運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1954-12-21 第21回国会 衆議院 大蔵委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年十二月二十一日(火曜日)     午前十一時十二分開議  出席委員    委員長 井上 良二君    理事 大平 正芳君 理事 宇都宮徳馬君    理事 藤枝 泉介君 理事 小川 豊明君    理事 春日 一幸君       有田 二郎君    宮原幸三郎君       三和 精一君    島村 一郎君       福田 繁芳君    久保田鶴松君       柴田 義男君    川島 金次君       平岡忠次郎君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 一萬田尚登君  出席政府委員         大蔵政務次官  遠藤 三郎君         大蔵事務官         (主計局長)  森永貞一郎君  委員外出席者         大蔵事務官         (主税局長)  渡辺喜久造君         大蔵事務官         (理財局長)  阪田 泰二君         大蔵事務官         (銀行局長)  河野 通一君         会計検査院事務         官         (事務総長)  池田  直君         会計検査院事務         官         (検査第一局         長)      保岡  豊君         国民金融公庫理         事       最上 孝敬君         中小企業金融公         庫理事     塙  金太君         参  考  人         (日本銀行理         事)      佐々木 直君         専  門  員 権木 文也君         専  門  員 黒田 久太君     ————————————— 十二月十七日  委員横路節雄辞任につき、その補欠として小  川豊明君が議長指名委員選任された。 同月二十一日  委員坊秀男辞任につき、その補欠として佐伯  宗義君が議長指名委員選任された。 同日  理事内藤友明君、坊秀男君及び久保田鶴松君理  事辞任につき、その補欠として宇都宮徳馬君、  藤枝泉介君及び小川豊明君が理事に当選した。     ————————————— 本日の会議に付した事件  理事の互選  小委員及び小委員長選任  参考人招致の件  参考人より意見聴取の件  指定預金制度に関する件  税制に関する件  金融に関する件     —————————————
  2. 井上良二

    井上委員長 これより会議を開きます。  まず理事辞任についてお諮りをいたします。本委員会理事でありました内藤友明君、坊秀男書及び久保田鶴松君よりそれぞれ理事を解任いたしたいとの旨の申出があります。これを許可するに異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 井上良二

    井上委員長 御異議なしと認めます。よつて三君の理事辞任を許可するに決しました。     —————————————
  4. 井上良二

    井上委員長 引続き理事補欠選任を行いたいと存じます。これは先例によりまして選挙の手続を省略して委員長より御指名いたすことに異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 井上良二

    井上委員長 御異議なしと認めます。それでは委員長におきましては  宇都宮徳馬君 藤枝泉介君 小川豊明君をそれぞれ理事に氏名いたします。     —————————————
  6. 井上良二

    井上委員長 次に小委員及び小委員長選任について御報告をいたします。先日設置を決定いたしました各小委員会の小委員及び小委員長選任は、委員長一任となつておりますので本日公報をもつて指名をいたしましたが、各小委員長は次の通り委員長において指名いたしますから御報告をしておきます。  税制に関する小委員長 有田三郎君  金融に関する小委員長 藤枝泉介君  国有財産に関する小委員長 久保田鶴松君  等化事業に関する小委員長 春日一幸君  補助金等予算執行適正化に関する小委員長 井上良二君 以上の通りであります。     —————————————
  7. 井上良二

    井上委員長 次に参考人招致の件についてお諮りをいたします。金融に関する件のうち、特に年末金融対策に関して本日日本銀行理事佐々木直君を参考人として招致し、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 井上良二

    井上委員長 御異議なしと認めます。よつてさよう決しました。  佐々木君は十一時過ぎにお見えになることになつておりますから、御了承願います。     —————————————
  9. 井上良二

    井上委員長 次に昨二十日電気通信委員会よりテレビ受像機に関する物品税に関する件について当委員会申入れがありましたので、その申入れを印刷して諸君のお手元に配付しておきましたから、各位の御検討を願つておきたいと存じます。     —————————————
  10. 井上良二

    井上委員長 次に税制に関する件、金融に関する件の両件を一括議題として調査に入ります。午前中は主として年末金融対策について調査を行いたいと存じます。質疑通告がありますからこれを許します。春日一幸君。
  11. 春日一幸

    春日委員 指定預金制度につきまして阪田局長にお伺いをいたしたいと思うのであります。今朝の新聞の報ずるところによりますと、会計検査院がこの二十日に大蔵省に対して現行指定預金方式会計法違反疑いがあるという通告を発したとの趣でありますが、これはいかなる内容のものであるか、まずもつてこの点を明らかにしておきたいと思います。
  12. 阪田泰二

    阪田説明員 この国庫指定預金の問題につきましては、たしか本年の初めであつたと思いますが、会計検査院がいろいろ大蔵省調査をいたしましたときに、国庫指定預金の問題につきましても、いろいろと御研究なつたわけであります。その結果、私どもの方でもいろいろとこの国庫指定預金というものの制度根拠その他につきまして研究しておつたのでありますが、ただいまお話のように、昨日検査院事務総長の方から大蔵次官の方に通知があつたわけであります。その趣旨は、大体私ども政府といたしましては、国庫指定預金というものは政府日本銀行に対する国庫金預金一つの形態である、そういう意味におきまして会計法あるいは予算決算会計令というものの規定に基く合法的なやり方であるというふうに解して、今までやつてつたわけであります、形式的にはそういうことでありますが、実質的に考えますと、これは政府国庫金を信託運用しておるのとかわることがない、そこに疑義があるのではないか、従つて今後そういう指定預金による国庫余裕金運用ということについては特に慎重にやるべきではないか、こういつたような意味通知を向うからもらつたわけであります。
  13. 春日一幸

    春日委員 そういたしますと、この会計検査院通告を受けた大蔵省が同日の省議でこの問題を検討した結果、指定預金を廃止するとの方針を内定したということがありますが、これはいかなる機関によつてどのような決定がなされ、しかもその決定はどういうような手続をふんでいつごろ実施に移されるものであるか、この点を明らかにされたいと思うのであります。
  14. 阪田泰二

    阪田説明員 検査院からの通知を頂戴いたしまして、昨日省議をいたしたというような事実はございません。ただこの指定預金の問題につきましては、前から検査院にそういつた御意向があるということは私どもも承知しておりましたので、指定預金を将来どう持つて行くかということにつきましてはいろいろ相談しておつた事実はございます。大体こういう検査院からの通知をいただきましたから、やはりいろいろ法律上の根拠につきましては、かなり複雑な問題でありますので、議論の余地はあると思いますが、しかし今後の行き方としては慎重にした方がいいのではないか、現在指定預金は六十三億円ございますが、こういう通知をいただきましたからといつて、これをただちに引揚げるというようなことをいたしますれば、いろいろ金融界中小企業等も影響があることでありますから、これはやはり通切な時期に、引揚げるにいたしましても、摩擦を起さないようにやつて行く必要があると考えておりますけれども、今後新規預託をするということは差控えた方が妥当ではないかというような考えを持つております。但しこれは通知をもらいましたあとで正式に省議できめたことではございません。
  15. 春日一幸

    春日委員 まことに曖昧模糊として捕捉するところを知らずというような、そういう印象を受けざるを得ないのでありますが、少くとも大蔵省責任権威を持つて、かかる執行を行つておると思うのであります。会計検査院疑いありという疑義を持つに至つて警告を発したのは、伺えば本年の四月と言われておる。そういう疑義のある執行を本日まで政府責任を持つてずつとやつて参りました。それが今伺うところによりますと、疑義があるのは会計検査院疑義であつて大蔵省はそれに対して疑義がない、すなわち責任権威を持つてこの執行を行つておる、だといたしますならば、あなた方がその確信の上に立つてこういうような措置を続けて行くことは、ごうもさしつかえのないことであるし、さらに新規預託を行つて行くということも、必要に応じてやつてごうもさしつかえないと思う。会計検査院疑義があるということを、なるほどその遮りとあなたの方が考えるならば、これは即日やめなければいかぬ。あなたの方が正しいか、会計検査院の方が正しいか、これは二つに一つでなければならぬ。そこで、本年の四月にそのような重大なる疑義について警告を発せられたならば、その警告に対するあなた方の確信、これを解明することなくしてこの一箇年間を荏苒日をけみされたということは、ことに責任重大であろうと思うわけであります。一体その会計検査院疑義ありという警告を、あなたの方は了承されるのであるか、それともそういうような警告は、大蔵省から考えてみればまことにもつてけしからぬという反対的な見解確信の上に立つて、この指定預金引揚げをこの半年間にわたつて何ら行われていなかつたのであるか、この点の実情についてこの際さらにつまびらかにされたいと思うのであります。
  16. 阪田泰二

    阪田説明員 検査院からこの問題について問題があるということで疑義の提出がありましたのは、御説のようにちよつと前のことでございます。実はその後新規預託ということはいたしておらないわけであります。ただその当時におきまして預託をしておるものを、いろいろの情勢も顧慮せずに急激に引揚げるということにつきましては問題がありますので、ただいままで時宜に応じて引揚げの延長をいたす等のことをやりまして、適当に引揚げておるというような掛買をとつて参りました。そういうふうな問題が起りました以後漫然と従来通りのことをやつてつたのではありません。  それからただいま大蔵省一体検査院意見に反対なのか、それとも大蔵省意見が正しいと思うのかということでありますが、これは先ほど申し上げましたように、大蔵省としてはこれは一応形式的には会計法規定に基く日本銀行に対する国庫金預金であるというふうに解しておるのでありますがこれが、実質的に国庫金を信託的に運用させておるような形になるということが適当でない、とこういう会計検査院見解でありますので、その点につきましてはやはり実質的にも妥当である、絶対問題がないのだというふうに聞き流しておるべき問題ではないと思います。やはり国庫金運用あるいは会計制度運用というものはあくまで厳正に、いささかも疑義のないようにやらなければならないと思います。多少問題のあるような点につきましては、会計検査院が言つておりますように、やはり慎重にやるべきであるというのが私ども考えであります。
  17. 春日一幸

    春日委員 問題は政治的な事柄をも含んで重大であろうと思うのです。たとえばあなた方は昭和二十四年でありましたか、いずれにしても自由党内閣のもとにおいては、法律疑義があるという執行を多年にわたつて しかも盛んなときには六百数十億という巨額にわたつて会計法予算決算会計令その他日銀法とかそういうような法律疑義がある、あるいはこれに違反をするかもしれないような事柄をノンコノシヤーとしてやつて来た。それが、今回内閣がかわりますと、すなわち空然としてこの年の瀬を控えた今日、今までやつて来たことに対して疑義があるからというような新聞発表をして——これは民主党に対して手きびしい抵抗を示し始めたのではないかと思われる気配があるのでございます。これは民主党から当然しかるべく意見の開陳があるであろうと思うのでありますが、少くとも三十四年以来長きにわたつて中小企業金融を解決することのための必要欠くべからざる施策一つとして、この政策がとられて来た。ところが自由党内閣が更迭いたしますやいなや、この自由党政権によつて培養されておつたところの大蔵官僚たちは手のひらを返すがごとくに突然変化をして、今までやつて来たことをたちまちにしてこれはいかぬ、この金融梗塞が何ら解決されてない今日、こういう新聞発表をするということは、私は法律的にもまた政治的にも重大な疑義があろうと思うのであります。こういうことをことさらにこの年の瀬にあなた方が発表をしたその理由、これは一体何であるか、もう一ぺんわれわれにわかるように御説明を願いたいと思うのであります。
  18. 阪田泰二

    阪田説明員 会計検査院の問題につきましては、先ほど来申し上げておりますように、本年の初めあたりから問題が提起されておりまして、大蔵省会計検査院でいろいろと相談もし研究もしておつた問題でありまして、たまたまそれが最近に至りまして具体的の通知となつてつたということであります。もちろんこういう検査院から大蔵省に対する通知でありますので、私どもの方からこれわざわざ発表いたしたということはございません。  それから今までこういう非合法なことをやつて来たのかというお話でありますが、先ほど来たびたび申し上げておりますように、これは非合法なものであるとは今でも私ども考えておりません。ただ検査院の指摘の趣旨のようなことで、こういう疑義のあることは慎重にした方がいいだろうということは、今後はしないということが適当だろうと考えておるのでありましで、それもやはり先ほど来申し上げておりますように、きのうから卒然としてそういう方針なつたわけではおりません。本年初めから新規預託はいたしておらないわけであります。御了承を願います。
  19. 春日一幸

    春日委員 そういたしますと、この点もひとつ明らかにいたしておきたいと思うのでありますが、会計検査院疑義ありとの警告、これはあなたかとしてはそのままはいただきかねる、こういうような立場にあらわれるのでありますか。あるいはまたこの会計検査院警告は、しかくごもつともであるから、われわれは会計検査院のこの警告に基いて、今後の執行をかえて行く、こういう大蔵省方針であるか、この点をまずもつて明確に示されたい。
  20. 阪田泰二

    阪田説明員 検査院通知につきましては、きのうもらつたばかりでありますので、具体的にこまかい、微妙な点になりますと、検査院通知通り大蔵省としても疑義のあるという点についてもまつたく同意見であるというようなことになりますかどうか。これはやはりこの通知を見て研究してみたいと思います。しかし先ほど来繰返し申し上げておりますように、前々からこういう疑義の提出された問題につきましては、いやしくも国庫金取扱いに関することでございますから、慎重にした方がいいだろう、検査院の言つております結論の点につきましては、全然われわれとしても同じ意見でございます。
  21. 春日一幸

    春日委員 ちよつとはつきりしないのでありますが、慎重にするということはどういうことでありますか。があるということは、予算決算会計令違反をするということでありますが、その法律違反をするということを会計検査院が言つておる。あなた方はその違反をするともしないともわからないというようなことで、いやしくも国庫金運用をされておつては相ならぬと思うのでありますが、一体会計検査院が発しておるところの警告内容というものを、大蔵省は了承するのであるか、あるいはこれを拒否する態度に出んとしておるのであるか、この点を明らかにしていただかなければ、次の話が先へ進んで参りません。この点をもつと端的に明確に御答弁願いたいと思います。
  22. 阪田泰二

    阪田説明員 ただいまお尋ねの点は、先ほど私が申し上げましたのは、通知をよく見て検討したいと申し上げた点でありまして、検査院通牒はこの指定預金という制度会計法離反であるというふうに断定しておるのかしていないのか、その点もこの通牒をよく見まして検討してみたいと思います。違反なりとはつきりきめつけた文書ではないわけでありまして、内容を見てこれから検討してみたいと思うわけであります。
  23. 春日一幸

    春日委員 そういたしますと、昨日、二十日の日でありますか、事務総長から次官あてに通達されましたところの文書、これは主管局長であるあなたは本日までまだ見ておられないのでありますか、この点をお伺いいたします。  それからなお新聞の報道によりますと、大蔵省省議を開いて検討した結果、この指定預金を廃止するという方針を内定したと報通されておりますが、そういうようなことは内定されたことはないのであるかどうか、この点を明らかにしていただきたいと思います。
  24. 阪田泰二

    阪田説明員 通牒は私は見ております。ただその通牒内容の厳密な解釈の問題として、会計法違反であるというようなことを検査院が言つておるのかどうか、これもこの文書に即して検討してみなければならぬということを申し上げたのであります。  なお省議の点につきましては、昨日この通牒受取つて、このために省議を開いたという事実は、先ほども申し上げましたようにございません。
  25. 春日一幸

    春日委員 わかりました。そういたしますと、会計検査院文書なるものは、その内容について専門的、法律的な検討がされてないので、大蔵省としてはこれに対する見解発表いたしかねる。なおこの問題について省議が開かれたこともないし、いわんや指定預金を廃止するという内定本決定も行われたことはない、こういうぐあいに了解をしておいてさしつかえないもんでございましようか。従いまして、本日の朝刊各紙トツブ記事になつておりまする事柄は、これは全部語報であるのかどうか、この点を明らかにしておいていただきたいと思うのであります。
  26. 阪田泰二

    阪田説明員 けさの新聞記事につきましては、実は私まだよく存じませんので、どこまで事実に合しておるか合してないかお答え申し上げかねるわけでありますが、先ほど来繰返して申し上げますように、この通牒を受けまして、指定預金という制度そのものを廃止してしまう、やめてしまうような決定を昨日いたした事実はないわけであります。しかし先ほど来たびたび申し上げておりますように、こういう疑義のある問題につきまして、新規指定預金はしないということは、これは以前からそういう方針でやつて参つております。それで具体的にさしあたり問題になつておりまする本年末に指定預金をいたすという問題につきましても、これはいたさないことに大蔵省としても決定いたしておりまして、何らかこれにかわる措置を講ずる方向で研究するということになつておるわけであります。
  27. 春日一幸

    春日委員 大体わかりました。この問題はいずれ後刻会計検査院責任者が御出席になることに相なつておりますので、なお関連した質問で後ほど明確にいたしたいと思うのでありますが、次にお伺いいたしたいことは、民主党がこの指定預金五十億円の新規預託について大蔵省申入れ行つた様子です。そこで河野銀行局長にお伺いいたしたいことは、現在の政治民主政治であり、議会政治でございます。与党がその責任においてそういう預託をなすべしとの申入れ事務当局にいたしまして、そうしてその取扱いははなはだ重大な事柄であろうと思うのでありますが、これはいかに処理される御方針であるか、銀行局長よりひとつ御答弁を願いたい。
  28. 河野通一

    河野説明員 年末の中小金融に対する資金需要の旺盛な現在、これに対処するために何らか政府資金投入を年末金融対策として考えてはいかがかという話が、民主党の方から大蔵大臣に対してありましたことは事実であります。この問題につきましては、従来からいろいろ検討いたして参つてつたのでありますが、少くも先ほど理財局長が申しておりますような見地に立ちまして、少くとも指定預金を年末にかけて新規にするということは、法律的にいつて疑義もあるし、かたがた政策的にも適当でないという判断から、その形における政府資金投入ということはいたさない、こういうことを昨日省議と申しますか、大蔵省としては決定いたした次第であります。
  29. 井上良二

    井上委員長 ちよつと申し上げますが、会計検査院事務総員であります池田直君、及び第一局長保岡豊君、両名が見えましたから、さきの問題に関連して質疑をまずその方からして、それからあと政府の方に質問願うように……。
  30. 春日一幸

    春日委員 会計検査院事務総長にお伺いいたしますが、本日の新聞の報道するところによりますと、会計検査院は過ぐる二十日に大蔵省に対しまして、現行指定預金方式会計法違反疑いがある、こういう警告を発したとの趣きでありますが、これはいかなる内容のものであるか、この点をひとつ明らかにしていただきたいと思う。
  31. 池田直

    池田会計検査院説明員 お答え申し上げます。国庫金内地指定預金運用のことについて会計法違反であるということを指摘しておるが、それについての考えはどうかという御質疑だと思いますが、実は指定預金関係制度でございまするが、あるいはすでにここで御論議があつたかとも考えますが、私の方といたしましては、この指定預金制度につきましては、ずつと前から会計法違反ということにつきまして、明確にこれをはつきりときめつけるような考えは持つておりません。これは長いこと慣行としてやつて参つておられますわけなんでありまするが、ただ指定預金運用関係は、国会の審議に関連いたしまして、なるたけこれを法的の根拠なり、あるいは国会の議決なり、そういうものに基いて慎重にやることが至当だというようなことで、昨年の秋ごろからすでにこの問題を提供して、大蔵省事務当局会計検査院の方で盛んにこれを問題として参つてつたような次第でございます。
  32. 春日一幸

    春日委員 ただいまの御答弁によりますと、検討して参つたということでありますが、私の質問いたしましたのは、この二十日に大蔵省に対して違反疑いがあるという警告内容を持つた文書大蔵事務次官あてに発せられたとの趣であるが、その文書内容はどういうことをうたつておるのであるか。疑義として指摘されておるところの条件はどういうものであるか、これを伺つておるのであります。この点ひとつお答えを願いたい。
  33. 池田直

    池田会計検査院説明員 お答えいたします。指定預金国庫金日本銀行に預入いたしておるわけでございます。この指定預金が市中の金融機関条件付で一定の使途等運用された形になつておるのでありますが、実質上信託的な運用になることでございますの、で会計法規定によりますと、単に日本銀行に預入いたしております国庫金種別指定預金とう種別の形で預入されておりますので、実質上述用ということになりますと、少し程度は行き過ぎではなかろうか。そうした関係会計法その他の法的根拠に乏しいように考えるので、私たちといたしましては、これは大いに慎重に考慮する必要があるということで意見を述べておる次第でございます。
  34. 春日一幸

    春日委員長 あなたもこれは御承知の事柄であろうと思いますが、今や中小企業がはなはだ金詰まりで困つておる。従つてこの資金難を何とか緩和するために昭和二十四年来、この実情に即した施策としてこの方針がとられて今日に参つております。そうしてはなはだしいときには六百八十億を越えるような巨額にわたつてこれが運営されて参つておるのであります。しこうして現存の金詰まりは刻々と中小企業の面にしわ寄せされて、その困窮度が次第に高まつて来ておる。そこで過ぐる第十九国会の五月三十一日の本会議において、中小企業危機打開に関する諸般の決議を行つておりますが、その中で特に具体的条件九つを指摘いたしまして政府にその実施を迫つた。その一つの項目が指定預金引揚げ猶予の事柄であり、さらには進んでその預託の追加をなすべしとの決定を行つておる。これは衆議院における本会議の全会一致の議決であります。そこでもしもそういうような国会の議決が現行法律の各条章に照らして疑義がありということであるならば、会計検査院大蔵省との間の合議によつて、その諸般の法律を修正することのための努力がなされてしかるべきであり、それだけの誠実を尽すことは、事務を担当する諸君の責任であると思う。国会新規預託をせよと言つておるし、さらに預託されておる指定預金引揚げてはならないということを言つておるのでありますから、疑義のある事柄について何ら触れることなくして、国会の議決に逆行するような執行をあえて行わんとするがごときは、諸君の国会に対する挑戦である。まことにもつてけしからぬではないか。法律などというものは大したものじやない。こんなものは日常の事務を処する処理規定にしかすぎない。従つてこういう実情に即した執行を行わんとして、これが現行法律にいろいろ疑義があるとするならば、こんなものはここで法律改正案をせば、われわれが直してあげる。国会の意思を尊重すると口で言うておりながら、疑義のある事柄を解決することのために、当然事務当局に課せられたところの任務をどうして怠つたのであるか。疑義なるものは、あなたの今の御答弁によつてわれわれが判断するところでは、あなた方の疑義もまだ確信がないようである。たとえばその運用の程度というようなものが云々ということであつて、これは法律違反をするという確信の上に立つてこの処置がとられてはいない。私は少くともこの政治執行するものは権威の上に立つて、しこうしてその確信の上に立つて行わなければならぬ。いいのか悪いのか、法律違反をするかしないか、あなた方が確信のないような事柄を何をもつて大蔵省などに警告を発するのであるか。潜越しごくである。もしもあなた方が確信があるならば、これは禁止すべしというあなた方の権威において、そういう執行がなさるべきである。違反をするようなにおいはあるけれども、しかしまあ大したこともあるまいから慎重にというような、そんなあやふやな根拠でもつて——今日中小企業たちがこの指定預金によつてどんなに救われておると思いますか。中小企業にとつては命の綱であり、ささえのつえである。そういうものをあなた方は奪いとらんとしておるのであるが、そういう確信もない事柄について、そんな軽卒千万な事柄文書によつて発表するということは何事であるか。確信があるならばここで確信ありと言いなさい。禁止をしなければならぬとすれば、ここに法律の修正案を出してそういうような疑義のあるところをちよちよちよつと直せば、そんなものはお茶のこさいさい、かつぱのへではないか。私は少くとも会計検査院は予算、決算、会計法親等の法律の各条竜にまたがつて、大きな責任を持つておるのだから、疑義があるとするならばその疑義のある点をさらに深く解明して、法律違反するかしないかはあなた方が責任ある処理を行う、しこうして大蔵省にあなた方の責任ある見解発表しなければならぬ。慎重にやろうかいというような、八百長で中小商工業者のささえのつえが奪い去られることは、国会がこれを認めるところではございません。さらにあなたによく御了解を願つておきたいことは、五月三十一日の国会決定である。これは新規預託をせよといつておる。あなた方は、その国会の決議に対して逆行するような執行を、事務当局の仲間でぐるになつて——諸君は長年の間自由党内閣のもとに禄をはんで来たが、今この内閣がかわつたから、民主党に一ぱいあわをふかしてやろう——民や党なんか野たれ死しようと何しようとわれわれの関知するところではない。しかしながら内閣がかわるごとにそういう方針の百八十度の転換を行うということは、政治的に見ても事南天である。もう少し責任ある答弁を得ることができなければ、緊急動議によつて途方もない決議を出すぞ。(「おどかすな」と呼ぶ者あり、笑声)
  35. 池田直

    池田会計検査院説明員 会計検査院といたしましては、国会の審議ということは、先ほど申し上げました通り非常に尊重すべきものでございますので、(春日委員「絶対だ」と呼ぶ)そうした関係から、実は先ほども申し上げましたように、昨年末大蔵省にこれを注意して参つて来たような次第でございまして、これに対して本年一応の意見を書面でいただきましたので、これに対しましてさらに私どもといたしまして、今申し上げましたような国会を尊重するという立場の意味合いにおきまして、会計法実質上の運用につきましての規定、あるいは預金部資金運用その他の運用規定いたします法規、こうしたものと思い合せますれば、非常に法的根拠明確を欠いておるので、この際はつきりすることが必要だということで、純粋の事務的な立場で注意をしておる次第でございまして、これがたまたま今お話のような御意見をいただいたことは、私どもといたしましてもはなはだ遺憾に考えておる次第でございます。
  36. 春日一幸

    春日委員 だんだん真相が明らかになつて参りました。すなわちあなた方は、多少法律疑義があるけれども、この疑義は何とか合法的に処理しなければならない、こういう連絡を大蔵省にした、こういうことでありますか、御答弁を願いたい。
  37. 池田直

    池田会計検査院説明員 中小企業その他の関係施策につきましては、会計検査院はもちろんタツチすべき問題でございません。これは大蔵省、その他の主管省で責任を持つて施策をおやりになることでございますし、そのために法的根拠その他のことについて、国会の審議尊重という考え方からして、法規をちやんと整備すべきは整備しなければならない、そうした事務的な考え方で注意をいたした次第であります。
  38. 春日一幸

    春日委員 そういたしますと、私はもう一つあなたにお伺いをしたいのでありますが、これは法律専門家としてあなたの御高見を拝聴いたしたいわけであります。それでは、この指定預金を行わんとすれば、しこうして中小企業者の融資に応諾すべき資金源をそれぞれ中小企業金融機関が確保することのために、政策的にそういうような措置を行うとする。すなわち現在やつておる通りのことをやろうとすれば、あなた方が指摘しておる予算決算会計令の第百六条でありますか、会計法の第三条でありますが、そこをどういうふうに直したらいいのか。この機会に、あなた方の検討されておるところを、御見解をお示し願いたい。
  39. 池田直

    池田会計検査院説明員 これはいろいろ考え方があるだろうと思いますが、その一、二の例を申し上げてみますならば、こうした資金運用のわくを、一年にどのくらいの範囲は国会の議決を経てやつてよろしいとか、あるいは先ほど意見もありました通りに、会計法なりに国会の議決を経た場合には運用することができるとか、そうした規定でございます。国会の議決に基いて法律規定を制定するなり、あるいは予算の総則とかそうした関係のところに、このくらいのわくは国会の議決の範囲内において主務官庁がこれを運用することができるとか、そうしたことが処理されることが、国会の審議その他の関係、ガラス張りの政治をするという関係から、非常に民生的な線に沿うのではないか、そういう考えを持つております。
  40. 春日一幸

    春日委員 これは唐突にけさ発表された問題で、われわれもあまりに反動化のためにびつくりして、深くその法律検討はいたしておりませんが、われわれが常識的に判断いたしておりまする事柄は、すなわち予算決算会計令第八章の第二節、国庫金の出納、第百六条の中に、日本銀行取扱いの方式をきめておりますが、そこの中に、「日本銀行は、この勅令の規定による外、大蔵大臣の定めるところにより、国庫金出納の事務を取り扱わなければならない。」かく規定されております。しかし大蔵大臣の定めるところにより今まで預託事務が行われておつたのは、大蔵大臣がそういう預託のことを定めたから、その方式によつて運営されておるものと考えており、従つてこれは現行予算決算会計令の範囲内において、法律に何ら疑義のないものである。すなわち大蔵大臣が定めたんだから、定めた通り国庫金が運営されておるということであつて、ごうも疑義はないように考えておつたのだが、あなた方専門家の中では、さらに今お説のあるところによると、議決に基いてその限度額をきめたならば一層いいということであるが、別にそういうようなものは法律によつてきめなくても、大蔵大臣の定めたところによつてそういうような預託を行つても、現行法律にごうも抵触するところはないと思う。これについて、そうあつてはならぬという理由の根拠をわれわれにひとつ御説明を願いたい。
  41. 池田直

    池田会計検査院説明員 ただいま会計法、それから会計令の規定を受けて、大蔵大臣の定めるところで指定預金運用されております。この関係大蔵省へということになつておるのでございますが、私ども考えといたしましては、なるほど大蔵省令によりまして日本銀行国庫金預託を、種別といたしまして当座預金指定預金、別口預金、こういうふうに種別をわけて預けるようになつておりますが、これは単なる種別でございまして、一定のものにとりあえずの支払い資金にする。また地金とかあるいはいろんな特別の紙幣とか、そうした特別のものは別口預金にして別に整理する。それから今お話通り、一定の短期間に日銀から市中の金融機関に、条件を付して預入をする、こうしたことを指定預金運用しておるわけでございますが、一、二年来の運用の傾向をずつと見ますと、あまりに金額が厖大になつて内地指定預金実質上の働きが、単なる日本銀行に対する預金国庫金預金ということから考えますと、先ほど申し上げましたように、実質上信託的な運用になつて来て、これは財政支出による国の金の貸付金、そうしたものに非常に類似して来る傾向にもあるのでございます。そうした関係から、やはりこれは当初の会計法あるいはその他の国の法律関係規定からしめし合して考えますと、やや行き過ぎの点があるのではなかろうかという考え方をもちまして、これは明確にすることが必要だという考えを持つて来ておるようでございます。先ほど申し上げましたように、私ども会計法違反としてこれを明らかにきめつけるだけの気持はないのでございます。そこはまたあやふやだというおしかりを受けるかもしれませんが、先ほど申し上げましたように、すべてのことについて国会の審議を尊重するということが、戦後の国の行政あるいは財政処理の面に非常に明確に出て来ておりますので、やはり会計法にその点を明確にすることが必要だ、こういうふうに考えた次第であります。
  42. 井上良二

    井上委員長 ほかに関連がたくさんありますが……。有田君。
  43. 有田二郎

    有田(二)委員 事務総長にお尋ねしたいのですが、今春日さんからお話のありました本日の読売新聞にありましたように、二十日に会計検査院からそういつた意味の注意があつたことは事実なのですか、伺いたい。
  44. 池田直

    池田会計検査院説明員 注意をいたしました。
  45. 有田二郎

    有田(二)委員 御承知の通り、今国会では解散することがすでにはつきりいたしておつて、四派の国会対策委員長で大体一月の終りには解散をするという線がはつきり出ているときであります。従いまして、先般も山本正一君がはがきを出したということが原因して国会で問題になつて、遂に議員をおやめになつたという事態もあるのであります。従いまして、私は会計検査院のおやりになつたことを悪いとは決して考えないのでありますけれども、時期を誤つていないか、今日国会が解散の寸前にあつて会計検査院がおやりになることが政局に大きく混迷を来す、また選挙に大きな影響を及ぼすということをあわせお考えになると、私は時期がちよつと悪かつたのではないか、こう考えるわけです。またこの問題については理財局長並びに大蔵省の方においては、やはり今会計検査院が言われたように、国会において法的措置をとる、そうするとまた国会の大蔵委員会で、決議ばかりたくさんして問題が起つては困るというような、事務当局にも御懸念があつたようなことから今日に至つておるのじやないか、しかしながら、今日の中小企業の窮状に置かれておるあり方からいつて、何らかの方法をとらないと年末金融なんかの場合に融通がつかないということは、私はあり得ると思うのです。そこでまず事務総長にお尋ねしたいことは、この二十日にそういつた通知をお出しになつたことは、今日の政局から考えて——おやりになつたことは決して妥当でないことはないと思うのでありますが、時期において私は少し適当でなかつたように思うのですが、御所見を伺いたいと思います。
  46. 池田直

    池田会計検査院説明員 お答え申し上げます。時期の点は、ただいまの御意見通り新聞にこうした関係から出ておつたかもしれませんが、私どもといたしましても、新聞発表されたことについて非常に遺憾に考える次第でございます。ただ先ほど来お答え申し上げましたように、長い間昨年来実は大蔵省に注意をして来、そして本年回答も得ましたような関係で、大蔵省に重ねて注意をいたしたような次第でございますが、これが新聞発表されて政治的なそうした御疑念を世間に抱かせるようなことになりましたことは、はなはだ私の方も遺憾に考えておるわけであります。
  47. 有田二郎

    有田(二)委員 そこで私は銀行局長にお尋ねをし、理財局長にもお尋ねをいたしたいのであります。この預託について社会党の春日委員から御攻撃があつたようでありますが、しかし預託の功績は偉大であつたと私は思うのです。というのは、相互銀行法が衆議院の大蔵委員会の議員提出法案として出まして、無尽会社が相互銀行と形をかえた、また信用組合が信用金庫と形をかえた、そのときに政府預託がこれらを育成するのに非常に大きな力があつたと私は思うのです。今日相互銀行なり信用金庫の立法されまして以来の伸び方を検討いたしましても、政府預託金というものは必ずしも悪くない。その方法についてはまた別に研究する必要があると思うのでありますが、最近の状態では、この政府預託についてなるべくはよそうというようなことで漸次減らしつつある。しかし国会の議決によりまして減らすのを一時とめたりまた始めてみたりというような状態でありますが、漸次これがなくなりつつあることは事実であります。従いまして、事務当局といたしましては、政府預託というものは将来やめるのならば、これにかわるいい方法をお考えになつておられるかどうか、政府預託というものをこのまま将来もつと大きく続けるべきものであるかどうか、こういつた御所見を伺いたい。
  48. 河野通一

    河野説明員 大蔵省といたしましては、この指定預金いわゆる政府預託金の問題に対する考え方といたしましては、先ほど会計検査院池田総長からの話もあります、そういつた法律的な問題もさることながら、政策的にもはたしてそういうやり方が適当であるかどうかについてかねて私どもは疑問を持つて参つてつたのであります。御案内のように、いわゆるドツジ・ラインと申しますか、そういう際によくいわれました超均衡財政によつて強制蓄積を行つてつた当時におきましては、政府の金は相当余つてつた従つてそれをある程度金融機関を通じて還元して行くということが、時期的な操作をいたしますためにある程度許されるという問題があつて、数年前にあの指定預金という制度が始まつたことは御案内の通りであります。しかるにその後財政がああいう超均衡でなしに、逐次その姿が均衡のとれた財政というところへ参つたわけであります。そういたしますと、指定預金はつまり国庫の余裕金でありますから、結局はその一年の間における税収が多いとき、しかも歳出が割合伸びないときといつたような、時期的な調節が短期的には行われるということだけしか、この指定預金というものは意味を持つて来ない。しかるに中小金融に対する政府資金投入は、御承知のように、短期間でやるということはかなりむずかしいのであります。これは御承知のように、あの指定預金という制度がなかなかやめられないで何年間も結局続けて来なければならなかつたということとうらはらでありますが、中小金融の資金が短期資金であつてはなかなかその目的を達しがたいという点があるわけであります。従いましてこの問題につきましては、私どもは単に法律的に会計法その他の観点から疑義があるだけでなく、政策的にも適当でないという判断に立つておるのであります。しからば中小金融に対する政府資金投入という方式は全部やめるのかというお話でありますが、この点につきましては、数年前から政府金融機関を通ずる政府資金投入ということをできるだけ多額に行つて参りたい、この方式を今後も続けて参りたいという考え方に立つておるのであります。しかし何分にも財政の状況がゆたかでありませんので、皆様方から数回にわたつて御要望あるいは御鞭撻をいただいておるようなところまで、これらの政府資金投入するということはなかなか困難な実情にありますけれでも、今後は指定預金という制度でなしに、中小金融対策としては、今申し上げたような、政府金融機関に対して政府資金を、しかも予算を通してできるだけ財政の許す限り、重点的に投入をして行くという方針にかえて行くべきであるという考え方に立つておるのであります。
  49. 有田二郎

    有田(二)委員 銀行局長の言われる御趣旨はよくわかつたのでありますが、まず一番にお考え願いたいことは相互銀行なり、信用金庫に相互銀行連合会とかあるいは信用金庫連合会を通じて、日本銀行から金が流れて行く。一萬田さんが現内閣大蔵大臣になられたのですが、元日銀総裁当時から中小金融のことをやかましく言われておるけれども、現実の問題として、せつかくできた信用金庫、相互銀行、こういつたものに一つの連合会を通じて金を流して行くというようなことがはつきりいたせば——私は政府資金が潤沢でないときにそういうものを出して行くのはいかぬとあなたがおつしるや趣旨はよくわかるわけです。ところが現状では日本銀行と相互銀行、信用金庫の間には何らの連絡もなく、また金の流れて行く道もないわけです。もちろんこれらの預金者を保護するということは一番大切なことでありますけれども、同時に中小企業への道が十分開かれて行く方法を講じないで、政府預託金を引揚げて行くだけでは、私はいい方法ではないと思う。これはどの政党が内閣をとつても——社会党が内閣をとつても同じことだと思う。どうしても中小企業が現実に恵まれて行く道がなければならない。それには何としても日本銀行が相互銀行、信用金庫の連合会のようなものを通じて、また相互銀行、信用金庫がそれらの連合会に相当量の預金をする、事実信用金虚連合会は現状で相当の預金を信用金庫からとつておりますが、そういうふうに預金者の保護の建前から、もちろん預金もとる、そのかわりに日本銀行からはそのときの状態に応じて、確実に返し得るところのいわゆる金融の道を通して行くというのでなくて、現状の大蔵省当局はただ政府預託金を引揚げて行くということのみをやつておりますから、本委員会においてもいろいろと各委員から攻撃を受けるわけです。これについて銀行局長の御所見と、あわせて日本銀行佐々木理事の御所見を承りたいと思います。
  50. 河野通一

    河野説明員 私が先ほど来申し上げておりますところは、単に預託金を引揚げつぱなしであつていいという考え方で申し上げているのではないのでありまして、中小企業金融というものの性格から言いいまして、いわゆるしわの寄つたところの資金というものは、やはり政府資金によつてまかなわれて行くことが適当であろう、そういう考え方から政府金融機関というものができ、これに対して政府資金投入されておる、こういうことであります。このルートはあるいは一般会計を通するなり、あるいは資金運用部等の資金を通ずるなり、いろいろな方法がありましようけれども政府質金の状況の許す限り、多額に重点的に、政府金融機関に対しては、それらの資金の投入が行われることが必要である、こう申しておるわけであります。今有田委員からお話がありました、たとえば相互銀行あるいは信用金庫連合会等に対して、日本銀行からある程度貸出しを打つて、それが中小企業金融にまわるようにしたらどうかというお話でありますが、これはたびたび当委員会におきましても、そういつた点について春日委員その他からもお話を承つておるのであります。私は、この問題につきましては、日本銀行というものが、発券銀行として、短期商業金融の調節と申しますか、そそういう立場にあるという金融制度上の立場から、はたしてそれがうまくつながるものであるかどうか、この点については率直に申し上げて疑問を持つております。ただ中小企業金融機関に対して日本銀行はいたずらに窓をとざし、これに対して無関心であるということがいいというようなわけではありません。この点についてはもちろん十分に関心を持ち、その中央銀行としての使命に即する範囲内において、できるだけそういつた問題に対する金剛の調節ということをはかつて参らなければならぬことは当然でありますけれども金融制度として、中央銀行がはたして相互銀行なりあるいは信用金庫なりと直接貸出し取引を持つということがいいかどうか、この点については私は疑問を持つております。しかしなお日本銀行から佐々木理事も見えておりますから、日本銀行としての御意向についてはしかるべくお聞取りを願いたいと思います。ただ私としては、そういつたふうな資金についてはできるだけ財政の許す限り、政府済金を投入することによつて、その問題のギヤツプを埋めて行くということに努力いたすことが本筋であろうと考えております。
  51. 佐々木直

    佐々木参考人 ただいま御質問のございました相互銀行並びに用金庫と日本銀行が取引をいたすことでございますが、現在相互銀行と日本銀行の間では預金取引を開いておるものがたしか十三行かに上つておりまして、日本銀行としましては、今後だんだんこの数は相万銀行の体系が整備されるに従いまして漸次ふやして行くつもりにいたしております。しかしながら貸付の取引はまだ実は開いてはいないのは御承知の通りでございます。その考え方といたしましては、日本銀行の貸出しというものは、今も銀行局長から御指摘がありましたように、短期商業信用を供給すること、これは日本銀行の追加信用でございますから、できるだけそれは機動的に、いるときには出るけれども、季節的に不要になれば必ずすぐ返つて来るという性質のものでなければならないのが原則でございます。ただいま日本銀行の貸出しが二十億以上に上つておりますことは、これははなはだ異例でございまして、世上よくオーバー・ローンの解消論が出ておりますのもこの点から出ておるように思われるのであります。従いまして、貸付をいたしますことはできるだけ内輪にいたしたいという考え方を持つておりますので、今のように新しく相互銀行、信用金庫に対して貸付契約を開くということは、目先ここしばらくはなかなか困難ではないかと思います。ただ今後長い将来になりまして、相互銀行の、いろいろそういう短期商業金融の面における活動が広くなつて参りますれば、その必要もやがて起つて来るのではないか、こういうふうに今から想像いたしておることはございます。
  52. 井上良二

    井上委員長 有田委員ちよつと待つてください。政府関係金融機関に対する中小企業金融の問題につきましては、あとでひとつゆつくり御質疑を願いたいと思います。会計検査院の問題についてまだ二、三質問がありますから、会計検査院の方を先に進めます。大平委員
  53. 大平正芳

    ○大平委員 会計検査院池田さんにお伺いいたします。きのう大蔵省に御注意を喚起した事柄は、内地の国庫金指定預金だけをいうのですか。それとも政府保有外貨を外銀やあるいは為替銀行等に預託いたしておりますが、ああいつたものも含めてのお考えなのでございましようか。
  54. 池田直

    池田会計検査院説明員 お答え申し上げます。会計検査院といたしましては、内地指定預金のみならず在外指定預金も、これは筋といたしまして、やはり法的にもう少し根拠を明らかにすることが必要だ、こう考えておりますが、存外指定預金が最近少しふえて参つたようでございますけれども、戦後はほとんどなかつた関係で、去年から特に私どもが問題にいたしておりましたのは、内地指定預金の額が非常に多かつた関係を取上げて、今日までずつと大蔵省に改善の措置を注意して参つたような次第でございます。筋としては在外指定預金も同じ理論と考えます。
  55. 大平正芳

    ○大平委員 きのうの大蔵次官に対する御注意の文面は、私は見ていないのですけれども、外貨の問題もあるのですか。内地指定預金、だけですか。
  56. 池田直

    池田会計検査院説明員 今申し上げましたように、理論としては在外指定預金のこともございますが、内地指定預金を、ずつと折衝を続けて来た関係でやつて来たように承知いたしております。
  57. 井上良二

    井上委員長 柴田委員
  58. 柴田義男

    ○柴田委員 会計検査院池田事務総長にお伺いします。春日委員から大分質疑応答が重ねられまして、概略のところはわかつたのですが、結局政府指定預金というものは昭和二十四年から行つて来た、それが数年たつた今日になつて突如としてこういう警告を発せられたということば、どうしてもわれわれは納得ができない。会計検査院がやらなければならぬことはまだまだたくさんある。たとえば現実に日本開発銀行が非常なインチキ金融をやつておるということはみな知つておる。こういうことをもう少し徹底的に追究なさることこそが会計検査院の使命であるとわれわれは考えておる。少くともこの指定預金は、これは、損失を見るようなことは全然考えられません。ただ法律的な疑義がある、こういう御解釈でございますか。春日委員も指摘しておりまするように、予算決算及び会計令の百六条で、大蔵大臣考えて日銀にこれを預金することは当然であるが、大蔵大臣考えた上に立つて日銀からまた一般の金融機関に、しかも中小企業者に対する融資を目標として指定預金が行われておる。しかも六百億以上に上まわつた非常に大きなときには何らこれに対して疑義をはさまぬで、最小限度になつて、六十億そこそこ残つた今日に至つて突如としてここに警告を発したことは、どうしてもその表面的な考え方だけでは、われわれは納得ができないのですが、その根本的なお考え方を伺いたい。
  59. 池田直

    池田会計検査院説明員 お答え申し上げます。会計検査院指定預金のことにつきまして法的根拠を明確にすること、国会の御審議を尊重すべきことのすべての建前、そうした関係から、この問題を取上げて参つておりますのは、昨年の夏ごろからでございします。その以前もやはり常に問題には取上げておりましたが、昨年非常にこの金額が大きかつた。そうした関係から特にやかましく文書をもつて大蔵省意見を聞いたわけです。そして実は回答をことしになつていただきましたような関係から、ごく事務的に検査院といたしましては従来の考え方を基礎にして注意をいたした次第でありまして、特に根本的に特別の問題があつて、この少いときに出したというようなことはございません。ただ事務的にやつておりましたことが新聞に載りまして、いろいろなそうした御疑問を抱くような事態を来したことは、非常に私どもも残念でございます。どうしたことから新聞に載つたのか、はなはだ残念に思う次第であります。
  60. 柴田義男

    ○柴田委員 もう一つ伺いたいと思います。先ほど春日委員からも質問がごさいましたが、予算決算及び会計令の百六条の解釈、日本銀行は、この勅令の規定による外、大蔵大臣の定めるところによつて国庫金の出納事務を取扱わなければならない。大蔵大臣が定めるところによる取扱い、実際に現われた字句から解釈いたしまして、断然他の金融機関大蔵大臣がこれをまわさせる、こういう考え方は決して違法ではないと考えますが、これに対する解釈はどういうお考えか承りたいと思います。
  61. 池田直

    池田会計検査院説明員 お答えいたします。会計令の百六条でございますが、大蔵大臣が定めるところによつて指定預金をする、その指定預金のことは大蔵省今で大蔵大臣がやるのであります。それで指定預金をして、数百億円の金を市中金融機関に流していろいろの人に融資することが、なぜ律法かというような御質問かと思いますが、先ほども申し上げましたように、結論から申しますと、はつきり会計法違反ときめつけるわけにも行きませんので、去年来私どももその点は、会計法関係に明らかに違反しているといつて法律違背たということで強く取上げるようには汚えていないわけであります。先ほど来申し上げましたように、預金とか資金とか、その他簡易保険関係の質金とか国のいろいろな金、これが運用される場合はそれぞれ法律根拠がある、あるいは国会の議決の根拠がある。そうしたことから考え合しまして、昨年特に政府指定預金が何百億にも上つたことのありましたような関係もございまして、やはり先ほど来申し上げます通りに、法的にこれを明らかに規定する必要がある、こういうふうに考え参つておるわけであります。
  62. 春日一幸

    春日委員 だんだん真相が浮び上りつつあると思うのであります。ただいま大平委員の質問によつて明らかにされましたことは、法律的に疑義があるとすれば、これは理論的に、この外貨に対する指定預金、外銀に対する指定預金も同一のケースとして取扱われ、しこうしてこの新聞の記事の中にも同じような事柄として浮んで来なければならぬ。ところがこの記事は本日トツプ記事になつて浮んでいる。これは単なる事務的な問題ではなくして、まさしく政治的な事柄がこの中に介在している。極言をすれば、これは大蔵金融財政官僚の政治的陰謀ではないかとすら私は疑いを持たざるを得ない。そこでこの際伺わなければなりませんことは、少くともこの百六条に関する疑義という問題、これは私はもはや主観の相違である、見解の相違であると思う。池田大蔵大臣にしろ、向井大蔵大臣にしろ、あるいは小笠原三九郎大臣にしろ、これらの諸君が責任を狩つてこの執行をして参りました事柄に対して、法律違反をする事柄が歴代大臣によつて看過され、さらにはまた歴代の会計検査院の諸君によつてこれが等閑に付せられるはずはない。従つて法律違反をするか違反をしないかという問題は、これは今事務総長がおつしやつておりまする通り法律違反するものとは断定いたしがたい、こういうことでありまして、わずかに行き過ぎではないかという警告が発せられたにとどまるのであります。そこでこの警告を針小棒大に、たとえばマツチの火くらいのものを山火事くらいのものに報道したのがこの新聞記事になつて現われて来ておる。察するところ、これは金融引締めを強行せんとする一味の人々が、会計検査院警告なるものに籍口して、この文書をたてとして政府指定預金引揚げを強行せんとしておるのではないかという疑いがあるのであります。そこで私どもはこの機会に動議として提出いたしまするが、その文書なるものが一体どういうものであるかということは、われわれには知らされておりません。従いまして、丁後の続開されまする本委員会に、会計検査院から河野大蔵次官に対して発せられたと称する文書の写しを御提示を願いたいという動議を提出いたします。とりあえずこの動議を御採決願いたいと存じます。
  63. 井上良二

    井上委員長 ただいま春日君から御説明通り会計検査院から大蔵次官に提出しました政府預託金の問題に関連する通達といいますか、通牒といいますか、申出というか、その文書委員会に資料として提出を願いたいということですが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  64. 井上良二

    井上委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。
  65. 春日一幸

    春日委員 最後に一つ明らかにしておきたいことは、ただいま会計検査院は、こういう新聞報道が行われたことはまことに異様な事柄である、まことに遺憾であると言われておるのでございます。そこでもう一つあなたに、これはまあ淡々とした事柄として伺つておきたいのでありますが、大蔵当局から会計検査院に対して、本件について何らかその文書によつて申し出て来るとか、あるいはこの文書について疑義があるとかないとかいう事柄について、むしろ大蔵省の方から進んでそういう文書の到着を望むような連絡が、今まであつたかなかつたか、この点をひとつ伺つておきたいと思います。
  66. 池田直

    池田会計検査院説明員 ただいま御質問のようなことは、私は聞いておりません。
  67. 春日一幸

    春日委員 それでは事務総長にお伺いいたしますが、本日のこの新聞記事を読んだところの全国の中小企業金融機関、さらにはこの機関から借りております中小商工業者は、おそらくはびつくりぎようてんいたしておると思うのであります。今まで、必要欠くべからざる中小企業金融対策の一つの根幹として、この施策が行われて参りました。そこで、これが近く廃止されるかもしれない。しかもその原因が会計検査院警告によるものであるということでありますならば、この事柄はまことに重大であり、しかもそれは事実に即さない報道であろうと思うのでございます。この際真相を明らかにいたしますために、会計検査院はみずから進んで、あなた方が送達された文書内容、それからその意図するところ、こういうものを天下に表明される意思はないかどうか。すなわち誤まつて報道されたる事柄を是正して、事の真相をつまびらかにする意思はないかどうか、この点をひとつお伺いいたしたいと思います。
  68. 池田直

    池田会計検査院説明員 ただいま事の真相を国民に発表して、そして会計検査院は世間が受取つたような特別の動機でやつておるものでないというようなことを、表明する意思はないかという御質問でございます。会計検査院としては、新聞記事にああしたことが出たことは非常に遺憾で、残念しごくでございますが、特にそのために新聞記事等に検査院の所見等を発表して、世間の誤解を解くというようなことは必要ないじやないか、こう考えますので、いたしたいとは思つておりません。
  69. 井上良二

  70. 平岡忠次郎

    ○平岡委員 池田さんにお伺いいたします。先ほど大平委員の質問に対しまして、昨日の警告趣旨は内貨預託ばかりでなしに外貨預託の問題にも及ぶ、かような答弁がありました。そこでもう少しつつ込んでお伺いいたしますが、MOF勘定です。これは為替専門銀行の東京銀行に対しまして、たしか九月に大蔵大臣から許されておるわけです。ところがこのMOF勘定をめぐりまして、他の市中銀行もこの預託を受けることを非常に要請しておると思うのです。しかし今までのこの討論というか、質疑の経過に見ましても、内貨預託に関してこれだけの問題を起しております、手が広がつてから、あとを回収することがむずかしくなつておる。こういう事情にもかんがみまして、MOF勘定の問題はやはりきわめて慎重に運営されなければならぬことと思うのです。私ども見解によりますと、やはり為銀としての専門銀行に集中できる措置が行われるのが妥当でありまして、手を広げてやたらにMOF勘定を各行に及んで適用して行くということは、非常に警戒されなければならない。私はこういう所見を持つておりますが、この点に対する御見解をお伺いいたします。
  71. 池田直

    池田会計検査院説明員 お答えいたします。在外指定預金関係は、先ほど説明いたしましたように、国としては在外指定預金の扱いをする制度もあります。ところが会計検査院が取上げていなかつたものは、事実金がほとんどなかつたわけであります。今日も在外指定預金関係は、預金運用しておるのはほとんどないようであります。従いましてそういう関係でたまたま在外指定預金のことには触れていなかつたわけでございますが、国としては考えております。  それからそれに関連して、外国為外資金特別会計法関係の国の金が、在外指定預金のような形において運用されでおるのではないか、これもやはり同じことではないかという御質問でございますが、この関係は外国為替資金特別会計法による業務として当然のことでありますので、これは規定があると考えております。法的な根拠があるからそれでよろしいと思います。
  72. 井上良二

    井上委員長 福田繁芳君。
  73. 福田繁芳

    ○福田(繁)委員 私は民主党に属しますので、会計検査院池田さんに対しまして、相当この問題に対して質問をいたし、そうしてあなたたちの猛省を促したいというように考えておつたのでありますが、先ほど春日委員の御要求に基いて、いわゆる大蔵当局に警告を発したその警告文というものが、午後われわれの手元に資料とし参りますので、それをつぶさに検討した上で午後あなたに質問する。なおまた今明日本院において予算委員会が開かれておりますが、あまり事柄が重大であるために、わが党並びに社会党、自由党の諸君ともに予算委員会の方で議題にいたすということになつております。  そこで私は、三派の諸君と協議した上で、ここに決議文を提出いたしたいと思います。簡単に要約いたしまするが、  指定預金制度については、政府部内にはこれを廃止する意向が強いようであるが、本制度は法理上何ら違法とは断じがたいのであるから、中小企業金融の現状にかんがみ、今後とも指定預金の引揚延期のみならず必要に応じ新規預託する等適切な措置をとられることを政府に要望する。   右決議する。 こういう決議文を提出いたしたいと思うのであります。  先ほど春日君が申されましたがごとくに、本委員会のみならず、衆議院におきましては、本会議においても、これを全員一致で承認いたした最近の事例もあるのであります。なおかつ本日大蔵当局のるるたる御説明、お答えから推しましても、おそらくこれには全面的に御同意されると私考えますので、まず一応この決議に付して委員長は御採決を願いたいと思います。
  74. 井上良二

    井上委員長 ただいま福田君より御存じの通りの動議が提出されましたが、この動議に御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  75. 井上良二

    井上委員長 御異議なしと認めます。よつて福田君提出の動議のごとく当委員会において決議することに決しました。  本決議案は、参考のため政府に送付をいたしたいと存じますが、その手続等につきましては委員長に御一任願いたいと存じます。これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  76. 井上良二

    井上委員長 異議なしと認めます。よつてさよう決しました。
  77. 福田繁芳

    ○福田(繁)委員 それならば会計検査院に関する質問は午後に譲りまして、これに関連して、定刻からわざわざお見えになつております国民金融公庫及び中小金融公庫の方もいらつしやるようですし、幸い河野銀行局長も御出席ですから、一、二の問題に関して端的に伺いたいと思うのであります。  まず中小金融公庫の方に伺いますが、先月、今月の中小金融公庫からわれわれに提出されております資料を見ますと、まだ中小金融公庫は開店日浅うございますが、中小金融に対して少なからぬ御貢献をされているということがわかるのであります。本日はいよいよ十二月二十一日となり、このあと十日残されている越年を中小企業大衆はどうするかというせとぎわに立つて、われわれが本委員会を開いているのも、あなた方のお仕事の中小企業の育成強化に実はあるわけなんです。そこでまず中小企業金融公庫に伺いたいのは、この十二月のあなた方の貸出し状況はどういう状況になつているか。これはあなたの方から参つた資料にありませんから、伺つておきたい。
  78. 塙金太

    ○塙説明員 十二月の貸出し状況というお話でありますが、中小企業金融公庫は元来長期資金を扱つております関係で、年末だからといつて特に長期資金がたくさん出るということは考えておらなかつたのであります。従来の例から申しまして、期ごとの終りの方にたくさん出るであろうということだけを頭に置きまして、第三・四半期も十、十一、十二と六十億の貸出し計画を大体三つに割りまして、二十億ずつ出るんじやないかと考えておりましたところ、実は十二月に入りまして非常にたくさんの資金需要が出て参つたのでございます。資金需要がふえて参りましたのは、年末の決済資金という意味で出て来たのではなく、公庫の資金を扱う店舗が非常にふえて来たということと、一月に出してもいい金をできるならば十二月に出そうという代理店側のお考えから、実は十二月に殺到して参りまして、十七日までに四十三億という資金の需要が出て参つたのでございます。それで六十億の資金計画ではとうていこれに応ずることができませんので、この四十三億を消化するために政府の方にお願い申し上げまして、第四・四半期に出す金を年末に貸し出しまして業者の要求にマツチさせたいということで、大蔵省の方に事業計画の変更をお願いしております。まだ私どもその御返事をいただいておりませんが、きようあたり大蔵省から正式に御返事がいただけると思います。もしいただけましたら、第四・四半期の貸出し予定額を第三・四半期に繰上げまして、六十億の貸出しを予定しております第三・四半期に大体八十億以上貸し出す。この二十億の差は来年一月に出すべきものを十二月に出してしまう。こういうことによつてせつかくの年末に少しでも間に合わせたいと考えております。
  79. 福田繁芳

    ○福田(繁)委員 第三・四半期に足らないから、大蔵当局の御協力とお許しのもとに第四・四半期分で補填してお使いになられる御苦心の点はわかります。しからば来年の四・四半期と申しますか、一月から三月までに手元に残金が幾らほど残るか。言いかえれば、非常にそれに食い込んで困りはしないかということをわれわれ懸念するのですが、これに対してどういう御対策を特つておられるか。
  80. 塙金太

    ○塙説明員 実は第四・四半期はそういう関係で非常に資金がきゆうくつになります。これは全年度計画がきまつておりますので、第四・四半期が非常に小さくなりまして、三十億程度のものが一応予定されます。これは計算上は来年度へ持越しといいますか、従来三月末に多少賞金を持ち越しておつたのでございますが、この持越しが全然ないということに計算いたしまして、三十三億ほどになるのでございます。第四・四半期に出し得る金が三十三億になります。しかしその三十三億のうち、今までの四十数億という十二月に受付けております資金を全部出すわけには、事務的に間に合いませんので、このうちの何億かは一月に繰越してしまうと思います。そうすると、その繰越したものはもちろん資金的には代理店につないでいただきますから、業者の方には御迷惑はかからぬと思いますが、公庫の資金としては、このうち数億ないし十億近いものが、場合によつては四・四半期に繰越されてしまいますと、この三十三億の中からさらに十億近い金が減つてしまう。そうすると、三十数億の金しか実は四・四半期に貸し出す余力がないことになるわけであります。それでわれわれとしましては、これに対して一月は、おそらく十二月にこれだけ繰上げて貸し出した以上、そう需要がないと思いますが、二、三月が問題でございます。そのときになりましたならば、本年度当初に百五億資金運用部から借入れを予定されておりますものが、せつかく政府の御趣旨もありまして、そのうちの若干の部分を借りずに通せるものなら借りないで行こうと思つて、とつておきました金が若干ございます。これを何とか御解除願いますと、二十七、八億くらいのものがどうやらできる。そうしてあとは三十年度の予算がまた暫定予算などになりますと非常にむずかしいと思うのでありますが、三月から四月にかけては一時的にはちよつと金がないという事態も、場合によつては生ずるのではないかと考えておりますが、何しろ十二月でございますから、間に合せられるだけ間に合わそう。来年のことは来年のことというような、はなはだ無責任と申せば無責任でございますが、今の資金需要が非常に緊急なので、とにかくそれに間に合せようという考えで進んでおります。
  81. 福田繁芳

    ○福田(繁)委員 この十二月にどうでもこうでも何とかせにやいかぬという意味合いで、先ほど申しましたように、第四・四半期の金を繰入れてまでもそれをおやりになられるところの苦心はお察しする。しかしながら問題の一月、二月、三月になつて二十三億くらいになり、あなたのお話もありましたごとくに、今の政治時勢から推して行くならば、最悪の場合は四月、五月少くとも四月は暫定予算でやつて行かなければならぬ、こういうことになつて来ますれば、ゆゆしき問題だと思うのでございます。そこで幸い中小企業育成強化に、ことに中小金融に対する御理解深いところの河野銀行局長に伺いたいのでありますが、私と中小金融公庫の方との質疑応答は今のような状態でありますが、これは何とかする方法がないものか。この両者の話を聞きながら、銀行局長としていかようにおぼしめされるかというところの、あなたのお考えをお心組みをこの際伺うことができれば非常にけつこうであります。
  82. 河野通一

    河野説明員 中小企業金融公庫の年末と申しますか、第三・四半期の資金の計画につきましては、今塙理事からお話のありましたようなことであります。当初の計画六十億に対して、年末にかけての資金需要の性質は今塙理事から申し上げたような意味の資金の需要でありますが、そういつたものが意外にふえて参つております。しかもその必要性が非常に緊急であるという点にかんがみまして、何らかこの年末について当初の計画を改訂しなければならぬ、しかも時期が非常に切迫いたしておりますので、一刻もすみやかにこの問題を取上げたいということで、目下鋭意検討いたしております。おそらく本日の午後の閣議でこの問題もある程度校訂されることであろうと考えております、いずれにいたしましても、その金額の程度につきましては、まだそういう段階でありますが、なるべくすみやかに、事情の許す限り、需要に応じ得るように措置はとりたいと考えておりますが、そうした結果第四・四半期、来年一月以降の貸出し計画と申しますか、資金計画をどうするかという問題であります。この問題は私どもとしても別段無責任なことでその場の場当り的なことを考えているわけではございませんが、資金運用部の資金繰等が今後の趨勢によつてどういうふうになりますか、これは問題を十分に検討は加えられることが一つの問題であります。もつとも資金運用部資金につきましては、今後いろんな問題で非常に大きな需要が起つております。これらの需要の中で中小金融に対する需要をできるだけ優先的に考慮するということはもちろんでありますけれども、その賞金が当初の計画に対して一体どの程度増加するか、これらの問題につきましては、また的確なる資料は持つておりませんが、できるだけその中で優先的に考慮はいたして参りたい。しかも先ほど塙君からお話がありましたように、来年の一月につきましては、まずこの十二月についてできるだけそういつた融資活動を拡大して参りますれば、まず言葉は非常に何でありますが、一腹ということであろうと思うのであります、私どもは二月以降においてこれらの資金繰の問題を十分考えて行く、それまでには年度内における資金運用部その他の政府資金の集まりのぐあい等も大体見通しが的確について参ると思いますので、これらの点をにらみ合せて善処をいたしたい、かような所存であるわけであります。
  83. 福田繁芳

    ○福田(繁)委員 非常に御理解ある河野銀行局長の御抱負を伺い、ことに中小企業金融公庫は非常に行き悩んでおる、この資金量に対して目下鋭意検討中である、ことに本日の閣議でも相当御慎重に御検討されるというお言葉を聞きまして、われわれも非常に意を強くするのでありますが、中小企業金融公庫もよろしくただいまし銀行局長の意のあるところを了承されまして、そうしてもうあと残されるところ、よろしく万粗漏ないように、この中小企業金融公庫をつくりました法案の趣旨を十分生かされるように、全力を傾注されんことを願うのであります。  もう一問あなたに伺つておきたいのでありますが、それは御承知の、われわれといたしまして、いわゆる来年度の予算に中小企業金融公庫に対してどうするかということを、はなはだ言葉は失礼でありまするが、政府与党として鋭意検討いたしておるわけなんでございます。そこでできることでございますれば、三十年度の資金事情をどうすれば過去の尊い体験に基いて、いわゆるあなたたちのお仕事を忠実に実行できるかという御経験に基いて、三十年度の資金事情を漏らしてもらうと、われわれとして非常に生きた参考になると思います。
  84. 塙金太

    ○塙説明員 三十年度の計画でございますが、これは今年度の実績、ないしわれわれの処理し得る能力の方からも、制約が若干出るものでございますから、それらの方から推しまして、月二十五億程度のものが何とかできないか、この十一月——大体九月ごろからでございますが、月二十億のベースでずつと来ております。九月、十月、十一月、この十二月が四十億を越えるのはおそらく一月分が入つておるという意味で四十億を越えるわけでありますが、しかもなお資金の需用はそれを上まわつておるという状況でございます。ただわれわれの処理能力の方から申しまして、それ以上非常にたくさんやるということは現状ではできませんので、来年度の予算について政府筋にお願いしておりますのは、月二十五億程度こなすということと、それに伴う諸経費というものをお願いしておるわけでございます。これは予算のことでございますから、それができましたならば、その程度はひとりお願いしたいと考えております。
  85. 福田繁芳

    ○福田(繁)委員 大体御希望はわかりましたが、そこで今たまたまあなたの御答弁の中に、中小企業金融公庫としてこなす、言いかえれば処理方法というお話がありましたが、これに関連しまして前々委員会においてあなたでありますか、もう一人のほかの理事の方でありますか、いわゆるこの能率を上げ、一般にはあまねく中小企業者にこれを適応せしめるという意味合いにおいて、あなたの方の東京あるいは大阪これ以外に支店がなくて、聞くところによりますと今の相談所ですか、相談口だすか、相談室ですか、それを格上げという意味合いにおいて、一ブロツクに一箇所ほどの支店を設置いたしたい。そうしてもらいますればあまねく中小企業者を恩恵に浴せしめ、ひいては中小企業の育成強化が完全にできるんだというところの切実なる御意見があり、目下大蔵当局と御交渉中であるということを漏らされたのが第一点。それと何さま開業日浅いので、いわゆる行員と申しますか、職員と申しますか、それは予算で非常に制約されて少いので意のままにならない。そこで幸い前々委員会で大蔵当局に対してその人員の増加方を懇請しておられるという苦境を訴えられた、この二点、これがその後どうなつておりますか。これは河野銀行局長もいらつしやいますから、ここでありのままを一応われわれに漏らしてもらいたいと思います。
  86. 塙金太

    ○塙説明員 今のお話の店舗をふやす問題、人員をふやす問題、これは現状ではまだ来年度予算の中に織り込んでいただくようにお願いしておるという程度でございまして、それ以上まだ実は進んではおりません。
  87. 福田繁芳

    ○福田(繁)委員 よくわかりました。それではもう一問国民金融公庫の方に伺いたい。今中小企業金融公庫の方に四問、五問にわたつて質問いたしたわけでありますが、格別年末に参つて、文字通りの零細な庶民を相手にしておるところのあなたのお仕事として、先ほどからお伺いしましたような範囲にわたつて、一括してあなたの御意見をもらしてもらいますと、われわれ非常に参考になると思うのでございます。
  88. 最上孝敬

    ○最上説明員 私どもの方では第三・四半期、一番問題になつております普通の貸付として百十八億、そのほかのいろいろな災害のための貸付であるとか、恩給担保貸付、そういうものを含めまして百三十億ほど出す予定をしておりました。そうして今日に参りましたが、資金に対します需要の状態、つまり私どもの方でお貸しする財政的な資格がありと認めて、お申込みを受付けました金額はどうであつたかと申しますと、九月においては七十八億、十月八十九億というふうなぐあいでありまして、大体八、九十億月々お申込みがあつたわけであります。昨年度に対しましてこれを見ますと、最近のところでは約一割程度のふえ方であつたわけであります。十一月がどうであつたかと申しますと、十力はふえ方が大きくなりまして百二十七億という申込みであります。昨年に対しまして約一割四分の増加でございます。十二月も大体この程度の増加でとどまるのではないかと想像しておりました。そこでいわゆるほんとうの意味の狭い年末金融需要としまして、私どもは十一月中の申込みと十二月初旬の申込みを合せたものを大体年末金融の対象と考えまして、それを想像いたしましたところ、大体百七十億。十一月の三分の一四十二億を加えまして百六十九億、大体百七十億というのがこの十二月中にわれわれがこなすべきお申込みではないかと考えております。それに対する資金の手配としまして、出資金の二十億はすでに使つており、借入金の九十億円の予定のうち二十五億はすでに第二・四半期で使つております。この第二・四半期に入りまして十月、十一月でもつて十七億を使つております。あと残されたうちから十二月中には二十九億という資金河川部の資金を拝借しようという予定でおります。それとなお十二月中に回収金が二十五億ほど予定されておりますが、それを合せました五十四億をもつてこの百七十億の需要に当ろうとしておつたわけであります。この程度で済むのではないかと思つておりましたところ、十一月の末から十二月に入りまして急にお申込みがふえて参つた様子でありまして、各支所とも非常にきゆうくつだということをひんぴんと連絡して参ります。そこでただいま中小企業公庫さんの方でなさいましたのと同じように、私どもの方におきましても第四・四半期に残されました借入金の二十億のうち、やはり五億をこの第三・四半期に拝借して、この急場に間に合せようということになりまして、おそらく今日の国民金融審議会でそのことをお認め願つてはつきりすると思いますが、大体その手配をしておるわけであります。そうしますとこの十万中の貸付額は五十四億に対してさらに五億を加えます。それといろいろ十一月中の繰越しなどが若干ふえておりますので、大体六十億というのが年末に私どもの手配し得る資金でございまして、大体お申込みが若干ふえましても、三制以上の率でお貸付ができるのではないかと思つております。ただ先ほど中小公庫さんからお話がありました通り、第四・四半期は相当きゆうくつになります。このときにおきましては新しい資金の配付ということはまずできない、各支所とも回収金の範囲内でやつてもらうということにならざるを得ないと思います。
  89. 井上良二

    井上委員長 柴田義男君。
  90. 柴田義男

    ○柴田委員 中小企業金融公庫の理事さんにお伺いしたいのでありますが、この資金運用部資金の百五億の借入れの予定ですが、これは四半期ごとに正確に四つにお割りになつて借りるものですか、どういう計画でしようか。
  91. 塙金太

    ○塙説明員 これは四つにわけておるわけではないのでございます。これは回収金がございまして、貸出しの方の計画を毎月幾らときめまして、回収金と借入れと、それから四月、五月ごろには政府の出資金もございまして、そういうもので間に合せておるわけでございます。最近になりましてからは出資金はなくなりましたから、回収金と借入れ——回収の多い月には借入れを少くして合計額で百億になるようにいたしておるわけでございます。
  92. 柴田義男

    ○柴田委員 予算面ではこの自己資本といういわゆる回収金を一六十億と予定しておるのですが、この六十億の予定が大体この予算通り参りましようか。
  93. 塙金太

    ○塙説明員 本年度こういう時期であるにもかかわらず、六十億は実は多少下目に見ておつた数字でございますけれども、もう少しふえる見込みでございます。従いまして四月には百九十億の貸出し予定をしておつたものが、大体二百億以上貸し出せると思つております。
  94. 柴田義男

    ○柴田委員 そういたしますと、たとえば今後の運営は、店舗を多くするとかあるいは人員を多くしなければならぬ、こういうようなお話でございますが、これを逆に賞金量から言いますと、資金量が大きく確保されるという見通しは回収金以外にないのですね。現実の状況では回収金が多くなれば、その月の貸出しが活発になるでありましようが、別に資金のわくというものは広がつていないのですが、現実の状況はどうなんですか。将来は別といたしまして、現在の状況ではいかように運営なさろうというお考えでございましようか。たとえば店舗をふやそう、あるいは人員を多くしよう、こういう意図はどこから判断されてそういう計画がなされるのか、その点を承つておきたい。
  95. 塙金太

    ○塙説明員 それは来年度の新しい政府出資とからんでおるわけであります。もちろん新規の出資をある程度していただくということを前提にして、来年の回収金と新規投資と合せて月二十五億程度のものを貸出しをする、それに要するものでございます。
  96. 柴田義男

    ○柴田委員 現在の状態は取扱い店舗が非常に多くなつておりますが、取扱い店舗が多くなつておりましても、たとえば市中銀行のような大銀行などというものは扱いが活発に行われておりましようか。この点を承りたいと思います。
  97. 塙金太

    ○塙説明員 大銀行の各店舗はまた全部の店舗が活発に動いておるとは申しかねますが、しかしだんだんと多くの店舗が扱うようになつて来ておると思います。実は十二月に非常に多くの資金需要といいますか、資金の申請書が出て参りましたのは、扱い店舗が非常にふえたということが一つの原因をなしておると思います。
  98. 柴田義男

    ○柴田委員 扱い店舗が非常に多くなつたということだけでは中小企業の融資が活発に行われるとは思わない。われわれはむしる中小企業者というのは、小さな金融機関から窓口でもつてあなたの方へ申請が多く来やしないか、こう考えられておる。そのことは今のお答えの中にも、だんだんに扱つておるが、大銀行の方はむしろ不活発だというふうに承つたのですが、大きな金融機関を経由するよりは——小さな金融機関のお得意の対象としては、やはり中小企業者が比率においても多いと思うのですが、そういうきらいはないかどうか、これを承りたいと思います。
  99. 塙金太

    ○塙説明員 われわれの方の対象になる業者の幅が非常に大きいものでございますから、いわゆる中小の——中の大から小の小まであるわけでありますが、そのうちの中と申しますか、銀行扱いのものはどちらかというと中、それから信金、相互の方は小、これは大まかにわけたのでありますが、そうなります。大銀行の方はどちらかと申しますと、中ですから一件当りの金額も比較的大きい。それから信金の方は一件当りの金額が小さい。数から言えば信金、相互が多いのですが、金額からいきますと、大銀行の支店が数多く動きますと、こちらもまた相当大きな数字になつて来るのではないかと思います。
  100. 柴田義男

    ○柴田委員 河野銀行局長に伺いますが、資金運用部の貸付の利率ですが、これは国民金融公庫に対しても、中小企業金融公庫に対しても、その他の関係に対しましても利率は同じでしようか、この点を承りたいと思います。
  101. 河野通一

    河野説明員 各資金運用部から融資をいたしましたりあるいは資金を運用いたしますときの利まわりは、大体政府金融機関——今ここで問題になつております国民金融公庫あるいは中小企業金融公庫に対しては、年六分五厘ということになつております。これを地方債に運用いたしますと、これもやはり年六分五厘。それから金融債、たとえば長期信用銀行でありますとか、あるいは商工中金でありますとか、また農林中金、そういつた金融機関金融債に運用いたしますと、それは一般の市中で消化される金融債の条件と同じ条件であります。従いまして大体利まわりにいたしまして年八分六、七厘になりますか、ちよつと今はつきり記憶いたしておりませんが、そういうことになつておりまして、いろいろございます。
  102. 福田繁芳

    ○福田(繁)委員 もう一問伺つて打切りたいと思うのですが、国民金融公庫の方はあとまわしにして、まず中小企業金融公庫の方に伺いたいのですが、あなたたちの方で、融資を申込まれて、いろいろと書類を御審査されて、貸出しを決裁といいますか、その都度代理店に金を振りかえるものですか、それともあなたたちの代理店に、大体この店はこれくらいあるのだというので、一つ預託でもしておくものですか、いずれでありますか、伺つておきたい。
  103. 塙金太

    ○塙説明員 中小企業金融公庫の現在のやり方は、今おつしやつた前者のやり方であります。一件々々金を送つております。
  104. 福田繁芳

    ○福田(繁)委員 国民金融公庫の理事者に伺いたいのでありますが、あなたの方はどうされておりますか、それをちよつと伺つておきたい。
  105. 最上孝敬

    ○最上説明員 最近は割合資金がきゆうくつになつているものですから、やはりほんとうにお申出があつて貸付決定をした、そういうことを確かめてお出ししておるようであります。しかし資金が潤沢なときは、なるべく早く利用していただくために、代理店の貸出しの状況によりまして、いつもここは一月このくらい貸し出すということになりますと、それだけの資金をあらかじめおまわしするということもかつてはございました。
  106. 福田繁芳

    ○福田(繁)委員 河野銀行局長に伺いたいのでありますが、今言つたようなことになるのでありますが、銀行局長としてごらんになられたら、決裁の都度金を代理店に振りかえる方がよいものか、あるいは今国民金融公庫の方がおつしやつたように、最近はあまりないようですが、ある時期にはあつたと言われる、ほぼこの程度として預託されるという方が、ほんとうにわすかの資金で多数の申込人に平等に恩恵に浴させてやる意味合いにおいていずれがよいとあなたは御経験上お思いになるか、伺いたいと思う。
  107. 河野通一

    河野説明員 これは代理制度趣旨から言いまして、現在両公庫で行つておりますように一件ごとにやるのが筋であろうと考えております。ただ問題は、その一件当りの金額が非常に小さい、しかも件数が非常に多い、その上に短期である、金がしよつちゆうまわつておるというようなものにつきましては、資金的な措置としては、ある程度その中で出し入れできるようにしておくということが便利であるという場合があると思いますけれども、そういう特殊な事情がない限りは、筋としては一件ごとに出して行くことがいいと思います。しかしそのために資金が非常に遅れるとか、貸出しの実行が非常に停滞するといつたようなことになりますことは、非常にぐあいが悪いのでありますから、迅速にそういうことが行われるということを前提にいたしております。現在までのところは、中小企業金融公庫あたりは件数が少いせいもございますけれども、またそういう点について支障を起しておるとは私は聞いておりません。
  108. 福田繁芳

    ○福田(繁)委員 非常によくわかりました。どうぞ国民金融公庫におかせられましては、今までの御経験に基いて少い資金で多数の国民に恩恵を浴させるよう超能率的に御勘案願いたいと思う。私、前回の委員会において、あなたの方の代理店、言いかえれば、取引店に対する預託の資料をいただきたいと申し上げたのも、そういう点にあつたわけですが、もうその資料の必要はありません。ありませんが、われわれが国政調査をやり、また金融機関の諸君にこの委員会参考人として出頭してもらつて意見を聞いた場合に——今日ではありませんが、かつて往々親の心子知らずと申しますか、非常におもしろからぬうわさを耳にいたしましたので、非常に残念に存じておつたわけなんです。中小企業金融公庫と違つて、あなたの方は零細な金でありますから、その都度五万とか十万の金を振りかえるわけには行きますまい。さればといつて、二百件、三百件——十万平均で三百件と言いましても、大体三千万ですが、五千万とか七千万預託するとか、あるいは一年を通じて二、三百万しかないところに、一千万、二千万の金を銀行に預託しておくということは、せつかくの当局の御苦心なり、この法案の趣旨を生かせぬことになりますから、過去の尊い体験に基いてよろしく御勘案願えば非常にけつこうと存じますので、はなはだ苦言でありましたが、このことを申し上げて、かつて御請求しました資料は撤回いたしておきます。
  109. 井上良二

    井上委員長 委員長からちよつと日銀の佐々木さんに伺つておきたいことがあります。これは日銀の政策委員会で議論されておるかどうか存じませんが、最近の市中銀行及び地方銀行の融資が大企業に非常に偏向して、大企業は大体安定して来ておるということが一般的にいわれて来ておりますね。従つて中小企業にデフレのしわが非常に寄つて来て、金融的にも非常に困つておる。だからできるだけ日銀から融通する資金は、中小企業の再建維持といいますか、そういう面にもつと考慮して金融全般が円滑に行くようにやるべきじやないか。そういうことは政策委員会としては議論をされませんか。またしてもいいものですか。地方銀行や市中銀行に対して、日本銀行として金融全体のめんどうを見ておる立場から、そういうことについてごあつせん的な発言はできるかできないか。各個人それぞれ別々にやつておるから、それはどこへ融通しようと、そういうことまでおれの方の干渉すべきものじやない、そういうことでございましようか。そこらの関係はどういうことになつておりましようか。政府の方からもちろんそれについてはいろいろ御注意を願う点がありますが、実際お金を貸しておる日銀として、最近非常に地方銀行及び市中銀行の融資が大企業に偏向しておる事実から、そしてデフレのしわがますます中小企業に寄つて来ておる事実から、もう少し金融について注意を払うべき必要がありはせぬか。そういう点ももつと活発に日銀の政策委員会なんかで融資の問題について取上げて議論をすべきじやないか、こういう考え方ですが、そういう点について、どういうお考えでございましようか。一応御参考までに伺つておきたい。
  110. 佐々木直

    佐々木参考人 政策委員会では、中小企業金融については、かねがねいつも非常に注意をいたしておりまして、実は二週間ほど前でございますか、政策委員会が中心になりまして、中小企業金融を担当しておられる各方面の方にお集まりを願いまして、年末も近づいたことであるから、中小企業金融について万遺憾なきを期せられたい。そういう問題について、もし日本銀行の政策委員会または日本銀行事務当局でお手助けできれば、何でもするからお申出願いたいというような発言もあつたわけでございます。それからまた定例的にやつております政策委員会と市中銀行との懇談会の席上で、今御指摘のありましたような、最近の銀行勘定の数字を見ると、とかく小口の融資が減少しがちであるが、その実情はどこにあるか、そういう点について十分実情を把握してもらわないと困るという意味の任意もございました。それに関連いたしまして、銀行協会の方では中小企業金融の対策を立てるために委員会もできておりまして、具体的の問題に取組んでおる実情でもございます。それから中小企業金融につきましては、中小企業をして借金をさせるというような立場に追い込むもとを、できるだけためなければならぬということをかねがね考えておりまして、このごろはほとんど年中行事となつておりますが、年末に近づきますと、中小企業、関連産業をたくさん持つておりますような性質の大企業に対して、今までの未払いはできるだけ決済するように注意をいたします。そういう注意をいたしますとともに、一方そういう大企業と取引をいたしております銀行に対して、そういう大企業が未払いを決済するために、資金の潤沢な供給をするようにというような注意もあわせて行つております。去年あたりの実績は相当それが効果を生んだようでございます。ことしも同じことをやりましたので、去年並の効果をあげるものと今期待をいたしております。大体そういうようなことで、政策委員会としましては、中小企業金融問題については、かねがねできるだけの配慮をいたしておる実情でございます。
  111. 井上良二

    井上委員長 わかりました。  それでは午前中の会議はこの程度にいたします。午後二時半から再開をいたしますので、それまで休憩をいたします。午後は大蔵大臣出席を求めておりますから、御出席を願います。    午後一時三十一分休憩      ————◇—————    午後四時五分開議
  112. 井上良二

    井上委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  大蔵政務次官より発言を求められておりますので、この際これを許します。大蔵政務次官遠藤三郎君。
  113. 遠藤三郎

    ○遠藤政府委員 遠藤三郎でございます。大蔵政務次官を拝命いたしましたが、どうぞよろしくお願いいたします。
  114. 井上良二

    井上委員長 次に財政方針に関する件、税制に関する件、金融に関する件を一括議題として調査を進めます。本日は特に大蔵大臣出席を願いましたので、明年度の財政方針に関しまして調査を進めたいと存じます。まず委員長より僭越ですが、二、三質問をいたしたいと思います。  最近の新聞の報道によりますと、民主党内閣として来年度の予算を編成するのは当然の義務であつて、また選挙に臨むに際しても、党の方針を明らかにするためにも、本年度の予算編成の作業を進むべきだということで意見の一致を見たようであります。しかし予算案が国会に提出さるべき以前に国会の解散が行われる場合が予想されますので、政策まで織り込んで具体的な数字を内容とすることは困難であるので、予算大綱を作成してその作業を行いたいというようなことが新聞に伝えられており、またこれと相呼応して、政府におきましても去る十七日の閣議で、三十年度予算の取扱いを協議し、来年度予算は一兆円以内にこれを押え、住宅問題、中小企業対策、失業対策、税制対策、輸出振興対策等の政策に重点を置いて予算の大綱を作成して、これを休会明けの国会に提出するという一応の方針をきめたということでありますが、さようなことになつておりますか、この点をまず大蔵大臣より明らかにされたいと思うのであります。
  115. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 ただいま委員長お話、よく御存じのようであります。大体その通りであります。しかし方針を確定したという段階まではまだ行つていない、大体そういうふうな考え大蔵大臣が作業をやるというふうには、まだ確定はしておりません。
  116. 井上良二

    井上委員長 次に、民主党は明年度重点的に歳出するものとして、住宅関係費、中小企業対策費、失業対策費、輸出振興費、四項目をあげているが、三十年度にはこのほかに、社会保障関係費約百億円、地方交付税及び交付金約百億円、義務教育費、賠償関係費等、これらにさらに自衛隊が明年度増員するといたしますと、これに関連して約百億円前後の増額が予想されることが新聞で伝えられております。しかし財政規模を大蔵大臣は本年度並の一兆円以内、すなわち九千億円台に押えるとしますと、これらの財源調進に一体どういう措置を講じようとするか、この点に対して政府として具体的にすでに御検討されて曲りましようが、具体的にはたとえば自衛隊の増員の問題は明年は増員をせずに見送ろうとするか、あるいはまた補助金等を大幅に整理いたしまして、地方財政へのしわを寄せて行こうとするか、一体どういうお考えをお待ちでございましようか。予算大綱をきめようという方針が大体きまつたようでありますから、その方針の上に立つて今申し上げましたような問題に対して、いかような処置をとられようといたしますか、その点に対しこのお答えを願いたいと思います。
  117. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 まだ各国務大臣の意見がきまつておらないのでありますので、今急いで新内閣において各国務大臣として一体何をなさんとするか、そういうことをお聞きしておるのですが、まだそれが出そろつておりません。まして防衛費の金額が幾らかというようなこともむろんまだきまつておりません。それで取急いでそういうことをいたしておるわけであります。
  118. 井上良二

    井上委員長 第三番目に、蔵相は就任直後におきまして、前内閣のデフレ政策の基調はこれを堅持して参りたい、そのために特に石橋通産相が申しておりますオーバー・ローンの解消に関連する拡大均衡経済政策に、何か賛成しかねるような、それと反対な、さようなことをやるためには少くとも貯蓄の増強あるいは資本の蓄積等を推し進めることによつて、それらのことは達成されるのであるということで、ここで通産相の経済政策、財政政策と大蔵大臣意見とが対立したような形になつておりますが、この点に対して国民の多くは、ある者は石橋通産相の積極的な拡大均衡経済というものを支持しており、一方金融界を初め銀行家の方面においては蔵相のデフレ政策を支持しておる。これは選挙対策といわれるようなことで、いろいろ議論をされておりますときでありますから、この際明年度予算編成に対して、この二つの食い連つた財政経済政策に対して蔵相はどうお考えになりますか、この点を明確にされたいと存じます。
  119. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 ただいまのお話一つ大蔵大臣と通産大臣が意見が進つておるようなお話ですが、以遠通産大臣と公式にデイスカツシヨンもしておりませんので、違つておるかどうかは今後にまたなければなりませんが、しかし私は違つていないと思います。それはデフレといいますか、緊縮財政、金融の基調を維持して行く、基調に変化を与えずして地ならし工作を進めつつ、それによつて生産コストを下げ、物価を下げ、輸出を増大させつつ他面雇用の増大をはかつて行く、こういうふうな考えであります。これは私の知つておる限りの石橋さんのお説でもよくわかるわけです。但しこの地ならし工作のところをあまり言われずに、ほかのところを言われるからでありましようが、決して私は意見は灘つておりません。そういう点について誤解のないように願いたいと思います。
  120. 井上良二

    井上委員長 最後にこれは技術的な問題としてお伺いいたします。午前中の予算委員会でも御質問があつたかも存じませんが、政府は休会明けの国会に子等大綱を示して、政府の施政方針演説にかえるという話らしいです。そしてその後、昨日の四党国会対策委員長会議におきましては、特に民主党側の国会対策委員長からの発言がありまして、二十一日に再開をされて数日置いて解散決議案を出しまして、国会は解散をする、そして総選挙を行う、その結果総選挙の終了は、政府の御都合にもよりましようが、大体一般に言われておるところによりますと、三月の上旬ということが予定されます。総選挙直後ただちに国会の召集がありましても、年度末まで国会が予算審議に入ることは、時間的に不可解ということが大体見込まれますが、そういたしますと、政府は四月以降の予算に対して一体どういう処置をとろうとするか、四月暫定予算をいつの機会に出そうとするか、すなわち休会明けの国会に暫定予算を出して、一応そこで審議を終つておいて国会解散を迎えようとするか、それとも総選挙後において暫定予算の審議し得る時間的余裕があるとお考えになるか、もしない場合は緊急召集による参議院の決定によつて処置をしようとするか、いかなる処置をとろうとするか、来年度予算についての御見解をこの際明らかにしていただきたいと思います。
  121. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 ただいま委員長がある程度仮定に基きまして、こういうときに解散があればということであります。かりにさような状況になりますれば、一箇月または二箇月を暫定予算ということは、今のところやはりそうなるだろうかと私も思います。しかしいつそういうものをするかということは、これは今後の情勢を見た上でないと今言うわけにも参りません。そしてこれはどういうふうに、たとえば緊急集会でやるのか、特別国会によるのかというようなことも、この後における情勢によつて考えていいことだろうと思つております。
  122. 井上良二

    井上委員長 次に春日一幸君。
  123. 春日一幸

    春日委員 私はこの際二、三の事柄について大臣から御答弁を得たいと思うのであります。  第一番は、現在の政治体制はこれは政党政治でありまして、従つてその政策は政党の責任において、政党が決定したところを政府をして行わしめておるのであります。ところで大臣は政党人ではあられないので、ここに二、三の事柄を伺つておきたいと思うのでありますが、具体的な事柄は、政府指定預金に関する大蔵当局の方針であります、新聞の報道するところによりますと、民主党はさきの党議において、すなわち政調会の決定その他機関決定を得て、大蔵当局に対して、この年末の資金梗塞打開のために、中小商工業者に対する融資資金源として、五十億円程度のものを中小企業金融機関に、政府指定預金として新規預託をせよ、こういう申入れをいたした様子でありますが、そこで伺いたいことは、そういう申入れがはたして新聞に報道された通り大蔵省に行われたものであるかどうか、さらに政府は、この申入れを政党の責任政治の本質にかんがみて、実施に移される意思であるかどうか、まずこの一点を伺つておきたいと思います。
  124. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 中小企業がこういうふうな経済情勢のもとにおきまして、金融におきましても、特別に苦しい立物にお立ちになるということは、十分理解ができるのであります。むろんそういう面におきましても、中小企業者自体におきましてお考え願わなくてはならぬ、どうすれば金融がうまくつくかということも十分考えなくてはなりませんが、しかし他面やはり美音ではいかんともしがたいような一つの社会的な力によりまして、金融上においても不利なお立場に立つておられることは、私十分理解するのであります。従いまして、そういうような見地から、特に年末でもありますので、中小企業金融について若干の——若干と申しますのは、特に不当にお困りになつておるであろうというようなところを救済する意味合いにおきまして、小小企業向けの資金量をふやす措置を指示いたしておりますが、これはしかし私自身の責任においてやつておるのであります。むろんそのこと自体が民主党の、先ほどお話のような主張と結果において同じになるかもしれませんが、決してその主張に基いたというのではありません。そういうこともむろん考えます。これはひとり与党のみならず社会章の方々もそういう御意向をお持ちになつておる。私どもとしてはそういうことにも耳を傾けてよろしい。そういう意味合いにおいて全体の国民の声を聞いて、実情に即してやつておるのでありまして、五十億というような金は出しておりませんが、大体私の考えでは、年末にかけて三十億ないし四十億ぐらいの中小企業向けの資金量をふやしてあげよう、こういうふうに考えております。
  125. 春日一幸

    春日委員 私が質問をいたしましたのは、現在の政治の構造が政党の責任政治になつておる、しこうして政党が決定したところを政府をして執行せしめる、こういう形に相なつているわけでありますが、新聞の報道するところによると、民主党は党議によつて政府指定預金として五十億円の新規預託中小企業金融機関に新しくしてくれ、せよ、こういう申入れ大蔵省に行つたということであるが、はたしてそういう申入れが行われた事実があるかどうか、しこうしてそういう不実があつたといたしますならば、大蔵大臣は政党政治責任体制にかんがみまして、そういう政党の申入れ、すなわち政府与党の申入れに従うのであるか、あるいはあなたは党人でないので、従つて政党のそういう決定には何ら拘束をされない考え方であるのか、この一点をお伺いいたしたいと思うのであります。
  126. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 私はそれには拘束をされない。むろんそういう意見に耳を傾けますが、これはやはり政府とその政府を支持しておる政党と十分話し合いまして、そして一番いいところが結局実際問題としては出るのではないか。私がこの年末やつたのは、政党の主張があつてそれをやつた、それを聞いたというわけではありません。金融当局としてそういうことが今の事情において最もよろしいという判断に基いてやつたわけであります。
  127. 春日一幸

    春日委員 それでは、民主党内閣大蔵大臣萬田尚登氏は、民主党の政策には拘束は受けぬ、こういうことを述べられたものと理解をしてさしつかえありませんか。
  128. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 それはまた非常に困るので……。政党内閣でありますから、内閣をとればその政党がふだん国民の支持を受けておる政策を実行しようというのに間違いはないのであります。従つて政府は、おそらく与党と十分相談をして——ただ、政党だけの意見が常にそのまま政府において、何らの全体の批判なくして取上げられるというわけのものではなかろう、私はこういうふうに考えております。
  129. 春日一幸

    春日委員 大体はわかるのであります。そこで現実には、本日の読売新聞の報道するところによりますと、あなたの政府を支持しております民主党の政調会の副会長福田赳夫君は、こういうことをいつております。すなわち、私のただいま申しました五十億円の新規預託、これは年末を控え中小企業金融問題の解決は緊急不可欠の問題であるから、今回限りということで政府が、いろいろの事柄があるが、とにかく預託をして、そして政府の財政余裕金の活用を考えたい、すなわち新規預託をどうしても五十億円、この年末に臨んでやりたい、こういうことをあなたの与党はいつておる。重ねて強調いたしております。そこでただいまあなたは、政府と与党との間のこの意見の調整のためには努力をする、こういうことであるが、あなたは今五十億というものを政党の要求に従つて新規預託をする意思があるかどうか、ないならば、それは一体どういうような執行をされるのであるか、すなわち与党の主張をいかに取上げてこれを執行し、どういうぐあいに行われるのか、その具体的な方法をこの機会に明らかにされたいと思います。
  130. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 こういうふうに御承知を願えば御了解が願えるのじやないかと思うのですが、与党がそういうふうにいうそのまた前には、たとえば今の中小企業については、中小企業自体がそういうことを客観的に要請をしておる、それを与党も取上げておる、またわれわれ政府の者も、中小企業自体がそういう要請を必要とする事態にあるということを認識をして、そこで政府政府として何とかしなくちやと考え、与党においてもそう考える、そこでそれが自然政策的に話が一致する、こういうことになるので、結局与党の主張がどうとかこうとかいうことよりも、その前に、その主張を十分納得せしめる客観的な経済事情があるのかないのかということが基本である。そこで、お話によれば、福田君が五十億を指定預金をせよ、これは与党の一つ意見ではありますが五十億を指定預金するかせぬか、それはむしろ金融上のいろいろな技術的な問題になります。問題は、相当の金額が、それだけ増加して中小企業に流れて行けば、中小企業者としてはよいのじやないか。   〔委員長退席、藤枝委員長代理着席〕 むろんそれがうまく流れるように仕組まなければなりませんが、指定預金というふうなことに必ずしもこだわる必要はない。私は大体指定預金を好まない。これは私が金融界におるときからそうなんで、あまり財政がそう大きい金を始終貸借するということは、財政のあり方として必ずしも穏当ではない。まして金融界には時々変動を与えるという考えをしておる。従つてまあやむを得ぬ場合もありましようが、なるべくそういう方法でなくしてうまく金融が行くようにという念願をいたしております。今も別に指定預金をするわけじやありません。各中小企業関係金融機関の資金量をこの年末にかけて三十億ないし四十億ふやそう、こういうふうな方法をとつておるわけであります。
  131. 春日一幸

    春日委員 この問題はその程度にいたしまして、次は、今度あなたが新しく大蔵省責任を負われるごとに相なつたのでありますが、御承知の通り、大蔵行政といわず政府の行政がこの六箇年間にわたつて、自由党一辺倒の形でずつと行われて参つたわけでありまして、諸般の政策もこの際相当の転換をするものがあろうと思うわけであります。  そこで他の省、たとえば農林省その他におきましては、省内首脳部の人事の更迭も相当行われるやに伺つておるのでありますが、大臣はこの際大蔵省の首脳人事について一新することのために更迭するの意思があるかどうか、あるいはそのことは全然考えていないのであるか、この点ちよつと伺つておきたいと思います。
  132. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 これは今のところ全然考えておりません。
  133. 春日一幸

    春日委員 それでは次に伺いますが、先般来あなたは税金の問題について所信を発表いたされております。それは勤労者の税金が重過ぎるということ、それから低額所得者の税負担が過重に失するということ、これは本委員会におきましてのみならず、院外のそれぞれの当事者からも前国会並びに政府に要求されて参つたところでありますが、幸いに大臣がこの低額所有者並びに勤労所得者が税負担の過賞に悩んでおるから、この問題の解決にはからねばなるまい、こういう見解発表されたことはまことに御同慶の至りと思うわけであります。   〔藤枝委員長代理退席、委員長着席〕  そこで具体的にどういうような方策を講じて、どの程度の減税をはかろうとしておられるのであるか。大体においてやがてわれわれは休会に入り、そうして再開に至りまして、あるいは解散に相なるでございましようが、この問題についてこの機会に大臣の所信を明らかにしておいていただきたいと思うのでございます。
  134. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 ただいまの質疑の意は、私は実行いたしたいと考えております。しかし今どういうふうになつておるか、これは全体の税にも関連する、そうして歳出入全体の問題とも考えて、たとえば一例をとつてみると、勤労所得税というような所得秘を幾らかでも軽減するということになれば、中小企業者の事業税は一体そのままにしておいていいのかというような、やはり社会全体のバランスの上においていろいろ考えなくてはならぬ。しかし私の考えは、大体今申しましたような考え方で事務務当局に作業を命じてある。ただいましかしその結果がどうなつて、どれがどう、これがこうということを申し上げる段階になつておらないことを遺憾に存じます。
  135. 春日一幸

    春日委員 最後にもう一つ、この指定預金の問題について一言申し上げたいと思うのでありますが、今朝来この読売新聞の報道を中心といたしまして、本委員会において深い論議がかわされました。それは会計検査院警告なるものが大蔵省河野次官あてに発せられまして、その内容とするところは、法律疑義があるから慎重に扱われたい、こういうような事柄であつたようであります。しかしながら本委員会はいろいろと深い検討を加えまして、その質疑を通じて明らかになつたことは、これは法理上何ら違法としてこれを断定するものがない、こういう結論に到達いたしまして、そこでその結果次のような決議が行われました。それは指定預金制度に関する件、これは簡単でありますから参考に読み上げますが、指定預金制度については、政府部内においてこれを廃止するような意向が強いようであるが、本制度は法理上何ら違法とは断じがたいのであるから、中小企業の現状にかんがみ、今後とも指定預金引揚げ延期のみならず、必要に応じ新規に麺託する等適切な措置をとられたい、右決議する、こういう決議が本委員会において行われておるのでございます。ただいま大臣の主観であろうと思うのでありますが、大臣は指定預金というものはきらいだ、こういうことでありますけれども、大臣のそのお考え方とは正反対の議決がここに行われております。しこうして現在中小企業というものが金融行政を通じてはなはだ不当に不利な立場に置かれておるという、このことは大臣も御同感である様子でありますが、そのような理解の上に立つて、過ぐる第十九国会五月三十一日の本会議において、中小企業危機打開に関するいろいろな議決が行われました。これは各党共同提案にかかるもので満場一致をもつて議決された事柄でありますが、そこの中に、これまた大臣の考え方とは正反対に、すなわち今いろいろ中小企業が不当に不利な立場に置かれておつて、これに金融の道をつけることは、結局は政策融資によらなければならぬ、こういう意味から、当面どうしたらいいかという問題がいろいろ検討されまして、国会は結局指定預金を続けて行き、さらに新規預託をして行け、こういう決定を行つておるのでございます。申し上げるまでもなく、国会は国権の最高の機関であります。国会決定した通り政府は行つてもらうのでなければ、それは国会に対する挑戦であります。のみならず国民としてははなはだ迷惑しごくな事柄に相なるのでございますから、大臣といたしましてその指定預金というものを廃止したいということであるならば、それは国会の議決に全然相反するの事柄執行されようということになるのでございますから、この点については十分なる御検討が必要であろうと思うのでございます。  ここで大臣は御新任であるとはいいながら、金融行政については久しきにわたつて中央銀行としての責任を負つていらつしやいました。従つてこれらの国会の議決を御存じにならないはずはない。衆議院がこういうような議決を行つておるにもかかわらず、なおかつ指定預金を廃止したというその御主張は、一体どういうような理由によるのであるか、ひとつあなたの御所信をこの機会に伺つておきたいと思うのであります。
  136. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 貴委員会では指定預金に関して御決議、御要望の結果は、実は私先ほど承知いたしたようなわけでございます。それでこういう御決議でありますれば、その御決議を十分尊重いたしますことはもう申すまでもありません。ありませんが、私の希望といたしましては、これは指定預金制度というものがいいか悪いかということは、今指定預金をやりおるから、こういうふうな中小企業やなんかで年末の指定預金をやつたらいいじやないかというお考え方は、当面の考え方として私わからぬことはありません。しかし財政の、金の運営の問題としてこういう指定預金というような形で民間に金を預けてそれを運営して行く、そういう財政の立て方はどうかという感じを私は持つておるわけなのであります。特にこれは一般会計の金を預けるのですから、税金で一方でとつてそしてそれでまた金融業的なことを営むということなので、これはどうも私の金融的な知識からすれば賛成しかねる。しかしそういうふうなことを言つても、日本の今日の資本の蓄積その他の事情から言つて必ずしも正しい理論的なことはかりが行われません。こういうふうな指定預金制度も今までずつと長く終戦後にあるのでございます。従つてこれを今急にぱつとやめるというわけに参りませんが、なるべくこういうふうなやり方は徐々に廃止をして、そしてその金融的な措置はなるべく専門の金融機関にまかせて行き、財政は財政本来の姿にかえるがよかろう、こういう私の考え方から出ておるわけであります。これは今全部やめるというわけでありません。たとえば指定預金中小企業に預けてある金で、一、二月に期限の来るのもおそらく十六、七億あると思います。これはやはり一、二月に期限も迫つておることですから、期限を延ばして行く。従つてすぐにこの指定預金制度をやめるというような考えはありませんが、方向としまして今言つたような考え方にあるわけであります。そういう意味で申し上げたわけであります。
  137. 春日一幸

    春日委員 これは非常にデリケートで、かつ重大な事柄であろうと思うのであります。もとより大臣は金融行政のオーソリテイであることはわれわれもよく認めております。けれどもそういうことはここでは関係ない。あなたがどんな学識が深く経験にお富みになつてつたとしても、われわれはそういうものは認めない。結局政治国会が議決したところによつて執行してもらう、あるいは国会の意思に従つて政治を行つて行くのであつて国会がどう議決しようと、おれはこう考えておるのたからおれはこういうふうにやるのた、こういうことはもうフアツシヨなのです。指導理念に固執するのあまりそういう機関決定を認めないとか、あるいは機関決定の意思に相反する執行をされるということは、結果的に見てあなたのおつしやつたことが正しいといたしましても、それは制度上、形式上民主政治の形態に相反するものである。従いましてあなたが国会に議席を得られて、そういうような誤てる決定が行われるならばその理論を正すことのためにいろいろな努力をされることはけつこうでありますけれども、少くとも本会議において満場一致で決定されたこの事柄を、あなたが自分の見識に照らして自分の意思に沿わない、自分の見解と相反するからといつて、あなたが独断的にそういう執行をされぬとか、あるいはこれは新規預託をあくまでやらぬということは、現在の議会政治権威というものを汚し、乱して行く形に相なると思うのであります。どうかそういう意味であなたが十分国会の意思を尊重してその決定したところを執行する、そうしてあなたの意思に沿わないような決定や意思が表明されたならば、そういう決定や意思をさらにかえることのための院内の努力をされ、そうして決定されたところは誠実に従順に執行に移していた、たく、こういうのでなければわれわれ国会例といたしましては承認できないということをひとつ十分御理解を願つておきたいと思うのであります。  なお今大臣から指定預金というものの性格について批判的な御意見の開陳がありましたけれども、もとより中小企業金融がコマーシヤル・ベースによつてそれぞれ解決できるということであるならば、もう何もそういう政策融資を必要としないのであります。またそういうような方式によつて解決がはかられることが最も望ましいことは、われわれも十分検討いたしております。すなわち国民金融公庫に対する政府出資にしろ、あるいは中小企業金融公庫あるいは商工組合中央金庫、こういうような中小企業金融機関として政策的に設定されておりまする機関に対する政府の出資が資金需要をまかなうに足るほどの潤沢なものが支出をされるということであるならば、こういうような便宜な方法をとらなくてもあるいはよろしいかもしれない。けれども御承知の通り、一兆円予算のわく内において抑えて行くというような機械的な操作から、結局中小企業金融公庫に対する出資も中金に対する政府の投融資も、さらには国民金融公庫に対する出資も、それは国会側の要望、さらに国民の側の要望の何分の一ぐらいというようなものしか支出されておりません。それはどうして支出ができないかというと、一般行財政の全般的な権衡からそこへそれだけの十分なものが出し得ないという現実の上に立つて、結局さらに何らかの行政措置によつてこの中小企業の資金源をまかなわなければならぬ、こういう必要悪でありましようが、いずれにしてもその必要に基いて過去五箇年間にわたつてこういう措置がとられて参つたのであります。このことはずつとあなたが日本銀行総裁としてそういう方面にも一半の責任を担つていらつしやつたわけでありますが、多いときには六百億を越えるような指定預金も行われておる。そういうときには一応これは必要なことだということでその制度が尊重され、それが本日わずか六、七十億を余すばかりとなりまして、そうしてこういうような制度は好ましくないとにわかに言い出されてみても、これは非常に困ると思うのです。それがいけないならばその出発の当初において、それにかわるところの何らかの強い財政措置がとられておるというのならばけつこうでありまするけれども、そういうことなくして本日に至つてさらに中小企業金融が困難の度を加えて参る、そしてここで今にわかに新規預託をやらぬというようなことを言われましても、因る者はただ中小商工業者ばかりである。結局国民金融公庫にしろ、あるいは中小企業金融公庫にしろ、これは設備資金、長期資金という形に相なつておりますので、従つて受取り手形を割るとか、あるいは短期運転賞金とか、こういうようなものは何らかの政策融資によつてその業者がこれを調速、弁じて行かなければならぬ。そういう資金源がやはり政策的に配慮されるということは必要欠くべからざることであり、しこうしてその必要に基いてこの五箇年間そういう方針がとられて参り、あなたもそれに協力をされて参つたわけであります。  そこで結論として申し述べたいことは、国会が本会議で議決をしておるということ、さらには本委員会が深き検討の結果本日ここに委員会の決議を行つておるということ、従いましてあなたの御検討がいかがあらんとも結局この国会決定するところに従つて執行を願う、こういうことで、一つはあなたの与党からもそういう正式のお申出もあることでありますから、どうかひとつ中小企業のこの年末の資金難を緩和することのために、さらに一段と御努力を願いたいと思うのであります。申し上げるまでもありませんけれども金詰まりが一層ひどく相なつて参つておりまして、東京手形交換所の不渡り件数なんかも十一月には千五百九十七件と申しますか、これはずつと昨年の九月からだんだんと悪化の一途をたどりまして、この六月の記録を除いては手形交換所始まつて以来の最悪のレコードと相なつております。すなわち中小企業金融難は何ら緩和されてはいない、指定預金を廃止してもいいという条件は客観的に何らここに成立してはいない。従いまして国会の議決した通りのことを大臣にやつてもらいたい。それがいやならばひとつ大臣をやめてもらいたい、こういうことでありますから、どうか私の意見を十分御検討願いまして、民主的な責任政治——民主政治責任政治で、政党も国会も同じ結論に到達をして——そのことを強く要望いたしておきますから、十分御検討つて慎重なる処理をされることを強く要早いたしまして私の質問を終ります。
  138. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 今のお話ですが、私がまだなれぬために話が下手で誤解されたかと思うのですが、この決議を十分尊重しようと思つておることは、先ほど冒頭にも申し上げた通りであります。それから指定預金を今廃止するということも言つていない。根本問題として、指定預金というものはこういうものだから、なるべくこれは将来なくするような方向に持つて行かなくてはということを申した。それは具体的には、お話のように、一時六百億もあつた金が現在では一割の六十億くらいに減つておることもそういう推移を如実に裏づけておる、こういうことです。そうしてこれをやらなくては——中小企業金融に何もしておらないかといえば、そうじやない。先ほど申しましたように、四十億円だけ増額して年末に中小企業者に出すのだ、こういうことを申し上げておるのですから、四十億円は出るのです。ただ指定預金というような形で出すことはどうだろうかということを、一応私指定預金に対する根本の考え方から申し上げたわけであります。どうか誤解のないようこ……。
  139. 井上良二

    井上委員長 柴田義勇君。ちよつと申し上げますが、大体五時半までに終りたいと思いますし、あと二、三質問者がありますから要点だけ……。
  140. 柴田義男

    ○柴田委員 大蔵大臣にお尋ねいたしますが、指定預金の問題は会計検査院から疑義があると言われたことから問題になりまして、きよういろいろ論議が尽されたのでありますが、私どもは今の中小企業金融の状況から判断しまして、どうしてもこれは引揚げるべきではない、こういう結論になつておるわけなのですが、ただ次の段階として大蔵大臣のお考えを承りたいことは、財政投融資という形で、たとえば民間金融機関に対しても措置を講じられるのか、もう一つは別個に、たとえば今の日銀が地方銀行にやつておるような高率適用による日銀の貸出しと、こういう範囲を日銀と今まで取引をやつている地方銀行以外の相互銀行あるいは信用金庫、こういう方面にまでわくを広げられる御意思があるかどうか、この点を承りたいと思います。
  141. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 日本銀行の預け金のわくを広げるという考えは私は持つておりません。これをやりましたなら、これこそまつたくインフレーシヨンでありましようか、救済的なことになつてこれは果てしがない。日本銀行預託を始めましたのは、終戦直後において御承知のように資本がまつたくなくて、当時中小企業を預かつてつた商工組合中央金庫がわずかに二億そこそこの金しかなかつたのであります。それで終戦後において、しかも中小企業は非常にお困りになつておる、どうにもならぬ。そこでまず、いたし方がありませんから、私の方からお金を預けて、それから徐々に——もう今では数行億の社債も出ております。いろいろと金も余つて大きな運用資金になつておる。そういうように初めのやむを得ぬときは日本銀行の——これはお金ではないのですが、印刷した日本銀行のお札をいざないの水として一応預ける、これは私は非常に厳格にやらないといけない、こういうふうに考えております。
  142. 柴田義男

    ○柴田委員 そこで非常に問題になるのですが、たとえば日銀から高率適用を受けて借り得る地方銀行、こういうものは別といたしまして、今指定預金が問題になつておりますのは、ことに残額六十二億しかない、この六十二億というものは相互銀行と組合の金庫、これにほとんど限定されておる形なんです。この二つの金融機関というものはさらに何らの救済の何を受けていません。たとえば地方銀行であると高率適用を受ける範囲のものは日銀からめんどう見てもらえるのだが、相互銀行あるいは組合金庫というようなものは、どこからも日本的援助を受け得ない機構に現存は置かれておる。だからそこに残された指定預金というものも、何か性格的にいけないという判断のもとに、徐々にこの制度がなくなつたと仮定いたしましようか、そういたしましたらこれらの金融機関を通じて融資を受けておる対象というものは、非常に困ることは目に見えて来ております。こういう場合に対する措置を財政投融資という形で予算に組んだものだけをまわそうというお考えであるのか、これがなくなつた後の制度というものは、どういう制度が一番正しいやり方であるのか、その辺を、大蔵大臣の御所見を承つておきたいと思います。
  143. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 これはまた財源の問題にも関連いたしますが、私の考えとしてはやはり中小企業というものにつきまして、先ほども申しましたが、増に金融々々では中小企業は救われないというのが、私の中小企業に対する一つ考え方であります。それでたとえば事業税というようなものについても考えてあげて、自分が仕事してもうけた金が自分の手元に残る、それをだんだん積立てて行つて、金を借りぬでも商売ができるとか、あるいは中小企業のお方が物をつくれば、なるべく確実にマーケツトが確保される、できたものが売れなければいかに金を借りてもどうにもならない。今の悩みは、物をつくつてもなかなかそれを売るところがない、売るにしても非常に競争が激しくてたたかれてしまう。そして物は納入するが代金も払つてくれないというような、いろいろな悩みがあると思うのであります。だから総合的にお考えを願つて、それで指定預金を、かりに六十二億の金ですから、全体の中小企某金融かち見ると、考え方によつては、それほどヴアイタルの大きい問題ではないと思う。こういう程度のものは、今後の貯蓄増大において、相互銀行あたりの預金はあの預金をとれるようになりましたから、預金もどんどん伸びる方向にもあるのです。あるいはまた政府中小企業専門の金融機関に対する出資をある程度ふやすということも考えられることであります。そういうようないろいろ店を勘案しつつ、中小企業というものの政策を強力に推し進めて行くのが私は妥当な行き方であろう、とこういうふうな考え方をいたしておるわけであります。
  144. 柴田義男

    ○柴田委員 そういう議論になりますと別でございますが、生産されたものが現金化されてストツクがなくて売れて行く、こういう世の中になれば——これはわれわれが政権でもとつたならばやれるでありましようが、現在の資本主義制度下におきましては絶対不可能なことだと思うのです。無計画に生産されて、しかも自由放任経済であつて、大銀行はオーバー・ローンを絶対解消しない、地方銀行こそがオーバー・ローンを解消されているが、現実に大銀行ほどオーバー・ローンが解消されていない。こういう一面をほつたらかしておきまして、今の相互銀行あるいは信用金庫という零細な金融機関に対して、何ら擁護の手がないということであつては、やはり片手落ちの金融政策だとわれわれは考えざるを得ません。そういう点でそこに残された問題としては今の政府指定預金、どうせ三月一ぱいになつてもまだ繰越して行く金がたくさんあるのだから、一千億や二千億必ずあります。こういう余つた金を日銀の倉の中に入れるだけが能じやない。やはりこれを広く中小の金融機関に預けてもらつて、初めてその中小企業の業者がこれによつて恩恵が得られる。だからある時期には六百八十億もあつた。現在はいわゆる吉田内閣のデフレ政策によつて、単に金融面にだけデフレ政策を強行して来た、それによつて破産倒産は続出して、現在の状況を目のあたりに見せつけられておるわけです。しからば現在の姿において、今の相互銀行あるいは信用金庫、こういうものに対しましても、何らかの手を打つてもらわなければならぬ。大銀行は日銀がめんどうを見ますから、なかなか苦しい状態は、われわれはデータを見ますとわかるのですけれども、苦しいけれども、大銀行は平気でおる。地方の中小の金融機関というものは、この今残された六十何億でも非常にありがたいのです。そこでこれを唯一の資本として、中小企業に対する融資を行つておる。この現実を見逃さないで、こういう弱小の金融機関に対する御対策を承つておきたいと思います。
  145. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 どうもそうお説とかわからないと思うのです。何もかも出さぬというわけじやないのでして、今申しましたように、年末に中小企業に四十億出しますと言つて、事実やつておるのです。いかにもこれをやらぬで、金を一文も出さぬと、現実を無視するようなお話ですが、そうじやないのです。出しておるのです。ただこれをあまりに大いに活用しまして、これをまたやつて行くのはどうかというだけの話で、これをすぐに廃止するというのでもありません。一、三月の指定預金の期限が来るのも、これも延ばしましようというように言つているのです。だから実情に即するように徐々に悪い点は直して行く、それにかわるものはいいことで埋めて行つて、いいことばかりで悪いことはなくなるというふうに持つて行こう、こういうふうにしておるわけで、そう違わないように思います。
  146. 井上良二

    井上委員長 平岡君。
  147. 平岡忠次郎

    ○平岡委員 大蔵大臣にお伺いします。ただいま委員の方々と大臣の質疑応答を聞いておりますと、指定預金による国庫余裕金運用の問題に対しては、はなはだ大臣は批判的な立場をとつておられると思います。ところが午前中の質疑応答におきまして、会計検査院池田事務総長は、この警告趣旨は、いわゆる内地預託金ばかりでなしに、外貨預託にもその趣旨は及ぶべきものだ、かように回答いたしております。そこで私は大臣の御所見をお伺いしたいのであります。MOF勘定の設定をめぐりまして、さきに為銀として発足しました東京銀行に対しましては、たしか九月にMOF勘定の設定ができております。これはさきにこの外国為林専門銀行の法律案が通りましたときに、附帯決議として外貨預託をなすべし、かような決議がございますから、この取扱いはきわめて妥当であつたと思います。ところがこれに関しまして、四つないし七つの他の市中銀行が、やはりこのMOF勘定の設定を政府に対して要請しておるのです。そうしますと、先ほど大臣はこの指定預金による国威余裕金の運用に対して批判的であるのでありますから、このあなたの建前と、外貨をめぐるMOF勘定設定との問題につきまして、どのような御見解を持つておるかをお聞きしたいと思うのであります。
  148. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 それは事情が通うのであります。外貨の方はむしろ外為会計があるのがおかしいので、これは当時の事情からやむを得なかつたのですが、これはほんとうを言いますと、外貨をみな各為替銀行が自分の責任において持つておる、そうして売り買いをする、こういうのが本来の姿でございます。しかしそこまでは日本の為替銀行の力も行きませんし、また貿易その他の諸種の事情で、そこまでは正常化はできない。そこで為替勘定も一方伴うということで、外為会計を置いた。これは本来預託どころではない、預託以上に銀行の責任において外貨を持つてやる。昔の正金銀行がそれですが、そういう形にすべきものでありまして、預託というものはそういう正常化々する第一歩を踏み出した、こういうふうに考えていいと私は思つております。
  149. 平岡忠次郎

    ○平岡委員 そうすると、新たに市中銀行に対しまして政府が外貨預託をするようなことは毛頭考えておらぬ、こういうふうに了解してよろしゆうございますか。
  150. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 それは私は十分考えてみようと今思つております。よく事務当局とも相談しまして、考えてみようと思つておりますが、しかしそれは為替の量にもよりまして、あまり分散をしても効果がなくなる、それらのこともありますから、十分検討を加えることにいたしたいと思います。
  151. 井上良二

    井上委員長 川島君。
  152. 川島金次

    ○川島(金)委員 明日大蔵委員会が続行されるならば明日にまわそうと思つたのですが、本日で大蔵委員会は一応休会にするというお話でございますから、一言、二言ちよつと簡単にお伺いしたいと思います。  午前中の予算委員会の席上で、鳩山総理も休会明けまでに予算案を提出したい、また提出すべき義務があるという明確な御答弁がありました。またただいま大蔵大臣からも委員長の質問に答えて、骨格予算を提出する意図があることが明らかにされたわけであります。この骨格予算と一口に言いましても、その立場によつて一体骨格予算とはいかなるものであるか。そこでお伺いいたしますが、政府の今日言つておりまする骨格予算というものは、どのような規模を持ち、どのような内容を持つたものを骨格予算と称して上程するという意図がおありか、その点をお尋ねしたい。
  153. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 私は先ほど骨格予算を出すと言うたことはないように思いますが、何かのお聞き違いではないかと思います。私どもはやはり予算を出すつもりで、今作業を急いでおるわけであります。ただ今の段階においてその作業をするのに、各国務大臣にどういうことをお前織り込んでもらいたいのかということを聞く段階にある、こういうことを申しただけでありまして、私どもとしては予算を組んで行くつもりであります。
  154. 川島金次

    ○川島(金)委員 それが私の聞き違いであつたといたしますれば、その質問はこれで取消しますが、そこで明らかになりましたことは、予算は必ず出す、この意図は明らかになつたわけであります。しからば予算編成の技術上の問題等もからみ合つて、休会明けは一月二十日が予定されておるのでありますが、その二十日の休会明けまでに必ず政府は予算案を提出するという見通しを確定的に持つておられるのか、その点はいかがでありますか。
  155. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 これはかりにお説のように二十日に解散があるということでありますれば、なかなか作業がそこまで、本予算を提出するのに十分な時間がないだろう、こういうふうに私は考えております。
  156. 川島金次

    ○川島(金)委員 二十日解散というのではなくして、休会明けの再開通常国会は大体今のところ一月二十日と予定されておるのでありますから、その一月三十日の再開までに、はたして予算を編成してそれを完了し、国会に上程するだけの見通しをあなたはお持ちかどうかということを聞いておるわけであります。
  157. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 今鋭意はかつていますけれども、今ここでそれに間に合うかどうかはまだちよつと断言がしにくうございます。
  158. 川島金次

    ○川島(金)委員 まことに聞きようによつて責任のないような御答弁で不満足なんですが、事実上の問題といたしましても、私の言つていることは、仮定では決してないのであります。政府はすでに休会明け再開の国会に予算案は出すのだという明確々方針を明らかに、予算委員会でもこの委員会でもされたわけであります。そうすると常識的に休会明けは一月三十日と予定されていることは既定の事実なのです。この既定の事実に対して政府はある程度の目標を持つ。予算を編成して、しかも上程するということを明らかにした以上は見通しを持つていなければならない。そういう持つていなければならぬという私は常識的な判断と前提に立つて政府の見通しを聞いておるわけです。政府は予算を編成して出すのだ、こう言つて言葉には言つておるけれども、事実質問をいたしますれば、それまでに一体どうなるかわからぬ。そういう不明確なことでわれわれ国民としては納得できないことになるわけです。その点はいかがなものですか、重ねてお尋ねしておきたいと思います。
  159. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 これは非常に私としては困つた御質問です。できるだけひとつやろうと思つておるのですけれども、あるいは休会明けということに間に合わないこともあるかもしれません。これは見通しだけのお話ですから……。できるだけやつてみましよう。
  160. 川島金次

    ○川島(金)委員 たいへんたよりない政府の御答弁で唖然とするわけでございます。なるほど予算編成の技術的の問題については、なかな容易でないということはわれわれもわかるのであります。わかるけれども、かりそめにも総理大臣が午前中の予算委員会でも言明された。あなたもまたここで言明された。われわれの国会常識としましては、一月二十日に再開される。そうして今の大体の方向といたしましては、二十五、六日には解散になるであろう、こういうことが大体において予定されておる。そうすると政府がかりそめにも再開の国会には予算編成を完了して上程すると言つたからには、この期間内には予算案の編成が完了されて上程されなければならぬというのが、常識的なわれわれの見解であります。従つてその常識の見解に基いて政府が出すと言つたからには、その間において確然たるところの予算編成完了の見通しと、そうして上程するという確たる見通しを持つていなければ、鳩山さんの言うように、またあなたの言うように、予算を出すと言い切れるものでないということになるのではありませんか。大蔵大臣の言うような曖昧模糊たる答弁でありますと、鳩山内閣は予算編成を完了して出すと言つているけれども、場合によると出せないことになるかもしれない。あるいは出せないかもしれないというふうに受取つてもよろしいのかどうか、その点はいかがでございますか。
  161. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 大蔵大臣といたしましては、二十日に出すと言つた以上は出すように全力を上げるというふうに申し上げておく以外には、これは方法がありませんですよ。
  162. 川島金次

    ○川島(金)委員 出すと言つたからには出すように全力を上げてみるということ、これは当然のことです。しかし私重ねて申し上げてしつこいようですが、われわれの常識としては再開されるのは一月二十日なんです。そうして数日を出ずして三党協定に基いて解散をされなければならないことになつておる。何ゆえならば三月の上旬に総選挙を完了するということが社会党並びに民主党の三党首間において協定が結ばれている確然たる事実があるからです。そういう判断から申し上げますれば、政府が予算編成をして出すと言つたからには、当然に一月二十日ないしその数日を出ないうちに予算が上程されなければ、つじつまが合わないことになるわけです。ところが大蔵大臣の今の言明によりますと、非常に曖昧模糊であります。一方で出すと言つておきながらその期間に間に合うか合わないかわからない、ただできるだけ尽力をいたします、努力をいたしますというのでは、われわれは納得いたすわけには参らぬということに常識上なるのではありませんか。もう一ぺんお尋ねいたします。
  163. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 それは一生懸命作業してかりに間に合わねば——私しろうとだから間違うか知りませんが、少し日をおそくして二十日でなくて、二十幾日かに提出するということもできるのではなかろうかと思うのです。ところがいつ幾日ですか、解散をするとおつしやられれば、これはどうも物理的にちよつと困りますね。
  164. 川島金次

    ○川島(金)委員 どうも困りますねといつても、これは既定の事実なんです。政治の道義上の立場からいつて、かりそめにもあなたの総裁である鳩山さんが社会党両派の党首といわゆる三党協定を盟約しておる。そしてその三党協定によれば三月の上旬までに総選挙を完了するということになつて、それを天下に公約しておる。従つて休会明けの国会は一月の二十日から二十五月の間にどうしても再開されなければならないという一つの順序になつておるわけです。それで繰返してくどいようですが、そういう既定の方針に対処して政府は明らかに予算は国会に上程すると言明された。国民の前にその意思を明らかにしておる以上は、どうしてもこうしても政府は国民の前に明らかにした意図を実行しなければならないというのが、政府責任たということになるわけです。その責任を果せるのやら果せないのやら、どうも当面の大蔵大臣がわからないようなあいまいな言葉をもつて答弁をなさるということは、非常にわれわれの納得されないところでもる、こういうことなんですが、いかがでしようか。
  165. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 いや、あいまいでも何でもないのですよ。お考えください。もしも解散がかりにないとすれば、予算を編成して二十日にかりに出さないとしても、二十一日か二十二日にでも予算案を提出することもできるのではありませんでしようか。ですからそういうふうにやるのだが、その間に解散——これはどういうふうなお申合せであるのか知らない。私はそれをよく存じませんが、とにかく解散というのがそこにあるから、これはむずかしいことになるので、解散がなければ予算案ができたときに、二十一日でも二十二日でも出せばいいのではないですか。何も私はあいまいなことはないと思う。
  166. 川島金次

    ○川島(金)委員 あなたは鳩山内閣の閣僚ではないのですか。鳩山首相によつて任命されたれつきとした大臣である。その大臣たる人が鶴山内閣組閣の大きなる要件であるところの三党首協定を知らずして入閣したとは、われわれ常識的には考えられない。あなたも常識的には今日知らなかつたとは言えないと私は思うのであります。そういうことになつておるから、先ほど私が言つたように、国会が再開されれば予算案を上程するといつたからには、やはりその順序を追つてしなければならない。解散がなければ私はこういう質問はしないのです。しかし解散をして三月上旬までには選挙を完了するという一つ政治協定が確定しておるとすれば、御言明の通り、どうしても再開劈頭もしくは数日を出ない間に予算案は上程されなければならないわけです。くどいようでありますが、一生懸命努力はする。努力はするけれども解散という問題は困つた問題だというような言葉で、出すか出さないかわからない、いずれとも受取られるような言明では、われわれは少々今日の午前中の鳩山さんの言明やあなたの言明は受取れないことになるわけです。少くとも政府の要路の人が、政治家が天下に向つて言引した以上は、それを実行するという責任がある。その実行するという責任を負つた以上は、今私が一言申し上げましたような順序にならざるを得ない。そういう順序にならざるを得ないのを、努力はするがその場合によるかもしれぬということになれば、その反面には場合によれば予算は提出せずして終るかもしれないということが予想されるという結論にもなつてしまう。そこで私はくどくその問題を聞いたわけであります。ですからもう一ペン聞きますが、場合によれば今申し上げましたように、予算は上程されずに終つてしまうような事態があるかもしれぬということになりますかどうか、その意を明らかにしていただきたい。
  167. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 お考え通りでいいでしよう。
  168. 井上良二

  169. 小川豊明

    小川(豊)委員 今、川島委員からお尋ねした通り、私も鳩山内閣の予算の骨格を簡単にお尋ねしたいと思つてつたのです。午前中もやはり予算委員会で予算を出すということを言つておられるので、それでは骨組みだけでもどういう骨組みだということをお尋ねしたいと思つてつたのです。と申しますのは、あなたは自由党政府内閣のときに、日銀総裁を長くやつて協力されて来たが、今度自由党の財政政策なり金融政策なりを相当踏襲なさるのか、それともかわるならばどういうふうに骨組みとしてこの点がかわるかということを、私はお尋ねしたかつた。と申しますのは、十九国会の末期かと思いましたが、日銀総裁のあなたの更迭説があつた、あなたがやめさせられる、こういう話があつたのであります。この委員会政府当局が日銀総裁をやめさせるとか、更迭させるとかいうことは、きわめて軽卒の措置ではないか、不用意の言い方じやないかということで、盛んに大蔵大臣に質問をした時に、大蔵大臣は一萬田総裁でなければならぬということではない、最適任だとは思つていない、こういう答弁をされている。そうしますと、自由党の末期になつて、自由党の財政政策、金融政策なりと、あなたの見解というものが相当相違ができてしまつたのではないか、こう私どもは想像をされる。また私は大蔵省の高級官僚の方が、ああいう日銀総裁では困るからということを大臣に相当進言されたからそうなつたのではないか、こう思われる。そこであなたの予算を編成しようとするその考え方を、その骨組みだけでもここでお聞かせ願いたい。それからどういうふうな事情で総裁の更迭説が伝わつて来ているのか、何か事情があつたのか、こういうことをあわせてお伺いしたい。
  170. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 私今の小川君の御質問の問題の要点がはつきりしないのですけれども、財政金融の従来の基調をかえない。いわゆる財政も一兆円以内に組むことに努力をする。この以内に抑制をして行くという方針をとりますし、そうして金融において弔、むろんそれは従来と違つたにおいの予算といいますか、やり方も同じ 一兆円でも、この資金の配分の仕方を、私どもは重点的の配分の仕方によつて行こうとしておりますから、そういうような関係から金融面にも、また財政面からする影響も若干は違つて来るかもしれない。従つて何もかも一緒というわけじやございませんけれども金融もやはり私は対等にして地ならし工作をして、むしろ私の考えでは、日本の経済を健全にする地ならし工作を完成して行く、仕上げをして行くというような過程にあつて、そういうふうな感じを打つて金融も締めて行く。ただむちやくちやに締める——そういう基本線はかわることはありません。(「あなたの首の問題は」と呼ぶ者あり)それは私もよく存じません。
  171. 井上良二

    井上委員長 次会は追つて公報をもつて通知することといたし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時二十六分散会      ————◇—————