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北山委員 私は日本社会党を代表しまして、ただいま議題と一な
つております
昭和二十九年度の
地方交付税の
総額等の
特例に関する
法律案について反対の態度を表明するものであります。
この法案は、すでに
委員会の質疑でも明らかになりました通りに、本年度の
地方財政に対して、その一部である警察費の
政府の見込み違いに対して約四十億というものを追加しようとする法案でございます。すでに警察制度の
改正に伴う府県の警察費の所要額は、第十九
国会で警察法審議の際にも再々指摘しましたように、これは相当額の
地方負担の増加になるのじやないか、府県側の見込みによりましても、約百億くらいの府県財政のしわ寄せになるというような証言があ
つたわけでございます。そういう点を指摘しましたのに、またさらに十九
国会が済みましてから
政府方面でもって、この警察費の実態はどうであるか調べたところによ
つてみましても、
自治庁は明らかに七十億、年度末まで行くと約百億の
財政措置の必要があるというふうな
説明があ
つたわけであります。しかるに今回はその一部であるわずか四十億というものの負担しかしないという点について、まずわれわれは非常な不満を申し上げるのであります。また同時にこの四十億も、法人税の増収見込み百五十億というものを基本にして計算されたものでありまして、この法人税の増収というのは、現在の
地方交付税法によりますと、翌々年において当然
地方に
地方交付税として配分せらるべきものでありまして、これを繰上げ支給することによ
つて、この四十億をさも
地方に増額配付したような体裁をとろうとするところに、私
どもは反対の
一つの
理由を持
つているわけであります。これは、警察費の所要額を満たし得ない
不足の財源
措置でありまして、とにかく警察費については
自治庁、
政府は相当異常な関心を示して、四十億だけは何とかこの交付税法の
特例によ
つてやろうとするが、しかし問題はそれ以外の
地方財政の需要あるいは
地方財政の赤字という問題については、何らの
措置をいたしておらない。今度配付されました修正
地方財政計画によりましても、このことははつきりいたしております。すなわち今年度の
地方財政の計画上は警察費の
不足以外にガソリン譲与税に伴うところの三十八億あるいは社会保障
関係の
地方負担の増加あるいは災害復旧費の増加に伴う
地方負担の増加というような、相当額の
地方財政の所要額がふえて参
つております。その額は約百七十億くらいに上るのでありますが、それに対して
政府は、この交付税法の
特例によ
つてわずかに四十億、起債によ
つて三十億というものを
措置したにすぎないのでありまして、それ以外の分は
地方税の増収であるとか、あるいはまた実際にはその額を見込むのが危険であるところの公共事業費の減に伴う
地方負担の減であるとか、そういうような非常に不安定な財源でもって、修正
地方財政計画というものを何とかごまかそうとしておる。すなわち警察費についてはともかく四十億だけをや
つて、
あとの分については何ら
措置しておらない。私
どもからいえば、
昭和二十八年度の決算に現われたような四百六十億の赤字を持ち越して、しかもなお本年度においても
地方財政計画と実際の
地方の所要額との間には数百億の開きがある。こういうような事態において、わずかにこの法案によ
つて措置される四十億だけでは、単に十分の一ぐらいをまかなうにすぎないのだという意味において、非常な不満を覚えるのでありまして、こういう点で私
どもは強くこの法案に対して反対をいたすのであります。
地方財政は
ちようどその最後のどん詰まりの段階に来ておるのであります。すなわち府県の知事
会議あるいは府県議会、町村議会というような
地方団体の連合会は、今年度における
地方交付税の率を大幅に、できれば百分の二十五以上にふやしてもらいたいということを強く要望しておるにもかかわらず、そういう要求には何らこたえることなく、わずかにこのような中途半端な
措置しかいたさないという点について、特に指摘しておきたいのでありますが、
地方財政を甘く見るということはわれわれとしては非常に危険ではないか。最近
政府方面では
地方財政、
地方団体というものは何か道楽むすこのごとく扱
つて、
地方財政を圧縮しようというような
方針があるように聞いておりますが、しかし中央
地方を通じて結局中央の政治でも、あるいは
地方団体の政治でもその効果を受けるのは国民であります。
地方団体の財政問題ではないのでありまして、その結果を受けるのが国民であるという点におきまして、
地方団体の財政が今のような状態でおる、しかもそれが何ら救済の手段が講じられておらないということは、日本の政治あるいは日本全体の大きな問題であろう、そしてその責任はあげてそういうことに目をふさいで、耳をおうておるところの
政府あるいは与党の諸君にある、こういうような点を指摘いたしまして、私の反対の討論を終ります。