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1954-12-16 第21回国会 衆議院 労働委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年十二月十六日(木曜日)     午後二時二十二分開議  出席委員    委員長 葉梨新五郎君    理事 池田  清君 理事 大橋 武夫君    理事 持永 義夫君 理事 稻葉  修君    理事 多賀谷真稔君    倉石 忠雄君       鈴木 正文君    田中伊三次君       三浦寅之助君    山村治郎君       黒澤 幸一君    島上善五郎君       田中織之進君    日野 吉夫君       前田榮之助君    中原 健次君  出席国務大臣         労 働 大 臣 千葉 三郎君  委員外出席者         労働政務次官  志賀健次郎君         労働事務官         (労政局長)  中西  實君         労働基準監督官         (労働基準局         長)      亀井  光君         労働事務官         (職業安定局         長)      江下  孝君         専  門  員 濱口金一郎君     ————————————— 十二月十三日  委員佐藤榮作辞任につき、その補欠として葉  梨新五郎君が議長指名委員に選任された。 同月十六日  委員篠田弘作君、赤松勇君及び大西正道辞任  につき、その補欠として増田甲子七君、田中織  之進君及び前田榮之助君が議長氏名委員に  選任された。 同 日  委員前田榮之助君辞任につき、その補欠として  田中幾三郎君が議長指名委員に選任された。 同月十一日  委員長赤松勇君が委員長辞任した。 同月十三日  葉梨新五郎君が議長氏名委員長に選任され  た。 同月十六日  理事賀谷真稔委員辞任につき、その補欠と  して同君が理事に当選した。     ————————————— 本日の会議に付した事件  理事の互選  失業対策労使関係及び労働基準に関する件     —————————————
  2. 葉梨新五郎

    葉梨委員長 これより会議を開きます。  一言ごあいさつを申し上げます。わが国再建の途上におきまして、最も重要なる役割を果します労働問題につきましてこの労働委員会委員長に御推挙をこうむりましたことは、私といたしまして、まことに身に余る光栄でございます。しかしながら、何分にも各位練達堪能の御支持、御協力を得るにあらずんば、この任を果し得ないのでありまして、どうか私のような未熟な者でございますが、皆さん先輩各位の御協力を得まして、大過なくこの任を果したいと存じております。  どうぞ何分にもよろしく御協力、御支援のほどをお願いいたします。(拍手)     —————————————
  3. 葉梨新五郎

    葉梨委員長 この際理事補欠選任についてお諮りいたします。去る六日、理事の多賀谷真稔君が一旦委員辞任されまして、理事が一名欠員となつておりますので、理事補欠選任を行わなければなりませんが、これは前例により、選挙の手続を省略しまして委員長より指名いたしたいと存じますが御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 葉梨新五郎

    葉梨委員長 御異議なしと認めます。  それでは理事に多賀谷真稔君を指名いたします。     —————————————
  5. 葉梨新五郎

    葉梨委員長 これより失業対策労使関係及び労働基準に関する件について調査を進めて参りたいと思います。  まず千葉労働大臣より発言を求められておりますので、これを許可いたします。千葉労働大臣
  6. 千葉三郎

    千葉国務大臣 このたび、はからずも労働行政を担当することに相なりましたが、私はこうした方面につきましては、まことに未熟、経験の至らないものでございまして、今後皆様のようなこの道のエキスパートに御支持を得なければなりません。そうした意味におきまして、今後の御指導をお願い申し上げるとともに、この労働行政の重要さをこの上にも御認識いただきまして、こうした問題がレールに乗つて行くように、この上の御協力をお願い申し上げたいと思います。つきましては、この際私の所信の一端を申し上げたいと思います。  独立後第三年を迎えて、なお困難な経済情勢のもとにあるわが国にとりまして、すみやかに経済自立を達成し産業興隆をはかり、真に独立の実をあげることは、全国民のひとしく待望するところであります。  この目標の達成をはかるため政府は、自由企業の原則を認めながら、長期の見通しを持つ総合的な経済計画によつて生産能率向上をはかり、コストを低下し、もつて貿易を増進し、国際収支を改善して、経済再建のための基盤を培養するため、各般の施策を講じて参る所存でありますが、労働行政の面におきましては、生産基盤をなす平和にして安定した労使関係を確立し、労使協力してわが国経済興隆を達成する態勢を確立することが、最も重要な課題であると考えるのであります。  そのためには、労働組合運動を正常化し、その健全な発達をはかるべきはもとよりでありますが、それと同時に、労使双方労使間の問題はすべて話合いによつて自主的に解決するという基本態勢を樹立することが根本であると考えます。労働者といい、使用者というも、何れもともに社会一員であります。互いに相手方を白眼視し、これを敵呼ばわりするがごとき態度は、もとより論外でありまして、労使双方経営の内部における自己職分と責任を自覚し、友愛の精神と相互の信頼関係の上に立つて協力して行くならば、必ずや生産性向上を通じて企業の繁栄、従つて労働者生活条件向上をもたらし、ひいてはわが国経済再建国民生活安定のために寄与するところ大であるのであります。  このような態勢の樹立のためには、平素より労使協議会等労使間の話合いの制度を設けておくこともきわめて有効でありましようし、また労使間において、話合いによつては解決が困難である場合には、進んで問題を公正な第三者の調停、仲裁に付し、その結論に対しては、双方ができる限りこれを尊重して問題を解決することが望ましいのでありまして、私は、労使が従来の行きがかりにとらわれることなく、このようなよき慣行を確立されることを強く期待するものであります。  ことに労働者協力によつて生産が増大し利潤向上した場合には、その寄与に応じて労働者に報償を与え、その利益に均霑させることは、労働者労働意欲向上させるためにも、また労使信頼関係を進めるためにも、検討を要することではないかと考えますので、このような問題についても、今後十分研究をいたしたいと考えます。  私は、元来労働問題は、経済問題の一環として総合的に解決されなければならないとの信念を持つております。従つて労働政策政府の他の諸施策と表裏一体となつて樹立運営されることが必要と考えますので、今後閣内におきましても、他の閣僚と常時緊密に協議いたしまして、私の所信十分政府の諸政策に反映せしめたい所存であります。同時に、労使関係者に対しても、わが国経済実情を常に御認識の上、国民一員としての良識をもつて労使間の問題を解決されることを切に望むものであります。  さらにまた、経済自立再建のためには、労働生産性向上することがぜひとも必要でありますので、労使関係の安定、労使協力態勢の確立と相まつて技能者の養成、職業補導の充実により労働者技術水準向上し、他面労働者福祉増進生活条件の確保によつて労働意欲増進をはかつて参りたいと存じます。  特に現在の住宅事情にかんがみ、労働者住宅を整備することは現下の急務であると考えますので、建設省当局連絡を密にして、現内閣一つの大きな政策として住宅建設の促進をはかるとともに、社会保険積立金運用による労働者住宅その他の労働福祉施設の拡充をぜひとも実現させたい所存であります。  また労働基準法につきましては、わが国実情から見て検討を要する面があると考えておりますが、特にその規定が、大企業中小企業の区別なく一律に定められているため、中小企業にとつて、その企業の実態より見て厳に失すると思われる点が見受けられるのであります。これらの点については、中小企業育成の見地より、その実情を十分検討し、かつ国際立法例をも勘案しつつ、その改正を慎重に研究してみたいと考えます。  次に失業問題につきましては、今年初頭以来、デフレ経済深刻化に伴いまして、企業の整理、倒産によつて離職する者が多数に上り、これに対して新たな雇用はかえつて減少しているため、失業者が例年の数を大幅に上まわつて増加いたしておりますことは、まことに憂慮にたえないところであります。これらの失業者につきましては、本格的には経済の基礎を固め、その上に立つて経済規模拡大均衡をはかり、産業活動の活発化によつてこれを吸収して行くべきものであり、政府においても、総合的な経済計画のもとに産業雇用を逐次増大して参る所存でありますが、それまでの間すでに発生した失業者に対しては、早急にその救済策を講じなければならないのであります。明年三月までの対策としては、失業対策事業国庫補助額を新たに八億五千万円追加してその活用をはかるとともに、九億六千万円の国庫補助により、道路建設等緊急就労対策事業を、失業情勢に応じ重点的に実施する予定であります。これらの事業に加えるに、鉱害復旧事業の繰上げ施行、炭鉱地帯における河川改修等の実施により、本年度内の失業者救済に遺憾なきを期する所存であります。  さらに将来の問題としては、従来のような臨時応急的な事業のみでなく、国土建設事業公共事業との間に総合的計画を立て、住宅道路建設等を主眼として、失業者に建設的な仕事を与えることに努力したいと考えます。  また新規大学卒業者を初めとする知識層失業者に対しては、国及び主要都道府県学生就職対策本部を設置して、雇用の勧奨と就職のあつせんを活発に行うとともに、官公庁における調査事務、その他これらの人々に適応した事業への就職をはかるなど、特段の措置を講じたいと存じます。  なお、デフレの影響により、最近増大しつつある賃金不払い問題については、労働省としては第一線の労働基準局を中心に、不払いの解消に努めるほか、経済関係各省と緊密な連絡のもとに年末金融の円滑化努力中でありますが、特に労働金庫の年末資金につきましては、今回資金運用部資金より、四億円を都道府県を通じて労働金庫に融資することといたしたのであります。  以上、所管行政について所懐を申し述べたのでありますが、私は今後労使を初め広く各方面の御意見を率直に聞き、労働行政の円滑な運営を期するため、あらゆる努力を傾けて行きたいと存じておりますので、何とぞ御協力のほどをお願い申し上げる次第であります。(拍手
  7. 葉梨新五郎

    葉梨委員長 それでは、ただいまの労働大臣の御発言に対しまして、質疑の通告がございます。順次これを許可いたします。持永義夫君。
  8. 持永義夫

    持永委員 ただいま千葉労働大臣政策を拝聴いたしたのでありますが、ただいまお話になりましたことは、いずれも、労働省として従来から考えられておつた政策でありまして、特に新味を感じません。中には、わが党内閣の時分に樹立した政策を踏襲されておるものもあるのであります。もとより、労働政策にそう目新しいような奇抜な政策があるとはわれわれは考えられないのであります。従つて、ここに盛られておる各種の政策は、広汎多岐にわたつておりまして、いずれも適切なるものでありますが、ただ問題は、これをいかにして実行するかということが肝要であります。どうか新労働大臣におかれましては、これらの重要なる問題を一つでも二つでも、一刻も早く実現されることに努力されるべくお願い申し上げたいのでございます。  本日は、野党の各党の相談によりまして、あまり政策について論議することは、いわゆる選挙対策誤解されるおそれがあるから避けようという相談でありますから、私は政策につきましては、あまり深入りをいたしません。ところが、残念なことには、すでに私の承知しておるところでは、新労働大臣が二十九年十二月十三日の読売新聞に、新大臣としての構想を発表されております。これを拝読いたしますと、ただいま演説された内容と大体一致いたしておるのでありますが、私がまじめに考えて最も不満に思います点を特に一点だけ大臣お尋ねしておきたい、こう考えるのであります。新聞報道が事実であるかどうかということは、私も何ら保証は得ておりませんが、おそらく大臣お話によつて掲載されたものと思う。あるいは社会党諸君は、御賛成の点を表せられるかもしれませんが、その中でこういうことを言つておられるのであります。「いままでの自由党のやり方は、めんどうくさいから取締まれ、あるいは弾圧しろという捨てばち的なところが多々ありましたね、実際に。政治をよくしてそうして生活の安定をはかるという根本的なものを忘れてしまつている。」この一句であります。私は議員として、短かい期間でありますが当初から労働委員会に関与しまして、ずつと労働省労働政策承知いたしておりますが、少くとも、私がまじめな、党派的根性を捨てた立場から批判をいたしますならば、今までの労働政策に、こういうような労働省が直接取締まるとか、あるいは弾圧するとかいうような政策は、全然なかつたと私は確信をしております。こういうことを言うのは、おそらく最近のピケに関する労働次官通牒あるいは官公労その他の公共企業体労働組合方々が、法の限界を越えて労働運動をされておるということに対する小坂労働大臣の注意、これらを総合して、大臣がこういうことを言われたと思いますが、私はこれは千葉労働大臣のために非常に惜しむのであります。今日までの労働政策は、御承知のように、従来の改進党また今日の民主党大体相提携して立てて来たのであります。われわれは保守党員でありますけれども、できるだけ労働政策について関心を持ち、また熱意を持つてつて来たのであります。これは当時の改進党の諸君もよく御承知である。ここにおられる山村治郎君も、よく御承知でありましよう。そういう政策を実行したにかかわらず、こういうことを言われるということは、はなはだ私は遺憾に思いますが、どういう意味でこういうことを言われたのか、あるいはまた、今後今までのピケ問題等に対する労働次官通牒を変更されるような考えをお持ちであるかどうか、一点だけお聞きしておきたいと思います。
  9. 千葉三郎

    千葉国務大臣 私の談話が非常に御迷惑になつて申訳ないのでありますが、従来の自由党とわれわれ民主党内閣の違いは、自由党経済政策は、最近はいざ知らず、自由放任経済をもつて大体の基調とせられたことは事実であります。そこでわれわれといたしましては、経済自立を進めて参るために、そこに広義の計画経済を樹立したい、この目的で進んで参りました。従つてまた私がここで今日申し上げたことも、きわめて抽象的な問題でありますが、今までの考え方によりまして、もう少し具体的に太い線を出しまして、総花的ではなく、二つ三つの大きな問題を取上げてそれを実現したい、そういうふうに考えております。そこで、この自由放任というその都度その都度の政策が、それを指摘したために、あるいはそうしたように誤つて伝えられたこともあると思いますが、今のピケ・ラインの問題にいたしましても、自由党当時の次官通達につきましては、民主党におきましても支持しておるのであります。今後私は決してこれをかえようという考えはございません。あれは当然のことであります。そこで、ただそうしたようなときに、あるいは警察力を使うとかなんとかいうようなことはなるべく避けまして——それが違法でない限りにおきましては、警察力介入を避けて参りたいというふうに考えております。そういうことでありまして、言葉の表現につきまして、あるいは誤りがあつたかもしれませんが、それだけのことであることを御了承願いたいと思います。
  10. 大橋武夫

    大橋(武)委員 関連して。ただいま労働大臣は、違法でない限り警察力を使わないのだ、それが民主党の新しい労働政策である、この点において自由党取締り一点張りと違う、こう言われましたが、一体自由党内閣が、いつ適法な正しい労働運動警察力介入しろというようなことを申したか、はつきりお答えを願いたいと思います。
  11. 千葉三郎

    千葉国務大臣 いつというようなことにつきましては、その新聞記事でも御承知のように、はつきりしておりません。そうしたような誤解を生ずるごとき報道のあつたことは、私は十分認めておるのであります。(「具体的に言つてくれ」と呼ぶ者あり)具体的にいつというようなことではございません。ただそれを、たとえば警察介入の時期あるいは方法その他について遺憾の点があつたということを申し上げたのであります。
  12. 大橋武夫

    大橋(武)委員 そういたしますと、民主党内閣とされましては、たとえば東証のストであるとか、あるいは近江絹糸問題等についての警察力介入ということは不適当であつた、こういう御趣旨でございますか。
  13. 千葉三郎

    千葉国務大臣 これらの問題につきましては、実情に応じて十分考えなくちやならぬのでありますが、私はあの近江絹糸の当時の問題についてそれを言つたのではございません。
  14. 大橋武夫

    大橋(武)委員 それでは何について言つたのですか。
  15. 千葉三郎

    千葉国務大臣 東京証券取引所その他におきまして少し早過ぎるとか、そういうような点については、私は誤解を生じておると思います。
  16. 大橋武夫

    大橋(武)委員 あなたは、一体何を証拠に、自由党政策取締り一点ばりつたということを言われたのですか、その点をはつきりさせたいというのが持永委員質問であつた。これに対して、あなたは何ら具体的なものはない、ただ漠然とそういうことを感じたからそういうことを言つたのだ、こういうお答えですか。
  17. 千葉三郎

    千葉国務大臣 先ほどからお答えしております通りに、全体を通じましてわれわれとしては話合いを十分して、話合いがつかず、また違法であつたときにはあらためて警察力ということを言うのでありますが、その話合いが十分つくかつかないかという認定の問題で、そして出したことは私はあると考えます。
  18. 大橋武夫

    大橋(武)委員 では、ひとつはつきり伺いたいのですが、労働問題に関連して、自由党内閣の時代に警察が入つた、そして現在起訴になつていまだ裁判に至らておらない事件が相当多数あります。あなたは政府として、これらの事件について、不当と認めたものについて控訴権を放棄されるという考えがあるのですか。閣僚として、労働問題についてこの点で起訴をしておる、これは間違いであるから、民主党としてはこの事件は検事に指示をして控訴を取下げさせる、それだけのお考えがあつて言われるのであるか、それとも、ただ漠然と言われておるのであるかどうか、この点をひとつはつきりしておいていただきたい。
  19. 千葉三郎

    千葉国務大臣 それは事態を十分検討してからでないと申し上げられません。
  20. 大橋武夫

    大橋(武)委員 そうすると、労働大臣は、事態について十分なる検討もなく、ただ自己の散漫なる考え方に基いて、一方的に他党を誹謗したものである、かように私は断定をいたしまして、この関連質問を打切らせていただきます。
  21. 持永義夫

    持永委員 ただいま大橋委員が言われた通りに、千葉労働大臣は、今まで自由党がやりましたいろいろな指示その他について、十分なる検討なくして、ただ漫然たる感じのもとにこういうことを、いわゆる選挙宣伝政策として簡単に言われた、こういうふうに私は解せざるを得ないのであります。いやしくも労働政策に当る者は、もつと慎重な態度で、着実な考えでこの政策に当つていただきたいと、こう私は考えます。こういう希望を申し上げまして、私の質問を終ります。
  22. 葉梨新五郎

    葉梨委員長 それでは山村治郎君。
  23. 山村新治郎

    山村委員 私はこの際、大臣のごあいさつに関連いたしまして、重要問題並びに当面の問題といたしましての公共企業体の年末手当の問題に言及をいたしまして、一、二点お尋ねをいたしたいと思います。  さて、ただいま大臣のごあいさつがございましたが、千葉労働大臣に対する世評は、大体点数は甲の上の部に属するようであります。(笑声)あるいは、これは吉田労働政策に対するところの反動であるという見方があるかもしれませんが、少くとも労働組合の幹部の方々も、何か千葉労働大臣とは打割つて話ができるという感じを持つておるということは、もうあらゆる組合代表方々の偽らざる告白であるのであります。この点、私は、鈴木さんのときは別であつたでありましようが、少くとも小坂労働大臣の時より、はるかに進歩しておる労働行政一つの現われであるというふうにこれを確信いたしております。つきましては、今たまたま大橋委員一つの論争があつたようでございますが、われわれは保守党党員たりといえども、やはり同じ国民といたしましての立場における労働組合方々労働者方々立場というものをほんとうに尊重し、この方々福祉をこいねがうところの労働行政が行われてこそ、初めてわれわれは政治家としての職分が達せられると思うのであります。しかし、残念なことには、今までは、いわゆる不逞のやから視するところの自由党労働者に対する見方のために、労働組合というものと保守党というものの対立が非常に深刻になつておると思うのです。特に保守党といえば、これは労働組合には理解のないものだというような考えを持つておる労働組合方々もございますし……(「それは社会党宣伝だ」と呼ぶ者あり)これは社会党宣伝であるかもしれません、しかし、あるいはまた同時に、労働組合代表といえば絶対に保守党とは相ともに語るべきものではないというような考えを持つておる保守党員がいまだにあるということは、まことに保守党のために悲しむべき現実であると言わざるを得ないのであります。従いまして、この際われわれ保守党員たるものの心構えというものは、ぜひともこの誤れる一部の指導によつて行き過ぎたる労働組合労働者のあり方につきしましては、これを根本的に改めて、正しく導いて行くためのやはり親切味がなければならぬと思うのであります。このときにあたりまして、労働大臣のごあいさつの中で、特に労働者協力によつて生産が増強、拡大した場合において、そして利潤向上した場合において、その寄与に応じて労働者に報賞を与えて、その利益に均霑させたいという御意見が述べられておるのでありますが、これは非常に重要な問題でございまして、まことに吉田労働行政のときには、ついぞ想像もしなかつたりつぱな進歩的な労働行政一つであろうと思うのであります。(「何を言うのだ、政務次官をしたことがあるじやないか」と呼ぶ者あり)なるほど、私が労働政務次官をしておつたことはございました。そのときのことでございます。さつき大橋君も言われたのでございますが、自由党労働行政というものは、警察力を使つたことがあるかないかという問題にしても、現に私が政務次官のときに、もし私かおらなかつたならば、自由党というものは天下に恥をさらすようなことがあつたのです。これはおそらく労働省関係のお役人の方々は御存じでしよう。時の労働大臣はベル一つ押して警視庁に警察官を動員させようとする寸前に私が飛び込んで行つて、私は労働組合方々に話をしたが、何の問題もなくすらすら解決してしまつたことがある。これなどは、大橋君の具体的な例はどれだといえば、自由党といたしましての大きな労働政策における欠陥だと伝わざるを得ない。そこで私はそういう自由党を脱党したのだ。私はそれを申し上げたいのです。  そこで、この利潤の分配の問題につきまして、千葉労働大臣といたしましては、具体的に、たとえば労働者経営参加あるいは経営協議会というような観点の何らかの御構想をお持ちであるかどうかについて、まずお尋ねをいたしたいのでございます。
  24. 千葉三郎

    千葉国務大臣 ただいま山村さんからお尋ねがございましたが、終戦後、何となく生産が萎靡しておりますけれども、この生産をいやが上にも向上するためには、やはり労働者希望を与えなくちやいかぬ。ことに、最近におきましてはデフレが深刻になりまして、立ち上る元気もうせたようでございますから、こうした経営参加であるとか、そういうような面よりも、むしろ生産に対する報償制度というようなものが望ましいのではないか。言葉をかえて申しますならば、利潤の分配ということも言えますけれども、まず生産をする。そうしてこれを呼びかけてみてはどうかということで、近く党に具体的な協議会をつくりまして、この研究を進めて参りたいと思つております。従つて、そう遠からざるうちに具体的に御相談する機会が来ると考えております。
  25. 山村新治郎

    山村委員 就任御早々でございますので、いろいろな抱負経綸をお持ちでしようし、その御構想を実現させるためには、いろいろの準備もあられることとは思います。どうかひとつ進歩的な行政を打出されるように希望いたします。  次に、重要問題として、いま一点伺いたい点は、労働組合のあり方というものについての質問なんでございます。それは、労働組合というものは、やはり政治的にはあくまでも中立でなければならないと思うのです。この点につきまして、まず大臣はどういうふうにお考えになりますか。
  26. 千葉三郎

    千葉国務大臣 まつたくその通り考えております。
  27. 山村新治郎

    山村委員 大臣のお言葉を待つまでもなく、まじめな国民、まじめな労働組合員の方々は、労働組合というものは中立であつてほしいとこいねがつておると思うのです。ところが、実際問題といたしましては、総評におきましては、御存じのように、特定の政党に対するところの支持をきめておる状況でございますし、あるいはまた各組合に流れて参りますそれぞれの政党の支持というものは、これは組合員の個々の意思を無視いたしまして、相当にかつての翼賛会式の流れ方で参つておることは、いなめない事実ではないかと思うのでございます。従いまして、私はもとよりこういうような情勢に至らしめたるところのものは、保守党政治家といたしましてのわれわれの責任であると痛感いたしております。すなわち、そういうような考え労働組合を持つて行つてしまつたということは、保守党労働政策というものが、労働組合方々誤解されておるから、こういうことになつてしまつたのだ。その点から考えますときに、ぜひその行き過ぎた労働組合の特定政党に対する支持ということが自然的に直つて参るような、りつぱな労働政策を立てていただくことをこいねがつてやみませんが、具体的な問題といたしまして、総評の特定政党支持に対して、労働大臣はどういうような御見解をお持ちでございましようか。
  28. 千葉三郎

    千葉国務大臣 私はまだ十分そのことを承知しておりませんので、今後総評の諸君とひざを交えて話し合つて、その実態を調査いたしまして、しかる後に善処したいと思います。
  29. 山村新治郎

    山村委員 ごもつともと思いますので、どうかひとつこれからは労働大臣自身、総評の会議にも飛び込んで行つて保守党のどこが悪いのか、悪いところがあつたら喜んで直そうじやないかというくらいの謙虚な態度に出て——決して日本民主党だけとは言いません、自由党もその他の保守党も、労働組合政治的に中立の立場をとるように導いてこそ、初めて日本の労働組合運動というものが健全なものになつて行くんじやないかということを私の意見として申し上げまして、千葉労働大臣に善処を要望いたします。  次に、具体的問題といたしまして、差迫つております例の公共企業体の給与問題でございます。この問題につきましては、ちようど十二月十一日に関係閣僚の懇談会があつたようでございますが、この懇談会におきまして、こういう点がきめられているようであります。一つは、職員の給与または手当についての補正予算は、昭和二十九年度においてはこれを組まないということ、二といたしまして、年末に支給する一時金については、各企業体の当事者間において自主的に解決さるべき問題である。政府としては業積手当等をも含めて一・二五箇月分を限度として支給することを認めるという、この二項が話合いの結果としてきまつたように聞いておりますが、これに閣議の決定が、大体この線に参ると予定してよろしゆうございましようか。
  30. 千葉三郎

    千葉国務大臣 この問題につきましては、私は就任早々でございましたが、十一日に経済関係閣僚懇談会を開きまして、こうした申合せをいたしました。すなわち政府といたしましては、業績手当を含めて一・二五箇月分を限度として支給するということをきめたのであります。従つてこの方針を、さらに去る火曜日の閣議において再確認いたしております。
  31. 山村新治郎

    山村委員 なお続いてお尋ねいたします。ちようど大臣が就任の前日でございましたか、当労働委員会におきまして、満場一致をもつて、ほぼ昨年と同率を支給するということにつきましての決議がなされたのでございますが、この点につきましては、大臣は十分御存じの上におきまして、この委員会の決定を尊重するという御意思がこれに盛られていると考えてよろしゆうございましようか。
  32. 千葉三郎

    千葉国務大臣 大体その趣旨は、年末に支給する一時金については、各企業体の当事者間において自主的に解決さるべき問題であるというところに、御希望の点を十分含んでいると思います。政府としては、業績手当を含めて一・二五箇月分を保証するという意味でございます。
  33. 山村新治郎

    山村委員 大臣の御答弁は当事者間において自主的に解決されるというところに非常に味があるというような御答弁に承つたのでございますが、そのおもんばかりを私は感謝いたします。ただ問題は、この一・二五箇月という数字が、大蔵当局その他の一部の見解によりますと、最高の一・二五臨月という限度に考えている向きもございますし、ふるいはまた同じ一・二五箇月の限度というものを最低の一・二五箇月の限度と見る向きもあるのでございますが、この点は最高と最低をどういうように解釈したらよろしゆうございましようか。これは事務当局でもよろしゆうございます。
  34. 中西實

    ○中西説明員 一・二五まで政府が限度として認める。これは昨年におきましては、一のほかに〇・二五は業績手当として各企業に一率大蔵省として認めまして、そして財政当局としては、一・二五は財政的な裏打ちもするということで、そのあと、先ほども大臣から言われましたように、団体交渉によつていろいろの率できまつているのでございます。そこらは結局自主的な団体交渉できまる問題でございまして、政府としては一・二五だ、こういうようにわれわれは理解しているわけであります。ただ、大蔵省の言いますのは、今年は各企業対それぞれが業績手当が出るような事情にない——出るところもございますが、去年ほど一律に出し得るような事業の状況じやない。従つて相当渋い考えをもつているようであります。
  35. 山村新治郎

    山村委員 事務当局としてはごもつともな答弁ですが、ちよつと重要な点で大臣お尋ねしたい。それは政府としては業績手当を含めての一・二五を限度として支給するという数字を御発表になつた以上、少くともこの一・二五につきましては、労働組合方々は支給されるものと考えていると私は思うのです。しかし実際には、今御説明があつたように、業績手当という問題になりますと、業績のあがつておらない団体、あるいはその他のいろいろな欠陥のあります予算上の措置からいつて、その財源があるいはないかもしれないのでございます。そのときに、政府といたしましては、ある程度までそのほかの予算面の流用を認めて、やはり一・二五までは何とかしてやりたいという親心というように私どもは解釈したいのでございますが、そのように解釈してよろしいのでございましようか。
  36. 千葉三郎

    千葉国務大臣 ただいまのお話通り一・二五を確保する、保障するという意味なんです。さように御了承願います。
  37. 山村新治郎

    山村委員 大臣の非常に進歩的な、特に労働者立場をほんとうに御同情された言葉がありまして、私どもは非常に満足いたしております。ところが、実際問題になりますと、大蔵省の役人の方々は、これも自由党の積弊によりまして、いつの間にか大蔵省の役人が予算を操作する現状というものは、国会の審議権を全然無視している現状である。たとえばあらゆる予算において一定限度のわくがきめられたといたしましても、それを大蔵省の官僚が、命令的に一割天引とか、あるいは二割天引というようにして操作をいたしている現状でございますが、こういうような点が、たまたま各企業体との交渉にあたりまして、もし業績手当として相当すべき財源がない場合において、ほかの方からまわそうとしますと、来年度の予算に、この面についてはお前の方は少しゆとりがあつたじやないかというようなメスを入れられることをおそれて、各団体は、ほんとうに徹底的に大蔵省の官僚の連中と闘つておらない現状でございますので、どうかこれは自由党の二の舞いをしたというような笑いを残さないように、いやしくも閣議で決定したことは、いやしくも大臣が答弁されたことは、あくまでもその線に沿つて実行するという強い線を打出していただくべく、大蔵大臣に厳格な御交渉を願いたいと思うのであります。私どもも与党の立場から、特に差当りました年末でございますので、一日も早くいろいろな問題を解決するために、この点は自由党諸君とも、社会党諸君とも手を握つて、超党派的な立場で解決すべく努力するつもりでございますが、いろいろその間にむずかしい問題がございますから、誠心誠意努力するというお言葉をもう一ぺんちようだいいたしまして、私の質問を終ります。
  38. 葉梨新五郎

    葉梨委員長 ただいまの山村治郎君の御発言に対して、委員長より一言申し上げます。昨日の当委員会の理事会の協議の結果に基きまして、本件に関しまする財源関係、あるいは委員会の決議趣旨尊重の趣旨をもつて民主党内閣の大蔵大臣の出席を求めました。本日も昨日もこれを要求しているのであります。しかるに公務以外の党務であるという理由をもつて、出席せられません。そこでその心がけがはなはだ国会の威信を損ずるものであるということをるる委員長から非公式に説明いたしまして、その出席を求めているのであります。どうぞ民主党内閣諸君は、さような閣僚の不心得を繰返さぬように、これは委員長よりも、特に現にただいま閣僚に向つて要求中でありますが、各委員諸君にも、ひとつ御協力願いたいと思います。
  39. 山村新治郎

    山村委員 委員長のその御要求は当然のことであります。私はできることなら、あなたは自由党内閣のときにそういう要求をどんどん各閣僚にしてもらいたかつた。ところが、総理大臣初め各閣僚が、なまけほうだいであつたがために、とうとう自由党の恥さらしをしたというのが現状ではないかと思うのであります。しかしこの問題は、実際上さつき申し上げましたように、保野党であるとか、あるいは進歩政党であるとかいうような区別は、抜きにして、年末迫つた問題でありますから、何とかしてみんなで解決してやらなければならぬと思えばこそ、私は与党の立場から、千葉労働大臣にいろいろなことをお願いしておるのであります。従つて、この委員会を妙な選挙のある一つ宣伝の道具に使わないでもらいたいということを、私ははつきり申し上げておきます。
  40. 大橋武夫

    大橋(武)委員 ただいまの山村君の御意見につきまして、私も同感であります。この委員会を選挙の道具に使うというようなことは、まことにこれはしかるべからざる儀と考えておるのでございます。さしあたり、問題は、先般当委員会においても決議いたしました年末手当の問題につきまして、一日もすみやかに解決をはかつていただきたい、こういう趣旨でございます。これについての労働大臣の理解ある御態度につきましては、私どもも十分に了解をいたしておるのでございますが、ただ何分財政当局の態度については、多少の疑問を持つ点がございます。ただいま委員長お話によりますと、委員長として大蔵大臣の出席を要求せられておるそうでございますが、今日実現されないようでございます。そこで、私はこの機会に動議を出したいと存ずるのでございまするが、大蔵大臣の出席を当委員会に要求いたしたいと思います。どうぞ御賛成を願いたいと思います。
  41. 葉梨新五郎

    葉梨委員長 ただいまの大橋君の動議に御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  42. 葉梨新五郎

    葉梨委員長 満場一致大蔵大臣の出席を要求するに決しました。  なおその手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますから御了承願います。  先ほどの山村治郎委員の質疑に対しまして、労働大臣の御答弁を願います。
  43. 千葉三郎

    千葉国務大臣 本問題につきましては、実は十一日も一万田大蔵大臣と十分話しました。さらに一昨日も昨日もこの問題で話しました。ただ末端まで流れておらぬように思うから、あなたはほんとうに下まで流してあるかどうかということまで、実は堀り下げて打合せをしたようなわけであります。従つてこの問題の解決にあたりましては、十分私は今後も努力すると同時に、誠心誠意その解決をはかりたいと存じております。(拍手
  44. 葉梨新五郎

  45. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 労働大臣あいさつ並びに所信につきましては、ぜひ質問をしたい点もありますけれども、内閣の性格が選挙管理内閣であり、当然とうてい政策の実行のできない内閣である関係上、私は質問いたしません。ただ、今焦眉の急になつております先ほど山村委員から質問をされました公共企業体等の職員の年末手当について、質問をいたしたいと思うわけであります。これは十二月九日首班選挙に先立ちまして、赤松労働委員長理事の懇談会におきまして、いずれの内閣ができるかわからないけれども、とにかくできた内閣は責任を持つて次のような決議を尊重してもらいたいという話合いのもとに、その懇談会の申合せがなされたわけであります。その際、現在見えております山村治郎氏は民主党の政調会にお諮りになり、そうしてわれわれが翌日十二月十日において決議いたしましたその決議の内容について賛意を表され、決議をなさつたわけであります。そこで、私は、今山村委員からも質問がありましたが、重ねてお尋ねいたしたいと思いますのは、私たちが決議いたしました年末に支給する一時金について、私たちが決議をいたしましたのと、内閣閣僚懇談会において年末に支給する一時金についてということで決定をされました事項は、内容は同じものであるかどうかということをお尋ねいたしたい。
  46. 千葉三郎

    千葉国務大臣 ただいまの御質問でありますが、委員会の決議は、昨年同様ということになつております。そこで私どもは、この表現においてほぼ同様であると、こう考えております。
  47. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 ほぼ同様であるというところでお逃げになりましたけれども、決議とほぼ同様である、ではどういうように違う点が出て来るのか、これをお尋ねいたしたい。
  48. 千葉三郎

    千葉国務大臣 御承知のように、先ほど山村委員からお述べになりましたように、大蔵当局といたしましては業績手当というものを非常に重要視しておるのです。すなわち、成績の上らない官庁、公社そういうものに対して、業績手当というものは出せないということを強く主張しておられます。こういうことを広く解釈して、そうして政府としては一・二五、但しその前に、当事者間で団交によつてこれをまた解決することは、政府は関知しないという態度でありますから、ほぼ同様ということに結論的にはなると思います。
  49. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 その前に団体交渉によつて自主的に解決されるということですが、現在の公共企業体の会計の状態と、大蔵省がその監査といいますか、監督の地位にある、こういう関係では、なかなか大蔵省の意向を無視してはできないような状態になつておるのであります。そこで、先に団体交渉によつてある線が出て、そのうち一・二五までは政府として責任を負うということではだめでして、政府として一・二五を責任を負い、さらに自主的にその後において団体交渉をおやりなさいというならば、これはあるいは出るかもしれませんが、財源措置としては、政府として一・二五をどういうように具体的に確保されるのか、その具体的内容についてお尋ねいたしたい。
  50. 千葉三郎

    千葉国務大臣 ただいまの御質問は、いずれも同様であろうと思います。すなわち、政府としては一・二五を確保する、これだけの財源措置は保証するということなんです。ですから、その前においてもあとにおいても、団体交渉によつてそれを解決するわけでありまして、政府だけは一・二五を確保する、こういう意味であります。
  51. 田中織之進

    ○田中(織)委員 関連して。ただいまの多賀谷委員質問に関連して、労働大臣に伺いたいのであります。委員会の決議は、昨年と同様程度のものを出してやつてほしい、こういうことで満場一致きまつておる。昨年はどの程度年末に一時金が渡されたかということについては、先ほど中西労政局長からお話がありましたように、一・二五にプラス・アルフア——これは企業体によつて〇・二のところもあれば、〇・二五のところもあつて不同であつたと思いますけれども、少くとも一・二五に、さらにプラス・アルフア分が支給されておるのであります。私らの理解といたしましては、労働委員会の決議は、少くとも昨年の支給された額を支出してやつてほしいという委員会の意思だというふうに理解いたしておるのであります。重ねてお伺いいたしますが、この点は、先般の十一日の閣僚懇談会の申合せをそのように理解してよろしいのでしようか。
  52. 千葉三郎

    千葉国務大臣 この委員会の決議を尊重いたしまして——委員会の決議も昨年とほぼ同率とあつたようであります。そこで政府といたしましては、その趣旨を尊重いたしまして、それに財源を確保する意味において政府としては一・二五を保証するということを、大蔵大臣を含めての経済閣僚懇談会におきまして確定しております。ですから、御希望の点に沿うことができると思います。
  53. 田中織之進

    ○田中(織)委員 そういたしますと、予算にあります一・〇にプラスする〇・二五分については、政府において財源的な措置について責任を持ち、さらにそれに昨年とほぼ同率のプラス・アルフアする部分については、これは全体として公共企業体は団体交渉の内容になつておるわけであります。その意味で、閣僚懇談会の申合せが前にあつても、あとにあつても、当然各企業体で話合いをするということになるわけでありますが、私の確認いたしたい点は、〇・二五分については、財源的な措置を政府の責任においてこれを確保し、さらにプラス・アルフア分は、これはふるいは出るか出ないかの問題は、各企業体が団体交渉において自主的に解決していい、そういうように理解してよろしゆうございますか。
  54. 千葉三郎

    千葉国務大臣 その通りでございます。そうして昨年のプラス・アルフアということも、政府としては存じません、それは全然わかりはしません。政府としては、一・二五につきまして財源を確保するという意味であります。
  55. 田中織之進

    ○田中(織)委員 そこで、政府の責任において財源的な措置を講じてやるという〇・二五分の財源的な措置の問額でありますが、それは閣僚懇談会の申合せによりまして、補正予算等は出ないわけであります。勢い財政法上からは、予算の流用移用等によつて、各企業の会計の中から操作しなければならぬことになるのでありますが、現に〇・二五分については、大蔵当局は、各企業体からそれぞれ流用ないし移用をして確保しようという〇・二五分についての財源的な打合せを事務的にいたしておると思うのでありますが、その点については、大蔵当局は、大臣だけの理解ではなくて、事務当局とも現にその線に沿うて努力しておると理解してさしつかえないのでしようか。
  56. 千葉三郎

    千葉国務大臣 その点につきましては、十分事務的に交渉が行われておると思います。
  57. 田中織之進

    ○田中(織)委員 それは、もちろん閣僚懇談会の申合せを、その後の閣議で確認をされておるということでありますから、労働大臣並びに大蔵大臣の責任においてそれが確保されるものだ、こういうふうに理解していいでしようか。
  58. 千葉三郎

    千葉国務大臣 さように御了承を願います。
  59. 葉梨新五郎

    葉梨委員長 多賀谷君よろしゆうございますか。
  60. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 いいです。
  61. 葉梨新五郎

    葉梨委員長 それでは黒澤幸一君。
  62. 黒澤幸一

    ○黒澤委員 鳩山内閣は、成立しましてわずか一週間にしかならないのでありますが、この間鳩山内閣は、いろいろな政策を発表いたしまして、われわれから見ますならば、ほとんど実行のできないようなから手形にひとしいような政策が発表されて参つておると思うのであります。またただいま労働大臣からごあいさつがあつたのでありますが、労働行政一般についての所見の発表と思うのでありますけれども、今多賀谷委員が申されましたように、われわれは現在の鳩山内閣に対しまして、そうした一般的な政策等には、何ら期待を持つていないのであります。そればかりではなくて、鳩山内閣選挙管理内閣であります関係上、来るべき総選挙までの内閣であるのでありまして、その結果によつて、鳩山内閣がなお継続しますならば、そうした政策についてわれわれは検討する必要も認めるのでありますが、そうした選挙管理内閣に対して、今われわれはそうした一般的な政策、主張について、御質問申し上げる必要は認めないのであります。それで私は、当面の問題の一つであります失業対策につきまして、千葉労働大臣お尋ねしたいと思うのであります。  ただいま労働大臣のごあいさつの中に、失業対策といたしまして、明年三月までの対策としては、失業対策事業国庫補助額と、新たに八億五千万円を追加してその活用をはかるとともに、九億六十万円の国庫補助により、道路建設等緊急就労対策事業を、失業情勢に応じ重点的に実施する予定であるということが述べられてあるのでありますが、これは鳩山民主党内閣ができましてこれが出たのではなくて、吉田内閣のもとにおいて組まれた予算であると思うのであります。そこで私は、明年三月までの前内閣のもとにおいて組まれたそうした予算のほかに、民主党内閣といたしましては、別な失業対策に対する予算的な措置を講ずるお考えがあるかどうか、その点を最初にお聞きしたいと思います。
  63. 千葉三郎

    千葉国務大臣 ただいまの御質問でありますが、実は新内閣成立して日浅いのであります。そこで、明日からそうしたような失業の問題、また失業道路あるいは失業河川改修、いずれもみな失業対策としてそうしたものを重点的に考慮したいと思つております。どういうふうに予算措置をするか、まだわかりませんが、少くともそれらのものを鳩山内閣の新しい施策といたしまして、予算の中に十分織り込む考えであります。
  64. 黒澤幸一

    ○黒澤委員 先ごろの新聞の発表によりますと、鳩山内閣は建設省関係の土木事業等の公共事業に、一日平均一万五千人の失業者を吸収するというようなことが発表されたのでありますが、これはどういうふうに重点的に施行、実施されるのでありますか。何箇所かこれを実施する各県の場所が、新聞にも発表になつておると記憶しておるのでありますが、具体的に、そのうちどこをいつ実施するお考えでありますか、その点をお聞きしたいと思います。
  65. 江下孝

    ○江下説明員 建設省で所管いたしております緊急就労対策費の数字でございますが、先ほど大臣から御説明いたしましたように、公共事業失業対策的にできるだけ運用して行くという考え方のもとに、新しく補正として計上されました予算は、国庫補助の総額が九億六千万円となつております。一−三月におきまして、毎日一万五千人の失業労務者の吸収を目的といたしております。そこで、この実施につきましては、建設省におきまして、できるだけ失業対策にマツチするように、今諸般の準備を進めておるわけでございますが、私の聞いておりますところによりますと、大体この一月から着工いたしまして三月まで実施をする。それから実施箇所等は、まだ具体的にこまかくどこの道路をやる、どこの河川をやるというまではきまつていないようでございますが、これは労働省から提出いたしました失業情勢の見取図がございます、これによりまして、失業の最も深刻な地帯を中心として計画をする。大体のところを申し上げますと、大都市周辺、あるいは石炭産業等の不振の地帯等々を中心に実施をすることになつております。なお詳細につきましては、建設省の方に御照会をいただきたいと思います。
  66. 黒澤幸一

    ○黒澤委員 もう一点だけお聞きしたいと思います。失対労務者の年末手当等につきましては、あとで島上委員からお尋ねがあると思いますので、ここでは触れませんけれども、私の伺いたいのは、この失対事業の労務者に対しまして、地方の公共団体が年末手当を出すことに対しまして、今までの政府は干渉しておるとわれわれは聞いております。都道府県あるいは市町村企業体におきまして、失対事業の労務者に年末手当、もち代を出すことに対して干渉し、出すまいとしておるということをわれわれは聞いておるのでありますが、鳩山内閣におきまして、千葉労働大臣は、そういうことについて一体どういうお考えを持つておるか、この機会にお聞きしておきたいと思う。
  67. 千葉三郎

    千葉国務大臣 ただいまの御質問でありますが、私どもはそういう実態を十分調査いたしまして、そうしたことのないように最善の努力をいたします。
  68. 葉梨新五郎

  69. 島上善五郎

    ○島上委員 私は一点だけ伺つて、他の問題は留保しておきます。日雇い労務者の年末手当のことであります。昨年度吉田内閣当時に、政府からC級の五日分を出したことは御承知通りだと思います。ところで私どもが日雇い労働者諸君の現状を考えますと、日雇い労働者諸君が、年末手当十一日分、年末年始の有給休暇四日分、合せて十五日分をほしいと要求しておるのは、実はきわめて控え目なささやかな要求だと思います。この控え目なささやかな要求だけは満たしてやりたい、こう存じて、前の小坂労働大臣当時にも、右派社会党において、あるいは私どもにおいて、それぞれ折衝を行つたのであります。小坂労働大臣さえ、と言つては失礼かもしれませんが、小坂労働大臣でさえもが、去年に比べて若干の増額を考慮しておる、こういう言質をわれわれに与えておる。私は、甲の上だと言われておる千葉労働大臣ですから、この日雇いの諸君に対しては、もう少し思いやりがあつてしかるべきだと思う。若干増額のことを考えておるかどうか、これを伺いたい。
  70. 千葉三郎

    千葉国務大臣 日雇い労働者に対しては、まことにお気の毒で、ほんとうに何ともお慰めする言葉がないのでありますが、ただいま島上さんの言うように、予算措置を五日以上するということは、現在の段階では遺憾ながらむずかしいのであります。何とかしたいと思いながらも。現在では五日以上は政府としては非常に困難であります。まことに残念でありますが、この点をひとつ御了承願いたい。
  71. 島上善五郎

    ○島上委員 追加補正予算はすでにきまりましたので、私どもこの問題に関して、新たに追加補正予算の措置をということを今言つておるのではありませんけれども、予算の操作のわく内で、ほんとうに思いやりがあるならば私はできるはずだと思うのです。二日分ふやしたところで、そんなにたいへんな金額にはならぬはずです。私は実は新労働大臣に、ぜひ日雇いの諸君の現場を見てもらいたい。現場に行つてもらえば、私は認識を新たにすると思う。小坂労働大臣でさえ、増額を考慮しておると言つたのですから、私は当然新労働大臣は数日間の増額を考慮しておるものと期待しておりました。今の答弁を聞いて、はなはだ期待はずれで、甲の上どころではない、たいへんな点数をつけなければならぬことになると思うのですが、困難だという言葉は、不可能だという言葉とは必ずしも同一ではない。困難ではあるけれども、大いに努力をして若干の増額について努力をする、考慮するということを、私は前大臣から聞きましたから、新労働大臣からは、困難ではあるけれどもいま一応の努力をする、あるいは大蔵当局と折衝する、こういうような同等を実は期待しておつたわけです。もう一ぺんはつきりと御答弁を承りたい。
  72. 江下孝

    ○江下説明員 大臣から先ほど申し上げましたように、実は本年度の補正予算も、結局は将来増大いたします失業者に対処いたしますものが主体でございます。従いまして、今これをそういう手当の方に増額いたすといたしますと、結局失業救済の面において、欠けるところが出るわけでございます。私どもといたしましては、皆様がおつしやる趣旨は、十分わかるのでございますけれども、しかしながら、一方におきまして、民間の企業等におきましては、相当不振の企業もございますし、加えて年末手当だとか賃金の遅欠配という問題がございますし、私は本年度につきましては、この五日分をもちまして御了承願いたいと考えます。
  73. 黒澤幸一

    ○黒澤委員 関連して。財源がない、予算のやりくりができないというようなお言葉でありますが、昭和二十九年度の失対事業の就労人員の予算は十六万三十ということになつております。ところが、実際実行しておりますのは、これは前の小坂労働大臣が本委員会において述べられたのでありますが、一日十五万七千しか就労していない。予算においては十六万三千計画しておる、そういう金はどこへ行つているのですか。そういうものをこうした失対事業労働者の年末手当に若干出せないということは私はないと思いますが、その点どうでしよう。
  74. 江下孝

    ○江下説明員 小坂大臣が十五万七千しか出してないと申し上げましたのは、本年度の第一・四半期でございます。第三・四半期は十六万三千、第三・四半期が十七万六千、第四・四半期には十八万六千を出す予定にいたしております。
  75. 島上善五郎

    ○島上委員 私は最後に、ぜひ大臣に答弁を願いたい。小坂労働大臣は考慮すると言つておるのですから、その考慮さえしない、努力さえしないということになれば、残念ながら小坂労働大臣以下の点数をつけざるを得ない。私は日雇い諸君が要求している年末年始の有給休暇を合せて十五日分というのは、決して不当な過当な要求ではないと思います。少くとも、大臣は不可能だと言つておるわけではない。ですから、考慮する、あるいは努力するということぐらいなければ、鳩山内閣の新労働大臣としては、はなはだ私ども期待はずれだと思います。そんなことはないと思つて、私どもひそかに期待しておるのですが、大臣からこれに対するいま一ぺんの御答弁を承りたい。
  76. 千葉三郎

    千葉国務大臣 ただいま島上さんの御質問でありますが、この日雇い労務者の問題につきましては、将来においては十分考慮して、この問題を解決しなくちやならぬと思います。ただ、現在の予算措置としては、なかなか困難でありますので、これを何とか改善して行くためには、地方公共団体とある程度提携いたしまして、そちらの方も善処してもらうということにしなければならぬと思つております。私どもに、この問題に対しまして冷淡であるわけではありません。十分あたたかい心持をもつて努力はするつもりであります。
  77. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 大臣及び局長は、精神にごもつともであるから、市町村においても若干の配慮をしたいと言つております。ところが、従来労働省では、それを何かチエツクするような動きがあつたやに聞いております。新労働大臣としては、市町村が親心をもつてもち代をやろうというのに、それはいかぬということは、よもやありはしないと思いますが、従来あつたやに聞いておるわけです。新労働大臣のそれに対する所信を伺いたい。
  78. 千葉三郎

    千葉国務大臣 地方公共団体が、その日雇い労務者に対しまして同情的な態度をとるのを阻止するというようなことは絶対いたしません。
  79. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 この際一、二点大臣のお耳に入れておきたいと思います。建設省予算として九億六十万円の緊急就労対策費あるいは今度失業対策費を八億五千万円も組んだとか、特別失業対策事業を行う資材費を四十五円から二百円程度上げるということはごもつともです。ところが市町村においては、もうこれ以上事業をいくら割当ててもらつても、地方財政上どうにも行かない、現在の補助率では引受けきれないという市町村があるわけです。ことに呉のような旧軍港都市あるいは炭鉱地帯のように、財源が全然枯渇して、同じ地域に多数の失業者が出て来ている地域がありまして、いかに割当があつても、市町村ではどうしても引受けきれないという点があるわけです。なるほど、これらは特別交付税の対象になるということでありますけれども、現実の問題としては、特別交付税も少いものですから、そこまではいき渡らないのであります。そこで、これは立法する必要はないから、行政措置として、大蔵省にかけ合つて、そういう点については、補助率について何らかの考慮をしてもらいたいと思いますが、これについての大臣のお考えを伺いたい。
  80. 千葉三郎

    千葉国務大臣 ただいまの問題につきましては、今後十分研究いたしまして、成案ができましたならば、また御相談申し上げたいと思います。
  81. 葉梨新五郎

    葉梨委員長 暫時休憩いたします。    午後三時四十七分休憩      ————◇—————    午後六時開議
  82. 葉梨新五郎

    葉梨委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  委員長は、国会法第七十一条の規定に基きまして、議長を経由して大蔵大臣の出席を求めておつたのでありますが、いろいろ御都合があるそうでございまして、明日午後一時に必ず大蔵大臣の出席があるということを、与党の諸君が保証いたしましたので、与党の諸君の保証に信頼しまして、一応本日はこれにて散会いたすことにいたします。    午後六時一分散会