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1954-12-14 第21回国会 衆議院 大蔵委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年十二月十四日(火曜日)    午前十一時三十二分開議  出席委員    委員長 井上 良二君    理事 大平 正芳君 理事 苫米地英俊君    理事 内藤 友明君 理事 坊  秀雄君    理事 久保田鶴松君 理事 春日 一幸君       有田 二郎君    植木庚子郎君       三和 精一君    宮原幸三郎君       生田 宏一君    臼井 莊一君       宇都宮徳馬君    岡本 忠雄君       並木 芳雄君    福田 繁芳君       佐々木更三君    柴田 義男君       横路 節雄君    佐竹 新市君       平岡忠次郎君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 一萬田尚登君  委員外出席者         大蔵事務官         (事務次官)  河野 一之君         大蔵事務官         (主税局長)  渡辺喜久造君         専  門  員 椎木 文也君         専  門  員 黒田 久太君     ————————————— 十二月六日  委員生田宏一君、宮原幸三郎君及び中村英男君  辞任につき、その補欠として長野長廣君、津雲  國利君及び横路節雄君が議長指名委員に選  任された。 同日  委員長野長廣君及び津雲國利辞任につき、そ  の補欠として生田宏一君及び宮原幸三郎君が議  長の指名委員選任された。 同月十三日  委員千葉三郎辞任につき、その補欠として福  田繁芳君が議長指名委員選任された。 同月十四日  委員川島金次君、加藤高藏君、島村一郎君、藤  枝泉介君及び小川豊明辞任につき、その補欠  として佐竹新市君、並木芳雄君、臼井莊一君、  岡本忠雄君及び佐々木更三君が議長指名で委  員に選任された。 同日  委員佐竹新市君、並木芳雄君、臼井莊一君及び  岡本忠雄辞任につき、その補欠として川島金  次君、加藤高藏君、島村一郎君及び藤枝泉介君  が議長指名委員選任された。 同月十一日  委員長千葉三郎君が委員長辞任した。 同月十三日  井上良二君が議長指名委員長選任された。 同日  理事井上良二委員長就任につき、その補欠と  して春日一幸君が理事に当選した。     ————————————— 十二月十三日  昭和二十九年の年末の賞与に対する所得税の臨  時特例に関する法律案井上良二君外百三十二  名提出衆法第七号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  理事の互選  小委員会設置に関する件  国政調査承認要求に関する件  昭和二十九年の年末の賞与に対する所得税の臨  時特例に関する法律案井上良二君外百三十二  名提出衆法第七号)  外資導入に関する件     —————————————
  2. 井上良二

    井上委員長 これより会議を開きます。  最初ちよつとごあいさつを申し上げたいと存じます。昨十三日皆様の御推挙によりまして、不肖私が大蔵委員長重責を汚すことに相なりました。まことに浅学菲才、もとよりその任にあらずと思つておりますが、現在の経済情勢のもとにおきまして、当委員会にかけられました任務はまことに重大なものでありますから、たまたま委員長重責をになうことにいたしました以上は、粉骨砕身、誠心誠意をもつてその職務の完遂をいたしたいと存じます。何とぞ皆様のこの上の御支援と御鞭撻をお願いを申し上げまして、はなはだ簡単でございますけれども委員長就任のごあいさつにかえる次第であります。(拍手)  この際理事補欠選任をお諮りいたしたいと思います。不肖私が委員長に就任いたしましたため、理事一名が欠員となりました。この際理事補欠選任を行いたいと存じますが、これは先例によりまして、選挙の手続を省略して、委員長より指名いたすことに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 井上良二

    井上委員長 御異議なしと認めます。それでは委員長において春日一幸君を理事指名いたします。     —————————————
  4. 井上良二

    井上委員長 次に国政調査承認要求の件についてお諮りいたします。御承知通り委員会は、会期中は議長承認を得てその所管事項について国政に関する調査ができることとなつております。当委員会といたしましては、今会期中も調査する事項を、税制に関する事項金融に関する事項国有財産に関する事項専売事業に関する事項造幣事業に関する事項印刷事業に関する事項補助金等に係る予算執行適正化に関する事項といたしまして、議長に対してその承認方を要求いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 井上良二

    井上委員長 御異議なしと認めます。よつてさよう決しました。  なお国政調査承認要求書の作成、提出等手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 井上良二

    井上委員長 御異議なしと認めます。よつてさよう決しました。     —————————————
  7. 井上良二

    井上委員長 次に小委員会設置についてお諮りいたします。ただいま御決定を願いました国政調査議長より承認され、当委員会において調査をいたすこととなりましたときは、税制に関する小委員会金融に関する小委員会国有財産に関する小委員会専売事業に関する小委員会補助金等予算執行適正化に関する小委員会を設置いたしまして、それぞれ分担いたしました調査を進めることにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 井上良二

    井上委員長 御異議なしと認めます。よつてさよう決定いたしました。  次に小委員及び小委員長選任についてお諮りいたします。ただいま設置するに決しました各小委員会の小委員及び小委員長選任は、先例によりまして委員長より指名いたすことに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 井上良二

    井上委員長 御異議なしと認めます。よつてさよう決しました。  それでは委員長は追つて公報をもつて各小委員及び小委員長指名いたします。     —————————————
  10. 井上良二

    井上委員長 次に柴田君より発言を求められておりますので、この際これを許します。柴田君。
  11. 柴田義男

    柴田委員 外資導入に関する件の決議をいたしたいと存じましてお諮りいたしたいと思いますが、実は第二十臨時国会の際に、外資法の一部を改正する法律案提案いたしましたが、御承知のように非常に短時日の臨時国会でございましたので、遺憾ながら審議未了に終つたわけであります。そういうことでございましたので、今度本国会におきましても法案としてではなく、外資導入に関する決議をいたしたいと存じます。    外資導入に関する件   外資法運用に当つては、外資導入によりわが国特有中小企業が著しく圧迫されることのないよう、政府は特段の配慮を加えられたい。   右決議する。 こういう決議でございますが、この決議案提案いたします理由を御説明いたしたいと思います。  理由といたしましては、外資法第八条にも明らかでございますように、写本の保有外貨の圧迫をしないように規定はされておりまするけれども外資法の第八条の各項目を検討いたしますと、特に中小企業を擁護するようなことが見受けられませんので、現在の日本の中小企業特有性から考えまして、この決議をしていただきたい、こういうことで、この案を提出した次第でございます。  何とぞ各位の御理解ある御判断をくださいまして満場御賛成くださいますようお願いいたします。
  12. 井上良二

    井上委員長 ただいま柴田君より外資導入に関する決議の動議が提出されましたが、これは後ほど各党でいろいろ党議をきめました上で御採決願うことにいたします。     —————————————
  13. 井上良二

    井上委員長 次に昨十三日当委員会審査を付託されました昭和二十九年の年末の賞与に対する所得税臨時特例に関する法律案議題として審査に入ります。  まず提出者より提案理由説明をお願いいたします。春日一幸君。     —————————————
  14. 春日一幸

    春日委員 ただいま議題となりました昭和二十九年度の年末の賞与に対する所得税臨時特例に関する法律案について、両社会党を代表いたしましてその提案趣旨について御説明申し上げます。  この法律案は、昭和二十九年の年末の賞与について五千円を限り所得税を課さないこととするものでありまして、その趣旨とするところは、現下の経済事情のもとにおいて俸給賃金はストツブの傾向にあり、一般給与生活者生活事情はますます窮迫しており、特に低額給与生活者生活は非常に苦しい状態を考えまして、これら給与生活者の年末越年に特に経費のかさむ事情と、かつは年末賞与性格をあわせ考慮し、これに対して少しでも税負担を軽減することによつて、いささかながら潤いを与えようとするものであります。この法律案による税収減についてはいろいろと推算もありますが、おおむね六十億円前後であり、これに対する措置としては、法律が成立しましたならば、政府において所要の措置を講ぜられるべきであり、この程度は何とか切り抜ける道もあると思うのであります。  以上が本法律案提出しました理由であります。何とぞ御審議の上、至急御賛成あらんことをお願いするものであります。
  15. 井上良二

    井上委員長 これにて提案理由説明は終りました。質疑の通告があればこれを許します。柴田君やりますか。——それでは十二時半まで休憩いたします。    午前十一時四十一分休憩      ————◇—————    午後二時十三分開議
  16. 井上良二

    井上委員長 それでは休憩前に引続き会議を開きます。  この際大蔵大臣より特に発言を求められておりますので、これを許します。一萬田大蔵大臣
  17. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 今回私ほんとうにはからずも大蔵大臣に就任いたすことになりました。つきましては何かとお世話になることと存じますが、どうぞよろしくお願いいたします。(拍手
  18. 井上良二

    井上委員長 次に昭和二十九年の年末の賞与に対する所得税臨時特例に関する法律案議題とし、質疑に入ります。質疑は通告順によつてこれを許します。大平正芳君。
  19. 大平正芳

    大平委員 社会党両派諸君から御提案になりましたこの法律案につきまして、二、三の点について大蔵大臣所見を伺いたいと思います。  年末が差迫りまして、零細所得者の年越しにつきまして私ども社会党諸君と同様に深甚の関心を持つておるのでございます。従つてまたこの法律案もそういう趣旨からお出しになつたものと思うのでございますが、一体この法律が実施された場合において、所得税減収がどの程度になるものかということをまず第一に伺いたいのでありますが、こういう措置をやりますと、次年度におきましても、おそらく今年度限りの措置にはなかなかなるまいと思います。従つてそういう意味合いでまず減収金額最初に伺つておきたいと思います。
  20. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 推算と思いますが、減収額は約七十五億ぐらいに上ると思います。
  21. 大平正芳

    大平委員 今七十五億という数字を拝聴したのでございますが、今年度の予算におきましてそれだけの減収を来しましても、財政運営上支障がないものでありますか。それからまた先ほど申しましたように、こういう措置を一度出した以上は来年度以降もなかなかやめられないということになりますならば、来年度以降につきましても同様にそういった減収を覚悟しなければなりませんので、そういう減収を見込みまして財政運営上支障がないとお考えでございましようか、その点伺つておきたいと思います。
  22. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 今日七十五億の減収はなかなか大きな金額でありまして、これが減収になると財政運用支障があると思います。しかもこれは来年度以降の問題でありますが、私としては将来において、税においてはひとつ根本的な検討を加えなくてはならぬだろうと思つておりますので、将来にわたつてこれはどういう影響を与えるかというようなことにつきましては、別個にまた、おそらく問題は当面の問題であろうかと思うので、将来にわたつては、税全体について検討を加えるということで、所得税一般についてはどうすべきか、こういうふうなことも考えてみたいと思つております。
  23. 大平正芳

    大平委員 現行税法におきましては、他より所得捕捉率が多いとかいうような点も考慮して勤労控除制度が設けられておりますが、もしこういう制度を実施するといたしますと、そういった制度の改変になりますが、これに伴いまして中小企業者あるいは農民層、そういったものに対する現行税法上の均衡一つの波紋を生むわけになります。その場合われわれといたしましては、もし財政上にゆとりがありまして、中小企業農民層にも同じような均霑ができるのでありますならば、何も反対する理由はないと思います。ただ私どもがこの法案を見て考えますことは、現行税法におきまして、年々の税収を見ましても、勤労所得が漸増をしておりますし、申告所得はあまり伸びないというような状況で、捕捉率が高いばかりに勤労者にやや過重になつておるのじやなかろうかという点を実は気がつくのでございます。社会党諸君提案した御趣旨の中にもそういった気持があるように思います。またそれについてある程度われわれも同感であります。従つてこういう措置をやるといたしますれば、中小企業農村方面においても、この措置によりまして一向不均衡を来さないというのか、それともいやそうではなくて、この措置をやる以上は中小企業農民に対しましてもある程度措置を講じないと、税法のねらつておる課税の公正というものは期せられないということにお考えでございましようか。つまり他との権衡上こういう措置をとることについて大蔵大臣はどのような見解を持たれておるのか、あわせて伺いたいと思います。
  24. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 ただいまの均衡の点につきましては、均衡の点ということは二つあると私は思うのです。一つは、たとえば勤労所得のうちで年末手当だけに限つて免税措置をとるというのも、これは同じ勤労所得のうちでも幾ら均衡を害しましよう。さらにまたこの勤労所得と、たとえば今お話がありました他の中小企業というふうな方面との関係において、こういうものが認められると不均衡を生じると私は思います。これはただいま質問者の御心配になつておるところとまつたく考えを同じくしております。同時にまたこの勤労所得というものについて、これを尊重する、考慮を加えるということは私どもむろん異論がないのでありますが、これはこれとして、やはり先ほど申しましたように、私は全般の税について考えるという考え方を持つており、そのときにどうするかということを考えてみたい、こういうふうに思つております。
  25. 井上良二

    井上委員長 できるだけ高声で願います。
  26. 大平正芳

    大平委員 そういたしますと、大蔵大臣見解はこのように承知してよろしゆうございますか。つまりこれは年末所得だけに対する特別措置である、従つて勤労所得としても特異なる性格を持つておりますが、しかし中小企業農民等との均衡の問題は全体の税制の問題として今後とくと留意してみたい、この際特別な年末の措置としてこういうことをやるについては賛成でない、こういう趣旨にとつてよろしゆうございますか。
  27. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 その通りであります。
  28. 井上良二

    井上委員長 次に柴田君。
  29. 柴田義男

    柴田委員 ただいま大蔵大臣は七十五億の減収があるというような御発言でございましたが、これはどういう根拠でそういうことになるのでございましようか。私どもが計算いたしますると、現在二十九年度の給与所得を受ける対象人員が七百六十四万四千名です。そういたしますと、この七百六十四万四千名の全部にわたつて五千円を控除いたしますると三千八百二十二億になつて、これを平均一五%——これは上の方がその一五%をはずれておるものもあると思うのですが、これを全部にわたつて一五%と仮定いたしましても五十七億三千三百万、こういう基礎がここに出ておるので、われわれは減収金額を六十億と押えておるわけなのですが、十五億の差がありますることは何を根拠とされた数字であるか。  もう一つは、今のお答えの中で均衡を欠く、たとえば他の中小企業等に比較いたしましてお話がございましたけれども税体系全体から見ました場合に、所得額の総額が二千五百七十七億と予定しておつて、その中から給与所得源泉徴収が二千百五十八億というのが予算の上に立つておる金額でございます。こういう税体系を見ました場合に、所得税のうちの八十何パーセントというものが給与所得にかかつておるのであります。こういう観点から給与所得が大きな税源であるということから見まして、しかもこの比率を見ますると、たとえば年額二十万円収入以下のものがこの比率にいたしまして非常な大きな比率を持つておるのであります。人員にいたしましても五三七十一万四千名というものが年収五万円から二十万円の間のいわゆる勤労大衆であるのであります。こういう考え方から少くも少額所得者に対しまして五千円の基礎控除をやるということは、いかなる観点から考えても何も無理がない、われわれはこういう考え方を持つておるのです。中小企業に対する対策というものはまた別個に立てるべきであるし、あるいは農業所得に対しましても別個な考え方を持たなければならぬとわれわれは考えておるのですが、もう少し税の根本的な角度からお考えくださいまして、今六十億そこそこの問題でありまするから何とか御考慮を願いたい、こういうことをわれわれは再三お願いしておるわけなのです。もう少しお考えの上に立つて勤労者に対する同情を持つていただきたいと思うのですが、御所見をあらためて伺いたいと思います。
  30. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 この七十五億と六十億に十五億の違いがある、この点につきましてはお許しを得まして主税局長の方から詳しく御説明申し上げることにします。  それから勤労所得についてあるいは勤労者に対して私は非常に——何しろこういうお役人になつてたつた三日か四日しかたちませんが、従来私は自分自身俸給生活者であり勤労者である関係もありまして、同情どころではない、自分自身の問題として、それは社会党の人々なんかはみな知つておるはずですが、非常に私は同情をしておるわけです。しておるわけでありまするが、同時に今申されましたような給与のうちで、勤労による給与が非常に大きな部分を占めておる、これもその通りであります。でありますが年末手当だけについて特別な税措置をとる、これまた別個なものであります。私は勤労所得をいかに税の上において取扱うべきか、それを特に全体の税の上で考えてみたい。それまでしばらくお待ちになつて——それは勤労所得を尊重せぬとかするとかいう問題ではない。大いにひとつ尊重して考えてみよう、こういうことであります。
  31. 渡辺喜久造

    渡辺説明員 今柴田委員からお話のございました課税を受ける給与所得者の敬が七百六十四万四千名、これはわれわれの数字に大体合つております。それから五千円の問題も合つております。われわれの方で持つておる金額は大体三百八十億であります。われわれの方で計算しましたのは最近の階級構成が一応わかつておりますから、これに基いて計算した数字でございます。大体柴田委員とわれわれの方の数字の食い違いのもとは、柴田委員は一割五分という税率で大体これぐらいだろうとお考えなつたのに対しまして、われわれの方は、一応階級構成によつてやりました結論が大体二割といいますか、七十五億という数字が結果的に出た。われわれの方は階級構成でやつておりますので、大体その数字の方がより正確ではないか、かように考えております。
  32. 柴田義男

    柴田委員 大蔵省はほとんど眼をつぶつて計算しておるような感を深くするのであります。これはあなたの方が正確ではない、ぼくの方が正確であると信じておる。私はやはり五万円の所得者幾ら、十万円が幾らということを全部見まして、しかも年額二十万円まで五百七十一万四千の人数がある。それからあと三十万、五十万というのはだんだん少くなつて来ておるのですから、大体六十億というのは絶対間違いがない。これはもう確信を持つております。大蔵省の方がずさんだということは、税収入の今日までの状況から判断いたしましてもこれは明らかである。たとえば十月末の収入状況から判断いたしましても、昨年度から見まして大差ないのが半分ぐらい、非常に開きのあるのも半分ぐらいある。ここに一つ、二つの例をあげてみますと、砂糖消費税のごときは十月現在で七六・四%の収入がある。そういたしますと、十月現在でありますれば五八%の徴収が行われると一〇〇%の徴収なんです。それが七六・四になつておる。それから揮発油税が六七・六、こういうように非常に増強をはかつておるのです。特に少いというのは有価証券取引税、あるいは地方税に無理やりに持つて来ました関係から入場税、こういうのが非常に低い比率でありますが、あとは大体において高目になつておる。こういうように収入面においては非常に増収がはかられておる。デフレデフレだと言つていながら税金攻勢は非常に乱暴にやつておるという証拠がここに現われておる。だから六十億そこら国庫から出してもらえるというのは実際簡単にできなければならぬはずなんです。けれども増収の方は全然見せないでおいて、ただたとえば法人税が少いであろう、こういうようなお話でありますが、今度の補正予算の場合は法人税を目標として立てておる予算であつたでしよう。その点を大蔵大臣でなくてけつこうですから、渡辺さんから伺いたい。
  33. 渡辺喜久造

    渡辺説明員 歳入の見積りにつきましていろいろ御批判があつたわけでありますが、われわれとしましてもできるだけ正確を期しているわけでございますが、景気の動きの見通しがわれわれの考えたのと違うというところでもつていろいろ増減が出て来る。まことに遺憾でありますが、やむを得ない点もあることを御了承願いたいと思います。今度の補正予算におきまして百五十億の法人税を立てたゆえんは、大体われわれが当初考えておりましたデフレテンポに比べまして、デフレテンポが割合におそかつた。従つて法人税税収は、これは柴田さんも御承知通り、大体大きくわけまして今年の三月の決算、九月の決算、これが大体法人税税収を決定するわけです。他の税になりますとまだ相当の期間がございますので、われわれとしましても、現在までの状況がよかつたからといつて、そのままの姿でもつて伸びて行くかどうかということにつきましては、相当の疑問を持つております。法人税につきましては、大体三月、九月の決算がほぼ固まりましたので、従つてわれわれが当初考えておりましたときに比べますと、主としては三月の決算がよかつたわけでありますが、そこで今度の補正に際しまして百五十億という見通しを立てたわけであります。一応今度の補正予算につきましては、全体的に見直したわけでございます。御指摘のようないろんな点も、確かに考えられないではございませんが、やはり減の方も考えられますから、全体としましては大体補正予算程度ではないかということも現在考えております。
  34. 柴田義男

    柴田委員 砂糖税金は三箇月の延納を認められたですね。——そうしますと、三百八十何億かの予定でございますから、月額約三十倍である。ああいう非常にもうかつておる砂糖会社に三箇月の延納を認めるよりも、あれくらいの砂糖税金というものは前金でもいいくらいなのです。けれども前金では税額がわからぬでしようから、これを一箇月に仮定いたしましても、二箇月早く徴収することによつて六十億というものが生まれて参りますが、こういうこともお考えの中にございませんでしようか。
  35. 渡辺喜久造

    渡辺説明員 ちよつと私がうなずいてミス・リードしたかもしれませんが、法律の上では三箇月以内の延納を認めることができるとなつておりまして、それで最近におきましていろいろ御批判もございまして、現在としましては二箇月の延納に縮めております。従いまして、これ以上さらに縮むべきかどうかということはいろいろ御批判もありますが、われわれの方で調べたところによりますと、砂糖会社というのは大体子会社的な商事会社を持つております。その子会社の商事会社から代金が返つて来るというところまで計算いたしますと、二箇月ということになりますし、最近砂糖の景気がよろしゆうございますので、お説のようなことも考えられないではありませんが、あまりこの納期を一般に延ばしたり縮めたりするのはいかがかと考えております。三箇月から二箇月に縮めたあとでございますので、現在としましてさらにこれを縮めることはちよつと無理ではないかと考えております。
  36. 井上良二

  37. 春日一幸

    春日委員 一萬田大蔵大臣は御前任は日銀総裁である。日銀総裁であられた当時、前大蔵大臣小笠原三九郎氏は、一萬田日銀総裁は日本銀行総裁として最適任者ではないと思う、こういうことを参議院の大蔵委員会発言をいたされまして、われわれは事の重大性に愕然と驚きを喫したものでございます。しかしながら日銀総裁なるものは、まあ最適任者でなくても、所詮は金融行政、金融という事柄に局限しての最高の職責を果されるという事柄であつて、そこで小笠原三九郎氏が指摘したような程度の方であつても、あるいは国家のためには大事ないかもしれない、こういうようなことで、問題はその後の推移にまかされたと思うのであります。ところが今回あなたは、単なる金融行政でなく、金融財政税制全般にわたつてその責任を負われる形に相なつたのでありますから、従つてあなたが、大蔵大臣として鳩山内閣のもとにおいては農適任者としての手腕、力量を発揮されるかどうかという事柄は、これははなはだ重大な事柄である。なおあなたの秤に銘じていただかなければならないことは、本日あなたがこの席におすわりになることは、すなわち私ども社会党左右両派が吉田内閣並びにその亜流を打倒することのために、この際一応こういうようなかつこうをつけてみよう、こういうことで、いささかその責任を負うた形に相なつておりますので、従つてあなたは、今後われわれが質問することについて、這般の事情を十分御判断の中に加えて、すなわち最適任者としての手腕力量を示した御答弁を願わなければならぬと思うわけであります。  それで質問に入りたいと思うのでありますが、ただいまあなたは大平委員の質問に対してこういうことを言つておられる。すなわち年末賞与だけにこの特例を行うということは、これはどうかと思う。こういうことを言つておられる。それはきのうやおととい政治の畑をまたがれたあなたには、おそらくはこの政界多年の懸案である勤労所得者、低額所得者のこの越年の事柄がどういうふうに困難な問題であり、しかもこれは累年の越年国会においてどのように審議されているかという、そのことをてんであなたは御理解がないから、あるいはそういうようなあさはかな答弁をされたのではないかと思うのであります。そこで私は重複するかもしれないが、われわれがこの提案を必要とする理由、これを本日午前の本委員会において述べたのでありますが、あなたはその席におられませんでしたので、その趣旨だけを改めてここで申し述べて、あなたの御判断の資に供したいと思う。その趣旨とするところは、現下の経済情勢のもとにおいて、俸給、賃金はストップの傾向にある。一般給与生活者生活事情はますます窮迫している。そこで年末ともなれば、越年のために経費のかさむのが実情、これは何とかして少しでもこの人々の税負担を軽減することによつてこの越年をせしめたいという国会のこの思いやり、こういうところから法律案は特に低額研得者を対象といたしまして、五千円をマキシマムとして、こういうような特別の措置を行おうとしている。こういう趣旨に基いて提案されたこの法律案に対して、あなたが特に年末賞与にだけこういう特例を行おうというのは私はどうかと思うと言われたからには、あなたには相当の抱負経綸、あるいはこれに対する態度があつてのことでなければならぬと思うが、これはどういう見解に基いてかく思われておるのであるか、この点をまずもつて明らかにされたいと思うのであります。
  38. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 私が考えておりますことは、先ほど繰返して申しましたように、税全体についてひとつ検討を加えよう。むろんこの年末の間に合わぬということはありますが、今日の諸情勢から見まして、財政的に見ても、他の一般の関係から見ても——はなはだもつて私自身としても心苦しいのでございます。その趣旨においては少しも異論はないのであるが、今そういうふうな措置をとられることは、財政の上からどうしても御賛成がしかねる。同時に同じ動労所得に対する税法土の特例としても、その方法論においてもやはり納得が行かない、こういうわけであるのでありまして、今後において私は十分自分の責任を持つて、こういう勤労所得に対していかにするか、万全の方法をやりたいと思いますが、しばらくお時間をかしていただきたい、こういうことであります。
  39. 春日一幸

    春日委員 所得のあるところには課税をするというのが、私は徴税行政の大体基本的なあり方であると思う。そこで今、年末の給与だけにこういうような特例措置を行うことはどうかと思われる、こういうようなことでありますが、そんなことは現在の徴税行政の随所で行われておる事柄であつて、ただこのことを取上げてこれを異とするには足らないのであります。これは申し上げるまでもなく、たとえば大企業に対しては、所得のあるところには課税をすべきであるが、これを特に免じておる。これは租税特別措置法の各項目の中において、たとえば価格変動準備金において百二十二億、貸倒準備金において百六十億、退職準備金その他において六百八十数億というものは、所得はあるけれども、特別にこれに課税しないで、社内の留保を認めて資本の蓄積の便宜に供しておる。こういう事柄は随所に行われております。たとえばまた前の臨時国会におきまして、昭和二十九年産米についての減税という特別措置もいたしております。この減税措置によりまして、農家が得たところのフエーヴアーは、二十億ないし三十億を越えておるといわれておるのであります。いわゆる国家の行財政の大所高所からながめて必要とする場合は、これは所得のあるところに課税をしない、特別の免除措置を講ずるということは、これは租税特別措置法の随所において行われておる事柄であり、さらにまた臨時国会等においても、農家の所得に対し、あるいは社会保険診療報酬に対しても、この国会が責任を負つて、満場一致でもつて医師、歯科医師に対する収入に対して減免措置を講じておる。あなたは税全体の立場において今こういうことを行うことはどうかと思うと言われるが、これは当然税体系を全般的にわれわれが今ここで論及しようとしておるのではないのです。たとえばこの年を越そうとしておるところの低額所得者たちが——しかもこれは低い所得の人々だけを対象としてわれわれはこの問題を提起しております。これらの人々がベース・アツプをしてくれといつても、ベース・アツプができない状態にある。越年資金を二箇月分くれといつても、これは出しがたい状態にある。だからそういう企業体の経理全体から考えて、そういう労働者の生活を保障して、何とかしてこの年を越させるということが、それぞれの雇用責任者からそういう給付を行うことができないとするならば、行政措置によつて何らかの寄与を行つて行こうというのが本法律案提案趣旨であります。そういうことでありまして、五千円を限度としてこれを論ずるという形になりますと、これを八百万人に割りますと大体一人当り七百円前後のフェーヴァーしかございません。けれども、この七百円前後の金でもつて子供のシヤツを買い、あるいはお正月のげたを買い、羽子板を買う、こういう程度のことをしてやるということは、これは少くともわれわれが当面しております数々の政治的懸案の中で最も緊急に解決をせなければならない懸案の一つだとかたく信ずるがゆえに、こういう提案が行われたわけです。  私は大臣に申し述べたいことは、われわれは税体系の全般的な構成をいろいろ根本的に改廃するというときがやがて来ると思いますけれども、今はその事柄に何も触れているのではない。ただ低額所得を得ているところの諸君が、御承知かどうか知りませんが、この年を越すにあたつていろいろな項目を掲げているが、その項目の中で、たとえば二箇月分の越年手当、ベース・アツプの要求、それから年末の賞与に対する減税措置に対する嘆願、こういうようなものの中の一つぐらいはかなえてやるというのでなければ、これもだめだ、あれもだめだというので全部これを拒否してしまうというようなことでは、これはあまりに残酷ではないか、こういうことからこの法律案提案されているわけであります。それにただいま柴田委員からいろいろ論じておられますが、この財源というような問題も、あるといえばある。ないといえばない、こんなものは水に映つた二十日月のようなもので、七千七百億円のうちでわずかに一%の操作ができないというようなことは、これは理解ができない御答弁と申さなければなりません。これは私どもがお互いに腹をきめて、そうしておれたちはこの考え方以外には一歩も出ないのだ、こういうことではなく、やはりこういうような委員会の論議を通じて、その国民の声はあなた方がすなおに胸を開いて聞いてもらう、そうしてわれわれの主張であつても、やはり首肯するに足るような事柄があるならば、何とか可能な方法をあなた方が努力してこれを深して行つていただく、こういうことでなければ、とても国会における論議というものは意義を有さないんじやないかと思うわけであります。  そういう意味でもう一ぺんあなたにお伺いをいたしたいことは、今いろいろ諸般の事情もあるでありましようけれども、この働く人たちの政府に対するこういう切実な要求を、前々年からのいろいろないきさつ等もございますので、この際この程度の要求を通すことのために、ひとつ閣内にあつて格別の努力を願いたいと思うのでございますが、これに対して大臣はどういうふうな御見解をお持ちになつているか、もう一ぺん重ねて御決意のほどを承りたいと思うわけであります。
  40. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 るる御趣旨お話がありまして、私も涙が出るような気持なんです。しかし今ここで御提案のようなことが財政上できませんことを非常に遺憾に存じます。しかしお述べになつたような趣旨は、もし私がこの職に将来長くおりますれば、ひとつやつてみましよう。
  41. 春日一幸

    春日委員 もう一つ申し述べたいのでありますが、われわれがこういう法律を出しましたことにつきましては、これは提案者たちの即興曲な着想によるものではない、このことをひとつ大臣に申し述べてさらに深い御検討を煩わしたいと思うのでありますが、これは昨年の十月でありましたか、吉田内閣が任命いたしましたところの税制調査会、この税制調査会がこの税制改革に対するいろいろな研究をいたしまして、かく改革さるべしという答申を出しておりますが、その中にこういうことを述べておるのです。すなわち国税に関する事項のうち、所得税に関しましては、当時まではこの基礎控除は六万円でございました。ところが現実にまず月間所得二万円以下のものは課税をすべきでないであろうという考え方の上に立ちまして、扶養控除やいろいろなものの引上げをいたして参りましたが、特に基礎控除は当時六万円のものを、これを八万円にされるべきである。これはいろいろな資料、いろいろな生活、物価、賃金等を勘案いたしまして、そうしてこれはその六万円のものを八万円程度基礎控除を引上げるのでなければ勤労者生活が苦しいのだ、こういうことを言つて来ております。ところが第十九国会におきます税の改正におきましては、これがわずか一万円、この八万円に引上げられるべかりしものが——これは政府が任命をしたところの信頼すべき学識経験者その他それぞれのオーソリテイが合議制の検討を加えて決定せられた結論の八万円というのを、一万円だけ上げた、こういうことで今日までこの問題が持ち越されているわけなんです。そこで一方ベース・アップはできない、減税に対する税制調査会の答申案もその答申のごとくには実施に移されない。それではどこへもはけ口がないから、何とかして税金の面で、わずかではあるけれども、すなわち国の財政の許し得るであろう範囲内において、こういう意味で、私どももこれはしぼりにしぼつてここまで法律案をまとめて参つたわけなんです。当初のわれわれの大体の素案というものは、年末賞与二万円以下のものに対しては課税しないというものでありましたけれども、しかしそれでは減税の実額が相当巨額にわたる、これでは一兆円予算の範囲内においてあるいは操作ができないのではないか、こういうようなところから、これを二万五千円に下げて、さらにこれをそろばんを入れて、これでもあるいは困難であろう、それで一万円を下げ、五千円ならばと、こういうところでこの問題の最後的な結論を得たわけなんです。これによりますところのわれわれの推算によりますと、大体六十億ないし六十五億、これのためには本年度の農業所得における増収、これも六十億や七十億はあるだろう、あるいは砂糖消費税の自然増収、これも相当の額に上るであろう、あるいはガソリン税の増収、こういうようないろいろな増収もあるのだから、なお一兆円の予算の範囲内で、あるいは国税の総額合せて七千七百億円の範囲で、六十億くらいの操作はできないはずはないという大確信の上に立つておる。これは当時民主党のそれぞれ権威ある諸君の御検討を煩わして、何とかひとつわれわれが同調できる線まで下げてくれろということから、われわれにおいても二万円を二万円に下げ、五千円に下げて、とにかくこの最大公約数を見出すことのために努力して参りました。問題は、これは先般来自由党の諸君も民主党の諸君も言つておられますが、政府にしてやろうと思えばやれるのだから、一萬田大蔵大臣にして何とかやつてみようというような御決意がつくならば、自由党も、民主党もひとつ大いに同調しようではないか、こういうところまですでに案が練られて来ているわけです。今や大臣の御決意だけが問題を決定するという段階に参つております。どうかそういう意味で、たとえば河野次官とかあるいは渡辺主税局長とかいうのは、これは保守反動内閣に長く祿をはんだ諸君でありまして、こういうような諸君の言うことにはあなたは耳をおかしになつてはならぬ。これではわれわれが政府をとりかえた意味をなさないのであります。それでとにかく本日ここに鳩山内閣をつくつたところの民主党の諸君や、あるいはそれに一臂の力を添えたところのわれわれの意見を聞かなくて何となさる。これはあなた方がもう少し物事をあるがままに考えられて、自説に固執することなく、あるいは前反動内閣の官僚諸君の言うことにとらわれることなく、十分ひとつ御判断を願いたいと思う。何とかいま一臂のお力添えが賜われないものでしようか。とくと大臣の御答弁を願いたいと思います。
  42. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 まことに同じことを繰返すようで実に申訳ないのです。しかし御趣旨はもう私よくわかります。むしろ非常に感動を覚えております。しかしどうも財政上から遺憾の点があるのであります。同時にまた、今日では、百円のシヤツも買えずに年を越さなければならぬ人もたくさんあるのであります。また家のない人もたくさんある。それから職安のあそこに行けば列をなして職を求める人がいるのであります。こういう人たちを一体どうしようとするのか。私は、まず大蔵大臣ならばこういう人を救いたいのです。そうして幾らかでも所得の多い人はしばらくお待ちを願いたいのです。
  43. 春日一幸

    春日委員 大臣の声の音色を聞いておると、何となく真実心があるかに見えるようではあるが、しかしそれを速記に写してあとで読んでみたら結局何にもやらない、こういうことでは——ここは委員会であつて芸術を語る席ではないのであります。これはやはりわれわれとしては納得できません。そこで私はあなたにもう一ぺん申し上げますが、なるほどシヤツ一枚買えない気の毒な人がありますよ。そういうような緊急対策の失対労働者諸君の越年のためには、本日労働委員会においてここと同じような白熱の論議が交えられておる。これはあなたの所管事項ではないから、そんないらぬところに頭をお使いになる必要はない。あなたの所管事項だけについてひとつ述べてもらいたい。あれもやれないからこれもやれない、これでは完全権衡というものははかり得るものではない。もつともわれわれはそれを理想とするが、しかしこれはなかなかなし得るものではありません。本日労働委員会において、五日間のものを何とか三日間出してくれということをほかの大臣が一生懸命に論議をされておりますから、それができないからこれもやらないというようなことでなくて、当面問題となつておりますこのことに対してひとつ善処を願うというのでなければ、ほかでやられておることがやれないからこれもやらないということでは、ここの場における適切な御答弁とはいただきかねるのであります。大臣が同情するとおつしやつたことは非常にありがたいが、そういうような単なる口先の同情とかあるいはそら涙かと、そういうものでなくて、百万言をもつて同情していただくよりも、一つ法律を通していただけば、これでもつて八百万人の諸君が越年にあたつて潤うのであります。どうかそういう意味において、そのような断定的な御見解を述べられるということでなくて、今両党においてもあのようにいろいろと論議が前進をいたしておるのでありますから、あなたもこれに歩調を合されて、私の言い過ぎた点もあるかもしれないが、これはひとつ御了恕願つて、問題を何とかして御解決願いたい。ここにせつかく朗らかといわれる鳩山内閣が、越年のためにひとつ朗報を勤労大衆に与えることのために、大臣の一層の努力をお願いいたしまして、私の質問を終ります。
  44. 井上良二

  45. 臼井莊一

    臼井委員 新らたに大蔵大臣になられた一萬田さんは、長らく日銀総裁として金融経済界ばかりでなく、おそらく財政にも精通されておられると思います。われわればかりではなくて国民も大いに期待しておると思うのであります。そこでただいま御答弁にありましたように、もし財政が許すならば、せつかく社会党の御提案である賞与のあれを何とかしたいという気持もわかるし、さらにもつと困つている失業者が今七十万からあり、潜在失業者が七百万からある。こういう点から考えれば、社会保障費でそれをもつとやつて行きたい。これは私今度の新内閣の精神である、そう信ずるのであります。私は臨時にこの日委員になりましたから、本案の経過等は詳しく存じませんが、もしこれが突然でないとしても、新内閣としてはやはり突然これを受けたような感じがするのです。そこで大蔵大臣は、将来税全体の体系を考えて善処する、こういうふうに御答弁されたと思う。ただ将来のことについて一点お伺いしたいが、事実戦後の所得税が非常に高いことは、これはもう大蔵大臣承知通りです。戦前は百万人くらいいた所得税の納税者が、戦後は一千万からあるという頭数だけから見ても、これは非常に大衆的な課税になつて来ているように思うのです。そこでもし本案が財政上どうしてもできないとしても、所得税が非常に高いということが勤労意欲を阻害しておることは今の非常な欠陥の一つだと私は常々思つているので、将来全体の体系を考えられる上においては、ぜひとも所得税の軽減をするということが必要だと思うのであります。この点について御確約ができればなおけつこうでありまするし、まあいろいろの点もございましようが、その点もう一度念を押してお伺いしておきたいと思います。
  46. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 将来税制全体を考慮いたしまする場合に、ただいま私がいろいろと勤労者または勤労所得について申し上げましたように、これに十分特別に配慮を加えて行く、こういうことは申し上げてよかろうと思います。
  47. 井上良二

  48. 並木芳雄

    並木委員 大臣に私がお伺いしたいのは、大臣が就任してから各報道機関との会見において、今まで相手の所信を披瀝しておられます。これはまだ就任そうそうだから私にはわからない、よく検討してみようというのが普通のおざなりのあいさつですけれども、一萬田大臣は珍しく相当積極的な意見を吐いております。たとえば住宅対策あるいは失業対策、そういう場合に、もし財源がなければ特別の税金というものを考慮してもよろしいということまで言われているのです。私はこれはけつこうだと思う。貧乏財源で何にもしないでいる大臣よりは、何とかして財源をつくつて積極的に仕事をして行くということは非常にけつこうで、この点にかなりの期待がかけられておるのであります。  そこで本件の問題とも関連してお伺いいたしますが、もし大臣が考えておられる特別の税収入をもつて財源に充てる税制というものはどんなものが具体的にありますか。直接税主義で行くのか、間接税主義で行くのか、その腹案の一、二でもこの際明らかにしていただけば、われわれとしては非常に参考になります。
  49. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 御質問の点につきまして、今私が詳しくお答えできれば非常によろしいのでありますが、私今新任後二日か三日で、今局長に実はイロハを習つておるようなわけですから、この点はひとつしばらくごかんべん願いたいと思います。
  50. 並木芳雄

    並木委員 局長にイロハを習うというのでは大臣の答弁として私ははなはだ権威を欠くと思う。やはり局長に対しては自分はこういう方針でやるんだという指導精神がなければならぬ。それがなければ私は大蔵大臣という職を引受けることはできないのだと思う。その点は私としては非常に失望いたします。何となれば、今度の民主党内閣というものは選挙対策として少しいい看板ばかりかけ過ぎている、いざとなればできないじやないか、そういう非難の起ることをおそれているのです。  たとえばきようのこの問題でも、わずかに七十五億円ぐらいのもので、しかもいわゆる苦しい大衆に喜ばれることができないということになり、財源がないというのでいつもおざなりの文句で逃げられてしまつたのでは、ほれ見ろ、新しい内閣の一萬田大蔵大臣といえども、いざその座にすわつてみれば何にもできるものじやないという攻撃を受けるわけだ。ですからきよう私が伺いたいのは、あなたがそうおつしやつてもこの法案はあるいは通るかもしれないのですが、通つたあかつきに、大臣は財源がないと言つて逃げておられるが、そのときはどうしますか。
  51. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 いや、あまり早く失望なさらぬでください。働く前に飯を食わなければならぬというのと同じ意味で、自分の方針を立てる前に大いに今現状把握に努めているわけであります。どうぞそういう意味でひとつ御了承を願います。
  52. 並木芳雄

    並木委員 現状把握はもちろん大事なんだ。ところが現状把握中に一つこういう具体的な案が出て来ておるわけです。もしこの法案が通つたときに大臣はどうされますか。
  53. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 私は通らないようにひとつお願いをしております。
  54. 井上良二

  55. 福田繁芳

    ○福田(繁)委員 ただいま議題になつておりまするこの法案に対して、大体提案理由なり、それに関連するところの各党派からの質問はほぼ過ぎ去りたと私は思うので、ここで簡単に一言河野次官に伺いたいと思います。  先ほど提案者の春日一幸君は、実に人情的と申しまするか、縦横から見ても御無理ごもつともな御疑問をされたわけであります。それに対して新任日浅いところの大蔵大臣は、これまたわれわれ拝聴しておつても、まつたく終戦後歴代の大蔵大臣で、これほど下層に通じた大蔵大臣はないと思われるほどのごりつぱな御答弁をされたわけである。そこでこの問題に対する両派の野党の諸君の質問は、おのずから異なつたところの立場から質問されておるわけなんですが、河野大蔵次官は前内閣から今日まで引続いてこの任にあられるわけで、ことに一年前のおそらくきのうきようくらいは、社会党から出されたこの法案——これはたしか二万円であつたと思うが、これに対しても、あなたなりあるいはその当時の自由党の諸君の意見なり態度というものは、私いまなおまぶたに残つておるわけである。そこで率直に伺いまするが、この法案に対して、前内閣から引続いておられます河野次官は、はたしてこれを通そうと御希望されるか、またはあまり芳ばしくない法案だと思われますか、はつきりこれをあなたから伺つておきたいと思う。
  56. 河野一之

    ○河野説明員 私の考えはただいま大蔵大臣のお述べになつ通りであります。
  57. 平岡忠次郎

    ○平岡委員 動議を提出いたします。すなわち本法案に対する質疑はこの程度で打切りまして、ただちに討論採決に入られんことを望みます。
  58. 井上良二

    井上委員長 ただいまの平岡君の動議に御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  59. 井上良二

    井上委員長 御異議なしと認めます。よつて法律案に対する質疑はこれにて終了いたしました。  討論の通告があります。これを許します。久保田鶴松君。
  60. 久保田鶴松

    ○久保田(鶴)委員 私は、社会党両派を代表いたしまして、本法案に賛成の意を表明いたします。  本法律案提出いたしましたゆえんのものは、現下の経済事情のもとにおいて、俸給、賃金の引上げはほとんど停止されており、一般給与生活者の窮状は目をおおう状態に置かれておるのであります。にもかかわりませず、一方税体系から見ますると、これらの俸給生活者に対しては苛酷なほどの重税が天引きされておるのでありまして、このからだ一つを元手として労務あるいは事務に従事している勤労所得者に対しまして、せめてもの年末における何らかの温情ある措置を講じ、また乏しいながらももち代を考慮いたしたいと考えまして、本法案の上程と相なつた次第でありますが、この問題は、党派を問わず、政治の座にあるものとしては当然とるべき措置であると考えたからであります。  ところが大蔵当局は、本法律案を実施した場合には、所得税減収見込額は七十五億円として、税収見込みが先細りの今年の状態においては、かくのごとき税収減となる案に賛成できないとの態度をとつておりますが、私どもの見た本年度の徴税実績より推察いたしまするところでは、まず明らかに徴収でき得るものに砂糖消費税があります。この砂糖消費税は、この二箇月延納制度は目下必要なきものと思います。従いまして、年度内にとることになりますと、二十億の財源が調整できるのであります。また酒の消費増加に伴う酒造用の米の数量等でございますが、これを五万石だけ増加いたしますとすれば、酒税の徴収見込みといたしまして、約四十億の収入増となるわけであります。さらに、米価の値上りに伴う所得の増が、これまた約六十億円見積られるのでありまするから、これらの合計をもつてすれば優に当法案による減税等を補つて余りあるものであります。かくのごとく総合的に見た場合、税収上の欠陥は、当局の説明とは逆に、何ら憂慮するに及ばないものと確信いたしておる次第であります。しかも、混迷せる現在の世情においてかかる措置を講ずることは、社会不安の増大を阻止し、勤労意欲の向上等に寄与するところ大にして、必要不可欠の急務なりと信ずるものであります。  なお、わが党といたしましては、予定いたしておりました金額は二万円に対する免税でありましたが、他党との調整上、五千円の少額と、またこれが適用される範囲が狭められましたことはまことに残念でありますが、諸般の事情等のために、やむを得ぬものとして本法案に賛成の意を表するものであります。  なお、本法案が万が一にも否決されました場合には、両派社会党は、本会議における少数意見の発表の権利を保留いたしまして、私の賛成演説にかえる次第であります。
  61. 井上良二

  62. 苫米地英俊

    ○苫米地委員 自由党におきましては、この春以来税制全体に対して研究をいたしまして、全体について、合理的な調整のとれた減税をする案を持つているのであります。従いまして、私どもは、これ一つだけを通すということには党としては賛成いたすことができないということを、一言だけ討論として申し上げておきます。
  63. 井上良二

    井上委員長 これにて討論は終局いたしました。  暫時休憩をいたします。    午後三時十七分休憩      ————◇—————    午後三時三十三分開議
  64. 井上良二

    井上委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  昭和二十九年の年末の賞与に対する所得税臨時特例に関する法律案議題として採決をいたします。本法律案を可決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  65. 井上良二

    井上委員長 起立少数。よつて法律案は否決されました。  この際お諮りいたします。本法律案に関する委員会の報告書の作成、提出手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  66. 井上良二

    井上委員長 御異議なしと認めます。よつてさように決しました。     —————————————
  67. 井上良二

    井上委員長 次に、休憩前に柴田委員より提出されました外資導入に関する決議についての動議を採決いたします。柴田委員提出の動議のごとく、委員会において外資導入に関する件につきまして決議を行うに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  68. 井上良二

    井上委員長 御異議なしと認めます。よつてさよう決しました。  なお本決議政府に参考のため送付することとし、その手続等につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  69. 井上良二

    井上委員長 御異議なしと認めます。よつてさよう決しました。  本日はこの程度にとどめ、次回の委員会は来る十二月二十一日及び二十二日の両日それぞれ午前十時より開会することといたします。  本日はこれにて散会をいたします。   午後三時三十五分散会      ————◇—————