運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1955-01-24 第21回国会 衆議院 本会議 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年一月二十四日(月曜日)  議事日程 第九号     午後一時開議  一 国務大臣演説に対する質疑     —————————————  第一 一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案人事委員長提出)     ————————————— ●本日の会議に付した事件  議員河原田稼吉君の逝去につき院議をもつて弔詞を贈呈し、その弔詞議長に一任するの動議鈴木義男提出)  国務大臣演説に対する質疑前回の続)     午後三時四十五分開議
  2. 松永東

    議長松永東君) これより会議を開きます。     —————————————
  3. 松永東

    議長松永東君) 御報告いたすことがあります。議員河原田稼吉君は一昨二十二日逝去せられました。まことに痛惜哀悼至りにたえません。  この際、弔意を表するため鈴木義男君から発言を求められております。これを許します。鈴木義男君。     〔鈴木義男登壇
  4. 鈴木義男

    鈴木義男君 ただいま議長から御報告に相なりました故衆議院議員河原田稼吉君に対し院議をもつて弔詞を贈呈し、その弔詞はこれを議長に一任するの動議提出いたします。(拍手)  同僚河原田稼吉君は、一昨二十二日、病をもつてにわかに逝去されました。まことに哀悼至りにたえません。私は、ここに、諸君の御同意を得まして、議員一同代表して、つつしんで敬弔言葉を申し述べたいと存じます。(拍手)  君は明治十九年一月の生れでありますので、行年六十八才、その天寿においては決して恵まれて余りありとは申しかねるのであります。天さらに君によわいをかしましたならば、その円満なる人格と豊富なる経験とを生かし、邦家社会のためまだ大いになすあるの身をもつてこのたび急逝されましたことは、まことに惜しみても余りある次第であります。(拍手)  君は、福島県南会津郡伊南村の出身でありまして、長じて東京帝国大学浅科に学び、明治四十二年卒業、若くして地方事務官より内務書記官となり、熊本県及び長崎県の警察部長を経て、内務大臣秘書官となり、また社会局部長にもなつたのであります。この間、大正十三年及び昭和三年と、両度スイス国に開かれましたる国際労働会議にわが政府代表として出席されたのであります。その後、台湾総督総務部長となり、内務次官となり、昭和十二年には林内閣内務大臣となり、その翌年には貴族院議員となり、さらに昭和十四年には阿部内閣文部大臣に任ぜられたのであります。戦後しばらく閑地にあられましたが、民主的政治家たることを決意せられ、昭和二十七年の第二十五回総選挙に際し、郷里福島県第二区より立候補、よく衆望を集められまして当選され、引続き昭和二十八年の第二十六回総選挙にも当選され、もつて今日に及ばれたのであります。  君は、頭脳明晰、しかも精励恪勤、まことに典型的な能吏でありましてすこぶる内務行政に通暁し、得やすからざるエキスパートでありましたが、しかも、その視野は広く、時代とともに推移することを知り、ただに狭い意味内務行政にとどまらず、新たに社会行政分野を開拓し、その方面の著述もあるくらいであります。ゆえに、その識見を高く評価せられ、内務行政の長として、また教育行政の長として台閣に列すること二度、その功績は永く没すべからざるものがあるのであります。(拍手)  君はまた、さらに社会政策並びに社会事業にも力をいたされ、かつて財団法人協調会常務理事を勤められ、また昭和十七年より二十一年まで健康保険組合連合会会長の職におられたのであります。  戦後民主政治家を志されましてからは、過去の栄誉を捨て一個陋巷の士となられ、わらじをはいて農村を訪れ、爐辺を囲んで民情を聞くという態度であり、私どもとともに逐鹿場裏にあるや、決して論難抗争を事とせず、じゆんじゆんとして所信を説く長者の風格があつたのでありまして(拍手選挙戦における異彩たるを失わなかつたのであります。  議会においては、よく公僕たる自覚に徹し、事大小となく、よく選挙民要望議政の府に反映させるに努力するとともに、選良としての任務の遂行にいかに忠実であつたかは、諸君の最もよく知らるるところであります。(拍手)君は、さきに貴族院議員たること八年五カ月、後衆議院に席を占むること二年四カ月、前後十年九カ月にわたつて憲政議会政治のために尽されたのでありまして、その功績は長く伝うべきものであります。  かく、君は、戦前より戦後に及ぶ長い間常に行政政治指導的地位にあつて国利民福のために尽瘁されたのでありまして、わが国の前途ますます多事ならんとするとき、君のごとき人材を失いましたことは、これを小にしては、選挙区はその最もよき代表を失つたことであり、これを大にしては、邦家のためまことに痛惜にたえないところであります。(拍手)  ここにいささか故人生前の勲跡を回顧し、その人となりを愛惜いたしまして、敬弔言葉といたす次第であります。(拍手
  5. 松永東

    議長松永東君) ただいま鈴木君から提出されました動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり」〕
  6. 松永東

    議長松永東君) 御異議なしと認めます。よつて動議は可決せられました。   ここに議長の手元において起草いたしました文案を朗読いたします。  衆議院ハ多年憲政ノ為二尽津シ再度国務大臣重任ニアタリタル議員正三位勲二等河原田稼吉君ノ長逝ヲ哀悼シ恭シク弔詞呈ス  この弔詞贈呈方議逝において取り計らいます。      ————◇—————   一 国務大臣演説に対する質疑前回の続き)
  7. 松永東

    議長松永東君) 国務大臣演説に対する質疑を継続いたします。船田中君。     〔船田中君登壇
  8. 船田中

    船田中君 私は、自由党を代表いたしまして、憲法問題を中心として二、三重要なる施策につき鳩山内閣所信をただしたいと存じます。鳩山総理大臣を初め関係者大臣の明確なる御答弁を要求いたすものでございます。  憲法問題につきましては、すでにわが党緒方総裁その他からも質問宏あり、鳩山総理大臣の御答弁を拝聴いたしたのでありますが、「質疑応答を承わつておりますれば、ますます政府見解はあいまいとなり、その所信は動揺いたしておるのではないかとさえ感ぜられるのであります。(拍手)これはただ民心歴史的変遷によるというような言葉をもつて片づけることのできない問題でございます。総選挙を控えて、憲法の問題はきわめて重要にしてかつ根本的の大きな問題であります。私は、ここに、なるべく重複を避けつつ、重要なる数項目にわたつて質問をいたさんとするものでございます。  第一に、現行憲法は、制定の時期、その事情にかんがみ、独立国となりました今日においては全面的に再検討さるべきであり、今は自主的憲法制定の準備を進めるべき時期ではないかと存するのでありますが、鳩山総理大臣憲法問題に対する根本的の態度とその所信とを承わりたいのであります。すなわち、鳩山総理大臣がかねて御要望になられて設置せられましたわが党憲法調査会において、憲法制定に直接関与せられました故松本烝治博士を初め、当時の法制局長官その他の実務家、学者を招致いたしまして、的確なる資料に基き調査をいたした結論においては、現行憲法は、その制定の時期が外国軍隊占領下にあつて国民の自由の意思の表示が許されないときであり、その原案は少数の日本の国情にうとい外国人め手によつて早急の間に作られ、しかも、当時まさに開かれんとする国際軍事裁判に関し、天皇の一身上の安全を条件といたしまして、最後通牒的に受諾を強要されたものであり、また、その手続において旧帝国憲法第七十三条による形式をとつておるのでありますが、それは事実に反し、論理にもとり、しかも第七十三条自体の明文にも違反しておるのでありまして、いかにも押しつけられた憲法という感を深くするのであります。鳩山総理大臣は、これについて、かつてその著書において言つておられるのであります。すなわち、「日本を永久的に無力化しようという目的のためと私は推察するのであります。なぜそういう結論が出るかといえば、ヤルタの協定や、あるいはポツダム宣言や、あるいは共産党員をみんな釈放し、これに反して日本愛国者を片つ端から追放した、財閥は解体したというようなわけで、日本伝統も、日本経済界も、日本社会もみんなめちやくちやにしようという意思のもとにこういう憲法ができ上つたのであります。」云々と申されておるのであります。鳩山総理大臣は、憲法に対しまして、今日もなおかような見解を持つておられるのでありましようか。憲法に対する鳩山総理大臣基本的態度を承わりたいと存じます。(拍手)  次に、憲法防衛の問題につきましては、すでに質疑応答が重ねられておるのでありまするから、私はここにこれを繰り返そうとは思わないのでありまするが、結論といたしまして、政府は、現行憲法のもとにおいても、自衛のためであるならば陸海空軍その他の戦力を持ち得ると断言するのでありますか。現在の自衛隊は、憲法第九条の二項に禁止いたしておる陸海空軍その他の戦力の中には入らないのであるかどうか。さらに、自衛隊外国軍隊交戦する場合においては、国の交戦権は認められるという考えを持つておられるのであるかどうか。それらの見解を明らかにせられんことを望むのであります。(拍手)  鳩山総理大臣を初め与党の諸君の多くは、吉田前内閣防衛体制に関する見解に対し強く非難をせられ、自衛隊はやみの軍隊であるから士気が上らないのであるというようなことを攻撃されておつたのでありまするが、今後自衛隊士気高揚のためにいかなる所信をもつて臨まれるのであるか、あわせて政府見解を伺いたいと存じます。(拍手)  次は、天皇制の問題であります。天皇制の問題は、ただに憲法法理上の問題としてきわめて重要なるばかりでなく、社会の構成、文教の上においても重要なる関係を有するものであります。ことに、鳩山総理大臣は、文教の刷新、社会道義国民道徳高揚を強調せられておる立場からして天皇制に関する御所信を承わりたいと存じます。わが憲法におきましては、天皇日本国象徴であり、国民統合象徴規定されておるのでありまするが、その意味はあいまいであります。多くの近代国家において国王または君主を置く場合におきまして、君臨すれども統治せずとの原則をとり、君主制共和制と対照すべき観念であつて中主政治と矛盾するものではございません。イギリス、ベルギー、スカンジナヴィア諸国等の例はこれを証明しております。共和国におい民選大統領を置いておる諸国において、かえつて仲裁政治に走り、クーデターによる政変の行われておる事例は、今なお中南来諸国に少からず見るところであります。昨日、本議場におきまして、ある論者は、ワイマール憲法ヒトラー独裁への道を開いたように言われておりまするが、イデオローギーやイズムによりましてにわかにその国の政治経済の実体が変ると考えることは、社会主義政党諸君の大きな錯覚であります。(拍手わが国のごとく古い国においては、むしろ歴史伝統の背景を持つ天皇制を維持し、天皇国家代表国民の総代という意味におきまして、かつて改進党憲法調査会においても主張したことく、天皇を国の元首としてその地位を明らかにすることが、国民統合の強化をはかる上において効果的でありはしないかと考えられるのでありますが、以上の趣旨におきまして、政府天皇制に対する所信を承わりたいと存じます。  次は、権利偏重公共福祉の問題でございます。現行憲法基本的人権尊重に重点を置いておりますことは、その趣旨において賛意を表するやにやぶさかではありませんが、国民義務については、納税の義務などわずかに存するのみでありまして、かかろ権利偏重憲法規定外国にも多くその例を見ないところであります。戦争を放棄した日本憲法が、旧憲法と異なりまして、兵役義務について規定しないのは当然でありますが、国家を守るということは国民全般の崇高なる義務でなければなりません。(拍手外国憲法には多くそのことを規定し、ことに共産諸国においてすら、たとえばソ連の憲法第百三十二条には、人民兵役に服する義務を有する、軍務に服することは人民の名誉ある義務であると規定し、同百三十三条には、祖国防衛人民の神聖な義務であると書いてあります。また、中華人民共和国憲法においても、祖国防衛し、兵役に服する義務について規定してあるのであります。順法の精神国家に対する忠誠の義務については、多くの立法例はこれを認めておるにかかわらず、わが国におきましては、憲法制定と同時に刑法を改正し、国家の安全を害するような反逆行為を処罰する規定をすら削除してしまつておるのであります。(拍手)それでは、国民思想の動揺に乗じて共産革命の脅威が迫つた場合におきましては、いたずらに国民は手をこまぬいて、なるがままに傍観すべしということになるのではないかと思われるのであります。わが国政治上、経済上の最大の問題は、何といつても、狭い領土、貧弱なる資源と過剰なる人口とのこの不均衡をいかにして克服し調整してすべての国民職業生活資料とを与えるかという一事に存することは言うまでもありません。憲法は、すべての国民幸福追求権利を認め、健康で文化的な最低限度生活を営む権利を認め、その能力に応じてひとしく教育を受ける権利を認め、国に対しては、すべての生活部面について社会福祉社会保障及び公衆衛生の面上及び増進に努むべき義務を課し、要するに文化国家福祉国家理想が遺憾なく表現されておるのであります。あたかも鳩山内閣施政演説のごとく、まことにけつこうずくめにできておるのであります。(拍手)しかしながら、これを実現するには、国家の財政と国民経済全体が発展し、国が豊かになることを前提とするのであります。かかる前提はいかにして達成されるのでありましようか。社会主義社会実現理想であるかもしれません。しかしながら、イギリスにおける終戦直後五カ年にわたる労働党内閣社会主義政権施策によつて重要産業国有国営の結果は、生産は減退し、貿易は不振に陥り、通貨価値は下落して経済恐慌を来たし、ついに四年前の保守党政権の再現を要望することとなり、ようやく立て直つてきたところのこの歴史の事実は、もつてわが国政治経済を推進していく上において大いに参考とすべきものと考えるのであります。(拍手)しからば、理想実現手段として、国民は、公務員たると産業人たると勤労者たるとを問わず、各自の職業を通じて国家経済の発展に協力すべきことは、国民当然の責務であります。(拍手)それらの根本問題について、現行憲法を初め諸法令規定は……。     〔発言する者多し〕
  9. 松永東

    議長松永東君) 静粛に願います。
  10. 船田中

    船田中君(続) 大いに欠けるところがあります。大いに疑わしきものがあります。以上の趣旨従つて改正はきわめて肝要であると考えるのでありますが、それらについても、実際政治の問題とあわせて政府所信を承わりたいと存じます。(拍手)  なお、家族制度の問題及び相続に関する問題について質問をいたしたいのであります。ことに、農村において今日均分相続制を採用しておるのでございますが、その結果といたしまして、農村において今日はすでに一戸当り耕作反別もきわめて狭小になつておる現状にかんがみ、遺産の平等分配によつて農地がさらに零細化されることは、農家経済の存立を危うくするものであります。(拍手)一部の人々は、法律均分相続といつても、事実上は相続権放棄によつて弊害の発生を防いでおるのであるから差しつかえないと言う者もありますが、各地実情においては、農地相続の紛糾はすでに各地相当はなはだしくなつておるのでありまして、いたずらに自発的相続権放棄のみに期待し得るものではございません。わが国のように農地細分化されておる国は諸外国にはまれでありまするが、それにもかかわらず、農地細分化を防ぐために憲法によつて家産制度を認めておる国は十七カ国に及んでおります。その他法律によつて家産制度を認めておる国もあるのであります。これらの国では、農地一定面積以下のものを世襲財産として法律上特別の取扱いをしておるものが多いのでございます。わが国においても、この立法例にならい、憲法においても、この立法例にならい、憲法におい均分相続制の例外として農地家産制度を認め、その内容は法律をもつて規定する必要があるのではないかと存ずるのであります。この問題につきまして、文部、法務、農林各大臣より所信を承わりたいと存じます。(拍手)  以上、私は主として憲法問題を中心して政府所信伺つたのでありますが、私はここにあえて法理論を戦わさんとするものではありません。私は、これによつて鳩山内閣施政全般に対する根本的の考え方、その所信をわりたいということであります。鳩山総理大臣は、施政演説の冒頭において、明朗なる政治実現して民主主義の徹底をはかると約束され、最後の章におい政官界粛正を特に強調されておるのであります。私は、鳩山総理大臣が病躯をひつさげて難局に当られることに対し、深い敬意を表するものでありますが、今日の時局は、予想せらるるがごとく、さように甘いものでは決してございません。(拍手世相は必ずしも楽観を許しません。世間では、一口に、本屋がつぶれてパチンコ屋になり、パチンコ屋が繁昌して新興宗教が栄えると申しておるのであります。(笑声)まさに世相の一端をうがつたと言うことができます。これに対し、いたずらにけつこうずくめ政策を並べ立てて、チンドン屋式万能膏的宣伝を事とすることによりまして、民生の安定も自立経済の達成もできるものではございません。(拍手)いな、むしろ、無責任なる閣僚の放言と予算の裏づけもない政策の羅列は、いたずらに民衆をぬか喜びさせ、民心を迷わし、やがては民衆の不満と失望と反抗とを買う以外の何ものでもございません。(拍手)ことに綱紀粛正のごときは、権力の座にある者みずから率先垂範してこそ初めて一般がこれにならうのでありまして鳩山内閣組閣わずかに一方月半にして、すでに閣僚の身辺に疑惑を生ずるがごときことあるは、まことに遺憾千万であります。(拍手鳩山総理大臣施政についての根本的の考え方「並びに綱紀粛正に対する御所信のほどを承わりたいのであります。(拍手
  11. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) この席から答弁を許可せられまして、まことにありがとうございました。(拍手)  船田君の御質問に対し御答弁を申し上げます。  私は、憲法改正根本的態度については、ただいま船田君が言われた通りに考えております。押しつけられた、つまり、われわれが、政府も国会も国民も全く自由を持つていない時代にでき上つたところの憲法改正すべきであると確信しております。(拍手)その改正の方法は、過日申しました通りに、憲法審議機関を設けて慎重にやつていくべきものと思つております。(拍手)  第二の、九条と自衛隊との関係は、自衛のために戦力を持つということは、私は憲法第九条の禁ずるところではないと思つております。(拍手自衛隊日本に対しての直接または間接の侵略に対して抵抗することを任務としておるのでありますから、防衛相当の実力は持つてよろしいものと認められるのであります。(拍手)  第三の天皇制につきましては、これはなかなか重大な問題でありまして、審議会の慎重な審議に待つて決定するよりいたし方がないと考えております。一次に自由権についてでございますが、もとより自由権は乱用してはなりません。公共福祉のために利用する責任は負うべきものと思つております。言いかえて言えば、公共福祉によつて制約せられるものと思います。(拍手)  第五の権利偏重においについてでありますが、権利偏重においはあるようには考えます。義務責任尊重を強調すべきということも船田君と同様の考え方であります。これも調査機関によつて慎重に審議をしていくより仕方がないと思います。  第六の家族制度についてでありますが、これもなかなかむずかしい問題で、調査会でとくときめるより仕方がないと思つております。  最後綱紀粛正についてでありますが、これは誠心誠意諸君とともに協力して、綱紀粛正に一そう努めたいと思います。(拍手)  以上をもつて私の答弁といたします。     〔国務大臣大村清一登壇
  12. 大村清一

    国務大臣大村清一君) 船田議員の御質問に対してお答え申し上げます。  戦力の点につきましては、総理大臣よりお答えになりましたから、重ねて申し上げません。  次に交戦権に関するお尋ねがございましたが、わが国に対し武力攻撃が加えられた場合に、国土を防衛する手段として武力を行使することはできると考えるのであります。交戦権意義につきましては種々の学説があるようでありますが、交戦権意義いかんにかかわらず、ただいま申し上げました通り自衛のための武力の行使は憲法上ごうも差しつかえはない、かく考えておる次第であります。(拍手)     〔国務大臣花村四郎登壇
  13. 花村四郎

    国務大臣花村四郎君) 船田君の御質問に対してお答え申し上げます。これは結局家族制度に関する問題と存じます。家族制度というのは親族の共同生活に関するあり方をいうのでありまして、これは道徳にまかせられた分野が非常に広いものがあるというべきであるが、さればというて道徳だけでは解決ができないものがあり、それが法律ことに民法規定されべきであることは言うまでもございません。民法は、御承知の通り終戦後新憲法の施行に間に合うように急速に改正されたのでありまして再検討を要するものが少くないということは十分に考えられるところでございます。さればといつて、単なる抽象的な理論だけに基いて軽々結論を出すことは、民法国民日常生活を規律するきわめて重要な法律であることにかんがみ、努めて避けなければならないと考えるのでございます。従つて、現在及び将来のわが国家族制度民法でいかに規定するかということにつきましては、政府としては今のところ予定した結論を持つていないのであります。よつて民法重大性にかんがみ、日本人の生活実情を検討し、さらに利害得失を十分に考慮した上で慎重に決定すべきものと考えているのであつて、今は軽々結論を断定すべき段階でない、こう考えるのでございます。(拍手)     〔国務大臣河野一郎登壇
  14. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) お答えいたします。家産制度を認めることにつきましては、いろいろ研究すべき点がございますので、農林省といたしましては、農業経営高度化農地金融創設等でこれに対処して参りたいと考えております。御了承願います。(拍手)     〔国務大臣安藤正純登壇
  15. 安藤正純

    国務大臣安藤正純君) 船田君の私に対しまする質問は、要するに、いろいろ家族制度改革から均分相続制あるいは平等分配制ということになつている、それが日本家族制度をくずすというようなことになつている、これに対する方策はどうかということに私の答弁関係するのでありますが、せつかく改革しました均分相続制ということは、これはいたずらにくずさない方がいいと私は存じております。ただ、しかし、法律だけでやつていきますと、うま味がありません。そこに、家族制度日本伝統制度でありますから、これは法も大事であるが、面、法とともに精神が大事であります。その点につきましては、学校教育並びに家庭教育方面におい十分努力をいたしておる次第であります。学校教育におきましては、社会科家庭科におきましてそういう方面を担当いたしている次第であります。それらの点について、ただいま十分改善を加えまして、社会科制度、すなわち地理歴史並びに倫理という方面につきましても改革を加えまして、小学校、中学校におきましては、この新学年から新しい改革をいたしましたことをやるつもりであります。また、高等学校におきましては、来年度から今の地理歴史並びに倫理について改善を加えましたことを実行する次第でございます。かくのごとくしまして、法律と相並んで、教育方面から日本のいい伝統改善しつつ維持したいと考えている次第でございます。(拍手
  16. 松永東

    議長松永東君) 次の質問に移ります。足鹿覺君。     〔足鹿覺君登壇
  17. 足鹿覺

    ○足鹿覺君 私は、日本社会党を代表して内閣総理大臣、外務大臣、大蔵大臣、自治庁長官、法務大臣経済審議庁長官、厚生大臣並びに特に河野農林大臣に対し、農政問題を中心に若干の質問をいたさんとするものであります。(拍手)  まず第一に、内閣総理大臣に対して、解散後における政局の収拾の基本方針並びに政党政治の運営方針について、その御所信を承わりたいのであります。わが党は、過般右派社会党と同時に臨時党大会を開き、来たるべき総選挙において第一党の地位を確保し、左右両派共同政権の樹立を期する旨の決意を新たにし、これを国民の前に宣明したのでありますが、(拍手日本社会党が第一党となり、多数の議席を占めたる場合においては、あなたは、議会政治のルールに従い、社会党政権の樹立に協力せられるかという点であります。すなわち、われわれは来たるべき総選挙をもつて保守対革新の対決の場と心得、保守勢力の徹底的粉砕を期するものであるが、自由、民主両党が第二党、第三党となり、少数党に転落した場合、あるいは民主党が第一党になつても過半数を制し得ぬ場合、財界の圧力に押され、国民選挙を通じて明らかにした意思をじゆうりんし、保守勢力内部において相手方の切りくずし工作ないしは保守合同、保守連携により、野合勢力の組合を策されるやいなや。要するに、今度の選挙の結果によつては、いさぎよく社会党に政権を渡すか、あるいは自由党または民主党のいずれかが相手を切りくずすか、保守合同または保守連携による政権にかじりつくか、二つに一つの道が残されているにすぎないのであります。(拍手)果してしかりとするならば、わが党が堂々と方針を明らかにしたことく、あなたもまた総選挙後における政局収拾方針を明らかにしたる後選挙戦に臨むことが、あなたの理想とするところの公明政治の大道であると信ずるが、総理の施政演説においても何らこの点に触れられておらないことは、平素のあなたの言動に照らして、はなはだ不可解とするところであります。(拍手)この機会に総選挙後の政局収拾の基本方針について明確なる見解を示されたいのであります。(拍手)  第二に、政党政治の本質とその運営について総理に伺いたい。すなわち、政党を基盤とする内閣制度のもとにあつては、行政の最高責任者としての大臣は、所属政党の政策に立脚して抱負識見を発表し、これを実践に移すべきことは、政党政治上の鉄則であります。しかるに、鳩山内閣の各閣僚は、眼中に党なく、また行政機関もなく、先を争つて責任なる放言をほしいままにし、てんとして恥じるところがないのであります。(拍手)しこうして、各大臣中ずば抜けて出色の誉れ高い放言居士は、河野農相その人であります。河野放言をべつするに、胸に一物を抱いて、とうてい実現不可能と知りつつ国民を愚弄するていのものであるのみならず、彼の属する民主党が天下に公表した政策政綱とは、まるでサギとカラスほど相違することをも平然と放言して、省みることを知らないのであります。(拍手)  すなわち、河野農林大臣は、就任早々、昨年十二月十二日、読売新聞の経済閣僚座談会において河野農政の目標いかんという質問に対し、次のように言つておるのであります。「食糧は増産すべきものなりとバカの一つ覚えのようにいつている」「これは農林行政ではない」「もつと具体的にいえば、従来の石黒忠篤流のやり方はぼくはどうかと思う」「農地改良費に一千億円近い金を使つて、そうして果して引合うかどうか、米をつくつてみたら高くついてしまつたというのではなんにもならぬ。」また「農家の二、三男対策をどうするかというけれども、これを農林行政で解決しなければならぬくらいバカな話はない。」と断定し、わが国農業政策の至上命令たる土地改良、食糧増産の基本国策を否認し、焦眉の問題たる農家二、三男対策の遂行を嘲笑しておるのであります。(拍手)しかるに、何ぞや、そう言つた舌の根のかわかぬうちに、農林大臣は、当の石黒忠篤君を農政顧問に迎え、石黒君の門下生であるところの内藤友明君を自己の女房役として農林政務次官に任命している。君子豹変と言わんよりは、その無定見、厚顔無恥はまさに顰蹙に値するものがあると存ずるのであります。(拍手)  しこうして、最近公表された民主党政策要綱の農林漁業及び食糧対策中には、農産物の増産が取り上げられ、麗々しく、長期総合経済計画の一環として、食糧増産総合計画を確立し、農地開発、土地改良、災害復旧等を効率的に施行するといううたい文句が出ておるのであります。一昨日の総理大臣施政演説といい、また民主党の政策要綱といい、選挙目当てのから宣伝であるのか、それとも、不倶戴天の仇敵吉田を倒し、夢にまで見た農相の地位を与えられた喜びの余り発した農林大臣の失言であるのか、そのいずれが鳩山内閣の方針なのか、明確なる言葉をもつて総理大臣所信を明らかにせられたいのであります。(拍手)  第三、農村二、三男対策につきまして農相に伺いたい。わが国の食糧不足は、このまま推移いたしまするならば、国内消費人口の増大と施設の老朽化、農地の壊廃等により、一九六〇年には実に四千万石に達し、その輸入のため七億ドルの外貨を必要とするに至るのであります。この冷厳なる事実は現に存するのでありまして、農林大臣のこのように乱暴きわまる認識をもつてしては、ついに亡国に導くおそれがあるのであります。また、農村二、三男対策を農林行政で解決しなければならぬくらいばかな話はないと農林大臣はうそぶいております。にもかかわらず、民主党の政綱中には、農林漁業における雇用の増大をうたい、あれこれと作文が行われておる。言うまでもなく、農村人口を農村外に送り出し、商工業部門においてこの過剰人口を吸収し、雇用の増大をはかることが、先進国における農村対策の本筋でありましよう。しかし、わが自の現状はいかん。不用意なるデフレ政策の結果、中小企業の倒産、首切りは進行し、都市の人口は農村へ逆流しておるのであります。農業経営規模はますます零細化し、兼業人口は急速に増大しておる。農村にも都市にも受け入れられない農家の二、三男は、一体どこに行つたらいいのか、農林大臣は、再軍備を行い、兵隊を作ることが農村二、三男対策であると言われるのか。土地改良、開拓、開墾等すべての生産政策は、農家二、三男対策に通ずる大道であると考えないのか。農林大臣農村二、三男対策についてその御所見を承わりたいのであります。(拍手)  また、鳩山内閣は、最近経済六カ年計画なるものを決定公表し、吉田前内閣の出たとこ勝負の、無計画、無方針に対し、一応の計画性を有することを誇示しようとしておるのであります。本計画によれば、今後六カ年間におい国民生活水準を一三%引き上げることと相なつているようであります。しかし、その内容なしさいに点検するならば、本計画は農村部の消費水準を抑圧して都市部に奉仕せんとする反農民思想に立脚するものであり、計画実施の過程におい農村がいよいよ窮乏に立ち向うであろうことは明白であります。経済審議庁長官は私の見解に対し明確なる反証をあげて説明できるかどうか。農林大臣はかかる観点から計画の練り直しをする御意思があるかどうか、伺いたいのであります。  次に食糧管理制度の改変について伺いたい。河野農林大臣は、随時随所に統制撤廃をぶつてつておられます。このような大臣の言動が、満身創痍の食糧管理機構をいよいよ危胎に陥れ、やみを横行せしめておることは否定できません。かつて農相が属した自由党、現に属する民主党など、独占資本に奉仕する一系列の保守反動政権は、戦後十年にしていまだ経済自立の基礎要件たる食糧自給体制を確立せず、 (拍手)年々四億ドルになんなんとする食糧輸入をもつて当面を糊塗してきたのである。河野農相は、さきの読売新聞座談会において、「大胆に申上げます。」米の統制は「撤廃すべきだと思う。」「日本の現状では、外米と内地米の比率をみてもわかるように、政府が外米だけをしつかり握つておれば、撤廃したからといつて何が起ろうというのか、それを握つていれば価格調節は元全に出来る。」しこうして「恵まれない大衆が外米を食うわけだ。」云々と、さわめて明快に割り切つておるのであります。外米による統制撤廃は、農相の確固たる信念である。しかるに、民主党の政策、政綱にも、大臣施政演説にも、統制撤廃については一言も触れず、供出制度改善とか、食糧管理制度の検討とか言つているようである。思想の不統一もまたはなはだしと言わざるを得ないのであります。(拍子)外交問題、憲法改正、再軍備問題等々、一つ一つの問題と同様に、鳩山内閣が寄木細工たるの実体を遺憾なく暴露いたしておるのであります。そこで私は伺いたい。政府は、さきに米穀懇談会を設け、食管制度改正問題を諮問したが、同懇談会は予約売り渡し制度を中心とした答申を行なつておる。しこうして、内閣は本年度より予約売り渡し制度に移ることを決定したのであるが、これは統制撤廃への前提であるのかどうか。農林大臣は、おそらく所信を変えられないでありましよう。とすれば、私は総理大臣に伺いたい。民主党内には、かつての旧改進党革新派に属する方々が相当おられる。これらの人々は統制撤廃絶対反対を唱、えつつあるのであります。(拍手)松村政調会長もそのお一人であるように承わつております。とすれば、民主党は、食糧問題をめぐつて遠からず空中分解をする運命に置かれていると言わざるを得ないのであります。(拍手)民主党総裁としての鳩山一郎君は、この事態をいかに調整せられるおつもりであるか、その基本方針を承わりたいのであります。自由党前大蔵大臣池田勇人君は、かつて、勇敢に、金持ちは米を食え、貧乏人は麦を食えと放言し、物議をかもしたが、河野農相は、さらに一歩を進め、金持ちは—、貧乏人は—と言うにひとしいのであります。(拍手国民はいまだ黄変米の恐怖から解放せられておらないのであります。統制撤廃により自由は得られるであろうが、しかし、その自由は、金持ちが内地米を食い、貧乏人が黄変米を食う自由である。平等なき自由は民主主義への反逆であります。供出制度の失敗、財政負担の問題から直ちに統制撤廃へ飛躍するのは、これによつて利益を得る一部の富農及び都市における一握りの富裕階級、並びに投機的な独占資本に奉仕せんとするものと断じて、あえて過言ではないのであります。(拍手)食管制度が、食糧価格の安定、配給の確保、社会生活の安定等の作用を通じて大部分の消費者、なかんずく労働者階級並びに大部分の農民、特に中小農民、なかんずく飯米購入農家に与えつつあるところの利益は甚大である。河野大臣は私の意見に対していかなる所信をお持ちになるか、総理の所信とともに、農相は具体的にその方針を明らかにせられたいのであります。第五、アメリカ余剰農産物の受け入れと食糧自給政策について、経審長官と農林大臣に伺いたいのであります。河野農相は、食糧政策と農業政策とは全く別物であると言われておりますが……。     〔発言する者多く、議場騒然〕
  18. 松永東

    議長松永東君) 静粛に願います。
  19. 足鹿覺

    ○足鹿覺君(続) ここに至つて、は、大臣はついに—ではないかと疑うものであります。
  20. 松永東

    議長松永東君) 足鹿君—足鹿君……。     〔発言する者多く、議場騒然、聴取不能〕
  21. 足鹿覺

    ○足鹿覺君(続) 大臣は、農業政策は対農民の政策であり、食糧政策は対国民政策であるから、政策の客体が違うからと言いたいでありましよう。(拍手)しかし、これは非常なる誤まりであります。(拍手)農林大臣の御関係の深い中央競馬と、あなたが平日開催禁止をきめられたが一向にやめそうにもない地方競馬とは、見物人が全く別だから別物だと言うにひとしいのであります。物事は本質によつて関係づけられなければなりません。食糧並びに農業政策は、生産より流通過程を経て消費に至る一系列の政策の総称であります。総じて、あなたは、生産問題はおきらいであつて、流通問題にばかり力こぶを入れる商人的傾向があるのであります。(拍手)商人に支配せられる農民はまさに悲劇と言うべきでありましよう。(拍手)今日食糧の輸入がわが国農業に与えつつある影響は、今後における国内農業の動向を左右する重大問題と言わなければならない。アメリカを初め各国の穀物商人が、わが国を好個の市場と目し、跳梁ばつこしつつある現状をいかに見られるのか。酪農製品に関連して申しまするならば、駐留アメリカ軍人、軍属、家族用に無税で輸入されたバター、チーズ、乳製品が、包装を変え、名前を変え、堂々と市販され、国内酪農業の発展の芽をつみつつある重大な事実を御存じないのでありますか。(拍手)昨年三月調印されたMSA五百五十条に基く余剰農産物処理が、軍事目的を持つ相互安全保障条約と結びついて、わが国、再軍備を促進する役割をになつたと同時に、アメリカ国内の農業恐慌を防止するに役立つたことは明らかであるが、その当然の反作用として、当局が何上強弁せられようと、国内麦の生産に悪影響を与え、著しい減反をもたらしつつあることは、統計数字の明白に示すところであり、何人も否定できないところであります。(拍手)さらに、今回の新余剰農産物処理法、すなわち一九五四年農産物貿易促進及び援助に関する法律が、共和党政権の死命を制ぜんとする過剰農産物による農業恐慌の回避策としてはなばなしく登場し、日本農民の犠牲においてアメリカ農民を救済し、他の後進国とともにわが国をも彼らの植民地化の手段に供ぜんとしつつあることは、全く疑う余地がないのであります。(拍手)アメリカの商品金融公社は、現に六十億ドルの農産物滞貨をかかえ、新余剰農産物処理法により、十三億五千万ドルを海外に売りさばこうとしておるのである。本法による輸出は通常輸出のワク外であることが絶対要件とせられ、しかも、わが国の対米借款となろうとしておるのであります。本年度八千五百万ドルの借り入れ条件はきわめて屈辱的であることは、私が昨年末の予算委員会において指摘した通りであります。  そこで、私は農林大臣に伺いたい。本法による米麦の輸入が基礎の薄弱なわが国農業に何らの影響なしと言われるのか、食糧政策と農業政策はあくまでも別個のものであると主張ぜられるのか、その所信のほどを承わりたいのであります。(拍手)また、経済審議庁長官に伺いたい。かかる吉田内閣の積悪の結晶たる屈辱的な取引の交渉を即時打ち切りとする意思はないか、この点、明確に御所信を開陳願いたいのであります。  第六に、独占資本の農村支配と、これが対策について伺いたい。世界における米の生産は決定的なる過剰段階に立ち至り、価格は急落し、最近におけるビルマ米相場はトン百四十ドルを割り、近い将来、古米のごときは百ドル以下という暴落相場を出す気配にあるという。ドルに換算して二百ドル前後という内地米は、いかにしてこの趨勢に対抗し得るであろうか。内地米が世界的に見て割高となりつつあることは、農民が不当にもうけているからではない。農民はいたずらに高米価をのみ望むものではない。ただ再生産を保障するところの米価を求めているのである。しかるに、今日の農村は、国内的にはデフレ経済のしわ寄せを受け、低賃金、低米価を押しつけられつつあり、国際的には過剰農業恐慌の渦の中に歩一歩近寄りつつあるのであります。農林大臣は、食糧統制撤廃にうき身をやつすことよりも、徹底した農業防衛態勢の確立にこそ挺進すべきではありませんか。(拍手)そのためには、まず独占資本の不当搾取により著しく高価な肥料、農薬、生活物資等々、基礎的な生産消費物資の価格引き下げにより生産費の低減に努めるべきである。近くガット加入が認められることになるならば、穀物関税の賦課による国内農業保護政策の採用は将来著しく困難となるでありましよう。  そこで、私は農林大臣に伺いたい。硫安価格値下げ交渉は一体どうなりましたか。硫安資本の一撃にあい、みごとに敗北を喫したのではないか。資本主義的経済機構のもとにおいて独占資本家がいかに貪欲なるものであるかは、あなたは身をもつて体験しつつあるのではなかろうか。彼らとの交渉の経過を、この機会において報告をせられたいのであります。  さらに、最近におけるえさ価格の暴騰をいかに見ておられるか。独禁法を侵す明治、森永等の巨大乳業資本の攻勢により乳価は暴落する一方、えさは日清、日粉等、製粉クラブ所属の巨大製粉資本の操作により一俵八百円を上回る暴騰ぶりであります。かくて、わが国酪農業の前途は暗雲に包まれておるのであります。日本飼料株式会社を支配する河野一郎君は、えさ価格が下落に向うより騰貴に向うことに妙味を感ぜられるのであるかどうか。最近二千五百トン余のふすまを河野一郎君の経営する会社を含む数団体に払い下げて小康を得ておるといわれるが、何ゆえふすま仲間の相場の発表を押えておられるのであるか。えさ価格が払い下げによつて下つたというならば、具体的に何百何十何円下つたか、その金額はどこと対比して下つたかということを、なぜ堂々と発表せられないのでありますか。その真意を伺いたいのであります。(拍手)  また、昨年秋以来、明治、森永等乳業資本の不当なる乳価引き下げに関連して、わが国酪農は危機に直面しつつあるのであります。これに関連をして、生乳殺菌についての厚生省令五十二号の問題について伺いたい。農相は、旧臘、衆議院農林委員会において、私の任期中に責任をもつて解決に当る旨言明をせられました。しかるに、一月八日、厚生省は、一部長名をもつて、きわめて例外的かつ一時的な措置を取るよう各県あてに通牒を発したにすぎません。乳業資本と組んだ県の衛生吏員が、巨大なる乳業資本の圧力に抗して、わが国酪農業の安定と発展のため協力するとはとうてい考えられません。このことは、すでにかつての厚生省次官通牒について試験済みであります。何ゆえに、厚生省令を改正し、もつて全面的に高温殺菌を認め、積極的なる牛乳消費の促進をはかろうとせられないのか、厚生大臣並びに農林大臣の御答弁をわずらわしたいのであります。(拍手)  さらに、私は砂糖の問題について伺いたい。農林大臣が就任早々打ち出し相当の破紋を描いた砂糖専売制度は、その後どうなりましたか。世に三日景気という言葉があり、セメント、肥料とともに砂糖はもうけがしらといわれておる。民主党の政綱中には、特別会計を設けて利潤を吸収するとあるが、いかなる方策を実施するのか、言明をしていただきたい。あなたが、砂糖について、初め脱兎のごとく、終り処女のごとき態度をとつておることについて、世間では、自由党内閣のドル箱であつた砂糖資本家を脅かして、獅子の分け前にあずかり、甘い汁を吸おうとしたための謀略であつたとさえ極言しております。現に、砂糖輸入の外貨割当の追加をめぐつて、忌まわしい風評が流布されている。私は、農林大臣の名誉のため、この風評を信じないものであるが、しかし、あなたは、専売制度ないし特別会計制度設置により、超過利潤の吸収をはかり、糖価の安定引き下げをはかる責任がある。あえて所信のほどを承わりたいのであります。(拍手)  第七、農協の育成強化と畜産団体について。次に、私は農林大臣が最も関心の深い畜産協同組合法制定運動について伺いたい。農林大臣としては、当然総合農業協同組合を育成し、農民からだまし取つている博労、畜産ボスのたぐいを排除し、有畜営農の確立に精進すべきものであるにもかかわらず、あなたは、畜産を一般農業より切断し、農村に巣くう家畜商人の代表を集め、大いに扇動し、畜産会、畜産協同組合を設置しようとしている。すなわち、業種別協同組合をつくろうとしておるのであります。すなわち、その意図は、家畜市場の設置権、えさの配給権、登録事業、地方競馬の開催権等、最も畜産によつてもうかると見受けられる商売を一手に掌握し、畜産界に君臨しようとしておるとさえ伝えられておるのでありますが、その御所信を伺いたいのであります。  第八、供米の減額補正と凶作加算金支払いについて伺いたい。農林大臣は、昨冬、米の推定実収が判明すれば、減額補正、減収加算について善処すると言明をされた。すでに推定実収高は旧暦十二月二十五日に公表をされ、作況指数は九二であることが判明をいたしました。昭和二十九年産米は予想外の不作であります。供米の減額補正会議は難航に難航をしつつあると言われておるが、いつまでに減額補正を決定される御所存であるか。また、減収加算に対しましては、農民の要求は二百七十五円であるが、これに対し農林省はわずか百四十円を大蔵省に要求したにもかかわらず、大蔵官僚は頑強にこの支出を拒否しております。農林大臣は本明日中にも米価審議会を開いて支出を決定せられるかどうか。全国の農民がこの事態を察知し、不測の事態が発生した場合においては、その責任はあげて鳩山内閣にあることを私は指摘しておきたいのであります。(拍手)大蔵大臣にお伺いいたしますが、凶作にあえぐ農民への公約を果す御所存であるかどうか、御明言を願いたいのであります。第九、農地改革の成果維持と農地問題について伺いたい。吉田内閣の反動逆コース政策に便乗をし、農地改革の成果を転覆せんとする寄生地主の陰謀が進行しつつあることは周知のごとくであります。鳩山再軍備党の実現を見るに至つてますます勢い猖獗をきわめ、暴力団、ファシズム団体の勢力と結んで、矯激な喝言辞を弄し、帝国主義国家の再現をたくらみ、善良なる農民を脅かしておるのであります。しかして、数日前、数千人の寄生地主を都内某所に集結して気勢を上げ、国家補償二兆円、創設農地二十カ年間転売禁止、小作料は収穫の三割以上とする等々、荒唐無稽の要求十八項目を決議しておる。しかるに、何ぞや、元自由党内閣文部大臣下条康麿なる人物がこの会長となつて会合を主宰し、民主党、自由党の現役代議士諸君が多数出席して祝辞を述べているという事実であります。(拍手政府は、農地改革犠牲者救済に名をかる右翼暴力団体を即時調査の上解散をし、破壊活動防止法により取り締る意思なきや、法務大臣に伺いたい。また、農林大臣は、農地改革成果維持のためいかなる対策を有するか、この機会に明らかにしていただきたいのであります。(拍手)さらに、農地問題に関連をし、最近自由人権協会が取り上げた沖縄におけるアメリカ軍政当局による不当価格による土地取り上げ問題について、外務大臣にお伺いいたしたい。今日までの外交折衝の経緯について、この機会に承わりたいのであります。(拍手最後に、私は大蔵大臣及び自治庁長官に伺いたい。大蔵大臣は、一昨日の財政演説において、税制改正問題に言及し、所得税、法人税、事業税の軽減、貯金利子に対する免税、配当所得に対する源泉課税の軽減を行い、これによつて平年度五百億を減税すると大みえを切つた。しこうして、これらの措置に伴つて生ずる財源の不足は消費税その他間接税の増収等によつて補てんすると説明をせられました。そこで私は伺いたい。間接税主義の可否についてはこの際省略をいたしますが、五百億減税の陰には最も悪質なる欺瞞的方法による増税の意図が隠されておると私どもは見るのである。大蔵大臣は、減税措置により生ずるところの歳入の欠陥を、まず砂糖消費税、ガソリン税、二級酒中心の酒税等大衆課税三百億によりカバーし、次いで平衡交付金の削減による穴埋めを地方税三百五十億の増徴により行おうとしておるようであつて、かくして農業事業税を新設し、住民税、固定資産税の引き上げが検討されておるのであります。減税五百億円のかけ声は総選挙用のスローガンにすぎず、鳩山内閣の真意はむしろ増税にあることを銘記すべきであります。(拍手)大蔵大臣及び自治庁長官は、直接国税の減税を上回る間接国税及び地方税の増徴は絶対しないと言明するかどうか、明快なる御答弁をお願いいたしまして、私の質疑を終りたいと存じます。(拍手
  22. 松永東

    議長松永東君) ただいまの足鹿君の発言中、不穏当の言辞があれば、速記録を取調べの上、適当の処置をとることといたします。     〔国務大臣河野一郎登壇
  23. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 足鹿さんからいろいろお尋ねがありましたが、便宜私からお答え申し上げます。第一に、私は一言、お答えを申し上げる前に申し上げておきたいことがあります。それは、およそお互いに農村に関する問題を話し合いますときには、十分に、どうしたらば農村のためになるかということを前提にして、一つ発言していただきたいと思います。(拍手)ただ議論だけしても、腹はくちくならないのであります。ただ意見だけ述べられても、農村生活は楽にならないのであります。     〔発言する者多し〕
  24. 松永東

    議長松永東君) 御静粛に願います。
  25. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君)(続) すなわち、肥料の値段を下げることに御賛成なのか反対なのか、はつきりおつしやつたらいかがでございますか。賛成なら賛成と言つたらどうですか。(拍手)[発言する者多し〕
  26. 松永東

    議長松永東君) 御静粛に願います。
  27. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君)(続) ふすまの値段を下げることに賛成か反対か、はつきり言うたらどうか。     〔発言するもの多し〕
  28. 松永東

    議長松永東君) 御静粛に願います。
  29. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君)(続) 賛成なら賛成、反対なら反対とおつしやつたらいかがですか。ただみだりに人のやる政策について批判だけきれて何になりますか。(発言する者多し)静粛にお聞きを願いたい。私は、昨日も申し上げましたる通り……。     〔発言する者多し〕
  30. 松永東

    議長松永東君) 御静粛に願います。
  31. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君)(続) 資本家によつて零細農民が搾取されておるということが社会諸君の主張のようでございますが、私は、昨日も申し上げましたる通り、農民の立場に立つて巨大資本家の利益を剥奪しようとしておることは、諸君御承知の通りであります。(拍手)すなわち、あなた方は、今まで過燐酸の値段が高いから下げろとおつしやつたことはないじやありませんか。カリの値段が高いから下げろとおつしやつたことはないじやありませんか。一度もみずからはそういう主張、政策を掲げずにおいて、人のやることに対して、この演壇から一方的に批判されることは、私は間違いだと思います。(拍手)私は、金持ちは内地米を食え、貧乏人は外米を食えと、いつ一体申しました。そういうことを、ことさら人をしいるようなことを言うて—足鹿さんも長年農村のためにお働きになつていることについては私も敬意を表する。しかし、私も農村のために働いております。お互いにもう少し真剣に、党の立場を時には離れてでも、お互いに尊敬の念を持つて戦おうじやありませんか。(拍手)それを、ただいまのように、たとえば……(発言する者多し)お答えを申し上げます。—お答えを申し上げます。ふすまの値段のごときは—ふすまの値段のごときは、農村に対して少しでも注意をなさつておいでの方であるならば、どれだけ下つたかということは、私が申し上げるまでもなく、御承知のはずだと思うのであります。(拍手)それを御承知ないようなことでは、農村に対して真剣に問題を考えておられぬという証拠であります。(拍手)毎日々々新聞の相場欄に出ておるじやありませんか。(発言する者あり)毎日相場欄に出ておるじやありませんか。これがわからぬようなことでは、農村問題を語る資格がないのであります。(拍手、発言する者多し)  次に申し上げます。(発言する者あり)次に申し上げます。高温殺菌の問題についての御意見でありますが、昨日も申し上げました通り、高温殺菌に対する問題を障害しておるのは一体だれでありますか。はつきり申し上げれば、参議院におけるあなた方の党が反対しておるではありませんか。(拍手)参議院における社会党が反対しておる。(発言する者多し)よくお聞きなさい。     〔発言する者多し〕
  32. 松永東

    議長松永東君) 静粛に願います。
  33. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君)(続) よくお聞きなさい。参議院において高温殺菌の問題に反対しておられるのは、どなたがしていらつしやるか。昨日も私は申し上げたじやありませんか。社会党の人がしているじやありませんか。はつきり申し上げます。社会党の統制委員長と申し上げたらおわかりになるでしよう。(拍手社会党の統制委員長が賛成なさらぬから高温殺菌の問題が片づかぬということは、あなた方御自身で考えたらわかるじやありませんか。それを、顧みて政府が悪いようにおつしやることは、何ということでありますか。こういうことは、お互いに……(発言する者多し)お互いに、真剣にあなた方がおつしやれば、私はこういうことは申し上げたくないのであります。それを、ただみだりに相手の立場を傷つけるというようなことは、お控えになつたらどうですか。(発言する者多し)  次に申し上げます。     〔発言する者多し〕
  34. 松永東

    議長松永東君) 御静粛に願います。
  35. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君)(続) 次に申し上げます。農村の二、三男対策について申し上げます。諸君は、かつてわが国におきまして、農村を離れる二、三男が多うございまして、農民の数、農村の労力がなくなつてしまつて、当時帰農対策に専念しなければならなくなつ時代があることを御承知と思います。これをもつていたしましても、二、三男に対する対策は、単に農村の問題にあらずして国内経済全体が解決すべきものであります。わが国農村問題の数十年にわたる変遷をながめておれば当りまえのことを私は言つただけであります。何で一体それが悪いのでありますか。(笑声、拍手、発言する者多し)  次に、食糧増産について申し上げます。ただいま申し上げます通り、肥料の価格は、すでに過燐酸の値段は五円下げたことも御承知の通りであります。自由党の時代においてきめた値段を現に五円値下げしたのであります。(拍手)硫安につきましても、一両日のうちに必ず八円ないし十円値下げをすることは目下進行中であります。(拍手)一部の財閥、資本家を押えて、こういう結論に達することになつておりますことに対して、社会党の諸君は御協力を下さることが当りまえだと私は思う。協力をなさることが当りまえではないか。それを、協力をせずして、あなた方がこれに対してとやかく言うということは、何ということでありますか。(拍手)当りまえではありませんか。しかるに—カリに至りましては、自由党の当時にきめました値段を百円以上値下けするということに決定いたしましたことも、新聞に発表いたした通りであります。かくのごとく、肥料の価格につきまして、すべての点について全部着々と解決しつつあるということは、御承知の通りであります。決して私は一部財閥に搾取されておる今日の農村の姿を是認しておるものではありません。この財閥から吐き出させてこれをもつて農村の生産費を下げるということが根本である。農村施策はここから出発すべきものであると考えておる。生産費を下げて、農家の経済を安定せしめてそこに増産の意欲を高揚して参りたいということは、焦眉の問題であると申し上げておるのであります。(拍手)この点は、ひとり肥料、飼料、農機具、農薬の問題だけではございませんで、農家の負担につきましても同様であるということを申し上げております。  砂糖について、前後いたしますが、申し上げます。砂糖につきましては、当時社会党の方が代表として私のところへお見えになりました際に、私は新聞記者団立ち会いの上で明確にお答えを申し上げまして、当時私のところへお見えになつ代表の方は全部了承して帰られましたことは、皆さん御承知の通りであります。(拍手)記者団立ち会いの上で私はお答えをいたしました。応答いたしました。十分納得しておいでのことを、あたかも何か私だけがとやかく申したように申されて言いつぱなしでこういう席で申されることは、はなはだ遺憾千万であります。政治はもう少し公明にいきたいものであります。私は新聞記者団立ち会いの上で応答しております。この点は皆様御承知であります。それを、あたかも自分たちだけの都合のよいように言いつぱなしにするということは、卑怯な態度ではありませんか。しかも、砂糖の問題については、そのままで決して自由党のしり馬に乗ろうとは考えておりません。(発言する者あり)自由党のしり馬に乗つていくということは断じて考えておらぬ。完全に一部資本家の、「討論会じやないぞ」と呼び、その他発言する者多し)そういうことは毛頭思つておりません。でありますから、私たちといたしましては、完全に砂糖屋が壟断しております利益を取り上げて、これを大衆に還元することがわれわれの目的であると考えております。     〔発言する者多く、議場騒然〕
  36. 松永東

    議長松永東君) 静粛に願います。
  37. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君)(続) 次に、余剰農産物の問題について申し上げます。余剰農産物を輸入いたしまする問題につきまして、いろいろ御意見がありましたけれども、これにつきましては、政府といたしましては、国内の需給を十分勘案いたしまして、決して国内の需給に過剰を来たさないような点を十分考慮いたしまして、わが国の必要な分量だけを輸入することにいたしておりまするから、決して足鹿君の言われるようなことにはならないことを御承知願いたいのであります。  さらに、米の統制撤廃の問題について申し上げます。(「答弁しろと」呼び、その他発言する者あり)答弁しておるのです。一々答弁しておるのです。米の統制撤廃の問題について申し上げます。     〔「大臣らしくやりたまえ」「意見を言うな」と呼び、その他発言する者多し〕
  38. 松永東

    議長松永東君) 静粛に願います。
  39. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君)(続) 米の統制撤廃の問題について申し上げます。これは足鹿さんからいろいろお話がございました。わが党内におきましてもいろいろ御意見のありますことも、お話の通しであります。しかし、これは、政党であります以上は、党員の中にいろいろの意見のあることは当りまえだと私は思うのであります。これをお互いに研究いたしまして、一致したところで実行して参ることが当りまえであります。従いまして、私は米の統制撤廃の意見を申し述べました。しかし、これは直ちにやるということは申しておらないのであります。これには十分なる準備が必要である。その準備を完了するまでは実行いたさぬということは、またいたせるものでないことは、皆様方御承知の通りであります。(拍手)従いまして、さしあたり今年度の米につきまして、は、松村政調会長その他の御意見を重視いたしまして、ないしはまた懇談会の御答申を十分尊重いたしまして、予約買付制度によつて当面の問題は処置いたしそ参ることにきめております。従つて、これに対する諸般の準備について目下研究中であります。しかし、これはどこまでも当面の問題でございまして、この機会にお聞き取りをいただきたいと思います。大よそ米の制度のごときものは、社会の情勢の変化、国際的な変化によりまして、必ず一、二年のうちにその制度は変化して参ることが当りまえでございまして、(拍手)米の制度のごときものが、五年も久年も同じものが競くということはあり得べからざることだと思うのであります。従いまして、政党におきましても、諸般の情勢、客観情勢を十分検討いたしまして、政党の政策は順次変りつつありますことは当りまえでございますから、その点については御了承をいただきたいと思うのであります。(拍手)さらに一点つけ加えさせていただきたいと思います。足鹿さんは、先ほど、何年後には四千万石不足になるではないかといろ御発言でございました。お尋ねでございました。なお、私がなぜ意見を申すかというお小言でございますが、足鹿さんの御質問は、どこが御質問やら、どこが御意見やら、わからなかつたのでございますから、つい、私からお答えするにも、総括的に私の考えておりまする農村政策を申し上げませんとお答えにならぬと思いまして、お答えする次第でございますから、御了承をいただきたいと思います。(拍手)そこで、先ほど四千万石不足になるということでございましたが、これは足鹿さんが最も強く主張せられまする粉食奨励がどの程度に今後有効適切になつて参るか、米と麦との食糧の比率がどういう工合になつて参るかということ等を勘案に入れますると、私は断じてこういう数字になるとは考えておりません。現にへ昨年一カ年間の米の消費量について考えましても、われわれの想像以上に消費量が少いのであります。これらにつきましては、専門の足鹿ざんに一々私がお答えを申し上げなくてもおわかりと思いますから、それらの点だけ申し上げて、大体これですべて足鹿さんの御質問に対してお答えは申し上げたと思いますから、御了承願いたいと思います。(拍手)[国務大臣高碕達之助君登壇
  40. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) ただいまの足鹿さんの御質問に対してお答えいたします。まず第一に、アメリカの余剰農産物の受け入れば、これは自由党内閣の引き継ぎかという御質問でございます。次に、経済六カ年計画については農村問題を無視している、こういうことの御質問であります。まず、余剰農産物の受け入れにつきましては、これは前内閣功績であります。これを私どもは喜んで受け継ぎます。これを第一に申し上げておきます。今回わが国が受ける予定の余剰農産物というものは、民生の安定をはかるために、米穀等の需給推算上必要なる数量だけを受けるのでありまして、決してこれによつてわが国の農産物に悪影響を及ぼさないということは、先ほど河野さんの答えた通りであります。それで、今回受け入れます余剰農産物によつてできますところの見返り資金等も、その一部分を今度は食糧増産の方に使いたい、こら思つておるわけでありまして、今回政府において作成いたしましたところの総合経済六カ年計画の構想においても、施策の重要なる点といたしまして、六カ年後に少くとも一〇%余の農産物の増強むいたしたいと存じておる次第でございます。以上をもちまして私の答弁といたします。(拍手)     〔国務大臣一萬田尚登君登壇
  41. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) まず税のことについてお答えを申し上げます。今日、財政から見ました場合に、しなくてはならぬことがたくさんあるのでありますが、なかなか歳入がなくて困つておる。そこで、私といたしましては、勤労階級の、しかも所得の少い人、それから今日一番お困りになつておる中小企業の方、こういう方の税を何とか少しでも軽くしてあげるのが適当である、こう思つて、実は財源を非常に考えて、まず第一に歳出をなるべく少くしたわけであります。しかし、それでも足らぬところは、間接税といいますか、こういうものの増収で—これは別に税率を上げるという考えは今必ずしもしておるのじやないのです。かりにたくさんお酒を飲めば、税になる分が少したくさん出る。そこで、税を出すのがいやだつたらお酒を少し飲む、こういうことであります。(笑声)そういうことをして、勤労階級や中小企業の税を軽くしてあげよう、こういうのを、どうして反対されていろいろ御批判されるのか、私にはちよつとわからないのであります。(拍手)それから、米の減収加算のことにつきましては、今せつかく農林当局その他と御相談を申し上げております。(拍手)     〔国務大臣西田隆男君登壇
  42. 西田隆男

    国務大臣(西田隆男君) 足鹿さんにお答えいたします。地方財政の逼迫しておることを非常に御心配になりましてお尋ねがございました。お尋ねの事業税は、現在基礎控除は七万円でございますが、これを相当程度引き上げて中小商工業者の負担の軽減をはかりたいと考えております。従つて、その見返りの財源としましては、大蔵大臣と十分協議いたしまして、これは地方の負担にならないように、国庫から支出をしてもらうことに決定いたしております。固定資産税につきましては、固定資産税はこれを増徴するという考え方は毛頭持つておりません。各地方々々によりまして非常に固定資産税の多い地方と少い地方とありましので、この財産の偏在を是正しなければならぬと考えております。(拍手
  43. 松永東

    議長松永東君) 足鹿君より再質問をいたしたいとの申し出があります。足鹿覺君。     〔足鹿覺君登壇
  44. 足鹿覺

    ○足鹿覺君 簡単に再質問を申し上げたいと思います。  総選挙後における政局収拾の基本方針並びに政党政治運用の基本問題について私が総理にお尋ねを申し上げましたにもかかわらず、御答弁がないということは、私自体の指摘した心境にあられると私は断定してはばからないのであります。同時に、ただいままで私は十項目にわたつて真摯な質問を申し上げたのでありますが、河野さんは、なかんずく、かつて見ざる長広舌をもつて答弁になりました。相当私の質問がこたえたと私は断定いたしたいのであります。  なおこの機会に申し上げたいことは、アメリカの駐留軍の沖縄における土地取り上げの問題についても、外務大臣から答弁はありません。また、不正地主の農地改革切りくずしに対するところのファッショ的行動に対して、花村法相の御答弁もありません。また、凶作加算については何ぼをいつ払うかということについても全然お触れになりません。このようなことで果してこの内閣に対して全国の農民が信頼をするかどうかということは疑わざるを得ないことを私は指摘して質問を打ち切りたいと思います。
  45. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 選挙後にいかに時局を収拾するか、これはわかり切つたことだと思つて答弁しなかつたのでありますが、(拍手)むろん、第一党をとつたものが内閣を組織すべきものと思つております。これは吉田君が自党の総裁によき先例を示しておつて、片山君が総理大臣になりたのでありますから、その当時の事情をお考えになれば、よき民主政治の先例はできておるのでありますから、これは、議会政治に対して少し真剣な頭を持つておれば、答弁をしなくてもわかることと思つたのであります。(拍手)     〔国務大臣重光葵君登壇
  46. 重光葵

    国務大臣(重光葵君) 先ほどの御質問に対して私が答弁をしようと思つておるときに、また再質問でおしかりをこうむりました。  沖縄の問題でありますが、沖縄は、サンフランシスコ平和条約第三条によつてわが国は遺憾ながら沖縄に行政権を有しておりません。そこで、直接にどうすることもできないのであります。しかしながら、わが同胞である沖縄住民の生活の困難を緩和する措置は、できるだけの措置をとらなければなりません。私は、これを外交上の手段によつて、米国側と緊密なる連絡の一つとしてこれを是正するように、もし困難があれば困難を緩和するように努力をいたす方針で今やつておる次第でございます。(拍手)     〔国務大臣花村四郎登壇
  47. 花村四郎

    国務大臣花村四郎君) 旧地主その他の人々が、それぞれの立場において合法的な方法によりまして、農地改革等を希望し、論議し、企図することは、もとより自由であります。しかし、その方法が暴力主義的破壊活動によるものであり、いやしくも破壊活動防止法の条項に該当するものとするならば、団体規正の対象となり得ることは当然でございます。しかし、今日までのところ、そのような団体の存在については報告に接しておりません。(拍手
  48. 松永東

    議長松永東君) 次の質問を許します。長正路君。     〔長正路君登壇
  49. 長正路

    ○長正路君 私は、日本社会党を代表いたしまして、鳩山首相ほか関係閣僚に対し質問を申し上げたいのであります。  鳩山総理大臣ほか関係閣僚の皆さん方におかせられましては、よけいなことは必要でありませんから、私の質問に対する核心だけ明快にお答えを願いたいのであります。(拍手)  鳩山首相、重光外相、一萬田蔵相は、一昨日本におい施政方針演説をされ、盛りだくさんの題目を並べられたが、私は、その内容に論及する前に、これらの演説がどういう心理状態でなされたかをまず疑わざるを得ないりであります。先刻より同僚議員諸君も申される通り鳩山内閣選挙管理内閣として生まれ、しかも、われわれの質問の直後には衆議院の解散を断行し、選挙によつて国民の審判を受けることは、もはや明らかなる事実であります。鳩山首相は吉田前首相に対して相当手きびしい攻撃をされておるようでありますが、この吉田さんでさえ、総辞職直前の二十国会劈頭の演説では、さすがに施政方針演説とは言わずに、政府所信に関する演説と遠慮をされたことは、よもや鳩山首相はお忘れでなかろうと思うのであります。(拍手鳩山内閣は、総選挙後は直ちに総辞職をしなければならないのであります。この明らかなる事実があるにもかかわらず、いかにも長期政権を担当するかのごき印象を持たす施政方針帆説をやつてのけるとは、きわめて悪質なる選挙事前運動であると断ぜざるを得ないのであります。(拍手)その点だけでも吉田前首相を攻撃する資格はない。いかなる観点から施政方針演説をなさつたのか、その所見を承わりたいのであります。  次に、一兆円予算を踏襲する一萬田財政に対して石橋通産大臣は反対の立場をとつておるとの風評が強く伝えられておるのであります。事実、これを裏書きするように、石橋通産大臣が機会あるごとに発表をしておる産業の拡大生産均衡論は、その主張を現実に進めて参りますると、一兆円緊縮財政を堅持する一萬田財政と鋭く対立をするはずであるし、明らかに矛盾をすることになるのであります。これに対し石橋通産大臣はいかなる考え方を持つておられるか、お伺いをしたいのであります。  さらに、巷間伝えられるところによりますと、鳩山内閣の組閣に当り、石橋さんは大蔵大臣のポストにつくことを極力希望せられたやに承わつておるのであります。それに関連をいたしまして最近、金融界方面において、きわめて妙なうわさが広まつておるのであります。すなわち、大蔵大臣のポストをめぐる一萬田、石橋両氏の暗闘は、転じて日本銀行の支配権争奪に発展をしておるといわれておるのであります。鳩山首相の女婿に当る古沢日銀理事を通じ、日銀内に強力なくさびを打ち込まんとする石橋と、井上現副総裁を腹心とする一萬田が、火花を散らして、日銀の支配権を自分の手に握ろうとする権謀術数をめぐらし、日銀内部は、ために深刻なる動揺をしておると伝えられておるのであります。(拍手)私はこの種のうわさを手放しで信用するものではありません。しかし、俗に火のないところに煙は立たないと言うのであります。いわんや、日本銀行といえば日本の金融の総本山であります。この支配権を握れば、日本経済の死命を制する動脈を握つたも同然であります。別な言葉で言いまするならば、日本政治を動かす金の力が生産される場所であります。その生きた証拠に、現にここに一萬田大蔵大臣というりつぱな見本が存在しておるではありませんかはなはだ失礼ではありまするけれども、日本銀行総裁に就任するまでは一介の銀行マンにすぎなかつた一萬田さんが、今日こつ然として大蔵大臣のいすにすわり、民主党次期総裁説まで流布されるゆえんのものは那辺にありますか。一にかかつて日銀総裁として八年の歳月を日銀の上に君臨していたというこの一点に尽きるのであります。中央銀行たる日本銀行が政治色に染まつたり、その運営が公正を欠くことがあつたならば、わが国の産業経済に及ぼす悪影響はきわめて甚大であります。(拍手)かような見地から申しますると、かかる不明朗なうわさがちまたに流布されることはまことに憂慮にたえないのであります。もしこれが事実でありましたならば、将来日本政治の腐敗はここに発すると言つても過言ではなかろうと思うのであります。  なお、日銀機構の独裁化を防止し、その公正なる運営をはかるためにも、現在の政策委員会の強化拡充をはかることはきわめて必要なことであります。現在の政策委員会の顔ぶれを見てみますると、財界、経済界の大物や、あるいは特定の学者を並べて、真にその機能を発揮しておるかどうかということは、はなはだ疑わしいものがあるのであります。この際、その人選を一新して、政策委員会を強化する意思があるやいなや、特に中小企業代表を加えて中小企業金融の完璧を期する考えがあるかどうか、それらの点につきまして、あわせて一萬田蔵相の明確なる答弁をお願いしたいのであります。  次に、商社の統合強化問題について、一萬田蔵相は商社の救済たな上げ策として、日銀の二次高率適用免除を積極的に推進すると言つておるのであります。この問題をいかように取り上げようとするのか、具体的な内容を承わりたいのであります。この種の大商社の債務は、東京百五十億、大阪二百億といわれておるのでありますが、もしこれが実現の暁は、債務にあえぐ大商社は膨大なる金利支払いを免れて、労せずして息を吹き返すことになるのであります。商社の整理統合の名目に隠れて、政府の保護助長政策が特殊な企業だけに及ぶことは、その裏におい政治的汚職、疑獄の種をまくおそれなしとしないのであります。昨年十九国会を通じて暴露された造船疑獄など、最もその適例であります。私は、この造船疑獄の真相さえいまだに明らかにされておらない今日、同じような弊害を生むおそれのあるこの種の商社統合の特殊な企業保護政策軽々に口にすることは、まことに軽卒なふるまいと思うのであります。ことに、大阪方面におい選挙資金集めに利用されておるといううわさがあるに至つては、言語道断であると言わざるを得ないのであります。(拍手)  この商社統合問題のごときは単なる一例にすぎないが、総じて、一萬田大蔵大臣にせよ、石橋通産大臣にせよ、鳩山内閣経済閣僚は、人気取りの空疎なるから景気論をしやベつて、実質的なことは今日まで何もやつておらないのであります。たとえば、石炭関係について見ましても、今日石炭企業は言語に絶する危機に直面をし、労賃の遅配と中小炭鉱の廃休山による失業者の増大は今や重大なる社会不安を醸成しておることは言うまでもないところであります。十九国会の通産委員会は、この危機打開のために、二十九年度石炭消費量を四千八百万トンと、定め、外国よりの重油、石炭の買い入ればこれに見合うように制限するということを超党派的に決定をしたのであります。しかるに、政府は何らなすところなく傍観をしていたために、二十九年度はこれをはるかに下回る四千百五十万トンと、昨年より二百万トンの減少を示すなど、解決の曙光は何ら見られていないのであります。もつとも、これは吉田前内閣の無為無策の責めに帰するところでありまするが、石橋通産大臣は、この現状を百も承知しながら、先般、関西において財界、経済界代表者懇談会におきまして、重油の規正は行わないと言明をしておる。一体、今後国内石炭の需給調整をどうするのか、明確なる見通しと方針とを伺いたいのであります。(拍手)  次に、河野農林大臣にお尋ねをいたします。過日政府部内より韓国米購入に関する報道がなされておりましたが、事実であるかどうか、もし事実ならば、その数量、価格、取引の方法はどういう方針であるかということを承わりたいのであります。農林省内部からの話によりますると、数量は十一万トン、FOB価格トン当り百八十五ドル、バーター制により購入するとのことであります。百八十五ドルの価格について農林大臣は適正価格と考えられるかどうか、また対韓貿易におい日本は四千万ドルに上る貸し越しを持つて、これが焦げつきになつておるのであります。バーター制をとつて取引をやる場合に、その焦げつきの四千万ドルはどういう処理をなさるつもりか、それもあわせてお伺いをしたいのであります。(拍手)商社筋の交渉では、韓国米の相場は百七十八ドル程度というのが常識であつて、昨年は豊作の関係もあつて交渉次第ではこれ以下になることも可能であるというのが今日の常識であります。何ゆえに百八十五ドルという割高な買い入れを行わんとするのであるか。昨日、本議場において、百八十五ドルでは買わないと河野農林大臣はおつしやつたのであります。ところが、京城発のAFP電報においては、すでに韓国政府ではこの輸出を決定しておるということを伝えておるのであります。また取引も、韓国側大韓産業一社に、日本側は第一通商一社に指定をするといわれておるのであります。農林省内部においてすら、こうごうたる非難が起つておることを、あなたは知らないのでありますか。(拍手)また世間では、こんなことも言つておるのであります。この筋書きは根本官房長官と個人的に懇意な間柄にある韓国大使館の—特に私は名前をあげませんが、某参事官との合作によつて話が持ち込まれ、当初河野農林大臣はこれに反対しておつたが、その後賛成に急変をしておるのであります。その間の事情はともかく、この話は、もともと日韓双方とも選挙を前にして政治資金と重大なる関連ありといわれておるのであります。これを裏書きする証拠といたしまして、韓国側の引受け商社である大韓産業の社長は李承晩政府の騨財務部長であつて、韓国における参議院選挙の資金工作として秘密裏に進められておるという事実があるのであります。韓国側の事情がかような実情であるとするならば、日本側の第一通商につながるものが何であるかということはきわめて容易に想像されるところであります。伝えられるところによりますと、国会が解散をした直後に発表をするといつて、虎視たんたんとしておるということであります。この際、河野農林大臣より、本問題に対する明快なる御答弁を願いたいのであります。  次に鳩山首相にお尋ねをいたしますが、首相は、去る一月十二日に、中国遊説の途中、岡山から広島に向う汽車の中で、新聞記者団に談話を発表いたしておられるのであります。その談話の内容によりますると、一、首相に対して、すなわち鳩山首相に対してアリソン駐日大使から書簡が寄せられたこと、一、その書簡の中でアリソン氏はダレス国務長官からの伝言を首相に伝えておること、ダレス氏は特に鳩山首相によろしく伝えてくれと述べておること、一、そこで鳩山首相は、去る十日ダレス氏にあてて、日本の国内に潜在する反米感情を一掃するように努めたいという返事を書いて出したということが新聞に書いてあるのであります。私は朝日新聞の切り抜きを今ここに持つておるのであります。他の新聞の報道も大体において似たり寄つたりのものであります。そこで私は首相にお尋ねをいたしたいのは、この新聞記事に出ておるものは間違いないかどうかということであります。また、アリソン駐日大使が鳩山首相に寄せた書簡というものは、どういう種類に属する書簡であるか、公文書なのか、私文書なのか、私文書だとすると、どういう種類のものか、また書簡の内容を発表されることができるかどうか、さらに、ダレス氏にあてて出された返事の書簡についても、公文書、私文書いすれのものかを、詳しく御説明を願いたいのであります。  これらの点を詳細に御説明願いたいと思うのは、実は、私は、この新聞報道の内容について少しく違つた事実を伝え聞いておるからであります。私が聞くところによりますると、アリソン駐日米大使は、鳩山首相に対して別に書簡などは寄せていないというのであります。ただ、ダレス米国務長官からアリソン大使にあてて書簡が寄せられたということは、これは事実であります。このダレスからアリソンあての手紙の中で、ダレスは、たまたま日本の政変の問題に触れて、新しく総理大臣なつた鳩山という男は、数年前に自分が再軍備と講和条約問題で日本を訪問していたときに、ニューズ・ウィークという雑誌の東京支局長。パッケナム、このパッケナムのあつせんで、石橋湛山という男や野村吉三郎氏らと一緒に会つたことがある、この男のことなら記憶に残つておるという意味のことが書かれておつたのであります。別にダレスが鳩山首相に特によろしく伝えてくれなどとは決して書いてなかつたというのであります。このアリソン大使あてダレスの書簡を、官房副長官をしております松本瀧藏君がアリソンのところへ情報を取りに行つて伝え聞いて、これを松本君が持つてつて鳩山首相に報告をしたというのが真相であります。さらに、首相は、松本君のこの報告を聞いてダレスが自分を覚えていてくれたということはありがたい、さつそく自分も手紙を書いて、一つアメリカに対して宣伝外交の手を打つておこうという気で手紙を書いた。ただし、その手紙は、直接ダレスあてに出したものではなく、アリソン駐日大使あてに出しておるのであつて、しかもその返事はいまだに来ておらないのであります。こういうふうに私は聞いておるのでありますが、鳩山さんの記者会見の話とはだいぶそのいきさつが変つておるのであります。外務省方面のうわさによりますと、大体一国の総理が外交上の問題で外国責任者と私信を取りかわすということは従来その慣例を見ないところであるし、いわんや、外交上の私信のやりつぱなしということは、その類例を見ない醜態きわまるということを言つておるのであります。そこで私が問題だと考える点は、首相は、ダレス氏に書簡を出したと言いながら、実際は出しておらない。この通り出したと書いてある。車、中談の漫談で、ついうそを言つてしまつたといえばそれまでだが、いやしくも、一国の総理が、しかも他国のアメリカ政府代表者を引き合いに出して、出しもしない手紙を出したと宣伝するなど、これは外交上ゆゆしき問題をかもすおそれさえあるのであります。(拍手)この点につきましては、外務省の高官でさえ苦々しく思つておるところでありまして、選挙宣伝の具に供さるるには問題の性質がきわめて重大でありますから、その真相をはつきりお答えを願いたいのであります。(拍手)  次にお尋ねしたいことは、鳩山首相の政治家としての信条についてであります。今、あなたは、口を開けば吉田前首相の悪口を言つておられる。その吉田を政界に送り込んだ張本人は鳩山一郎自身であつた事実を忘れておられるのであります。吉田が責任をとるとともに、あなたも国民に対しその不明をおわびをしなければならない立場にあるのであります。しかも、近来のあなたの政治行動は、議会政治を毒するもはなはだしいものがある。この数年来の政局不明朗と混乱は、むしろあなたの無定見、無軌道の政治行動にその責任の大半があると言つても過言ではないのであります。(拍手)古くは政治活動を禁止されていた追放中の裏面の政治活動、追放解除の後は、自由党内の不半分子の頭目となつて、鳩山自由党を作つて飛び出し、幾ばくもなくまた復帰して吉田と手を握り、一年たつかたたないのに、再び飛び出して民主党を作る。あなたの主観は、すべて吉田が悪いからだと割り切つておるかもしれないが、そのために生じた政界の混乱、不安は民主政治の堕落という形になつて現われておるのであります。(拍手)かような一連の行動から批判いたしますと、民主政治家としての鳩山首相は、肉体的障害者であるとともに、精神的にも重大なる欠陥があると私は考えるのであります。(拍手)この点に関する首相の信条を承わりたいのであります。(拍手)  最後に、もう一言鳩山首相にお尋ねをいたしますが、一昨年来くすぶつて、ついに指揮権発動にまで発展をいたしました造船疑獄、保全経済会その他の汚職疑獄問題の処理についてであります。首相は、一昨日の施政方針演説の中に特に言及をして、政官界粛正と道義、道徳高揚を推進すると言つておられるが、この際先にあけた汚職問題等の究明を徹底的に行う意味であるかどうか。あれだけ国民関心の的になつた造船その他の事件をそのままにしておいて、これから政官界粛正をするといかに大みえをお切りになつても、国民は納得をするものではないのであります。(拍手)この際乾坤一擲の勇気をふるつて事件の全貌を国民の前に明らかにされるように、特に強く要望をいたしておきたいのであります。  また、昨年六月、本院の行政監察特別委員会における平野証言によりますと、保全経済関係で伊藤理事長より献金を受けた内容は、廣川弘禪君に三千万円、大藤唯男君、重光葵君の両君に二千万円、鳩山首相に一千万円と、明らかにこれは速記録に書いてあるのであります。(拍手)かつ、同じく九月十五日の大蔵委員会において、同僚春日委員の、これらの献金に対する所得税、贈与税をいかに扱うかとの質問に対して、平田国税庁長官その他の答弁は、政治資金規正法の届出なき分については所得税、贈与税を課せられる、内容については目下調査中であると言つておるのであります。この件については、今日に至るも何ら明確にされす、うやむやのうちに葬り去られておる状態であります。一般国民の税金は強硬手段に訴えても取り立てるが、こうした政治献金をやみからやみに葬り去るのみならず、税金までもごまかしてしまつては、国民の納税思想に影響することきわめて甚大であります。(拍手)ことに、献金リストの中には、現鳩山首相のほか、外務大臣国務大臣、さらに民主党の領袖の名が連ねられておるのでありまするから、一そうその点は明確にしていただきたいのであります。(拍手)鳩山首相その他の方方は、政治資金規正法の届出をなされたかどうか、またもしそうでないとしたならば、所得税を払つておられるかどうか、明快なる御答弁を願いたいのであります。  以上をもちまして私の質問を終ります。(拍手)     〔国務大臣鳩山一郎登壇
  50. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 長君の御質問に対してお答えをいたします。  第一は、選挙管理内閣政策を示すのは選挙の悪質運動だということでありますが、私は選挙管理内閣ということは考えておりません。(拍手政策を示すことは政府義務であると心得ます。これは諸君も御承知の通りであります。  次に、ダレスに対して手紙を出したことはございません。アリソンから手紙が参りましたその中に、ダレスからの言葉が書いてありましたものですから、アリソンに返事を出すときに、ダレスにもよろしくというような程度のことを書いたにすぎません。  第三に、出処進退はいつでも良心に従つてつたのでありまして、説明に及ばないと思います。  第四に、汚職問題に対しての態度は検察当局に一任をする考えであります。保全経済会の問題で金銭を受け取つたようなことは、どこからお聞きになつたのか知りませんが、私に関する限り絶対に金銭を受け取つたことはございません。(拍手)     〔国務大臣一萬田尚登君登壇
  51. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 日本銀行のことにつきまして、いろいろお話がありました。承わつておきます。  それから、商社の強化に関連いたしまして二次高率のことがございました。二次高率ということは、日本銀行内部のことでありまして、日本銀行でお考えになることで、私がかれこれ言うべき筋ではございません。     〔国務大臣石橋湛山君登壇
  52. 石橋湛山

    国務大臣(石橋湛山君) 一萬田大蔵大臣と私との間に意見の相違がある。これは顔が違うように相違があるのは当りまえなんです。同じ内閣の中に相当意見の違う者があつてけつこうなんで、前の自由党のように、吉田さんの一言で全部がやられたのではかえつてよくない。(拍手)だから、これは、河野農林大臣もさつき言われたように、閣内ではうんと議論をいたしますが、しかしながら、話がきまれば統一する。  次に、組閣のときに大蔵大臣の位置をめぐつて云々というようなお話でありましたが、これは長君も信用しないという風評のようでありますから、御答弁の必要はないと思います。
  53. 松永東

    議長松永東君) 石橋湛山君石橋湛山君……。     〔発言する者多し〕
  54. 松永東

    議長松永東君) 石橋湛山君通商産業大臣、しばらくお待ち下さい。     〔発言する者多く、議場騒然〕      ————◇—————
  55. 松永東

    議長松永東君) ただいま内閣総理大臣から詔書が発せられた旨伝えられましたから、これを朗読いたします。     〔拍手〕   別紙詔書が発せられましたからお伝えいたします。    昭和三十年一月二十四日    内閣総理大臣鳩山 一郎   衆議院議長松永東殿     〔別紙〕   日本国憲法第七条により、衆議院を解散する  御名 御璽   昭和三十年一月二十四日    内閣総理大臣鳩山一郎     〔拍手、「万歳」「万歳」と呼ぶ者あり〕     時に午後六時二分