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1954-12-01 第20回国会 衆議院 農林委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年十二月一日(水曜日)     午前十一時七分開議  出席委員    委員長 井出一太郎君    理事 佐藤洋之助君 理事 綱島 正興君    理事 福田 喜東君 理事 吉川 久衛君    理事 芳賀  貢君 理事 川俣 清音君       秋山 利恭君    佐藤善一郎君       田子 一民君    松岡 俊三君       松野 頼三君    安藤  覺君       伊東 岩男君    本名  武君       淡谷 悠藏君    井谷 正吉君       中澤 茂一君    中村 時雄君  出席政府委員         農林政務次官  羽田武嗣郎君         農林事務官         (農林経済局         長)      小倉 武一君  委員外出席者         農林事務官         (大臣官房長) 渡部 伍良君         専  門  員 難波 理平君         専  門  員 岩隈  博君         専  門  員 藤井  信君     ————————————— 十二月一日  委員永井勝次郎君辞任につき、その補欠として  井谷正吉君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 十一月三十日  昭和二十九年の台風及び冷害被害農林業者に  対する資金融通に関する特別措置法案内閣  提出第六号)  自給肥料増産特別措置法案杉山元治郎君外十  二名提出、第十九回国会衆法第二三号)  農民組合法案足鹿覺君外十二名提出、第十九  回国会衆法第二五号)  繭糸価格安定法の一部を改正する法律案内閣  提出、第十九回国会閣法第一八二号) の審査を本委員会付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  国政調査承認要求に関する件  昭和二十九年の台風及び冷害被害農林業者に  対する資金融通に関する特別措置法案内閣  提出第六号)     —————————————
  2. 井出一太郎

    井出委員長 これより会議を開きます。  第二十臨時国会の最初の委員会でありますので、まず国政調査承認要求の件についてお諮りいたします。本国会はこの農林委員会といたしましては、先国会以来閉会中も引続き調査をいたして参りました本年の農林災害に関する対策が重要なポイントをなすものと思われます。しかしてこれがための議案も本日の公報に掲げておきましたように、すでに一件付託と相なつております。しかしながら政府において予定いたされておる災害対策法案のみで、なお完全を期し得られない点もあるかと考えられますので、あるいは本委員会といたしましては、さらに調査の上、新たな立法の措置が必要になるかとも考えておる次第であります。なおまた食糧管理の問題、肥料繭価格、農地の問題等緊急な問題もありますので、これらの点についても調査を進める必要があると存じます。     —————————————
  3. 井出一太郎

    井出委員長 途中でありますが、ただいま英国訪日議員団の方々が見えられましたので、委員会といたしまして歓迎の意を表したいと思います。どうぞ拍手を願います。     〔拍手
  4. 井出一太郎

    井出委員長 僭越ながら、議員団各位を私から御紹介申し上げます。  団長 ゴツドフレー・ニコルソン氏     〔拍手〕  バーゲン・パウエル卿     〔拍手〕  ノエル・バツクストン卿     〔拍手]  ジヨーン・エドワーズ氏     〔拍手〕  ロバート・C・D・ジェンキンズ氏     〔拍手]  フレツド・ブラツク・ハーン氏     〔拍手〕  I・M・ホロビン氏     〔拍手〕  フランク・トムニー氏     〔拍手〕     —————————————
  5. 井出一太郎

    井出委員長 それでは継続いたします。つきましては衆議院規則第九十四条によりまして議長に対し調査承認を要求いたしたいと思いますが、その調査事項はただいま申し上げましたほか、おおむね先国会通りとして要求するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 井出一太郎

    井出委員長 御異議なしと認めます。なお調査方法調査期間等に第一号つきましては先国会通りにいたし、その要求手続委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 井出一太郎

    井出委員長 御異議なしと認め、さように決しました。     —————————————
  8. 井出一太郎

    井出委員長 引続き昨日本委員会付託になりました内閣提出昭和二十九年の台風及び冷害被害農林業者に対する資金融通に関する特別措置法案を議題といたし、審査に入ります。  まず本案の趣旨について政府説明を求めます。羽田農林政務次官
  9. 羽田武嗣郎

    羽田政府委員 ただいま提案になりました昭和二十九年の台風及び冷害被害農林業者に対する資金融通に関する特別措置法案提案理由を御説明申し上げます。   本年は水稲の分蘗期において低温等のため全国的に作物発育がきわめて悪く、一時は凶作が予想されておりましたが、その後に至り予想外の高温と晴天とが続きましたために作況はとみに回復したのであります。ところが、不幸にして、八月以降第五号、第十二号、第十三号、第十四号さらには第十五号と引続き台風の襲来を受け、相当広範な地域にたわり災禍に見舞われ、また北海道及び東北地方の一部では発育期低温障害により作物に受けた打撃を遂に回復できず、これまた昨年に引続き冷害をこうむりましたので、これら災害地被害農林業者現金収入は、平年に比し相当下まわり、その経営の維持の上からきわめて憂慮すべき事態に立ち至つていることは、各位の御承知の通りであります。政府は、この事態に対処して、農林漁業施設の復旧については国庫の補助及び農林漁業金融公庫融資によりまして対策を講ずる一方、救農土木事業を行う等農林業者現金収入の道を開くことにいたしておるのでございますが、さらに披露農林業者が今後その経営を維持するために必要な資金が円滑、かつ、低利融資されるための措置を講じて、被害農林業者経営の安定をはかる目的をもつてこの法律案提出した次第であります。  次に本法律案内容概略を御説明申し上げます。まず、この法律案による経営資金の借入れを受けることのできる者は、前に申し上げました今年の台風及び冷害のため平年作に比し三割以上の農作物減収があり、かつその減収による損失額農業収入額の一割以上である農業者または台風及び冷害のための林産物の損失額が平年の林業収入額の一割以上である林業者もしくは台風により炭がま等が著しい被害をこうむつた林業者でありまして、経営資金の使途は種苗、肥料、飼料、薪炭原木等の購入、炭がまの構築その他となつております。貸付額限度は、内地では七万円、北海道では十五万円が最高でありますが、牛馬を所有する農家にはさらに三万円を加算することとしております。償還期限は、原則として二年以内でありますが、開拓者その他特に著しい被害を受けた者に対しては、政令の定めるところにより五年までの期間を認めるものとし、また利率については原則として年六分五厘以内とし、開拓者その他特に著しい被害を受けた者に対しては、政令の定めるところにより年五分五厘にいたすこととなつております。  次にこの資金貸付は、農業協同組合森林組合または金融機関から行われ、農業協同組合または森林組合は、このために必要な資金都道府県信用農業協同組合連合会森林組合連合会または農林中央金庫から借り入れることができます。そこで地方公共団体がこれらの融資機関に対し利子補給及び損失補償を行う場合に、国がその経費の一部を都道府県に対し補助しようとするものであります。  利子補給については経営資金貸付利率に応じて地方公共団体が年五分ないし六分を補給した場合に国はその半額すなわち年二分五厘から三分までに相当する額を補助し、損失補償については地方公共団体融資総額の四割までの補償をした場合に国がその二分の一を補助するものであり、国の補助の対象となる融資総額は八十五億円を限度としております。  なお、昨年の台風第二号、風水害または冷害被害農林業者で今年重ねて被害を受けたものの貸付を受けている経営資金の今年度償還分については、その償還の猶予にかえて、従来と同じ条件で借りかえを認めることとするため、この法律案附則において、前述の各災害関係経営資金融通に関する特別措置法の一部を改正しようとするものであります。  以上がこの法律案提案理由並びに内容概略であります。何とぞ慎重御審議の上すみやかに御可決あらんことをお願いいたす次第でございます。
  10. 井出一太郎

    井出委員長 質疑の通告がございます。順次これを許します。芳賀、貢君。
  11. 芳賀貢

    芳賀委員 ただいま提案理由説明農林次官よりありましたが、この法律案は今年度災害対策一環として政府が御提案なつたものでありますが、この法律案内容を見ますと、ほとんどが昨年の凍霜害の場合の経営資金貸付あるいは大水害による貸付あるいは冷害融資等の前例とやや軌を一にしておるわけであります。しかしながら昨年の法律案内容と比べると、具体的な実施面において明確を欠くような点がありまして、その点に対して二、三農林次官を通じて明確なる御説明を願いたいと思うのであります。  昨年の場合におきましては、この融資条件として、被害程度限界を明記したわけでありますが、昨年度は、被害の度合いによりまして償還年限あるいは貸付利率種別等が明確に決定になつておつたわけでありますが、本年度の場合においては、ただ単に、償還年限の場合においては五箇年以内、利率の場合においては六分五厘以内ということになつておるわけであります。昨年度は、被害の甚大なる地帯に対しては、主として五箇年間の三分五厘の利子ということになつておつたわけでありますが、本年度はこれらの区分は非常に不明確であります。なおただいまの説明にもあつた通り、前年度災害を受けた地帯が本年度もまた、重複して被害を受けておるという地帯が非常に多いわけであります。ですからこの重複被害地帯に対しては、特にいかなる取扱いをするというようなことも、当然この法の条文等の中において明記すべきであつたというふうに私どもは考えるわけでありますが、まずこの点に対する次官の御見解をお伺いしたいと思います。
  12. 羽田武嗣郎

    羽田政府委員 この法案は言うまでもなく本年の災害対策一環というよりか、一つの重要なる柱として提案をいたしたのでございます。それから去年の法律に比して、規定において明確を欠くという御指摘でございますが、去年のことにもなりますので、その比較については事務当局より申し上げることにいたしたいと存ずるのでございます。  それから利率につきまして、去年は最低三分五厘がことしは五分百五厘というふうに規定をして、利率が去年に比して高いのではないかというような御趣旨の御質問であつたと存じますが、これらの点につきましては大蔵省とも十分討議をいたし、農林省としてはこの被害農家のためにできるだけ安い利率にいたしたいと考えたのでございますが、去年の貸付実績において、あまり安い利子のためにかえつて富裕農家はこれをまた貸しをして、利ざやかせぎをしたというようなことが、全般的ではございませんでしたが、若干ございました。そういうようなことで三分五厘というようなあまり低利にすると、かえつて富裕農家を利するだけである。われわれがほんとう救済をいたさなければならぬ貧農家に行かないで、富裕農家を利するということであつては、この法律目的を達することができない。そういうことで正義と公平を期する意味においてまた三分五厘というのは実態においてやや遺憾の点があつたというようなこともございまして、五分五厘というふうな利子を定めることにいたしたのでございます。去年との比較等につきましては、事務当局より申し上げることにいたしたいと思います。
  13. 芳賀貢

    芳賀委員 ただいま農林次官から、利子を安くすると富農対策になるというようなお話がございましたが、この法律案の本庁は、別に富農対策とか、貧農救済という意味法偉業ではないのであります。今年の冷害によつて、あるいは台風によつて被害を受けた農家ということになつておる。ですから被害農家であるかどうかという限界は、この法案の中にも明記してある通り作付面積の中において三割以上の作物減収を来しておる、あるいは総収入の面において一割以上の減収であるということが明らかになつた場合においては、この資金を借入れすることのできる条件がそこから生れて来ておるわけです。ですから利子を高くすればほんとうに困つている農家が助かるかというと、これはまつたく逆じやないかと思う。災害を受けない通常の場合においても、今の日本零細農の中においては、生活の安定というものはなかなか確保しがたいのであります。ことしのような異例なる災害を受けた場合においても、もしも農作物等に対する国の災害補償制度が完全なものであれば、こういう金に依存する必要はないわけですが、そういう方法がまつたく講ぜられておらぬわけです。ですからこれらの資金措置等に対しては、でき得れば国が全額利子補給をして貸付を行うのが建前であるというふうに考えられるわけでありますが、そういうふうに行かぬ面もあるので、一部国が負担するということになると思うのであります。ですから、利子が安ければ富農救済になるとか、富農の方面によけい資金が流れるとかいうようなことは、これは法律の精神からいつてそういう憂いはないのではないかというふうに考えられるわけであります。ただ末端に政府資金等を流す場合においては別でありますが、政府はただ単に一部の利子補給ないし損失補償だけをするということにして、資金源というものはまつたく農村における系統融資にたよつているわけです。ですから、そういうところにむしろ運用上の悪弊が生ずるのじやないかというふうに考えられるわけでありまして、昨年の資金融通行つた場合の現地における貸付状態等に対しては、反省を要する点が多々あると思いますけれども、しかしそのことを理由にして、昨年の場合においては利子が低率に過ぎたから、そこに欠陥が生じたということを最大の理由にしてことしの利率の引上げを行うということは、これは本質、的に筋が違うじやないかと私は考えるのでありますが、その点に対してもう少し明快なる御答弁を願いたいと思います。
  14. 羽田武嗣郎

    羽田政府委員 御説は私どもよくわかりますが、ただ貸付の率が預金の利率よりも下まわるというようなことは、国家が補助金を出すという場合なら別でございますが、いやしくも金融というルールでやるということになれは、やはり金融原則に従うということが適正ではないか、こう存ずるのであります。     〔委員長退席佐藤(洋)委員長代理着席〕 御説のように、三分五厘を五分五厘にすれば貧農が助かるという趣旨ではなく、そういう逆説的におとりいただいたことは、私の説明が下手なためにそういうふうにおとりになつたかもしれませんが、そういう意味でもございませんし、また条件に適する者に対して金融をすることは、言うまでもなく法律規定に従つて行くわけでございます。ただ去年の実績を見ますと、これは政府立場としてでなく、私個人の立場から申しますが、何だ、あれは金持にはかり貸して貧乏人には貸してくれない、必要なところにはちよつとも金が来ないじやないかというようなごうごうたる非難が、私の郷里の冷害地である長野県においても非常に多うございまして、もつと政府の監督を強化して、そして貧農の方の必要とするところに金が行くようにしなければいかぬ。それをあまり低利だから、金持限度の十五万円まで借りてそれを今度は貧農のところに、人夫賃を担保にして、そして今度高い利子で貸したというような、そんなばかなことがあるかというような非難が、実は相当ありました。それで私は先ほどの答弁におきまして、そういう点を含みにして申したわけでありまして、とにかく金融でございますから、あくまでも金融の・ベースに乗るということが、これは何といつでも必要じやないか。さもなくて全額補助ということの政府の施策なら別でありますが、金融ということなら、金融ベースに乗つて行くということが当然のことのように私は考えているのでございます。
  15. 芳賀貢

    芳賀委員 羽田次官は何か勘違いをしている。この法律の中にも、三分五厘の利子では貸さないというのではなく、政令できめた分に対しては貸付をする。だから私はどうして六分五厘だけしか貸さぬのかということをただしていないのです。ただ六分五厘と三分五厘の貸付条件区分というものが明確さを欠いている。そういうことになると、実際運用面においてどういうふうにして具体的に貸し付けるかということが、当局においても困難になるのじやないかと思うのです。もう一つは、それを理由にしてほとんど高い利子の金だけを流して、低率の利子の金を流さぬというような事態が、これは必ず生ずるのじやないかという危惧がある。ですから二本建になつているということは、この中でやや消極的には示してあるわけですが、そうである場合においては、三分五厘の五箇年償還の分は、およそどのような条件に対しては適合するのであるということを、もう少し具体的にうたつた方がよかつたのじやないか。しかも去年の法律のいい事例がある。にもかかわらずこれを非常に抽象化して、解釈が不鮮明になるようなことに、ことさら力を注がれる意図というものがわからぬわけです。ですからこの点は、次官のお考えが少し食い違つておるようでありますが、すなおに法律内容の上に立つて、ことさら明確を欠くようにしたのはいかなる理由であるかということをただしておるわけです。次官がおわかりにならなければ官房長からお答えを願います。
  16. 羽田武嗣郎

    羽田政府委員 官房長からも申しますが、三分五厘は実は法案にないものですからあなたが誤解されておるのじやないかと思うのですが、あと官房長がお答えいたします。
  17. 小倉武一

    小倉政府委員 ただいまの芳賀委員お尋ねでありますが、この法案では利子を何分にするかということは直接には触れてございませんけれども、利子補給の面から二分五厘、政令で特に定める場合は三分となつておりまして、その点から実は六分五厘か五分五厘になるように私ども理解いたしております。従いましてこの法案のままでは三分五厘ということはできがたいのであります。  なお立つたついでに申し上げますが、先ほどお尋ねの昨年と違つております点は、ただいま申しましたように六分五厘が建前でありまして、開拓地等が五分五厘、ひどい所が三分五厘というのが去年でございました。償還期限がおのおの六分五厘の場合が二年、五分五厘の場合が三年、三分五厘の場合が五年というのが去年でございましたが、今度提案いたしまして御審議願つている法案については三分五厘、五年というもののかわりに五分五厘、五年というふうに考えておるのであります。
  18. 芳賀貢

    芳賀委員 小倉局長からの御説明がありましたが、私の申し上げたのは、これは直接の表現はないかもしれぬけれども、後段の方に、たとえば昨年の災害融資を返済できない農家に対しては再貸付する規定がうたわれておるわけなんです。それではお尋ねしますが、再貸付という言葉はどういうお考えでこの法律の中に挿入されたのでありますか。これは当委員会の小委員会のときと思いましたけれども、昨年の災害融資の返還不能の分に対してはいかなる取扱いをなされるかということをお尋ねしたわけでありますが、その場合において、二年ないし三年資金に対しては一年償還年次を延ばして、そして延納措置を講ずる、五年資金に対しましてはこれは猶予するという形で、あと残年度の四箇年にこれを配分して償還してもらうようにするという方針が明確になつておつたわけであります。これによりますと、融資総額の八十五億のわく内において昨年度償還不能分に対しては再貸付の道を講ずるということになると、昨年の場合においては三分五厘の金を貸しておるわけです。それを再貸付するということになると、やはりその条件の中においてもう一度実質的には延納のような形で貸し付けるということが妥当でありますが、この法律と混淆して処理するという場合においては、これはいかなる取扱いをなさる考えであるか、その点はどうなつているのですか。
  19. 小倉武一

    小倉政府委員 その点はお尋ね趣旨のようにできておるのでありまして、附則の三項、四項で前の法律改正をいたしております。従いまして前の法律改正でございますので、前の法律では三分五厘で貸している分は三分五厘で一年延期になる、四年の分は今お尋ねのように一年償還を延ばして返してもらう、こういうようなことにできるのでありまして、それは延期という形をとらずに、ただ借りかえをするという形でいたしておりますので、実質は今お話のようになつておるのであります。
  20. 芳賀貢

    芳賀委員 そういたしますと、昨年の分は前年度法律改正するという意味においてあわせてこれは出してある。直接には今年のは融資総額等に対しては何らの影響を持つておらぬというような解釈でいいわけですね。
  21. 小倉武一

    小倉政府委員 総わくが八十五億はこれは本年度の分でございまして、昨年の分を借りかえをする分は八十五億相当分であります。
  22. 芳賀貢

    芳賀委員 その点は了承いたしました。そういたしますと昨年の災害の分は、再貸付する場合においても前年と同じ条件で貸し付ける。今年の場合においては被害甚大な地帯に対しても五分五厘以下では貸付をしないということになると、問題は昨年度災害を受けて、今年またそれ以上の甚大な被害を受けた地帯が、この法律の適用を受ける地帯においては非常に多いと思うわけでありますが、それらに対するほんとう救済措置というものは、少くとも昨年と同一条件程度貸付をなさるのが当然でないかというふうに考えるわけであります。この点に対しては政務次官はどういうふうなお考えを持つておりますか。金融ベースということを言われましたが、普通の農家に貸す場合には金融ベースでもいいわけですが、これは異例な事態なんです。一年中苦労しても全然何もとれなかつた、そういう被害農家に対しても金融ベース云々ということをことさらに——去年と違う政府がやつておるならまだ話がわかるが、同一吉田内閣がやつておる場合において、今ごろ金融ベースなどを持ち出すことはちよつと理解に苦しむわけでありますが、その点に対して政府としての明快なる御答弁を願います。
  23. 羽田武嗣郎

    羽田政府委員 去年も災害を受けた所でまた今年重なつた場合においては、ただいま芳賀さんと小倉局長との間に質疑応答がありましたように、同じ条件で借りかえといいますか、続けて行くわけです。それからなお去年は軽微であつたが今年ははなはだしくなつたというようなものに対しては、五分五厘ではありますが、償還期間が五年ということになつて去年よりも長くなるので、そこでカバーしよう、こういうのでございます。それから同じ政府で去年の利率と今年の利率が違うではないかという御質問に対しましては、先ほどちようと申しましたようなぐあいに、去年は弊害がありまして地方においても非難をするものがあると同時に、またよく検討いたしましても、やはり五分五厘程度でしかるべしということになりまして、去年のものを修正いたした次第でございます。
  24. 芳賀貢

    芳賀委員 貸付条件が去年よりもいいと言うが、これはそうじやないと思います。昨年の場合においては五箇年あるいは二年というようにいろいろ種別がありましたが、冷害資金の場合においては全国の八割強が五箇年の資金ということになつておるわけであります。そういたしますと、今年度のお考えは、おそらく五箇年の資金は去年と逆に三割か四割しかお考えなつておらないのではないかと想像されるわけでありますが、ただ問題は、融資以外に政府は具体的な災害措置というものをほとんど講じていないわけであります。好んで返さなければならぬ資金だけに依存する必要はないわけでありますが、救農土木工事にしてもあるいは種子対策にしても、昨年行つたような諸般の災害対策というものは、今年度の予算等を通じてまつたく講じられておらないわけであります。そのしわ寄せが好むと好まざるとにかかわらず、できるだけ融資によつて一時を糊塗しなければならぬというような事態が生じて来るのであります。しかもこれは政府資金を貸すというのではなくて、わずかな利子補給損失補償を後日においてやるというだけにすぎないわけであります。そういう場合において、低率の利子の場合においては弊害が生ずる、その弊害の原因が那辺にあつたかということは農林当局においても御調査なつたので、その点はわかると思うのです。ですから今年度の場合においては、厳重にかかる弊害を除去するような措置を講ずるというのが当然であると思いますが、ただ単にそれを安易な考えによつて政府の財政的な支出を幾らかでも削減しようという意図のもとに、かかる理由をつけて、この高率の利子に切りかえる考えというものは、まつたく了承できないのであります。ただ問題は、こういう点に対して長い論争をする時間は、今度の臨時国会にはないのであります。ですから、政府の所信というものを明らかにしていただきまして、われわれはこれに対する審議の態度をおのずからきめなければならぬというふうに考えておるわけであります。ただ農林次官の御説明によると、利子を安くした場合には富農救済のような形になるから、利子を安くすることはできないという点と、金融ベースからはずれるからそういう方法は講じたくないのだという二点に尽きておるようでありますが、特にことしのような特殊地帯における重複した災害地に対して、このような取扱い政府の責任が十分尽せるかどうかということを、もう一度確認しておきたいのであります。
  25. 羽田武嗣郎

    羽田政府委員 先ほども御説明をいたしましたような理由でもつて、あなたの御趣旨には沿えませんが、政府としては、やはり合理性を持つた金融をすることがしかるべきではないか。救済という面では、また別な見地で強くする、今日は救農土木とかそういうことにおいて力をいたすべきではないか。やはり金融ということは、あくまでも合理性を持つたことの方がしかるべしだというふうに考えておるのであります。
  26. 川俣清音

    ○川俣委員 関連して……。今芳賀委員質疑した点について、政府答弁で非常にあいまいな点があると思うのです。今後私どもがこの法案を修正するかいなかという大きな基本に触れるのでありますから、お尋ねいたしておきます。  去年災害の激甚については三分五厘、今度は五分五厘ないし六分五厘にしたのは、一般金融ベースから変更したのであるとも言われておりますし、また説明の中には、去年の三分五厘による弊害を強く強調して変更するのだという表現でもあるわけであります。このいずれであるかということが明確ではない。そこで問題をもつと掘り進んでお尋ねいたしますが、農林の系統資金から出す場合においては、一般の金融ベースで貸すべきだという議論も成り立つと思うのです。しかし去年の三分五厘の弊害は、系統資金から出したところにあると思うのです。私どもは、この系統資金から出す場合においては金融ベースで出すと考えるべきだというならば、一応の説明にはなると思うのですけれども、弊害を除去しなければならぬという面からいいまして、問題はむしろ三分五厘にあるのではなくして系統資金融通する場合において一応のベースでなければならぬ、こういうのか。あるいは去年の弊害に懲りてかえるということになりますと、こういう金融系統、いわゆる農林の系統資金で貸すと昨年のような弊害が起きるのだ、こう突き詰めて来なければならないと思うのですが、どちらなんですか。
  27. 羽田武嗣郎

    羽田政府委員 御承知のようにこの資金は系統金融機関を通じてやるようになつておりますから、また農林のこういう資金は、その方法でないと銀行や役場という金融を扱うものにやらせるわけにも参りませんので、系統機関を通じて去年と同様にいたしたいと思つております。
  28. 川俣清音

    ○川俣委員 私の話しているのは、貸出系統を言つているのではなくして資金系統であります。いろいろ弊害が起きたという政務次官のあげられた例は、資金系統から来た資金をまた同一系統をもつて融資をするから、そうした弊害が起きて来たのです。早くいえば自己資金なのです。利子補給であつてあとは自己資金なのです。自己資金でありますと、いわゆる系統資金に多くの資金を流しておる方面がこの資金を借り得るというのが系統資金の流れ方、融資の仕方なのです。それ自体を認めておるならば、確かに資金源のあるところに資金が流れて行くという方式が実際上とられる。そこに去年のような問題が起きたと思うのです。三分五厘で起きたのじやないのです。たまたま三分5厘によつて拍車をかけられたということにはなるかもしれないけれども、そうじやないのです。これは政府資金であつてその災害状態の査定に政府が責任を負いますならば、昨年のような弊害が起きて来なかつたということです。災害の査定が政府の責任を持つた査定であり、しかも資金政府が責任を持つた資金でありますならば、昨年弊害が起きて来なかつたと思うのです。早くいえば結局自己資金のまかないですからね。資金源が農民にあり、その農民の中でも資金源の豊かなところに——こういう災害がなくとも普通の資金の流れというものは資金源にもどつて来るわけです。自己資金ですから。それにただ利子補給がついておるだけでありまして、資金の流れ方としては昨年のような流れ方をするのは平常な流れ方なのです。そいつがいけない、こういうことになつて来ると、三分五厘よりももつと前に、こういう自己資金でやらせるということ自体が一つ問題になつて来るのじやないかと思うが、これはどうなのですか。
  29. 羽田武嗣郎

    羽田政府委員 御質問の要点と一致しないで恐縮ですが、これは政府資金ではございません。農民の集めたものを系統機関で集めて、それをまた八十五億の限度において、条件を満たすものに対して系統機関、末端機関から貸し出して行くというふうになつておりまして、資金源は農民が積み立てたものの相互扶助的なものであることは言うまでもないと思います。
  30. 川俣清音

    ○川俣委員 どうも私の質問を誤解しておられるようです。自己資金であるからこれは還元されて来るのが自己資金の本来の流れ方なのです。それに弊害があるとあなたが指摘されるから、そう指摘されるならば、むしろ自己資金をもつて資金源同一な農民から同じ資金がまた還元されて来るという方向を是認されておる。この形はあなたが弊害だと指摘されていることなのです。そうすると自己資金と申しますか、農民資金でやらないで政府資金でやつて行く、こういうことになりますと、あなたの弊害が除かれることになるのです。三分五厘じやないのです。たまたま三分五厘が拍車をかけたということにはなりましようが、あなたが言うような欠陥があつたということを指摘される面からいうと、いわゆる系統資金でやることがそういう欠陥が生まれて来たんだということになるのじやないか。
  31. 小倉武一

    小倉政府委員 協同組合系統を通じて営農資金を貸します場合に、その資金源が自己資金でありましようと政府資金でありましようと、その点についてはおつしやるような区別は出て来ないのではないかと思うのであります。たとえば政府機関みたいなものが政府資金でやります場合には違つて参りますけれども、たとい政府資金を一部出しましても、それは自己資金の足りない分をめんどうを見るということで、これは自己資金と一緒になつて信連、協同組合を通じて参りますから、組合といたしましては、一部政府資金が入つておりましても、あるいは相当部分政府資金が来ましても、だからといつて損を覚悟で貸すというわけには参りません。損失補償が四割でありますならば四割ということを頭において貸す、こういうことになると思うのであります。完全な政府機関で政府資金だけでありますならば、もちろん損失補償というようなことはございませんので、損は百パーセント政府がかぶるということになりますならば、おつしやるような区別もあるいは出て来るかとも思いますけれども……。
  32. 川俣清音

    ○川俣委員 こういう異常災害、異常冷害が特殊地帯に起きたような場合には、これはやはり総体に自己資金でまかなう、この流れ方は普通の資金融資の形なんです。そこでそういう場合のことを予想されて資金源が発生して来るわけであります。災害がない場合における預金という形において資金源が発生して来るわけであります。すなわちこれは自己資金という考え方なんです。それでありますから、こういう災害があつた場合において、異常災害であろうと局部災害であろうと、自己資金でまかなえということになりますと、今政務次官の指摘したような弊害が利子補給がなくても起つておるのです。ある村に災害が発生した場合において、金融を受けられるものは、今次官が指摘したような、将来預金、預託の可能性のあるものに資金が貸し付けられるということになる。利子補給がなくてもそうです。もしもそれが悪いということになつてそれが昨年の大きな欠陥であつたということになれば、いわゆる系統資金をもつて経営資金補助してやるといいますか、融資を見てやるということがあやまちだということになりはせぬか、こういう意味なんです。この点どうですか。
  33. 小倉武一

    小倉政府委員 自己資金と申しましてももちろんいろいろございまして村の組合でもつてまかなえる分、あるいは信連から借りて来る分、あるいは中金から借りて来る分、全体を含めまして系統内部の自己資金ということで考えますと、これまでやりました営農資金の大部分は、そういう自己資金と目される分でございます。若干は政府資金みたいな形で援助した分もありますが、大筋はそういつた意味の系統内部の自己資金でやつたのであります。従いまして、結局は自分の金でありますから、融資につきましてもできるだけ償還ということを考えまして、そういう償還能力のありそうなところに比較的流されやすい、こういう形になろうかと思います。しかしその政府資金を、たとえば自己資金が不足いたしまして、そこで中金なりに預金部資金を貸し出すということになりましても、結局それは返さなければならぬ金でございまして、今の個々の農家あるいは個々の組合からいいますと、これは全部政府から来た金だ、これは信連から来た金だ、これは中金から来た金だという区別はもちろんございませんから、同じに取扱わざるを得ないものでございまして、貸出しを容認するかどうかということは結局利子の高さと損失補償限度が左右するのではないかと思いまして、資金源がどうかということは、こういう系統を利用していたします場合には、貸出しのやり方について影響を及ぼすといつたようなことはなかろうと存ずるのであります。
  34. 川俣清音

    ○川俣委員 これは抽象的な話で議論しているからそういうことになるのですから、確かめたいのですよ。議論するのではないのです。今小倉局長は、返還にあたつて返還能力のあるものに資金が流れているということがある、そういう面はあるかもしらぬけれども、資金源としてはそんな弊害がない、そういう欠陥が出て来ない、こう言つておりますが、これは昨年の例でもたくさんあるのです。たとえば単協に対する預金をしない、あるいは単協が信連に預金をしないものについて、これは相当制限を加えたりあるいはこれから排除しておる例は局長ずいぶん知つておられるはずだと思うのです。これについて相当な手配をしまして法律趣旨の徹底をはかられたはずであります。問題はそこなんです。だからあくまで自己資金という考え方が出て来るから、自己資金であれば当然単協は資金があつても単協に預金をしないようなものには融資をしない、これは自己資金だからこういう考え方が出て来る。また信連も、単協が信連に加入して預金をしなければ信連としては融資を見ない、こういう結果になつて来る。また信連と中金の関係でも、信連の組織内容が悪いというようなことで、あるいは人的配置をかえなければ出さないというので相当渋つたところも現にあるのです。これは自己資金だという考え方だからなんです。こういう法律が出た場合に、信連の役員をかえなければならないということは一つもないはずなんです。去年冷害資金が出た場合に、今までの信連と中金との結び関係が悪いからということで、相当渋つた例がたくさんあるじやないですか。だから自己資金という考え方からすると、去年のような弊害が出て来るとこう言うのです。弊害でなくて、当然の欠陥が露出して来るわけです。政府の意図した方向に流れないような結果になつて来る。これは政府資金でありますならばそんなことはないはずなんです。それで自己資金でまかなわせるということに問題があるのではないかと、こう言つているのです。問題がないというならば、これは別問題です。私は問題があるのじやないかと思う。昨年いろいろと指摘されたような欠陥は、自己資金をもつてまかなわしたために起つて来る欠陥で、さらに三分五厘であつたためにそれに拍車が加えられた、こういうのかどうか、それならそのように法律における去年の欠陥を大きく取上げて行かなければならない。去年の経験にかんがみてもしも法律を出したとするならば、われわれは去年の欠陥にかんがみて、一体どういう資金系統で流すべきかをあらためて検討しなければならぬ、こういうことになるのです。こういう意味お尋ねしているのです。
  35. 小倉武一

    小倉政府委員 今の御質問趣旨がやつとわかつたような気がいたしますが、政府資金を系統を通じて流せば、これは自己資金よりは必要なところに流れやすいだろう、こういう御説でありますならば、これはその通りだろうと思います。しかし先ほどの芳賀委員の御質問に関連しましてのお話は、三分五厘に関連しての話でございまして、それに限りますならば、元が政府資金であろうとあるいは自己資金であろうと、三分五厘によつて生ずる利害はさほどかわらないのではないか、こういうことを申し上げておるのでございまして、元が政府資金でありますればこれは自己資金と申しますか、系統の資金に比べまして政府の意図するところ、欲するところに流れやすいだろう、こういうことはお説の通りではないか、かように思います。
  36. 川俣清音

    ○川俣委員 政府資金でありますならば、もしも欠陥があつたといたしましても、これは行政措置が誤まつてつた、あるいは調査が疎漏であつた、こういうことになると思うのです。自己資金の場合においては、一体そこまで行政が及ぶか及ばぬかという問題が出て来るのです。及ばぬような資金源でもつて法律目的を達成するということは困難ではないか、こういうことになつて来ると思うので、お尋ねしたのですから、これについて明快な御答弁があれば、この法案の修正等について私どもはその意図をもつて修正いたしたい、こう思うのです。
  37. 小倉武一

    小倉政府委員 行政に従事すると申しますか、法律ができた場合に執行する責任のある者として考えます場合には、政府資金であればもちろんのことでございますが、政府資金でなくても損失補償だとか、利子補給ということがございます以上は、これは法律趣旨に従つて適正に貸付され得るということを確認すると申しますか、そういうことになるように措置することが責任でございますので、その点は実は同じじやないかと存じます。そういう点から申しまして私どもといたしましてもできるだけ適正に貸し得られるような法案ができることを望んでおる、こういうことでございます。
  38. 安藤覺

    ○安藤(覺)委員 関連して……。ただいまの質疑応答を承つておりますと、先ほど羽田政務次官芳賀君の質問に対して本年は五分五厘にしたということについては、三分五厘である場合には非常に弊害が多いから、これを五分五厘にしたのだという御答弁であつたようであります。確かに御指摘のように弊害もあつたことは事実でありましようが、しかしほんとうは弊害ということだけじやないと思うのです。ほんとうのことを言うと、資金難による政府の金の出し惜しみということじやないか。それを弊害の方へ持つてつて、それのみに責任を転嫁したのじやないかと思う。そこのところをはつきり言つてください。そうであればこんなぐずぐずした質問は出ないのです。だからわけのわからない質問応答を繰返して時間をつぶしておるのです。
  39. 羽田武嗣郎

    羽田政府委員 御指摘の点は、とにかくあくまでも金融ベースに乗つた——金融機関から貸すわけでありますから、金融ベースに乗る乗らぬということは、とにかく預けた利子よりも借りる利子の方が安いということでは、やはり非常に合理性がない、こういうように存じます。もちろん政府としても、国家の予算の面からかどうか知らぬが、出し惜しみだというような御指摘は承つておきますが、とにかく合理的な金融でなければならぬ、こういうふうに存じます。
  40. 安藤覺

    ○安藤(覺)委員 ただいまの預けた金よりも借りる金の方が利子が安い、これは不合理だ、それはその通りであります。それは平常においての金の貸し借りでありますれば当然そういう考え方がわくのです。ところがああいつた異常な冷災害を受けて、極度の困窮にあつて食べる物もないということであるとすれば、当然預けてあるものは引上げてしまつておることだろうと思うのです。これは救済という意味であるのだから、通常のように預けた金よりも借りた金の方が利子が安いから不合理だと言われるのは、法の精神なり、この救済事業の精神なりを頭から没却せられることになるのじやないか、これは少しおかしいと思うのです。受取りがたいのです。
  41. 羽田武嗣郎

    羽田政府委員 平常の状態である場合には、言うまでもなく一割一分五厘でございますから、五分五厘になればぐつと安くなる、こういう災害であるがゆえに条件を緩和してやる、こういうようになつております。
  42. 中澤茂一

    ○中澤委員 資金源の問題ですが、これは実際たいへんなんですよ。この前小笠原大蔵大臣が来たときにぼくはここでよく言つておいたのです。たとえば今年の災害地において、宮崎県の場合を見ても、九月末現在の貸出しが十五億九百万円あるのですね。そのうち借入金でまかなつておる額が八億七千六百万円、貯金が七億四千四百万円。農民貯蓄を食い込んでみんな貸し出しておるのですよ。それから青森の場合なんかでもそうなんですね。信連の貸出しが二十二億二千万円、借入れが十八億五千万円、貯金が二億しかないのです。これはとんとんで、農民貯金の二億をみんな食つておる。岩手の場合においても、今度の冷害地を見てみれば、二十二億の貸出しをやつておる。借入れが十八億、貯金が四億、貯金を全部食い込んでおる。今の宮崎の場合を見ても、農民貯金の七億四千四百万というものをみんな貸出しに使つてしまつておる。これは大蔵大臣にもこの前の委員会でぼくは言つたのですが、一つの信連が貯金をこれだけ食い込んでしまつて支払い停止が起れば、全国の農民金融体系にパニツクが起きて来ます。この現実を忘れてはいけない。こういう私の質問に対して大蔵大臣は、農林当局とよく打合せをして善処すると言つておるのです。なるほど現在は米代が入つて来ておりますから、今売りオペレーシヨンの問題も出て来ておるのです。インフレーシヨン抑止のための売りオペレーシヨンということは原則的に反対じやないのですが、その資金源政府が去年の四百八十億——実際の貸出しは四百十一億です。本委員会で百億の決議をしたとき、中金に三日間行つて資金源についていろいろ相談したのですよ。ところが本年は償還分が八十億あるということです。そのうちどうしても支払い不能のものが二十億あると見なければならない。私はこれを十五億くらいに見ておるのですが、そうするとここで六十億全部を出しても、またここでもつて営農資金を百億と決議されれば、具体的な数字で四十億というもののアンバランスが出て来るわけです。そのほか去年の長期資金のアンバランスを調べてみると、約百六億ある。これがまた問題なんです。これを政府はただ予算の方にさえ響かなければいいじやないかという調子で、何でも農民は貯金の銭があるからというふうなやり方でやるのは非常に困るのです。これはパニツクの危機があるのです。農民金融体系全体の崩壊の危機が今出ているのです。これに対して小笠原大蔵大臣は、とにかく農林当局と相談して、そういう実情なら善処するという答弁をここでしている。だからこれに対して政務次官は、——今の川俣委員の言うことも実際そうなんです。農民資金だから預金をする農民には貸し付けるが、預金のできない零細農には協同組合は貸さないということになつている。そこで私はこの補償の問題を引上ぐべきだと思うのです。今四割の補償なつているから零細農には貸せないので、これを政府補償六割にするならばいいわけです。それでもあるいは若干だめになるかもしれませんが、六割にすれば農協の貸付というものはもつと活発に行くと私は思う。だからそういう点について政務次官並びに経済局長は、一体どうお考えかということが一点と、それからこの前の委員会で私の質問に対して、飯米の分納について、小笠原大蔵大臣はこういう答弁をしておる。実はその問題は延納をある程度認めようという打合せをしておる。今それで案を練つておるからしばらくお待ちを願いたい、こういう答弁をしておる。ところが今度の冷害処置に対して、飯米の延納措置というものは全然考えられていない。だから、これに対して大蔵大臣がこういう答弁をしておる以上、農林当局と大蔵事務当局との打合せがあつたと私は思う。現在日歩四銭でどんどんと取上げられておるが、あれもやはり金を貸したものと同じで、これは一つの矛盾があると思うのです。要するに国が県知事の責任において貸し付け、県知事が村長の責任において貸し付けたという形になつているのだから、現在村長がもし去年の飯米貸付代金を返さなければ、日歩四銭出せといつて、末端の農民の中では非常な問題を起しているのですよ。それに対して政務次官官房長小倉経済局長は、大蔵当局とどういう話合いをしたのか。そしてそれはものになるかならぬかという経過と、農林資金全体が非常に困難な情勢をどうするつもりかを御答弁願いたい。
  43. 羽田武嗣郎

    羽田政府委員 ただいまの前段の点については、小倉局長より申し上げます。後段の飯米の問題につきましては、御承知のように法律が無担保、無利子で一年間猶予するということになつております。従つて飯米は、去年の冷害地帯におきましても、十二月から一年分を農民が借りているわけではなく、一月、二月、三月とそのときの米穀の事情により分割して借りております。従つて最後は八月、九月に借りているのがあるかもしれませんが、一年間ですから来年の八月か九月ごろに返せばいいわけでありまして、食糧庁と県庁の間での直接のあれじやございませんが、実際の法律趣旨からいつて、当然出来秋に一年分の借りたものを一ぺんに返さなければならぬということはない。法律に従つて分割払いでいいんじやないかと考えております。これは食糧庁にもただしましたが、食糧庁もそう解釈しているわけであります。
  44. 小倉武一

    小倉政府委員 御説のように冷害を受けました地方、あるいは水害を受けました地方の信連のうちには、必ずしも十分必要な資金を貸し出せる態勢にない。あるいは経営につきましても、必ずしも十分な実績をあげていないところがあるということは御指摘の通りでございます。これにつきましては、私どもといたしましてももちろん経済連の再建整備との関連におきまして、信連の経営の健全化ということについても努めております。なお経営資金の貸出しにつきましては、これは結局は中金がめんどうを見ることになるわけでございまして、所要資金につきましては有価証券あるいは農業手形といつたようなものを担保にいたしまして、日銀から貸出しを受けて、必要な資金を信連に貸出しをするということでございます。そういう帳じりの結果ことしの八十五億が一体まかない切れるかどうかということでございますが、お話のように昨年の営農資金償還分、あるいは本年度になりましての貯蓄の伸び、こういつたようなことで、ただいまのところは経営資金も大体系統でもつてまかなえる、こういうつもりであります。
  45. 中澤茂一

    ○中澤委員 それじや飯米の延納措置の問題について、末端ではなぜ日歩四銭の利子をとつて、返せ返せというようなことになるのか。政務次官、すぐ延納利子をとつちやいかぬという通牒を出してください。現に私の県の場合は、ことし割合豊作だつたのですけれども、現に四百戸の農村で六百万からの飯米資金がどうしても返せないという具体的事例がある。半分にしてくれと言つているのに、それを返さなければ四銭の日歩をとるといつて強引にやつているのです。政務次官は飯米に四銭の利息をとるのはけしからぬ、やつちやいかぬと言つて、すぐ全国に通牒を出してください。それについて答弁を願います。
  46. 渡部伍良

    ○渡部説明員 飯米については前からいろいろ話があつて、私の方でも注意して食糧庁と県との交渉をさしております。もうすでに前に申し上げたと思いますが、数県については前年の食糧の延納について通牒を出しております。そのほかの県についても、具体的にその県の災害を受けた状況がどうなんだ。その将来に残さなければいかぬ量はどのくらいになり、金額はどのくらいになる。その処置は県でできるかどうかということについて具体的に県と話を進めております。そして県の方でどうしても負担ができなければ、食糧庁の方でさらに延納をするという態勢を整えております。具体的に今の日歩四銭をとるというような例をお示し願えれば、さらに念を入れて具体的な県、村について処置をしたいと思いますが、われわれが聞いているところ、たとえば長野県などは特別の資金を使つて、二銭五厘の金利で飯米の借りかえ資金を町村の方に流すというふうな話を県庁から聞いております。従つて農林省の方では何でもかんでも無理にとる、こういう話でなしに、県の状況を見て処置いたしますから、なおその趣旨が徹底しない点については、御指摘を願つて処置したいと思います。
  47. 中澤茂一

    ○中澤委員 現実に長野県の場合でも、村長が貸し付けた村民に、返さなければ日歩四銭とるぞと言つているのです。羽田さんも帰つたなら村の人に聞いてごらん。そうやつてみなとつているんだよ。だから農民の中から、いろいろ分納にしてくれとか言つて来る。私は何でもかんでも延納というのは反対なんだ。もし来年凶作になれば、全部延納しちやつたらどうするかということも考えているんだ。だからこれは統一的に、国が去年の飯米貸付は二箇年に分納するという方針を打出して流せば、豊作地帯は——少くとも冷害地帯でないところは、半分は返せる能力がある。だから分納処置を国自体が決定して、半分だけは今年何とかして返す。それでも返らないものに対しては、日歩四銭でもいいですよ。ところが国自体がそういう統一的な方針を打出さないから、官房長は今各県と交渉していると言うけれども、県々でもつてすきなことをやられているのですよ。結局弱い農民が困つている。農民のところへみなしわ寄せが行くんですよ。そこでぼくが政務次官にはつきり言いたいのは、三箇年分納ということを決定しろということです。今年半分だけ返せ、あとの半分は無利子でよろしい、来年はあとの半分を返す、こういう基本的方針を打出せばいいんですよ。そうすれば末端で何も混乱することはない。だから政務次官どうです。今四銭四銭と言つて巻き上げている最中ですから、まだ遅くはない、やる意思があるかどうか。
  48. 羽田武嗣郎

    羽田政府委員 ただいま四銭ということでございますが、それは結局村で金を返してもらうための一つのおどかしに——悪い行政的な手段として使つているんじやないか、こう思うのでありまして必ずしも長野県全体が四銭でおどかしているとは私も思わないのでありますが、実は具体的にどこの村がどうとは知りません。しかしとにかく米は一年間を無利子、無担保でお貸しをするという法律に基いてやつているのでございますから、一年間で返せる人もたくさんございますし、また返せないものについては、ただいま官房長から御答弁申し上げたように、個々に実情に即してやるようにして行くことが、むしろ——それを二年間になると、返せる人まで返さぬことになつて、もし来年冷害があつたり、また再来年も冷害があるということになつたら、たいへんなことになるのであつて、返せる人は返してもらう、それから返せない人については、十分温情をもつてつて行くというように個々にやつて行く、こういうふうにしたいと思います。
  49. 中澤茂一

    ○中澤委員 それはだめだ、いつもわれわれ議会で農民の立場から考えてつくつた法律が、末端へ行くと、去年の営農資金つてそうでしよう。あなた自身が言つておるように、零細農にはちつとも行かないで、そうして富農層の方にばかり行つてしまつてまごまごすると利息は安いのだから、これでパチンコ屋でも開くべえという農民も出て来ておる。末端へ行くと変なことになつてしまう。ここでむしろあなたの言うのもそれは一つのりくつにはりくつだけれども、国が一つの基本方針を打出さないから混乱して来る。やはり分納なら分納と打出せば、返せるのでも返さないやつがあるかもしらぬ。しかしそういうものを犠牲にしたつてほんとうに返せない人を救えればそのもうけの善政の方が多いと思うのです。だからやはり基本的に一つの方針を打出して行かなければ、ここにやるということが末端へ行けば全然おかしくなつてしまうのだ。ここでつくつた法律さえおかしくなつてしまうのだ。だからこれは今あなたに答弁を迫つたつて無理かもしれぬが、よくひとつ協議して、いま少し末端へ行つたときにどうなるかということを考えてもらわぬと、とかく実際問題として困るのです。その点はあなたに考慮を求める程度にしておきましよう。しかし小笠原さんはこれに対して、はつきりここで農林当局と打合せてやるのだ、これはできればそうしてあげたいということを答弁しておるのです。だからその折衝経過については官房長は、大蔵省はどういう意見であつたか、もしこの延納措置について大蔵省の態度が何かあつたものか、話していただきたいと思います。
  50. 渡部伍良

    ○渡部説明員 大蔵省ともちろん交渉いたしております。交渉の結果ことしも災害のひどい県については、もうすでに通牒を出しております。それは一年延納というかつこうじやなしに、実質的に一年延納になるような違約金利子をとらないというかつこう、つまり実質的に一年延ばす、こういうかつこうで通牒を出しております。これは今ちよつと県の名前を忘れましたが、この間通牒を出したのは三県か四県ありましたが、そのほかの県についても同一方針で具体的に打合わせる、こういうことになつております。つまり先ほど政務次官が言つたように、返せるものはなるべく返してもらつた方がいいのですから、それをお話のように、末端で何でもかんでも取上げるというところもあるいはあるのかもしれないと思いまして、そういう注意も食糧庁あるいは県が農林省なんかへ来たときには、そういうことで話しておりますから、具体的にひどいものがあればさらにやりますから、御教示をいただきたい。
  51. 中澤茂一

    ○中澤委員 今の点については、具体的に三、四県出したということじやなくて、いま少し広汎に通牒を出しましようや、出してください。それは実際末端へ行くと、県というのは末端の実際零細農民の苦しみを知らないから、県によるとただ形だけのことをやつているから、村へ入つて実際農民とひざつき合せてわしらが話をすると、あれは困るという意見が多いのです。だからそういうことを三、四県言つて来た県だけ出したということじやなしに、いま少し検討して、ことしの作況状況はわかつているのだから、この辺まではやらなければいかぬというところへ、いま少し通牒を、大蔵省も了解しているんだから、並行的に出してもらいたい。これをひとつ頼んでおきます。そのほかありますが、三分五厘の問題です。これは結局法律修正の問題になると思うのですが、実際あの累積災害地というのはひどいのです。二年続けてやられたらどうにもならぬ。政府の案はこうなつているが、私はこれはどうしても特殊な地帯は三分五厘という去年の方式をやはり踏襲しなければいけないと思う。これは開拓地ももちろんだが、開拓地以外の北海道、宮崎等の災害のひどいところは、三分五厘の利息なんかでは一千万円もありはせぬと思う。あつたつて一千万前後ですよ。そんな一千万くらいの金を何も私はしぼる必要はないと思う。そのくらいなら何とかやり繰りもつくのであるから、この際災害地のひどいところは、やはり去年の方式を踏襲して三分五厘にする、これは利子補給だけですから、ただ中金の三分五厘になつた場合の借入れ資金増がどのくらいかということはわからぬが、大体八十五億あればまかなえるのではないかと私も思つておるのですが、ひとつその飯米のことと、三分五厘についてはいま一度考慮をお願いいたします。御答弁いりません。
  52. 佐藤洋之助

    佐藤(洋)委員長代理 淡谷悠藏君。
  53. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 羽田農林次官に今度の法案の根本的な御趣旨につきまして二、三質問したいのでございます。先ほど次官が、三分五厘の営農資金を貸しつけた場合に、富農層がその低利に便乗してこれを貧農に高利をもつて貸しつけるという実体を御指摘になりましたが、これはたいへんにりつぱな御見解だと思います。同時にそうした現象の起るもう一歩掘り下げた形に対してさらに御検討いただきたいと思うのは、今中澤委員からも発言がございました通り、累積凶作の苦難というものはまことに深刻なものがございまして、一回凶作にぶち当りますと、十年間立直れないのは農民の常識でございます。それがことしもさらにそういう凶作にぶつかつたので、何とか根本的な救済策を立てない限り、この窮状は救えないと思う。それを全部が全部営農資金等によつてそういう処置をとりました場合に、はたしておつしやる貧農救済というものはできるかできないかということであります。金融の系統につきましても、さまざまな論議がございましたが、これはもう金融系統とか利率とかという問題だけじやなくして、金を貸すという性格の中にこれを回収するということがはつきり考えられておる、事実上二箇年にわたる凶作で、前の借金を払う、また新しい借金を払うということはできないのだが、貸す方から申しますと、償還の見込みがないという断定が相当多いだろうと思います。従つてどんなに営農資金をここに持ち出されましても、この営農資金だけではとうてい末端の貧農には行き渡らない、具体的に言つて、おそらく村の協同組合、あるいは県なんかにおける信用組合の連合会のごときも、二度も凶作にたたかれて信用程度のまつたくなくなりました農家に対して、貸付けをする意図はなくなつていると思うのでございますが、こういう点に対する次官のはつきりした御答弁を願いたいと思います。お見込みはどうでございますか。
  54. 羽田武嗣郎

    羽田政府委員 お説はまことに傾聴いたした次第でございますが、ことに二年累積をした冷害地等については、まつたく御同情にたえないのでございますので、従いまして今度ただこういつた金融措置ばかりでなしに、去年もございましたけれども、救農土木を重点的にそういう地点に与えまして、それで生活費をかせいでもらう、こういうふうに措置をいたしておるのでございます。それでただいまのお説の、営農資金もそういうようなところにはおそらく信用を失つて実際行かないじやないかという点については、われわれも心配をいたしますので、この法律の四割の補償というのもございますので、この系統機関を督励いたしまして、そういうものにも行くように最善の努力をいたし、またそういうふうに行くように努めたい、こう存ずるのでございます。
  55. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 損害補償の点に触れられましたので、一言お尋ねしたいのでございますが、さつき中澤委員の飯米代の延納につきまして、村が四分の利子をつけてとるというのはおどかしに過ぎないだろうという次官の御発言がございました。またとれるものだけはとつてどうしてもだめなものは温情をもつて当るというようなお話もございましたが、私このおどかしと温情ということは、言葉をかえますとこれはやはり恫喝と懐柔という言葉に置きかえられると思うのであります。農民の心理から申しますと、正直な農民ほど恫喝には弱い。またちよつと悪知恵のたけた者は、温情に便乗する形がたいへん出て参りまして、もう政策が恫喝と懐柔に終始するならば、私は農民の心理としてやはり正直者が損をする。まじめな者はどんな苦しい思いをしても、娘をたたき売つても代金を払うし、ずるい者にはうまく言い抜けるという間隙を与えるだろうと思うのでございます。損失補償なども、その出し方によりましてはかえつてこれに便乗して、どうせ払わなくていいんだというふうに、ずるい者はこれを利用しましてまつ正直な者は恩恵にあずからない。これは昭和六年来の凶作ではつきり体験しております。これは何としましても、法案趣旨がそこにないとしますならば、この営農資金におきましても、やはり富農貧農という区別よりも、まじめな農民に営農資金を軽い負担で貸し付けるという立場で、やはり昨年同様三分五厘で貸し付けられる、但しどのような条件によつて金融機関から——あるいは系統機関にしましても貸付を受けられないような極端にたたかれた農民には、別個にもつと広範囲にわたる救農施設をやる必要があるのではないかと思うのでございます。本日はこの営農資金貸付に対する案の御提案でございますから、救農施設に関するいろいろな問題はあらためてまた御提案されるだろうと思いますので触れませんが、そういう意味から私はこの凶作の実態をもつと確実におつかみになる必要があるだろうと思うのでございます。たとえばこの中で、三割以上の災害に見舞われた者に対して営農資金を貸し付けるといつておりますが、ことしの凶作の形といたしまして、部分的な被害がたいへんにはなはだしいのでございます。従つて県全体のパーセンテージから申しますと、三割に達しない県もたくさんございます。また一郡でもそういうところがございますが、こういう場合に、この営農資金貸付の基準はどの範囲で正割と認めておられるか。県全体の段階で見るか、あるいは部分的地方的に見て三割の被害ということをごらんになるか、その点をはつきり御説明願いたいと思います。
  56. 羽田武嗣郎

    羽田政府委員 最初のお話でございますが、四銭の日歩をとるというようなことは、実は農林省はそんなことは知らないのです。知らないと言つたらおこられるかもしれませんが、さようなことはあり得べからざることである、こう思つておるわけでございまして、従つて政府が恫喝と懐柔とを行政手段に用いるなどということは絶対にございません。言うまでもないことですけれども、特にここではつきりいたしておく次第でございます。  それから今の三割の問題ですが、個々の農家についての話でございまして、一つの村とか部落とか総合的なまるつかみでなく、それは具体的に一つ一つ農家をつかんでやる、こういうことであります。
  57. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 誤解を招くといけませんから一言言つておきますが、私は別に政府が恫喝と懐柔をやるというのではなくて、凶作救済という中には、地方の末端の農民に対するそういう恫喝あるいは懐柔がこういう打撃に際してはちよちよくありますから、これをまず押えることが政策の根本をなすのがあたりまえだと私は思うのです。かような意味で申し上げております。  それでさつきお開きしました三割被害の基準はどのようにおとりになるか、ひとつ本格的な御説明を願いたい。一体県全体が三割以上の被害でなければ営農資金を貸し出さないのか、あるいは郡全部がそうなのか、この被害の範囲の基準をどこにおとりになるのか、その点をお聞きしたい。
  58. 羽田武嗣郎

    羽田政府委員 ただいま申し上げました通りに、県とか郡とか部落というのではなくて、個々の農家自体について三割のものをつかみたい、それで救済したい、こういうことであります。
  59. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 そうしますと去年と基準がかわつたのですか。去年は個々の農家ではなかつたようですが、その点をはつきりお聞きしておきたい。
  60. 小倉武一

    小倉政府委員 昨年も建前はさようでございまして、ただ三分五厘といつたような低利のものにつきましては村で押える、こういつたような基準がありましたけれども、原則は個々の農家で押えるというのが原則でございまして、ただ行政措置といたしまして、県全体はいいのですが、たまたま一、二悪い村があるというようなところまで行き得るかどうか、実際問題としてはありますけれども、法律建前としては、個々の農家で押える、こういうことになつております。
  61. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 それでは原則としては個々の農家で抑えるという点で了承しておきますが、もう一点お伺いしたいのは、貸付金額の北海道における十五万円、内地における七万円、この範囲内での査定ということになつております。但しこれは私の県の特殊事情かもしれませんが、今年度は果樹等の災害にも営農資金貸付が適用されるように伺つておりますが、もしそうである場合には、水田単作農家の損害と、こうした高度の園芸的な農業を営んでおる農家との一年間の経営費等はたいへん違つておりますが、こういう点はこの法案では何か考慮を払われておりますかどうか。極端に大きな経営農家、あるいは高度に発達した経営農家と、水田単作のような従来の農家との、その損害に対する何らかの考慮が払われておるかどうかという点でございます。
  62. 小倉武一

    小倉政府委員 果樹栽培農家被害を受けた場合でも、お説のように融資の対象になるわけでございますが、金額を七万円、北海道十五万円と押えておりますのは、これは平均的に押えておりますので、一応の限度としてはやむを得ないのではないかと思うのであります。特殊と申しますと語弊がございますが、特定の農家と比べますと御疑念ごもつともでございますが、全体といたしまして平均的な現金支出の規模を抑えまして、それを基礎として七万円、十五万円、こういう算定をいたしたのであります。
  63. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 ちよつと委員長にお伺いしたいのですが、この説明あとで具体的な特別措置法案の要綱についての御説明がありますか。
  64. 佐藤洋之助

    佐藤(洋)委員長代理 お答えいたします。明日懇談会を開いていろいろ詳細にわたつて説明を聞こう、こういうわけでございますが、本日は十二時半から各党とも代議士会があるようでございますから、この程度で休憩したいと思うのですが……。
  65. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 ただいまの御答弁で何か七万円、十五万円というのは一般の基礎としてきめられるように伺いましたが、法案で見ますとはつきりと七万円以下に限定されておるようにうかがえる、こういう点は明日の懇談会でも開きたいと思いますが、その点はいかがでございますか。
  66. 小倉武一

    小倉政府委員 これはもちろん法案は七万円、十五万円と限定しておりまして、その計算の基礎としては平均的なところを押えまして、その現金支出の三割というところを経営資金というふうに見まして抑えておりまして、法律も七万円、十五万円という限度に押えておりまして、それ以上実情に応じて越えてもよろしいという意味で申し上げたのではございません。
  67. 佐藤洋之助

    佐藤(洋)委員長代理 よろしゆうございますか。それでは休憩いたします。     午後零時四十分休憩      ————◇—————     〔休憩後は開会するに至らなかつた