○坊
委員長代理 休憩前に引続き
会議を開きます。
租税特別措置法の一部を
改正する
法律案を議題といたします。本
法律案については
政府当局より発言を求められておりますので、これを許します。渡辺
主税局長。◇
渡辺政府委員 お医者さんの
税金の問題につきましてはいろいろ問題がありまして、前
国会におきまして相当御論議があ
つたことをわれわれも伺
つておりました。従いまして、われわれにおきましても、その御論議の線に沿いましてできるだけ適正な課税をや
つて行きたいということで実は努力して参
つたのでございます。それで今度のこの案を拝見いたしますると、か
つて政府におきまして一応閣議の決定によ
つて標準率二十五ないし三十ということで執行して参
つたのであります。ところがこの執行につきましては実は非常にお医者さん以外の方から相当な批判があ
つたわけでございます。たとえば産婆さんの所得がお医者さんの所得より多い、医者の方が
税金が少いのはどういうわけだ、こういう批判を大分受けまして、われわれの方としましては、やはり一点単価の問題とこの問題がいろいろからみ合
つていることは一応
承知しておりますが、税の方においてこういう
措置をとるということは非常におもしろくない、そういう結論を一応得まして、そうして閣議でもいろいろ
議論していただきました。そこで二十八年度の所得決定におきましても、一応できるだけ必要
経費なら必要
経費につきましてこれを適正に見て行くということにつきましての努力はいたしましたが、とにかく標準率一本でも
つて云々ということは、これはもうぜひやめたいということで努力して参
つたわけでございます。その結果としまして、
実績も見て参りますと非常にまちまちでございます。
収入金に対する所得の割合を比較して、いわゆる所得率でございますが、これを見て参りましても、たとえば二割
程度のところもあれば、あるいは四割
程度のところもある、やはり所得課税である限りにおきましては、
収入金額から必要
経費を
差引いたその実際の所得というものによ
つて税を課して行くというのが、本来のあるべき姿ではないかというふうにわれわれは思
つております。従いまして、今度御
提案になりましたような行き方で、たとえば
収入金額がどのくらいあろうが、また必要
経費がどのくらいあろうが、それにかかわらず一応所得に二割八分、
経費は七割二分、こういうような立法をなされようとしておられるのでございますが、われわれの方で見ますと、所得が二割八分である人はたまたまかまいませんで、そこ
はちようど税法
通りになるわけでありますが、三割の人、四割の人がありましても、それも二割八分、(「ゼロの人があるだろう」と呼ぶ者あり)ゼロの人につきましては、それは二割八分ということにな
つていると、われわれもそれはとんでもないことだと思
つたのですが、これはやはり一応これの適用を受けることは納税者の申請にまかせてあるというような立法にな
つているのでございますから、ゼロの方はおそらく申請をなさらないだろうということで問題は済むと思いますが、結局全体として見ますと、やはり所得の多い人も、少い人も同じような率でも
つて課税して行こう、いわば
収入金額課税ということになるわけでございまして、そんな意味からしますと、どうも現在の税制の行き方といいますか、課税というものを進めて行く行き方と、いささか逆の方に行くのではないか、こういう意味におきまして非常におかしい。それから特に法人の場合でございますが、法人の場合におきましては、われわれの方で調べてみますと、みんな給料を払
つておりますので、
経費の方は割合に多いのです。従
つてこれはこういう規定をつくりましても、あまりこの適用を受ける場合もないでしようし、また
政府の従来や
つて参りましたのにも、法人につきまして標準率を使
つて来たということはないわけですが、今度の法案におきましてはどういうお気持か、われわれにはよく了解できかねますが、入
つている。大体全体としまして申し上げたいことは、
所得税はどこまでも所得に対する課税であるべきではないか、われわれはその方の筋を全体として通して行くべきではないか。それを
収入金額に対しまして一応の所得率を法定して、それより所得の率が高かろうが、低かろうが、とにかく持
つて行く、結局
収入金課税ということになります。そういうことになりますと、昔営業税などで
収入金課税をや
つて、ずいぶん非難を受けたことがありまして、大分問題が起きたのですから、その意味におきまして、われわれはどうもこの案には賛成しかねるということだけ申し上げておきます。