運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1954-12-06 第20回国会 参議院 経済安定委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年十二月六日(月曜日)    午後二時四十六分開会   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     小林 政夫君    理事            笹森 順造君            郡  祐一君    委員            山縣 勝見君            八木 秀次君   事務局側    常任委員会専門    員       桑野  仁君    常任委員会専門    員       内田源兵衞君   説明員    経済審議庁次長 石原 武夫君    食糧庁長官   前谷 重夫君   ―――――――――――――   本日の会議に付した事件 ○委員長報告離島振興法に基く諸計画推進陳情  (第七号) ○日本経済の安定と自立に関する調査  の件  (食糧管理制度に関する件)   ―――――――――――――
  2. 小林政夫

    委員長小林政夫君) これから委員会を開会いたします。  最初にお断り申し上げますが、先般の委員会の最後に、日本銀行当局からデフレ政策をとつてからの生産コスト低下の実績に関する件の説明を求め、さらにそれのデーターを基礎として今後の金融政策についてどういう考えを持つておるかということについても聴取する予定でありましたが、日銀当局からまだ少上資料のまとまらん点があるということで、本日出席ができないのでありますが、残念でありますが、御了承を願いたいと思います。ついては、石原さん日本銀行で今言つたような調査をやつておるのですが、あなたのほうから何とか日本銀行に話をして、そういつた関係資料を取つてもらいたい。そうして委員に配布してもらいます。お願いします。
  3. 石原武夫

    説明員石原武夫君) 承知いたしました。
  4. 小林政夫

    委員長小林政夫君) それから食糧管理制度に関する件は、食糧庁長官がもう少しおくれますので、次の陳情第七号離島振興法に基く諸計画推進陳情、二通参つておるわけでありますが、これの審査をいたします。陳情趣旨ちよつと読んでもらいます。
  5. 内田源兵衞

    専門員内田源兵衞君) 陳情の第一通は、鹿児島県の町村議会議長会会長からの陳情であります。それからさらにもう一通は、薩摩郡町村議会議長会会長よりの陳情であります。いずれもその陳情趣旨はほぼ同一でございますので、県の町村議会議長陳情書を一応朗読いたします。  [鹿児島町村議会議長会は十月二十五日第三回臨時総会を開催し別紙の事項を慎重審議の結果満場一致を以て決議いたしました。」その件でありますが、件の内容は、大体、離島振興のため離島振興法が制定されて、その後予算等関係において、実施段階が十分でないから、また着工されたものもほんの一部に過ぎないので、今後速かに離島振興法による振興を進めていただきたい。こういう趣旨でございます。
  6. 小林政夫

    委員長小林政夫君) 政府のほうから……。
  7. 石原武夫

    説明員石原武夫君) ただいま離島振興についてのお話がございましたが、それについてごく簡単に、従来の経過とただいまの御要望に対する答えを私からさしていただきたいと思います。  離島振興法につきましては、御承のように、二十八年の七月にこの法律が制定されたわけでございまして、趣旨は私から申し上げるまでもなく、これら離島における後進性の排除のための基礎条件を改善するということが第一点、第二点といたしましては、これら離島における産業の振興対策を樹立いたしまして、これを速かに実施するという目的でできた法律でございます。  それでこの法律のごく簡単な内容、特色と申しますか、それを申し上げますると、離島のうち、今の法律趣旨に基きまして必要な島嶼内閣総理大臣離島としてこれを指定をいたしましてその指定のありました離島につきましては、その振興計画を定め、その計画に乗りました漁港、道路港湾等の費用については、一般補助率よりも高い補助率適用がある、またそれらの地域におきます電気事業につきましては、別途できております農山漁村電気導入促進法というのがございまするが、それの適用があるということになつておるわけでございます。それでこの法律ができまして以来、法律趣旨に従いまして、これに盛られております審議会を開きまして、現在まで三回にわたりましてこの離島指定をいたしております。第一回は昭和二十八年の十月でございまするが、伊豆諸島以下十二の離島指定をしております。第二回は同じ年二十八年の十二月に宮城県の大島以下二十島を指定をいたしております。さらに本年に入りまして、最近二十九年の九月でございまするが、追加をいたしまして、その際は十島を追加をしておる。従いまして、今日までに指定をいたしました離島総計で四十二島でございます。これらを指定いたしました指定基準は、審議会で御審議を願いまして、次のような基準指定をいたしたわけでございます。その基準の第一は、外海に面する島である、二番目は交通が非常に不便な地域島嶼、第三点といたしましては、島民の生活が本土の依存性が非常に強い、四番目といたしましては、独立の町村である、更に五番目といたしまして、法律目的に沿う島嶼であるというような点を基準といたしまして、先ほど申し上げました四十二島の指定を現在まで行なつたわけでございます。  これにつきましてこれらの島嶼につきましての振興計画がどうなつておるかという点が次の問題でございまするが、これは二十八年に先ほど申し上げましたようにできましたので、その後これらの島嶼振興計画を作ることになつておりましたが、時間的に二十八年、二十九年につきましては予算編成期等関係からもいたしまして、先に計画を作り、それに則つて措置をすることができませんのでありましたので、二十八、二十九年につきましては暫定的にこれらの島嶼振興予算に盛られておつたわけでございまするが、本年に入りましてから指定になりました島嶼につきまして、それの全体の振興計画を策定することになりまして、これは各府県等らそれぞれ各島嶼離島振興計画というのを出していただきまして、それを関係省で協議をいたし、さらに審議会で御審議を願いまして、本年の九月にその振興計画審議会として御承認され、一応総理大臣に答申をされたわけでございます。今申し上げましたのは四十二島のうち三十二島でございます。と申しますのは、先ほど申しましたように、第三回目の指定の十島は九月でございますので、これは間に合いませんので、今そうした計画を各地方から出していただいている最中でございます。従つて現在全体計画のできておりますのは三十二島でございます。  それでこの計画によりますると、十カ年間におきまして、所要資金が約四百一億円でございまして、そのうち国の負担分が二百三十五億ということになつております。この十カ年にいたしましたのは、この法律がそもそも十年の時限立法でございますので、それに合せまして十カ年の計画を作つているわけであります。先ほど申しましたように、二十八年度及び二十九年度におきましても、一部これらの離島につきましてもさような事業が行われておりますので、この総合的な計画を作ります際には期間との関係がございまして、八カ年でやることにいたしておりまして、さらに二十八年、二十九年で一部事業が進行している点もございますので、それらを差引きまして、八カ年計画といたしましては、総計で三百五十九億、国費で二百十三億というような計画にいたしているわけでございます。これを一年平均にいた、しますると、事業費が約四十五億、それからそのうちの国費負担分が約二十六億程度ということに相成るわけでございます。それでこの計画が本年に入りましてできましたので、これらの事業を行います関係官庁とも十分連絡をいたしまして、明年度から予算編成当りまして、この計画沿つた予算を組むようにお願いをいたしております。現在御承知のように大蔵省予算編成中でございまするが、関係各省といたしましては、道路港湾その他につきまして、この計画則つた予算を提出して、今目下折衝中ということでございます。それで正式にこの計画則つて事業が行われますのは三十年度ということに相成るわけでございます。これら予算は、御承知のようなまだ段階で、どの程度実施になるか未確定でございますがわれわれといたしましてもかような法律ができましたから、また関係各省としても当然でございますが、できるだけこの法律趣旨に従いまして、離島振興が速かに実施できるように努力をいたしたい、かように考えております。
  8. 小林政夫

    委員長小林政夫君) 何か御質疑ございませんか。
  9. 山縣勝見

    山縣勝見君 来年度予算で、この大体の当初の計画予算は取れそうですが。
  10. 石原武夫

    説明員石原武夫君) 来年度予算のことはちよつとまだはつきりいたしておりませんので、どの程度の見込みかということは、ちよつと確たることを申し上げかねるわけです。それでこれは予算といにしましては、それぞれ関係の農林、建設なり、それらのところに予算がつくわけでございまして、直接その予算折衝をいたしているわけではございませんのではつきりしたことは申し上げかねますが、従来たとえば本年度でこれらの離島につきましては、先ほど申し上げましたように全体の振興計画ができておりません関係で、そういうことではつきりした予算の要求をしておつたわけでもないのでございますが、現在それら実際上の離島振興計画に該当するような事業についております予算は、二十九年度といたしましては、国費負担分としてついておりますのは、約百二十一億ぐらいであります。これを先ほど御説明いたしましたように、八カ年でこの計画全体をいたしますと、年度平均としまして国費負担分は約二十六億程度と申しましたので、本年度についております予算の約倍くらいは予算が必要だということに相なりますので、今財政なかなか困難な折、希望通り予算がつくことはなかなか困難な事情にあると思うのでりますが、われわれもやはり関係各省と共同いたしまして、できるだけこれに近い数字がつくように努力いたしたい、こう考えております。
  11. 山縣勝見

    山縣勝見君 この離島関係道路とか、港湾とか、そういう性質のものだろうと思いますが、私ども予算折衝をやつて来た経験から見て、どうも大蔵省なかなか承知しがたい点があると思うのですが、そうすればこの道路とか港湾とかという性質のものであるだけに、中途半端なものができてしまつて、結局結果から見て、国費濫費になるという傾向が多分にあると思います。ことに離島なんかいろいろな事情で、振興法ができた事情から見ると、できてしまえばあと法の執行については地元は熱心なんだけれども、中央においてはだんだん熱がさめるという懸念もあるし、それから港湾とか道路の建設についても、予算が足りないために、折角の使つた金が中途半端なものになつて非常に国費濫費になる、むしろ無駄なことになるという点から、実は非常に心配しているんですが、その点予算折衝はこれからでしようけれども、御努力を願つたら非常にけつこうだと思います。
  12. 小林政夫

    委員長小林政夫君) それではこの陳情は採択することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  13. 小林政夫

    委員長小林政夫君) それでは採択することにいたします。
  14. 小林政夫

    委員長小林政夫君) 次は、食糧管理制度の問題を議題にいたしますが、食糧庁長官からまず現行食糧管理制度に対するあなたの改正意見、どういうふうにやつたらいいか、こういうような点を説明してもらいたいと思います。いろいろ政局は御案内のごとき状態でありますが、エキスパートとしての事務当局意見を率直に聞かしてもらえば幸いであります。
  15. 前谷重夫

    説明員前谷重夫君) ただいまの食糧管理制度の問題でございますが、食糧管理制度を現在におきまして運行いたしておりまする建前からいたしまして、いろいろ問題があるわけでございます。御承知のように現在の米の需給事情からいたしますと、大体戦前は一人当り一石以上の消費があつたわけでございますが、現在におきますと、昨年度、ここ数年一人当り大体七斗から八斗くらいの平均的な消費なつております。そういう面からいたしまして、また人口の関係及びソースの関係、昔の台湾、朝鮮米を失いました現状におきまして輸入等関係からいたしましてやはりわれわれといたしましては米の需給は、まだバランスをとつていないというふうに考えておるわけでございます。ただ問題は、現在の管理制度のもとにおきまして御承知のように政府でもつて生産高から保有高を引きまして、そうしてそれを政府に全部集めるという建前をとつておるわけでありますが、生産高見方の問題におきまして非常な違いがある、これは割当の時期が、予想を基にいたしましてそうして決定をいたしまする関係上、そこに作況見方の問題について、相当第一線にありまする府県側との間において差があるわけでございます。まあ、毎年大体千万石程度見方の差があるようにわれわれは感じおります。ところが一方におきまして御承知のように需給関係からいたしまして自由流通米価格政府買上価格との間に差がある、こういう点からいたしまして割当が現実に非常に円滑に行かない。まあ、いろいろ世上におきまして御議論があるわけでございますが、その割当が従来のように円滑に行かないという点について、われわれが非常に悩みを持つているわけでございます。従いまして、できるだけ集荷をいたしまするために、各種奨励金を作りまして、そうしてその奨励金によりまして集荷を円滑ならしめる、こういう方策をとつているわけでございますが、これもやはり一利一害でございましてやはり超過供出基本価格との間に差があるということになつて参りますると、義務供出割合が減つて参る、こういうふうな問題が同時に起つて参りまするし、またその割合によりまして財政負担食糧管理特別会計負担というものが非常に大きなものになつて来る、こういう面がございます。また一面におきまして、現在食糧統制を遂行いたしておりまする関係上、消費者価格を引き上げるということが、一般物価政策との関連におきまして困難であるという点からいたしまして、非常に問題があるということを痛感いたしている次第でございます。  まず第一に、われわれの考え方といたしまして、問題となるべき点は、現在の政府集荷、権力をもつて集めている現在の集荷というものが何か改善する余地がないかどうか、こういう点がわれわれの研究課題の第一点でございましてその点を、集荷が円滑に参りますれば、一方におきまして配給等の面におきましての操作、その他も非常に簡易になつて来るのでございますので、集荷の点について現在政府が権力的に集めているという方法を、もう少し円満な形において集荷し得るという方法がないものであろうか、こういう点においていろいろ悩みもいたしまするし、また研究もいたしているということでございます。  統制の問題につきましては、私たちといたしましてはやはり昭和十四年の統制に入りまする初期を考えてみますると、その当時政府が一千万石程度手持ちを持つてつたわけでございます。作況も一部西日本及び朝鮮の旱魃がございましたが、さほど全国的に悪いということではなかつたわけでございますが、一つの人気といたしまして政府の手持の一千万石がほとんど出て参つた。そのために非常に価格的な心配もございましたので統制の第一歩に入つたと、こういう見地から考えてみまして、非常に心理的な問題もございまするし、同時に現在の需給操作からいたしますると、年度末、つまり十一月一日にはほとんど古米の持越しはない。むしろ逆に百万石以上の翌年度の米を早食いをいたしましてそうして需給を図るとか配給を切抜けている。こういうふうな状態でございまして、価格変動に対する何らの政府手持ちに対する準備がないわけでございます。こういう状態におきまして需給円滑化及び価格安定化を図るということは、非常に困難であろうという、ふうに考えている次第でございます。従いましてその問題につきましてはいかなる準備をしなければならないか、つまり政府が十分なる、需給操作価格操作におきましての手持ちを持つ、あるいは自由に内地米に匹敵する外米の輸入ができ得るかどうか、こういう種々の条件考えて参らないと、この問題については容易にわれわれとしても結論が出ない、こういうふうな状態でございます。
  16. 笹森順造

    笹森順造君 今の御説明で大体以前に比して、その後、つまり戦前に比して戦後とでも申しましようか、二割あるいは三割近いものの国民消費量減つたとかいうようなことをお話になつたように聞きましたが、そうでございますか。
  17. 前谷重夫

    説明員前谷重夫君) これは米の消費量については消費量減つたと申しますか、供給量減つた関係上、全体の一人当りにいたしますと、米の消費戦前に及ばない。そこで戦前消費が結局麦によつて代替されておるわけでございます。米麦合せますると十分需給が足り得るわけでございますが、米のみについて申しますると、まだ戦前供給力を持ち得ない。これは消費減つたという見方をいたしますか、あるいは現在配給をいたしております関係上、供給力関係からいたしまして、消費を規制せざるを得ないとこういうふうな考え方になり得ると思います。
  18. 笹森順造

    笹森順造君 私のお尋ねしようと思つた一部分がそれでお答えになつたようですが、以前にはまあ大体一年一石と、あるいはちよつと上回るというのが、先ほどのお話で、あるいは八斗あるいは七斗ぐらいの米しか需給がないというような、供給力がないというようなお話。そのある部分が米以外のもので補われているということのお話でこの点は解決され、しかもそれが大体麦ということのお話でありますが、戦後私どもは非常に不自由を感じたときには、そういう場合に馬鈴薯であるとか、甘藷であるとか、あるいは雑穀であるというものを買うのにずいぶん骨を折つた、それらの問題は一つの点でありましようが、もう一つお聞きしたがつたのは、大体作報のほうの報告と知事の報告と、あるいはまた生産者考え政府考えとの間には、約一千万石も大体差があるように考えるというようなお話も伺つておりますが、その通りでございますか。
  19. 前谷重夫

    説明員前谷重夫君) これは毎年御承知のように、九月の終りから十月にかけまして、県側供出割合についていろいろ事情を聞きますると、その当時におきます県側見方、これは農業委員会におきまする見方はさらに低いのでありますが、県側におきまするそのときの作況見方とわれわれが統計調査部使つて作況を見まする見方との間に、相当の違いがある、まあ大体千万石近い違いが絶えずある。これは一つの違いは面積の点があるわけでございます。面積の点は、これは県側におきましては大体土地台帳基礎にして考えられておりますが、われわれといたしましては、さらにそれにいろいろのサンプル調査をいたしまして、繩延び等面積の実測によります実面積考えておる、そこに両者基礎資料の取り方の違いにおきまして面積の差はございまするが、同時に作況見方にも差がありまして、その両者からいたしまして大体その程度作況見方をするというのが今年の実情でございます。
  20. 笹森順造

    笹森順造君 そこで先ほどのお答えをまあ繰返されたようなわけなんですが、私のお尋ねしたかつたのは、つまり一割あるいは二割の米の供給量減つたということで言われたものの中に、約一千万石というものがその中に入つてつたとすれば、それがあるいは八割であり九割であるかもしれないので、その上の算定が一体この統計の上にどう動いていつているか、もつと端的に言うと、闇米というものが一割、二割、三割減つたものの中から差引いておるのか、差引いてないのか、それを食管のほうではどうにらめておるのかということを、先ほどのお答えにプラスしてお聞きしたかつたわけです。
  21. 前谷重夫

    説明員前谷重夫君) 全体といたしましては、われわれのほうでは農林省で調査いたしておりまする生産高をとつております。従いまして県が考えておりまする生産高、つまりわれわれの生産見込高より一千万石より低い生産高というものはとつておらない。それをとりますると、もつと消費量が少くなつて来る、こういうことになつております。ただ、ただいま御指摘のように現在政府考えておりまする生産量のほかに闇米があるのじやないか。これは闇米が御承知のような状態においてあるわけでございますが、実際幾らぐらい闇米があるか。これはなかなかむづかしい点でございますが、われわれのほうではサンプル調査でございまするけれども農家政府に売る場合、あるいは自由に売る場合というものを合計いたしました農家の一戸当り販売量というものを見ておるわけでございまして、そういう面からいたしますると、全体的に各農家がどの程度販売量があるということは、これはなかなか推定がむづかしいので、どの程度闇米があるかということは、なかなかわれわれとしても推算がむづかしいわけでございます。しかし、ただいま申し上げました消費量と申しますものは、農家が実際消費した量、それから都会の部面においては家計調査消費しておるというものを検討いたしましてその程度になるわけでございます。こういうふうになるわけでございます。
  22. 笹森順造

    笹森順造君 先ほどもお話にありました中に、超過供出の場合の価格というものと義務供出価格との間に差がある。これはまあよほど、どういう工合に将来もつて行けばいいかという重大問題ではないかと実は思つておるわけでありますが、ある意味において非常に農家を勤勉にあるいは努力せしめ、ある意味においては農家自身節約等によつてできるだけ供出を多くしてもらいたいということはわかりますけれども、この意味において今のような義務供出超過供出の間に差額があるということは、一体政治的にどうもつて行くことが適切であるかということは、根本問題じやないかと思います。つまり私ども農家の立場を仮に考えて見まする場合には、もしもそれが適正価格であるならば必ず農家は自分の必要量だけを残してみな出すのだ、また従来とも出しておつたのだ。ところがその後そうでないような政治的な配慮が、かえつて逆にいろんな供出を妨げているというようなことがあり得る。これらの点は将来どう一体もつて行けば適切になるかということは、私は大きな政治問題でなければならない。戦後特に国民の、固苦しい言葉を使つて参りますと、道義心と申しましようか、あるいはまた生産者としての良心と申しましようか、これが非常にゆがめられているというのか、正直だと思われて来た農家方々が、何かの機会を得て少しでも自家の取得を多くするために、いろいろな手を使う。ですから今のような闇流れがあつて、いろいろ手を打つている。これの根本方策について、一体食糧管理の責に当つておる方々が、もつと適正価格というものにして、しかも農家が常に言つておるのは、その年の生産価格と来たるべき年度の再生産価格とに合せて自家の労力との、それが多大の報酬があると、喜んで出すのだということをよく農家の人々が言う。ところがそれに合わないような値段を出すものだから、それで今のようなことになるのじやないか、もつと端的にいうと、適正価格米価をもつと上げて、而も闇米として流れているものは安く、そしてもつと食糧管理庁あたり食糧として管理するならば、必要なる量が闇に流れるあるいはまた私等に使われておるものがそうならずに行くという本当の根本のねらいが、道義的にも経済的にも一体どうすればいいかという適正米価価格についてどういう考えを持つておるか、われわれはわれわれとしての意見を持つておりますけれども、当事者としての意見をそれに含めてお答え願いたい。
  23. 前谷重夫

    説明員前谷重夫君) 御指摘のように、結局は価格の問題になろうかと思います。価格につきましては、ただいまわれわれがやつ薫ります各種奨励金をできるだけ簡素化する、理想的に申せば、一本価格にいたしたいとかように考えるわけでございますが、米価の問題につきましては、一方におきまして消費者価格との関連があるわけでありまして生産者に対しましていかなる価格が適正であるか、これは非常に議論がございまして、御承知のように日本の農業は非常に零細であり、また各種の自然条件がそれぞれの地域、また農家の経営によつてつて参ります。生産費をもつて適正米価にするという場合におきましても、どこの生産費をもつて適正米価であると認めるかという、これ非常に現在のいろいろ問題になつておりまして、平均生産費でもつてやるべきであるか、あるいはまた限界生産費でもつてやるべきであるか、こういうことでもつて非常に価格の水準が違つて参るわけでございます。その価格の水準のもとにおきまして消費者価格考えます場合に、現在よりも相当の消費者価格の増加になる、まあこういう点が考えられますので、食糧管理といたしましては、やはり生産者の面と消費者の面とこの両面を考えまして、現在の価格の中心といたしまして、パリテイ価格をとつておるわけでございますが、パリテイ価格にも御承知のようにいろいろの加算が付いて参りましたので、純粋の意味での価格パリテイという建前はとつておらないわけでございます。まあそういう複雑な価格体系のもとにおきましては、やはりこれを単純化して参るということがわれわれとしてはどうしても必要であろうというふうに考えまして、本年度におきましても、超過供出一般価格との差をだんだん縮めて参つたわけでございますが、これを一挙に超過供出価格一般価格を持つて参るということは、消費者価格との関連において非常に影響がございますので、漸進的に考えて参らなければならない。なお価格の体系を、従来はインフレ下におきまする米価の体系といたしまして、パリテイ方式をとつてつたわけでございますが、現在の経済状態のもとにおきまして、今後の価格方式というものをどういう形のものをもつて、とつて行くかということにつきましては、さらに検討を要しますので、今専門の委員をお願いいたしまして、これの検討に入るということに考えておるわけであります。
  24. 笹森順造

    笹森順造君 はつきりお尋ねいたしたいのは、現在の米価を上げる傾向に持つて行くべきか、ここで抑えて行くかという……、これは計算の問題だと思うのです、パリテイ計算の問題でありましようけれども、方針としては食糧庁ではどうするほうがいいと思つているか、傾向はどつちのほうがいいと思つているか、それを結論的に一言聞いておきたいと思います。
  25. 前谷重夫

    説明員前谷重夫君) これは価格物価政策全体との関連でございますが、御承知のように、現在におきましては、米の需給関係からいたしまして、自然価格はやはり高い。自由に放つておきますると相当の高値になるのじやなかろうか。それを現在は。パリテイ価格に基きましてある程度自然に訂正される、需給状況より訂正される価格は以下に抑える、これは価格政策全体の問題といたしまして、物価政策の中におきまする一つの安定要素として行われておるわけでございます。これが現在の集荷制度と関連いたしまして、ある程度自然価格に近付けて行く、近付いて行くという方向にあるということは考えられるわけでございますが、それが一方的に自然価格に直接早急に持つて行くということは、他物価に対する影響がございますので、漸進的に考えて行きたいというふうに考えております。
  26. 笹森順造

    笹森順造君 消費者価格生産者価格の問題でありますが、これは直接食糧庁の問題でないかもしれませんが、印象を聞いておきたいと思うのです。以前に私たちはやはり食糧の足らなかつたときには、できるだけ農家の便宜を図つてこれを奨励して増産をしてもらいたい。しかしながらそれと同時に、米価をできるだけ高騰せしめないという意味で、消費者にもやはり何とかしてもらわなければならんわけで、どうしたなら農家をもつと有利にならしめるかという一つの大きな問題で、一番大きな問題は肥料の問題だと思います。ずつと以前の、前の前のずつと前には、特に硫安、あるいはまたこれに代替せしめらるべき他の肥料を統制をして、これを非常に安く低廉にこれを農家配給しておつた時代があつた。その肥料公団というものがなくなつて、自由な販売をすることになつてから、一足飛びに倍にもなり、まあ今では八割くらいに下つておるかもしれませんが、こうしたわけで、単に生産者価格消費者価格と言つても、他の物価との、他の品目の必要なる品目のパリテイ計算だけでは計算ができない。主な問題は、やはり一つの肥料の国家的な統制、手当をするかしないかという大きな問題だろうと思うが、これは直接この食糧庁の所管の問題ではないかもしらんけれども、このことはやはり農家としても希望もあるので、その影響がどの程度に及んで、食糧庁あたりの仕事を楽にし得るかということで、肥料問題に対する印象だけでもいいから、この際専門家としての立場からちよつとお答え願いたいと思うのですが……。
  27. 前谷重夫

    説明員前谷重夫君) 私たちの立場からいたしますと、食糧管理の面からいたしまして、やはり生産費をだんだんに、米の生産費がだんだんに下るということが非常に望ましいことでありまして、そういう面からいたしまして、土地改良の問題等で生産力を高める、同時に生産コストを低めるということが農業政策としては本筋であろう。ただ、米価のみをもつてそれをカバーして行くという建前ではなく、他のいろいろな施策によりまして、生産力を高め、コストを低めて行くという方途をとるべきであるというふうに考えておるわけでありまして、その中の一部といたしまして、肥料価格というものも、われわれとしては相当の関心を持つておるわけであります。大体パリテイに市場価格の騰落が現われて来るわけでありますが、ウエイトとしても肥料のウエイトは相当高いわけであります。これが漸次下つて参り、そして農家の生産費がだんだん安くなつて行くということは、われわれとしても非常に望ましいと考えるのであります。
  28. 笹森順造

    笹森順造君 先ほどお話になつた中で、ちよつと気になることがあるので、お聞きしたいのですが、今から何前でしようか、七、八年前でしようか、増産計画のためには、どうしてももつと水田を開墾開拓しなければならん、従つてこのあるいは干拓であるとか、あるいはまた開拓であるとかあるいはまた今お話になりました既墾地の改良であるとかいうことに非常に力を入れて、少くとも町歩は数百町歩、数十万町歩、数百万町歩できれば倍にもふやしたいということまで、内閣が考えておつたことがあつた。その後さつきもちよつとお話があつたように、一般農家、あるいは県、あるいはまた政府農林省あたりの調べたことの間に非常な違いのあることのうちには、作付反別の相違が非常に大きく出て来たということも、ちよつと考えられておるということをちよつとお話になられたようですが、どうも年々このごろは作付反別が減つて来ておる状況になつておる。この傾向は非常に憂うべきことだと思うのですが、具体的にもしそちらのほうで昨年度に比較して、今年はどれだけ作付反別の減少が出て来ておつたか。ここ数年、一面においては土地改良とかあるいは開墾開拓のために力を入れておきながら、他面においてはぐんぐん減つて来ておる傾向があるように思われる。その傾向が結局今私ども食糧増産をしようということのブレーキになつて来ておるのじやないか、これにはいろいろな困難があつて、これを克服するにはどうすればいいかという問題が大きく出て来なければならん。そこで一応の傾向がどうなつているか、新しく切り開いたもの、あるいはすでにあつたものがそれが減つてつているというようなものですね、逆に……、その比較、つまり増に当る分と既墾地の減に当るものとの比例ですね。これがそこですぐあなたのお手許にあれば一応お聞きしたいと思うのですが、これもあるいは農林省直接の問題ではないかもしらんけれども……。
  29. 前谷重夫

    説明員前谷重夫君) 最近の状態を申し上げますると、大体米の作付面積は三百万町歩でございまして、大体ここ数年殆んど同じ動きをし、同じ数字を示しております。詳しく申しますと、二十五年が三百三万六千町歩でございますが、二十八年度は三百四万町歩、ほとんどこの間におきまして変りはないわけでございます。大体御承知のように農地の改廃、つぶれ地は年にやはり三万町歩の程度のものがあるわけでございまして、いろいろ土地改良なり開墾その他によつて、少くともこのつぶれ地程度のものは、新しく農地の造成をやつておるということになつておるわけであります。農業の面からいたしますると、さらにこれを人口との関係におきまして作付面積をふやして参りたいわけでございまするが、御承知のように限られた土地におきます状態でございますので、大体ここ数年農地の米の作付面積は、ほぼつぶれ地を回復する程度に新しい農地ができて参つておりまして、大体変更がないというのが現状でございます。
  30. 笹森順造

    笹森順造君 今のお話も多少また別の問題もありますけれども、それはそれとして、次にお尋ねしておきたいのは、食糧庁が実際のお取扱いのことですが、ある県では県民に十分に消費させて、余つて県外移出をしておる、あるところでは他県から入れなければならん。しかし同じ県外移出の県であつても、農家と非農家とがあつて、非農家はこれを配給によらなければならんというようなことなので、その際に食糧庁ができるだけこの生産地の米はその生産地に置いて非農家に一ぱい配給するまで、その土地の米を活用するのがいいのか、あるいはまた生産者が保有米を持つたほかを、全部あるところに集めるほうがいいかという問題は、やはり考えておかなければならんので、大体の方式としてはどういう方式をとつておるか。つまり生産者の保有米以外はとにかくどつかに集めてしまつて、そうしてあらためて同じ生産県でありながらも、非農家配給するのか、もつと言葉をかえて言えば、外米等も生産県であつても非農家配給する手をとるのか、これらの問題はやはり食糧庁の仕事が非常に多くなるか、少くなるかの問題で、米をあつちに持つて行き、こつちに持つて行くというときに、ずいぶん米がこぼれてしまうということは往々にしてありますので、食糧庁としては要らない仕事を、非能率な仕事を、困る仕事をしておるという非難さえもあつた時代もある。そういうようなことで生産県において他県に移出する場合と、それがまた非農家配給する場合の操作ですね、これはどんな方式で、事実どうやつておられるか、はつきりお聞きしたいと思うのであります。
  31. 前谷重夫

    説明員前谷重夫君) 非農家に対する配給につきましては、従前は御承知のように生産地におきます配給日数と、消費地におきまする配給日数と異なつておつたわけであります。最高生産地におきましては二十日、消費地におきましては十五日、そのようにいたしておつたわけでありますが、これはやはり生産地におきまする、主としてそういう地域は米の単作地帯でございまして、同時に米の生産地帯でございます。集荷の面からいたしまして、消費地と生産地との間におきまする差等をつけて参ることが、集荷の面から申しますると、集荷の促進上必要であるということが第一点と、同時に従来の食習慣からいたしまして、昔から単作地帯として麦を食つているというふうな事情がございましたので、そこに差等を設けておつたのでありますが、昨年度からやはり同じ消費者でございますので、できる限りこの配給日数については、均一化いたしたい。かようにいたしまして、本年度におきましては生産地も十五日、消費地も十五日、こういうような答え方にいたしておるわけであります。ただその内容につきましては、やはり生産地におきましてはその県におきまする米をもつて十五日、つまり内地米をもつて十五日配給してしまう、それ以上のものを他の消費地に送り出す、消費地におきましてはそういう、ふうにして送り出した数量からいたしまして、内地米では八日くらいしか配給ができませんので、その穴埋めとして外米をもつて、外米も加州米でございますとか。あるいは台湾米のようにいい米をもつて大体二日ぐらい配給する。あと普通の外米を以て十五日、総日数といたしましては大体十五日を均らして配給いたしたい、こういうことで現在やつておるのでございます。  農家につきましては、ただいまお話しのように大体原則といたしまして保有量を基礎にいたしまして、そうしてその余分のものは政府以外には売つていけないというふうな管理制度のもとにおきまして運営をいたしておるわけでございますが、この間におきましてなお闇米があるということは、われわれも実情として認めておるわけでございますが、大体十五日全国平均配給して参るということでもつて生産地、消費地の均衡をとつておるわけでございます。
  32. 笹森順造

    笹森順造君 今の大体の方針は、消費地、東京あるいはその他の都市に住んでいる人のためには大へん聞きいい話で、われわれとしてありがたいことだと思うのだが、ただそれが仕事が多くなり過ぎて、無要な米の移動をあつちへやつたりこつちへやつたりするということの従来の弊害を改めていただきたいということを希望したいわけなんです。  それからその次にお聞きしておきたいことは、今言つたような生産地であつてさらに十五日として、あとの十五日は非農家配給するという場合に、それがやはり相当闇米が流れるだろうということも口吻でわかるのですが、そろばんの上では当然配給しなければならないものでありながら、配給したものの辞退というものはずいぶん単作米作地帯にはあるのですね。それらの実情は一体まだ改良しなければならん点があるのじやないかということを考えるのだが、東京においてさえもこの配給米の辞退というものがふるのだが、配給米の辞退の状況、辞退して要らないというもの、特に外米においてはそれが多い現状を見るのだが、その真相をあなたが秘めておることを一つお聞きしたいと思う。これは台所の生活とは一致するか一致しないかわかりませんが、その点をお答え願いたい。
  33. 前谷重夫

    説明員前谷重夫君) 配給辞退の問題でございますが、大体配給辞退は全体といたしましては外米が大部分でございまして、内地米についてはほとんどございませんが、ただ東北地帯の一部の地方におきましては多少そういう点がございます。昨年度におきますると、大体全体といたしまして三万トン程度内地米配給辞退があつたかと思います。外米につきましては昨年度におきまして二十万トン程度配給辞退があつたのでございます。従いましてわれわれといたしましては需給計画を立てます場合には、過去の配給辞退の実績等を考えまして、府県当局の意見も聞きまして、そうして輸入量を配給辞退を織込んだものとして決定いたして参るわけでございます。従いまして十五日の配給予定をいたしておりまするが、現実の場合におきましては外米の配給辞退がありまする場合においては、実質的にそれが買えるということはあり得るわけでございまして、その実績をもとにいたしまして実は十五日の配給をするためには、もつと輸入量が余計に要るわけでございますけれども配給辞退を考えまして、輸入量を抑えて参る、こういうふうな方法をとつておるわけでございます。具体的には結局政府におきまして毎月売却いたしまする場合におきまして、配給辞退が生じますると、その売却いたしまする数量が減つて参るわけでございます。従いましてその減つた数量が配給辞退として余つて参る。こういうふうな形でだんだんにその配給辞退の実態を見まして売る数量を減して参る、こういう操作をいたしておる次第でございます。
  34. 笹森順造

    笹森順造君 配給辞退米の処分として、巷に流れるいろいろおもしろくない評判が、ずいぶんその辺から出て来るようであつて、つまり外米の配給辞退した余り米の処理方法については、私ども相当これを厳格に厳重にやらなければならんと思うのですが、この点はどうなつておりますか。
  35. 前谷重夫

    説明員前谷重夫君) 私たちの立場といたしましては、まず毎月の数量を卸に売るわけでございますが、その売る場合でも一度に売るわけではございませんで、毎月の小売からの状態で、卸売の要求数量というものがございますので、その要求数量を基礎にいたしまして売却をいたしたい。つまり十五日配給で外米を五日配給いたします場合には、実は全体といたしますると、百三十万トン年間に要るわけでございますが、これを実際問題としては二割くらいの配給辞退を考えまして、そうして売却計画を立てるわけでございます。ただ御指摘の点は、政府から卸に行き、小売に行き、消費者の関係におきまして、政府配給辞退として集まる以上のものが、さらに家庭において配給辞退されておるのじやないか。それが小売の場合に横流し等の問題があるのじやないかと、こういう点かと思いますが、その点につきましては従来消費者が配給を受けるまあ権利と申しますか、配給を受けるのを二月間はまあ配給を通帳によつて受け得るように措置いたしておつたのでございますが、これを期間を縮めることによりまして、その実態に合わし得るであろうというふうな考え方をもちまして、大体本年度から一月間のまあ余裕を認める。その月の間に消費者が取らない場合には、それを打切りにするというふうな整理をいたしますことによつて、できるだけ消費者に配給する実態と、それが政府に反映する実態とを合わして参りたい。かように考えておる次第であります。
  36. 笹森順造

    笹森順造君 その実態がやはりそこに余つたものが出ると思うのですが、その処分を食糧庁はどうしているのですか。次の輸入を減らすのか、あるいはまたそれを別の価格で安くどこかに出してしまうのか、このごろせんべいとか、また菓子屋だとかというものにずいぶんこれが流れて、そこが今のもう一遍政府に返つて行かないのが行つているのか、政府に返つたものが行つているのか、その辺を率直にお聞きしたい。
  37. 前谷重夫

    説明員前谷重夫君) 政府が売却いたしまする場合には、一般に主食用として卸以外には売却いたしません。従いましてせんべいその他には行かないわけでございます。ただ、今申し上げましたように消費者から、小売との間におきまする場合におきまして、消費者が予定以上の配給辞退があつたために、小売から流される場合があるというふうな事実も耳にいたしまするので、その期間を二月、従来二月として認めておりましたものを一月にするということによつて縮めておるわけでございます。ただせんべい等につきましては、御承知のようにタイ、ビルマの場合におきましては、精米の関係で砕け米が出るわけであります。これはタイその他の国の輸入の場合におきましてやはり砕け米を一定割合買わなきやなりませんので、その砕け米につきましては加工原料といたしまして一般に府県に割当てまして、そうして毎月一定の数量を売却いたしておる、こういう状態であります。
  38. 笹森順造

    笹森順造君 黄米を搗き返してまた出すとか、出さんとかいう話があつたが、その話はどうなりましたか。
  39. 前谷重夫

    説明員前谷重夫君) 黄変米につきましては、私たちは今厚生省におきまして食品調査会を持ちまして、学者の方、試験所の方等におきまして検討されております。現在の状態で行きまするともう一度、つまり黄変菌の付着するのは糊粉層に付いておる。従つてそれを再搗精することによつてこれを除去し得るのではなかろうかという意見が大勢を占めておるようでございますが、まだ結論が出ておりません。われわれはその調査会の結論に従つて配給考えて参りたいということで、現在は黄変米につきましては配給をいたしておりません。
  40. 笹森順造

    笹森順造君 食糧庁で今持つております米の倉庫、この概況を一つここでお話願いたいのですが、全国でどういう分布になつて、どれだけのものを収容する力があるか。つまりそれが需給においては大きな関係を持つて来ますので……。
  41. 前谷重夫

    説明員前谷重夫君) 政府のものを保管いたします場合には、政府倉庫もございますが、政府倉庫はほとんどこれは大体東京、大阪、それから関門地区でございます。これに多少ございまするが、大部分は産地の倉庫を指定いたしまして、政府指定倉庫といたしまして、内地米につきましては保管をいたしておるわけでございます。輸入につきましてはやはり一般営業倉庫を指定倉庫として倉庫を指定いたしまして、そうして保管をいたしておるのでございます。政府の倉庫というものは全体といたしますると、わずかなものでございます。これは需給上大きな役割を占めておるというわけではありません。
  42. 笹森順造

    笹森順造君 この政府直接の倉庫はむろんの話ですけれども指定倉庫が全国に相当堅牢な建物で、また米の貯蔵に適すると思われる倉庫が指定されておる。ところでこの倉庫に指定して入れておる米の管理の方法、たとえば乾燥についてのことであるとか、あるいはまた鼠害、鼠の害をとるとか、燻蒸であるとかいうことになつておるのだが、大ていまあ農協とか、あるいはまたその他が村の供出責任のあるところはやつておるでしようけれども、この倉庫自体がうまく運営されてその管理をされている、米がいい状況にこれを管理させるためには、どういうような方式をとつて、一体全国的にどうなつておるものでしようか。どういうふうな指示を与えて、どういうふうな指導をして、どういうふうになつておるか。つまり初め入れた米が出すときに損傷とか減りとかいうふうなことがないかどうかということを、その方面の指導をちよつとお尋ねしたいのですが……。
  43. 前谷重夫

    説明員前谷重夫君) これにつきましては、実は従来から食糧管理制度実施され、直接統制実施いたしません前におきましても、米穀統制法のもとにおきまして政府米の買入れ、保管をいたしておりましたので、従来からわれわれとしては非常に注意をいたしておるわけでございます。ただ現在の状態におきましては、内地米につきましては大体産地倉庫に置いておきまする場合におきましても、需給上相当逼迫いたしておりますので、そう長い期間の保管ということはあり得ないわけでございまして、出回り期に二月ごろまでに米が出まして、そしてあとは出して行く一方で、消費地にこれを回送して参る、こういう形になつております。まず倉庫の指定については、一定の条件指定しまして、燻蒸可能であつて、そして通風、採光等の点も十分考慮いたしました一定の指定基準を作つております。その指定基準に基きまして倉庫で保管をいたすわけでございますが、この保管状況につきましては、大体ときどき所員が見回りまして、必要な時期には気燻蒸を指示いたしまするし、またその保管状況等については見回り、また必要に応じて指示をいたしておりまするが、つまり相当長期間にわたりまして、長年月にわたりまして米の保管につきましては研究もされ、また指定された倉庫におきましても、その取扱いについては訓練を積んでおりますので、大体におきまして鼠害、虫害等のそういう要素は漸減をいたしておるわけでございます。ただ本年度麦につきまして政府に予想以上に集つて参りましたので、この場合におきましては指定倉庫を従来以上に厳格にいたしましたために、輸送その他の面で、倉庫がある地区におきましては足らないということで、輸送をいたすというふうな点もあつたわけでございますが、倉庫の指定条件、それからそれの指導につきましては、これは長年の闇米の保管をいた上、またその研究もいたし、指定倉庫におきましても馴れておりまするので、だんだんにそういう点は円滑に行つておると、かように考えております。
  44. 小林政夫

    委員長小林政夫君) 強権によらざる供出、自主的な供出考えたいということで、予約供出というようなことを言われておりますが、もつと具体的なあなたのほうで考えはないですか。
  45. 前谷重夫

    説明員前谷重夫君) 実はこの供出制度につきましては、相当長年やつておりまして、いろいろの知慧をまあ出し尽した感があるわけでございますが、現在集荷団体として大部分を占めておりまする農業協同組合におきまして、予約と申しますか、事前申告と申しますか、そういう制度による集荷制度ということも提唱されております。われわれといたしましてはそういう点については十分検討いたさなければならないと思いますが、ただこの点につきましては、やはりその集荷制度と価格水準と申しますか、価格の建て方とがやはり問題じやなかろうか、予約制度と申しましても、その価格水準がどの程度のものの場合に、どういう働らきをするかというふうな点について十分検討いたしませんと、われわれとしても、まだどういう制度をとるかということについて、なかなか踏み切りが困難でございまして、まあそういう面とあわせて検討いたしておるのであります。
  46. 小林政夫

    委員長小林政夫君) 具体的に本年度のきまつた米価、基本米価及び早期供出奨励金超過供出奨励金等をにらみ合わせて、本年度の基本米価、あるいは平均米価ですね、これでは予約供出はむずかしいか、あるいはどうかというふうなことはどうですか、本年度を根拠にして考えると……。
  47. 前谷重夫

    説明員前谷重夫君) この価格水準といたしまして、基本米価考えるか、政府の支払平均価格考えるかという問題でございます。この点につきましては、今年は大体九千七百円程度ぐらいになろうかと思いますが、平均いたしますると、ただその水準をもつて、どの程度に集まるかという問題でございますが、これは地域的には非常に違うと思います。東北、北陸におきましては、これは相当集まり得るかと考えておりまするが、中京消費地附近、及び西日本におきましては、この場合におきましては、相当困難があるわけでございます。ただその場合におきまして、集荷団体としての農業協同組合の自主的な統制力はどの程度にあるかというふうな問題、その地域の特殊性とも非常に関連いたします。そういう面でわれわれとしては、そうい予約制度というふうなものを採用する場合におきましても、いろいろの考慮が必要であろうというふうな考え方でもつて、まだ具体的にわれわれどうするということは考えておりませんが、検討はいたしております。
  48. 小林政夫

    委員長小林政夫君) それから供出後の自由販売ということが相当言われておりますね。まあ完全な……。完全というと何ですけれども供出制度直接的な統制をはずすというような段階として、今の予約供出もそういう意味があるわけでありますけれども供出後の自由販売ということはどういうふうにお考えなつておりますか。
  49. 前谷重夫

    説明員前谷重夫君) 供出後の自由販賣の問題につきましては、われわれといたしましては、やはりその次に来るべき制度がどういう制度であるかと、その制度に対してどういう運営方法をもつて考えるか、また措置し得るかということを考えなければならないのじやないだろうか。ただその年度限りの供出後の自由販売というものは、次に来るべき制度がどうあろうかということと非常に関連すると思います。で現在の需給状況、あるいは政府手持ち状況からいたしますると、いわゆる麦と同様の間接統制に移つたという場合におきましては、麦の場合におきましては大体国内の出回りと輸入量とが一対一、まあ倍以上のものを持つておるわけでありますが、この輸入量を政府が持つことによつて需給調整なり、価格調整が完全にでき得るというふうに考えておりまするが、米の場合には、逆に輸入が平常といたしまして百万トンといたしましても、国内出廻りは四百万トン以上でございますので、四百万トン以上のものに対して、百万トンの輸入でもつて価格の調整なり、需給調整ができるかという点については、われわれは非常に危惧の念を持つております。従いまして供出後の自由販売ということになりますると、次にはそういう別の制度が考えられないと、次の供出割当ということは実行不可能でございます。供出後の自由販売を考えまする場合におきまして、次の段階におきまする制度なり、組織というものが確立しなければ、これはなかなか実行がむずかしいのじやなかろうか、こういう点をわれわれとしては感じておるわけでございまして、またそういう点につきましていろいろ問題点が多いので結論には達しておりません。
  50. 小林政夫

    委員長小林政夫君) 最近、昨年度は異常災害で特別なケースですけれども、大体供出制当会議をやる都度ですね、出来高に比べ供出量というものは逓減しておるわけですね。このままの状態で行つて果して一体本当の強権による供出制度としても、その制度を維持して行くことができるかどうかということについては、非常にわれわれとしては危惧されておる点です。それから食管会計にしても、まあそういう点ともかね合いの問題でしようけれども、まあ今度はどうにか輸入食糧補給金九十億程度を繰入れて赤字をカバーしたけれども、今のようなことで進んで行くと、食管会計に行詰りを相当来たして来る。具体的にたとえば本年度供出計画と、あるいは政府予算上見積つてつた点とは大分実数において変りができて、かなり本年度の食管会計の当初見込みよりも赤字がふえるのじやないか、こういうことも心配されるのですけれども、そういう点は、あわせてどういう見解ですか。
  51. 前谷重夫

    説明員前谷重夫君) 従来消費者価格を据え置いておりまするために、生産者価格の値上り分につきましては食糧特別会計の繰越利益で賄つてつたわけでございます。大体本年度におきましては百二十五億程度の米による負担をすることになろうかと思いますが、これは食管会計内部におきまして大体収支がとれる形で行き得ると思いますが、明年度以降におきまして、どういうふうな方策をとるかということは御指摘通りでございます。ただ、われわれといたしましても現在の集荷制度につきましては何らかの改善措置をとらなければならん。ただ、やはり一方におきまして米がやや需給関係からいたしますると不足いたしておる。まだまだ消費者の嗜好が米のほうに相当強い。と申しますのは、われわれも昨年度の状況からいたしまして、相当麦に対する食生活の転換が行われておるというふうに考えておつたわけでございますが、昨年度は凶作の状況からいたしまして相当麦の消費が伸びました。ところが本年度に至りましてそれがだんだん頭打ちの状態を呈して来ておる。これ以上急速に麦の消費が伸びるということも、なかなか見通しとしてむずかしい。これはわれわれとしてだんだんには伸ばして行かなければならないと思いますけれども、急速に行き得ないという状態のもとにおきましては、やはり相当米の需給関係からいたしまして、価格の高騰が予想されるのじやなかろうか。そういうことを念頭に置きまして、やはり統制と申しますか、政府による需給価格の安定を図らなければならん。そのために集荷の面におきまして、どういうふうな強権的な制度に代るいかなる制度があるか。これもやはり一定量の集荷が期待されなければ目的を達し得られないわけでございますので、そういう点についていろいろ検討をいたしておるわけでございますが、会計の面といたしましては全体麦、米合せまして輸入食糧等の面の関連がございます。米につきましても麦にいたしても、本年度におきましては当初九十億の補給金を予定いたしましたが、外麦価格の値下りによりましてこの補給金の使用が不必要になつたわけでございます。将来の見通しといたしまして。現在の麦の状態からいたしますると、そこに益が出て参るのじやなかろうか。これは一つ考え方といたしまして、外麦の値下りをもつて消費者価格を下げるということも一つ考え方でございますが、同時にこれは国内の麦生産に非常に影響いたしますので、われわれといたしましては国内の麦を標準にいたしまして、そうしてそれとの適当なる関連において外麦の払下げをするということにおきまして、国内農業の調整の面から価格を遮断いたしております。その結果といたしましてある程度の益が出て参ろうと思います。この益との見合いにおきまして生産者価格消費者価格考えて参る必要があるかと思います。
  52. 小林政夫

    委員長小林政夫君) その点は粉食奨励という趣旨から行くならば、本年度の例で言うならば何も九十億というものをそういう米のほうに回さなくても、うんとまあ内地産麦を抑えない程度に、それと平均した。少くもその九十億程度のものは割引できるのじやないか、それを全体に振りかけて。で、安い粉食を作るように奨励したほうがいいのじやないか、こういう主張も一部には、特に精麦業者あたり特に主張しておるようですが、だいぶん問題だと思うのですね。  それからもう一つ笹森委員もお触れになつたのですが、この農業用品のコストの問題というか、価格の問題、農村物価指数の経審の調べによる十一月の月報によると、農業用品及びその農家の家庭用品は、いずれもこのデフレ低物価政策にかかわらず値上りを示しておるような指数になつておる。これは一体内訳には、どういうものが高くなつてこういう指数に現われておるのか。はなはだ今の物価政策とは逆調の、逆ざやのことが起つておるように思われる。
  53. 前谷重夫

    説明員前谷重夫君) 私は最近の事情ちよつとわかりませんが、米価を本年度決定いたしまする九月当時のことを申しますると、もちろん農村と都市の卸物価とは大分タイムラグがありますが、大体家庭用品につきましては、ほぼ都市の物価指数と、パリテイ指数でございますが同じ歩調をとつております。ただ経営用品の部面におきましては肥料、飼料、特に飼料でございますが、飼料等が相当上つております。同時に機械関係、農機具関係が上つております。総じて申しますると、生産資材面が、パリテイ指数の面におきましては生産資材の指数が上つておりまして、家庭用品の部面におきましては、ほぼ都市の小売物価と同じような傾向、都市と農村との間には多少のタイムラグがありますが、同じような傾向を示しておると、今年の米価を決定する場合におきましては考えておりました。最近の事情は私は詳しく存じません。
  54. 小林政夫

    委員長小林政夫君) 経審のほう御説明できますか。具体的に言うと、本年の七月の農業用品の指数は一六二・八、八月にちよつと下つて一六一・五、九月には上つて一六一・六、十月は更に上つて一六一・八です。それから家庭用品のほうは七月が一二四・九、八月ちよつと下つて一二四・六、九月に上つて一三五・九、十月は同様、こういう指数が出ております。
  55. 石原武夫

    説明員石原武夫君) ただいま今の御質問は、ちよつと時間をいただきまして調べてから申し上げます。
  56. 前谷重夫

    説明員前谷重夫君) パリテイ指数の面から申し上げますると、大体総平均が九月におきまして米価をきめますときは一二〇・六でございますが、この場合におきましては、大体経営用品が上りまして、家庭用品は大体漸減傾向をたどつてつたと思います。ただパリテイの場合におきましては、その季節性が非常に関係いたします。その点は相当影響いたすかと思います。
  57. 山縣勝見

    山縣勝見君 昨年のちようど今ごろ予算審議の最中だと記憶しておるのですが、最近人造米を相当やかましく農林省で言つておりますが、その後の経過はどういうようになつておりますか。
  58. 前谷重夫

    説明員前谷重夫君) 人造米につきましては、ぼつぼつにしましても、小麦粉の消費という面と同時に、国内における澱粉の消化、こういつた面からいたしまして、これも一つ食糧政策として取り上げるべき問題であろうというふうに考えたわけでございますが、ただ、食生活の面からいたしまして、急激にこれを伸ばすということは困難であるということをもちまして、政府といたしましては、これに対して資金の斡旋とか、あるいは資料の面での斡旋をする、こういう建前で進んだわけでございます。一時特許権の問題につきましていろいろ御議論がございましたが、特許権につきましては、現在いろいろの特許がございまするが、自由に行わせておる、こういう状態であつたのでございますが。その後一時、その当時におきましては相当製品の悪いものが出て参りまして、そうして非常に一般消費者の人気と申しますか、人造米に対する不評を買つたわけでございます。これに対しましては検査を厳重にするということで、検査を実施いたしております。その後の状態を見ますと、現在におきましては、やはり当時予想いたしましたような売行ではございませんで、生産の面も大体月二千トン程度しかできていないのではなかろうかというように考えております。これに対しましては、われわれのほうといたしましては、徐々に消費者がこれに対しまして、嗜好の面におきまして、消費者の価値判断によりまして自然に伸びて行くということを考えまして、資材の面につきましては、政府は澱粉等につきまして、大体外米価格を標準に採算が合うように払下げをいたしておるわけでございます。しかしなかなか消費が伸びないのでございまするが、その後防衛庁あるいは刑務所等におきまして試食いたし、またこれを使つて参るというふうなこともいたしておりまするので、徐々には伸びるかと思いまするが、まだ急激には伸びない。ただ品質の面におきましては、だんだんよくなつておりまして、当時と比べますとほとんど雲泥の差ができております。
  59. 山縣勝見

    山縣勝見君 昨年人造米が相当農林省を中心にしまして唱導されたいきさつは、今問題になつている食管特別会計あるいは財政上のいろんな問題から困難があつて、ことに食糧需給関係が相当困難になつておる、従つてなんらかのそこに一つ打開策が必要であるという一つの案として、人造米が出たのでありますが、人造米をだんだん伸ばすことも非常に必要だけれども、当時われわれも痛感したことは、先ほど委員長お話になつたようなふうに、日本の食糧問題というのは、ただ手先でいろんな配給操作をするだけでは、これはいずれ日本の人口問題、いろんな問題が関連して必ず行詰る。先ほど来笹森先生のお話にありましたように、これはもうなんらか基本的な、抜本的な将来の見通しをつけないと、必ずこれは行詰る。そうなると、これはやはり人造米というふうな小手先ということは語弊があるかもしれないけれども、なんらか日本の食生活というものに対する、相当そのためには基本的な考え政府が率先して推し進めて行くという、やはり一つの政治的な考慮、あるいは一つ国民的な動きというものに対しても、相当政府考えなくちやいかん。その点から見て、人造米というものが果して一年間の経過から見て、そういうふうな基本的な線に対してプラスになつたか、あるいはどういうことになつたかということは、私非常に疑問に思うのですが、むしろ私は、人造米ということによつて、やはり一つの米をいうものに対する、従来の一つの観念というものに対する指導的な立場に立つべき政府としてこれはむしろ考えなくちやいかんのじやないかと、私はこう当時から思つていたのですが、当時閣議等でもいろいろ相当問題もあつたけれども、その後農林省あるいは政府としても、多少この人造米に対する熱意は確かに失われたと思う。むしろこれは結果から見て私は仕合せであると思つているのですが、先ほど来委員長お話のあつたようなふうに、いろんな食管特別会計等の問題もあつて、やはり予算をもう少し基本的な線に有効適切に使うようなふうに考えるべきじやないか、こう私は思うのですが、やはり人造米に対して、今お話のように今後国民の認識を高めて、今二千トン内外というお話でありますが、粉食というものの奨励、またそれに対する認識というものと、もちろんこれは人造米はこれは食糧増産の一つの形の変つた方法でもあるかもしれないけれども、そういう点に対して、農林省はやはり粉食あるいは食生活の基本的な国民の認識の改善という点に対して、どういうふうにそういう点について見通しを持つておられるか。私はむしろ人造米というものはそう奨励すべきじやなくして、もつと基本的な線に対して抜本的な指導をすべきじやないかというふうに考えるのですが、どういうふうなお考えでございますか。
  60. 前谷重夫

    説明員前谷重夫君) 人造米の問題は、実は当時いろいろ取り上げられましたが、われわれといたしましては、これをもつて食生活の改善とか、あるいは抜本的な対策というふうに考えたわけではないわけであります。ただ、粒食傾向の嗜好に対しまして、ある程度麦類の消化のためには、従来の粉食という形のみでもあつて進むべきか、あるいはまた国民の粒食傾向に対する嗜好というものも、やはり麦の消化の中に取り入れて行くべきではなかろうか、特にそれは澱粉の場合におきまして、国内のいも作の面からいたしまして澱粉が相当できるわけでありまして、またこれが将来増産ということが可能性がございますので、澱粉の食用化という面を実は考えたわけでございますが、当時といたしましても、これが急速に進めるべきであるというふうな考え方を持ちませんで、やはり食生活というものは徐々にやつて行くべきであろう、まあこういう考え方を持つているのですが、ただ基本的には御指摘のように、やはり全体的な食生活の改善というものをどういうふうに推し進めて行くか。われわれは現在はやはり学校給食を中心にいたしまして、粉食のそれに伴ないまする酪農の問題等も漸次解決することによつて根本的な食生活の改善ということが達せられるのではなかろうか。しかしこれは相当の長期を要するというふうな考え方を持ちまして、漸次学校給食の拡大を図つて参りたい。同時に酪農面における生産を図つて参る。酪農面につきましては、集約酪農その他の施策を講じているわけでございまして、ただ食生活におきましてはこれは万人それぞれの嗜好がございますが、やはり長期間に相当気長くやつて行かなければ急速に権力をもつてやる、あるいは配給をもつて抑えて行くというふうなことでは、食生活の改善はなかなか達せられないのではなかろうかということで、根本的には食生活の改善を気長く学童給食と酪農の振興という面から取り上げている次第であります。
  61. 山縣勝見

    山縣勝見君 その点は私も大体了承いたしておりますが、一つこの間、実は地方に参つて新聞に載つてつたので、むしろ農林省のために弁疎いたしておつた問題でありますが、私もちようどいい機会だから、真相を聞いておいたほうがいいと思うのだが、黄変米について、何か検査に関して一つの機関ができるやのこれは新聞の一つの報道でありますので、私は真相知りませんから……。ただ正当の理由があつて国家的に見てそのほうがいいのであろうからと言つて、私はある機会に、むしろ農林省の名誉のために弁解をいたしておいたのでありますが、真相を知りませんのでどういうふうになつておるか。
  62. 前谷重夫

    説明員前谷重夫君) 検査の問題でございますが、実はこれは黄変米という問題だけではございませんで、タイ国、あるいはビルマでございますが、先方の国営機関でもつて検査をいたしまして、その検査がフアイナルという形になつているわけでございます。これに対しましてわれわれといたしましては、従来から国際的な検定機関の立会を要求いたしまして、そしてその立会のもとに検査を実行されておるということでございますが、これはまだ対等の立場というわけには参つておらないわけでございます。タイ国におきましては、さらに強力な国営検査を実施すると、こういうふうな現在考え方もあるようでございます。それに対しまして日本側といたしましては、日本側の指定をいたしました機関をもつて対等の立場で検査をやりたい、こういう考え方を持つておるわけでございます。従来スーパインテンデンツ、あるいはデルパンというような国際的な検定機関をもつてこれの代行をいたしておつたわけでございますが、これは主として小麦その他の農産物の取扱いが専門でございまして、米については日本のように嗜好なり、あるいはまた米に対する感覚が非常に薄いわけでございまして、何か対等な形における検査機構を考える。こういうこにはわれわれとしても考えているわけでございます。ただこれは先方のタイ国なりビルマとの間の交渉の問題でございますので、われわれとしてはまだうかつに最終結論が出しておりませんが、何かの形におきまして向うの検査とそれから日本側の検査とが、対等の立場において現地で立会つて、検査ができ得るというふうな方向にもつて行きたい。そういう考え方は持つているわけでございます。それに関連しまして、そういう現地での検査をする機関というものも検討をいたしている。こういうふうなわけでございます。
  63. 山縣勝見

    山縣勝見君 その機関はもちろんこれは政府の機関でないと思うのですが、やはり主務官庁が指導されるものだろうと思うのですが、これは何ですか、新聞の報道であるので間違つているかもしれませんが、株式組織だという案が今主になつているということだが、そういう点まで進んでいるんですか。
  64. 前谷重夫

    説明員前谷重夫君) これは従来の輸出関係の者その他いろいろな関係の者でそういう案が考えられております。株式会社であります。これは政府の場合におきまする立会いは、これは人員の関係等で困難でございますので、今までは外国の会社をそれに代用いたしておつたのでございます。これと並立いたしまして、国内でもそういうふうな外国会社と同じ立場における検査機関が必要ではないか。こういうことで関係輸入の面、あるいは船舶その他の面におきましてそういう計画があるということを私も承知いたしております。これはタイ国側におきまする検査機構の問題と関連いたしまして、やはりこちらもどの程度のものを認めるかという問題、またそれに応じましてわれわれもどういうふうな形のものをこれに対して持つて行くかという点がございますが、そういう考え方があるわけでございます。これはやはりわれわれの考えといたしましては、やはり今までの国際的なものと同じような立場において日本の関係者がそういう会社を作つた場合には、やはり認めて行くのが適当じやなかろうか、ただ、これを独占的にするかどうかということは、これは別問題でありますが、やはり外国の商社を使つておりまする代りに、そういうものができて参つた場合におきましてはこれもその中に加えるということも考えていいんじやなかろうかというふうに考えております。
  65. 山縣勝見

    山縣勝見君 私は農林省において、この問題に対してとつておられた態度なりまたお考えに、むしろ支持する考えに近いのでありますが、ただたとえばつまらんごく小さな記事であつたと思うのだが、これが意外に一般の人の目に触れておりまして、相当といいますか真相を知らない論であろうけれども、相当社会に与えた影響は甚大だろうと思う。というのは黄変米等を中心にして今非常に大きな社会問題になつている際に、その検査の一つのどう言いますか、営利行為をする株式会社組織でもつて、しかもそれに対して相当の検査料を出し、しかもその負担一般大衆の負担になるというふうに一般がとるものですから、私はこの措置に対してやはり一般の民衆によく受入れられやすいような、説明しやすいような形態で行くのが必要じやないか。たとえば船舶でありますと、検数協会というのがあつて検定をいたします。これは社団法人なんかを従来むしろ採用しているのが多い。そういう面から見てもやはりこういうものは株式会社というものがいいのかあるいは公益法人がいいのか、これは一つ今後御研究なつて、非常につまらん小さな記事が一般大衆に与えた影響が甚大でありまするし、これは農林省の名誉のために、われわれは疎明する場合には疎明しなければならん。この点に対してはやはりそういうふうな大衆の声が非常に多いことも御留意願いたいと思います。
  66. 前谷重夫

    説明員前谷重夫君) 御趣旨よくわかりましたが、特に申し上げておきたいことは、機会があるたびにその点をよく認識していただくように御指導願いたいと思います。従来ともに検査料というものは、現地における検査において外国会社を使つておりましたから、それに対して検査料を支払つているわけであります。この外国の会社に対しますると同じ立場におきまして、特に米の専門家、あるいは米に対して十分認識を持つておる日本の機関がこれに一枚加わるということは、非常にいいのじやないだろうか。それに対して、特に食糧庁が買付ける金額が増加するということではないということを、機会がございましたらよく御説明を願いたいと思います。
  67. 笹森順造

    笹森順造君 関連して一つお尋ねしたいのですが、今の外米を購入する場合の検査が、非常に議論の焦点になつた場合がある。そこでその検査をどういう方法でやるかという今の質疑応答でありますが、この今まで論議された、たとえば決算委員会等においてもこれが論議されたのだが、あるいは農林省のいろいろな国費支弁のことについても、検査官が不十分であるために、十分手が届かなかつた、あるいは仮に外米を検査するについても、そのうちから幾らか抜いて、ごくパーセンテージの低い数量においてこれを検査した。たまたま検査漏れの中にも、いろいろなおもしろくないのが入つて来たというような話を聞くわけなんですが、契約した場合において、こつちにそういう欠陥があれば、それはこつちのほうの責任になるであろう。しかしその責任が、今言つたように、検査官が少いから、まあそういうものでも買つてしまつたということになると、これは非常な大きな問題になるので、すべて外国から物を買う場合には、見本通りの物、あるいはまた適切な物、その通りの物が入つて来なければ、クレームがつくのは当り前だ。それについて予期しないような、今の黄変米のようなものを無検査で通じ、あるいはそれを無条件でこちらに入れ、仮に条件があつたとしても、ごくわずかなパーセンテージしか検定ができなかつたというところに、今まで誤まりを侵して来たと思う。そこで最終段階において、仮に今のお話のごとく、政府以外の機関がこれを検査するということを仮に受諾した場合であつても、最終段階において、すなわち政府が引受けて金を支払いしてそうしてそれを売るという場合には、やはり検査が二重になるというような点があると思う。あるいはまた現地においてそういう雑菌なり、あるいはまたほかの塵芥なり、いろいろな來雑物がないにしても、輸送中にいろいろ変化を来たすこともあり得る。特に赤道直下を通つて来る場合においては、そういうことがあり得るので、そういう場合に、やはりすべて外国貿易のときには、最終段階において、荷揚げする場合に限つて、そうして適切でないときには、クレームをつけるとか、あるいは返すとか、これが常識なんだ。それを今度の場合、全く無視しておるというところに非常に欠陥がある。その欠陥を取り除かなければ、誰が検査しても駄目じやないか。だから、食糧庁では、そういうふうにして、そうして厳重に検査してやる方法でなければ、同じことを繰返すということをお考えにならなければならない。しかしそうすることは、外国から物を買う上において、こちらのほうに弱点があるのが、世界中で五百万トンしか輸出力がないものを、日本としては百万トンも買うというのだから、日本に弱点があるからこういうふうになるのだ。またこの辺のことについて、こちらが買手なんだから、今までのあやまちをまた侵さないように、いろいろと考えてもらわなければならないが、この点どうですか。
  68. 前谷重夫

    説明員前谷重夫君) その点につきまして、少しく詳しく御説明申し上げたいと思います。実は検査の問題は、黄変米の検査の問題と、一般の穀物の検査の場合と、二通りございます。一般の穀為の検査の場合におきましては、水分でございますとか、あるいは重量でございますとか、被害粒、その他異物の混入量とか、あるいは米でございますと、砕米の混入量ということが、一つの検定の基準なつておるわけであります。国際的にはこれはバルキーな取引でございますので、全部発地フイナルという形で検査が行われております。これはオックスフオード・コントラクトにおきましても、それからアメリカの輸出貨物の検査におきましても、これは国際的な商慣習になつております。従いまして従来におきましては、そういう国際的に行われておる取引習慣に従いまして、しかもその規格その他を採用しまして取引をいたしておつたのであります。ただ、黄変米につきましては、従来からそういう国際規格もございませんし、また黄変米につきましての、外国におきまする認識というものもなかつたわけでございまして、一昨年までは黄変米に関する規格がなかつたわけでございます。特に昨年度から国内におきまする黄変米の研究もすみましたし、またいろいろ問題がございますので、対ビルマとの関係におきまして黄変粒、つまり変色いたしましたものは、一定のパーセンテージ以上はこちらがリジェクトするという建前で、契約いたしたわけであります。これは日本のみの契約でございまして、特約の形になつております。一般には通用いたしておりません。ところが本年度におきまして、この黄変米が単なる外見的な変色の問題でなくて、菌の培養をしないと、あるかないかわからない、こういう問題に発展いたしたわけでございます。そこでこの問題につきましてはわれわれとしましても、ああいう大量のものについて菌の培養方法によつて取引をするということが、非常に困難でございますので、他に簡単な方法による検査がないものかどうかということを検討いたしておりまするが、まだその結論が出ていないわけでございます。従いまして今後の取引といたしましては、現在ビルマに対しましては、調査団を派遣いたしまして、菌の発生経路、また現地における防止の施設、またどういうふうな取引条件をつけることによつて、これが防止できるかというようなことを検討いたしておるわけでございまして、そういう黄変菌につきましては、日本限りの、しかも特殊の方法をもつて取引をいたさないと、これを防止することができない。そういう点について検討いたしておるわけでございますが、大体の考え方といたしましては、まず第一に、現地におきまして積出しの場合に全量燻蒸をする、そういうことによつて輸送中の発生も、これを防止できるのじやなかろうかということを考えております。同時に菌の性質からいたしまして、水分の点が非常に影響がございますので、一般よりも水分を下げたものを要求して取引をする、なお倉庫の指定、あるいは精米所の指定というところで、その設備その他を見まして、そういう菌の付着のおそれのないものを買うというふうな方法考えてはどうだろうか。まだ調査団が現在現地に行きまして調査中でございますので、最終結論は出ておりませんけれども、内地で考えて参りますると、そういう方法がとれるのじやなかろうかというふうに考えておる次第でございます。なお、年末には調査団が帰つて参りますので、その調査団の報告を聞きまして、これは一般の国際取引とは別個の形での、特別の特約を結ばなければいけないのじやなかろうか。そういう場合におきましてその検査方法その他について、現地においての菌検定ということが、非常にむずかしい問題であるというふうに考えておる次第でございます。
  69. 笹森順造

    笹森順造君 今伺つたところで、国際的な一つの慣例として、荷物を出すその発送地をもつてフイナルとして、そこで契約が完成する、これが国際慣例である。ただしビルマにおいては、そういう一つの特別な契約をもつて、何か支障があつた場合には、それに対応する策がある、こう聞いたのですが、そうですが。
  70. 前谷重夫

    説明員前谷重夫君) 国際的には、小麦の取引でも、大麦の取引でも、米の取引でもそうでございますが、国際的な検定、インスペクターがございまして、そのインスペクターのサーテイフイケートによる品物でありますれば、その通りでございまするけれどもこれは発地フイナルとして取引されておるのが慣例でございます。ただその中には、黄変粒の問題が、全然これは問題になつておりませんので、昨年度からビルマなりタイに対しましては、そのほかに、黄変粒が一%以上混入した場合には受取らない、こういうことを特約として結んだのであります。この場合におきましては、外見的に変色しておるものを標準にいたしておりますので、現地におきましてこれを拒絶するということが可能であつたのでございますが、現在の病変菌の問題は全然変色しない。ただ細菌培養の結果によつてのみ判明すると、こういう状態でございましたので、そういう点に対応した買い方をしなければならない。それに対する現在の考え方といたしまして、現地燻蒸なり、ミルの指定なり、あるいはさらに進んで、これは非常に困難かと思いますが、できれば籾の指定までやる必要があるのじやなかろうかということで、現地の調査団の調査の結果を待つているという現状であります。
  71. 笹森順造

    笹森順造君 今ビルマの米の話をるる御説明下さつたのですが、二、三年前にイタリアから入つた米で、ずいぶん腐敗して、非常に臭気があつて、返上した場合があつた。やはりこのイタリアの米の輸入はどういう状況になつているか。昨年あたりでも原田大使がやはりイタリアの米を入れるためにいろいろ奔走しておつたようですが、イタリアから入つて来る米において、そういうような損傷というようなことが現地においてあるのか、あるいはまた長い地中海等、その他印度洋等を輸送する間に起つて来るのか、その辺のこともいろいろあるだろうと思うので、単にビルマだけでなくつて、やはり遠隔の地から海上輸送されて来るものが中途において変質するのか、あるいは現地においてもう今のような検査官がはつきりとした検査をしたものという信憑性があつてのことなのかどうなのか。その点二、三年前の非常にあのよくない経験があつたのだが、あのときの事情から、昨年、今年あたりどんなことになつているか、イタリアの米で少し御説明願いたい。
  72. 前谷重夫

    説明員前谷重夫君) イタリアの米につきましては、これは特に臭気があつて配給の問題が起つたということは、私実はまだ承知いたしておりません。それはパキスタンの米か、イランの米でございましたか、中東の米についてそういう問題があつたのでございます。ただイタリアの米につきましては、ブロークンの量が案外多い、こういう事実があつたわけでございます。これは病変菌の問題につきましては、これはタイ、ビルマの問題に限りませんで、イタリアにいたしましても、アメリカにいたしましても、同じような方法でもつて買付をいたしたいということで、先方におきましてもいろいろ研究をいたしておるようでございまして、大体発注地におきまして黄変菌の付着しないような措置をイタリアにおいてもとるということになつております。ただ、イタリアの米の買付につきましては、従来貿易協定におきまして約二万トン程度のものが貿易協定の中に盛つてあるわけでございます。本年度におきましては、これをどういうふうにするかまだ決定いたしておりません。貿易協定が従来通りに行きますると、二万トン程度のものが一応予定されるわけでございます。これは必ずしも絶対にビルマなりタイ等と異なりまして、義務的に買わなければならないということではございませんで、日本との輸出の状況に応じて買つて参るということになろうかと思います。イタリア米につきましても、黄変菌の問題につきましては、タイ、ビルマと同様の措置をとり得る、またとりたいと思つております。むしろタイ、ビルマよりも倉庫その他の関係から行きますると、その措置をとることが益が多いのではないかと思います。ただ御指摘のように、運送距離が長いものでございますから、その運送距離に応じた船の通風その他の措置はこれはタイ、ビルマとは異なつた措置をとらなければならないというふうに考えております。
  73. 笹森順造

    笹森順造君 外米は特にそうだと思うのですが、輸入する場合に乾燥度ということは非常に大事なことで、黄変米にしても、あるいは雑菌、いろいろ腐敗とかいう心配は、やはり乾燥度の高いものほど少い。ことに加洲米のようなああいう乾燥した地帯における米は相当よく乾燥しておる。そこで大体日本の米、特に東北、北海道等の秋あるいは雨期にできた米は乾燥が悪い。ところが外米は非常に乾燥がいいというので、貯蔵等においても非常にいいわけですが、大体米の乾燥度のパーセンテージは外国から来るのは、これは技術的な問題でしようが、幾パーセント程度の水分のものというふうに抑えておるか、この辺をちよつと開いておきます。
  74. 前谷重夫

    説明員前谷重夫君) 大体私たちは許容限度といたしまして一五%ということに考えておりますが、実際の取引におきましては一四・五%以下のものを取引する。これは水分につきましては国際的に一定の標準のもとにございますので、その標準には従いますけれども、実際取引においては大体一四・五%を標準にいたしまして、それ以下のものを買うようにいたしております。
  75. 笹森順造

    笹森順造君 ついでですから今の外米のことでお尋ねしておきたいのですが、今度吉田さんがアメリカを回つてこられて、余剰農産物として米の買付について相当話合いがあつたように言われております。そこでわれわれとしても消費者から言えば、価格が同じであり、あるいは安ければ、加洲米のような米が入るということは決して反対ではない。ただし今もイタリアの話が出たのですが、イタリア並びに東南アジア地方における、そこから相当量輸入しなければ日本からいろいろの品物が輸出できん。こういう相関関係にありますことなんで、その辺が痛しかゆしかもしらんですけれども、大体国際的な輸入というものについては、今の仮に百万トンなら百万トンとすると、大体アメリカの余剰物資などあるけれども、その割合は今までの通りとするという、食糧庁長官考えであるか。あるいはこの際吉田さんが行つて来たのだから、アメリカからいい米をうんと買おうというのか。この辺のところはあなた方の考え方から言えば、いい米で乾燥しているものなら、たくさんアメリカから取つたほうがよさそうに思うのだがどうか。
  76. 小林政夫

    委員長小林政夫君) その点追加して、一体そうやつて入れた準内地米ですね、これは入つたときにばつと配給してしまうのか、あるいは備蓄しておくのか、その辺の取扱いはどうか。
  77. 前谷重夫

    説明員前谷重夫君) 外米の輸入につきましては、委員長お話のようにわれわれといたしましては十吾の配給、つまり消費地においては、内地米を除きました七日の配給の範囲内で輸入計画を組んでおります。従いまして備蓄等の考え方はございません。この十五日配給従つて配給して参るのでございます。それに要する必要最小限度を輸入する、こういう建前で進んでおります。  食糧庁といたしましては大体ただいまのお話のように、いい米を安く買いたいというのが建前でございます。従いまして台湾米でございますとか、あるいは加洲米等は消費者の嗜好にも合いますし、これはほとんど配給辞退もないようなことでございます。従つてそういうものがほしいわけでございますが、やはりこれは輸入の問題からいたしまして、当然貿易協定の問題、あるいは外貨の問題と関連いたします。そこらあたりの点についてはわれわれとしても、ただいいものを安くということだけでは通し得ないわけでございますので、その外貨の市場、相手国の通商状態というものとも関連いたしまして、できるだけ安く、いいものを買いたい。ただ南方におきましてもタイ等におきましては、従来の買付よりも品質を上げるという形において、できるだけいいものを入れて参りたい、かように考えております。ただ、協定から申しますと、ビルマについては年間二十万トンは買わなければならないことになつておりますし、タイにつきましても二十万トンないし三十万トンというものは、これは貿易協定の面から買わなければならない、こういう状態であります。
  78. 小林政夫

    委員長小林政夫君) 余剰農産物の筋道からいうと、その米を入れるために通常の取引量が減つてはならん、こういう建前から言うと、今のようにそれを入れただけ普通の配給基準の中に織込むということになると、ともかくそれが引込む点が出て来るというか、二十万トン、あるいは三十万トンの約束を減らすという問題が起つて来るのじやないですか。
  79. 前谷重夫

    説明員前谷重夫君) 通常輸入の問題は、余剰農産物にしてもあるわけでございますが、その通常輸入見方の問題があるわけです。昨年度あたりにおきましては、日本の作況の特殊事情がございましたので、増加を見ておりましたが、人口の増加等の関係からいたしまして、まず通常ベースからいたしまして、その分を、平年の作柄ということをベースに置いた場合におきまする通常輸入量が幾らか、こういう観点に立ちまして、これに今年の作況作況等を考えてみますと、作柄も平年よりは落ちておるわけでございますので、食糧需給の面からいたしますと、余剰農産物を入れましても、需給上必要な輸入数量の内数になるわけであります。いわゆる余剰農産物等の取扱いにおきましては、通常ベースの考え方が、われわれといたしましてはそのときの作柄によつて変化する向きもあるわけでございますので、これは少し弾力性があると申しますか、昨年度の実績であるとか、あるいはいつの実績ということを固定的には考えない。まあ平年作の場合におきまする通常輸入、こういうことをベースにおいて考えておるわけであります。
  80. 小林政夫

    委員長小林政夫君) それでは本日はこれをもつて散会いたします。    午後四時四十一分散会