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1954-12-03 第20回国会 衆議院 農林委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年十二月三日(金曜日)     午後零時十三分開議  出席委員    委員長 井出一太郎君    理事 佐藤洋之助君 理事 綱島 正興君    理事 福田 喜東君 理事 安藤  覺君    理事 吉川 久衛君 理事 芳賀  貢君    理事 川俣 清音君       秋山 利恭君    佐藤善一郎君       田子 一民君    松岡 俊三君       松野 頼三君    加藤常太郎君       木村 文男君    床次 徳二君       本名  武君    淡谷 悠藏君       井谷 正吉君    井手 以誠君       中澤 茂一君    中村 時雄君       久保田 豊君  出席政府委員         農林政務次官  羽田武嗣郎君         農林事務官         (大臣官房長) 渡部 伍良君         農林事務官         (農林経済局         長)      小倉 武一君  委員外出席者         農林事務官         (農業改良局         長)      鹽見友之助君         農林事務官         (食糧庁業務第         一部需給課長) 大口 駿一君         専  門  員 難波 理平君         専  門  員 岩隈  博君         専  門  員 藤井  信君     ————————————— 十二月三日  委員足鹿覺君辞任につき、その補欠として井手  以誠君議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 十二月二日  昭和二十九年四月及び五月における凍霜害等の  被害農家に対する資金融通に関する特別措置  法の一部を改正する法律案(第十九回国会衆法  第五一号、参議院継続審査) 同月三日  農林水産施設災害復旧事業費国庫補助の御定措  置に関する法律の一部を改定する法律案吉川  久衛君外百二十一名提出衆法第三号)  昭和二十九年七月の大雨、同年八月及び九月の  台風並びに同年の冷害による被害農家に対する  米麦売渡特例に関する法律案福田喜東君  外百二十一名提出衆法第五号) の審査を本委員会付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  昭和二十九年の台風及び冷害被害農林業者に  対する資金融通に関する特別措置法案(内閣  提出第六号)  水稲健苗育成施設普及促進法案佐藤洋之助君  外二十四名提出衆法第四号)  昭和二十九年四月及び五月における凍霜害等の  被害農家に対する資金融通に関する特別措置  法の一部を改正する法律案(第十九回国会衆法  第五一号、参議院継続審査)  農林水産施設災害復旧事業費国庫補助暫定措  置に関する法律の一部を、改正する法律案(吉  川久衛君外百二十一名提出衆法第一号)  昭和二十九年七月の大雨、同年八月及び九月  の台風並びに同年の冷害による被害農家に対  する米麦売渡特例に関する法律案福田喜  東君外百二十一名提出衆法第百九号)     —————————————
  2. 井出一太郎

    井出委員長 これより会議を開きます。  まず昨日本委員会付託になりました昭和二十九年四月及び五月における凍霜害等被害農家に対する資金融通に関する特別措置法の一部を改正する法律案議題といたし審査に入ります。     —————————————    昭和二十九年四月及び九月における凍霜害等被害農家に対する資金融通に関する特別措置法の一部を改正する法律案(第十九回国会衆議院提出継続審査事件)   本院において継続審査をした右案は本院において修正議決した。よつてここに送付する。   昭和二十九年十二月二日       参議院議長 河井 彌八     …………………………………  衆議院議長 堤 康次郎殿    昭和二十九年四月及び五月における凍霜害等被害農家に対する資金融通に関する特別措置法の一部を改正する法律   昭和二十九年四月及び五月における凍霜害等被害農家に対する資金融通に関する特別措置法昭和二十九年法律第百六十七号)の一部を次のように改正する。   題名中「四月及び五月」を「四月、五月及び六月」に改める。   第一条中「四月及び五月」を「四月、及び六月に、「同年五月」を「同年五月及び六月」に改める。   第二条第一項中「四月及び五月」を「四月、五月及び六月」に、「同年五月」を「同年五月及び六月」に、同条第二項中「昭和二十九年九月三十日」を「昭和三十年一月三十一日」に改める。   第四条第一項中「四億五千万円」を「六億五千万円」に改める。     附則  1 この法律は、公布の日から施行する。  2 昭和二十八年四月及び五月における凍霜害被害農家に対する資金融通に関する特別措置法昭和二十八年法律第六十九号)の一部を次のように改正する。    第二条第二項中「昭和二十九年四月及び五月における凍霜害等被害農家に対する資金融涌に関する特別措置法」を「昭和二十九年四月、五月及び六月における凍霜害等被害農家に対する資金融通に関する特別措置法」に、「昭和三十九年九月三十日」「昭和三十年一月三十一日」に改める。     —————————————
  3. 井出一太郎

    井出委員長 御承知通り本案は、第十九回国会の終りに本院を通過して参議院に回付せられたのでありますが、参議院において閉会中の審査に付されたものであります。しかるところ参議院におきましては本案に対する若干の修正を加え、昨日本院に送付いたして参りました。  先国会における本院掲出案内容は、本年の六月に入り幸して茨城県の激甚なひよう害があり、また引続き青森、岩手県等に凍霜害が発生いたしましたので、これらの被害農家に対して低利の営農資金融通するため、政府及び都道府県が所要の助成措置を講じようとするものでありまして、その資金額は、現行の四億五千万のわく内で貸付をすることになつておりました。これに対して参議院修正は、先般第十九回国会後の閉会中の本委員会において佐藤洋之助君より御説明がありましたので、御承知のことと存じますが、念のため申し上げますと、第一に、先ほど申し上げましたような事情によりまして本案成立が遅れることになりますので、それに伴つて営農資金貸付期限昭和三十年一月三十一日に延期することにいたしております。またこれに関連して昭和二十八年の凍霜害と重複して被雷を受けた農家の既借受け資金償環期限延長措置についても同様附則において規定を整備いたしております。  第一に、営農資金融資総額を六億五千万円に増額して、被害農家営農資金に不足なからしめんといたしております。  第三に、内容には関係はありませんが、法文の字句を用法に従つて改めたことであります。  参議院送付案内容は以上の通りでありますが、元来本案佐藤洋之助君外二十二名の農林委員中心とする提案でありまして、この法案提案趣旨は十分御承知のところであると存じます。従いましてこの際本案について趣旨説明の聴取、質疑等は省略してただちに採決いたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 井出一太郎

    井出委員長 御異議なしと認めます。  それではこれより採決いたします。本案賛成諸君起立を求めます。     〔総員起立
  5. 井出一太郎

    井出委員長 起立総員。よつて本案は可決すべきものと決しました。  なおお諮りいたします。本案に関する衆議院規則第八十六条の規定による報告書作成につきましては、委員長に御一任願いたいと思いますが御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 井出一太郎

    井出委員長 御異議なしと認め、さようとりはからいます。     —————————————
  7. 井出一太郎

    井出委員長 次に佐藤洋之助君外二十四名提出水稲健苗育成施設普及促進法案議題といたし、審査を進めます。質疑または御意見があれば発言を許します。芳賀貢君。
  8. 芳賀貢

    芳賀委員 本法案は、各党共同提案ということになつておりますし、昨日の提案者説明によつてもその内容は十分尽されておると思います。しかも当委員会においては、閉会中の審査の過程において、健苗育成問題等に対しましては、十分審査が進められたところでありまして、昭和二十八年度並びに二十九年度における災害対策の中においても、どうしても災害をこうむりやすい高冷地あるいは北海道東北のごとき積寒地帯等においては稲作栽培の上において、かかる施設が恒久的に必要であるということは論をまたないのであります。しかもこの健苗育成施設等に対しましては、いまだにこの施設が十分普及徹底しておるという段階までに立ち至つておりませんし、さらにこれらの地域におきましては、農業生産性が非常に低位であるという特殊性をも持つておるわけであります。こういうような経済力においても低位生産性農業形態の中にあつて、特に水稲栽培の上において特殊の施設をしなければ、所期の生産を確保することができないような条件を持つておりますので、これらの点を総合して判断いたしました場合においては、一面においてこの健苗育成施設によつて増産の実を上げ、一面において凍霜害あるいは冷害等のごとき災害に対する防止の施設ということにもなりますので、ぜひこれは法案成立によつて国がこの法の目的に沿うような財政的な支出を行うことが当然であると考えるわけであります。それでありますから、この際質疑を省略いたしましてただちに採決に入られんことを期待するものでありますが、それに先だちましてこの法案の今後の促進をはかる意味におきまして、次のような附帯決議を付して御可決あらんことを私は希望するものでありますが、委員長からお諮りを願つて皆さんの御了承を得る場合においては、その附帯決議等を申し上げることにいたします。
  9. 井出一太郎

    井出委員長 ただいま芳賀委員より御発言がありまして、本案に対し附帯決議を付したいとの申出があります。これを許すに御勇一議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 井出一太郎

    井出委員長 御異議なしと認め、芳賀君の発言を求めます。芳賀貢君。
  11. 芳賀貢

    芳賀委員 同僚各位の御了解を得まして、水稲健苗育成施設普及促進法案に対する附帯決議の案文をまず朗読いたします。    水稲健苗育成施設普及促進法案に対する附帯決議案   本事業の完璧を期するためには、予算措置を明確にすることが肝要である。   仍つて政府は、本法施行当り左記方針を体していかんなく措置すべきである。     記   一、普及促進に関るに五ケ年計画に基き、毎年度年次計画達成に必要な苗代面積二千万坪以上につき助成措置を講ずること。  二、昭和三十年度の本施設の実施に必要な経費は出来るだけ本年度中にこれを措置すること。  右決議する。  決議の内応の説明は省略させていただきます。
  12. 井出一太郎

    井出委員長 他に発言はございませんか。——発言もなければ、これより水稲健苗育成施設普及促准法案について採決いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  13. 井出一太郎

    井出委員長 御異議なしと認め、これより採決いたします。本案賛成諸君起立を求めます。     〔総員起立
  14. 井出一太郎

    井出委員長 起立総員、よつて本案は原案の通り可決すべきものと決しました。  次にただいまの芳賀貢君の提案になりました附帯決議についてお諮りいたします。これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  15. 井出一太郎

    井出委員長 御異議なしと認め、附帯決議を付するに決しました。  なおお諮りいたします。本案に関する委員会報告書作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  16. 井出一太郎

    井出委員長 御異議なしと認め、さようとりはからいます。  暫時休憩いたします。     午後零時二十二分休憩      ————◇—————     午後三時十七分開議
  17. 井出一太郎

    井出委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  本日本委員会付託になりました福田宮東君外百二十一名提出昭和二十九年七月の大雨、同年八月及び九月の合風並びに同年の冷害による被害農家に対する米麦売渡特例に関する法律案及び吉川久衛君外二十一名提出農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助暫定措置に関する法律の一部を改正する法律案、右両案を逐次議題といたし、審査に入りたいと思いますが、御里議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  18. 井出一太郎

    井出委員長 御異議なしと認めます。  それでは被害農家に対する米麦売渡し関係法律案趣旨説明を求めます。福四顧東君。     —————————————
  19. 福田喜東

    福田(喜)委員 ただいま議題となりました昭和二十九年七月の大雨、同年八月及び九月の台風並びに同年の韓冷害による被害農家に対する米麦売渡特例に関する法律案につきまして、提案者を代表し、提案理由をご説明申し上げます。  御承知のごとく、本年度におきまする農作物の作況は、一般的に見ますれば平年作に比較ししてやや劣る程度でありましたことは、まことに御同慶の至りと存ずるところでありまするが、しかし局地的に見ますれば、春以来の異常気象によりまして、北海道、並びに東北の一部その他の寒高冷地帯において深刻な冷害の発生を見、あるいは南九州等におきましては数次の台風により、稲作及び雑穀中心として著しい被害を受け、飯用食料にも事欠く農家の生じましたことは、まことに遺憾と存ずるところであります。たとえば北海道における農作物減収は、昨年度の約二倍に越し、農家の窮状は言語に絶するものがあるのであります。  政府報告によりますれば、かかる農家に対して、卸売価格をもつて特別売り渡しを行うべく手配中とのことでありまするが、昨年に比して被害の範囲は小なりといえども、その深刻度においては著しく大なるものがある事実に徴しまして、昨年度本年度との行政上の均衡を保持せしめ、被害農家の食糧不安を解消するために政府所有米麦及び麦製品を廉価に売り渡し他災害対策と相まつて農家救済し、農業の再生産の確保に寄与すべく、ここに本法案提出いたしたのであります。  以下、その内容概要を御説明申し上げます。  まず本法案により、米麦売り渡しを受得る被害農家とは、米麦または雑穀生産する農家であつて、風水害、冷害により著しく減収を来し、ために、その生産する米麦雑穀をもつてしては、その農家飯用消費量に著しく不足する旨の都道府県知事の認定を受けたものと規定いたしております。  次に、政府は、都道府県及び市町村を通じて被害農家米麦を売り渡すこととし、昨年同様、間接的な方法をとることといたしました。しかして、政府売渡し価格は、被害農家購入価格がおおむね生産者政府売り渡した場合の基本価格秘度になるように定めることとしておるのであります。  以上が本案概要であります。何とぞ慎重審議の上、すみやかに御可決あらんことを御願い申し上げる次第であります。
  20. 井出一太郎

    井出委員長 それでは次に農林水産業施設災害復旧関係法案趣旨について提出者説明を求めます。吉川久衛君。
  21. 吉川久衛

    吉川委員 ただいま議題となりました農林水産業施設災害復害事業費国庫補助暫定措置に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、提案者を代表して提案理由を御説明申し上げます。  本年七月以降、全国各地大雨または台風により農地農業用施設その他に対して随所に相当の被害を生じましたことは、すでに御承知通りであります。従いましてこれらを急速に復旧いたしますことは、現在の披露農家負担能力をもつてしては、現行既定補助率では、不可能な状態にあるのであります。それゆえに、本年度災害に対しまして、二十八年度災害の特別の措置にならい、その復旧工事に対する補助率を高めまして、復旧の可及的円滑な促進をはかるため今回この改正案提出いたした次第であります。  すなわち、本案の骨子を申し上げますれば、今次の大雨台風によつて被害を受けた農地及び農林水産業施設に対する復旧事業については、次の二点がその改正の要点となつております。  まずその第一点は、農地農業用施設林業用施設漁港施設復旧事業費に対する国庫補助の比率を、現行法補助率にかかわらず、政令で指定する地域においては、事業費の十分の九とすることであります。  次にその改正の第二点は、昭和二十八年災害特例措置を適用して、開拓地おける農舎、畜舎、共同利用施設その他農業協同組合、同連合会森林組合、同連合会並びに水産動仙物養殖施設等のほか、新たに北海道における未開発魚田開発施設政令で定めるものはこれを農業用施設とみなし、これも国庫補助の対象として十分の九を適用することであります。  以上説明いたしました二点が本改正案の主たる内容であります。何とど慎重御審議の上すみやかに御可決あらんことを御願い申し上げる次第であります。
  22. 井出一太郎

    井出委員長 これより両案を便宜一活して議事を進めます。質疑または御意見があれば発言を許します。なお両案につきましては、大蔵当局より意見を述べる機会を得たいとの申出がありますが、これは適当な機会委員長において発言を許すことにいたします。川俣清音君。
  23. 川俣清音

    川俣委員 ただいま議題になつております米麦安売りについて提案者にお尋ねしたいと思います。小さい点をお尋ねしますが。第四条に国内米麦については玄米一石につき九千百二十円とありますが、普通消費者に販売するには、キロ建で販売いたしておりますが、こういう一石につき九千百二十円というようなことになりますと、現実に物を取扱うときに非常に不便があるのではないかと思いますが、この点についてまず伺つておきたいと思います。
  24. 福田喜東

    福田(喜)委員 政府委員から答弁していただきます。
  25. 川俣清音

    川俣委員 第二点でありますが、これはいわゆる救済ということが建前であるのか、それとも同じ救済であつても、いわゆる災害あるいは火災等の場合における食糧困難のようなものとのにらみ合せをどのようにお考えになつてこの立法をせられたか、この点お尋ねいたします。
  26. 福田喜東

    福田(喜)委員 私はその両者であると思います。
  27. 川俣清音

    川俣委員 両者であるとすると、この法律農家でない災害者に対しても別に法律をつくるという意味でございますか。
  28. 福田喜東

    福田(喜)委員 それは私がお答えする限りではございません。私は米麦に関する農業関係のことだけ責任を持つてお答えいたします。
  29. 川俣清音

    川俣委員 提案者はそれでは農家以外の場合においてもなお将来米麦安売りについて提案する御用意がありますかどうか。
  30. 福田喜東

    福田(喜)委員 私は本件に関する提案者でございまして、その他一般の問題につきましては私は権限を持つてお答えする余裕がないのをはなはだ遺憾といたします。
  31. 川俣清音

    川俣委員 これは重大なことです。農家でない場合の災害救済は、現金で安売りし得る余地はない。こういう場合に、農家の場合は自分生産するものが多いときには供出売渡しをしなければならぬ義務を負つておるので、そこで不足した場合に現物を支給してやろう、こういうのが建前であろうと思う。そうじやないですか。
  32. 福田喜東

    福田(喜)委員 私が冒頭にお答え申し上げた通りでございます。
  33. 川俣清音

    川俣委員 提案者の真意をお聞きしておるのです。安売りして食わせる方法として二つある。一つは同じものを食わせるのたけれども、将来現物をとるということも、やはり食わせることに問題はないのです。ただ価格で売り渡すというのと、現物でこれを回収するという二つの方法がある。それを現物でなくて価格で売り渡すということにしたのはどういう理由かというのです。
  34. 福田喜東

    福田(喜)委員 私は本法案提案者の中には川俣委員も入つておられると思います。それはこの趣旨をよく御理解の上御賛成なさつたのだと思いますし、私はその代表としてここに立つておるのでございます。それで答弁者の側に立つておる者にそういう質問をされる意味がよくわかりません。それからおそらく現物を返せというのがやつかいであるからこういうことになつたのだと思いますが、御了承を得たいと思います。
  35. 吉川久衛

    吉川(久)委員 提案者の御説明を伺いますと、「昨年同様、間接的な方法をとることといたしました。」とございます。「昨年同様」とありますが、たとえば価格の問題で、昨年と本年度とは生産者価格が相違をしておりますけれども、その点はどういうわけですか。
  36. 福田喜東

    福田(喜)委員 やり方が間接的だという意味でございます。
  37. 吉川久衛

    吉川(久)委員 価格の点について……。
  38. 福田喜東

    福田(喜)委員 価格の点につきましては同様ということではございません。
  39. 井出一太郎

    井出委員長 この際暫時休憩をいたし、懇談をしたいと考えます。暫時休憩いたします。     午後三時三十四分休憩      ————◇—————     午後四時十六分開議
  40. 井出一太郎

    井出委員長 休憩前に引続き会議を開きます。福田喜東君外百二十一名提出昭和二十九年七月の大雨、同年八月及び九月の台風並びに同年の冷害による被害農家に対する米麦売渡特例に関する法律案議題といたします。質疑を継続いたします。川俣清音君。
  41. 川俣清音

    川俣委員 ただいま提案されております四条の「国内産米麦については玄米(三等)一石につき、九、一二〇円」こうなつておりますが、昨年も石当りで計算しておりますが、これは実際には取扱いキロ建の力が便宜じやないか、正確を期せるんじやないか。法律としてはやはりキロ建ですべきじやないかと思うが、この点はどうですか。
  42. 大口駿一

    大口説明員 昨年もことしもこの法律議員提案提案をされたわけでありまして、昨年の立案当時の経緯の若干を私存じておりますが、法においては、こういうふうに各項目にこまかい価格を具体的に明示しないで、おおむ生産者価格ということが書いてあつたわけです。それを途中で具体的な数字を入れた方がよかろう、というのは、昨年は実は完遂奨励金が入るか入らないかという議論がありましたものですから、具体的な金額を入れますときに生産者価格は幾らかということでこうなつたのでありまして、事務的に申しますれば今御意見通りでありまして、キロ建の方がはつきりすると思います。九千百二十円というものを精米の十キロ当りに換算いたしますと、六百四十六円程度であります。
  43. 川俣清音

    川俣委員 どうも昨年は玄米でなくて精米で実際は取扱つたと思うんですが、そうすると法律規定玄米を基準にしておるが、取扱い上は精米で売り渡す、こういうことになると思うのです。そうするとこれも精米キロ建法律上明示しておくことも、食糧庁としての取扱い便宜じやないかと思いますが、どうですか。
  44. 大口駿一

    大口説明員 農家に売り渡すものが玄米であるか精米であるかということは、現実には精米が行くことがあると思いますが、原則としては玄米の方が——農家が本来自分で収穫すべき米がとれなかつたものを売り渡すわけでありますから、玄米の方が多かろう、昨年の立案当時の意見がそういうことであつたものでありますから、玄米建になつております。玄米と書いてありましても、実際には精米で売却してもさしつかえないし玄米で売却してもさしつかえないわけであります。
  45. 川俣清音

    川俣委員 昨年の例は、実際は精米でやられたんじやないですか。玄米もありましたかどうですか。
  46. 大口駿一

    大口説明員 私現在資料を持ち合せておりませんが、玄米が全然ないということはないと思います。
  47. 川俣清音

    川俣委員 第二の点でお尋ねいたします。昨年も今年もこの法律を出す意味は、単なる飯米に事欠く救済意味ではない、結局農家生産すべき食糧を確保できなかつたから、一時立てかえてやるという建前であると私ども思つおるのです。そこで本来でありまするならば、これは買却するということでなしに、貸し付けて回収を目的とする、こういう趣旨だと思うのです。単なる救済でありますると、農家ばかりでなくして、それなら火災とか地震とかの救済の場合も同様な取扱いをしなければならないということになるのじやないか。そうでなくして、いわゆる罹災農家というものは、当然生産されるべきものであるにもかかわらず生産されなかつたから、その生産に代替してやろう、こういう意味だと思うのです。そこでいわゆる生産者価格ということが出て来るのです。現物でやるかわりのもの、こういう意味生産者価格、こういうことじやないですか。
  48. 大口駿一

    大口説明員 この法律は昨年提案をされる前に、実は災害対策として政府部内でいろいろ議論をいたしました場合、貸付の議論が出たわけでありますが、現実貸付を技術的に研究いたしますと、今年貸し付けたものと来年返してもらうものとの間の価格差の問題であるとか、品質差の問題であるか、いろいろこまかい場合を予想いたしますと、非常に錯雑をいたしますので、現物を買却して代金を収穫期まで延納するという措置を講じたのでありまして、今のお話だと救済という意味が全然ないというお話しでありますが、これはやはり救済という意味でわれわれは考えておつたのがたまたま議員提案法律化されたというふうに了解をいたしております。
  49. 川俣清音

    川俣委員 私は別に救済を否定するわけじやないのです。単なる救済ということになると、広汎にわたつて起つた火災の場合の救済もまた、生産者価格でしなければならないという問題が当然起つて来やせぬかということを懸念してのお尋ねです。あるいは地震等におきましても、これを県かあるいは町村が食糧庁から買つて無償配付するということもあることはあるのです。これがその場合と不均衡ではないかという問題が将来起きますために私は詳しく聞いておきたい、こういう意味なのです。もしも単なる救済だけということになると、地震あるいはその他の災害の場合における一般国民の災害もまたこういう形をおとりになるおつもりですか。
  50. 大口駿一

    大口説明員 農家被害を受けた場合においては、私としては二つあると思います。すでに収穫をしておる米麦を貯蔵中に何らかの災害で失つた場合の被害の形と、それから将来収穫さるべき米麦災害によつて収穫ができなかつたという場合とはりくつの上で若干違うと思うのであります。それで前者の場合におきましては、すでに政府が供出でもつて物を取上げたあとで災害を受けたという場合においては、政府が取上げたものを返すという意味で、生産者価格というものがりくつの上でも成り立つと思うのでありますが、まだ収穫になつておらないものか災害によつて非常に減つたという農家に対しまして、米麦を売り渡す場合において生産者価格をもつてするということは、その価格差というものはやはり救済という意味でわれわれは理解をいたしております。
  51. 川俣清音

    川俣委員 その点は罹災農家の場合は明瞭になりましたが、一般国民の災害も同様な措置をおとりになりたいという考え方かどうか、不均衡じやないかという問題が起きますので、その区別のあるという点を説明していただきたい。
  52. 大口駿一

    大口説明員 一般の消費者が災害を受けました場合においては、緊急の場合においては、とりあえず災害救助法の発動によりまして米のたき出しを各地においてやつておるわけでありますが、これ以外にもし農家にこういう措置をとり、一般の市民と申しますか消費者にこういう措置をとられないという区別をしいて説明いたそうといたしますれば、ほかのものは災害後ほかに現金収入の道が割合に早く開けるが、農家は一年間開けないというところに区別があろうかと思いますが、それ以外には非常に不均衝であるという議論は昨年も出ておるわけでありまして、私どもも確たる理由を示せと替われましても、ちよつとはつきりとした理由はわからないと思います。
  53. 川俣清音

    川俣委員 はつきりした理由がわからないと困る。私どもは、これはやはりそれを目的につくつておつたものである、従つてそのものが得られなかつたということにおける救済措置として、本来であれば現物支給の形をとるべきであるけれども、取扱い上困難であるから、現物にかわるに現金をもつて生産価格で渡すのだ、こう理解したいと思いますが、この理解は間違いでしようか。
  54. 大口駿一

    大口説明員 私が非常に理由に因つておりますのは、生産者価格理由理由づけることがむずかしいと申しておるのでありまして、米麦を延納売却するということにつきましては、ただいまの御説通りであろうと思います。
  55. 川俣清音

    川俣委員 次にお尋ねしますが、四条六項の「麦製品については前三号の額にその製遺文は加工に要する費用を加えて得た額」こうなつておりますが、これも食糧庁がみずから生産をしておられないので、昨年はどのような処置でこの第六項を実施せられたか、この点を……。
  56. 大口駿一

    大口説明員 食糧庁におきましては、手持ちの麦を若干委託加工して、精麦につきましては麦製品をつくつております。従つて年度政府が委託加工してつくりました麦製品、主として精麦でありますが、これをこの法律による売却の対象にいたしたわけでありまして、本年もやはり委託加工の製品を若干持つておりますので、政府の委託加工した製品を売却いたすつもりであります。
  57. 川俣清音

    川俣委員 次に昨年米麦安売りと申しますか、売払いの特例を実施した願はどの程度になつておりますか。また今年この法律によつて売り渡すべき数量はどの程度のものとして計算しておられますか、この点をお尋ねいたしておきます。
  58. 大口駿一

    大口説明員 麦につきましては大して数量が多くありませんので、大部分の中心の米について申し上げますが、昨年度の実績は米で約五十六万石であります。本年は具体的にはまだ県から申請か来ておりませんし、事務的に数字をつめておりませんが、いろいろ作況その他から推算をいたしまして、おおむね三十万石を予定いたしております。
  59. 川俣清音

    川俣委員 「昭和二十九年七月に政令で定める地域内において生じた大雨による災害、」これは議員提案でありまするけれども、この地域はどの地域になると予想せられますか。まだ政令もできておりませんが、政令で定める地域はどこが予想せられますか。またこの「地域内において生じた大雨」というのですが、雨による災害というのは作物の減収をどの程度来したということになるか。あるいは大雨による洪水等による災害もあろうかと思いますが、今までの例から言いましても、「大雨による災害」というのは初めての取扱いだろうと思うので、こうしたことが適当とお考えになるかどうか、その点をお伺いいたします。
  60. 大口駿一

    大口説明員 実は法律案をただいまいただいたばかりでありますので、十分内容を検討いたしておるひまがないのでありますが、具体的にこういう表現が使つてあるとしますれば、どういう地域にどういう大雨があつて、どういう披露があつたかということを、政令地域を指定します前には十分検討いたしたいと思います。
  61. 川俣清音

    川俣委員 私ども今まで農林統計から示されるところによると、こうした指定されるような地域がないように思うのです。あなた方は今あるとお考えになりますかどうか、なければこれは削除すべきものでなかろうがと考えますので、お尋ねいたしておきたいと思います。
  62. 井出一太郎

    井出委員長 ちよつと速記をとめて……。     〔速記中止〕
  63. 井出一太郎

    井出委員長 速記を始めて。   この際暫時休憩いたします。     午後五時休憩      ————◇—————     午後五時二十八分開議
  64. 井出一太郎

    井出委員長 休憩前に引続きまして会議を開きます。  福田喜東君外百二十一名提出昭和二十九年七月の大雨、同年八月及び九月の台風並びに同年の冷害による被害農家に対する米麦売渡特例に関する法律案議題といたし審査を進めます。本案に対する質疑を許します。中澤茂一君。
  65. 中澤茂一

    ○中澤委員 羽田政務次官も御承知と思いますが、われわれは七月から、本年も冷害じやないかというので、数回にわたつて中央気象台に御足労を願つて、気象通報並びに災害状況の御報告を願い、その他ずつと九月の末まで研究を続けたことは御承知通りです。なおわれわれは天気以外にも、作物報告事務所長を呼びまして、作況についていろいろな事情を聴取したのです。しかし七月において米麦安売りしなければならないほどの大雨があつたという報告は、私は中央気象台からも作物報告事務所からも聞いたことはない。この点について政務次官がもしお開きでしたら——おそらく政務次官もお聞きではないと思いますが、もしそういう米麦安売りしなければならぬような雨があつたというなら、どの方面に大雨が降つてどういう被害状況かを御説明願いたい。
  66. 羽田武嗣郎

    ○羽田政府委員 ただいま御審議になつております法律案政府提出でございません。従いまして政府としてはまだ事務的に研究いたしておりませんから、お答えができません。
  67. 中澤茂一

    ○中澤委員 それは政府としては、お聞きしている、していないということは私はおかしいと思う。これは少くとも米麦安売りというのは国家の予算に影響する問題であつて、それを政府が全然政府提案じやないからそういうことは聞いておらぬ。しかしこういう事実があるとすれば、われわれはやらなければならないと思うのです。台風によつて全部農作物が流れちやつたんだという事実があればやらなければならぬ。それについては、政府提案ではないが政府にそういう情報が入つたことはおありですか、いかがですか。
  68. 羽田武嗣郎

    ○羽田政府委員 私も実は就任前でございますし、よくわかりません。
  69. 井出一太郎

    井出委員長 他に質疑はございませんか。——質疑がなければこの際川俣清音君より修正案の提出かございますので、この説明を求めます。
  70. 川俣清音

    川俣委員 私はこの際議題になつておりまするいわゆる米麦売渡しの特例に関する法律案について修正の動議をいたしたいと存じます。  理由は簡明でございまして、わが委員会はこの春の凍霜害以来、冷害に襲われました地方または台風等の被害状況につきましては、つぶさに委員を派遣いたしまして、当時の状況並びに農民に与えました被害等に対しては、懇切丁寧に事情を把握するに努めた次第でありますことは、各委員の認められるところと存じます。従いましてこの春以来百四回にわたる調査の中に、七月の大雨による被害につきましては、かつて陳情を受けたこともございませんし、私どもみずからの責任において調査いたしたこともないのでございます。従いましてかかる被害というものを本委員会が取上げますことについては、なお研究の余地があると思うのでございます。また本委員は、この委員会以上に各地からいろいろの陳情を受け、これに対して幾多の検討を加えて参りました、こういう点からいたしましても、七月の大雨についての陳情等もございませんでしたので、あるいは私たちの見落しがあるかとも存じますけれども、私ども全国の農村の事情を把握いたしておる者といたしますれば、七月の大雨というようなものを過大に評価することはできないと思うのございます。そういう意味修正案を提出いたしたいと存じます。    昭和二十九年七月の大雨、同年八月及び九月の台風並びに同年の冷害による被害農家に対する米麦売渡特例に関する法律案に対する修正案   昭和二十九年七月の大雨、同年八月及び九月の台風並びに同年の冷害による被害農家に対する米麦売渡特例に関する法律案の一部を次のように修正する。   題名中「七月の大雨、同年」を削る。   第一条中「七月に政令で定める地域内において生じた大雨による災害、同年」を削り、「大風雨等」を「台風等」に改める。   第二条中「大風雨等」を「台風等」に改める。     第三条中「大風雨等」を「台風等」に改める。以上です。
  71. 井出一太郎

    井出委員長 ただいま川俣提出にかかる修正案について御意見はありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  72. 井出一太郎

    井出委員長 それではこれより討論を省略してただちに採決に入りたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  73. 井出一太郎

    井出委員長 御異議なしと認めこれより採決いたします。  まず修正案について採決いたします。本修正案に賛成諸君起立を求めます。     〔総員起立
  74. 井出一太郎

    井出委員長 起立総員。よつて修正案は可決せられました。  次にただいまの修正部分を除く原案について採決いたします。これに賛成諸君起立を求めます。     〔総員起立
  75. 井出一太郎

    井出委員長 起立総員。よつて本案修正案のごとく修正議決すべきものと決しました。  本案に関する委員会報告書作成につきましては、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  76. 井出一太郎

    井出委員長 御異議なしと認め、さようとりはからいます。  本日はこれにて散会いたします。     午後五時三十六分散会