○下平
委員 運輸大臣に国有鉄道の運営について
一つ二つお
考えを聞きたいと思うのであります。先刻の資料でわかりますように、
昭和二十九年度において赤字が出た。三十年度においては公社の
考え方としては
運賃値上げをやっていきたい、こういう意向を持っておるようです。
大臣の方は
運賃の値上げをやらない、こう言っておられるようですが、今国有鉄道の実態というものは、単に赤字だからすぐ
運賃を上げる、そういう簡単な問題でなくて、もうぼつぼつ公共
企業体そのものについて抜本的な改革をしなければ、国有鉄道の機能がこれ以上よくなっていかない、こういう時期に来ていると私は思うのです。もちろん国有鉄道自体においてもその内部において監督機構の問題だとか、あるいは管理方式の問題だとか、あるいは経営の細部にわたって十分
検討する余地もあると思うのですが、大きな問題としては、公共
企業体ができて
独立採算制という点が非常に強調されているが、半面においてきわめて高度な公共性を追求されている。この
独立採算制と公共性の板ばさみにあって、今日
国鉄の経営が非常に危機になってきておる、こういうことが言えると思うのです。一、二の例をとってみても、物価指数は三百倍になつているが、
国鉄の
運賃は旅客は百十五倍、
貨物は百七十倍、こういうような形に公共性の場面から据え置かれてきておる。従って二百三十四線の路線を持っていながら、採算のとれる路線はわずか一〇%、二十二、三線しかない、こういうような
状態に置かれているわけです。あるいはまた
新線の開通だとか地方鉄道の買収、そういうような費用等についても、すべて
企業内の収入によってまかなわれておるというような
状態であります。従ってこれらの問題を根本的に改革するためには、どうしても公共性を追求する部面に対しては、ある程度の国家補償をしなければ、
国鉄の経営は円満にいかない、成績が上らない、こういうことが言えると思います。今日辛うじて
国鉄が運営しておるのは、さっき総裁も言っておりましたが、資産再評価も第一次だけ、このことは、
国鉄の設備その他が食いつぶしにされておるということだと思うのであります。また一方においては、ここに勤めておる四十数万人の労働者諸君に対して、公共性のしわというものがいっておるわけです。昨年の年末手当を見ましても、他の公社は〇・二五、
国鉄は〇・二一、こういう
状態に置かれておりますし、賃金ベース等を見ましても、公務員、他公社に比べて千円くらいの低いベースに差し置かれておるし、あるいは同一
産業である私鉄等の例によりましても、私鉄の賃金ベースに対して千五百円くらい低い賃金ベースに置かれております。また最近の期末手当等に見ましても、専売公社においては〇・五カ月の期末手当が支給されておるが、国有鉄道の従業員については〇・一しか支給がされない。こういうふうに施設その他の食いつぶしと、使われておる四十数万人の
国鉄従業員の犠牲の上に、今公共性の追求が行われております。私はこれらの
国鉄の経営を改めていくためには、どうしても公共性を追求するという部面についての国家補償が必要ではないか、こう
考えておりますが、この公共性と国家補償の点について、
大臣はどのようなお
考え方を持っておるか、聞かせていただきたいと思います。