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1954-12-17 第21回国会 衆議院 運輸委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年十二月十七日(金曜日)     午前十一時三十八分開議  出席委員    委員長 竹谷源太郎君    理事 鈴木 仙八君 理事 山口丈太郎君       高橋圓三郎君    徳安 實藏君       西村 英一君    西村 直己君       臼井 莊一君    星島 二郎君       吉田  安君    楯 兼次郎君       正木  清君    中居英太郎君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 三木 武夫君  委員外出席者         運輸政務次官  濱地 文平君         運輸事務官         (自動車局長) 眞田  登君         専  門  員 堤  正威君         専  門  員 志鎌 一之君     ————————————— 十二月十六日  委員中居英太郎君及び徳安實藏辞任につき、  その補欠として鈴木義男君及び中村清君が議長  の指名委員に選任された。 同月十七日  委員鈴木義男君及び中村清辞任につき、その  補欠として中居英太郎君及び徳安實藏君が議長  の指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  陸運海運空運及び観光基本政  策等に関する件     —————————————
  2. 竹谷源太郎

    竹谷委員長 これより会議を開きます。  運輸政務次官から発言を求められておりますのでこれを許します。濱地政務次官
  3. 濱地文平

    濱地説明員 私は追放六箇年半を除いて十二年以上代議士をさしてもらつておりますが、いまだかつて党の役にもついたこともありませんし、もちろん官についたことはないのであります。それはなぜかと申しますと、両方とも不適任であるということを自覚しておるのでありますが、今回はからずも運輸政務次官に任命されましたにつきまして、私自己を考えてみますのに、水産のことならば少しぐらいは承知しておりますけれども運輸行政に関しては一切しろうとであります。しかし私といたしましては、たとい政府委員になりましても、最初から国民の代表であり、皆様の仲間であるということを自覚しておりますので、今後運輸省に関する限り委員諸君のおさしずを受けまして、そうして政府を鞭撻したいというこの信念をかえていないつもりであります。何分にも今後よろしく御指導、御援助を賜わらんことをお願いいたしまして、ごあいさつとさせていただきます。(拍手
  4. 竹谷源太郎

    竹谷委員長 次に運輸行政に関し質疑の通告ございまするので、順次これを許します。山口丈太郎君。
  5. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 私は簡単に自動車局長お尋ねをいたしたいと思います。  最近のハイヤータクシー等交通違反取締りについて、いろいろ問題を起しておるのでありますが、もちろん今日のような車輛の輻輳します事情の中にあつては、交通違反取締りを厳重にして、交通事故防止することはもとより緊要なことでありまして、これは当然なされねばならぬ問題でありますが、しかしその取締りをするにあたりましても、ただ単に現象をとらえて、そして加罰をすることだけが取締りの万全とはいえないのでございまして、それにつきましては、そのような違反事故が続出しないように、この交通に関する諸行政指導して行くことが、私は一番必要だと思うのであります。それにつけてもこの取締りの機構、すなわちその行政指導にあたりましては、自動車運輸業免許等の許可については、これは運輸省に権利はあるのですが、それ以外に、いわゆる労務管理やその他一切の行政指導の面に欠けるところがあるので、こういう事態になるのではないかと思いますが、このハイヤータクシー事業の一切の行政指導について今後どういう措置をとられるか。そしてそれが完全になされないと、ただ加罰方式によつて交通違反を取締るというのみでは、万全を期せられないことが明らかになつておるのでありますが、そういたしますと、今後この交通行政監督について、運輸省はどういうふうに監督権を掌握して行こうとされるか。そういつた交通管理についてひとつ御所見を承りてきたい、こう考えます。
  6. 眞田登

    眞田説明員 ただいま交通違反とこれに対する処罰の問題から、これの原因を絶つべきであるというお話がございました。われわれの方も、最近の自動車数の増加に伴いまして、非常に交通事故がぶえて参りましたことを非常に憂えておるわけであります。これを絶つためにいろいろのことについて研究しておるわけでございますが、一つ交通事故の起ります原因は車の面でございます。もう一つ運転者の面、なお道路につきましても交通事故を起さないためにいろいろな措置が必要であろうと思います。運転者運転資格は、御承知通り現在では公安委員会の方でやつておるわけでございまして、試験を受けました運転者は、一般の場合、その資格に応じた車を動かすことができるわけでありますが、道路運送法ではこれにつきましてある程度の制限をしておりまして、旅客自動車を運転するためには、年齢が二十才以上、実務の経歴が半年以上車を運転したことがある人でなければ、旅客自動車を運転してはいけないという制限をつけております。こういつた制限をつけることにつきましても、運転者運転免許の権限を持つております公安委員会といろいろと折衝をするわけでございますが、そういつた運転者使つて事業をやつております人たち事業免許は、現在運輸省がやつておりまして、その事業免許に際しましても、その事業者が的確な計画事業を遂行して参るかどうかということを、一つ免許審査基準にしておるわけでございますが、その中に、その事業計画に相応した——運転者ならば運転者の人数が相応しているかどうか、あるいは勤務時間がこれだけの運転者でうまくやつて行けるかどうかという問題と、もう一つは、休養施設その他労務管理の点で遺憾な点はないかというようなことも、審査内容の中に加えてはおります。しかしながら、実際の営業をやつておりますときにこれの監督をいたしますことは、非常にむずかしいことでございまして、年に一回は必ず業務監査をやつておりますが、その際にはいろいろと帳簿面あるいは施設面から、労務管理状態を尋ねておるわけでございます。この労務管理につきましては、また労働基準局が直接これにタッチしておるわけでございまして、昨年も、労働基準局長と東京の陸運事務所長、それから警視庁警ら交通部長の三人の連名をもちまして、交通事故防止事業の適正な運営管理実施方についてという書面を出しまして、実際に事業をやつておられる方々の注意すべき事項を通知いたしまして、これについての講習会どもやりました。規則はこういうふうになつているとか、こういうことをやると違反になるというふうな説明会どもやつたわけでございます。たとえば給与の面で、おそらく先ほどのお話に関連すると思いますが、歩合給固定給割合が、もし歩合給が非常に多いと、どうしても無理して働く、そのために事故が起るのじやないかというお話もあつたと思うのでございますが、規則の上では六〇%までは固定給でなければいけないということになつておりましても、実際にはなかなかそれが行われにくいところもあるようでございまして、そういつた面では直接には労働基準局の方で監督をしていただくようにわれわれの方でもお願いをしておるわけでございます。実際の監督につきまして、そういつたふうに運転者の直接運転しております道路上での交通取締り警視庁関係がやつておられる。実際の労務の建前から行きますと、その面は基準局というふうに、自動車行政につきましては監督するところが非常に多いために、その点でよほどよく連絡して参りませんと、いろいろな点で問題がございますが、今後はそういつた関係のところと十分連絡いたしまして、事故防止及び労務者の養成と申しますか、よき方へ導いて行くということにつきまして、十分の努力を払つて参りたいと思います。
  7. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 このハイヤータクシー管理については、非常にやりにくい点を苦心してやつておられるその御努力に対しましては、私も平素から感謝をしておるのでありますが、しかし今の御答弁にもありましたように、ハイヤータクシー事業免許基準につきましては、たしかその経営内容、すなわち企業が健全なる内容を有すること、及び労務管理基準法に適合する労務管理等も重要な免許基準の中に加えられて、申請書の中には必ずそれを誓約をさせて免許がされているように思うのであります。そういうぐあいに承つておるのでありますが、実際に私どもが見ますると、たとえば運転手勤務時間は一昼夜交替というようなところはまれでありまして、最近になりますと、大体四十八時間勤務というようなべらぼうな勤務状況であり、しかも一日の責任走行キロ数四百キロというようなことが、業界の通例になつておるようであります。運転手に聞いてみますと、四十八時間はおろか五十時間は連続働かないと、とうてい飯はこの方では食つて行けません、こういうことを明らかに私どもに言います。それはなぜかと申しますと、このような無理な勤務をしなければならないのは、今申された固定給が少くて、ほとんどが歩合給である。はなはだしきに至つては九〇%が歩合給であつて、わずかに一〇%が固定給である。しかもその一〇%の固定給は、出入庫に対する時間のずれ等による時間が厳守できない、そういうための、何と言うのですか、まあ罰の意味歩合給の削減、あるいは雇われておるにもかかわらず、はなはだしきに至つて雇用者が一切その自動車修繕費部分品取替費、あるいはガソリン消費等についても半分あるいは八割をその運転手責任に嫁して、そうしてその運転手からせしめておる、こういうような実情です。こういうようなゆゆしい実情をそのままにして、そうしてハイヤータクシー免許を継続しておるということは、まつたく今申された労務管理あるいは施設の改善あるいは健全経営の、いわゆる誓約基準まつたく反したことを平気で行つて、それに対して何らの監査も行われていないのではないかというふうに考えるわけです。このごろになりますと、あぶなくて実は乗つておれぬ。この輻湊した交通状況の中で、われ先にと先を争つて競争して行くというようなことですから、ために事故は続出するというような実に憂慮すべき状態にあるのですが、このような事情を御存じであるかどうか。それからまたもしそういうような実情を、一度でも実際町に出て監査されたことがあるかどうか。そういうことがもしあつたとすれば、このことが免許継続基準に対しての重大な影響になると思いまするが、それらについてどういう措置をとつておられるか、それをお聞かせ願いたい。
  8. 眞田登

    眞田説明員 勤務時間は四十八時間が普通だというお話でありましたが、私たちの聞いておりますのでは大体二十四時間の一昼夜交代が、これはタクシーの場合でございますが、多いのだそうでございまして、実はこの点につきましても労働基準局の方で何とか一日二交代、と申しますと最大十二時間ですが、そういつた方法でやつてはどうかというので、事業者を呼んでいろいろとお話合いをされたのだそうでございますが、実際の仕事をやつて行きます上において、一日二交代ということはむずかしいというようなことで、なかなか意見が合わないために、現在のままの状態になつておるというふうに基準局の方では話しておりました。それから走行キロ四百キロということでございましたが、その程度走る車もあるかもしれませんが、われわれの知つておりますのではまず三百二、三十キロが普通じやないかというふうに聞いております。それから燃料とか修理運転者に持たしておるというお話でしたが、これは大阪方面のある会社を私見学したときに見たのですが、それは燃料使い方あるいは修理の面において、できるだけ自分成績を上げるためにという意味で、修理はこの人の使つた車でどれだけかかつたとか、この人は燃料を一日にどれだけ使つたとかいうことをはつきりさせるために、そういつたものを個人別につけておく。その成績によつて燃料使い方の少かつた人、あるいは車齢その他に応じて割合修理費が少かつたときには、ある程度別のものがボーナスとしてもらえるというような意味の趣旨で、燃料なり修繕について運転手責任といいますか、励みを持たしておるということは聞いております。  それから街頭に立つてやつたことがあるかというお話でございましたが、それは陸運事務所あたり交通事業の秩序を保つためにいろいろの監査をやりますときに、街頭に立つてやることもございますので、その際にはそういつたような問題も起ります。なお、ここ年末にかけましておそらくタクシー事業等に対する需要が非常にふえて参りますので、一週間ほど前に、年末には特に過労その他のために事故を起したりしないように、あるいは冬になりますと霧その他が多いために、事故を起したりすることのないようにという通牒も各陸運局に出しまして、各事業者に伝達するようにという措置はとつております。
  9. 竹谷源太郎

    竹谷委員長 この際運輸大臣から発言を求められておりますのでこれを許します。三木運輸大臣
  10. 三木武夫

    三木国務大臣 私はこのたび運輸大臣就任いたしました三木武夫でございます。どうかよろしくお願いをいたします。  新内閣といたしましては、内外の国政を刷新して国民要望にこたえて、当面の重要問題を解決いたしまして、日本経済自立を達成いたしたいと存じておるのであります。そのためには国民生活の基盤であり、経済発展基礎的条件とも申すべき海陸空運輸に関する行政を担当いたしておりまする運輸省としましては、この際種々の施策を刷新して、これを強力に推進いたしたい所存でございます。この機会にこれまで各位より並々ならぬ御指導と御鞭撻をいただきましたことを厚くお礼申し上げますとともに、今後とも一層の御支援を賜わりたいとお願いいたす次第でございます。まだ内閣組閥早々でございまして、私も就任早々関係上、運輸行政についてただいま構想をまとめておる段階でございますが、ただその骨組みとしていささか申し述べて御参考に供したいと存じます。  運輸省としてまず取上げられなければならぬ問題は、外航船腹拡充計画の推進でございます。昭和三十三年度外航船腹四百万総トンの保有の目標が立てられておりますが、その計画実現につきましては、海事金融特殊性と、ここ数年来海運企業経常の困難にかんがみまして、特に船舶建造資金の調達に困難を来しておることは、各位承知通りでございます。これにつきましては、具体的にどういう方法でこの金融の困難を打開して行くかということに、ただいま檢討を加えておるのでございます。  次に海運とともに、貿易外収入の中心をなす航空並びに観光につきましても、運輸省に設置されております貿易外輸出会議において、目下外貨獲得目標案を作成して、目標達成に必要な諸条件檢討を進めておりますので、これについても遠からず具体案を立てまして、実現努力をいたしたい所存でございます。  次に船舶及び鉄道車輌輸出振興でありますが、船舶及び車輌輸出は最近きわめて好調でありました。これは御承知のように粗糖リンク制によつたものでありますが、最近この制度が打切られることになりましたので、その後の輸出振興につきましては、これはまた特段の処置を講ずる必要があると考えておるのでございます。  次に国鉄の新線建設の問題でありますが、国土の総合開発に必要な鉄道の新線建設につきましては、現在工事継続中の二十三線の工事経費として、六十五億を確保することに努力したいと考えております。また港湾関係公共事業も、経済発展に緊要なものを重点的に施行して、港湾近代化をはかりたいと考えております。  次に自動車関係の問題でありますが、最近自動車の激増による事故瀕発の趨勢にかんがみまして、被害者の保護に万全を期するため、強制賠償責任保険制度等も採用すべきであるという考え方をいたしておる次第であります。  次は航空事業でありますが、外国に比して著しく立ち遅れております日本航空事業も、国際、国内ともに目ざましい発展を遂げて参りましたが、最近の航空企業経営状態にかんがみ、新たなる振興助成方策を講ずべき段階であると思われますので、航空審議会から最近出されました航空事業振興方策に関する答申をも檢討いたしました上、これも必要な具体策を早急に立てまして、強力に推進したい考えでございます。  次は気象業務整備拡充でありますが、気象業務拡充整備につきましては、国民一般からも強い要望が出されております実情もあり、予報制度の向上に必要な諸施設整備、特に北方定点観測業務の復活はぜひ案現するよう努力をしたいと考えております。  最後海上保安に必要な施設充実整備につきましては、海上保安庁の巡視船整備のほかに、航空機を加えてその機能の能率化をはかりたいと存じております。  最初に申し上げた通り就任早々でございますので、大体運輸行政として今結論を出したいと考えているアウトラインを申し述べて、御理解と御協力をお願いいたす次第でございます。(拍手
  11. 正木清

    正木委員 議事進行に関して……。ただいま新たに就任された大臣から、運輸省所管各般事項についての抱負経論が、あいさつの形で当委員会で述べられたわけですが、あげられた各般項目内容は実に多岐にわたつております。私の感ずるところでは、今大臣が述べられた運輸省所管各般事項については、当委員会において長年間強く要望された事柄がすべて網羅されておる。ただここで強く大臣要請をしたいことは、新政府昭和三十年度の総予算においても一兆円のわくの中でとどめる、こういうように決定をみたような新聞を私は見ておるのでございますが、これら諸般のことを三十年度予算の中で実行に移すということは、非常に困難を伴うものではないかとも考えられますので、どうか大臣として、目の前に選挙を控えているためということではなく、真実を御発表なつたと私はかたく信じたいと考えておりますので、これらの事項についての実現のために、特段の御努力を願いたいという点を私は強く要請をいたしておきます。  さらに最後大臣に一言この機会お尋ねをしておきたいと思いますが、今あなたの御発表になりました最後海上保宏庁各般整備のほかに、一体今の日本國民生活を安定する基礎となるべき国鉄全般行政に対して、あなたの所信はここで御発表に今はなつておりません。そこで今の国鉄経理内容等から勘案してみて、あなたの御指摘なつたように新線建設二十三線を確保するだけにも六十億の財源を必要とする。今の国鉄経理内容等から勘案してみて、はたしてこの六十億の財源というものは真実に確保できるのかどうか。さらに今の国鉄内容を充実するためには、はたして今の運賃が適正であるのかないのか。今の国鉄行政諸般にわたつて、新大臣としては何らか具体的な刷新の意図を持つておるのか持つてないのか。あなたは就任のこのあいさつの中では、これらの点については全然触れておりません。そこでもし大臣にその抱負なり経論があるならば、この機会にこの席で御発表願いたいと思うのです。
  12. 三木武夫

    三木国務大臣 正木君も御承知のように私は就任早々でございますが、ただ日本公共企業体というもののあり方については、これは檢討を要する非常に新しい制度でございますが、この公共企業体能率化と申しますか、これを日本の場合にこの新しい一つ企業方式を十分に咀嚼をして、そうして世界各国成績を上げておるようにするためには、やはり相当な刷新を要する部門もあると思います。ただいまのところ今御指摘のような運賃値上げ等は考えておりません。まず国鉄自体といたしましても経常内容を合理化して、この機会にいろいろ刷新を要すべき点があろう、こういうことで檢討を加えたいと思つております。  新線の建設についての六十五億円は、私も大臣就任前に鉄道建設審議会委員として、審議会におきましてもこれは全会一致答申をいたしておるし、これは確保いたしたい所存でございます。
  13. 正木清

    正木委員 私は重ねて簡潔に大臣並びに運輸省事務当局に強く要請しておきたいと思う。きようの大臣胞負経論の一端を御発表なつ項目、これと関連して国鉄経常全般に対する問題が、当然大きな問題となつて現われて来ると思う。私は事務当局としても大臣諸般の打合せをして、大臣発表なつたと思うが、これらの問題を三十年度の予算の面で具体的に実行に移すということになれば、私は並々ならぬ苦心と努力が必要だと思う。どうか政務次官及び事務当局は腹をきめて、一片の単なる机上プランでなく、少くとも三十年度の実行について、必ずこれが予算化するというかたい信念を持つて努力を願いたい。以上を申し上げておきます。
  14. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 私は今大臣の言われた点については質問をしたいと思つたが、同僚委員から質問がありましたし、またあとに関連があるとおつしやるからそれに譲ります。  私は今の自動車局長の御答弁では、どうやら私の指摘したことは当局ではうすうす知つておられるように思う。一日に二十四時間の勤務というものは、すでに労働基準法の上から見て違反であるし、同時に人命、財産を預かるところに公益性というものを交通機関に負わしておるのでありますから、そうすればそういう無理なことはすでにわかつているのを放任しているということは、これはその行政指導上からの責任として、私は看過できない重要事案であろうと考えるのでありまして、こういう点についてはひとつ特段努力を払つていただいて、少くとも運転手が二十四時間勤務をやる、そういうようなべらぼうなことのないようにひとつとりはからつてもらいたい。  それからまた私の指摘したその自動車部分品の取替等に対する費用、あるいはガソリン代等の負担が運転手に課せられている、これはもう事実です。これも今局長が申されたように、まつこうからそういうことはありませんとは言い切れない。それは何かというと、自動車局長も申されるように、自分の業績を上げて行くためには、やむを得ずそういうことをしなければならぬ。といいますのは、これはその給与面に、おいていわゆる歩合給のみが重点的に取上げられておる。大阪あたりでもある会社におきましては、私の指摘するように、九割までが歩合給であります。こういうようなことでは、まつたく請負制度でありまして、常識的に判断して雇用関係ということは私はできないものだと考えますから、こういう点格段の努力をいただきたい。  それから次にもう一点伺つておきたいの、は、最近問題になつておりますハイヤータクシー料金の問題でございますが、これは大臣就任早々でよく御承知だと思うのですが、このハイヤータクシー料金の問題につきましては、これは裏に輸入自動車の普及をはかろうとする業者と、それから国産自動車を普及して行こうという業者との間における、悪くいえば策謀から出ておる問題だと思います。このハイヤータクシー料金の問題は表面に取上げられておるものだけでなくて、その中には業界内部の問題が非常にからんでおるものだと私は思つておるのですが、これについて大臣はどういう所感を持たれるか。いわゆる国産自動車を奨励するために、たとえば料金現行料金から引下げるような措置をとるか、あるいは輸入自動車を含めた全体の料金を再検討して、特定の自動車料金だけではなくて、全体のハイヤータクシー料金を再檢討するという挙に出ようとされるか、それをひとつつておきたい。
  15. 三木武夫

    三木国務大臣 私は先般料金について陳情を受けたわけであります。しかしまたその同種の業者の中にも値下げ反対意見もあつて、まだ組合としても全体として意見がままつ陳情ではないと承知しておるのであります。この問題については、政府全体としての考え方は、国産車自動車工業というものを育成したいというのが、現内閣基本方針ではあるわけでございますが、しかしながらそれにはやはり現在の国産車生産状態ともにらみ合せまして、これはいろいろ時間が置いて考えなければならぬ面もあると思います。方針としてはそういう方針であります。ために官庁のごときも外国車の新規購入を禁止いたしまして、今後はやはり国産車にかえて行くということを、閣議で決定をいたしたことは御承知通りと思います。この料金の問題はそういう方針ではございますが、今申したような日本国産車の生産の現状等も考えまして、これを急激に国産車中心というようなことのできないことは御承知通り、そこで料金はあまりな値下げと申しましても、そのために不正競争が行われ、業者が共倒れのような事態は、これは考えなければならないので、そういう陳情もあり、全般の料金の問題については陸運局長の管轄に属しておるようでありますが、しかしこれは全般の国民生活にも影響が多いわけでございます。自動車局長についても陸運局長と連絡を十分にとつて、この問題はいろいろ陳情もあり、どう処理するかという事務当局の案を私の手元に求めている次第であります。いろいろな陳情もございますのでこれは今申したような基礎の上に立つて檢討をいたしたい所存でございます。
  16. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 もう一点、私は今の大臣答弁を了解いたしますが、さらに大臣要望しておきたい点は、先ほどから自動車局長に御質問申し上げた、いわゆる自動車業者企業全般にわたる合理的な再建、その中には私が指摘している無理な労務管理、あるいは無理な歩合制による過度の責任運転手に負わすような点については、これは事故の最大原因をなすものでありますから、これについては至急に適切なる措置を講じていただきたい。そうしてその適切なる措置をどういうふうに業者にも講ぜられておるかについての方策についてもひとつ御報告を願いたいが、さしあたり年末を控えまして、ますます交通事が増加の傾向にありますし、ますます運転手勤務時間等においてもあるいは走行の責任キロ数においても、業者からこれを強制される傾向にございます。そうなりますると非常に危険でありますから、この点は強く労務者からも私の方に陳情いたしております。幸いに新しい運輸大臣就任したわけでありますから、ひとつ大臣の手でこれらについて適切なる措置を講ぜられ、その結果を御報告願いたいということをお願いしておきます。
  17. 高橋圓三郎

    ○高橋(圓)委員 私は先ほどの正木委員質問に関連しまして、大臣質問にあわせて希望を申し上げておきたいと思います。  新内閣ができまして、新しい内閣抱負経論がいろいろな形でうたわれております。しかし新聞記事を見ましても、目ぼしいものは何か大臣の公邸を廃止するとか、いわば子供だまし選挙の目的の宣伝のようなもので、私はそういうようなものはあまり当てにしておりません。しかし三木大臣は私どもかねがね尊敬しておる政治家でありますし、ことにひとり運輸行政だけでなく、政治家としての大きな見識の上に立つて、必ずこの内閣の中でも政治家たる見識の広い見地から、行政長官としての面でも大きな働きをされるものと大きな期待を実は私どもつているわけであります。これは一般にもそうであろうと思います。先刻の御抱負を伺いました中で、大体においてはどれもこれも正木委員指摘されたように、一応触れておりますが、おざなり的な点もありますけれども、しかしながら公共企業体の性格なり、そういうものについても根本的に檢討したい。これは新しい企業形態で、われわれも今後日本でも外国のものの敷写しではなく、国情に従つておそらく三木大臣は独自の新機軸を出されるものと期待しております。われわれもそうあるべきであると考えておつたととろであります。外航船舶の問題、また造船業の問題、船舶輸出等も御指摘のように粗糖リンクで船を輸出してうまく行つている。これはまつたく特殊の条件のもとにうまく行つている。ところが新内閣の農林大臣河野一郎君は、砂糖は専売にするというようなことを言つておる。いずれにいたしましても非常に大きな問題が起きておる。いろいろな困難もあると思いますが、私は運輸省行政長官としてでなく、政治家としての三木大臣に切に御希望を申し上げておきたいと存じます。鉄道経営につきましても、たとえば先般来新線建設が、内閣がかわると同時にいろいろととりざたがされておるのであります。おそらくかようなことはなかろうと思いますが、正木委員からも希望があり、大臣もできるだけ努力するというお話でありましたが、新線建設並びにまた一部ではローカル線と申しますか、経済的に引合わない線につきましては、たとえば貨物の取扱いをしない駅をつくる、あるいは駅長のおらない駅をろくるというような考え方もつい最近にあつたのであります。これらの引合わない線は休む。新しい線は大体において経済的に引合わない線が多いのだからこれはやめるそれでなければ乗車賃の値上げをする。こういうことでやるのであつたならば、大して運輸当局に期待をする必要はない。たれがやつても、会社員が経常してもやられる。手品をしてくださいというのではありませんが、そこにやはり政治的な高い見地からものを御判断願つて、運営の機構なり、組織なり、そういうものより別な視野からお考えになれば、案外にそういうことをせなくても、公共企業体としてりつぱにやつて行けるというすき間があるのではないか。そこらをぜひ新大臣に私は期待をいたしまして、さようなことが起りませんようにしていただきたい。今日は戦争とか、そういう非常事態ではないのでありまして、計画した新線を中止する、今までやつておる線をそういう不便な形にしてしまう、——それは非常事態ならばやむを得ませんけれども、国有鉄道がやつておる以上は、これはいろはみたようなことで恐縮ですが、地方の国民大衆にもできるだけ福祉をわかつ、恵沢に浴させるということが、私は国有鉄道の目的でなくてはならないと思います。どうかそれらの点について万全の御考慮と努力お願いいたしたいと思うのであります。もし承ることができますれば、この機会三木大臣の御見解なり御胞負をお聞かせ願いたいと存じます。
  18. 三木武夫

    三木国務大臣 高橋委員運輸行政に対して御理解のあるお言葉を拝聴いたしました。大体お考えになつておる点は私も同感でございます。今後最初に申し上げたような諸点につき決して、全力を上げて問題の解決に努力をいたしたい所存でございます。
  19. 中居英太郎

    ○中居委員 私は右派社会党を代表いたしまして、三木運輸大臣就任に心から祝意を表する次第であります。と同時にこの際一言お伺いいたしたいと思いますのは、先ほど大臣あいさつの形式で述べられました今後の運輸行政に対する所信と申しますか、抱負を申しますか、とれに対しまして先ほど来正木、高橋兩委員等から質問があつたのでありますが、この質問に対する大臣答弁の中で、私はこの際さらにただしておきたい点がございますので、お尋ねする次第でございます。と申しますのは、先ほどあげました七つの大きな方針のうちで、国鉄運賃を値上げしない、こういう一脈がございました。私どもこの点非常に同感にたえないのでございますが、ただ前内閣の石井運輸大臣は、明年の予算編成に対する所信を当委員会で申し述べました際に、鉄道運賃の全面的な二〇%程度の値上げを行う、こういうことを披瀝いたしましたそしてまた国鉄当局は、その予算編成にあたりましても二〇%程度の運賃値上げという前提に立つて、三十年度の予算厚案を作成しておるやに私ども聞いておるのでございます。そこで内閣がかわりまして三木運輸大臣は、在来まで部内で進められて参りました話と全然相反する、運賃値上げを行わないという言明をせられたということは、大きな一つの問題ではなかろうかと私考えておるのであります。どうかその言明が正しく施行せられるようにわれわれ期待しておるのでございますが、ただそれに関連いたしましてお伺いいたしたいことは、運賃価上げはこの際ぜひ避けてもらいたいと思いますが、国鉄の経理実態というものはこれまた非常に困難な現状に立たされておるわけでありまして、その一例を申し上げますならば、国鉄経営指数は戦前を一といたしますならば、四五〇に達しておるといわれております。ところが運賃は、旅客はわずかに百十五倍、貨物運賃は百六十六倍、こういう運賃経営指数とのアンバランスが、今日の国鉄経営危機を招いておる大きな原因ではないかと私ども考えておるわけでありまして、運賃価上げをしないという前提に立つて今後の国鉄経営をやる場合には、ここに何か大きな政策の転換がなければならないと私ども考えておるのであります。私はこの点新運輸大臣の方針というものに大きな期待を持たざるを得ないのであります。  そこで第二番目に私お伺いしたいことは、先ほどの大臣答弁の中に、二十三線に対するところの新線建設の費用六十五億を何とか確保したい、こういうことがございました。この六十五億の予算を確保したいということはどういう意味であるか。政府の金を国鉄に出資する形をとるのであるか、あるいはまた在来までの預金部資金の借入れという方針をとつて、この預金部資金の起債のわくを確保したい、こういう意味であるのか、この点を重ねて御答弁願いたいと考えておる次第でございます。
  20. 三木武夫

    三木国務大臣 運賃の点でございますが、誤解のないように申し上げておきたいと思うのは、新内閣では御承知のように早々に国会の解散を行う方針でございます。そういうわけで予算の数字的な編成は、選挙後に譲りたい方針なのであります。そこでどういう一つの方針で予算を編成するかという具体的な点については、これは国会において政府発表機会を持ちたいと考えておりますが、数字の裏づけは選挙後にやりたいということで、予算の数字的檢討はただいま行つておりません。それで運賃の問題等も、これは予算審議の場合に檢討される問題に属するわけです。私はただいまのところ予算編成前の私の心境として、上げたくはないのだということを申し上げたので、これは政府全般の予算編成の時期にこの問題は具体化し、檢討される問題に属しておる。運輸大臣としてはただいまのところそういう考えを持つておるということを申し上げたので、その点誤解のないように願いたいと思うのであります。  次に六十五億の問題でございますが、国鉄当局に資金のないことは御承知通りであります。国鉄当局の希望としては、この六十五億を財政資金に求めたいということであります。私もこの内容については十分な檢討はいたしておりません。従つてこれが国鉄の申すように全部財政投資によるか、あるいは他の方法を考える余地があるのかないのか、とにかく総額として六十五億の資金を確保したいのだということを申し上げたので、その内容については檢討を加えてみたいと考えております。また国鉄経営については、先ほども申しましたように、一つ公共企業体のあり方については、十分に檢討を加えて行きたいということでございます。
  21. 中居英太郎

    ○中居委員 御答弁の要旨は、選挙後の予算編成の場合に数学的な問題を具体的に檢討したいから、運賃値上げ等の問題もこの際考慮したい、こういうことでございます。しかしながら承るところによると、すでに現内閣は解散前に骨格予算、明年度の予算の方針だけでも国会の通過をはかりたい、こういう方針で現在骨格予算の編成にとりかかつておると私は聞いておるのであります。といたしますならば、鉄道の二千五百億円を越えんとするところの運輸行政の最も大きな部門のこの骨格予算と申しますか、明年度の予算編成の方針というものは、運賃を値上げするかしないかということが骨組みでなかろうかと私は考えておるのであります。この問題だけを決定をすることが国鉄の骨格予算ではないか、この方針をあいまいにいたしまして明年度の骨格予算の編成はあり得ないであろうと考えておるのでありますから、この運賃値上げの問題を選挙後の数字の檢討の場合に檢討するという大臣考え方は、いささか違うのではないかというように考えておる次第でありますが、この点重ねてお尋ねしたいと思います。  さらにまた、大臣がしばしば御答弁なされましたように、公社の形態というものを檢討したい、これは私大いに賛成でございます。今日まで政府がとつて参りました国鉄に対する態度と申しますものは、例をあげて申しますならば、この経常事業運賃とのアンバランスを部内で問題にいたしますと、常に公共性という面だけを主張いたしてこれを押えて参りました。ところがまた逆に、国鉄会計が赤字で悩んで、運賃値上げを公共性で押えるならば、政府出資を国鉄にすべきではないか、こういう主張をいたしますと、今度は企業性という面だけを主張いたしまして、独立採算のわく内でやれ、こういう態度を政府は今日までとつて参りました。いわゆる公共牲と企業性というものを使いわけして、今日の国鉄の財政の危機を招いておつたのでありまして、そういう点から申し上げますならば、企業性と公共性を兼ね備えた今日の公社制度というものは、根本的に檢討せられなければならない段階ではないかと考えておる次第でありますから、こういう国鉄の現状をよく理解していただきまして、これに対する根本的な方針を御考慮願いたいと考える次第であります。
  22. 三木武夫

    三木国務大臣 予算の問題については、骨格と申しますか、現内閣予算編成の方針の大綱を国会に申し述べる機会を持ちたいと考えておるのでありますが、数字の裏づけというところまでには参らぬのではないか、こう考えております。しかしながら今御指摘のように、これは大綱と申しましても、政府は大体の予算の数字的骨組みはなければならぬわけで、それに基いて予算の編成方針が出て来るわけでございましようから、やはりこの運賃の問題等も、そういう予算の問題を具体的に檢討する機会がございまするならば、これは出て来る問題だと思います。私としてはそういう考えでおりますが、予算全般とにらみ合せてこの問題は檢討いたしたい考えであります。
  23. 楯兼次郎

    ○楯委員 ただいまの中居委員質問に関連をいたしまして一点、それから私、新たに簡単にひとつほかの問題について御質問いたしたいと思います。、ただいま各委員から申されました新線建設でありますが、新しい運輸大臣になられましてから、相当辺地といいますか、鉄道のない地域の住民たちは希望を持つておつたわけであります。ところが就任早々のあなたの御発表になりましたのと、当委員会において御発言になりましたお言葉と、幾分食い違いといいますか、割切れないものを私ども感ずるのであります。私はくどいことは申し上げませんが、次の二点について大臣としてはどういうようなお考えに立つておられるかという点をお尋ねいたしたいと思います。  ただいま二十三線、六十五億の予算を確保したい、こういうことをおつしやいましたが、大臣としては、全国民要望であります二十三線以外の新しい建設について、ひとつつて行こうという気持があるかどうか、これが一点であります。  それから二十三線の六十五億につきまして、吉田内閣のデフレ政策によりまして、国鉄の経理内容は、荷物あるいは旅客の減少によつて収入の増加は望めないと思います。過去の新線建設については、資金の確保のルートがきまつておる。たとえば公債を発行するとか、あるいは借入金によるとか、あるいは政府出資によるとか、これ以外に私は道がないと思います。特に独算制の建前からいいまして、国鉄当局としてはこの新線の建設については最も努力すべきであろう、私はこういうふうに考えております。こういうような困難な状態の中にあつて六十五億を確保したい、こういうように新しい運輸大臣はおつしやるわけであります。すでに三木運輸大臣鉄道建設審議委員でありまして、そこにおいてこういう財源の点については知悉しておられるのでありますから、この際ひとつ公債によるのか、あるいは借入金によるのか、あるいは政府出資によるのか、いずれの点が最も望ましいのであるか、お答えを願いたいと思います。  次に御質問申し上げたいのは、新運輸大臣あいさつの中に、国鉄の労働行政に対しまする見解というものが入つておらない。この点について私ども不安に感ずるのであります。民主党内閣ができましてから、労働組合ともよく話し合つて行こう、こういうようなことが新聞、ラジオによつて宣伝されております。特に国鉄労働組合というのは、つい昨日までいろいろな問題を起しておりましたが、日本における労働運動の中核体である、こういうふうに申し上げてもはばからないと思うのでございます。ところが毎年繰返しております国鉄労組の労働運動につきまして、昨年あるいは一昨年、いわゆる仲裁裁定が完全に実施をされない、そういう原因によつて二十一名の馘首を行つております。これは社会党の立場あるいは政府の立場、それぞれ見解が異なるでございましようけれども、いずれにいたしましても、この首切りの問題が国鉄労組のあらゆる運動の中に入つておりまするから、必要以上の——なるほど国民に対しては迷惑でございましようが、必要以上の問題に発展をしておるのではないか、こういうふうに考えておるわけでございます。従つて、労働運動に非常に理解を持つてお見えになるところの民主党の内閣が出現をいたしたのでございますから、この際過去に起きましたところのこれらの馘首問題については、ぜひひとつ新しい運輸大臣の手によつて、いわゆる労働大臣が常に言つておりますところの労使の話合いによつて、円満なる解決をしていただかなくてはならない、こういうふうに私ども念願し、かつ希望をいたしておるわけでございます。この点について、そういう今までの過去におきますところの仲裁裁定をめぐる紛争について起きました残澤を、この際新しい運輸大臣の手によつて、円満に解決をする御所信を持つておられるかどうか、この二点についてお伺いをいたしたいと思います。
  24. 三木武夫

    三木国務大臣 初めの御質問鉄道の新線については、やはり日本はまだバス時代ではない、鉄道建設を必要とする。諸外国ではもうすでに自動車の時代のような観がありますが、日本では資源開発等も含めて考えてみて、鉄道建設を必要とするという考えでございます。そこで、いろいろ地方の要望もありますし、でき得る限り新線というものをやりたいと積極的に考えております。ところが、やはりそれには資金の問題で行き詰まりまして、六十五億を確保いたしたといたしましても、まだ來年度は今までの事業を細々と継続するのにこれが最小限度の資金であるということで、積極的な鉄道建設の意図を明年中に実現さすことは資金的に困難である。ただ三十一年度が参りますと、継続事業の資金も大分減つて参りまして、十五億円程度の余裕ができるであろうという見通しも立つわけで、三十年度中に新規工事をやる場合には、どういう線を取上げるべきかということを十分調査をいたしまして、三十一年度からは数個の新線を取上げてぜひ実現をしたい考えでございます。なお六十五億の資金については、どういうことで確保するかということはなかなか困難があろうと思いますが、今の私の考えでは、政府出資以外になかなか妙案はないのではないかという考えでございますが、これはさらに檢討を加えさせていただきたいと思うのでございます。  最後に労働問題でございますが、楯君も御承知のように、新内閣になつて労働組合との間はできるだけ話合いで円満に解決して行こうということで、年末手当等の問題も妥結を見たことは御承知通りであります。しかしながらやはりわれわれは、何か労働問題というものが不必要に尖鋭化して、政治闘争的な組合運動になつておることに対して、遺憾に思つておる一人でございます。この労働組合に健全な軌道に乗つて行つてもううためには、政府自身としても考えなければならぬ点がたくさんあろうと思います。しかし建前としては、何でもすぐにストライキの行動に出るという尖鋭化した労働組合運動の現況を、できる限り話合いによつて平和裡に解決したいという方針にのつとつて、労働組合の人たちとも年末手当等の問題について話合いをやつて来たわけでございます。ただしかしながらその中にあつても、やはり労働組合が法の秩序を維持するということは絶対の条件であります。これがくずれて参りますと、これは他の方面でも法の秩序が維持できないということになつて来ると、これは国としても成り立たないわけであります。そういう意味でわれわれは労働組合運動に対して十分な理解を持つておるけれども、いやしくも法の規定に反した者に対しては、断固たる処置をとらざるを得ない。それはやはり国政に責任を持つておる者として、当然のことであると考えるのであります。要はそういうに事態に至らない前に、そういうふうな法律上の問題を起さない前に労働問題を処理したいというのが、新内閣の考えであるということを御承知おき願いたいのであります。
  25. 楯兼次郎

    ○楯委員 私は今運輸大臣の言われましたことはもつともだと思います。但し私が御質問を申し上げておりまするのは、過去に起きました労働争議によりまして、組合は二十一名の首切りを出しておる。しかもこれが判然と法に違反をするという判決が出るなり、定義の上に立つてなされておるならば、また何をか言わんやであります。ところが御承知のように、私ども社会党の立場から申し上げますならば、当然仲裁裁定というものは実施をして行かなくてはならない。こういうふうに考えております。それを実施されない政府の方たちによつて処分をされるということはきわめて不当である、こういうふうに考えておるわけであります。これは私ども社会党の立場でありまするが、よしんば政府の立場になりましても、今日の公労法というものは完全なものではない、こういうことは私は運輸大臣にも御了解をしていただけると思うのでございます。その完全でないところの公労法——これは相当毎年毎年論議が繰返されて参つたのでありまするが、そういう法を基本にして処分をされた。従つてこれは私どもは不当である。社会党の立場を離れましても、これは公労法そのものが完璧ではないところに、国鉄の問題というものは起因をしておる、こういうふうに考えておるわけであります。従つてそうした事柄から起きて参りました今日までのいわゆる馘首問題というものは、この際新内閣の手によつて、いわゆる話合いによつて円満なる解決をはかるべき時期ではないか、また私ども民主党内閣にそのことを大きな期待を持つてつておるわけでありますから、そういう面をひとつ運輸大臣によつて解決をしていただきたい、こういうふうにお願いを申し上げておく次第であります。その結論につきましては、あるいはわれわれが望んでおるのと同じようなものは得られないかもわかりません。しかし首を切つた、これに反撃をしてやつて来る、とにかく一回も話をしない。これでは私は円満なる労使の慣行というものは樹立されない。従つて新しい内閣によつて円満なる労使の慣行というものをここに築き上げていただきたい、こういうことをお願いするわけでありますから、どうぞよろしく。
  26. 臼井莊一

    ○臼井委員 大臣の御出席の機会に、国産自動車についてひとつお願いをしておきたいのです。先般内閣で官庁の新規購入は国産車に切りかえるというお話で、われわれも非常に喜んでおるわけであります。しかし数の点で官庁があまり買うと、数が足りなくなつて値段がつり上りはせぬかということで、多少二の足を踏んでおるということをちよつと聞いたので心配をしておりましたが、しかしただいま大臣お話でやはりその方針は堅持されておるようです。かねがね大臣は、日本の産業として近く一億になる人口が十分食べられるように、安全雇用の満たされるようにという御意見を持つておることを承知しておりますが、もし日本国産車が質が悪い、弱いというなら、これを何とかして強くするくふうをする。また値段が外車に比べて高いというならこれを安くするくふうをする。また数が足りないならばどうして数をふやして行くか。この数をふやすとか、質をよくするとか、値段を安くするとかいうことについては、国家においても力を入れて行つて、そうして輸出もできるようにする。自動車の関連産業は非常に広範囲にわかつておりますので、日本の産業の発達のためには私は非常な力になると思います。どうもわれわれ始終ドイツのフオルクス・ワーゲンとか、フランスのルノーとかいうものが走りまわつているのを見ても、日本道路、また道の狭いのに適した、ガソリンも節約できる堅牢な車をつくるようにする。もちろんこれは通産省の問題かもしれませんが、そういう意味で国務大臣として、また運輸大臣として、大いに御檢討されるようにこの機会お願いをいたしておきます。
  27. 竹谷源太郎

    竹谷委員長 では本日はこれにて散会いたします。    午後零五十八分散会