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1954-12-03 第20回国会 衆議院 大蔵委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年十二月三日(金曜日)     午前十時三十六分開議  出席委員    委員長 千葉 三郎君    理事 大平 正芳君 理事 黒金 泰美君    理事 苫米地英俊君 理事 内藤 友明君    理事 坊  秀男君 理事 久保田鶴松君    理事 井上 良二君       植木庚子郎君    大上  司君       宮原幸三郎君    加藤 高藏君       島村 一郎君    藤枝 泉介君       小川 豊明君    佐々木更三君       柴田 義男君    中村 英男君       春日 一幸君    川島 金次君       平岡忠次郎君  出席政府委員         大蔵政務次官  山本 米治君         大蔵事務官         (主計局次長) 正示啓次郎君         大蔵事務官         (主計局法規課         長)      村上孝太郎君         農林事務官         (経済局長)  小倉 武一君  委員外出席者         農林事務官         (農林経済局農         業保険課長)  久宗  高君         農林枝官         (水産庁漁政部         漁船保険課長) 中村 正路君         専  門  員 椎木 文也君         専  門  員 黒田 久太君     ————————————— 十二月三日  委員佐々木更三君及び山口六郎次辞任につき、  その補欠として中村英男君及び亘四郎君が議長  の指名委員に選任された。 同日  委員亘四郎辞任につき、その補欠として山口  六郎次君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  農業共済保険特別会計歳入不足を補てんす  るための一般会計からする繰入金に関する法律  の一部を改正する法律案内閣提出第四号)  漁船保険特別会計における特殊保険及び給与  保険の再保険事業について生じた損失をうめる  ための一般会計からする繰入金に関する法律案  (内閣提出第正号)  交付税及び譲与税配付金特別会計法の一部を改  正する法律案内閣提出第八号)     —————————————
  2. 千葉三郎

    千葉委員長 これより会議を開きます。  農業共済保険特別会計歳入不足を補てんするための一般会計からする繰入金に関する法律の一部を改正する法律案漁船保険特別会計における特殊保険及び給与保険の再保険事業について生じた損失をうめるための一般会計からする繰入金に関する法律案及び交付税及び譲与税配付金特別会計法の一部を改正する法律案の三法案一括議題として質疑に入ります。質疑は通告順によつてこれを許します。小川君。
  3. 小川豊明

    小川(豊)委員 今議題になりました共済保険の問題に関してお伺いしたいと思いますが、この農業共済保険制度は農村にとつて非常にいい制度なんですけれども、県の共済組合連合会というような、あの機関が現在みな非常に赤字を持つておるのです。これは赤字が出べきはずがないのですけれども、赤字が出て来たというのは、結局通常災害とか、あるいは異常災害、超異常災害、こういうふうに災害段階をわけてあるわけです。通常災害になると、これは大体県段階手持ち保険料でやる、異常災害になると国庫の再保険金でやる、こういうふうになつておるわけです。ところがこの通常災害の場合に、手持ち保険料だけではまかなえないような場合が往々にしてある。そのことが県の組合赤字なつて出ておるのじやないかと思われるのです。これに対してこの赤字を生じさせないような措置を講じなければならぬと思うが、これはどういうふうにお考えなつておりますか。
  4. 久宗高

    久宗説明員 府県の共済組合連合会赤字についての御質問でございますが、ただいま御指摘のございましたように、県の共済連といたしましては、通常災害の部分について責任を持つておるわけでございます。そこで料率の問題になりますが、二十年間の基礎データによりまして、各県の固有の被害率を出しまして、それによりまして料率を五年ごとに改訂してやつておりますので、一応建前上は長期均衡ということになつておるわけでございす。ただ御承知通り長期の平均した均衡による料率でやつておりますので、ある年年によりましては赤字の出ることがございます。たとえば第一年度には赤字が出るが、二十年間の、ある年には黒字が出て参りますので、その関係で二十年間には均衡する建前の掛金の基礎なつておるわけでございます。ただこれでは若干不安がございますので、生で出て参りました被害率のほかに、安全割増しというのをさらに加えまして、保険経理の万全を期しておるわけでございます。しかしながら実際には現在までのところ相当赤字が出ておりまして、これの解消に苦しんでおるわけでございます。今申しましたように、これは絶対的な赤字ではございませんで、いわばある長期均衡の中の過渡的に出て参ります赤字、理論的にはそういうことになるわけでございますので、これにつきましては融資をいたしまして、長期には均衡するような措置をとつているわけであります。その融資機関といたしましては、先年国会で通していただきました農業共済基金というものがございます。政府が十五億、農民の方で十五億、三十億の資本金連合会不足金の過渡的な融資をする機関がございまして、それが貸しつけるような措置をとつているわけでございます。  現状を申しますと、お手元資料をお配りしておりますが、その資料の第一ページのところをちよつと見ていただきますと、これは二十二年以来の連合会年度別不足金を全部ここに書き上げたものでございまして、一番下の二十八年度累計を見ていただきますと、各種目によつて異なりますが、総計といたしましては三十九億円累計不足金が出ておるわけでございます。ただ県によつて黒字の出ておる県もございまして、その総額が六千八百万円ということになつております。一枚めくつていただきますと、各県別に出ておるわけでございまして、これで見ていただきましても、県によつて非常に状況が通うわけでございます。また年によつてプラスの出る年、マイナスの出る年、いろいろ違うわけでございますが、現状におきましては、累計してみますと、黒字の出ておる県はそのプラスのついておる三県だけであります。総計といたしましては赤字が非常に累積しておるわけでございます  それで、お尋ねのそれに対する対策でございますが、先ほどちよつと申し上げましたように、生の料率だけではなしに、若干の安全割増というものを加えまして、一応保険安全性を保つておるわけでございますが、当面の問題といたしましては、過去の累積した赤字が非常に多額になつておりますので、連合会としてはそれの運転に非常に困つておるわけでございます。基金から貸付を受けますが、これが長期貸付ではなくて、年度々々の短期の貸付なつておりますので、結局保健料を前食いして償還するというようなことになつておるわけであります。農林省といたしましては、できるだけ適当の機会に逝去の不足金につきまして長期に金が貸していただけるような形をとれば、連合会としても運用がつくのではないだろうかというふうに考えておるわけであります。
  5. 小川豊明

    小川(豊)委員 今の連合会赤字は、ことに共済仕事をしておる連合会赤字を持つことは、非常に不安を与えるし、信用の問題も出てくると思うわけであります。この赤字はむしろ制度から出て来ておる問題であつて経営のずさんその他から出て来ている問題ではないのではないか。これは農林省の方として急速に解決する必要があると思う。  もう一つお尋ねしたいのは、共済の方の、水稲とか陸稲あるいは蚕繭、麦、家畜、こういうふうになつておるが、このほかにも、たとえば菜種とか、大豆とかあるいはかんしよとか、落花生とか、県によつて非常に農民経済を支配てしいるものがあると思う。そういう点からいうならば、これは単にこういうふうに限らず、もつと共済適用を受けられるものを拡大すべきではないか、こう考えておるのだが、これについて農林省の方としてはどういうお考えを持つておりますか。
  6. 久宗高

    久宗説明員 この制度につきまして、衆参両院農林委員会におきましても小委員会をつくり、制度の根本的改正ついていろいろ御検討なつておりますが、ただいま御指摘の問題も、衆議院の方でその問題を取上げられまして、菜種とか大豆とかいうものについても、何らかそういう措置が必要ではないかという御提案があるわけであります。これを受けまして、現在農林省の中に災害補償制度審議する協議会を設けまして、鋭意検討中でございます。まだ中間的な結論も出ておらない実情でございますが、一応現在の水稲陸稲、麦、蚕繭、これは強制保険でやつておるわけでございます。その他の特殊農作物につきましては、いわゆる任意共済という形で一応できる形にはなつておりますが、御承知通り、これには再保険措置がございませんので、危険分散上危険がございまして、なかなか進展しない。  そこで当面問題になつておりますのは、菜種大豆でございます。菜種につきましては福岡県で試験的に実施しております。大豆につきましては長野県でやはり試験的に任意共済の形でやつておりますが、何分危険分散が十分でないので、思うように合理的に運用ができないので弱つているわけでございます。問題点といたしましては、菜種にしても、大豆にしても、価格の変動が非常に大きな幅であるわけでございます。そういう意味保険の限度についても相当検討を要すべきではないかというふうに考えております。  それからかんしよ、落花生というような問題につきましては、損害評価の技術上困難があるという問題がございます。なお検討途中で結論を得ておらないわけでございます。
  7. 小川豊明

    小川(豊)委員 あなたの方で研究しておられるというなら非常にけつこうですが、この問題はまだ損害評価の上にいろいろ技術問題もあると思うけれども、こうした共通的なものばかりでなく、その地域によつて農家経済を非常に強く支配しているかんしよとか菜種落花生大豆というようなものはまだほかにもあると思いますが、こうしたものを単に任意共済だけで行くと、経営の上からいつてもどうかと思われる。これはやはりそういう適用が受けられるように、急速に研究を願うべき筋合いではないかと私は思うわけであります。この点について御努力願いたい。  さらにこの共済についての損害の問題ですけれども、今度も十二億不足が生じているわけであります。作報調査政府のあなたの方で決定するものと、それから各県の損害評価というものがあります。そういうものとの調整は今どういうふうにとつておられるか。私どもが見ると、農家の方は損害を非常に多くとつて出ている。それをそのままとり得ないということは認めるけれども、これに対して損害がこういうふうに出て来ている、あるいは作報での調査、あなたの方のそれに対する決定、こういうものの調整はどういう形でやつておられるか、この点をお尋ねいたします。   〔千葉委員長退席内藤委員長代理着席
  8. 久宗高

    久宗説明員 損害評価の問題でございますが、御指摘通り、この評価の問題につきましては、まだまだこの措置といたしましては不十分でございます。現在やつておるやり方といたしまては、共済団体それ自体におきましてもいろいろ評価上の苦心をしているわけであります。末端から上つて参りましたものを県単位調整いたしまして、県単位に客観的な資料として一応作報資料をとりまして——これは実収高が出て参りますが、共済制度関係では減収量が現われて来るわけであります。それを実収に換算し直しまして、県単位に比較してある幅の中に落ちるのが妥当ではないかという観点に立ちまして、査定と申しますと語弊がございますが、農林省見解を示して、それと納得の行く範囲において調整をするというやり方をとつているわけであります。  ただこれについては末端数字相当の食い違いが出て参るのと、県単位ではある程度の合理的な調整がつくわけでございますが、細部に至りますといろいろと問題がございますので、どうせ査定をしなければならぬといたしますれば、なるべくもつと下の段階、たとえば郡段階でありますとか、可能ならば町村段階でというようなことで、例の制度改正審議会におきましても、できるならば町村段階客観資料と比較できるようにしたらどうかという御意見が強く出ているわけでございます。現在はやはりせいぜい郡段階におきます客観資料というようなことが当面可能な問題ではないだろうか。現状ではそこまでも参りませんで、県段階で全体の数字合理性検討するというようなやり方なつております。従いまして、細部に至りますといろいろまだ問題が残つているわけでございいます。特に作報それ自体につきましての農民のいろいろな感情がございますので、そういうものが入りまして、ただ作報数字だけで機械的に切るというような感じを共済関係者においても持つているわけでありますが、必ずしも機械的にその数字だけで切つているわけではないのでございます。
  9. 小川豊明

    小川(豊)委員 いま一点尋ねいたします。この共済組合建物共済をやつていると思うのですが、これはもちろん民営のものだと思う。そのほかに何か農協の方にもう一つ共済制度があつて建物共済や何かをめぐつて相当競合みたいなものが出て問題が起つておるということを聞いているのだが、この建物共済というのは一体どういう制度なつているのですか、その点と、それからその問題があるというならこれはどう調整するのか。ないならばけつこうですが、あるならその点をどう調整するかということ、その点をひとつお聞きしたいと思います。
  10. 久宗高

    久宗説明員 この建物共済問題はいろいろむずかし経緯があるわけでございますが、建前上申し上げますと、農業災害補償法によりましても任意共済という形で農家建物共済ができるようになつております。それから協同組合関係におきましても共済規定によりましてこれをやつてつたわけでありますが、ただ監督規定が不十分だということで先国会監督規定が整備されたわけでございます。従いまして、規定の上では両者が実際はできるような形になつております。ただ従来までは主として農家建物につきましては、共済関係の方が相当大きな実績をもつてつて来ております。若干そこに競合問題がございまして、いろいろ問題になつているわけでございますが、ただ農業共済に即して申し上げますと、さつき任意共済の際に申し上げましたように、現在は任意共済につきましては県段階危険分散しかできておりませんので、再保険機関のないというところで、建前上から申しましても、あるいは制度の上から申しましても、再保険措置がないということが一つの欠陥になつておるわけでございます。そのために共済金額が非常に低い形でしか実施できないというのが実情でございます。
  11. 内藤友明

  12. 井上良二

    井上委員 この漁船保険特別会計における特殊保険及び給与保険の再保険事業について生じた損失をうめるための一般会計からする繰入金に関する法律案、これの資料をきのう要求しておいたのですが、手元保険事故調べが配られておりますが私の聞きたいのは、昭和二十八年度において保険事故が異常に発生したということが説明されておりますが、この異常に発生をいたしましたうちで、特に漁船拿捕抑留等特殊保険、及び漁船乗組員給与保険法規定する乗組員抑留保険事故というものの大要を知りたいのですが……。
  13. 中村正路

    中村説明員 昭和二十八年度におきましては、お手元にお配りしました資料にございますように、四月から六月までの当初の三箇月間は事故発生いたしませんでした。七月から事故発生いたしまして、三月までに四十六件の事故発生しております。これはこの期間においてこういう漁船拿捕抑留事故の起つたもののうち、特殊保険に加入していたものについてだけの件数でございます。この期間には中共准日ソ連等合せまして大体百二十九件と記憶しておりますが、その程度拿捕事件がありまして、そのうち特殊保険に加入しておりますのは四十件、保険に加入している率が低いのははなはだ遺憾だと思つておりますが、そのうちを見ますと、中共関係拿捕されました比較的大型の船は残らず保険に入つておりまして、あとは韓国あるいはソ連につかまりました小型のさばつり漁船とか、あるいは沿岸の小漁船が一応そういう危険はないものという前提から保険に入つていないでたまたまつかまつたというものがございます。  それからその次には今年の四月に入つてからの事故件数が記載してある同様の資料でございます。これによりますと、四月になりましてから四十件の発生がございます。  それから給与保険の方でございますが、給与保険の方も、拿捕された船はおおむね給与保険がついておりまして、支払つておるわけでございますが、船は帰つて来ないが乗組員早期に帰るというようなもの、あるいはまた船は帰つた乗組員は一部残つているというような関係から、残つておるものをつかむことはなかなか困難なのでございますが、三枚目の紙にございますように、昭和二十八年度の月別に支払つた分は、四月には乗組員として抑留されておる者が二百十五人、それに対して百十一万九千円の保険金を支払つておる、こういうふうなことになつておりまして、これは最後の合計は延べと解釈していただきたいと思いますが、一年間に延べ三千五百三十八人に対して二千四百五十万円程度保険金を払つております。二十九年度は同様に次の紙にございますが、若干人数もふえております。このうち最近になりまして、先般中共から大量の引揚げがございましたから、中共関係は残らず帰還しております。ソ連関係も大部分帰還しておりますが、現在また新たに抑留された者がございます。韓国関係にもそういつた者がございまして、なお今後は大体今のままで行きますと、百人程度に対して保険金を支払つて行かなければならないと思います。以上お答え申し上げました。
  14. 井上良二

    井上委員 ちよつとこれに関連をして伺いますが、例のこの水爆の被害を受けました福竜丸の損害についてアメリカとの間における賠償といいますか、そういう問題は具体的にどの程度なつており、それが漁船及び乗組員にどういうように救済の道が講ぜられておるか。この点を明らかにしていただきたいと思います。
  15. 中村正路

    中村説明員 この点遺憾ながら私の方の所管外でございまして、私からはちよつとお答えできないのでございますが、帰りまして連絡いたしてお答えをこの次にでもさせていただくようにしたいと思います。
  16. 井上良二

    井上委員 わからなければやむを得ませんけれども、少くともこの方面の仕事をやつておりますあなたとしまして、その経過なりまた実際について調査されておるだろうと思つて伺つたのでありますけれども、御存じでないようですから、やむを得ません。  この際特に漁船拿捕抑留等という問題は一方的に行われておることでありまして、単にこの保険による救済の道だけではなしに、国として何ゆえにその漁船拿捕抑留行つた相手に対する損害賠償なり、あるいはそれ相当救済の交渉というものを行わないのですか。これはやむを得ない措置として泣寝入りの状態になつておるのですか。
  17. 中村正路

    中村説明員 私の方といたしましては、これは私の関係では漁船乗組員給与保険法というものに基きまして、保険でやつておるわけでありますが、御指摘通り、こういつたことは実際は天災とかそういつたやむを得ない災害によるものではございませんので、あくまで相手国の一方的な意思でそれが非常に発生したり、あるいはなかつたりするもので、これを保険でやるというところに相当矛盾があると思います。従いまして私の方の保険でやりますには限界というものがありまして、非常にそういうものが発生いたしますと、支払いが不能になるというような状況なつて参るわけであります。なお韓国等拿捕につきましては、その都度外務省を通じまして抗議が行われて、それに対する賠償、そういつたものの請求の権利は留保するということをつけ加えた抗議が出ております。
  18. 井上良二

    井上委員 政務次官ちよつとお伺いいたしますが、大蔵当局が提案されておるこの三法案は、政府として審議を促進する必要はないとお考えになりますか、それとも審議を促進しなければいかぬのならば、関係政府当局はさつぱり出て来ないのですが、それでいいとお考えですか。
  19. 山本米治

    山本政府委員 政府といたしましてはなるべく早く御審議を願いたいと思つているのでございまして、政府委員出席の悪いことにつきましてはまことに申訳ございません。なおきようはどういう方が要求されているか知りませんが、即刻ここに来るような措置をとることにいたします。
  20. 井上良二

    井上委員 政務次官みずからたつた十分しかおらぬというようなことでは審議できません。そこで十分間でも有効に活用いたしまして伺いますが、ただいま上程されております三法案中、特に第一の農業共済保険特別会計歳入不足を補てんするための一般会計からする繰入金に関する法律の一部を改正する法律案について、政府見解を伺いたいのですが、この農業共済歳入補填の十二億円を、今度新しく一般会計から二十八年度及び二十九年度において支払い保険金の確定の結果、十二億不足するからという御説明をなさつておられる。ところがいろいろ調べてみると、この十二億円というのは、実は二十九年度分には全然関係のない金であります。二十八年度の跡始末のために使う金ではないかと思うのでありますが、そういうことになつていないのですか。
  21. 山本米治

    山本政府委員 まず第一点の私がここにごく短時間しかいないという点でございますが、実はただいま参議院の本会議におきまして緊急質問があるはずでございます。これは社会党右派の方から洞爺丸事件について緊急質問がございますので、そちらに出ることになつておるのであります。実は大臣が当然出るわけでございますが、大臣予算委員会の方に行つておりますので、そういう関係でございますから、ひとつ御了承を願いたいと思います。  ただいまお話の十二億の今度追加する分は二十八年度分ではないかというお話でございますが、その通りでございます。今年度予算といたしましては五十五億を当初計上してございますが、これも二十八年度分の穴埋めという意味で計上してあるのでございまして、今度さらに十二億追加する分も二十九年度に計上するのではございますが、二十八年度分の不足補填意味でございます。
  22. 井上良二

    井上委員 そうすると、この二十九年度分の農業災害による再保険料の問題は一体どうするつもりでありますか。私ども調べたところによりますと、二十九年度農業共済の再保険料を完全に早期にこれを支払うためには、約五十八億七千万円ほどと推定をしておりますが、どういうわけでこれを補正予算に計上しなかつたのですか、今年はもう保険金は支払わぬのですか。
  23. 山本米治

    山本政府委員 保険保険事故発生すれば払わなくてはならぬのでありまして、決して払わないという意味ではございません。今年度分につきましてはもし支払う基金がない場合には、農中等からの借入れで一時まかないまして、今年、前年度赤字といいますか、不足を補填いたしまして、そういう意味におきまして来年度において今年度不足を計上するつもりでおるのであります。
  24. 井上良二

    井上委員 法律建前から当然本年発生いたしました分についても、かように年度末において補正予算が計上されます以上は、本年度災害に対する再保険料早期支払いということが、供米促進の上からも、また政府の食糧を管理する上からも、当然必要な措置なつて来るにかかわらず、これに対する資金的、予算的措置を何ら考えていない。今御説明によると、本年度支払いに要する分は、損害保険額の確定しましたときは、中金その他の融資によつて行う、こういうことを申しておるのでありますが、それははなはだしく法律を逸脱した行き方であつて融資によつてやるというような規定法律上どこにもありません。そんなことは政府の一方的なやり方であつて、われわれがしろうとの立場から計数を推定しても五十八億くらいいるということが大体推定されておる。専門家であるあなた方は財政に通じており、そのまた仕事をやられておるあなた方といたしましては、当然これだけの金が本年早期支払いをしなければならぬということになつておる場合は、今日計数が明らかに大体想定される場合は、当然それは予算化すべきであります。予算化せずにそれを金融に持つて行こうというのは、一体どこに法規的根拠がありますか、それを明らかにしてもらいたい。
  25. 村上孝太郎

    ○村上政府委員 ただいまの御質問、確かに十月十五日の作報によりますと、五、六十億の赤字が予想されるということになつております。しかしながら最終的にその保険金支払い総額がきまりますのは、十二月の作報によりまして二月になつて初めてきまるのでございまして、現在大体の予測はついておりますけれども、確定的な数字は出ておりませんので、これを予算化することは差控えたのでありまして、現実の問題といたしましては、農民に対する支払いといたしましては、農業共済基金というものがございまして、それが一時立てかえて支払う。これは去年、昭和二十八年度災害におきましてもそういう方法によつて支払いまして、農民各位に対しては支障なく保険金共済金の支払いをいたしておりますので、この場合もそうしました数字が確定しておらぬという前提からいたしまして予算化しなかつたようなわけでございます。
  26. 井上良二

    井上委員 予算でございますから、的確に数字の確定をする必要はありません。およその想定によつてつて一向さしつかえありません。従つてお話のように十月末における作況の実情から考え、かつ損害査定から考えて大体五、六十億の再保険料を支払わなければならぬということが明らかになつております以上は、当然予算化すべきであります。予算化せずにそれを金融の措置に持つて行こうというのは政府の一方的な便宜主義である。そう解釈して一向さしつかえないと思う。この補正予算が提出されずにずつと年度末まで当初予算で行きますならば、私はあえてさようなことは申しませんが、ここに農業共済保険関係した補正予算を提出する以上は、当然それはそれに含めて本年度災害における保険料の分も合せて計上するのが、財政当局として当然とらなければならぬ処置でないか、それをどういうわけでとらぬかということですよ。それは私の質問は誤つておるとお考えでありますか、専門家であるあなた方ひとつお答えを願いたい。
  27. 村上孝太郎

    ○村上政府委員 今井上先生のおつしやいましたように、予算というものは決して一銭一厘まではつきりきまつていなくても大体の見積りとして組むものではございますけれども、現実の問題といたしまして数字の確定してないときに厖大な金を固定化いたしますということは、非常に国庫財政の立場からいつても困難な場合におきまして、もし他に国民各位に御迷惑をかけなくても済みますところの便法がございますと選には、それはあとから予算化しますという手段も普通行われておるのでありまして、そういう意味におきまして確かに井上先生のおつしやる方法もいい方法だろうと存ずるのでありますけれども、この場合の政府措置も決して間違つておるとは思わないのであります。
  28. 井上良二

    井上委員 それでは伺いますが、融資によるというのですが、どこの融資なんですか。あなたはただいま農業共済基金があるから、昨年も政府から中金の方へ話をして中金の金を農業共済基金に流した。だから本年もそういう措置考えておるかもわかりませんが、あのやり方というものは一体妥当な処置とお考えになりますか。そもそもこの農業共済基金制度を設けましたのは、いわゆる各連合会における通常災害の場合の支払いに実際困難を生じて、連合会みずからどうにもならぬという一つ救済的な意味において基金制度というものは設けられておる。これはあとからいろいろまたこの問題について質問をいたしますけれども、そういうものを政府の再保険支払いの名において肩がわりさすというところに一つの大きな問題がありはせぬかと思うことが一つと、それから中金の命を資金にまわすことによつて、中金が去年二銭四厘ですかの利子でもつて基金にこれを貸し付けておる。ところが基金は、これを連合会に対して一銭七厘で貸しつけておる。それでは一体その利ざやはどうするのですか。当然基金としましては利子の損失補償をしてもらわなければならぬ問題が起つて来る。かような問題が発生して来ます。そうしますと本年政府がやろうとする、このさしあたり早期に完全支払いをせなければならぬ部分について、昨年のような措置をかりにとるということに仮定をいたした場合、この利子は一体どうするのです。そうして依然として中金から農業共済基金に資金を貸し付けるという行き方をとりますか、それとも新しく政府資金を直接に基金に流そうといたしますか、どちらの方法をお考えなつておりますか。
  29. 村上孝太郎

    ○村上政府委員 ただいまの井上先生のお話でございますが、まずこの農業共済基金を使うことは、その本来の趣旨ではないのじやないかというお話でございますが、確かにそうかもしれないのでございますが、従来農業共済基金がないときにおきましては、もしこの農業勘定に不足がございますと、支払いを翌年度まで延ばしておつたのでございますが、それでは農民の方たに非常な迷惑をかけますので、この農業共済基金を使つて、農林中金なり何なりの資金を流して年度内に支払わせる、こういうふうに制度なつて来ましたのは、この被害者の農民に対する便宜を考え措置であろうと私は思うのであります。従つてその制度本来の趣旨にはたがうにしても、その意味において許さるべきものではないかと思うのであります。  第二点の利息の点につきましては、確かに逆ざやになりまして、その利子につきましては、去年もそうでございましたが、今年も政府から補給いたすつもりでございます。  第三点の農林中金を通じて資金を貸すか、それとも政府が直接資金を貸すかという問題でございますが、先生がおつしやいますところの問題がいわゆる農業共済基金の資金のコストの問題でありますと、今申し上げましたように、利子を政府から補給するという前提に立ちますと、どちらの方法によつても同じことではないかと思います。
  30. 井上良二

    井上委員 政府予算化をいたしますなら、当然利子補給なんという問題は起つて来ないのです。予算化しないところに利子補給という問題が起つて来ているわけです。政府予算化をきらつて利子補給することがいいとお考えになりますか。一体そんな財政の立て方や経済のやりくりがありますか。いる金がわかつてつて何とかしなければならぬということになつておるのだから、やむを得ずに金融によつて肩がわりしようとするのでしよう。そうなら当然補正予算に計上しておけばいいのです。私がかりに計算をした分によつても、五十八億というような大きな金でございますから、利子だけでもわずか数箇月で少くとも七、八千万円払わなければならることになるのですよあなた方の処置当を得ないためにわれわれは余分な金を七、八千万円払うことになりますよ。そんなべらぼうなことがありますか。正当な手順によつて補正予算に計上されないというのなら、それはやむを得なかつたということでわれわれも納得をしましようが、補正予算が提案をされておるときに、当然計上すべきものをせずして、われわれ国民に別に利子を七、八千万円も負担さす、一体そういう措置がありますか。政務次官はそういう処置でいいとお考えになりますか。これは政府の責任においてお答え願いたい。
  31. 山本米治

    山本政府委員 ただいま政府委員説明いたしました通りのことでございまして、かたがた予算につきましては、御承知通り今年の歳入が一兆以内でございまして、歳出も一兆以内に押えるという方針にいたしますと、ここで非常に大きな数を計上することはとうてい不可能な状態でございます。かたがたそういう便法があつて、一番問題となる農民に御迷惑をかけなければこういう方法もこの際認められるのじやないか、こういうふうに考えておる次第であります。
  32. 井上良二

    井上委員 私は言葉を返すようですけれども、補正予算において新規的な事業計画を要求して、それを予算化しないとかどうとかいうことで、私があなた方に御質問申し上げておるのではないのです。法律規定によつて当然もらうべき権利を持つておる農民保険料を何で予算化しないか。今やつておけば利子を払わないでも済むのに、今その手続をしないで来年度にこれを持ち込むために、ここに七、八千万円も利子を別に負担しなければならぬことになるじやないか、このことを私は聞いている。私どもが、新規的に事業をやるために何で予算化しないかということなら、あなた方が今御答弁されましたように、それは一兆円のわくがあつて越すから困るということが青い得られるのであります。他の諸経費についてはそれぞれ新規予算のものが相当含まれているのじやないですか。その方は平気でふくらしておいて、法律の命ずるところによつて当然利益を受けるところの農民のもらうものについては予算化せずに、そして一般国民から不必要な七、八千万円という金利を何ゆえに特殊な金融機関に払わなければならぬか。われわれはさような負担をかぶせられることに満足はできません。これは政府予算的措置がよろしきを得ないという結果から来ているのじやないか、そうお考えになりませんか。
  33. 村上孝太郎

    ○村上政府委員 貫録が足りないかも知れませんが、私がお答えしてもほかの方がお答えしても同じかと思いますので、申し上げます。要するに、問題は来年の二月になりませんと確定しない。これは現在でも予想できるんだからというお話でございましようと思いますが、確定しておりません。これだけ巨額な金を固定化するという問題と、それから不必要な利子を払うではないかという、その二つの価値判断の問題だろうと思うのでありますが、先ほどから何度も申し上げましたように、当然の権利を持つております農民各位にはこの方法によつて、ともかくも共済金の支払いだけはできる、そうしてあとは五、六十億の金額を固定化するか、それとも利子を支払うか、こういう価値判断の問題になりますと、その場合いろいろの立場の見方がございましようけれども、われわれ財政の立場からこういうやり方が絶対間違つておるというわけには参らぬのではなかろうか、こういうふうに考えております。
  34. 井上良二

    井上委員 それは支払いを受ける金額が確定しないから、従つて予算化することが困難だということで一応了解いたします。私ども補正予算が今日提案せられなければ、それはその点で了承しますが、当然補正予算が今日提案せられて国会審議を得ようという場合に、予想され得る本年度災害に対して完全早期支払いをいたさなければならぬ現状にありますから、そうした見込みにおいて予算を計上して一向さしつかえない。しからば政府が提出しております予算というものは、すべてのものが確定した根拠の上に立つておるかといえば、そうばかりもいえません。それはいろいろの事案を参考にいたしまして、お互いの能力の最大限における見込み予算でありまして、そういうりくつはこの際は成り立たぬということであります。これ以上あなたと議論してもしかたがないから進めますが、そうするとやはり今年は去年と同じように中金を通して農業共済に入れようというのですか、具体的にはどうですか。
  35. 村上孝太郎

    ○村上政府委員 大体そういうふうに予想しております。
  36. 井上良二

    井上委員 そうしますと、その利子はやはり去年と同じことになりますか。
  37. 村上孝太郎

    ○村上政府委員 利子は農業共済保険特別会計で負担することになつております。
  38. 井上良二

    井上委員 なりますが、金利はやはり二銭四厘ということになりますか。
  39. 村上孝太郎

    ○村上政府委員 大体そういうことになるように了解いたしております。
  40. 井上良二

    井上委員 そうしますと、やはり共済基金の方は一銭七厘で貸して、中金は二銭四厘で貸す。その差額は再保険で持つ、こういうことですか。それは何で政府の持つております別の資金をお出しになりません。私の調べたところによると、二十八年度において政府は一銭七厘でもつて基金に金を貸し付けておりますね。一銭七厘で貸す金があるのに、何で二銭四厘の高いものを基金に貸して、そして再保険においてそれだけの損害を、利子の損失補償をしなければならぬか。
  41. 村上孝太郎

    ○村上政府委員 ただいま、大体去年と同じようになるだろうと申し上げましたのは、要するに、農林中金から農業共済基金を通じて、この共済組合連合会に流す、このルートを申し上げたのでありまして、その農業共済基金に出し得る農林中金の資金源が農林中金の本来の資金であるか、あるいはたとえば、先生のおつしやいますように、政府の指定預金を流しまして、それによつて安い資金コストの金を貸すかということにつきましては、なおよく研究したいと存じておりますが、ただ、現在そういうルートでもって、農民各位の、先生のおつしやいますところの当然の権利のあるところの基金を支払うというところのルートだけは現化予定しておる、こういうふうに御了解願いたいと思います。
  42. 井上良二

    井上委員 主計局次長が見えましたから、次長に責任のある答弁を伺いたいのですが、ただいま農業再保険損失補償に対する法律案質問をいたしておりますが、ただいままで審議しておりますところでは、二十八年度災害損失の穴埋めのために十二億繰入れるので、本年の分は全然考えられておりません。ところが、すでに供米は確定し、従つてその損害査定もどんどん進んでおりまして、すでに政府手元には、本年度早期完全支払いに充てる再保険料がおよそ予想されております。その予想されておる金額は五、六十億であるということがいわれております。そういうことが明らかになつておりますのに、それを何ゆえに補正予算に組まないのか。補正予算にどういうわけで本年の早期支払いに充てる分を組まないかということです。ところが、それを組まないと支払い金額が確定しないからということで、金融によつてこれを肩がわりしようとしておる。ところが、金融によつて肩がわりしていいという法的基礎はどこにもないのです。政府予算的措置の一方的な便宜的な処置によつてやられておる。そのために、わずかの期間でありますけれども、少くとも七、八千万円の利子を再保険特別会計において支払わなければならぬのです。いいかげん赤字を背負つている上に、さらに利子の損失を背負わなければならぬ、こういうべらぼうな予算の編成方針はありはせぬ。こういうのが私の質問の骨子です。そこをひとつお答えを願いたい。
  43. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 農業共済につきましては、井上先生は非常な権威であられまして、われわれが申し上げるまでもなく、よく御承知通りであります。今回の補正にあたりましては、政府は御承知のように、全般的な健全財政の線に沿いまして、この際補正をいたさなければ何ともしようのないものだけを厳重に選びまして出しておることは、申し上げるまでもございません。そこで、農業共済につきましても、昭和二十八年度の決算上明確な不足はこれを補填することにいたしたのであります。お説の通り、二十九年度におきましても、むろんある程度損害保険金支払いは予想せられ、これに対しまして、いずれ政府におきましても、とれに対する負担をいたさなければならぬことは予想せられるのであります。しかし、おつしやられました通りに、これには、従来もやつておりますが、金融の道があるわけであります。またその損害の確定までは、これは、世上しばしば指摘せられておりす通りに、よほど慎重な査定を経まして厳格に支払額を決定しておることは申すまでもございません。さような意味から、いわゆる拙速主義と慎重な検討ということが、常に財政の上の相反する要請に相なるのでございますが、私どもといたしましては、二十九年における被害その他の状況から勘案いたしまして、この際、農家の方々には支払いにおいて迷惑をかけることのないように、万全の資金の備えをいたしますとともに、これを財政において負担する際におきましては、厳重査定を加えまして、いわゆる厘毛もゆるがせにしないという要請にこたえて参りたいこの両方の要請を勘案いたしまして、今回は、明確な二十八年度不足額を計上することにとどめた次第でございます。
  44. 井上良二

    井上委員 ただいまの御説明では私は納得できません。現実に、政府保険金支払いに必要と認めて、金融措置を別に講ずるということ自身が、予算化しなければならぬ必要が起つたから、私はかような質問をしているのであつて、現実がなければそんなことを申し上げる必要はないのであります。そのことによつて七、八千万円の利子を余分に支払わなければならぬということになるのじやないかというのが、私の質問の重点であります。しかも、何ゆえ七、八千万円の高い利子を払わないで、政府資金を直接農業共済基金に繰入れぬのか。ただいま伺うと、ことしもまた中金の方の金繰りにおいて農業共済基金に流そうとしているらしい。そうしますと、中金の分は二銭四厘なんです。政府資金になると去年は一銭七厘か一銭八厘かで流しております。共済基金から県の連合会に流します場合は、一銭七厘で流しております。だから、できるだけ政府みずからそういう金融措置の必要を考えて、政府資金を直接基金に流すことの方が、余分な利子を支払わないでいいことになるのですから、その点に対して、それだけの資金的余地が政府の資金の中にあるかどうかという問題がここに一つございますが、それはどうですか。政府の資金にそういう余裕はありませんのか、やはり農林中金の方にお世話を願わなければならぬことになりますか、その点はどういうふうになつておりますか。
  45. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 残りました金利の負担の問題につきましてはまことにごもつともな点もあるわけでありまして、私どももいたずらに金利の負担を増すようなことは、極力避けて参りたいというふうに考えます。おつしやられました通りに、一応従来のやり方響から考えますと、農林中金の資金の活用ということが考えられるのでございますが、この農林中金の資金の活用にあたりまして、政府のいわゆる国庫余裕金の指定預金というふうな道もあるわけであります。結局これは資金のコストの問題になるわけでございますから、その辺もあわせて考えまして、できる限りコストの安い資金を活用できるように今後一層努力をいたしたい、かように考えております。
  46. 井上良二

    井上委員 次に、農業共済基金制度の問題でありますが、この農業共済基金は、御存じの通り県単位における連合会保険金支払いに困ります実情から、政府農民との共同出資によつてつくり上げた制度であります。ところがこの制度がたしか昭和二十六年かに法律化されてできたときに、当時連合会が持つておりました二十八億円に上る赤字をそのまま受継いでおります。そのためにこの基金がせつかくできたにかかわらず、基金的に十分な効果を発揮できない現状にある。たしか現在基金は二十一億か二十二億くらいになつておりはせぬかと思いますが、そのうちさきに申しました二十八億の赤字を背負い込んでおりますから、かりにそれをそのままましますと、実際は使う金はあまりないということになります。そういうことでは基金制度としての十分な価値を発揮できなくなりますから、どうですか、政府は十八億を一応再建整備にかけてこれをたな上げするという措置をお考えなつたことがありますか、そんなことは全然考えてないのですか、その点を一応伺いたい。
  47. 久宗高

    久宗説明員 ただいま連合会不足金の問題が出たわけでありますが、御指摘通り、二十七年度においてこの基金が発足いたしました当時、二十六年度までの連合会不足金として約二十八億の累積した不足金があつたのであります。従いましてこの問題を放置して基金運用いたそうといたしましても、非常に無理がございます。これは法案成立当時におきましてもいろいろ論議されたわけでございますが、結局二十八億の問題につきましては、ただいまもたな上げというお話が出たのでございますが、どういうふうにしてその不足金が出たかという要因を検討しようということがその前の閣議でも問題になつておりまして、一応その検討にかかつたわけでございます。しかしながらもちろん個々のこういうような問題が影響しておだらうという要因だけは、一応の分析ができるわけでございますが、それを数字的に表現することが非常に困難でございますので、要因分析から不足金をどうしようという問題の結論は非常に出にくい状況であります。  従いましてその後の運営といたしましては、一応二十八億の問題はそのままになつておりますので、基金運用から申しますと、基金不足金を貸し付けました場合に、先ほどもちよつと申し上げましたように、これは短期の貸付なつておりますので、連合会といたしましては、手持ち保険料をいわば前食いして償還に充てるというような形をしいられておるわけでございます。その点連合会の運営にも非常にまずい点が出て参りますので、農林省といたしましては、そういうような事情をいろいろ考えまして、しかしながら不足金の決定的な処理ということにつきましてなお検討すべきものがございますので、当面の措置といたしまして、過去の二十八億につきましては長期に貸していただくような方法ができぬものだろうか。そういうことにいたしますれば、基金としてはその後生じました短期の不足金について貸し付けて、連合会がそれを償還する場合には、運営を変則にしなくともこのような措置ができるのではないかという見解のもとに、来年度予算においてそういつたことを現在大蔵省に対してもお願いしているような次第でございます。  ただこの不足金の根本処理につきましては、いろいろ要員がここに重つておりますので、単純な処理をいたしますと、今後の保険経理にもいろいろ影響がございますので、慎重に考慮をいたしたいと考えているわけでございます。
  48. 井上良二

    井上委員 問題は赤字を背負い込んでいる共済基金が十分な活動ができないという現状であります。今お話のように、財政当局との間でこの赤字なつておる部分について何とかこれを整理する処置をすみやかに講じて、少くとも基金制度の能力を十分発揮できるようにすることを根本的に考えなければならぬのではないかと私は思います。  それといま一つは、農業共済の事業分量が最近非常に拡大されて来ております。しかるに基金は依然として二十七年度出発した現状のままで放任されております。そこでどうですか、大蔵当局としては農業基金の資金わくをもう少し拡大する必要があるとお考えになりませんか。少くとも農業基金としては四、五十億のわくを持つておらぬとほんとうの活動はできぬと私は見ておりますが、政府は一体どの程度の資金を持てば、各県連単位の保険金支払いについて農民に迷惑かけぬようにやつて行けるというお考えをお持ちでございましようか。資金わく拡大に対する政府見解及び農業基金として活動さすに所要の資金は、常識的に考えてどのくらいが今日の事業分量の中では妥当と考えるかこの点について伺いたい。
  49. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 お答えいたします。私どもとしましては、年々の農業被害いわゆる災害が非常に少くて、この基金活動の余地がきわめて局限されるという事態が一番望ましいのであります。しかし今年なんかは戦後災害の少い二番目の年といわれておりますが、先ほどからお話のような事態でございます。そこで今後のこの基金のあるべき姿という点でございますが、これはせつかく国会におかれましても小委員会を設け、農業共省の根本的再検討をはかられておるように承知いたしております。先ほど農林省からお答えがございましたが、私どもとしては従来懸案の問題、並びにただいま御指摘のような点につきまして、今後も十分検討を加えまして、本制度の合理化をはかつて参りたいと考えておるのであります。  どの程度の資金が適当であるかという御質問につきましては、今ただちにお答えを申し上げるわけには参らぬのでありますが、根本的には災害を未然に防止する方面の努力が最も肝要であろうかと存じます。しかしいかに努力いたしましても、最小限度のものは必要でございまするから、その場合に本制度を最も効果的に運営して行くために、どの程度の資金を用意するかという点につきましては、今後合わせて検討を加えて参りたい。ただいまのところはただちにお答え申し上げることのできないのを遺憾といたします。
  50. 井上良二

    井上委員 それから今一つ大蔵当局にお願いしておきたいことは、農業共済基金制度の拡充に伴う農業共済保険制度全般に関する問題でございますが、この制度は、非常に寡小にしてかつ原始的な農業生産にいそしんで生活しているわが国農業の非常な脆弱性といいますか、特に後進産業として都市と大規模産業にいつも隷属しているということから、しかも天候に支配されるという特殊な産業として、一種の社会保障の意味合いが多分に含まれている。その面をわれわれは考慮いたしまして、農業の補償制度といいますか、そういう意味がこれに加わつておるのであつて、その点を財務当局においても十分考慮を願いませんと、ただこれを他の産業関係とにらみ合せてみたり、また他の産業における保険と対比したのでは話にならぬのであります。あくまでこれはわが国農業の特殊性というものの上に立つて、しかもその上人口の半分をここへ包容しておるという実態から、農業災害補償というものについて国家保障をするのだということを原則的に理解をしてもらいませんと、この保険の正常の運営は困難になつて参ります。それといま一つ、私は直接この保険を担当しております農林省に御注意と御検討を願わなければなりませんのは、この制度に関して最近行政管理庁といいますか、あるいはまた会計検査院の方から各地方の農業共済状況について査察検査が行われまして、私どもの方に参つております情報といいますか、報告によりましても、相当批難事項が現われて来ております。これはこの制度みずからが農業の社会保障を意味しておるという点を十分理解せずに、単にものさしであてはめた結果でないかと私どもは見ておりますが、同時にこの保険というものが非常にやつかいな、やりにくい制度でありますために、末端においてはいろいろの摩擦を起しておるようでございます。特にこれらの事態を勘案しまして、農林当局では共済制度の改革について、各方面から有力な権威者を集めまして、協議会をつくられて、これの改革、改正に所要の検討を加えられて、大分審議も進んでおるようでございますが、問題はやはり保険の対象となります田畑の面積あるいは収穫高等によるか、あるいはまたこの保険の掛金率をどうするか、あるいはまた被害率をどう押えるかというような問題が非常にやつかいでございまして、この対象になります反当収穫で行くか、それとも収量額によつて押えて行くか、また保険料率をそれに適合して段階を設けるかというふうに問題が横たわつておるようでありますが、なかなか公正な問題として全国画一な基準を出すということは、非常に骨が折れる仕事じやないかとわれわれも見ております。その問題が正確かつ公正に結論を得ますならば、あとはもう保険金支払いについてできるだけ公正かつ敏速に行う措置をどうとるかということでないかと私ども見ております。ところが現在の実情は私ども各村々を見てまわりまして感づきますのは、どこの農家もほとんどこの制度についてありがたさを考えていない。またそれほど大きな批判もないようでありますが、国から年額少くとも二百億以上の国家負担を出しておる国というものはどうも他の国においてはそう多くないと私は見ておる。それほど大きな国家負担をしておりながら、農民からさほど喜ばれていないということは、一体どこに原因があるかという点を私はもう少し検討してみる必要があると思います。これは一つ政府損害査定が非常に手間取り、かつ保険金支払いに非常に時間がかかり、かつもらいます場合に、それが正確にして、こういう損害補償だということについて、農民はほんとうに国家保障の面についてありがたさを感じていないというところにありはせぬかと思つておりますから、それらの所要の点について専門的な、有力な権威の方々が多数お集まりで、この制度についての検討をやられておりますから、一日もすみやかに本制度がほんとうの農業災害補償を意味するりつぱ制度として、これが生きて使われますように、私どもお願いしておきたいと思います。  そこで農林省経済局長が見えましたから、この新制度についての協議会結論はいつごろまでに出し、それによります所要の改正案は次の通常国会に出すつもりでございますか。なかなかそこまでまだ審議が進まないのか、またかりに審議が長引くとしまして、大体協議会なり審議会で今まで意見がまとまりました分だけは法制化をして、順次改正案を出して行くという手もありますが、どういうようにお考えなつておりましようかそれらの経過及び今後の取扱いについて農林当局の所見を伺いたい。
  51. 小倉武一

    ○小倉政府委員 ただいまいろいろ詳しく災害補償制度につき摂して御見解を承つたのでありますが、最後に今後制度の改革、政正について私どもとしてどういう段取りで考えているかというお尋ねがございましたが、大体御推察の通り制度全体の仕組を根本的にかえるということは、一挙にやることはなかなかむずかしいのでございまして、ただいまお話制度の改正に関する協議会におきましても、一応の結論といたしましては近日中につくのではないかというふうに考えております。もつともこれは主として現在やつております米麦等の農作物に関する災害についての根本的な改正の点でございますが、なおこの制度といたしましては再保険制度、あるいは任意共済の問題あるいは米麦以外の作物をどう取扱うかといつたようないろいろの問題がございますけれども、そういう問題はまだ協議会といたしまして結論に達しておりませんけれども、稲作を主とする作物につきましては、引受けにつきましても、あるいは料率のきめ方、あるいは共済金額の決定、あるいは損害補償の問題等につきましては、近日中に一応の結論が出はしないか、かように考えております。この結論に基きましてでき得ますものは、お話のように、今度の通常国会となりますか、最近の国会に所要の法案の一部改正をお願いいたしまして実施をいたすつもりでございます。それは主として料率問題、あるいは共済金額の問題について処置をいたしたい、かように今のところは考えておりますが、なお共済組合の立て方の間硬筆につきましては、なお若干検討を要する点があるのではないか、かように存じております。その他の点につきましてはなお協議会でどういう結論が出るか予期しがたいのでございますが、結論が出次第出す、かような段取りでおるのであります。
  52. 内藤友明

    内藤委員長代理 午前中の会議はこの程度とし、午後二時まで休憩いたします。    午後零時二分休憩      ————◇—————   〔休憩後は開会に至らなかつた