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国立国会図書館長(
金森徳次郎君) この百数十人を要求するということは、
ちよつと見ますると如何にもこのときに
図書館が無用な人を置くんじやないかというふうにも思われますけれ
ども、実はそうではございませんで、今まで殖やさなければならんもの、どんなことがあつた
つて人間にはエネルギーの限度がございまするから、人を殖やさなければやれない。又質の問題におきましても、こう非常な専門的なものでございまするから、甲の人を以て乙の人に替えるわけには行かない、こういうのでございまするが、それが大体非常に圧縮せられておりまして、で今日に至りましては
図書館の機能が十分に動いていないという判断ができるわけであります。一体役人の世界におきましては、外に向
つてはどうも自分のや
つてることは如何にもどこから突つついても完全に行
つているように
説明はいたしまするけれ
ども、私
どもはそういうことは好かんのであります。自分の良心に尋ねて到底我慢ができないことでありまして、なぜできないかというと、結局人が少くて
経費がなくて、
図書館の目的に適わないということにな
つて行くのでありまして、
先ほど九十数人を調立に加えると申しましたのは、これは
先ほども申しましたようにいろいろな分野に亙
つて専門の知識を持つということをできるだけ充実させて行くには、ただタイプを叩いたりガリ版を書いたりする人でなくて、学識経験が豊かで、十分の仕事のできるという人を殖やさなければならんということで
計画しておりましたのですが、これはもう細目に至るまで種類を分けて
大蔵省に前々から要求しておる点でございます。それは数字によ
つて明かにな
つておるのであります。そのほかは
一つにまとまつたというのでございませんので、
あとのたくさんの人がいろいろのところにばらばらに分れて行きまして、何といいまするか、小さいものを集めて大きな数になるのでございまするから、その
一つ一つについてはまあルーズのような感じもするのでありますが、その中に自然に大きな項目がございまして、いわば
図書館の表芸とでもいいまするか、台所の仕事というものは、これは我慢に我慢を重ねて、どんなに見苦しい
方法でや
つてもよいのでございますが、表側の芸に至
つては俗つぽい
言葉で申しますと、仮に民間の業者に例えれば、
図書館の商売をやるというか、
図書館の
本当の公けの仕事をやるという面に行きますと、これはどうしても何をおいても充実しなければならんのでございますが、そのうちの大きなものは
書物を集め、そしてこれに応じて書庫を整備するという点でございますが、これはまあ私
どもも
図書館に素人でございまして、今まで六年ばかりた
つておりますが、初めの頃は、
図書館というものはただ少し人間が
努力すればうまく行くものだ、
図書館人が怠けておるから
日本の
図書館は発達しないのだという気持を心のどこかに持
つておりましたが、併し大きな組織というものはそういうことでは行くものではございませんで、無理をすればその結果が必ず具体的に現われて来ます。私が中の悪口を言うことは
館長としての責任もあり、容易なことでは言えないのでありますが、併し例えば
書物が入
つて来た、これをきちんと整理して棚に出して、すぐ何人も利用できるようにな
つておるかと言うと、甚だ理想に遠いのであります。
日本の新刊の
図書などはこれは何をおいてもやらなければならんから、これはほどよい期間の間に棚に上げて
閲覧者の目に触れるのでございますけれ
ども、かたまつた
書物、つまりコレクシヨン、何万というものをかためて買いますときには、到底これを整理して完全に書架に載せるということは不可能でございまして、自然これが手遅れになる、手遅れになると又
あとから同じようなものが入
つて来ますために、進退きわまるというような姿も起ります。或いは又新しくP・
Bレポートというようなものを買
つて手に入れまして、それから又原子力
資料を集めるということをしておりますが、原子力
資料と言えば何か物騒なものばかりのような気もいたしますが、私
どもの
研究によりますと、原子力というものはひとり物理や化学ばかりでございませんで、法律も
関係する、外交上の問題も
関係する、経済は最もこれに
関係をするというわけで、いろいろ各
方面の
書物を集めて来ておりまするけれ
ども、これが使えるか、読めるかと言うと甚だ厄介でございまして、買つたは買つたけれ
ども、これを整備することができませんので、大きな棚に置いて、誰でもインデックスに
従つて内容が探れるということにいたしますためには、
相当人数を充実しなければならんし、専門の人も充実しなければならない。私は学術
会議の
関係の
かたがたに御
相談をいたしまして、何とかしてこれが経済的にうまく行く
方法がないか、いろいろ御
相談を持ちかけましたが、結局最後は何らかの人を充実し、これに専門に、まじめに、
図書館ではこれを
書物の整備と言
つておりますが、整備しなければならんということになるのであります。そんな
関係で書庫及びその
資料に関しまする人数を四一八人ぐらい置かなければならないということになろうと思います。
それからいま
一つかたまつた問題は、上野の
図書館に夜間開館ということを始めましたけれ
ども、それはあれだけの設備があり、
書物があり、
日本の有数の
図書館でありながら昼間だけしか使えないということは、物の面から言
つても非常に不経済で、宝を山に埋めておくというようなことにもなりますし、のみならず、
図書を必要とする人の中には夜にならなければ暇はないという人もございますので、何とかして夜間開館をやりたい。これは数年間の宿願でございましてなかなか気運は恵まれて来なかつたわけであります。やつと今
年度に至りまして、とにかく夜間開館をしようということで着手いたしましたけれ
ども、それに対しましての人員等は非常に不足でありまして、正規の
職員は一人も増加されておりません。ごく軽い地位の人がそれにごく僅かだけ増加されておりまして、これを今までおつた
職員と組合せまして理想的に言えば一日に三時間ぐらい余計に夜間開館をしなければなりませんけれ
ども、併しそこに人間の勤労を集める
方法というものが考えられておりませんので、一口に言えば、昔の封建時代の人は何でも無限の働きをする、こういうような仮定を前提にしなければ
説明はできないというようにな
つております。そういうふうにしたのが悪いのじやなくて、私
どもの責任でございますけれ
ども、なかなか一足飛びに各
方面の了解を得られませんので、それが今年は何とかして無理矢理にや
つて参りましたけれ
ども、まあ来年あたりはそう無理なこともできないということになりますと、どうしても若干の増員が必要となるというようなわけであります。そのほかまだ各
方面に二人、三人と必要にな
つて、それが集ま
つてこういう数にな
つております。