○
説明員(記内角一君)
中小企業の
金融の問題につきまして、昨年末の概況をまず第一に申し上げてみたいと思いますが、
中小企業金融公庫につきましては昨年十、十一、十二月、この三ヵ月間に八十二億を
融資するという計画でございましたが、実際に出ましたのは八十六億、そのほかに約七億ばかり仮決定をいたしまして
金融機関の方で
資金の
事情がつけば年内にも出してや
つてほしい。年を越せば必ず金を送るからという契約をいたした次第でございます。国民
金融公庫につきましては百三十五億の計画に対しまして、百四十億実際に貸し出しをいたしました。商工中金につきましては八十二億の貸し出しの増加の計画に対しまして九十七億の貸し出しの増加を見た次第でございます。御
承知の
通り商工中金は毎月約百億から百十億程度貸し出しをいたしております。従いまして普通であれば三ヵ月三百億から三百三、四十億の貸し出しを毎期いたしておるわけでございますが、この期におきましては、その上に更に約九十七億、約百億が追加になりまして四百三、四十億の貸し出しが行われたという状況に相な
つております。
こういうことで、
一般の
金融機関の状況につきましては、どちらかと申しますと金が余りぎみに推移した。たとえば東京都で準備いたしました年末
金融の金も若干余りました。また
日本相互銀行が年末
金融に対して準備した
資金も若干余りました。また商工中金から貸し出しをしてありまする
中小企業、ことに零細企業に一番
関係の深い信用組合、信用組合連
合会等に対しまして当初商工中金としては、従来八億ばかりの貸し出しをいたしておりますのを、年末目当てにいたしまして約倍の十六億くらいを予定してお
つたのでございます。その金も若干余るというような状況でございましたが、この国営の中小公庫、国民公庫、商工中金、いずれも計画を上回るというような実際の状況に相な
つております。従いまして特に
中小企業金融公庫につきましては、最初に申し上げましたように八十二億の計画に対しまして、八十六億の貸付を現実にいたしたのでございますが、実際の
金融機関からの申請を見ますといると、このほかにさらに二十億の申請があ
つたわけでございまして、普通で参りますれば借り入れの代理店としての
金融機関から公庫に貸したいという連絡がございますやつは大体適格性を持
つているわけでございまして、本来ならばこの分も当然相当部分の貸し出しをしなければならんという筋のものでございますが、年末押し詰
つてから出て参りました
関係もあり、十分な審査もできない、あるいは
資金自体も足りないというようなことがありました
関係上、二十億のうち七億だけを仮決定いたしまして年が明けてから
資金の交付をする、それ以外の十三億は年明けてから審査に入るといる状況に相
なつた次第でございます。
そういうふうな
関係で
政府関係の
金融機関としましては、相当大幅な貸し出しが行われました
関係上、一応年末といたしましては順調に年を越した次第でございますが、これが今後この一—三月にどういうふうにな
つて参るかという問題でございますが、中小公庫につきましては御
承知の
通り貸出金今年度二百億を予定しておりましたが、そのうちの二十五億は
国家一般財政から出資するということでこれはすでに受取
つております。で、
あと百五億ないし九十九億を預金部
資金から借り受けるということにな
つておりまして、これが今日まで約九十億の借り受けをいたしております。残るところは本来ならばほかに十五億、そのうち六億はいわゆる節約というふうな
関係で、残るところ九億、もしくは十五億という
数字に相な
つております。ただそのほかに約七十億を予定しておりました回収金が、今期は相当今年の回収率がよか
つた関係で、今までのところでは一—三月中にもし十五億まるまる預金部から借り入れができますれば約四十億の貸付ができる。もし節約をそのまま強行するということになりまして今後九億しか借り入れができないということになりますと、三十五、六億の借り入れ運用しかできないというふうな
状態に相な
つております。われわれ当初の計画といたしましては第一四半期、第二四半期五十億ずつ、これは現実に百億で推移いたしております。第三四半期を六十億、第四四半期を四十億というふうに計画いたしてお
つたわけであります。第三四半期の当初の計画六十億に対しまして、これが九十億まで——十六億まで金が出たという状況でございまして、しかしながらもし第三四半期四十億出ることになりますれば、当初の計画と大体マッチして参ることに相なるわけでございます。ただ、実際問題といたしましては、最初に申し上げましたように、年末からこちらに——一月に繰り越して参りました二十億の分が差し引かれますので、一—三月中に現実に新しく受け付けられる貸付はその約半分、二十億ということに相なるわけであります。しかしながら、これも万一
資金運用部
資金から五億、六億の節約がそのまま強行されるということになりますれば、新しい貸し出しはさらに減少するということに相なるわけでありまして、われわれといたしましては、節約の分の解除を強く大蔵省に申し入れをいたしておるような次第であります。それ以上の貸し出しということにな
つて参りますと、これは例の予算総則の借り入れ限度のワクがきめられてございますので、
国会の決議を経なければならない。また同時に運用部
資金自体の
資金源の問題もございますので、これ以上の借り入れ増額ということはさしあた
つては困難かと
考えておる次第であります。
なお次に国民
金融公庫でございますが、この分につきましては、もともと予定といたしまして、回収金でも
つて貸付に充てるという計画も立てておりまして、大体七、八十億の予定をいたしております。おそらくこの分は現在までの回収状況から見まして計画
通り実行できるものというふうに
考えておる次第であります。
次に、商工中金につきましては、先ほど申し上げましたように約九十七億の貸付増ということに相な
つております。その結果といたしまして、日銀から約十八億—二十億近い二次高率のいわゆる高金利の借り入れをしておりまして、これはできるだけ早い機会に返済しなければならぬという筋合いのものでありますので、二十日現在におきましてすでに全部償還をいたしております。従いまして、今日におきましては、商工中金はそれだけ貸し出しの残高が減
つて参りましたのでございますが、同時に、日銀に対する第二次高率の借り入れはなくな
つておる次第であります。しかしながら、このほかに、従来ございました十七億円の
中小企業別ワクのほかに、年末の応急の
措置といたしまして五億の増ワクを商工中金自体としては得ております。現在二十二億の借り入れをいたしておりますが、これはそのままに相な
つておる次第であります。そういうふうな
関係で、今期の貸付がどういうふうになるかということをて参りますというと、昨年も貸付の期限が、いわゆる年末
金融と申しまして、一月、二月中くらいに返済するのが昔の通例でございますが、最近の貸し出しの
内容をしさいに検討いたしますと、いわゆる年末
金融ではなくて、年末を契機とした新しい長期の貸付というような趨勢が見えるわけでございます。従いまして、一月、二月中に回収するということはなかなか困難で、むしろ四月以降にな
つて返済されるというふうな部分が相当多くな
つて参
つておるようであります。従いまして、三月末——年度末の納税その他
資金の必要な時期にも相な
つて参りますというと、商工中金の貸し出しも相当また増加してくることも予想せられるわけでございまして、そういう際におきましては、さらにいわゆる日銀の二次高率の貸し出しを受けなければならぬというふうな趨勢に相なるかと思うわけでございます。ただ、それにいたしましても、御
承知の
通り、商工中金に対しましては
政府の指定預金が二十七億ございます。これがもし一月、二月、三月と逐次引き揚げられて参りますというと、さらにその上に高利の金を日銀から借りてこなければ貸し出しは非常に窮屈にな
つて参るということにも相なる次第でございます。従いまして、われわれといたしましては、第四四半側の対策といたしまして、例の指定預金の引き揚げを当分延期してもらいまして、四月以降あたりに逐次返済し、引き揚げていくという方向に切りかえてもらいたいということを大蔵省
方面に強く申し入れをいたしておるような次第であります。その間におきましては、日銀から二次高率の借り入れ、あるいは商工債券の増発ということによりまして、この件の
資金繰りも十分勘案して参るという目安もあろうかと思う次第であります。
以上年末の状況と今後の問題について御説明申し上げた次第であります。