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1954-12-15 第21回国会 衆議院 議院運営委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年十二月十五日(水曜日)    午後三時二十分開議  出席委員    委員長 菅家 喜六君    理事 田渕 光一君 理事 三和 精一君    理事 椎熊 三郎君 理事 山村新治郎君    理事 山本幸 一君 理事 土井 直作君       生田 宏一君    助川 良平君       原田  憲君    山中 貞則君       園田  直君    長谷川四郎君       青野 武一君    井手 以誠君       辻原 弘市君    池田 禎治君       長  正路君    小林 信一君  出席国務大臣         内閣総理大臣  鳩山 一郎君  委員外出席者         議     長 松永  東君         内閣官房長官  根本龍太郎君         事 務 総 長 大池  真君     ————————————— 十二月十五日  委員岡田春夫君辞任につき、その補欠として小  林信一君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  選挙粛正等について、内閣総理大臣及び内閣官  房長官に質疑  本日の本会議議事に関する件     —————————————
  2. 菅家喜六

    菅家委員長 これより議院運営委員会を開会いたします。  昨日社会党より内閣総理大臣出席の御要求がありましたので、さつそく政府と交渉いたしましたところ、ただいま総理大臣がお見えになりました。第一に、まず内閣総理大臣に対する質問を許します。次に本日の議事日程に移りたいと思います。  なお委員長から各位にお諮りいたしますが、総理大臣の御答弁は、着席のままお願いすることにいたします。御了承願うことにいたします。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 菅家喜六

    菅家委員長 それでは池田禎治君。
  4. 池田禎治

    池田(禎)委員 私は、本日快く御出席をいただいた総理大臣にまず深く感謝いたしますと同時に、あなたが大命を拝しまして投票を——信任を得て総理大臣となられて、組閣経過とか、その後の経過を眺めて、従来の吉田内閣に大きな不満を持つたわれわれといたしましては、非常な明るい気持をもつてあなたの組閣を見守つて参つたのであります。そこで国会運営につきまして、総理大臣はどういうふうな御所見を持つておるか、二、三の点について私はお尋ねをいたしたいと思つておるのでございます。  御承知のように、十一日に政府声明として、清純な政治を行い、綱紀を粛正する、そういうことを中心といたしまして、道義の高揚とか、あるいは政治の不純を正す、あるいはまたゴルフとかマージヤンのごとき、そういうものを業者と官吏とでしてはいけないとか、いろいろなものを御発表になりました。この点につきまして、吉田総理大臣の従来の国会運営方式について、国会に対する態度につきまして、総理大臣はしばしばそういうことはしないということを御言明になつておるようでございますが、この委員会を通じまして、どういうお考えをもつて議会運営にあたられるのであるか、国会に臨まれんとしておるのであるか、その所見のほどをまずお伺いしたいのでございます。
  5. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 世の中を明るくしたいとか、あるいは希望ある世の中にしたいと思つておるのでありますが、どうして明るくできるか、どうして希望社会に与えるかということは、まず国民に対し、あるいは国民の代表たる議会に対して、でき得る限りこういうことを考えています。こういう方法でやりたいということを、国民に、議会の諸君にできるだけ多くの機会においてお話をして、そうすれば自然に社会が明るくなり、自然に国民の間に希望が持てるだろう、こういうふうに思いまして、議会を必ず尊重いたし、国民意思を尊重して政治をやつて行きたいと思つております。簡単に言えばそんなことでございます。
  6. 池田禎治

    池田(禎)委員 私どもは第十九国会が終りましてから、すみやかに臨時国会を開いて、そうして第十九国会におきましての大きなる不祥事件をあらためて国民の前に謝す意味で、自粛三法というものをつくつて、そうして国会解散すべきであるという精神をもつて時の政府に望んで参つたわけであります。このことは、吉田内閣が総辞職しまして、今度は鳩山内閣ができたのでありまするが、この精神は、今日なおかわりなかろうとわれわれはかように思つておるのでありますけれども、あらためて総理大臣はその点につきましてどういうふうなお考えでございましようか、お漏らし願いたいと思います。
  7. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 その通り考えております。
  8. 池田禎治

    池田(禎)委員 そういたしますると、今度の、来年の休会明けはどうしても解散、総辞職というコースをたどるであろうことを世間も信じ、私どももさよう考えておるわけであります。そういう点についての総理大臣の御所見はいかがでございましようか。
  9. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 私は、私の属しておる党の日本民主党は、わずかに百二十数名であります。しかもこの百二十数名の民主党党員というものは、国民から民主党党員として選挙せられていないのであります。でありまするから、もしも議会解散せずに、このままずるずるに政治をやつて行くということは非常に僭越しごくのことだと思いまして、決して社会党に強要せられて早く解散をするというような決意をしたわけではないのです。早く解散をするということこそ、民主政治の原則に従うものなりと思つているわけなのでございます。
  10. 池田禎治

    池田(禎)委員 それはまことにごもつともなことと思います。ただいま国会も、またこのお気持というものを多くの人が体して、そうしてそれに即応するようないろいろの構えをとつておる、私どもはかように思つておる次第であります。たとえば選挙法も改正いたしまして、政治資金規正法あるいは国会法は遂に間に合いませんでしたけれども、極力そういうものも、また新しい事態に即応するように改めて進めたいと思つてつて参つた次第であります。そこでこの委員会では、最近選挙についても公明選挙をやる、あるいはりつぱな選挙を行えるように、そういうルールをつくるべきであるということをわれわれは各党満場一致でこれをきめまして、議長談話、あるいは議長から各議員へのいろいろの申合せにつきましての申達等、あらゆる努力をいたしておる次第であります。そういう点につきまして、総理大臣はどういうふうにお聞きでございましようか。たとえば、昨日は本委員会におきまして官房長官も御出席願つて、そうしてこの自粛方式というものも政府に十分申し入れまして申達を願つた。こういうことでございますが、総理大臣はそういうこともあわせてお開きになりましたか。あるいはそういう点につきましての本委員会のきめた事柄につきましては、御賛同いただけるでしようかどうかということをお伺いいたしたいと思います。
  11. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 むろんそういうふうにやつて行きたいと思いまして、官房長官からは各省に通達はすぐしたそうであります。
  12. 池田禎治

    池田(禎)委員 それは最も具体的に申しますならば、政務次官委員長に就任しても、あるいは退任しても、また大臣が就任したからといつて、そういうことを書簡をもつてやるようなことはやめようじやないか、そういうことも、将来は廃止しようということをきめたのでございまするが、そういう点では、総理大臣はやはりそれは御賛同いただけましようか、また御了承いただけるものでございましようか。
  13. 菅家喜六

    菅家委員長 ちよつとお待ちください。池田君にちよつと御交渉申し上げますが、総理大臣は、官房長官をもつてそのことについては答弁をいたしたいと育つております。官房長官答弁でよろしゆうございましようか。
  14. 池田禎治

    池田(禎)委員 一応承ります。
  15. 根本龍太郎

    根本説明員 昨日議運において議決されまして通達されました事項につきましては、即日事務当局をして各省に通達いたさせました。すなわち大臣政務次官の就任のあいさつ状は、普通一般の単なる社交的のもの以外は、選挙事前超勤になるようなことは絶対に厳禁してほしいとの申出であるから、その趣旨に従つて措置するようにということを、昨日のうちに通達しておいた次第でございます。
  16. 池田禎治

    池田(禎)委員 けつこうでございます。その点は総理大臣も御了承でございましようか。
  17. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 むろん同感でございます。
  18. 池田禎治

    池田(禎)委員 これはまことにけつこうなことでございまして、これは超党派で将来の選挙というものはできるだけひとつ公明に、そうして事前運動も廃止して国民にこたえるの道をつくりたいということは、前国会以来の——多年のたくさんの人の宿望であります。そこで、しからば総理大臣もそういうお考えでございますので、その点はわれわれと同意見である、かように思つておりますが、総理大臣鳩山さんのお名前使つて、そういうことをやる人があるということをお聞きになつたことがございましようか。それともそういう人たちは、それは知らないというお考えでしようか。
  19. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 私存じません。
  20. 土井直作

    土井委員 この際お伺いしておきたいと思いますることは、総理大臣みずからの名前によつてそういう書状を出したことがあるかどうか、その点だけをお伺いいたします。
  21. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 どういうことでございますか。
  22. 土井直作

    土井委員 要するに、事前運動に類するがごとき行為をやつたことがあるかどうかということを……。
  23. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 総理大臣になりました後は、そうしたことは断じてありません。
  24. 土井直作

    土井委員 国会は、選挙事前連動という問題については、あくまでもお互いが注付しようということで、この申合せ事項ということはかなり前から、まだ民主党が結成されない以前から決定されておる事項でございます。その後においてこの運営委員会におきましても、万一そういうものを出した場合においては、まず出した当人にこの運営委員会に出て来ていただいて、一応事情をただすか、なおそれにがえんじない場合には、本会議にこの問題を持ち出して、 本会議において政治的、道義的な責任を問うという決定が行われたのであります。その後においてそういうものを出された覚えがございましようかどうか、その点をお伺いいたします。
  25. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 そういう記憶はありません。
  26. 土井直作

    土井委員 ありますかどうかということです。私のお聞きしたいのは、出されたことがありますかどうかということをお聞きしておるのです。
  27. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 私がですか、だれかのために……。
  28. 土井直作

    土井委員 そうです。
  29. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 出したことはございません。
  30. 土井直作

    土井委員 ないですね。
  31. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 ええ。
  32. 土井直作

    土井委員 もしそういうものを利用して、大臣名前を利用して出された者があつたと仮定いたしますと、どうなさいますか。
  33. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 具体的に話してください。そうすれば……。
  34. 菅家喜六

    菅家委員長 ちよつとお待ちください。相対の問答は、初めて総理大臣がお出になつたのでありますが、御承知のことでありましようけれども委員長発言を求めて、その以外の発言はいたされないように願いたいと思います。   〔私語する者あり〕
  35. 土井直作

    土井委員 総理大臣にお伺いしますが——私語を禁止してください。そういうあなたの名前を使つたような者があるとするならば、その者についての処置は、どうお考えになるかということをお伺いします。(「具体的に」と呼ぶ者あり)具体的になります。
  36. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 そういう者がありましたら、事の軽重によつて取扱うことにします。もしも……。
  37. 土井直作

    土井委員 それでは念のために……。   拝啓、尊堂の皆様には益々御健勝  で大慶に存じます。我々憂国の同志  は乱れた国政を一新し、政界を浄化  して大いに産業を興し、総ての国民  が明るい希望をもつて平和と繁栄の  生活ができる政治を確立する為め  に、新党を結成いたしました。   山本正一君は以前から私の秘書と  して精勤し、先日までは政務次官の  任務も果し乍ら永らく新党運動の中  心として働き、日本民主党に於ては  政党の会計を公明にするため、特に  選ばれて経理局長に就任し総裁秘書  役をも兼務して毎朝はやくから深夜  まで誠に精力的な活動を続け、党本  部としても、また私にとつても、か  けがえのない人物であります。   山本君は定めし皆様に御無沙汰の  事と存じますが、国政のために今し  ばらく私にお貸し下され、此の上と  も山本君に対して激励と御支援とを  賜はる様に御願い申上ます。              敬具   昭和廿九年十二月五日     日本民主党総裁 鳩山一郎これが山本君の選挙区に非常にたくさん配布されております。これは鳩山内閣が、あるいは鳩山先生御自身が、常に明朗なる政治を行いたいということを言われておる、そのあなたの最も側近であるところの秘書が、あなたの名前使つてこういうことを選挙区に出されておる。あなたは知らないと言われておる。従つて知らないと言われておるならば、こういう名前をいたずらに使いまして、しかも選挙事前運動——明らかに事前運動です。しかも民主党総裁として、時の総理大臣として、公明なる選挙を行うということを言明しておる。しかもその反面にかくのごときことが公々然と行われておる。しかもあなたの側近である。あなたの秘書である。このことについて、あなたは政治的責任をどうお考えになるか。これは問題でございますよ、こういうことは……。
  38. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 それはいつごろですか。
  39. 土井直作

    土井委員 それは、消印は十二月の九日であります。中央郵便局から出しております。(「内閣ができてからだ」と呼ぶ者あり)これに対して明快なる御答弁を願います。
  40. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 十二月の九日ごろかいつか知りませんが、よほど前に、山本君が少しも選挙区に帰れぬものだから、あいさつ状を出したいということなので、それはよかろうと言つて、大体において同意をしました。そのときには、選挙粛正もそれによつて傷つけるような考えもなかつたのです。ただ、非常に忙しいものだから、私の家に始終おりまして、いろいろ雑用をまかしておつたものですから、それで困るから、あいさつ状を出したいと言つたのであります。それに同意を私はしました。
  41. 土井直作

    土井委員 同僚山本君のことに関する問題でありますから、あまり多く言いたくないが、山本君は始終選挙区に帰つております。どの候補者よりも、あるいはどの議員よりも多く選挙運動をやつております。選挙区に帰らないために、選挙区民にいろいろごぶさたをしておるということは、そういうことは違います。  それからもう一つお伺いしたいのは、一体いつごろそういう了解を与えられたか、その時期をひとつ知らしていただきたい。
  42. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 よく記憶いたしませんが、よほど前だと思つております。
  43. 土井直作

    土井委員 よほど前ということは具体的に言うとどのくらいですか。
  44. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 一月も前でしようか……。
  45. 土井直作

    土井委員 一月も前程度と言いますならば、すでにこの問題は十九国会以来、われわれの申合せ事項として行われておるのであります。それは、当時は議員鳩山一郎という立場でございましようが、当時においても、この国会自粛三法の問題、明朗選挙をやらなければならない、そうして各党申合せ事項というものは、一月以上も前にこういう申合せ事項がございました。ところが政治にうといから御存じないというならば、これはおのずから別の問題であります。しかし政治に対しては非常に明敏であつて、しかも十分御関心を持つておられる総理でございます。従つて山本君にそういう場合があつたと仮定いたしましても、それは事前運動になるおそれがあるからよしたらどうかということは、御注意あつてしかるべきじやないか。しかもそれが十二月の九日に出されておるという事態は、山本君があなたのいわゆる公明なる鏡を曇らせるような行為であるかもしれません。しかしながら、あなたがそれを一月くらい前に許可された、それを承認されたとするならば、これはもつてのほかでございます。いやしくも鳩山内閣は、公明にして正大な、そうして明るい民主主義政治を確立するということを口に言われておるのであります。しかるにかくのごときことが平然として行われておるということは、これは責任上はなはだ私は当を得ないことだと思う。一月前でありましても、この問題に対するあなたの所見というものは明確にしていただかなければ困る。
  46. 池田禎治

    池田(禎)委員 委員長それに関連して——土井さんへの答弁に先だちまして、私は総理大臣にお伺いいたしたいと思います。一月前はおかしい。一月前に日本民主党は結成されておりません。そういう虚偽の言は言つてはいけません。そういうことは委員会で訂正してください。一国の総理大臣で、明朗なる政治を行うという総理大臣が、こういう席においてそういうことを申されるということは承服できません。これはあなたが記憶の間違いであるか、考え直して御答弁願いたい。
  47. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 私は、今のその手紙の内容はよく知りません。総理としてそういうようなことを言つた覚えはないのですが、いつごろのことですか。私はないと思つております。
  48. 土井直作

    土井委員 総理総裁として、そういうことを承認した覚えはない、一郎秘書山本正一、こういう立場了解されたとするならば、これは明らかに昭和二十九年十二月五日の日付でありまして、日本民主党総裁鳩山一郎というあれで書いてあります。しかもこれの消印は、東京の中央郵便局で、十二月の九日の消印でございます。八時から十二時までに受付けております。従つて名義を詐称したり、あるいはそういうようなことをされて、しかもこれが選挙区に相当の部数——それは枚数は明確でありませんが、かなりの数が行つておることだけは事実であります。
  49. 菅家喜六

    菅家委員長 枚数もはつきりしています。印刷所もわかつたのです。
  50. 土井直作

    土井委員 これについて、あなたは総裁として許可した覚えがないとのことでありますが、総裁名前を明確に使つております。どうされるつもりであるのか、この点について所見を明確にお伺いしたいのであります。
  51. 菅家喜六

    菅家委員長 これは、なお委員長からも二点だけ明らかにしておきませんと、重大な問題になるのでございます。御承知通り十九国会から国会自粛という名のもとに、全党全会派一致してあらゆる申合せをいたしておるのでございます。しかもそのことを確認するために、今回の臨時国会の初頭においてもこの点さらに申合せをし、議長名をもつて数回にわたり各議員に対する周知の徹底方を行い、ラジオ、新聞その他によつて、院をあげて自粛のために申し合せておる事項が多いのでありますが、最もそのうち重点をなすものは、年賀の郵便その他事前運動と目される印刷物の配布を禁止するということに重点があつたのでございます。しかも全会派一致意見が本院に反映いたしまして、昨日は選挙粛正に関する決議なるものをわざわざ本会議を開いて上程して、満場一致できめたのでございますが、もしそれただいまの民主党総裁鳩山一郎名義をもつて、しかも印刷所において数万枚これが刷られたという実績が上つて来たということになりますと、この決議というものはほごになつてしまいます。そうなると、もう一度私どもは全会派がこのことの協議のし直し、決議の取消しをしなければならないことに相なると思うのでございます。(「その通り」)もしこれが総裁でない、また内閣総理大臣でない人のことであつてもこれは問題になるのであります。(「その通り」)いわんや鳩山内閣が第一声にわれわれ国民の前に示されたことは、公明選挙、明るい政治を行うのだということを内閣声明において、また内閣総理大臣談話の形において発表されておる。それがただちに九日の日に、こういうことによつて五万枚というものが特に神奈川県下の選挙区だけに配布されたという事実は、これは私は重要な事柄であると思いますので、今ここで御答弁ができないということであるならば、答弁を強要することはできません。日を改めてこの事実を確かめられて、この処置がつかない限りにおいては、昨日の院の満場一致決議というものは死んでしまいます。(「その通り」)今までわれわれが一年間叫んで来た自粛という問題は、ここで消えてしまうのでございます。これは全会派、全党、何ら私は異議のないところであろうと思いますので、この文案の内容は重要な事柄でございます。また国会としても重要なことでございます。政党としても重要なことでございまして、民主党もこれに賛成の第一線に立たれた政党でございます。総裁が知らないで、もし何人かが総裁名前使つてこれをやつたというなら、その人の責めを問わなければなりません。また院はそれらの行動をとらなければなりません。先ほど私の方の党に所属する者からも、この事柄を聞いて参りました。年賀状ぐらい出してもいいじやないかという、たといわれわれが所属する政党であつても与野党を問わず、固く申し合せられましたことはこれを問責し、政治上の徳義を問わなければならないということを数回この委員会で申し合せておるのでございますから、先ほど来池田君、土井君の御質問はしごくごもつともなことであると考えますので、当委員会としては、このことを満場一致内閣総理大臣に明確なる処置を願わなければならないと思うのでございます。(「その通り」)しかもこの本文には、山本正一君を御支援、御援助願わなければならぬという文句がございます。これはすでに総選挙という目標が立つておる。新聞政府も、早期解散だということをおつしやつておる。この目標がきまつたときに、今かくのごときことを総裁が知らないからといつて各党において通知を出すことになりましたならば、公明選挙になるでございましようか。各党総裁が知らないうちに、代議士が個人々々に総裁名前使つて出してもいいということになりますならば、まず院の今まで考えて来たこととは逆行することに相なるのでございます。どうぞ内閣総理大臣におかれては、ただいま申し上げましたこの土井池田両君からの御質問の趣意にかんがみられまして、正確なる、またこの善後措置を十分お考えくださることを、委員長から強く政府に要望いたす次第であります。
  52. 椎熊三郎

    椎熊委員 委員長は非常に発言をしておる。この文書を見ると、いろいろ疑問の点もあります。しかし、今ここでこの処置の問題についてどうしろといつても、総理答弁できないだろうと思います。それですから本日はこの程度にしておいて、内閣から、官房長官等でもいい、よく相談の上、真相を確かめて、何らかの意思表示をしてもらえばいいと思います。
  53. 土井直作

    土井委員 ただいま委員長からもお話があり、椎熊君からもお話がありましたので、内容は、この真否というのは、結局事実ははつきりしております。要するに総裁が一箇月前にすでに了解を与えておるということでありますから、御存じであるはずでございますが、これに対する内閣政府としての、あるいはまた民主党総裁総理大臣としての責任をどうとられるのかということについて、きようでなくてもけつこうです。椎熊委員の言うように、きようでなくてもけつこうです。他日ひとつやつていただきたい。  それからこれは委員長希望するのでありますが、院の法制局等——この文書から見まして、末端の文字はまつた推薦です。鳩山総裁推薦状です。これは明らかに事前運動選挙違反なるとわれわれしろうとは考えるのです。法的にはどう解釈されるか。一応こういう点についても、法制局等でひとつ調べてもらいたい。審議しておいてもらいたいと思います。
  54. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 私は、この文書は見たことはないのです。全然知りません。ただ概略は、自分は選挙区に帰れないのであいさつ状を出したいと言うから、それはいいでしようということを言つただけなんです。それはもちろん早期解散を決意するなんというよりは、ずつとはるか前の話でありまして、むろん選挙の準備ということも知りませんでした。
  55. 菅家喜六

    菅家委員長 先ほど土井君から委員長に御要望がありましたが、参考に先ほどこれをいただきましたので、それらの法的根拠はすべて調べられております。ただに法制局だけではありません。その他の専門のそれぞれのところによつて、これが事前運動になるかならないかということの解釈は、ここでこれは内閣総理大臣に関係のないことでございますから、後ほどの委員会において、委員会が必要とあれば、この場所にはこういう解釈である、この場所にはこういう解釈であるということを申し述べるところの準備はできております。  そこで内閣総理大臣に対する質問は以上にとめておきまして、政府はすみやかにただいま質問のありました事柄委員長から強く要望いたしました点に対して、なるべくすみやかに御返事をいただきたい、こういうことで総理大臣に対する質問は打切りたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  56. 菅家喜六

    菅家委員長 御異議がなければ、さようとりはからいます。御苦労さまでございました。
  57. 椎熊三郎

    椎熊委員 私は、この運営委員会運営の仕方について、非常に残念に思う点がある。それは運営委員会を開くに先だつて、いつも理事会を開く。重大案件につきましては、内容をお互いに話合つて了解の上で運営委員会に入る。本日のごときも理事会を開いております。しかるにこういう具体的の文書があつたり、すでに管家君はこれに対して専門家の解釈までも求めておるという状態でありながら、理事会においても一言もそのことを言つていない。突如として、抜打ち的にこういうことを展開して行くということは、一体運営委員会の今までの習慣から来て、そういうことはどういうものでしようか。あまりに信義を無視したやり方でないか。これは私は、いいとか悪いとかいうことでない。運営委員として多年やつて来たことで、土井君にしても、ことに委員長、そういう人たち——朝から私ども内閣との間に奔走して、鳩山さんをなるべく出すように奔走して、本人も快く出て来た。従つてその質問内容等も、いかなるものであるかということは、土井さんにもちよつと会つて聞いております。菅家君にも聞いておる。ところが、これはごく簡単な選挙粛正の問題だけだというのです。これだけのものを準備までしておつて、そうしてそれが根拠はどうであるかわからないにしても、抜打ち的にここへ来て展開する。そういうやり方というものは、私は運営委員会の旧来の習慣からいつて、あなた方は信義に欠けておる点があるのではないか。あなたはどう思うのですか。
  58. 菅家喜六

    菅家委員長 これは公開の席上で椎熊君からのお話でありまするから、はつきり申し上げましよう。かくのごときことは、しばしば椎熊君がおやりになつたことである。(笑)われわれは今まで、必ずしも理事会において……。
  59. 椎熊三郎

    椎熊委員 何をやつたのですか。
  60. 菅家喜六

    菅家委員長 だまつて発言中です。
  61. 椎熊三郎

    椎熊委員 今まで何をやつたというのですか。失敬な。
  62. 菅家喜六

    菅家委員長 みずからがやつたとき  にはこれを責めずして……。
  63. 椎熊三郎

    椎熊委員 ばかなことを言うな。ぼくが吉田さんを呼ぶときには、官房長官にこれこれだということを具体的に言つてつておる。
  64. 菅家喜六

    菅家委員長 発言中ですよ。発言を求めてからやつてください。今まで理事会においても、この種の問題の取扱いについては、内容を言わないことがしばしばございます。これは案があつた政党から、内容を言わず、運営に関係する事柄内閣総理大臣出席を要求するという御要求であれば、これを委員長として追究する必要はございません。今までもそういうことはございません。言うと言わざるとにかかわらず、要求したるものの自由でございます。しかも今までの理事会においても、われわれ与党時代にこれを聞きたいと思つて、幾ら聞いても言わないで、突如として出したことが数限りなくあります。
  65. 椎熊三郎

    椎熊委員 どういう問題でか、具体的に言つてください。ぼくに関する限りない。
  66. 菅家喜六

    菅家委員長 具体的なことで証明しろというなら、次の委員会で明らかにします。たくさんあります。そういうことは今回初めてでございません。
  67. 椎熊三郎

    椎熊委員 ぼくに関する限り、そういうことはない。
  68. 菅家喜六

    菅家委員長 君はないと言うけれども、具体的にあります。発言を求めておりますから、土井君。
  69. 土井直作

    土井委員 ただいま椎熊君の言われておることは、一応ごもつともでございます。私は、(発言する者あり)ぼくが発言しておるのに聞かないのですか。ぼくは椎熊君の意見に関しても言いますが、向うで話して、必要ないというならやらないでもいいのです。聞いてくれますか。(「聞こう」と呼ぶ者あり)実はこの問題につきましては、けさほど椎熊君が来まして、総理大臣を呼ばれるということであるが、どういうことであろうかという御質問であつたから、それは自粛に関する問題であるということを申し上げた。それからこの間私がこの席上で申し上げたごとく、こういうことを聞きたいと思うのだと言つて了解を得たはずであります。もとより自粛の問題の内容にまで立ち至つて、こういうことを聞くのだ、このことを聞くのだというようなことは、従来も内容を聞かれても言わない場合があるし、言う場合もある。このことはお互いがそのときどきの関係で言つたり、言わなかつたりすることであつて、それまで言わないからといつて文句を言われるということは私はないと思うのであります。事情は、自粛の問題であるということだけは申し上げたはずだと思います。それから実は本日、私は中央執行委員会、ことに両社の合同問題等について重大な会議があつたので、それで私がここへ出てやりたいのだけれども、今中央執行委員会が開かれておるので、池田君にぜひあれしてくれ、池田君はこのことを十分知つておりましたから、池田君がこのことをやるのであつて——私はこの前の運営委員会発言もして、総理大臣に聞きたい点をやろうと思つたんですけれども、またまたここへ来て、池田君が持つてつた材料でやりましたので、私はそのことは池田君からも聞いておりましたので、引続いて質問をした、こういうことになつておるわけなんです。この点は椎熊君も一応了解してもらいたいと思います。
  70. 椎熊三郎

    椎熊委員 私はそのことを言つているのでないのです。こういう具体的な事実があつて聞きたいことがあるならば、政府の明確なる答弁を要求するのだから、こういうものがある、それに対する答弁の準備というものがいると思うのです。予算委員会つてそうです。大臣出席のときには、秘書官が来て打合せております。それだから私は、鳩山さんなり、山本さんなりの責任を明らかにしたいならば、政府として明確なる答弁ができるだけのことをした方が、これを要求する方の側にとつてもためになることじやないか。そんなに何も出し抜けに窮地に追い詰めて聞かなければならぬという問題でない。ほんとうに自粛をみんなでやつて行こうというならば、鳩山さんは単なる承諾を与えたのであつて文書内容は知らないということである。こういうことを知つておれば、どういう関係でこういうことになつたかという一つの材料をもつて入られる。それを不十分なる状態に置いて問い詰めるというようなやり方というものは、今までの議運のやり方でないというのです。ことに菅家君は、いつでもそんなことをやつたというが、私が吉田総理大臣を呼んだことはしばしばありますよ。そのときには、福永官房長官に質疑の内容をすつかり打ち合せております。そうして呼んで出席を願つておる状態であつて、そんな出し抜けに、やぶから棒に総理大臣を窮地に追い詰めるような、相談も準備もできない間隙に乗じて何かやつたことはないのです。そういうことはこれまでの運営委員会の審議上からいつても、おかしくないかというのです。これはあなたが事前運動だと言うなら、それはしかたがないのです。私はそれを争うのじやないが、こうやつて円満に長い間やつて来ておつて、前例があるのに、政党間の信義もわきまえずして、まるでひどいやり方というものになると、国会を円満に運んで行く議運の態度としては、私はどうかと思う。
  71. 菅家喜六

    菅家委員長 ただいま椎熊君の発言中に納得できない点があるのです。しかもこの問題ですが、昨日右派の方から要求がありました。そこで私としては、大体の要求をするならいかなることの要求であるか、内容を聞かなければならぬと言つたところが、運営に関する国会自粛に関係することであるから、内容は言えないということであつた。こういうことであるから、そのことはやりませんでした。ところが今このはがきによつて椎熊君は調査もされたという時間的なことをおつしやるけれども、私の調査したことは院外に及んでおりません。これを私がいただいたのは、何人からいただいたということは申し上げかねますけれども、私がこれをもらいましたのは、ここに入る三十分前でございます。私は三十分の間にも——手先を持つております。このぐらいのことを研究することは一分でできることであります。長きを要しません。私が昨日これをもらつておいて、私が個人的に、また公の立場において、椎熊君にこのことを伝えなかつたということならば別でございます。犬養法務大臣を呼んだ場合においても、内閣総理大臣を呼んだ場合でもございません。野党には野党の作戦があつて、今日まである程度まではわれわれに見せられるけれども、ある程度を撃てば、われわれは野党の作戦というものを知り得ないのでございます。しかも申入れのあつた右派から、このことはこれ以上言われるのは困るというお話であつた。題目だけ示せば——今日まで題目だけで閣僚その他の出席を要求した例は数多いのでございますから、内容を言わないからといつて、この要求をしりぞけるということは、委員長としてはできなかつたから行つたのであります。ただいま何もここに内閣総理大臣出席を要求して、窮地に陥れたとは私は思いません。こんなことで窮地に陥るはずはないじやありませんか。総理大臣答弁によつても明らかなことでありまして、自分はそのことはどういう内容のことかわからなかつたけれども、何かこれに類したことか何か知らぬけれども同意は一箇月ほど前に与えた。しかしその具体的なものを見て、一応これはこの席でなく、研究してあらためてここで返事をするということであるから、何らそこにおいて私は内閣がこれで窮地に陥つたとは思いません。
  72. 椎熊三郎

    椎熊委員 そんなことは育つていない。
  73. 菅家喜六

    菅家委員長 ただいま申されました。
  74. 椎熊三郎

    椎熊委員 そういうような形でやられることはどうかというのです。
  75. 菅家喜六

    菅家委員長 私は窮地に陥る形じやないと思います。私の答弁で、欠けておりません。   〔「議事進行」と呼ぶ者あり〕
  76. 菅家喜六

    菅家委員長 次に、議事日程のことを御相談いたします。事務総長から御説明申し上げます。
  77. 大池真

    ○大池事務総長 本日の議事日程は、昨日委員会で議了いたしました昭和二十九年の年末の賞与に対する所得税の臨時特例に関する法律案だけが載つております。これは委員会では否決に相なつております。そこで委員会理事の春日一幸さんが御報告になりまして、これに対する討論の申出がございます。それはお手元に印刷物を差上げておりますが、委員長報告が否決でございますので、その委員長報告に反対側、つまり本案に賛成の柴田義男君、左派の方がまず御討論になり、それから委員長報告に賛成の討論者は大平正芳君、それから委員長報告に反対の討論者が平岡忠次郎君、この御三人の討論の申出がございます。従いまして、討論時間は昨日の御決定で十五分以内、十五分を越えざること、こういうことを昨日御決定になつております。これだけが本日の議事日程に相なつております。これを議了すれば、本日の日程はないのでございます。
  78. 菅家喜六

    菅家委員長 ただいまの事務総長の日程に対する御報告に御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  79. 菅家喜六

    菅家委員長 御異議なければ、さよう決定いたします。
  80. 青野武一

    ○青野委員 私は、特に社会党左派を代表してお願いしたいのは、実は各党大体共通した問題ですが、ビルマと日本の平和条約の承認の件が今審査されておりますけれども、聞くところによると、それが十八日の午前中に大体審査が終了する、そのために十八日の定刻午後一時から特に本会議を開いてそれを審議してもらいたい、こういう希望が私の方の委員から党の首脳部に通達があつたのでございます。これは対外的の問題でもあるし、特に、土曜、日曜にかかつて参りますと、議員が本会議場でばらばらで定足数を欠くような状態では、これは国際的の問題ですし、非常にわれわれは遺憾な点だと思います。ついては、まずいろいろな情報を調べてみますと、十八日は土曜であるから、できるだけ各党の外務委員も御努力願つて、十七日の午前中に審査を終了するように努力してもらつて、十七日に特に本会議を午後一時から開いてこれを決定してもらいたい、こういう意見の人も議運の中にはかなりおると思います。ついては、十七日の午前中に外務委員会の審査が終了するように御努力を願つて、十七日の午後から本会議を開くというようなことを大体ここで検討して、事前にその了解を求めて外務委員会の御決定を待ちたい。こういうことにしないと、大体各派の議員の諸君は土曜日でもあるし、大体明日からは、申合せはしなくても、自然休会になるものだと考えておるように私は推察しておるが、この点について、私の方の党から、党を代表してこういう意見を申し上げる次第であります。
  81. 菅家喜六

    菅家委員長 ただいまお聞きの通り、青野君よりお申出があります。ビルマとの条約に関係する議案でありますが、外務委員会の予定は十八日ときまつておるらしいのでありまして、土曜日になることは、青野君の御説の通りだと思います。従いまして、これはとりあえず四党の対策委員長会議を開いて外務委員長に交渉して、でき得べくんば十七日中にこの法案を上げてもらつて、十七日に本会議を開いてこの結末をつけたいという考えでございますが、これに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  82. 菅家喜六

    菅家委員長 もし各党間で話合いがまとまらざるときには、予定のごとく、これは当該委員会のことであるから反対するわけに行きませんので、話合いがつかざるときには十八日にやることもやむを得ざることと考えておる次第であります。一応そういう形をとつてもらいたいと思います。
  83. 椎熊三郎

    椎熊委員 これは党へ帰つて相談してみないと、今床次君が来ての話では、二十日近くまで委員会でやるような案も持つておるそうで、それは聞いてみなければ決定できませんから……。それで済んだんですか。
  84. 菅家喜六

    菅家委員長 済みました。
  85. 椎熊三郎

    椎熊委員 今の山本正一君の爾後の問題、今後の扱いについて御相談願いたいと思いますので、この直後に理事会をお願いしたいと思います。
  86. 菅家喜六

    菅家委員長 ただいま御要求がありまして、ごもつともなことであります。鳩山総裁の書簡に関する取扱いのことについて、一応理事会を開いて善後処置を協議するということも必要と思いますから、この委員会はこれでとじますが、ただちに理事会を開くことにいたします。  本会議は四時半でいかがでしようか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  87. 菅家喜六

    菅家委員長 それでは四時半に本会議を開くことにいたします。  委員会はこれでとじます。    午後四時十分散会