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1954-12-02 第20回国会 衆議院 農林委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年十二月二日(木曜日)     午前十一時四十七分開議  出席委員    委員長 井出一太郎君    理事 佐藤洋之助君 理事 綱島 正興君    理事 福田 喜東君 理事 安藤  覺君    理事 吉川 久衛君 理事 芳賀  貢君    理事 川俣 清音君       秋山 利恭君    佐藤善一郎君       田子 一民君    松岡 俊三君       松野 頼三君    松山 義雄君       木村 文男君    本名  武君       淡谷 悠藏君    井谷 正吉君       中澤 茂一君    中村 時雄君       久保田 豊君  出席政府委員         農林政務次官  羽田武嗣郎君         農林事務官         (大臣官房長) 渡部 伍良君         農林事務官         (農林経済局         長)      小倉 武一君         農林事務官         (林野庁林政部         長)      奥原日出男君  委員外出席者         農林事務官         (農業改良局         長)      塩見友之助君         農 林 技 官         (林野庁業務部         長)      石谷 憲男君         農 林 技 官         (林野庁業務部         業務課長)   山崎  斎君         専  門  員 難波 理平君         専  門  員 岩隈  博君         専  門  員 藤井  信君     ――――――――――――― 十二月一日  委員小枝一雄君、本名武君、伊東岩男君及び河  野一郎辞任につき、その補欠として五十嵐吉  藏君、加藤常太郎君、木村文男君及び床次徳二  君が議長指名委員に選任された。 同月二日  委員五十嵐吉藏辞任につき、その補欠として  本名武君が議長指名委員に選任された。 同日  理事足立篤郎君の補欠として安藤覺君が理事に  当選した。     ――――――――――――― 十二月一日  北海道における国有林野風害木等売払代金  の納付に関する特別措置法案内閣提出第九  号) 同月二日  水稲健苗育成施設普及促進法案佐藤洋之助君  外二十四名提出衆法第四号) の審査を本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  理事の互選  昭和二十九年の台風及び冷害被害農林業者に  対する資金融通に関する特別措置法案内閣  提出第六号)  北海道における国有林野風害木等売払代金  の納付に関する特別措置法案内閣提出第九  号)  水稲健苗育成施設普及促進法案佐藤洋之助君  外二十四名提出衆法第四号)     ―――――――――――――
  2. 井出一太郎

    井出委員長 これより会議を開きます。  この際お諮りいたしたいことがあります。理事足立篤郎君より理事辞任いたしたいとの申出があります。これを許可するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 井出一太郎

    井出委員長 御異議なしと認めます。つきましてはその補欠を、委員長において指名いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 井出一太郎

    井出委員長 御異議なしと認め、議院運営委員会決定趣旨に従いまして、安藤覺君を理事指名いたします。     ―――――――――――――
  5. 井出一太郎

    井出委員長 これより昨日本委員会に付託になりました内閣提出北海道における国有林野風害木等売払代金納付に関する特別措置法案議題といたし、審査に入ります。  まず本案の趣旨について政府説明を求めます。羽田農林政務次官
  6. 羽田武嗣郎

    羽田政府委員 ただいま議題となりました北海道における国有林野風害木等売払代金納付に関する特別措置法案提案理由を御説明申し上げます。  北海道国有林野は、本年五月の旋風及び九月の第十五号台風によりほとんど全道にわたつて立木被害を受け、約五千五百万石の風倒木及び損傷木を生じました。その被害畳は、国有林野正常伐採量の約一箇年分に当り、国有林野経営にとりまして未曽有の大被害であります。政府といたしましては、この被害に対し、資源の活用、木材の需給及び価格の調整並びに森林火災及び病害虫の予防等を総会品的に考慮して、本年度から三箇年にわたつてこれを処理する方針であります。  一方右に申し述べました風水害等により、北海道においては住宅、学校その他の施設が激甚な被害をこおむり、これが復旧には相当の時日と資金とを要するものと思われるのであります。  よつて政府といたしましては、風害木の有効な処理方策として、被害市町村に対し風害木及びその製品復旧用材として売り払う場合には、その売払い代金納付につきまして、次に申し述べる特別措置を講じ、災害対策一環といたしたのであります。  この法案の骨子を申し述べますと、この法律により風害木等を買い受ける資格を持つ者は、災害救助法による救助措置がとられた北海道市町村であつて、その市町村が売払いを受ける風害木等を公用もしくは公共用施設復旧用被害者を収容するための公営住宅建設用に充て、または農林漁業施設復旧用材として被害者に売り払うために買い受けるときは、その代金納付について担保提供を免除し、利息を付さないで、三年以内の延納特約を結ぶことができることとしたものであります。これは、現行制度では延納期間が一年以内となつているので、被害市町村財政窮乏等を考慮し、特に三年という大きな特例を本年度及び明三十年度一ぱい講じて、災害復旧促進をはかろうとするものであります。また現行制度では、市町村に対して延納を認める場合にも、利息は付するのが通例でありますので、この点においても本法特例を設けているわけであります。  なお、本年度すでに売払いが行われた風害木等につきましても、本法施行と同時にその売払いの契約条件を変更して三年以内の延納、無担保、無利子とすることができることにいたしております。  以上がこの法案内容でありますが、何とぞ慎重御審議の上すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  7. 井出一太郎

    井出委員長 ただいまの北海道における国有林野風害木等売払代金納付に関する特別措置法案並びに昭和二十九年の台風及び冷害被害農林業者に対する資金融通に関する特別措置法案、右両案を一括して審査を進めます。中澤茂一君。
  8. 中澤茂一

    中澤委員 政務次官にお伺いいたします。風害木処理については、もちろんこういう方面もうんとやらなければ、おそらくこの処理はつかないだろうと思う。それについて、この法案の中で非常に欠けておることは、個人住宅あるいは農家納屋、それに付随する生産施設的建物で、非常に破壊されておるものがあるわけでございます。そういうものに対しての何らかの処置を講ずるのが、被災地に対する温情のある政治ではないか。私はそれが妥当だと考えるのでありますが、この個人用住宅に対して、政務次官はそういう必要はない、公共用さえやればよろしいというお考えですか。それとも、それも気の毒だから何とかしてやりたいというお考えですか。この一点だけ明らかにしておいてもらいたいと思います。
  9. 羽田武嗣郎

    羽田政府委員 私も中澤さんのおつしやることにまつたく共鳴でございます。林野庁といたしましても、御趣旨の点に着眼をいたしまして、せつかく大蔵省との間に話合いを進めたのでございます。しかし大蔵省としては、個人のものについて、農業用納屋及び漁舎等については同意してくれたのでありますが、個人住宅についてはどうしても同意をいたしてくれませんので、ついこういうような結果として、農林省としては遺憾ながらこういうような提案なつたのでございます。私も御趣旨には大賛成でございますが、そういうような事情のあることを御了承いただきたいと思います。
  10. 中澤茂一

    中澤委員 いま一点だけ伺います。個人用住宅も御承知のように生産施設の一部であつて、別荘や何かと違うのであつて、御承知のように秋の取入れになれば、農家住宅は座敷でも何でも全部畳を上げて穀類を入れるというような、そういう生産施設だと思うのです。養蚕の問題を取上げてみても、農民の住宅生産施設である。そういう面からもし大蔵省が反対するならば、これを修正する必要があると私は考えるのでありますが、この点についての御所見を承りたい。
  11. 羽田武嗣郎

    羽田政府委員 農家の家屋は農家にとつては工場であり仕事場であるということもまつたく同感でございますが、政府としてはこうして提案したのでございますから、委員会としてひとつ御判断をいただきたいと思う次第であります。
  12. 井出一太郎

  13. 芳賀貢

    芳賀委員 この際林野当局にお尋ねします。風倒折損木処理は相当計画的に進行しておると思いますが、これを短期間に能率をあげるためにはいういろいろな施策が講じられておると思います。この御提案になりました公共団体に対する払下げ延納等特例以外に、損傷木処理するために、たとえば国の所有に属する物品売払代金納付に関する法律の最大限の適用によつて処理が行われておるか、そういう点をまずお尋ねしたい。  もう一つは、災害対策一環といたしまして、罹災地における用材払下げあるいは薪炭林製炭原木払下げ等状態はどの程度に進捗しておるか。この二点について御説明を願います。
  14. 奥原日出男

    奥原政府委員 ただいまの御質問にお答え申し上げます。まず第一点は、今回の風倒木処理について着々とやつておるかどうか、またその処理方策として、国の所有に属する物品売払代金納付に関する法律適用についてどういうふうなことを考えておるか、こういうふうなお尋ねに承知いたしたのであります。今回の風倒木につきましては、今年度を初年度といたしまして、今後三箇年度間に計画的にこれを処理するつもりで、着々と今仕事をいたしておるわけであります。そのためには従来立未処分に多くを依存しておりました北海道国有林地帯取扱いにつきまして、直営生産の割合をできる限り高めて行く、また大部分冬山作業をいたしておりましたものを相当部分夏山作業に持つて行く、そのために必要な予算の計上あるいは内地営林局からの人員、資材の応援等を目下着々と軌道に乗せつつある次第でございます。  延納の問題につき出しては、従来やつて参りました業者に対します、延納は、今後の北海道材処分についてもこれを大いに活用して参りたい、こういうふうな考えを持つておるのであります。  第二の御質問でございました薪炭林等の問題に関しましては、すでに北海道及び東北地方一部の県の冷害状況にかんがみまして、昨年の冷害の際に処置いたしましたと同様な方法によりまして、この冬に焼きます炭の原木市町村長に一括契約いたしまして、これを半箇年の延納を認める、こういうふうなことに処置をいたしております。これは先ほど御指摘のありましたような物品代金納付に関する法律運用による次第であります。  なお温床苗しろのわくの問題についてお話があつたのでありますが、実は温床苗しろのわく木材数量も、一軒当りはごくわずかな数量でもございますので、この法律によります三箇年の延納というふうな処置は経過的には研究いたしましたが、成案においては取上げませんでした。しかしそれは現在の法律におきまして、市町村長に対しましてはただいまの政務次官提案理由説明にもありましたように、一箇年の延納特約ができるということにも相なつておりますので、そういうふうな条項を活用することによりましてさして支障なく処理できるのではないか、かように考えております。
  15. 芳賀貢

    芳賀委員 ただいまの御答弁でありますが、当局被害木処理が急であるために、被害農家等に対する薪炭林払下げあるいは製炭原木払下げ等に対しては、昨年よりも、取扱いとか処理が非常に緩慢になつておるというふうに私は聞いておるわけであります。特に薪炭林の場合においては、風倒折損木は主として針葉樹等樹種が多いと思いますが、これは必ずしも薪炭用材に向くということにはなつておらぬわけであります。それから薪炭用材の場合においては、被害木があるとないとにかかわらず、やはり被害地域内に一番接近した地帯から払下げを行うということになるわけです。ですから当局方針としては、まず既定計画の一部を変更してこの被害木処理を行うということは当然でありますが、一面また災害による被害者に対する原木等払下げは、別個な形において迅速に行う必要があるというふうに考えるわけです。ですから、この点はやはり明確に方針を確立されて処理せられないと、国の財産被害を受けた分だけを一日も早く処理するというところへあまりに重点が行き過ぎて、被害者救済意味を持つておる原木の払下は非常に緩慢になるということであつてはならぬと思うわけでありますが、これらに対する現地の実情はどの程度まで把握されておられるか、この点はいかがですか。
  16. 奥原日出男

    奥原政府委員 ただいま御指摘のありました被害農家救済ということについての国有林材処分が緩慢でないかということでございますが、先ほど申し上げました薪炭原木市町村長との一括売払いによります延納ということにつきましては、すでに通牒を出しまして現地においてそれぞれ処理をいたさせておる、こういう状況でございます。また今回のこの御審議をお願いいたしております法案の上におきまして、被害農家救済について配慮が少し足りないじやないかということにつきましては、先ほど中澤先生の御指摘のありました点について政務次官よりお答えいただきましたことで御了解いただきたいと思います。
  17. 芳賀貢

    芳賀委員 次にお尋ねいたしておきたい点は、現在までにおいても、罹災地復旧材等払下げも行われておると思いますが、この場合われわれの承知するところによると、まず払下げ地域として、搬出の非常に便利な町だとか、あるいは作業能率の上る所、こういう所は主として業者に対して特売を先にやる、しかる後に非常に不便なような地帯とか第二義的な地帯に対してこの復旧用材等払下げをする、そういう点は別に当局方針のもとにおいて行つておるのではないと思いますが、たまたま現地における特売処理等のやり方は、どうしてもそういうような傾向が強いわけであります。これは決して公共団体に払い下げる場合においても特定業者払下げをする場合においても、その価格が異なるということではないのであります。しかもこの国有林立木あるいは損傷木は国の財産です。国民の共有しておる財産ですから、これを処理する場合において、特定業者等にことさらに優先的に非常に有利な場所を提供するというようなことは厳に戒めて、やはり公共団体等払下げをやるあるいは被害者等に対して救済意味を含めて払下げ等をやる場合においては、おのずからその順位は異なつて来るというように私どもは考えておる。そういうような誤つた運用現地において行われておるかおらぬか、その点はどういうような判断を持つておりますか。
  18. 奥原日出男

    奥原政府委員 まだ今回御審議をいただきますこの法律による発動が始まつておらない次第でありますので、いろいろ御懸念の点もごもつともで、われわれとしても運用上十分心がけなければならないと存ずるのでありますが、現在現地におきましてわれわれが国有林材処分をいたします場合に、地元町村の緊急の必要に対する充足ということを業者にに対します立木処分よりも低い地位に置いて考えるということは、われわれは絶対に考えておりません。過般の営林局長会議におきましても今回の法律趣旨はよくメーカーの方に浸透をいたさしておる次第でありまして、しかも地元町村に対して、材の提供立木処分という形でなしに、国有林において直営生産によつて生産をいたしました素材、丸太またはその製品というふうなものをお届けする、こういうふうな趣旨でございますので、なおさら御懸念のような点はないのではないか、かように考えております。
  19. 芳賀貢

    芳賀委員 今の御説明によると、今度提案されたこの法律案内容も、立木によるところの払下げではなくて、製品払下げである、そういう御極意ですか。
  20. 奥原日出男

    奥原政府委員 はい。
  21. 芳賀貢

    芳賀委員 そうであればお尋ねしますが、なぜ特定業者等に対しては立木による特売ができて、地方公共団体、いわゆる責任を持つた団体払下げを行う場合において立木払下げが不可能であるか。この基本的な意義はどこに差があるか、その点の御説明を願いたいと思います。
  22. 奥原日出男

    奥原政府委員 ただいまの御質問でありますが、町村長は、必ずしも木材搬出についての専門的な商売なりあるいは技術なりについて十分な能力を持つておるのではありませんので、製品の形にしたものをすぐお届けするということの方が、町村が御利用なさるのに便利であろう。これは立木をお渡しして、あまりそういう商売になれておられない方々がそこで切られて、それをさらに製品化せられるまでの間の時間をそういうことによつてなくしてしまうということの方が適当ではないか、こういう考え方に基いておるわけであります。
  23. 芳賀貢

    芳賀委員 一応ごもつともなりくつのようですが、実態はそうでないのです。私の言うのは、町村長がみずからのこぎりを持つて山に入つて、切り出して運んで来るということではないのです。その払下げ主体町村長だということです。ですから払下げを受けた立木あるいは製品等に対する責任は、あくまでも町村長が持つておるわけです。しかし作業の面に対しては、これは業者の場合でもそうでありますが、労力の給源というものはいわゆる業者自身ではない、これはやはり農村におけるところの遊休の労力がそこに提供されておるということなんです。ですから、経営主体がたとえば特定業者であつても、町村長であつても、現地行つて作業をする人たちの間においては、熟練の度合いとかいうものはそれほどの差異はないのです。ですからそういう場合においては、今御懸念のようにふなれな者が入山して能率の上らぬようなことでは困るからという心配は一掃されるのではないかと思うわけです。特に町村立木払下げ等を受けた場合においては、やはり用途によつていろいろな完全処理というものができやすい点もあるわけです。業者の場合においても、やはりコスト等の採算上ある程度のものは山へ放置する。北海道等の場合においては、搬出の距離の非常に短かい所は別ですが、おそらく三分の一くらいは山に放置せられておるような状態でないかと思うのです。ですから、そういうようなことをしさいに考えた場合に、国の財産の最も効率的な処理という場合においては、やはり責任を持たして、これは不安なくやれるというような見通しがついた場合においては、必ずしも一製品だけの払下げ、でなければならぬということではなくて、この点に対してはもう少し御検討の余地があるのではないかと考えますが、いかがですか。
  24. 奥原日出男

    奥原政府委員 町村が完全なる直営木材の伐出をするということはなかなか困難なことではないか。結局町村の名前において立木処分を受けたといたしましても、その作業等は既存の業者の方に下請をしてもらつてやらざるを得ないのではないか。これは、従来町村国有林材立木処分を受けた例は非常に乏しいと思います。そういう経験も具体的には町村としては持つておられないし、また木材の伐倒、搬出についての技術も不十分ではないか、かように存ずるのであります。そういたしますれば、むしろ製品の形にして役場までどつと国有林のトラツクでお届けをするという形の方が町村の方としては御便宜でもあるし、また立木処分というふうな道を開くことによつて当局はそれだけの煩をいとうので、はないかいうふうな非難に対する答えにもなるかとかように考えてこういう方策考えておる次第であります。
  25. 芳賀貢

    芳賀委員 これは卑近な例ではありますが、たとえば北海道――内地もそうであると思いますが、町村自身がやはり町有林あるいは道有林等を持つておる場合もあるので、その町村において、やはり村有林町有林等を計画的に伐採するような場合は、その町の方針等によつて、――これは林野当局直営生産をやると少しは趣は違うかもわかりませんが、町村自体のいわゆる直営事業の形で事業を行つておるところも多々あるわけであります。ですからそういうことを考えた場合においても、町村長に対してその一定の地域あるいは被害木以外の国の所有に対して、いささかも不安、あるいは危害を与えないということが確認された場合においては、あくまでもこれは製品以外は売らないのだというこの原則というものは、再検討の要があるのではないかというふうに考えるわけであります。ただこの法律の場合においては、公共施設復旧あるいは公営住宅復旧等のみに限つて特売をやるということでありますが、これをもう少し視野広げて、被害者住宅とかそういうものの用材に対してもこの法律適用するというようなことが将来実現する場合においては、林野庁役場の前まで製品を持つて来たのをまたそこから持ち運ぶという手数よりも、やはり山元で製品化して、そこから効率的に搬出をしたりそれからまた製材をするというようなことも、これはコストの上からいつても効率的な場合が非常に多いわけであります。ですから、いかにしてこれらの法の目的というものが、末端に対して利益を提供するかということを十分に考えられた場合においては、この原則というものは、特定業者だけには立木払下げをするけれども、それ以外の公共団体あるいは被害者を代表する団体等に対しては立木払下げはしないという態度というものは、これは一考も二考も要するのではないかというふうに考える。この点はいかがですか。
  26. 奥原日出男

    奥原政府委員 町村の現在の木材の伐倒搬出についての能力についての考え方の問題でございますが、もちろん現在町村有林が、相当面積がありましてその経営をしておられる町村におきましても、町村自身がその伐倒搬出をしておられるということは非常に少いように思うのであります。要するに山を育成されて、そうしてこれを立木の形において処分される、そういうのが大部分町村有林実態でございまして従つてわれわれは立木処分するということによつてやる、そうすればあまりなれない町村直営でやるということにおいて意義があるわけでございますが、その直営によつてかえつて素材提供して差上げるよりも高い木材価格につくということは、われわれとして決してとるべき親切な策ではない、こういうふうな考え方からこういう方策考えておるのであります。ただ今回のこういうふうな措置を別にいたしまして、一般問題としまして、ただいま先生の御指摘のありましたような、そういうふうな能力を持ち、経験を持つておる町村があつた場合において、それに対して全面的に立木処分をしないというふうな趣旨を申し上げておるのではないことをひとつ御了承を願います。
  27. 芳賀貢

    芳賀委員 そういたしますと、必ずしも立木処分はしない、――あくまでもしないということではないわけですね。経験とか、能率的にやれるという態勢が講じられたということが確認された場合においては、そういう措置も講ずる。それでいいと思うのです。たとえば薪炭林払下げあるいは製炭原木払下げ、これは払下げ名義人町村長になつているが、しかし払下げを受けた以上は、個々の被害者が入山して、結局立木処分して、搬出しているという既成事実はすでにあるわけです。ですから薪炭林あるいは炭がま原木だけにそのことを認めて、用材に対しては――しかも風倒折損木というのはすでに倒れているのですね。何も切り倒す必要はない。すでに倒れているものを適当の長さに区切つて持ち出すというような原始的な仕事でもあるので、これはやはりできるだけ今言われたような見通しがついた場合においては、そのような措置をされるということでぜひ行かれた方がいいんじやないかと考える。  それからあわせて申し上げたい点は、ただいま羽田政務次官から妙味のある御答弁がありましたがやはり三年も放置するとおそらく針葉樹のごときは腐り切つて、用途に向かぬような場合もある。それだけでなくて、いろいろな害虫等が発生して、被害を受けておらぬ立木等に対しても甚大な被害を与えるわけです。ですから三年の計画であつても、なるだけその範囲内において迅速な処理ができる方が望ましいのでありますからして、これはあくまでも被害者であるという認定を受けたような場合においては、できるだけ該当をさして、早期処理というか、会の公共団体払下げるそのわく内において、どうしても善処される方がいいと思うわけであります。この点に対しては、羽田政務次官の御期待に沿うようにわれわれも審議したいという考えでおります。  なお一点、これは別な問題でありますが、昨年度災害の際は、炭がまの構築に対して政府は一定率の助成金を与えたわけで、ありますが、ことしは予算の面においてもこれが全然出ておらぬわけであります。本年度もやはり災害地域製炭に対しては原木の特配をやるわけでありますが、炭がまというのは、一年構築しておけばあと何年でも利用するということはできぬのです。位置をだんだんかえて行かなければならぬので、そういう意味で昨年に引続いて災害を受けた地域に対しては、構築に対するある程度の助成措置は不可欠なものとして考える必要があると思うのであります。この点はいかがに考えておられますか。
  28. 奥原日出男

    奥原政府委員 現段階におきまする国の財政事情のために、昨年度災害対策として計上いたしました炭がまの構築に対しまする補助金を、政府といたしましては涙をのんで計上を見合わせざるを得ないような状況に相なつた次第でございまして、この点申訳なく存じております。
  29. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 ただいまの芳賀委員質問に関連して、一、二点お伺いいたしたいと思います。第一点は、北海道における国有林野風害木につきましては、私は国有林に対して深甚なる弔意を表する次第でありますが、問題はこれを北海道のみに限るか。内地の場合におきましてはいかなる扱いをされるか。それからこれは北海道の場合におきましても、風害木だけに限るか。風害木以外のものは一般の代金納入に関する法律で行くということは言えるかもしれませんが、内地の場合におきましては、石数がこれほど多量になかつた場合におきましても、林野当局におきましては類似の措置を講ぜられる用意があるやいなやをひとつ承つておきたいと思います。
  30. 奥原日出男

    奥原政府委員 今回の北海道におきます災害が、内地の他の県に比較いたしまして非常に広汎かつ深刻であつた、そういう程度の問題と、もう一つはたまたまそこで国有林材があの通りの大被害を受けて、その急速なる処分ということを促進しなければならないというふうな事情と、この二つの事情がからみ合わされまして、今回のこの措置北海道についてのみこれを適用する、こういうことにいたした次第でございます。  次は風害木だけに限る点についての御指摘でございますが、ただいま申し上げましたような事情もあつて立案をいたしたような次第でありますので、原案といたしまして「風害木等」というものの範囲にしぼつて立法をいたすことに考えているのであります。ただ実際問題といたしましては、北海道被害のありました営林署は相当広汎にわたつておりますので、大体においてか、こういうふうに考えておる次第であります。
  31. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 私はこの法案を読みますと、一つの点があるように思います。今部長さんの御説明によりましても、一つは風害木処置というもの。しかし風害木処置だけではこの法律案はでき上らない。いま一つは、これとうらはらをなしている――うらはらよりか、ほとんど一体をなしているのは、災害復旧のための特別措置だと思います。そこで私があなたにお聞きいたしたのは、将来におきまして、あるいは現在におきまして、この二つのものが主眼点であるとするならば、他地方においても、量の多少を問わず、こういう措置を講ぜられてしかるべきものだと思いますが、この点についてむしろ次官にお伺いしたいと思います。
  32. 羽田武嗣郎

    羽田政府委員 福田さんのお話でございますが、北海道はまつたく五千万石というような未曽有国有林被害でございますし、ことに山の奥深く、林道もなし、索道もなかなかかからぬというような所でございまして、内地国有林とは全然趣きを異にするような原始林地帯でございますので、相当な非常手段を講じてやらなければ、せつかくの資源が腐つてしまうというようなこともございまして、北海道の未曽有のものに対する非常措置としての今回の法案でございまして、内地のものに比べますと、月とすつぽんと言つてはどうかしらぬが、非常な相違のあることを御認識いただいて御了承をいただきたいと思います。
  33. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 ただいま次官の御答弁でございますが、これは風害木だけの措置ではなくて、今申し上げたように、大きなねらいが災害復旧というところにあるわけでございます。月とすつぽんなんということは少し失言じやなかろうかと思います。こういう措置から言いますと、これは国有林材措置に関する法律案ではないわけであります。ねらいがそこにあるとすれば、私は量によつてこの法案措置を左右すべきものでなくて、その内容によつて、目的によつてこの法案というものは全国的に適用すべきものではなかろうかと思うのが第一点でありまして、なるほど風害木というものが発生して北海道国有林としては非常な御迷惑をこうむられておることはよくわかります。しかし風害木だけの措置ではこの法案はでき上らないと私は思うのであります。その目的が災害復旧というところにある以上は、私は北海道のみに関しましても、公共用施設復旧用とか、あるいは公営住宅農林漁業施設復旧用材、こういうものに限ることそれ自身が私は非常に疑問を持つわけでございます。いま少し、少くとも農林漁業等につきまして、広くその措置の範囲をさらに拡大するということが、私はこの法案のねらいでなければならぬと思うわけでありますが、私は量の多寡によつてこの法案を、恩恵と申しますか、それを限定するというのは非常に不賛成でございまするが、この点については私は、将来の問題として次官の御答弁を願いたいと思います。
  34. 羽田武嗣郎

    羽田政府委員 ただいま私が月とすつぽんと言うたことについておとがめをいただきましたが、それは言い過ぎでございますから取消しておます。  それから、確かに今回の法律が単なる量でないということはもちろんでございますが、公共建物あるいはそういうものについては十九国会で法律も通つておりますので、そういうものには優先して時価よりも安く払い下げるという法律を皆様の御通過をいただいておりますので、そういうような方法によつて内地被害者に対しては、内地国有林処分において優先的に考えて行こう、こういうような建前でおるわけでございます。
  35. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 この法案に盛られておるような災害復旧に対する特別措置は、あの法律では全部はカバーされておりません。風害木それ自身は、なるほど国有林にとつては非常に御損失でございます。しかしながらこれは国有林の立場から言えば、私はこれはいささか言い過ぎかとは思いまするが、これはある意味におきまして廃物利用というような考え方も入つて来るわけであります。しかりといたしまするならば、これは内地の場合におきましても、風害木にあらざる場合におきましても、私はこれに類似の措置を講じてしかるべきものだと思いますが、いかがでございますか。
  36. 奥原日出男

    奥原政府委員 内地災害の甚大な地帯におきまする措置といたしましては、あの延納に関する法律によりまして、市町村長を相手万に契約をする場合に、一箇年間の延納もまた可能であるのでありまして、また範囲はこれとは多少のずれがございまするが、国有林材処分にあたつて価格を減らして販売をするという道もあいておるわけでございます。ここに書いてありまするような三年の延納期間を置いて処分をするというふうな措置をするというふうなことに、国有林全般についてそういうふうなことを適用するということになりますと、これは非常に広汎にもわたる次第でもあり、ちようど北海道におきまして冒頭申し上げましたような二つの事情が結びついて、ちようどこの法律の立案ということの要件と相なりましたのでありますがわれわれといたしましては、やはりその程度にしぼるということが政府部内の話のとりまとめという関係から見ましても、また国有林自身の問題といたしましても、適当なのではないかというふうな考えから原案を立案いたしました。
  37. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 私はただいま部長の御答弁を承りましたが、しかしそれでは納得できないのであります。なぜならば、一年代金延納措置というものは、私はこれに比べますとすでに二年の開きがある、そうしてこの法案が与えるところの便宜、フエーヴアーの内容につきましても、普通の場合と比べて非常にこの法案においては便宜をとりはからつております。しかるがゆえに、かつまた先ほど政務次官のお話によりますると、林道もない、あるいは索道もない、搬出において北海道の場合は非常に違うということを申されましたが、この違う事情は面積におきまして非常な広狭の差がある、かつまた量において差があつても、司じような被害があつた場合におきましては、これは内地においても同様な扱いをしていただきたいのであります。しかるがゆえに、私はなぜこれを北海道だけにしぼるか、その点についての了解が、私は量の範囲と質の内容まで変更を及ぼすということは納得できないのでございます。この点についてもう一ぺん御再考を促したい。私はこの点についてさらに御考慮をいただきたいと思うのでございます。  さらにまたこの扱いにつきまして、林業団体ことに森林組合の扱いをどうするか、それからまた立木処分、それから素材をもつて払い下げるような場合も私は考えていただかなければ、先ほど芳賀委員が申されましたように、町村木材の伐倒、玉切り、搬出といような仕事をやつて災害農村にこういう林業賃金というものを落して行くということは、私は災害復旧のために必要であつて、それがために町村の農林災害復旧をこれによつて幾分でも助けて行くということがねらいの一つであつて、その点まで押し及ぼして考えるのが、私は当然ではないかと思いまするが、この点についての御見解を承りたいのでございます。
  38. 奥原日出男

    奥原政府委員 森林組合の取扱いについての御批判をいただいたのでございまするが、こういう措置は、今までの延納に関する特別法によりまして、公共団体に対して一年以内の延納担保を徴し、それから利子をつけてやつて来た、ああいう場合においても国の債権について、相手方の信用度ということも非常に強く従来強調されて参つて来ましたような事情にあるのであります。従いまして立案の過程においてはいろいろな議論をわれわれもいたしたのでございますが、やはりその対象を町村という地域的な公共団体にしぼつてやるということによつて、この案がとにかく御審議をいただけるまでまとめ得ると、かように考えましたので、原案といたしましては町村に限定をいたしましたような次第でございます。  立木処分の問題につきましては、実はわれわれといたしましては、むしろ町村直営でそこまでおやりになるということは、非常な例外の場合であるのでありまして、賃金問題につきましては、国有林直営生産をすることによつても、むしろ民間のベースに比べればややより高いようなふうに見受けられる賃金がその地元に落ちて来るような次第でもあるのでありまして、むしろ町村に御迷惑をかけない、そういうような意味において原案のごとき案を立案いたした次第でございます。
  39. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 今の答弁ははなはだお苦しいようで、ございまして、われわれといたしましては迷惑どころか、町村災害復旧のためにはぜひともその点も、私が先ほど申し上げたことを御考慮いただきたいのでございます。私はこの点は森林組合の製材設備の活用ということを考えていただくのが、この法案趣旨から言つて、当然御採択になつてしかるべき問題ではなかろうかと思うのでございます。  それから私は、先ほど申し上げましたように、これは一般に立木素材までも含めて、売払いの内容適用の条文をそこまで押し広めていただきたいということを望んでやまないのであります。森林組合の扱いを除外したということは、私はその被害町村に森林組合があるなら、当然そこまでお考えになつていただくのがこの法律上断然の措置ではなかろうかと思うのでございます。  次にこれは最も重要な点でございますが、これは憲法上の問題がございますが、この点お考えいただいたことがあるかどうか。すなわち憲法九十五条におきましてこういう条文がございます。特別法の住民投票の問題ですが、「一の地方公共団体のみに適用される特別法は、法律の定めるところにより、その地方公共団体の住民の投票においてその過半数の同意を得なければ、国会は、これを制定することができない。」ということが書いてあります。これは不利益処分でないからあるいはいいということが言えるかもしれません。しかしながらこの点について御当局がどういうお考えを持つておられるか、どういう措置を講ぜられておるか、それを承りたいのです。
  40. 羽田武嗣郎

    羽田政府委員 実は憲法まで研究いたしておりませんので、まことに恐縮に存ずるのでありますが、これはとにかく地方民のために利益になることでございますから、また一地方と言いましても北海道というような州とも言うべき地方でございますし、単なる一町村とか一郡というものが対象で、ございませんから、憲法の抵触はないと確信をいたします。
  41. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 憲法九十五条の「一の地方公共団体」という中には北海道の問題が触れて来ない、こういう意味でございましようか。これは重要なる法律解釈の問題であろうかと思います。
  42. 羽田武嗣郎

    羽田政府委員 法制局長官でも参りまして検討いたしますればいいのですが、私、ただしろうとといたしまして、まあ北海道というくらいになりますれば、まずよいのではなかろうかというふうに考えるのです。
  43. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 これは問題ではないかと思いますので、もう少し慎重に御検討いただいた方がいいと思います。
  44. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 関連質問当局にお伺いいたします。立木処分の場合の原価はどのくらいにふんでいるのですか。ところによつて違いましようけれども、これを直営でやつた場合、払下げ価格はどのくらいにお考えになつておるか、この点をまず第一にお伺いしたい。
  45. 山崎斎

    ○山崎説明員 直営生産で売り払います場合の価格、それから立木で売り払います場合の価格の基準となりますものは、やはりその当時における市場価格を元にして売り払うという原則に現在なつておりますので、従いまして立木の場合はその市場価格から伐出の経費というものを控除しまして立木価格が出る。直営生産の場合でありますと、その売る場所とそれから一般取引されておる市場との運賃といつたものを考慮して価格が算定される、こういうことになるわけであります。
  46. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 委員長、私のさつきの質問に対する答弁を先に願います。
  47. 奥原日出男

    奥原政府委員 森林組合を入れなかつた実情につきましては、ただいま申し上げましたように、現在森林組合が平均して一組合あたり出資金が十五万円、自己資金が二十万円見当であるというふうな状況から考えまして、三年間の延納を森林組合に対して許容するということはむしろ不適格で、ないかというふうな観点から町村長というものにとりまとめたような次第でございます。
  48. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 私は農林当局にお伺いするのですが、ここの対象になる公共施設復旧用の、しかもそれは風倒木処分と結びついたものですが、これは総計にして大体において百万石程度です。そうすると私はこれはなぜ立木のままでただでくれてやらぬかと思う。今国として一番考えなければならぬことは、五千五百万石というふうな尨大なものの処理に困るということになると思う。それは業者を入れるにしましても、これを直営でやるにしましても、労力施設その他が非常に困難であるという場合に、片方においてはこの法律適用を受ける町村公共施設というものは、町村は大部分が非常な被害をこうむつて町村財政はまつたく行き詰まつておる。これは住民自体も非常に困る。そのためにいろいろな特別措置をしてもらわなければならぬという段階に、わざわざ無利子の、三箇年延納を認めるというような、こういうちやちなことをせぬで、搬出の楽な所ならしろうとでもできると思う。そんな所はたくさんあるはずです。そういう搬出の楽な所は先にくれてやつた方がいい。五千五百万石の処置を少し間違えば、こんな百万石ぐらいなものはすぐ消えてなくなる。それよりも一番出やすい所をどんどんどんくれてやれば、片方においては復旧に役立ち、片方においては――金になるならぬは第二段として、国の大きな財産が消えてなくなる危険性があるわけですから、そういう楽な所はどんどん民間にまかして――さつきいろいろお話があつて町村では伐木や搬出ということはなかなか困難であるというお話もあつた。それは所によりけりです。楽な所はどこでもできます。そんなことは簡単です。私も町村長を長くやりましたけれども、非常にめんどうな所、施設が非常にいるような所は町村では、できません。しかしながら、御承知の通り国有林でも、少し条件のいい所なら、けつこう村なり町村でできる。それだけのものは早く腐らないで活用ができる。しかも町村の場合には、こういつたものを受ける場合においては、必ず半面において補助金なり何なりを受けてこういつたものをやらなければならぬ。私はそれくらいのことを考えた方が、全体の風倒木処分も、それだけ国としてはそういうところに力を入れなくていい。直営でやつて、はつきり木材にして、それから町村へ持つてつて、金は適当にとつて、無利子で延納する、あるいは三年間待つてやるというようなことよりも、ほんとうに被害を受けた町村からいえば、労力なり何なりを動員してやれば、簡単な所ならある程度出ます。そういう所で百万石程度のものはどんどん出す。たとえば学校は百石じやないですか。百石や二百石の材が出ないということはない。これは簡単に出ます。そういう出しいい所をやれば出る。これは町村にしても、幾つこういうものを受けるところがあるかわかりませんが、そういうところの連中の共同作業でやればこういうものはすぐ出る。そういう措置をとられた方がいい。こういうめんどうくさい、三年間どうだとか、こんなことをやるよりか、その方が全体の措置として、災害対策としてはるかにいいと思うが、この点についてはどういうふうにお考えになりますか。
  49. 奥原日出男

    奥原政府委員 国の財政法の建前といたしまして、国の財産は、これは必ず適正な価格を通さなければ処分してはならないということに相なつておる次第であります。そこで災害等の緊急の場合において、この国有財産一般の原則によりかねる場合について、先ほどもお話の中に出ましたように、公共用のものの応急復旧あるいは住民の収容施設の建設等について、時価によらない処分が認められておる次第であるのでありまして、この範囲をさらにより以上広げるということについては、これはなかなか国家財政の全体的な建前といたしまして困難であろうかと、かように考えておる次第であります。立木処分の問題につきましては、先ほど芳賀先生のお尋ねに対してお答え申し上げましたところによつて御了承いただきたいのでありますが、なおわれわれといたしましては、国有林材処分というものの一般の木材の市場価格に対する影響というものを最小限度に防止する、そういう観点からいたしましても、やはり直営生産というものに非常な重点を置いて仕事を取進めて行くことが適切ではないかというふうな事情も、申し落しておりますことをつけ加えて御了承いただきたいと思います。
  50. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 それはなるほどおつしやる通り、国の財産をただやれと言つたつて困難なことはわかります。しかし災害のときは、そういう特別な措置も講ぜられておるわけです。特にこの場合は災害をこうむつた町村から見ても、また国のあなた方の立場から見ても、これは非常事態です。普通の事態の場合の措置じやない。おそらくこれがうまく三箇年間にこれだけの五千五百万石のものが出るかというと、相当困難だと思う。おそらく大部分腐らせるという結果も出て来ないわけじやない。そういう場合に国の大きな経済の観点から見れば、何とかして労力なり力を有効に使わなければならぬ。全住民をある意味においては動員するということも考えなければできないという段階だと思う。そうしてそれが同時に、災害を受けた町村の公共復旧費にいかにして役立つかということが根本の問題だと思うのです。今の財政法の建前等についても、特別価格で払い下げることができるわけですから、その特別価格を私はただでと言つたんだが、ただでなくてもいいと思います。それはもつと名目だけの価格をつけたつていいわけです。石一円につけたつて、これは適当な価格あるというりくつはつく。そういうふうな措置でやられた方が、私は全体の風倒木措置という点から言いましても適当であると思う。同時に災害町村に対する、ほんとうのいわゆる山と結びついた復旧といいますか、山の恩恵、国有林の恩恵というものを、こういう非常の際であるだけに、法律ではつきり出しておくことが私は必要だと思う。こういう措置を私は、内地ではありませんが、昔満州でやつたことがある。非常にたくさんあつた木が水害で流れてしまつた。その場合にやはりあなたと同じようなことを役人は言つておりました。国有財産処理方法がどうだとか言つて、ほうつておけばみな腐つてしまう。腐るよりも、安くてもその資材の役立つようにした方が国としても有利だし、同時に住民としても有利だと思う。こういう点、特に御一考いただいて、こんな程度法案でなしに、こういう非常事態を中心として、もつと徹底した措置を講ずるお考えがあるかないかということを、もう一度お伺いしておくと同時に、私はむしろ行政措置とあわせてそういうことにした方が、国としても、災害町村復旧という点からも、全体としてよい、こう考えるが、こういう点についてのお考えはどうか。
  51. 奥原日出男

    奥原政府委員 ただいま御指摘のありました諸点につきまして、まずわれわれは先ほど申し上げました町村の応急復旧等の用に供します場合においては、時価によらずして着々と処分をいたして参つて来ておるのでありまして、それはそれでその根拠になります財政法の特例に関しまする別個の単行法がございまして、それによつてつてつておる次第でございます。  それからそういう範囲をより以上、ここで書いておりますようなもの全体にまで広げるということについては、先ほども申し上げましたように、われわれとしては、そういろ方策をとらずとも国有林材の消化は可能である、かように実は考えておるのであります。  次の問題は、そういう急激な方法でも講じて国有林材風倒木処分をやらなければ腐つてしまうじやないか、こういう御指摘でございますが、実は昭和三十一年度までの三箇年間におきまして、先ほど御説明いたしましたような方法によりまして、とにかく国有林材風倒木処理をする計画を立て、またその実行可能の見通しをわれわれは持つておる次第であります。ただ広葉樹等の腐朽の非常に早いものがせいぜい数百万石ぐらいあるいは出せないというふうな事態が起つて来るかともおそれますけれども、とにかく全体のあの五千五百万石の風害木自身については大体におきまして、これを市場に圧迫を加えないように慎重な考慮をしながら、とにかく搬出処理し得るという見通しを実は持つて、必要ないろいろな措置を懸命に講じております状況にありますので、そういう事情があつてなおさらのこと、さらにその原価売払いの範囲を拡充するというふうなことは、われわれとしては困難ではないかと考えております。
  52. 井出一太郎

    井出委員長 この際暫時休憩をいたし、午後二時より開会をいたします。     午後零時五十九分休憩      ――――◇―――――     午後三時三分開議
  53. 井出一太郎

    井出委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  北海道における国有林野風害木等売払代金納付に関する特別措置法案並びに昭和二十九年の台風及び冷害被害農林業者に対する資金融通に関する特別措置法案、右両案を議題といたし、審議を進めます。質疑の通告があります。順次これを許します。川俣清音君。
  54. 川俣清音

    ○川俣委員 北海道におきまする十五号台風並びに本年の春襲いました台風に引続いて起つた災害は、まことに悲惨なものがあるわけであります。もちろんこれは単に北海道ばかりではございません。九州から一帯を襲つた台風のわが森林原野に与えた影響は、甚大なるものがあるわけでありますが、特に北海道に与えました被害は甚大であるのであります。国有林だけでも五千数百万石と言われ、道有林、民有林等の被害を合せますと、六千万石を越えるような大被害でございます。従いまして国有林野におきましても、この国の財産である森林資源に与えた被害から来るところの風倒木をいかように利用するかということは、重大な問題であると思うのであります。国の重要な資源をどのように活用して国民経済の上に寄与するかということは、重大なこであります。同時にまた、この風倒木処分の方法をあやまちますと、木材業界及び森林業界に与える影響もまた甚大であります。この有効適切な処分と相関連いたしまして、木材業界及び森林業界に与える需給の調整はことさら困難だと思うのでありますが、この利用と原木の調整をどのような形で調整せられようとするのでありますか。この点を第一にお尋ねしておきたいと思います。
  55. 石谷憲男

    ○石谷説明員 ただいま御質問のありました点はまつたくその通りでありまして、風倒木処理は、極力短期間のうちに終了されなければならないという本来の性格を持つておる仕事であります。従いまして、大体二十九年度後半期と三十年、三十一年の両年度、二箇年半にわたりまして、その大部分処理をいたしたい、かように考えておるわけでございます。かようにいたしますと、当然のことでございますが、北海道内の生産は異常にふくらむわけでございまして、これが市場の取引にさまざまの混乱を与え、さらには価格の変動等を招きまして、異常な事態を招来するということは、十分に懸念してかからなければならない問題であると考えておるわけであります。従いまして風倒木の緊急処理に伴いまして異常に伐採量が増大いたしまするにもかかわりませず、この処理を通じて極力道内の需給安定、価格維持ということを考える建前のもとに処理に当つて参りたい、かように一考えておるわけでございます。明三十年度におきましては、北海道における経常の伐採の規模が、用材につきまして大体千三百万石程度であるのでありますが、それに対しまして風倒木処理がこれに加わるといたしまして大体二千三百万石程度のものを伐採処理しなければならない、かようになつて来るわけであります。そこでこれだけの大量のものを処理いたしまする一方、この出て参りますものを有効適切に売り払いまして、極力道内の価格維持、市場安定ということを考えまするためには、相当大幅に直営生産を拡大いたしまして、やはりこちらの手で相当程度に、時期を見、情勢を見はからいまして売り払うことができるものを手持ちする、こういうことが絶対必要になつて来る、かように考えておるわけであります。従来北海道においては、大体全体の六割が立木処分でございまして、残余の四割が直営生産ということであつたのでありますが、経営規模の生産量に対しまして約八割増の二千三百万石、この量に対しまして明三十年度は約半分を直営生産をもつて処理いたしたい、かように考えておるわけであります。このことによりまして私どもといたしましては、市場操作をし得る手持材を相当大量に確保し得る、こういうふうな態勢を整えることができる、かように考えておるわけであります。  そこで明三十年度北海道市場における需給の情勢でありますが、これはいろいろと見方の相違等もあるようでございすけれども、私どもといたしましては、用材に関します限りにおいて、広葉樹は大体六百万石程度の規模におきまして需給が相均衡する、かようなふうに大きく見当をつけておるわけでございます。但し針葉樹につきましては、今度の風倒木のほとんど大部分が針葉樹でありましただけに、三十年度の道内の需給関係に影響を及ぼします供給力は、素材で千二百万石くらいに相なる、かように考えられるのでありますが、これに見合うべき道内市場の有効需要は大体一千万石前後であろう、かようなふうに大きく見当をつけておるわけでございまして、そこで二百万石だけは過剰供給というふうな形が一応出て参る、かようなことに相なるのであります。そこでこの二百万石のものを道内の各市場に滞留させておくということに相なりますと、需給安定あるいは価格維持ということを言いましても、なかなかその達成は困難だということに相なりますので、これを内地市場に供給いたしまして、道内の需給関係から完全に遮断するということを輸送販売という仕事によりましてやつて参りたい、かように考えておるわけでございます。そのほか道内のある地域によりましては、短期大量の貯材に耐え得る天然湖沼が相当ございます。こういうものを一時活用いたしまして市場の需給安定に努めて参りたい、この異常な生産と、これに関連して当然考えられます需給の調整の問題、こういういうものを今御説明申し上げましたような方法によつてつて参りたいと考えております。
  56. 佐藤洋之助

    ○佐藤(洋)委員 関連して。実は私どもは北海道の実地調査に行きましたが、二十六日に十五号台風に遭遇したのですが、その惨状はかなりわれわれの目の前に見られたわけです。そこで今業務部長からの御説明によると、二箇年に相当大量の処理ができるということですが、実はこの間の柴田長官の話では、なかなかそんなふうに進捗しないと聞いておつたわけであります。五千万石の風倒木、それから民間の五百万石、非常に尨大なもので、これの処理は非常な苦心を要するわけでございます。この処理が遅れると木材が腐敗する、また虫がわくというようなことで、北海道の森林政策にも大きな影響があるので、これはできるだけすみやかに処理することが望ましいのですが、柴田長官の最初の御報告によると、五十メートルに一台くらいのトラツクを通用しても六百五十万石くらいしか初年度処理できないのだ、こういう報告のようにわれわれは記憶しおるのだが、今のあなたのお話だと、二千三百万石で製材で一千三百万石処理できる、こういうのです。後半御説明なつ内地向けの用材があれば価格維持の上からけつこうであるけれども、今の数字はどうも私の記憶しておる数字と大分違うのだが、はたしてあなたの言うように二千三百万石、用材一千三百万石の処理ができるやいなやということが、私は非常に懸念されるのですが、これに対していま一応確信のある御答弁を願いたい。
  57. 石谷憲男

    ○石谷説明員 お答え申し上げます。一応今ここで問題にいたしておりますのは、薪炭資材をのけまして用材を問題にしておるわけでありますが、用材につきましては本年の五月の風倒木も含めて大体四千七百万石の風倒木が全国に出ております。大体私どもは現に処理を進行さしておるわけでありますが、二十九年度中に立木資材換算の九百三十万石の処理をいたしたいということで、この問題は、一応現状をもつていたしますならば非常に順調に進行いたしております。本年は北海道地域におきましては初雪が非常に早うございましたが、幸いに根雪が非常におそうなつておりますので、非常に好調子に二十九年度仕事が進捗しております。そこで三十年度は先ほど全体で二千三百万石、これは立木資材でございますが――と申し上げましたが、その中の風倒木は大体千七百八十万石を処理いたしたいという考え方でおります。これは結局全体の二千三百万石と申しますのは、経営年度の生産に対しまして約八割の増でございます。従いましておつしやるように非常に困難な仕事だということになりますが、私どもといたしましては、三十年度事業の成否が三十一年度仕事を決するということで、三十年度の問題につきましては今から十二分なる準備を整えまして、この目標を必ず達成するということでやつて参りたい、かように考えております。そのようなふうにいたしますと、一応用材に関します限りは三十一年度以降に二千万石の未処理のものが残ります。そこで一応三十年度千七百万石規模のものが達成されるということになりますと、三十一年度の約二千万石に近いものの目標も達せられるのじやないか、かように考えております。  それからただいま先生から御質問のありました点に関連すると思うのでございますが、やはり何といいましても大雪山を中心といたします周辺に非常に大きな風倒木が発生いたしておりまして、特殊な地区におきましては、最終的にすべてのものを利用し尽すということが非常に困難な場合が考えられる。特に有名な大雪山国立公園の一帯に層雲峡という地帯がございますが、ここだけに約千四百万石が集中しております。利用し得る道はわずかに二本しか、ございませんし、その道の輸送力というものによつて処理が大きく制約されるという点で、そういう極端な箇所はありますが、そういうところを二、三のけますと、大体は平均して全道に及んでおるというのが今回の風倒の実情でございますので、一応現在の目標通り処理いたしたい、このように考えて現在努力しております。
  58. 佐藤洋之助

    ○佐藤(洋)委員 大体わかりましたが、本年度処理が、二十九年度としてあなたの方は九百何万石というのですね。そうすると、もう第四・四半期に入つて来ます。第四・四半期に入つて、この差迫つた時期においてそれだけの処理ができるやいなやということを私どもは懸念をしておるのです。これはあなたのそういうお話ですから、できるということを一応信じるといたしまして、そこで風倒木の種類ですが、原始林もむろんあるのでしようから、それでパルプ材料のようなものにはならぬのですかどうですか。用材の種類と、それがどういうふうな用途に向くかということを大体御説明願いたいと思います。
  59. 石谷憲男

    ○石谷説明員 大体第四・四半期になつてから大量のものを処理するということはという御質問でありますが、北海道におきましては、大体生産の中心的な形は雪上処理であります。立木処理の場合におきましては、ほとんど全量が大体雪の降る前に伐採着手をいたしまして、そして造材をし、雪の上をもより地点まで搬出するということをやつております。それから直営生産の場合でありましても、全量の八五%までは雪上の作業を中心に生産をしておりますので、ご懸念いただきましたが、全体の約七害五分はえぞ松とど松の針葉樹でございます。残りが潤葉樹ということになつておりまして、えぞ松、とど松は御承知のようにパルプ資材といたしましてきわめて有用なものであります。また一般建築用材、建具用材、梱包用材、いずれの用途にも向く重要な資材であります。従来におきましては、北海道では大体伐採の方式と申しますのは、いずれも天然物でございますので大小さまざまなものが混淆しておりまして、従つてある一定経級のものを選んで抜き切りをするというやり方をやつて参つたのでありまして、従つて北海道の市場に出まわりますものは、ある一定以上の径級のものが支配的であつたということでありますが今回の風倒につきましては、もう一面の林地にわたつて散乱して倒れておるということでございますので、比較的中小級材というものが多量に市場に出まわるということになります。中小級材ということになりますと、何としてもパルプあるいは坑木という用途のものが非常に多く出て参る、かように考えます。
  60. 佐藤洋之助

    ○佐藤(洋)委員 そこで問題はその予算ですが、四億六千万円ですか出して来た。北海道処理だけで三億三千万円ですか、それだけの予算でできるわけですね。
  61. 石谷憲男

    ○石谷説明員 その点本年度処理につきましては、御承知のように施設災害はほとんどありませんし、それから断定経費のふりかえでやられるところはほとんどふりかえでやつておりますので、予備費の流用並びに節約の解除によつて新しくつけ足してやりますものが約五億五千万円、それで大体二十九年度仕事はやれる見込みでございます。
  62. 川俣清音

    ○川俣委員 今私に対する答弁、大体林野庁考え方はわかつたのでありますが、一体農林省の本省としても同様な考え方をしておられるのかどうか。これは出先の特別会計のやることだからというのでまかせきりなのか。どれだけ一体農林省の本省としてこれのバツク・アツプをする考え方でおられるのか、この点をひとつ政務次官からお答えを願います。
  63. 羽田武嗣郎

    羽田政府委員 ただいま業務部長とあなたとの間あるいは佐藤さんとの間にお話がありました通り、林野庁も本省もただいま一体となつてこの方針で進んでおりますから、御了承をいただきたいと思います。
  64. 川俣清音

    ○川俣委員 この問題は非常に重要なんです。単に林野庁にまかせきりのものであつてはならないと私は思うのです。というのは、これだけの被害木風倒木を出しましたので、国の財産としてもすみやかに処理をしなければならない。この反面に、処理した結果起つて来るところの有効需要をオーバーするこの材によつて市場価格の低落というものが起つて参りますと、損はしないけれども、処分してもほとんどそれだけの経費が生れて来ないというような結果にもなります。また国有林がこういう大きな作業をやります結果、北海道の道有林並びに民有林の市場価格に非常な影響を与えて、もう取引が不可能になつて来る。こういうふうに混乱して参りますと、これは内地にも影響して来る。こういうことになつて参りますので、単にこれは特別会計でやることであるから、あるいは林野庁事業内容であるからということで無関心でおつてはならないと思うのです。その点をあなたに聞きたいのです。私は詳しいことは政務次官にお尋ねしないのです。これは単に従来の事業と違つて、国民経済の上に及ぼす影響が非非常に大きいと思うのです。もちろんこういうデフレの時代に用材価格が下るということは決して悪いということにはならない。しかしながら市場価格を混乱させて取引を不可能にするというような事態になつて参りますと、国民経済の上に重大なる影響を与えて来るわけですから、これは無関心であつてはならない。そういう意味、ですみやかに国の資材を有効適切に処分しなければならないし、一方その処分から来るところのいたずらなる市場の混乱、価格の低落というようなことを恐れなければならない、こういう国の政策が立てられなければならないと思うのですから、ここで政務次官は十分この点について林野庁当局と打合せをして、今後とも万遣漏のないような施策を講じられるかどうか。この内閣はもう長くないのだから、そんなことはあとだと言われればそれまでですが、現在その地位にある以上、ある程度責任を負わなければならぬと思いますので、お尋ねしておきます。
  65. 羽田武嗣郎

    羽田政府委員 せつかくの国家の重要な資源を有効に使うということと同町に、価格を下げて国内の価格に変動といいますか、動乱があつてはならない、この二つの命題を解決するためにその調整をどうするかということで、先ほども業務部長がしさいにお話申し上げたと思いますが、とにかく三年計画で、年次にわけまして計画的な伐採を行う。しかもその伐採を行うにつきましては、やはり相当な資金も必要でございましようし、経験労力ということも必要でございますから、その点で直営の生産をするという建前で―一午前中町村において云々というようなお話もございましたが、直営の生産をいたしまして、国内の市場を動乱させないためには需給の調整をはからなければなりませんから、直営で生産いたしましたものを国内に持つてつて、国内の一般の材の生産状態ともよくにらみ合せまして、これを適当に放出をいたし、また北海道内に貯木を、いたしまして、国家全体としての需給の調整をはかつて行きたい。それによつて内地の秋田その他の生産地にも迷惑をかけないようにする。しかも国家の有用な材を国家の必要なところにレールに乗せて行きたい、こういうふうに考えておる次第であります。
  66. 川俣清音

    ○川俣委員 一応筋の立つた答弁ですからその程度で了承しておきます。ただ熱意を承つておきます。  そこで問題は、こういう人の災害を見て価格の異常低落、市場混乱をむしろ期待しておる向きがあるようであります。これは今までで国有林に非常に世話になつておりました北海道の坑木関係あるいは、パルプ業者が、むしろ市場の混乱して来ることを望み、その低落を待つておるというような空気が露骨に出ておるのじやないかと思います。これは従来国有林に依存をいたしておりましてその利便を受けていなかつたならば、感情的にもこういうときに人の災害を見て笑うということもいいだろうし、あるいは阻止することもいいだろうと思うのですが、こういう天災を受けたときに、これらの人の災害を見て―一国有林災害ばかりでなく、民有林及び道有林の災害を見て、こういう市場の混乱を待つて、最も需給量の多いこれらのパルプ業者並びに坑木業者がそれでも、うけようというような考え方については、おそらく政務次官といえども同意しないと思いますが、その点はどうですか。
  67. 羽田武嗣郎

    羽田政府委員 人の災いを見て喜ぶがごとき出石に災いあれと思う次第であります。
  68. 川俣清音

    ○川俣委員 まことに明快でありまして、大体明快な答弁だけで責任を負われないので困るのですが、その点はそれで了承しておきます。  そこでこれからお尋ねすることは、政務次官にはちよつと無理でありますから林野当局にお尋ねします。一体原木価格というものは、運搬用道路と申しましようか、あるいは総称いたしまして林道網と申しますか、こういうものが完備していなければ原木の価値というものは無価値になります。そうするとどうしても簡易、安価に搬出ができるということになつていなければならないと思う。こういう北海道災害を見て結局考えられますことは、今まであつた天然林をただ搾取したごとく、川出しをいたしましたり、あるいは便利な所からぽつぽつ切つて行つた。こういうあやまちを犯したために、今度のような災害に適当な処理ができなかつたんじやないかと憂えられる。わずかに層雲峡に一部の設備をしておりましたために、これによつて非常に効果的な運材ができるということに幸いいたしておりましたけれども、このような処置を今まで講じなくて、北海道の山は、天然にまかしておいてこれを伐採すればいいんだ。便利な所から伐採して行くんだという今までの態度について反省をされたと思いますが、この反省をどの程度深く認識せられたか、この点をお尋ねいたしたい。
  69. 石谷憲男

    ○石谷説明員 仰せの通り北海道国有林におきましては、非常に内容の充実したりつぱな天然林が全道至るところにあるということで、ある時期におきましては、むしろこれらの天然林が開拓を阻害するじやまものだと考えられた時代も近年まであつたの、でありますが、そういう時代が経過いたしまして以降は、やはり極端に申しますと、とかく収奪一方の仕事に偏しやすかつた。それに対しまして必要な投資の分が一方に偏しておつたというような現状にあるように考えられます。と申しますのは、非常に苛烈な天然条件下にある造林事業というものは、さまざまな自然的要素に制約されまして、非常に困難を伴いやすいものであつたということ。それから何と申しましても非常に労力が不足しておるというようなことのために、あえて天然林を利用したあとに造林を推進するということが、従来では非常に緩漫であつたのであります。すなわち天然林を抜き切りいたしながら、天然の枯死を待ちまして、そこに自然生えして来るものを育てて行くというようなやり方をとつておつたわけであります。一方利用の形にいたしましても、先ほどもお答え申し上げたのでありますが、大部分が冬季の雪を利用いたしまして集材をし、次の雪どけを待つて川流しをして来る。こういうふうなきわめて原始的な作業に依存をするというやり方を長年やつて参りましたので、必要な林道施設もきわめて不完全であるというようなことで、実はこういつた状態を一刻も早く改善いたしたいと考えまして、本年度から特に北海道事業の整備強化のために特別な予算措置を大蔵当局からも認められ、相当長い期間にわたつて継続的な仕事をやつて参りたいということで、本年度は約四億五千万円ぐらいであつたのでありますが、実は従来の、手遅れを早目に取返したいということを主として、林道網の完成の問題、造林促進の問題に重点を置いてやつておりましたやさきに今度の大災害に会つたということになりまして、これを契機といたしまして、従来のやり方については徹底した反省を加えまして、将来は北海道林業の発展の基礎を風倒木処理を通じて確立をするというような行き方に実は考えて参らなければならぬ、かように考えております。これらの大量処分をいたしますためには、従来のごとく冬、山生産に大部分のものを依存するというようなことではとうてい処理し切れるものではないというように考えておりますので、従来ゼロであつた立木処分の場合においても、三割程度は夏山生産に移して行きたい。それから従来わずかに一五%にすぎなかつた直覚生産の夏山事業を約四〇%程度に高めて参りたいというのが、当面の私どもの目標であるわけであります。こういうふうにいたしますと、当然夏山生産のための林道網の拡充ということが先行しなければならぬ。あわせて作業上必要な施設の整備が行われなければならない。かつて北海道においては、ほとんどそういつた特殊な施設がなかつたのでありますが、いわゆる夏山生産のための特殊なものがここに確保される、こういうことによりまして、この処理を通じて将来の北海道の林業の生産形態というものを相当程度に高めて参りたい、かように考えておるわけであります。
  70. 川俣清音

    ○川俣委員 従来のいわゆる収奪林業から、今度の災害を契機にいたしまして、北海道の産業の上に立体的な一つの林業を営むということになりましたことは、私は非常に仕合せだと思うわけであります。そこでもう一点お尋ねしなければならぬと思います。木材の需給の安定、価格市場の混乱を防ぐために主として直営生産をやろう、こういうことでありまして、私はこれはもつともだと思うのであります。しかしながら、佐藤委員からも指摘せられましたし、あるいは芳賀委員からも指摘があつたようでありますが、これは大宗としてやることはぜひとも必要だと思いますけれども、それに附帯して、それを助成するような形において立木処分または製品処分等を行うことの必要性が起つて来るのではないか、そのこと自体が有効な処分となるのではないかと考えますけれども、この点について、午前中はやや混乱しておりましたから明らかにしていただきたいと思います。
  71. 石谷憲男

    ○石谷説明員 ただいま風倒木処理を通じましては、極力直営生産をやつて参りたい、かように申し上げて若干の数字関係を御説明申し上げたのでありますが、かような考え方にもかかわりませず、一応二十九年度立木処分数量は千百十六万四千石ということになつておりますが、三十年度におきましても、立木処分は依然として少くならぬわけでありまして、千百四十八万九千石、若干ながらも二十九年度より多量の立木処分をいたさないと、三十年度風害木処理を含めましての大量の処理ができない、こういう現状でございます。従いまして比較的に直営生産が急速にふえるということで、絶対量の上から見ますと立木処分は少しも少くなつておりませんので、当然あらゆる意味におきまして、この風倒木処理を有効に進めて参ります上には、立木処分という方法を活用しなければならぬ点が多いと考えております。
  72. 川俣清音

    ○川俣委員 そこでちよつと午前中のことが訂正されて明瞭になつたと思うのですが、やはりこれはあくまでも木材の需給の安定と価格市場の混乱を防止するという建前から直営生産というものにかなり重要度を置く、しかしながらなお有効処分の上から立木処分もやむを得ない結果が起つて来るし、その結果は従来とあまりかわらなかつた数量が生れて来る、こういうことになると了解してよろしゆうございますか。
  73. 石谷憲男

    ○石谷説明員 けつこうでございます。
  74. 川俣清音

    ○川俣委員 単に立木処分ばかりでなくて、これらの直営生産から生れて来る製品などについても同様なことが考えられるのではないかと思いますが、これは余地がないのですか。私はあるのではないかと思つておりますが、その点はどうですか。
  75. 石谷憲男

    ○石谷説明員 同様なことと申しますと、これらによる直営生産のものも、先ほどのような目的に売払うということは私どもも考えております。
  76. 川俣清音

    ○川俣委員 単に立木処分はかりでなくして、木材需給の安定と市場価格の混乱を防ぐためには、製品等についても、特別な考慮が払われることになるのではないか、こういうことが予定せられるのじやないか、こうお尋ねしておるのであります。
  77. 石谷憲男

    ○石谷説明員 的確なお答えにならぬかと思いますが、直営生産によりまして、生産いたしまする素材、これを十分に活用いたしまして、需給の調整に当つて参りたいというのが私どもの輸送販売事業までも計画しました趣意でございます。
  78. 佐藤洋之助

    ○佐藤(洋)委員 今の直営問題ですが、これはなかなか大きな影響を与えると思うのです。しかしこれをやらぬというと、災いにつけ込んで一挙にもうけようというようなやからが出て来るかもしれない、こういうのは厳に警戒しつつあなた方はおやりになるのだろうが、この五千万石の風倒木北海道五百万町歩の山林、そこにかなり今後の画期的なことだから、林野庁としては、北海道の林野行政上において一大画期的な何か考え方を持つて、植林であるとか、将来の計画性というものを持つておるかということをひとつ承つておきたいと思います。
  79. 石谷憲男

    ○石谷説明員 ただいまも御説明申し上げました中に若干触れたのでございまするが、従来北海道国有林に対しましては、ただ与えられた天然資源を一方的に利用するということで、しかもその利用の形もきわめて原始的な利用の段階にとどまつておつたというのが、実情であつたのであります。そこでこの二十九年度を最初の年度といたしまして、私どもの見当では、大体十年間くらいの間に少くとも六、七十億の金を継続的につぎ込みまして、林道網の拡充整備、それから造林促進の問題、こういうことを全面的に推進して参るということに関連いたしまして、実は本年の七月にも営林署七箇所の増設も実現ができた、かようなことに相なつたのでございますが、その限りにおきまして、将来の北海道の林野のあるべき姿を一応描きまして、それになるべく早目に到達するに必要な金を必要な部分についで参るという計画を持つておつたのでございますが、ほとんど全道にわたりまして、被害面積だけでも二十一万二千町歩、五千万石以上の風倒木が出たという、この現実の状態にかんがみまして、それらの計画を根本的に検討いたしまして、それで第一の問題は、早期に生産力の回復をはかるというねらいと、できるだけ生産物の利度用を増進するという二つのねらいに焦点を合せまして、今後の基本対策を速急に確立して参りたい、かように考えております。
  80. 佐藤洋之助

    ○佐藤(洋)委員 たとえば二十何万町歩という大きな面積にわたるのですが、東京の震災のときに、それを機会に復興計画を樹立して大きな道路をつくつたように、北海道においてもこの巨額なる風倒木を出した機会において、自然発火を防ぐこと、山林火災の予防のような意味においても、やはり林道というものをこの際計画的に大きなものをつくるというようにして、一は搬出を助け、一は火災予防をするというようなことも将来の計画として立てる。北海道には原野地が七十四万三千町歩あつて、それと五百万町歩の山林とのにらみ合せ、これは原野は大体放牧やあるいは他に使うでしようが、このあんばい調整をしてはどうであるか、この間北海道の人が来たから、どうだひとつまきに払い下げたらどうだと言つたら、あまり遠隔のところで交通不便だ、わしらのところでは恩恵に浴さないと言つておつた、こういうような情勢になつているから、林道の開発なんということは非常な急務じやないかというように考えられておる。私どもは北海道は粗にして大であるので、もつと開拓の余地がある、こういうふうに考えております。ひとつそれに対するお考えを伺いたい。
  81. 石谷憲男

    ○石谷説明員 仰せの通り、かりに地上に横たわつております風倒木が円滑に処理し得たといたしましても、同時に非常に懸念いたさなければならぬ問題は、北海道におけるあの火災の問題でございます。ところによりますと、火災が発生いたしましてほとんど二週間にわたつて燃え続けたというような事例も幾多あるわけでありまして、消火に参りますためにも道がないというのが北海道の現状であります。従いまして特にこの火災予防、火災の危険を極力少くすると同時に、早期発見、早期消火というような問題を扱います上から行きましても、当然林道網の問題が浮んで来るわけであります。従いまして私どもといたしましては、この搬出路とさらにはそれが火災予防の見地からの利用ということをあわせ考えまして、三十年度からは速急に林道網の拡充に着手いたしたい、かように考えております。
  82. 川俣清音

    ○川俣委員 そこで第二にお尋ねいたしたいのは、私どもは立木処分について非常に危険を感じておる、これが需給が満たされないときには、価格高騰の傾向をとるから、非常な犠牲を払いまして、立木処分を受けましても、あるいは運搬道路をみずからつけましても、あるいは運材等に相当な経費がかかりましても、市場価格が堅調を保つておつたようなときには契約を解除するというようなこともないであろうし、あるいは実行に移されないということもないであろうと思うのですが、こういう大量な処分が行われた場合においては、いかに厳重な契約をいたしましても、途中でやめるようなものが多く出て来るのではないか、これは採算上やめるのではなくして、むしろ事業が倒産するような形でやめざるを得ないものが出て来るのではないか、そういうことが需給のバランスの上に、また価格の上に、非常な影響を与えて来るのではないかということを憂えるのです。それはどうしても、対象としてはそういう犠牲をみずから払つても需給の調整をやる任務を持つておるのが林野庁であるから、みずからの山の保護であると同時に、製品の保護という意味から、やはり直営生産でなければならないじやないかと私はこう指摘しておるのです。そこでそれじや直営生産で全部やれるかと申しますと、今計画があるようにはできない。そこで立木処分も行わなければならないのでありますけれども、それにはこういう価格の低落の方向をとるときにおいては、危険が伴うということを十分考慮しながら、立木処分をして行かなければならないじやないか、私は絶対立木処分をしては悪い、こういう意味じやない、どうしても対象として直営生産でなければ混乱するから、それに主力を置かなければならぬけれども、これを満たすための有効な処分として立木処分はあるのであるから、無効ならしめるようなことがあつてはならないじやないか、こう指摘したいのですが、この点はどうなんですか。
  83. 石谷憲男

    ○石谷説明員 私どもといたしましても、北海道の現在の力をもつていたしますならば、三十年度に一まず計画しております千百五十万石に達する立木処分というものは、これはマキシマムである、こういうふうに考えております。そこでこれだけの立木処分が完全に受けられまして、そうしてスムーズに生産が軌道に乗つて行くかどうかという問題につきましては、やはりこのために必要な資金の調達が可能であるかどうかという問題に関連して来るわけでございまして、資金調達を可能にいたしますのも不可能にいたしますのも、その前提要件は何としても将来に対するやはり価格見通しにかかつて参ります。従つて価格を合理的な水準に維持するという方策をどこまでも堅持いたしません限りにおきましては、この立木処分数量すらも絵に描いたもちになるというふうに考えまして、そこで価格維持、市場安定というこを考えまするための一番有効な手段として直営生産による手持ち材を相当大量に持ちたいというのが、私どもの一つの考え方であるわけであります。
  84. 川俣清音

    ○川俣委員 そこで大体午前中の同僚議員の質疑において当局との間で混乱しておつたことが、これで大分整理せられたと思うわけであります。  次に特にこの法案に関係の深い問題として、こういう風倒木の売払いに関する特別措置法の中に、今度の台風によるいわゆる罹災者または罹災地域における悲惨な状態に対して、これを同じに適用するならば、それを効果をあらしめる意味においていろいろな救済をも兼ねて行こう、こういうことでこの法案が出ておると思うのです。ただこれは一般に誤解が生れて来るのではないかと思いますのは、罹災者の救済のためにこの法案が出たということよりも、むしろ国有林の持つております本来の使命でありますところの需給調整と市場価格の安定というところから、その活用としてこういう特別な処置をとろう、すなわち罹災者に現金売りをするということになりますと資金の手当ができない、あるいは金融措置ができないというところから手が伸びて行かない。需給度が伸びて行かないということになると、需給のバランスもこわれて参りますし、木材が軟調を示して来るというところから、林野の特別会計の上からもこういう処置をとることが、経営の面から言つても必要だし、一面また長年の国有林野と関係の深い罹災者にとりましても、こうした便宜を、従来もとつて来たのであるから、この際特別に二年三年なりの長期の年賦償還、一年すえ置き二年の年賦償還、または一箇年すえ置きの五年の年賦償還というような処置をとられたものと私は理解するのですが、この一点はどうなのですか。
  85. 石谷憲男

    ○石谷説明員 この法案によりまして達成しようと考えておりますところの目的は、従来の売払いの中でもやつておりましたものを、特に大量処理という問題と並びまして、そういう方法をもう少し適切にやつて行くことのできるように考えた方がいいじやないかということが一つあるわけでございます。そこで私どもといたしましては、極力この大量な風倒木を有効に処理するというために、しかも有力な手段というふうに考えましてこういうような法案提案することにいたしたわけでございます。従いまして、特にこういつた措置のよりまして、従来とも地元の関係に売り払つておりましたものが、一層好都合に買いやすくなるということになりますと、それだけ道内の有効需要は安定したものが期待されるということになるのでありまして、私どもといたしましては、極力道内における有効需要を安定ならしめ、それに対して必要なものの限度において供給をする、それで余分なものは他に持つてつて処置しよう、こういうことで全体の需給調整、価格維持を考えたい、こういうことでございます。
  86. 川俣清音

    ○川俣委員 ちよつとその点でもう一度念を押しておきたいのです。私の理解するところによれば、罹災者というものは木材の手当を受けたい。しかしながらたび重なる災害等に見舞われたためによくその需要を満たすだけの資力がない。そこでいわゆる有効需要というものが起きないから、実際必要なものについては、有効需要度を現実に高めるために便法を講じてやるのだ、私はそういう理解を持ちたいのであります。そのこと自体が罹災者にとつても非常に大きな救済に結果的になる。結果的になるということが言葉が悪ければ、両々かねて救済になる、こう私どもは理解したいのですが、その理解は間違いでしようか。
  87. 石谷憲男

    ○石谷説明員 私どももまつたく同感でございます。
  88. 川俣清音

    ○川俣委員 そういたしますと、新聞等に報ずるところによりますと、これは林野庁の原案であるか草案であるかわかりませんけれども、住宅用等にも有効需要度を高めて行く意味からも適切な処分をするというようなことが林野庁の原案として報ぜられておつたようでありますし、また同様に農業用資材についてもさような措置をとるというふうなことがあつたようでありますが、何ゆえにこれをおやめにならなければならなかつたのか、その点を伺いたい。
  89. 奥原日出男

    奥原政府委員 住宅木材に関しましては、立案の経過におきましては政府の部内においていろいろな検討をいたしたのでありますが、結局、大体国有林材の原価処分の認められておるような場合に準じて、ややそれをある程度広がつておることはこの法文についてごらんの通りでございますが、そういう場合に準じた範囲においてこの三箇年の延納を認めるべきであるというふうな考え方に最後に政府部内においてまとまりましたので、御提案いたしましたものにおきましては、個人用住宅復旧用材が削除されたようなわけであります。次に農林漁業用資材の問題につきまして、苗床のわく等の問題があるのでございますが、これは数量にいたしましても北海道全体を通じて五万石ぐらいとかいうような資料もございますし、これを災害救助法救助を受けました町村に割つて考えますれば、大した数量でもないから、この程度のものは一年くらいの延納で間に合うのではないかというふうな考え方から、原案におきましては、いろいろな検討をいたします過程におきまして、ごらんの通りの成案に整理されたような次第でございます。
  90. 川俣清音

    ○川俣委員 どうもそこの根本が――大蔵省考え方は、救済だから、その救済などというものは別個に考えればいいじやないかとか。――あるいはそういう施設については別に起債を認めるのであるとか、あるいは平衡交付金をふやすのであるとかいうふうなことがあれば、これは有効需要が起つて来るわけですから別問題です。ところが一方では、そういう起債はこの財政の折から認めない、あるいは平衡交付金も増額ができない、こういうことになりますと、学校あるいは公営住宅はもちろんのことでありますけれども、一般の住宅につきましても、補助をやるとかということで救済せられるというのも、別な言葉で言えば、別な面で有効需要を起してくれるならば救済措置がある。あるいはこれは林野庁当局が、あえてなるべく財政的にこういう処置をとらなくてもいいのではないかと思われるのですが、大蔵省自体がそういう方面をやらないのだから、林野庁自体が自立の上からどうしても有効需要を開拓して行かなければならぬ、こういう面も私はあるのではないかということを前々から指摘した。実はそういう有効需要を開拓する上に必要な処置として、罹災者の住宅復旧用材の売払い等も考慮されなければならぬのじやないか。これを大蔵省が言うなりに救済救済だと言えば、救済は限度があるのじやないかと考えたのだが、そうじやない。国の資材の処分の上からいつて、補助とかいうことで住宅補助が出るならばそれも有効需要になるけれども、それを考えないからには、みずからの財産処分として有効需要を高める意味においてこれらのことをやるのだということを、林野庁当局がもつと説明されれば了解つくのじやないかと思います。どうも少し説明の仕方がまずかつたというか、へつぴり腰というか、自信がないために削られたのではないかと私は疑うのですが、どうなんですか。
  91. 奥原日出男

    奥原政府委員 国会に臨みまして原案を説明する政府側の立場といたしまして、立案の過程におきまして林野庁考えていましたその考え方を、原案が不可であつて、その考え方を言わなければならないぞというような申し上げ方をするわけにも参らない次第であるのでございますが、ただいま川俣先生から御指摘のありましたいろいろな点に関しましては、われわれも非常にありがたいお言葉であるとして拝聴いたしておく次第であります。
  92. 川俣清音

    ○川俣委員 これはありがたいというだけの表現では困るのであつて、ほんとうはこのくらいの自信を持たなければならなかつたのじやないか。経営上から、これらの点について自信を持つて反駁して原案を出すべきであつたと私は思うのですけれども、今に至つて繰返してみてもしようがないので、われわれの手おいて十分われわれの意思を反映しなければならぬと思うのであります。  もう一点、いわゆる農業用資材についても私は同様だと思うのです。なるほど農業用資材というものは一年で回収せられるべき資材であることは、これは説明をまたないでも明らかであります。しかしこういうものも長年貸付けることによつて、これは有効資材として成立つのであろうと思うのです。一方本委員会において健苗育成の補助の法案が成立いたしますと、これは一年くらいの延納で十分有効需要としての働きをなすと思うのです。もしも健苗育成促進法案が出ないとすれば、十分有効な需要となり得ない結果になるのではないか、こう思うのでありますが、おそらく今国会におきまして健苗育成の促進法が出まして、これらに対する補助助成の道が講ぜられると確信いたしますがゆえに、一年限りの農業用資材の確保によつて十分満たされると思います。しかしながら農業用資材と申しましても、健苗育成用の、いわゆる温床苗しろ用の資材ばかりじやなくて、もつと広汎なのが農業用資材と見なければなりません。そこでたとえば住宅ばかりでなくして、堆肥舎であるとかあるいは牧舎の一部であるとか、そういうような農業用資材で修理資材と見るものがあると思うのであります。確かにその農業用資材の中には一年で取返しができ、収入となるものもありましようし、一年、二年では償却のつかない農業用資材もあるわけであります。この償却のつかない農業用資材についても有効需要を拡大ならしめる意味において、便法を講ずる余地があるのでありますが、どうもこの法律ではなさそうに思うのです。あなたの方の農業用資材というと、一年で償却がしきれるものだけを農業用資材と見ておるようですが、償却しきれないものがある。二年、三年にわたるようなものがある。これらに対して、私はこの際農業と林業の一体の上から言つても、これらにまで及ぼすべきじやないかと思うのですが、この点どうですか。
  93. 奥原日出男

    奥原政府委員 ただいま御指摘がありました畜舎、堆肥舎等、一年で償却しきれないものについての復旧がどう考慮されておるかという点に関しましてはわれわれはこの二号で考えております農林漁業用施設というものの中におきましてただいま御指摘のありましたようなものを当然取上げることを考えておる次第であります。
  94. 川俣清音

    ○川俣委員 そういたしますと、一年で回収できないようなもの、償却できないようなものは農業用資材とみなす、そこまで拡大して運営をはかるのだ、こう理解してよろしいのでございますか。従つて農業用資材というものは一年間程度で償却できるものは除いたが、そのほかの農業用資材というのはこの法案の示すところの施設になる、こう理解してよろしゆうございますか。この点明瞭にしてもらいたい。
  95. 奥原日出男

    奥原政府委員 ただいま御指摘のありました通りに、施設という科目の中に包含して考えられる程度に固定いたしておりますものにつきましては、この二号の政令の指定の範囲に入れて取上げたい、かように考えております。
  96. 川俣清音

    ○川俣委員 もう一点お尋ねいたします。今度の風倒木の中には針葉樹も潤葉樹もありますが、原木をそのまま運搬して行くことが非常に困難になるような場合において、薪炭林として現地になるべく近い場所において木炭として処理をするというような方法もなさなければならないような状態のところがあるのじやないかと私は思うのです。また同じ原木を運材する場合におきましても、付随しておるところの枝木等の処理もあるのでございますが、こういうものについて、第一は木炭の製造用処理材として考える余地がないかどうか。もしも余地があるとしますれば、災害地、罹災地におきましては、労力はあるけれども、資力のない、金融力を持たない人々に対してこれを有効に処理せしむるには、やはり炭がま等の積極的な助成が必要ではないかと思うのです。この点についてはどうですか。
  97. 奥原日出男

    奥原政府委員 ただいま薪炭原木の問題についてお話があつたのでございますが、薪炭原木につきましては、従来の冷害のときの取扱いと同様に、すでに市町村長原木を一括売り払い、その代金を、その生産物の入つて来るまでの期間を一応予定をいたしまして、その期間まで延納を認めるこういう措置をいたしておる次第であります。すでに通牒を出しまして、着々関係の営林局をして実行に当らしめておる次第であります。炭がまの構築に関する補助金につきましては、これは午前中も御指摘をいただいのでありますが、全体としての財政事情が昨年当時よりもさらに一層きゆうくつであります。しわ寄せがいろいろな方面に及びましたものの一つとして、炭がまの構築の補助金は計上されないということに決定をいたされましたような次第であります。
  98. 川俣清音

    ○川俣委員 決定したことについてもう一ぺん考慮する余地がないか、こういう意味なんです。これが私どもの考えといたしましては、補助することの国家的な損失と、これらの炭材を有効に薪炭林として処理することによつて来る利益とを考えてみますと、風倒木というようなことでなかつた場合は別ですけれども、この場合については、むしろ積極的な補助によつて原木の価値が高まつて来る、こういう意味において補助以上のプラスがあるんじやないか、こういうことなんです。今まででありますと、切つても切らないでもいい、あるいはむしろ切るのは惜しいものまで薪炭林として処分されることを制限する必要もあつたと思うのでありますが、そうでなくして、むしろこれらの倒れたものの処理の上からいつて、それらの風倒木の価値を高める上からいつて炭がまを助成することによつてむしろ原木の価値が維持せられて行く、その方がプラスじやないか、しかも有効な処理となる。無価値なものを有価値にすることができるんじやないか、こういう意味でもう一度考慮する必要があるんじやないかというのです。
  99. 奥原日出男

    奥原政府委員 ただいま御指摘がありました炭がまの構築に関しましては、今の段階に至りましてこれから助成の問題を取上げることは非常に困難であると存じます。しかしながら今回の災害に伴います金融の問題が、まだ政府部内においてがつちりと確定したというところまで参つてない点もあるのでございますが、その中におきまして経営資金の融資の一つの項目といたしまして、相当まとまつた金額を薪炭原木及び炭がまについて計上をいたしておるような次第でありますので、そういう方面においてできる限り製炭業者の援助に努めたい、かように考えております。
  100. 川俣清音

    ○川俣委員 補正予算ができ上つたときにさらに追加することが困難でありますならば、三十年度予算の中にこれを入れる必要があるのではないか。しかし全体としての冷害の金融措置はそのわくが小さい。普通の年と違つて国有林風倒木処理ということを政府自体としてもう少し認識する必要があるのではないかという意味です。どうも認識が足りないのではないか。従来のような灰がまの助成、従来のような金融措置というように考えておられるのではないかと思う。国有林が民有林を圧迫したり、道有林を圧迫することはお互いに慎まなければならぬことでありますから、現地において北海道の需要を満たされる以上に木炭が出まわることは慎まなければならぬと思いますけれども、こういう運搬賃のかかるような木材の、取扱いとしては、できるだけ製品として運搬させることが最も有効適切な処理方法だと思うのです。そこで少しくらいの助成ではなくて、積極的にやることが、この風倒木処理の重要な案件である。この点を指摘しておる。二十九年度においては別だが、三十年度においては補助、助成をするという考え方が今ないかどうか。この点です。
  101. 奥原日出男

    奥原政府委員 三十年度において炭がまの構築に対する補助金を計上することは、まだ三十年度の予算が大蔵省の方から内示もいただかないような段階でありますので、どうなるか、はつきり申し上げかねますが、われわれといたしましては、少くともそれらの炭がまの普及に対しては、できる限りの助成等の措置を講じて参りたいというような考えを持つております。
  102. 川俣清音

    ○川俣委員 私のお尋ねしておるのは、大蔵省から内示がないというのではなくて、原局として、こういう風倒木処理には、こういうことが適切な一つの処理方法でであるということを掲げて、予算要求をする腹かどうか、その実現に向つて努力するつもりかどうかという点を聞いておるのです。
  103. 奥原日出男

    奥原政府委員 われわれといたしましては、予算の段階で、これらの折衝にあたつては、川俣先生からお話のありましたような趣旨を、できる限り尊重して生かして参りたいと考えております。
  104. 本名武

    本名委員 関連してお伺いいたします。私午前中おりませんでしたので質問が重複するかもしれませんが、その点はあとで議事録を見ることにして省略していただいてけつこうですから、一、二点伺いたいと思います。先ほど川俣委員からお話がありましたが、需給調整と価格維持の問題について不安でならないので、この点もう一ぺん念を押しておきたいと思います。直営生産により需給の調整をはかり、しかも価格を維持して森林の再生産に支障のないようにするという御熱意はよくわかりますがただ直営生産材だけをその需給の対象にして強く取上げて、もし民営生産調整の面に手抜かりがあるとするならば、せつかく林野庁で御苦心になつても、この一角から価格がくずれ、需給のバランスを失して来るということが起きはしないかと思います。たとえばこれだけの風倒木処理するのに、まずこの冬山から民営、直営で伐採にかかつて、それに要する資金はどうまかなわれるか。これは先ほど石谷部長さんのお話もありましたが、相当の御準備はなさつておられると思いますが、遺憾ながら民営材においては、これが十分なされていないということは否定できないと思います。その結果はどういうことになるかと申しますと、まず木代金に影響するか、さもなければ生産された品物を安く売つて資金を獲得するか、あるいは生産費の支払いを詰ませるか、いずれかの方法がとられると思うのでありますが、こういうことを考えますと、私は二百二十五万石の内地への航送、その他道内における需給の調整はけつこうでありますけれども、民有材から来るところの価格の変動ということに対して、指導官庁として民営の金融の面にも相当力をいたさなければ、この大きな問題は解決されない、価格の維持、需給の調整はできないと思うのでありますが、これらの点について林野当局として、金融指導の面から今まで民有材に対してどういう手を打つておられるか、簡単に要点だけをお答え願たい。
  105. 石谷憲男

    ○石谷説明員 需給の安定、価格維持の問題につきまして、民有林材に対する措置が完璧を期せられていない場合、その一角からくずれて参るという御説に対しましては、私どももまつたくその通りだと考えております。本年度の冬山造搬資金の問題でありますが、これは百一億何がし、これだけのものが完全に確保されませんと、立木代金の支払いもできなければ着業資金も得られない。さらに造船用の資金の確保も困難だということで、これは毎年のごとく北海道においては冬山生産のための必要な資金計画ということが東京にも持ち寄られまして、いろいろと私ども相協力いたしまして資金調達の問題を解決して参つたのでありますが、本年度といたしましては、何といいましても将来の見通しというものが非常に不安定だということと相関連いたしまして、道内における資金調達の問題が、従来道内の金融機関等で資金を調達して参りました問題がそういう点から非常に不安定のままで行つておるということにつきましては、かねてから中央におきましても、そういう風倒木処理に対しまして特別なる金融措置というものを中央問題としてやつてもらいたいということを、大蔵省銀行局並びに日銀当局にも申入れまして、原則的にはこの問題の処理について非常にいい了解を得ておつたのであります。要するに既定計画の上にはみ出す風倒木処理の分だけについての増加資金需用というものについては、やはり一応現地において話を完全に煮つめて来て、それからその問題の打開策として中央に問題を移すべき順序があるのじやないかという相当の機関の示唆もありました。事はその問題の推進もかねまして、先般林野庁から関係者も現地に派遣し、私も現地に参りまして、各金融関係者とも懇談を遂げて参つた、こういうことで進めておるわけでございまして、当然これだけの問題が解決されませんと、この処理の一角に大きな穴が明いて来ることになりますので、立木処分の場合につきましても、私どもは私どもの問題として、その資金面の相談にも十分協力して参りたい、かように考えております。
  106. 本名武

    本名委員 御努力なさつていることはわかるのですが、私伺つていますと非常に抽象的であつて、実はかゆいところに手が屈かない。その結果が非常に問題をかもしたのではないかと思いますが、お説の通りに価格不安定が金融に支障を来し、また将来の需要者に対して一つの思惑を生ぜしめるために、せつかくの調整材もあるいは無意味になりはしないかということを心配するわけです、私はその問題について深くはここで論じようとは思いませんけれども、実は卑近な例ですけれども、民有林以外のいわゆる国有林処分を受ける民営業者には、系統金融機関というものが、大体において商工中金いわゆる協同組合法によるところの金融機関しかないわけです。もし商工中金に資金源その他の関係で支障がありとすれば、十分なものは得られない。それでは一般銀行から借りたらいいじやないか。一般銀行は今部長のお話の通り、価格の不安定、あるいは需給面で生産過剰を見越しての需要者の買いどめなどのために、一向融資をしない。このことは資金がなくなるばかりでなく、もし得られたとしたならば非常に高い金利のものを使うか、さもなければ生産地もコストを割つて売らなければならないということは明らかです。こういう段階における生産者の経済心理と金融業者の経済心理はまつたく相反した方向一で進んでおる。ここに今日価格の維持の上に支障を来す原因があるのではないかと思います。この点将来とも国有林は民営の協力を得なければならない。この機会にひとつ林業に対する金融系統というものを林野庁責任をもつて検討される段階ではないかと思われるので、この点だけを一応申し上げておきます。またこれに対して御意見があつたらあわせてお答えをいただきたいと思います。  それからこの機会にちよつとお伺いしておきますが、今回の冷害に対して、救農土木事業費として林野庁に予備費あるいは補正増で八億五千万円計上された。私の知るところでは、そのうちすでに冷害前に使われたものもありはしないか。それはともかくとして、一体この金が実際救農事業として、冷害を受けた農民の賃金収入になる金額はどのくらいか、林野庁ではこの金額は非常に大きく取り上げて、救農事業費にどれだけのものを出したのだというような大きな声を出しておりますが、私の知るところでは、おそらくこれらの林野事業から救農費に向けられるものは、なるほど農家の方が就労して賃金をとる、その金額が相当なものに上るとは思います。しかしながら、これは例年冷害があつてもなくても出かせぎに行く経験もない、あるいはまたふとんを背負つて地理的に不便なところまで行くだけの意欲がない、こういつたいろいろな問題があろうと思うが、こういうものに対して実際において冷害災害を受けた農民に対して、どれだけの賃金収入が与えられるというお考えであるか、その数字の見当を伺いたいと思う。
  107. 石谷憲男

    ○石谷説明員 実は本年度は、御承知のように春季風倒被害がありまして、これを緊急に処理いたします。ために、予備費の流用を御承認いただいたわけであります。それからこの九月、風倒処理をいたしますために予備費の流用承認並びに節約解除を得まして五億五千万円、先ほど先生のおつしやいました八億何がしというものが、当初の予算に対しましては別に出たわけでありますが、もうすでに春季風倒処理等の問題につきましては、こういつた事態に立ち至らぬ前に、相当事業の進捗を見ておることと、それから特にあれが伐木あるいは用材搬出という特殊な仕事主体があります関係上、これらのものはいわゆる冷害を受けた地域の農山村の方々の現金収入として計上できないという特殊のものもあるわけであります。当然引かなければならぬのですが、私どもはすでに使われましたもの、あるいはそういう特殊労務のものをのけまして、約五億くらいが特に冷害に対するものとして考えられるものじやなかろうかと考えております。ところがこれととてもなかなか的確に、ほんとうに被害をはげしく受けられた地域にまわるという正確な予算にはなりませんので、事は本国会の補正予算の国有林事業特別会計の中におきまして約四億の冷害対策の経費を計上して、御審議をいただくことに相なつておるわけでありますが、それがその通りに御承認いただけるということになりますと、三億は北海道において約全額使いたい。これは極端な言い方をしますと、老人婦女子でもやれるような造林地の除伐とか手入れの仕事、並びに来年度仕事の準備といたしまして、林道用のじやりの採取、こういうような相当大幅な対象でできるような内容仕事を計上いたしまして、四億出しておるようなわけでございます。
  108. 本名武

    本名委員 実はこの間私現地へ行つて見て来まして、すでにもう救農的に、今お話のじやり採取その他のものに使われたことを見て非常に喜んだのです。そこで局へ行つて今後どの程度に伸びるかということを聞いたところが、非常に――まあこんな話をしていいかわかりませんが非常に心ぼそいのです。それから今予備費と補正予算の中から五億ぐらいは救農に使われるだろうと言う。ところが部長さん実際はこれだけは絶対に使われないのです。それは名目としては、部長さんも大蔵省から金をとる都合上、そういうことを御答弁なさらなければならないと思うのです。私はそういうお気持でやつていただいて、五億が一億か一億五千万円しか使われなくてもそれはやむを得ないけれども、実際においては使えないのだという実情をよくお考えになつて、少しでも多く使えるような方法を事業計画の上に載せていただきたいことと、大蔵省に対してもあまり希望的な数字は述べられない方がいいんでないか。私どもはあとでまた行つてどの程度に救農のために使われているかよく調査したい。これは来年のこともありますので、よく検討したい、そういう意味でひとつ善処いただきたいと思います。  ついでですから関連して伺いますが、先ほども川俣委員から炭がまの問題が大分言われております。この間私大蔵省へ行つていろいろお話したら、これはじようだんに言つたと私は信じたいのであるが、実は林道や炭がまの補助については、林野庁にちやんと予備費から出してあるからその中から使うのだからいらないこう言うのです。そうなると御承知の通り風害を受けた道有林初め民有林の復興ということはなかなかできない。それから冷害対策としての農村に対する炭がまの構築ということはできない。全然別のものを一緒に考えられて、その中から使えなんといつたつて使えるものじやない。この機会に指導的な立場にあられる林野庁としては、林野に対する復興費にそれだけの予算がいるんだ、林道に対して、炭がまに対してそれだけの施設をすべきだ――たまたま予算委員会に補正予算が審議中でありますが、この機会にこれだけのものを強く要請されて、それらの予算獲得のためにひとつお骨折りをいただきたい。まあこれはお願いになりますけれども、そのことについてどういうお考えか承りたい。
  109. 石谷憲男

    ○石谷説明員 御趣旨のほどはよくわかつておりますのでそのように努力いたします。
  110. 中澤茂一

    中澤委員 これは資料要求ともなるんだが、北海道はこれだけぶつ倒れたのだし、非常時体制をしがなければ、三箇年計画では間に合わない。そこで内地の需要量というものは当然縮減をしなければならぬ段階に来ているんじやないか。そこで今までの内地直営事業量並びに北海道の今度の三箇年については、非常時体制をとつた場合、内地の縮減量をどのくらいな計画に一体縮減したかということですね。北海道の三箇年計画は大体わかりました。それをひとつすぐわかつていれば御答弁でもよいし、また今すぐわからなければ資料でひとつ、直営事業はこういう縮減計画を立てたのだ、内地北海道の関連において林野庁全体の計画をちよつと教えておいていただきたいと思います。
  111. 石谷憲男

    ○石谷説明員 ただいま中澤先生の御質問、私どもといたしまして、まつたくその点を十二分に考えなければいかぬ一番重要な点であろうと思うわけであります。そこで私どもといたしまして当然、これだけの大風倒被害北海道という極地に集中されて起きたのでありますから、まず第一に北海道の各地域既定計画により立木の、要するに風倒被害を受けなかつたものの伐採抑制に極力振りかえをして行きたいということと、それから特に三十年度におきましては、年度の当初から計画的にこれらの仕事処理できるわけでありますので、それらの関係を内地にまで及ぼしまして、できるだけの節木に努めたいというわけでいろいろやつたわけでありますが、それにもかかわりませず依然として、先ほど申し上げましたように、相当大量なプラス・アルフアの伐採をしなければならない、こういう結論に至つたわけであります。まず大ざつばな数字を申し上げてみますと、北海道内地とを含めて、既定計画の伐採を変更いたしまして、そうしてそれだけのものを全部風倒木に振り向けるという措置をいたしましたが、数量は約八百石でございます。それでこれは極力いたさなければならぬわけでございますが、いろいろと現実の問題といたしまして急速に、しかも大幅に、従来の計画をどんどん一方的に落して行けないという事情もありますので、あるところで頭打ちをいたしまして、北海道内地を含めて既定計画によるものを八百万石というふうに御了解願いたいと思いますが、そのうちで内地のものは、大きな数字で申し上げますと、約百一、三十万石程度に相なるのではないかと思つております。いずれ資料は詳細な数字につきまして御説明申し上げたいと思います。
  112. 中澤茂一

    中澤委員 内地が百二、三十万石ということになると、今までの内地の量というものは、私よく知らないんですが、どのくらい縮減になるのですか。
  113. 石谷憲男

    ○石谷説明員 約五%でございます。
  114. 中澤茂一

    中澤委員 五%というと、今までは百二、三十万石の五%増をやつていたんですか。
  115. 石谷憲男

    ○石谷説明員 百一、三十万石だけが圧縮する数量であります。それが従来の計画の約五%に当る数字になつております。
  116. 川俣清音

    ○川俣委員 関連して。今の節減はよくわかるのですが、これは最も考慮しなければならぬのは、用材でなくて、パルプ材及び坑木だと思うのです。これを目標に需要の方を削減しなければならぬと思うのですが、この点はどうですか。
  117. 石谷憲男

    ○石谷説明員 私どもといたしましても、一応内地に輸送販売をしようと考えておりますのは、主として中経材、若干小経材を含めて一般建築用材、建具用材並びに梱包用材でございます。そこでそういうふうなものと競合いたしますような樹材種のものを極力節伐の対象にして参りたい、かように考えております。
  118. 芳賀貢

    芳賀委員 休憩前における私の質問に対しまして林政部長の御答弁があつたわけで、最終的には見解の一致を見たようでありますが、なおこの問題は、実施面において非常に重大な点もあると思いますので、石谷業務部長も出席しておられるので、なおあわせてこの点を最終的に確認しておきたいと思います。  私の指摘した点は、この法律に基く払下げをする場合において、林政部長の当初のお考えによると、製品のみを払下げする原則の上に立つておる。しかし後段においては、受入れ態勢が整つておる市町村に対しては立木払い下げを行うというようなご説明があつたわけでありますが、この法律内容の中には明らかに「北海道における国有林野の樹木で昭和二十九年五月及び九月の暴風雨によつて著しい被害を受けたもの又はこれを材料とする製品」とありますので、この前段の「被害を受けたもの」というのは、いわゆる立木をさしておると私は判断しておるわけです。「これを材料とする製品」と二つに区分されておるので、この点はいささかも疑点はないと思うのでありますが、なお事業の実施面を批難せられておる石谷さんも、相通じてこの点は御確認を願つておきたいと思いますが、いかがですか。
  119. 石谷憲男

    ○石谷説明員 仰せの問題点につきましては、私どもといたしましては、当然立木処分というものも従来からさらに減らない規模でやられて参るということに相なるわけであります。当然製品処分の場合もあれば立ち木処分場合もあるということに考ておるわけでございます。
  120. 井出一太郎

    井出委員長 ちよつと速記をやめて……   [速記中止]
  121. 井出一太郎

    井出委員長 速記を始めて。他に質疑はありませんか。
  122. 川俣清音

    ○川俣委員 この際一点だけ追加お尋ねしておきます。北海道風倒木処理について直営でおやりになるのが大宗でありますが、これの助成措置として立木処分を計画されております。この立木処分の中に、公共企業体に対する処分もありましようし、また一般木材界等に対する売払い処分もあり、あるいは入札等も行われると思いますが、この中には森林組合等の事業団体を活用してしかるべき場合においては活用せられる余地があるのではないかと思いますが、これに対する御意見を承りたいと思います。
  123. 石谷憲男

    ○石谷説明員 風倒木処理を含めまして売払いの規定に照らしまして、売払い可能なものに限りましてはこの森林組合の力を勘案いたしまして十分に活用の余地はある、かように考えます。
  124. 井出一太郎

    井出委員長 他に質疑がなければ、ただいま芳賀貢君より、北海道における国有林野風害木等売払代金納付に関する特別措置法案に対して修正案が提出いたされております。この際本修正案について提出者の趣旨弁明を求めます。芳賀貢君。
  125. 芳賀貢

    芳賀委員 ただいま議題となつております北海道における国有林野風害木等売払代金納付に関する特別措置法案に対する修正点を申し上げたいと思います。  まず案文を朗読します。   北海道における国有林野風害木等売払代金納付に関する特別措置法案の一部を次のように修正する。   第一項第二号中「政令で定める農林漁業用施設」を「住宅又は政令で定める農林漁業用施設」に改める。  これは本日の本法案に対する質疑を通じてもおよそ明白になつた点でありますが、今回かかる特例を設けて、一面においては、国有林野被害木処理促進せしめ、一面においては地域内におけるところの被害者に対する用材払下げ等を行うことについて、できるだけその適用を拡大して災害救済意味もあわせて十分実施するためには、ただいま申し上げたような点の修正がぜひ必要であるということを感じまして、修正案を提出した次第であります。
  126. 井出一太郎

    井出委員長 これより討論に入るわけでありますが、別に討論の通告もないようでありますので、討論を省略してただちに採決いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。     [「異議なし」と呼ぶ者あり]
  127. 井出一太郎

    井出委員長 御異議なしと認めます。  それでは北海道における国有林野風害木等売払代金納付に関する特別措置法案について採決いたします。  まず本案に対する修正案について採決いたします。本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔総員起立〕
  128. 井出一太郎

    井出委員長 起立総員。よつて本修正案は可決せられました。  次にただいまの修正部分を除く原案について採決いたします。これに賛成の諸君の起立を求めます。     〔総員起立〕
  129. 井出一太郎

    井出委員長 起立総員。よつて、本案は修正案のごとく修正議決すべきものと決しました。  なおこの際本案に対して福田喜東君より附帯決議を付したいとの提案がなされております。福田喜東君。
  130. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 ただいま成立いたしました北海道における国有林野風害木等売払代金納付に関する特別措置法案に対する附帯決議を皆様の御賛同を得て提出いたしたいと思います。まず案文を読みます。   北海道における国有林野風害木等売払代金納付に関する特別措置法案に対する付帯決議政府は、本法施行にあたり左記の点に留意して運用すること。     記   北海道以外における国有林野風害木等を売り払う場合においても、その売払が本法に規定する場合に該当するときは、担保提供を免除し、かつ利息を附さないで代金加納の特約をすること。 以上でございます。その趣旨は皆様すでにおわかりのことと存じますので、説明は省略いたします。
  131. 井出一太郎

    井出委員長 ただいまの附帯決議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  132. 井出一太郎

    井出委員長 御異議なしと認めます。よつてこの附帯決議を付するに決しました。  なおお諮りいたしますが、本案に対する衆議院規則第八十六条の規定による報告書の作成に関しましては、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  133. 井出一太郎

    井出委員長 御異議なしと認めさようとりはからいます。     ―――――――――――――
  134. 井出一太郎

    井出委員長 この際お知らせいたします。ただいま佐藤洋之助君外二十四名提出水稲健苗育成施設普及促進法案が、本委員会に付託になりました。これより本案を議題といたし審査に入ります。まず本案の趣旨について提出者の説明を求めます。佐藤洋之助君。
  135. 佐藤洋之助

    ○佐藤(洋)委員 ただいま議題となりました水稲健苗育成施設普及促進法案につきまして、提案の理由を御説明申し上げます。  米の生産を増加いたしますことは、わが国における国内食糧自給度の向上及び国際収支の改善等経済自立上、喫緊の要件でありますとともに、農家経済の安定上からもきわめて重要な施策であることはいまさら申し上げるまでもないところであります。  わが国における米の主要生産地帯であります北海道、東北等寒高冷地域の稲作は、その生育期間の気温が低く、かつまた、積雪多量などのため、稲の生育期間が短かい上に、夏期の低温及び冷水灌漑等により、受精障害並びに生育遅延による登熱の障害を起しやすく、冷害を受ける危険が多分にあり、水田の生産力は不安定でありますとともに、またはなはだ低位であります。また、これらの気象的条件により、水田の利用率は低く、経済的にもはなはだ立ち遅れの状況を来しているのであります。これらの地域の水稲作を安定し、その増産をはかりますための耕種法改善策としては、第一に早播、速い早植により健苗の育成をはかることがきわめて必要であることは周知の通りであります。幸い健苗の育成につきましては、農家のたゆまざる努力とこれに対する農業技術者の協力によりまして、温床苗しろ、保温折衷苗しろの、ごとき画期的な育苗方法の研究完成を見、これに対する数年間の熱心な奨励と国の助成とにより、著しい普及を見るに至つたのであります。特に昭和二十八、二十九年度冷害に際し、この苗しろによつたものはその効果を一段と発揮し、米の生産増加と減産防止に著しい効果を収めて参つた次第であります。  しかしながらこれが普及状況をしさいに検討いたしますと、水稲の健苗育成施設の実施を最も必要とする寒高冷地域に対する普及度はいまだ不十分であり、かつこの地域農家の経済力は一般に低位にありまするので、この地域に対しましては、今後重点的かつ計画的に、一層の普及の促進をはかりますことが刻下の急務であると考えられるのであります。  かような事情にかんがみ、今後一貫した計画のもとに、これらの適応地域に対し、健苗育成施設の普及促進をはからんとするのが本法律案提出するに至つた理由でございます。  以下、この法律案内容について概略御説明申し上げます。  第一は、水稲健苗育成施設の普及を必要とする地域及び地区の指定でありまして農林大臣は、積雪はなはだしくまたは水稲の生育期間における気温もしくは水温が著しく低いために、その区域内の水稲作が不安定または低位である都県道府の区域の全部または一部を寒高冷地域として指定し、この指定に基き、都道府県知事は管内市町村の区域の全部または一部を寒高冷地区として指定することにより、水稲健苗育成施設の普及を重点的かつ計画的に実施し、事業を効果的に遂行しようとするものであります。  第二は、水稲健苗育成施設普及計画の樹立であります。寒高冷地区の指定を受けた市町村長は、農業委員会の意見を聞いて水稲健苗育成施設の普及計画を定め、都道府県知事に提出しますとともに、都道府県知事は市町村の普及計画を参酌して都道府県の普及計画を樹立し、農林大臣に提出し、農林大臣は都道府県知事の計画を参酌して国の計画を定めることとしようとするものであります。しかして、水稲健苗育成施設の普及促進は、この計画に準拠して行われることになるのであります。  第三は、国の普及計画実施のため必要な経費の予算への計上と、補助金の交付奨励措置または指導監督の助成でありまして、政府をして、都道府県に対し市町村が水稲健苗育成施設の普及計画を実施する農家の資材購入に対して補助するのに要する経費の全部または一部を都道府県が市町村に対し補助するための経費並びに都道府県が当該都道府県の普及計画を実施するために必要な経費に対し補助金を交付せしめますとともに、普及計画を実施するために必要な資金のあつせん等、事業施行に必要な諸般の措置を講ぜしめようとするものあります。  なお、本法の有効期限は一応これを昭和、三十五年三月三十一日までといたしております。  以上が本法律案内容の大要であります。何とぞ慎重御審議の上すみやかに御賛成を得られますよう切望する次第であります。