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1954-12-20 第21回国会 参議院 地方行政委員会 第2号
公式Web版
会議録情報
0
昭和二十九年十二月二十日(月躍日) 午後一時四十六分開会 ――
―――――――――――
委員
の移動 十二月十五日
委員松澤兼人
君
辞任
につ き、その
補欠
として
森下政一
君を
議長
において指名した。 十二月十七日
委員伊能芳雄
君
辞任
につ き、その
補欠
として
大野木秀次郎
君を
議長
において指名した。 本日
委員森下政一
君、
大野木秀次郎
君 及び
須藤五郎
君
辞任
につき、その
補欠
として
永井純一郎
君、
伊能芳雄
君及び
松浦定義
君を
議長
において指名した。 ――
―――――――――――
出席者
は左の
通り
。
委員長
中田
吉雄
君
理事
伊能
芳雄
君
委員
伊能繁次郎
君 松岡 平市君
小林
武治君 加瀬 完君 若木 勝藏君
永井純一郎
君 寺本 広作君
松浦
定義
君
政府委員
内閣官房長官
根本龍太郎
君
郵政政務次官
小島
徹三
君
事務局側
常任委員会専門
員
福永与一郎
君
常任委員会専門
員 伊藤 清君
説明員
人事院総裁
浅井
清君
自治庁次長
鈴木 俊一君
自治庁選挙部長
兼子 秀夫君 ――
―――――――――――
本日の
会議
に付した事件 ○
地方行政
の改革に関する調査の件 (
公務員等
の
選挙事前運動
に関する 件) ○
理事
の
補欠選任
の件 ――
―――――――――――
中田吉雄
1
○
委員長
(
中田吉雄
君)
只今
より
委員会
を開会いたします。最初に
公務員等
の
選挙事前運動
に関する件をお諮りいたします。
郵政省
、
人事院
、
自治庁
が御
出席
になっております。
永井純一郎
2
○
永井純一郎
君 私は
人事官
、
郵政大臣
、
自治庁長官
、
官房長官
に
質問
をしたいのですが、それは
公務員
の
立候補
に伴う
選挙運動
並びに
選挙
の
事前運動
、こういうことについてこの四人の
責任者
に
質問
をしたいと思います。それは
官界
の粛正と言いまするか、現在の
政府
がそれを大きく取り上げましたが、この
自粛
的な
意味
、道義的な
意味
とそれから
規則
の上からと両面にわたって、このことについて
質問
をしたいと思っております。 一番初めに
官房長官
が
おいで
に
なつ
たら一番
質問
の順序がいいのですが、
根本
君が
おいで
になりませんので、
あと
にしなければならんわけですが、そこで
自治庁郵政省
、
人事官
のほうに先にお尋ねをしていきたいと思う。これは、私はたまたま
郵政大臣
の
出席
を求めましたが、これは具体的な
事例
が特に
郵政省
に現在非常に顕著にありますので、特に
郵政省
をお願いしたわけなんです。しかしこれは
郵政省
に実は限らず、
国鉄
、農林、建設、
土木関係
の官庁、それから大蔵省、
郵政省
といったような各面にわたって今までも非常に具体的な
事例
がありますが、私は具体的な
事例
として
あまり人
の
名前
を上げたりすると工合が悪いので、そこまでは言わないつもりです。ただ一番お
終い
に聞こうと思ったことが一番先になるのですが、実は今の
政府
がこの前の
マージヤン
、
ゴルフ
ということを
役人
はやらないようにしようという趣旨だか訓辞だかをされたということが
新聞
に出ておりました。これは非常に私はけつこうなことだと思います。実は
専売公社
の今の
総裁
か前の
総裁
かは、
専売公社職員
に対して去年――一昨年でありましたか、
官界
が腐敗して非常に
乱脈
を極めるのは
マージヤン
と
ゴルフ
と
立候補
だと、特に
立候補
に関連して、
マージヤン
、
ゴルフ
、
立候補
はこれは全部三者とも金に
関係
するが、
立候補
に関連しては非常に金につなが
つて
非常に乱れるということで、
専売公社
については
自粛
をしたいと言って、何という人だったか、非常にその人は立派な
総裁
だったと思いますが、その方は今の
総裁
だと思いますが、
マージヤン
、
ゴルフ
、
プラス立候補
も
自粛
しようということを全
職員
にそういう
指図
をされたということを聞きましたが、私はここで今までもたくさんありましたが、例えば私の
選挙
区は和歌山なのですが、去年の
選挙
のときも御承知の
通り国鉄
の
営業局長
の某君は、明らかに
検察庁
が調べただけで千数百万円の金を
選挙
に使っておる。
一役人
がそれだけの金ができるわけはないのです。これはどうしてその金を作つたかということはこれは私
ども
大体知っておりますが、結局これは
選挙違反
であが
つて
おる一番余計もらつた人が
県会議員
の某君で百万円というのが
最高
です。二十万、三十万というものを多数の人がもら
つて
この人の
選挙運動
をやる、しかも
買収
、
饗応
にそれが、積極的に使われた。もしそれが
選挙違反
としてあがらなければ恐らく当選したと思いますが、これは
役人
が
立候補
するためにそういう厖大な金がどこからかかき集められて、しかも
事前運動
もいろいろな形で行われたわけなんです。そうして
裁判
の結果
県会議員
の某氏は
有罪
になりまして、最近
県会議員
を辞職されたのであります。その他
地方
の
有力者
がまだ
刑事裁判
にかかっている人は多数この
関係
であるわけであります。同じようにその
選挙
区で今度は
郵政省関係
の某君が出る。しかもこれが又非常に顕著な
事前運動
をや
つて
いるわけです。私のほうの党並びに
選挙
区からも何回もやかましく言うて来まして、昨日もわざわざ私のほうの
書記長
がお見えになっていろいろお話がありました。その具体的な例は
貯蓄奨励
ということで
浪曲大会
を各村で開いて歩いておる。そうしてこのくらい大きなものを、
あと
で取り寄せてこの
委員会
に出したいと思いますが、
浪曲大会
の
ビラ
を貼
つて大会
をやる、そこに挨拶に行く、そうしてその
ビラ
には明らかに
自分
の官職、
氏名
を書いておる。一方では
地方
紙が盛んにその人が
立候補
することも前から謳
つて
おる。
令部
だれだれが
立候補
するということが出ておる。それからもう
一つ
は、
貯蓄座談会
ということで非常に立派なこのくらいの鏡を、村の有力な
婦人団体
の
人たち
を集めて
座談会
をやりまして、それにみんな
一つ
ずつ鏡を配
つて
おる。そうして
写真
をと
つて
、その
とつ
た
写真
を
焼増し
して
出席
した人に全部
あと
で送
つて
やつた。これなんかは実に
浪花節大会
から
始つて鏡
をや
つて
、
写真
の
焼増し
を一々配るというに至っては、私は実に言語道断だと思う。それは
貯蓄奨励
だという
一つ
の言い方ができるかもしれませんが、しかしだれが見ても客観的にそれが
選挙運動
であることは見逃せないことなんです。私はその人の
名前
をもちろん言いませんが、とにかく
役人
が
選挙
を
目当
にこういうことをしておるということは、第一
予算
を一体どういうふうにして使わせておるのか。
郵政省
はその
郵政局
の
予算
を、一体それが
選挙運動
の費用にそういうふうに実際上なるのですから、これは私は由々しい問題だと思う。
乱脈
もはなはだしいと思う。しかしどの
候補者
も多くは
役人
から直ちにやめてそのまま
立候補
する人がすべてそういうことをや
つて
おると同時に、いろいろな
納入品
、工事の請負について業者とそういう
立候補者
は必ず結びついております。この前の
国鉄
の某君が私のほうの
選挙
区でやつたときも千数百万円の金を、
検察庁
がいろいろ調べただけでも想定してそのくらい
使つて
おる。
最高
の
買収
は百万円から出ておるわけです。そういった金が一体どうしてできるかということを、これは私は非常に由々しい問題だと思う。この点
緑風会
からそういうことを非常に考えられて
参議院
のほうとしてはこの
立候補
の
制限
をすべきだ、少くともやめてから二年ぐらいはし
ちやいかん
ということをここにおられる
小林
君な
ども
非常に熱心に言われておりますが、私は非常にそれに賛成なんです。今ところがそういう
制限規定
がまだありませんので、私はこれはやはり
政府
が
マージヤン
と
ゴルフ
を
自粛
するために、
官界
の不正、
堕落
を防ぐために禁止されたと同じように、これは
自粛
の
意味
から今日は
立候補
も同じように私はよほど
政府
としては注意されるべきだと思うのです。 そこで私は
郵政省
にお願いしたいことは、この
予算
をどういうふうにして
使つて
おるのかということを調べて報告をしてもらいたいと思う。そうしてそういうことについて何ら監督を一体しておらないのか、そこまで露骨な
選挙運動
が行われておるにもかかわらず
郵政省
が何も知らずにおるのか、あるいは知ってて放
つて
あるのか、そこらの見解を私は
郵政省
にまず
伺つて
みたいと思うのです。
小島徹三
3
○
政府委員
(
小島徹三
君) お答えいたします前に一言御挨拶申し上げます。 実は私今までに宮仕えをした経験全然持っておりませんので、皆様にお答えするときに、あるいは
野人礼
を知らずというようなことがあるかもしれませんけれ
ども
、その点は悪しからずあらかじめ御了承願いたいと存じます。
只今
の御
質問
は誠に御尤でございまして、私
ども
といたしましても、
役人
が
選挙
の
事前運動
をするというようなことは厳密にこれを避けなければならん、かように考えておる次第でございます。ただ私は就任後まだ日が浅うございまするが、そういう具体的な事実につきましてはまだ耳に全然いたしておりませんので、それぞれ役所に帰りまして、その機関を通じて十分取調べさしてお答え申し上げたいと思います。
永井純一郎
4
○
永井純一郎
君 それで調べて頂く内容は今言つたような鏡だとか
浪花節
の
ビラ
だとか、
写真
の
焼増し
だとかいうことをや
つて
おりますが、それは
証拠品
として
あと
で私のほうから党員が送るそうですから、それを
あと
で出しますが、そういう事実をあなたのほうも必ず確認できると思います。確認した上
予算
を一体どういうふうに
使つて
いるのか、そこの
郵政局
は。ということをぜひ調べてもらいたい。それから
郵政省
としてはそれに対して、これは全体として
官房長官
にも
あと
で話しておきますが、
公務員
が
立候補
してみずから
事前運度
をやることに対する
政府
の
取締り
と言いまするか、
指導方針
と言いますかというものは、
官房長官
に全体として聞きますけれ
ども
、
小島
さんからもこれは
官房長官
とよく連絡をしておいて頂きたいと思います。
一体処置
をどういうふうにするのか、それを又次の機会に私承わりたいと思います。
中田吉雄
5
○
委員長
(
中田吉雄
君) ちょっと
速記
をとめて下さい。
中田吉雄
6
○
委員長
(
中田吉雄
君)
速記
を始めて下さい。
永井純一郎
7
○
永井純一郎
君 そこで、これは
自治庁
なり
人事院
の
浅井
さんもおみえになっているようですが、お伺いしたいのですが、これは
一つ
の私は例を申し上げたわけです。
郵政省
のこれは去年同じように
国鉄
の某
局長
がそれで非常な
買収
、
饗応
をたまたま私のほうでやりまして、問題が起
つて
裁判
になって、その
運動
をした
県会議員
の
人たち
が
有罪
になってやめなければならんというような事態が起つた。それらがすべて私は
官界
の腐敗、
堕落
に通じておると思うのですが、私はここで
人事院
にお聞きしたいのは、
国家公務員法
、並びにこれに基く
人事院規則
の
政治行為
の
禁止等
に、
政治的行為
に関する
規則
がありますね。こういう
国家公務員法
と
人事院
の
規則
からいって、私は
現行法
の下でも、
現行
の法の下においても私が今具体的に申し上げたような某
郵政局
の某君のような場合は、明らかに
現行法
でもいけないのであ
つて
、そういうことは。そうしてそれは
懲戒
の
対象
に当然なり得るし、あるいは又刑罰の
対象
にもなっておると思う。ですから
官房長官
なり
人事院総裁
のほうでは、そういうものについてどういう
取締り
をここできちつとされようとするのか、そのことを私ははっきりさしたいと、こう思うわけです。それはあの
国家公務員法
の百二条に基いて
政治的行為
を禁止しておりますが、それについて又それの百二条に基いて
人事院規則
を出しております。この
人事院規則
一四――七というのですか、これによりますと、この
規則
があ
つて
、しかもこの
規則
に対する
運用方針
を、
人事院
は明らかにここに
運用方針
というものも
事務総長
から各
庁宛
の通牒でこの
解釈
を出しておりますが、これを読んで見ても私は明らかに今のような場合は、これはもう
公務員
としてはそういうことができないということに私はなるのじゃないかと思う。それは
政治的行為
に関する
人事院規則
の三項を見ますと、
代理人
、
自分
がやらなくともですよ、
自分
の
部下
だとか、あるいは
用人
だとか、例えば
郵政
であれば
郵便配達
の方だとか
用人
的な人、あるいは
自分
につながる
部下
の人、そういうような
代理人
をしてやらしめることも当然いけないということをちゃんとはっきりしてある。そういう
役人
がやる場合には必ず
部下
を
使つて
、
自分
はやらないのだけれ
ども
部下
を
使つて
や
つて
おる。しかもそのときはまだ
自分
は
立候補
したことにはなっていないわけなんですね。法律的に非常に疑義があるように言う向きの人もある。まだその人は
立候補
はしていないからですね。ところが
規則
の
運用
の
解釈
のところを見ますと、そういう場合でも
あと
でその人が
立候補
するに至つたときはやはりそれはいけないのだ、しかし
立候補
するに至らなかった場合はこの
規則
の
対象
にはならないと思うということをここにはっきり
解釈
みたいなことを書いておるのです、
運用法
に……。だからある
局長
が
立候補
するのだと
新聞
もそういうふうに言うておるわけですね。一方では
浪花節大会
をやつたり
ビラ
を配つたりや
つて
おる。そうして
部下
とか
配達
をしておる
用人
のような人がいろいろ活動をする。そうして
候補者
に
あと
でなれば、その人がやめて
候補者
になれば、やはりそれは
立候補
するに至って
候補者
になる
届出
をして
候補者
に
なつ
た。これは
現行法
の
解釈
から言ってもそういうことはすでにできないのじゃないかと思う。わざわざ今
参議院
の
緑風会
を中心に考えておる
公務員
の
立候補制限
ということの新しい立法をしなくとも、今でも私は
人事院
はそれを黙
つて
見ておることはできないのじゃないかと思うのですが、これはどうでしょうか。
浅井清
8
○
説明員
(
浅井清
君) 誠に御同感に私は考えるのであります。ただ問題は官吏の
事前運動
がこの直接
人事院規則
の一四の七にかかるかどうかは非常に実はむずかしい問題になっておるのであります。つまりこの
人事院規則
は
政治的目的
をもって一定の事項として列挙をした
政治的行為
をやつた場合しか引つかからないことになっておるからです。これは一面においては
只今
御指摘のように非常に厳重にやらなければならん場合もありますが、何を言うにも
政治的行為
は
基本的人権
の
一つ
にもなっておりますので、なるべく厳正にこれをやり、みだりにこれを敷衍しない、
拡張解釈
はしないように考えておりますので、従来非常にその点はむずかしい問題になっております。そこで
只今選挙
の場合に、さようなことをした場合にどうなるかという点は非常に微妙な点だろうと思っております。それはそこで従来の
解釈
といたしまして、
特定
の
候補者
を支持し又は反対する云々という、この
候補者
は
立候補
した、
公職選挙法
上の
立候補
して初めて存在するという考え方をと
つて
いるものでございますから、もし
自分
が
立候補
すれば、もはや
公務員
ではなくなるのでございますから、
公職選挙法
上そうするとこの
規則
では取締れないというふうにも相なります。その点は非常に微妙だと思っておりますが、そういう
行為
の悪いことは、もうこれは重々承知いたしておりまして、これは問題にならんと思っております。従来も
公務員
がこれは
自分
が
立候補
した場合ではございませんけれ
ども
、他の
特定
の
候補者
を
現職
の
公務員
が支持するために、あるお示しのような
行為
をした場合は、これは
人事院
としても
検察庁
としても、最も悪質なるものとして厳重にや
つて
いる次第でございます。
永井純一郎
9
○
永井純一郎
君 そこがまあ問題だと思う。そこでこの
運用方針
があなたの
解釈
をしたものだと思う。
人事院
のこれとよく考え合せて読むと、私が言うようなことが大体通説になるんじゃないかと思う。これは今おっしゃるようなことか一応言える。そこで
公務員
がほかの
公務員
の応援をするという場合はっきりかかってしまうんですね、そうでしよ。ところが
自分
だった場合にかからんということは、これはまあ大体あり得べからざることなんです。同じことですね。
自分
が
自分
のためにそれをしていることになりますが、人の場合にはいかんが、
自分
の場合にはいい、同じ
行為
ですから、これは当然の理としてそういうことはいけないと思う。と同時にここに書いてあるのを見ますと、
自分
が
立候補
するつもりで
第三者
を、
代理人
をしてやらしているわけです。
代理人
をしてやらしめるということも該当するのだということは謳
つて
いますから、第三項は。それはそれでいい。たまたま
自分
だったんですね、それが
自分
のために
第三者
を、
部下
とか
用員
を
使つて
やらしめておいて、しかしそのときには
自分
がまあ
公務員
なんですからね、そうしてのちに
自分
が
立候補
するんだが、やらしている間は
人格
が
二つ
になって、やめた
あと
の
立候補者
の
自分
と
現職
の
自分
とが
二つ
になって、
現職
の
自分
がやめた
あと
の
自分
のために、
公務員
の
現職
の
自分
が
公務員
の
現職
の
自分
の
部下
を
使つて
や
つて
いる。やめたらば、やめた
自分
のためにその
運動
をあれするんですね。ところが
部下
を
使つて
やらしめているそのときはやはり
公務員
なんですから、その人は……。だからやはりそれは私は当然入るべきであるし、又一番そのことこそ私は悪いことだと思う。そのことこそ……。ですからこの
解釈
はこれは当然であ
つて
、特にその
公務員
、その最後の場合に
立候補
するに至らなかった場合にはその限りではないんだと、この範囲には入らないんだということは、わざわざ反面的に
運用方針
で言っていますから、
立候補届出
をして
候補者
に
なつ
た場合はとにかく私はやはり
反対解釈
としては入って来ると思うのですね。ですからその点はほかの他人のときにはいいが、
自分自身
の
立候補
のときには疑問があるという行き方は、大体
取締り
ができないと思うのです、それでは……。
浅井清
10
○
説明員
(
浅井清
君) 全く御尤もの点でございます。しかし
自分
が
立候補
いたしますと、もう
公務員
でなくなるわけでございますから、そこでこの
規則
で何することができなくなって参ります。そこで
只今
申されましたことと、私の申しますところの
食い違い
は、この
規則
の
特定
の
候補者
というもののできる時期如何にかかっておるだろうと思います。そこで今
人事院
の
解釈
といたしましては、
公職選挙法
上のあの
届出
、もしくは
推薦届出
、どちらでもよろしゅうございますが、それをや
つて
初めてそこでできると考えておるのでございます。もしそれを禁止いたしまして、その
特定
の
候補者
というものをもっと先からや
つて
はいかんということに相なりますと、これは又一方において政治的自由を阻害する場合がある。例えば大勢のものが集りまして、だれか、われわれの仲間から一人出そうじゃないかというような
行為
までこの
規則
で禁止するということは、これは又一方におきましてどうかと考えております。そこでこれまで
人事院
では
特定
の
候補者
を支持するという
特定
の
候補者
は
公職選挙法
による
届出
によって初めて確定するんだ、こういう
解釈
をと
つて
おるのでございます。ただしこれは
確か札幌地裁
でございましたか、
札幌高裁
でございましたかの判決はそれよりちょっと
違つて
、その
事前
に、それよりももう少し前に
特定
の
候補者
があるという、
人事院
の
解釈
と
違つた解釈
を
とつ
た判例がございます。しかしこれはちょっとある方面から金が出た極めて特殊な場合であ
つて
、私
ども
は私
ども
の
解釈
でどうかと思っております。結局問題は
只今仰せ
のように非常に一方に厳重に取締らなければならない点もあるが、他方においては
基本的人権
たる政治的自由をなるべく自由にしておきたいという
二つ
の要請の交わつたところで
規則
ができておるものですから、さようなことになろうかと思っております。
永井純一郎
11
○
永井純一郎
君 で、そこで私の言うのはこうなんです。
現職
……やめてから
候補者
になりますよ。なりますが、まだやめない前にですよ、まあ私が
局長
とします。
自分
の
部下
を
使つて選挙運動
をさせているわけなんです、いろいろ。そのときに
候補者
はまだ確定していないのです。形式的にはまだ
届出
もしていませんから、しかし私はある
特定
の
候補者
のために私が
部下
を
使つて
やらしておる、私は
現職
の
役人
です。それはいけないことじゃないんですか。そのことがまず引つかかりやしないか。そこで
あと
で
自分
というものがやめたら私という
役人
としての
人格
はなくなって、
候補者
としての
人格
が
一つ
生れて来るわけなんです。しかしそこのところは以前に
自分
が
役人
でありながら
特定
の
候補者
が、たまたまそれは
自分
なんです。将来の
自分
なんですが、たまたま
特定
の
候補者
の
運動
をせしめておるわけなんです。その場合にはあなたのほうの
運用方針
にも、
特定
の
候補者
というのは
候補者
の
氏名
が明示されている場合のみならず、客観的に判断してその
対象
が確定し得る場合も含むと書いてございます。そこで
新聞
が書き、何人もそれを認め、そのために
浪花節大会
があり、
座談会
をやり、鏡を配り、
焼増し写真
を配
つて
おる、これは客観的にだれが見てもその人が
立候補者
になるということは明らかなんです。しかもどこかの政党に所属して、その人がなるということも明らかなんです。ですからそれは私は
余地
がないと思う。その
候補
の場合にはそういうことを言っておる
余地
がないと私は思うのです。
浅井清
12
○
説明員
(
浅井清
君) 御尤もなんですが、
只今
の
行為
それ自体は、「
政治的目的
のために職名、職権又はその他
公私
の
影響力
を利用すること。」これに十分引つかかると思うのです。ただしそれは
人事院規則
で列挙しておる
政治的目的
のためにされなければ、どうもいかんと、この
規則
だけでは引つかけることはできない。それでは
政治的目的
のどれに引つかかるかということが問題になって来る。そうすると
只今仰せ
のことは
選挙
に関することであ
つて
、
特定
の
候補者
を支持しもしくは反対するという
政治的目的
のために
公私
の
影響力
を利用したんだ、こういうことになるのですが、その
特定
の
候補者
というのは、
只今人事院
では
立候補
してから
あと
と考えておるのでございます。そこでちょっと
食い違い
ができてくるわけでございます。
永井純一郎
13
○
永井純一郎
君 それは私が先ほどから申上げましたように、
運用方針
を読んでもわかりますように、
立候補
して確定しなくてもいいということはあなたのほうは
運用方針
で言っておるのです。客観的に見てそうである場合は、それはもうやはりそういうことになるんだ、しかも
事前運動
になるわけですよ。しかもそのことは
事前運動
に、普通の場合は告示があ
つて選挙運動
をしてもよろしい時期に入ってからが普通ですけれ
ども
、
事前運動
の間合はなお悪いわけですから、
選挙法
の建前から言うとすでに
事前運動
にそのことは引つかかってくるわけなんです、しかも
公務員
だ。だからその点から言ってもこれは
法令
その他に
違反
した場合は
懲戒
の
対象
になるという
規定
も別にあるのですから、
公務員法
のほうに、これはそのほうにだ
つて
当然私は引つかかると思う。今
総裁
の言われる非常に微妙な点は一応あずけても、私は
事前運動
には必ず引つかかってくる。しかも
指図
をして
部下
を動かした、その人がみずからやめて
あと
で他の
候補者
という
人格
に変
つて
行くところに非常に微妙な点があるが、少くとも
現職
の
役人
が
事前運動
的なことをするということだけは、少くともこれはやはり見逃せないのじゃないですか。どうでしょうか。
浅井清
14
○
説明員
(
浅井清
君) それは悪いことはもうわか
つて
おるのでございますが、いいことでないのでありますが、ただ問題はこの
規則
のどこの条項にそれを引つかけるかということが問題であろうと思います。
永井純一郎
15
○
永井純一郎
君 ですから、引つかけることには、私が言う場合のは本人が、
現職
のものが
現職
中にやつた
事前運動
、
選挙運動
ということにまず引つかかりますね、法年的にこの
規則
の上から言っても。それから
選挙法関係
のほうで
事前運動
がいかんということを、その
規則
以外にも
選挙法
にもそういうことがあるはずですから、
そつちの
ほうにも引つかかれば、あるいは
法令等
に
違反
してはいけないという
懲戒
の
対象
にもなるはずである。
浅井清
16
○
説明員
(
浅井清
君)
公職選挙法
に引つかかるのは問題はない。この
規則
は
公職選挙法
を前提として書いてあるので、
公職選挙法
に
違反
すればこれは明らかに
違反
であるからこれは問題になりません。それ以外においてこの
規則
、
公職選挙法
に引つかからない
行為
でこの
規則
のどこに引つかかるかというと、はなはだ疑点があるということを申し上げておるのであります。
永井純一郎
17
○
永井純一郎
君 それでは整理して行くと
二つ
になってくると思うが、
公職選挙法
に明らかに
事前運動
が引つかかれば、これは勿論容赦できないところと思います。これはあなたのほうも異存はない。私はそれが明らかに引つかかっておると思う。しかしこの認定はまた別のところでやりたいと思いますけれ
ども
、又第二段は微妙な点ではっきりしないかとおっしゃるけれ
ども
、それでは
現職
のものが明らかにそういう
現職
の地位を利用しながら今や
つて
お
つて
、今私が言うように鏡はやる、
浪花節大会
はやる、
座談会
はやる、
焼増し写真
は配
つて
おる、こういうことをや
つて
お
つて
、そのことは
人事院規則
のどれにも引つかからないとおっしゃるのですか。それはどうですか。
浅井清
18
○
説明員
(
浅井清
君) 直ちに
規則
に引つかかるかどうか、私はちょっと疑問があると思います。それは今言つた
特定
の
公私
の
影響力
を利用するということ、それは明らかでございます。しかしここに列挙してある
政治的目的
にしぼ
つて
ございますので、この
政治的目的
のどの目的に引つかかっておるかというと、結局
特定
の
候補者
を支持ということ以外にほかにちょっと該当する条項はないように思います。その
特定
の
候補者
というものを、どの時期に初めて
特定
の
候補者
を支持するということができるかどうか、ここが問題だと思っております。それで私
ども
のほうでは、これは
公職選挙法
による
届出
以後でなければ
特定
の
候補者
でない、ただ
事前運動
取締ならばもっとこれは簡単にそれを拡張したらいいのでございますが、そうすると又一方からはあまりに政治的自由を
制限
するという非難もございます。そこで
届出
に始まるとこういう
解釈
をと
つて
おるのでございます。そこでこれに引つかかるかどうかという疑点がある、かように申し上げた次第でございます。
永井純一郎
19
○
永井純一郎
君 その点はこの
運用方針
を読むと、あなたはどういうふうに読んでおられるか、これは客観的の判断でその
対象
が確定し得る場合も含む、
届出
がなくても含むということがあなたのほうで謳
つて
あるじゃないですか。
浅井清
20
○
説明員
(
浅井清
君) それは例えば民主党の代議士をつまり投票しようじゃないか、あるいは社会党の代議士を投票しようじゃないか、何の何がしということはわからずとも、およそある
選挙
区において早晩それは何の何がしということはおのずから明白、わかるはずである、こういうような場合にも含むのだということを
運用方針
に書いたつもりなんでございます。
永井純一郎
21
○
永井純一郎
君 それであれば、私が今申し上げました具体的な場合は、明らかに何の何がしとはっきりしておるのです。
浅井清
22
○
説明員
(
浅井清
君) ただその問題になっております点は、そのときに
特定
の、それは
特定
の
候補者
であるかどうかという問題でございます。
永井純一郎
23
○
永井純一郎
君 そこでその人があなたのほうの
運用方針
がみずから書いておるように、
特定
の候禍補となるに至らなかった場合はいいというのですね。至つた場合にはそういう場合も含むということをあなたのほうの
運用方針
が書いているのですよ、明らかに。
浅井清
24
○
説明員
(
浅井清
君) ただそこで申上げたいことは、至つた場合はもはや
公務員
でないのでございます。従ってこの
人事院規則
では取締れないと、こういうことに相なっておるのであります。
永井純一郎
25
○
永井純一郎
君 ですから、至つた場合は
公務員
をやめて
候補者
になるわけですから、今そういうことが客観的に判断できるから今
取締り
ができるはずじゃないのですか。そういうことは
公務員
の地位を利用して今や
つて
いるのですよ。
浅井清
26
○
説明員
(
浅井清
君) ただ問題は、それがつまり
特定
の
候補者
というものをいつきめるかというその時期の問題に、なろうかと思っています。ただお尋ねのような方面から言うと、もっと厳格にや
つて
よろしいのでございます。しかしただ厳格ぱかりでやりますと、他方において又弊害を生ずるおそれがある。そこでと
特定
の
候補者
という時期を限定しております限りそういう誤謬が起るのだと思います。
永井純一郎
27
○
永井純一郎
君 それでですね、
特定
の
候補
というものをきめる時期を、
候補
の
届出
があったときということの
一つ
の考え方を確定してしまえばそういうことになりますが、そういう場合でなくとも客観的に見て、それが何人が見ても十指の見るところ確かに
現職
の
役人
か今
選挙
のための
運動
をや
つて
いるのだ、しかもみずからはやらないが、
部下
なり
用人
なりを
使つて
、みずからの職権を利用し得るところの
部下
なりを使いながらや
つて
いるのだということが明らかな場合には、それも又含むのだということをあなたのほうは言っておるんですから、それでいいのではないのですかな。
浅井清
28
○
説明員
(
浅井清
君) その運営方針に書きましたのは、ちょっと御趣旨と
違つて
おるのでございます。それはつまり
特定
の
候補者
がちゃんときまりまして以後において甲なり乙なりの
特定
候補者
の、反対するとか投票するとかいう場合のみならず、甲党に属する
候補者
、乙党に属する
候補者
を支持し又は反対する場合、そういうような
意味
に
解釈
したつもりでございます。
永井純一郎
29
○
永井純一郎
君 それはまあ
解釈
したつもりで、
解釈
はいろいろに一応考えられると思うのです。しかし現実にですね、こういう問題が起こ
つて
れば、一面から
解釈
上はいろいろ議論がなるほど
二つ
に分れたり三つに分れたりすると思う。しかし現実に今日こういう非常に行き過ぎた
公務員
の
事前運動
が明らかに、しかも行われておるということは、少くとも
国家公務員法
なり
人事院規則
の精神に反することは、これはもう明らかなんです。そのためにいろいろな弊害がすでに出ておるのですかち、今それを
解釈
に微妙な点があ
つて
はっきりしないかということでは、これは私は百歩譲
つて
でもいかんと思う。そういうことは許せない。ですからこの点は少くとも
解釈
に疑義はあるのだけれ
ども
よくないことだ、精神にも反することだということで、
郵政省
なりそれから
官房長官
たり、
あと
で
官房長官
に言いますが、
マージヤン
、
ゴルフ
を禁止するということまで現
政府
で、鳩山内閣が言っているわけですから、ともに私は相談をされて、これはやはりそんな疑点があるから、今そういう事実が湧いているならば、
解釈
を変えたらいいと思う。それが人権を別に侵すほどのものではないのであ
つて
、国家
公務員
の場合は特別
制限
しているわけですから、むしろ
自分
の地位を利用して
自分
のための
選挙運動
をやるということこそ私は非常に悪いことだ。ですから
解釈
を変えることは積極的にあなたのほうはやらないというのなら、
郵政大臣
と
官房長官
と
人事院総裁
は御相談の上少くとも訓辞的、指導的な措置はあるべきだと私は思うのです。これはどうですか。
浅井清
30
○
説明員
(
浅井清
君) 御尤もでございます。その点は議論の
余地
はないと思います。
永井純一郎
31
○
永井純一郎
君 それでは、この
解釈
の点については私もなお研究してみたいと思いまするが、
郵政大臣
と
人事院総裁
と、
官房長官
は
あと
から見えるそうですから、
官房長官
には更に私は言いますが、早急に御相談の上各省に対してこれは何らかの、今やるとおっしゃるわけですから、具体的な通達なり指導なりを私はされるべきだと思うのですね。そしてそれをされたら、その通牒の内容をこの
委員会
に私は御提出願いたいと思うのです。
浅井清
32
○
説明員
(
浅井清
君) 実は、
選挙
のたぴごとにその通牒が出されて戒めている次第でございます。今回ももちろんやります。
永井純一郎
33
○
永井純一郎
君 それはどういう内容になっておりますか。今まで出しておりますものは……。
浅井清
34
○
説明員
(
浅井清
君) ちょっと今手許に持っておりませんが、要するに
公務員法
、
人事院規則
に
違反
する
行為
のないよう気をつけろということで私
ども
は通牒を出しております。
永井純一郎
35
○
永井純一郎
君 そういう
通り
一ぺんなものではなくして、今度は具体的な例もあるのですし、それから先ほど私が申し上げた
国鉄
の人の例もあったわけなんですから、去年も犯罪まで起
つて
いるんですから、そういった具体的な例を取り上げて
立候補
それ自体について指導されるべきだと思うのです。そこまで今度はや
つて
もらわなければ何の
意味
もないのですよ、ただ
人事院規則
を守れと言ってみても。鳩山内閣は具体的に
マージヤン
、
ゴルフ
はいけないと言われるくらいですから、これは具体的にそういう点を指示されたほうが私は適切だと思うのですがね。そういうふうにしてもらいたいと思うのです、
官房長官
と御相談の上ですね。どうでしよう。
浅井清
36
○
説明員
(
浅井清
君) さいぜん申し上げましたことと同じことでございますから、御趣旨に従うようにいたします。
永井純一郎
37
○
永井純一郎
君
官房長官
にも言いますがね、出したものを
あと
でこちらに提出して下さい。
小林武治
38
○
小林
武治君 今のに関連して
伺つて
おきたいのですが、二十国会で
公職選挙法
が改正されて、特に
公務員
の
事前運動
については普通の人の
事前運動
よりか刑罰を倍加する、こういう
規定
がまあできたわけです。で、これについて
公務員
の
事前運動
というのは多少普通の人の
事前運動
とは変つた向きもあろうかと思うのですが、この法律を
運用
されるについて、
公務員
の
事前運動
というものを具体的にどの程度のものを
自治庁
等はこの法律
解釈
として考えているかということを、もし伺えればけつこうですが。
鈴木俊一
39
○
説明員
(鈴木俊一君) 先ほど来いろいろお話がございましたが、結局
公職選挙法
の
解釈
といたしましても、
選挙運動
期間に入りまして、具体的にその人が
立候補
したときに初めてそれが
事前運動
ということが法律の上においてはっきりとしてくるわけでございますから、その
選挙
期間開始前におきましては、もしそれが
選挙運動
期間中に行われたならば
選挙運動
になり、従って
事前運動
になるというようなものもありまして、その段階においては
取締り
のことはできないという場合があろうかと思いますが、しかし事柄が明白に
事前運動
ということが的確に示し得る場合におきましては、これはできるだけそういうことを取締るようにしよう、こういう考え方で
関係
の機関とも打合わせはいたしているわけでございます。
小林武治
40
○
小林
武治君 いまの例えばその本人が、又何人かが具体的に
立候補
するまでは
取締り
の途がない、こういうことはいろいろな支障があるのですが、例えば先ほどからいろいろお話がありましたように、客観的にはもうこの人が
立候補
するということがきま
つて
いる、殆んど客観的にはだれも常識的に考えている、こういうふうな事態が幾らでもありますが、そのものの
運動
を具体的に
届出
をするまでは
取締り
ができない、こういうふうなお考えでしょうか。
鈴木俊一
41
○
説明員
(鈴木俊一君) さいぜんお答えいたしましたように、大体そのつもりでおるのでございます。と申しまするのは、なるほど
事前運動
は一方から見ればよくございませんが、しかし例えば
公務員
の組合等が集まりまして、そうして
自分
たちの仲間からたれか
候補者
を立てようじゃないかというような
行為
までこれを
政治的目的
で縛りますと、そうするとこれは政治的自由を少し
制限
し過ぎやしないかというような点もございますので、さように何しておる次第でございます。
小林武治
42
○
小林
武治君 ごくつまらん
質問
ですが、例えば今のお話のようだと、
公務員
が
立候補
すれば
公務員
でなくなる。従ってその
事前運動
を処罰する、刑罰を科する、こういうときは
公務員
でなくなっても、むろん
公職選挙法
の上では処罰できる、こういうことでしようね。
鈴木俊一
43
○
説明員
(鈴木俊一君) 先ほどお答えいたしました点を更にちょっと補足いたしておきますが、明らかに
事前運動
と認められる場合には取締るという趣旨の打合せをしておるということを申上げましたのは、
選挙
がまだ公示されていない状態でありましても、すでに本人が近く行われることが明らかになっておる
選挙
について
立候補
するという意思を明らかにし、そうして
事前
の
選挙運動
を行うという場合におきましては、やはりこれに該当をするということでこのごろは
取締り
をいたしておるということでございますから、その点を付言をいたしておきます。 それから今御
質問
になりました点は、はなはだ恐縮でございますが、いま一度ちょっとお話の趣旨を承わりたいと思います。
小林武治
44
○
小林
武治君 要するに
公務員
である際に
事前運動
をや
つて
おる、しかして先ほどのお話だと、具体的の
届出
をしてからでないと
事前運動
かどうかわからない、
届出
をしてしまえば
公務員
でなくなってしまう。従って先ほどのような
人事院
の行政の措置ができない。しかし刑罰法の上においては、やめた者を処罰するということについては行われる、こういうふうに思いますが……。
鈴木俊一
45
○
説明員
(鈴木俊一君)
公職選挙法
の
関係
では、
公務員
であると否とを問わないのでございますから、
特定
の人がその後
立候補
いたしまして、前行
なつ
たことが
事前運動
であることが明らかになりますれば、当然罰則はかかってくるわけでございます。
小林武治
46
○
小林
武治君
公務員
については刑罰を加重しておるのです。それだから加重した刑罰がやつぱりかかる。
鈴木俊一
47
○
説明員
(鈴木俊一君)
立候補
前におきましても、すなわち
公務員
の地位を持っておりまする際におきましても、ある者が
立候補
するということを明らかにいたしまして、そうしてその地位を利用して百二十九条
違反
の
事前運動
をやる、こういうことになりますれば、これはやはり罰則がかかってくるということになるわけでございます。これは
公職選挙法
上はそういうことになるわけでございます。
小林武治
48
○
小林
武治君 その点に関して、例えばある団体が推薦する、あるいは支持の決議をする、これはいわゆる
事前運動
と認めるかどうか、
一つ
。
鈴木俊一
49
○
説明員
(鈴木俊一君) ある
特定
の団体が
立候補
するという意思を明らかにいたしました者を推薦するという場合に犯罪になるか、今の
規定
に該当するかどうか、こういうことでございますか。
公務員
のある団体が
特定
の者を推薦する、こういう場合でありますか。
小林武治
50
○
小林
武治君 要するに、
事前運動
そのものの
定義
もお聞きしておきたい。ある団体がある
特定
の人を
候補者
に推薦又は支持を
選挙
の
届出
前に決議するということは
事前運動
に該当するかどうか。
兼子秀夫
51
○
説明員
(兼子秀夫君) ある団体が
特定
の人を支持するという決議は、これはその団体の内部の
行為
である限りは差支えないという
解釈
をと
つて
おります。それを推薦したというようなことを外部に推薦力を大きく拡大しようというようなことは、これは
事前運動
にかかると思います。
選挙運動
になりますし、それから告示前でありますれば
事前運動
になると思います。
小林武治
52
○
小林
武治君 例えば今現にある
地方
においていろいろの団体が
特定
の人の推薦決議あるいは支持の決議をして、これを公表する、又その席に
特定
の人が出て、よろしくというようなことは、これは明らかに
事前運動
と認めざるを得ないと思いますが、その点いかがですか。
兼子秀夫
53
○
説明員
(兼子秀夫君)
特定
の人を支持するという団体の決議を外へ出すことは、これは先ほど申し上げた
通り
いけない。その次に、その
特定
の人が出て、どうぞよろしくというようなことは、これは明瞭にいけないわけであります。
若木勝藏
54
○若木勝藏君 そうすると今のでよく分つたんですけれ
ども
、その団体がみずから公表しなくても、そういう場合にいわゆる報道機関でも来て聞いてお
つて
、それが
新聞
に報道されたという場合はどうなりますか。
兼子秀夫
55
○
説明員
(兼子秀夫君) 期間中でありませんから、
新聞
、雑誌がその事実を報道することは差支えありません。
永井純一郎
56
○
永井純一郎
君 先ほど来そこのところがはっきりしなかったわけでありますが、
立候補
する人が
現職
の
役人
で、しかもみずから
立候補
するということを不
特定
の多数の人に言って、そうしてその人々を通して又あの人が
立候補
するのだ、頼むということをや
つて
いるわけなんです。これ又はっきりや
つて
いるわけなんです。こういう場合はもう明らかに私は意思を明らかにしてあるということが言えると思いますが、それはもちろん
解釈
はそうでしよう。
兼子秀夫
57
○
説明員
(兼子秀夫君) お尋ねの場合は相当はっきりしていると思いますが、
自分
は
立候補
するんだということを言うたということが客観的につかまれなければいけないと思います。でありますから、そういうことを言うた人が現われるとか何とかいたしませんと、それがつかまれないということになります。
永井純一郎
58
○
永井純一郎
君 そこで当然そのことが客観的にそうだということがつかまれなければいかんわけなんですが、これはまあ客観的な
事例
というものは幾らもある。ところがその
事例
そのものが例えば
貯蓄奨励
ということになっておるから、これはどうもはっきりそうならないんだというような抜け道、抜げロ上ももちろんこれは言えると思うんです。しかし何人が見ても客観的に
自分
の現在の職権なりを利用しながらや
つて
おるんだということが客観的にそう見られる場合はもちろんいいでしようね。その最後の判断は
裁判
所でするということになりましようが。
兼子秀夫
59
○
説明員
(兼子秀夫君) 非常にデリケートな問題でありまして、その客観性が具体的につかまれないとはっきり言えないのでありまして、普通通俗的に見てはっきりしておるということだけでは不十分だと思います。
永井純一郎
60
○
永井純一郎
君 そこでまあ法律技術的にはそういう議論もできると思います。そこで
自治庁長官
に要求したいんですが、この際来ておりませんけれ
ども
、鈴木君が見えておりますからお願いしておきますが、先ほど来申し上げるような貯蓄だとか何とかいう名目は一応もちろん
役人
だから、上手にそういうものを
使つて
や
つて
いるわけです。ところが実際はそのために鏡を配つたり、
浪花節大会
をやつたり、
写真
をと
つて
一々
焼増し
して
出席
した者に配るとか、何百何千ですね。こういうことは何人も、これは誰が見ても客観的にこれはもう
事前運動
だということは私は明らかだと思います。そこで少くとも技術的な法律上の議論はあるにしても、
郵政省
なり
人事院
なり、
官房長官
、それから
自治庁長官
は相談して、これは少くとも役への
自粛
あるいは道義的な面からと言うならば、よくないことであることは明らかなんです。ですからそういうことのないようにしなければいけないという指示を、あなたのほうが中心になって
一つ
官房長官
と相談をしてやられるべきであるし、又やられることに異存はないと思うのですが、その点を
一つ
……。
鈴木俊一
61
○
説明員
(鈴木俊一君)
自治庁
といたしましては、
選挙法
の施行ということが当面の職責でございまして、今の
公務員
の規律を正すということにつきましては、
選挙
の問題と申しますよりも、やはり御所管の
人事院
なり、あるいは
官房長官
のほうの直接の問題だと思いますので、まあ
自治庁
といたしましては、
只今
のお話の趣旨はよくわかりますけれ
ども
、直接的にはやはりそちらのほうの御
関係
かというふうに考えておるのでございます。ただ
事前運動
を厳に慎しむようにしてもらいたいということは、公明
選挙運動
だという建前から申しまして、これはやはり当然そうなきやならんことでございますから、そういうような指令を、あるいは訓令をもし内閣あるいは
人事院
等において何らかの措置をお講じになる、こういうことでありますならば、あるいは
地方
にも連絡をいたしたいというふうに考える次第であります。
中田吉雄
62
○
委員長
(
中田吉雄
君)
浅井
人事院総裁
にお尋ねしますが、国家
公務員
の政治的な中立が保たれておるかどうかということについては、実際各省調査されたかどうか。私も昨年
参議院
選挙
に、ある公共事業費の割当をする官庁に参りましたが、ある高級官僚の人が
立候補
するので、
写真
の
焼増し
を何百枚も持って、各府県の部長に災害復旧の割当てをするときに同時にその
写真
を渡して、災害復旧費と比例して得票数の割当てをや
つて
いるのを現に見て、それが当選されておりますが、そういう政治的な中立が保たれているかどうかはですね、われわれはそういう現場を実際この目で見ているのですが、相当なスタツフを持っておられる
人事院
としてそういうことを調査されたことがあるのかどうか。
浅井清
63
○
説明員
(
浅井清
君) 調査というほどではございませんが、
人事院
でそういうものをキヤツチしていることは数十件ありました。今度の
選挙
ではありません、前の
選挙
で……。又私の記憶に間
違つて
いなければ、各省にそれに対して厳重な処分しろと言ってやつたようにこの前記憶いたしております。それから又この
人事院規則
等に
違反
容疑事件が起りました場合には、大体一度は
人事院
の意見を聞いてくることになっております。そういう場合悪質なものに対してはこれまで強硬なる態度を示しておるはずであります。
中田吉雄
64
○
委員長
(
中田吉雄
君) その人が栄進しているのですがね。一体
人事院
は何しているかと言いたいのですが、その人が昇進しているのです。
浅井清
65
○
説明員
(
浅井清
君) その悪質なものは大体起訴されておるように思っております。
小林武治
66
○
小林
武治君 先ほどからのお話を聞いておりますと、いわゆる
選挙
の
事前運動
の
取締り
というものは、いわば有名無実じゃないかというふうに私
ども
は思うのです。殊に
立候補
の
届出
をしなければ
事前運動
にならない。こういうことになると
現行
犯というものは殆どどない。こういうことになれば、折角の
選挙
粛正とか、あるいは
事前運動
取締り
というものが全く紙の上のものに終ると思いますが、今のようなその
立候補
の
届出
をするまでは何とも手の下しようがないというような
解釈
では、私はこういう
規則
を作ることは無用だというふうにも思いますが、いかがですか、それは。
浅井清
67
○
説明員
(
浅井清
君) 誠にそれは御尤もでございます。ただ
事前運動
という方面からだけ申しますれば、その
通り
でございますけれ
ども
、又他方においてこの政治的の自由は
基本的人権
の
一つ
でございますから、これはやはりその点を考えなければならんように考えております。その点はまあ実にむずかしいところだろうと思っております。しかし御趣旨の点は十分よくわか
つて
おります。
小林武治
68
○
小林
武治君 私は今の問題は単に
公務員
に限つた問題ではなくて、一般の
事前運動
取締り
についてのお尋ねなんですがね。
鈴木俊一
69
○
説明員
(鈴木俊一君) 先ほど私
小林
委員
のお尋ねに対して申し上げました、この
候補者
の
届出
がなければ
事前運動
であったかどうかということが明らかにならないという趣旨のことを最初申し上げましたが、これは
候補者
の
届出
があれば
事前運動
であったということが判定か容易にできると、こういう
意味
におとりを願いたいと思うのであります。で
あと
から申上げました、仮に
届出
がなくても明らかに
事前
の
選挙運動
であるということがわかります場合には、これは
取締り
の
対象
になるだろう、こう申しましたのは、要するに
届出
がありませんでも、
自分
は今度の何月に行われる
選挙
、何の
選挙
に
立候補
する、そうして
自分
に対して投票をしてもらいたいと、こういう趣旨の意図が現われますものは、これは
立候補
の
届出
がございませんでもやはり
事前運動
というものに該当すると、こういうことで最近
関係
機関におきましては、いろいろ
取締り
をしておるようでございます。従って
届出
がない限りは
事前運動
としての
取締り
の
対象
にならないということではございませんので、今申しましたように
立候補
の意思が明らかであり、そうして当選を依頼した、投票の依頼をした、こういうことか明らかでありまするならば、これはやはり当然に
事前
選挙運動
として運挙の確定前でも
取締り
の
対象
になると、こういうことでございます。
永井純一郎
70
○
永井純一郎
君
官房長官
おいで
になるのをお待ちしていたわけですが、実はこういうことを
政府
の代表者としての
官房長官
に
質問
したい。それはさきに鳩山内閣は
官界
を粛正し
自粛
し、
官界
が、
役人
が
乱脈
にならないようにするという趣旨のことを持ち出されておられることは、これは国民が非常に賛成をしておるところなんです。そこで私が申上げたいのは、
マージヤン
、
ゴルフ
がいかんということを通達されたとか指示されたとか、各省に、これは非常にいいことなんです。で実は去年――一昨年でありましたが、専売局の今の
総裁
だったと思うのですが、
官界
の腐敗、
堕落
のもとは
マージヤン
と
ゴルフ
と
立候補
だと、これが常に金銭と結びついて非常に
官界
を乱しておるもとだからいかん、で
総裁
は
自分
の
部下
に皆申し合わせをして、この三つはみずから
自粛
してやめようということを言われたということが
新聞
紙に出て、私は非常に
総裁
は立派な
公務員
であると思ったんですが、そこでたまたま私のほうの党並びに地元から今盛んにこれに関連することの具体的な
事例
が来ておるわけです。これは私のほうは和歌山県ですが、この前の衆議院の
選挙
のときには
国鉄
の某君が、
検察庁
が調べただけでも千数百万に上る金を
使つて選挙運動
をや
つて
いる。しかももう多数の
買収
、
饗応
があがつたんです。そして投票に至らざる前に
候補者
自身に手が延びるということになって、この人は不幸にして落選をしましたけれ
ども
、その
最高
は一人百万円を某
県会議員
がもら
つて
、この人はつい最近
裁判
が確定して
県会議員
をやめたというような実例があるわけです。でその人の資金の出どころと、それから
役人
の
現職
時代の地位を利用しての
事前運動
というものは、法律技術的にいかに問題があろうとも、実際何人もそれは見逃すことのできない
事前運動
であり、それから
選挙
中の莫大な資金をもっての
買収
、
饗応
も明らかなものがあったわけなんです。ところが同じ
選挙
区で
郵政省
の今度は某君が今や
つて
おる
行為
は、あまりにも積極的なんです。それはどういうことかといいますると、
浪花節
、
浪曲大会
を各村に開きまして、二尺四方の大きな
ビラ
をあらゆる電柱に貼
つて
、大々的な
ビラ
を貼
つて
、そうして
自分
の
名前
を
郵政省
の何
局長
何の太郎兵衛と書いて、
役人
の
名前
を出して堂々と
事前運動
をや
つて
おる。しかもそれはすべて貯蓄の
座談会
だとか、
貯蓄奨励
という名目を常に
使つて
おる。しかも主婦を、村の
有力者
、郡の
婦人団体
の
有力者
を呼んで
座談会
をや
つて
、あるいはそこで
写真
をと
つて
、その
焼増し
した
写真
を一々婦人に送
つて
やるというようなことをまあや
つて
おるわけなんです。これはあまりにも露骨であ
つて
、
役人
としてのやり方としては、われわれとしても見るに堪えないということで、地元でも非常にこれに批判が加えられておるわけなんです。そこでこういうことは
役人
としてはこれはしてはならんことだし、それが道義的、実際的には
事前運動
であるし、
役人
の地位を利用しての
選挙運動
であるということも明らかである。ところがこれを法律の条文を一々つかまえて、
人事院総裁
、
自治庁次長
の方々と話をしてみると、法律技術的にはあるいははっきりしないところもあるとか、ごたごた言訳のできるところもあるようです。しかし
官房長官
にわれわれが申し上げたいのは、
官界
の腐敗するもとは業者と一緒にやる
マージヤン
、
ゴルフ
、並びに業者と連絡しての資金の調達による
立候補
、これがまあ
官界
の腐敗、
堕落
するもとであることはもう明らかである。それが私は、たまたま
郵政省
が今度の
選挙
を
目当
にしてや
つて
おりますから、これを具体的に言いましたが、しかし
名前
は申し上げませんけれ
ども
、農業
土木関係
、建設省の
土木関係
、
郵政
、大蔵、こういったような産業省についてはもう必ず言えることであるし、そういうことが行われて
官界
が乱れるということは、これは非常によくないことでありますので、私はここで
官房長官
が鳩山内閣として言われた
官界
の
自粛
をはかるということを非常に大きな目標にしておられますので、その点は非常にわれわれの党としても賛成でありまするが、今度の
立候補
についてそういう顕著な悪い例もありまするので、
自粛
しなければいけないのだ、
立候補
は
専売公社
総裁
が言われたように、二年ぐらいは
立候補制限
の法律がなくても、
役人
がみずから
自粛
をするというような指導をこの際明らかにして頂くことが私は内閣の
指導方針
としてそういう方法をとられることが望ましいのではないか。現に先ほど申上げたような実例がありまするので御考慮を願いたい。こういう
意味
のことを
質問
したいと思って、
おいで
願つたわけなんです。
根本龍太郎
71
○
政府委員
(
根本龍太郎
君)
只今
の御趣旨は誠に結構なことと存じます。ただし、
公職選挙法
において一時御承知のように官吏の
立候補
を一定の年限これを
制限
すべきだという議論もございましたが、憲法上非常にこれは疑義があるというので、その措置ができておりません。従って憲法上与えられた
基本的人権
を内閣においてこれを
制限
することは不可能と存じます。しかし御指摘のように、官公吏がその地位というものを利用して、明らかに
選挙運動
をするがごときは厳重に
自粛
すべく、次の閣議において私は提議いたしまして、その手配をとりたいと存じます。ただし、これは法律上の問題ではありませんで、ちようど
マージヤン
、
ゴルフ
を
自粛
するがごとく、
自粛
をすべし、
自粛
をさすべしという通達程度になると存じますが、それでも効果が上ると思いますので、そのためには最善の措置を講じたいと思います。
中田吉雄
72
○
委員長
(
中田吉雄
君) 簡単に願います。
永井純一郎
73
○
永井純一郎
君 それで、今のお答えで非常にわれわれは満足できるわけでございまするが、御承知の
通り
参議院
のほうといたしましては、
緑風会
を中心にそういう疑義もあるので、立法措置によって、はっきり二年ぐらいは、憲法上の疑義はありましょうが、
制限
すべきだ、やめてすぐ出るということは必ず資金を中心にして乱れるということの、議員立法を今まで審議して来ておるわけであります。
参議院
としては特にそういうことを熱心に考えておるわけでございますが、今まだ
官房長官
のおっしゃる
通り
その立法はできておりません。そこで今のように、
政府
がみずから率先してそういう
自粛
をして国民に応えるということをされることが、私は何としても一番いいことだと思うのであります。そこで
人事院総裁
、これはたまたま
郵政省
の問題で
郵政省
の政務次官に来てもらいましたが、産業
関係
の役所の諸大臣、それから
人事院
、
自治庁長官
等にも十分、ここに見えておりませんので伝えるべきであ
つて
、閣議でそういう取りきめを願つたならば、その結果を当
委員会
に報告を願いたい、こう思います。以上で私の
質問
を終ります。
小林武治
74
○
小林
武治君
官房長官
が折角
おいで
になっておりまするから、お尋ねしたいのでありますが、最近
地方
の公共団体の首長が繰上げ
選挙
をしばしばや
つて
おる。これは私はいわば
公職選挙法
あるいは
地方
自治法の盲点を突いたものであ
つて
、道義的には許されるべきことではない、こういうふうに私
ども
は考えるのでありますが、内閣はこの点についてどういうふうにお考えになるか、はっきり御意見を承わりたいと思います。
根本龍太郎
75
○
政府委員
(
根本龍太郎
君) これは法律上
制限
するところの根拠がありませんことと、それから
公職選挙法
の
規定
に
違反
しない限りにおいて、自治体の長があるいはやめ、あるいは
立候補
することを内閣としてどうすべしという指示を与えることは、いわゆる中央集権によるところの
地方
自治体干渉となるので、これはいたしかねると思います。しかし御指摘の点は誠にこれは政治道義上憂うべきものがあると思います。これの判定はあげて自治体の
選挙
民、あるいは又
地方
自治体の決議機関である県会がそれを許すかどうかということにかかっておりまするので、その点はわれわれからどうせよ、どうすべきであるということを申し上げることは、少し行き過ぎとなると存じます。従いまして、われわれとしては任期があるにもかかわらず、
自分
が次に
立候補
することを決意して、しかもそれを有利にするために任期中にやめてやるということは好ましからざることであるということだけは申し上げることができると存じます。
小林武治
76
○
小林
武治君 無論現在のところ内閣がどうせよ、指示をしろということは、私は注文しておるわけじやございません。しかしいやしくもこういう事柄がある以上、その事柄が政治的に、道義的に妥当なことであるかどうかということの意見は、私は内閣はあ
つて
然るべきだ、こういう
意味
で私は
質問
しておるのであります。しからば内閣はそれは政治的にも道義的にも妥当な措置ではない、こういうふうの御意見である、こういうふうに了承してよろしゅうございますか。
根本龍太郎
77
○
政府委員
(
根本龍太郎
君) これは私のほうから妥当か否かということは、これは申し上げかねることであります。なぜなれば、法律上何ら抵触しないものを妥当か否かということは、これは言いかねるのでありますが、好ましからざることであるということだけは申し上げることができると存じます。
小林武治
78
○
小林
武治君 今のお言葉ですが、われわれはむろん違法だとは申しておりません。政治的、道義的に妥当であるか、いいことであるか悪いことであるか、こういうことをお尋ねしておるので、違法でないということは、われわれは承知しております。そういうふうな政治的のいろいろの事象、現象というものについては皆意見があるべきで、従ってあるいは
政府
当局がどういうふうに思っているかということも、これは世間を指導する上において私は必要だとこういうふうに考えております。
根本龍太郎
79
○
政府委員
(
根本龍太郎
君) 重ねて申し上げまするが、好ましからざることであると考えます。
松浦定義
80
○
松浦定義
君 今
官房長官
のお話ですと、大体私
ども
もまあその線のことは了解できるわけですが、まあいろいろ府県の事情によって繰上げ
選挙
をやるということは、私はよく内容を調べてみなければわからん問題だと思うのですが、知事の三選の問題でまあ最近の
新聞
を見ますると、新
自治庁長官
は絶対反対だと、であるからこれは何とかせにやならんというような意思表示をされておるように私は
新聞
で見たのですが、今のお話で行きますと、ああいうようなことをはっきり言われるということは、やはりそれは合法的な御意見ではないというふうに考えられるのですが、もしそれが妥当だとするならば、恐らく最近行われる知事
会議
があるというように聞いておりますが、恐らくそういう問題は出ると思うのですが、そういう場合に
政府
の見解というものは明らかになる、こう思うのですが、その点まあ
官房長官
としてはどういうふうな考え方を持っておられますか。
根本龍太郎
81
○
政府委員
(
根本龍太郎
君) 二十三日に知事
会議
を招集しております。その際
自治庁長官
のあいさつがありまするが、その際
自治庁長官
がそういう所見を発表するかどうかは私は存じませんが、それは
自治庁長官
として、又国務大臣として発言されることだろうと思いますが、私が
只今
自治庁長官
の意見が正しいかどうかとか、あるいはそれに対してどういう感想を持つというようなことを私が言明する立場にはないと存じます。三選の可否はこれは
政府
としてどうすべきだということを言う立場でないと思います。むしろこれを批判するのは
選挙
権を持つ
地方
の主権者であるところの国民が判定することだと思っております。ただし先ほどの
公務員
の
選挙運動
とやや異にはいたしまするけれ
ども
、三選をする傾向が、しかもそれが地位を利用して、特殊なる地位を利用してその三選を
事前運動
と思われるようなことをなすことは、これは誠に好ましからざる次第であると思います。
松浦定義
82
○
松浦定義
君 今のお話ですと、長官自身からそういうあいさつをするかしらんが、それは
政府
のあれでないというようなお考えですが、やはり長官がはっきりそういうことを言うことは、
政府
が責任を負わなけれぱならんことだと思うので、今のお話ですと、例えば三選をするかしないかというのは
地方
民のあれだと、こういうお言葉ですが、そうすると繰上げ投票を行うということもこれは当然そういうことと同じことであ
つて
、それに対して好ましくないというのであれば、三選に対しても好ましくないと、私はこれと同じような考え方と思うのですが、
自治庁長官
はどう言われるか、それはまあそこまでどうこうということは私は申上げませんが、
政府
の見解として
官房長官
としてはやはり同じようにこれは好ましくないとお考えになるのか。そういう点についてはどういうようにお考えになるのでございますか。
根本龍太郎
83
○
政府委員
(
根本龍太郎
君)
政府
としましては、この問題について意識統一をするための
会議
を開いておりません。従いまして
政府
の全体のまとまつた意見として申し上げられる段階ではございません。なお又三選と申しましても、これは全然他に
候補者
がない場合、あるいは又非常に望ましき人として国民から、県尺から慕われてやる場合もございましょうし、単に抽象的に三選がいいかどうかということは、これは現在ここで論ずることは困難な問題であろうと存じます。ただし知事がその地位を利用して、そうしていわば大ななハンデイキヤツプを持ちながらそうしてそれをやるということは好ましくないということは明らかに言うことができると存じます。
松浦定義
84
○
松浦定義
君 私
官房長官
のお話は全然同感なんです。そのことなら私は絶対もう異議はないのです。ときたま
自治庁長官
が絶対反対だというようなことを、これは
新聞
の誤報かどうかわかりませんが、言っておりますから、お尋ねしておるのであ
つて
、もしそうであれば、別に私としては異議はないのです。
小林武治
85
○
小林
武治君 今の問題ですが、私は
官房長官
のこれは
選挙
民がきめることだと、そんな公式論を聞きたくない。これは当然なことです。
選挙
民に聞いただけではその弊害が除去できないでこういう問題が起きている。これは先ほど官吏の
事前運動
はいけない。これは当然
国家公務員法
上においてもや
つて
はいけない。ところが今の行政官庁ではこの
取締り
ができない。しかし
選挙
の公正とかあるいは
選挙
の粛正とか、そういう趣旨からもう今の行政官庁その他に任してはできないからわれわれは立法をしようと、こういうことを考えているのです。今知事の三選の問題でもあなたのおっしゃるような場合がありますが、しかし今の状態では
選挙
の公正は確保できない。すなわち地位の利用による
事前運動
があまりに弊害が大きすぎると、それであるから私はこういう立法をしたいと考えておるので、ただ
選挙
民がきめるのだと、そういうのんきなことでなくて、今言つたように日本の
選挙
民、あるいは日本の
選挙
界の実情を調べた上でもってこれば発言して頂きたい。従って内閣がどう思うかということを、これは
取締り
ということでなくて、法律ではこれはないから、しかしいいか悪いかというような判断をされることは、これは
選挙
界のために、政治のために必要だと、こういうふうな考え方でお伺いいたしております。
根本龍太郎
86
○
政府委員
(
根本龍太郎
君) 内閣に対して三選がよきか悪しきか、こういうことをお尋ねになりましても、それがいいとか悪いとかいうことを今言う私は
政府
は立場でないと思います。これを例えば
地方
自治法とか、あるいは
公職選挙法
において明らかにこれは国会において好ましくない、従ってこれは三選を禁止するというようなことになりますれば別でございまするが、現在
政府
として、現在の段階において、しからぱ
公職選挙法
の改正を
政府
がみずから企図して三選は禁止するというような立場を現在と
つて
はおりません。又その点までこの際には触れていないのでございます。
若木勝藏
87
○若木勝藏君
官房長官
にちょっとお伺いいたします。まあ知事三選の問題は憲法上の問題とか、いろいろあると思いますが、今の繰上げ
選挙
ですね。知事が任期前にやめまして、この
選挙
が漸次行われておるのでありますが、これに対しては鳩山内閣としてはしばしば首相の言明しているところによるというと、結局民主政治確立とか、あるいは公明
選挙
を標榜しておる。そういうふうな立場から考えると、これは単に
官房長官
が法律的には禁止することができないからして好ましからざることであると、こういうふうなお話はありましたけれ
ども
、内閣の建前から行きまして、これははっきり私は知事
会議
なり、そういう方面で意思表示をする必要があると思う、内閣で。この点如何ですか。
根本龍太郎
88
○
政府委員
(
根本龍太郎
君) この問題は先ほ
ども
申し上げましたように、
政府
として、これは全体としてこの問題をまだ取り上げていないのです。従いまして、今私が
政府
を代表して、
政府
が知事
会議
にどう意思表示すると言う段階にはございません。しかし知事
会議
に至るまでの間に閣議がございまするので、その際に本院におけるところの
委員会
においてかくのごとき発言とこういうような要望があったという事実はお伝えいたします。又知事
会議
におきましては、これは閣議決定事項とか何とかということはおそらくなれてないことでありまするので、こういうような国会におけるところの意向あるから、十分にその点は忖度してもらいたい旨のお話はできることだろうと存じます。
若木勝藏
89
○若木勝藏君 私は鳩山内閣としてはこの際建前上必ずそれを意思表示する必要があると思う。その点は
一つ
今の知事
会議
において何らかの形でやられますか。
根本龍太郎
90
○
政府委員
(
根本龍太郎
君) これは十分検討の上、その措置については措置を講じたいと思います。
松浦定義
91
○
松浦定義
君 今
官房長官
のお話を聞きますと、国会にこういうようなあれがあるからということを前に押し出して、知事
会議
にお諮りになるようなお話でしたが、何も国会ではそれをいいとか悪いとかいうようなことでなくて、
政府
の見解を聞いているのです。何も国会がそういうようなことはだめだというからというような表現を使われたり、そのほうがいいのだということを勝手に使われたりして、
政府
の見解が、私は
自治庁長官
あたりは大体反対だということは、これは
政府
であると思うのですが、その
自治庁長官
がそこでそれをやることは仕方がないと、
政府
は更に又このことは好ましくないとか好ましいとかいうような表現でおやりになると困ります。この点はまだまだ国会の意思表示というものは、ある程度情勢をよく分析して
一つ
御決定願
つて
、あくまで
政府
の責任で
マージヤン
、
ゴルフ
を
自粛
のために禁止せられたと同じようにああいう小さな問題ではなくて、そういうような問題を
一つ
自粛
の中に出しておいてや
つて
もらつたほうが、私は国民が割合ぴんとくるのではないかと、考えますので、この点だけ
一つ
お願いしておきます。
根本龍太郎
92
○
政府委員
(
根本龍太郎
君) 私が前段に申しましたのは、本院においてかくのごとき意見がございまするから、閣議においてこの問題を議題にするということの
意味
です。それから知事
会議
におきましては、私はあるいは言葉が過ぎたかもしれませんが、知事
会議
においては閣議において意向が一致した場合においてそれの意思表示をすべきである、こういう
意味
でございます。それから
自治庁長官
がどういう機会にどういう場両において申されたか存じませんが、閣議においてはその発言はございません。従ってこれは何かおそらく
新聞
記者とのインタビユーか、その他の場合において出たことであろうと存じます。
中田吉雄
93
○
委員長
(
中田吉雄
君) ほかにありますか。 それでは私
根本
長官に重ねてお願いしておきたい。先に国家
公務員
の
選挙
の
事前運動
についてですが、実は私十五日に関西のほうに旅行する際に、本省のある高級官僚の人が私に名刺をくれて、今度
立候補
する、そしてこれから二十日休んで
運動
をやる、そして又私が帰りにその県に寄
つて
地方
紙を買
つて
見ますと、その政党支部で彼の公認を決定して、同窓会その他に動きかけておる。二十日間もよく休めるようなありがたい官庁があると思うのですが、そういうことが公然と朝日、毎日、読売、時事その他の全部の
地方
紙に某省の誰は
立候補
する、そしてそのある政党支部は彼を公認したということがはっきり言われておるのですが、これは民主党には属していないのですが、そういうことがはっきり行われて、もうこの点の官紀の紊乱は極に達していると思うのですから、
一つ
ぜひ……。 それからもう
一つ
例をあげて見ますると、これは昨年の
参議院
選挙
ですが、私の大学の友達がある銀行の支店長をや
つて
いるのです。そうして
国鉄
の金を預託する指定銀行になっているのです。それで票の割当を受けて、その票の割当をその辺で出さんと、君のところはもう取引銀行から取り消すという脅迫を受けて心ならずもやつた。これは目にあまるから、
自分
は保守党だが、社会党の
中田
君、何とかや
つて
くれという話です。京都大学の卒業の某銀行の九州の支店長です。そういうことはもう随所にやられておるのです。 それから昨年通産省で、ある
立候補
する人の
写真
を公共事業費の割当と同時に、先にも発言しましたように配
つて
、そうして
選挙
資金を官庁で配分して、そうして部長はそれをもら
つて
来て、そうして
運動
したりしているようなこともあるわけなんで、
一つ
この点は官紀粛正の一環として、どの党から立つということでなしに、ぜひ
一つ
お願いしたいと強く希望しておきます。
根本龍太郎
94
○
政府委員
(
根本龍太郎
君) 御趣旨の点は、先ほど申し上げましたように厳重に閣議で申し合せまして、更に念を入れて次官
会議
において強く私が要請することにいたします。なおそれと向同時に
一つ
そういう実例がお分りになりましたならば、
一つ
内密的でけつこうでございますから、御指摘頂きたいのです。そうすれば私のほうでその所管大臣並びに事務次官に対して、厳重これに対して
取締り
と、必度とあれば行政処分をしなければならんことだと思います。単に通牒なり通達ではいけないと思いますから、その点実はあまり管轄が多いので、そうしてあるいは従来いろいろないきさつで、そういうことはお互いにいわゆる官僚の仁義か何か存じませんけれ
ども
、お互いにかばい合
つて
いる。従ってなかなか上部に現われて来ない、現実の犯罪
行為
にならなけれぱ出てこないという憂いもありますので、これをわれわれが行政処分なんかするために的確な材料がありましたならば、決してどなたからということは公示いたしません。現実にそういう問題については取調べた上で、処分いたさなければならんものは処分する方針を堅持いたすつもりであります。
中田吉雄
95
○
委員長
(
中田吉雄
君)
速記
をとめて。
中田吉雄
96
○
委員長
(
中田吉雄
君)
速記
を始めて下さい。
小林武治
97
○
小林
武治君 先ほどの
事前運動
の続きをお聞きしたいと思いまするが、いろいろの団体が方々
特定
者を推薦支持決議をするということは、こういうことは
選挙事前運動
に該当するというふうに先ほどお答を得た……
兼子秀夫
98
○
説明員
(兼子秀夫君) 団体で
特定
の人を推薦するという
行為
は、これは
運動
とはみておらないのであります。
小林武治
99
○
小林
武治君 それが
新聞
に発表されたときはどうなんですか。
兼子秀夫
100
○
説明員
(兼子秀夫君) 差支えないと思います。
小林武治
101
○
小林
武治君 それも
事前運動
ではない。そうすると、いろいろの団体がたれを推薦する、支持するという決議をし、これを発表する。これは
事前
連動じゃない、こういうふうにおっしゃるのですか。
兼子秀夫
102
○
説明員
(兼子秀夫君) 推薦決議をするのは
事例
運動
にならない。これは発表することは
事前運動
になるおそれがあると思います。でありますが、記事で出ることは差支えない、そういうふうに考えております。
小林武治
103
○
小林
武治君 私はその
解釈
が非常におかしいと思う。そうすると
事前運動
なんていうものは、ただ直接投票をたれかが依頼する、こういうことだけですか。
第三者
の
事前運動
というものはどういうことですか。ただ投票の依頼をする、こういうことだけですか。
兼子秀夫
104
○
説明員
(兼子秀夫君)
第三者
の
事前運動
は投票の依頼あるいは
買収
等もあろうかと思います。
小林武治
105
○
小林
武治君 今の要するに団体が推薦あるいは支持決議をして、これを発表する、こういうことが
事前運動
じゃないとするならば、こういう
運動
はもう相当猛烈に行われておりますが、私はこれが全然
事前運動
でない、こういうふうな
解釈
をとることが非常におかしいと思うのだね。
兼子秀夫
106
○
説明員
(兼子秀夫君) 先ほ
ども
申し上げましたように、団体でたれを推薦するという
行為
自体は
事前運動
ではないわけであります。これを発表するということは、それによってインフルエンスを与えるという
意味
において投票を得ようという目的をもって発表すると思われますので、これは
事前運動
になると思います。
小林武治
107
○
小林
武治君 決議ということは、この決議に出たものはごく僅かな人が出ても、その団体の構成員にみな影響を持っているのですね。私はこれは全然
事前運動
でないという
解釈
が、これはどうかと思うのですが、ほかの
委員
がどういうふうにお考えになっているか、私にはわからんが……。
兼子秀夫
108
○
説明員
(兼子秀夫君) 現在差支えないという
解釈
をと
つて
おります。例えば政党等で
候補者
をきめるという場合には同様なことが行われるわけでございます。
小林武治
109
○
小林
武治君 今の例えば推薦をする、支持をする決議をして発表する、これはいわゆる
政治行為
、政治活動ということはできませんか。
特定
の人を当選せしむる目的をもってどうする……。
兼子秀夫
110
○
説明員
(兼子秀夫君) 私が先ほど来お答えいたしておりますことは、その発表ということははずしておるのでございます。決議をするということでございます。外部へ働きかけるということになりますと、それは政治活動になろうかと思います。
小林武治
111
○
小林
武治君 それがもし政治活動だとすれば、これは政治資金規正法によるいわゆる
届出
等をしてないと
違反
になる、こういうことになりませんか。
兼子秀夫
112
○
説明員
(兼子秀夫君) 外部に発表するということになりますと、政治活動になりまして、その団体は資金の面では政治資金規正法の適用を受けるわけでございます。
小林武治
113
○
小林
武治君 資金に
関係
がなくても、政治団体というものは、今の政治上の目的を有する団体は
届出
なければならん、こういうことになっております、たとえ資金に
関係
なくても……。
届出
なしにそういう
行為
をすることはどういうふうに考えられるか。
兼子秀夫
114
○
説明員
(兼子秀夫君)
特定
の人を推薦するということだけではこれは政治資金規正法の団体とは見ておらないのであります。それによって決議を発表するということになりますれば、これはもう政治団体を見るわけでございます。
小林武治
115
○
小林
武治君 私は今おっしゃるように、要するに発表したりするからそういうことを言っておるので、そういう団体があるとすれば、それは政治資金規正法
違反
になりますか。
兼子秀夫
116
○
説明員
(兼子秀夫君) 外に発表して、外に働きかけるという
行為
がありますれば政治資金規正法の
違反
になります。
小林武治
117
○
小林
武治君 もう
一つ
の問題は、例えば一種の公法人ですね、農業
会議
、あるいは漁業協同組合、あるいは農業協同組合連合会、こういうものが今のような
行為
をすることはどういうふうにお考えになりますか。
兼子秀夫
118
○
説明員
(兼子秀夫君)
只今
の公法人で、人が集まつた場合に
特定
の人を
候補者
としてきめるというような
行為
は、公法人がきめるのか、たまたまそこに集合した人が
特定
の人を
候補者
にきめるのかという問題になろうかと思いますが、公法人の本来の活動と見得るよりも、個々の人の集合の決議、このように見得るのではないかと思うのであります。
小林武治
119
○
小林
武治君 今の考え方はすべてできるだけ
違反
にならんように考えてやろうという非常な御親切な考え方でありますが、これが非常な弊害がある。現に例えば、先だ
つて
もここで消防団がそういうことをやつたら困る、こういうことで、私
ども
今見るのは農業
会議
という団体がそういう決議をしておるものがある。あなたはこれは農業団体を構成する個人がやつたのだろう、こんなことを考えておられるならば、少しもこういう
行為
を抑圧することにならないが、どうですか、それは。
鈴木俊一
120
○
説明員
(鈴木俊一君)
只今
御指摘の農業協同組合とか、あるいは農業
会議
というようなものが
特定
の
候補者
を支持推薦するということは、おそらくはその団体の本来の目的からはずれた
行為
じゃないかと思います。そういう
特定
の会合におきまして、
特定
の
候補者
の推薦を決定する、そうしてこれを外部に発表してその者を支持し
運動
する、こういうことになりますれば、やはりその推薦にあずかりました
会議
に参加しておりました
人たち
が
一つ
の推薦団体ということになり、いまの政治資金規正法の適用を受ける、こういうことになるのではないかと思います。
小林武治
121
○
小林
武治君 私
ども
非常に納得のいかない御答弁ですが、農業
会議
として決議をして、そうして
新聞
に出しておる。これは農業
会議
の決議でなくて、そこにたまたま来た連中の申合せだ、こういうふうに
解釈
をするのは非常に私は常識に反すると思うのでありますが、それならもうほとんど今の推薦とか支持とかに関する
事前運動
の
取締り
なんというものはできない。
事前運動
でないと又あなたがたおっしゃるのだから。そういうことは私はいわゆる
選挙
の公正確保という点から見てどうかと思うのですがね。この点はほかの
委員
はまだ御
質問
申し上げていないが、どうでしよう。
鈴木俊一
122
○
説明員
(鈴木俊一君) そういうことを立法政策の問題として御議論になりますことにつきましては、私も十分検討の価値があろうかと思いますけれ
ども
、
只今
の
現行法
の
解釈
の問題といたしましては、おそらくそういう
候補者
を支持推薦するということがその団体の本来の目的になっておりますならば、その団体はもう政治団体ということで、当然に政治資金規正法の適用を受けるわけでございます。しかるに農業
会議
なり農業協同組合というものは平素はそういうことをやらない。本年の目的はそうでないのでございますから、従って
特定
の
候補者
を推薦決定して支持する、こういうことになりまして初めてそこに政治活動の、あるいは
選挙運動
の実態が現われてくるわけでございますから、そのときからこれが規正の
対象
になる。しかしそれはあくまでも農業
会議
なり農業協同組合としての
行為
ではなくて、そこに集会に参加した
人たち
の共同の
行為
でございますから、やはりそういうものが
一つ
の政治資金規正法の適用を受ける、こういうふうに言うほかはないのではないかというふうに考える次第でございます。
小林武治
123
○
小林
武治君 そうすると、常識的に申せば、それを農業
会議
として
新聞
に出すのですね、そうすると農業
会議
が名乗つたことはどういうことになるのですか。むろん農業
会議
としては目的外です。それが何ら
取締り
の
対象
にならん……。
兼子秀夫
124
○
説明員
(兼子秀夫君) 先ほど来のお尋ねで、どうも御納得を頂いておらんようでありますが、推薦の決議をするという
行為
は、これは政治の準備
行為
で、いろいろな団体でそういうことはあることを認めなければならんと思うのであります。これが決議をしたということを発表することによりまして、そうなりますともう活動が始まつたというふうにわれわれはそこから見ておるのであります。でありますので、農業
会議
が推薦決議をして発表するということになりますれば、それが期日の前でありますれば
事前運動
の
取締り
にかからなければならないというふうに考えております。
松浦定義
125
○
松浦定義
君 ちょっと関連してお尋ねするのですが、いまのあれですと、例えばそういう会合で決議をした。しかしそのことを部外に発表するということはいかんのですが、例えば中央的なところでそれをきめて、
自分
たちのグループでこういうふうにきまつたのだということを通知することは、これは内部的の連絡ですから一向差支えないのですか。
兼子秀夫
126
○
説明員
(兼子秀夫君) おっしゃるような場合ですと、差支えないわけでございます。ただそれが個々のケースで何かより広い範囲にということになりますれば、これはいけないということになります。
松浦定義
127
○
松浦定義
君 それから先ほどお話に
なつ
たように、決議をした場合に、その該当
候補者
で推薦を受けた者がよろしく頼むということはいかん。しかしお引受けするということは一向差支えないのですか。その場合推薦されたのですから、私はそれではお引受けしますということはいいのですか。
兼子秀夫
128
○
説明員
(兼子秀夫君) あなたにや
つて
下さいという申出があ
つて
、それで決議がされてお引受けしますということは、これはやはり非常に危険なおそれがあるわけです。どうも個個のあれによって
違つて
くると思いますけれ
ども
、差支えないといっておつた先ほど来のお話と大分違つた態様になってくると思います。
松浦定義
129
○
松浦定義
君 そうしますと、例えば逆に、
一つ
のグループがあ
つて
、そこから一人出したいし、出たいという空気が今までに多少あった。そこに推薦にはならないけれ
ども
、自発的に
自分
が
立候補
するのだ、
立候補
するのだと言つたときに、それではその人を推すという決議も全然できなくなってしまうわけですね。そういう場合はどうですか。逆の場合は。
兼子秀夫
130
○
説明員
(兼子秀夫君) 推薦決議の前の段階で誰が
立候補
になるか、あなたなりなさい、私が出ましよう、というようなことは相談であ
つて
、差支えないと思います。ただ全体の決議が、多数集めたところで推薦決議がされて、その人が出て行って、私は引受けます、こういうことを言いますと、非常に違法性が強くなるというふうに考えております。
中田吉雄
131
○
委員長
(
中田吉雄
君) ほかにありませんか。
小林武治
132
○
小林
武治君 要するにあなた方いろいろむずかしいことを言うが、今いろいろな団体、公法人がみんな決議をして
新聞
に出しておるのですよ。これをそのままだま
つて
、これは
事前運動
にあらずということがいいかどうとか。これは確かに相当猛烈な
事前運動
なんです。それで中にはありがとうございますと言って、そこに行ってお礼を言っておる。
候補者
もお引受けしましたとお礼を言っておる、有難うございますと。こういうのを
事前運動
にあらずということが、私は
現行法
であなた方そういう
解釈
をするというならこれはやむを得ませんがね。立法論として言えば私は非常に不適当だと、これこそ
事前運動
なんだね。しかもこれが全然別途の目的を有する公法人がこれを皆や
つて
、そうして例えば漁業協同組合連合会、あるいは農業
会議
として
新聞
に出している。
中田吉雄
133
○
委員長
(
中田吉雄
君) ほかにありませんか。ほかにないようでしたら明日に讓りたいと思います。 ――
―――――――――――
中田吉雄
134
○
委員長
(
中田吉雄
君) それでは次に
理事
補欠
互選の件についてお諮りいたします。
伊能芳雄
委員
は
地方行政
委員
の
理事
をしておられましたが、先日
委員
を一時
辞任
されましたので、
理事
が欠員となっております。つきましては
理事
補欠
互選を行いたいと存じますが、その方法はいかがいたしましょう。
小林武治
135
○
小林
武治君
理事
の
補欠
互選につきましては、
委員長
の指名に一任する動議を提出いたします。
中田吉雄
136
○
委員長
(
中田吉雄
君)
小林
君提出の動議に御異議がないようでございますから、私より指名することにいたします。
伊能芳雄
君の
補欠
に
伊能芳雄
君を
理事
に指名いたします。 それでは本日はこれをもって散会いたします。 午後三時四十二分散会