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1954-12-20 第21回国会 衆議院 農林委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年十二月二十日(月曜日)     午後二時三十二分開議  出席委員    委員長 綱島 正興君    理事 福田 喜東君 理事 吉川 久衛君    理事 川俣 清音君       松野 頼三君    松山 義雄君       五十嵐吉藏君    井出一太郎君       伊東 岩男君    本名  武君       足鹿  覺君    稲富 稜人君       久保田 豊君  出席政府委員         厚生政務次官  中川 俊思君  委員外出席者         検     事         (法制局第二部         長)      野木 新一君         厚 生 技 官         (公衆衛生局環         境衛生部長)  楠本 正康君         農林事務官         (畜産局長)  原田  伝君         農林事務官         (畜産局経済課         長)      昌谷  孝君         専  門  員 難波 理平君         専  門  員 岩隈  博君         専  門  員 藤井  信君     ————————————— 十二月二十日  委員稲富稜人君辞任につき、その補欠として中  沢茂一君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  農業手形制度運用に関する件  酪農振興及び牛乳処理に関する件     —————————————
  2. 綱島正興

    綱島委員長 これより会議を開きます。  開会当初において農林金融に関して吉川委員より発言を求められておりますので、これを許します。吉川委員
  3. 吉川久衛

    吉川(久)委員 本朝の新聞紙の伝うるところによりますと、日本銀行政策委員会において、農業手形制度運用に関して大農機具をこれからはずすことを決定をしたような記事が掲載されてありました。もしこれがこの通りであるといたしますならば、これはきわめて重大な問題でございます。私が申すまでもなく、なるほど抽象的にはあるいは理論的には一応大農機具のごときものは一年をもつて決済のつかない金額のもの等もございますので、かくのごときものは別途の金融措置を講じてやるべきでありますが、実際問題といたしまして、現実にはこの手形制度を活用いたしまして、非常にりつぱな成果をあげているのでございます。この現実を無視しまして、抽象的な観念論にとらわれたところのこの金融政策委員会措置というものは、私どもはどうしても納得することができませんので、ここに農業手形制度運用に関する決議をしていただこう、この決議案を提案する次第でございます。案文を朗読いたします。  農業手形制度運用に関する件   日本銀行政策委員会は、農業手形制度運用に関する改正に際し、大農機具共同施設用として利用を認められるもの)を対象機種より除外する事に決したるやに仄聞するのであるが、右の措置は現在の農家経済の実情に鑑み甚だ不適切である。   よつて、当分現行通りこれを存続すべきである。   万一これを除外する場合は、融資諸条件において本制度に代りうる別途の長期資金措置を構ずべきである。   右決議する。   昭和二十九年十二月二十一日    衆議院農林委員会 本件について全員の御賛成をお願いして提案理由説明にかえます。
  4. 綱島正興

    綱島委員長 お諮りをいたします。ただいまの吉川委員提出農林金融の問題に関しての決議案に御異議はございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 綱島正興

    綱島委員長 全会一致でこれを可決いたしました。  ついてはさらにお諮りいたします。右決議趣旨を達成するために、委員長よりこの決議に基いて政策委員会にそれぞれ申入れをいたすことについて御異議はございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 綱島正興

    綱島委員長 しからば委員長よりその通りにとりはからうことにいたします。     —————————————
  7. 綱島正興

    綱島委員長 これより酪農及び乳価問題並びに牛乳処理の件について調査を進めます。質疑の御希望の方はそれぞれ御質疑を開始を願います。古川委員
  8. 吉川久衛

    吉川(久)委員 政府にお尋ねをしたいのですが、牛乳の問題については早くから問題になりまして、当委員会厚生省環境衛生部長たびたびおいで願つて、当委員会の意向は十分了承をされているはずでございます。当委員会の要求をいたしております問題について、省内において十分検討をされていることと思いますが、その後その成行き、経緯等をつまびらかに御報告をお願いいたします。
  9. 楠本正康

    楠本説明員 その後の事務上の取扱いにつきましてお答えを申し上げたいと存じます。当委員会におきましていろいろ御意見の出た点につきましては、私ども事務当局といたしましてはよく承知をいたしております。厚生省といたしましては、その後各方血の御意見等を参考といたしまして、一応事務的の考え方といたしましては、先般もここでお答えを申し上げましたように、殺菌方法につきましては、都市部におきましては従通り低温殺菌一本建の方針といたしました。さらに農村部におきてましては、低温殺菌のほかに、高温殺菌方法をも積極的にとり得ることといたしたいと考えている次第であります。なおこれらの方法につきましては、特に省令特例を設けまして、これらの方針特例として明らかにいたす所存考えたわけであります。ところがこれらの案は、あくまでわれわれ事務当局の一つの考え方でありまして、その後当委員会あるいはその他多くの委員会等におかれましても神々研究をされております。これらの御研究の結果はまだ結論を得ておらぬように思われるのであります。われわれといたしましては役人でありますので、できるだけ国会の御意思を尊重して、その御意思従つて善処をいたす所存でおりますので、私どもといたしましては、目下国会の御方針というものが決定いたすと申しましようか、明らかになることを待つておる次第でございまして、遠からずこれらの一致した御意見を承りますれば、その御所信に従つて事務的に処理をいたす所存でございます。
  10. 吉川久衛

    吉川(久)委員 ただいまの部長の御説明では、都市部においては低温殺菌で、農村部においては高温殺菌低温殺菌とを併用して行く、こういうことでございますが、これはすでは早く省令五十二号でもこういう措置はとれるようになつているはずであるのですが、あらためてこういう行き方をすると言われるからには、五十二号を改正されるのか、具体的にどういうような考え方を持つておるのでございますか。
  11. 楠本正康

    楠本説明員 お答えを申し上げます。現在の殺菌方法に関する省令におきましては、原則として都市農村を区別せず低温殺菌をうたつておるわけであります。ただ例外規定として、例外的に特別に知事許可を求めて高温殺菌を行い得る建前であります。従いまして農村等におきましても、原則はあくまで低温殺菌というのが建前でございます。もちろんただいま御指摘のように、その運営によりましてどんどん高温殺菌を認めて行けば、別に問題はさしつかえもないわけでございます。しかしながらただ法建前がさようになつてつて、従来各方面の御意見は、どうも農村においても高温殺菌が普及しかねる、行き過ぎがあるというような御意見もありますので、私どもといたしましてはさよう意思もありませんので、それならばひとつ特例としてさような規定を明らかにして、酪農地帯等においては高温殺菌を積極的に普及さして行く方法を講じてもよろしい、一応こういうような事務的の案でございます。
  12. 吉川久衛

    吉川(久)委員 どうもそこがはつきりしないんです。五十二号の省令でも知事の認可を縛ればできるようになつているのです。それを特例を別に設けても、できてないものはできない。できないいきさつが私にはよくわかるのです。楠本部長はいろいろこの問題に中央関係をされて、非常に深い研究をされておいでなり、いろいろの面から検討なさいますと、これはやつぱり高温殺菌も認めなければならないということをあなたは十分御承知のはずです。それを次官通牒か何かで出したりいろいろすることもよくお心得になつておいでになるのですが、それを出した場合に、地方庁において衛生部長というような立場の人たちが、その衛生上の見地からと称して中央の指令に従わない。こういう現実が各所に起きているのです。ですから省令を根本的に改正しない限り、どんな特例を幾つ設けても、これは同じことじやないかと私は思うんですが、その辺はどういうお見通しでございますか。
  13. 楠本正康

    楠本説明員 ただいまもお答えを申し上げましたように、従来の省令五十二号は、建前として低温殺菌一本建をうたつておるわけであります。あくまで例外許可としてのみ高温殺菌を認めることになつております。そこでこれらの例外許可運営として、次官通牒等をもちまして、農村地帯には積極的に高温殺菌を普及しろという方針をうたつておるだけでありますが、あくまで例外規定でございます。そこで私どもといたしましては、いろいろな御意見もありますので、今回は農村においては、例外規定としてではなく、当然の行き方として高温殺菌も行い得るようにするためには、さような省令改正が必要であろう、かように考えた次第であります。
  14. 吉川久衛

    吉川(久)委員 そうすると、その省令改正特例ともなるべき点は、農村においては高温殺菌もできるということであるとするならば、五十二号の改正にはならない。農村においては高温殺菌原則とし、低温殺菌もできる、都市においては低温殺菌で行く、こういうところまで改めなければ意味がないと思うんですが、そこまでお考えでございますか。
  15. 楠本正康

    楠本説明員 これは農村におきましては低温殺菌でも高温殺菌でもどちらでもよろしい、こういう意思でございまして、いずれか一方を特に理想とする、いずれか一方に偏するというような考え方でなく、もつぱら地方の実際にやられる方のお気持従つて、どちらでも同じことであります、こういう気持でございます。しかしこれらの点にはいろいろ御意見もございましようが、当初申し上げましたように、これらは一応事務的の案、事務的の考え方であります。しかし私の方といたしましては、いまだ国会意思というものガ最後的に決定をしないかに伺つておりますので、これらの結論をまちまして、御意思の線に沿いまして事務的には善処すると申し上げる以外に方法はなかろうと思います。
  16. 川俣清音

    川俣委員 今楠本部長国会意思決定してからというのですが、楠木部長国会意見というのをどういうふうにお考えになつておりますか。少くとも農林委員会は先般決議をいたしまして政府要請をいたしております。そのほかに何か決議でもありましたか。おそらく国会意思というからには、委員会決議があつたものを意思としなければならないと思います。あなたかよそからの業者運動などを国会意思などと考えておつたら大間違いですよ。意思決定が一度行われているのですよ。
  17. 中川俊思

    中川政府委員 それは本委員会における決議承知をいたしておりますが、御案内の通りこの問題は厚生委員会とも関連があるわけなんです。そこで厚生委員会では、御承知か存じませんが、今小委員会におきましてどうしたらいいかということについて研究中なんです。そこで厚生省としましては、農林委員会決議ももちろん大切であるが、厚生委員会でせつかく今研究中であるから、この点もあわせてよく勘案をして考慮することが最善の道ではないかというふうに考えまして、目下のところ正直に申し上げますと、具体的にどうしようという案はまだできていないわけです。御了承願いたいと思います。
  18. 吉川久衛

    吉川(久)委員 中川次官にお伺いをいたします。厚生委員会目下検討中であつて結論が出ていないということでございますが、そもそもこの乳価問題が出たということは、国策として酪農振興ということが数回前の国会から取上げられて参りまして、前国会からこれが確立を見て、そうしてジヤージーの集約酪農地帯決定となつて今日に来ているわけでございます。ところがその牛の導入をやつて総合食糧確保をやらなければ日本の食糧事情は非常にむずかしい段階にございましたので、食糧増産という建前酪農振興をやつて来た。ところが業者やり方がはなはだ悪辣で、このために生産農家の乳価をうんとたたいて、それでいて消費者価格が下るんならばこれは相当需要が拡大されまして、酪農振興にも相当役立つのではないかと思つておりましたが、実は生産者価格をたたいて下げたけれども消費者にはちつとも下げていないのであります。中側でもつてみんな業者がしかるべくやつているという不健全な運用をやつております。そのために私の郷里長野県のごときは——楠本部長長野県ですから御存じのはずなんですが、牛を売つているのですよ。国策として酪農振興を盛んに推奨しておきながら、一方で牛を売らなければならないというような状態に追い込まれて来たので、わが農林委員会は、これを放置するに忍びないのでこれを収上げたんですよ。わが国の食糧確保のために重大な結果が生れるということでこの問題を取上げた。そこでこの委員会では決議をして政府要請をしているのです。ところが厚生委員会と何の関係がありますか、厚生委員会が一生懸命この酪農振興の問題の妨げになつておるようなやり方をしていて、目下検討中だ、目下研究中だなんて荏苒月日を経過して、どんどん乳牛を売つてしまう、一方では一生懸命食生活改善だ、国民運動だとやつている。莫大な国費のむだをして何らの効果も収め得ないというような矛盾した政策やり方は、私はないと思うのですよ。そこで厚生委員会は、衛生上の観点から低温殺菌が是か高温殺菌が是か、高温殺菌では衛生上の見地から適当でないということを御検討であるとするならば、これはまだ話はわかるのですよ。そこで私は、一体厚生委員会はなぜいつまでも結論を出さずに、この差迫つたところの、乳牛生産農家が売らなければならないという段階になつているのにもかかわらず、いつまでも結論を出そうとしないのか、その辺を政務次官にお伺いをし、それから楠本部長に続いてお答えを願いたいことは、耐湿殺菌では、衛生上適当でないとおつしやるのかどうか、あなたは専門家ですからすぐお答えが出るはずでございますから、お答えを願いたい。
  19. 中川俊思

    中川政府委員 あなたの方もずいぶん酪農をやつていらつしやるが、私の広島の方もあなたのところに劣らないくらい酪農をやつております。従つて私も多少は承知をいたしております。この問題が過半来国会で取上げられておることも、私も多少実は承知をしております。そこで厚生委員会関係がないというようなお話でございますが、低温をやりますのには、御承知通り高温よりか相当大きな施設を要する。従つてその施設費であるとかいろいろな問題で高温殺菌とはそこに差が生ずるわけです。そういうようなことで厚生委員会といたしましても、あらゆる面から検討しなければならないというのでやつておるわけでございまして、結論を一刻も早く出さなきやならぬということは申し上げるまでもございませんが、厚生委員会がサボツておるというわけでもないだろうと思うのですが、今日に至つておるわけです。従つて今の御趣旨の点はよく了承いたしましたから、政府といたしましても厚生委員会の方へ、すみやかに結論を出して、そうして農林委員会の御決議の線に沿うように、私も長いこと厚生委員をやつておつたのですから、ひとつそういうような方向に持つて行きたいと思います。御了承願いたいと思います。
  20. 楠本正康

    楠本説明員 低温殺菌高温殺菌の優劣の問題でありますが、全体的に申しますれば、低温殺菌高温殺菌にまさつてれるということは既定の事実であります。しかしながら逆に、しからば高温殺菌は有害かというと、これは全然有害ということは申せません。そこで個々の比較は、つまり施設規模あるいは原料乳のよし悪しによつてきまります。たとえば、きわめて完備した低温殺菌施設であり、原料乳がある程度優秀であれは、これはむろん衛生的にも低温殺菌は優秀であります。しかしながら施設規模が小さい、従つて完全な低温殺菌が行えない、あるいは原料乳が比較的質がよくないというような場合には、むしろ高温殺菌の方が安全ということが言えるわけであります。従つてどもはかれこれ勘案いたしまして、農村等におきましては大きな施設というものは望めませんし、いうならば、一日千本とか、さような小さい範囲でありますので、これらに低温殺菌施設を要求することは無理でありますし、しいてやればかえつて衛生上害があるというような結果もありますので、これら農村小規模経営につきましては、むしろ高温殺菌でも適当であるということを申上げまして、先ほどの事務的の案を一応考えたわけであります。
  21. 川俣清音

    川俣委員 この際楠本部長にお尋ねしておきます。先ほどから国会意思と言われておりますが、われわれは主管農林委員会だというふうに考えておるのです。従つてここで意思決定をしたのだから、国会意思がまだきまらないというあなたの説明はどこから出て来たのか、これを第一にお尋ねします。
  22. 楠本正康

    楠本説明員 この点につきましては、ただいま政務次官からお答え申し上げました次第でありまして、私どもといたしましては、やはり国民衛生上の観点等を勘案いたしました食生活改善ということは、これは厚生委員会主管だというふうに考えております。もちろん農林委員会も御関係がありますが、ちようどども仕事農林省仕事がお互いに連絡してやつておりますと同じようなことが、やはり国会においても言えるのではなかろうかというふうに私は考えております。
  23. 川俣清音

    川俣委員 私はさようには思わないのです。なぜかというと、農林漁業資金の中から低温殺菌の金をお使いになつていますが、あれはおやめになりましたか、厚生省所管なら厚生省でまかなわれたらどうですか、あれを全部引揚げることに御賛成になりますか、あなた方の所管ならみずからおやりになつたらいいでしよう。あの資金というものは、もちろん国の資金でありますけれども、御承知通り農林中金資金です。これはみな農民の自己資金です。処理業者は一銭だつて中金に預金をしておりませんよ。もしあなた方の所管だということを強く主張されるなら、処理業者にやつております資金を全部引揚げてもよろしゆうございますかどうか、この点明瞭に御答弁願いたい。
  24. 楠本正康

    楠本説明員 これは御指摘通り、これに関します施設資金というものは、いろいろごやつかいになつております。ただ衛生上の取締りということは、これは厚生省所管であり、従つて明らかに厚生委員会所管でもあると存じます。またどうしたら質のいいものを安全に食用に供し縛るかということも、厚生省並びに厚生委員会主管だと考えております。従つてどもは、牛乳に関する限りは衛生上安全であり、しかもできるだけ質のいいものを大量に食生活改善のために与えるということが、厚生省並びに厚生委員会関与範囲だと考えております。
  25. 川俣清音

    川俣委員 公衆衛生の面から取締られるということについての所管は決して異議は申しません。栄養の多い、いいものをつくらせようという所管厚生省じやないというのです。それであればこそ、農林漁業資金対象になつておると思うのです。栄養の多い、いいものの処理がうまく行くようにさせることは、これは農林省所管だと思つておる。従つて農林漁業資金対象になり、中金融資の中からこれらの資金が出ているゆえんだと私は思うのです。もしもあなたのような説明でありますならば、中金及び漁業公庫から出したことは、これは越権行為ですよ。あなたの説によれば、越権行為で出すべきでないところへ出したということになる。私どもはそう理解しないで、今までこれらの融資に対して援助をして来たのです。私はそう理解しておる。どつちの理解が正しいのか。あなたの理解が当然だとすれば、今までに出しておることは間違いですから、これはすみやかに引揚げなければならぬ。あなたの方がその所管でありますならば、そういう金融処置や何かは、全部厚生省がおやりになるのが至当だと思うのです。処理はおれの方だ、資金農林省の方だ、そんなばかなことはありません。大蔵省なら別ですが、どうなんですか。はつきりしてください。それによつて中金なり公庫の者を呼んで明瞭にしなければならぬ。
  26. 楠本正康

    楠本説明員 生産をするという自体におきましては……。   〔川俣委員生産設備じやない、処理設備ですよ」と呼ぶ〕
  27. 楠本正康

    楠本説明員 処理もやはり生産の範疇だと考えられますから、食べられる姿におけるものまでが私ども生産考えております。ただこれらのものは一応私ども関係がございません。しかしどういうものを食べたらいいか。ただ量だけ多いという量的の問題でなく、質的な面等十分考慮に入れる、さらに一方衛生上の安全性確保するという二つの点に関しましては、これは厚生省主管ではなかろうか、かように考えております。
  28. 川俣清音

    川俣委員 だんだんあいまいになつて来た。処理はあなたの方の所管だと言うならば、処理に要するいろいろな設備費厚生省があつせんされて指導されたらどうだというのです。私ども処理までは農林省所管だ、処理によつて生じて参りました生産品公衆衛生の部面に反する場合はそれからの問題だ、こういうのならばこれは話はわかりますよ。処理工程厚生省肝管だと言われるならば——どもはそうは言わぬ、あなたがそう言われるのですが、それならば厚生省処理上のすべてのことについてのあつせんをおやりになつたらどうです、こういうのです。それに何か不満があるのですか。あなたの主張を認めれば、われわれが農林漁業資金なり、あるいは中金から融資をしたことは間違いだ。出すべきものじやないところへ出した。厚生省が別なところから——開銀なりあるいは特別融資をすれば、これは法律をつくられるでしよう。そうして融資方法を講ぜられるのが至当じやないか。
  29. 楠本正康

    楠本説明員 この点は、資金計画の方は別といたしまして、処理方法と、その処理から生れて来る食品の質というものはつまりうらはら関係にあるのじやないかと思います。(「その通り」 )一方をこうだと言い、一方をどうするということはできないと存じます。従つて、私ども衛生上の安全性並びに品質の……。   〔川俣委員「質は違う」と呼ぶ〕
  30. 楠本正康

    楠本説明員 質というのは商品価値としてではなく、いわゆる完全な食糧としての質という面から、国民食生活観点からそこに関与があつて当然だと存じますが、これは何も牛乳に限らず、すべてそのようだと存じます。もつと露骨に言えば、厚生省が一国の栄養政策の面から立てた食糧政策がある、さようなものと農林省生産計画処理計画というものがいつもマツチしておることが私どもは望ましい姿だと思つております。さような観点からいたしまして、この処理過程あるいは処理方法というものと、この内容というものはうらはらで切り離すことができないのじやないかと思います。この辺が行政のむずかしさで、つまり厚生農林両省の緊密な連絡を要するところだ、かように考えております。
  31. 川俣清音

    川俣委員 これは速記録に明らかなのです。生産から処理までは農林省がやるべきだ、あなたがそう言われるならば、われわれと同じなのです。処理過程からが厚生省所管だと言われるのかどうか。あなたはそう言つてみたり、そう言つてみなかつたり、態度があいまいなのですがどちらなのですか。農業生産物については生産から処理までが農林省所管だ、私はそう思うのです。
  32. 楠本正康

    楠本説明員 これはやはり農林当局からも御答弁申し上げなければならぬことと存じますが、おつしやるように、なるほど生産から食品としての処理に至るまでは、これはもちろん農林省所管であります。しかし今度は処理という面から考えまして、その衛生上の安全、あるいは内容栄養上の合理性、かような点からものを考えれば、これは厚生省主管であります。ところが処理の仕方、設備等によつて安全性あるいは食品としての栄養的な価値等が支配されることでありますから、そこのところにやはり両省の主管が合流点として重なつて来ることはやむを得ないことだと存じます。これは何も牛乳に限らずすべて同じことが言えると存じます。従つてそこがダブつておるということは、どうか農林当局からもひとつ……。
  33. 川俣清音

    川俣委員 政治家が答弁するなら別ですよ、行政官の行政区分というものは明瞭なのであつて、行政区分については紛淆を許さない、それは行政機構の建前になつております。その点で聞いておるのです。政務次官に聞いておるのではないのです。行政区分というものは明らかなのです。その点から聞いておるのです。
  34. 楠本正康

    楠本説明員 ただいまもお答えをいたしておりますように、きわめて密接な関連と申しましようか、さようなことがあるわけでありまして、これは何も牛乳行政に限らず、ほかの行政にも多々あることでございます。決して珍しいことではございません。
  35. 川俣清音

    川俣委員 区分を明らかにすることが行政官の任務じやないかと聞いておる。それを紛淆させることは、政治家は別ですが、行政官としては当然区分してやられなければならぬのじやないか。牛乳の問題ばかりではないですよ。
  36. 楠本正康

    楠本説明員 私どもはそうは考えておらぬのでございまして、大体関連する部面については、これは行政運営上やむを得ないことかもしれませんし、あるいは多少の煩雑性があるかもしれませんが、やむを得ない実態だと考えております。
  37. 中川俊思

    中川政府委員 私ちよつと急用があつて電話をかけておつたものですから、その間における質疑応答の内容はよくわかりませんが、川俣君のおつしやる通り、それぞれ行政機関にはおのずから判然たる区別があると思います。ただ今部長が答弁いたしましたように、若干の関連性のあることは御承知通りです。そこで今おつしやる通り、極端に言えば厚生省は停止省のことだけやつておればいいのじやないか、農林省農林省だけでいいということになるのでありますが、しかし私も厚生政務次官でありながらきよう参議院の文部委員会などにひつぱり出されたのであります。これもやはり欠食児童の問題で関連性があるからひつぱり出されたと思いますが、そういうことで一概にお前の方はお前の方だけでいいじやないかということでも、ちよつと関連性があるから困る場合があるだろうと思うのであります。この問題は私も先ほど申し上げましたように、広島県は非常に酪農をやつておるのです。私もしばしば業者から陳情を受けておる高温、低温の問題、これは例をいえば明治乳業であるとか、森永乳業であるとかいう大きなところが、役所を動かして、高温殺菌の方に反対をしておるのじやないかということを聞いております。もしそういうことがあるとすれば、私は長いこと厚生常任委員をやつておりますけれども、今までそういうことが幸か不幸か実は私耳に入つていないのだが、もしそういうことがありとすれば私は厚生行政の——大してわからぬが、そういうことだけは鳩山内閣の声明にある通りですから、綱紀の粛正ということから私は断じて許さぬつもりです。これは大きなことを言うのじやありません。私もさつそく調査します。調査してそういうことがもしありとすれば、農林省に対しても厚生省に対しても、そういうような運動が行われておるがためにこの問題がからまつておるというようなことがあれば、これは私といたしましては、大きなことを言うのじやありませんが、私の生命をかけてもそういう問題は排徐するつもりでありますから、少し成行きをごらんを願いたいと思います。
  38. 川俣清音

    川俣委員 今そういう事実があるかないかということについては、いずれあらためてお知らせしてもいい。人を傷つけることになりますし、いろいろ運動のあることはわれわれも決して関知しないわけじやありません。われわれが猛烈な反対をしておるというので、了解を求めたいから一席設けろという活があつたのです。それは確かにありました。しかも厚生委員会の人のあつせんです。これは拒否したのです。  そんな問題じやないからそのことは別にしまして、私今楠本部長と論争しておりましたのは、最初の答弁に上ると、処理方法までが厚生省所管だから、厚生委員会意見を聞かなければならない、こういうお話であつたのです。ところが処理方法農林省の所帯ではないか、その例として御承知でもありましようが、処理方法についての融資農林漁業資金並びに中金から融資をいたしておる。中金融資は御承知通り農民の自己資金です。系統資金です。そうすると厚生省処理方式の、所管のところに農民がわざわざ自己資金をもつてやらなければならぬことはないのです。厚生省処理機構についての行政権を持つておられるとすれば、処理機構のいろいろな費用については、当然厚生省が単独法なり何かつくられてあつせんされてしかるべきであつたのじやないか。それがみな農林漁業資金なりあるいは中金資金に依存しておられるのじやないか。これは生産から処理まで農林省所管だということでやつておられたのだ、こういうことなのですよ。もしも所管外のところまで融資をするとすれば、その融資越権行為なのです。許されない行為なのです。処理問題は現実に起つて来ておる問題だから、それでは処理厚生省所管だと言われるならば、漁業資金なり中金資金を今すぐ回収してよろしいか。こう言つたら、今度は答弁をかえられて、生産から処理までは農林省所管だと思う、こういう話だつた。そこまで来ておるわけです。それをお認めになつた。問題はそこなんです。それであるから、政府国会意思々々と言われるけれども農林委員会意思はきまつておるのではないか。この意思を尊重してもらいたい、第一問はこういう意味なんです。  第二にお尋ねしなければならないのは、一体高温、低音処理にもいろいろと意見があるようです。この猛烈な陳情書、全国飲用牛乳処理業者代表大会等におきましても、ずいぶん農林委員会を罵倒しながら陳情しておりますが、これによつて厚生省のいうところの高温処理低温処理とは説明が悪いというような批評もいたしております。楠本部長は高温処理低温処理をどういうふうに区別しておられるのですか。高温処理低温処理ということを盛んに言つておられますが、高温処理とはどういうことなんですか。低温処理とはどういうことなんですか。何のために処理するのか。おそらく殺菌ということでしよう。栄養のことじやないでしよう。この点御説明を願いたい。
  39. 楠本正康

    楠本説明員 まことに技術的な問題でございますが、目的は衛生上安全化をはかると同時に、なるべく質の内容をそこなわないようにする、この二つの目的で処理をいたすわけであります。その場合低温殺菌は比較的低い六十度、七十度というような温度をかけまして、そのあと一時間以内に十度以下に冷蔵しておくというやり方であります。高温殺菌は熱を十分に加えまして、あとはそのまま冷やさず熱いものを直接需要者に供給するというやり方であります。しかしながら最近は瞬間殺菌等々と申しまして、きわめて高温を瞬間的に与えて、さらに瞬間的に十度以下に冷やして保存いたすような方法もございます。しかしこれらの瞬間殺菌法等につきましては、施設に厖大な経費がいりますので、必ずしも大衆性ある施設とは考えられません。
  40. 川俣清音

    川俣委員 そういたしますと、低温殺菌高温殺菌と言われておりますのは、厚生省の見解からいたしますと、栄養でなくて殺菌が本体で考えられておる、こういうことですね。
  41. 楠本正康

    楠本説明員 もちろん殺菌も重要な使命であります。しかし一方あまり質を悪くしない考慮も加えられております。
  42. 川俣清音

    川俣委員 質の考慮ということについても、行政上の監督は厚生省にあるとお考えになつておられますか。
  43. 楠本正康

    楠本説明員 質と申し上げましたのは、品質としての価値ではなくて、むしろ栄養上の観点から質ということを申し上げておるわけです。しかしながら完全に処理された低温殺菌牛乳は、衛生的に見ましても高温殺菌に比べてより安全であることは申すまでもございません。
  44. 綱島正興

    綱島委員長 中川政務次官は四時までだそうですから、お尋ねのある方はその方を急いでお願いいたします。
  45. 川俣清音

    川俣委員 それじや中川さんに一点だけお伺いします。中川さんは牛乳のことは広島でいろいろ御存じだというふうに言われておりますが、問題は、戦前の搾乳状態と戦後とは非常に違つて来ておることであります。というのは、一番多くかわつて来たのは開拓地です。開拓地の中に酪農が相当入つて参りました。今日の開拓地は道路も十分でないところにできるということであります。最近ようやくこの開拓地の道路が補助対象になりまして、漸時改善はされておりますが、御存じの通り昨年までは補助がなかつた。従つて一つの山の奥の非常に辺鄙なところに追いやつたようなかつこうになるのが今日までの開拓地なんです。そこに最近酪農の地域が発展して来た。あるいは飼料が非常に高いために、高原へ高原へと酪農地帯ができて参るために、運送費が非常にかかつておるわけであります。牛乳の値段は運送費だと見てもよいくらいだ。開拓地のひどいところになりますと、これは先般岩手県に参りましたときも、長野県に参りましたときも、開拓地あたりでは一升三十四円あたりです。これは適当な場所へ持つて行けば高くなりますけれども、とりに来てもらうと運賃がかかりますために、そんな値段になつておる。しかもこの低温処理の場所まで運ばなければならないということになると、一升二十円以下の手取りになるようなかつこうになる。これでは酪農振興だなんて言われない。一部の処理業者から言わせますと、多数処理場ができると加水する者が出て来るとか、あるいは非常に衛生的に不適当なところが出て来るとか言われており、そういうことで反対されておりますけれども、このごろの農民は、牛乳の脂肪分はどのくらいがよいか、どういうえさを食わせれば脂肪が高くなるか、牛の飼い方等についても相当なれて来ております。それに加水する者があるなんてことを言つて反対をする人が、厚生委員会の中の一部の人にもあるのです。それはまつたく農村の実情を知らぬ者です。加水したのは、都市の消費地において処理業者が加水したのです。農民自身において加水するというようなことはない。なぜかというと、加水すると早く腐敗しやすいから、生産者が加水するということはあり得ないのです。どうして処理場までいためないようにして持つて行くかということが生産者の帯労するところですから、加水して持つて行くというようなことはとんでもない即違いだ。それは三十年、四十年前の話だ。そういうことで反対があるということをもつて、わざわざ運賃をかけさせなければならないところの低温処理場まで持つて行かせること自体が実情に合わないことだ。外国のように道路網が発達しておつて、すべての処理場に持つて行くのに距離が短かいとか、あるいはたとい距離が長くても運搬が短時間でできるというようなことろであれば別ですけれども、日本ではだんだん高原へ高原へと酪農が発展しておりますために、そこにこの生産者と一体になつ処理方式をとられなければならないはずだ。そこで先般農林委員会決議をいたしたのでありますから、この点についてだけ政務次官の御答弁を願つて、あとは法律上の問題が多いのですから、楠本部長なりほかの政府委員に尋ねます。
  46. 中川俊思

    中川政府委員 御承知通り私も今回の政変で厚生省に突然入つたようなわけでございますから、正直に申し上げますと、今日までのこのいきさつをよく存じません。そこでただいま御指摘のような点がもしありといたしますならば、先ほど申し上げましたように、私としてはこの問題について誤解のないように処置をしたいと思いますから、どうかこの点につきましては、ひとつ皆さん方からも忌憚のない御意見と、私に資料を提供してもらいたいと思います。これは紳士協約でございますから、どなたからどういう資料があつたということはもちろんどなたにも申し上げません。こういう弊害が役所においてはしばしばあつたということを聞いておりますが、さらに具体的なことを私は握つておりませんから、そのために高温処理の障害になつておるということになれば、これはゆゆしき問題だと思います。鳩山内閣が綱紀粛正を叫んでおる手前から申し上げましても、かような問題を放任しておくことはできないと思いますから、この問題は、その資料をひとつお示しいただいて、私もそれに基いて私なりに十分調査をいたします。徹底的に調査をするつもりでおりますから、御協力を願いたいと思います。御事情のある点はよく了承いたしました。  それから、私の方でも、今お説の通りに開拓地がずいぶんございますが、まつたく今お話の通り、開拓地は山の上であるとかあるいは辺鄙なところでたくさんやつております。しかし幸いにしてわれわれのの方は、その辺鄙なところではあまり酪農をやつていないようでございます。しかし今おつしやる通り、日本は道路網が非常に不完全でございますから、運搬費に非常に食われる、そういうようなことから乳価の問題なんかも自然原因が生じて来る問題だと思つておりますが、これは農林省厚生省だけの所管でもございませず、建設省とも連絡をしてこの問題の処理に当らなければならない点もございます。従つてそれらの点につきましても、総合的な研究を進めて、御期待に沿うような方向に政府としては当然持つて行かなければならぬ問題だと思います。
  47. 川俣清音

    川俣委員 今原乳は、処理場まで届けて一升四十四、五円というところでしよう。それが小売になると、一升百五十円、こういう値段をしているのです。こんな生産価格と消費価格の開きのあるようなことはないはずです。すべての物価を見てごらんなさい。これはたといよい法でありましても、そんなに開きのあるような施設を強要することに無理があるのではないかというお考えができていなければならぬはずだと思うのです。やはり国の全体と合うような処理方法を講じなければならないと思うのです。たとえば魚類にいたしましても、もう少し衛生的な設備は、学問的にはできないわけではありません、できます。しかしながらそれを強要できないというのは、日本の経済の実態に合せながら指導されておるからだと思うのです。その他の食品についても同様です。たとえば牛肉なんかについても同様です。簡易屠殺場を設けたりいたしております。すべての点について、やはり経済の実態とにらみ合せた指導、監督が今日なされておるのが政治の常識だと見なければならない。一つのものだけを高度に処理させるということは、実態に合わないことです。公衆衛生というものは、平均的にレベルが上ることが必要であつて、あるものだけが特に進んだからといつて公衆衛生という面から行けば、それは決して進歩とは言われない。全体のレベル、むしろ下位にあるレベルを上げることが公衆衛生の目的でなければならないと思う。あるものだけを進ませることは、必ずしも公衆衛生ではないと思う。この点について……。
  48. 中川俊思

    中川政府委員 川俣君から御指摘の運搬費ということも大きな問題でございますが、その他処理費も、低温装置にいたしておきますと、やはり非常な処理費を要する。こういうようなことからも、現在生産地の価格消費者に実際渡りますときの価格が、非常な開きがあるだろうと思います。従つてそういう点は、今お説のように、経済全般から見てうまく合理的な値段に持つて行くということは申し上げるまでもないところであります。いろいろお尋ねになつておる点は枝葉末節といいますか、本論は、要するに高温装置も低温装置と同様にするということが本論だろうと思います。そのように持つて行きます上においても、先ほど来お話のあつたようないろいろな障害が出て来ておるだろうと思いますから、そういう点を総合的に検討いたしまして、御期待に沿うような方向に持つて行きたいということで、私は技術的なめんどうな問題は今申し上げておる段階ではないと思います。   〔委員長退席、福田(喜)委員長代理着席〕 先ほど来申し上げますように、私も就任いたしました早々でございますから、内容をよく存じません。従つてそういうような点は総合的に検討した上で、ただちに御期待に沿うような方向に持つて行きたいということをお約束申し上げておきます。
  49. 吉川久衛

    吉川(久)委員 政務次官お忙しいようでありますから、私は政務次官と同じ立場におりますので、あなたを苦しめるわけではございませんが、特にお聞きを願いたい点を申し上げておきます。  先ほど次官は、高温殺菌低温殺菌との間に費用等の差を生ずるということでございました。確かにそうなのです。問題はここにあるので、低温殺菌に莫大な施設をかけてやる、元もとれないうちにこれができなくなつて高温殺菌がどんどん伸びて来ると、低温殺菌施設をした業者関係は大打撃である。だからその損害を補償してくれれば、これを高温殺菌にしたつてけつこうです。問題はこういうことなのです。その点簡単なのです。それを補償もしないでおいて高温殺菌を認められれば、われわれはたまらぬということから、私たちにも妥協を申し込んで来ておる人もおります。実際それをもし入れますとどういうことになるかというと、結局高温殺菌ではできないということになつちやう。私の郷里のことばかり申して恐縮ですが、今北海道を除いて日本で長野県が第一の酪農県になつたのです。そうして農林省の最初の集約酪農地域に指定されたのが諏訪郡の八ケ岳の山麓、その八ケ岳の山麓に本郷村という村がございます。非常に乳価が下つて、これではもう成り立たない。小学校の子供全部に牛乳を飲ませたい、そこで県知事に陳情をしまして、いろいろ高温殺菌のできるような省令五十二号の中の特例措置要請いたしましたけれども、どうしても認可してくれないというのです。どうも県の衛生部長あたりがじやまをしているらしい、保健所あたりが反対をしているらしい、こういうことで一向ものになりません。楠本さんがいろいろ心配してくださつているようですけれども、地方庁が言うことを聞かないということがわかつて参りました。そこで今川俣委員の言われましたように、農家の生産者価格は四十二、三円、消費者価格が三倍になるのです。世界中で生産者価格消費者価格との間に三倍の開きのある商品は一つもないのです。こういうむちやなことが行われていたのでは、先ほど私がお話するように牛を売る農家が出て来る。厚生省あるいは厚生委員会があまりやかましいことを言つておりますと、どうなるかというと、角をためて牛を殺すということになつちやうのですよ。そうすると、今日本で一番強く要請されておりますところの国内の自給食糧確保という問題は、もう行き詰まつてしまうわけなのです。今日まで国策として食糧増産施策に莫大な金を投資して参りましたが、これを完成を見ないで殺してしまうことになるのです。これはゆゆしき問題だと思います。そこで厚生委員会では研究中だとか検討中だなんて言わないで、本委員会においては、もう数箇月前からこの問題を熱心に検討した結果決議をもつて政府要請しているのです。厚生省結論の出るまでは国会意思でない、こう言つて先ほど楠本部長は御説明されましたけれども、私たちの承服できない点はそこにあるのです。衛生上の見地から低温殺菌でなければならないという結論が出た場合には日本の酪農を全滅させるか、こういうことになるわけです。低温殺菌で殺菌しました牛乳といえども大部分の人は暖めて飲んでおります。これはあるいは非常識から来ておるかもしれません。無知から来ておるかもしれません。温度を加えることによつて栄養が悪くなるかもしれませんけれども、病人あるいは子供なんかには加熱して飲ませた方がいいじやないか、そういう考え方現実には牛乳を飲用しております。そうしてみれば、高温殺菌の場合と同じことじやないかということにもなるわけです。こういう現実考えますと、早生委員会が荏苒この問題で結論を出さずに月日を経過するということは、農業生産をどんどん落して食糧増産確保国策の大目的に支障を来す。そしてむだな外貨を使つて外国食糧に依存しなければならないというような重大な問題が出て参りますので、政務次官はこの点を大臣と話されて、すみやかに本委員会決議の線に沿うて実施していただきたい、私は要望を申し上げておきます。
  50. 中川俊思

    中川政府委員 吉川委員のお話になりました点は了承いたしました。さつそく私は御意思従つて検討いたしまして善処することをお約束しておきます。
  51. 松野頼三

    ○松野委員 この問題は、大分長い話で、あえて私はいろいろ言うわけでもありませんし、特に私たち自由党は大体この方向に沿つてつて来て、その後まだ未処理になつておる問題で、ちようど楠本部長もおられるのですが、厚生委員会の御意見は私もよく知つております。厚生委員会では御承知のように、どちらかといえばレベルの高い、世界の水準に合つた低湯殺菌を日本でもやるべきだ、衛生上における趣旨は私もよくわかる、賛成です。しかし現実において御承知のような食糧事情、御承知のような日本の国策から行けば、農業というものの進み方はおのずから規定されておるのですから、一つの理想のために大事なものを無視するわけには行かないと思う。従つて低温殺菌高温殺菌よりも衛生上有利だ、栄養上有利だということはわかる。しかし農村で自分の牛乳を飲んで死ぬというような場面があるならば別ですが、現実においてはこれははなはだうかつですが、高温殺菌をして自分で飲むことは現在でも許可されておる。要するに販売の問題だろうと思う。だから自分で殺菌して自家用に供して栄養上害があつたという例が今まで何かありましたか。
  52. 楠本正康

    楠本説明員 先ほどもお答え申し上げましたように、高温殺菌が有害であるということはございません。
  53. 松野頼三

    ○松野委員 これは行政的におやりになるのでどうかと思いますけれども、それならば高温殺菌もあわせて許して、栄養上差があるならば、その差において価格を操作するとか、あるいは低温殺菌が十円の場合は高温殺菌は最高八円にするというように、栄養上差があるならば差をつけてやれば、衛生上必ずしも解決できない問題ではない。また厚生省としては設備まで言う必要はないじやないか、有害か無害かを判定すればいいじやないかと川俣さんは盛んにおつしやいましたけれども、これは私は必ずしも賛成できない。なぜならば、御承知のように料理飲食店に対して、環境衛生部で害があるなしにかかわらず設備の監督もしておる。あわせて設備の監督をしておるのは厚生省所管にたくさんあるので、牛乳もその一つの例だ。無害か有害かということだけを厚生省が判定をすれば、設備のことまで言うべきじやないという意見は、私は必ずしも厚生行政上賛成いたしかねる。当然必要なんです。そこまで監督しなければ——現在小さい例でもあります。掘り井戸ですが、台所から便所まで近くてはいけない。近くたつて害がなければいいじやないかといいますけれども、現在の衛生法では料飲店を業として衛生をつかさどるところは、便所と台所を離せという規則があるのは当然のことです。またはえが来たつて害がなければいいじやないか、はえが入らないように金網を張れという規定もある。床屋だつてそうだから、まして飲食店がやることは当然です。私は必ずしもそういうふうに簡単には行かない点もあることは承知しておりますが、そうなつて来ると設備制限というものは必要なのです。しかしながら御承知のような状況で、衛生上ある程度害がないということがわかれば、これを販売の用に供して多少営業価値が落ちてもその点だけを認めてやるならば、これはあえてそうむずかしく厚生委員会でも言わないのじやないか、厚生委員会で言うのは、露骨に言うならば衛生の後退だということだと私は思う。せつかく低温殺菌で世界のレベルに達したのに、高温殺菌を許せば衛生上の後退だ、栄養上の後退だ、こういうことが厚生委員会の党派をあげての声だと私は考えます。これも一つのりくつです。しかしながらそれを認めながらだんだん将来低温殺菌に進めるという方向をくずしさえしなければ、高温殺菌を過渡的に認めるということはマイナスじやなしにプラスに近づくのじやないか。従つて問題は、高温殺菌もあわせて認めて、ただどこのかみ合せをするか、地域によつて認めるかあるいは何かによつて認めるか、かみ合せの問題です。おそらく私は、省内ではどつちかといえば高温殺菌賛成意見があると思う。しかしながら厚生省の省議になると必ずしもその意見が出ていないから、あなたの苦しみもよくわかりますが、結局私が考えてみるに、行政的に見るならば、低温殺菌に近づく過渡的なものとしては、高温殺菌でもとにかく衛生上害がないというならば、私はその辺もかみ合せておやりになることもいいのじやないかと思います。農林委員会もその点ならば認めると思う。要はかみ合せの問題で、これは大臣に質問するのも政務次官に質問するのも無理な話ですから、そういう点を進めるなら、将来適当な早い時期に省議でお諮りになつて、この委員会で望むのだから、早急にそういうふうな方向であとは事務的にかみ合せをお急ぎになればいい。せつかくこの問題を進めようというときに、漫然とここにひつかかつていることは、行政上どつちにしてもプラスじやないということで、その点もひとつ農林委員会意見として省議にお諮りになつて、かみ合せをやつて衛生上において退歩しないように高温殺菌をある程度認める。実際を言うと、低温殺菌で成功しているところもなきにしもあらず、需給バランスと設備とうまくマツチしているところでは、低温殺菌で円満に行つているところもあります。それを乱せというのじやない。逆に、低温殺菌がないために乳価が下り、畜産が非常に阻害されている例もあるのですから、これを両方お考えになつて、適当な早い時期に、少くとも今年中にやつていただければやつていただきたい、こういう希望意見を申し上げて、あわせて楠本部長の御意見があるならば拝聴したいと思います。
  54. 川俣清音

    川俣委員 関連質問がたいへん長くなりましたが、公衆衛生というのはどういうことを言われるのですか、公衆衛生の定義を楠本部長から伺いたい。
  55. 楠本正康

    楠本説明員 公衆衛生の定義は世界憲章に出ておりますが、これによりますと、公衆衛生というものは単に疾病がない、健康であるというだけでなく、さらに生活環境がきわめて快的であり、文化的な生活ができ、しかも生活能率が著しく増強する一連の組織的な作用を、公衆衛生と定義いたしております。
  56. 川俣清音

    川俣委員 そのような定義を理解されておりながら、日本の現状は、それに適応するような行政措置厚生省はとつておられますか。とつておるという自信がありますか。お尋ねいたします。
  57. 楠本正康

    楠本説明員 公衆衛生は、施設面等でも相当な経費を要しますし、また国民生活の生活様式あるいは国民の認識等にも、影響される点がきわめて多うございます。従いまして急激にかような点を全部解決することは、国家財政の観点からもきわめて困難な実情にありますので、一歩々々私どもはかような本来の性格に向つて進んで参るという所存でございます。
  58. 川俣清音

    川俣委員 楠本部長は国家財政、国民経済、そういうものとにらみ合せて漸次改善されて行かなければならぬものだと言われるが、御説の通りと私ども理解しております。従つて、やらなければならない点でありながら、予算折衝等においてみ、ことに削減せられて、思うように行かないことも私ども理解いたしております。しかし公衆衛生というものは、先ほども質問した通り、一番危険な状態を早く脱却するということが必要なわけです。公衆衛生に反するところから早く脱却して行くということが必要だと思う。結局総体のレベルを上げて行かなければ、今仰せられた世界憲章に到達しないわけです。たとえば日本にはえが多いというような点を、まずまつ先にほんとうは撲滅して行かなければならない。蚊であろうとのみであろうと南豆虫であろうと……。こういう点すら解決づかないでおるのであるから、公衆衛生を世界憲章に近づけるなどということは、私は公言できないだろうと思う。そのときに、なぜ一体一つだけを進めなければならないのか。これなんですよ。たとえば魚屋だつて、地方に行きますとまだ雪漬けにしております。設備をすれば、わずかな資金でもつといいものができることもあなたの御承知通りです。それから来るところのもの及び弁当等から来るところの中毒、これだつてまだ日本では絶滅できないでおるのです。これなど少し指導や監督をすればできるはずです。一体公衆衛生の向上というものは法律によるのではなくて、これは指導なんです。栄養価値を高めて健康にするということは指導なんです。ですからこの牛乳処理などについても指導で行くべきなんです。それをどうして取締りで行かなければならぬとお考えになるのか。魚屋だつてなぜもつと設備を改善されようとしないのか。たとえばわれわれが毎日食つている米の精米所にしても、あのごみの中で精米しておるわけです。それに対して厚生省の方では、米はなるべくとがない方がいいと言つておる。これではまるでごみも一緒に食つた方がいいということが結果的には出て来るわけです。なぜこういう精米所などについても設備の改善ということを命じないのか。どういうわけです。砂や何かどろが入つて、洗わなければそれも一緒に食いますよ。あれは無害だとおつしやるかもしれぬが、胃の悪い人には相当の被害です。これをどうして取締らないのか。どうして指導しないのか。これは毎日食つているものです。魚だつて、日本で言えばおそらく牛肉よりももつと消費量の多いものです。あの処理方法、あの店頭の飾り方について、ただ秀、優、可というような張り紙だけで指導されて、悪いところは張つてない。なぜそれを法律化しないか。悪い店は絶対やらせてはいかぬ。おそらくそうしたならば消費者が困るであろう、日本の経済の実態がそこまで許さないであろうというところから、指導だけでとどまつておられるのじやないかと思うのですが、一体どうなんです。
  59. 楠本正康

    楠本説明員 御指摘の点はまことに同感でございます。厚生施設全般として調和のとれた範囲において実施しなければならぬことは、申すまでもございません。    〔福田(喜)委員長代理退席、委員長着席〕  しかしながら、実際にはある行政部門が著しく他との調和が離れているというようなことは、現実に御指摘通りでございます。従つてこれらの点につきましては、総合的に判断をいたしまして、逐次改めて参る方向に進みたいと存じます。  それから第二点の公衆衛生に関しましては、もちろん指導が主であります。国民理解と納得によつて改めて行くのが本来の筋道であります。この場合特に最小限危険なものに対して、取締り行政というものが一部附加されているに過ぎないのでありまして、これらの点に関しましては、まつたく私どもは御同感に考えている次第であります。
  60. 川俣清音

    川俣委員 日本は、いわゆる肺病患者が相当多い。これを収容する能力が今では欠けている。このためにベツト数をふやそうという努力をしておられる。特に農村等においては、まだ幼弱児がいるところに同屈している。こういう危険な状態をなぜ放任しておられるのですか、それと牛乳処理とどつちが危険だと思いますか、この点を伺いたい。肺病患者を放任しておくことの危険性と、牛乳低温にしなければならない危険性とどつちが高いか、厚生省の見解を伺いたい。
  61. 楠本正康

    楠本説明員 これは先ほど申し上げましたように、まことに調和のとれない一つの例だということは、私も了解いたします。しかしながら、これをただちに調和をとらせるというようなことにつきましては、いろいろな点で問題もありますので、私どもといたしましては、逐次全体として調和のとれたレベルに行くように、行き過ぎは是正し、足らざるは補うというような努力をして進んで参りたいと存じます。
  62. 川俣清音

    川俣委員 レベルを合せるために、必要以上に経済事情、消費者の立場または生産者の立場を無視した強硬政策、つまり行き過ぎの場合はもどろう、遅れた点は進めて行こう、こうおつしやることはけつこうだと思います。しかし低温処理のために相当融資をしている。明治にしてもそれから森永にしても、雪印にしても、みな合せておそらく二千万円か三千万円くらいの金を融資している。そのくらい金もかけさせる。そして日本も先進国に見習つていいことをやるということは、私もあえて反対しない。しかしながら農民の知識もついて来て、酪農というものは急激にこれは発展しないのです。ここに二百戸とか三百戸とかいう集団酪農地ができますれば、これは理想的な処刑にかえて行くということは、お互いにそう大きな負担でなしに、処理場を設けることは私は可能だと思つております。しかしながら、今のように分散しているときに、低温処理場まで運ばなければならないという、なぜそういう無理を強要するか。無理を強要するならまず道路を直せ。そういうことをやつてなら別ですよ。実際まず牛舎から見てごらんなさい。ああいうところで牛舎をつくらせるというようなことは、公衆衛生の面から行けば好ましくないような状態なんです。そこまで手をつけもしないで——どんな農家でも、割合に自分の住宅を大きくするとか何かはやめても、牛舎とか局舎のような畜舎については、割合に手を入れている。それでいながら衛生的に見てどうかと思われるようなことをやらしているのです。そういうものと処理と相まつて来なければならないのです。それをただ処理方法だけ理想的なものにしたつて、畜舎自体から理想的なものにして来なければほんとうじやない。ところが日本の国家経済、国民経済がそこまで行き得ないで、漸次そこへ到達しようとしているのであるから、それに即応するような処理考えても、これは決して大きな危害を与えないと思うのです。なぜ楠本部長、この観点に立つて勇敢な施策がやれないのか。こういう問題はどうなんですか、もう一度承りたい。
  63. 楠本正康

    楠本説明員 先ほど来、るるお答えを申し上げておりますように、私どもさような観点から、農村地域におきましては低温殺菌を強行することは行き過ぎであろうという事務的な判断から、最初お答えいたしましたような方針で進んでいるわけでございます。ただこれはもう少しく国会の御調査等も待つて最終的に善処いたしたい。  なお調和のとれた行政が必要であることは御指摘通りでございまして、私何ら異議をさしはさむものではございません。たとえば黄変米にいたしましても、内地の米にもそのくらいのかびのついたものはあり得るにもかかわらず、何がゆえに輸入食糧だけにかように厳格な処置をとるのか、私もちよつとかような点はふに落ちないのでございますが、これなんかも一つの好例だと存じます。従つて今後はできるだけ総合的にものを判断いたしまして、最も適切なる体系に進めたいということにつきましては、ここでお約束を申し上げたいと思います。
  64. 川俣清音

    川俣委員 厚生委員会結論はまだ出ないと思いますけれども、総体的に厚生委員会は勉強が足りないですよ。もしほんとうにやるなら、厚生委員会はまずはえや蚊をなくすということをやつてから牛乳をやるのが至当だと思うんです。蚊やはえをなくすこともできないで、牛乳低温処理にしなければ、高温にしなければというような理想論をやつてどうなるのですか。肺病患者の収容もまつたくできてからにしてもらいたい。そのくらいなことは、あなたから教わつて厚生委員会委員たちが知らぬはずはない。わからないのは何かほかの運動があるからだと理解せざるを得ないのです。まず、厚生委員会が早くはえなり蚊なり伝染病というものの起る余地をなからしめて、それから牛乳処理に入つてもらうのならば、私はあえて異議を言わない。厚生委員によく注意してください。  そこで畜産局にひとつお尋ねしますが、農林漁業資金中金から、低温処理費として金を貸しているわけですが、それはどういうわけで貸したのですか。あれは農林省所管だと思つて畜産局があつせんしたんじやないですか。
  65. 昌谷孝

    昌谷説明員 私からお答えいたします。牛乳生産から処理、販売、消費に至るまでの経済面の手続問題を、一応農林省所管と心得ております。従いましてそのうちの農業協同組合によります共同処理施設としての市乳処理施設に対して、農林漁業資金から融資を現にやつているわけであります。
  66. 川俣清音

    川俣委員 もう一つ、森永や明治や雪印にも出されたのでしよう。あれはどういうわけですか。
  67. 昌谷孝

    昌谷説明員 施設資金につきましては、そういつた農業協同組合が九割以上の出資をしております株式会社は、農林漁業資金の共同利用施設の借受けの対象となります。それ以外のただいまの御指摘のような会社は、農林漁業資金の貸付対象ということには、今のところ拡張いたされておりませんので、そちらの方に融資は出ておりません。ただ戦後特に遅れておりました施設の回復という意味で、先ほど楠本部長の言われました高速度瞬間殺菌の方法による市乳処理施設をそれらの会社がやります場合に、ごくその資金の一部でございますが、開発銀行を通じて融資が行われましたときに、私どもとしてもあつせんの労をとつたわけでございます。
  68. 川俣清音

    川俣委員 そこで農林省にお尋ねいたしますが、今の答弁だと、生産から処理までは農林省の行政の範囲だと理解している、こういうことですね。私もそうだと思うのです。そこで法制局にお尋ねしますが、食品衛生法の第一条は、元来日本の法律から言うと、この法律は、飲食に起因する衛生上の危害の発生を防止し、もつて公衆衛生の向上及び増進に寄与することを目的とするというふうに読むのが妥当だと思いますが、どのような見解を持つておりますか。
  69. 野木新一

    ○野木説明員 食品衛生法は、第一条において御指摘のように法律の目的をうたいまして、「飲食に起因する衛生上の危害の発生を防止し、公衆衛生の向上及び増進に寄与することを目的とする。」としております。こうして「発生を防止し」と「公衆衛生」の項の間に「もつて」という字が入つておりませんが、従いましてそこは少しぼやけております。やはりこの法律といたしましては、衛生上の危害の発生を防止する。そうしてそれから公衆衛生の向上及び増進に寄与——寄与という文字を使つているところから見ましても、前の方に重点を置いているのではないかと存ずる次第であります。
  70. 川俣清音

    川俣委員 私も大体そう解釈するのが至当だと思うのです。なぜかというと、二条以下が積極的に寄与する——つて公衆衛生の向上及び増産に寄与するという建前でできているようでありまして、これを二つの内容を持つた法律だとは見得ないのでありますから、大体さような解釈をすべきだと思うのです。そこでお尋ねしたいのですが、要は取締るということでありますから、寄与するようなことや向上することを取締ることはできないと思います。法律は判別を適用するからには、責任が明確でなければなりません。従いまして寄与するとか向上とかいうことには、刑罰的な犠牲をしないというのが本来の建前だと思います。そうじやございませんか。
  71. 野木新一

    ○野木説明員 大まかに申しますれば、中心のところはただいまおつしやつた通りだと私も存じます。
  72. 川俣清音

    川俣委員 そこでお尋ねしますが、現にりんごやトマト、きゆうりなどボルドー液で消毒したものが、特にデパートとか高級品を売つているところにおいては、これが清新な現地から直送したものだということを意識させるために、特に消毒したものをそのまま店頭に飾つておるわけです。これは食品衛生法に触れるのですか触れないのですか。先般は、これは農産物であつてこれから除外されておる、こういう御答弁だつたのですが、法制局はどうですか。
  73. 野木新一

    ○野木説明員 先般御質問のときもその点が議題になりましたが、私の答弁が、当時は十分に勉強いたしませんでしたので多少不十分だつたと存じますが、食品衛生法でりんごなどは一体食品かどうか、りんごを店頭で売るという場合に、それが食品衛生法にいう食品であるかどうかといいますと、これはやはり食品になるのではないかと存ずる次第であります。
  74. 川俣清音

    川俣委員 先般はこれは「農業及び水産業における食品の採取業は、これを含まない。」——これを拡大解釈したというわけでありませんでしようが、対象にならないという御説明であつたのを、勉強が足りいのでかえた、こういうわけですが、しかし法律の解釈はここで二様にされることはおかしいと思うのです。まだ検討してないから後刻答弁すると言われるなら別です。きよう開いた解釈とあした聞いた解釈とあさつて聞いた解釈が、勉強したらまた迫つたと言われては困る。これをあなたにお尋ねするのは、中正な立場でお聞きしているのです。きようの答弁とあしたの答弁が、勉強したらまた違いますでは困る。法制局にお尋ねするのは、そういうことを聞いているのではない。今日においてはまだ勉強が足りないから後刻答弁されるというならこれはいいですよ。あなた方が全部を一々覚えておられるということを期待もしていないのですから、研究される余地を残さないというわけではないのですが、先般の答弁ときようの答弁と違つておるというのはどういうわけですか。これは解釈が違うというわけはないですよ。
  75. 野木新一

    ○野木説明員 先般も私初め留保しまして、ずつとあとの方に行きまして、四条の解釈のときに、おそらくこれに触れることになりはしないかということにこの前答弁したように記憶しております。そこでただいま御指摘の二条のしまいから二項の「農業及び水産業における食品の採取業は、これを含まない。」というのは本文の但書でありまして、この法律で「営業とは、業として食品若しくは添加物を採取し、」云々とあります、これから除外されるのではないかと存じます。しこうしてただいまの問題点は、第四条におきまして左に掲げる食品はこれを販売してはならないとありまして、たとえば有毒なものが付着しておるものとかということになつておるわけであります。それでありますから、第四条におきまして、いやしくも食品であるならば、そして有毒物が付着しておるということがはつきりしているならば、やはりこれに触れるのではないかと一応考えております。そして先般もこの点につきましては、大体同趣旨の答弁をしたと私記憶しております。
  76. 川俣清音

    川俣委員 楠本部長ですか、厚生省は、それは農産物だから取締つてはいないのだ、こういう答弁があつたのですが、現在もかわらないですか。
  77. 楠本正康

    楠本説明員 私どもはこの食品のうち、農家が直接出荷するというような形式のものは、これは少くとも食品衛生法の対象には入らないと考えております。
  78. 川俣清音

    川俣委員 果樹にしましても、たいていの場合は共同出荷または協同組合による出荷が多いが、この場合はどうですか。
  79. 楠本正康

    楠本説明員 私が申し上げましたのは、農家が業としてでなく——あるいは業かもしれませんが、採取をしてこれを出荷する、たとえば漁師が採取した魚を売るとか、あるいは百姓が大根を抜いて来てそれを売るというような場合に、さような形式においては食品衛生法は適用しない、かような意味のことを申し上げた次第でございます。
  80. 川俣清音

    川俣委員 果樹はたいてい協同組合、果樹組合等の共同出荷ですが、この場合は触れるのですか触れないのですか。
  81. 楠本正康

    楠本説明員 少し具体的に申し上げますと、さようなものは食品衛生法の対象となる業の中に入らないというふうに御理解を願いたいと思います。
  82. 川俣清音

    川俣委員 共同出荷は業の中に入らないから、従つて食品衛生法の対象にはならない、こうですか。
  83. 楠本正康

    楠本説明員 四条は、つまり業者のほかに食品そのものが含まれておると考えております。なお取締りの点に関しましては、先ほどもお答えをいたしましたように、これは最小限危険のあるものを押える点が取締りの目標であります。従つてそこにおのずから実施できる範囲とできない範囲とあるのは、これは行政運営上当然だと考えます。
  84. 川俣清音

    川俣委員 どうもだんだんわからなくなるのです。共同出荷のやつは、業じやないからこれに入らないと理解してよろしいかどうかを聞いておる。
  85. 楠本正康

    楠本説明員 採取業につきましては、先ほど来お答えしておりますように、業の範疇には入らないと理解をいたしております。しかしながら、四条につきましては業と食品そのものとがございますので、食品そのものにつきましては、業を離れて個々の食品について判断さるべきものだと存じます。
  86. 川俣清音

    川俣委員 そうすると、そのものがついたままで共同出荷をするのは食品衛生法に触れることになりますか。これはボルドー液の付着ですから有意には間違いはないのです。
  87. 楠本正康

    楠本説明員 ただいまの御指摘の場合は、その食品が、有害なる物質に汚染されておるというようなことになりますと、これはその品物の個々の例として取締りの対象に入るわけでございます。
  88. 川俣清音

    川俣委員 今袋をかけないで無袋栽培をやつている。従つて消毒薬がついております。これで共同出価すると食品衛生法に触れるということになるのですか。個々はみなついているのです。今までは共同出荷までは触れないという御返事だつたのに、今度は触れるという。これは明確にしておいてください。
  89. 楠本正康

    楠本説明員 これを行政行為の対象とするかしないかということは、当然個々の判断によつて処理くだされるものと存じます。従つてボルドー液というような例でなく、たとえばパラチオン剤等を使つた場合に、きわめて危険だというような事態がありますれば、これは個々の例から判断いたしまして取締りの対象にすることは当然でございます。
  90. 川俣清音

    川俣委員 なるほどパラチオンでありますならば、非常に危険だということになるでしよう。しかしボルドー液だつて無害じやない。これは法律にある通り有害物です。こういうような消毒薬を全部落して来いといつたらこれはたいへん高いものになつてしまう。それは結果的には売らせないということです。またあなたが今まで一番問題にしているのは、なるべく生産したものの栄養価値または品質を低下させないことが本来としますれば、りんごというものは、あれは上をふいてしまいますと、非常にいたみやすくなつて栄養価値が低下し、販売品にならないのですよ。それならば行政的には取締らないというような寛大なことが許されるわけです。そうすると牛乳つて同じことです。牛乳とりんごとどこが違う。片一方はパラチオンが危険だという。ボルドー液だつて危険でしよう。食わないで上の方だけなめてごらんなさい。しかもデパートとか高級品店で売つている。あとの小さな店等は、みがいてきれいにして売つているのですから、高級店から買つて来たものほど危険だということになる。そうすると、あなた方が高級店、衛生店といつて看板かけさせているのはどういうことです。高級店という看板がついていていいというのは、消毒薬のついているものを売つているところが高級店だ、こういうことになる。このごろのきゆうりを見てごらんなさい。きよう私は二本参考までに持つて来ています。袋に包んであつて高い。そういう毒物のついたものが高いとはどういうわけですか。
  91. 楠本正康

    楠本説明員 先ほど来お答え申し上げておりますように、取締りというものは最小限安全なレベルを引くことが行政の目的であります。あとは指導で向上さすべきものだと存じます。従つて先ほど来農村の山の中等におきまして低温殺菌を強行することは行政としては行き過ぎであろうということをすでに申し上げてあるわけであります。ただ都市の場合はおのずから目標が違いますから、これはまた別の観点でございまして、さようなことはすでにお答えをしてあるわけでございますが、従つてかような点はできるだけ実情に即して改善して行かなければならぬ。かように政務次官お答えを申し上げたわけでございます。
  92. 川俣清音

    川俣委員 今の答弁によりますと、最小限度の被害を防ぐことが公衆衛生の行政上の取締りの対象だ、こういうことなんでしよう。これは間違いないのでしよう。それ以上のことは能力がないからやらない。実際上法律があつても金がないからやれない。結局最小限度よりも取締れない、法律があつても法律にある通りには取締れない、こう自白されたようなものですね。そうじやないのですか。
  93. 楠本正康

    楠本説明員 取締りということは、御指摘のように最小限のレベルでものを考えなければ行き過ぎになるわけでございます。しかしそれでわれわれは満足するものではございません。さらに向上する点につきましては、主として指導で実施すべきものだと存じます。従つて厚生省の取締り能力云々の問題ではなくして、行政の本質上さように考えておる次第であります。
  94. 川俣清音

    川俣委員 そこで問題なんです。明らかに法律に罰則規定まであるのにそういう事態を取締らないでおつて、それ以外のものに手を出すのはどういうわけですか。法律に忠実じやないじやないですか。この法律の四条は取締ることをあなた方に命じておるのですよ。命じたことをやらないで、なぜよけいなことをやるか。命じたこともやつたし、それ以上国民生活の向上と公衆衛生の増進に寄与することをおやりになることはけつこうです。ところが法律で命ずることすら最小限度も及ばない。法律をつくつた以上は、これに基いて取締ることをあなた方に強要をしておるのです。それが目的だ。そうでなければこういう法律をつくる必要はないじやないですか。つくつた以上は行政官がこれを取締るのがあたりまえじやないですか。法制局どうですか。
  95. 野木新一

    ○野木説明員 仰せのように国会で法律を御制定になりましたならば、行政機関たる政府諸機関はその法律を執行すべき義務がありますので、仰せのように法律を遵守しなければならぬものと存じます。しかし実際の現実の状態におきましては、ことに食品衛生のようなものにつきましては非常に千差万別で、いろいろの場合がありますので、なかなか現実の問題として……。
  96. 川俣清音

    川俣委員 法制局がそんな見解を持つ必要はない。法律の解釈を聞いておるのです。行政官に聞くのと君に聞くのとは違う。
  97. 野木新一

    ○野木説明員 それでは後半は取消します。
  98. 川俣清音

    川俣委員 結局はこの法律があつても最小限度より取締れないということなんです。命ぜられたことさえやれないでしよう。今のりんごの場合、トマトの場合もそうですが、今度は魚の場合だつてそうです。船に積んで来るときには、病人があろうとなかろうと区別するわけじやない。何もそういうことについて取締つていない。取締れないのです。法律は取締ることを許しておるけれども、実際の日本の経済の現状はそこまで取締ることができない状態であるために、これを行政的に容認しておるわけです。そこであえて法律の範囲を越えてまでなぜ牛乳処理について低温でなければならない、高温でなければならないという議論をするのか。要はやれることすらやらないでおいて、よけいなことを言う必要はないのじやないか。なぜ牛乳だけつまはじきしてやるのですか。ほかのことはなぜ熱心にやらないのですか。そこに誤解がある。もう少し心してこの処理について真剣に考えてほしいと思うが、どうですか。
  99. 綱島正興

    綱島委員長 真剣に考えるそうですから、もうここらで……。
  100. 川俣清音

    川俣委員 国会意思がわからないと言うからこれだけ説明しておるのです。もうわかつたと言うならやめます。わからないと言うならどこまでもやります。
  101. 楠本正康

    楠本説明員 先ほど来御説明しておるようでございまして、私どもも御指摘の取締論につきましてはまつたく同感でございます。従来私どもといたしましても、取締りがあえて簡単に事が片づきますために、イージー・ゴーイングの現われとして、指導を忘れて取締りに偏するというようなことも見受けられます。かような点に関しましては全般的な問題でもありますので、今後一層行政指導によりまして改善して参りたい所存でございます。なおさような観点に立ちまして、牛乳問題につきましてもできるだけ国会の御協力を得まして、行き過ぎがあればこれを是正するように努めたいと存じます。
  102. 川俣清音

    川俣委員 もう一つ……。農産品の質とかその処理については、私は所管農林省だと思つております。質というのは生産から起つて来るところのものなんです。厚生省がジヤージー種を入れた方がいいとか、ホルスタインや和牛はだめだとか言うが、和牛の乳だつて飲んでいますよ。やぎの乳などもずいぶん飲んでおります。一体こういう牛乳——村の人が互いに飼つて高温で飲んでいる人もあるのです。なぜそれまでやかましくしなければならぬか、わけがわからぬ。日本の産業を破壊してまで公衆衛生が取締ることはできないと思うのです。何か考え違いをしておるのじやないか。これはかつて占領下において、アメリカのような酪農の発展した地帯と日本との無理に結びつけた一つの欠陥が出て来ておる、そこにやはり思いをいたさなければならぬと思う。これは明確に農林省も、処理までは農林省——これは原乳ですから原乳の処理ですよ。都会まで共同出荷されたものの最後の処理を、いわゆる処理業者というものがやる場合は別問題であります。これは処理業者ではなくていわゆる加工業者です。加工を加えないで売るか、または加工して売るかということは、処理業者というよりも加工業者です。明治乳菓にいたしましても、あるいは森永にしましても、雪印にいたしましても、バターとかチーズその他のものをつくるところの加工業者なんです。これを処理業者というような考え方が誤つておる。そうではないのです。加工業者として私どもは敬意を表します。これを処理業者という考え方が私は誤りだと思います。従つて日本規格という、農林規格の中には牛乳などについても規格がある。規格が二つあるのです。あなた方の取締りと……。片一方はちやんと法律の日本農林規格です。これはおかしいです。アメリカさんはこんなことを知らないで、日本農林規格があるなんということを知らないでつくられたのです。それにあなた方は便乗してやられただけなんです。どんなに厚生省が力を入れましても、日本の産業を破壊してまでやる行為というものは許されないですよ。もしもやるというならやつてごらんなさい。あなた方なんかはすつとんでしまいますよ。厚生省がこういうことをどうしてもやるとなつたらおやりなさい。選挙後に全部あなた方の退陣を求めるから……。やるならやつてごらんなさい、こう言わざるを得ない。こんなことを言う人間じやないんですが……。ほんとうですよ。大いに心してやつてください。
  103. 綱島正興

  104. 足鹿覺

    足鹿委員 私は一問だけ、どなたにお尋ねしていいのかわかりませんが、適当な人から御答弁願いたい。乳価に関連いたしまして、酪農の問題、牛乳処理問題が非常に大きな問題になつて来ておるのでありますが、これについては今まで何回も議論をいたしましたから、私はきようは多くは申し上げません。ただ一つ、行政官庁として現在厚生省がおとりになつておる措置に適当でない行為があるように思いますので、この点をお尋ねしたい。すなわちこの問題が最近の当農林委員会で大きく取上げられるに至りまして、爾来厚生省は直接間接に牛乳処理業者に対して、低温殺菌一本やりで行くことが好ましい、現在の農林委員会考えておる線は適当でないから、これは全部低温殺菌一本に行くように運動を行えという全国指令を出された形跡がありますが、どこからどういう経路でお出しになつたものでありますか。これはあえて農林委員会に対してあなた方が公然と戦いを宣せられるならばけつこうでありますが、からめ手にまわつて農林委員会に挑戦を企てるような態度というものは、私はそれは厚生省の名においてはおそらくできないと思うが、厚生省が中心となつてそういう手を打つておる、この事実を御存じであるかどうか。
  105. 楠本正康

    楠本説明員 ただいま御指摘のような点は私全然存じません。いずれにいたしましても、厚生省といたしましては、現在の牛乳省令はさることながら、すでに本年二月次官通牒をもちまして、できるだけ現在の例外規定を活用いたしまして、農村地帯等においては簡易なる高温殺菌を普及するように方針をきめまして、次官通牒も出ておる次第であります。その後私どもといたしましては、とりあえず省令改正はいずれといたしましても、さような方針従つて進んで参つておりまして、従つて現在もその方針でおります。従つて厚生省から——あるいは他の団体のことは存じませんが、少くともさような運動あるいは活動をしたということは絶対にないものと私は信じております。なおしかしこれらの点につきましては、さらに調査をいたしましてお答えをいたしたいと存じますが、さようなことは絶対にあり得ないことと確信いたしております。
  106. 足鹿覺

    足鹿委員 ないそうでありますからけつこうであります。環境衛生部長はあるいは御存じないかもしれませんが、あなた以外の者が暗に脈絡を通じてやつておるかもしれぬ。調査をするということでありますから、調査を願いたい。各県にこれに類する指針が与えられて、これが各牛乳処理業者に指示され、そうして乳業資本は上京の陳情費用を集めて上京の手配までやつたことは事実です。でありますからあなた方が直接御経験がないことであれば、ないとおつしやるのをあるとも私はあなたに申し上げませんが、いずれにしろ、あなたの身辺からこの問題に対してそういう対策を立てられておるということは、私はいなむことはできないと思う。これがいい悪いは、あなた方はいいと思つておやりになることかもしれませんが、私は手続としても間違つておると思う。国会において、しかもこれは衆議院のみならず参議院においても慎重に論議をされて、酪農の前途に対して暗影を投げかけないように、われわれとして真摯な検討を加えておるときに、一部業者に向つてそういう運動を展開して、農林委員会に牽制を加える、あるいは農林関係当局に向つて牽制を加えるがごとき態度というものは、いわゆる行政官庁あるいは行政官庁直接でなくても、これに関連するものがさようなことをやるということは、不届き千万なことだと思います。これはいずれ証拠をあけて、あなたが御存じなけらねば出しますが、今後こういうことをなお次々とおやりになるということでありますならば、また私も別な方法をとりたいと思う。私はこのことだけは申し上げたいと思つて、ほかに用事があるのをわざわざ来たわけです。今後これらの問題について、乳業資本の手先となるがごとき越権の措置をとられるということは、厳に慎んでいただきたい。このことだけを申し上げておきます。
  107. 綱島正興

    綱島委員長 委員に申し上げます。食糧庁から新長官と伊東第一部長が見えておりますが、食糧のことについて調査を進めるという理事会の申合せがあつたわけでございますが、いかがいたしましようか。速記をとめて。   〔速記中止〕
  108. 綱島正興

    綱島委員長 速記を始めて。  本日はこれにて散会いたします。明日は午後一時より開会をいたします。   午後四時四十三分散会