運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1954-12-21 第21回国会 衆議院 農林委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年十二月二十一日(火曜日)     午後四時七分開議  出席委員    委員長 綱島 正興君    理事 福田 喜東君 理事 伊東 岩男君    理事 吉川 久衛君 理事 川俣 清音君    理事 松野 頼三君 理事 五十嵐吉藏君       井出一太郎君    加藤常太郎君       小枝 一雄君    本名  武君       足鹿  覺君    久保田 豊君  出席国務大臣         農 林 大 臣 河野 一郎君  委員外出席者         農林事務官         (食糧庁総務部         長)      新沢  寧君         専  門  員 難波 理平君         専  門  員 岩隈  博君         専  門  員 藤井  信君     ————————————— 十二月三十一日  委員安藤覺辞任につき、その補欠として小枝  一雄君が議長の指名で委員に選任された。 同 日  理事安藤覺委員辞任につき、その補欠として  伊東岩男君が理事に当選した。     ————————————— 本日の会議に付した事件  理事の互選  食糧、肥料、畜産、保安林整備砂糖等農政  問題に関する件     —————————————
  2. 綱島正興

    綱島委員長 これより会議を開きます。  この際理事補欠選挙についてお諮りをいたします。理事安藤覺君が委員辞任されましたので、理事が一名欠員になりましたが、その補欠委員長において指名いたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 綱島正興

    綱島委員長 御異議なしと認め、伊東岩男君を理事に指名いたします。     —————————————
  4. 綱島正興

    綱島委員長 これより引続き食糧金融砂糖予算災害農薬等に関する調査を進めます。質問を許します、川俣委員
  5. 川俣清音

    川俣委員 内閣がかわりまして、政府の方針がかわつた形において、おそらく食糧庁に何らかの指示があつたのではないか、こう考えられます。この点が一点です。  さらに今年度の供出成績から見まして、食糧管理法改革考えられておるようにも思われます。また食糧対策協議会意見、本委員会意見等がありまするので、事務当局として食糧管理制度についてどのような見解を現在持つておられますか、この点お伺いいたします。
  6. 新沢寧

    新沢説明員 二つの御質問は相関連するわけでございます。第一点につきましては、正式の指示ということではございませんが、とにかく新しい事態に対処しての食糧管理制度あり方についての研究は命ぜられておりまして、着々研究をしておるわけでございます。確かにこの一両年来現行の食糧管理制度運用面におきまして、いろいろの欠陥が出て参りましたことは、どうしても認めなければならないのではないか、こう思つておるわけでございますが、但し客観情勢を見ますと、この改革につきましてどういう観点改革に着手して行くかということになりますと、なかなかいろいろむずかしい点を含んでおるわけでございまして、現在のところ、いろいろ部内で検討はいたしておりますが、今日のところまだ、それならば改革はどの方向へ参ろうというところまでの成案を得るまでに至つておりません。今後一層研究を進めて参らなければならない、そういうふうに考えております。
  7. 川俣清音

    川俣委員 それでは、もし米の統制を撤廃して、これを自由に販売させるということになりますると、国内に内地米としてどれだけの需要が生ずるであろうかというようなことがやはり計算されていなければならぬはずだと思います。少くとも事務当局としては、そういうことが計算されていなければならない立場だと思うのです。どの程度に見積つておりますか。また将来人口のふえる率にもよりましようし、あるいは食生活の改善等によりまして変化はあると思いまするけれども、近年の傾向から見まして増大の方向に行つておるかあるいは減りつつあるか、このところの見通しをもあわせてお伺いいたしたい。
  8. 新沢寧

    新沢説明員 今後の内地米に対する需要傾向でございますが、これは確かに検討すべき最も重要な問題だと存じます。しかしながらこれはいろいろの点に関係しておるわけでございまして、終戦後長い間食糧管理のもとに進み、そして麦というものがある程度強制的に需要の中に入つて来ております。はたして戦前のそのままの米の需要という形がもどつて参りますものか、それとも麦に対します今のある程度強制的に入りました需要がそのまま続いて行きますかどうか、この評価が非常に大きな問題となつて来ると思います。これらの面につきまして各般の面から検討いたしまして、米に対する需要、麦に対する需要を推算して参りたい、こういうふうに考えておるわけでございます。現在のところまだその研究の過程でございまして、最終的に内地米が幾らあればよろしいかというところまでの結論的なものをまだ得るまでに至つておりません。
  9. 綱島正興

  10. 足鹿覺

    足鹿委員 農林大臣がお見えになつたようでありますので、二、三お伺いをいたしたいと思います。先日来の本委員会において、農林大臣はいろいろと日本農政についての御構想を御開陳になつたのでありますが、私は新聞なりあるいはその他で大臣がいろいろと御発表になつておられる施策を生み出しておるその背景について、御所見最初に承りたい。  具体的に申し上げますならば、終戦以来来年でもう十箇年を迎えることになると思うのでありますが、私の見るところでは、戦後農村は初めて危機の様相を深めて来る段階にあるのではないか。比較的順調であつたと言われる農村経済も、わずかな蓄積を使い果して、すでに世紀の大事業とも言われた農地改革も、一歩誤れば崩壊寸前事態に直面しておる。こういつた事態は一体どこから来つつあるかと言えば、政府は今まで土地金融その他の点についてもいろいろと構想をめぐらしておるようでありますが、くずれて行こうとするものにいろいろなわずかなつつかえ棒をかけてみましても、それはとうていものの役には立たないと思う。農地改革それ自体が崩壊危機に瀕しておるということは、それにふさわしい、農地改革を裏づけて行く極東委員会の対日基本政策の十六原則が十分に果し得なかつたというところに、戦後における日本農政欠陥があり、またそれが今日のような事態を来す背景の中心をなしておる。それに無謀なデフレ政策しわがようやく日本農村にも滲透して参りまして、農家の生産する農産物値下りによる所得減はもちろんのこと、副業収入あるいは兼業収入の面においても大きな減収を来し、一方経営の面においては、必ずしもその生産財下落しておらない。農産物価格下落均衡がとれて下落しておらない。むしろ逆に、農薬のごとくあるいは農機具のごときものは騰貴すらもしておるという実情にあります。一方養蚕にいたしましても、あるいは最近勃興しつつある酪農にいたしましても、あるいは鉱工業原料農産物価格にしましても、統制の撤廃された各種の農産物は、相次いで下落の一途をたどつており、比較的てこ入れのきいておつたといわれる米価においてすらも、計画的にこれを引下げようという傾向が、昭和二十九年度の予算を通じて端的に現われて来ておる。また大臣が先日来言われたコストの引下げの基盤ともいうべき、農業生産力の基礎をなす土地改良等に対するところの政府財政投資、あるいは融資等の面におきましても、デフレ政策影響を受けまして著しくこれが削減を受け、その影響がようやく年度末を控えて農村に顕著に現われて来ておると思うのであります。こういつた一連の生起する現象というものは、さらに昭和三十年度、来年に至つては激化こそすれ、これを緩和ができるような原因はどこにも見当らないと思うのでありますが、新農林大臣として先日来いろいろとその構想発表されましたが、大臣は来年度の日本農業がどういうふうに推移して行くかということに対して、基本的構想をいかに立てておられるか。それと先般来述べられておるいろいろな施策とは、どういう関連において成り立つておるのであるか。われわれは従来からもそうでありますが、いやしくも事農政については、その計画性長期性一貫性というものが、他の産業における場合よりも重視されなければならないということは、われわれが従来この農村問題ときわめて地味ではあるが取組んで来た基本的なものであります。内閣がかわるたびごとに、常にその政策基調がぐらつくというようなことは、保守革新のいずれを問わず、政権をとつた場合においても、その基調となるものはあまり動かすべきものではない。そういうものを地方農民は真に求めておると思いますが、自由党の絶対多数の政治の際においてすらなされなかつた米の統制撤廃のごとき問題も、きわめて簡単にこれを間接統制へ移行しようという構想発表せられ、また短期内閣選挙管理内閣であるはずの今回の鳩山内閣が、たまたま農林事務次官辞任に基くや、たらいまわし的な人事ではありますが、上層部にあつて相当大きな人事異動が行われている。すなわち人事異動ということは、人心を一新して行く上においてはあるいは必要であるかもしれませんが、機構改革が行われて、その改革に魂を打ち込むために人事異動が行われるものではないかと思う。人事異動があつて農林省には機構改革についての基本もないにもかかわらず、人の首が次々と移つて行く、こういう姿、何か日ごろ農林大臣が、農村の問題について熱心に当委員会等でも御発言になつてつた当時の印象を裏切るかのごとき次々の御行動に対しては、ふに落ちないものを痛感いたしておるのであります。そういつた点について、まず最初に申しましたように、来年度におけるところの日本農業見通しについて、どのような観点に立つておられるか、その上に立つ御所見をあらためてこの際承りたい、かように存するのであります。
  11. 河野一郎

    河野国務大臣 足鹿さんから非常に有益なお話を拝聴いたしまして、私も大体所見を同じくするものであります。農村問題は非常に計画性がなければいかぬ、しかも長期にわたつて施策しなければならぬ等々の御所見、まつたく私も同感であります。ところがそうは申しましても、客観的な条件がこれを許さぬ場合もありますし、もしくは変化、進歩もして参らなければならぬ問題もありますので、戦争中、占領中よりさらに自立経済達成を進めて参ります上におきましては、同様に農村の問題につきましても、ある程度変化を加えて参らなければならぬことは御了解いただけるのではなかろうかと思うのであります。これが三十年度の予算その他の処置についてどういうふうな関連性を持つかということでございますが、私が先般来申し上げましたように、順次私の申し上げた方向に移行して参らなければならぬということは、長期にわたつて計画的にそう行くべきものだと考えて申し上げたのでございまして、これがさしあたつて急激にかわり、また急激にかえるというようなことはなかろうと思うのであります。  これを順を追うて申しますれば、第一は、選挙管理内閣とか短期内閣とか言われておるのに、なぜ人事異動をやつたかということでございますけれども、私はこういう人事異動はやるつもりはなかつたのであります。ところがたまたま事務次官がおやめになりましたので、これを一人動かして済むじやないかということになりますと、抜擢であるとかいうようなことになりまして、農林省内にいたずらに刺戟を与えますので、なるべく順を追うてやつた方がよかろうということが第一の理由。第二の理由といたしましては、とかく長期にわたつておる局長さん、それらの人が、内閣がかわりましたことによりまして、従来いろいろな意味においていろいろな関係もありましようし、それを一新して新しく考えていただいた方がいいじやなかろうかというような意味合いで、一人、二人動かして済む場合も考慮されたかもしれませんが、たまたま各方面意見も尊重いたしまして、一番すなおな人事をやつた。むしろ私としての意思は全然入れずに、一番すなおな人事をやつたというつもりでございますから、これには御意見はおありのようでございますけれども、御理解いただきたいと思うのでございます。決して私が自分で発案して、自分でこの人がここに適当であろう、この人がここに適当であろうというようなことで考えたのではないのでございますから、見ようによつては平凡であり、見ようによつてはばかなことだという御批判もあるかもしれませんが、私はなるべく刺戟をしないという意味でやつたのでございますから、御理解いただきたいと思うのでございます。  次に、こういう農村が非常に悪条件のもとに順次追い込まれようとしておるときにあたつて、来年度の施策については何かあるかということでございますが、応急的な考え方といたしましては、むろん考えがないことはありません。しかし私の申し上げておりますることは、われわれども日本民主党河野一郎としてはこういうふうに考えておるということを先般来申し上げたのでございます。これが来年度の予算にどういうふうに関係して来るか、これは今せつかく予算の組みかえをいたそうと考えておりますが、その中にはいろいろな施策もこれに繰入れて参りたいということで、目下せつかく検討中であります。まだ結論が出ておりませんので、申し上げる段階にありませんが、ただここで一言申し上げておきたいと思いますことは、デフレの問題であります。このデフレは明年一年間このままでもつて今の状態が続くか続かぬか、経済界見通しにつきましては、いろいろご意見がわかれると思います。私は大体中央の経済の問題として考えますときには、底を突いておるのではなかろうか、もうこの程度でそろそろ立ち直りの段階に向つて行くのではなかろうかという考えを持つておる一人であります。決してこれが来年一年さらにまたこういう深刻な状態に行くとは考えておりません。さらにまた本日予算委員会で、津雲議員の御発言でございましたが、暫定予算が四月も五月も六月もというようなことでは、それが各産業に悪影響を及ぼすのじやないかという御発言でございましたが、これはもしそういう事態になれば、私もその通り考えますので、なるべく早く議会を解散して、なるべく早く選挙終つて、そうして許されますならば三月、四月二箇月で予算議会を通るように、どなたが内閣をおやりになつてもすべきではなかろうか。自分が必ず選挙の結果絶対多数をとつて自分だけができるというようなことでなしに、社会党がおやりになつても、どの党がおやりになつても、なるべくそういう事態の起らぬように、暫定予算は四月一箇月だけ、五月からは平年予算で行けるようにすることにお互いに心がけて行くべきではなかろうか。そのためにはなるべく議会を早く解散するのがいいのじやないかいう考えを持つておる一人でございまして、その他の点につきましては、先ほど大蔵大臣が答えられました通りであります。そういうことにいたしまして、農村にいろいろな問題が起つて参ることをなるべく防ぐ意味においては、いろいろな施策考えて行かなければならぬと考えております。その他の問題につきましては、一々いずれお尋ねがあることと考えますから、お尋ねがありました際にお答え申し上げることにいたします。
  12. 足鹿覺

    足鹿委員 私が端的な質問をしなかつたために、大臣には御理解願えなかつた点もあつたように思いますが、要するに私の言いたいことは、一般日本経済の動向というものを拡大均衡方向へ向つて、現内閣はそのきつ先を切りかえて行こうというふうにも考えておられ、またその一つの緒につきつつあるのではないか、こういう観点からながめておられるように聞いておりますが、そこまで一般情勢が百歩を譲つて進んだとしても、事農業の場合は、むしろこれからようやくデフレ緊縮財政しわが来年度に至つて顕著に現われて来るものである、こういう情勢分析の上に立つて、私どもは今後の日本農業政策をどうあらしめるか、農政あり方をどうあらしめるかというふうに考えるべきだと私は見ておるのであります。ところが河野農林大臣の御所見によれば、一般経済拡大均衡の線に沿つて漸次好転して行くであろう、だから農村経済についてはそう心配しなくてもいい、こういう観点から農業政策あり方についていろいろと構想をめぐらされておるようでありますが、それは少し楽観に過ぎるのではないか。たとえば現在、長期にわたつての現鳩山内閣農業政策は私は追究しようとも考えておりません。またそういう性格内閣でもありませんから多くは申し上げませんが、実際問題として私どもが今考えられますことは、昨年また本年相次いで起つた農業災害の深刻な影響は、去年よりことし、ことしより来年と顕著に現われて来ると私どもは見なければならないと思うのであります。これらに対する緊急施策は一体どうするのか、また当面起きております乳価の異常な値下りの問題あるいは農家所得に重大な影響を持つであろう予想外に不作である本年の米の凶作加算について、政府はとりあえずどういうふうに処置しようとするのか、あるいはこれと関連のある供出高に対する減額補正の問題に対しては、当面どういう措置をとろうとしておるのか、こういつた問題に少くともまずこの暫定的な性格を持つ内閣は重点を置いて、危機に直面した農村一つの光明を与えることが、今の政府に与えられた大きな責任であり、これこそが当面緊急性を要する問題で、解決を急ぐ問題ではないか、私はかように考えておるのであります。ところが大臣お話を聞いておると、農政の根本問題についてその御所見発表になりますが、直面しておる農家の切実なこれらの問題に対しては何ら言及されないところに、私は先日来松野君との論争を聞いておりまして非常に失望いたしておるのであります。  そこで私は、今直面しておる具体的な問題についてあまり論議をとりかわしておる時間がないようでありますから、そういつた観点から直面しておる問題について伺いたい。すなわち第一は、本年産米供出については、西日本その他に予想以上の減収を見ておる。ところが統計の遅延のために、予想収穫高に基いて割当がなされておりましたために、供出面における非常な食い違いが出ておる。この補正を要求する声はほうはいとして起きておりますが、これに対してさしあたりどういう措置を講じて農民にこたえられる御所存であるか。この点と関連をいたしまして、昨年五百五十五円の凶作加算が行われた。その根拠となりましたものは、米価審議会において八五%の作況に基き一定の方式に基いて算出された凶作加算が行われたのでありますが、本年の私どもの見ておるところによります作況指数は、おそらく九〇を割るのではないか、政府当局すらも大体九〇ないし九一を今想定しておるようでありますが、そういたしますならば減額補正と相からんで、この凶作加算は、異論があるないは別として、今の食管法に基く、そしてパリテイを基本とし、生産条件あるいは経済事情を勘案して米価が定められておる限りにおいては、当然これを取上げるべき性質のものであると私は思います。またその条件としては、九〇内外の作況指数が出ておるといたしますならば、まさしくこれに当てはまつておると思います。補正と相からんでこれらの点につきましても、大臣農村をお歩きになるならば農民は端的にあなたにお尋ねすると思う。凶作加算はどうしてくれますか、減額補正はいつ、どれくらいやつてくれますかということは、あなたがたんぼをお歩きになれば、農民は新大臣に期待しておればおるだけに、私はそういう端的な声をお聞きになるはずだと思う。すでにお聞きになつておると思う。これらの点について、当面どういうふうにこたえられようとしておりますか。私はあまりこの農政論議議論をいたしておりましても時間の空費になりますから、直面した問題のみに限定して、これから二、三お尋ねしてみたいと思います。
  13. 河野一郎

    河野国務大臣 凶作加算の問題につきましては、いずれ二十五日に統計を見まして、その上で考慮いたしたいと考えております。  減額補正の問題につきましても、いろいろ事情は伺つておりますが、今ただちにどこをどうというようなことは、まだ考えておりません。
  14. 足鹿覺

    足鹿委員 十二月二十五日を待つて凶作加算については考えるということでありますし、補正も同様でありますが、先般大臣がおいでにならない際に事務当局意見を求めてみたのでありますが、これは政治的な問題であつて事務当局としては凶作加算にしろ、補正にしろ、これを否定する何らの理由はない。問題は政治的に決定をされるべき性質のものであるという意味の御答弁であつたように私は聞き取つたのであります。去年の例を申しますと、去年の凶作加算につきましては、米価審議会の中に小委員会を設けまして、減収加算算定方式なるものを学識経験者がつくりました。これを十二月二十三日に農林大臣に答申を行いました結果、御存じのように九百三十二円という加算額が出ましたが、政府米価審議会附帯事項等を無視されまして、減収率分散度を考慮するということになりましたために額が減りまして、五百五十三円を二円切り上げた五百五十五円という凶作加算が支払われたのであります。当初この五百五十五円のうち五百円は、十月行われました米価審議会において、当時の保利農林大臣は、自分の党に諮つてその支出をきめておられた。ところが去年とことしとではその凶作程度等を比べてみますと、大蔵省は部分的できわめて軽微だと言つておりますが、私どもの見たところでは、昨年に何ら劣らない。実質的には、昨年に引続いた地域におきましては、農民は死の寸前におるような事態であろうと思います。二年連続の冷害を受けた地帯においてはそういう事態であろうと思いますし、また昨年減収分散度を考慮するという点において、当然政府からもらわなければならない凶作加算も、半分程度にこれを削減された西日本方面にいたしましても、今年は逆にこの地方がその被害を受けておる。こういう面から見ましても、今これを行わずしていつ行うのか、総選挙後におきましては、事実上においてこれは困難な事態になると私は思うのであります。少くともこういう緊急性のある問題に——その内閣性格にいろいろ議論はあつても、まず真剣に取組まれて行くことが、いわゆる河野農政の、先日言われたように、価格面を通じて自分増産効果をあげて行くのだという、あなたのりくつにもかなうのではないかと私は思う。こういう問題を見送つておきながら、農家収入増加を通じて、従来の数量増産方式手取り価格で増加する農政に切りかえるとあなたは言つておられますが、こうした問題と一つ一つ取組んで解決されてこそ、私はそういつたあなたの構想に忠実にこたえられるゆえんではないかと思うのです。もし二十五日の数字凶作加算減額補正を必要とする数字が出た場合には、いつ、どのような方法でもつて減額補正並びに凶作加算を行われんとする御構想でありますか、これを明らかにしていただきたいと思います。
  15. 河野一郎

    河野国務大臣 いろいろ御意見でございますけれども、先ほど申し上げました通り、二十五日の統計数字を見た上で考えたい、こう考えております。
  16. 足鹿覺

    足鹿委員 それからどうされますか。
  17. 河野一郎

    河野国務大臣 それを見た上で、必要があればやりますし、必要がないと思えば、この程度でがまんを願うということにしたいと思います。
  18. 足鹿覺

    足鹿委員 その必要の限界についてですが、要するに米の作況に基いて、凶作加算は支払う方式がちやんとできていることは、御存じ通りであろうと思いますが、減収率を見て、その減収率が、この凶作加算算定方式にかなうような減収率であつた場合には出す、また補正も行う、こういうことでありますか。ただ数字を見てということでは、ちよつと私は納得が行かぬのですが……。
  19. 河野一郎

    河野国務大臣 御承知の通り、前内閣において今年産米につきまして価格決定をせられました際に、これは私の言葉が少し過ぎるかもしれませんが、価格決定の際におきましても、ただいま足鹿さんのお述べになりました通り、必ずしもこれが過去の諸般の計数を集めていたしたわけではない点もあると考えるのであります。また供出数字につきましても、いまだに決定していない県もあるようでありまして、非常に現行の食管法の運用が乱れているというようなこともありますので、おそらく事務当局におきましても、これは事務的な問題ではなくして、政治的に各般の考慮をしなければならぬ問題が多いというようなことを答えたのじやないかと私は思うのであります。私といたしましても、ただいま申し上げます通り、二十五日の計数を見た上で、諸般の条件を考慮いたしまして自分の方針をきめて参りたい、こう思うのであります。
  20. 足鹿覺

    足鹿委員 大臣に申し上げますが、減額補正は、もうこれは既定の事実でやることになつているのですよ。いわゆる抽象的な農政一般概論については、ずいぶん思い切つたことを言われる大臣が、減額補正の問題や凶作加算という具体的な問題になると、今言われたような態度では、私どもは納得が行きません。減額補正というても、もうほとんどこれは食糧庁はある一つ数字を想定して、各県別のものはそろそろ計数に載つておりますよ。ただそれを公に言うか言わないかの問題です。統計調査部においても九〇ないし九一の作況指数であるということは、すでに作業が進んでいる。ただ一定の期日が来ない限り、これはみだりに発表することができないから、これを持つているというだけのことですよ。それを通り一ぺんに、今言われたような御答弁では、私は河野さんともあろう者が、この程度のことについて断固たる所信を述べられないということは、非常に遺憾に思いますが、おつしやらないというならばこれ以上はあえて申し上げません。
  21. 河野一郎

    河野国務大臣 いろいろ足鹿さんからお話もありますが、こういう問題については、実は私非常にふなれでございます。しかも組閣早々でございまして問題が輻湊いたしておりますし、またいろいろな問題がありますので、十分事務当局意見も勉強いたしまして、そして申し上げるときにははつきりしたことを申し上げたい、こう考えておりますので、ただいま差控えているような次第でございますから、その点は、決して通り一ぺんのごまかしで通ろうというようなことは、お互いに農政を論ずる者のとるべき態度じやないと考えておりますから、御理解いただきたいと思います。
  22. 足鹿覺

    足鹿委員 あまり仮定の上に立つて押問答することはやめまして、とにかくこの農民の当面の要請にこたえられないはずはないと私は思うのでありまして、二十五日といえばもうすぐでありますし、この問題に対して全国の農民は、りくつはどうであろうと、日本民主党農業政策一つの端的な現われとして、その良識の現われとして注目しているということを私は申し上げて、十分これにこたえられんことを、この際期待いたしてこの問題はこれで打切りたいと思います。  次に河野農林大臣は、一昨日の——その前でありますか、その本委員会において、米の問題についていろいろと言及をされまして、その結果米の直接統制間接統制に切りかえて行く、その条件の整備を期待するという注目すべき発言をされ、同時に従来の数量的増産政策より生産費、すなわちコストを下げて行く方式に切りかえて行くという新たなる構想発表されたのでありますが、そこで私がこの際に承りたい点は、コストを下げて行くための河野農政の具体的な筋道はどういうことであるか、これを伺いたい。肥料を下げる、農薬を下げる、あるいは税金を下げるというようなことも新聞で述べておられますが、私どもはもちろんそのような生産財、あるいは経営費に見合うべき農業所得税の合理化等も農民とひとしく期待しているのでありますが、問題は、コストを下げて行くということは、結局生産力を高めて行く、言いかえますならば労働の生産性をいかに高めて行くかというところに私はコスト引下げの基本点があると思うのであります。現在日本における米の生産事情から見ますならば、一人の農民が二人ないし三人の国民しか養えない低い労働の生産性、ここに日本農業の悲劇があるし、食糧自まかないの非常に困難な隘路があると思うのであります。この辺のことは多くを申し上げなくともよくおわかりでありますが、要するに労働の生産性を高めて、あらゆる生産財価格を引下げて、そしてコストを下げて行くということは、結局農業の企業化を成功せしめて行くという大臣の御構想であるように私は伺うのでありますが、それをやつて行く場合において、肥料の点についても、あるいは農薬の点についても、農機具の点についても、あるいは農業所得税あるいは地方税の合理化、軽減等についても大いにやつてもらいたいと思うが、問題はその生産の根本であるべき土地改良あるいは土地の造成、こういつた点に対してどのような具体的な施策を講じて行かれようとするのであるか、これを私は承りたい。いわゆる生産財対策あるいは課税対策外にその生産の基礎条件をどう整備し、どうそこに労働の生産性を高めて行く基礎政策を実行して行かれようとするのか、これを私はこの際明らかにしていただきたいと思います。
  23. 河野一郎

    河野国務大臣 ただいま足鹿さんのお述べになりました通りでございまして、現金支出の面をなるべく減らすように努力をする、土地を有効に使うようにする、さらに生産力の増大するように土地改良をやつて行く、すべてお説の通りにして参るほかに別に施策はないと私は思うのでありまして、あなたのおつしやる通りして参る、こう考えております。
  24. 足鹿覺

    足鹿委員 きようは大臣は少し語らなさ過ぎるようですが、二、三日前のような元気で御答弁が願えないものでしようか、どうもきようは元気がないように思います。私の言うのは要するにこういうことなんです。御存じだろうと思うのですが、本年度予算の場合において、土地改良に対するところの財政投融資というものは著しく削減を受け、あるいはきゆうくつになつて来ている。これを踏襲して行こうとされるのであるか、あるいは農地の造成あるいは改良等については、その一つの計画に従つて、完全にこれを実施して行く、これが一つの——コストをにわかに下げるといいましても、急激には農業生産費の引下げは困難であります。これの施策が年々累積されて、その結果として一定の年限の後にはコストは著しく下つて来るということになるのでありまして、であればこそその長期性一貫性計画性の上に立つものが必要になるのであります。従来自由党は、計画経済は共産主義であるといつて、失笑を買つたこともあつたのでありますが、現内閣はいろいろな企画を次々と発表されているようであります。そこで目新しい大臣施策の中で一番目新しい問題は、コスト引下げという新たなる施策方向を示された。しからばそのコストを下げて行くための手段方法としてどういうことを計画的に考えておられるのか、問題はこの点に私は集約して来ると思う。これあつてのみ初めて外米の問題あるいは外麦の問題、外国の農産物の問題との関連においても、日本農業の競争性を高めて、その自立性を確立することも私は可能になつて来ると思うのです。それなくしていたずらに食糧を外国に求めるがごとき印象を与えるようなことは、これは日本農業にとつて百害あつて一利ないと思う。そのコスト引下げ、労働の生産性を高めて行くその根本というものは、肥料の値下げあるいは電力料の値下げ、あるいは税金の合理化、もちろん必要であります。必要でありますが、農業のよつて立つ基盤はやはり農地の問題であります。この問題に対してどういう施策を講ずるかということが、私はコスト引下げの根本的な問題だろうと思うから、特にしつこいようでありますが伺いたい。お前の言う通りだでは困るのでありまして、大臣一つ施策方向を示されているから、これに対するところの肉づけ的な構想を私は聞いておるのでありまして、お前の言う通りだという程度では満足できません。
  25. 河野一郎

    河野国務大臣 多年研究しておられる足鹿さんのお説、傾聴いたしております。あなたのおつしやること以外に私はやることはないのでありまして、あなたのおつしやることを実行すれば、そこに非常に優秀な農村が形成される、こう考えたのです。ただこの機会に一言つけ加えさしていただきますことは、従来とかく国家財政に相当の無理をしてでも、農村の土地改定の重要性にかんがみて施策して参りました土地改良の問題が、非常に広汎にわたり過ぎまして、しかも施工完成の時期が長期にわたり過ぎまして、農村をして非常に失望せしめているような事例が私は多いと思うのであります。こういう点につきましては、もし許されるならば、なるべく重点的に短期間に順次完成して参るようにすることができれば一番けつこうではなかろうか、こう考えております。しかし何分今まであまりに店を広げ過ぎているきらいがありますので、これを一時に重点的に切りかえるということは、なかなか困難があると思います。これは農林委員会の諸君等の特に御協力がありまして、そうして現在施工しつつあるものにつきましても、もしこれをあとに延ばして、そうして重点的に早く効果の上るものもしくは必要度の高いもの等、もしくは地元民の協力の熱意等々にかんがみまして、これが多少でも整備することができますれば、一番日本農政のために必要であろうと思うのでありまして、但しこれは足鹿さんのおつしやるように、それじや元の予算を減してそれをやるつもりかというと、決して私はそうは考えておりません。なるべく金額は多い方がよろしい。しかしこれは財政と見合うことでありますから、私は今ここで幾らどうということは申し上げかねますが、それに対する熱意は決して欠いておるものでないということを御了解を得たいと思うのであります。
  26. 足鹿覺

    足鹿委員 時間もないようでありますから、最後に伺つておきたいのですが、あまり具体的な政策については入ることを慎みたいと思います。この政権の性格から見ましてもやむを得ないだろうと思います。私は特に緊急性のある点、一刻も捨てておくことはできない、きようも予算委員会で鳩山さんは、政治には休みがないということを言われた。私その言葉はきわめてけつこうだと思うのですが、休みのないどころか、ほつておきますととんでもない事態農村に起きるという火のついた問題だけに限定しておるのです。  最後にお尋ねしたいことは、酪農の新指定が行われておる際に、最近の乳価をめぐる酪農家と乳業者の間における紛争は目に余るものがございます。これは厚生省との関係において、本委員会も従来長い間真摯な検討を続けて来ておりまして、もはや最終段階で一日も遅延を許さない大きな問題になつております。これは省と省、大臣大臣との政治折衝の段階で政変に直面した問題でありますが、これについていかように対処される御所存でありますか。政治的にこの際どのような手段で解決をされるか、この一点特にお答えを願いたいと思います。  それから農林省の縦割り機構という言葉が先日の新聞に出ておりまして、食糧庁食糧庁でたとえば金融をやる、水産庁は水産庁でやるというような大臣構想が述べられておりました。特に金融というようなものが引合いに出されておりました点から、当面の問題として伺つておきたいことは、土地担保金融等について、これを速急に行わんがために、あのような一つ構想となつて現われておるのでありますか。唐突に縦割り機構問題が占領行政の改革という打出し方で述べられておりますので、これについては相当具体的にこまかくただしたいのでありますが、土地担保金融あるいは農村金融との関連において、何か大臣考えておることがあつてつておるのでありますか。あれはただ単に新聞の報道するところであつて、真意と違うのでありますか。  この当面した二つの問題を私はお尋ねいたしまして、緊急な問題に限定いたした私の質問をこの程度で打切りたいと思います。よろしく答弁を願います。
  27. 河野一郎

    河野国務大臣 ただいまの乳価の問題につきましては、せつかく酪農がここまで発展いたして参りました過程におきまして、はなはだ遺憾に考えるのでございますが、現在のわれわれが許される施策といたしましては、ただいま足鹿委員のお示しになりました通り、厚生省と政治的に折衝いたしまして、高温殺菌の問題は一日もすみやかに解決するということが緊急中の緊急なことだと考えますので、これは私の責任において善処いたしたいと考えております。  それから次に機構の問題でございます。これはただいま新聞の記事でお示しになりましたが、経済局の機構につきまして、実は今の農林省機構が一責任担当者に一切の責任を持たしていないというところに私は非常に疑義がある。ないしは農村からいろいろお話においでになりましても、その責任が、たとえば水産金融の問題でありますと、水産庁へ行つていいのか、経済局へ行つてよいのかわからぬ。あちらへ行けばこちら、こちらへ行けばあちらというようなことではどうも感心しない。であるから、この水産に関する問題は水産局長もしくは次官、大臣という順序で行きたい。そこでただいまの土地担保金融の問題はどうなるかと申せば、これは農政局というようなものをつくつて、そこで扱つたらどんなものかということで、農林行政の権威者の方々にお話を申し上げまして、せつかく研究をしていただいて、そうして結論を得て、来るべき時期に皆様の御意見を拝聴いたしたいと考えておる次第でございます。御了解いただきたいと思います。
  28. 川俣清音

    川俣委員 時間がありませんから端的に数点お尋ねしたいと思います。河野大臣が野にあつたときに考えておつたことを、組閣とともにその構想発表することは当然な考え方だと思うのであります。そうしてそれを実施しようといたしまする意欲については、これは壮とするものであります。あるいは野党がよけいなことだ、そんなことは管理内閣がやるべきじやないと言われておつても、その意見を述べることは政治家の自由だと思つております。しかしながら事たまたま悪くいえば思いつき、よくいえば多年の構想発表だということになるのでありますが、農村に与える影響が非常に大きい場合におきましては、やはり問題として取上げなければならぬことも起つて来ると思います。そこで第一にお尋ねしたいことは、足鹿委員も触れたことでありますが、あとの問題に関連して来るので、総論的にお尋ねいたします。生産費を引下げるということ、ことに米麦、農産物の生産費を引下げる方向をとるということは、あるいはそれに努力するということは、私どももまつたく賛成でありますが、はたしてそれでは一体どのような方向で、生産費を引下げようとする意欲や努力を持つておられるのであるかどうか、この点ひとつお聞かせ願つて、あとは具体的な問題でお尋ねしたいと思います。
  29. 河野一郎

    河野国務大臣 先ほど足鹿さんのお話になりましたような、すべての点についてせつかく検討して参りたい。たとえば肥料の問題にいたしましても、肥料価格の引下げについて全力をあげて実現を期したいと考えております。
  30. 川俣清音

    川俣委員 おそらくこの生産費を引下げるということは国際的にも必要なことであろうし、日本産業体制からいつても必要だという考え方については私も異論がない。その方法として、普通農政に関係しておる者の考える方法としては、土地改良によるところの増産、あるいは投資資材の価格の引下げ、こういうことになると思うのであります。そこでこの二つの中の一つであるところの肥料値下げを大いにやることについては、これも私どもとしては反対いたしません。大いに賛成のところであります。そこでお尋ねしたいことは、肥料といつてもたくさんありますが、河野農相は肥料については相当お詳しいと思いますが、一体どの肥料から下げて行かれるお考えでありますか。
  31. 河野一郎

    河野国務大臣 いろいろ現状において考慮する点は多々あるだろうと思うのであります。たとえば硫安にいたしましても、石炭の値下り、その他生産原価の引下り等の条件がありますから、これらについても十分懇談いたして参りたい。また過燐酸にいたしましても同様、カリにいたしましても同様、配合、合成、すべての肥料について考えて行きたい、こう考えております。
  32. 川俣清音

    川俣委員 これは河野農林大臣が就任間もないことであるからして、しろうとであれば私はそういう答弁で満足すると思うが、相当あなたは専門家でありますし、専門家をもつておそらく自認しておられるだろうし、世間でも専門家として認めておられるので、私はそれでは満足できない。一体割高になつておるのは何肥料だというくらいは、見当がついておられるだろうと思います。値下り値下りというが、おそらく硫安もその一つ考えられます。カリ肥料も御承知の通り輸入です。過燐酸も輸入に負うところが大きいのであります。そこで硫安でありますが、硫安を引下げるということになりますと、ガス法と電解でありますが、ガス法では大して下げる余地はないというふうにおそらく専門家は見ておるだろうと思います。問題は電解だろうと思います。電解でありますれば、電力料金とか、電力量も前の政府考えた以上に供給するということが起つて来るのじやないかと思うのでありますが、そういうことも考えられて肥料価格の引下げをするというお考えですかどうか。この点をお伺いしておきたい。
  33. 河野一郎

    河野国務大臣 私は特に肥料の問題につきましては慎重な態度をとりまして、農村におきましてもこれが具体的に下つたというときに発言をしたいということで、最初からこの問題につきましては、新聞記者会見等におきましてもあまり多くを語つていないのであります。しかし私の意図するところは今申し上げますように、決して過燐酸も下らないことはない。カリにつきましてもある程度下げることはできるということを私は確信を持つております。たとえば硫安にいたしましても、内容につきましては川俣委員からいろいろお話でありますけれども、現在の肥料各会社の株価等から考えまして、はたしてこれらの価格でよろしいかどうかということ等も考慮の余地はあると私は思います。しかしこれは肥料の専門家の方々と私はまだ話し合う段階まで至つておりません。しかし私は結論的に、政治的に考えて、今日の農村事情もしくはわが国の自立経済達成の上におきまして、各方面の会社の協力を要請する段階にある、こう考えますので、せつかく今考究中であります。
  34. 川俣清音

    川俣委員 カリ肥料は輸入を増大すれば引下ることは明瞭ですから、政治的に河野農林大臣が働けば明日からでも下りましよう。これは明瞭です。過燐酸にいたしましても燐鉱石が輸入せられますならば、これもまた引下ること明瞭ですから、一に政治的な面にかかつております。三の硫安は、私はしろうとだと思わないで、くろうとだと思つてお尋ねするのだが、要は硫安は、大半は電気または石炭なんです。ガス法はおそらく八〇%から九〇%の操業率を上げておりますから、これ以上上げる余地はないだろう。問題は電解なんです。電解が操業度が非常に低い。六十から六十五、六でしよう。この操業度を上げることによつて増産になりますと同時に、コストが引下ることはこれもあまりにも明瞭です。そこで電力の料金並びに電力量を供給することが可能だということになれば、これは引下るのです。もう一つは肥料会社の株が非常に高い、あるいは高配当しておるということでありますが、硫安単味の会社はそう利益をあげておりません。御承知の通りです。むしろ出て参りますアンモニアが非常に高くなつております。そこでこのアンモニアの転換によりまして、いわゆる合理化と称しまして、これを尿素等に転換をいたしましたり、このアンモニアの転換方法によつて利益をあげて、いわゆる肥料会社というよりも、化成品会社の方が利益の配当をいたしておりますことは、これもあなたも御承知の通りであります。そこで純然たる硫安というものから見ますれば、結局電力量を供給する以外に安くする方法はないと私は思うのだけれども、このことが実行できるとお考えであろうかどうか。あなたは専用家だと世間で言われておりますし、専門家でなければあえて質問しないのです。
  35. 河野一郎

    河野国務大臣 お答え申し上げます。あまりこういうことを申し上げては恐縮かもしれませんが、川俣さんは肥料の値を下ることにもつと御協力を願えると私は思つてつたのですが、今お伺いいたしますように、肥料会社の言われるようなことをあまりここでおつしやられると、どうも肥料会社の立場がよくなつてしまうような気が私はするのであります。私の申し上げますのは、肥料会社と申しましても、生産費はばらばらであります。これは川俣さん御承知の通りであります。これを平均生産費で価格をきめることは、私は間違いだと思つております。であるから生産費の高いところはしかるべく会社が整理統合するなり合併をするなりしてでも、われわれに御協力を願わなければ、今日の農村は許されぬ段階ではないかと私は確信しております。しかし肥料会社の内部にあまり深く立ち入つて申し上げますことは、通産大臣もおられることでありますから、私は申し上げることを避けておるのであります。しかしわれわれは、結論として下げてもらえばよろしいのでございますから、あまり深く立ち入つて論議はしない。われわれ農村の現状から見て、米の生産費を下げることを要請されております段階から見て、とにかく農村事情に合致するように肥料政策はもつと完璧を期してほしいということを、強く通産大臣に要望するつもりでおります。ここでその内容に入つて申し上げますことはしばらく差控えたいと思いますから、御意見は御意見として十分伺いますけれども、この点は御理解いただきたいと思います。
  36. 川俣清音

    川俣委員 私は決して放言ということで取扱わない、もつと好意的に取扱うつもりですが、私どもは肥料の値下げに反対なんかいたしておりません。今までこの農林委員会は肥料問題と取組んで以来、どこに一体肥料の値下げの根拠を見出すかということで、相当の研究をいたしております。おそらく河野君よりももつとつつ込んで、一体どこに値下げのできない根拠があるかということを研究しておるつもりです。従つてどもは、どうして値下げをするかということに努力を払つて来たのです。口だけで下げるのだと言うことは、今日ではもう許されない段階だということなんです。これはしろうとであれば、下げると言うのであるからおそらく下げるであろう、こう思つてもよろしいのです。河野農林大臣は相当詳しいはずなんです。であるからおそらくでたらめにあるいは放言で下げると言つたのではないであろう。その実現に強い期待を持つておるのです。私どもは下げることに協力するのです。そこで結局電力料金の引下げ、電力を豊富に供給しなければならないということになるであろう。現状を見ますと、ア系肥料はむしろ肥料にならないで、他の化成品になつて行く、あるいは尿素に転換されて行く傾向が合理化とともに増大して来ております。それを私たちは心配しておるのです。そこでこれに手を打つことも一つでありましよう。または企業合理化ということを言つておりますが、会社の合同を行うということになりますれば、これも一つの手でありましよう。現在の肥料会社で比較的苦しんでおるのは硫安単味会社ではないか。肥料以外の経営を営んでおる会社の方が有利な地位にありますこともあまりに明瞭です。そこで肥料を安くすると同時に、常に肥料というものがそういう一定の人々によつてつり上げるような方法をとられないようにすることも考慮されて、合同、合理化もして行かなければならないであろうと思うのです。平均と言いますけれども、単味硫安が一番安くついている。いわゆる生産費の計算にもよりましようけれども、単味生産でなくて、副生産をやつておる方が本来から言えば安くついていなければならぬわけでありますけれども、割高についておる。その平均が肥料の価格になつておりますが、これも不合理であることは私どもは認めます。それでは硫安をうんと下げて行くということになりますと、硫安はつくらないのではないかというような懸念も出て参ります。ほかのものに逃げるのではないかというような懸念も出て参ります。ほかのものに逃げないようにするには、法律で抑えるか、または専売的なものによつてやるというようなところまで行かなければならぬじやないかということも考えられる。現在そういう手を尽さないで、簡易に下げられるという方法は、電力の供給以外にはないのではないか。今端的に下げ得る方法は、電力料金の引下げと供給によつて引下げられる。おそらく一俵について七、八円や十円、あるいは十五円や二十円は、電力の供給の増大によつて引下げられる。これはあまりにも明瞭なんです。ですからそういうことをおそらくおやりになるんじやないかということを聞いているのです。しかも今後合理化、統合とかあるいは専売とかいうことになりますと、これは長期政策でありますから、私は今それを聞いておるのではない。いろいろ方法はあるでしようが、今端的に引下げられる方法は、その方法だと思うけれども、どうであろうか、こういうことをお伺いしておるのです。
  37. 河野一郎

    河野国務大臣 川俣さんのお話になることも、確かに一つの方法だと思います。その他金利を下げることも方法でございましようし、融資を増大することも方法でございましようし、いろいろ方法はあると思います。しかしこれはお話通り、会社との間に通産省を通じて話をすることでありますから、私はそれらの点につきましては、一応石橋大蔵大臣に要望して、この職務を遂行いたしたいと考えております。
  38. 川俣清音

    川俣委員 そこで次にお尋ねいたします。米価審議会という米価決定の諮問機関がございますが、これは休止するつもりですか、あるいは廃止するようなお考えですか。年度内に休止をするつもりか、または廃止をするようなお考えですか。この点をお尋ねします。
  39. 河野一郎

    河野国務大臣 これは現行食管法のある限り、休止をするとか廃止をするということは考えておりません。現行食管法を改正する際に、別に新しい委員会等の必要が起つて来る、こういうふうに私は新聞記者諸君にお話を申し上げておるのでございますから、御了解願います。
  40. 川俣清音

    川俣委員 そうすると、先ほど足鹿委員から質問が出ましたが、今年度の作況指数が、従来食糧庁が事務的にもとつて参りました態度、あるいは米価審議会等における民間経験者としての意見等から見まして、九五%以下の作況指数の場合は豊凶係数を加算することになつておるのでありますが、加算をするにいたしましてもしないにいたしましても、米価審議会に諮問することが必要だと思います。諮問する御意思はあるのかないのか。
  41. 河野一郎

    河野国務大臣 ただいまお示しのような問題につきましては、純事務的に取扱うつもりであります。
  42. 川俣清音

    川俣委員 そういたしますると、二十五日に作況指数が明らかになり、その後に諮問されるのでありますが、大臣の諮問機関でありますので、もしも作況指数が九五%以下だつた場合には、大体いつごろ御諮問なさる予定でございますか。
  43. 河野一郎

    河野国務大臣 先ほどお答え申し上げました通り、それを見た上で、必要があれば諮問いたします。その時期等につきましては、諸般の情勢を勘案いたしまして決定いたします。
  44. 川俣清音

    川俣委員 もう少しざつくばらんでいいのじやないですか。大体総選挙はいつごろあるという目安もついております。年末年始という一つの期間もございます。年内でありまするならば早くやつてもらいたい、年明けであるならば大体どのくらいということになるのじやないかと思うのです。大臣の見当だろうと思いますが、作況指数が九五を割ることは大体明瞭です。九〇であるか、九一であるか、九二であるかということは、あまりに臆測になりますけれども、われわれは大体その程度につかんでおります。少くとも九五を割ることは明らかでありますので、いずれにしても、御意思によれば、米価審議会を開かなければならないと思うのです。従つていつごろ開かれるかということは、予定を立てられてもいいのではないかと思います。
  45. 河野一郎

    河野国務大臣 事務の都合も考え委員諸君の御都合も伺つた上で、開くとすれば一番いい時期に開く、こういうつもりであります。
  46. 川俣清音

    川俣委員 それから、畜産に非常に関心を持つておられます大臣ですから、この畜産の飼料に対しても、非常に関心が深くなければならないと思うのです。ふすまなどは、食糧にする麦と動物の食糧にするふすまの値段と、あまり違いがないというような非難攻撃が起つております。えさについても、農林大臣は相当詳しいはずであります。むしろその道の大家であろうと思うのです。現にそういうこともお仕事の中であるはずでありますから、この飼料についてはどのようなお考えですか。これも肥料と同じように下げるべきだと思いますが、どういうふうにして下げられるというお考えですか。
  47. 河野一郎

    河野国務大臣 今ふすまのことについて御指摘でありますけれども、国際的にふすまは売物が少いのでございまして、なかなか内地価格に引合うふすまがないようであります。せつかく農林省におきましても、ふすま資源を手わけをして探しておるようなわけでありますが、供給不足でございまして、所期の目的を達成しにくい。しかもえさの事情はまだ戦前のように大分発達いたしておりませんので、今まではふすまは副原料ということになつてつたそうでありますが、それがむしろ現在はふすまが主原料ということで、非常に需要がふえておる。そのために、ふすまについてはなかなか所期の目的が達成できないということでございます。これらにつきましては、なるべく飼料の品質の改良もしくは奨励等によりまして、漸を追うてそういうふうに行くよりしかたがないのじやなかろうか、こういうふうに考えております。
  48. 川俣清音

    川俣委員 私は植物の肥料、動物の飼料はやはり同じような考え方で引下げて行かなければならぬと思うのです。肥料は引下げることができて、動物の飼料の方はなかなか困難であるということに私はならないのじやないかと思うのです。そこでふすまばかりが飼料でないのでありまして、大豆のかすなりその他の種類をも飼料として考えて参りますれば決して困難ではない。むしろカリ肥料の困難性とふすまの困難性とはやや似ているというくらいにまで考えていいのじやないかと思うのですが、カリについては大いにおやりになるというお考え方で、私はそれを壮といたします。それと同じように、動物の飼料についてはもう少し活発に答弁できないですか。
  49. 河野一郎

    河野国務大臣 川俣君御承知の通り、とうもろこしにつきましては、わが国の価格は国際価格に順態しております。飼料用の麦につきましては、食管法の規定によつてむしろ特別に安いものを配給するということになつておりまして、これも国際価格でありまして、国際価格はわが国の政府の力をもつてはいかんともしがたい、私はこう思います。従つてカリの場合とは根底が違う。これは輸入する量が少いために高いのでは決してないのでございまして、為替はAAということになつておりますから、入れようと思えば幾らでも入りますが、産地の価格日本内地の価格と違つておる。従つて産地価格はいかんともしがたいのでありますから、これにつきましてはさしあたり手はないのじやないか、こういうように考えております。
  50. 川俣清音

    川俣委員 これは少し議論があります。これもまた農林大臣の専門でなければ私はこんなことを聞く必要はないのですけれども、国内のふすまが卸売から離れる場合あるいは食糧庁から手渡す場合あるいは小売の場合に、こんな大きな開きのあるものはございません。
  51. 河野一郎

    河野国務大臣 ちよつと申し上げます。私は先ほど、ふすまは不足しておりますからこういう事情になつております、これはいろいろ手を尽してやつておりますけれども、所期の目的は達成しかねますと、品種をわけてお答え申し上げております。とうもろこしと飼料用小麦についてはこういう事情でございます、こう申し上げておるのでございまして、その点わけて申し上げておりますから、混淆しないように願いたいと思います。
  52. 川俣清音

    川俣委員 専門家でありますから私は混淆しないつもりです。河野大臣に聞く以上は混淆しないで聞いておるつもりですから、どうぞその点御了解になつて御答弁願いたい。  今ふすまの例を出しました。結局ふすまの下らないのは不足しておるからだ、こういうことです。その他の飼料全体としての不足がふすまの異常な値段を呼んでおるのだと思うのです。食糧庁から出す値段と小売でこんなに開きがあるということは、結局他の飼料が十分まわらないための現象だと見なければならないと思う。そこで今とうもろこしまたは大豆かすその他のものが輸入手当によりましてこれは不可能ではない。困難性においてはカリ肥料とそう違わない。カリ肥料は日本で一手販売でありますために特権的な存在の点があります。これはもちろんある程度排除しなければならぬでしよう。しかしながらそれを除きますならば、さほど世界の水準のカリ肥料と日本の肥料とは大きな開きはないのです。これも一手専売でありますから、一手専売の権限をとり得るか得ないかという問題もありましようけれども、これは輸入をある程度カリ業者が制限をしておるというところに問題があるのでありまして、こういう意味で似ております。どうですか、もう少し飼料を下げるという具体的な案は出せませんか。
  53. 河野一郎

    河野国務大臣 先ほどお答え申し上げましたように、飼料でとうもろこしと小麦につきましては為替は自由でありますから、いくらでも輸入ができるということで、これは入つております。もつとも小麦につきましては、飼料用の小麦は食管法政府がやつておりますけれども、これは民間の需要に応ずるだけ政府は出しておりますから少しも不足しておりません。但しふすまにつきましては別でございまして、これは先ほど申し上げましたように、ほかのものが足りないからふすまが足りないという見方があるかもしれませんが、私たちの聞くところによればそうではないのであつて、前はふすまを副原料として、たとえば配合飼料の場合には大体二〇%前後のものをまぜておつたものを、今では四〇%くらいのふすまを使うようになつております。そういうことでふすまが足りないのに需要が非常に増しておる。これは飼料の品質改善その他の奨励によつて行くよりほかにしかたがない、こういう実情だと聞いておりますので、その方面には手を尽して行く必要があろう、こう申し上げたのでございます。但しふすまにつきましてはインドその他アフガニスタン、セイロン等からも買うことをいろいろ努力しておりますが、割合に割高でありまして、朝鮮のふすまには多少のあれがありますけれども、これは品質等について危険があるというようなことで、入手困難な実情にあるというように私は聞いております。
  54. 川俣清音

    川俣委員 この点での論争は避けたいのですが、中共から大豆かすを輸入しようと思えば入つて参ります。ことに畜産の、乳牛あるいは競馬馬等においては、大豆かすが相当いい飼料であることは、私はこれは専門でないけれども、聞き及んでおるわけです。従つてそういうふすまよりももつと飼料としての希望の増大するようなもの、需要の非常に強いものを輸入されることによつてある程度のふすまの代替ができる——代替というか本物が入るのではないか、こういうことです。またふすまについても、製粉会社等が相当売惜しみをいたしましたり、あるいは操作をしておるのも現実に明らかでありますので、こういう点について大いにメスを入れようという考え方でありますから、その点についても大きなメスを入れられるだろうと期待しておるのです。  次にお尋ねしたいのですが、すべての物価を引下げることが必要だと思うのでありますが、その場合に一審の問題は電力だと思うのです。ところが日本の電力は、御承知かもしらぬし、あるいはこれは専門でないので御承知ないかもしらぬけれども日本の貯水ダムは世界の水準に至つていないのです。七十年、百年の貯水ダムが世界的水準だと言われておりますが、日本は十数年の貯水ダムのダム効率が低下しております。あれだけ金をかけたものが十数年でダム効率が低下するために、非常なコスト高になつておる点があまりにも明らかだ。これは貯水池に土砂の堆積が出て参りまして、貯水ダムが流水ダムになつてしまつておる。流水発電になつてしまつておる。貯水して渇水期に有効に電力を起そうという平均電力をねらつて貯水ダムをつくつておるにかかわらず、実際は流水電力になつておるために渇水期が出て来ることは、これもあまりにも世間に知られておるところであります。そこでこの土砂堆積を防止するには、国がやるか発電所がやるかは別にいたしまして、土砂どめをやるだろう。土砂どめと同時に、もつと上流あるいは山腹に土砂崩壊を防ぐ扞止堤等をつくらなきやならぬだろうと思います。それと同時に、また緑はだを荒さないようにするために緑でおおうという形をとりますか、水源地の培養的な植林が必要になつて来るだろうし、資源が確保されなきやならないと思うのですが、聞くところによりますると、そういう意味でいわゆる治山治水の根本対策とし、日本の山はあまりにもはげ過ぎておる。私ども飛行機で水源地を見ましたが、どこの水源地も、木曽の水源地以外はみな山はだが荒れておる。これじや土砂が下流に流出するということはあまりにも明瞭に出て来るわけですが、そういう意味で保安林を設定しようということになつたわけですが、この保安林の買上げについて、何か前の政府のやり方が非常に悪いからとめろというようなお考えがあるやにも聞くのですが、私はそんなことはないと思います。従来の内閣のやつてつた利権的なものは、むしろ国有林の払下げの方に利権的なものがあつたと思うのです。これは立木がついておりますからね。これはあなたの親友の広川時代には特にやつたことです。これはほんとうなんです。だから広川農相が山林地を見に行つた所は、どこを払い下げたか聞けばたいてい出て来たのであります。見に行つた所はどこか払い下げておるくらいに払下げが盛んであつた。これは確かに利権臭が強いのです。町村合併に伴うところの国有林の払下げ、特に立木ですね、木のない所は別だが、木のある所を払い下げておることは、確かにあなたのねらうところの利権臭がありまするから、これは大いににらみをきかした方がいいのじやないかと思います。しかし坊主山を買つて植林をしようとか、水源地の木を切られたならば山はだが荒れるというような所を買うというのにはなかなか予算がないということで、むしろ所有者が離さないのを無理に離させようというようなかつこうが出ておるのでありまして、これはあるいは利権的なものがあるかもしれませんが、私はそう多く耳にしないのです。利権臭のある所は大いにやつた方がいいと思いますが、この保安林についてはどのようなお考え方をしておりますか。
  55. 河野一郎

    河野国務大臣 私は売るのも買うのも同様に明朗公明に、選挙を控えて緊急でないものはやめた方がよかろうというような意味でなるべく差控えろというようなことは申しました。今川俣さんから払下げのことは利権があるが、買う方には利権はなかろうとおつしやるが政府が金を出して買えば、その金はやはりそういう疑いを受けるおそれがあるというようなことから、なるべく差控えて、そうしてそういうことは緊急やむを得ざるものは別といたしましても、そうでないものは選挙でも済んでゆるゆる考えてやられることの方が妥当だ。よくあなた方がおつしやるように、選挙管理内閣性格のものは差控えたがよかろう、私はそういう命令をいたしました。しかし今お話のように保安林の造成であるとかさらに植林であるとか、治山治水の根本方策につきましては、あなたとまつた所見を同じくするものであります。御了承願います。
  56. 川俣清音

    川俣委員 とかく払下げについては利権臭がただようので、私は大いに期待するのです。保安林の場合は、御承知でもありましようが、どうして一体保安林の木の伐採をとめようか、伐採調整金というようなことで若木を切るのをとめる、その資金を流して行くという一つの方法もやつております。同時に保安林としてどうしても必要な場所にこれを買い上げるときに、買上げに応じないものは強制的に買い上げよう、こういうような処置をとるわけであります。今日においては立木のあるような所はなかなか売らない。むしろ伐採してしまつて利用価値のない所はあるいは応ずるというようなこともありますが、しかし大体価格がなかなか折れ合わないで応じないという所が多いので、遅れておるようであります。売らないという所は利権があまりない、これはむしろ運動がないのです。売らないと言つて逃げておる方が多くて、買つてくれというのが少いのです。買つてくれというのが多ければ利権的なんだが、みな保安林に指定されるのがいやだからと言つておるものが多いから、そこで私は大体利権臭がないのだと思う。ですからせつかく調査をいたしましたところで、利権的でないものは、こういう治山治水に関係のあるものは、そうおびえないで、農林大臣の目の光り方によつて、これはそう心配はないのじやないか。こういう考え方であなたにお尋ねしておるのです。
  57. 河野一郎

    河野国務大臣 今川俣さんのおつしやつたようなことで特定のものがありましたならば、どうぞ直接お話くださいましたら調査をいたしまして、決してそういう利権臭がないとあなた方が御理解をいただくような所でしたら、たいへんけつこうなことでございますから、そこまでもやめようという考えはございません。とかくあなた方からそういうことで利権々々と言われますから、思い切つてやらない方がよかろう、こう考えましてやつたのでありまして、その点は御了承願います。なおまた売るものにつきましても値段等について高く売つた、売らないというような問題がとかく起りますから、なるべくそういうことは避けられた方がよかろうということでやつたのでありまして、これは絶対ではございません。絶対に買つてはいかぬという命令を出すはずもないのでございます。特に慎重を期せということをば申し添えておいたわけでありますから、そう御了解を願います。
  58. 川俣清音

    川俣委員 売る方については、慎重にお考えになることには異議はございません。
  59. 河野一郎

    河野国務大臣 買う方についても同様でございます。
  60. 川俣清音

    川俣委員 私は自分のところに別に関係地区は持つていないのです。ただ総体的に見ると売らないという方が多いのです。これは資料なり統計で明らかです。売つてくれ、買つてくれという所があれば、これはおそらく利権的なものがあるだろう、こう考えられるけれども、みないやだと言つて逃げておる所には利権はあまりないのじやないか、こういう意味であります。そのくらいのことは理解される大臣だと私は思つて質問しておるわけであります。
  61. 河野一郎

    河野国務大臣 今申し上げましたように、疑いのないものについても絶対にやつちやいかぬという命令は出しておりませんけれども、もしまたそういう意思があるような所がありましたら、直接お話を承りますれば、妥当に処置をさせることにやぶさかではありません。
  62. 川俣清音

    川俣委員 これはくどいようですが……。これだけ買つてくれというよりも買つてもらわないような運動が行われておるのですよ。そこでどうしても利害関係でなくて、大局から買わねばならないという意見を私は言つておるのです。だれも利権臭がないととかく熱心にならないのです。そこでこの治山治水というようなものがとかく等閑に付せられて、そのために日本の電力コストが非常に高いという結果になりますので、これは施策としては思い切つてつてほしい。こういう意味で私は大局的に言つておるのです。どこのどこだという意味じやないのです。払下げの場合と買上げの場合とではこれだけの開きがある。これを同一視されないで、治山治水の上に大きな政策をやつてほしい、こういう意味なんです。
  63. 河野一郎

    河野国務大臣 御意見ごもつともであります。なるべく御期待に沿うようにいたしますが、私の申し上げることも決して長くそういうふうにしろというのじやないのでありまして、選挙が済むまでやめたらよかろう、こういうことを申し上げておるのであります。それも二箇月間も待てないとかいう緊急のものがありまして、それはぜひやらなければならぬと川俣さんがお考えになるようなものがありましたら、私もよくその事情を承りまして、決して世間から疑惑を招かぬということになれば進んでやらすように私も協力いたします。
  64. 川俣清音

    川俣委員 もう一つ砂糖について……。砂糖が暮れから正月にかけて大いに高くなつております。これは鳩山内閣選挙に対するバロメーターにもなると思うのです。従つてまつ先に政治的感覚を持つて砂糖問題と取組まれたことも政治家としては当然だと私は思うのです。砂糖の値段に一番影響を与える季節というものは歳末と年始であることは、これは常識であります。そこでこの歳末から正月にかけて何とか手を打たなければならぬ。もう歳末の需要は終つたようでありまして、正月の仮需要が今起つておる、こういう状況だと思います。従いましてここに十一月の末から十二月、一月にかけて一番需要及び仮需要が起つて来るわけです。これに対して何か手を打たなければならぬと思うのです。これを専売にするとかなんとかいうことは、長期政策でありますから別ですが、この点について割合に楽に、そう骨を折つて法律をかえないでも簡単に下げ得られると思うのですが、これらについてはどうですか。
  65. 河野一郎

    河野国務大臣 せつかく事務当局研究をさせておりますけれども、そういう名案がありましたらこの際お聞かせ願えれば善処いたします。
  66. 川俣清音

    川俣委員 先般も河野農林大臣に繰上げ割当をするということを要請いたしておるのでありますが、この意思が出て参りますならば、今の仮需要というものがなくなつて需要だけになつて来る。この仮需要を抑えることが施策だと思うのですが、どうですか。
  67. 河野一郎

    河野国務大臣 ごもつともな御意見と拝聴いたします。
  68. 川俣清音

    川俣委員 どうもあまりに緊張し過ぎていらつしやる。私はもう少し楽な答弁を願いたかつたのですが、時間もありませんから大体これで打切つておきますけれども足鹿委員から牛乳の処理につきましての問題が出ておりますので、私は角度をかえて——これはきのうもここで、厚生省と大いに論争をいたしたのでありますが、今まで私どもは処理までが農林省の所管だと考えておつた。従いまして農林省が融資のあつせんをいたしております、明治にいたしましても、雪印にいたしましても、この処理工場に対して農林省が融資をしておる。これはおそらく処理工場までが農林省の所管だということで、融資のあつせんをしたのだろうと思うのです。ところが厚生省はこの処理からはおれの方の領域だというような、まことにある運動に乗せられたような答弁をしまして、昨日は処理までは農林省だというふうにやや認めたようなわけです。あるいは農産物の問題等につきましても、共同出荷までは大体農林省の所管だというふうに認めたようであります。従いましてりんごにボルドー液がついておりましても、これは食品衛生法の対象にならない。店頭に売り出してから対象になるというようなことのようです。そうなりますと、原乳の間は——ヨーグルトとか粉末とかに加工をすれば別ですが、原乳の間は、農林省は責任を持つてやはり生産をし、処理をすべきだ、こう思うのでありまして、この点について農林省の権限が大きい、——権限というよりも、それに伴うところの責任が大きいと思うのです。いわゆる低温処理、高温処理などについては、農林省がむしろ指導権を持つてやるべきだと思うのです。この点をひとつ念頭に置いてすみやかに処理願いたい、こう思います。
  69. 河野一郎

    河野国務大臣 川俣さんの御意見通り、善処いたしたいと考えております。
  70. 綱島正興

    綱島委員長 速記をやめて。   〔速記中止〕
  71. 綱島正興

    綱島委員長 速記を始めて。それではこれをもつて本日は散会いたします。    午後五時五十三分散会