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1955-01-24 第21回国会 参議院 農林委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年一月二十四日(月曜日)    午後二時五十四分開会   —————————————   委員の異動 十二月十五日委員松永義雄辞任につ き、その補欠として、永井純一郎君を 議長において指名した。 十二月十八日委員田中啓一辞任につ き、その補欠として、井上知治君を議 長において指名した。 十二月二十日委員永井純一郎君、重政 庸徳君及び松浦定義辞任につき、そ の補欠として、森下政一君、大野木秀 次郎君及び須藤五郎君を議長において 指名した。 十二月二十一日委員井上知治君及び大 野木秀次郎辞任につき、その補欠と して、田中啓一君及び重政庸徳君を議 長において指名した。 十二月二十二日委員田中啓一辞任に つき、その補欠として、西岡ハル君を 議長において指名した。 十二月二十四日委員須藤五郎辞任に つき、その補欠として、松浦定義君を 議長において指名した。 十二月二十八日委員西岡ハル辞任に つき、その補欠として、田中啓一君を 議長において指名した。 一月十九日委員森下政一辞任につ き、その補欠として、永井純一郎君を 議長において指名した。 一月二十三日委員永井純一郎辞任に つき、その補欠として、森下政一君を 議長において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     森 八三一君    理 事            重政 庸徳君            江田 三郎君    委 員            佐藤清一郎君            白波瀬米吉君            飯島連次郎君            岸  良一君            溝口 三郎君            河合 義一君            亀田 得治君            清澤 俊英君            菊田 七平君            鈴木 強平君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君    常任委員会専門    員       中田 吉雄君   説明員    農林省農業改良    局長      小倉 武一君    農林省畜産局長 原田  伝君    農林省蚕糸局長 塩見友之助君    林野庁長官   柴田  栄君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○理事補欠選任の件 ○農林政策に関する調査の件  (玉糸価格安定に関する件)  (飲用乳処理基準改正に関する  件)  (乳価に関する件)  (草資源造成改良並びに利用増進  に関する件)  (水稲健苗育成施設普及促進に関す  る件)  (昭和二十九年度産米減収加算及び  供米割当補正に関する件)  (昭和三十年三月末失効する農林省  関係法律に関する件) ○請願及び陳情の取扱いに関する件   —————————————
  2. 森八三一

    委員長(森八三一君) ただいまから委員会を開会いたします。  最初にお諮りいたします。重政委員が先般委員辞任せられ、理事が一名欠けておりますので、理事補欠互選を行いたいと存じます。その方法は成規手続を省略し、委員長において指名いたしたいと件じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 森八三一

    委員長(森八三一君) 御異議ないと認め、委員長から指名いたします。重政委員にお願いいたします。   —————————————
  4. 森八三一

    委員長(森八三一君) まず最初に、昭和二十九年十二月十四日、当委員会から政府に対して申し入れされました農業政策の件を議題にいたします。  当委員会におきましては、かねてわが国農政が当面する玉糸価格安定、乳価適正維持飲用牛乳処理基準改訂及び草資源造成改良及び利用増進等の問題について前内閣に対して申し入れを行い、その実現を求めたのでありますが、ついに解決をみるに至らなかったので、旧臘十四日、現内閣に対してすみやかにこれら問題の解決をはかるよう申し入れましたところ、旧臘二十三日付をもって農林大臣から去る一月七日付お手元にお届いたしておきましたような報告がありましたので、本日はこれらの報告について農林当局から説明を聞き、引き続いて本問題の取扱いについて協議をわずらわすことにいたしたいと存じます。まず玉糸価格安定の件を問題にいたします。
  5. 塩見友之助

    説明員塩見友之助君) ただいま委員長からお話のありました玉糸価格安定の問題について、今までの折衝経過等を大体お話申し上げます。  玉糸価格安定をはかることにつきましては、輸出振興上必要であるという点について問題はないわけでございまするが、これを繭糸価格安定法による政府買い入れによって行うということをやるためには、糸価安定特別会計資金増額がどうしても必要だと、こういうふうに考えられますので、これが増額方について検討中でございます。なお現在の糸価安定特別会計資金は三十四億円になっておりますが、この資金をもってしては、その本糸の、生糸でございますが、本糸の価格安定にも不足するというふうに一般には認められておる状態でございますので、明年度予算においては、これの増額借入金制度の創設というふうな形でもって実現したいと、こう考えておるような状態でございます。また安定帯価格による生糸補充買い入れ制度及び最低繭価の保証の必要性も考えられると、こういう状態でございますので、繭糸価格安定措置につきましては、その法令の改正明年度予算的措置をあわせまして目下基本的に検討中でございます。その際に玉糸価格安定措置についてもこれを含めて考えて参りたいと、こういうふうにただいまのところは考えております。現在までのところは、玉糸買い入れにつきまして大蔵省当局数次にわたって交渉をしておりまするが、大蔵省当局の方は、玉糸買い入れについてはなおまだ難色を示しておるような状態でございますので、まあいろいろこまかい技術的な問題等について問題がなおございまするので、われわれの方でもそういう点について至急検討をした上で当委員会のお申し入れの線に沿って処理をするように努力をして参りたいと、こう考えておる状態でございます。
  6. 清澤俊英

    清澤俊英君 局長にお伺いしますが、この前この玉糸は一ぺん安定法の中へ特例で入れる、こういうお話があったのですが、これは次官大臣承知したかと思うが、そこまで行っておって、その後大蔵省資金面関係もあり、生糸の値段が非常に値下りして、昨年はいよいよ安定法を発動せんけりゃならんというような危険に遭遇した点もあり、いま一つは、この玉糸輸出が今好況を続けているが、そのことが恒常的のものかどうかということが問題になりまして、えんこしておるのだが、その輸出に対するこれからの見通しというものはもう調べがついたのですか。ただ大蔵省関係における資金の問題が難点になっているだけでありますのか、その二つがまだ問題に残っているのか、どういうふうになっておりますか。
  7. 塩見友之助

    説明員塩見友之助君) 輸出の面は、昨年度全体でこの十二月までので九千七、八百俵前後だと思います。一万俵に近く、一昨年に比べますと昨年一年には伸びております。ニューヨークの方から参りますところの情報によりますと、そう減るよりはふえる傾向が強いのじゃないか、こう見られまするが、しかしながら、大蔵省の方でそういう点についてどういう見解を示すかはまだはっきりと聞いてはおりません。で、この買い入れにつきましては、政令の改正でやるということになりまして、農林省の告示だけではないのでございますから、どうしても大蔵省との折衝が済みませんと玉糸買い入れは決定できない、こういう状態にあります。
  8. 清澤俊英

    清澤俊英君 いや、この前は資金の面も、昨年生糸が十九万円かで価格決定したでしょう。それを割りそうな格好になったから、急に発動せんけりゃならんという形が出て来たために資金の問題が出て、そうして資金増額せんけりゃならんという問題が出て、大蔵省交渉になったのだと思う。その際に出て参りましたのは、過去の玉糸輸出の実績を見ると非常にむらである、だからこれから先玉糸なるものが輸出好況を続けるかどうか、それが疑問になった。それを調べんうちはこの金の問題は片ずかんが、こう言っておるわけですが、蚕糸局ではそれに対してお調べがついたのかどうか、こういうのです。間違いなしに、これから先ずっと行くんだ、だから結局は安定処置の中へ玉糸を入れべきものと考えておられるのかどうか、蚕糸局調査と態度を聞いているのです。
  9. 塩見友之助

    説明員塩見友之助君) 前にそういうお話があったそうですが、さっきちょっと触れましたように、昨年度は伸びております。しかしながら、ここ数年間の統計をとりますと、相当年次的な変動は多うございますので、まあむらは相当ある、しかしながら、一定量のものは必ず行くだろう、こう考えられます。むらはやっぱり生糸以上に年々のむらは大きいだろうと、こう考えられるわけですけれども、しかしながら、大蔵省の懸念しているような、それだからといって政府買い入れてそれが処分できなくなる、そういうふうな需給関係にあるという危険はまあない、こう考えられます。将来のことですし、そういう点については調査はまだ十分にはできておりません。一つ問題がございますのは、輸出のものはニ二五中で、国内消費のやつは六〇中になっておりますが、そういう点について大蔵省の方もまだ国内消費の方なら売れないということはないだろう、二二五中のほう、輸出用専門になりますけれども、それになると危険があると、こういう感じを持っておりましょうが、その買い上げ対象についてもまだ問題としては大蔵省となお折衝する必要があると、こう考えております。
  10. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 農業政策に関する申し入れを昨年の十二月に行なった、それに対する回答を得たわけでありますが、玉糸価格安定に関しては、この回答ではどうも回答申し入れに対するきわめて軍要なポイントの一つを逸しているように思う。若干の補足説明がありましたけれども、これは局長は御承知なかったかもしれませんが申し入れの第一点は、これは御承知通り、現在まで玉糸生産量の九割が輸出に当てられておる。で、生糸輸出総量の約三割を占めて参っておって、そうしてしかもこれがきわめて不安定な状況にあるということは、繭糸価格安定法の適用されておらないところに一つの不安の点がある。だから繭糸価格安定法を適用してほしい、この中に玉糸も加えてほしいということが申し入れの第一点だった。ところが、そのことについてはきわめてこれは軽くそれておって、特別会計資金増額すれば云々ということで逃げておる。聞かんとするところは、その第一の、それは一体どこに難点があるか、その点が最も知りたいところなんです。大蔵当局云々という今の説明だったけれども大蔵省はどこに一体これに対して難点があるのか、その点がまず知りたい。しかる後に、繭糸価格安定法の中にこれを加えるとすれば、次に問題になって来るのは、資金ワクの不足ということ、現在三十億というワクで足りないならば一体どれだけに広げたらいいか、農林省としてはそれに対する準備、これに対する大蔵省の反応といいますか、抵抗といいますか、そういう点が知りたい。
  11. 塩見友之助

    説明員塩見友之助君) 資金増額の点について申しますと、大体単価の値上りその他の点もございまして、あと三十億円ほどというのが業界全体の一致した要望のように考えられます。で、われわれも大体その見当の増額が必要じゃないか、これは借入金制度によっていくほうがいいのではないかと、こう考えておる次第であります。大蔵省難点は、やはりいちばんの問題は、玉糸につきましてはこちらで御説明がすでにあったかと思いまするが、政府買い上げた場合の処置について、さっき申しましたように、内需と、それからアメリカでの消費とが規格が違っているわけですから、まあ内需のほうと同じの普通生糸につきましては、売れなくなっても、内需でですね、それは必ず処分ができるという点が一つの問題であるように思います。それからその格づけ、検査等についてもなお昨年から始めたと、こういう状態でございまするので、まあテクニカルな問題ですけれども検討を少ししなけりゃいけないかと、こう思っております。それから玉糸買い上げなければならないような状態になりましたときは、やはりその生糸玉糸の従来の価格フレを見ますと、必ずしも同じにはフレておりません。ある場合には生糸が落ちて玉糸が案外落ちていないという場合もありますし、そういう場合がありますけれども最低のこの買い入れ支持価格というものにつきましては、やはりその生糸と見合った価格と、こういうことになりましょうかと思いまするが、そうなりまして玉糸買い上げなければならないということになれば、生糸のほうもやっぱりそういう同じような条件で買わなきゃならないという状態になる可能性はあるわけでありまするので、やはり資金全体としては不安があるので、増額と見合ってというのが従来から事務当局でとっておりました考え方で、その増額についての問題、それから玉糸増額をしても、玉糸を入れるか入れないかという問題について、なお大蔵省の方としては、私就任しましたばかりですけれども、やはり大体まあ金はあまり出したくないというのが根本には向こうはあるでしょうから、そういう点から難色がある、こう考えております。
  12. 清澤俊英

    清澤俊英君 蛇足になるかもしれませんが、今の場合局長の答弁の中にある通りに、ちょっと局長研究が足らんかと思うのです。この前大蔵省が言うのは、今まで玉糸というものはばらばらに出ておった、こういうことなんです。そこで折角安定法を作って買い上げてみても、それが輸出が非常に不成績になった場合、国内でそれを売りさばかなければならないようになると非常に損をする、こういう考え方なんです。であるから、あなた方の方が間違いなく最近の情勢がかくかくであるからという腹がきまらなくては、大蔵省とかけ合いができないだろうと思うのです。どうもそれがまだ腹がきまっていないようですな。確信がなさそうなんです。それではいつまでたってもこの問題は解決がつかんと思うのです、根本蚕糸局がそんな調子ならば……。あなた方が少くともこれから先の玉糸生糸にかわるくらいの力を持つというようなことがはっきりして確信を持って進まれるならば、たかが三十億や二十億のものがどうこうという性質のものじゃないし、使わなければ腐るものでもない。ここ数年間、安定法ができても使ったことがないでしょう、四年かそこら一文も使っていないはずですよ。何ら差しつかえないのじゃないか。あなた方の腹さえきまればこんな問題は私は割合に早く解決する道があると思うのです。
  13. 塩見友之助

    説明員塩見友之助君) 最低価格が非常に低くて、そこまで落ちないような価格であればそのようになりまするが、やはり法律ではっきりと買い上げ対象とするということになれば、やはり買い上げる腹でやらないとならない、こう考えられます。そういう点について先ほど申しましたように、アメリカ消費は二二五中、大体中心が……、そうなりますと、それは国内では需要がない、こういう状態で、どの規格のものを買うかというふうな点についてもなお折衝を残しておる、こういう状態でございます。まあ、ただいまきついお話がございましたが、私の方としましても、それはできるだけ早く申し入れの御趣旨に沿うようにこれは極力固めてみたい、こう考えておりまして、いつまでたってもというようなことでこの問題を遷延するという気持は全然ございません。これはできるだけそういう線に沿って努力はして参るつもりでございます。
  14. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 大体了解しましたが、私ども委員会で感ずる空気は、今まで玉糸問題についてはずいぶん時間を費して来た。で、農林当局としてはわれわれの申し入れをほとんど百パーセント了承しておったものとわれわれは了解しておった。ところがこの回答書を受け取って、これに対する局長補足説明を聞くと、若干われわれの今まで委員会で推し進めて参った大体の方向を後退しておるような印象を受けておるのです。ですから、これは大蔵省云々ということよりも、蚕糸局当局とされてはわれわれの申し入れを全面的に承知した、そうして困難はあるけれども、これは全力を尽して大蔵省申し入れ趣旨を達成するための努力をする、こういうことをここで明言をしていただけば足りることなんです。それ以上のことはこれはもうよけいなことなんです。それだけをここではっきりしていただけば足りる。それを私は確認をしたいわけです。
  15. 塩見友之助

    説明員塩見友之助君) 農林省事務当局としましては、ただいまのお話通りに、その御趣旨に沿って努力して参ります。ただその回答自体政府のあれになりますので、大蔵省との意見がまだ全部調整されてないものですから、そういう回答になると、まあそういう御印象で受け取られたことは遺憾でございますが、事務当局としてはお申し入れの線でもって極力努力して参るつもりでございます。
  16. 森八三一

    委員長(森八三一君) ただいま議題になっておりまする玉糸価格安定につきましては、すでに当委員会におきましては数次にわたりまして本問題を取り扱って参りまして、最終結論全会一致で得まして関係当局申し入れてあることでもありまするし、まさに昭和三十年度の予算編成という時期にも際会いたしておりまするわけでありますので、この機会を通して本件が具体的に実現いたしまするように、農林当局におきましては最善を尽されたいという希望を強く申し上げておきたいと思います。  他に御発言がございませんければ、本件はただいま申し上げました希望を強く述べまして農林当局の善処を促すということにいたしまして、次の問題に移りたいと思いますが……。別段御異議ないようでございますので次の問題に移ります。   —————————————
  17. 森八三一

    委員長(森八三一君) 次に、飲用牛乳処理基準改訂の件を問題にいたします。  まず、その後における農林当局折衝経過等につきまして説明を聴取することにいたします。
  18. 原田伝

    説明員原田伝君) 飲用牛乳処理基準改訂の問題でございますが、この飲用牛乳処理基準を緩和いたしまして、飲用牛乳消費の増大をはかるという問題につきまして、厚生省との間におきましていろいろと厚生省令改正の問題につきまして折衝を続けて参ったのでございますが、この省令改正につきまして、なかなか厚生省側におきましても事務的に折衝に応じてくれませんので、ついに昨年の十二月の下旬に至りまして農林大臣厚生大臣とが御懇談をされまして、その結果まず現在のこの乳価の事情に対応して応急措置をとることにしたい。そのためにはもちろん国会方面におきましてもいろいろ論議が行われておりますので、国会の御意見を尊重しながら応急措置を急速に講ずると、こういう方針になった次第でございます。で、その方針に即応いたしまして、まずその第一歩といたしまして、農林省がすでに大蔵省と相談が済みまして、予算的に認められておりまするいわゆる高温殺菌処理施設補助金実施方につきまして、厚生省側からもこれに対して積極的な協力をされるような趣旨通牒を出してもらうことに話がまとまりましたので、一月の八日付をもちましてそういう趣旨通牒が発せられた次第でございます。その結果、現行省令のただし書きの積極的な運用と、同時に容器の制限の緩和等もあわせまして、これが促進方をはかるという段取りになった次第でございます。で、その次に応急措置の第二段階といたしまして、かねがね懸案になっておりまする厚生省令改正根本的にいたすということにつきましては、まだいろいろ論議が尽されておらないという状態になっておりますので、とりあえずの応急措置として現行厚生省令に対する臨時特例という形をもちまして、私ども農林省側考え方といたしましては、農業協同組合なり、あるいはその連合会というものが高温殺菌施設を行うという場合は特例を開いてもらいたいというような趣旨で話を進めて参った次第でございます。で、この内容につきましては、事務的にはいろいろと話を進めておったのでございますが、最近の段階といたしましては、この問題につきましていろいろ支障を生じておりますので、まだ今日のところ解決を見る段階に至っておらない、こういう状態でどごいます。私どもといたしましては、あくまでこれは乳価維持上必要である、酪農の経営の安定上必要であるという見地から、できるだけ早く解決をはかるよるに極力努力をいたしたい、こういう考えでございます。
  19. 河合義一

    河合義一君 ただいまのお話の中にありました酪農協同組合あるいは連合会等におきまして高温殺菌施設を行う場合には、幾らかの補助金を出す、また農林金庫のほうから資金の流用を受けるというようなことが各地方庁にも通達がありまして、私の住んでおります県では、さっそくそういう手続をした連合会があるのでありますが、ただいまのお話によりますと、厚生省との話し合いが完全に一致しないというようなことでありますが、あの通達に基きまして差し出しました願書につきましては、どうお取り扱いになるのでしょうか、ちょっと伺っておきたいと思います。
  20. 原田伝

    説明員原田伝君) お答え申し上げます。農林省で考えました全国九十二カ所分、七百三十六万円の補助金を伴います分につきましては、農林省から補助要綱等地方に流しましたのでございますが、それにつきまして、ただいまのようにそれがはかどらないということがあっては、せっかくの補助金実施が促進されませんので、これを厚生省側からも促進してもらう、こういう趣旨をもちまして、先ほど応急措置の第一段階として申し上げましたように、厚生省側からもこれに対する協力方通牒が出ておりますので、この通牒農林省の出しておりまする補助要綱等と相待ちまして、そういう問題につきましては、できるだけ早く具体化して参りたい、かように考えております。
  21. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 この回答にある現在二、三の点について最終結論に到達してないというのですが、これとそれから一月八日付の厚生省環境衛生部長から各都道府県衛生部長あて通牒を見ると、これはあくまで厚生省令第五十二号の例外規定を適用するということになるので、別にこれは従来われわれがこの委員会で主張しておった範囲を一歩も前進していないわけですが、これは厚生省のあくまで次官通達例外規定をただ積極的な解釈をしたというに過ぎない。しかも農林省ではいち早く七百三十六万円という施設補助を準備したために、それが刺激になって、厚生省ではこういった例外規定を積極的に活用されて、二月二十日までに補助申請の取りまとめをするようにということになっておりますが、これは農林省としては、この補助要綱というのはいつ、同日に出されたのですか……。しかもその補助要綱内容というのは、われわれ委員会では承知しておりませんが、どういうことなんですか。
  22. 原田伝

    説明員原田伝君) 農林省補助要綱は、昨年の十二月二十七日付をもちまして地方に出してございます。で、その補助要綱内容でございますが、通例この補助金交付につきまして、手続なりあるいは条件なりというような事務的なことが主眼内容でございます。ただ大体その考え方を取りまとめて申し上げますと、目的といたしましては、集団飲用の場合を想定いたしまして、そういう場合にこの高温殺菌施設というものが増加することによって、それが促進されるということをねらいといたしております。従いまして、農協あるいは農協連合の所在いたしまする地方、すなわち農村地帯という地帯的な場合はもちろんのこと、さらに一歩を進めまして、学校なり、会社、工場、病院等集団飲用条件の備わるような場所は農村というふうに限定しませんで、この集団飲用のために、それに結びついて、高温殺菌施設が普及して参るようにと、こういうねらいをもちまして補助金をとり、またそういう趣旨であるということを具体的に説明をいたしましたものが補助要綱でございます。
  23. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 この厚生省通牒を見ると、給食時間直前に搬入するとか、あるいはその他のかなり制限規定が設けられておりますが、これと農林省通達と矛盾するところはありませんか。
  24. 原田伝

    説明員原田伝君) この厚生省から出ました通牒内容につきましては、事務的にいろいろ打ち合せしましたときに、私ども受けた感じでございますが、農林省といたしましては、できるだけ集団飲用に便利な施設をすみやかに作るという立場でものを考えるようになりますし、また厚生省といたしましては、それは集団飲用もけっこうである、またそういう問題に結びついた意味の農協等が作る高温殺菌施設、ことにそれが農林省から補助金が出るということであるから、それに対してはできるだけ協力はしたい。けれどもやはり品物が衛生上注意を要する品物であるから、衛生上必要な事項については、最小限必要なことは、通牒にやはり合わせて書きたい、こういう態度でございまして、当初地方より持ち寄りました意見といたしましては、若干間隔があったのでございます、間があいておったのでございますが、何回にもわたりまして話し合いをしました結果、まとまりましたものが、お手元に差し上げましたような通牒の案文になったわけであります。その場合におきましても、御指摘の給食時間前に搬入するようにとか、あるいはその他一般的に乳の取扱い等について十分な衛生指導を行うという点につきましては、そういうことを全然問題外にするというわけにも参りませんので、ただ私どもの心配といたしましては、こういう趣旨の事項が過度に働きかける、そのためにせっかくの補助金の話が渋滞するということがあっては困るというふうに考えておりますが、特にその点につきましては、厚生省側の衛生上の見地として十分な注意をすることそのものについては、頭からそれを否定するわけにも参らんというところから、文書の上にもこういう事項が書き残されておる、こういう状況でございます。
  25. 清澤俊英

    清澤俊英君 乳価の問題について今言っておられることは、市乳をもっと簡便に取り扱って売り出せばいいじゃないかというだけの考えなんですが、だが実際は乳製品を非常に値下げしておって、そうして市場が少数のものに独占されておる実体を相当見受けておる。ということは、私は新潟ですが、新潟の私の近所の柏崎では明治の処理場があります。それから長岡に新潟乳工があります。ところが堀の内に全酪の農協関係のものが一つできました。価格はどうかというと、長岡の新潟の買い上げが四円、柏崎が三円七十銭、全酪農の堀の内の工場が二円五十銭、これは標準価格です。ですから実際汚染等のものが出ます関係上平均はニ円、間違いありません。しかもそれは集約酪農地として申請をして県内一ヵ所の申請地かと思っておりました。今まで御許可がないのでありますが、そういう地帯でそういうものがあったが、この冬一冬で全部牛は返しておる、これは急速に何とか考えなければまた必ず同じことが起る。しばしば乳価の問題は市場の整理をやらなければ乳価は保てん、こういう考え方に終始しておりますが、最近新聞を見ますと、何か河野大臣の思いつきかどうか知りませんが、その点に十分力を入れて整備するという新聞が見えておりますが、そういう点に対してはど畜産局としてどういうふうな今まで御方針とお考え方を特っておられるか、また、これから先その点についてどういう方法をとろうとされるのか、私は今のままで行きますれば、せっかく飼わせ、せっかくそれを作っても何にもならない、何か東京あたりまで出しますのに、仮に堀の内としますならば、汽事の時間にして五時間、急行では四時間、何かちょっと冷凍装置をした車を用意していただければ東京の販路がどんどんとれると思う、そういうものの考え方で御奨励していただけば、せっかく飼ってはやめてしまう、これではイタチごっこで何にもならないと思うが、その点の御考慮はどういうふうになっておりますか。
  26. 原田伝

    説明員原田伝君) ただいまのお話の点でございますが、結局これは最近の乳価の市場をどういうふうに改善して行くか、乳価維持をどうするかという問題になると存じます。この乳価の下落の傾向が昨年の七月以降急激に現われて参りまして、そのために御指摘のように、せっかく伸びはじめた酪農というものがまたつき戻されるというようなおそれが多分に出て参りましたので、私どもといたしましては、至急これに対する緊急対策のあらすじというものを考えまして、目下その線に沿いまして逐次措置を講じつつある、こういう状態でございます。まず、そのうち消費の点でございますが、生産が急ピッチに上った、それに対して消費が追いついていない、こういう点につきまして二、三考えて手を打って見ているわけであります。そのうちの第一の点が、ただいま申し上げましたように高温殺菌という方法を、従来よりもスムースに急速にふやして行くということによりましても、消費の増進を図って参るという点でございます。また、その次といたしましては、乳価に対する大きな影響を及ぼすものといたしまして、なまの牛乳のみならず、乳製品というものが滞貨して参りますると、これがやはり乳価を圧迫する、一つの原因になる、かように考えられますので、この乳製品のうち特に荷動きの活発でない加糖練乳、こういうものが相当これはストックができておりますので、こういうものにつきまして何とか消費の増大策を考えたいという見地から、さしあたり、まず、学校給食というものにこれを結びつけまして学校給食にそれを振向ける、そういうことによって乳製品のストックが相当減少する、それだけ乳価に対する圧迫が減るという考え方からいたしまして、そういう方向に向っていろいろと具体的な話合いを進めている次第でございます。この問題につきましては、まあ文部省ともいろいろ相談をしなければなりませんし、また学校給食に向きますような価格の低廉化をはかるために適当な措置をとらなければならん。こういう点につきまして具体的な今折衝を進めているという状態でございます。また、そのほかといたしましては、一般的に牛乳なり、乳製品なりの消費の増大をはかるためには、やはり何と申しましても経済的な値段の問題がつきまとっては参りますが、他方関係の団体なり、あるいは都道府県なりというものと協力いたしまして、一種の啓蒙宣伝運動というような措置も講じなければならず、かように考えまして、そういう問題につきましては、これからの問題にはなりますが、三十年度予算におきましても、そういうものについて予算を要求したい、こういう考えを持っている次第でございます。それから一般に乳価の取引の方法、その他取引の公正化という問題につきまして現在の状態を考えてみますると、農協の製造する乳製品というものは、非常にいろいろな地方に規模の割合い小さい工場を農協が持っておって、それぞれの品質、それぞれの銘柄というものを打出して市販に出している、こうなりますると、やはり非常に大量に、また均一な規格をもって銘柄等もいわゆる名の売れたというような状況で販売するものと競合いたしました場合には、どうしてもこの製品の販売が不利になり、これが直ちに農協の取り扱いまする原料乳に響いて参る、この点を何とか改善すべきじゃなかろうかと考えている次第でございますが、幸いと申しますか、農協等の関係者側におきましても、同じような問題につきましていろいろ研究が進められておりまして、さような問題につきましては、これは品質を均一にする、そうして銘柄をできるだけ統一するという趣旨で一種の共販体制のようなものを作るべきではないかという考え方が民間におきまして相当動いておりますので、こういう動きに対しまして適切な指導を加えて参りたい、かように考えている次第でございます。その他一般的に、酪農振興法の適正な運用によりましてこの酪農業というものの合理化をはかって参る、その他行政面におきましても、予算措置等におきましても、この価格適正維持ということについて今後できるだけの努力をいたして参りたい、かように考えている次第でございます。
  27. 江田三郎

    ○江田三郎君 いまの説明の中にありましたが、乳製品の低廉化をはかっていくということで、この粗糖の輸入外貨割当を考慮したいということが書いてありましたが、これは一体精糖乳というのは従来は粗糖を使っておったのか、あるいは精製糖を使っておったのかということ、それからこの粗糖の輸入外貨割当をするという場合には、学校給食用に限ってやるのか、それとも加糖練乳全体についてやるのかということ、もし学校給食用だけとすれば、これは粗糖ならどの程度を考えているのか、その他のものを含むのならばどういうようになっているのかということ、さらに先般粗糖の外貨割当があったようですが、あの中に入っているのかどうかということ、この点どうですか。
  28. 原田伝

    説明員原田伝君) ただいまのまず第一点でございますが、加糖練乳の原料といたしましては精製糖をやはり使っておるようでございます。それから第二点といたしまして、粗糖の輸入の外貨割当の点でございますが、この問題につきましては、実は当時書面をもちまして当委員会にお答えいたしました当時におきましては、方法として粗糖の外貨輸入割当という方法が適当ではないかと、かように考えまして、当時はそういう考え方で考慮を進めて参ったのでございます。でありますが、その後におきまして、砂糖の外貨輸入割当の問題をめぐりまして、いろいろ複雑な事情が起きて参りましたために、正面からそういう看板を掲げまして価格の低廉化をはかるという行き方を振りかざすことが、かえって都合が悪いと、こういう情勢も出て参りましたので、現在のところはそういう問題に触れないで適当な措置を進めて参る方が見込みが確実であると、こういう状態になっておる次第でございます。で、かりに粗糖の外貨輸入割当という行き方をとりました場合に、その対象といたしましては、やはりこれは学校給食というような特殊な消費面を開拓いたしますために、乳製品をそちらに回す、そのためには価格の低廉化が必要であるから、これに対して経済的な援助をするためにそういう措置をとることが妥当である、それ以上にはわたらないと、こういう考えでございます。その場合に一体量の問題でございますが、これはやはり学校給食の方の事情もいろいろありますので、供給し得る価格と数量というものがからみ合ってきまって参ると、こういう状態になっております。まあカン価的に申し上げますと、大カン一カンにつきまして、大体粗糖で十二キロくらいは必要であったかと、かように考えております。また最後の先般の外貨割当に含んでおるかどうかという点につきましては、先ほども申し上げましたような次第でございます。
  29. 江田三郎

    ○江田三郎君 これはあなた方を責めるのでなしに、農林省農林大臣がかわりましてから、いろいろいいことを言って下さるので、期待してるとどんどんはずれてくるので困るのですが、粗糖の輸入外貨の割当というものは、これは通産省がやっても、割り当てられた外貨で輸入された粗糖をどこへ持って行くかということは、これは農林省のはずなんですね、通産省じゃないでしょう。そうするというと、農林省内部で問題が片づくはずなのが、それができなかったというのはどういう事情なんです。これは農林大臣回答の中にこういうことがあって、農林省の現在の機構の中で解決つくはずのものが解決つかんというのはどこに問題があるのですか。
  30. 原田伝

    説明員原田伝君) ただいま御指摘のように、砂糖の割当そのものにつきましては、これは農林省がきめるという立場にあるのでございます。でございますが、結局、現実にそれを輸入いたしますためには、やはり外貨割当を受けなければならない。その外貨の割当の問題になりますと、通産省で話をきめる。こういう状態になりまして、えてしてこういう点につきまして、農林省考え方と通産省の考え方とがギャップを生ずるということになりがちなのでございますが、先ほど申し上げましたように、この問題につきましても、そういう点につきまして、農林省側としてこれ以上粗糖の輸入外貨割当という方向に出ない方がかえってよろしい、こういう結論に到達したわけでございます。
  31. 江田三郎

    ○江田三郎君 大臣が来られたら、河野大臣放言第一号として問題にしなければならんのだが、見えておらんからやりませんけれども、かりに輸入外貨割当でやっていかないということになって、しかも学校給食用のものについて特別な措置をとろうということになると、あるいは粗糖の超過利得を取り上げて、それを一つのファンドを作って、そこからででも出すというような構想に切りかえるのですか、どうですか。
  32. 原田伝

    説明員原田伝君) その具体的な方法につきましては、目下通産省等と協議中でございますが、ただいま先生の御指摘のような行き方も一つの有力な行き方だというふうに考えております。
  33. 江田三郎

    ○江田三郎君 ともかくほかの問題についても、畜産局長のところだけでなしに、農林省全体として、大臣がこう言ったからといって、それをこういうものにして配る以上は、事務当局もやっぱり責任を持ってもらわなければならんと思う。事務当局でも十分検討されて、出したあとでわれわれはわけがわからんということになっては非常に迷惑しますから、その点農林省全体として一つよく考えてもらいたいと思う。
  34. 森八三一

    委員長(森八三一君) ちょっと速記をとめて。    午後三時四十五分速記中止    —————・—————    午後四時一分速記開始
  35. 森八三一

    委員長(森八三一君) 速記を始めて。  ただいま議題となっておりまする飲用牛乳処理基準改訂の件につきましては、去る十二月十四日、当委員会の決定に基きまして農林、厚生両大臣申し入れをし、両当局におきましても趣旨を十分理解して実現方を考慮する旨の回答もあったわけでありますので、すみやかにこれが実現をさらに要請することにいたしたいと存じます。なお、本件に関連する他の委員会等におきまして意見の相違する部分等がありますれば、さらに適当な機会に両者の意見の調整をはかる等も考慮しなければならんと存じますが、それは他日のことにいたしたいと存じます。   —————————————
  36. 森八三一

    委員長(森八三一君) 次に、草資源造成改良及び利用増進の件を問題にいたします。  最初に、本件申し入れ後における農林当局措置についての御説明を聴取することにいたします。
  37. 原田伝

    説明員原田伝君) 草資源の利用の増進の問題につきましてお申し入れをいただきました趣旨につきましては、私どもといたしましても、ぜひともその線に沿いまして強力に措置をいたさなければならないという考えでございます。で、これに関連いたしまして、現在までのところ草地に関する研究の面におきまして、関東東山農業試験場の草地部というものを主体といたしまして、地区の農業試験場等におきまして草地に関しまする研究を進めておる次第でございます。また研究方面につきまして、関係官民の合同の草地研究会というものもできておりまして、そこにおきまして草地に関する技術的な研究の推進調整を行なっておるという状況でございます。また他方農林省所管の予算の点につきまして、牧野の経済性の研究あるいは牧野の法社会学的調査というようなテーマにつきまして応用研究費をこれに相当向けまして、研究なり、調査を進めておるという次第でございますが、ただ調査会の設置の具体化につきましては現在慎重に研究を進めておるという状況でございます。
  38. 森八三一

    委員長(森八三一君) ただいま問題になりました草資源造成改良及び利用増進の件につきましては、きわめて重大な問題でありまするし、相当関係する部面が広範でもありますので、本件処理につきましては、さらに当委員会趣旨を十分くみ取られまして、農林当局におきまして具体的な案を立てて御進行を願うことの希望を付しまして本日の審査はこの程度にしたいと思いますが……。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  39. 森八三一

    委員長(森八三一君) 御異議ないようでございますので、さよう決定いたします。   —————————————
  40. 森八三一

    委員長(森八三一君) 次に、飯島委員から水稲健苗育成施設普及促進に関して発言を求められておりますので、この際発言をお願いしたいと思います。
  41. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 水稲の健苗育成施設の普及に関しては、従来当委員会でもしばしばこれが推進についての積極的発言がありましたが、最近健苗育成の施設普及促進法の制定に伴って、従来かなりの効果を上げつつあった地域が、しかもこれが適用からはずれるということで、かなりの現地の農民から不安と、それからこれが適用についての要望等もありますので、これらの事情については、農林当局はわれわれよりも詳しく承知しておられると思うので、一応この点に関する経過なり現況を伺って、若干の質問をしたいと、こう思います。
  42. 小倉武一

    説明員(小倉武一君) 水稲の健苗育成につきまする指定地域でございますが、今まで実施いたしており、なお今後とも実施することが有効適切であると、こういうふうに考えられる所が指定から漏れはしないか、そういう御心配をされまして、県その他の方面からいろいろ改良局等の方にもお話があります。そういう点は十分お話を承わりまして、この法の趣旨によって、指定した方が適切な所が指定から漏れるというようなことがないようにいたしたい、かように思っております。今のところ、地方からの要望があるにもかかわらず、われわれの方の考えからいって、指定から落ちるという所はあまりないのじゃないかと思いますけれども、何かそういう点についてお心づきがあれば、御指摘を願えれば、なお検討をいたしたいと思います。  指定の基準といたしましては、法律趣旨にございますように、根雪の期間でありますとか、気温の平均でありますとか、そういった若干の資料に基きまして指定をしていきたい、かように考えております。
  43. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 具体的に言うと、地域指定から漏れるということで、かなりの不安と、それから要望の申し出があるのは、たとえば千葉、茨城等の地域、これらに対しては、農林省ではどういうふうにお考えになっておられますか。
  44. 小倉武一

    説明員(小倉武一君) 指定の基準といたしましては、四月の温度が平均十二度ということと、根雪期間が三十日と、こういうことを保温折衷苗しろの使命、それから法案の趣旨からいって考えておるのでありますが、それによりますと、確かに茨城県の南部、千葉県の北部は指定から漏れることになります。しかしながら、その当該地方の実情を見まするというと、やはり保温折衷苗しろを今後とも奨励した方がよろしいというふうに私どもにおいても考えられますし、また県当局、地方の皆さんもそういうふうな御要望でございますので、なお今申しました指定の基準のほかに、七月の温度をとりまして、七月は御承知のように例年の幼穂形成の時期でございますので、そのときの温度いかんが冷害にも大きな影響がございますので、その温度の平均が二十五度以下というところも加えるということが妥当ではないか、こういう点も考えまして、従いまして、都合三つの点から考えまして、まあ御指摘の地方も入れたい、かように考えておりまして準備をいたしておるのでございます。
  45. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 そうすると、今の三つの条件を織り込めば大体健苗育成の施設によって安全増産が確保されるという地域は漏れるところはない見込みですか。
  46. 小倉武一

    説明員(小倉武一君) 今のところ私ども聞いております範囲においては、特に緊要なところで漏れるという、われわれの考え方と県当局の考え方と非常に大きな差があるというところはないと思います。
  47. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 なお先般の水稲健苗育成施設の復旧促進法の今の三つの条件以外の地帯で、従来いわゆる西南暖地、つまり水稲の耕作を主目的にしての安全増産地帯についても健苗育成の施設というのはかなり適用もされて来ておったし、なお将来ともこれは必要な地域じゃないかと思うのですが、これらに対しては、これはどういうお考えでおりますか。
  48. 小倉武一

    説明員(小倉武一君) ただいまお話の西南暖地の生産力を上げる、こういう点から見まして、その一つの手段といたしまして保温折衷苗しろを導入してやる、やってみる、こういうことが必要なことは御指摘の通りでございますが、今度の法案はそういう地帯まで及んでいないのでございまして、西南暖地の生産力の向上ということについて、必要な保温折衷苗しろの助成ということはこれまでの考え通り進めたい、かように考えております。
  49. 河合義一

    河合義一君 この法律は冷害地帯に対する決律であるのでありますが、私がこの法律が制定されましたときから考えておるのは、西南暖地におきましては冷害ではありませんけれども、台風の対策としてこれは最も必要なんです。現に兵庫県のごときは、ある地方におきましては早期栽培をやりまして、八月の末にはもうすでに米になっておったのでありますが、そしてその地区におきましては台風の災害から免れたわけであります。それでありますから、西南暖地におきましても要求する府県がありましたならば、この法律に基きましてその区域内に入れるというようにしてはどうかと思うのでありますが、当局においてはどうお考えになりますか。
  50. 小倉武一

    説明員(小倉武一君) 先ほど飯島委員からのお話でお答えいたしましたように、この地帯はどちらかと申しますると、お話のように冷害に非常に縁のあるような地帯に見られるわけでございますが、そうでない地帯でも西南暖地等におきましてお話のように台風をよける、新らしいパラチオンといったような農薬の使用と相待って保温折衷苗しろを助成していくということが、非常に水稲の生産の維持あるいはまた裏作の導入といったようなことから考えまして、適切なところはできるだけ重視して参りたいと、かように存じております。
  51. 河合義一

    河合義一君 そういたしますと、西南暖地から府県によりましてこの要求がありましたならば、その地域内にこの法律によりましてこれは認めることができるでしょうか、それを一つ確かめておきたいと思います。
  52. 小倉武一

    説明員(小倉武一君) 西南暖地といたしまして農林省の方で助成をいたしていきまする地域は、恐らく今度の地域の指定には入らないのではないかと思いますが、しかしもちろんたとえば西の方に参りますと、近畿地方に参りますると、地帯によっては一部ダブることがあるかと思いますけれども、これは一方の方は法律に基きますものでございまするし、西南暖地の方は特別この法律に基くわけではございませんけれども、この水稲健苗育成の方の指定地域に該当する方は、これは水稲の保温折衷苗しろの助成については、こちらの法律でいくということも、これはできるかと思いまするけれども、この法律の適用があるという、この法律によって指定地域になるというところで、しかも西南暖地の生産力の伸長のための助成の目的である土地と、こういったダブるところはまずまずあまりなかろうと思いまするけれども、ダブってもこれは支障がないようでございまするからよろしいと思いまするが、ただ一般的に西南暖地のための保温折衷苗しろの助成をこの法律の指定の中に入れて、そうして助成をしていく、こういうことは考えておらないのであります。
  53. 河合義一

    河合義一君 この法律によらずに、他の法律によりましてそういう健苗育成のために補助金等をいただける法律があるのでありますか、それがありましたならば、はっきりそれを教えていただきまして、その手続によりまして、現に兵庫県のごときは昨年は完全に台風の災害から免れることができたのでありますから、引き続いてまた本年度におきましては、その早期栽培の反別が非常にふえる傾向があるのでありますから、ぜひどれかの法律によりまして、そういう健苗育成の実施ができますように一つやりたいと思っております。どういう法律によってそれができますか、お示しを願いたいと思います。
  54. 小倉武一

    説明員(小倉武一君) 西南暖地の水稲の生産増強の点はこれは法律に基いてはおりません。これは法律に基かない助成をいたしておるのでございまして、従いまして、今度の法律の指定から漏れる西南暖地でございましても、もちろんこれまで通り考え方で助成ができるのであります。御指摘のような地帯、たとえば兵庫県をとってみますると、これはこの法律によって助成されるところと、あるいはまたこの西南暖地のほうの行政措置として助成されるところと論理的には二通りあると、こういうことになるわけであります。
  55. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 そこで大蔵省の従来の質疑を通じての明らかになったことは、水稲の健苗育成施設に関しては、従来の実績等にかんがみてこれはもう助成の必要を認めない、こういう態度で大蔵省は一貫して来ておるわけですが、これに対して今度の促進法をあえて制定したゆえんのものは、その大蔵省考え方に対する法的な根拠をもって、これは一つわれわれの目的を突き通そうとする意図から出たわけで、農林省の従来の予算折衝等を通じて、今の促進法の指定地域に関しては、これは予算措置が講ぜられるものとわれわれは期待をいたしますが、西南暖地に関しても、従来と同様に昭和三十年度もこの予算的な措置が講ぜられるという見通しですか。なお予算措置が講ぜられるとしても、これはもうおのずから時期もあることですから、四月以降を待ったのではもうすでに時期を逸するので、今年度の健苗育成に対して一朝一夕に予算措置ができるという見通しであるか、その辺のところを一つ説明願いたい。
  56. 小倉武一

    説明員(小倉武一君) 御指摘の通り時期の問題もございまするので、欲を言えば二十九年度予算に成立しておった方があるいは適当かもしれんというふうに考えられることでございますが、たまたまこういう政治的な状況になって参りましたので、三十年度予算がいつこの事務的な関係で話を進めて参って行くかということについて、実はまだ見通しがついておりません。一応私ども考え方といたしましては、三十年度予算に農林省なりの考え方で水稲の健苗育成に関する補助金を計上して要求はしてございまするけれども内閣が変りまして、予算を出し直しをするといったような形をとることになりましたが、出し直しにはまだ至っていないのでございます。しかも暫定予算を組むことにおそらくなろうかと思いますが、一体その暫定予算をどういうふうに組むか、またそれを事務的にいつこれを組むのかということについてもまだ何ら見通しを持っていないのであります。しかしいずれにいたしましても、四月になる前に暫定予算ならば暫定予算として出す前に組まなければなりませんので、事柄の性質上暫定予算に計上して参りたいと、さように考えておりまして、それでももちろん時期がおくれるということになりまするけれども、できるだけ内々と申しますか、府県と連絡いたしまして、実際問題として必要なことでございまするので、仕事を進めていきまして、予算的措置もできるだけ近い期間に一つやっていきたい、かようなつもりでおるのであります。
  57. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 予算に対する折衝の状況は明らかになりましたので、なおわれわれといたしましては、大蔵省に対してのこれが必要を強調して、なお予算措置を、これは確実にするという目的で申入れたらどうかと私は考えるのですが、一応そこに申入れの案を出しましたので、一つ委員長において委員にお諮りの上、賛成を得られればこれを一つ委員会として申入れをしたいと思います。
  58. 森八三一

    委員長(森八三一君) ただいま飯島委員かち御発言がありましたごとく、水稲健苗育成施設の普及促進に関しまして、予算の編成期でもありまするし、事は時間的にきわめて急を要することでありますので、政府委員会の意をまとめて申入れをいたしたいという趣旨で案文の御提出がございます。飯島委員御提案の申入れをこの際お諮りをいたしたいと思います。一応朗読いたします。    水稲健苗育成施設普及促進に関する申入(案)   水稲作の準備時期に当面して政府は早急左記事項を実行し、もって水稲健苗育成と米穀の増産に遺憾なきを期せられたい。      記  一、水稲健苗育成施設普及促進法及び本法に関する衆参両院農林委員会の附帯決議にのっとり「寒高冷地域」、「寒高冷地区」、「普及計画」及び「国の助成措置」等を早急決定周知せしめ、農家が安んじて健苗の育成を実施することができることとすること。  二、保温折衷苗代等の水稲健苗育成施設は米穀の安全増産及び農業経営の改善に資する目的をもって企図せられたものであるから、これがため、これら施設実施を有効適切とする地域に対しては、水稲健苗育成施設普及促進法に規定するような諸措置を講じ、これが普及促進を図ることとし、右一によって措置すること。  右申入れする。   昭和三十年一月二十四日         参議院農林委員会    農林大臣河野 一郎殿    大蔵大臣一萬田尚登殿  御異議なければ決定をいたしたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  59. 森八三一

    委員長(森八三一君) 御異議ないようでありますので、ただいま朗読いたしました水稲健苗育成施設普及促進に関する申入は全会一致をもって申入れすることに決定いたしました。   —————————————
  60. 森八三一

    委員長(森八三一君) 次に、清澤委員から昭和二十九年産米減収加算及び供米割当減額補正について発言の申し出がありますので、御発言を願います。
  61. 清澤俊英

    清澤俊英君 大してここでごたごた言ってもおられないと思いますので、全部おわかりだろうと思いますし、時間も過ぎておりますが、衆議院においても農林委員会においては全会一致で本年度の減収加算をすみやかに政府は支払えと決議をしておりますので、当委員会においても皆さんから御賛同を得て決議を取りたいと、こういう趣旨なのであります。なお、案文についてはここに差上げたやつを委員長から読んでいただきたいと思います。
  62. 森八三一

    委員長(森八三一君) ただいま清澤委員から昭和二十九年産米の減収加算及び供米割当の減額補正に関して、政府に当委員会の決定に基いて申入れをいたしたいという旨の発言があり、案文が提出されております。つきましては朗読をいたしまして本件をお諮りいたしたいと思います。    昭和二十九年産米の減収加算及び供米割当減額補正に関する申入(案)  昭和二十九年産米の推定実収高に徴し、よろしく政府は、既往の措置にかんがみ、すみやかに、昭和二十九年産米の価格の減収加算及び供米割当の減額補正を行われたい。  右申入れする。   昭和三十年一月二十四日         参議院農林委員会    農 林 大 臣河野 一郎殿    大 蔵 大 臣一萬田尚登殿    経済審議庁長官高碕達之助殿    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  63. 森八三一

    委員長(森八三一君) 御異議ないようでありますので、ただいま朗読いたしました清澤委員提案にかかりまする昭和二十九年産米の減収加算及び供米割当減額補正に関する申入は全会一致をもって決定をいたしたことに決します。   —————————————
  64. 森八三一

    委員長(森八三一君) 次に、昭和三十年三月三十一日までに失効する農林関係法律の件を議題にいたします。  本件について、まず農林当局から説明を聞き、引き続いて本件取扱いについて御協議を願うことにいたします。
  65. 柴田栄

    説明員(柴田栄君) 昭和三十年の三月末日をもって失効いたします農林省関係法律は国有林野整備臨時措置一つでございまするが、国有林野整備臨時措置法は、御承知通り第十国会において御審議、御決定をいただいた三年間を限りまする臨時法でございましたが、主として事務的な処理関係からいたしまして、第十国会におきまして期間の延長を御審議、御決定を願って、三十年の三月三十一日までという期限でただいま執行いたしておりまする案件でございます。  概要を簡単に申し上げますると、当初これはあくまでも国有林野経営の合理化とあわせまして、林野を主として地元公共団体等を対象といたしまして、林業経営の対象として国有林の経営上必要のない国有林を条件に従って売り払う、こういう案件でございまして、当初には約二十三万町歩という目標をもって出発いたしましたが、その後種々検討いたしました結果、十五万八千余町歩というものを一応売り払いの対象として調査を進めて参った次第でございます。その後におきまして、町村合併促進法等の関係もございまして、町村合併促進法に基く国有林野整備臨時措置法の例による売り払い等が出て参りました結果と、正確な適格地の調査等の関係からいたしまして、ただいま目標といたしておりまするのは約十四万三千三百町歩程度になっておりまするが、ただいままで町村合併促進法によってその対象中から売り払い処分されたものは三千五百七十一町歩ございまするので、その十五万八千に対しまする不足は主として調査の結果改正されたものでございます。そうして今日まで売り払い確定いたしておりまするものが十一万二千百四十町歩余でございまするが、従って現在なお形式的に今後処理いたしまするものは件数で四百七十七件、面積にいたしまして三万一千百四十七町歩ございまするが、これらはすでに全部調査を終了いたしておりまするので、事務的な手続のみが残されております。で、極力妥当な売り払いを進めまして、大体期限内には十分にこれを完了し得る目標が立ちましたので、さらに今後期限の延長その他をお願いいたす必要がないということで、法律に定めておりまする期限内に全部の処理を完了して失効の処置を講じて参りたいと、かような考えでおる次第でございます。
  66. 森八三一

    委員長(森八三一君) ただいま議題になっておりまする昭和三十年三月三十一日までに失効する農林省関係法律は国有林野整備臨時措置法一件でありまして、柴田林野庁長官から御説明のありました通りでありますので、本件につきましては、政府説明通り失効いたしましても、本法の趣旨は期限内に十分達成せられるということでありますので、事情の聴取にとどめたいと思います。なお、他の省の関係で関税定率法に関連するものとか、補助金等の臨時特例等に関連いたしまして、三月三十一日までに失効する法律はございますが、いずれも主管省において措置をされると思いますので、議題の三月三十一日までに失効する法律に関連いたしましての取扱いは、農林省直接の所管事項に対する事情を聴取することにとどめておきたいと思います。  次に……。
  67. 鈴木強平

    ○鈴木強平君 ちょっと一言。臨時措置法の三月三十一日限りで廃止されるに当りまして、希望を申し述べて、それについての長官からの御意見を伺いたいと思います。町村合併法は今日まだ十分な目的を達成しないで、わずかに一千八百の町村を減らしたにすぎない。目的に達するまでにはまだまだ三千も町村合併をしなければならない。この臨時措置法が非常に大きな合併に対しては役目をしたのでございますが、これが廃止されたあとにおいても、町村の希望が他の法律によって達成せられるように聞いておりますが、果して達成せられましょうか。なおそれについてのお骨折りを願いたいと思います。どうか長官、一つ……。
  68. 柴田栄

    説明員(柴田栄君) お話通り国有林野整備臨時措置法は失効いたしましても、合併促進に関しましては、合併促進法に基きまする売り払いは、促進に積極的に協力いたす意味におきまして、その趣旨に従って今後も積極的に御相談をいたして参るつもりでおります。なお町村合併促進法は期限も十分にございまするし、町村合併の進行に伴って、ただいまも大体申し出が四万三千町歩程度まで出ております。その審査を続けておりますという状況にございますので、御了承願いたいと思います。
  69. 森八三一

    委員長(森八三一君) 他に御発言もありませんければ、先刻申し上げましたように、本件につきましては政府説明を聴取することにとどめておきたいと思います。   —————————————
  70. 森八三一

    委員長(森八三一君) 次に、議題に追加して請願及び陳情を議題にいたします。  本国会中、当委員会に付託せられました請願及び陳情は、請願三十五件及び情情九件となっております。ただいまから前例に従って御審議を願いたいのでありますが、本会議等の都合もありますので次回に譲りまして、本日はこれにて散会いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  71. 森八三一

    委員長(森八三一君) 御異議ないと認めますので、本日はこれにて散会いたします。    午後四時三十九分散会