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1954-12-06 第20回国会 参議院 法務委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年十二月六日(月曜日)    午後三時三十五分開会   —————————————   委員の異動 本日委員亀田得治君辞任につき、その 補欠として三橋八次郎君を議長におい て指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     高橋進太郎君    理事            北村 一男君            宮城タマヨ君    委員            梶原 茂嘉君            中山 福藏君            三橋八次郎君            棚橋 小虎君            羽仁 五郎君   事務局側    常任委員会専門    員       西村 高兄君    常任委員会専門    員       堀  真道君   説明員    法務省入国管理    局長      内田 藤雄君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○検察及び裁判運営等に関する調査  の件  (外国人出入国管理状況に関する  件) ○宇都宮地方裁判所足利支部の昇格に  関する請願(第一五九号) ○秋田県米内沢町に簡易裁判所等設置  促進の請願(第一六三号)   —————————————
  2. 高橋進太郎

    委員長高橋進太郎君) これより法務委員会を開会いたします。  検察及び裁判運営等に関する調査二月二日現在で全体の数字が千四百六のうち外国人出入国管理状況に関する件を議題といたします。
  3. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 前回に本委員会入国管理委員長にもおいで願つて、原則的な点について政府のお考えなり、現在やつていらつしやるところを伺つたのですが、今日はその個々の点について伺いたいと思いますので、そういうようにお許しを願いたいと思います。  で、項目がどつさりありますのですが、第一に、現在大村収容所収容されておる方々について次の点を伺いたいと思います。その第一はこのいわゆる管理令第二十四条というのですが、外人登録違反、それの適用によつて入所されている方が何名現在おられますか。私どもが派遣されて見て参つたころと現在と大分状況が違つておるようですから、まずそこから伺つて行きたいのですが。でその中でいわゆる登録令違反といいますかそれが何名で、密入国というふうのことである方が何名であるか、それからそれらの方々について男女別、それから年令別子供の方がどれくらいおられるのか。まず第一に以上のような点についてお調べができておりましたらば、お答えがいただきたいと思います。あるいはこれらについて後ほど表でも作つていただいてお送り願つてもけつこうですけれども……。    〔委員長退席理事宮城タマヨ君着席〕
  4. 内田藤雄

    説明員内田藤雄君) ただいまの御質問にお答え申し上げます。これは十二月二日現在で全体の数字が千四百大ということになつております。そうして内訳のただいまのこまかいほうは、これはちよつと時期が前でございますが、十一月二十九日現在の数字でこまかい内訳のほうを申上げます。このときの総数が千三百三十二でございますが、その範囲内で申し上げますと、不法入国数字朝鮮韓国両方合せ接して七百四十名、中国の方の数字が百十、それから不法残留等のケースがこれも韓国朝鮮を合せまして十四、中国関係のほらが二十三、そのほか登録法違反薬鍋以上の刑に処せられたる者という条項によります者が、これも朝鮮韓国両方合せまして二百二十一、中国関係が四、それから麻薬関係の各項に基きます者が朝鮮韓国両方合せまして十六、それから中国関係が四十四、それから通常の犯罪で一年以上の刑に処せられた者という条項によりますものが朝鮮韓国合せまして百三十七、それから中国関係が五でございます。それから密入国の幇助という条項によります者が朝鮮韓国のほうの関係で一人、そのほかに今申し上げましたもの以外に欧米人収容されております者が七名、こういうことになつております。ただいま男女別を申し上げるのを忘れましたが、そのらち女性の数が、不法入国朝鮮韓国関係で百六十九というのが、今時に女性のほらだけ申し上げるのですが、と申しますのは、これが非常に大きな数学で、あと女性関係中国のほらに不法残留の四と麻薬関係の三とそれから朝鮮韓国関係のほうの不法残留一とそれから登録法違反禁錮以上の刑というあの条項が一人とそれだけでございまして、残りは男性でございます。
  5. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 子供はどんなふうになつていすすでしようか。
  6. 内田藤雄

    説明員内田藤雄君) 子供は、子供と申しますのは年令をどこに取るかでございますが、十四才以下として申し上げますと朝鮮韓国関係不法入国に男のほうで九十三、女性のほうで六十二それから中国関係にはそういう子供はございません。
  7. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 今のいわゆる不法入国関係で十四才以下の子供さんが数が非常に多いということは、これはまあいろいろな意味で問題だろうと思うのですが、法律制定の際には予想してないことじやないかと思うし、それからあそこの収容所設置というものも、子供さんがこんなに多いということはおそらく予想してないだろうと思うのですが、これはどんなふうに御覧になつていますか、この問題は。
  8. 内田藤雄

    説明員内田藤雄君) ただいまの御質問でございますが、必ずしも制定当呼予想していなかつたとは言えないのじやないかと思うのでございますが、子供が随伴で入つて来る場合のことはあり得ることとして考えておつたのではないかと思いますが、まあ子供のための施設というふうに、特別のものは現在のところないかもしれませんが、しかし子供密入国に随伴して入つて来る場合のことは、当然考えておつたものと私ども考えておりますが……。
  9. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 しかしこの外人登録法でもつて取締対象となる不法残留とか、なかんずく登録法違反によつて禁錮釧以上の刑を受けるとか、あるいは麻薬関係のほうに触れるとか、そういうような関係では子供さんの数はおそらくない。ですから大体この登録法取締対象となる他の条項の場合に子供がないように、この不法入国というものも元来はいわゆる密航でしようからね。外人登録法によつて取締るべきものは密航であつて、それで不法に船に乗つて荒海渡つて、夜暗いところか何かを非常な冒険をして日本に入つて来るというのは、子供連れでやつて来るのはないのが当然だろうと思うのですが、われわれが仮に密航して子供でも連れて密航するということはないので、これは密航というよりも、生活の密接な関係があるところへ自分の行こうとする場合に、子供や家族を連れて来るということだから、やはりこの外人登録法が検討されたころもわれわれが非常に心配した問題、また政府でも心配された点、つまり元来日本人として生活されておられた方が、今度外国人となるということの無理から来るという面が多いのじやないかと思うのですが、この問願は後に具体的にも伺いますが、第二の問題は、この収容されておられる方が、あそこへ収容されてどれほどたつているのか、平均及び最も長い方、私の聞いたところではどうも二年、三年という、あるいは三年以上もあそこへ入つておられる方がいる。そうするとこれはやはり外人登録関係してそういうふうに長く収容所に置くということは非常な問題があろうと思う。この前にもあなたに申し上げましたが、大村収容所長にここはホテルか刑務所かと聞いたら、船待ちをしてもらつておる、船を待つているのは二、三カ月くらい待つてもらうところとしてあそこができている。法律もそこに主眼があるはずだ、二年も三年も船を待つているということは、これは筋が通らないのじやないかと思うのですが、その意味で非常に長い方はどのくらいおられますか、二年以上、三年以上がどのくらいおられるのか、それを伺いたいのです。
  10. 内田藤雄

    説明員内田藤雄君) 今一番長いのは二年半くらいになつている方があるかと存じます。長い方の数字は、今の二年半近い方が四十人くらいじやないかということでございますが、それでわれわれもお説のように元来はその主権国が当然これは不法入国であるとか、あるいは正当な国内法律に基きまして退去をさせますような場合には、これは国際慣習としましては当然相手国が受け取つてくれるわけなんでございますが、遺憾ながら相手国がそういうふうに出てくれないために、こういう状態になつておるわけなんでございまして、長くなつていることに、もちろんはなはだ、おもしろくないことだとは思つておりますが、その責任がわれわれのほうだけにあるものとは考えておりません。
  11. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 それから、今の問題は責任入国管理局にあるというふうに申し上げているのじやなくて、やはりこの外人登録法適用の場合に人情にもとるような残酷な処置はしないということは、当時は所管が外務省であつたから、担当国務大臣の御答弁はつきりあることなので、いかにも御説明のように、本国にお引取り下さい、あるいはこちらでお入りを願うかという解決がつかないことが今のいろいろな問題の原因で、決して入国管理局責任があるというふうに伺つているわけじやないのですが、しかし出入国管理局としてそういういずれの、いかなる理由にせよ、人情にもとる、人権をふみにじるような状態に、あまり人を長いこと置いておくということは、外国人であろうと、元日本国民であろうと、あるいは誰であろうと、それを解決する方法を考えていただきたいという意味で伺つているので、責任の追及ということを申し上げているわけじやないのです。  それから関連して伺いたいのは、さつき十四才未満子供さんがまあおよそ百五十人以上、概算して百五十人前後おられるのですが、そういう方は学校に行く教育関係なんかはどうなつておりましようか。
  12. 内田藤雄

    説明員内田藤雄君) 元来が羽仁委員も御承知の通り、あそこの施設はしばらく滞留してもらえば、帰つていただけるという前提でやつておりますものですから、そういつた教育施設までは遺憾ながらできておりませんです。
  13. 中山福藏

    中山福藏君 ちよつと関連してお伺いしておきますが、二年半と申しますと、結局まあ日本側手落もがないということは、今局長さんのお話でよくわかるのですが、そういう人には何か職業を与えるとか何とか、あまりに負担が日本政府にかからないような措置が講ぜられるべきものだと思うのですが、何かそういう手仕事か何か与えてあるのでしようか、そういう点はどうなつておりますか。
  14. 内田藤雄

    説明員内田藤雄君) 確かにそういつた方面からの考慮もいたしたいのでございますが、何分にもこの本来が、これはああいう収容の本質が犯罪者の方を扱うのでもございませんし、ともかくその個人の方の自由意思と申しますか、自由というものをなるべく尊重しなければならないし、また、われわれとしてもそのつもりでやつておりますので、ことさら強制的にそういう施設を設けて、そこでまあいわば労働を強制するというような形ばとつてもおりませんし、また、とるべきでもないと考えておるわけでございます。ただし、実際問題としまして、そういう希望の方がおられます場合に、それによつてある程度のまあ時間の慰みにもなりましようし、また、それである程度の収入も上げられるという途を、やはりこれが長引くにつれましてそういうことをだんだん考え始めまして、現在ごく些少でございますが、希望方々のために約七〇坪の家屋を利用いたしまして、ごくまあ素朴な事業でございまするが、むしろ作りとか、かます作りとか、すのこを作るといつたあの地方のそういう需要のあるものに応じまして、多少の作業をやつております。そういう実情でございます。
  15. 中山福藏

    中山福藏君 お尋ねしておきたいのですが、二年半経過しておられる方が相当あられるようですが、これから先どれぐらいの時期がそこにありましたら問題が、あちらに帰るかどうかということが解決するというお見通しでございましようか、またお見通しがないということになりますれば、そういう人がたをどういうふうに取り扱つて行くかという大体の方針は、もうすでにできておるのでございましようか、どうでございましようか。
  16. 内田藤雄

    説明員内田藤雄君) われわれといたしましては、これは主として外交関係のほうの機関の御努力にも、努力だけでもあるいはいかんかもしれませんが、そういうことに期待を持つておるわけでございまして、今までもう何とか解決するのではないかという期待のもとに、今日まで参つたわけでございますが、そのほうの関係どもにらみ合せまして、なお今後場合によつて考えてみなければならんかと思つておりますが、今のところいつまで、たとえばこういうふうにするというふうな具体的な意味では方針をきめておりません。
  17. 中山福藏

    中山福藏君 最後にもう一つお尋ねいたしたい。何と申しますか、向うではたとえば本来日本国民であつたのが、今度まあ朝鮮が独立したということになつておりますが、向うに籍がないということになれば、全然受け取らないということらしいですが、そうするとまあ日本にも籍がない、向うにも籍がない、こういうふうなときには非常にむずかしい問題だと思うのですが、こういう点もやはり外交問題が処理されるまでお待ちになるということになつておるのでしようか、また、外交問題が処理される前に何とか解決するという御方針でも一応おきめになつておりませんか。それを最後一つお伺いしておきます。
  18. 内田藤雄

    説明員内田藤雄君) 実はその外交上の内容の問題につきましては、両者の主張が適確にどういうところにあるかということは、私自身も今ここで責任を持つた言明をいたしかねますが、しかし少くともわれわれの了解いたします限り、この問題になつております方々日本人ではないということ、払うしてまた向うの国籍を持つた方であるということには一致しておると思つております。そこでその具体的な取扱い方について、つまり非常につきつめて申し上げれば、その方々日本における在留資格なり、そういう問題が外交上未解決であるということから、いろいろな紛争が生じておるのであろうと思うのでありますが、私どものほうの見解といたしましては、たとえその問題が十分解決いたさないまでも、もちろん独自のいろいろな事情考慮しなければならんと存じますが、また現にわれわれとしてはいたしておるつもりなのでございまして、非常によくよくの場合に帰つていただきたいということを申しておるわけなんでございますから、それは国際慣行から見て当然お引取り下さるべきものであるとわれわれは考えておるわけでございます。ですからその基本的な考え方は変えたくないという気持でおります。
  19. 中山福藏

    中山福藏君 先だつて向うに送つて行つたのが、向うの大統領の拒否にとつてまたこちらに送還されたということが新聞に出ておつたし、また事実そういうことが二、三回あつたんじやないかと考えておるのですが、これはどちらにも籍がないということになれば、ますます問題の処理というものがむずかしくなると思うのですが、向うに送り返されても、一応またこちらに送還されるんじやないかと思うのですが、そういう点は、これは一つ研究問題として十分お考えを願いたいと思います。これは答弁要りません。そういう事実がすでにあるということだけは間違いのないことで、今の御答弁とは幾分食い違いがあると思いますから、どうか一つ研究をお願いしたいと思います。
  20. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 今中山委員からも御質問がありましたように、この委員会としてもぜひ一つ考えを願いたいのですが、元来が船を待つている、それで不法入国ということですから、こつちでお入りは願いたくないといえば、本国へお帰りになるのが当然で、従つて船を待つている間だけですから、まあせいぜい一、二カ月という、法律もそういう法律だし、収容所もそういう収容所なんですが、それを二年半以上の方が四十人、それから学齢に達せられた、教育を受けなきやならん十四才以下の方が百五十人もいる。この責任日本側にばかりあるんじやないということもその通りです。ところでその外交関係が妥結されなければ本質的には解決できない。そうするとそれを放つておくと、二年半以上の人がますますふえて、それで当然お子さんが学校にも行けないでそこにいる。これはどうも政府にも考えていただかなきやならんし、委員会としても考えていただいて、何とか便法を講ずるということがなければならんのじやないか。その便法一つには、これらの方々の大部分はやはり生活の本拠が日本にある。大部分でもないでしようが、かなりの数の方の中には日本にある。ただ、その書類その他が完備してない、あるいは一年以上の刑を受けられたとか、あるいは登録法違反で禁固以上の刑を受けられたという理由で、もう日本にいて欲しくないということですが、日本にいて欲しくないということで収容所で二年半以上もいていただく、だから外交関係解決するまでもう少し日本にいて、完全に日本にいていただきたいということではないのだが、しかし収容所にいていただくのは、あまり人権をふみにじつている、残酷であるということで、収容者収容する条件を少し緩和して、今、中山委員からもお話のありましたような御趣旨をもう少し拡大して、日本国内にしつかりした身元引受人というか、保護をする責任を持たれる方がおいでになる場合には、収容所から外に出して、それで一般の日本の社会で生活するということができるようにそれをもう少し拡大していただくということですね。それができれば悲惨なはなはだお気の毒な状態になつておることが幾分解決ができる。現に十四才以下の子供さんは外におられたからというて、別に麻薬をやられるわけでも、悪いことをなさるわけでもないでしよう。保護の方がおられれば、学校に通うなり何なりするということもできるのじやないか。あまり厳格に外人登録法適用すると、どうしても、元来は朝鮮の方だけれども、それが歴史的に日本の方で、日本生活していた方が外国人になる。それで外交関係はまだできないという。その過渡期においてあまり残酷なことが多くなつて来る。残酷ばかりじやない。大村収容所所長に私がお目にかかつたときには、ここへ何人くらい入つて責任を持たれるかというと、五百人をこえたら責任を持ちにくいのじやないか……。もし五百人の方がわあつと騒いだら、機関銃を持出さなければならないような大へんなことになつてしまう。だから大へんなことにならないようにという意味からも、収容所の中におかないで、外で生活をしていただくということに、今、中山委員の御質問趣旨も、ひいてはそういうことにも関係して来る。日本政府収容所に置いておいて、その費用を負担するという点の軽減もできましようし、その辺の中間のところ、これはなかなか法律適用中間のところですから、やかましくおつしやればそういうことはできんということになつてしまうのだが、かといつて全部何でもかんでもそういうことにということもできませんが、この辺のところを少し御研究を願えないでしようか。
  21. 内田藤雄

    説明員内田藤雄君) 御趣旨のお気持はわれわれも十分了解いたしておりますし、ただそのやり方については、いろいろ巾の問題でございますから、御意見もあろうかと存じますが、実際上は今の御趣旨に従いましたことをぼちぼちやつておるわけなんでございますが、ただちよつと念のために申し上げておきますが、ここでお説のように、約百五十人の十四才未満の人がおりましたのですが、これは全部この七月以降の人々でございまして、この人々につきましてはもちろんそれでも相当長くはなつておりますが、今の非常な長期の方の中には入つておりません。われわれといたしまして、そういつた趣旨のことは過去においてもやつてつたつもりでおりますし、今後とも考えたいのでございますが、ただ、実際問題を申し上げますと、なぜ長期になつておるかと申しますと、実際は保証人とか何とかいう方がないために、そういうふうになつておるのが多いのでありまして、本当にしつかりした保証人のある場合には、長期の方の場合には非常に優先的考慮をいたしまして、そういつた趣旨のようなことを実行いたしておるつもりでございます。実情はそういうことでございます。
  22. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 ただいまの御答弁でそういう趣旨は尊重せられ、そういうふうに実行して来られた点もあり、今後も御研究下さるというように承わつて、非常に期待し、また感謝するのですが、どうか一つその点を十分御研究願いたい。この前私どもが派遣されて、視察に行きます前に研究しましたときには、こういう方の例があつた。これは女の方で、御主人がこつちにおられて日本人になられた。しかし敗戦当時に奥さんのほうは朝鮮におられた。それでその奥さん日本にいらつしやりたいということなんだけれども敗戦当時のことだから戸籍の原本というのが、アイデンテテイはつきりしない。アイテンテテイがはつきりしないために密入国になつてしまつた。そこで日本では入れない。御主人が横浜にいられる、相当の生活をしておられる方で、嘆かれて、管理届長か、どなたかにお目にかかつて話された。それでその事実に相違ない。従つてそのアイデンテテイはあまりはつきりしていないが、しかしそれに相違ないということになつたの入国できる。つまり夫のところに戻れるということになつておることを東京で伺つた。ところがそういうふうに東京できまつた方針大村に来ておるかというと、来ていない。その間に非常に時間がたつておる。一カ月以上たつておる。それから端的に私どもが見てこれは少し無理じやないか。つまり今お話保護者のない人が多いということは私も認めるのですが、中にはこういうふうにかなりはつきり夫が責任を負うというふうに言つておるのに、それが入れないという場合なのですが、それほどはつきりしていないのですけれども二年ほど前になりますが、私どもが行きましたときには、こういうようなふうに確かに責任を持つという人があり、収容所から出して日本に適法に入国できるという人が十五、六名だつたか、あるいは私の数字の覚え違いで百名前後だつたかとも思うのですが、東京のほうでそういう方針だということを聞いて大村に来て見ると、そういうような通知は全然来ていないということを伺つたのです。それで帰つて来てさつそくその跡始末をしなければならなかつたのですが、そのままになつてしまつた。それは古い話ですが、これを一つ、なおただいまの御答弁の御趣旨で念には念を入れていただいてお調べ下さつて、幾分でも保護者らしき者、あるいは引受る方というようなもののある方についてはお考え願つていかないと、今私どもが行つたころは五百名でしたが、それがすでに千五百名となり二千名、三千名というふうになつてしまつては、大へんなことになると思うので、そういういろいろ現実事情をお考え下さつた上で、多少収容条件というものの緩和をぜひ一つ研究賜わりたいのですが、いかがですか。
  23. 内田藤雄

    説明員内田藤雄君) 御趣旨はただいま申し上げましたように、われわれとしても考えておることでございます。ただ、いろいろその保証人現実にあるとかないとか、また、保証人の人の問題とかというようなことで、多少われわれのほうの実際の施策がお気持より少し固くなるかも存じませんが、しかし、御趣旨は十分了解いたしました。そのつもりで研究いたします。
  24. 中山福藏

    中山福藏君 ちよつと私それに関連してお尋ねしたいのですが、保証人のこれだつたらよかろうというお見込をつけられる限度と申しますか、少し言いにくいのですが、どういう人が保証人なつたらおめがねにかなつて、大体これだつたら一応釈放してよかろうということになるのでございましようか。その保証人資格といいますか、どういうふうな条件を備えておつたら、その保証人がお気にいるということになるのでしようか。社会的の地位とか、資産とか、あるいはそういうことが条件として備つておらなければ、保証人資格がないということになるのでしようが、どのくらいの限度をお考えですか、一応承わつておきたいと思います。
  25. 内田藤雄

    説明員内田藤雄君) 今私ちよつと保証人資格ということだけを申し上げますと、すぐそういう問題になるかと思いますが、もちろんわれわれは保証人の方が常時一切の責任を持つて下されるかどうかということを考慮いたしますが、やはりこれはあまり具体的なことをちよつと申し上げかねるのでございますけれども、従来の例でも、これははなはだとつぴな例を申し上げるようですが、子供なら子供ということで、そういうことをやりましたところが、実際上子供さんが出て来ないというときに、まさか非常な小さい子供をつかまえに警察官などが大ぜい出かけて行くというわけにも行かないので、困つたような例もあつたそうでございます。    〔理事宮城タマヨ君退席、委員長着席〕  それでそういうような保証をして下さる方の、むろんお人柄なり、資産なり、そういつたこともいろいろ研究の要件になるとは存じますが、しかしそれ以外にもいろいろ……、これは人によつて法を区別する意図は毛頭ないのでございますけれども、再びある時期が来たときに、再収容ができるかどうかの見通し等につきまして、諸般の状況を考慮した上で決するのではないかと考えますですが、ですから保証人の方の資格ということになりますと、こういう人でなければいけないとか、こういう人ならいいとかいうことをちよつと一概に申し上げかねるわけでございます。
  26. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 今の点は、一つできるだけ現実の現状ですね、収容の現状をお考え下すつて、そうして幾分でも悲惨なことや、不合理なことや、残酷なことを解決するという意味で、一つできるだけ条件が緩和せられて、また同情をもつておやりになる……、また、人間のやることですから、絶対に再収容のときに出て来るというふうに、条件はなかなかむずかしかろうと思うし、ことに問題になるのは、個人的関係によつて保護者があるという人の場合は比較的いいでしようが、そういう方がどなたもないために、団体の代表者が保護者として引受けたいというような場合なんかについてでしよう。そうなると個人的関係はつきりしてないから、再収容などの場合に出て来ないという点もあるでしようが、しかし出て来ないが、実害が非常にある場合にはこれは仕方がないかと思いますが、実害があまりない場合には、まずその収容所においてこの千五百名、二千名、二千名以上、あるいは十四才以下の子供は十五人というふうに、状況によつて慎重にお考え下すつて、そうしてできるだけ収容所の外に自由に生活できるという方法を考えていただきたい。続いて細かいことを伺いたいのですが、収容君の生活の状況ですね、ことに長くなつたりしますから次の点を伺いたい。第一は一人当り一日の生活費、これは日本の国のほうで負担しているものがどれくらいなのか、それらが個人として最小限の必要とされるものは大体どのくらいなものなのか、その点についてはどうでしようか。
  27. 内田藤雄

    説明員内田藤雄君) 現在一日の給与額、これは食糧だけでございます、光熱費等の一切を除きましてでございますが、七十円ということになつております。そして大体まあこれは主として非常に数の多い方は朝鮮韓国の方及び中国の方でございますので、その国の習慣と申しますか、その食物に関連しました嗜好というようなものを考慮いたしまして、大体二大別にして別々の食事を供給いたしております。中国の方の場合には、油物などについて特別の考慮をいたしております。それからそのほか衣服の問題でございますが、収奪されておられます方の中で、いわゆる貧困者という認定を受けますと、これは現地でいたすのでございますが、所長等が特に給与の必要を認めた者に対しましては、衣服とか日用品などを給与いたしております。
  28. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 その今の現地の貧困者の認定なんです。われわれ伺つたときにも、予算の範囲内でまあおやりになるということから、どうしても認定がはなはだ……、事実貧困で何も買えないで、実は最近聞いた例でも、女の方で下へなんにも着ておられないというような方も実際にあるようなんですが、長くなつたり、子供であつたり、女の方であつたりすると、それは男だつて気の輝なんですけれども、一層そういう点で問題があると思うんですが。外部からの差入れについてはどんなふうになつていますか。
  29. 内田藤雄

    説明員内田藤雄君) 差入れは自由になつております。それで先ほど申し上げましたように、子供さんの場合など、それでも四、五カ月はたつておりますが、大体七月以降の方でございますので、女、子供に関して、お話のような事態があるということは私聞いてもおりませんのですが……。それから差入れも、ある程度こちらに親がいるとか、あるいは親戚のおかたがいるとかいうような場合には、おそらく女、子供に対しては相当の差入れもあるように聞いておりますのですが。
  30. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 内部の文化施設と申しますか、娯楽施設はどの程度のものがあるのでしようか、または全然ないのでしようか。
  31. 内田藤雄

    説明員内田藤雄君) これは大体々棟ごとに娯楽室というのが設けてございまして、ピンポン台、それから碁、将棋、それから新聞、雑誌などを備えております。それから各部屋の交通も自由でございますし、また外にも自由になつておりますので、屋外の運動もできるようになつております。それへら屋外の運動のために、野球の道具とボールなどを備えてございまして、小くとも従来までは春と秋の二回に運動会とか野球の会、バレー・ボールの会などを開催いたしまして、賞品なども出しておつたそうでございます。それから大体月に一回でございますが、映画会を催しまして、その慰安をやつております。ほかに各室でもつて劇団たどができておるそうでございまして、これらが代り合つてそういう演劇会をやるというようなことをやつておる子うでございます。差入品なども、一般的な、各個人あてでないものがございました場合には、その都度取次いで皆なに配つておる、こういう状況でございます。
  32. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 最近私の聞きました例では、外部から慰問のために映画会か何か、そういう娯楽の企てがあつたときに、お許しがなかつたというようなことを聞くのですが、原則的にはもちろんそういうことは喜んで応ぜられるべきものじやないかと思うのですが、どうでしようか。
  33. 内田藤雄

    説明員内田藤雄君) それはおそらく最近あれは解放記念会でございますか、そういつた団体からのことをさしておられるのじやないかと存じますが、その節には、映画はどういう映画であるか、一応見せてもらいたい、その上で研究したいというふうに答えたと了解いたしております。ですから断わつたというのは適確ではないと存じます。
  34. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 これもおそらく、だんだん人数があまりふえて来ますと、実際問題としてなかなか自信をもつてその収容所の秩序維持をして行かれるという面でも、御心配やら何やらあつて、それで大人数でなければどういう映画を見られたからといつて、別にどうということもない。あそこで拝見した講堂といいますか、講堂の広さなんかにも関係があるわけです。同じ映画であつても定員ぐらいで見ておる場合と、それと非常に大ぜいの人が見ておる場合とでは、これによつて受ける感じなり興奮状態というものも違うかもしれないので、あまり人数が多くなつて来ると、娯楽の面でもとかく制限が別つて来てしまうという点もあると思うので、やはり人数をあまりふやさないということをお考え願うと同時に、別に刑務所でなく、船を待つていただくすところですから、そういう娯楽でね、娯楽が主体である以上、目的が別にあるならば、別に考えなければなりませんが、たとえ内容が何であろうと、主眼点が娯楽にあるならば、一つなるべく十分に希望に応ぜられるように願いたい、またそうあるべきだろうと思いますが、どうでしようか。
  35. 内田藤雄

    説明員内田藤雄君) 大体私どももそういうふうにいたしたいと考えております。
  36. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 あそこの大村収容所収容能力は一体どのくらいなんですか。そうして現在はどのくらい収容しておられますか。
  37. 内田藤雄

    説明員内田藤雄君) 先ほど申し上げましたように、現在の数字は十二月の二日付で千四百五十ですが、定員と申しますと、これは施設のほうの定員でございますが、大体新しくできましたほうの収容所が千名、それから現在ふえて参りましたために、前に使つておりました旧収容所を使つておりますが、これの定員が七百名ということになつております。
  38. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 旧収容所のほうは収容所として適当でない、また、問題も起つたり、騒ぎも起つたりしたということもあるのじやないかと思うので、現在の定員は実際は新収容所千名、それに対しておよそ千五百名ということになつて、客観的にいつて実際上やむなく旧収容所を使つておられる。だから、それにしても、旧収容所をお使いになるとしても千七百名、そして現状は千五百名を上下しているということなので、この面からも先ほど申し上げましたような収容条件というものの緩和ということがやはり必要じやないかと思うのですが、この収容所内にかなり多くの方が長くおられるということにも関係して来て、風紀状態というふうなものはどんなでしようか。それから健康診断などについてはどうなのか。どうしても長くなると風紀問題も生じて来たり、健康診断などについても、最近聞くところでは、病気になつてもなかなか診断を受けられないという心配があるようですが……。
  39. 内田藤雄

    説明員内田藤雄君) 今のお話のようなことは、抽象的には考えられますが、今急に病人がふえたというような実情は聞いておりませんし、収容所内に医務施設は、相当予定したものに対応するような医務施設を持つているように聞いておりまして、大体それで現在のところ格別その面からの問題があるとは聞いておりません。  それから風紀のほうの問題でございますが、これはまあ一般的に絶えずそのことは考えなければならん問題だろうと思つておりますが、特に最近ふえますにつれまして、やはりそれに即応した考慮をするようにということで、入れかえなどをいたしまして、女子供だけを別に一緒にするというような……、私ちよつと今細かいことをよく存じませんが、そういつた考慮で現地とこちらのほうといろいろ連絡してやつておるようでございます。
  40. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 これもやはり夫は日本国内におられて、そうして若い奥さん収容所におられる。そうしてそれが短い間ならばそういう問題も起らないのですが、やはり長くなるとはなはだ悲しいようなことが起つたりすることが、抽象的に考えられるのみならず、実際的にも起つておるようです。これもやはり非常に多くの人数、当然法律の上から考えられる以上の人数の方が、法律の上から考えられる以上の長い年月おられるというようなことから来るので、また医療の点も、やはり人数が多くなつて来るので、おそらく、にわかに手当を受けられないというような場合が生じて来るのではないかと思う。  次に、外部との手紙の自由ということはもちろん保障されておると思うのですが、どうもそれが制限されておるらしいというような不安を与えておる。それから面会の自由についても、私の行つてみたときには全く自由であるような御説明つたのですが、面会室も刑務所の面会室とは建築の様式も非常に違つておるのだけれども、しかしやはり刑務所観念というものがひよつと現われて、テーブルのまん中に、網はないのだけれども、ついたてがある。あんなついたては意味がない、有害無益で、それがあるためにかえつて感情を害するだけで、取締りにも何にもなりやしないので、ああいう点にちよつと感情上いらざることをやつておるために、かえつて感情を害しておるということがあるかと思うのですが、この外部との手紙の自由、それから面会の自由ですね、この点についてはどういう、ふうになつておりますか。
  41. 内田藤雄

    説明員内田藤雄君) もちろんわれわれ原則として、先ほども申し上げましたように、収容所生活というものをなるべく自由にいたしたいという考えでやつておりますのですが、従いまして面会なども、四親等内の面会者に対しては一回三十分以内の時間、これはやはりたくさん来た場合のことなどがございますから、そういうふうに時間的に切つてはおりますが、そういうことでなるべく面会は自由にさせるというようなやり方をいたしております。ただ、先ほどのお話でございますが、同時にわれわれとしましては、刑務所などと違いまして、非常にその中の方の自由を尊更しなければならす、また、現に尊重しておりますだけに、非常に他面ちよつと刑務所などの場合とは違つた苦労もあるわけなんです。火災のための苦労とか、それからそのほかもちろん逃げるほうの場合のこともいろいろございまして、現にそういうことではなはだおもしろくないものが渡されたというような実例もございますものですから、それは原則としては、なるべく先ほどから繰り返して申しますように自由にいたしたいと思つておりますが、やはり相当な数の方をお預かりいたします以上、やはりそういつた意味の面で、ある程度の制限が起るということもやむを得ないことかと存じておるわけであります。
  42. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 やはり長くなり、かつ人数が多くなるために、そういういろいろな御苦労が生じて来ると思うのですが、原則がくずれるようなことがあると、やはり法律から見ても問題になつて来ますし、収容所としても問題なので、この面会の自由、それから通信の自由ということはぜひ守つていただきたいと思います。それはそういうふうに了承してよろしいでしようか。
  43. 内田藤雄

    説明員内田藤雄君) 原則としましては、ただいまお答え申し上げました通りでございます。
  44. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 次に、やはり長くなり、人数が多くなるためなんでしようが、最近の不安の一つとして、判よつとしたような問題で、すぐ暗い独房に入れられるというようなことがあるような不安がありますが、その点はどうでしよう。
  45. 内田藤雄

    説明員内田藤雄君) そういうことはないはずでございます。また私どもないと信じております。
  46. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 以上のようなことが不安として訴えられており、そうしてわれわれも自分が視察をしました際の結論としても、長くなり、そうして多数の人ということになると、いろいろな問題が起るだろうということは心配していたのですが、果してその通りになつてしまつたので、この際、さつきもお願いしましたが、多数の方を長期に置いておくということが、元来法の精神でもないし、収容所の目的でもない。しかるにそれがそういうふうになつてしまつておるということの原因については、これはどうか一つ、第一には管理局のほうから外務省のほうに向つても、外交交渉の成否いかん、日本外交担当者の朝鮮あるいは韓国に対する態度のいかんということ、その態度がどうであるか、外交問題の解決がこういう点にもゆゆしい人権蹂躪なり、あるいは悲惨な、中には家庭が破壊されたというような人もあるでしようから、この点は一つ管理局のほうから特にこの際申入れを願いたい、そうしてどうか外交解決の上で根本的に、今までの日韓会談の失敗というものの根本原因を十分反省せられて、この前にも申し上げたと思うのですが、とにかく根本的に、日本朝鮮を植民地としていたということについての反省がなければ、私は解決しないのではないか。最近中国の紅十字会代表の李徳全女史なり中国側では、古いことはすべて水に流してというふうなことをおつしやる、これはあちら側がおつしやることとしては非常にりつばなことで、われわれも感謝するのですが、われわれのほうが、日本のほうがいい気分になつて、古いことは一切水に流すというような気持なつたら、これはとても解決するものではない。あちらが昔のことは忘れるということをおつしやるのは、忘れることができないことをお忘れになるのですから、日本においては、過去においてやつた、それは悪いことばかりやつたわけではないでしようけれども、悪いことばかりをやつたからというのではなくして、根本的に一つの国土と、民族というものを、日本が植民地として支配していたということについての深い反省と、自己批判というものがなければ、とうてい解決するものではない。痛い目に合せたほうはすぐ忘れられるけれども、痛い目にあわされたほうは永久に忘れるものではない。そこで戦争でもつて殺された方々の骨……、この間外務省の土屋条約局長が毎日の夕刊に書いておられたのですが、南京で釣をしようと思つたら釣の糸が切れて、あとで聞いてみたら、池の底には日本兵が殺した中国の人の死骸が一ぱい詰つているというので、ぞつとしてしまつて、もう二度とそこへ釣に行かなかつたというようなことを書いておられる。そういう点、そういうお気持で、朝鮮中国、その民族の血で塗つたということを十分反省せられて、日韓会談の失敗などを続けておられないように、それが続いている限りは、管理局としては非常な御苦労で、また収容所としても大へんな御苦労で、しかもそれだけの御苦労をなさつても、多くの悲惨の発生を防ぎ得ないということになる。この際私は厳重に申し入れていただきたいのですがどうでしよう。
  47. 内田藤雄

    説明員内田藤雄君) 外交関係が一刻も速かに打開されますことは、われわれとしても熱望しておるところであります。もちろんその趣旨ではいつも外務省のほうにそういう話をいたしております。
  48. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 次には、先ほど申し上げましたように、本来こんなに大ぜいの方に、こんなに長く、ことに学令の子供さんが学校にも行けないで、行くことができないでいるということが、あるべきはずのものでないのですから、第一の問題が解決しない限りそういう異常の状態が続けられている。それについてはまた先ほど申し上げたように、またお答えいただいたように、収容条件の緩和、できるだけ同情的にそれを見、明らかに実害があるということでない限りは、保護者のある方は、自由にその保護者におまかせするということをぜひ一つつていただきたいのですが、これは先ほどお答えをいただいているので、どうかその御努力を願いたい。  それから最後に、あそこに収容されておられる方の中で、日本に住みたい、あるいは朝鮮ないし韓国に帰りたいという方の割合はどんなふうになつておられますか。最近そういう希望をもしお聞きになつたことがあつて、お調べになつたことがあるならば、お教えを願いたいと思うのです。
  49. 内田藤雄

    説明員内田藤雄君) 日本にとどまりたいということでしたら、密大岡等をして来た方は、大部分、何とかしてとどまりたいということではないかと思いますが、その意味でなく、先帰りの問題は、一部に、従来の韓国以外朝鮮、北鮮でございますか、そちらに帰りたいという方もあるかと聞いております。今数中的にはちよつとお答え申し上げる資料を持つておりません。
  50. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 それは朝鮮にお帰りになりたいというふうに言つても、向うでお引取り願えないために、またこつちに戻つて来られる方が、その出入国法上あそこに収容されておるということも、最近は多くなつているのではないかと思うのです。それらの点はまた次の機会で詳しく御説明願いたいと思います。  それで最後に、これはさつきお願いした第一の問題と関連するのですが、特にあそこで収容されておる方で、日本にとどまりたいと思つたけれども、なかなかむずかしい、あるいはその他の理由で帰国される、朝鮮あるいは韓国に戻りたいという帰国問題ですね、それについて一つ政府としてどういうお考えを、どういう対策をお持ちになつておるか、これは今急にお答え願うことはなかなかむずかしいかと思うのですが、要するに最近中国におられる方で日本にお帰りになりたい方は、外交関係はないけれども、ああいうふうにして、双方の善意と好意によつて解決されている、あるいは日本におられる中国の方が、中国にお帰りになるという問題も、そういうふうにして善意によつて解決されておる。従つて要するに日本朝鮮ないし韓国との関係の往復ですね。これも今までのやり方では、どうも今お答えいただいたいろいろの点で御努力いただければ、幾分解決することを大いに期待するのですが、それ以外にもう一つ何か考えていただくことが必要ではないか、あるいは赤十字関係なり、何なりその点どうでしようか。
  51. 内田藤雄

    説明員内田藤雄君) 今の御質問趣旨は、おそらく自由に帰国したいという人の問題かと思いますが、われわれも原則といたしましては、日本から自分の故郷に帰りたいという方の御意思をなるべく尊重すべきであると思つております。ただ、これを朝鮮韓国と申しますか、あちらのほうの問題としてでございますと、今の、原則的にはわれわれそういう考えでございますが、しかし現在韓国との問題につきましても、御承知のようになかなかいろいろな問題が解決しない状態なんでございますが、その韓国政府がなかなかこの問題についてはいろいろ敏感であり、いろいろな注文と申しますか、意見もあるように聞いておりますのと、もう一つわれわれ現実問題としても、ルートの問題でございますが、これをただいまの御質問趣旨が、政府として何かそういうことに努力しろという御趣旨でございましたならば、私どもは、政府としてはそれはできないのではないか、赤十字なり民間の方々が適当に御尽力下さることに、われわれ何ら異存はございませんけれども政府が先に立つてそういう今の諸般の外交上の関係等を顧慮いたしますと、非常な不必要な誤解を受けるおそれがございますので、政府としてやるということには、にわかに御同意しかねる次第でございます。
  52. 中山福藏

    中山福藏君 ちよつと私局長にお尋ねしておきたいのですが、これは外務大臣の所管から法務大臣の所管に移されたのですが、この出入国管理の問題は、非常に外交関係に関連しておる点が多いのですが、移管後の、局長としてお考えになつて、どちらのほうの所管にあるほうが、事務の取扱い上御便宜か、そういうことも一つ体験によるお考えちよつと承わつてみたいと思う。外務大臣の所管に属しておることのほうが仕事がしやすいという点はありませんか。
  53. 内田藤雄

    説明員内田藤雄君) 私まだ着任以来非常に目が短いのでございまして、自分の体験として申し上げるほどの資格があるかどうか非常に疑問に存じますが、しかし私が現在感じておりますことを率直に申し上げますならば、私は法務省であることが正しいあり方であるし、むしろそうでなければならないのではないかと考えております。
  54. 中山福藏

    中山福藏君 これはまあそれ以上のことは私が申し上げますと、討論になりますからこれは避けますが、そういうふうに一応筋を通すという点から行けばおつしやる通りで、いかにして法理というものを樋の中をうまく流して行くかということから考えますと、これは法務大臣の管理下に、管理下というか、所管下にあることのほうが当然だと私自身も考えるのですが、先ほどおつしやつたように、外交の処理というものを起点として、この問題が処理の方向に向うのだというようなことからえる考と、そのほうがいかにも敏活に結論というものを招来することができるのではないかという感じを受けるものですから、一応私どもの言うことも御参考にあなたの体験を一つ交ぜてお考え願いたいということをこの際お願しておきます。  それからもう一つお尋ねしておきたいのは、この送還の問題についての審査会というものが、その月々に何回かあるわけであると思うのですが、そういう場合には何でございますか、大体今は書面審理はあるいは審査官だけの、審査に関する委員方々だけの相談でおきめになると思うのですが、何らか本人あるいは代理人をそこに呼び出して、その意向を開いて参考に供するというようなことは、一応そういうことはなさるというお気持ちはございませんでしようか。今のところまあ規定の上から行くと、そういうただいまの通りで御処置なさつてもけつこうだと思うのですが、どうもあまり簡単過ぎやせんかということも思われるのでございますが、どんなものでしよう、その点は……。
  55. 内田藤雄

    説明員内田藤雄君) 先ほどの問題ちよつとあれでございますが、実は私自身は外務省のほうから来ておる格好になつておりますのでございます。それから外務省のほうとは現在は建物も同じである関係もございましてふだんに連絡をとつておりまして、いまだ私参りましてから外務省側からわれわれのほうのやり方が、外交上都合が悪いからといつたような非難なり、注文なりをいまだ受けたことはございません。その点では外交上との顧慮と申しますか、それは十分常に緊密な連絡をとつてつておるつもりでございますので、われわれのやり方によつて外交を阻害しておるということは、まずないと確信いたしておりますから、その点は御安心いただきたいと思います。  それからただいまの第二の問題につきましては、おそらくいわゆる我々が俗称で裁決委員会と呼んでおりますあれをおつしやつておるのではないかと存じますが、これは御承知のように、現地のほうで、今割合を数字的にちよつと適確に申し上げかねますが、密入国などのケースでございますと、非常に現地限りで、現地でいわば控訴権を放棄したような形できまつてしまうケースが相当の、数字はそつちのほうで五、六割ぐらいはそれできまるのではないかと思つておりま女が、そこで最後のいわゆるよくよくぜひ日本にとどまりたいということで、いわゆる異議申立てを大臣になされますと、それがわれわれのほうへ参るわけでございます。それにつきましては、今のお話のようにわれわれの実際は私のところの次長、課長全員が出まして担当の各課で調査いたしました結果を報告し、それに対してわれわれがいろいろ質問などをいたしました結果、きめておりますのでございますが、確かに外の方の傍聴というようなことはやつておりません。しかしあるいは陳情的な口頭によるものであり、あるいは書面によるものでありましても、弄んであらゆるものをお受けいたしまして、それらのものを十分に審査いたし、また責任は私がとるのでございますけれども、なるべく多数の方の意見を徴しまして、非常なでこぼこ、不公平のないように努力いたしておるつもりでございます。
  56. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 私が非常におそれる問題は、あそこに千五百人、二千人というようになつて、そうして何かの行違いで、もつと悲惨なことが起るようなことがあると、実に因るだろう、これはもちろん管理局長も十分御心配のことだろうと思う。あそこに、二、三百人くの者ならばそれほどの心配はないけれども、千五百人、二千人、しかもいつ帰れるかわからない、いろいろな不満が嵩じて来る、そうして不祥事件が勃発するようなことがあつたらば、これは大へんなことであります。で、そういうことが絶対にないように一つこの際先ほど申し上げた、大体二つですが、外務省がもう少し考えてくれるということ、それからその収容所から外に出て、保証者にお頼みになつて、自由に生活していただく条件の緩和ということがぜひこの際、また内部の待遇をできるだけ自由にするということをぜひ御努力願いたいと思うのです。それからもう一つは、外務省では韓国や、あるいは朝鮮人民共和国などの輿論をほとんど御承知がないだろうと思う。新聞も読んではおいでにならんだろうし、また、そういう方々とはお近寄りもほとんどないだろうし、それでアメリカの翼の下に身をひそめて、そうしてあちらでどういうふうなお考えであるか、私どもはヨーロッパなんかで接触して聞き得た限りでは、この収容所の問題なんかについても、外人登録の問題についても、非常な極端な批判を受けておる場合も耳にしたのでございます。それが外交上非常な有害な作用をしておることも申すまでもない。韓国日本に対する態度が決して緩和されないで、強化の一歩をたどつておるということについては外人登録法適用、収等所の問題ということも私は確かにあると思います。ですから先ほどのような御安心を願いたいというふうにあなたからおつしやられても、あまり安心をするということは私はできないので、どうか一つ本日るる申し上げましたが、そうして解決がつかない限りは、何遍でも重ねて申し上げますが、どうか最大限の御努力を願いたい、いかがですか。
  57. 内田藤雄

    説明員内田藤雄君) われわれ外交上うまく行きますように最大の努力をいたします。   —————————————
  58. 高橋進太郎

    委員長高橋進太郎君) それでは外国人出入国管理状況に関する件はこの程度にいたしまして、次に請願審査を議題といたします。  速記を中止します。    〔速記中止〕
  59. 高橋進太郎

    委員長高橋進太郎君) 速記を始めて。本日はこれにて散会いたします。    午後四時五十六分散会