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1954-12-02 第20回国会 衆議院 大蔵委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年十二月二日(木曜日)     午前十時四十六分開議  出席委員    委員長代理理事 内藤 友明君    理事 大平 正芳君 理事 黒金 泰美君    理事 苫米地英俊君 理事 坊  秀男君    理事 久保田鶴松君 理事 井上 良二君       植木庚子郎君    山口六郎次君       加藤 高藏君    島村 一郎君       藤枝 泉介君    小川 豊明君       佐々木更三君    柴田 義男君       春日 一幸君    平岡忠次郎君  出席政府委員         大蔵政務次官  山本 米治君         大蔵事務官         (主計局法課         長)      村上孝太郎君  委員以外の出席者         議     員 伊藤卯四郎君         大蔵事務官         (管財局長)  窪谷 直光君         専  門  員 椎木 文也君         専  門  員 黒田 久太君     ————————————— 十二月一日  委員川崎秀二君、福田繁芳君、古井喜實君、山  本勝市君、山村新治郎君及び福田赳夫君辞任に  つき、その補欠として島村一郎君、生田宏一君、  宇都宮徳馬君、植木庚子郎君、加藤高藏君及び  川島金次君が議長の指名で委員に選任された。     —————————————  交付税及び施与税配付金特別会計法の一部を改  正する法律案内閣提出第八号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  国有炭鉱医療施設譲渡及び貸付に関する特  例法案伊藤卯四郎君外六十三名提出、第十九  回国会衆法第四七号)  農業共済保険特別会計歳入不足を補てんす  るための一般会計からする繰入金に関する法律  の一部を改正する法律案内閣提出第四号)  漁船保険特別会計における特殊保険及び給与  保険の再保険事業について生じた損失をうめるための一般会  計からする繰入金に関する法律案内閣提出第五号)  交付税及び譲与税配付金特別会計法の一部を改  正する法律案内閣提出第八号)     —————————————
  2. 内藤友明

    内藤委員長代理 これより会議を開きます。  諸君の座席は、必要ある場合には委員長において適宜変更することにいたしまして、ただいま諸君の御着席になつておられる通りに指定いたします。     —————————————
  3. 内藤友明

    内藤委員長 ただいまより一昨三十日当委員会審査を付託されました農業共済保険特別会計歳入不足を補てんするための一般会計からする繰入金に関する法律の一部を改正する法律案及び漁船保険特別会計における特殊保険及び給与保険の再保険事業について生じた損失をうめるための一般会計からする繰入金に間する法律案、並びに昨一日付託されました交付税及び譲与税配付金特別会計法の一部を改正する法律案の三案を一括議題として審査に入ります。  まず政府当局より提案理由説明を聴取いたします。山本大蔵政務次官
  4. 山本米治

    山本政府委員 ただいま議題となりました、農業共済保険特別会計歳入不足を補てんするための一般会計からする繰入金に関する法律の一部を改正する法律案外二法案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。  昭和二十八年度におきましては、風水害、冷害等が相次いで異常に発生したため、農業共済保険特別会計農業勘定における再保険金支払増加し、多額の歳入不足を生ずることが予想されましたので、その歳入不足を埋めるために、すでに第十七回臨時国会及び題十九回国会において御審議を願い、成立を見ました農業共済保険特別会計歳入不足を補てんするための財源措置に関する法律及び農業共済保険特別会計歳入不足を補てんするための一般会計からする繰入金に関する法律によつて昭和二十八年度及び昭和二十九年度において、一般会計からそれぞれ八十五億円及び五十五億円の会計農業勘定に繰り入れることができる措置を講じたのでありますが、支払保険金確定の結果、なお約十二億円の不足が生ずることとなりましたので、今回さらに、その不足を埋めるために、農業共済保険特別会計歳入不足を補てんするための一般会計からする繰入金に関する法律の一部を改正し、一般会計から、この会計農業勘定に繰入れることができる繰入金限度額五十五億円を六十七億円に改めようとするものであります。  次に、漁船保険特別会計における特殊保険及び給与保険の再保険事業について生じた損失を埋めるための一般会計からする繰入金に関する法律案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。  漁船損害補償法規定により漁船拿捕抑留等事故保険事故とする特殊保険及び漁船乗組員抑留保険事故とする給与保険につきまして、昭和二十八年度において保険事故が異常に発生いたしましたため、第十八回国会において成立いたしました漁船保険特別会計における特殊保険及び給与保険の再保険事業について生じた損失を補てんするための一般会計からする繰入金に関する法律によりまして、とりあえず、昭和二十八年四月一日から同年十一月三十日までの間における損失を埋めるため、一般会計から、この会計特殊保険勘定に一億七千七百万円、給与保険勘定に七百万円を繰入れることができることといたしたのでありますが、同年十二月以降も引続き保険事故が異常に発生し、さらに、特殊保険勘定におきましては、本年三月三十一日までに約九千四百万円、給与保険勘定におきましては、本年十月十五日までに約千五百万円の損失を生じたのであります。これらの損失は、その事故性質にかんがかみまして、一般会計からの繰入金をもつて埋めることが適当であると考えられますので、今回これらの損失を埋めるため、昭和二十九年度におきまして、一般会計から、この会計特殊保険勘定に九千四百万円、給与保険勘定に千五百万円を繰入れることができることとしようとするものであります。  最後に、交付税及び譲与税配付金特別会計法の一部を改正する法律案提案理由を御説明申し上げます。  今回、政府は、主として警察費にかかる財源所要額の是正をはかるため、昭和二十九年度における地方交付税総額を変更することとし、その所要額を今回の補正予算に計上いたしますとともに、別途提出昭和二十九年度の地方交付税総額等特例に関する法律案において、昭和二十九年度に限り、地方交付税法第六条の規定にかかわらず、所得税及び法人税収入額のそれぞれ百分の十九・八七四並びに酒税の収入額の百分の二十をもつて地方交付税とすることといたしたのでありますが、これに伴い、一般会計から交付税及び譲与税配付金特別会計に入れる金額につきまして、交付税及び譲与税配付金特別会計法改正を要することとなつたのであります。すなわち従来は、同法第四条におきまして、地方交付税法第六条第二項に規定する交付税総額相当する金額を、予算で定めるところにより、この会計に繰入れることになつておりますので、ここに同条につき昭和二十九年度限りの特例を設けることといたし、また、右の第四条の規定は、一般会計特別会計との間における繰入れ関係規定したものでありますので、この際、繰入れの内容について同法自体においても明確に規定することが本特別会計を設けて経理の区分の明確を期する建前から必要かつ適切であると認められますので、あわせて同条の規定を整備することといたそうとするものであります。  以上がこの三法律案提出する理由であります。何とぞ、御審議の上、すみやかに御賛成あらんことを御願い申し上げます。
  5. 内藤友明

    内藤委員長代理 これにて提案理由説明を終わりました。  三法案に対する質疑次会に譲ることにいたします。     —————————————
  6. 内藤友明

    内藤委員長代理 次に、国有炭鉱医療施設譲渡及び貸付に関する特例法案議題として、審査に入ります。  本法案は去る第十九国会提出され、当委員会において継続審査をいたして参つた法案でありまして、提案理由説明は前国会においてすでに聴取いたしたのでありますから、これを省略して、ただちに質疑に入りたいと存じますが、これに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 内藤友明

    内藤委員長代理 御異議なしと認めます。よつてさように決しました。  それでは、ただいまより質疑に入ります。質疑通告順によりこれを許します。非上良二君。
  8. 井上良二

    井上委員 その質疑に入ります前に、ただいま三法案提出されて政府提案理由の御説明伺つたのでありますが、この法案審議に必要な資料提出を要求いたしたいと存じます。  それは、農業共済保険制度改正に必要な審議農林委員会の方において進められておりまして、この農林委員会における本共済保険改正に関連する所要議事経過というものを一応御提出を願いたいと思います。同時に、この改正案において約十二億の不足が新しく生じたということでありますが、このおもなる不足の項目について、そうしてまた、特に不足を生じました都道府県の共済組合実情について、資料を出していただきたいと思います。  次に、この漁船保険損失補填に関する件について、昨年からことしにかけまして、すなわち、二十八年度の四月一日から本年の十月十五日までの真に生じました漁船拿捕抑留、それからそれに関連します漁船乗組員給与補償内容、そういう研究と、それに必要なる金額を出していただきたいと思います。  その次に、交付税及び譲与税法案改正に伴いまして、地方財政現状について、特にかような法的処置を講じなければならぬに至りました地方財政現状についての必要な資料をお出し願いたいと思います。  以上三資料を要求いたしておきます。  国有炭鉱医療施設譲渡及び貸付に関する特例法に関連して、二、三質問をいたしたいのでありますが、この医療施設は現在度の程度施設政府の方では管理し、そしてそれはどういう方法で、現在その施設がされております地方団体に貸し付けておるか、その貸付内容について御説明願いたいと存じます。これは管財局長の方から願います。
  9. 窪谷直光

    窪谷説明員 国有財産として管理をいたしております炭鉱福利施設の一部であります病院診療所につきましては、これは最初は御承知のように、産業復興公団建設をいたしたものであります。その産業復興公団解散に伴いまして、大蔵省普通財産として同公団から引継いだものでありまして、引継ぎ当時では、箇所数にいたしまして三十六箇所を引継いだのであります。当時の公団の二十六年三月末の帳簿価格によりますと、統計をいたしまして、三億六千四百万円という財産に相なつております。公団時代におきましても、建設をいたしまして、その後の処置をどうするかということで、それぞれ売払いなり貸付なりの契約を大部分完了いたしておるのであります。引継ぎ当時に貸付をいたしておりますものが大部分でありますが、その売払いをいたしましたものも若干ございまして、三十六箇所のうちで七箇所は売払いの契約をいたしております。その代金相当長期間の年賦延納契約に相なつております。それから貸付をいたしておりますのがその残りの大部分であります。この貸付と売払いとの契約の基礎になりました財産価格でありますが、これは当初公団帳簿価格ではございませんで、それぞれ契約をいたします際に鑑定価格をはじき出しまして契約をいたしておるのでありまして、その契約の基本になりました価格は二億四千四百万円ということに総額で相なつております。従いまして帳簿価格で三億六千四百万円の契約をいたします際に、財産の時価を評価し直しましてやりました価格が二億四千四百万円ということに相なつておるのであります。それから公団時代貸付もできないし、売払いの処分もできなかつたもので引継ぎをいたしましたものが二箇所あるのであります。そのうち一箇所は、これは市に対しましして処分をいたしておるのであります。なお他の一箇所はそのまままだ未処分状態に相なつております。それから公団から引継ぎましたときには貸付状態に相なつておりましたものを、国有財産特別措置法大蔵省引継ぎましてから売払い処分をいたしたものが五箇所あるのであります。すべての貸付なり売払いなりの契約に、成立をいたしておるのでありますが、その貸付使用料なりあるいは売払いの年賦延納なりの徴収状況を見て参りますと、若干徴収が遅れておると申しますか、過去の分が徴収できてないのがあるのであります。二十六年度、七年度、八年度という三箇年にわたりまして、なお徴収が未済に相なつておりますものが、北九州の福岡県の財団法人福岡社会保険炭鉱医療協会というものに貸付をいたしておりますものが三箇年間滞納に相なつております。これは先般の二十七年度の決算におきまして会計検査院から政府徴収措置適当でないということで御指摘を受けた箇所でございますが、これが三箇年間の滞納なつております。ごく最近に至りまして、相手方との間に過去の滞納実情に即するような程度月賦納入というふうな分割納入の形でお話合いをいたしておる状況であります。それからなお長崎県の北松浦郡にある町村経営病院でございますが、やはり二十六年度から三十八年度までの滞納なつております額の大部分がまだ未納になつておるという状況であります。それから二十八年度分で滞納なつておりますがそのほかに三箇所あるわけであります。それ以外の場所につきましてはすべて二十八年度分までの料金なり売払いの年賦延納金なりというものは徴収済みに相なつておるという状況であります。これを概括的に今日まで支払い期限が到来いたしましたものの支払いの完了をいたしておりますものが、相手方にいたしますと二十一ということに相なつております。滞納なつておりますのが、相手方といたしまして四ということに相なつておる状況であります。これをなお箇所数にしてみますと、総箇所数か三十六箇所でありまして、そのうち先ほど申し上げました徴収の成績のよろしくないというものが十四箇所ということに相なつております。それ以外の箇所につきましては、二十八年度の分までは契約通り収納済みであります。二十九年度の支払期はまだおおむね到来をいたしておりませんので、二十九年度の徴収はどこの箇所もないようでありますが、大体売払いなり貸付なりしております財産状況というものの概略はさような状況でございます。
  10. 井上良二

    井上委員 次にちよつと伺いますが、ただいまのこの財産に関する大蔵当局管理処分等経過を承つておりますと、それぞれ国有財産としてこの医療施設貸付を受けました地方公共団体は最近の地方財政の行き詰まりといいますか、そこへ加えていわゆる中小炭鉱を中心にする炭業界の不況のあほりを食つてそれぞれ賃貸料支払いができないという事態相当出ており、現実に会計検査院からの批難事項にさえ相なつておる、こういう事態がございます。そこでこの法案によると、大体十年年賦払下げを受けたいというのでありますが現在の地方公共団体がかような特殊な医療施設を持つということによる負担がなかなかたいへんでないかと考えますが、地方公共団体にこれを譲渡するというよりも、医療関係の監督及び運営をやつております厚生省にこの施設を移管をして、国営医療施設として、炭鉱医療施設を拡充して行くということの方が、地方公共団体の現在の実情から必要でないか、地方公共団体がこういう施設を持つても、実際経営その他の上で非常な負担となり、かつ代金支払いということになつて来て、実際地方公共団体としてはやつかいものを背負つたという形になりはせぬか。それよりも厚生省医療施設としてこれを拡充して行くという方が——現在の地方財政実情炭業界実情から、実際そこに働く労働者医療施設として考えます場合は、そういう国営的な面にこれを持つて行つた方がいいのではないかと考えますが、これは提案者の方でそういうことをお考えにならずに、時に公共団体にこれを払い下げるという提案をされましたその関係ちよつと説明願いたいと思います。
  11. 伊藤卯四郎

    伊藤卯四郎君 今お尋ねになりましたような、またお考えのようなことを、私どもはもともと非常に希望していたのでございまして、そのいきさつを簡単に申し上げますと、産業復興公団か現在のあの建物をつくりますときに、その引受け団体でありました炭鉱福祉協会というものを、占領軍司令部が何を勘違いをしたか、解散を命じてしまつたのでございます。そのために産業復興公団りくつた建物を引受ける相手がなくなつてしまつたのであります。そこで政府の方ではその地区の府県知事に、これを何とか引受けてくれということの委託をしたわけでございます。そのとき通達といたしまして、この責任者になりました資源庁石炭生産局長経済安定本部生産局長、労働省の労働基準局長厚生省保険局長の連名をもちまして、府県知事にこれを引受けてくれという通達をしたわけでございます。府県庁はみずから経営するわけに行きませんので、その所在地である市町村に、これを何とか経営をしてくれぬかということを知事が頼んだわけでございます。それから市町村で引受け得ないところでは、社会保険もしくは健康保険組合というものをつくつてせつかく建物であるからこれを引受けてやろうということになつたわけでございます。ところがその当時これを国の方で厚生省の方に、今井上さんがおつしやるように引受けさせれば、国営機関として経営をされたわけでございます。ところがこれが産業復興公団の方から大蔵省の方に引継ぎましたために、大蔵省既定方針従つて国有財産として管理して、家賃をとるとかあるいはまた払下げをするとかいう、一定の契約によつてこれを実施するという形になつたわけでございます。そもそも初めに厚生省にこれを引受けさしておるならこういう問題は起きないのでございます。これは厚生省大蔵省との間で解決をいたしますから……。国の経営としてやるということになりますから、従つて社会保険事業としてはきわめて国営的な理想的なものができたわけでございますが、たまたま大蔵省に引継かれたというところからこういう問題が出て来ておるのでございます。大体以上のような次第でございます。
  12. 井上良二

    井上委員 そうしますと、現状のあの姿のままで経営をして行つた方が合理的だ、その地方公共団体としても相当負担になるが、まあ今までそういうわけで経営をして来た関係から、ありの姿のままで経営をやりたい、こういうことでこの法案提案をされて来ておると思いますが、そうなりますと問題は、譲渡をしました場合、その対価の支払いについて十年の延納を特約するということを、一時支払いの困難なる場合は認めてほしい、こういうことを規定してあります。ただいま管財局長からのお話によると、なかなか今までの貸付料金さえ支払いが困難な公共団体があるようでございますが、これはどうでございましようか、支払いの自信と能力をお持ちでございましようか。
  13. 伊藤卯四郎

    伊藤卯四郎君 先ほど説明いたしましたように、大体知事市町村自治体もしくは社会保険機関にこれを引受けさせますときに、これはあるいは知事の自分のかつてな言い方であつたのかもしれませんけれども、いずれこれらの建物保険事業のものであるから、国営病院と同じようにこの建物は無料で払い下げられるものと思うからやつてくれ、こういうことを言つておるところが数箇所あるのでございます。そこで市町村ではこれは将来ただもらえものだと思つて引受けたといういきさつもあります。さらにまた現在ではこれを市町村社会保険機関等借入金をもつてベツドなどを非常に増築しております。たとえば産業復興公団が設備をいたしました当時の、全国の病院診療所入院患者ベッド数は五百五十であつたのであります。それを現在では病床を千八百十二床に増加をしておるのでございます。これはいずれも市町村社会保険機関自己資金という形で増加をしておるわけでございます。なぜ増加をしたかというと、従来の数ではとてもその負担にたえられない、何とか自給自足経営はでき得ないかというところから、病床をふやして自給自足経常体制をつくろうというところから、こういう厖大なベツドをふやした。それを金額にいたしまして一億五千六百七十七万円の借入金を投じてやつておるわけでございます。そこでやはり市町村等関係などにおきましても、みずから病院を持ち、福祉厚生事業などでも社会事業をやつておりますから、やはりでき得るなら市町村のそういう機関でこういうものを経営して福祉にこたえたい、こういうことで懸命にやつておるのでございます。従いましてこの法案に出ておりますような形で、今後家賃使用料を安くしてもらう、もしくは払下げ価格を安くしてもらうならば、ますます病床などをふやしたり経営を合理化してみずからその経営の目的を達成するようにやりたい、こういう非常に社会保障的なものを各市町村もやりたいということで一生懸命になつておるようでございますから、私は法案にありますような形にして、大蔵省側使用料もしくは払下げ料金を安くしてくれるということになればやれるのじやなかろうか、こういうふうに信じておるわけでございます。
  14. 井上良二

    井上委員 次に管財局長に伺いますが、ただいま提案者から説明がありした通り、すでに国有財産なつておりますこの炭鉱医療施設相当の増築及び増施設が行われて、別個の財産権がそこに生じておる実情にあるわけであります。そうしてこの施設お話がありましたように、産業復興公団石炭増産の必要から、炭鉱医療施設必要性考えて特に炭鉱業者の非常な協力の上にこの施設はでき上つておるのであつて、もともと国がこれに大きな投資をいたしましてつくり上げた財産とは性質が違うものでおります。さような意味合いから、もし政府の方において本法案成立いたしました後において、この施設譲渡について最大限の譲歩をいたしまして、地方公共団体との間に解釈の上においてあるいはまた代金支払いの上において無理のない契約なり交渉というものが進められることが必要であろうと思いますが、さような心構えをお持ちになつていましようか、これを伺いたい。
  15. 窪谷直光

    窪谷説明員 法案成立いたしましたあとで、というお話でございますが、これは別にこの法案成立いたしましたあとの執行の心持ではございませんで、相手方公共団体であります場合には、できるだけの事情をしんしやくして、あるいは相手方支払い能力等も十分に検討した上で、法律の許す範囲内の最大限度の考慮は今までもして来たわけであります。この事件についても同様に考えております。  御参考までにこの法案現行制度の差異がどこにあるかということを申し上げたいと思うのでありますか、現在の国有財産特別措置法によりますと、町村経営病院に対しましては五割の減額売払いがででることに相なつております。この法案によりますと、その割合を六割に上げようという趣旨でございます。現行法との差は一割ということになつておるのであります。ただ現行法でこの救い得ないものが——救い得ないと申しますか、ただ五割減額の売払いもできないものが若干あるのであります。現行法によりますと、町村経営のものと社会福祉法人経営のものというもの限つて、五割減額譲渡ができるのでありますがこの炭鉱医療施設運営をいたしております団体の中に、その両者のいずれでもないものがあるのであります。それは病院組合——これはむしろ健康保険組合だと思うのですが、それから医療関係財団法人であります。財団法人ではございますが。社会福祉法人の認可を受けていないというものかございまして、この両様の団体につきましては、これを社会福祉法人に切りかえるかあるいはまた町村経営に切りかえますれば、現行法に乗つかつて五割までの減額はできることに相なつておるのでありまして、すでに今日までその特別措置法によりまして五割で減額をいたしまして譲渡をいたしましたのが四件ばかりございます。これはいずれも市町村経営病院でございます。それ以外のものにつきましてはまだ公団のときに契約をいたしましたそのままの状態運営をいたしておるのであります。  それからもう一つ、この法案によりますと、過去の分までさかのぼつて減額措置をするという法案に相なつておりますが、これはいささかどうであろうかというふうに考えております。減税にいたしましても、たとえばまた国有財産特別措置法でいろいろ公共団体等に払下げます場合に減額売払いの道が開かれたであります。それより前におきましては減額売払いができなかつた、あるいはまた減額の割合が低かつたというものもあつたのでありますが、それは新しい法律ができてからあとの処理についてだけ適用いたしておるのであります。私どもとしては、法律の建前としては過去にでき上つた秩序をそこまでくつがえしてしまうということはいささかどうであろうかという考えを持つております。これはあるいは御質問の範囲外であるかと思いますが、ちよつと気づきました点を御参考までに申し上げます。
  16. 内藤友明

    内藤委員長代理 柴田義男君。
  17. 柴田義男

    ○柴田委員 今の炭鉱医療施設の問題でございますが、今まで経過をわれわれ承りますと、産業復興公団というものは、この医療施設以外にもたくさんの財産があつたと思うのです。そういう場合に、たとえば別な設備を持つた場合には、その設備をやつた何々鉱山というものに対しまして、当時の価値に見積つて貸付を行うなり、あるいはまた売払いをやつておつた、こうわれわれは記憶いたしておりますが、そういう関係がほかにもあつたかどうか、これを管財局長からまず承りたいと思います。
  18. 窪谷直光

    窪谷説明員 これは柴田先生の仰せの通りでございまして、この炭鉱医療施設のほかにいろいろな日本の戦後の経済復興のための施設公団でやりまして、貸付なり何なりをして運営をさせておつたというものがございます。これは公団の清算に伴いまして、それぞれ当時の時価でもつて売払い処分等をいたしておるという状況でございます。
  19. 柴田義男

    ○柴田委員 そういたしますと、そういう場合にはその当時のいわゆる対価で換算いたしまして売払いをやつておる、現にそれから何年年賦かで徴収をやつておるのですが、さらに今の経済状態にかかわらず、たとえばその当時一億でこれを売り払うと決定いたしましたものを十年年賦でやつたならば、一箇年に一千万でありますが、これを納入させておるとわれわれは記憶しております。そういうただの設備に対しましてはそういう処分をすでに行つておる。こういたしますと、今の炭鉱医療施設限つて現在二億四千四百万、あるいは当時の価格の三億六千四百万という計算の根拠はどういうことであるのか、たとえばその当時実際に政府から出した金がこれだけかかつてつたのか、あるいは産業復興公団解散に伴う経済状態からその当時の実態を押えて計算したのであるか、この根拠を承りたいと思います。
  20. 窪谷直光

    窪谷説明員 二十六年の三月末の帳簿価格三億六千四百万というのは建設の実費でありまして、建設費そのものであります。それから相手方に対しまして契約をいたしました際の基本になりました二億四千四百万と申しますのは、この契約の当時におきまする現状に即しましての鑑定価格ということに相なつております。
  21. 柴田義男

    ○柴田委員 大体概略はわかつたのでございますが、われわれも同僚井土委員の意見のように、やはりこれは厚生省が一切をあげてこの設備を引継いで、国の立場からこの医療施設を行うべきであるというふうに考えますけれども、提案者理由の御説明を承りますと、どうもその当時の事情がそれを許さなかつた、こういうようないろいろな状態でございまするが、ただやはり一番気になりますのは、今の地方財政状況から判断いたしまして、どうもその支払いを、たとえば六〇%を控除いたしました金をここに押えたといたしましても、なかなか困難ではないか、むしろこれはもう地方の今の財政の状態から考えますると、無償で交付せしめる方か妥当なような気がしますが、提案者の御意見を承りたいと思います。
  22. 伊藤卯四郎

    伊藤卯四郎君 先ほど井上さんからの質問の際にも申し上げましたように、大体引受け自治体もしくは社会保険機関は無償でもらえるものだとばかり信じていたのでございます。ところが大蔵省としては自分の所管になれば御存じのような規定によつて契約する、こういう形になるものですから、そこでもらえるであろうと思つたことは夢のように消えてしまつたわけであります。先ほど管財局長から説明をされておりましたが、過去において使用料もしくは買取り代金を幾らか支払つておるというようなお話等もございましたが、それは管財局長のおつしやる通りでございます。ところがここでひとつ申上げておきたいと思いますことは、過去において幾分払いました中にも凍結資金という金があつたわけでございます。これは炭鉱経営者が石炭一トン当りについて幾らという積立金を、この施設が完備すれば内部のいろいろな諸設備、病院診療所を自治経営にするためというその費用として積立てていたのでございます。ところがこれが配炭公団解散になりましたために凍結資金になつた、その凍結資金の残つていた部分があつたのでございます。大蔵省の方ではこの凍結貸金の中からそれぞれの引受け団体に内部施設として返すべき金であつたのでありますけれども、使用料その他を払つておらぬというところから、これを大蔵省の方が凍結資金を自分の方に繰入れたというのも支払いの中に入つておるわけでございます。  それからさらには市町村自治体というのは、やはり大蔵省には、どうもにくまれると困るということがあるわけであります。やはり起債その他を受ける場合にいろいろ困る問題があつて大蔵省からやはりにくまれたくないということからも、病院診療所は赤字であつて市町村の費用からその使用料も払つているというのが大部分だといつてもさしつかえないと思うのでございます。一つはそういうような点からもあることを御了解願いたいと思いますことと、それから先ほど伺いました無償の払下げの問題についてでございますが、私どもはまつたく賛成でありますし、そうあるべきであると思いますことは、実は保険患者の例を申し上げますと、健康保険患者が四四%、国民保険のものが一一%、労働災害保険が一〇%、生活保護法による患者が三一%、自己の費用で見てもらいに来るものはわずか四%しかないわけでございます。患者のパーセンテージから見ましてほとんど保険患者ばかりでありますから、当然国の機関によつて診療すべき対象者であります。そしてこういういものを対象とし経営している社会保険というか、社会保障の事業でありますから、これらの機関から大蔵省が、国が家賃をとるとか使用料をとるとかいうことではなくて、これはよろしくそれぞれに無償払下げをして、経営の健全化のために監督をするということの方が、国としては最も当を得た処置ではないか、このように考えておるのでやございます。
  23. 内藤友明

    内藤委員長代理 それでは本日はこの程度にとどめ、次会は明三日午前十時より開会することにいたします。  なお、ただちに理事会を開きたいと思いますのでお残り願います。  これにて散会いたします。    午前十一時三十六分散会