○
説明員(
石原武夫君) それでは私からただいま
委員長からお話がございました、今度
内閣で一応の策定を了しました
総合経済六カ年
計画という
構想なり、これを作りました
やり方なり、そういう点について一応御
説明申します。なお、不十分でございましたら後ほど御
質問によって、できるだけ
担当の課長も来ておりますので、詳しく御
説明申し上げたいと思います。
この
計画を作るに至りましたのは、今の新
内閣ができまして、
長期の
経済的な
見通しを立てまして、それを
目標にしていろいろな
経済施策を総合的に一貫してやって行くべきだというお考えで、
経済審議庁に至急にそうした
長期の
見通しと申しますか、
計画を作るようにという御指示がございましたので、昨年暮に新
内閣ができましてから実は作り上げたものであります。これは
あとで御
説明申しますが、
資料にも書いてございますが、まだ中間的な
構想の
範囲でございまして、まだこれだけの六カ年の
計画につきましては、
相当検討する
余地がございますので、備考にも書いてございますが、今後もなお検討して、その結果多少
数字等も直るかと思いますが、一応のところがまとまりましたので、本日その点を御
説明させていただきたいと思います。
かように
経済的な
長期計画は、御
承知のように五カ年
計画でございますとか、
経済自立計画とかといって数度作ったものがございます。それで、従来そうした
計画を作っておりましたときには、五カ年
計画にいたしましても、その後に作りましたものにつきましても、その作ります際に、現在から将来の
見通しを作りまして、大体現在から五年後なら五年後にかようなところまで
日本の
経済は発展するであろうという
見通しを作って
計画としておったわけであります。従って一番
計画を作りますポイントになっておりましたのは、
貿易の
関係でございまして、ことに
輸出がどの
程度今後今の状態から言って先に
伸びていくだろうか、従って
輸入はどの
程度輸入が可能であろうか、従ってそれをべースにしまして、
日本の
産業がどれくらい
伸びるだろうかというふうな
見通し的な
作業で、従って
やり方といたしましては、その第一年から考えまして、
貿易が順次五カ年間にどの
程度に
伸びる。従って
生産もそれに応じて、
初年度から二年、三年、というふうに積み重なっていって、五年の
最終目標には、どのくらい
伸びるだろうか。さらにその五年後の
経済は大体ここまで到達が一応できると現在から見通されるというようなことで
計画を作っておったわけでございます。今回作りましたのは、従来の
方法と
方法がちょっと違うわけでございます。これは後ほど
資料を持って参りますが、昨年
経済審議庁で
昭和四十
年度の
経済規模と申しますか、そういうものを
一つの
作業として作ったことがございますが、それと大体同じような
方法でございまするが、その
やり方につきましては、
アメリカでそうした、やはりちょうど
年度は今度の六カ年
計画と同じ
年度になっているわけでございますが、一九六〇年の
アメリカの
経済の
構想を描いたものがございます。さような
やり方についての
方法論等も参酌いたしまして、今度の
計画を作ったわけでございますが、今度の
計画の
やり方につきましては、この文章にも書いてございまするが、
一つは
経済自立といいまするか、
正常貿易によって
国際収支をまかなうということ、それからもう
一つは、今後
相当増大して参ります
人ロ、ことに
労働人口をその際
最終年度において
雇用するというために、いかなる
経済規模が実現できれば、さような目的が達し得るかということから、その
構想を描くというふうな
やり方にいたしたわけでございます。これは
やり方といたしましては、
日本の総
人口が今後どの
程度ふえていき、総
人口のうち
就業の
年令に達する
人口がどういうふうにふえるというようなことは、これは厚生省の
人口問題研究所で将来を
推定し、ずっと長い将来にわたってやっておられるのがございますので、それに基きまして、六カ年後における
日本の総
人口、並びにその中に占める
生産年令人口と申しまするが、満十四才以上の
年令に達している
人口の数というものの
推定が出ております。それを
基礎にいたしまして、その
就業人口のうち、どの
程度のものが
労働力として、
労働人口として
就業しなければならぬかという
数字が出てくるわけです。この出し方はもちろん満十四才以上に達しました、いわゆる
就業年令に達した
人口におきましても、御
承知のように
家事担当者と申しますか、女子の
相当の部分だとか、あるいは学生、
生徒として
就業の戦線に出てこないものがございまするし、また非常に
老齢者でそうした
就業に従事しない者がおりまするし、また中には不具、
廃疾者というようなのがございますので、
就業人ロの中のどの
程度のものが
労働人ロになるかということは、これは過去の
統計によって
推定する以外に
方法はないのであります。はっきりしたそのうちの何%がということは必ずしも言い得ないわけであります。それはそのときのいろいろ
社会状况だとか、あるいは
国民所得の
水準の高さだとか、いろいろな点によって違いますので、各国でも違うと思いまするし、また
日本におきましても過去、将来を通じて同じ
比率ということにはならんと思いまするが、これを最近の趨勢にかんがみまして一応の
就業人口中、
労働力人口になるものを
推定いたしまして、
労働力人ロというものを推算したわけでございます。その
労働力人口が
就業いたしまして、ある
程度の
所得を得るために、どの
程度の
経済規模になったときにこれが可能かということを、まずこの
計画は作ったわけでございます。その
労働力人ロが就職するためには現在全
産業につきまして
平均の一週一時間
当りの
労働時間、それからその
所得とが
統計上わかっておりますので、それに今後
労働時間がどう変化するか。それから一時間
当りの賃金と申しますか、
所得がどの
程度伸びるか。それに
生産性の
伸びをどう考えるかということに重点を置きまして、そうして一人
当りの一年間の
労働時間、一時間
当りの
所得の
金額、それと先ほど申しました
労働人口をかけましたものが
国民総生産になるわけです。その
国民総生産がでぎれば、一応
労働人口が今
前提といたしました
所得を得て
就業できるという
計算になりますので、かような
計算方法で一応
国民総生産を
想定をいたしたわけであります。
数字はある
程度この
資料に出てございますので、その
説明の際具体的な内容について申し上げたいと思います。
方法論としては、まず
国民総生産を出しまして、その
国民総生産が
投資なり、
消費なりにいかにして支えられるか、
需要の構造と申しますか、それだけの
国民総生産がどの
部門で
消費に向い、どの
部門でどういうふうに
投資に向けられるかということで、この
国民総生産がいかなる形において維持されるかということにおいてはじき出して、それから各
鉱工業生産なり、農業
生産なり、何なりがどの
程度の
伸びになるかというのを出してきて
計画を作ったわけであります。
今のような
計画を作ります際の
方法諭で参りますと、
国民所得と申しますか、
国民総生産が非常に高い
水準になりますれば、非常に
雇用の問題の
解決は簡単でございますし、その姿が
国民総生産が多いほど、その後の
雇用問題等の
解決は楽になるわけでございますが、その際に大きな
経済規模になりました際に問題になりますのは、やはり
貿易の問題でございます。
日本の
輸入力がその
経済規模にマッチするためにそこまでの、それに相応する
輸出が可能であるかどうかという問題でございますが、
前段に申し上げましたが、
国民総生産を出す過程におきまして、
生産性の向上なり、あるいは
生活水準の向上なりを大幅に見るか、どの
程度に見るかということによっていろいろな形が出てくる、
経済規模の大きさが出てくるわけでございますが、それがはねかえって参りまして、
日本の
輸入力従って
輸出の
伸びに影響して参りますので、その
輸出が非常に大きな
数字で初めて
バランスをするということでございますと、とうてい現実問題として実行が可能でないということになりますので、その辺もにらみ合いまして、この
程度であれば
貿易規模として現在から
想定してもさほど無理はないであろうというところを
めどにおきまして、
国民総生産をきめ、今度の
計画を作ったのでございます。
あとで詳しく申し上げますが、
輸出は三十二
年度で約十九億、三十五
年度で二十三億ドルの
輸出を一応
想定いたしておるのであります。これで大体三十五
年度におきましては、特に
国際収支の
バランスが一応合うというような
想定をいたしておりますが、これはいろいろ御
議論もあるかとは思いますが、本年はいろいろな条件がございますが、二十九
年度といたしましては、十六億ドルは超す
程度の
輸出実績になるかと思っておりますが、今後
輸出面におきまして、
相当努力をいたしますれば、三十二
年度に十九億ドルあるいは六カ年後における二十三億ドルということは、非常に膨大で全く
実現性ないという
数字ではないのでございます。われわれは努力すれば一応そこに到達することも可能ではないか、また、そうした
目標としては少くともその
数字は
妥当性があるのではないかということで、この
計画全体の
規模がその辺を
めどにおいてできておるわけでございます。これはまた
輸出入規模の非常に大きな問題がございますが、これはわれわれが今までいろいろ御批判を承わつたところでは、
輸出入規模が小さすぎる、
輸出入はもっと
伸びるのではないか、
伸びるという予想を立ててよいのではないかといろ御意見もございますが、一応われわれとしてはその辺のところを一応の
めどにして、この
計画ができておるわけでございます。一応今の作り方といたしましては、さような
方法でこの
計画を作ったわけでございますが、以下
資料につきまして順次御
説明申し上げたいと思います。
この
資料で順序に従って御
説明を申し上げますが、初めに書いてありますことは、これはわが国の
経済の
自立を達成して、年々増大して参ります
労働人ロに十分な
雇用の機会を与えるということが、もちろん
経済の
施策として最大の課題であるわけです。これを到達します際に
安定経済の基盤のもとに、従って
通貨価値の維持をはかりつつこの問題を
解決しようということで、そのために
長期的な総合的な
計画を樹立して、ただその際に、この案といたしましては一応の
考え方といたしましては、
個人とか企業の自由はできるだけこれを尊重するという
体制で、
必要最小限度と申しますか、必要な
範囲内におきましては、あるいは規制もやむを得ないということを基調にいたしまして、そして
経済自立の
体制を進めて行くんだという基本的な
考え方からいたしまして、三十
年度を
初年度とする六カ年
計画ということを作ったわけでございます。従来は大体五カ年
計画ということであったわけでございまするが、今回五カ年を六カ年といたしましたのは、先ほど申しましたこの
計画の
出発点を
人口問題あるいは
雇用問題ということに置いておりますので、この
生産年令人口とか、そうした
年令別の将来の
統計がはっきり出ておりますのは、五年おきに現在出ておりますので、さような
関係で三十四年ということでありますと、その
数字が正確に今出ておりませんので、三十五年にいたしますると、そ
ぅした基礎資料がまとまっておりますので、そういうことで一応六年ということにいたしたわけであります。
あと計画の大綱に書いでございますように、本
計画は三十二
年度、これは六カ年
計画のちょうど
前段に当るわけであります。三十五
年度この二つの
年度を一応区切りをおきまして、その際に
経済目立を達成するためにどの
程度の
規模に達すべきかという
構想を描いたわけでございまして、
最終年度においては
特需によらずに
正常貿易による
国際収支の
バランスを推持しつつ
雇用問題を
解決するというところに
目標をおいておるわけであります。そしてこれは単に
計画と申しまするか、そうした
目標でございますので、その
目標に到達するためにいかなる
経済施策、いかなる
財政的措置とか、そうした政策をとればいいかということを研究いたしまして、この
計画期間中、そうした総合的な
施策をとって参るべきだという
考え方に立っておるわけでございます。
それでその次に表がございますが、これの
説明をごく簡単に
あとのほうに
説明として書いてございまするが、一応この表でまず御
説明を申しますると、先ほど申しましたようにこの
作業の第一は
人ロ問題でございますので、第一に総
人ロにつきまして二十八
年度が八千七百万、これを一〇〇の
比率にいたしますると、三十二
年度で約百万になりまして四・五%の
増加、三十五年で九千三百万、七・七%の六カ年間に
人ロ増加があるという
推定でございます。それでこのうち
労働人ロを出しますのでございまするが、ここにその
就業人ロというのが実は間に表として省略をされておりますが、そのうちに、実はこの
人ロの中に
年令別の推計が出ておりますので、それに従いましてまず
就業人ロというのを
推定したわけでございます。ただちょっとここで一言その点について申し上げておきたいと思いまするが、現在の二十八年の
人ロの構成を見ますると、これは五才
刻みでございますと
ピラミッド型になっている。零才から四才まで一番
人口が多い。
あと五才までに少しずつ減っている。完全な
ピラミッド型になっているわけですが、これが三十五年になりますと一
番人ロの多いところは十才から十四才のところが多くなります。その次が十五才から十九才と申しますか、その次の五年間が多くなっております。その次に今度は五才から九才、さらに零才かち四才は五才ー六才よりも減っている。従って初めの五才
刻みに申しますと、
三つ目が一番多くなって、少しこう形が
中側がふくらんだような形になっておりますので、従って
生産年令人口というものは、総
人ロのふえる
比率よりも多くふえるという形になっております。従って応用問題を考えます際に非常に困難な
状況になるわけでございます。今の
生産年令人ロは総
人ロの二十八
年度で申しますと、全体の六七・二%が満十四才以上の
年令の
人ロでございます。これが三十二
年度に参りますと六七・二%が六九・八%、三十五
年度になりますと七一・七%というふうにふえて参りますので、今申しましたのは、総
人口の
生産年令人口でございますが、
生産年令人ロというのは、今の総
人ロの
増加比率よりもふえていくという形になります。その
生産年令人ロに対しまして、先ほど申しましたような、その中の
労働に従事すべき人数を出す
比率がございます。それを
労働力率と称しておりますが、それをかけてこの
数字を出したのでございますが、この
数字を出しますにつきましては、三十二
年度は六六%、三十五
年度は六五%という
数字をかけましてこの
労働人口を出して参ったわけでございます。六六ないし六五という
数字は非常に合理的と申しますか、積み重ね的の根拠があるわけではございませんが、この
労働力率をもとの
統計で見ますと、
昭和二十五
年度が六五・三、二十六年が六五・〇、二十七年が六六・七、二十八年が六七・六とふえてきている
状況でございます。それにつきまして今回六六を三十二
年度にとりましたのは、この案によりましても、
一つは、第一には
相当老齢者もふえるという点もございますし、それから学校の
生徒が今までよりも
比率的にふえていくというような点、それから
生活水準が上って参りますれば、やはり
就業者数が多少でも減るという
傾向は一般的な
傾向かと思いますので、一応六六、六五という
数字をとりまして
労働力人ロをここに書いたわけでございます。それで二十八
年度に三千九百五十四万八千人、三十二
年度には四千百八十九万七千人になり、三十五
年度には四千三百七十一万九千人になるというような
教字になっているわけでございます。
これの次に、この
労働力人口は原則として
就業しなければならんわけでありまするが、
資本主義の国におきましては、多少の
完全失業者というのが、これは摩擦的にも多少出てくるのが当然と申しますが、必然的にそうなりますので、その次に
完全失業者というのが一行おきましてございますが、その
労働力人口から
完全失業者という
数字を引きまして、その一段上の
就業者数というのを出したわけでございます。
完全失業者数というのは、御
承知のように、昨年の二十九年十月には六十七万ございますが、これを一応三十二
年度で五十五万三千、三十五
年度で四十三万五千という
数字を
想定したわけでございますが、これは
労働力人口の三十二
年度においては一・三%、三十五
年度では一%という
想定をいたしまして
完全失業者数を出して、それを
労働力人口から引きまして
就業者数というものを出したわけでございます、これの
資本主義の
経済においてどの
程度の摩擦的な
失業者というのが当然出てくるものかという点につきましてはいろいろ
議論もあるようでございますが、一般的には約三%くらいのものは当然認められるというのが普通の説のように存じまするが、
日本では御
承知のように、
相当潜在失業者というものの数もございますので、これをむしろ低く抑えまして一%
程度ということに見て
就業者数を出したわけでございます。次に、この
就業者数につきまして、これが
就業した際に一時間
当り、あるいは六時間、一年間といたしまして
計算をいたしまして、この次の
国民総生産を出して来たわけでございますが、
あとは非常にこまかくなりますので御
質問がございますれば、さらに御
説明いたしたいと思います。
現在の全
産業の
週平均労働時間は四十七時間でございますが、これを年にいたしますと三千四百時間ということになっておりまするが、これを三十二
年度におきましては二千四百五時間、三十五
年度におきましても二千四百五時間、同じ
数字でございますが、これだけを
就業時間とみまして、それにさらに一人
当りの
生産額をかけまして、これは現在二十八
年度では七十五円でございますが、それに三十二
年度は四・七%、三十五
年度には一割二分、一一二%という
伸びを考えまして、それに今申しました
就業者数と一人
当りの一年間の
就業時間と今申しました
生産額をかけ合わせまして、ここに出ております
国民総生産を出してきたわけであります。これが二十八
年度で七兆一千五百億余でありましたのが、三十二
年度七兆八千百億、三十五
年度には八兆八千億という
国民生産になりまして、これがこの
程度になれば、先ほど申した
就業者数は一応
就業できるというふうなことに相なるわけでございます。
それで次にこの
国民総生産がいかなる
投資と
消費によって支えられているかという点を出してきているわけでございます。それがここに書いてありますように、
一つは
民間の
資本形成により、
一つは
政府の、主として
財政でございますが、
政府購入という用語を従来使っておりますが、
中央地方における
政府の
需要、それから
海外の
関係は将来いろいろ出入りはあると思いますが、この
計画では見ておりませんので問題はございませんが、いま
一つは
個人消費支出、これは主として
民間の
資本形成と
中央、
地方を合わせました
政府の
需要と、それから
個人消費支出、こういう
三つにこの
国民総生産の分配をされているわけでこございますが、それを大体三十八年につきましては
国民所得の
実績の
統計から
比率等も出ておりますので、主としてそれを
前提にいたしましてかような配分を作ったわけでございます。このうちでごらん願うとわかりますように、
民間資本形成は三十二
年度で約三%しか
伸びていないということになっておりますが、これは二十八
年度を基準にとりましたもので、二十八年は御
承知のように非常に
在庫があります、四千億を超すような
在庫が二十八年一カ年でできておりますので、これは異常であろうと考えまして、正常な
在庫に返ましたので、従って
投資自体はそう減っていないのでありますが、
在庫の増が減っておりますので、三十二年あたりにおきましては
伸びが少いように感じます。
そのほか
個人消費支出につきましては、現在の
国民総生産に占める
比率を、多少
伸びるという
前提で
個人消費支出を考えております。それで
個人消費支出といたしましては、三十二
年度で約九・八%、三十五
年度では二割三分
伸びる、ただし
人ロが
増加いたしますので一人
当りの
消費水準はその最後の欄に書いてありますように三十二
年度で約五%、三十五
年度で一五%ぐらい
伸びるというふうに考えております。
それから
政府関係の
需要につきましては、大体現在
国民総生産に占めているおほぼ同じ
割合ということで書いてございます。これがどうなりますかは
中央地方の
財政規模、あるいは税の
関係というようなことで多少今後動くと思いますが、一応あまりこまかいあれはできませんが、大体
国民総生産に占める
割合と同じぐらいというような
前提からこれを考えて来たわけでございます。
つぎに以上からいたしまして
国民総生産から
資本減耗と
間接税とを引きまして
国民所得を出してきたわけであります。
国民所得で申しますると、二十八
年度は五兆九千六百億、それが三十二
年度には六兆五千六百億、三十五
年度は七兆三千九百億というような
数字が
増加して参る予定でございます。
これらの
前提から申しまして、
鉱工業生産、あるいは
農林水産業生産がこの
範囲内でどの
程度の
規模になるかということを
推定いたしたわけでございますが、
鉱工業生産につきましては三十二年で一割二分、三十五年で三割二分ぐらいの
伸びを考えておるわけでございます。
農林水産業生産につきましては三十二
年度で五%、三十五
年度で一割ぐらいの
伸びということに相なります。
以上のような
関係から申しましてそれが
国際収支にどうなるかということでございますが、それが次の欄に出ておりますように三十二
年度で申しますと受取で二十三億、そのうち
輸出が十八億八千万、
貿易といたしまして問題になります
特需は三十二
年度におきまして二億五千万入っておりますが、その
程度を考えております。
一般貿易外を加えまして四億五千万、それに十八億八千万を加えまして二十三億三千万ということに考えております。下の欄の支払いのほうは、大体
バランスソスは約八千万ばかりマイナスでございますが、このうち
輸入の二十億五千万と申しますのは、これは各
物資別に全部こまかく
輸入の数量をあたることはなかなか簡単にできませんので、それは
輸入性向と称しております。大体
国民総生産に対してどの
程度の
輸入金額があったか、その
割合を
輸入性向と申しておりますが、それをもちまして達観をして実は出したのでございます。さらにこまかく申しますと、多少まだ検討の
余地はあるかと思いますが、その
輸入性向と申しますのは、
日本がどの
程度国民総生産で
海外に依存をしておるかということでございますが、これは過去の例を見て参りますと、従来戦前は
輸入性向が
相当高かったのでございます。
昭和五、六、七年というところは大体一五%ぐらいのところでございます。それから
昭和十一年ごろになりますと、十年で二〇%、十一年は二一%、十二年も二〇%というふうに、この辺は
国民総生産のうら二〇%ぐらいのものを輸人しておりまして
相当高かた。
昭和五年乃至六年におきましては一五%、それから十年から二、三年ぐらいは二〇%というような
輸入性向を示しておたわけでありますが、終戦直後は御
承知のような二・三%とかいう極端な、問題にならんような
数字でございます。最近では、二十五年はまだ非常に少くて八・八%、二十六年になりますと一三・八%、二十七年が一二・三%、二十八年が一三%というような
輸入性向を示しております。この
計画では
相当国内の食糧増産その他国内自給をいたしたいという考えで、その点を一〇・六%ないし一一%ぐらいに見ましてこの
輸入の
数字をはじいてきたわけでございます。それで三十五年においては一応
特需はこの
計画の
数字としてはゼロにいたしまして大体
バランスが合うというような形になっております。
さらにその表の次について
あと簡単に読みながら御
説明いたします。で簡単に前表「
目標年次における主要
経済指標」について、基凖年次と対比しつつ、その発展ないし絋大の椎移を
説明すると、次の通りである。初めは総
人ロでございますが、総
人口は基準年次
昭和二十八
年度に比しまして、三十二
年度までに四・五%、三十五
年度までに七・七%
増加する。
労働人口は同じく
昭和二十八
年度に比して三十二
年度までに五・九%、三十五
年度までに一割五厘
増加し、その
増加率は総
人口の
増加率よりも大である。
就業者数は二十八
年度に比して三十二
年度は五・七%、三十五
年度は一〇・七%
増加した。従ってこれを実員に直しますと、三十二
年度は二百二十三万人、それから三十五
年度は四百万余ということになるわけであります。その
増加率は、いずれの時期においても総
人口増加率よりも大である。
四番目として、
失業者は二十九
年度六十七万に比べると、三十二
年度においては
年度平均で五十五万三千人、三十五
年度におきましては
年度平均で四十三万五千人となり、これを二十九年十月に比しますればそれぞれ一七・五%となり、三五・一%の減となる。しかし、この
失業者数を
労働力人ロに比すれば、その
比率は、三十二
年度は一・三%、三十五
年度は一%にあたるわけであります。
次に、
国民総生産でありますが、
民間の
資本形成については、基準年次である
昭和二十八
年度においては、異常な
在庫増加がみられました点を調整して、
目標年次の額を算定したのでございますが、それによりまして三十二
年度においては二・九%、三十五
年度においては一六・二%の
増加となり、特に後期三ヵ年間においては、
相当伸びるということになっております。
次の
政府購入は、基準年次に比しまして、三十二
年度においては一二・ニ%、三十五
年度においては二六・六%と増大するものと考えておるものでありますが、これが
国民総生産中に占める
割合は、ほぽ二十八
年度の横ぱいということになっております。
個人消費支出の
伸びは、二十八
年度に比して三十二
年度は九・八%、三十五
年度は二三・八%と見まして、特に
計画期間の後期において比較的増大するものと見ました。
四番目は、従って
人ロの
増加を勘案いたしました一人
当り消費水準は、二十八
年度に比して三十二
年度は一〇五・一%、三十五
年度は一一四・九%となり、三十三
年度以降は年率三%
程度の
消費水準の上昇が見込まれますが、三十二
年度までは年率一・二五%
程度の上昇となっております。
よってこれを総合いたしました
国民総生産は、二十八
年度に比して三十二
年度は一〇九・一%、三十五
年度は一二三・一%と増大をいたします。ちなみに戦前における年
平均の
伸びは、
昭和五—十五年で三・七%でございます。
次に、
国民所得につきましては、これも基準年次は五兆九千六百四十九億に対して三十二
年度では六兆五千六百十五億と約一〇%、三十五
年度においては七兆三千九百四十四億と、二四%の
増加になっております。この
増加率は年率にして前期三カ年間は約二・四%、後期三カ年間は約四・一%でございます。これらも戦前の年
平均率の
伸びを見ますると、ここに書いてございますように、
昭和五年—十五年でニ・九%ということでございます。
次に、
鉱工業生産水準でございますが、鉱工業の
生産水準は
昭和九—十一年
平均を基準にしまして、三十二
年度及び三十五
年度において、それぞれ率といたしましては一八一・二、二一三・八ということになりまして、これを
比率で申しますと、先ほど申しましたように、それぞれ一二・三%、三二・五%の上昇でございまして年
平均として四・二%となります。しかし、二十八
年度から三十
年度まではほぼ横ばいで推移すると思われますので、三十一
年度以降につきますると、大体毎年前半期におきましては五%、後半期においては五・五ないし六%くらいの
生産水凖の
伸びという見込みでございます。なお、これは戦前における年
平均の
伸びにつきしまては、
昭和三—十七年で八%
程度でございます。
次の農林水
産業の
生産水準でございますが、農林水
産業の
生産水凖は二十七
年度を一〇〇といたしております。これは御
承知のように二十八
年度は非常な凶作でございましたので、これはあまり基準になりませんと思いまして、この点だけは二十七年をとりまして一応こういう指数を出しておりますが、これによりますと三十二
年度においては一〇五・三%、三十五
年度においては一一〇・一%、年率一・四%の上昇になります。これは戦前におきましては一・八%の上昇であったわけであります。
次に、
国際収支でございますが、
輸出は二十八
年度が十二億四千五百万ドル、二十九
年度の
推定が十六億一千九百万ドル、最近の
推定は今ようやく部内で大体約十六億二千万ドルくらいの
輸出になるだろうと
想定いたしておりますが、三十二
年度においては十八億八千万ドル、三十五
年度においては二十三億四千万ドル、二十九
年度に比較いたしまして約七億二千百万ドル
増加するものと予定しております。
増加分の
輸出先地域につきましては、ドル、ポンド、オープン・アカウントの全地域に
伸びるということになりますが、特にドル、ポンド地域への
増加に重点を置かなければならないだろうというふうに考えております。これらの面の内容につきましては、まだ目下検討中でございまして、具体的にどうなるか、具体的な
数字はございませんが、いつかこの席でもあるいは申しましたかもしれませんが、現在の通貨地域別から申しますると、非常に
正常貿易だけで申しますると、ドルは非常に入超になっておりまして、その他本
年度で見ましても、ポンド、オープン・アカンウト地域に対しては
相当出超ということになりますので、今後やはり
貿易が
相当伸びて参ります上におきましては、ある
程度通貨別に考えて、現在よりもうすこし
バランスが、相互間の均衡がとれるということが、どうしても
輸出の
伸びる必要の
前提の条件に相なるのではないか。もっとも通貨の交換性が完全に回復すれば、さような心配は全くなくなるわけでございますが、これは全地域にわたって、通貨の交換性がとれるということもちょっと
想定できませんので、そういたしますると、ある
程度のやはり地域間の
貿易の収支の
バランスということも念頭に置かなきゃならぬだろうということで、やはり今後のそうした通貨地域に、ある
程度の
バランスが現在よりも改善される、従って、ポンド、オープン・アカウント地域からはなお
輸入をし、そしてそういう所にも
輸出を伸ばすというような形にならざるを得ないかと思いまするが、その辺は今検討いたしておる
状況であります。
それから
特需収入につきましては、二十八
年度においては七億六千百万ドルに及んだのでございまするが、これが漸減いたしまして、三十二
年度においては二億五千万ドルまで減少し、三十五
年度におきましては一応ゼロと予定をいたしております。本
年度は六億を少し切るくらいのところ、五億九千数百万ドルというところに相なろうかと、今現在では
推定をいたしております。
輸入は、二十九
年度の十八億三千七百万ドルが、三十二
年度は二十億五千万ドル、三十五
年度は二十三億九千万ドルに
増加するものと考えております。その
輸入先につきましては、これは先ほどちょっとここで申しましたが、この点でございますが、ドル地域からポンド、オーブン・アカウント地域への転換を考えなきゃならぬというふうに
想定をいたしております。
以上が大体
計画の大要の御
説明でございまするが、ただこれを、こうした
計画をこのまま放置しておきましても、ひとりでにこういうことに相なろうということではないと考えまするので、これを
目標にいたしまして、それぞれ必要な
施策を講じて参らなきゃならぬというふうに考えまして、それの
前提と申しまするか、こういうふうな点について重点を置かなきゃならぬだろうということを以下に書いたわけでありまして、これは当然今後とるべき政策とも関連いたしまして、なお今後十分
関係各省とも相談をいたしまして、検討しなければならぬのでございまするが、どく抽象的に、少くともこういう点には、この
計画を達成するためには重点を置いて、今後の政策を考えなきゃならぬだろうということをここに書いたわけでございます。これはもしあれでございますならば、朗読をいたしましてもけっこうでございまするが、第一は、資本の蓄積の
関係、それから第二は、
輸出振興の総合対策を立てなきゃならぬ。三番目は、
産業合理化の徹底的な合理化を進めなきゃならぬ。四番目は、
労働能率の増進と
雇用の増大の対策。それから五番目には、食糧その他国内の自給度の向上対対策を推進しなきゃならぬ。第六番目には、国土の保全及び開発について
施策を講じなきゃならぬ。第七番目は、国民生活の安定対策。かような点について
相当今後十分検討し、この目的達成のために必要な政策を強力に一貫してとらなきゃならぬということを、まあ念のため書いたものでございます。
なお、これは当初にも申しましたように、まだ現在は一応の姿を描いた
程度でございまして、さらにこれにつきまして、
計画自身といたしましても、さらに検討を、今後
関係各省と加えて参る予定にいたしておりますし、それからこれに伴うべき
経済政策というような点も、主として今後十分検討して参らなきゃならぬ、従って
経済政策を考えます際に、その政策の面からこれだけの
数字が、あるいはなかなか達成困難だというような結論が出て来るかもしれませんとも思いますが、その辺はよく今後研究をいたしまして、必要があればこの
計画自身についてもさらに改訂をし、できるだけ完全なものにいたしたいというふうな
考え方で目下
作業を続けつつある段階でありまして、これは一種の中間的な
構想というような
程度のものでございます。以上ごく概略御
説明いたしましたが、
あと御
質問によりましてお答えをさしていただきたいと思います。