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吉田法晴君 時間がございませんから、詳細な事実をここで申し述べるいとまがないのでありますが、高田清子という事実上の媒酌に当りました者が高橋早子さんを誘
つて、そして
自分のうちに連れてこようとしたが、これは風水害のあとで
自分のうちに連れて来れなか
つた。そこで和田利明のうちに連れて行
つていろいろ話をしているのです。本人の意思を聞いて、本人からあの人ならいいと思う、あるいはきらいではございません、それからなお高田久夫から、早子さん、きらいじやないだろう、しんぼうする気があるならしんぼうしてくれないか、無理には勧めん、こういう話をしてお
つて、その人は映画に行くと断わ
つてきてあるから、急いで帰らなくてもよろしい、帰宅の意思のない意思表示を受け、そして今晩はおまかせをいたします。なお、利明の母、姉らも加わりまして人生の重大なことだからよく
考えて下さい、こういう念を押して本人の結婚の承諾を得ております。あるいはたとえば夜がおそいのだから、帰るというなら二人でも三人でもつけて送
つてやろう、こういうことを申しましたが、早く帰るという意思表示がない。そこで二人は合意の上結婚後同棲をしておる。あるいはいろいろ手紙を書こう、親もとに
自分の意思を伝えようとか、あるいは兄貴から、その翌日まあ連れに来たといいますか、あるいはしかられたりいたしましたので、和田利明君の友人を通じて兄貴に電話をしよう、こういうことはとざいますが、何ら事実の強制は、これは私の知れるところではない。詳細に経緯が、事実が述べられておりますが、ところがその早子の兄なる福山警察署勤務の警官が来て、そこでいろいろ話をして、帰りません、まあ押問答をしたが、結局死んでも帰りません、最後にお前もまだ若いのだから結婚しろ、川へ飛び込んだりするようなことをしてくれるな、思いあま
つたら警察に電話をしなさい、こう
言つてしまいにはいたらぬ妹ですからよろしく頼みますとあいさつして帰
つておる。そのあとで福山警察署勤務の兄貴の友だちがたずねて参りまして、先ほど申すようなこの部落の人、早子さんの親の部落の
人たちを連れて来て、そうして無理やりに連れて帰
つた。そうしてあと田丸巡査というこの連れに来たあれでありますが、それがたとえば高田清子さんに部落の者だけ無理が無理よということを言
つたり、あるいは石井
検察事務官が利明さんの兄貴に、あなたが特殊部落の
立場におるということはよく知
つておる、あるいはお母さんに、あなたたちは特殊部落だからとい
つて、石川五右衛門の子孫というわけではないのだから、そう気を悪くせんでもよかろうが、こうい
つたような言葉がはかれておりますが、そのこともでございますが、高橋早子さんの兄貴の勤めております警察署の職員が供述を強要しておる。たとえばこういうあれがございます。これは
検察官が調書を読み上げて、早ロに読み上げて、これに印を押せと言われたが、違う個所がたくさんあるので、それを言おうとしたときに姉が面会に来た。受付の者が石井
検察事務官に伝えると、面会々々と
言つてうるさいやつだ、あとのやつらみんな逮捕してやらにやいけんとどなりつけた、とい
つたようなことが、これはほかにもたくさんございます。あるいは結婚
生活に入
つてたんすを買いに、この和田利明さんの友人であり、森岡箪笥店に勤めておる職人、岡田という人を連れて行
つていろいろまあたんすを値ぎ
つて買
つたりいろいろなことをしておりますが、そのあとでねえさんに電話をしてくれ、こういうことをつかまえてその警察への電話が救助を頼むものであ
つたのだろう、こういうことを警察で
考え、あるいはそれを
検察事務官に通じ、あるいはたとえば石井
検察事務官が、おそらくこれは警察に来たのだと思うのでありますが、そこへ木之原あるいは田丸こういう警察官の諸君と協議をいたしまして、そして高田に供述を強要している事実もございます。これは石井
検察事務官でありますが、おまえらはロを合せて
言つても、言うことが違
つたら、どうにもならんことになるぞ、そういうことはいけんぞ。それからこれは警察官でありますが、木之原という警察官が、それもそうですな、偽証罪でやられちやいけんな、馬鹿らしいけなと言うて、偽証罪をも
つておどしをいたしております。これを要しますのに、警察官あるいは
検察事務官等が、高橋早子さんの兄貴の同僚であ
つたり、あるいは警察官と近い
立場にあります
検察事務官であるということで、この供述を強要したり、それからその言葉の中にも高橋早子さんの兄貴なり、あるいはその
家族のような差別的な観念があり、あるいはその差別的な観念に基いてこの結婚をこわそうとする、しかもその結婚をこわそうとするために、あるいは警察権やあるいは
検察権を行使したということを十分に疑うに足る事実がここに明らかにな
つておるのであります。詳しい供述をここでして、事情を述べて、
検察事務
当局のここで
責任を追及しても、明らかにすぐにはならぬと思うのでありますが、もつと調べて
一つそういう警察官あるいは
検察事務官の行動の上に、もし起訴が行われるとするならば、これは警察権あるいは
検察権として非常な大きな問題だ、こういうことは、おそらくお
考えになるだろうと思うのでありますが、これに対する刑事局の御見解を承わ
つておきたいと思います。
それからもう
一つあわせて事実とそれから警察官あるいは
検察事務官の関連を申し述べたのでありますが、最近反動のいろいろな傾向の中で、こうした新憲法のもとにおいてはなく
なつたはずの、あるいはなくな
つておるべき、人間的な差別観念、あるいは差別的な行動がちよいちよい起
つておりますが、むしろどちらかと申しますというと、これはふえる傾向にあるようであります。これに対してこれは最も顕著な
事例、しかもこの国家の権力、行政権でございますけれども、権力も関与いたしました
事例であると思うのでありますが、これに対して
人権擁護局としてどういう工合にお
考えになるか、
一つ人権擁護局長の方からも
はつきりした御見解を承わ
つておきたいと思います。