○
説明員(
佐々木義武君) ただいま
委員長から御指摘がありました
全国国土総合開発計画という問題でありますが、御
承知のように
全国国土総合開発審議会というものがございまして、法の定めるところに従いまして、その
審議会では、
全国国土総合開発計画というものを作成しなければならないということに
なつております。そこで、前前から
委員の
皆さんからも再々御要望がございまして、
経済審議庁といたしましても、その
作成方に当
つてお
つたわけでございますが、二月ほど前に大体
事務局の
素案ができましたので、
参考資料として
審議会におかけしたわけでございます。
審議会のほうでは非常に問題が広汎でありまするし、今後さらに
検討を要する
事項が相当ございますので、さらに問題を深め、発展させて、順次
審議をして行こうということで、問題を今後に残されまして、もちろん決定というふうなことには
なつておりません。従いまして、今日これから御
説明を申し上げますものは、単に
事務当局の
研究案でありまして、まだ不備の点その他たくさんあるのはもちろんのこと、
審議会といたしましても、あるいは内閣にいたしましても、
政府としてこれを決定したというふうなものじや全然ないのでございますので、この点あらかじめお含みの上お聞き取り願いたいというふうに
考えます。
お手許に
資料を、
全国総合開発の
構想の概要(A)
資料というのと、(B)
資料というのと
二つ行
つているはずでございます。この(A)
資料のほうは、
日本経済の
昭和四十年に先を見越しまして、そういう際に一体どういう姿に
なつたほうが一番望ましい姿だろうかという点を試算したのでございます。(B)
資料と申しますのは、その中から
問題点を、特に
国土総合開発という
観点に立ちまして、これに関連ある
事項を抜き取りまして、そしてぜひまあ
国家として
解決を要する
事項を指摘しまして、問題を提起いたしまして、自後の
作業、あるいは
研究の
前提、あるいは
解決条件にしたいというふうに
考えて
問題点のみを指摘した
資料でございます。さらにへらへらな紙が夜あるはずでございます。
経済指標比較というのは(A)
資料の
総括資料でございまして、それを一枚にまとめ上げると、こういう
計数になるという
資料でございます。もう
一つの
図式はいろいろありますが、これは実は非常に本文は、(A)
資料のほうは大部なものでありまして、非常に申しわけないのでありますが、すぐ全部ほうぼうの要求がございまして、出し払いまして、
印刷に間に合いませんで、来月の五日か六日ごろまで
印刷局のほうにや
つたのでありますが、それにかかるとそうでございますので、本論の詳しいのは、今日実は間に合わなか
つたのでございまて、出来上りますればさつそくお届けするのはもちろんでございますが、ただその中から主要な図表を抜きまして一応
参考までにつけておりますのが、この
図式に書いたものでございます。以上が
資料の
内容でございますが、順を追いまして、まず
構想のほうの(A)
資料の
概略を御
説明申し上げ、次いで(B)
資料のほうを比較的詳しく御
説明申上げたいというふうに思います。
国土総合開発問題でありまするから、あまり短期の期間をとりましても、
事情これにそぐわない点が相当出て参りますのが
一つと、もう
一つは長い目で見ますと、そこからおのずから普通の問題以外に、根本的な問題として諸般の問題が出て来るのじやなかろうかという点もねらいになりまして、
昭和四十年というものを一応
目標にと
つてみたわけでございます。初めこの
作業にかかります際には、今後十五カ年後というふうに
考えてお
つたのですが、
作業しおる間にだんだん時間がたちまして、現在から見ますと十二、三年後というふうな格好に相成
つたわけでございますが、
基準年次といたしましては
昭和二十七年度を
基準年次にと
つております。そこでこの
内容と申しますか、
方法論と申しますかを
概略申し上げまして、そして数字を簡単に御
説明申し上げたいと思いますが、従来までのこういう
国家経済の見通しというものをやる際には、いずれかと申しますと、
国際収支の発展的な均衡、あるいは
生活水準の上昇という点を
二つの柱にいたしまして
作つたわけでございまするが、長い将来の問題を
考えます際には、どうしても今まで取り上げ得なか
つた雇用の問題を取り上げるべきじやなかろうかというので、この
作業では一番特徴的な点は四十年において
完全雇用ができるという点に
重点を置きまして組み立ててございます。この
やり方等に関しましてはいろいろまだ批判の余地があろうかと思いますが、
一つの
考え方といたしましては、一九六〇年度における
アメリカ経済という本がございまして、これは
アメリカのたしか大統領からだというふうに
承知しておりますが、コーンという博士が一九六〇年に
アメリカ経済というものはどうあるべきかとい
つたようなものを、
国民経済計算として出したものがございます。これは非常に新しい
資料でございまするが、その
方法論等を見ますと、先ほど申し上げましたように、やはりこの
雇用面を
出発点といたしまして、そして問題を展開しておりますので、
方法論等も非常に斬新なものでもありますし、まあこういう
資料を
参考にして、その他あるいはアウト・プットという
皆さんも御
承知と思いますが、
経済審議庁並びに通産省で今共同でや
つております
方法論等も取り入れ、あるいは
国民所得の
方法論の中に織り込みまして、そしてでき上
つたものがこれでございます。
そこでまず
人口でございますが、
昭和四十年度における
人口の
伸びを
人口問題研究所のほうにお尋ねしまして、そこから出て参りました総
人口が
昭和四十年におきまして九千七百三十万人、
概略そのくらいの
計算になります。これから
生産適齢人口、十四歳以上のものをとりまして、更にその中から
ネット労働とか、
労働者として
雇用させるとい
つたような
人たちがどういうふうな率であるのだろうかという点を見たわけであります。と申しますのは、いろいろ不具の方とか、あるいは婦人の方とか、あるいは学生とかありまして、必ず
生産適齢人口の人が全部
雇用されるというわけじやありませんので、従来の
計数等から見まして大体六二%くらいそのうちからとりまして、四千六百三十五万人がその四十年度の
労働力入口というふうに
計算ができて来たわけであります。二十七年度から
考えますと約七百万くらい
労働人口がふえるという
計算になりますが、そこでその
労働人口をいかに
雇用すべきかという問題に入るわけでありますが、まず、この
作業では
国民総生産というものを見まして、そうしてそういう
人口を就業させる際には、国の
生産量というものがどのくらいあれば可能なものかという点を一番のスタートにしたわけでございます。そこでこの
国民総生産の出し方でありますが、これを
政府生産と、
民間生産というふうに分けまして、
政府生産のほうにはそれぞれの
政府傭員、これは
人口雇用の
伸びとほぼ同じようにして出したのでありますが、この
政府雇用者数の
伸びと、それから
給料の
想定給料をかけまして一応出し、
民間生産のほうは、
民間の、それから抜きました
就業者数というものと、
労働時間、これは今よりは一時間くらい働かんでも済むというふうな
計算で、時間を短縮して
考えております。それからもう
一つは、一人一時間当りの
生産額がどのくらいになるか、これが一番この
労働の
生産性の問題でありまして、重要な点でありますが、これもいろいろ
考えまして一
計数を出して、そうしてこの三者をかけ合したものが
国民総生産と
なつて出て来るわけでございます。
それでそういう
国民総生産を
前提条件にいたしまして、まずそういう
国民所得と申しますか、
国民総生産量に
なつた場合に、それが
需要としてどういうふうに分れて行くであろうかというふうに、まず
需要の面を測定したわけであります。
需要の測定の仕方といたしましては、
企業の
需要、普通これは
民間資本形成というふうに
なつて参りますが、
企業から来る
需要がどのくらい、
生産の
需要がどのくらい、
海外需要、これは
一つの
輸出でありますが、
海外需要がどのくらい、
家計からの
需要がどのくらい、というふうに四つの範疇に問題を分けまして、そうしてこの
民間資本形成の出し方等にもいろいろ問題はありますけれども、ハラツトの
様式等を
参考にいたしまして、一応この
企業需要を出したわけであります。この中には
生産設備投資と申しますか、こういう面、あるいは
在庫品の増加、あるいは
個人住宅の建設というものがこの
内容に
なつておりますが、そういう点おのおの
計算いたしまして出し、それから
政府の
需要では
財政投資の面と、
財政消費の面とを分けまして、そうしてそれぞれ
政府需要はどのくらいになる、それから
輸出に関しましては、これはあとで少し触れますが、今までの
考えと変えておりますのは、
輸入に見合うだけ
輸出するというふうな
考え方で、今までのいろいろこういう
計算は、むしろ
輸出がどのくらい
伸びるだろうかという点を
出発点にして
循環コースを変えたわけでありますが、これはそうじやなくて、
出発点が違うわけでありますから、むしろ将来
輸出はこのくらい欲しいというふうな
工合に
なつております。それが大体二十四億ドルくらいでございますが、それから
家計の
需要、これはまあ
個人消費の面でございますが、
家計の
需要を出しまして、前者が全部きま
つて参りますと、それから総
生産を引きますと、
家計需要というものが
最後に出て来るわけですが、そういうふうに出しましてそうしてその際におけるこの
家計の
構成が
飲食費、あるいは被販費、
光熱費、
住居費、あるいは雑費とい
つたような
構成がどういうふうにあるのが一番望ましいかという点を
考えまして、そうして大体まあ戦前に近いような
エンゲル系数に問題を取上げましてその
構成比を
考えてございます。そういたしまして
家計の
需要がわか
つて参りますと、自然いわゆる
消費水準というものが出て来るわけでございまするが、そういうふうにして
消費水準を出しまして、一体この
需要の内訳がどういう
需要の状態になるだろうかというふうに組立てたわけでございます。そうして今度は
需要の
内容がわか
つて参りますと、そこにおのずから
生産財に対する
需要或いは
消費財に対する
需要というものが分類されて参るわけでございますので、今度はその
需要を基礎にいたしまして、そしてそれをインプット・
アウトプット方式と申しますか、百八十種ばかりの品種を選びまして縦横にこう並べまして、そして
生産の面を
需要の面とずつと組合わして行くのです。そしていろいろ
思考察をやりまして、大体そういう
需要にマッチする
生産はこういう
生産が望ましいという
生産の
規模が、
鉱工業のみならず、
食糧その他
消費財に対しても出て来るわけでございますから、そういうふうにして、その際に必要な国の
生産規模、その
内容というものが出て来るわけですが、それが出て参りますと、おのずからその際に必要な
輸入量、
輸入原材料と申しますか、そういうものが出て参ります。そこでその
輸入量に見合う
輸出量を出し、その
輸出量をまた
一つの足場にして、この
生産規模をさらに再考慮するというふうな
工合にして
生産の
規模をきめまして、
生産の
規模の
内容がきま
つて参りますと、自然その中に
雇用される
雇用構造というものが一体どうなるのかという点が出て参りますので、これを第一次
産業、第二次
産業、第三次
産業という三つの分類に分けまして、そして
雇用の
構造というものを
考えてみたわけでございます。そういたしますと大体これでまあその他
輸送等もおのずから出て来るわけですが、
理論上欠陷が出て参りますので、それをさらに
国民に分配した場合には、一体どういうふうな
分配状況になるだろうかというのを
最後に作り上げまして、そして
家計、いわゆる
個人の可
処分所得は
幾ら、それから
企業の総
留保利潤とい
つたようなものは
幾ら、これは
企業の
社内留保が
幾ら、
償却分でございますが、そういうものが
幾ら、それから
政府の
支出分が
幾らというふうにこれを分配いたしまして、そういたしますと自然その中から
政府では一体予算はどのくらいその当時になれば使えるか、それから
企業の全般的な
設備投資あるいは
在庫投資等に対してどのくらいの金が回せるかとい
つたような点が出て参りますので、それをさつき申しました
産業あるいは農産物その他の
消費財あるいは公共事業的な性格の
もの等にそれぞれ
資金を配分しまして、そして全体が
一体循環コースがうまく行くか行かんかというふうな
コースを
考えますと、大体まあそのときにあるべき
国民経済の正しい
循環と申しますか、望ましい
循環というものが出て来るわけでございます。そういたしますと、自然この
消費性向が一体今後どの程度であるべきか、あるいは
蓄積傾向というものはどのくらいであるべきかとい
つたような
指標が出て参りますので、仮にこういうものが正しい、これだけあればそれくらい
人口が
伸びても、相当高い
消費水準で
国民は生活して行けるというふうな展望が出て来るわけですから、いろいろなその中に足がかりと申しますか、
指標の主要なものが出て来るわけです。たとえば
労働の
生産性はどのくらいに毎年上げて行くべきかとか、あるいは
貿易の
規模は四十年までこのくらいが望ましい、逐年どういうふうな
足取りを辿
つて行けばいいかとか、あるいは、
消費性回なり
蓄積傾向というものは、こういうふうな
傾向であるべきなんで、できるだけそういう
傾向に近付いて行けば、大体四十年にはまあ望ましい
自立経済になり得るというふうな点が出て参りますので、一応いろいろ苦心して
作業いたしました結果、今のような
足取りを
経済指標比較とい
つたふうな
指標が出て来たわけでございますが、これで御覧願いますと、
国民所得は二十七年に比較しまして大体五割増し、それから
消費水準も二十七年に比して四四%の増ですから、相当高率に上
つて参る
計算に
なつております。
それからその次に
鉱工業、農林、
水産等いろいろございまするが、
貿易は
輸出が二十四億ドル、
輸入が二十四億ドルというふうに、ただいまの
輸出は
皆さん御
承知の
通り十五億ドルぐらいに今年は多分行きますが、それを二十四億ドルくらいまで伸ばしたいというふうな
計算に
なつております。
残りの
指数等は御覧いただけばけつこうかと思いますが、そういうふうにいたしまして、この将来あるべき姿とい
つたようなものを一応想定したわけでございますが、これは先ほど申しましたように、
アメリカでやりましたのは、むしろ
アメリカのほうでは、
軍縮等で
国民経済が将来どう
なつて行くだろうかという、仮に
軍事費等の問題が生じても、現在の
国民経済の繁栄というものを維持して行くためには、しかも
雇用を満たすためには、どこに
重点を置いたらいいのかというふうな点が主眼にな
つて計算ができておるようでございますが、これは
一つの試案を出しただけでありまして、
考えようによ
つては、何の
指数をどのくらいまで上げ、あるいは目的は、むしろこの
個人の
貯蓄よりは
企業の
貯蓄に
重点を置くべきだというようにセオリーが変
つて参ります。
いかようにもこういう形式で出て来るわけでございますが、先ほど申しましたように、このそもそもの
前提は、
国土総合開発計画というものを作るための
前提を作りたいために試算したのでございますので、あるいは
見方によりましては、少しまだ
検討と申しますか、
分配等に関する
見方は片寄り過ぎているという言葉もあろうかと思いますが、大体しかしこのくらいの
規模になれば、
日本の
経済というものは非常にまあ希望的なものになるということでございます。そうして各
年次割のものは実は出しておりません。まだ
計算しておりませんが、現在から見まして、それほど大幅に拡大しなければならんというものでもないのでありまして、まあ努力のいたしようによ
つては、こういう
経済までは持
つて行けるんじやなかろうかというふうな感じもいたします。そういたしまして長い間の
目標を一応想定してみますと、非常にまあこの
問題点が多く出て参りまして、ただ、この
作業では
輸出とかあるいは
自衛力の問題とか、あるいは
社会保障の問題とかい
つたような面は割合に
検討未済でありまして、
問題点の選び方は、主として
国土総合開発という
観点から
問題点を
拾つて行つたのでございまするので、あるいはそういう点の
検討をして行きますと、必ずしもこういう
問題点ばかりが浮んで来るというわけに相参らんかと思います。むしろ
輸出重点というとかうなのが
自立経済に一番必要なことでございますので、あるいはそういう問題も大きく出すべきであるとは思いますが、くどく申しまするようでございますけれども、
国土総合開発計画というものをねら
つておりまして
作つた次第であります。
問題点の出し方は、主としてそのほうに限
つて問題を提起しております。まずどういう問題を選んだかと申しますと八つございまして、
一つは食・糧の
増産確保について、(B)
資料のほうを御覧願いたいのでありますが、二番目は
森林資源の培養と
合理的利用について、三番目は
エネルギー資源の
総合的検討について、四番目の
産業立地の
適正化について、五番目は
輸送力増強に関する
総合的検討について、六番目は
国土保全並びに
災害復旧について、七番目は
都市住宅について、八番目はその他といたしまして補償の問題と新技術、新
産業と申しますか、とい
つたような問題を取扱
つてございます。そこで順を追いまして、一番初めの
食糧の
増産確保についてという点から御
説明申上げたいと思いますが、この
資料で指摘いたしました最も
食糧増産に関する重要な点は、
食糧増産の
経済性と
社会性に関する問題でございます。もちろんこの
増産所要量と申しますか、
希望量と申しますか、というものを出すためには
前提条件といたしまして
国民の
カロリ計算、
日本人における標準的な
カロリー計算、あるいは
栄養基準と申しますかそういうもの、あるいはその
内容が蛋白その他どういうふうになるだろうかとい
つた点、あるいは
食傾向と申しますか、今後米から順次麦へ移行するとい
つたようなことをかね合せまして、そうして全体の
所要量というものを出すわけですが、その
所要量に
見合つて増産量、
国内の
増産量、あるいは
輸入量というものが当然出て来るわけであります。そこでそういう
増産計画が農林省のほうで作
つておりまして、現在進行しつつあるわけでございますが、それでは今の
食糧増産の問題にからんで、何が一番今後
解決を要する問題かというふうに私らの立場から
考えますと、ここに出しておりますように、
一つの大きい問題としては、
食糧増産の
経済性と
社会性に関する
事項という点を、まず
考えてみたわけでございます。これはどういう意味かと申しますと、現在二千五百七十万石の
増産を仮に十カ年を
考えますと、それに所要する経費が一兆五百四十億というふうに
なつておりますが、こういう厖大な
資金を投入してできた
食糧がどういうふうな
経済性を持
つて来るだろうかという点が非常に
検討がまだ不十分のようでありまして、今のところではむしろ量的な
確保という点にウエイトがありまして、
経済性のほうはあまり吟味しておりません。ところが一方米に例をとりますと、籾米でありますが、トンにいたしまして一九五三年の五月の相場では、
ビルマは大体三十ドル、
タイは六十五ドルとい
つたような
計算に
なつておるのでございます。
ビルマに関しましては、最近私、賠償のほうの問題で
ビルマに参りまして、現地にも参りまして聞いてみたのでありますが、三十ドルということはないようであります。ただいまのところでは、私の行
つたときには向うの米は専売のようなことに
なつておりまして、全部
政府で一手に買い取るように
なつておりますが、大体一トン十五ポンドくらいでありました。ですから仮に略して三倍にいたしましても、四十三ドルくらいのようであります。農民からの
買取価格はそういうことにいたしましても、これより少し高い、大体五十ドルから六十五ドルとい
つたような、
タイ、
ビルマの
生産コストと申しますか、に
なつているのに、
日本はどうかと申しますと、百十五ドルというふうに、非常に高いわけであります。これは米の性質も違いますので、一概に申し上げられませんが、それにいたしましても非常に差がある。それから
麦等につきましても、
皆さん御
承知のように、
アメリカ等では非常に膨大なストックをかかえておりまして、世界の
食糧事情から申しますと順次値下りというような
傾向になりつつあるのではなかろうか。そういう際に、この国際的な
食糧の
立地条件という
比較検討からいたしますと、
国内でそういう膨大な
資金で
農業開発というものをやるのがいいのか、それとも
輸出を伸ばして外国から買
つて来たほうがいいのか、それでまたそういうふうに仮に
なつた場合には、ちようど
昭和八年、九年、ころのように非常にまた農村の
経済状態に、あるいはまた、社会状態に影響が大きいのではなかろうか、そういう問題を一体どういう
解決したらよいのかということが非常にまだ国として態度がきま
つておらんように見受けられます。そこで何とかこういう点を早く態度をきめませんと、従来のままでその方針でどんどん
増産と申しますか、という方向に向
つて参りますと、
増産そのものが悪いというのではなくて、こうい
つた点を十分
考えた上での計画でありますれば、今後の
国土総合開発計画の一環として安心して取り上げ得るわけでございまするが、そういう点は
前提がきま
つておりませんので非常にやりにくい。こういう点をはつきり今後勉強して態度というものをきめたいものだということが、第一点の
問題点の提起に
なつております。
それから第二点は、土地利用方式の問題でございますが、これにはいろいろ問題があります。たとえばこの今後開発可能地が五百万町歩あるといわれておりますけれども、その中で三百八十万町歩が山林で、原野が百十万町歩というふうに
なつておりますが、これが逆に今度は畜産の
増産計画から見ますと、牧野の利用等にどうしても百三十万町歩くらいはほしい、それから干拓等をやるといたしましても、工業地なり、塩田なりで非常に矛盾するとい
つたような点がありまして、そういう土地の利用をどうしたらいいのかという問題もございますが、
一つここに問題になるのは、耕地の潰廃の問題でありまして、この
資料にもありますように約三万三千町歩くらいが毎年熟田が潰れて参ります。でこれによる減産量が年七十万石くらいに
なつておりますが、一方これの反対に開墾、干拓のほうはどのくらいかと申しますと、大体四万町歩くらいで進んでおるわけですが、ほぼまあとんとんということで、一方では熟田を潰しておきまして、そして片方のほうではだんだん条件の悪い、農業条件としては比較的
立地条件の悪い、しかも熟田化するまでには相当時期も必要な開墾干拓を進めておる。こういう点を
考えますと、何かここにやはり調整の余地があるのではなかろうかというふうなことで、この点を強く出してございます。これははなはだこの潰れ地の原因が、住宅の問題とか、あるいは都市の改良の問題とかあるいは工業等の進むに従いまして敷地のための潰廃とかいろいろ理由はありますが、これを整理、調整するのは非常にむずかしい問題でありますけれども、今のままで行くのは非常に危険であるという意見を強く出しておるわけであります。
それから耕地利用度の向上という問題もありますけれども、これはまあ詳しく申上げないで、次の問題に移りたいと思いますが、第二番目は
森林資源の
内容と合理化の利用についてという問題でございまして、今の年間の森林の生長量は大体八千二百万石でございますが、その二・五倍くらい、約一億をこすくらいの伐採を毎年実際は行
なつておるわけでございます。そこでそれに対してさらに造林も四十年から五十年くらいかかるような森林を植えておるわけでございますが、今後それではこういうふうな格好で行
つていいのかどうかと申しますと、
一つは樹質等の関係からいたしましても、何とか早くこのギヤツプを埋めたい、それからもう
一つは木材の利用面からいたしまして、木材もちようど石炭のように建築材料とか、あるいは薪とか、燃料とかいうのから、むしろ木材そのものを原料としてこの工業を発展さすという
傾向が非常に世界的にも顕著でありまして、
日本も次第にそういう
傾向に向いつつありますし、また将来向
つて行くのが当然の道行きかと思いますが、そう
なつた場合にどのぐらいの一体適令伐採期までの成長率の早い樹を選ぶかという問題になりますけれども、これは私詳細は存じ上げておりませんが、大体今世界の基準は二十年ぐらいで伐採ができるというふうな樹が非常に望ましいというふうな格好に
なつて、そういう面に向
つて非常に
研究が進み、現実にいろいろ施策がやられておるようであります。従いまして
日本では特に戦時山が荒らされたという関係もありますし、今申しましたような
需要等もありまして、そういう
需要に見合い、しかも成長率の早い木材をこの際何とかして力を入れて、そうしてこういう今のような森林における木林行政と申しますか、森林の窮状と申しますか、こういうものを回復すべきだというふうな点を主として
問題点として出してございます。
それから第三番目は、エネルギーの総合対策の問題でありますが、この案では、先ほど申しましたような経過をたどりまして、
産業構造からして所要エネルギー量がどのくらいかという点を石炭換算にしてまず出しまして見ますと、
昭和四十年におきまして一人当りのエネルギー消費量が一・四六トンというふうに
なつてございます。これは戦前の最高水準にまだ達しないぐらいの数字でございまして、決して膨大な数字ではございません。で、このエネルギーの
所要量をまず石炭に当てはめてみますと、実は石炭の方面からする
需要量は八千万トンとい
つたような膨大な数字になりまして、一方これを供給面から見ますと、とてもそんなには
日本の石炭は
伸びません。また伸ばしても非常にまあコストが高く
なつたりいたしますので、せいぜい五千五百トンがマキシマムではなかろうか、普通言われておりますのは、五千二百万トンぐらいが最高だというふうに見てございます。それをまあ五千七百万トンまで一応上げて見たのでありますが、それから半面石油でありますが、
国内の石油を今の計画に従いまして、大体百万キロリッターというものを
目標にし、その際の
輸入量をさつき申しました外貨の点等から考慮いたしまして千百万キロリッターというもので押えまして、残りが水力に
なつて行くわけですが、その際それでは水力といたしましてどういう問題が発生して来るかと申しますと、今まで
日本の再建を最も援けるものは水だというふうに言われておりましたですが、この
作業をや
つて参りますと、どうしてもこの水そのものが
日本を救えないというふうな結論に
なつて参りまして、非常に大きい問題だと
考えておりますが、と申しますのはここに書いてありますように水力の現有設備が七百万キロワットでございます。これを
皆さんも御
承知の電源開発五ヵ年計画というので、さらにその追加分を四百万キロワツト足しますと、大体千百万キロワツトというものが開発されるわけです。我が国の包蔵水力というものが一体どのくらいあるかと申しますと、今までの通常の概念では、
計算では二千万キロワットというのが
国内の包蔵水力に
なつております。その二千万キロワットというものは、まだこれは今までの
計算でありまして、必ずしも正確とは申し上げにくいのではなかろうか。と申しますのは、私のほうで国土
調査課というのがありまして、ここで実際の水の
調査を最も近代的な
方法でや
つておりますが、まだ全国にわた
つてやりません。具体的なものを選んでや
つておりますけれども、従来建設省は洪水のための雨量を
調査し、水の
調査をし、通産省のほうは渇水に対しての必要
調査、あるいは農林省のほうは夏のひでりと申しますか、夏に水が欲しいために
調査をするということで、それぞれ違
つた目的で、おのおの観測所を設けて
調査していて、その集積の結果が今申し上げましたように二千万キロワットということに
なつておるわけですが、私どものほうで戦後列国でこういう点が進歩しておりますので、どういう面積にどのくらいの観測所をどのくら置けば、傾斜が何度のときにどのくらいの観測所を置けば、確実の量がつかめるとい
つた点を
参考にいたしまして
調査をさせて参りましたが非常に違います。従来のままでや
つたのと正確にや
つたのでは、ものによ
つては五割くらい違うということで、非常に違
つて参りまして、そういう
観点からいたしますと、この包蔵水力二千キロワットというものは必ずしも正確ではないのではなかろうか。ことに雪の
調査は十分でありませんので、こういう点は疑問はありますが、仮に二千万キロを押えた場合はどうなるかと申しますと、第一期というのは三十二年でありますが、これで大体残りが五百万キロワツトしかないのであります。そこで……、いや失礼いたしました。さつきの千百万キロワットを二千万キロワツトから引きますと九百万キロワツトまだ残
つている
計算になりますが、その九百万キロワツト全部開発できるかと申しますと、実はほとんど不可能でありまして、なぜかと申しますと、その中では従来の発電所があ
つたり、あるいはそれをつぶしてまで大きいダム式のものを作
つてしまうと、補償費その他が非常に膨大なものに
なつて参りまして、今でもコストが上
つているのに、これはコストの面から問題にならんだろうとい
つた点がありまして、最大限五百万キロくらいそのほうによこせばもうマキシマムではなかろうか、そういうふうな
計算に
なつて参りまして、ほぼ十年後くらいになりますと、水資源そのものが非常に
日本にと
つて苦しい状況になるというふうに見られるようでございます。これは仮に水の
調査を正確にやりましてもつと水があるとい
つた場合は、
日本の水というのは御
承知の
通りすぐ、どおつと流れてしまいますから、これをとめておく操作が非常に大切でありまして、今申し上げましたようなそういう場合には、ダムを作るということになりますと、非常に社会的な問題か、あるいは
経済的な問題からネックができるということで、そう水力に大きい期待をかけるということはできないようでございます。
それから石炭の面でございまするが、これはどうかと申しますと、さつき申し上げましたように五千七百万トンが大体戦時中の最高の採炭量でございますが、これをまあ無理して基準にと
つてみたのでありますが、どういう
問題点、長い目で見て
問題点があるかと申しますと、ここに
二つ問題を提起しております。
一つは、低品位炭の問題でありまして、どうしても今でも二割五分から三割くらいは低品位炭がこの出炭にくつついて来るわけでありまして、さらにこの五千七百万トンを仮に堀るといたしますと、その場合に低品位炭というものを一体どうすべきかという問題が非常に
日本にと
つて重要な問題に、現在も
なつておりますが、なることは明瞭でございます。そこでそれぞれ通産省等でその利用
方法を
研究しておりまするけれども、まだまだこの点は
研究が不十分じやなかろうかというふうな感じがしますのが一点。もう
一つは、さつき申しましたように千六百五十万キロワットの水力を持
つたときには、火力のほうも相当量これはもう
伸びておりまして、仮に豊水、渇水の差が出た場合には、どのくらい石炭がフラクチエートするかと申し上げますと、まあ七百万トンぐらい場合によ
つては動くのじやなかろうか。そういたしますと、そういう大きいものを石炭業者だけで一体負担できるものだろうかどうだろうかという点が非常に大きい問題に
なつて来るように
考えます。さらばとい
つて今方針を急に変えて、さらに今よりも膨大なダム建設、ダムを
作つたからとい
つて、必ずしもピーク時の電気が救済できるというわけでもございませんので、そういういわゆるホワイト・コールと称します石炭に代る電力とい
つたような地点はそれほど
日本にはございません。従いましてこういうふうな
傾向になり勝ちでありますので、そういう場合の石炭の過剰というものはどうしたらいいのかという点を出しております。
石油に関しましては、先ほど申しましたようなことでございまして、そういうふうに
考えて参りますと、
日本の
産業構造から申しまして、将来どうしても重化学工業とい
つたようなものに
重点が、特に有機化学工業とい
つたような方面に
重点が向いて行くわけでありますが、その際に一番必要なエネルギー、あるいはその原材料と申しますか、原料と申しますか、こういう重要な資源が十年くらいたつと、非常にまあ窮屈に
なつて来るとい
つたようなことがありまするならば、今後それじやどうしたらいいのかという点が非常に大きい問題に
なつて来るのじやなかろうかと思います。そこで新しいエネルギーの資源というものをもつとこの際
研究する要がありはしないかというので、ここでは低品位炭の利用の問題、さつき申しました利用の問題と地熱の問題、天然ガスの問題、海底資源の問題、原子エネルギーの問題というふうに一応出しておりまするが、このおのおのに対する
研究というものはまだ私どもも十分でありませんし、国全体としても十分じやないのであります。地熱の問題は御
承知のように別府のほうでや
つておりまして、相当成功しておるようです。コストも大分安く上るようでございますので、この地熱によるエネルギーというものは、今後相当力を入れて開発を進める要があるのじやなかろうかというふうに
考えます。
天然ガスのほうは、量から見まして、それほど大量ではないというふうに現在
考えられておりますので、しかしこれもまだまだ
研究の余地があるのじやなかろうか。
それからここに海底資源というふうにありますが、これは水産大学の教授の方で、名前をちよつと忘れましたが、この海底資源の問題だけ一生懸命や
つて調査をしている人がありまして、一年間ぐらい
アメリカに講義に行きまして、その帰りに欧洲に回
つて、また
日本へ帰
つて来て
日本で
調査をしたり講義をしたりするというような方がございまして、この方が一番この海底資源の問題に詳しいのでございますので、いろいろお聞きしてみましたところが、まあ教授によりますと、
日本の資源は陸上から掘
つている、この隆上の下にある地下資源というものは、本当に質からい
つても、量からい
つてもわずかであ
つて、問題はほとんど海底にあるのだという点を非常に強調しております。特に石炭、石油に関しましてはその点を強調しておりますので、今後この問題は十分
調査研究を進める必要があるのじやなかろうかというふうに
考えております。それから次は原子エネルギーの問題でありますが、原子のエネルギーの問題に関しましては、皆様も御
承知のように、二十九年度予算から二億三千万円の実験小型熔鉱炉用の予算と、それから三千万円のウラニューム資源の
調査費がつきまして、その後準備
調査会、あるいは通産省の予算の打合会というような機関を設けまして、目下
研究中でありますが、すぐ、しかし原子の問題が、将来非常に重要な問題でありますが、このエネルギーとして十年ぐらいでこれがどんどん開発されて、ほかのエネルギーに代
つて行くというほどテンポを早く問題が発展するだろうかと申しますと、はなはだまだ問題が多いようでございます。従いまして長い五十年、百年という先を見ますと、これは非常に大きいウエイトを持
つて参りますが、ここ十年、十五年ぐらいの間では、それほどこの問題は現実のエネルギーの資源としては大きい要素として取り上げるというのは、ケース的に申上げましても、いろいろ無理があるのじやなかろうかという感じもいたします。もちろんまだこれは結論はついておらんわけでございまして、
研究中でありますから、何とも申上げるわけには行きませんが、というふうな状況かと思います。従いましてこの今後の
エネルギー資源というものを一体どうするのだという問題が、非常に
日本の将来にと
つて大きい問題でありまして、
アメリカ、あるいはドイツ、あるいは英国とエネルギーが豊富な国でさえ、あるいは五十カ年後、あるいは百年後というふうな先を見こして、新しい
エネルギー資源に対して十分な
研究あるいは何と申しますか、開発をしておるのでありますが、
日本におきましてはこういう資源が貧弱なところであればあるほど、もつとこの問題に
重点を置いてあるいは
研究あるいは開発をしてみるべきではなかろうかという点で、この問題を出してみたわけであります。
それから四番目は
産業配置
適正化の問題であります。俗に言う……。