○
井上委員 それから今
一つ大蔵当局にお願いしておきたいことは、
農業共済基金制度の拡充に伴う
農業共済保険制度全般に関する問題でございますが、この
制度は、非常に寡小にしてかつ原始的な農業生産にいそしんで生活しているわが国農業の非常な脆弱性といいますか、特に後進産業として都市と大規模産業にいつも隷属しているということから、しかも天候に支配されるという特殊な産業として、一種の社会保障の
意味合いが多分に含まれている。その面をわれわれは考慮いたしまして、農業の補償
制度といいますか、そういう
意味がこれに加わ
つておるのであ
つて、その点を財務当局においても十分考慮を願いませんと、ただこれを他の産業
関係とにらみ合せてみたり、また他の産業における
保険と対比したのでは話にならぬのであります。あくまでこれはわが国農業の特殊性というものの上に立
つて、しかもその上人口の半分をここへ包容しておるという実態から、
農業災害補償というものについて国家保障をするのだということを原則的に理解をしてもらいませんと、この
保険の正常の運営は困難に
なつて参ります。それといま
一つ、私は直接この
保険を担当しております
農林省に御注意と御
検討を願わなければなりませんのは、この
制度に関して最近行政管理庁といいますか、あるいはまた会計検査院の方から各地方の
農業共済の
状況について査察検査が行われまして、私どもの方に参
つております情報といいますか、報告によりましても、
相当批難事項が現われて来ております。これはこの
制度みずからが農業の社会保障を
意味しておるという点を十分理解せずに、単にものさしであてはめた結果でないかと私どもは見ておりますが、同時にこの
保険というものが非常にやつかいな、やりにくい
制度でありますために、
末端においてはいろいろの摩擦を起しておるようでございます。特にこれらの事態を勘案しまして、農林当局では
共済制度の改革について、各方面から有力な権威者を集めまして、
協議会をつくられて、これの改革、改正に所要の
検討を加えられて、大分
審議も進んでおるようでございますが、問題はやはり
保険の対象となります田畑の面積あるいは収穫高等によるか、あるいはまたこの
保険の掛金率をどうするか、あるいはまた
被害率をどう押えるかというような問題が非常にやつかいでございまして、この対象になります反当収穫で行くか、それとも収量額によ
つて押えて行くか、また
保険の
料率をそれに適合して
段階を設けるかというふうに問題が横たわ
つておるようでありますが、なかなか公正な問題として全国画一な基準を出すということは、非常に骨が折れる
仕事じやないかとわれわれも見ております。その問題が正確かつ公正に
結論を得ますならば、あとはもう
保険金の
支払いについてできるだけ公正かつ敏速に行う
措置をどうとるかということでないかと私ども見ております。ところが現在の
実情は私ども各村々を見てまわりまして感づきますのは、どこの
農家もほとんどこの
制度についてありがたさを
考えていない。またそれほど大きな批判もないようでありますが、国から年額少くとも二百億以上の国家負担を出しておる国というものはどうも他の国においてはそう多くないと私は見ておる。それほど大きな国家負担をしておりながら、
農民からさほど喜ばれていないということは、一体どこに原因があるかという点を私はもう少し
検討してみる必要があると思います。これは
一つは
政府の
損害査定が非常に手間取り、かつ
保険金の
支払いに非常に時間がかかり、かつもらいます場合に、それが正確にして、こういう
損害補償だということについて、
農民はほんとうに国家保障の面についてありがたさを感じていないというところにありはせぬかと思
つておりますから、それらの所要の点について専門的な、有力な権威の方々が多数お集まりで、この
制度についての
検討をやられておりますから、一日もすみやかに本
制度がほんとうの
農業災害補償を
意味するりつぱ
制度として、これが生きて使われますように、私どもお願いしておきたいと思います。
そこで
農林省の
経済局長が見えましたから、この新
制度についての
協議会の
結論はいつごろまでに出し、それによります所要の改正案は次の通常
国会に出すつもりでございますか。なかなかそこまでまだ
審議が進まないのか、またかりに
審議が長引くとしまして、大体
協議会なり
審議会で今まで意見がまとまりました分だけは法制化をして、順次改正案を出して行くという手もありますが、どういうようにお
考えに
なつておりましようかそれらの経過及び今後の取扱いについて農林当局の所見を伺いたい。