及び連絡船運賃に相当する金額負担するものであって、昭和三十一年四月一日より施行しようとするものであります。  本法案による旧軍人軍属に対する国鉄無賃乗車船制度は、申し上げるまでもなく今回新たに制定しようとするものではなく、戦前制度をこの際復活しようとするものでありますが、乗車乗船回数等級期間等、必ずしも戦前の例をそのまま蹈襲しようとするものではなく、戦後における新事態に即応した制度とすべきであると考えております。また本制度社会保障一環として国においてなすべきものと考えられますので、国鉄にその全部を負荷すべき性質ではなく、国鉄の収受すべき運賃に相当する金額は、国庫より補てんするのが至当であろうと考えるのであります。  以上申し上げた趣旨によりまして、昭和三十一年度において国が負担すべき金額は約三億円と推定せられますが、この程度は国の財政の現状からも当然国が負担し得るものと思うものであります。  何とぞ慎重に御審議の上すみやかに御可決あらんことをお願いいたす次第であります。
  5. 山本友一

    山本(友)委員長代理 これより質疑を行います。上林山君。
  6. 上林山榮吉

    上林委員 本件に対しては、提案説明のあった通り、われわれとしても全面的に賛成でありますが、念のために一、二点承わっておきたいと思います。  まず第一点は、戦前待遇よりも幾らか控え目に待遇をしたという点でありますが、金額にして三億円程度負担を国がする程度、こういうふうになっておりますが、戦前と同じような待遇をするとすれば、国はどれほどの負担国鉄に向ってしなければならないか。まずこの点を承わりたい。
  7. 原健三郎

    ○原(健)委員 概算でございますが、二十一億円程度になろうかと存じます。
  8. 上林山榮吉

    上林委員 なお、これに類似した無賃乗車のもので、国鉄に国がその肩がわりとして負担しておる例は、どういう種類のものがあったでありましょうか。
  9. 原健三郎

    ○原(健)委員 これに類したものではございませんが、特例としては、たとえば引揚者に渡すとか、あるいは選挙のときに無料パスをあげるとか、そういう程度のものでございます。
  10. 上林山榮吉

    上林委員 そうすると、これが前例になるというふうにもとれるのでありますが、今後、国会としては別でありますが、国鉄としては、無料パスを発行したのに相当するだけの負担を国がする場合は、相当程度無料パスを出してもよいという考えを持っておるのであるかどうか。  さらに第二点は、国鉄自体職員及びその家族に優遇のパスを出しておるのでありますが、これを金額に換算すると、現在どの程度になっておるのであるか。その点を参考のために承わっておきたいと思います。
  11. 植田純一

    植田政府委員 第一の点でありますが、無賃輸送することは、あくまで例外中の例外ではないかと考えます。従って、国から補償があれば、無料パスをルーズに広げるかというお問いであるかと思ったのでありますが、そういう考えは全然ありません。やはりその輸送性質上、国の全体的の政策から見て、どうしても必要だというもの、特別の必要のあるものに限定さるべきものではないかと考えます。  第二の点については、現在資料がございませんので、直ちに即答できませんが、いずれ調べて御報告いたします。
  12. 上林山榮吉

    上林委員 これは、決して私は曲解してものを申し上げているのではなく、すなおな気持で申し上げているのでありますが、大体国鉄が赤字であるということは、もう国鉄自体が非常に苦しんでおられる。またわれわれも非常に心配しておるわけであります。そこで国鉄自体がほかのところと違って、自分で営業しておるところで自由にパスを発行しておる。しかもそれがどの程度国鉄経営に影響があるかということは、かねて頭に入れておかなければならないのではないか。資料がなければ答えられないというようなずさんな態度では、私はまことに遺憾にたえないと思います。なおこれが最初であって、あるいは最後になるであろうという意味答弁でありますので、私はその意味で劈頭に申し上げましたごとく、原案に無修正で賛成でございます。あとの点だけを、お答え願えればお答え願いたいと思います。
  13. 唐沢勲

    唐沢説明員 職員に対する無賃乗車証としましては、一定期間精勤したときに、一定期間無賃乗車証を出しておるのでございますが、その枚数及び何回使用して、金額にしてこれくらいだという数字を、今申し上げる準備がございませんが、いずれ御報告申し上げたいと思います。
  14. 山本友一

  15. 青野武一

    青野委員 提案者に対して私は一、二点御質問申し上げたいと思います。これは政令で決定することでありますが、これは船も汽車も三等が原則であるかどうか。
  16. 原健三郎

    ○原(健)委員 原則として船も汽車も全部三等でございます。
  17. 青野武一

    青野委員 傷痍軍人人たちは、委員長趣旨説明の中にありましたように、身体の自由を失い、あるいは戦いにおもむいて国家の絶対的要請によって気の毒な不具廃疾者になっおります。第一項症あたりの、精神的または身体的作業能力を失い、わずかに自分の用を弁じ得る程度しかできないといったような人を、三等に乗せることは実際に不可能である。こういうことは、あまり画一的に政令でおきめになると、かえって逆効果のそしりを免れないと思いますが、第一項症、第二項症、その他身体の自由を失った人たちは、政令できめる際は、政府当局の好意によって船にしろ、汽車にしろ、二等に乗せるという特例を設けることが、私は必要ではないかと思います。とにかく目を一つ失った人、あるいはすねから下を一本失った人、自分のからだの自由にきかないような人が、必要上どうしても列車に乗らなければならないときに、機械的に全部三等に詰め込んで、恩恵を与えるというようなやり方は、私はうなずけない。そういう点についてはどういうお考えですか。
  18. 原健三郎

    ○原(健)委員 青野委員のいろいろなお説まことにごもっともでございまして、そういう点、いろいろ国鉄当局運輸省方面あるいは大蔵省方面とも折衝いたしたのでございますが、何分にも予算的措置上かなりの費用を要しますので、今回は何とぞ三等でごしんぼう願いたい、こういう趣旨でございますので、御了承願いたいと思います。
  19. 青野武一

    青野委員 これは国鉄当局からも御答弁願います。
  20. 唐沢勲

    唐沢説明員 この問題につきまして、政令がどういうふうにきまりますか、私どももあまり聞いておりませんのでございますが、全体といたしましては、先ほども少しお話がございましたが、現在でもいろいろな傷病者に対する割引がございまするし、あるいは靖国神社に参る遺家族に対する割引とか、いろいろな例がございまして、それらといろいろの面で関連するのもございますので、それらを勘案しまして、まず三等でごしんぼう願いたい、ことに二等の輸送力等考えまして、三等でごしんぼう願いたいというふうに考えておりますが、その辺は政令でどういうふうになりますか、運輸省の御意見も伺ってから……。さように考えております。
  21. 青野武一

    青野委員 大体大蔵省予算関係で折衝なされて、かなり困難な中でこういう法律案ができるということは、その御努力に対して私ども傷痍軍人諸君にかわって心から感謝するものでありますが、実際問題として政令をきめるときには、政令原案として私が今御質問申し上げましたような内容を善処して、こういう点も十分考慮して織り込んでいただくことを最後に希望申し上げまして、私の質問を終ります。
  22. 山本友一

    山本(友)委員長代理 これにて質疑を終了いたします。  これより討論に入りたいと存じますが、通告がありませんので討論を省略いたします。  本法律案は、国会法第五十七条の三による予算を伴うこととなる法律案でありますので、内閣に対し意見を述べる機会を与えなければなりません。それで、この際内閣意見を聴取いたします。植田政府委員
  23. 植田純一

    植田政府委員 この法案につきましては、事務的にはなおいろいろと検討を要すべき点があるやに存ずるのでありますが、何と申しましても、大きな方針に基く問題でございまするので、この大きな方針が万一きまるといたしまするならば、その線に沿いまして十分研究いたしたい、かように存じております。
  24. 山本友一

    山本(友)委員長代理 それでは戦傷病者等日本国有鉄道無賃乗車等に関する法律案を採決いたします。本案賛成諸君起立を求めます。   〔総員起立
  25. 山本友一

    山本(友)委員長代理 起立総員。よって本案原案通り可決いたしました。  なおただいま成立いたしました法律案報告書作成等に関しましては、委員長に御一任をいただきたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  26. 山本友一

    山本(友)委員長代理 それではさよう取り扱います。   〔山本友委員長代理退席委員長着席〕     —————————————
  27. 原健三郎

    原委員長 次に造船計画に関し調査を進めます。  本日は造船計画に関し、参考人各位より御意見を聴取いたすわけでありますが、この際委員会を代表して委員長より一言ごあいさつを申し上げます。  本日は参考人各位におかせられましては、御多忙中にもかかわらず貴重な時間をさいていだだきまして、本委員会のために、御意見を承わる機会を得ましたことはまことにありがたく、この機会委員会を代表して厚く御礼を申し上げます。  なお御意見の陳述は、お知らせしておきましたように大体十分程度に予定いたしております。御意見の聴取を終った後、委員各位質疑を許すことにいたしたいと存じます。  それでは問題をはっきりさせるために、最初委員諸君より質疑をしていただきたいと存じます。池田禎治君。
  28. 池田禎治

    池田(禎)委員 私はこの際お許しを得まして、参考人皆さんにこういう趣旨皆さんおいでを願ったということを、一言申し上げておきたいのであります。  先月外資委員会におきまして、アメリカ銀行の三百万ドルの外資輸入を許可いたしまして、これに基く丸善石油大型タンカー建造計画というものが、運輸省申請されたのであります。われわれは申請前にこの報を聞きまして、この委員会におきまして、油会社外資自己資本によって手持ちの船を作るということは、現内閣はもちろん、自由党内閣以来、わが国海運政策見地から計画造船というものがきまっておるが、この方針に反するのではないか、あるいはまた計画造船そのものを混乱せしめるおそれなきや、こういう観点から質問をいたして取り上げて参ったのであります。また先般の予算委員会におきまして、私はさらに関連をいたしまして、大蔵大臣通産大臣経済審議庁長官等に対しましても、現内閣造船計画配船計画というものと、どういうふうにあなた方は調和させていこうと思っておるのであるか、こういう点につきまして質問をいたしたのであります。  そこでねらいといたしますことは、今や世界の趨勢におきましても、小型の油送船ではもはや採算がとれない、大型タンカー時代が来たということは私が申すまでもありません。この方針のもとに国は多くの財政投資をいたしまして、建造計画を樹立しておる。現内閣におきましても、経済六カ年計画一環としてこれを取り上げて、本年度の第十一次造船においてもこれをお取り上げになっておる。あるいはまた、石油資本というものが外資に対する大きな依存によりまして、急激な膨張を来たした、その非常な高い利潤というものを、この造船計画によって免税点に大きく幅をきかせようとしておるおそれなしとしない。さらにまた開発銀行につきましては、多額の融資を受けておる。さらにまた石油資本の中におきましては、今なおその開銀に対して償却もしておらないところが多々ある。こういう点等考えますと、計画造船そのものの将来につきましては、こういうことが許されるならば、国家資本をもって財政投資をして計画を樹立して、建造計画をするという方針は混乱するおそれはないか、こういうことをおそれるのであります。  さらにまた今までの関係官答弁というものは、絶対量が不足しておるから、今日これを認めることは妥当ではないかというような印象を受けるがごとき答弁をしております。しかし今日アメリカにおきましてはもちろん、諸外国におきましても、油会社みずからが自己資本をもってタンカーを建造するということはしておらない。多くはやはりもちはもち屋にまかせて、用船契約というものでもって、自己の本来の事業に多くの資金を投資して、第二次的な事業資本を投資する、あるいは外国資本を入れるとか、あるいは国家財政投資をそういうところにつぎ込むということは、しておらないのであります。  御承知のごとく、敗戦によりまして多くの船腹を失いました今日、日本国際水準に到達するためには国家財政投資をせねばならぬ、そうして何とかして国際水準に返さなければならぬということが、総合的な施策の上から検討されまして、皆さんも御承知のように、幾多の問題を惹起しつつも計画造船という計画を樹立している。こういうことを思うとき、果してこういうことが計画造船を混乱せしめないか、あるいは業界に対して大きな圧迫を与えないか、こういうことを大きく憂えておるのであります。しかも丸善石油の一隻を許しますならば、続々として油会社自己資本ないし外資によるところの建造計画を立案中であるということは、私どものよく耳にするところでありますが、こういうことが日本の全般の海運政策見地から見て、果して妥当であるかどうか。運輸大臣は、この委員会におきましては、丸善石油建造計画すらもそのときにおいては知らないということを申されておりますけれども、これは全く児戯に類する答弁でありまして、数日を出ずして申請している。申請のあるなしにかかわらず、油会社の一隻を認めて次々に認めないという、そういうとぼけたことをいたすはずがない、こういうことを思い浮べまするときに、その道の権威の皆様方より、妥当であるかどうかという考え方から御意見を承わりたい、こういうのが本委員会趣旨でありまして、参考人として皆様方おいでを願うように申請をしたところの大きな論拠でございます。従いまして、どうか忌憚のないところの御意見を聞かしていただきまして、またその皆さんの御意見を拝聴して、しかる後に御質問等を各委員の方々より行なって、そうして計画造船タンカーそのものに対するところの方針を、委員会としてどういうふうに扱うかということを出したい、これがわれわれのねらいでございまして、その念願にほかならないのでございます。そういう意味におきまして、御意見をお漏らし願えるならば大へんありがたい、かように思っておる次第でございます。
  29. 原健三郎

  30. 栗田淳一

    栗田参考人 私はただいま御紹介にあずかりました日本石油の副社長をしている栗田でありますが、また同時に東京タンカー経営もやっておるのであります。油もやっておれば油の運送もやっておるという立場ではありますが、私の申し述べますことは決してそのいずれにも片寄っていないという私自身の所信に基いてお話してみたいと思います。  昔のことは問題にならないといわれればそれまででありますが、戦前におきましては精製業を営むものはおのおのタンカーを用意して、そうして輸入原料を運んだものであります。結局タンカーと申しますものは、石油鉱山から石油精錬所までのパイプ・ラインの役をするものでありまして、これがたまたま海であるから、パイプのかわりに船を用いるというにすぎないのであります。そういうことでないと、自分原料を他人にお願いをしておるだけでは、運賃というのは非常に変動の激しいものでありますから、油の採算上はなはだ浮動が大きくなり、需要家にも迷惑をかけることが大きくなるのであります。私どもはできるだけ安いコストをもって、製品を市場に送るということを使命としておるものですから、タンカーを持つということは当然のものだと考えます。もっともわが国は戦後すべてのタンカーが一度に破壊せられ、撃沈せられまして、何にもない時代がありましたので、それで国家はどうしても船を増す、わが国は船からというお考えから計画造船ということが起ったと思います。これははなはだけっこうなことであります。一日も早くこのタンカー——私はタンカーだけのことを申しますが、これを充実いたしまして、外国船を使わぬで済むようにすることが、外貨節約の上に大きな貢献をするものと思います。現在はまだ四割は外国船を使っておるのでありますから、これが日本タンカーで大体まかなえるという飽和点に近い場合でありますならば、お前ちょっと遠慮せい、計画造船の方に差しつかえるという考えも起り得るのでありますが、今ではずっと先のよけいなさじきをとろうという考えにすぎないのであります。タンカー四割の不足というものは、現在の計画造船をもってしては、一朝には埋められないのであります。それだけ年々外貨を払っていくわけでありますから、それでこれを政府の援助によらず、自己調達の金をもってタンカーを作るというものがあれば、ぜひお許しになるようにお願いしたいと思います。希望と意見とごっちゃになりましたが、そのように考えておる次第であります。またなお御質問がございましたらお答えすることにしまして、一応これで終ります。
  31. 原健三郎

  32. 米田富士雄

    米田参考人 海運界、特に船主立場からこの問題を少し申し上げてみたいと思います。タンカーに限ったことでもないのでありますが、たとえば鉱石運搬船等考えられるのでありますが、こういう問題はコモン・キャリアとインダストリアル・キャリアの矛盾するものを、どういうふうに調整していくかということから、解決点がある程度見出されていくのではないか、こういうふうに思います。  海運の発達を見ますと、貿易業者がまず自分貿易手段として船を持つ、あるいは漁業者が船を持つ、そういうふうな一つの手段として持つことから、だんだん発達いたしまして、独立の産業としての海運業というものが生まれて参ったのであります。こういう関係は、タンカーにつきましても、またオア・キャリアにつきましても、大体同じような経路が考えられます。石油業者、いわゆる荷主さんの方で持たれておったタンカー、それから一般海運業者が持っておりますタンカー比率は、戦前比率と戦後の現在の比率を見ますと、ちょうど逆転しております。一般海運業者の持つタンカーの方がはるかにふえて、参っております。  この傾向は、ではなぜそういうふうなことが起るかということでありますが、その原因と思われるものを考えますと、三つくらい考えられます。まず荷主さんの方で——これは貿易業者といわず、石油関係の方々といわず、荷主の方で船を持ちたいというふうな考えをお持ちになるのは、大体船の足らないとき、それから運賃の非常に高いとき、そうでなければ経営を安定させるという、いわゆる原価計算的な一つのコストを出して経営を安定させる、こういうような三つのどれかに当った場合に、そういうふうなことが考えられるのであります。ところが今度は実際の面から見ますと、なるほど船の足らないときには、船を持ちたい。これは当然でありますが、それをどこで持つかということがやはり問題として残るのであります。結局経営の安定とか、運賃が高いからその採算を安くするためというふうなことは、その船を持つときの船価、あるいは船価というものと運賃市況の変動というものと関連して考えますと、必ずしも船を自分でお持ちになることが経済的ではない。むしろもちはもち屋で、海運業者の方にまかしておく方が非常に機動性が出て、経済的だというふうな面も考えられるのであります。荷主といいますか、これはタンカーの場合でもその他の場合でも同じでありますが、タンカー例外といたしまして、大体が片道航海であります。あるいは船舶に対する管理費というようなものも、特定の船舶でありますので、相当管理費のパーセンテージがふえるというようなこと、あるいは船員の配乗にしても、相当の船員の用意が要るという面から、一定規模の船をどうしても持っていないと、そこにある程度経済なものが出てくるのではないか、そういうふうな利点といいますか、経済面を考えますと、むしろ一般海運業者にそれを持たしておって、そのときどきの市況その他を御勘案の上に十分に、それを御利用下さった方がいいのではないか、こういうふうな考えがいたします。  それからまたこれは海運業者自身の方から考えますと、やはり一定の計画をもって船を作るということは、その計画に載せられた荷動きというものといろいろの関係を持って参ります。それからかりにタンカーの場合にいたしましても、将来の日本海運というものは、どういたしましても、自国のものだけに限局された輸送ということでは規模が小さいのでありまして、やはり第三国間に伸びていくというふうなことも、これは考えなければならぬ。その素地を持たして経営を強化していくということは、いつの時代であってもこれは必要なことなのであります。そういうふうな面をも考えますと、できるだけ海運の育成を妨げるような原因になるものは、これをお取り除きになるような措置をおとりいただきたい。これが日本の一つの海運政策としての現われではないかというふうに存じます。  今申しましたことを、今度は世界的なところに目をそらして見ますと、たとえばノルウェーの海運を見ますと、海運の保有船舶の半数以上はタンカーであります。そのタンカーのうらで、自社船とそれからいわゆる海運業者の持っている比率というふうなものを見ますと、海運業者の、いわゆるコモン・キャリアとしてのタンカーは、九〇%以上を占めております。その他が自社船としてなっておるのでありましてノルウェーがいかに世界の海運界に飛躍しておるかということもよくわかるのであります。これのちょうど逆がアメリカであります。アメリカの場合、タンカーを見ますと、これは非常に大きなパーセンテージを自社船で、石油業者の方々がお持ちになっている船でありまして、コモン・キャリアの部類に属するタンカーというものは、比較的少いのであります。ここら辺が、海運国としからざる国との一つのけじめも、ある程度ついておるのではないかというように存ぜられます。  はなはだ常識論のようなことを申し上げて恐縮でございましたが、結論といたしましては、やはり私どもとしては、できるだけ海運業者の方ヘタンカーを持たしていくということが、望ましい政策というふうに考えます。
  33. 原健三郎

  34. 陰山寿

    ○陰山参考人 私の意見を申し上げる前に、私の立場を一応申し上げておきたいと思いますが、私は日本の船員を組織する産業別の労働組合の代表者でございますが、その立場においてものを考えますならば、どこが船を作ろうと、船がふえるということは、われわれの仲間の職場がふえるという意味において好ましいことでございますので、そのこと自体に反対をする気持は毛頭ございません。しかし結論から申し上げますと、私の意見としては、石油業者あるいは鉄鋼業者等による自社船の建造は、日本海運の正常な発展を助長する上に非常な悪影響があるという意味において、反対の意見を持っております。  私どもは労働組合としての立場から、本質的には階級利益の追求ということを考えるのが第一義的かも存じませんけれども、私は日本経済の中に占める海運の重要性とその国際性というものを考えまして、われわれの階級的な利益の追求をする前に、海運自体の国際的な発展をまずはかることにわれわれは努力をしなければならないということは、国の復興に対して負うところの義務を、あらゆる義務に優先して考えるべきであるという信念の上に立ちまして、われわれの所属する組合員の福利の向上、生活の向上ということは、日本海運の繁栄の中において、漸次それを実現していきたいという意味におきまして、われわれ組合といたしましては、創立以来海運の発展ということに多くの関心と努力をいたして参ったつもりでありますが、しかし御承知のような戦争によって壊滅的な打撃を受けた日本海運の実情から申しまして、その復興のために、国の政策によってこの助成がなされなければならないということを、われわれは主張して参ったのであります。その結果今日まで、計画造船においては十次にわたって相当の船復が増加したわけでありますが、私が今日まで感じて参りましたことは、日本海運造船政策には、総合的な長期の計画性がなかったという点であります。しかしながらそれはいろいろ推移、変転する情勢の中で、なかなか言うべくして確立が困難であったことだと思いますが、そういう点に対する批判は別といたしまして、今日の日本海運は、ことに計画造船の問題におきましては、在来の船腹増加を第一義的に目標としてやってきたそのやり方を、転換すべき時期がきていると思うのであります。  言葉をかえて申しますならば、日本商船隊は構造的な欠陥と申しますか、多くの脆弱性が内在をするという点でございます。これにはもちろん資本構成の不均衡の問題とか、他にもいろいろ問題はありますが、この現在の日本商船隊の中には、質的な意味において必ずしも今日の国際競争に適当である船が多くないという点であります。ことに問題になっておりますタンカーの面において考えますと、御承知のように国際的なタンカー界における情勢として指摘し得ますことは、ここ二、三年からタンカーの大型化、スーパー化という傾向であります。これは貨物船についても同様で、リバティーの一万トンが標準になっておりましたのが、今日では一万二千トンの新しい型が登場して、漸次その傾向が顕著になってきつつあるわけでありますが、ことにタンカーの面におきましては、スーパーの激増ということがはっきりと浮かんできているわけであります。そのような実情の中で、日本タンカー船隊は、御承知のように第七次、第八次でございましたが、二万八千重量トンのスーパー・タンカーを二はい作っただけで、それ以外の計画造船によるタンカーは、いずれもスタンダード・タイプの小型のタンカーでございます。にもかかわらず、先ほど申し上げましたように、すでに建造中あるいは契約をされている世界の新造船の中で、タンカーの占める比率がきわめて大きい。さらにそのタンカー比率の中で、スーパー・タンカーがきわめて比率の上において大きなものを占めているという、その世界的な趨勢の中で、日本タンカー船隊はわずかに二隻のスーパー・タンカーを持つという実情において、簡単に申しますならば、国際競争に勝っていくために必要な新しい型が日本タンカー船隊には少くして、時代おくれの型のタンカーが多いという点であります。今日まで日本海運が一人歩きできないがゆえに、国の責任において多くの財政投融資を行なって、日本海運の育成がはかられてきたわけでありますが、それらの多くの財政投融資がなされた現在のタンカーの大部分が、まさに時代おくれのものになろうとしている、こういう際にタンカー業者でない、兼業の企業によってスーパー・タンカーが作られようとすることは、私は今問題になっております丸善石油の一隻を許可するとかしないとかいう問題ではなくして、その影響するところはきわめて大きいという意味におきまして、最初に申し上げましたように兼業者によるスーパー・タンカーの建造は、絶対に阻止すべきであるという意見を持っているわけでございます。  なぜ一隻の問題にとどまらずして、その影響するところが大きいかと申しますと、これは先ほどお話がございましたが、現在日本の輸入油の四割は外国船によって運んでいる。船の絶対量が足りないのであるから、それが計画造船のワク外であろうと、タンカーを建造して、外国船輸送している部分をその新しい船によって運ばせるならば、外資の節約にもなるし、それが日本の利益ではないかという説をしばしば聞くのでありますが、私の聞くところによりますと、日本の大石油会社には外国資本が相当入っているのであります。従って現在四割あるいは五割の外国船による輸送部分を、日本タンカー船隊の船腹が増加したからといって、外国船を直ちに使用しないということは、なかなか困難な事情がそれぞれの事業に内在するということを聞いております。これは関係者の方の御説明を伺いたいところでございますけれども、ともあれ運航コストの安いスーパー・タンカーが、専業者にあらざるものによって作られ、それが日本の輸入油の輸送に従事するということは、さなきだに現在苦しい状態の中にある日本タンカー業者、多くの財政投融資をやって今日まで育成してきたタンカー業者を、今日以上に困難な情勢に追い込む結果になる。なぜならば、もし丸善にスーパー・タンカーの建造を許すならば、そして運航コストの安いスーパー・タンカーを丸善みずからが建造して使用するならば、対抗上他のタンカー業者も同様のスーパー・タンカーの建造を申請するであろうし、それがもし許可されない場合には、親会社関係等において外国のスーパー・タンカーを持ってくるということが予想されるわけであります。そうすれば、かりに三万トンのスーパー・タンカーが年間九航海するものとして、四はいなり五ばいなり直接自社船として建造するか、あるいは他の方法をもって外国のスーパー・タンカー日本石油業者が使用する場合に、年間百数十万トンの油の輸送に従事している日本のスーパー・タンカーにあらざるスタンダード・タイプあるいは戦標船の改造したような、そういう性能の悪いタンカーは行くところがなくなるわけであります。これが運航コストの安いスーパー・タンカーであれば、国内油の輸送にあぶれても、第三国間の輸送に出ていくことができるわけでありますけれども、運航コストの高いこれらのタンカーは、一時的な荷物を三国間で拾うことはできても、常時三国間の輸送にありつけるような運航はなかなか困難であるこいうことを関係者から聞いているわけであります。  そういう意味におきまして、私は丸善の作るスーパー・タンカーが、丸善の使用している四割の外国船にとってかわるのではなくて、丸善を初めそれ以外の石油会社輸送に従事している日本のスーパー・タンカーでないタンカーの行き場がなくなるものがたくさんできるという意味におきまして、勢いのおもむくところ、これは係船等の最悪の事態すら考えなければならないような情勢を予想いたしますと、私は船員の職場の安定を確保するという意味からいいましても、そのような危険に対しては絶対に賛成できないという立場をとっているわけでございます。さらに申しますならば、日本タンカーだけではなくして、以前に鉄鋼会社において鉱石輸送船の建造が計画されたこともございました。これは当時いろいろな方面の反対があって実現をいたさなかったようでありますが、石油業者によるスーパー・タンカーの建造が許されるとするならば、さらにこういう方面においても、自社船の建造ということが実現するのではないかということも、これは私の単なる杞憂であれば幸いでございますが、私は考えるわけであります。  それから先般海運造船合理化審議会におきまして、運輸大臣の諮問に対して、今後の造船方策に関しての第一次の答申を行なったわけでありますが、その中におきましても、日本の現有タンカーの中で十八万トンは、ここ二、三年の間に脱落することが予想される、従ってその代替船を建造するという意味におきまして、年間六万トン程度タンカー計画造船の中で作っていくべきであるというような考え方が、一応織り込まれておったわけでございますが、そのように日本の現有タンカーの中でも性能の悪い、早晩スクラップにしなければならないような船舶が相当量あるわけでございます。これをどういう形で、多くの混乱なしに整理をしていくかということでは、専業のタンカー業者にスーパー・タンカーを作らせるならば、これらの不経済船の整理ということは、新造されるべき船の運航計画との関連において、それをスクラップにするなり、あるいは他の用途に改造するなり、そういう整理計画が混乱なしに漸次実現をしていくと思うのでありますが、これらの整理計画と無関係に石油会社によるスーパー・タンカーの建造を許すならば、私は日本タンカー業界に不測の混乱を与える結果になるのではないか、そういうことが結果して、私ども自身の船員の立場からも、係船等の不幸な事態、あるいはタンカー企業の経営困難という事態に直面をすることによって、船員の雇用の安定が失われるというような最悪の事態も予想するわけでありますが、最初申し上げましたように、単にそれだけではなくて、今日まで多くの財政投融資をして育成してきた日本海運の重要な部分であるタンカー業界が、なお一人歩きできない現状におきまして、少くとも計画造船が続行される間は、石油会社等による計画外のスーパー・タンカーの建造ということは阻止すべきである。これは日本海運というものを大きく助成し、発展さしていく上に、今までの助成政策を生かす上において、筋を通すという意味において、そういう措置か国において考慮されるべきであるという見解を持つわけであります。
  35. 原健三郎

  36. 安田安次郎

    ○安田参考人 意見は別にございません。
  37. 原健三郎

    原委員長 この際参考人及び政府に対し質疑があればこれを許します。
  38. 池田禎治

    池田(禎)委員 まず開銀の方にお尋ねいたしたいと思いますが、今までの計画造船であなたの方を通じて出された金額はどの程度になっておるのでしょう。さらにその償却はどういうふうになっておるのでございましょう。あるいはまた石油精製業者に対するところの開銀の融資というようなものは、先般私はざっと通産省から聞いたのですが、こういうことを述べております。丸善石油に対して二億五千万円、三菱石油に対して一億三千万円、昭和石油に対して一億二千万円、大協石油に対して一億六千万円、こういうふうな開銀の融資が行われておるということを承わったのでありますが、これは事実その通りでありましょうか、どうですか。あるいはまたそうであったけれども、それは払ってしまったとか、あるいはまた現にどの程度のものであるか、こういうような点で、もしおわかりでなければけっこうですが、決してこまかい数字でなくてもけっこうですが、あるいは概算であるとか、あるいはあなたの心覚えの点でもけっこうでございますがてそういう点をお聞かせいただければ幸いだと思います。
  39. 松田太郎

    ○松田説明員 ただいまのお話の開銀といたしまして船舶関係にどれだけの融資をしておるか、これに対しましては御承知のように資金ないし見返り資金を承継いたしておりますので、それを全部含めましてお答えいたしたいと思います。   〔委員長退席、木村(俊)委員長代理着席〕  これは三十年の三月末現在で、五次以降の計画造船について申し上げますが、貸付総額が九百七十六億五千万円、それから当初のうちは元加額を認める制度がございまして、その元加額が五十五億三千三百万円、従いましてそれを合せますと元金全体では千三十億、約千億の貸付額になるわけでございます。そのうちで今日までに償還がございましたのが十九億三千五百万、こういう状態になっております。  それから今の油送船についてのお話でございますが、油送船につきましては今日までこれも五次船以降を申し上げますが、二十五隻、三十二万一千六百グロス・トンが認められております。それで金額にいたしますと、財政資金が百六億一千三百万、そのほか市中からの融資が二百十億というような融資額になっております。  次に精油会社が作った分がどれだけあるかというお話でございますが、精油会社に対しましては六次と八次に一隻ずつ認められておりまして、六次が出光に対してグロス・トンで一万一千八百六十五トンの船が、財政資金として計画造船のうちに入っております。それからまた八次には大協石油の船がグロス・トンにいたしまして一万三千二百二十四トン、これが財政資金で認められております。
  40. 池田禎治

    池田(禎)委員 石油精製業者の精油施設についての融資の金額のことは……。
  41. 松田太郎

    ○松田説明員 今日精製業者の方の金額資料を持って参っておりませんので、あとでお届けいたします。
  42. 池田禎治

    池田(禎)委員 これはあなたとしてお答えできるかどうかわかりませんが、タンカーというものがだんだん大型になって、計画造船の中にはみ出てきた。私どもの憂えておるのは、計画造船の別個の自己資本、まあ外資によって、大型油送船がどんどんできるということがきたならば、当然計画造船において作られる、あるいは作られんとするところのその計画を混乱せしむると思うのですが、そうなればいよいよ財政投資に対しましても償却とかやれ返還とかいうものは、非常に困難になってくるのじゃないかということです。これは杞憂ということもあるかもしれませんが、どの程度までにするかということによってもありましょうし、またそういうことは全然自己資本のほか認めぬというのかどうかという点も、これは運輸行政上一つの限界をつけさせる基準となるものでありますが、もしかりに憂うるごときものがあって競争をやる。もちろん自己資本で作るということは、自分のところの船で運ぶのですから、競争が激甚なら幾らでもどんどん運賃が下る、こういうことの混乱を来させば、計画造船なりあるいは財政投資というものは、なかなか償却するということも困難な事態じゃないか。言うまでもなく、あなた方も御承知のようにこれは今日の造船界あるいはまた船会社につきましても、自己資本でできぬというので、国家財政投資のみならず、その利子につきましても補給法を制定して、これを育成しなければならぬという見地からきておる。けれどもこれはすみやかに払わせるというのが、当然の措置じゃないかと思うのです。そういう点では、あなた方の見通しとしてそういう事態がきた場合は、償却につきましても心配するというようなことをお考えになったことがあるのでしょうか、ないのでしょうか。いや、それはそこまで考えてないと言われるのか。そういう混乱がくると、やはり返してもらえるものももらえなくなるおそれがあるというふうにお考えになるでありましょうか、どうでありましょうか。
  43. 松田太郎

    ○松田説明員 ただいまの御質問は非常に大きな問題と思いますので、特に海運政策の観点から御検討になるべき性質のものでありまして、開発銀行としてここでいろいろ申し上げることもいかがかと思いますけれども、私の個人的な一つの考えとして、ただいま総裁もお見えになっておりますのでまたお話があるかと思いますが、要するにこれは今日の日本といたしまして、どれだけの船をすみやかに建造しなければならぬかということに、大きくかかってくる問題かと思います。それで一方、私から申し上げるまでもなく、政府におかれましても貴重な財政資金を船舶の方には相当量注入していらっしゃる。また私どもといたしましてもこの財政資金が貴重であれば貴重であるだけに、その回収についてはできるだけの努力をしなければならぬことは当然と思っております。  ただここで問題になりますことは、日本経済力の上から見て、今日これだけの船を作る必要があるのだが、なかなかそれに対して必要な財政資金がつかぬ。そういう意味で十一次船につきましても、市中資金を二割つけるということになったわけでありますが、そういうような観点からいたしまして、いわゆる自己資金で船を作られるというところがある場合に、それが日本に対する石油輸送という観点から見てほんとうに必要かどうかという点は、これは検討しなくちゃならぬと思いますが、かりにその必要があるならば、むしろそういう方に対しては自己資金でかりにできるものなら自己資金で作らして、そうしてむしろ財政資金はその他の貨物船の方面に注入して、その方の増強をはかるということも、一つの考えじゃないかと思うのであります。ただその場合、従来油送船をお作りになっているコモン・キャリアに対して弊害を来たすのじゃないか、コモン・キャリアの採算がどうかという問題はございます。しかしこれは考えようによりますと、日本だけがこの問題についていろいろ考えましても、やはり国際的の問題でございますので、国際間の競争という意味で、日本海運界において油送船をどれだけ作り、また油送船のうちでもどういう性格の油送船を作り、それをまた今申しましたように財政資金とのにらみ合い等からしてやらなければならない。今申しました自己資金で作られることも、あながち反対すべきものではないというように、私個人的にはそういう考えを持っております。まことに率直な意見を申したのでありますが、私としましてはそういうことも考え得る問題ではないかというように考えております。
  44. 木村俊夫

    ○木村(俊)委員長代理 ちょっと池田君に申し上げますが、ただいま説明員として開銀の小林総裁がお見えになりましたので、この点について開銀の立場からの説明を、お求めになるならば許しますが、いかがですか。
  45. 池田禎治

    池田(禎)委員 総裁が今お見えになったので、実ははなはだお忙しいところ恐縮ですが、初めから来ていただいて、参考人皆さんの御意見を承わっていただければ、あなたの御答弁をいただくなり、お話を伺う上に非常に役に立ったのじゃないかと思います。実はざっくばらんに申しますと、この委員会皆さんおいでを願ったのは、計画造船で、最近外資委員会アメリカ銀行の三百万ドルを許可した丸善石油の油送船の建造、こういうようなことを国としてはどういうようなことでやっているのか。そういうことをこの委員会で取り上げて、だんだん堀り下げていっておるので、皆さんの御意見を承わりたい。もっと項目的に申しますならば、国は計画造船を立てて大きな財政投資をして、日本の船腹というものを国際水準に戻したい。これが総合的海運政策の上からわが国にとって不可欠のことであるというので、すでに四、五年前からこれを行なっておるわけであります。そうして幾多の曲折を経て今日に参り、また現内閣におきましても経済六カ年計画のもとにこの方針を踏襲されておる。ところが一方においては自己資金で外資と組んで石油会社がやる。これは率直にいって、私ども油会社自己本来の使命に邁進すべきではないか。船を作るということは第二義的な事業であると思うのです。これはあなたの管轄ではありませんが、石油会社なんというのは、ずいぶん莫大な利益をはかっておる。そうしてこれは御承知のように四、五年のうちに急激に膨脹したものでありまして、その金をもっと経営の基礎を固めるとか、使うべき道は多々あると思うのです。ところがいろいろ免税点とか、そんなことのみを考えて、利潤は下げないというような方針をとっておる。のみならず場合によっては計画造船を混乱せしめるようなおそれがある。今度のアメリカ銀行の場合だって、丸善石油のスーパー・タンカーは十四億八千万円、約十五億です。そのうち約十億というものは外資なんです。自己資本ではないのです。一方においてはあなたの方から施設に莫大な金を借りておる。返したか返していないか、資料はないとおっしゃったのですが、こういうようなことをやられたのでは、計画造船というものは成り立たないのではないか。丸善石油に対して皆さん意見を聞いても、丸善石油を許せばどこでもおれのところも認めてくれというのは当りまえです。だれでも自己の船を持って、少しでも運賃を安くしてやろうと考えるのは当然です。そういうことになれば、今のタンカー界ではこの数年のうちに十八万トンの船は、何らかの形でだめになる。このあとをどうするかという問題、そうして海運界に混乱を生ずるおそれがあるということをみな心配されておる。そうすれば国家財政投資も返せるかどうか、利子はもちろんのこと、そういう点について、いろいろな総合的な見解に立ったあなたのお考えをお聞かせいただけばけっこうだと思うのです。もちろんあなたは通産大臣を兼ね、運輸大臣を兼ねているわけではないのですから、あなた個人の見解でけっこうです。また開銀という一つの使命の上に立って、わが国計画造船なり、あるいは国家財政投資をどういう形において出さすかという、そういう大きな観点から、あなたの御意見をいただけるならばありがたいと思うのです。
  46. 小林中

    ○小林説明員 私、遅参いたしまして、まことに申しわけない次第でございます。ここに参りまして松田理事からの意見を聞いておりましたのですが、大体ただいま松田理事が述べました意見も私の意見も、大した相違はないと思うのであります。本来計画造船は、政府としてはより以上の船体を作ることが希望だと思うのですが、財政資金その他の制約によりまして、ある程度の量を順次毎年作っていくという行き方になっておるのでありまして、油送船におきましても、日本の油送船の所有量といいますか、それはおよそどのくらいなものであるということは、おそらく運輸当局におきましては案をお持ちのことと思うのでありまして、その程度におきましては、従来の油送船の営業範囲を必ずしも侵さないという考え方ではないかと私は考えるのであります。従いまして油送船の量が現在において非常に不足しておるという場合に、自己資金で作るということにおきましては、大きな線としては私は必ずしもこれを反対すべきではないと思いますが、ただ自由に油送船を作るということは、油送船の船型あるいは速度等におきまして、不経済船を作るということは、国全体の上においてまことに困ることでありまして、ある程度の制約を政府はすべきではないかと考えておる次第であります。ただこの問題で、私はよく内容を存じませんが、ただいまのお話では外資によって油送船を建造するのだという問題がありますが、これは今の日本の国情からいたしまして、必ずしも外資は排斥すべきではないかと思うのでありますが、その内容等をつまびらかにいたしませんので、何とも私は批判の限りでないと思うのであります。概略さように私個人としては考えておる次第であります。
  47. 池田禎治

    池田(禎)委員 あなた方はすべて参考の方でありまして、責任を追及するとか、こういう点はどうだという、そのことを申し上げるわけに参りませんから、私はその点につきましては深くお尋ねいたしません。それでは栗田さんにお尋ねいたしたいのですが、あなたの先ほど申されておったのは安いコストで配りたい、こういうお考え方でしたね。そういうことを言いますと、実は日本石油というもの、油というものは非常に高い。先日予算委員会の通産省の説明では、なるほど重油は非常に高いけれども、揮発油やガソリンは非常に安いということを述べているのを聞きました。私が聞いたところでは、重油については一トン当り日本は一万円前後している。アメリカの太平洋岸では四千四百円、中東では四千円見当だ、こういうふうに聞いているのです。これは国際的に見てどうでしょうか。やはり高いとお思いになっておりますか。大体それが相場でしょうか。
  48. 栗田淳一

    栗田参考人 油が高いというお話でありますが、私は概観いたしまして、日本は輸入国でありまして、輸入国であって日本くらい安いところは世界にないと思っております。それは向うからのCIFプライスをごらんになればすぐわかることであります。たまたまある一種の品の種類、たとえば重油が高いということは、場所によっては比較のその仕工合によってはあるかもしれません。だが概して重油でなしにガソリン、ケロシン、ループ、その他全体を見渡して、世界各国の石油の価格表を比較、検討せられるならば、日本は輸入国でありながら非常に安い。ガソリンなどはアメリカに次いで世界でおそらく二番目か三番目に安いのじゃないかと思います。しかもそのガソリンにはキロ一万三千円の消費税がかかっております。ぜいたく税のようなものがかかっていて、しかもなお安いのでありますから、これはもしそうお思いになるならばお調べいただきたいと思っております。  なおついでですからちょっと申し上げたい。さっき日本の油屋はみんな外資と提携しているのだから、かりに油屋がスーパー・タンカーを作ったという場合に、その利益を半分くらい持っていかれるのじゃないか。それから外資と提携しているから、やむを得ず外国資本に牛耳られて、それのためにいやおうなしに好まないけれども外国船を使うという面があるのじゃないかという意味参考意見として承わったと思いますが、これは全然違っていると思います。私ども日本船を第一にしております。たとい日本船の方が少少高くても、日本船を私の関係している会社では使っております。外国船を使うというのは、日本タンカーが足りないから、やむを得ず使っている場合でございます。それからたまたま突発の用のために船をあさってみても、日本船がそのときにはみんな航海中であって出られないというような場合に、好まぬながらも外国船を雇うということだけであります。だからこれは私自身主張するのは私の関係している会社だけでありますが、一般に対しまして外国船を使えば、ドルなりポンドなりを払わなければならないのでありますが、そのドルなりポンドがないのであります。われわれは割当をもらっているのであります。子供が金平糖を分けてもらうように、お前には五つ、お前には六つというように分けてもらっているのですから、この外貨は最も有効に使わなければならないのです。船賃にこれを使うのは最もばかな話でありまして、なるべく日本のものを使いそして原油のコストだけをドルなりポンドなりで支払うということにしているのでありますから、これはそろばんの上からいっても、外国の圧迫によって欲しないのに外国船を使うなんということは、絶対にあり得ないことと私は思います。御参考までに申し上げておきます。
  49. 池田禎治

    池田(禎)委員 私は外資の導入についての基準なり、実際の方法というものは実は存じませんが、日本の開銀の財政投資を受けた場合と外資の場合、利子はどういう比率ぐらいですか。
  50. 栗田淳一

    栗田参考人 外資にもいろいろあるのですが、私どもの使っている外資は四分でございます。これまで使った外資は四分であります。
  51. 池田禎治

    池田(禎)委員 長期ですか。
  52. 栗田淳一

    栗田参考人 長期でございます。非常に長い五年間も据え置いたあと、四分でゆっくり返すわけであります。
  53. 池田禎治

    池田(禎)委員 それでは最後にあなたにお尋ねしたいのですが、今の日本石油業界に対して、国としていろいろな保護政策というか、助成政策をとっております。そういう点では相当国家の助成を受けているということは御承知かと思いますが、減税措置だとか、特別償却だとか、合理化設備に使用する輸入機械の輸入税の免税、そういうふうなものは今日受けておられるわけでありましょうか。
  54. 栗田淳一

    栗田参考人 今御直間の中の特別償却は、できるだけ精一ぱいやっております。私どももやったものであります。それから特別の機械の輸入免税措置ですが、これは今私ちょっと思い当りませんが、もしあったとしてもそれはもう言うに足りないものだと思います。仕事の一部分です。特別償却は、これができるほどもうかればいいのですが、そんなことをすると決算ができないことになります。私どもまだ全部やっておりません。そうまで利益が上らない、そういうのが実情でございます。これが完全に許されたごとく特別償却ができれば、石油のようにプラントが日進月歩して、数年たった後には動きはするけれども能率が悪いといって、スクラップ同様になりかねない。特別償却は非常に望ましいのですが、事実は許されている限度にはやり得ないと思います。これが一般の情勢だと思います。
  55. 池田禎治

    池田(禎)委員 陰山さんにお尋ねいたしたいのですが、あなたの先ほどの御意見の中には、こういう自己資本による大型タンカーが続々と建造されると、業界も混乱を来たすおそれが十分にある。ひいては繋船等のような最悪の事態もわれわれとしては憂慮しなければならない、こういうことを申されておりますが、たとえば今タンカーの絶対量が足らないのであるから、今自己資本であろうが何であろうが、計画造船を破壊しない範囲において認めることが妥当ではないか、こういう答弁関係官から述べられたことが、本委員会でもあるいは予算委員会等においてもございますが、そういう点のあなた方の御意見、混乱せしめるおそれありというお考え方、そういう点についての御意見を、先ほど伺いましたことにもっとつけ加えてお聞かせ願えることがありますかどうか。
  56. 陰山寿

    ○陰山参考人 石油会社が続々と計画旭船外においてスーパー・タンカーを作るということが、運航コストの高い現在の大部分のタンカーの運営の上に、非常な悪影響をもたらすであろう、そしてその結果、一時タンカーはもうかった時代があるけれども、現在は非常にもうからない。最近タンカーとカーゴ・ボートを両方持っている会社の責任者に聞きますと、現在のタンカー運賃をもってするならば、むしろカーゴ・ボートを作って、北米の小麦を十二ドルで輸送する場合の方がそろばんの上ではよろしいというほど、現在ではタンカーはもうからない。そういう状態のところにこの運航コストの安いスーパー・タンカーが、専業者以外の手によって建造されるということは、現在以上に専業のタンカー業者を困難な状態に追い込むことは不可避である、こういう見解を聞いたのでありますが、私もまた同様の見解を持っているわけであります。その結果、先ほど申し上げましたように、これがスクラップ・アンド・ビルドというような計画造船の中に、一方に時代に適したスーパー・タンカーが専業者によって作られ、一方において不経済タンカーがスクラップされるというような形において質の転換が行われるならば、大きな混乱なしに日本タンカー船隊の時代に適した質的な転換整理ということが可能であると思いますけれども、先ほど申しましたように、それと無関係に専業の業者以外の手によってそういう船が作られるということは、現在以上に困難な事態に専業のタンカー業者を追い込む。その結果、係船等の最悪の事態が予想されることもあるのじゃないかということを私は申し上げたわけであります。これは情勢判断の問題でございまして、おのおのその立場によって視角が違えばまた違った結論が出て、お前の杞憂はそれは杞憂に過ぎる、こういう御意見もあるかと思いますが、私が申し上げておることは、少くとも狭い労働組合の利益を代表する立場ではなくして、日本海運政策に初めあり終りある筋を通してもらいたい、こういうことを申し上げているわけなんであります。私が最初申し上げましたように石油業者であろうと鉄鋼業者であろうと、日本の船腹の絶対量が足りないのであるから、いろいろ船が作られるということはわれわれの立場からも望ましいことであり、日本海運全体の立場からいっても、船腹の増加ということはその面に限定して考えると望ましいことであるかもしれないが、ひとり歩きできない日本海運界の現状において、船の作り方が私は非常な問題ではないか、こういう点を申し上げているわけであります。私の杞憂が単なる杞憂であって、作られるスーパー・タンカー外国船で運んでいる部分に完全にかわられるのであり、さらに専業のタンカー業者に悪影響を与えない、こういうことがはっきり保証されるような状態であるならば、私は私の意見を固執するものではありませんが、少くともわれわれの苦しい生活の中で、要求すべき改善すべき労働環境の改善について非常な現実の必要を感じつつも、あえてそれを押えて日本海運国家的重要性と国際法というものから考えて、海運の発展に対しては、政府と業者とわれわれが一体となってその実を上げなければならないという見地から努力をしてきたつもりでありますし、また努力していこうとするおのおのの立場において、正常な発展の過程において不測の混乱を惹起することが予想されるような危険はあえてしてもらいたくない、日本海運が完全にひとり歩きできるような状態になった後ならば、これは別問題でありますが、ひとり歩きできないために、国の助成がなお相当期間、この計画造船その他の点においてもなされておるその期間くらいは、船腹の増強ということに対して質的にやはり考えて、正常な発展を促進するような方法において筋を通してもらいたい、こういうことを申し上げたのであります。
  57. 池田禎治

    池田(禎)委員 米田さんにちょっとお尋ねしますが、私の聞いたところでは、今の日本タンカーは一隻年間四千万からの赤字を出しておる、こういうことを聞いておりますが、事実は大体どんな模様でしょう。さらにまた今のような議論を聞いておると、人によっては外資を入れることによって自己保有船を作るということは、船舶の絶対量の下足なときにおいてはよいじゃないか、こういう御見解ならば、それは国民の税金を長いことつぎ込んで、ばかなことをして、利子をまけてやって、計画造船をあれだけの大きな事件を起すくらいならやめた方がいい。こういうものは国家の税金をそんなに投げ込むようなことをしてはいかぬ。計画とは何だ。計画というものは海運の育成であり、その助長のために、これは国の方針として作らなければならぬ。それに多くの財政投資をして国民の税金をつぎ込んで——もちろん外資を入れるのはちっとも悪くないという考え方ならば、そんなところにつぎ込むということは、国家としても一つ根本的に検討をする必要がある。石油会社にどんどん作らせたらよい。一方は国民の税金で外航船舶利子補給法なんという問題になる法律はやめてしまえばよい、こう私は思う。これは本来ならば運輸大臣に聞くところですが、あなた方は船主協会に籍を置かれる者として、そういう点はどうふうにお考えになりますか。それは私の答える範囲でないとおっしゃられれば、もとより私はしいるつもりはありませんが、この赤字の状態と、計画造船自己資金による船舶の建造に対する船主協会としてのお考え等をお漏らしいただきたい。
  58. 米田富士雄

    米田参考人 今御質問の四千万円の赤字のことですが、実は具体的な数字が四千万円であるかどうかということについて、私ははっきりした記憶は持ちませんが、現在の海運市況、また海運業者の収支からいいまして、一番悪いのはタンカー業者であります。貨物船の不定期という形、それから定期、タンカーというふうな形で、タンカーはかつては非常によかったのでありますが、現在は非常に悪い形になっております。なぜそうなりましたかということにつきましては、世界的にタンカーがある程度オーバーしておるのではないかという見方もありますが、それよりもむしろスーパーの時代に入った、その方からも来ておる、こういうふうな考えが強い。  それから自己資金と計画造船の問題でありますが、私はこういうふうに考えております。現在日本で船が足らないということは確かであります。従いまして船を作らなければならないということは、これは最も緊要なことでありますが、しかしそれはあくまでも日本海運の国際競争力といいますか、経営力の増強の上に立っての船舶の拡充ということの二つが結びついていなければ、私は意味がないと思います。その意味で、自己資金で作られる船そのものは、日本海運——狭く言いますればタンカーの、日本海運の世界競争力との関係において、いかなる状態にあるかということが十分検討された上に立っての海運政策というものが立てられなければならぬ。ただ何でもかんでもいいから船をふやしたらいいという考え方は、少し行き過ぎではないか、私はそう思います。
  59. 竹谷源太郎

    ○竹谷委員 関連して。私も今池田委員から御質問のあった計画造船に関連をして、船主協会の米田さんと海員組合の陰山さんの御意見をお伺いしたい。  御承知のように、ことしも十八万トン前後の第十一次計画造船を公募中で、これを実施することになっておりますが、この計画造船は外航船舶だけに限られて、内航船あるいは近海航路の船舶、いわゆる中型船に対しては何ら考慮を払われていないのでございます。この近海あるいは内航船も、その船主立場からいいまするならば、戦争によって非常な被害を受けた点は外航船舶と同じでありますのに、戦時補償は同様に打ち切られて、非常な損害を受けており、新しく中型船等を建造する能力も失っておるのでございます。   〔木村(俊)委員長代理退席、臼井委員長代理着席〕  しかるに政府財政投融資も受けなければ、あるいは利子補給、損失補償もない。しかも固定資産税その他の税の面においても、何ら恩恵を受けていないのでございます。しかるに国内における産業の発展に伴いまする輸送量の増大、また中共やソビエトとの通商も開始せられ、またどんどん増大する傾向にありまするし、極東方面の中型船等による近海運輸というものも目ざましく発展しつつあるのでございますが、この情勢下にありまして、計画造船というものを、これら四、五千トン級の中型船の建造という問題についても、早急に考えなければならない時期が来たのではないかと考えます。なおまた中小造船所が困っておるのでございますが、これらの方面に仕事量を配分するというようないろいろな面から見まして、中型船を計画造船の中に含ましめるという必要が起ってきているように考えるのでございます。これに対して、中小船主も含んでおりまする船主協会として、いかなる御意見を持たれておるか。また船員の団結でありまする海員組合とされて、これに対してどういうお考え方をされておるか。国内航路あるいは近海の中型船の建造を計画造船として行うべきではないかというこの私の意見に対して、一つお二人の御見解を承わりたいと思います。
  60. 米田富士雄

    米田参考人 今の御説明につきまして、私は全然同感でございます。このたびの十一次船の計画建造の方策につきまして、海運造船合理化審議会でいろいろ検討されました結果、中型船については今度はやめるというふうなことに一応なりました。今まで外航、ことに遠洋方面の拡充に急である余り、中型船に対して目を向けるひまがなかったのでありますが、そのような取り残された形にいつまでも置いておくことは決してよくない、もうその方面に向って十分考えるべきときではないかというふうな気持で私はおります。従いまして合理化審議会の一員といたしましても、その点について関係の方々の注意を促す、ただいろいろの資料その他から見まして、今年度の十八万九千トンのワクの中で作るのはまだちょっと無理じゃないか。考えることはどうしても考えなくてはならない時期に達してはおるけれども、本年度それを実行に移すことは無理ではないかというふうなことがいろいろの資料から出て参りましたので、われわれといたしましては、本年度はやむを得ないから、次の機会にはぜひ建造の実現ができるようにということを期待しております。
  61. 陰山寿

    ○陰山参考人 先ほどの御質問に対してお答え申し上げますが、私も中型船と申しますか、中型船以下の内航船舶も含めて、計画造船においてやるべき時期が来ておると考えております。しかしそれをやる場合に、非常に性能の悪い戦標船等を多く持って、辛うじて動かしている内航の船主の実情は、収益力あるいは資産、信用、担保力というような点において、大型船の建造を申請しておる船主とは、同日に論ずることのできない、非常に悪い状態にあるわけであります。従ってその時期は来ておるが、単に大型船と同じような形式において、中型あるいは内航の小型船の建造ということを考えられても、実際問題としてはなかなか困難であると思いますので、合理化審議会においても、先ほど米田さんからお話がございましたが、その必要性は認められておるわけでありますから、次の計画造船機会において、現在の内航船主が中型以下の船腹を建造し得るような方法を、計画造船の一部門において研究し、決定し、実現をしていただきたい、かように考えております。
  62. 臼井莊一

    ○臼井委員長代理 次に木村俊夫君。
  63. 木村俊夫

    ○木村(俊)委員 今まで各参考人の方から、いろいろ有益な御意見を承わっておったのであります。その中で、特に米田参考人のおっしゃいました従来のわが国海運政策の基調と申しますか、それは諸外国の例から申しましても、アメリカのごとく単に荷主に隷属した海運ではなくして、どちらかといえばノルウェーの海運のような、海運業そのものの保護育成というものに従来の海運政策の基調があったという御意見には、全く同感であります。同時に陰山参考人のおっしゃった、そういう意味におきまして現在の造船計画におきましては、従来の単にだれが作ってもいいという船腹増強の量的な面に重点を置いた造船計画よりも、むしろ海運の構造と申しますか、質的な構造に重点を置いた海運政策に転換すべき時期に至っているという御意見に私は拝聴いたしました。そこで恐縮でありますが、栗田参考人にちょっとお尋ねいたします。先ほどの御意見の中で、日本石油とそれから子会社でありますが、東京タンカーを両方おやりになっておるということですが、先ほどからの御意見によりますと、荷主がタンカーを持つことは石油パイプを持つのと同じことで、これは当然だという御意見も拝聴しております。東京タンカー会社という独立会社をお作りになって今おやりになっているわけなのですが、どういう理由から独立会社をお作りになっておられるか。あるいは荷主さんとして特に御不自由を感じておいでにならないかという点について、まず承わりたいと思います。
  64. 栗田淳一

    栗田参考人 東京タンカーをどういうわけで作ったか。これは日本石油ひとりならば東京タンカーは要らなかったわけであります。やや入り組んでおりますが、日本石油は、日本石油が売りさばいている品物はカルテックスから買っているのであります。それでカルテックスは売る品物をどうして調達しているかというと、日本石油精製に委託製造させ、それから興亜石油に半分の出資をして、その製品を自分の手に一手に取るような仕組みになっておるわけであります。それをあげてことごとく私どもが売りさばいておる。こういうようなつながりがありますので、三社共通のタンカー会社を作って、それにカルテックス自身の運航関係も少しはありますが、全体を一つの中でプール計算をやろう、だれがもうけてだれが損するのでもない、常にプールして平均運賃を払うという形をとりたいというので、東京タンカーを作ったわけであります。東京タンカーのできた理由は他にもありますが、主たる理由はそういうことであります。
  65. 木村俊夫

    ○木村(俊)委員 東京タンカーをお作りになっておる理由はよくわかりました。次いで恐縮ですが、またちょっと栗田さんにお尋ねしたいのですが、先ほど池田委員からの質問の中で、これは一例ですが、丸善石油がスーパー・タンカーを作ればほかの石油会社が販売コストの競争上続々作るであろうという御意見が出たのです。私もそう思いますけれども、その際にたとえば臨時船舶建造調整法でそういう外国資本の入った石油会社に自家船を作らせるのはけしからぬといって、もしもこれを許可しない場合、私たちがよく聞いておりますのは、外国のスーパー・タンカーを用船して、販売コストの競争上立ち向わなければならぬということを聞いておったのですが、先ほどの御意見によりますとそうではない、そういう外貨を使うのは愚の骨頂だという御意見だったのです。そういたしますと、たとえば丸善石油がスーパーを作られる場合に、日本石油会社としてどういう対抗手段を用いられるか。外国用船ができなければ、やはり御自身でスーパー・タンカーをお作りになって販売コストの競争をなさらなければ、非常に御不利になると考えますが、その点いかがですか。   〔臼井委員長代理退席、委員長着席
  66. 栗田淳一

    栗田参考人 一番いいここを言えば、油屋の立場から言えば、少くとも自分の荷物の八割くらいは自分の船で運びたい。全部を運ぶということもまたこれは考えられないことですから、専門タンカー業者にはあとの二割というくらいがちょうど合ったところだというのが、正直な精製業者としての考えなのであります。しかしそれは口で言うだけであって、実際はなかなかそうはいきません。丸善がタンカーを作った。そうすると丸善の荷物だけ、運賃だけ安くて、対抗上どういう処置をとるか、それはできればむろんタンカーをふやしたい。それができなければやむを得ない。やむを得ないからといって、外国の船を使うということはいたしません。日本船は少々高くても使います。高くても使うということは、先ほど申しましたように、日本船なら円でよいのであります。外国船を使うとドルやポンドが要ります。それは割当がありません。とてもちょうだいできないのでありますからどうにもならない。いやおうなしに日本船を使うということになります。いやおうなしというのではなくて、私どもとしては日本船を優先的に使うということは私どもの一つの、何というか、ドクトリンであります。そういう行き方をしたいと思います。さっきちょっと船は山から精油所へのパイプ・ラインだ、これは精製業をやってごらんにならないといろいろな面においてのそういう意味は痛切には感じ取れないと思いますが、実際自分が製造する原料を、今は他人の海外油田でありますが、これがもしかりに自分の海外油田であって、そこからこっちへ運ぶのに、人の船を頭を下げて使うのはどんなに営業上下利であるかということは、御想像がつくと思います。今は運賃が安いのでありますから、昨今のようなことがいつまで続くとは思いませんし、そうあってはならないと私は思っております。今のような状態であったら、タンカー会社はつぶれてしまいます。私は一面タンカー業者でもありますから、これはつぶれるほかはありません。だから適正なフレートが早晩実現してくることを、タンカー会社立場から希望いたします。いずれにしてもある程度の船は精製業者が持つことをお認めになるのであります。結局はさじきの奪い合いがあるのじゃないかと思います。今の専門業者がどれだけ運んでおるか、日本の専門業者が六割運んでおる。あと四割は何で運んでおるかといえば、外国船で運んでおる。外貨をそれだけ失っておるのでありますから、これはできるだけ早く船を充実するということが、私は日本のために考えて第一の問題ではないかと思います。もっともそれが専門業者を脅かすような危険がそこにあるなら、これは考え方は違う。私は専門業者を脅かしてかまわないとは決して言わない。一面には自分も専門業者でありますから、そういうことはとうてい考えられないのでありますが、今の四割も不足しておるのを、それだけさじきがあるのを、今のうちからとやこう言うのは早過ぎはしないか。自分がそこへすわることもできないのに、さじきだけ取っておく、これはどうか、考え方が違いはしないかと思います。なおフリクションを避けるためには、精製業者の持ち得る限度は幾らかという線、自分のものを何パーセントまで運んでいいかというようなことがもしきめられるものであったならば、こんなフリクションは一ぺんに解消するのではないか、こう思っております。両方が育っていくようにありたいと思います。さっきはノルウェーの話がありましたし、アメリカの話がありましたが、これは全然両方行き方は逆であります。どちらがいいか悪いかは、私どもに言わせれば、アメリカの行き方がよいと考えるのであります。これはしかし見方の相違と言われればそれまでの話でありますが、そのように考えます。
  67. 木村俊夫

    ○木村(俊)委員 そういたしますと、今栗田さんはやむを得ない場合のほかは決して外国用船はしない、日本船を使うと言ったのですが、日本船をお使いになるのは非常にけっこうなんですが、シェル系の会社が同じような態度に出るかどうか私はよく知りませんが、ただ問題は、そうなるとタンカー業者のフレートをたたく。たたくという言葉は悪いかもしれませんが、そういう方向に石油会社が向うということは、私は当然の帰趨だと思います。そこでさっき米田さん、陰山さんがおっしゃった心配がそこに如実に出てきはしないかと思いますが、米田さんはその点についてどうお考えになりますか。
  68. 米田富士雄

    米田参考人 それは栗田さんと私との立場の相違から、一致点が出ないのだと思います。大体海運業というものを国がどういうふうに見ておるかということから始まるのじゃないかと思いますが、私はいかなる場合も海運業全体、特にそのうちのタンカー業者というものが絶対に必要であるということは、否定できないのじゃないかと思います。今のようなお話で自家船ができていくということは、今日の日本タンカー業界からいたしますと、非常に痛いのです。それは今のタンカー業界が小さいといえば小さいのですが、一つの革命期にぶつかっておるのではないかというふうに考えます。それは先ほど陰山さんからもちょっとお話が出ましたが、もうリプレースする船が約十八万トンくらい、これはどうしても取りかえなければならぬ。そういう問題とからみまして、タンカーの傾向がスーパーの方に強く動いているわけであります。そうなりますと、リプレースしてスーパーの方に強くいく、これをぜひとも実現させるような方向に持って参りませんと、日本タンカー業者はつぶれてしまうことになるのでありまして、今お話の石油業者の方々が、御自分立場からそういうものをお持ちになるということはよくわかるのでありますが、われわれといたしますと、どうしてもこの際、ただそれだけにおまかせするというわけにはいかない。やはりタンカー業者というものはある程度育成しておかなければいけない。それは先ほど申しましたように、他日第三国間に伸びていくことも考えなければならぬ。あるいは世界のどこかに一つの国際的な緊張が起った場合、日本に対する石油輸送をある程度保証するような方向も考えておかなければならないというふうなこともいろいろ考えますと、どうしてもそこに何らか調和点と申しますか、石油業者の方々の採算だけで船をお持ちになるということを放任するということは、私はちょっと困る、こういうふうに思っております。
  69. 木村俊夫

    ○木村(俊)委員 最後に開銀当局にちょっと伺いたいのですが、先ほど池田委員から松田理事資料を要求されましたが、今お持ちでないということでありました。この通産省による調査によりますと、石油会社に対する財政資金の融資が約十五億程度、その中で六月末の残高が十二億というようなお話を聞いております。この数字は間違いがあるかもしれません。この際私がお尋ねいたしたいのは、こういう石油会社自己の専業と申しますか、石油精製事業財政資金を借りてお使いになっておる。これは国家産業上非常にけっこうな話でありますが、そういう財政資金をお使いになって非常に利益を上げておられる石油精製会社が、その利益のあることで外資を導入されましても、あるいは市中銀行からお借りになっても、結局その返済ということには、自分の資金をお使いになることは当然であります。そういう利益をお上げになっておる中から、専業でない、いわば兼業にひとしい第二次的なスーパー・タンカーをお作りになるということは、どういうふうなものかということを、私しろうと考えながら疑問に思っておるのでございます。同時にお尋ねしたいことは、もしそういう利益があれば、むしろそういう二次的なタンカーの建造にお使いになるより、国家財政資金をお使いになっているのですから、その財政資金の繰り上げ償還をおやりになるのが当然だ、こういうしろうと考えをいたしておりますが、御意見を承われば幸甚であります。
  70. 小林中

    ○小林説明員 私は丸善石油外資を導入してタンカーを作るというお話のその内容は、実はつまびらかにいたしておりませんので、あまり詳しいお答えはできないのでありますが、一応観念的に私ども考えますのに、外資が導入されることは、タンカーを作るという目的に対しておそらく導入ができたのではないかと思います。従って石油精製業者が精製設備をする場合に、必ずしも外資の導入ができるかどうかは、これは非常に疑問だと思うのでありまして、従ってタンカーを作るということは、開発銀行が石油会社に対してその設備資金を供給したこととは、全然目的が違うのであります。従って資金の出方が違うというふうなことになるのであると思います。ただお話の、自己の利益によってタンカーを作るというふうな余裕があれば、むしろ繰り上げ償還をすべきではないかという御意見もあるのでありますが、大体各石油会社で工場を建設いたします場合には、およそ建設によってその利潤がどういうふうになり、これを何年で償還をしていく、あるいはその一部の借入金は何年で返済をするという計画を立てまして、そのめどの上に事業が進んでおることと思われるのでありまして、従って私どももそういう計画内容をしさいに検討をいたしまして、融資をいたしておるのであります。タンカー外資で作るからお前のところはけしからぬから、繰り上げ償還をしろというわけには参らぬだろうと思います。
  71. 木村俊夫

    ○木村(俊)委員 今のお言葉は、開銀当局としてはごもっともなお言葉であります。ただ現在運輸大臣かお見えになりませんけれども政府といたしましては必ずしもそうはいえない。現在タンカーが足りない、ことにスーパー・タンカーを一ぱいでも多く作りたい、これは海運政策上当然の結論でありますしそうなりますと、このスーパーを作るのに財政資金が足りないから、現在船腹拡充の必要上荷主に作らしてもしようがないじゃないかというのが、栗田さん、あるいは現在はどうか知りませんが、運輸大臣のお考えのようであります。そうなりますと、今開銀御当局のお立場としては当然ですが、政府といたしましては、財政資金が足りないから、スーパーは今年は二はいしか作らない、あるいは三ばい作るかもしれない。そうすると政府全体としては、石油会社がそういうスーパーを作るということの余裕があるならば、財政資金を繰り上げ償還でもさせて、それを計画造船に回すのが、これが海運政策ともマッチするのじゃないかというふうなことを考えておりますが、現在運輸大臣がおりませんから、後日に質問を留保いたしまして、私の質問は一応これで終ります。
  72. 原健三郎

    原委員長 小山亮君。
  73. 小山亮

    ○小山(亮)委員 順序として米田さんにお伺いをしたいのでありますが、私は日本の、日本ばかりでなくて、世界の船舶界というものが、一つの大きな革命に直面しているのじゃないかと思うのです。それは何であるかと申しますと、最近の航空機の発達によりまして、人間は全部飛行機で外国へ行く。パッセンジャー・ボートというものはだんだんなくなるということ、おまけにシルクのような貴重品の運賃の高い品物は、やはり空輸でもって持っていくというような時代が近づいている。そうしますと、これからの日本の船舶というものは、大体において原料資材の運搬というようなことになってくるのじゃないか。もう一つの大きな革命は、いわゆる最近の原子力の発達、この原子力の発達はおそらく今後十年を出ないうちに、船にまで動力として原子力がどんどん使われてくるという時代がきますと、今建造されておるところの船には大きな革命がくる。計画造船をやっておる政府としてはこういう面も相当に考えて、十年の間になるべくならば建造資金というものが回収のできるような、そういったような構想で船の建造を奨励していくという必要があるのではないかと私は思います。そういう面で今まで船主協会と運輸省との間にいろいろな折衝が行われて、船の建造計画なんというものもどんどん立てられておりますけれども、ずいぶん甘い面があるのじゃないか、現状ばかりを考えておって、将来というものに対する見通しがはっきりしていないのじゃないかというところが非常にあります。タンカーの問題にしましてもそうなんであります。スーパー・タンカーが作られるということは、もうすでに最近に至って外国から日本に注文しておりますところのタンカーは、全部スーパー・タンカーであります。ですからTLの時代というものはもうなくなってくるのです。さらに石油会社がスーパー・タンカーを作った。それがために専業タンカー業者が圧迫を受けるというばかりでなくて、外国で作っておるところの船を見ましても、今まではこれは日本に回ってきませんけれども、やがて日本の近海にその船が回ってくる時代が必ずくる。そのときには日本の現在までのタンカーの専業業者が、TLを持って倫安の夢をむさぼっておりましても、それがつぶされてしまう。やはり日本タンカー政策はどうしても今までのTLから、スーパーに切りかえなければならぬ時代がきておりはしないか。船車自身が今石油業者が作るスーパー・タンカーに脅かされ、そうしてこれに反対の声をあげておる。その気持もわかりますけれども、その一面にやはりTLのようなものを持っておる、今までのような小型タンカーを持っておるというものは、考え直さなければならぬ時期がきておると思いますが、船主協会の中で船主みずからがスーパーをやろう、今度は小型タンカーをやめてスーパーをやろうというような気がまえがございますかどうか、ちょっと伺いたい。
  74. 米田富士雄

    米田参考人 今の小山さんの御意見は実は一々ごもっともなのでありまして、先ほどもちょっと申し上げましたが、私も海運男に一つの革命がきておるのではないかというふうに考えておりますので、それはひとりタンカーだけでなくて、貨物船の方にもそういう事態がきておるのであります。それは具体的に見まして、日本に最近おびただしく注文されてくる貨物船を見ますと、従来の貨物船とスピードその他の性能、船型もまるで違ったものになっております。この点にはやはりわれわれは非常に注目しなければならないものがある、こういうふうに考えております。また原子力の問題につきましても、世界の経済の発達に伴いまして、スピード化がだんだん激しくなって参りますが、一定のスピード以上を要求する船は、おそらく現在の機関ではできないので、それは原子力にたよらざるを得ない。私は小山さんの御意見に全然同感で、おそらく原子力の経済的な利用の最も早いものの一つに、商船があるのじゃないかしらというまでに想像をいたしております。そういう観点からいたしまして、今までの計画造船について、政府船主協会その他業男方面とのいろいろな折衝について、再検討を加えなくちゃならないのではないかというお話でありましたが、御承知通り船主協会というところは、大中小ライナー、トランパー、オペレーター、オーナーなどいろいろなものが入っておりますので、なかなか意見の一致を見ない点がよくあるのでありますが、少くとも現在までの計画造船のやり方については、再検討を至急にやらなくちゃならぬ事態がきておるのじゃないかと私は思っております。というのは、今までは失われた船を回復するということで精一ぱいだったのであります。ところがこれからはその作るべき船をいかに有効に使うかという、オペレートの方も考えなければいけないのでありまして、そこに再検討あるいは再編成というようなことが、当然いわれてくるものがあると思うのです。また船も、今お話のようにいろいろの船型、性能というものについても、ただ従来のような考えは改めていかなければならない。ことにタンカーにつきましては、お話の通りにスタンダードの時代はもう去って、スーパーの時代にきているのじゃないか。ただ日本特殊事情と申しますか、港の状態、精油能力等からして、すべてをスーパーに切りかえるということは困難であると思いますが、とにかくもうスーパーの方に向って注目していかなければならぬ、そちらに重点を置いていかなければならぬということは、ある程度定説になっております。船主協会の中でも今度おそらくスーパーを希望されて、公募に応ぜられる方も相当あるというふうに私は聞いております。
  75. 小山亮

    ○小山(亮)委員 私はその点について、戦後の日本が建造しておりました船に対しても、一応反省をする必要がありはしないかと思う。第六次以降の船の船価を見ますと、世界で一番高いのです。国際競争でどうしても勝って外貨を獲得しなければならぬ日本の船が、世界で一番高いのです。しかも金利が高いのですから、どうして戦っていくことができるかということになる。従って船を作った結果が、その建造費の支払いに窮して、あの利子補給というような問題が起り、さらにそれがあの不幸な疑獄事件まで発展したということは、結局日本の船価というものが七次以降というものはべらぼうに高くなった。これはイギリスの船価やドイツの船価やノルウェーの船価と比較しまして、問題にならない。しかも日本の船舶建造の技術というものが、業者にいわせれば優秀だといっておりますが、何といってもイギリスやドイツには及びはしない。しかも世界一に優秀なイギリスやドイツが、優秀な建造技術をもって建造した船をもちまして、しかも一番安い。それなのに、それに劣る技術をもって作る日本の船が高い。その結果どこに影響するかといえば、やはり政府にも迷惑をかげなければならぬし、乗組員全体にも支払う給料も支払えないということにもなるのじゃないか。  戦後日本が作った船が必要以上に豪華船であって、第七次、第八次なんというのに至っては、ほとんど太平洋のスピード競争をするつもりで、高速船高速船として作りました。その結果今ではその作った高速船にほんとうに困っておる。一例を申し上げますと、日産の日光丸のごときは一万二千馬力のタービンですが、しかもそれは一日に燃料を重油で六十五トンたくのです。ディーゼルであれば同じく一万二千五百馬力くらいで、重油が三十二トンくらいで済む。それなのに特別にそういう高い船を十五億も金を出して作って、今ではこれをわずか十億で売るといったところで買手がない。今のような非常に運賃がよくなったときには、辛うじて採算が一ぱい一ぱいになるかもしれぬけれども、とても船価を償却するようなわけにはいかない。こういうことは建造するときから、そんなものを作ったってだめだということをみんなが言っておったのを、どんどん作っていったのです。しかもそれに金を貸してやったというのは、私はやはり運輸省に一貫したる海運行政というものがないから、こんなことが起ったのじゃないかと思うのです。ちょうど大臣もおられるし、開発銀行の総裁もおられますから伺いたいのですが、この際私はどうしても日本がやらなければならぬのは、低船価で高速な船で、しかもそろばんに合う経済船をどうしても作っていかなければならぬ。世界で一番安い船で、できれば世界で一番高性能の船を作ればこれは問題はない。そういうねらいで船を作らなければだめだと思います。最近でもやはり適船適船というので、エンジンに非常に金をかけるのを作りますが、今後十年、原子力時代になって、そうして原子力が船舶の動力として利用されるようなことになったときには、その船はみんな改造しなければならぬということになる。私はそういう点から考えて、定期船でも今の船体の構造で、太平洋でブルー・リボンの取り合いなんかしても何もならないので、要はそろばんに合う速力、そうして定期船の貨物を積む船の速力というものは、大体十七ないし十八でけっこうなんです。それ以上の速力を出すことは必要ないのです。一日に二十四マイルか二十五マイルよけい出たところで何も意味ないのです。もっと急ぐ品物は、飛行機でどんどん輸送する時代がくるのですから、やはり私はそういう金のかかる豪華船は作らないようにして、なるべく十年くらいで、たとえば原子力時代がきて船舶の大革命がきても、そのときに国の損が少くて済むようなことを、今から考えていくのでなければいかぬのじゃないかと思うのです。これは海運政策になりますから、ほんとうは運輸大臣が御答弁なさるべきですけれども、米田君の方がなかなかその点は心得ておりますから、一つ船主協会の代表としての立場で御答弁を願いたい。
  76. 米田富士雄

    米田参考人 実際おっしゃる通りでありまして、日本海運の国際競争力をどうやって強めていこうかということを考えますときに、まずぶっつかる点は、第一に全部借入金でもって船を作るという重圧と、もう一つは船価の問題、この二つを解決しないと、日本海運はどうしても伸びるわけにいかない。この点につきまして、まず借入金の方はいろいろ根本的な政策考えなければならないのですが、当面われわれのやれることといえば、まず船価を安くするということなんです。その船価を安くしていくということは、ただ造船方面に転嫁するだけではなくて、いかに船の構造を簡素化して、能率化していくかというところに着眼していかなければならない。われわれ協会といたしましても、その点について十分考慮を払って努力しておるつもりですが、なお今度の合理化審議会の一部門として、設計の標準に対する専門家の専門委員会ができておりますので、そこら辺でも十分にその点を検討していただいて、業界の方の企業意欲と両方ぶっつけまして、低船価の性能のいいものを作りたいと考えております。それからスピードの問題で、十七、八ノットというようなお話がございましたが、現在の段階ではそれ以上要求しても、たとえば港の設備の能率がそれに伴っていかなければ、いかにオープン・シーだけ早く走っても意味ないのでありまして、現在の各国の港の設備を考え合せますと、それ以上伸びてもコンサンプションの高い不経済船になるだけではないかというように思っております。
  77. 小山亮

    ○小山(亮)委員 問題は先ほど池田君の質問されたタンカーの問題に移りますが、丸善が作りますタンカーの問題が相当問題になっております。先ほど栗田さんは、運賃を下げるため、できれば自分会社の使う油は、八割くらいは自分で運ぶのが理想だとおっしゃった。これは自由経済ですから、それがいけないというわけにはいかないでしょう。当然そこにいってしまうわけなんですが、そうすると専業タンカー業者が非常に苦しくなる。それからもう一つ、ノルウェーのお話がございましたが、ノルウェーのようにタンカーのフリー・ランサー、どこにも専属していない、いわゆるニコヨンのように仕事を探して歩いておるようなタンカーでは、日本のようにアメリカの油の会社ががっちりと根を張っておって、ほかにはだれも入れないという状態になっておりますところでは、やっていけないのではないか。やはり油会社と何らかの密接な連係がないと不安定でやっていけないのではないか。それからもう一つ、油の運賃というものは、ニコヨンでせせくると非常に相場を割られるというおそれがありはしないか。専業タンカー業者がおそれておることは、自家船を作る。たとえば丸善が自家船を作って、自分会社の船ですからどんどん下げて、どこまでも競争してやるということになると、運賃が上らなくなる。相場がある一定の限界で押えられてしまう。石油会社の方は非常に工合がいいかしらないが、タンカー業者の方は、それではもう何のうま味もなければ、しまいには建造資金も返せなくなってしまうのではないかという心配が起るのは当然だと思うのです。そこで自家船として石油会社が船を持つのでなく、別途の方法で船会社を作って、そこで船を持つというようにした場合には、タンカー業者の方は反対はないと思うのですが、いかがなものでしょうか。
  78. 米田富士雄

    米田参考人 今の小山さんがおっしゃったのは、大体最後はそういうことにいくと思うのですが、私はこう考えておるのです。今のタンカーというものは、まだ海運から見ますと、一般海運ほど発達したところまでいっていない、途中にあるというふう考えるのであります。ですから海運の発展過程は冒頭に申し上げましたように、最初どうしても自家船でいくわけです。貿易業者であっても何でもそうです。ちょうど三井物産をごらんになると、船舶部がありましてやっておった。そのうちに、ただコマーシャル・キャリアかインダストリアル・キャリアであったものが、ほかの荷物を多少やるようになると、独立してコモン・キャリアに変ってくる。そういうことがタンカーの方でもある程度これから先出てくるのじゃないか。ノルウェーのタンカーが今言ったようなニコヨン的な活動をしているということでありましたが、アメリカの業者——これは栗田さんがおいでになるから、私よりはるかによく御存じだと思いますが、この石油業者がある石油生産地で自分資本を出して、それとこれとの間はパイプなんです、そういう関係なのです。日本の場合は油を買ってくるので、だいぶ様子も違って、むしろノルウェーと同じような立場に近いところがあるのではないかという考え方であります。そこでそういうような国においてタンカーが生きていくということになりますと、これは理想に走り過ぎるかもしれませんが、ある程度自国のタンカー輸送を間に合せるということはもちろんでありますが、やはり第三国に出て、ちょうど貨物船と同じようなことをタンカーがやっていくことになっていくのかほんとうじゃないか、私はそう思うのです。そこで今そんなことを考えるのは、少し先ばしってはいないかということになるのですが、しかしそういう主張を是認されるならば、きょうからやはりそういうふうな基盤をタンカー業者に与えてやらなければならないが、そういうふうになれないのであります。この点海運政策の根本ですから、政府タンカー業者をどこにどう見ているか。もしそこに見ているというなら、その方向に向って伸ばすように政策を持っていかなければならないじゃないか。その点から今の問題も考えてもらいたい。私は丸善石油のことはよく存じないのでありますが、原則はそうであるという気がしているのです。
  79. 小山亮

    ○小山(亮)委員 今の米田さんのお話の中で、三井物産がだんだん船を持って盛んになったとおっしゃったが、それとタンカーとは一緒にならないと私は思う。三井はなるほど自分で船を持ったけれども自分会社の荷物がだんだく少くなったから、自然によその荷物をとるようになった。そうなったから結局自家船でなくて、船舶会社が作って大いに驥足を伸ばしていったということになるのですが、今のタンカーの場合は、よそから荷物をとりようがない。アメリカの油をとる以外には、よそからさらってくる必要がないのだから、結局今のままでいけば三井物産のように、やがて船舶会社ができるというわけにはいかない。丸善石油と日石の場合と大へん違う。日石の方は東京タンカーという一つの船舶会社を持っている。その船舶会社が船を作ろうとする。しかし丸善の方はそうではない。石油会社か作ろうとする。だから同じようだけれども、結局違うのです。その違うものをどう調整するかということは、運輸省としてお考えになることでしょうけれども、さればといってタンカーが足りないのです。タンカーが足りないからタンカーを作る。作るとすればそのタンカーをどうして自社船で作るか。タンカーを軌道に乗せて、日本の国のためにこれを有利に持っていったらいいかということを考えなければならないのが結論じゃないかと思うのです。私は栗田さんにお伺いしたいのですが、東京タンカータンカーを建造する御計画がおありでございましょうか。
  80. 栗田淳一

    栗田参考人 もちろん持っております。しかしお許しがなければやむを得ないわけでありますから……。私は東京タンカーを預かっている責任者として、この会社をますます発展させていかなければならない立場にあるので、自然建造計画は常に持っております。次から次へと持っております。
  81. 小山亮

    ○小山(亮)委員 結論において日石と東京タンカーというものは、ほんとうに内容は同じなのですか。それとも別会社なのですか。いわゆる資本系統が同じで、別会社になっているのか。ちょっとそれを……。
  82. 栗田淳一

    栗田参考人 日本石油資本ではありません。日本石油資本はないのであります。日本石油精製と興亜石油資本が入っております。日本石油は一銭の資本も出しておられないのであります。日本石油精製というのは日本石油の子会社でありまして、この資本と興亜石油資本が入っているのであります。それで完全な独立会社であります。だから資本家の方は配当をもらうということにしかならないのであります。配当があればですね。今のような事態では配当どころではありません。
  83. 小山亮

    ○小山(亮)委員 小林総裁にお伺いをいたしたいのですが、ただいま私が米田さんにお伺いしました言葉と関連いたしますが、今後の日本タンカーの建造であります。今後は小型タンカーを作ったのでは、とても採算が合わなくなる。どうしてもスーパーを作らなければならぬということは、焦眉の問題になってきていると思います。もし今度の十一次造船におきましても、小型タンカーを作っていくということになると、その建造資金の償却というものは早晩むずかしくなるということは、確認してかからなければならないことになると思いますが、私はどうも事態が変ってきたように思いますが、小林総裁の御意見はいかがでございましょうか。
  84. 小林中

    ○小林説明員 ただいまの御質問は私も全く同感でありまして、今後はタンカー業界におきましては、スーパー・タンカーの線がますます強く出て参ると思うのであります。しかしながら御承知通り日本の港湾事情あるいは石油タンクの所在地等に制約されまして、全部がスーパー・タンカーで必ずしも間に合わない。ある程度小型のタンカーの生きる道はあると思います。その点おそらく運輸省あたりで全部調査をなさいまして、今の日本の現状においては、将来スーパーが何トン、あるいは普通のタンカーが何トンくらいの所要量がいるというようなことはすでに御調査済みで、そういう基盤に立らまして油送船の政策というものをお立てになっているのではないかと思っております。
  85. 小山亮

    ○小山(亮)委員 この際運輸大臣に伺いたいのですが、現在日本にあるタンカーの中で、スーパーと称せられるのはわずか二隻くらいしかありませんが、今後はスーパーを目標としてお作りになるか、あるいは依然として小型でおやりになるか。日本の港湾事情なんというものは、だんだんよくなるにきまっていると思う。今のままでおりっこないのですが、今度の第十一次造船計画に、スーパー・タンカーというものをどの程度織り込んでおやりになるお考えですか。
  86. 三木武夫

    ○三木国務大臣 スーパー・タンカーを今後重点を置いて考えていきたい。しかしスーパー・タンカー全部がそうというわけにもいかないのでありまして、港湾の設備、水深、いろいろな点で日本タンカー全部スーパーに置きかえていくということには、期間が必要なわけであります。それならば第十一次造船にどういう程度——スーパーを今十一次造船では作るのでありますが、その割合はどうかということは、いろいろ今後の申請等も見まして、重点はスーパーに置いていく。しかしタンカーの建造の割合をどうするかということは、今後の申請等もにらみ合せて考えていきたい。ただいま考えておることは、重点をスーパー・タンカーに置きたいということであります。
  87. 原健三郎

    原委員長 関運してちょっとお尋ねいたしたいのですが、日本でスーパーの趨勢にあることは御承知通りでありますが、港湾等を考慮しと言うが、今までは並型の船ばかりを作っておって、並型の船はあり余っておる。並型の船を海に沈めて全部スーパーにするというのでない限り、並型の船は余るほどある。この段階において、第十一次造船計画においてスーパーを何ばい作るかということは、おのずから出てくると思う。並型はあり余っておるのに、今さら時代に逆行して三隻作る中に一隻だけ並型を入れるというのか。タンカーの中でスーパーを何隻作るのか。運輸大臣計画をお聞きしたい。
  88. 三木武夫

    ○三木国務大臣 それはただいま検討中でございまして、今スーパーを何隻というところまでには至っておりません。しかしスーパーに重点を置いて考えていこうということで、まだ隻数等は決定をいたしておりません。
  89. 小山亮

    ○小山(亮)委員 私は先般来、今までの政府計画造船というものは、名前は計画造船といって理路整然としたようなことを言っておるが、実は無計画方針で、何ら計画的なことなんかありはしないということを言ったのだが、今日大臣の答弁を伺うと、私はその感を非常に深くするのです。すでに十一次の造船の申し込みが開始されている。八月五日がもう締め切りなんです。そのときに政府が今度はスーパー・タンカーに対してはこういう方針で、これこれの割合で作るのだということすら発表してないということになれば、あなたが言う重点を置く、重点を置くというのは、口で重点を置いているだけで、事実においては重点を置いてないわけです。先ほど以来の参考人意見をお聞きしましても、もうすでに日本の小型タンカーというものは採算割れしているのです。そろばんがとれない。港湾事情と言いますけれども、水深の関係なんかは、大きな船を持っていっても、油艙装備のライターを持っていって、瀬取りを一回やって、大きな船の船足を軽くして入ってくれば入れるのですから、浅い港に大きな船が入れないというのは、しろうとが考えていることなんです。だから私は日本の将来を考えて、それ以外には採算の方法がない。TLの小型タンカーを持っているものは、勢い自滅するよりほかない運命が近づいておることを考えるならば、今回の十一次造船の中には、政府はその方向を打ち出して、今度はスーパーをやれ、TLを二はい作るものは、お互いが共有でもいいから二はいのものは一ぱい作れ、そうしてまでスーパーを作れというような、親切なる指導が私はあってしかるべきものだと思うのですが、ただ政府が金を貸すといえばどんどん船を作ります。今までだってそうなんです。今までだって、採算に合わないような船でも、政府が船価の八割を貸してやるというから、幾ら高くても八割出してやる、どんな安い船でも八割出してやる、どんな豪華船を作っても、どんなむだな船を作っても、八割出してやるということになれば、貸してくれさえすればどんなものでもやってしまう。あとのことは仕方がないと言って手をあげれば、それでおしまいなんですから。ですから私は政府がそれに対してはっきりした態度をお示しになることが当然だと思うが、いかがなんですか。十五日以来申し込みを開始しているのに、まだ今でもそういうことすら発表してないとすれば、私は方針がないのではないかと思うが、いかがですか。何隻お作りになるつもりなんですか。
  90. 三木武夫

    ○三木国務大臣 スーパーに重点を置いて考えたいということは、これは合理化審議会等においてもそういう意見が出ておって、ことに業者は世界の傾向に対して鋭敏なわけでございますから、そういうことは十分に承知の上、今後の申し込みも相当スーパー・タンカーの建造ということが中心になって申し込みがなされるもの、こう考えておるのでございまして、結果的には十一次計画造船の重点は、スーパーに重点を置いて結論を下したい、こう考えております。
  91. 小山亮

    ○小山(亮)委員 そうすると政府はすべてのことは審議会まかせで、何でも審議会できめたものだからその通り運輸省独自の考え方はない、こうおっしゃるのですか。
  92. 三木武夫

    ○三木国務大臣 独自の考え方がないわけではないのですが、審議会等もあるから、審議会の答申は尊重していく。しかし最後の決定は運輸省がやるわけであります。せっかくできた審議会、しかも権威者が網羅されておるわけでございますから、その審議会の答申は尊重するということが好ましいことだ、こう考えておるのですが、決定は当然に運輸省がやるのでございます。
  93. 小山亮

    ○小山(亮)委員 そうすると国会運輸委員会などで審議しておることは、これは専門家でないから尊重はしない、こういうことですね。
  94. 三木武夫

    ○三木国務大臣 運輸委員会においては専門家の方もたくさんにおいでになりまして、運輸行政には国会意見というものは、非常に重要な影響力を持つものであります。しかもこれは国権の最高機関として、第一番に運輸委員会意見などはしんしゃくいたさなければならぬことと考えております。
  95. 小山亮

    ○小山(亮)委員 審議会や何かに諮問する、あるいは参考人に専門家の意見を聞くということはけっこうなことなんです。ただしその場合には、自分にはやはり一本筋の通った確たる方針があって、そうして人に聞くべきものだと私は思う。自分のものは何もなくして、そして皆さん意見を聞いて、皆さんの言う通りにやるというようなことになると、計画造船が無計画造船になるのですよ。私の運輸省に言っておるのはそれなんです。戦後第一次の造船から第四次造船までは、船舶公団がございまして、船舶公団によって船ができてきた。ところが第五次から——第五次造船なんというものはくじ引き造船です。くじに当ったものが船ができた。それからその次は八次、九次になりますと、もうこれは銀行造船です。市中銀行の方で金を貸して、この造船所で作れば金を貸してやるというわけで、そこで船を作らざるを得ない。高かろうが安かろうが、いやおうなしに指名されたところ、競争相手がないからそこで作る。そうすると経費が高くなる。十次造船に至っては政治屋造船です。あの大疑獄が起りましたが、政治屋が船を作った。政党に運動して政治屋が船を作ったということが、ああいう疑獄事件を生んだ。ですから結局運輸省が独自の立場において、自分考え方で作ったのは、ほとんどないのですね。あるというならば、せめて第一次から第四次まで、それ以外はもう皆さんによって、人様のおっしゃる通りに、風の吹くままに作っておるわけですから、高かろうと安かろうと指名ということになって、十五億で船を作ったのを二、三年で十億に売ろうとして売りに出しても、買手のないような船まで作っておる、こういうことになる。また鉱石運搬船を作りまして持っていったら、すぐウインチが役に立たない。一週間で済む荷役仕事が十五日もかかるという船がある。これは私は会社の名前を言っては信用に関しますからやめます。また日本第一の造船技術を持っておるという造船会社で、ある会社が船を作った。それは電動機装置のすばらしい豪華船だというので、喜んで処女航海にフィリピンへ持っていった。フィリピンで砂糖を満載してアメリカへ持っていく途中ですが、いかりを巻こうとするとウィンドラスが飛んでしまった。根底からこわれてしまった。日本第一の造船所で作ったものです。仕方がないからそのままいかりを切って、船を日本内地へ持って帰って、ほかの船に積みかえて、そいを外国へ出した。そして一カ月以上かかってウィンドラスを直した。これが技術日本第一といわれ、船価の一番高い会社なんです。私はそういうことを運輸省が、やはりちゃんと監督をして指導する、そういうことをなからしむるようにしなければならぬと思うのだが、人まかせの計画造船をやればこんなことになるので、私はその意味においても、少くとも第十一次造船は人まかせの造船でなくて——これは審議会でもって審議したとか、いろいろ言われますが、定期船や大型船主ばかりがたくさん寄っていれば、どうしてもそちらのような意見が通る。正しい意見というのはどこにあるか。正しい意見というものは、財閥だから正しい意見を吐く場合もあれば、財閥だから正しい意見を吐かない場合もあります。だから私は、正しい意見というものはどれだということを取捨選択する才能がなくて、審議会なんか開いていろいろな意見を聞いているのじゃ意味がないと思う。そのどれがいいか、どれを採択するかというはっきりしたものを自分で判断するだけの機構があって、頭があって、そしてこれを取り上げるということでなければ、いい意見だか悪い意見だかわからぬでしょう。みんながおっしゃるからといって……。国会意見だって、国会は最高機関だといっても、これが間違った意見を吐いた場合には、それをお取り上げになるということは、もしそうなら、私は大へん心配なんです。だからやはりいい意見か悪い意見かということを、あなた方も拾い分けなければならぬ。大ぜいの中には、金もあれば銀もあれば、銅もあればくず鉄もありますよ。その中で金と銀を拾い分けてお取り上げになるのが、運輸当局のやらなければならぬことなんです。あなたの方は、尊重する尊重する、みなのことを尊重したら結局尊重しなかったということと同じことになるのです。みんな意見が違うのです。そのどれを尊重するか。今のタンカーの問題なんか、私どもは、明らかにあなた方の方ですっかり案をお作りになる必要があるのじゃないかと思うのです。これは将来必ず災いをもたらします、必ず国会に迷惑をかけることになるのです。だからころばぬ先のつえで私は言うのです。この点私はもう一度運輸大臣に、ただ尊重でなく——われわれ業者が明敏だ明敏だと言うけれども、業者なんというものは明敏じゃありませんよ。頭脳か明敏なら、みな船を作って損するわけはないじゃありませんか。利子が払えないからといって、政府に泣きついてくるわけはないでしょう。みんな明敏じゃないのですよ。そこを一つころばぬ先のつえで、このあり方というものをやはり政府考えてもらいたい。
  96. 三木武夫

    ○三木国務大臣 私は不敏でございますけれども、運輸当局には多年の専門家もおりまして、私を補佐して海運行政を遺憾なくやっていける能力は持っておると考えておるような次第であります。タンカーのことについては、隻数をどうとか、まだ考えていませんが、とにかくスーパーを作って、スタンダードを一隻くらい作るか作らぬかということに検討を加えておるわけでありまして、主たるタンカーはスーパーのタンカーを建造したい、こういうことで検討を加えておるのでござはます。
  97. 小山亮

    ○小山(亮)委員 私は丸善石油の問題については、特に三木運輸大臣がこれに対して善処されんことを望みます。というのは、去る六月二十九日の時事通信に出ておりますのに、「丸善石油と民主党某幹部との関係は相当深いものがあり、政治資金面では同社は民主党の一つのバックともいわれる。まず、丸善石油が当初日立造船と組み外資委員会申請したが、その途中で新三菱重工に切りかえた表面の理由は、新三菱が船価を大幅にダンピングしたことと納期の関係で新三菱重工が早いということになっている。しかし必ずしもそれだけの理由ではなく、これには黒幕として政界、財界に顔のきく戦前派のY氏が一役買ったといわれている。このY氏は丸善石油幹部とは親しい仲であるとともに、株の面でも相当の仕事師である。」こういうことが書いてある。それから「丸善の申請そのものはバンク・オブ・アメリカからの三カ年間の単なる融資で、その上丸善の内容から見て返済能力満点だから問題はないが、日本の役所で下部組織の幹事会と上級組織の委員会という二つの関門を通るとき、最初日立造船最後の幹事会から三日間隔を置いた間に新三菱重工となり、船価その他内容の変更があるものをそのまま通ってしまったということはちょっと不可解といわれている、こんなスマートな役所仕事は珍しいと皮肉られるくらいである。結局、政治力がものを言ったことになるとされている。」こういうことが出ておる。これは時事通信の交通・運輸段ですから、大かた関係の方にはみな回っておるでしょうが、こんなことはあり得よう道理がないと私は思います。しかしながら事が事であり、丸善石油の問題は相当騒がれておる問題でありますから、この際、疑惑をあとに残さないように善処されんことを望みます。私は、大小同時に船を作ることもあり得ると思います。しかしながらそれにはやはりそういう杞憂のないように、ちゃんと船会社なら船会社に作らして、同じ系列に入れて船を持たしていく、疑惑があとに残らぬようにする、しかも日本の国のためになるように持っていくことが必要じゃないかと思いますが、これに対しての大臣の御意見はどうですか。
  98. 三木武夫

    ○三木国務大臣 運輸行政に、政治力と申しますか、政治関係を考慮する、そういうことは一切いたしません。丸善の問題についても、将来においてそういうふうな日本海運界、あるいはまた行政の面から疑念の起らないような処置をとりたいと考えております。
  99. 小山亮

    ○小山(亮)委員 さらに一点伺いたいのでありますが、私は不幸にして前回にはこの議席を占めておりません。追放されてから九年間議席を占めておりませんから、先般の疑獄事件の問題が起ったときには、この議席におりません。ですが、あの際に、十次造船計画を立てましたどきに、運輸省の方では二、三の会社を遠慮さした。それはああいう疑獄事件に関係したから、お前は遠慮せいということで、運輸省の指図か、金融機関の指図か知りませんが、とにかく遠慮させられた。私はそのときに係の人に、自分には関係がなかったが言うた。それは運輸省はそういうような犯罪があった場合にも、これを処罰するところの権能を持っておる役所ではないじゃないか。この処罰をするのは法務省という役所がある。それが処罰すればいい。そういうことをしたからといって、運輸省が、それではお前のところは船を作るのはやめろ、お前のところは作れ、こういうことになると、経済的な圧力、打撃を加えることになる、そういう前例を作る。ああいうような事件というのは、それから先どこまで続いていったらおしまいになるのかわからぬような事件です。八幡のやぶ知らずのようなところに入り込んだような事件ですから、どんどん出てくる。その出てきた事件に関係した会社に、みな船を作らせることをやめたら、大へんなことになるじゃないか。だからそれは少し行き過ぎじゃないかということを言うたのです。言ったけれども、議会ではやかましく言われるし、そういうような各関係方面の意向だからということで、二、三の会社あるいは造船所に懲罰的に船を作らせなかった。   〔委員長退席、木村(俊)委員長代理着席〕 しかし今回はどうするか。今回はその選に洩れて、選に洩れたのをありがたかったというが、その選に洩れた会社と、そのほかにまだその懲罰を食わなかった会社が出てくるのですが、そういう会社に対しては、これに対すると同様な処置をおとりにならなければ、はなはだ不公平じゃないか。私は、一つのことをやるにも、前例となるようなことをやってはならぬということを言ったのだが、それをあえておやりになった。おやりになったから、今度その選に洩れて、やはり事件に関係しているけれども遠慮しなかった会社に対しては、又遠慮させるおつもりですかどうですか。それを伺いたい。
  100. 三木武夫

    ○三木国務大臣 いろいろな点を慎重に考慮したいと考えておるのであります。
  101. 原健三郎

    ○原(健)委員 私はこの際小林開銀総裁にお尋ねいたしたいのでありますが、今の小山君の質問に関連してであります。小山氏はそういう疑獄事件を起したような会社に、運輸省は割当をやってもよろしいという見解を表明された。私は大反対であります。開銀の金は国民の血税からなっておる。そういう天下に疑獄を起したようなものに割当をやるがごときことは、国民が承知しない。われわれ運輸委員会が国民の代表としてそう言うのは当然のことであります。小山君と私は意見を異にしておる。去年やらなかったのは、政治的にやらなかったのではなくして、天下国民の世論に従って、そういう疑獄を起した会社に割当をやらなかった、これは当りまえのことであります。去年は自由党内閣でできなかったが、今度は内閣も変ったから、民主党においてこれを許すというのであるかどうか、これを一つ三木運輸大臣にお尋ねいたしたいと思います。
  102. 三木武夫

    ○三木国務大臣 小山君の質問にも答えました通り、この問題は慎重に検討をいたしたいと考えております。
  103. 原健三郎

    ○原(健)委員 私は五年も十年もとは言わないが、一年や二年は当りまえのことです。天下国民はこれを許すことはできない。われわれは何も会社の代表に懇意の関係もないのであるが、天下国民の望むところ、希望するところに向ってそれをやられることを、この委員会を通して委員として言うのは当りまえの話であります。そこで小林開銀総裁に申し上げたいのであるが、第十一次計画造船に関して、その割当に際会して、こういう造船疑獄を起したようなものに対して、本年は開銀の融資をいたす考えがあるかどうか、これを一つお聞きいたしたいのであります。
  104. 小林中

    ○小林説明員 ただいまの御質問に対しましては、政府が慎重考慮をされるという御返答がありまして、いずれその結論が生まれるのではないかと思うのであります。開銀といたしましては、御承知の申込者に対しては一律一体に、その資産状態あるいは運営状態、返済能力というように、いわゆる金融機関としての角度からこれを査定いたしまして、そうしてその能力によりまして融資対象を決定いたすということであります。
  105. 原健三郎

    ○原(健)委員 それではお尋ねいたします。この前の第九次造船計画に入っておった山下汽船が造船疑獄を起したので、あの開銀の金は一回、二回、三回ぐらいに渡しておったのを、最終回においてはこれを停止したと承わっておるのであります。これは事実であるか、いかがでありますか。
  106. 小林中

    ○小林説明員 理事からその内容を御説明申し上げます。
  107. 松田太郎

    ○松田説明員 その点につきましては、私の方としましてもそれぞれ検察当局の方に大蔵省を通じて照会いたしまして、山下汽船につきましては九次船、つまり問題が起りましたその年の問題として、二千万円のリベートがあったということを聞きました。従って九次船の分につきましては、その二千万円を開発銀行と市中銀行との比率に按分いたしまして、それだけの分は留保いたしまして、会社側の方に渡しておりません。
  108. 原健三郎

    ○原(健)委員 今の小林総裁の答弁理事答弁とは、はなはだ食い違うのであります。そういう点を考慮して開銀は渡していない、これは当然のことであります。なぜであるか。ただ金融状態がいいとか悪いとかいうことは、普通の銀行屋が考えたらよろしい。少くとも開発銀行はそういう銀行でないことは、総裁御自身十分御了承の通りである。その資金は普通の市中銀行ともっと趣きを異にしておる。だからそんなものを起したものに、それを最後に留保したというのは当然であるが、もう一つの飯野海運に対してはどうしたか、それをお聞きしたいと思います。
  109. 松田太郎

    ○松田説明員 飯野海運についても、私の方としてはすべて検察庁に伺ったのでありますが、九次船につきましてはそういう問題はございませんでしたものですから、従って私の方としては九次船についてこれから交付するものについて、今のような措置をとったのであります。
  110. 原健三郎

    ○原(健)委員 それで申し上げたい点は、そういう処置を今までにおいてもやってきておるのは、われわれは非常に納得できるのであります。であるから少くとも去年起して、まだ一年くらいしかたっていない。二年目である。私はその会社をつぶせとか、そんなことを言うのではなくして、五年、十年とは言わないが、一年、二年しんぼうすることは当然である。それは何もそれをいじめるのではなくして、そういうことをしなかった正しい会社が、それらに圧迫されて苦しむことを思うならば、正しい船会社を支持し、やらしてやるのが理の当然である。この点は運輸大臣及び開銀総裁において、とくと考慮せられんことを私は切望するものであります。
  111. 小山亮

    ○小山(亮)委員 もう一つ、今度の十次造船は、いわゆる専門家の権威者が寄って審議会できめた。その中の速記録を見ますと、表面には現われておりせんが、こういうことがある。戦時中の敵の攻撃によって沈没された船、いわゆる戦時補償の船舶、そういうものは何も補償されておりません。それを特に考慮をするということを主張して、それを議事録の中にとどめてあります以上は、そういう点に対して大臣は何らかの御考慮をなさるお積りであるか、承わりたい。
  112. 三木武夫

    ○三木国務大臣 船主の選考基準の中に、過去の実歴等も考慮するという文句が入っておったので、あるいはその根源は小山委員の御指摘のようなことがあったと思いますが、国会中で、おりませんでしたから、私出席しなかったのでありますが、しかし結論として過去の実績云々という文句の背景の中には、そういう論議があったものと思われるのであります。そういう詳細を報告を受けておりませんが、結論の報告だけを受けております。
  113. 小山亮

    ○小山(亮)委員 この問題も先ほど私が申し上げました疑獄を起した会社に対する懲罰と同じような問題で、運輸省の運輸行政の範囲を逸脱して、厚生省なり何かのやらなければならぬようなことを、どんどん運輸省がおやりになる。これではおさまりがつかなくなると思うのであります。今日大ぜいの人がなくなっても、肝心なうちのささえになるような者がなくなっても、五万円くらいの金しかやってないという状態、満州、北支において財産をなくしてきた人に対しても、国家は補償できないという状態である。いろいろ多数の人がみんな彷徨して悩んでおるときに、もし特定の船会社だけがそういうようなことについて、特別な保護を受けたということになりますと、これに対する論議が非常にやかましくなり、昨日以来の自動車の問題にしましても、運輸行政と商工行政というものはいつも財閥中心である、ボス中心の行政が行われていかぬという非難がございましたが、私はこういうようなことは運輸行政を明朗化させるために、現実の事態を土台にして、過去のいろいろのことをそこに含めて入れさせたりするようなことをなさらないで、現在及び将来ということから、大きな立場からあなた方の方の手を打たれることが正しいと思うのであります。あとで非難が起きなくてよいと思いますが、お考えはいかがでしょうか。
  114. 三木武夫

    ○三木国務大臣 大きな基準にしようとは考えておりません。ただそういう意見が出ておるわけでありますから、過去の実績等も考慮に入れろということの答申を受けておるのであります。運輸省としてこれが大きな一つの選考の基準だとは考えておりません。
  115. 小山亮

    ○小山(亮)委員 どうも尊重なさってよいけれども、そういうようなことをあまり御尊重なさらぬ方がよいと思いますから、一言私の意見を申し上げまして、これで質問を終ります。
  116. 木村俊夫

    ○木村(俊)委員長代理 本日はこれをもって散会いたします。    午後五時十分散会      ————◇—————